2018年06月01日

嘘が嘘を呼び…関係者が増えて収拾がつかなくなる悪循環

嘘が嘘を呼び…
関係者が増えて
収拾がつかなくなる悪循環
2018年5月31日 日刊ゲンダイ

高野孟ジャーナリスト

 古来「嘘」についての格言は数知れず、その中では「嘘が嘘を呼ぶ」という趣旨のものも少なくない。

1つの嘘を通すために別の嘘を20も発明しなければならない」とは、英作家ジョナサン・スウィフトの言葉だが、ごく最近では愛媛県の中村時広知事の「嘘というものは、それは発言した人にとどまることなく、第三者、他人を巻き込んでいく」というのがなかなかの名言である。

せっかくだから愛媛県庁ホームページから5月11日の会見での当該部分を引用しておこう。
<まあ、これは一般論ではありますけれども、真実ではないこと、偽りのこと、極論で言えば嘘というものは、それは発言した人にとどまることなく、第三者、他人を巻き込んでいく、そういう世界へ引きずり込むということにもなってしまうケースも、ままあることでございます>

 言うまでもなく、その前日に参考人招致された柳瀬唯夫元首相秘書官が「加計学園関係者には会ったが、そのとき後ろに愛媛県、今治市関係者がいたかどうかは記憶がない」と述べたことへの感想である。
これでは、県職員がまるで役立たずの「子どもの使い」と言われているのと同じで、知事としてはその職員の名誉を守るため、意地でも面談当日の記録や柳瀬の名刺を捜し出さざるを得なくなる。

 そうして新たに出てきた愛媛県の文書に、安倍晋三首相と加計学園の加計孝太郎理事長が2015年2月に会った際、安倍が獣医大学の構想について「いいね」と言ったことが記載されていて、
それが本当なら安倍は17年1月まで加計が獣医学部新設を計画していることを知らなかったと言ってきたのが嘘とバレるので、慌てて加計側と相談したのだろう、
その話は柳瀬との面談に同席した加計関係者の作り話だということにした。

 そうすると、これは逆に、一民間法人の職員が総理の名を騙って政府の事業認可を取り付けようとした詐欺か名誉毀損かの犯罪に当たるので、安倍がこれに抗議したり法的措置をとらないのはおかしいということになる。

ひとつの嘘が次の嘘を呼び、その分だけどんどん関係者が増えて収拾がつかなくなっていくという悪循環に、すでに安倍政権は嵌まっている。

 総理がこんなだから、大臣も高級官僚も、あちこちのダメ社長やセクハラ市長、さらには日大アメフト部監督までもが、みな見習って嘘を重ねて責任逃れをしようとする風潮が蔓延する。

 潔さを本領とする侍は、愛媛県知事と日大の宮川泰介選手以外にいないのだろうか。
posted by 小だぬき at 00:00 | 神奈川 ☔ | Comment(2) | 社会・政治 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする