2018年03月16日

政府が2月に閣議決定 年金支給開始“70歳以降”は得なのか

政府が2月に閣議決定
金支給開始
“70歳以降”は得なのか
2018年3月15日 日刊ゲンダイ

 現在、公的年金の支給開始年齢は65歳だが、本人が希望すれば前倒しで60歳からの受け取りが可能だ。
ところが政府は、2月16日に閣議決定した「高齢社会対策大綱」で、70歳以降からでも支給開始年齢を選択できるように盛り込んだ。

 人生100年時代が来るなかで、果たして年金の受け取りは60歳からもらう方がトクなのか、それとも70歳すぎからもらう方がトクなのか、国民にとっては大きな問題だ。

60歳から繰り上げて受給すると65歳からの支給開始に比べ、1カ月につき0・5%減額され、逆に支給開始を遅らせれば1カ月につき0・7%増額になる。
「60歳からもらい始めると、65歳からの人に比べ0・5%×12カ月×5年で30%低い金額になる。
また70歳から繰り下げてもらえば、65歳からもらう人に比べ60カ月分の42%が増額、75歳からだと84%の増額になります」(ファイナンシャルプランナーの村井英一氏)

 国民年金は40年間納付し、65歳から受給すれば年間77万9300円を受け取れる。
しかし、仮に75歳からの需給を選択すると84%増額され143万3912円を受け取れる。年金の開始年齢を70歳以降に後ろ倒しするほど月々の年金額が増えることになる。
いかにも長寿社会に沿った仕組みに見える。

だが、ここが「高齢社会対策大綱」の狙いなのだ。
前出の村井氏が解説する。
「65歳と75歳支給開始を比較すると、75歳開始の人が65歳支給の人の年金の累計金額を逆転するのは86歳10カ月。つまり86歳10カ月を過ぎなければ75歳開始の人は上回れないことになり、仮にその前に亡くなると75歳開始では損をすることになる。
男性の平均寿命は80・77歳、65歳になった人の男性の平均寿命は84・64歳です。
早めに年金の受給を受けた方が安心でトクだと言えるでしょう」

 経済アナリストの森永卓郎氏もこう指摘する。
「65歳より繰り上げて年金を受け取っている人は3分の1います。
それは生活が苦しいからです。
どの時点での支給開始を選択するかといえば、70歳まで無年金で暮らせる選択肢は庶民にはありません。
政府の狙いは定年を延長させて65歳まで働かせ、年金の支給を70歳以降に遅らせることに他なりません

 現在、70歳からの年金の受け取りを選択している人はわずか1・3%しかいない。
政府の甘い言葉に乗せられず、早めに年金の受け取りを開始した方がよさそうだ。
posted by 小だぬき at 00:00 | 神奈川 | Comment(3) | 健康・生活・医療 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする