2018年07月30日

"毎月10万円"がないと絶対に老後破綻する

"毎月10万円"がないと
絶対に老後破綻する
2018年07月29日 PRESIDENT Online

■繰り越し方式導入で、
          どんな影響が出る?
急速な少子高齢化の進展で、年金制度を維持するために多くの改正や制度の変更が行われてきた。
直近では2016年に国会で年金制度改正法が成立し、現役世代にとっては大きな2つの変更が加えられることになった。

具体的には18年から導入された
@「マクロ経済スライド」の繰り越し方式(キャリーオーバー)の導入。
Aもう1つが21年からはじまる「物価・賃金スライド」の運用方法の変更だ。

年金制度は物価の上昇や現役世代の賃金が上がる場合には、年金給付額をそれらの上昇率にあわせて調整する制度になっていた。
しかし、現役世代が減少し、給付対象者が増えるなかで、一定程度給付する年金額を抑え、長期的な視点で年金制度を維持しようという「マクロ経済スライド」が04年から導入されている。

このマクロ経済スライド、賃金・物価の伸長率が低い場合には調整は行われず、前年度の給付額を維持することになっている。
ところが16年の改正ではスライドが行われない場合でも、0%を下回る未調整分を翌年以降に差し引きする「キャリーオーバー」が導入されることになった。
そもそもスライドの調整率は、現役世代の人口減少や平均余命の延びに応じて毎年見直される。

当初の厚労省の計算では調整率は0.9%とされ、賃金・物価上昇時には発動するが、物価上昇率が0.9%以下やマイナスのときは発動しないことになっていた。
年金に詳しいブレインコンサルティングオフィス代表の北村庄吾氏(社会保険労務士)は「物価が1.5%上がれば、そこから0.9%を引いた0.6%しか年金額をアップしない。
また物価上昇率が0.5%だと、そこから0.9%を引くとマイナスになるので調整しないことになっている。

これまでデフレが長く続いたために発動されてきませんでしたが、15年に1回だけ発動している」という。
たとえば物価が0.5%上がり、マクロ経済スライド調整率0.9%を差し引くとマイナス0.4%になるが、この場合の年金額は据え置きとし、0.4%を次年度以降に繰り越し、物価が上がったときにこの分を含めて差し引くという仕組みだ。

このキャリーオーバーが導入された18年1月、厚生労働省は18年度の年金参考指標として物価の変動率はプラス0.5%、名目手取り賃金はマイナス0.4%となることから、年金額は据え置き。
マクロ経済スライドによって、未調整となっている14〜16年時のマイナス0.3%分を19年度以降に繰り越すことを発表した。

わかりやすく言えば、仮にアベノミクスの物価上昇率2%の政策目標が実現しても、本来の調整率0.9%プラス未調整分の0.3%の計1.2%が差し引かれ、年金額は0.8%しか上がりません。
平均調整率を1%とすると、2%の物価上昇率が10年続けば物価は20%上がりますが、年金は10%しか上がらない。 つまり、年金が10%目減りし、今までと同じ商品を買うことができなくなります」(北村氏)

さらに、21年からはもう1つ、「物価・賃金スライド」の制度変更が行われる。

冒頭の説明にもあった通り、これまで給付される年金額は物価や賃金の変動に伴って調整されてきた。
物価が上がっても、その分給付額も上がるので、物価の変動にかかわらず、同じ商品が買えるメリットがあった。
たとえば、現役世代の賃金が1%上昇すれば、年金額も1%上がる。
仮に物価が上がっても賃金が下がる場合にはプラスマイナスゼロで据え置くことが決まっていた。

しかし、今回の改正により、21年4月からは、物価よりも賃金の上昇が鈍い場合、賃金の変動を優先して年金額が決定する仕組みに変更になる。
賃金よりも物価の伸長率が高い近年の経済状況が続けば、給付額が減額されるようになるというわけだ。

■毎月10万円が不足、
    確実に老後破綻する
21年からはじまる年金の賃金スライド開始で実質の年金額は毎年目減りし、さらにマクロ経済スライドによって減額されることになる。
それだけではない。
北村氏は現役世代にはさらなる厳しい状況が待ち受けていると指摘する。

現在の年金制度は現役世代の年金保険料で引退世代の年金を支える世代間扶養の仕組みです。
しかし、すでに2.3人の現役が1人の年金受給者を支えている構図になっている。
このままでは年金財政が持たないので、現役世代の保険料を引き上げるしかありません。
でも、現実的には難しい。

そうなると1つの解決策は消費税を上げて年金財源を確保する。
もう1つは現在65歳である支給開始年齢の引き上げ。

第1ステップとして定年年齢を65歳に延ばしたうえで67〜68歳に引き上げるのは間違いない。今45歳の人は確実にそうなると思います
当然、その頃は年金額も目減りしている。

ちなみに18年度の厚生年金月額は約22万円(夫婦2人)。
北村氏は45歳が受給する頃には(現在の貨幣価値で)17万円程度になっている可能性もあると試算する。
老後の生活費は総務省の家計調査では月約27万円。
そうなると10万円不足することになる。

北村氏は最後にこう警告する。
「何らかの形で毎月10万円を捻出できなければ間違いなく老後破綻が待っています。
そのためには今からリタイア後を想定して個人年金に入る、あるいは奥さんが個人型の確定拠出年金に加入するなど、将来に向けた準備に着手すべきです。
会社や国が面倒を見てくれる時代はもはや終わっているのです」。

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北村庄吾(きたむら・しょうご)
ブレインコンサルティングオフィス代表 1961年、熊本県生まれ。
中央大学卒。
社会保険労務士・行政書士・ファイナンシャルプランナー。
著書に『人生を左右するお金のカベ』(日本経済新聞出版社)など。
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posted by 小だぬき at 11:41| 神奈川 ☀| Comment(0) | 社会・政治 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

幕末の志士たちは「テロリスト」だった

幕末の志士たちは
「テロリスト」だった
そしてジェダイはダークサイドに落ちた
2018/07/29 東洋経済

塚田 紀史 : 東洋経済 記者

幕末に尊王攘夷を掲げた志士たちの実像は、為政者や時代の空気によって書き換えられている。
『志士から英霊へ』を書いた東京大学大学院人文社会系研究科の小島毅教授に聞いた。

幕末の志士は現在で言えばテロリスト
──「志士から英霊へ」と評価が変わったわけですか。

日本の過去の人物像や歴史的事件に関して、すばらしいもの、褒めたたえるべきものだけを並べればいい、先人たちがした失敗や、ほかの国にかけた迷惑を語るのは自虐的だとの主張がある。

だがもちろん、明るい面と暗黒面をきれい事にしてまとめるのは、歴史認識として正しいあり方ではない。
むしろ逆だ。
歴史に学ぶとは失敗に学ぶのであって、成功譚を褒めたたえても、それは歴史を学んだことにならない。

中国では昔から「歴史を鏡にする」という表現がある。
中国人が日本の要人に会うたびに使う言葉だ。
同じ失敗をしないために歴史が存在するという考え方といっていい。

明治150年を語るのであればむしろ、その間に起きたことの負の側面を含めて語るべきなのだ。
幕末維新の志士という言い方がされてプラスの評価ばかりが目立つが、彼らは暴力に訴えてでも世の中を変えるべき、自分たちの考えと違う政治を行っている政権担当者は殺して構わないという考えを持っていた。
つまり現代社会においてはテロリストだ。

それを現在の日本国政府が、つまり世界中に蔓延するテロリズムと戦う姿勢を標榜する政府が、明治150年だからといって過去のそうしたテロリズムを礼賛するのは自己矛盾になる。

──この本は西郷隆盛と吉田松陰の「2人のジェダイ」についてから書き下ろされています。

実は私は「スター・ウォーズ世代」。
『スター・ウォーズ』には、西欧にない考え方を映画の中に生かすためなのか、研究対象の中国思想の気(フォース=銀河をつかさどるエネルギー)という言葉が盛んに使われている。
ジェダイ(秩序と平和の守護者)はいわば志士だし、彼らが戦った相手、もしくは作り上げようとしたものがエンパイア。
そして暴力やテロリズムに訴えるようになってしまい、ダークサイドに落ちたりもする。

この4つのキーワードを遊びの精神から各章タイトルに割り振ってみた。

松蔭は独善的だった
──西郷については「敬天愛人」に絡む話が中心です。

西郷はあるときから敬天愛人を座右の銘にし、好んで揮毫したという。
ただ、この言葉の由来について本人は語っていない。
関連する記述は、死後に出版された聞き書き本『南洲翁遺訓』の中にある。
1868年に教育者の中村正直が「敬天愛人説」という文章を書き、これが当時よく読まれ、西郷も知っていたはずだ。

──松陰もジェダイだった?

彼はむしろ偏った見方をする人だ。
自分の信念を貫くために、それに従わない人たちを間違いと決め付ける。
対話や議論を求めていくのではなく、書物や教えを通じて得たものに基づいて作り上げた自身の信念こそ正しいと突き進んでいく。

儒教の古典『孟子』の中にある言葉、至誠を根拠にして、誠を尽くせば皆わかってくれるはず、と独善的に事を運ぶ。
思想史的に位置づけ直すと、兵学をあずかる形で養子に行ったことから、責任感を持って軍学を身に付け、その結果として、正真正銘のテロリストになっていった。

──教育者としての評価も。

玖村敏雄の著作『吉田松陰』が1936年に刊行され、その中で教育者として立派だったとの像が打ち出された。
これが広く読者に浸透したようだ。
戦前における尊皇派、天皇崇拝者としての松陰像が封印され、教育者、人格者としての松陰という像が作られて、今に引き継がれている。

──彼はダークサイドに落ちた?

正義のために戦っているつもりが、闇というものに引き寄せられていく。
『スター・ウォーズ』でもよく描かれていると思う。
単純な善悪二元論、勧善懲悪ではない。
善の中にすむ悪の魅力、それこそが悪の魔力なのであり、最初から悪だとわかっていたら、力を持たない。
日本語でいうところの「心の闇」。

それを幕末の志士たちの生き方に重ね合わせると、彼らはなぜテロリストになってしまったのかがわかってくる。
自分たちの目指す正義が阻まれていると感じたときに、妨害するものを力ずくで排除しようとする。
結局、自分たちが敵と考えていた人たちと同じ側に立ってしまう。
他者を抑圧あるいは弾圧する。
それがダークサイド。

尊皇攘夷のために暴力に頼った
──いわば絶対正義。 人を引き込む作用をする。

『論語』にある身を殺してなすべきこと、殺身成仁に該当する。
『太平記』の児島高徳の逸話に学び、太平記を翻案した『日本外史』を読むことでそうした知識を身に付けてあこがれたジェダイたちが、ダークサイドに落ちる入り口の尊王攘夷を目指す草莽(そうもう)の志士に育っていく。

──エンパイアの理念も背景に。

中国の宋学が、水戸学によって幕末期に影響を与えることにつながる。
皇帝、日本の場合は天皇を頂点にいただく政治秩序をどう構想したか、それ以前とは違う形でどう作り上げたかという説話がエンパイアの理念だという位置づけになる。
それこそがダークサイドに落ちていったジェダイたちが実現しようとしたことで、暴力革命、つまり尊王攘夷のために暴力に頼ることになる。

──水戸学はなぜ受け入れられたのですか。

思想内容の魅力はもちろんあるが、広めた人として頼山陽に加えて曲亭馬琴の役割が大きい。
漢文で物を書く人ではなく、『南総里見八犬伝』や『椿説(ちんせつ)弓張月』が儒教道徳を教えている。
ちなみに八犬伝の8つの数珠玉はすべて儒教の徳目だ。
必ずしも水戸学と限定されないが、この手の本を通じて、小説を読むことができるような人たちに、儒教思想が取り込まれていく。
かつて私は頼山陽を司馬遼太郎になぞらえたが、むしろ馬琴ではないかと最近考えを変えた。

──藤田東湖の役割は。 水戸学の中心人物。

非業の死を遂げた人たちを英霊と呼び、靖国神社がこの言葉を取り入れた。
反逆の罪に問われて死罪となった松陰は、明治になってよみがえり靖国神社に祭られ、
西郷は逆臣として死んだので祭られていない。
posted by 小だぬき at 00:00| 神奈川 ☁| Comment(0) | 社会・政治 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする