きょうの潮流
2018年4月20日(金) しんぶん赤旗
「話せばわかる」とさとす首相を軍人が「問答無用」と撃ち殺す。
戦前、政党政治を終わらせ軍部独裁に道を開いた五・一五事件。
青年将校たちの檄文(げきぶん)には「国民の敵たる既成政党と財閥を殺せ」の一文がありました
▼陸軍の将校らが起こした二・二六事件。
親政を名目にした軍事クーデターの決起趣意書は「国体破壊の不義不臣を誅殺(ちゅうさつ)」することを呼びかけました。
意見の違うものを排除していった軍部のもと、日本は戦争に突き進んでいきました
▼「おまえは国民の敵だ」。
時代を逆戻りさせるような発言が、自衛隊の幹部から飛び出しました。
国会近くの路上で民進党の参院議員に自衛隊員だと告げたうえで執ようにののしったといいます
▼暴言を吐いたのは防衛省統合幕僚監部の3等空佐。
戦前でいえば将校(少佐)にあたり、部隊の指揮もとれる立場の人物です。
実力組織の現職幹部が国民から選ばれた国会議員を非国民のごとく糾弾する。
暗黒の時代を想起させる事態です
▼それでなくても海外に派兵した部隊の日報を隠ぺいし、文民統制からの逸脱が大きな批判を浴びているとき。
ところが小野寺防衛相は「彼も国民のひとりであり、当然思うことはある」とかばうような姿勢さえみせています
▼とめどなく軍事のタガを外していく政権。
同時に国民を敵、味方に分断するやり方は、安倍首相お得意の手法です。
痛恨の教訓からつくりあげてきたこの国を守るため、ここはみんなで手を携え、それを壊そうとするほんとうの「敵」を倒さなければ。