2018年03月23日

マトモなのが皆無の惨憺 “安倍サマ支配”自壊の必然

マトモなのが皆無の惨憺
“安倍サマ支配”自壊の必然
2018年3月22日 日刊ゲンダイ

 今の与党や官僚にマトモなヤツは1人もいないのか。
そう愕然とさせられるのは、文科省が前川喜平前文科次官の名古屋市立中学での授業内容の報告を市教育委員会に要求した一件である。

 一中学の一授業内容に対し、根掘り葉掘り問いただすように働きかけたのは、やはり自民党文教族議員の「圧力」だった。
どうりで文科省への質問内容が、前川氏の「出会い系バー通い」報道に触れるなど居丈高で、陰湿だったわけだ。

 前川氏の授業について文科省に何度も照会し、圧力を加えたのは赤池誠章参院議員と池田佳隆衆院議員の2人。
赤池は自民党の文部科学部会長、池田は同代理という関係である。
 赤池は「日常業務の一環で圧力とは思わない」とヌカしたが、唖然だ。

中央省庁にとって、予算や政策の決定に関わる自民党の部会の存在は極めて大きい。
そのツートップが「(天下り問題による)国家公務員法違反者が教壇に立てるのか」とドーカツまがいに問い合わせてくれば、官僚は「圧力」と受け止める。
その習性を知ればこそ、赤池も池田も文科省に経緯を何度も照会し、官僚が自らするはずのないことをあえてやるように仕向けたのではないか。

 圧力の動機も、前川氏が加計問題で「行政をゆがめられた」と安倍首相に公然と反旗を翻したからに違いない。
2人とも安倍の出身派閥の細田派に所属。
そろって安倍が閣僚にバンバン起用してきた「日本会議国会議員懇談会」の一員だ。

 明治憲法下の大日本帝国を美化し、戦前回帰を目指す極右団体の思想に感銘する2人にとって、悲願の改憲を目指す安倍こそ信奉の対象で、逆臣の前川氏は「神の敵」に映るのだろう。  

イカれた本人たちは「裏切り者」たたきで安倍サマに忠義を立てたつもりが、森友文書改ざんで政権が揺らぐ中、絶妙のタイミングで安倍の足を引っ張っているのだから、アホ丸出しだ。

■前川憎しに燃える
 異様な安倍サマへの忠誠心
 もっと驚くべきは文科省の対応だ。
 こんな極右のチンピラ議員のイチャモンを突っぱねるどころか、市教委への質問事項をあらかじめ池田に示し、添削通り修正。
その上、問題発覚後も両議員の関与を隠し続け、毎日新聞が実名を報じるまで2人をかばってきた。
 この期に及んで林芳正文科相は「あくまでも文科省の主体的な判断」と両議員の圧力を否定しているが、質問項目を池田に言われるまま修正しておきながら、「影響がなかった」とはいかにも苦しい言い逃れだ。

「前川憎し」の異常な言いがかりは、教育現場への政治介入でしかない。
「教育基本法16条の〈教育は、不当な支配に服することなく〉との定義には、教育勅語に基づく国の教育支配が先の大戦を招いたことへの反省が込められています。
歴史の負の教訓を理解せず教育現場に政治介入した2人に、議員バッジをつける資格はない。
法に反した以上は即、辞職すべきです。
林大臣もどうかしています。
明らかな政治介入を『問い合わせ』と称して正当化している時点で、大臣失格。
圧力に屈した官房長以下の文科官僚を処分した上で、監督責任を取って辞任するのが筋です」(政治評論家・森田実氏)

 頭の中は「戦前」の極右議員には教育の中立性の精神など馬の耳に念仏だろう。
安倍サマの寵愛欲しさに極右の若手が行政府に圧力をかけ、問題発覚後は全責任を官僚に押しつける――。
 今度の一件は安倍政権の醜悪な体質が凝縮されている。

さらなる犠牲者が
出かねない狂気支配の末路
 自民の若手が安倍サマへの得点稼ぎと官僚に責任をかぶせる思惑がロコツだったのが、19日の森友文書改ざんに関する参院予算委集中審議だ。

 最初に質問した青山繁晴議員は「今回の事件も根っこにあるのは(財務省の)国会軽視!」とがなり立て、「財務省が旧来のままだったら主権者が納得しない」とほえ、国税庁を「歳入庁」に改めることを提案した。

 続けて質問した和田政宗議員はさらにヒドい。「財務省は解体的に出直せ」と糾弾する一方で、「党と官邸が徹底調査を指示し、隠蔽の扉をこじ開けた」と支離滅裂な見解で、安倍サマを褒めたたえた。
 さらに和田は太田充理財局長が野田佳彦前首相の秘書官だったことをあげつらい、「安倍政権をおとしめるために意図的に変な答弁をしているのではないか」と“陰謀論”で責め立てたのだ。  

太田局長を激怒させたこの発言は、公務員への侮辱として議事録から削除されたが、「ナチスに学べ」などの暴言王、麻生財務相にまで「レベルの低い質問はいかがなものかと、軽蔑する」とコケにされる始末だ。

 青山と和田の極端すぎる政権擁護に有権者はのけぞり、安倍政権への反発に火を注いだ。
赤池と池田と同様に安倍サマに良かれと思った工作が皆、裏目の逆効果とは大マヌケ。
コイツらは氷山の一角で、自民の若手は安倍のちょうちん持ちしかいないのだろう。

法大名誉教授の五十嵐仁氏(政治学)はこう言った。
「自民の若手が我先に首相をかばう異様な光景こそ、安倍1強支配の成れの果てです。
権力を抑制的に行使できない強権首相に、与党も官僚も忖度する下僕に成り下がってしまった。そのシワ寄せは全て行政の現場に及び、無理難題をかぶった末に、公文書改ざんという犯罪に手を染め、ついには自殺者まで出たのです。
いよいよ善悪の区別すらつかなくなった異様な支配体制が続く限り、さらなる犠牲者を生むだけです」

■ハナから民主主義の
  イロハを守る気はゼロ
 証人喚問が決まった佐川宣寿・前国税庁長官も1強支配の犠牲者だ。
肩を持つ気はないが、順調にキャリアを重ねてきたのに“待機ポスト”の理財局長時代、たまたま森友疑惑に遭遇。
安倍政権を守るため、偽りの強弁を続けたのに、今や政権側に改ざんの全責任を負わされて主犯扱い。

 弁護士などのサポート保証を前提に「指示を認めろ」と迫る財務省に、佐川氏は刑事訴追を恐れ、シブっているとも報じられた。
財務省の動きは安倍官邸の意向を酌んでいるはずで、この政権は証人喚問で佐川氏の口を塞ぎ、偽証を強要しても不思議ではない。

イカれた政権に魂を売った報いとはいえ、ブタ箱入りに怯える日々とは佐川氏も哀れだ。
安倍政権にとって官僚は自分たちを守る道具でしかない。
森友疑惑の“守護神”も都合が悪くなれば容赦なくポイ捨て。
1強支配にあぐらをかき、官僚は逆らえっこないと高をくくっている。
だから“前川の乱”にあれだけ狼狽するのです。
森友疑惑の責任者は誰がどう見ても首相夫妻なのに、政権側は“本丸”の国有地8億円値引きの真相究明は二の次で、佐川氏1人に改ざんの責任をかぶせて問題の矮小化を狙っている。
弱い者いじめの卑怯な政権です」(高千穂大教授の五野井郁夫氏=国際政治学)

もはや戦慄を覚えるほどの腐敗ぶりだが、この政権は5年目にして突然、イカれたのではない。もともと頭がトチ狂った政権なのだ。

 前出の森田実氏はこう指摘する。
「安倍政権の狂気は今に始まった話ではない。
12年前の第1次政権発足の頃から『戦後レジームからの脱却』を唱え、戦前回帰の歴史修正主義を隠そうともせず、順法精神のかけらもなく、悲願の改憲に邁進。
重用するのは、お友だちだけ。
意見が合わない者はハナから敵と決めつけ、多様な意見を尊重する民主主義のイロハすら守れない。
行き着いた先が極右の若手がはびこる自民の惨状です。
腐敗の元凶は安倍首相です。
早く“腐ったリンゴ”を取り除かなければ、この国全体に腐敗が蔓延しかねません」

 こんな腐った政権の自壊は必然である。
支持率暴落の今こそ、腐敗を食い止める好機だ。
今の政界には大掃除が必要なのだ。
posted by 小だぬき at 00:00 | 神奈川 ☁ | Comment(3) | 社会・政治 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする