2018年07月11日

混んだ電車で足を組んで座る人…電車内「座席マナー」のイライラ

混んだ電車で足を組んで座る人…
電車内「座席マナー」のイライラ
2018/07/11 ダイヤモンド(宮崎智之 )

さまざまな“常識”が衝突する電車内
 公共の場でマナー違反を犯している人を見ると、誰もがイライラする。
そのイライラが特に顕在化しやすいのが、さまざまに異なった“常識”を持っている人が集まる電車内である。

 目的地に着く時間を気にして焦っている人、移動中に少しでも体を休めようとリラックスを求めている人、大きな荷物を持って疲弊しきっている人。
それぞれがそれぞれの事情を抱え、イライラ、カリカリしている中で、自分が“常識”だと思っていたマナーから逸脱した行動をとる人たちを見かける場面が、電車内では多いのだ。

 その中でも、著者が今回言及したいのが、電車内の「座席マナー」である。
ことさら混雑する電車内では、誰もができれば席を確保したいと思っているだけに、座席をめぐるマナー違反には憤りを感じる頻度が高く、時には乗客同士のトラブルになることもある。

 世間の人は、どのような「座席マナー」の違反にイライラしているのか。
周辺の声を拾った。
足を広げる、荷物を座席に置く、足を組んで通行妨害……

 筆者が聞き取り調査した中で、「マナー違反だ」と人々が感じることが多かったのは、座席の座り方である。
足を広げて座っている人、網棚ではなく座席に荷物を置いて座っている人。
そういう人がいる場合は、7人掛けの長椅子に6人しか座れなかったり、3人掛けの椅子に2人しか座れなかったりといった問題が起こってしまう。
「先日、足を広げて座っているビジネスマンが同じ7人掛けの長椅子に2人いるのを見かけました。
6人しか座れていなかったし、座れている人も窮屈そうでした」(30代男性)
「年配の女性が荷物を座席に置いていて、1人分座れない状況に。
網棚に荷物をあげるのが大変なのはわかるんですけど、『荷物を上にあげましょうか』と声をかける勇気もなく、その日は営業回りで疲れていたのですが、座るのを諦めました」(30代男性)

 座り方の問題では、「足を組んで座る人」に対するイライラもあるようだ。
「空いている車内で足を組んでいるのは別にいいのですが、混んでいる時にやられると邪魔で仕方ない。
しかも、足に当たった時に舌打ちされたことがある」(20代女性)

 筆者が気になるのは、友人などと一緒に電車に乗った際、座席に座っている人の両脇が空いていた場合は、1席横にずれてもらえれば友人と並んで座れるのだが、かたくなに座席を移動しようとしない人がいる、ということである。
少なくても、自分が同じような場面に遭遇した場合は1席横にずれて「どうぞ」と声をかけるし、ずれて並びの2席を空けてもらった場合は「ありがとうございます」と丁寧にお礼を言うことを心がけている。

 むしろ、1席ずれないことによって、サンドイッチのように挟まれてしまう事態に陥ることになる。
友人同士の乗客に挟まれながら座席に座って、果たしてリラックスできるのだろうか。
筆者なら、きっと気まずい思いをしてしまうだろう。
頑なに座席を移動しない人は、そこらへんのことをどのように考えているか。
本当にモヤモヤして仕方ない。

電車内でカップラーメンやお酒を楽しむ人々  
さらに、電車内の「座席マナー」については、「座り方」だけではなく、「何をして座っているか」も問われる。
たとえば、都心の電車や新幹線などでよく見られる、パソコンを操作しているビジネスパーソン。
移動中の時間を使って仕事をこなしたり、メールを返したりすることは筆者にもあるので、気持ちは十分すぎるほどわかるが、横でキーボードをカタカタされることに対して、イライラする人も世の中にはいるのだ。

 また、電車内でご飯を食べることをマナー違反だと感じる人も、筆者が聞き取りした範囲ではたくさんいた。
新幹線やなどのボックス席ではマナー違反とされないものの、そうでない場合は確かに気になる。
これはインターネット上で見つけた情報だが、なかには電車内でカップラーメンを食べる強者もいるそうだ。
周囲の人はにおいが気になって仕方ないだろう。

「電車内で座席に座り、お酒を飲んでいる人がいました。
缶酎ハイにタオルのようなものを巻いていて、本人は隠しているつもりでしょうけど、においで一発でわかります」(40代女性)
 さらには、電車内で化粧をする女性を「みっともない」と思う人もいる。
このことについては過去にこの連載で取り上げたので、そちらを参照してもらいたいが、公的な空間に私的な行為を持ち込まれることを嫌がる人もいるのは、理解はできる(化粧が完全なる私的な行為であるのかどうか、ということに関しては、議論の余地がある)。  

さまざまな人が居合わせる場所であるからこそ、マナー違反に敏感になり、ギスギスしやすい電車内。
なるべくあつれきが生じる機会を減らし、誰もが快適に乗車できるようになってほしいものだが、そうした未来が訪れることは、まだまだ先のことのように感じる。
イライラやカリカリによる分断がこれ以上起こらないように、議論が深まることを望んでいる。

 当連載についてご意見がある方は、筆者のTwitterアカウントにご連絡いただきたい。
すべてには返信できないが、必ず目を通したいと思う。
(フリーライター 宮崎智之)
posted by 小だぬき at 16:28 | 神奈川 ☁ | Comment(0) | 社会・政治 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

豪雨でも「宴会自慢」をやらかす"想像力欠如" 安倍政権の売りは危機管理能力だったのに…

豪雨でも「宴会自慢」を
やらかす"想像力欠如"
安倍政権の売りは
危機管理能力だったのに…
2018/07/10 東洋経済(安積 明子 )

 西日本を中心に降り続いた記録的大雨は、7月9日になって「平成30年7月豪雨」と名付けられた。
確認された死者の数は、すでに100人を超えている。
安否不明者も多く、今後さらに増える見通しだ。

 同じ9日に開かれた「立憲民主党 2018豪雨災害対策本部 第1回会議」で枝野幸男代表は、「東日本大震災に次ぐ大規模災害だ」と述べたが、その表現は決して誇張ではない。
大雨特別警報が11府県にもわたって発令されたことは前例がないし、避難指示対象は83万9289世帯・187万8007名、避難勧告対象は101万4930世帯・232万1947人にも及んでいた(7月8日午後3時現在)。

気象庁は7月5日午後2時に緊急会見  
大雨特別警報とは、数十年に1度のこれまで経験したことのないような重大な危険性が差し迫っている異常な状況の下で発令されるものだ。
 今回の豪雨の被害の特徴は「広域性」と「被害の甚大さ」だが、気象庁はすでに7月5日午後2時に東京と大阪で緊急会見を開いて警告していた。
台風や地震、大雪以外を理由として気象庁の会見が開かれるのは異例中の異例である。
 この時の気象レーダーには、兵庫県南東部から滋賀県にかけて「線状降水帯」が発生していたことが示されていた。
線状降水帯とは次々と積乱雲が発生して並ぶ帯状のもので、ゲリラ豪雨の原因とされている。
気象庁は比較的長い時間、これらの地域に大量の降水量がもたらされると判断した。
実際、この時点で8日午前まで豪雨が続くだろうと報じられている。

 だが政権中枢の危機管理はどうだったのか。
そこには苦言を呈さざるを得ない事態が発生していた。
 東京でも雨が降った5日夜、赤坂の衆議院宿舎で“宴会”が開かれていた。
2013年4月から始められた自民党議員の有志による「赤坂自民亭」だ。
中堅・若手が閣僚や幹部と懇談し、情報収集や親睦を深めるきっかけになっているが、今回は特別ゲストとして安倍晋三首相が参加した。
安倍首相には9月に予定されている自民党総裁選での支持を固めたいという思惑があり、重要な会合だ。

 政治の世界は会合がつきもの。
誰といつどこで会ったのかというファクトが、次の政局を生み出す契機にもなる。
しかしそれを喜々として公表する必要はあるのだろうか。
ましてや大きな災害が来ようとしている夜に。

グラスを持つ面々はいかにも楽し気  
「いいなあ自民党」
 明石市や淡路島を含む兵庫9区を地元とする西村康稔官房副長官は5日午後10時2分、写真を2枚SNSにアップした。
参加者が腕を振るった料理が並び、地元の名酒を持ち込んでの懇親会。
グラスを持つ面々はいかにも楽し気だ。
今夜は恒例の自民亭。
衆議院宿舎の会議室で、月一回食べ物やお酒を持ち寄り、党幹部と若手議員のざっくばらんに話す懇親会。
選挙区の悩みを相談したり、地元の名産PR。
今日は、安倍総理、岸田政調会長、竹下総務会長が勢揃い。
和気あいあいの中、若手議員も気さくな写真を取り放題!正に自由民主党党。
pic.twitter.com/BGj84cLynb − 西村 やすとし (@nishy03) 2018年7月5日

 しかし、さすがに不謹慎だと思ったのだろう。
西村氏は午後11時45分に「兵庫県内大雨 6万世帯13万人に避難勧告」というタイトルの地元・神戸新聞の記事を引用しつつ、「地元秘書から、地元明石淡路の雨は、山を越えたとの報告を受けました。
秘書、秘書官と随時連絡を取り合いながらの会でした」と言い訳を書き込んだ。
地元秘書から、地元明石淡路の雨は、山を越えたとの報告を受けました。
秘書、秘書官と随時連絡を取り合いながらの会でした。
https://t.co/fOXW4ZjQcI − 西村 やすとし (@nishy03) 2018年7月5日

 だがこの時、「山を越えた」わけではなく、明石市の大雨警報は8日午後4時15分まで続いていた。
しかも政府は5日午後に小此木八郎防災担当相の下で関係省庁会議を開き、「週末に向けて大変なことになるかもしれない」と対応を協議してその準備をしていた。
要するに、重大な危機感は十分に認識されていたはずなのだ。
 むろん、宴会は多忙な首相の予定を押さえたうえで組み込まれた重要な日程であることは理解できる。
問題は、宴会を行ったこと自体にあるわけではない。
それを豪雨の最中でも喜々としてSNSにアップしてしまう共感力の欠落、想像力の欠如が問題なのである。

 西村氏は官房副長官として平成30年7月豪雨非常災害対策本部の会合にも参加。
要するに政府として災害に責任を持つ立場だ。
また第2次安倍内閣、同改造内閣、第3次安倍内閣で防災担当の内閣府副大臣を務め、安倍政権における“危機管理の専門家”としてのキャリアを積んできた。  
『命を守る防災・危機管理 その瞬間、生死を分けるもの』(プレジデント社)という著書もあり、同書の帯に安倍首相が「大雪、土砂災害、火山噴火……。
数々の災害に、彼が最前線で指揮を執ってくれた」と推薦コメントを寄せている。

もっともその中に「豪雨」が入っていないのは、果たして偶然だったのか、あるいは必然だったのか……。  

「国民の安心安全のために、政府として全力を尽くす」
 これは西村氏の上司である菅義偉官房長官が会見時によく口にする言葉だ。
要するに、常に国民の安全本位であることが政府の人間の責務という意味である。
安倍政権が5年半以上も長命になったのは、民主党政権に懲りた国民が安倍政権によりどころを見つけたことが大きな理由だ

危機管理能力を売りにしてきたはずなのに
 では菅長官は、今回の副長官の危機意識のないツイートをどう思うのか。
7月6日午後の会見で聞いてみた。
大規模災害が迫っている時に、SNSで宴会のような写真を挙げて国民は不安を感じないか、と。
 菅長官の回答は「やるべきことはやっている」だったが、果たして国民は「安心安全」を得られるだろうか。
 なお安倍首相は9日昼、11日からの欧州・中東への外遊を取りやめた。
当初の「やるべきこと」だけでは足りないということで、危機対応は「後手後手」の感が否めない。

民主党政権の失敗という反省の下で危機管理能力を売りにしてきた安倍政権だが、この大災害をどのように乗り越えるのか。被害の全容が明らかになる中で、総裁選への影響もジワリと出てくるかもしれない。
posted by 小だぬき at 00:00 | 神奈川 ☁ | Comment(3) | 社会・政治 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする