2018年09月01日

新たな副作用が見つかった有名市販薬の実名リスト

3年以内に新たな副作用が
見つかった有名市販薬の  
                   実名リスト
2018年8月30日 NEWSポストセブン

 新しい薬が開発・発売された時点では「その薬のすべての副作用がわかっているわけではない」ということをご存じだろうか。
 製薬会社が新薬を開発するまでには長い時間と費用がかかる。
一般に、新しい薬が発売されるまでには、10〜15年の時間がかかり、数千億円が投じられるとされる。
動物実験や臨床試験など、さまざまな治験を経て、ようやく発売に至るわけだが、同時に、途中で開発が中止されるケースも多く、新薬として製品化される確率は、わずか3分の1しかないそうだ。

 それほどまでに慎重なプロセスを経て、ようやく製品になって使用されることになる医薬品だが、実は発売されてから、多くの人が使用する中で新しく発見される副作用も少なくない。
しかも、その中には脳梗塞や肝不全、呼吸困難など命にかかわるものも含まれるというから恐ろしい。

 発売後に見つかった副作用は、いったいどのように周知されるのだろうか。
その場合、製薬会社や医師などが厚労省所管のPMDA(独立行政法人「医薬品医療機器総合機構」)に報告する義務が課されており、最終的には、厚労省が製薬会社に「医薬品添付文書」の改訂を指示することになっている。

 とはいえ、すでに流通してしまっている商品には添付文書の改訂は間に合わない。
そのためPMDAは、新たに発見された副作用についてウェブページ上で公開しているが、なかなか一般の患者の目に留まることはない。
 本誌・女性セブンでは、PMDAがこの3年以内に「新・副作用」を発表した薬品を選定。
医師の処方箋が必要な処方薬は国内売上高上位100位以内の薬品(2016年度決算・日刊薬業調べ)から、市販薬は2018年3月期の売上が15位以内の大手製薬会社の製品などからリストアップした。

◆あの有名薬も…
 街のドラッグストアで気軽に買える市販薬について見てみよう。
市販薬は、そのリスクの大きさにより、いくつかに分類されている。
リストに掲載した『ロキソニンSテープ』のような、薬剤師による対面販売でしか購入できない「要指導医薬品」のほか、「一般用医薬品」という区分けがある。

一般用医薬品にはさらに、薬剤師のみが販売できる第1類医薬品、登録販売者でも販売可能な第2類医薬品、第3類医薬品がある。
これら一般用医薬品は、いずれもネット通販が許されている。
 医薬情報研究所を運営するエス・アイ・シー取締役で、薬剤師の堀美智子さんが話す。
「ほとんどの薬局はPMDAに登録しているほか、メーカーからも情報が入るので、新たに発見された副作用について把握しています。
しかし、一般用医薬品の場合、製品に同梱された説明書である『添付文書』を読まない人も多く、どんな副作用の可能性があるかを知らないまま使用している場合も多いはずです」

 市販薬の場合、添付文書の「相談すること」という項目に、すでに確認されている副作用の情報が記載される。
 痛み止めとして手放せないという人も多い『ロキソニンS』も、新たな副作用が報告されている薬の1つ。

ロキソニンSなどのロキソプロフェンを含む商品には2016年3月に『小腸・大腸の狭窄・閉塞(吐き気・嘔吐、腹痛、腹部膨満等があらわれる)』という項目が追加されました。
腸が詰まってしまうもので、放置すると死に至ることもあります。
添付文書を読むことの大切さを知ってほしい」(前出・堀さん)

 風邪薬として有名な『パブロンゴールドA』も2017年7月、「呼吸抑制」という新たな副作用が追加された。
息切れや息苦しさを感じるというもので、同じ成分を含む『新ルルA』『ベンザブロックL』『アネトンせき止め液』といった有名薬も同様に改訂情報が発表されている。

 1953年発売という長い歴史を持ち、ひび、あかぎれなどに使われる『オロナインH軟膏』も新たな副作用が見つかり、2017年10月に「ショック(アナフィラキシー)」という副作用が追加された。
体に発疹が出たり、口や手足のしびれ、呼吸困難などが現れ、死に至ることもあるというから注意が必要だ。
同様に、『プリザS軟膏』『シオノギD軟膏』にも同じ副作用が追加されている。
      ※女性セブン2018年9月13日号
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2018年09月02日

国連が「基地集中は沖縄差別」と日本政府に勧告

国連が「沖縄への基地集中は差別」と
日本政府に勧告!
沖縄の民意を無視し
野古移設強行する安倍政権に
国際社会もNO!
2018.09.01 LITERA編集部

 昨日8月31日、沖縄県が辺野古の埋め立て承認を撤回する通知書を沖縄防衛局に提出した。
今月8日に死去した翁長雄志知事が7月に承認撤回の手続きに入ったことを発表していたが、これは翁長氏の遺志であると同時に、前回知事選で県民が翁長氏に託した「辺野古新基地反対」という意思だ。

 政府は撤回の執行停止を申し立てる方針だといい、沖縄の民意を踏みにじる政治姿勢をあらためる様子はまったくない。
だが、こうした政府の姿勢に、国際社会が厳しい目を向けている。

8月30日、国連の人種差別撤廃委員会は日本の人権状況と政府の取り組みをまとめ、勧告を公表。
同委は米軍基地の問題を「沖縄への差別問題」「沖縄の人権問題」として取り上げたのだ。

 まず、今回の勧告では、同委や他の人権機関から琉球・沖縄の人びとを「先住民族」と認めて権利の保護するよう勧告を受けてきたにもかかわらず、政府がその勧告を受け入れていない状況への懸念を示した上で、こう続けている。
米軍基地の存在により、民間地域での米軍機の事故に関して琉球・沖縄の人びとが直面している課題のみならず、沖縄の女性に対する暴力の報告にも懸念している
当委員会は、女性を暴力から守ることを含め、琉球・沖縄の人びとに適切な安全と保護を確保し、加害者に対する適切な起訴と有罪判決が確実になされることを締約国が保証するよう勧告する〉(翻訳は編集部による)

 米軍機の事故や繰り返され続けている女性への暴力に対して、日本は適切に対応するように──。
ご存じの通り、沖縄では米軍機の墜落事故をはじめ、小学校や保育園への落下物事故が相次いでいる。
さらに2016年には米軍属の男による女性殺害・死体遺棄事件も起こった。
だが、こうした事故・事件が発生しても、安倍政権はまったくと言っていいほど対応策を取ってこなかった。
これを国連は問題視しているのだ。

 しかも、この勧告では、〈加害者に対する適切な起訴と有罪判決が確実になされることを締約国が保証する〉ことを求めている。
これは殺人などの凶悪事件やヘリ墜落などの大事故が起こっても日米地位協定に阻まれて捜査の主導権すらもてない状況を指摘するもので、つまりは不平等極まりない日米地位協定の見直しに向けた取り組みをおこなうよう、日本政府に要求していると言っていい。

 そもそも、同委では2010年にも沖縄への米軍基地の集中について「現代的な形の人種差別」と認定、「沖縄における不均衡な米軍基地の集中が住民の経済的、社会的、文化的権利の享受を妨げている」と指摘し、適切な対策を取るよう勧告していた。
だが、日本政府はこうした沖縄の状況に対する勧告に対してことごとく聞く耳をもたず、時に開き直って正当化してきた。  

実際、国連人権理事会の特別報告者であるデービッド・ケイ氏は昨年、辺野古の新基地建設反対運動をリードしてきた沖縄平和運動センター・山城博治議長が逮捕・長期拘留されたことについて「不均衡な重い罪を科している」「抗議行動を萎縮させる懸念がある」と指摘。
ケイ氏を含む3名の専門家らは日本政府に懸念を示した文書を送っていたが、日本政府の回答は「適切に対応した」「主張は完全に間違っている」というふてぶてしいものだった。

 そして、政府は沖縄を無下にするだけでなく、沖縄の状況を世界に発信した翁長知事にも刃を向けた。

翁長知事は国連で
「沖縄の人々の自己決定権や人権が
蔑ろにされている」と訴えていた
 翁長知事は2015年、国連人権理事会において英語でスピーチをおこない、基地問題は人権問題であると訴えた。
沖縄県内の米軍基地は、第二次世界大戦後、米軍に強制接収されて出来た基地です。
沖縄が自ら望んで土地を提供したものではありません。
沖縄は日本国土の〇.六%の面積しかありませんが、在日米軍専用施設の七三.八%が存在しています。
 戦後七〇年間、いまだ米軍基地から派生する事件・事故や環境問題が県民生活に大きな影響を与え続けています。
 このように沖縄の人々は自己決定権や人権をないがしろにされています。

 自国民の自由、平等、人権、民主主義、そういったものを守れない国が、どうして世界の国々とその価値観を共有できるでしょうか
「私は、あらゆる手段を使って新基地建設を止める覚悟です」(翁長雄志『戦う民意』KADOKAWAより引用)

「間違っているのは私たちなのかどうか、沖縄の置かれた状況を世界の人々がつぶさに見て判断してほしい」──そうした思いから翁長知事は演説をおこなったが、しかし、この行動に菅義偉官房長官は「強い違和感を持っている」などと噛みつき、こう言い放った。
「19年にわたって多くの沖縄県関係者の協力を得ながら適正な手続きで進めてきた。
そうしたことを踏まえない翁長知事の主張は国際社会で理解されないと思う」
 県民が選挙で「辺野古新基地建設反対」という明確な民意を示したのに、菅義官房長官は話し合いを求める翁長知事の面談を繰り返し拒否。
その上、安倍政権は基地反対運動を強権的に排除する姿勢を強め、挙げ句、「翁長知事の主張は国際社会で理解されない」と断じたのだ。

 しかし、今回の国連人種差別撤廃委の勧告が示すとおり、「国際社会で理解されない」のは、自国民を蔑ろにする安倍政権の姿勢のほうなのである。
 今回出された勧告に法的拘束力はないとはいえ、日本は人種差別撤廃条約の締結国であり、勧告を無視することは国際社会からの不信をさらに強めることになる。
これは日本に対する重大な警告だ。
 だが、それでも安倍政権は沖縄に「国に楯突くな」と言わんばかりに、基地の押し付けという苦痛を与えつづけていくことははっきりしている。
沖縄では9月30日に知事選の投開票がおこなわれるが、この選挙が沖縄の分水嶺となることは間違いない。
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2018年09月03日

安倍政治と無縁とは思えない 「老人は邪魔者」の社会風潮

安倍政治と無縁とは思えない
「老人は邪魔者」の社会風潮
2018年9月1日 日刊ゲンダイ

 長生きは悪なのか。
まだまだ残暑が厳しい中、身も凍える事件だ。
 岐阜市の「Y&M藤掛第一病院」でエアコンが故障した部屋に入院していた80代の男女5人が相次いで死亡。
岐阜県警は熱中症で死亡した疑いがあるとみて、殺人容疑で病院を家宅捜索した。

 エアコンが故障した8月20日以降、7夜連続の熱帯夜の中、病院は3〜4人部屋に家庭用扇風機1台を置いただけ。
市は立ち入り調査後、「劣悪な環境の中で亡くなったことを確認した」と明かしたが、院長の会見はどこか他人事のよう。  亡くなった患者の症状については、「重症やったね。COPD(慢性閉塞性肺疾患)の患者とかはアッという間に亡くなりますね」。
エアコンの故障と患者死亡の因果関係は、「いつ病状が急変してもおかしくない状況。
病院としては何か問題があったとは考えていない」と強調した。
 そして「COPDの人は、たばこを若い時にものすごくのんでいた。
だから、たばこはひどいね」と笑顔を浮かべ、患者を死に至らしめたのは、たばこが原因と問題をスリ替えるような発言まで飛び出した。

院長は終末期の高齢患者を多く扱っていたため患者の死には慣れっこなのか。
それにしても、命の重さを感じられない弁明だった。

■姥捨て感覚の介護放棄も増加の一途
「残念ながら、この先も今回のような事件が相次ぎそうです」と全国介護者支援協議会理事長の上原喜光氏はこう言う。
「小泉政権の頃から、政府は『構造改革』と称し、200床程度の病院の統合を後押し。
800床以上の大病院の開設を加速させた一方で、診療報酬は大幅に引き下げ。
おかげで200床未満の病院の経営は苦しくなり、今回の病院のように終末期の患者を受け入れ、しのいでいるのが実態です。
終末期医療は治すより、痛みなどの緩和が優先。
本来、病院は病気を治す場所ですが、死亡届を書くのが仕事のようなものです。
今回の病院がそうとは言いませんが、治療しない病院はあり得ないのに、それを百も承知の姥捨て感覚で、親を入院させる“介護放棄”も増えています。

特養老人ホームで今回と同じことが起これば、家族はもっと騒ぎ立てたはず。
人の命が軽んじられる悲しい世の中です」  

2年前に横浜市の大口病院で起きた連続中毒死事件で、入院患者3人への殺人容疑で送検された同病院の元看護師、久保木愛弓容疑者は、患者の点滴に消毒液を混ぜて殺害した動機をこう説明したという。
「自分の勤務中に亡くなると、家族に説明しなければならず不安だった」――これだけの理由で患者を次々と殺害したのなら、鳥肌が立つ。
「障害者は生きていてもしょうがない」との独善的理由で、相模原市の「津久井やまゆり園」で19人を刺殺した植松聖被告といい、かくも命を軽視する事件がここ数年、頻発しているのはなぜなのか。

歪んだ世相を助長する差別に満ちた政権
 相次ぐ人命軽視の陰惨な事件は、老人など社会的弱者は「死んでもいい」とばかりの社会風潮の蔓延の象徴ではないのか。そんな偏見と蔑み、差別と排除を助長しているのが、安倍政権と自民党の冷血な政治姿勢である。
 LGBTカップルは「子どもをつくらない」というだけで、「生産性がない」と断言。
彼らへの税金投入に異議を唱えた杉田水脈衆院議員をはじめ、まるで家畜や機械のように人の価値を「生産性」で測り、選別する。
 恐ろしいことに、優生思想の塊のような杉田のツイッター投稿を追うフォロワー数が12万人を突破。
LGBT騒動以降、5000人以上も増えたのも「生産性なき者は去れ」という差別思想が、社会の一定層に浸透していることを物語る。

それだけ安倍冷血内閣が旗振り役となって、おぞましい風潮が日本社会にはびこってしまったということだ。
実に罪深い。
 中央省庁の障害者雇用の水増しについても、安倍政権は寛容だ。
エコノミストの高橋乗宣氏は本紙コラムで、「法定雇用率をしっかり守ると、障害者にどう働いてもらうべきか、職場の扱いが難しくなる。
そんな雇用差別に結びつく意識が、中央省庁にはびこってはいなかったのか」と疑問を投げかけていた。

 水増しの根底に障害者への差別意識があるかもしれないのに、麻生財務相は「(ガイドラインの)解釈の仕方が違っていた」と問題を矮小化。
それだけ、差別と排除に鈍感な証拠だろう。
 大体、麻生ほど「老人は死ね」と言わんばかりの蔑視に満ちた政治家はいない。
2013年には高齢者の終末医療を「政府のお金でやってもらっていると思うと、ますます寝覚めが悪い。
さっさと死ねるようにしてもらわないと」と言い放ち、2年前にも「90になって老後が心配とか、訳の分からないことを言っている人がテレビに出ていたけど、いつまで生きているつもりだよ」と言ってのけた。

■人命より効率化重視の血の通わない予算
 こんな筋金入りの老人嫌いが、予算編成に強大な権限を持つ財務省トップに6年近くも君臨しているのだ。
 なるほど、この政権は社会保障費に大ナタを振るい、弱者を切り捨てても平然としていられるわけである。
 安倍政権は高齢化などに伴う「自然増」の削減を続け、この6年間で計1・6兆円もカット。
今年度予算も概算要求の時点で6300億円だった自然増を5000億円まで圧縮した上、来年度からは自然増分をさらに深掘りする方針だ。
「介護予算も抑制され、当初のサービスが10だとすると、今は6しか受けられません。
社会保障費不足は、安倍首相が選挙の票欲しさに消費増税を2度も先送りしたことが原因です。
『適正化』『効率化』の名で予算削減を迫り、人気取り策のツケを介護や医療の現場に押し付けるのは無責任すぎます。
そもそも介護の現場に『適正化』『効率化』はあり得ません。
介護を望む方々の家族構成や家庭環境、世帯収入はおのおの異なり、『適正化』というひとつの枠には収め切れません。
無理に収めようとするから、人命軽視のサービス悪化を招いているのです」(上原喜光氏=前出)

 生産性と効率化に毒された血の通わない政権は、経済弱者に最低限の暮らしを保障する生活保護費も当然のようにカット。日常生活費に充てる生活扶助を今年10月から3年かけて210億円削減する方針だ。
すべて実施されれば、この政権下での生活保護削減は総額1480億円に上る。
 これだけ弱者をいじめ抜き、「子どもの貧困」さえ生み出しているのに、安倍は総裁選に向けた講演で「生まれた家庭の事情によって、子どもたちの未来が左右されるようなことはあってはなりません」と奇麗事をヌカす。
いつだってそうだ。
人の価値を「生産性」で選別する狂った発想で、生産性なき者を社会の敵と見なす本音を「1億総活躍」「すべての女性が輝く社会づくり」など美辞麗句で覆い隠してきた。

政治評論家の森田実氏はこう言った。
「私は86年生きてきましたが、今ほど人の命と価値や、人格が大事にされない世の中はありません。
儲け第一の新自由主義に根ざした『今だけ、カネだけ、自分だけ』という刹那の発想が政財界を支配し、『生産性』や『効率化』を声高に叫び、社会の隅々まで競争が強いられ、格差は広がっている。
こぼれ落ちた人々が、さらに弱い者を叩くすさんだ世相です。
歪んだ風潮を止める努力こそが本来の政治の務めなのに、安倍政権は率先して助長している。
国の指導者たちの道義が廃れれば、この世は闇ですよ

 弱者いじめの風潮を蔓延させた政権と政党が今なお幅を利かし、この先も歪んだ世相が続くのかと思うと、ますます、おぞましくなってくる。
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2018年09月04日

なぜ消費増税が悪なのか。10%への増税、来年10月から地獄が始まる

― 連載「倉山満の言論ストロングスタイル」―
なぜ消費増税が悪なのか。
10%への増税、
来年10月から地獄が始まる
日刊SPA! 2018/09/03(倉山満)

◆なぜ、消費増税が悪なのか。
日本経済のみならず、
日本を破壊するからである
 凄惨な光景だった。
’13年10月1日、安倍晋三首相は消費増税8%を発表した。
 時の財務事務次官木下康司の号令一下、政官財界のみならず労働界やマスコミまでが、安倍首相に8%増税を迫った。
その圧力に安倍首相は、屈した。
 デフレ脱却前の消費増税など、自らの生命線であるアベノミクスを腰折れさせるに決まっている。

 実際に施行された’14年4月1日以降、日本経済は落ち込み、10月に日銀が追加緩和を行って事なきを得たが、いまだに後遺症に苦しめられている。
 そしてまた来年’19年10月1日、再び悪夢が近づいている。
今度は10%への増税だ。
これまでは緩やかながら景気回復を続けてきたが、それも来年9月で終わり、10月からは地獄が始まるのだ。
既に財務省の準備は終わり、軽減税率の書類を目にする向きも多いだろう。

 なぜ、消費増税が悪なのか。
日本経済を破壊するのみならず、日本を破壊するからである。
 デフレに対する、金融緩和を中核とするアベノミクスの効果は、本連載でも再三再四説いてきた。

デフレとは、通貨が希少品である状態だ。
つまり、日本人が汗水流して働いた結晶である商品は溢れているのに、しょせんは紙切れにすぎない通貨が足りない状態だ。ならば、お札を刷ればいい。これが金融緩和だ。

 さらにもう一つ。アベノミクスでは、インフレターゲット(インタゲ)を導入し、経済成長率を2%まで引き上げるとの目標を掲げた。
失われた20年と呼ばれたデフレ状態では、成長率は1〜-1%に見事に収まっていた。
それを、健全な成長率にまで引き上げるとの目標を掲げる、これがインタゲである。
 インタゲの意味は、「景気が回復するまでお札を刷り続ける」とのメッセージを市場に送ることにある。
仮に日銀がお札を刷っても、一時的ならば消費者はお金を使わないで貯金する。
市場にお金は出回らないし、景気は回復しない。

しかし、インタゲにより具体的数字を挙げ、「2%の経済成長率を達成し、景気が回復するまでお札を刷り続ける」とのメッセージを送ると、消費者は安心してお金を使える。
だから経済が回る。
今の安倍内閣も、これをやって最初の半年は見事に景気を回復軌道に乗せた。
しかも、爆上げだった。

◆当たり前の話で、
わざわざ税金が高いときに
買い物するバカはいない
 ところが、安倍内閣も6年になろうとするのに、緩やかな景気回復で2%の目標が達成するめどが立っていない。
’13年10月1日の消費増税8%の悪影響だ。
今のところ1回の増税に対し2回の金融緩和を行ったので、何とか増税の悪影響を抑えている。
しかし8%増税は、当初の爆上げしたアベノミクスを破壊し尽くさんばかりの威力だったのだ。
 消費増税は、アベノミクスの中核であるインタゲの効果を破壊する。
当たり前の話で、わざわざ税金が高いときに買い物するバカはいない。
増税実施直前に駆け込み需要は起きるが、その後の反動で景気は落ち込む。
また、金融緩和で市場に流したお金も、増税で回収して回る結果となる。
だから、金融緩和がアクセルと呼ばれるのに対し、増税はブレーキなのだ。
しかも、消費全体に対するブレーキだ。

 8%増税当時、財務省は「一時的に落ち込むがすぐに回復する」などと説明し、安倍首相は愚かにも信じた。
むしろ、信じ込んだと言うべきか。
日本中から増税を迫られて、戦う勇気がなかったからか。
 今回、既に安倍首相は去年の総選挙で「増税の延期はしない」と公約し、今年に入って閣議決定もした。
破滅は近づいている。
 良識ある日本国民は、この危機を認識しつつ、誰が敵かを見極めるべきだ。

敵は大別して3つある。
 第一は、言うまでもなく増税派だ。
財務省内の原理主義的な増税派、何も考えていないが財務省が怖くて賛成している者、あるいは安倍首相その人まで様々だが、いずれにしても日本人の敵であることは間違いない。
 私はこれまで安倍内閣に消極的支持を続けてきたが、本当に増税をやるなら積極的不支持に回る。
今の安倍内閣の唯一の価値は、緩やかでも景気を回復させていることのみだからだ。
それを捨てるなら、「他よりマシ」という理屈は成り立たない。

 第二は、それでも「安倍首相を信じよ」と吹聴する連中だ。
確かにこの連中の主張には一理ある。
安倍首相は行き当たりばったりの“ちゃらんぽらん”な性格だからだ。自分で決めたレールしか走れないが、いざ決断するとなれば急に怖くなるし、痛い目に遭えば引き返す。
これは政治家として、決して悪いことではない。
その意味で、今からでも考え直すなら構わない。

 だが、「安倍首相を信じよ」と吹聴する連中が自分の言論に責任を負うことは絶対にない。
嘘だと思うなら、安倍御用を自任して恥じない保守系雑誌をめくってみよ。
雑誌と呼ぶのもおこがましい紙の束だ。
2、3人の良識的な例外を除けば、自分の言論を翻すことが仕事のような輩がズラリと並んでいる。
2年前や2か月前に言ったことと逆のことを言うのはまだ可愛げがある。
2日前と逆を言うのは日常茶飯事、中には2分前と逆を言って恥じない輩もいる。
そういう連中に「安倍首相を信じよ」と言われても断るし、「安倍首相を無条件で応援するのが保守だ」と言うなら、私は保守でなくて結構。

 第三は、口では増税反対を唱えながら、条件闘争を企んでいる連中である。
条件は決まっていて、軽減税率と財政出動である。
軽減税率は「自分には税金を負けてくれ」、財政出動は「予算をつけてくれ」である。
業界ごとの軽減税率の陳情はすさまじい。
また、財務省から予算をつけてもらって“転んだ”連中がどれほどいるか。
 今も増税反対を唱えながら財政出動を求める政治家はいる。
では、その人たちが財務省に「予算をつけてやる」と言われた場合でも、本気で増税に抵抗したら認めよう。

 だいたい、金融緩和抜きの財政出動などすべて失敗している。
小渕内閣の空前の財政出動、リーマンショックの麻生内閣、そして8%増税時の安倍内閣である。
なぜ財政に拘るのか。
そうした人たちに限って、金融緩和の徹底は言わない。

ところで、10月1日は中華人民共和国の建国記念日だと御存知か。
海の向こうから高笑いが聞こえてきそうである。

倉山 満】 憲政史研究家 
’73年、香川県生まれ。
’96年中央大学文学部史学科を卒業後、同大学院博士前期課程を修了。
在学中より国士舘大学日本政教研究所非常勤職員として、’15年まで同大学で日本国憲法を教える。
’12年、希望日本研究所所長を務める。
同年、コンテンツ配信サービス「倉山塾」を開講、翌年には「チャンネルくらら」を開局し、大日本帝国憲法や日本近現代史、政治外交について積極的に言論活動を展開。
ベストセラーになった『嘘だらけシリーズ』など著書多数
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2018年09月05日

綾瀬コンクリ事件を振り返る

殺人未遂容疑で逮捕の
”綾瀬コンクリ殺人事件”元少年
「いま思えば
間だとか思ってなかった」
2018.09.03 月 日刊サイゾー

 昭和と平成が入れ替わる1988年末〜1989年、足立区で起こった「女子高生コンクリート詰め殺人事件」は、日本中を震撼させる事件だった。
犯行グループとなった当時15〜18歳の少年4人は帰宅途中の女子高生を拉致し、41日間にわたって監禁した後に殺害。
その遺体は、ドラム缶に入れられてコンクリートを流し込まれ、東京湾埋め立て地に遺棄された。
“史上最悪の未成年犯罪”などといわれながらも、未成年ゆえに少年たちの実名が報道されることはほとんどなく、また主犯でも懲役20年という刑の軽さに、少年法のあり方に大きな議論を巻き起こすことになった。

 あれから約30年を経た今、再びこの事件に注目が集まっている。
犯行グループの1人であった少年Cが、殺人未遂容疑で逮捕されたのだ(参照記事)。
8月19日、川口市内のアパート前の駐車場で、Cは別のスペースにいた男性に因縁をつけ、持っていた警棒で肩を殴った上、首をナイフで刺したという。
 実はこれまでにも、元少年4人中2人が再犯で捕まっている。

 くしくも“平成最後の夏”に再注目されることになったこの陰惨な事件は、なぜ起こったのか?
 事件から2年後、90年に刊行された、ジャーナリスト・横川和夫氏による『かげろうの家』(駒草出版)を基に、事件を振り返ってみよう。
 主犯格である少年Aの家族は、証券マンの父とピアノ教師を営む母。
しかし、父親は子育てに関心を示さず、母親はAからの家庭内暴力におびえていた。
また、Cの父はアルコール依存、B、Dは、母子家庭に育っている。
そんな4人の成育に共通しているのが「暴力」の存在だった。

Aは高校時代、所属していた柔道部で先輩からのリンチまがいの暴力や顧問からの体罰を受けて退部。
Cが通っていたのは「足立区の学習院」と呼ばれる名門中学だったが、そこでも教師による体罰が横行していた。
Dも小学校時代からクラスメートにひどいいじめを受け、中学時代には教師から体罰を受けた。
そして、全員が、それぞれが自らの受けた暴力によりため込んだ負のエネルギーの矛先を両親あるいは母親へと向けて、「家庭内暴力」として爆発させた。

 Cが高校を退学すると、家庭内暴力によって両親も踏み込むことのできない「聖域」と化していた彼の部屋は、不良たちのたまり場となっていった。
その部屋に集うA、Bらと共に、複数の強姦やひったくりなどの犯行を重ねていく。
そして、後に殺害される女子高生を拉致する日、3人のグループにDが加わって犯行が行われた。
「もし逃げたら、お前の家に火をつける。
家族を殺すからな」と脅された被害者は、殴る蹴るといった暴力だけでなく、輪姦、さらにはライターのオイルを足首にかけて火をつけられるなど残虐な仕打ちを受けながらも、逃げることができなかったのだ。
また、Cの両親は被害者の存在に気づきながらも、少年たちの暴力を恐れて何も手を打たなかった。

「だんだん女子高生を女の人と見なくなって、ぼくらと同じ(仲間の)ように感じていたと思います。
殴って反応を示さなかったことも、女に見えなかったことに入ります」(B/以下、原文ママ)
 そして監禁から41日目となる1月4日、麻雀で負けたAは、その腹いせを解消するために、彼女に暴行を加える。ろうそくが顔に垂らされ、鉄アレイが腹に落とされた。さらに、B、C、Dがそれに加わる。当時を振り返った、Cの供述から見える無自覚さは空恐ろしい……。
「そういうように殴ったりするのがおもしろいというか。
いま思えば人間だとか思ってなかったですけど」

 そんな「おもしろ半分」の暴行の末に、被害者は殺されたのだ。
 遺体は、ドラム缶に入れられ、コンクリートを流し込まれた。
近くの川に捨てようとしたが、Bが「化けて出るかもしれない」と怖がり、東京湾埋め立て地の草むらに捨てられた。
 Aは、裁判所に提出した上申書で、このように書いている。 「ぼくは、いま、女子高生にほんとうにすまないことをしたと思っています(中略)生命というのは、言葉では説明がつかないくらい、尊いものなのです。
ぼくは、いま、それを知って、ほんとうにすまないと思っています」

 だが、残念なことに、そんな反省は長続きしなかったようだ。
裁判の結果、 Aが懲役20年、Bが懲役5年以上10年以下、Cが懲役5年以上9年以下、Dが懲役5年以上7年以下で量刑が確定したが、前述のCによる殺人未遂事件のみならず、Bは99年に出所後、暴力団の構成員になり、04年にまたしても監禁事件を引き起こしている。
また09年に刑務所を出所したAは、13年に振り込め詐欺の容疑で逮捕された。

「更生」を前提にした少年法に守られた少年たちだったが、出所後の彼らの人生は、その期待を裏切るものだったと言わざるを得ない。
 英国などでは凶悪少年犯罪の匿名性解除の動きが進んでいるというが、日本でも今回の事件をきっかけに、いま一度、少年法のあり方が見直されるべきだろう。
    (文=萩原雄太[かもめマシーン])
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2018年09月06日

43年ぶり低水準 安倍政権発足来「労働分配率」下がる一方

43年ぶり低水準
安倍政権発足来
「労働分配率」下がる一方
2018年9月5日 日刊ゲンダイ

財務省が3日に発表した2017年度の法人企業統計。
企業が蓄えた内部留保が6年連続過去最高を更新する一方、企業の稼ぎのうち、人件費に回した割合を示す「労働分配率」は66.2%で43年ぶりの低水準となった。
9カ月が民主党政権だった12年度の72.3%をピークに、安倍政権が発足してから右肩下がりで降下している。

 内部留保に当たる利益剰余金は金融・保険業を除く全産業で前年度比9.9ポイント増の446兆4844億円だった。
また、東京商工リサーチの2018年3月期の「役員報酬1億円以上開示企業」調査によると、1億円以上の報酬を受け取った役員は240社、538人で過去最高。
儲けは、空前の水準で企業の貯蓄と役員の懐に回っている。

 安倍首相は、そのうち儲けが従業員にしたたり落ちる(トリクルダウン)と繰り返し、民間企業に賃上げ要請(官製春闘)するなど“やってる感”を演出してきた。
ところが、労働分配率は12年12月の安倍政権発足以降、この6年間ずっと下がり続けているのだ。
誰が見ても、アベノミクスは完全ノックアウトだ。

経済評論家の斎藤満氏が言う。
「政府が企業に賃上げ要請することは、やるべきじゃないし、効果もまったくありません。
民間企業は好景気でも防衛的になり、人件費は抑制しがちです。
政治がやるべきは所得の再分配なのに、安倍政権は法人減税で企業に恩恵を与える一方、国民には社会保障の負担増や給付カットを強いている。
意味のないことをやり、やるべきことをしないのがアベノミクスなのです

 麻生財務相は4日の会見で「労働分配率も下がっている」と今ごろ気づいたような言いぶりだが、労働分配率の低下は今に始まったことではなく、5年前から起きている。
なのに世論はおとなしい。
「トリクルダウンなど安倍首相の“口車”に乗せられ、労働分配率の低下をメディアはちゃんと取り上げてこなかった。
今回、ようやく大きめに報じられたという印象です。
アベノミクスの失敗を示す客観的な数字がこのタイミングで出てきたわけです。
総裁選で石破さんは攻撃材料にすべきです」(斎藤満氏)

 石破氏が労働分配率について突っ込まなければ、腰抜けだ。
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2018年09月07日

北海道地震でも安倍はネトウヨ番組『虎ノ門ニュース』に

北海道地震が起きても
安倍首相はネトウヨ番組
『虎ノ門ニュース』出演強行!
有本香、百田尚樹と和気藹々の映像が
2018.09.06 LITERA編集部

 暴風被害をもたらした台風21号が過ぎ去った北海道を、本日未明、震度6強の大きな揺れが襲った。
気象庁によれば震度7を観測した地域もある可能性があるといい、震源に近い厚真町では大規模な土砂崩れが発生、被害の全容はまだ明らかになっていないがすでに死者や多くの安否不明者が報告されている。
また、現在も北海道全戸で停電が続いているなど、予断を許さない状況がつづいている。

 だが、そんな緊迫した状況のなかで、なんと、本日の朝8時、安倍首相があのネトウヨ向け番組『真相深入り!虎ノ門ニュース』に登場したのだ。
 しかもその内容は、司会の居島一平が「ついにこの瞬間が来ましたよ〜!」と大はしゃぎし、木曜レギュラーの有本香とともに、安倍首相が自ら番組タイトルを笑顔でコールするという脳天気なムードでスタート。
同番組を観たことがあるかと問われると、安倍首相は「密かにありますね」と明かすなどご機嫌な様子で、有本が外交やアベノミクスを褒めあげると、安倍首相もトランプ大統領やプーチン大統領との仲良し自慢を展開。

 さらに、このインタビュー収録には火曜レギュラーの百田尚樹も「スタッフ」として参加しており、安倍首相も百田の姿を見つけると顔をほころばせながら手を挙げて挨拶するなど、“安倍応援団”に囲まれて終始ご満悦。
最後には再び番組に出演することを約束したほどだった。
 言っておくが、これは収録済みのVTR出演だったとはいえ、災害が発生してわずか5時間後のこと。
総理大臣としてあまりに無神経すぎると言わざるを得ないだろう。

 そもそも『虎ノ門ニュース』とは、沖縄ヘイトを垂れ流して放送倫理・番組向上機構(BPO)から「重大な放送倫理違反があった」「人種差別を扇動」と認定された『ニュース女子』を制作するDHCテレビによるネット番組。
安倍首相はこのDHCテレビのインタビューを3日の午後4時11分から57分まで公邸で受けており、実際、安倍首相の公式Twitterでも昨日から番組告知が流され、本日8時に放送されることを宣伝してきた。

 その上、放送を控えた本日午前3時8分、北海道でこれだけの大地震が発生した。
こんな状況下でインタビューが放送されれば、いくら事前収録とはいえ、被災した国民をあまりに軽んじるもの。
そのため、さすがに安倍首相のインタビューの放送は延期か中止されるものと思われた。
実際、2016年に安倍首相が『ワイドナショー』(フジテレビ)の収録に参加したあとの4月14日に熊本地震が発生した際は、17日に放送予定だった安倍首相出演回の放送は延期された。
このときの放送延期は官邸からの申し入れによるものだったという。
 つまり、きょうも放送の延期を申し入れることはできたはずなのに、それをせず、安倍首相は国民の神経をわざわざ逆撫でするような放送を許したのだ。

 それはなぜか。その答えは、有本が生放送のスタジオトークで明かしていた。

安倍がVTR放映を強行したのは
「総裁選告示前の最後のチャンスだから」
 今回の安倍首相の出演は、百田や萩生田光一・自民党幹事長代行なども調整に当たったといい、当初はスタジオで生出演する方向で打診。
安倍首相側も「生放送でやっているのが醍醐味の番組なのだから、生で行くのがいいですよね」と乗り気だったらしい。
多くの国民が視聴する地上波ではない、ネットのネトウヨ番組にどこまで力を入れているのかと呆れるが、ただ、放送時間帯は閣議などもあり忙しいため収録となったというのだという。

さらに、そこからも一悶着があった。
「じつは収録も今週の後半にやる予定だったんですけれども、総裁選が明日、告示なんですね。
ですから、告示より前に、えー、やると。
なぜならば、一応、自民党の総裁選というのは、じつは公職選挙法の範囲ではないわけですけれども、しかし、それに準ずるかたちでやるという方針です。

ですから単独インタビューというものは、その前に、それぞれ自由にやろうという期間にやったほうがいいだろうということでですね、じつは急遽、収録の日にちも早まって、我々もだいぶ泡食ったということがあるんです」
 本サイトでもお伝えしたようにhttp://lite-ra.com/2018/08/post-4215.html、自民党は8月28日に新聞・通信各社に対し、総裁選での「公平・公正な報道」を求める文書を配布。
候補者のテレビ出演や新聞へのインタビュー記事は同等に扱えというもので、安倍首相は対抗馬である石破茂・元幹事長との直接対決から逃げる一方で、石破氏単独のメディア露出を潰すため、新聞・テレビに圧力をかけたのだ。

 だが、そうやって公選法と同じルールをメディアに課した以上、今回の『虎ノ門ニュース』出演も告示後の放送とするわけにはいかなくなる。
そのために、安倍首相はきょうの放送をやめるよう申し入れなかったのだ。
 ようするに、北海道で発生した大地震で被災し不安の只中にある国民がどう思うかという感情や、総理大臣としての態度よりも、総裁選を控えてネトウヨにアピールするためのネット番組のインタビュー放送のほうを安倍首相は選んだのである。  

有本は生放送のスタジオトークのなかで「こういうことになりましたんで、今朝、こういう番組を流していると、また『安倍総理はけしからん! こんなときに!』という勘違いをされてはいけないと思いますので」と言い、3日に収録済みのものだと強調したが、この最中に放送を許している、その安倍首相の姿勢は批判を受けて当然の話だ。

 そして、西日本豪雨での「赤坂自民亭」問題や、昨日の台風21号の被災地を無視して、首相としての公務ではなく総裁選の票固めという私的用件のために新潟に出かけた件を含め、安倍首相がいかに被災者を棄民扱いしているかということが、これでハッキリしたと言えるだろう。
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2018年09月08日

北海道地震の停電でホリエモンら「泊原発再稼働させろ」

北海道地震の大停電に
かこつけホリエモンらが
「泊原発を再稼働させろ」の大合唱!
でも泊原発下には活断層の指摘も
2018.09.07 LITERA編集部

 6日午前3時8分ごろ、北海道胆振地方中東部を震源とし、厚真町で最大震度7を観測する地震が発生した。
地震の影響で北海道全域の約295万戸が停電。
北海道電力や政府によれば、停電は震源に近い苫東厚真火力発電所の緊急停止により、道全域の「電力需給バランス」が崩れたためだという。
簡単にいえば、苫東厚真発電所の停止によって、各発電システムにおいて一定に保たねばならない電気の周波数が乱れたことで、故障を防止するために道内の火力発電所が自動停止したのだ。

 北海道における最大震度7の地震、全域に渡る大停電は異例の事態であり、政府には被災者の救助や支援、インフラの復旧に最大の努力をしてもらいたいが、そんななか、Twitterでは「原発が再稼働していれば停電は防げた」なる主張がでてきている。
大停電にかこつけて、2012年から1〜3号の全機が停止中の泊原発の再稼働を進めようとする動きが相次いでいるのだ。

 実際、原発再稼働派の評論家・池田信夫氏は〈大停電の再発を防ぐには、泊原発の再稼動が不可欠だ〉と主張し、ホリエモンこと堀江貴文氏も〈これはひどい。。そして停電がやばい。泊原発再稼働させんと。。。〉〈原発再稼働してなかったのは痛い〉などと連投。
ほかにも、Twitter上ではこんなツイートが続々と飛びだしている。
〈安全地帯にあった泊原発が動いていれば全停電なんて起きなかった〉
〈泊原発が動いていれば、北海道全域が停電することはなかったのに。原発再稼働反対を叫んでいたお花畑左翼達のせいで、北海道は孤島になってしまった〉
〈北海道の停電は原発再稼働反対派による人災と言ってもいいのでは?〉

 ネットだけではない。全国紙も同じような論調だ。
たとえば日本経済新聞が昨日出した「北海道地震、なぜ全域停電 復旧少なくとも1週間」という記事では、〈道内の泊原子力発電所(泊村)も運転を停止中で供給力に余裕はない。
今回の大規模停電は、一カ所の大規模火力発電所に依存することの脆弱さが浮き彫りになった形だ〉と締められている。
停電を引き起こした北電の脆弱性はそのとおりだが、わざわざ泊原発の運転停止にかこつける意図は見え見えだろう。

 他紙でもこの日経記事によく似た記事が見られる。
おそらく、北電・政府側のブリーフィングをもとに書いたのではないか。
原発再稼働に躍起となっている安倍政権と原子力ムラが、この大停電を利用して、今後、泊原発再稼働に向けたキャンペーンを次々にぶってくることは容易に想像がつく。
 しかし、冷静に考えてみてほしい。
話はむしろ逆だろう。
「泊原発が稼働していたらよかった」というのは、明らかに倒錯している。
 地震による停電で泊原発は外部電源を喪失したが、非常用電源による冷却が使用済みの核燃料だけで済んだのは、言うまでもなく、運転停止中の原子炉内に核燃料がなかったためだ。
その意味では、いまのところ泊原発で事故が確認されていないのは“不幸中の幸い”と言うべきだろう。
 いや、それ以前に、泊原発が「安全地帯にある」という前提のほうこそ「お花畑」と断じるしかない。

そもそも、今回の地震ではたまたま泊原発付近は震度2で済んだが、事実として、大規模地震が原発を直撃しない保証はどこにもないのだ。

泊原発再稼働に
原子力規制委員長は否定的だったが…
 実際、科学者も泊原発の下に地震を起こす可能性がある活断層の存在を指摘している。
今年4月には、道内の科学者らでつくる「行動する市民科学者の会・北海道」が、泊原発1号機直下の断層は動いていないと証明できるのは約1万〜3万年前までであって、これは活断層に当たるとする見解を発表した(4月19日付毎日新聞北海道版)。

原子力規制委員会による新規制基準では、12万〜13万年前よりも新しい時代に活動したことを否定できない断層を活断層と定義している。
 一方、北電はこれまで「敷地内の断層の活動時期は120万年前であり、活断層ではない」などと主張。
規制委は断層の活動時期を推定する調査方法に疑義を呈し、北電に再調査を求めるなどしてきた。

 原子力規制委の更田豊志委員長は今年5月、泊原発を就任後初めて視察した際、年内の新規制基準合格の可能性について「あまりに楽観的だと思う」と記者団に語って否定したが、その後、地層の年代に関する規制委側の指摘を北電が受け入れるかたちで修正するなど、両者が歩み寄って再稼働に傾き始めている。
 北海道新聞による世論調査では、泊原発をどうすべきかについて「3基とも再稼働せず、速やかに原発ゼロにする」が29%で最多だった。
にもかかわらず、北電は活断層の危険性をうやむやにしたまま、押し切ろうとしているのだ。

 もっとも、大停電については徹底的に検証をして再発を防止せねばならないが、一足飛びに泊原発再稼働へ結びつける言説は極めて乱暴であり、それこそ人々の生命と生活を軽視しているとしか言いようがない。
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2018年09月09日

「知識偏重」「暗記」教育に対する大いなる誤解

「知識偏重」「暗記」教育に対する
     大いなる誤解
「生きた知識」と
「死んだ知識」の違いとは?
2018/08/31 東洋経済

今井 むつみ
: 慶應義塾大学環境情報学部教授

近年、従来の教育が「知識偏重」と批判される傾向がある。
果たして、教育にとって知識とはどういう意味を持つのか。
認知科学の視座から学びのメカニズムを研究する慶應義塾大学・今井むつみ教授が解説する。

「アクティブラーニング」あるいは「主体的な学び」ということばが、今の教育界のキーワードのようである。
しかし、「主体的な学び」が何を意味し、何を実践すればそれが実現できるのかについては、深い議論があまりされていないし、教育現場でも、理解しようともがいているのが現状のように思われる。
共同、協調して行う学習形式のこと、あるいは積極的に発言をすることが「主体的な学び」と受け取っている様子も散見される。

本来、「主体的な学び」とはどういう学びなのだろうか。
「主体的な学び」というからには、「主体的でない学び」があるということが前提となっている。
では「主体的でない学び」とは何なのだろう。

学ぶとは、知識を得ること
「主体的な学び」を標榜する人たちが、従来の学びを「知識偏重」と批判するのをよく耳にする。
「知識はもういらない」という過激な言葉を聞いたときには驚愕した。

認知科学の観点からすると、「学習」は「知識」と切り離して考えられないからである。
従来型の学びを「知識偏重」と批判する裏には、知識というのは、1つずつカードに書いてあるような知識(の断片)があって、それを個別に覚えていく、というような知識モデルがある。
さらにその背後には、知識というものは出来上がった、固定化されたものであって、そこに新たな断片が張り付いていって、知識のボディを大きくしていくというイメージがある。

「死んだ知識」と「生きた知識」
認知科学の研究成果から得られた知識像はこれとは随分違うものだ。
知識は知識から生まれる。
認知科学では、一言でいえば、学ぶとは知識を得ることである。
しかし、それはバラバラに存在する断片ではない。
認知科学では、そのような断片の知識は「死んだ知識」と呼ぶ。
それは、覚えていても、それをいつ、どのように使ったら良いのかわからないので、それを使って何もできない状態にある知識である。

「死んだ知識」の対極が「生きた知識」である。ことばの知識を例にして考えてみよう。
たとえば、英語の単語を1つの日本語の単語に置き換えて5000語覚えても、英語を話すことはできない。
しかし、500語程度しか知っている単語がなくても、英語を母語とする子どもは、それを使って自分の言いたいことを表現できる。
前者は死んだ知識の良い例、後者は生きた知識の良い例である。

なぜ母語の習得は
「生きた知識」の習得なのか
子どもは語彙が少ないうちから母語を果敢に使い、コミュニケーションを取っていく。
多くの人は子どもが大人から教えられてことばを覚えると思っている。
しかし、それは間違いである。
ことばの意味を知るということは、このことばがいつでも使えるということである。
子どもに、どのように「赤」の意味を教えられるか、考えてみてほしい。
消防車やトマトを指して「あか」と言うことがせいぜいだ。
しかし、消防車とトマトの色が「あか」と覚えてもそれで「赤」の意味が理解できたことにならない。

「赤」ということばを使えるということは、一般的に「赤色」に結び付けられる消防車、リンゴ、トマトなどだけでなく、大人が「赤」と呼ぶ色すべてを「あか」と認識し、「あか」と呼ばない色は「赤とは違う」と認識できることである。
そのためには、「赤」と似ているが、違う色――オレンジやピンクということばを知っていて、それらとの違いがわかる必要がある。
子どもは、さまざまなモノを見て、その色の名前を聞く。
しかし、赤とオレンジとピンクがどのような関係にあって、それぞれの境界がどこで引かれるのかは自分で探すしかない。
実際、子どもは何千、何万ものことばの意味を自分で推測することで覚えているのである。

ヤギとヒツジが区別できる理由
子どもは教えられずにいったいどうして何万もの単語を覚えられるのだろうか。
ひるがえって、大人が英語(あるいは他の外国語)の単語を学ぶとき、さまざまな媒体でその意味を教えられるのに、その単語を使って英語を話したり書いたりすることができないのはなぜだろうか。
その秘密は、子どもがことばを学ぶときには、決して一つひとつのことばをバラバラに覚えて、そのままにしておくのではない、という点にある。

子どもはつねに、新しいことばをすでに知っていることばとの関係で理解する。
また、子どもが新しいことばを覚えるときに、そのことばの意味を覚えることにとどまらず、2つのことが起こっている。

第一に、すでに知っていることばの意味が修正される。
たとえば、羊のことを「ヤギ」と呼んでいたのが、1匹の羊に対して「ヒツジ」という言葉で呼ばれることを知ると、広く取り過ぎていた「ヤギ」の範囲を自分で狭め、「ヤギ」と「ヒツジ」を区別するようになる。

学び方を学ぶ
もう1つはもっと重要だ。
子どもはそれぞれの単語の意味を推測し、覚えると同時に、語彙全体の仕組みについて探索する。
一つひとつの単語のレベルではなく、それよりも大きなくくりで語彙を分析し、その中の規則性をとらえてそれを新しい単語の推測に使ったり、新しい単語を自分で創り出したりするのである。
たとえば、ある子どもは、おばあさんが客に「ソチャ(粗茶)ですが」と言いながらお茶を差し出すのを聞くと、「ソ」はお客さんに言うときの枕として付けるのだと考え、自分の猫を見せて「ソネコです」と言った。
このような語彙に潜む汎用的な仕組みを発見すると、新しいことばを覚えるスピードがどんどん加速していくのである。
これを認知科学では「学び方を学んだ」という。
言い換えれば、子どもは機械的に語彙中の単語の数を増やそうとだけしているのではない。
個々のことばを超えた語彙というシステムの構造を発見すべく探究し、同時に、すでに持っている知識を修正、再編成している。
この過程があるから、母語の知識は「生きた知識」なのであり、すでに持っている知識が新たな知識を創り出すという「創造のループ」が生まれるのである。
このような、生きた知識を創造する過程こそが「アクティブラーニング」の本質である。

「アクティブラーニング」を標榜するなら、知識を事実の断片の集まりととらえ、「知識偏重」と言って知識を非難する前に、まず知識とは何かを考え、知識の本当の姿を理解してほしい。
「知識偏重」とともにやり玉に挙げられるのが「暗記」である。

「暗記」がすべて悪いわけでない
確かに、英単語をひたすら日本語の単語に置き換えてそれを覚えようとする暗記は死んだ知識しか生まない。
覚えた断片が、英語を使うために必要な文法の知識にも、英語固有の語彙の構造の発見にもつながらないので、英語という言語のシステムを創造することがまったくできないからである。
しかし、すべての「暗記」が死んだ知識しか産まないのだろうか。

プロ将棋棋士の島朗九段が著書『島研ノート 心の鍛え方』で、あるプロ棋士が弟子に課した暗記の仕方を次のように述べている。
指定図書の中からまず一冊、一局ずつ勝った側から並べ、次に負けた側から並べる。
そして暗記して棋譜に書き出し、何も見ずに並べて一局が終了する。
都合四回ほど同じ将棋を言葉のほんとうの意味の通り、精密に調べる方法だ……(143ページより)

自分の知識を総動員して駒の並びの一つひとつの意味を深く考え、吟味する。
その結果、棋譜は考えた内容――つまり、そのときに創造された知識――と一体となって記憶に深く刻まれる。
要するに、暗記されてしまう。
このように得られた記憶は「生きた知識」となって、必要なときに無意識に思い出される。

達人たちは常に試行錯誤している
学び、覚えたことが「生きた知識」になるか「死んだ知識」に終わってしまうかは、協同学習や対話学習などの学びの形式で決まるわけではない。
認知科学の重要な研究分野の1つに「熟達研究」がある。
研究者たちは、学習者があることを熟達していく過程における心と脳の変化の過程を詳細に明らかにするとともに、さまざまな分野の超一流の達人がどのようなマインドを持ち、学びの工夫をしているのかを探究している。
数多くの研究からわかったこと。
それは、達人たちは、必ず、自分で独自の「学び方の学び」を工夫していて、そのために常に試行錯誤をしているということである。
学びが、生きた知識を生むアクティブラーニングになっているかどうかは、学びへ向かう気持ちで決まるのである。
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2018年09月10日

松井府知事と橋下徹の台風対応が酷い!

松井一郎大阪府知事が
     台風対応を放り出し
    「沖縄行き」の無責任、
橋下徹はWTC と関空の
   被害責任追及に逆ギレ!
2018.09.08 LITERA(杉田涼一)

台風21号、北海道地震と深刻な大災害が相次いで直撃したというのに、みせかけだけの「やってるパフォーマンス」ばかりで、実際は総裁選のことしか頭にないのが丸わかりの安倍首相。
しかし、この災害軽視の冷淡体質は安倍首相だけではなかったらしい。

台風21号の直撃を受けた大阪府の松井一郎府知事が、とんでもない“災害対策放り出し”をしていたことがわかったのだ。  発端は7日午後、同日告示された自民党総裁選について、松井知事がこんなコメントをしたことだった。
「もう消化試合の状況になっている」
「台風や地震が発生しているときだから、結果が見えているなら前倒ししてでも早く決めて選挙は終わらせたほうがいい」  

台風や地震で総裁選どころじゃないというのはわかるが、なんで総裁選延期でなく前倒しなのか。安倍首相をサポートする目的のコメントというのが丸わかりだが、しかし問題はコメントの内容ではなく、このコメントを口にした場所だった。
 これ、松井知事が沖縄県那覇市で記者団に語ったものだったのだ。
7日、松井知事は沖縄県知事選の自公候補・佐喜真淳を応援するために沖縄入りしていたのである。
 言っておくが、大阪府では台風による家屋倒壊や冠水、停電や倒木被害などを受け、多くの府民はいまも不自由な生活環境に置かれている。
関西空港も国内便が再開されたと言っても、ごく一部だけ。
JRなどを含めて完全復旧にはほどとおい状態だ。

にもかかわらず、松井知事は政局優先で大阪から離れて沖縄にいたのである。
 自分は被災地である地元を放り出し、職場放棄して、なんの関係もない沖縄県知事選に駆けつけながら、「台風や地震が発生している時だから総裁選なんて前倒しで終わらせたほうがいい」と平気でコメントするとは、いったい、この男、どういう神経をしているのか。

しかも、松井の職場放棄はこれで終わったわけではなかった。
なんと9日からは、11月に行われる万博開催地投票対策と称して、イタリア、デンマーク、ハンガリーの3カ国を回り、ほぼ1週間、大阪を離れるのだという。
地元でこんな被害が起きているのだから、中止するのが普通だが、松井知事は強行。
関空が使えないからと、愛知の中部国際空港セントレアから出発するらしい。

 どこまで、台風被害に関心がないのかと愕然とするが、実は、松井知事のこの姿勢は最初からだった。
「非常に強い勢いで四国・近畿を直撃」「第二室戸台風の再来か」と警告されていた台風襲来前から、実際に大阪府全域、特に南部で大きな被害が出た4日まで、松井は目立った情報発信をほとんど何もしていない。
自ら陣頭指揮を取るべき災害対策本部も設置しなかった。
台風一過の5日にあった定例会見で、関空について「わざと孤立させた。あの状態で動けば人命を危機にさらす。言い訳になるが、想定外のタンカー衝突があった」と、自ら言い訳と認める発言をしたぐらいだった。

そして、同日夜、久々にツイッターを更新したと思ったら、その内容は被災の状況を伝えるものでも、注意喚起でもなかった。
元大阪市長の平松邦夫氏が、南港ベイエリアの人工島に建つ大阪府咲洲庁舎(旧・大阪ワールドトレードセンタービル、通称:WTCビル)の被害を伝える記事を自らのコメントとともにリツイートしたのに対し、「嬉しそうに言うな!」と、逆ギレしたのである。
関空の冠水を受け、共産党関係者が、やはりベイエリアの人工島・夢洲で計画されている万博・カジノに疑問を呈したツイートには「共産党は風評被害をご希望なんでしょうかね?」と攻撃的に反論した。

 松井知事の防災意識の低さ、府民の生活よりも政局や自分のメンツを優先する体質は知っていたが、ここまで露骨だと呆れるほかない。

台風被害、耐震性欠如の旧WTCビルを
大阪府庁にしようとした橋下徹
 しかも、これは松井知事だけでなく、前任者の橋下徹・前大阪市長にもいえることだ。
今回の台風21号でかつて自分が主張を務めた大阪に被害が広がると、橋下は被災した府民・市民の生活そっちのけで、防災軽視で無為無策だった自分たちへの批判封じや責任逃れ、さらには、過去の失策をまるで「英断だった」と言いつくろうような自己正当化ばかりおこなったのだ。

 まず、大阪全域で台風が猛威を振るっていた4日、配信したメルマガで、橋下が延々語っていたのは、前述した大阪府咲洲庁舎(旧WTCビル)のことだった。
大阪南港ベイエリアの人工島・咲洲に建つ256メートルの超高層ビル・旧WTCビルは府知事時代に強引に購入し、大阪府の第二庁舎としたものだが、今回の台風で長時間の揺れに見舞われ、31台のエレベーターのうち21台が自動停止。
すぐ隣の駐車場では、20台以上の車が強風に吹き飛ばされたり、巻き上げられたりして横転・大破し、ビルの足元に残骸が積み上がった。
 このことを意識したのだろう、橋下は先回りして批判を封じ込めるように、ビル購入の経緯を自画自賛交じりに語りはじめた。
いわく、自分が2008年に府知事に就任する前から老朽化した府庁舎の建て替えが大きな問題になっていた。
だが、府の財政逼迫や、当時府議だった松井一郎らが巨額の新規庁舎建設に反対していたのもあり、膠着状態に陥っていた。そこで思いついたのが、大阪市がバブル期に建設したものの、破綻したWTCビルを格安で買い取り、府庁を移転するアイデア。
実現すれば、やはり負の遺産となっていた大阪ベイエリアの活性化にもつながる。
役人や府議会には考えつかない「前代未聞、驚天動地のアイデア」だった──。
 これが橋下の説明するストーリーだが、事はそう単純ではない。
当時の事情を知る大阪財界の関係者たちは、こう語る。

「大阪市には当時、港湾局が推し進めたWTC、経済戦略局が担当だったATC(アジア太平洋トレードセンター)など、『5K』と呼ばれる大型不良資産があったんです。
あんな使い道のない、アクセスも悪いビルを買い取ってくれるとは、市や金融機関からすればラッキーなんですが、一方で『橋下はアホか』とも言われてました。
当時から防災上の欠陥も指摘されていましたからね」

 橋下は府知事就任半年後の2008年8月、WTCビルの展望台に上り、「ここが関西に光を見せる拠点になる」「大阪再生の光が見えた。
(府庁移転は)もう決まりです」と、上機嫌で語った。
抵抗する府議会を押し切り、09年10月に購入を決定。
この過程で橋下氏に同調し、移転に賛成した松井氏ら府議会自民党の一部グループが、後に大阪維新の会を結成することになる。
だが、橋下の府庁移転計画は、11年3月の東日本大震災でボロが出る。
WTCビルは震源から約600キロメートルも離れているにもかかわらず、長周期振動で10分間にわたって最大2.7メートルも揺れ、約360カ所が破損。
耐震性の欠陥に加え、津波や高潮、液状化、孤島化の恐れが防災の専門家から次々と指摘され、「災害時の拠点としてはまったく使えない」と断言されたのである。
そこへ加えて今回、台風にも弱いことが露呈。

結局、橋下氏は何の使い道もないビルを思いつきで強引に買い、将来にわたって維持・改修費を抱え込むという、典型的な「安物買いの銭失い」を主導したことが明らかになったわけだ。
 ところが橋下は頑としてこれを失策と認めず、自己正当化にいそしんでいる。
先のメルマガでは、WTCビル購入が「今の大阪政治の根っこの根っこ」だったと言い、「あのときにWTCビルの購入をしていなければ、大阪維新の会も、日本維新の会も誕生せず、そして統合型リゾートや大阪万博の話も何もなかっただろう」と言い張った。

さらに、7日に連投したツイッターでは、WTC問題に加え、関空問題で批判されはじめたことを意識してか、「物事に100%の完璧はない。今回の台風被害は甘受すべき範囲内」
「一つの事象だけに騒ぎ立てるバカな有権者に付き合うのはもう懲り懲りだよ」と有権者をバカ呼ばわりする逆ギレぶりを見せつけた。

松井一郎、橋下徹…維新の
     頭のなかにあるのは、
    カジノと万博誘致だけ
 橋下前市長といい,松井知事といい、この人たちは、どんな失敗や愚策をしても、逆ギレしてどなれば封じ込めるとでも思っているらしい。
 しかし、彼らが旧WTCビルについて、逆ギレしているのは、個人のメンツだけにとどまらない部分もある。
旧WTCビルの問題が露わになれば、万博・カジノに批判が高まる可能性があるからだ。

「橋下氏も書いていますが、WTCビルと府庁移転問題は維新誕生のきっかけになった、いわば原点ですからね。
それ以上に、すぐ隣の人工島・夢洲ではIR(カジノ)、その起爆剤としての万博という維新がこだわってきた“成長戦略”が描かれている。
まったく先の見えない大阪都構想もそうですが、撤退すれば、自分たちの存在意義が根底から瓦解してしまうので、いくら災害があっても取り下げられないんでしょう」(在阪の全国紙・政治部記者)

 実は、旧WTCビルは府庁移転計画が消え、とりあえず「大阪府咲洲庁舎」と称する第二庁舎となったあとも、「無駄・不便・遠い」と職員には不評で、完全撤退論がくすぶり続けている。
それでも松井知事は撤退する気などさらさらない。
それどころか、2015年の府知事選時には、「ベイエリア活性化の司令塔にするべき」と主張し、ツイッターにこんなことを書き込んでいた。
「もし南海トラフの津波でベイエリアが甚大な被害となった場合に、地域の住民皆さんの命と財産を守り復旧復興の司令塔となるのが咲き洲庁舎だと僕は考えています(※原文ママ)」

 あれほど防災上の欠陥が指摘され、今回も機能不全の危険性が露わになった旧WTCビルを「住民皆さんの命と財産を守り復旧復興の司令塔」とは、もはや正気とは思えない。
 ようするに、松井知事にしても、橋下前市長にしても、頭のなかにあるのは、カジノと万博誘致と自分たちの権力維持だけ。
大阪府民の生命や安全など、どうでもいいということなのだろう。
実際、その姿勢は、今回の松井知事の現場放り出しの沖縄行きと、万博のためのヨーロッパ行脚に端的に表れている。
 比較的自然災害が少ないため、これまで目立たなかったが、大阪府民はとんでもない連中に自分たちの生命を預けていることをもう少し自覚したほうがいいのではないか。
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2018年09月11日

経営ノウハウがない歯科医の末路 開業して念願だった「城主」が転落するワケ

経営ノウハウがない歯科医の末路
開業して念願だった「城主」が転落するワケ
2018/09/10 AERAdot.(若林健史)

歯科医院の数はコンビニの数より多いといわれ、全歯科医師の約6割は開業医(診療所の開設者または法人の代表者)です。
なぜ歯科医はこれほど開業者の数が多いのでしょうか?
 歯科治療と経営手腕は別のものなのでしょうか?
 テレビなどでおなじみの歯周病専門医、若林健史歯科医師に聞きました。
            *  *  *
 厚生労働省の最新の調査(2016年12月31日時点)では全国の歯科医師の数は10万4533人、うち診療所の開設者または法人の代表者は5万9482人で、全歯科医師の約56.9%を占める計算になります。
開業の時期はさまざまですが、歯科医院の院長になる歯科医師がもっとも多いということになります。

 なぜ開業する歯科医が多いのでしょうか。
歯科医は医師と違い、勤務する職場が少ないということもあります。
医師は、複数の診療科がある病院などに勤務し、ほかの医師や医療スタッフと連携しながら診療をおこないます。
これに対して歯科医は歯科助手などのサポートは必要であるものの、やろうと思えば(後述のように、実際には1人でやるのは難しいですが)1人でも診療が可能です。
 しかし、職場の問題以上に、歯科医は「一国一城の主になりたい」という気持ちが強い人が多いからだと思います。

 歯科医師の多くは歯学部を卒業後、主に歯科医院に勤務しながら技術を磨きますが、仕事をしているうちに、「この歯科医院では使っていない材料で、さらに高度な治療がしたい」など、やりたいことがでてくるものなのです。
 もっとも以前は3〜5年で開業するケースが多かったのですが、近年は、徐々に開業までの期間が長くなっています。
歯科の治療が複雑かつ専門化してきて、開業までに学ばなければならないことが多くなってきたためです。

 しかし、実際に開業するとなると、大変です。
歯学部では歯の治療の仕方は学べますが、経営のノウハウは教えてもらえません。
勤務先の歯科医院でも院長は経営や収入がいくらあるかなんて、教えてくれませんからね。

 私も開業の際には人並みに苦労しました。
当時、叔父が経営している歯科医院に勤務していたのですが、「そろそろ、開業したい」というと、「じゃあ、銀行でお金を借りなさい」といわれ、「???」。
 恥ずかしながら銀行はお金を貯金するところであって、お金を借りる場所だなんて、よく知らなかったんです。

 銀行で最初は冷たくあしらわれ、何軒目かで、ようやく話を聞いてもらうことができました。
自分の理想とする歯科医院コンセプトを熱く語ったところ、担当の人から、 「そういう歯科医院がなくて探していた」  その人は歯周病に悩んでいて、専門の歯科医院を探していたそうです。

 自信を持って立ち上げた医院でしたが、開業当初は患者さんが本当に来てくれるのか、不安がありました。
 最近では新規開業をサポートする業者があり、お金を払えばホームページの作成や内覧会の実施、チラシ配布などをやってくれるようになりました。
読者のみなさんも新規開業の歯科医院がのぼりを立てていたり、歯ブラシを配ったりしていてもらったことがあるでしょう。こうした業者はすごく繁盛していると聞きます。
開業は歯科医の夢ですが、歯科医院の数が多い現在、競争も大変だということです。

■治療の腕前と経営手段は別物?  
さて、読者のみなさんにとっての関心事は何より、経営手腕と歯科医師としての腕は別物なのかどうかという点だと思います。
 これはどちらともいえませんが、腕さえよければやっていけるかというと、それは難しいと思います。
 なぜなら、歯科治療には家賃、水道光熱費、人件費だけでなく、材料費、歯科技工士に補綴(ほてつ)物(かぶせものや入れ歯など)を作ってもらうための技工料など、その他にも高額なコストがかかります。
お金が入ってこないと患者さんにしてあげたい治療が、できないからです。
 そうした意味では、スタッフが極端に少ない、例えば歯科医師が1人だけですべてをこなしている歯科医院がありますが、これは患者さんにとっては不親切であると思います。

 狭い口の中に器具を入れ、歯や歯ぐきを的確に治療、処置するためにはこまやかな作業が必要で、視野を確保するためには舌をよけたり、バキュームという器具で唾液を吸い取ったり、むし歯で歯を削るときに水を吸い取ったりする作業が必要です。
 通常はこの作業を歯科衛生士や歯科助手がおこない、歯科医師は治療に専念します。
歯科医師が1人でやろうとすることは不可能ではありませんが、手は2本しかないので、治療のクオリティーを保つのは難しく、時間もかかってしまいます。
「時間をかけてていねいにやってくれる」と患者さんは思うかもしれませんが、1人だからこそ時間がかかってしまうのです。  つまり、腕とともにある程度の経営手腕は必要だということです。
信念を持ち、1人で一生懸命やってクオリティーの高い治療をしておられる歯科医師も知っていますが、患者さんのためには歯科助手がいたほうがいいのかなと思います。

 もちろん、経営第一主義ではいけません。
利益を第一に考えてしまうとコストのかからない質の悪い歯科材料を使ったり、時間効率を考えるあまりに、処置を流れ作業で進めていく、という事態にもなりかねません。
 ただし、どのような歯科医院が経営第一主義なのかは、見た目ではわかりづらいのです。
 例えば自費診療の歯科医院、具体的にはインプラントや審美歯科は一等地の新しいビルの中にあることが多く、いかにももうかっている印象を受けるかもしれませんが、治療にコストがかかるので出ていく経費も多いのです。
さらにていねいなカウンセリングをおこなえばおこなうほど、利益が少なくなるので、むしろ、経営に苦労しているところは多いです。

 高級レストランは高いけれどさまざまな経費がかかる。それよりも安くて1日1000杯出るラーメン屋のほうが、ある意味もうかる。
これは歯科医院にもあてはまるかもしれません。
 良心のある歯科医師は、いい料理を提供したいという思いとコストの問題で、日々、悩んでいるのです。

若林健史(わかばやし・けんじ)
歯科医師。若林歯科医院院長。
1982年、日本大学松戸歯学部卒業。
89年、東京都渋谷区代官山にて開業。
2014年、代官山から恵比寿南に移転。
日本大学客員教授、日本歯周病学会理事、日本臨床歯周病学会副理事長を務める。
歯周病専門医・指導医として、歯科医師向けや一般市民向けの講演多数。テレビCMにも出演
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2018年09月12日

日本にとどめ サマータイムに警鐘

健康被害続出に
   経済損失は数千億円。
サマータイム導入は
   日本の息の根を止める
2018/09/11 HARBOR BUSINESS

 酷暑、そして五輪の旗印のもとに注目を集めているサマータイム導入。
「暑さ対策」を名目に、政府も対応を検討し始めているというが、その実現度は!?

◆五輪のためだけに
2時間の早寝早起きが必要か?
 五輪開催を’20年に控えてブレーキが故障しているのか、今年に入ってからの森喜朗大会組織委員会会長のアクセル全開の“暴走”が世間を賑わせている。
曰く、「東京五輪を迎えるにあたり暑さはチャンス」、「サマータイムの導入を首相の決断でやってほしい」と。

 森会長は’14年頃からすでにサマータイムの導入を提唱しており、今年8月には安倍首相に要請している。
今回提唱されたサマータイムとは、’19〜’21年の2年間実施され、日照時間の長い夏に限り日本国中の時計の針を2時間先に進め、昼間時間を有効に使おうというもの。

ちなみにサマータイム期間中の朝7時は、現在の時間の朝5時ということになる。
 森会長は、東京五輪でマラソンを朝7時(現朝5時)にスタートすれば、日が高くなって暑くなる前にレースを終えることができるという“暑さ対策”のメリットを一番に挙げている。
しかし、時間を繰り上げても気温は1〜2℃しか違わないのは今夏が証明した。

 現在、サマータイムは世界60か国で実施されているものの、ロシア、中国、インド、韓国など、一旦、採用しながら廃止した国も多い。
日本でも戦後すぐの’48年から導入されていた時期もあったが、長時間労働が社会問題化し、結局4年で廃止になった経緯がある。
 そして70年たった今、再び日本で“早起きの強要”が実施されようとしているのだ。

◆導入で心筋梗塞や脳卒中で死亡も!?
 日本睡眠学会理事の神山潤医師は、サマータイム導入による健康被害についてこう警鐘を鳴らす。
「サマータイムは、ただ単純に時計の針を2時間早めるという話ではありません。
間違いなく寝不足や時差ボケの状態が続く人が出てきます。
眠気に強い/弱い人、長時間/短時間睡眠が適正な人などがいるなかで、それを一律にするのは大変危険です。
サマータイム導入で最も生体リズムを狂わされるのは“夜型”の人でしょう

 海外の研究でも、サマータイム導入による健康被害は多数報告されている。
「日本よりも睡眠時間が長い国でさえ、サマータイムへの変更時には心筋梗塞、脳卒中、(寝不足による)交通事故が増えるということが報告されています。
オーストラリアでは、睡眠不足でうつ病を発症し自殺する人が急増したという例もあります」

 しかし、日本ではそれ以上の健康被害が予想される。
総務省の’16年の社会生活基本調査によれば、日本人の一日の睡眠時間の平均は7時間40分。
経済協力開発機構(OECD)の国際調査と見比べると世界最短レベルだった。
日本人は「世界一眠りを疎かにする国民」なのだ。

神山氏は指摘する。
「私の患者さんのなかには、睡眠不足を指摘すると『4時間も寝ているのに睡眠不足なんてことあるか!』と怒ったり『仕事があるのでこれ以上、睡眠時間は削れない』と言う人もいます。
居眠り=サボっているという偏見が日本では根強いのでしょう。
そもそも“寝てない自慢”をする国なんて、世界で日本ぐらいのものですよ」

 こうした悪しき生活態度を改めない限り、サマータイムの導入など自殺行為としか言いようがない。
眠りと脳も密接に関係している。
睡眠の量と質の低下は、前頭前野にも悪影響を及ぼすという。
「前頭前野の機能が衰えると、感情のコントロールや適切な判断が難しくなります。
こんなシステムを思いつきで導入しようとしているおじいさん(森会長)の前頭前野を一度調べたほうがいいかもしれません(笑)」

◆経済効果より損失大。
   長時間労働が常態化  
次にサマータイム導入による経済効果について見ていこう。
 第一生命経済研究所経済調査部首席エコノミストの永濱利廣氏は、次のように試算する。
「サマータイム導入によって、活動時間の増加が家計消費にプラスに影響し、娯楽・レジャー・外食等への出費増を通じて個人消費が0.3%増加。
金額にして7532億円に相当すると試算されます。
’09年に札幌市でサマータイムが実施されたときも、域内のGDPを0.4%押し上げました。
しかし、余暇時間を有効利用するという目的なら、年2回も時間を変え、健康被害の大きいサマータイムよりも、変更が1回で済む標準時の前倒しのほうがまだましでしょう」

 サマータイムの恩恵を受けるためには、実施期間の問題に加え勤務時間にも留意する必要がある。
「戦後に実施されたサマータイムが失敗したときのように、始業時間が早まっても終業時間は変わらず、労働時間が長引けば経済効果は薄れます。
特に中小企業は人手不足なので、『こんな明るい時間帯で定時には帰りにくい』と居残ってしまう人も多いのではないでしょうか」

 通常時間から夏時間に移行する際、コンピュータシステムの変更のコストにも留意が必要だ。
「サマータイム導入時のシステム変更だけで数千億円かかると言われています。
SE業界には特需となるかもしれませんが、多くの中小企業は負担を強いられるでしょう。
また、この時期は消費税の軽減税率や元号の変更なども重なっているため、そもそもシステム変更は難しいかもしれません」  

さらに、再び睡眠の話に戻ると、’16年の米国ランド研究所の調査では、日本人の睡眠不足による経済損失は年間約15兆円、国民総生産の2.92%に相当するという試算もある。
 経済効果よりも損失のほうが圧倒的に大きいサマータイムだが、今年8月に森会長の要請を受けた安倍首相は、旧森派という手前無視するわけにもいかず検討を約束。
 こうしたなか、遠藤利明・自民党東京五輪実施本部長は、9月に党内に「サマータイム議連」を立ち上げる考えを明らかにした。
 そこで編集部は、サマータイム議連の会長に就任する河村建夫衆院予算委員長、議連の実務を担う遠藤氏の事務所に議連の動向などを尋ねてみたところ、次のような返答があった。

「自民党でもサマータイムについてさまざまな考えを持っている人がいる。
一丸となっている感じではない」(遠藤利明事務所)

「これから動くので、議連に誰が入るのかはまったくわからない状態。
自民党内でもさほど盛り上がっていない」(河村建夫事務所)
「マスコミが騒いでいるだけですか?」と敢えて聞いてみたが、とくに否定はしなかった。

 議員たちの歯切れが悪くなるのも当然で、世論のサマータイムへの反発は激しさを増す一方で、8月31日、サマータイムを採用中の欧州連合(EU)のユンケル欧州委員長は、域内市民の8割が制度の廃止を支持したことを受け、廃止を目指す意向を表明している。

《サマータイム導入で起こりうること》
●メリット
個人消費の増加……まだ日が明るいうちから退社できるため、帰宅前にパチンコや居酒屋などに寄ることで経済効果を見込んでいる。
日本生産性本部によれば、経済波及効果は9673億円に達する
省エネ……明るい時間に活動できるため電気などの節電効果がある。
日本生産性本部によれば、原油換算で93万kl分の省エネ効果があり、全国民が使う冷蔵庫の消費電力40日分に相当
防犯効果……外が明るい時間帯に学校や会社から帰宅できるため、犯罪に巻き込まれるリスクが軽減する。
見通しもいいため、暗い中での運転を避けることができ、接触事故も減少する

●デメリット
健康被害……“早起き”と聞くと、一見聞こえはいいが、同時に“早寝”しなければ、睡眠負債は溜まっていく。
その結果、脳や心臓、精神面にダメージが及び、死に至る危険性もある
システム改変コスト……時計が2時間繰り上がることで、各コンピュータシステムを調整し直すことになり、各企業は大きな負担を強いられる。
それに加え、国や自治体の公的インフラの修正も必要だ
労働時間の超過……ブラック企業は、国のお墨付きを得て労働者に早出出勤を強要できる。

また、神山医師は新聞記者、コンビニ店長、警察官、消防士など日頃から激務な業界の人間が心配だという
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2018年09月13日

自衛隊幹部が異様な低学歴集団である理由

自衛隊幹部が異様な
低学歴集団である理由
2018/09/12PRESIDENT Online(部谷 直亮 )

自衛隊幹部の51%が高卒以下だった
筆者の情報公開請求とプレジデント社との共同取材により、自衛隊幹部は公務員の中でも異様な低学歴集団であることが判明した。
しかも、それは米軍や韓国軍にも劣るレベルだという。
まず目立つのは大卒の低さである。
大卒以上の幹部(尉官以上)は45.9%しか存在しない(2017年10月末時)。

大卒率ほぼ100%のキャリアの国家公務員や米軍の現役幹部の83.8%(15年時)と比べると異常な低さだ。
次に修士以上も酷い状況だ。
米軍の現役幹部の41.5%が修士号以上を取得している。
しかし、自衛隊幹部は僅か5.02%のみ。
特に航空自衛隊幹部は3.64%でしかない(18年4月時)。
そして、注目すべきは高卒の多さである。
なんと自衛隊幹部の51%が高卒以下であり、一佐ですら3%の80人が高卒であった(17年10月末時)。
中卒の一佐も3人いた。
一佐とは、諸官庁では課長級であり、連隊長ともなれば数百〜1000人の部下をまとめる職である。
では、なぜそうなってしまうのか。

それは自衛隊が第1に、諸外国の軍隊の中でも知性を軽視しているからだ。
米軍の場合は基本的に将校は学位を保有せねばならず、保有しない将校でも大尉になれば一定期間までに学位を取らねばならないとなっている。
将軍では2つや3つの修士はザラである。
自衛隊の場合は、そうした規定もなく、また積極的に国内外の大学に幹部を留学させる仕組みも乏しい。

防衛省を含む各省庁のキャリア官僚は、基本的に海外の大学院に留学させるが、自衛隊では非常に限定される。
国内の大学院へ行けばはみ出し者扱いされるという。

第2は、自衛隊の専門知識や学問に対する軽視だ。
特に陸上自衛隊では、職場の机の上に書籍(軍事や戦争の専門書でも)を置いているだけで上司からにらまれることが多々あり、検閲の場合は私物として隠さねばならない。
業務に直接関係のないものを置くのは美しくないためだ。
これでは、自ら外部の教育機関で学ぼうとする意欲を持つ人間はつまはじきにされてしまう。

自衛隊幹部だけが全公務員の中で
教育の機会を与えられていない
複数の自衛隊幹部は「自衛隊幹部の学歴は先進国でも最低レベルではないか。
平和安全法制以後、米国などとの共同作戦や演習が増えていく中で深刻な問題になっている」と現状を嘆く。

その深刻な問題とは何か。
第1は、高等教育で学ぶ抽象的思考ができないために共同作戦や演習のための意思疎通ができなくなることである。
要するに知的分野での交流・貢献ができない。
例えば、米軍側は以前「宇宙空間やサイバー空間で機動(maneuver)する」と自衛隊との会議で発言した。
米側は「機動」という概念を「主導権を取る」という意味で使用しているのだが、自衛隊幹部の多くは「機動」を物理的にしか理解していなかったのである。

近年の米軍の作戦コンセプトは抽象的な思考を重視する傾向がより一層強まっており、このままでは、共同作戦もできなくなる恐れがある。
実際、日米共同の現場の自衛隊幹部の多くが限界を感じつつあるという。

第2は、根性論の重視である。
自衛隊の組織運営は根性論とパワハラ全開である。
それは文書作成1つを見てもわかる。
陸自では、パワーポイントの見出しのフォントをMSゴシック、本文は明朝体にせず、また誤字脱字があれば人格否定されるのが常であるという。
また、田舎の駐屯地では将官を出迎えるために、佐官が床にワックスがけをしている。
人員が足りない自衛隊において、信じがたいほど非効率だ。

米軍などを見習って、基本的に幹部には学位を取らせるべきであるし、キャリアに当たる幹部は基本的に他省庁と同様に留学させるべきだ。
国内大学の修士課程であれば1人135万円、学部なら250万円で卒業可能だが、これは演習弾数発程度でしかない。
オスプレイ2機を断念すれば自衛隊の大卒幹部のほとんどを修士課程に、5機を断念すれば自衛隊の高卒幹部約2万人を全員学卒にできる。
自衛隊幹部だけが全公務員の中で、教育の機会を与えられず、中学校レベルの根性論とパワハラで勤務させられるのは差別的待遇でしかない。
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2018年09月14日

日露首脳会談で“外交の安倍”の大嘘が露呈

日露首脳会談で
“外交の安倍”の大嘘が露呈!
プーチンに舐められ、
北方領土は返還どころか
ロシアの軍事要塞化
2018.09.11 LITERA編集部

「地球儀を俯瞰する外交」「価値観外交」なるキャッチコピーを掲げつづける安倍首相だが、今回、あらためてその無能っぷりを見せつけた。
昨日おこなわれた、22回目となった日露首脳会談だ。

 2016年12月に安倍首相の地元・山口県でおこなわれた日露首脳会談では、安倍首相はプーチン大統領と温泉にでも浸かって仲良しアピールをと目論んだものの当のプーチン大統領は2時間40分も遅刻して到着し、あえなく仲良し演出は失敗に終わったが、今回もプーチンは約2時間半も遅刻。安倍首相はまた待ちぼうけをくらわされた。

 しかも、北海道地震発生から日も浅いというのに「外交の安倍」を演出するために臨んだ今回の首脳会談だったが、その内容は、北方四島での共同経済活動で取り組む5分野のロードマップ(行程表)の作成で合意した程度。
しかも、共同経済活動の前提となる、日露両国の法的立場を害さない「特別な制度」の導入にいまだロシアは難色を示し、今回の会談では議題にさえならなかった。

 安倍首相がプーチン大統領に舐められきっているのは、もはやあきらかな事実だろう。
現に、日本政府が日露外交の成果と誇る元島民の墓参についても、ロシア側から今月10日から択捉島で予定されていた墓参の中止を通告されている。
経済協力活動に日本は3000億円の投入を約束していたが、これでは完全に貢いだだけだ。
 思えば、山口での首脳会談前は「プーチン訪日で北方領土返還」などというムードをつくり上げた安倍官邸。
しかし、それが「歯舞群島、色丹島の2島引き渡し」へとトーンダウンした挙げ句、いつのまにかテーマは「北方4島の共同経済活動」にシフトし、いまもって「特別な制度」さえ合意に持ち込めていないという散々たる状態だ。

●北方領土は返還どころか、
ミサイル・軍隊配備で
ロシアの軍事要塞化が進行
 いや、それどころか、ロシアは北方領土の軍備拡張のため、新型地対艦ミサイルや軍隊の配備のほか、今年3月にはクリール諸島(北方領土と千島列島)で軍人200人、車両20台が参加した軍事演習をおこなったと発表(北海道新聞3月17日付)。

プーチン大統領も「(北方領土の軍事化は)必要に迫られた措置」と強調するなど、日本への北方4島返還どころか、軍事要塞化への道を着実に進めているのである。
 結局、安倍首相がやってきた対ロシア外交は、見返りもないまま日本の資金などを貢ぐだけのものでしかない。
つまり、国内向けの仲良しアピールしか頭にない安倍首相を、プーチン大統領は完全に見くびっているのだ。

──安倍首相はこれまで何回も口にしてきた「私とプーチン大統領が必ず問題に終止符を打つ」などという威勢だけがいい言葉を今回の会談後も吐いたが、そこには何の根拠もないのである。
これでは約60年前の日ソ共同宣言よりも退行していると言ってもいいだろう。
 こんなボロボロの状態なのに、一体なぜこれで「外交の安倍」などと誇れるのかさっぱり意味がわからないが、しかしさらに問題なのは、安倍首相がロシアの凶行に対し、何の苦言も呈していないことだろう。

 たとえば、今年3月にはイギリスで元ロシア人スパイが旧ソ連軍が開発した神経剤「ノビチョク」によって暗殺未遂されるという事件が起こった。
これに対しロシアは関与を否定したが、イギリスをはじめアメリカやイタリア、フランスなどの欧米諸国が非難、化学兵器の使用には中南米やアフリカからも非難の声が上がった。
しかし、日本政府はロシアの関与を示す証拠はないなどとして非難を避け、G7の外相声明でようやく非難に同調するという信じがたい態度を取った。

 そして、最大の問題は、プーチン大統領がシリアでおこなっている行為に対して、日本政府がどういう態度をとっているのか、ということだ。

国際社会で非難を浴びる
プーチン大統領の
仲良しアピールする安倍首相の愚
 プーチンはシリアのアサド政権の協力者であるが、そのシリアでは政府軍による市民の大虐殺が大きな問題となっており、世界中から批判が殺到している。
にもかかわらず、2016年にはG7のうち日本を除く6カ国がすべてシリアに即時停戦を求める共同声明を出したというのに、日本はそれにすら参加せず。
そればかりかロシアの責任の重さから経済制裁の延長が検討されるなかで、山口での日露首脳会談で日本は3000億円も貢いで協力すると発表したのだ。
無論、昨日の会談でも、シリアの問題を議題とした形跡はない。

「価値観外交」とやらでプーチン大統領と仲睦まじく並んでいれば日本のメディアは「さすが安倍首相は外交が強い」などと褒めそやすのだろうが、その外交には実績がまったくない上、そもそも“戦争犯罪者”であるプーチン大統領の顔色を伺ってばかりとは情けないにも程があるだろう。

 しかも、だ。安倍首相が国内でやっていることは、そんなプーチン大統領の真似事とも言えることばかり。
大統領選では、野党の有力候補と目されたアレクセイ・ナワリヌイ氏の立候補申請を却下、不正も疑われる選挙で4期目に入ったが、反プーチンの抗議デモなどでは警察が暴力をふるい多くの市民を拘束するなど、民主主義の危機にある。
強いリーダー像をふりまき、メディアを統制して独裁化を進めているという意味では、ふたりは似た者同士だ。
 前述したように、安倍首相は今回の首脳会談で「私とプーチン大統領が必ず問題に終止符を打つ」といつもの宣言をおこなった。
今後、プーチンの後を追って、安倍首相も3選どころか4期目を狙うつもりなのではないかと予感させる台詞だが、外交の才などまったくない無能総理をのさばらせれば、この国もロシアのような体制になってゆくことは間違いないだろう。
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2018年09月15日

安倍圧勝情勢 国民の言い知れぬ不安、危機感、もどかしさ

安倍圧勝情勢
国民の言い知れぬ不安
危機感、もどかしさ
2018年9月13日 日刊ゲンダイ

こうなるとヤクザと同じだ。
 自民党総裁選を巡り、安倍陣営が神戸市議を「脅迫」していたことがバクロされた。
脅された岡田裕二市議が、フェイスブックで洗いざらいブチまけている。
 岡田市議は11日、石破茂元幹事長が神戸市で行った街頭演説に参加。
事前に聞きつけた官邸幹部が9日、岡田市議と関係が深い地元の国会議員に対し「大丈夫か。あなたの将来に差し障るかもしれない」と伝えてきたという。
岡田市議は地元の国会議員から直接、聞かされたようだ。

 岡田市議は10日付のフェイスブックで「官邸の幹部でもある、とある国会議員から、露骨な恫喝、脅迫を私達地方議員が受けている」と訴えている。
もともと、“安倍支持”だったが、さすがに“石破支持”に変えると表明した。
 これまで、安倍陣営が、「冷遇するぞ」と国会議員を恫喝し、“安倍支持”を誓わせてきたことは周知の事実だったが、地方議員まで脅迫していたのだから信じられない話だ。
 自民党は本当に民主主義を標榜する政党なのか。
「脅迫」して従わせるとは、恐怖支配が蔓延しているのではないか。
 異様だったのは、石破が「正直、公正、石破茂」というスローガンを掲げた途端、一斉に「個人攻撃だ」と批判が巻き起こり、おじけづいた石破もスローガンを封印してしまったことだ。

「安倍1強」に支配された自民党は、自由にモノも言えなくなっている。
「『戦後レジームからの脱却』を訴えていた安倍首相は言葉通り、まず自民党を戦前のような上意下達、絶対服従の組織につくり変えた格好です。
民主主義には多様な議論が必要ですが、異論は許されなくなってしまった。
相当数の自民党議員が内心、おかしいと思っているはずですが、怖くて口に出せず、おかしいと思いながら多数派に同調しているのでしょう。

本当は石破支持なのに、安倍支持に回っている議員も多いはず。
それにしたって、市議の行動にまで官邸が目を光らせるのは異常です。
冷戦時代の共産圏と同じです」(法大名誉教授・五十嵐仁氏=政治学)

 竹下亘総務会長が「大政翼賛会のようにしてはいけない」と呼びかけていたが、いよいよ自民党は戦前の大政翼賛会とソックリになってきた。

バケの皮が剥がれることを恐れて
政策論争から逃げた
 ふざけているのは、恐怖支配によって多数を確保する一方、石破との論争から逃げ回っていることだ。
「正規雇用の有効求人倍率は1倍を超え、過去最高だ」
「かつてないほど日米関係は強固だ」などと、内政外交の成果をブチ上げながら、“北海道地震”や“ロシア訪問”を口実にして、少しでも討論から逃げようとしているのだから許し難い。

 たまりかねた石破が、「私と安倍さんが一緒に演説する機会はほとんどない」と愚痴をこぼすありさまだ。
 なぜ、安倍首相は政策論争から逃げているのか。
内政の成果も、外交の成果も、すべてデッチ上げだと国民にバレるからだ。
「政策論争になったら、あの石破さんのことだから、数字や事実を基に一つずつ安倍政権の政策について論じていくはずです。
これは安倍首相にはキツイですよ。

すでに、安倍首相が『493兆円から551兆円に増えた』と胸を張るGDPについても、『増加分のうち32兆円は統計の見直しによるカサ上げが要因だ』とサラリと指摘しています。
実際、個人消費にしても、2017年は295兆円と、2007年の290兆円からほとんど増えていない。
石破さんはアベノミクスについて、『労働分配率は43年ぶりの低水準だ』『上げなきゃいけないのは物価ではなく所得だ』と説得力のある批判をしている。

もともと世論調査でも、安倍政権の政策一つ一つには“反対”が多い。
正面から政策を論じたら、安倍首相の化けの皮がどんどん剥がれていくはず。
討論会を嫌がっているのは、それが理由でしょう」(五十嵐仁氏=前出)
「地球儀を俯瞰する外交だ」などと、一人前のことを口にしている外交も、実際には成果ゼロだ。
蜜月関係を自慢しているトランプ大統領には、首脳会談の時、面罵されている。
つい最近も「良好な関係は終わる」と宣告されてしまった。
 現職総理は論争から逃げ回り、官邸に巣くうチンピラは地方議員を恫喝――。
自民党は完全におかしくなっている。

■あと3年やらせたら
「憲法」も「教育」も変えられてしまう
 それでも、安倍は国会議員票の8割を固めて圧勝確実なのだから、末期的だ。
 本当にこんな男にあと3年も総理大臣をやらせていいのか。
ヤバイのは、「日本を取り戻す」と声高に叫んでいる安倍は、本気で「改憲」を狙い、「教育」に手を突っ込もうとしていることだ。
安倍に「憲法」と「教育」を変えられたら、この国は終わりだ。

自民党議員と官僚が、自由にモノを言えなくなったように、いずれ国民全体も自由を奪われていくだろう。
「まさか」「いくら何でも」と考えている国民もいるだろうが、ほんの5年前、「特定秘密保護法」や「共謀罪」が成立し、「集団的自衛権」が合法になるなど、誰も想像しなかったはずだ。
 少なくとも安倍政権が誕生するまでは、これほど排他主義が横行し、ヘイトスピーチが幅を利かせ、ちょっと政権批判をしただけで「反日」とレッテルを貼られることもなかった。

いつの間にか政権に批判的なコメンテーターは、画面から一掃されてしまった。
 さすがに、有識者は、この時代の危険な空気に懸念を示し始めている。
 ミステリー作家の綾辻行人氏は、これまで社会的な発言を控えてきたが、危機感を強め、毎日新聞の夕刊でこう語っていた。
<幅も余裕もない。薄気味が悪い。息苦しい。無粋。この国の空気を表すと、こんな言葉が浮かびます>
<昔なら、とうに政権が力を失っていたような問題が続発しているのに、何も変わらないという現状に、むしろ恐怖を覚えます>

 文科次官だった前川喜平氏も、日刊ゲンダイのインタビューで<安倍政権の危険さはこれまでの比ではない。このままでは本当に危ないと思います>と警鐘を鳴らしている。

 政治評論家の森田実氏はこう言う。
「第2次世界大戦の反省は、国民から言論の自由や思想信条の自由を奪うと、戦争につながるというものでした。
だから、戦後、世界の民主主義国は言論の自由と思想の自由を大切にした。
ところが、安倍首相は正反対です。
家族のあり方など、人の価値観まで国家が決めようとしている。
過去、安倍首相と同じタイプの政治家はいたが、中心に座ることはなかった。
自民党議員の8割が“安倍支持”というのは、どう考えても異常です」

 この春からは、小学校で「道徳」が教科化され、道徳心や愛国心に成績がつけられるようになった。
テキストには「国と郷土を愛する」というフレーズが並んでいる。
安倍は、まだ頭の柔らかい子どもに徹底的に愛国心教育をするつもりだ。
  心ある国民は、自民党の総裁選に関与できないことに、もどかしさを感じているに違いない。
自民党は本当に安倍を圧勝させるつもりなのか。
posted by 小だぬき at 00:00 | 神奈川 ☔ | Comment(0) | 社会・政治 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2018年09月16日

「断る」のがヘタな人とうまい人の決定的な差

「断る」のがヘタな人と
      うまい人の決定的な差
常に同じ優先順位で迷わずスッパリできるか
2018/09/14 RyanKing999/iStock

樺沢 紫苑 : 精神科医、作家
日本人は断るのがとても苦手です。
「相手の気分を害したくないので断れません」
「断るくらいなら、つい受けてしまいます」という人は多いのではないでしょうか。

拙著『学びを結果に変える アウトプット大全』でも詳しく解説していますが、きちんと「断る」ということをしないと、貴重な時間は、「残業」「休日出勤」「行きたくもない飲み会」によって、無限に侵食されていきます。
「本当にやりたいこと」を優先するために 「断らない人」は、自分が本当にやりたいことに対して、エネルギーと時間をふり向けることができなくなっていきます。
休息や睡眠、家族と過ごす時間も削られます。

つまり、「断らない人」は、確実に「不幸な人生」を歩むのです。
死ぬほど忙しくて睡眠がとれなくなったり、健康を害したりして初めて「断る」わけですが、それだったら最初から断るべきなのです。
「上司からの“残業のお願い”を断ると昇進に響く」と考える人もいるかもしれませんが、あなたの会社では、「上司のお願い」を断らない便利屋のような人が本当に昇進していますか?
 多分、「仕事ができる人」が普通に昇進しているはずです。

個人でビジネスをしている人は、「仕事を断ると仕事が減る、 次の仕事がこなくなる」と思っている人が多いですが、「仕事を断るほど、仕事は増える」という法則があります。
「引き受けられないほど仕事が殺到している」ということは「人気がある」ことの証明だからです。
人気のレストランに電話し3カ月先まで予約がいっぱいだったら、「そこまで予約いっぱいなら、相当いい店に違いない」とさらに行きたくなる。
そんな心理と同じです。
ですから、きちんと「断る」ことをしていると、仕事は増えます。
「断る」ことによって、特にデメリットは生じません。

断ってみればわかりますが、むしろ、「断る」ことでたくさんのメリットが得られるのです。

相手の都合よりも、
自分のルールを優先しよう
上手に断るためにはどうすればいいでしょう。
それは、自分の人生の中での「優先順位」を決めておくことです。
「家族」が大切と思う人は、「土日は家族と過ごす時間」というルールを決めます。
「どうしても急な仕事が入ったので、日曜日に出勤してくれないかな」と言われたら、「申し訳ありませんが、土日は家族と過ごす時間なので」と断ります。
ルールにそぐわない仕事の場合は、0.1秒で断るだけ。
たとえ、高額な仕事であってもです。

また断る場合は、「迷わず断る」ことが重要です。
「えー、そうですね……」と迷った素振りを見せると、「なんとか頼むよ」と付け入られてしまいます。
迷うということは、「断る明確な理由がない」ということを相手に伝えているのと同じです。
迷わずにすぐに断ることで、自分の意思の固さ、自分のポリシーの固さが相手に伝わります。
また、ケース・バイ・ケースで判断するのもよくありません。

「断る」判断は、「優先順位」に照らし合わせて、つねに同じ基準で断ってください。
「今回だけ特別に頼むよ」という言葉には決して乗らないこと。
「今回だけ」が永久に続くことになります。

また、ケース・バイ・ケースで判断すると、「Aさんの頼みは聞くのに、なぜ俺の頼みは聞かないんだ」と、トラブルの原因になります。
つねに同じ基準で公平に断っていくかぎり、大きなトラブルが起きることはないでしょう。
人間関係を悪化させない、誠意が伝わる「断り方」 とはいえ、「断ると角が立つので断りづらい」と思っている人がほとんど。

そこで、「断りの公式」を使うと、角が立たずに断ることができます。
断りの公式は、「謝罪(感謝)+理由+断り+代替案」です。

たとえば残業を頼まれた場合、
「すみません(謝罪)。
選んでいただいて大変ありがとうございます(感謝)。
本日、子どもの塾の送迎があるため(理由)、
残念ながらお引き受けできません(断り)。
明日の午前中でしたら終わらせることができるのですがいかがでしょうか(代替案)」

まず、謝罪(感謝)のクッション言葉をはさみ、理由を先に述べて、「結論」である「断り」はできるだけ最後に述べるといいでしょう。
同じ断るにしても、「断りの公式」を活用すると、誠意のある断り方ができます。
posted by 小だぬき at 07:39 | 神奈川 ☁ | Comment(0) | 社会・政治 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2018年09月17日

山谷ブルースに思うこと

山谷ブルース
     岡林信康 詩・曲
♪きょうの仕事はつらかった
あとは焼酎をあおるだけ
どうせ、どうせ山谷のどさ住まい
ほかにやる事ありゃしねえ

一人酒場で 飲む酒に かえらぬ昔が 懐かしい
泣いて泣いて みたってなんになる
今じゃ山谷が ふるさとよ

工事終われば それっきり お払い箱の おれ達さ
いいさいいさ 山谷の立ちん坊
世間うらんで なんになる

人は山谷を 悪く言う
だけど俺達 いなくなりゃ
ビルも ビルも道路も出来ゃしねえ
誰も解っちゃ くれねえか

だけど俺達ゃ 泣かないぜ
働く俺達の 世の中が
きっときっと 来るさそのうちに
その日にゃ泣こうぜうれし泣き♪
**************************
素朴な疑問を書きます。
かって「日本共産党への手紙」という書籍が 発行され、その内容に少なくとも党員であった私は共鳴しました。
11回大会だった時?に 議案の党内論争が別刷りで全党員に配布され 少数派に鋭い指摘もみられました。
この時が「共産党」の再生に重要だったと 今感じています。

本来は山谷ブルースの最後の詩にある世の中を作る一員になる決意で入党した人たちが 多くいた筈です。
でも中央の文書から「労働者」がへり「国民の支持を得て」との文言が多用されることで停滞し始めたと思います。
私たちの頃は、「選挙」と「大衆運動」を両輪として、「選挙」は大衆運動を盛り上げる一手段との意識でした。
だから全選挙区立候補で 当落より投票率・投票有権者数の拡大が目的でした。

国会活動では「反対しましたが 賛成多数で可決されました」結果は 本来の党路線から外れたものだと思います。
山本太郎君のような徹底抗戦が 共産党の本来の闘いのハズです。
志位さんは、多数決までどのような抵抗をしたのか、余りにも整然と紳士的に「多数決」を容認していないかと感じます。

96年の「輝く歴史」は、党員・支持者には ピンときません。
96年経っても 10〜20%弱の投票者、党員・赤旗の減少などは 党路線の誤りとは感じないのでしょうか??

野坂参三議長、金子満広書記長の時は、動員なしでも 多くの人が足を止めて演説に聞きいったものです。
また 過去に誤りがあったとしても100歳の野坂さん、袴田副委員長の除名の時の 罵詈雑言・人間性否定の赤旗記事やパンフには 党員でも「全否定と批判は行き過ぎ」と話したものです。

<党員>  
収入の1%の党費以外にも 赤旗購読・月刊「前衛」「学習」「労働運動(廃刊)」「各種パンフレット」、幹部著作などの購入費、党員としての加入組合費、各種カンバ(党建物、選挙供托金、他労組闘争支援など)、ただでさえ苦しい家計が「党員としての教養・義務」として徴収されるのです。
金銭的にも耐えられない党員や離党者が多いのではと思うのです。

また支部・班活動でも 職場の問題・活動方針を話し合う余裕がないほど 中央からの「党員拡大」「赤旗拡大」のウエートが大きかったです。
実質、教員党員は 公務員法に触れないように 前任地や前赴任校の名簿を頼りに「拡大」を図るのですが、負担は前任地・前赴任校の居住支部が配達・集金を担うのです。
私は「拡大英雄賞」として 中央委員会の名入りボールペン2本頂きましたが、思いは複雑でした。

<全労連ではなく 合同労組に>
労働分野でも 理不尽な扱いを受けた労働者が、自由に加盟できる「合同労組」での戦いを選ぶのかは きちんと分析した方がいいと思います。
多くは新左翼といわれる人達が幹部を担っています。
なぜかは明瞭で「最後まで加入労組員の立場で戦い抜く」という点です。

共産党執行部は 過去「突然のスト中止指令」や「成田闘争途中撤退」に限らず、地域問題などでも「権力の介入の恐れ」としてウヤムヤ解決が多くあります。

今こそ「党名」「綱領」「規約」「党員個々の負担軽減」などを 常任幹部会、書記局で真剣に論議して欲しいと思います。

少なくとも「山谷ブルース」の詩「働く俺たちの世の中」に希望が持てる党になって欲しい。
96年の歴史を きちんと「党勢拡大」ではなく「党勢後退」の現実から総括して欲しいものです。
posted by 小だぬき at 00:00 | 神奈川 ☁ | Comment(2) | 社会・政治 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

樹木希林が辺野古に現れた日

樹木希林が辺野古に現れた日!
米軍基地反対の座り込みをする
おばあの手を握って…
2018.09.16 LITERA(水井多賀子)

 樹木希林がとうとう亡くなってしまった。
数週間前から体調の悪化を報じられていたため、予感はしていたが、実際に訃報に接すると、大きな衝撃と喪失感を感じざるを得ない。
 それは彼女が役者として唯一無二の存在感を発揮していたからだけではない。
日本的な同調圧力に屈せずに自分のペースをつらぬく生き様や語り口が私たちに勇気を与えてくれていたからだ。

 また、樹木は芸能界で「政治的」と忌み嫌われるジャンルに踏み込むことも厭わなかった。
その典型が、2015年に東海テレビで放映された『戦後70年 樹木希林ドキュメンタリーの旅』だろう。
 樹木はこのドキュメンタリーでナビゲーター役を務め、残留孤児、原爆、特攻隊、沖縄戦など戦争の悲惨さについて、真剣に迫っていた。
 たとえば、残留孤児をテーマにした回では、笑福亭鶴瓶と対談。
樹木が「(戦争は)人間の世界で止めることができるはずなのに、そりゃ止めなきゃいけないですよね」と言うと、鶴瓶が「当たり前ですやん。そんなこと……なんのための戦争なんですか? なんのための……意味わからんな、ほんまに」と怒りを滲ませながら、安保法制の問題に自ら切り込む一幕もあった。

「国の言うことを、この歳になって信用したらあかんと思う、60過ぎてね、全部が国の言うことこれ、大丈夫かいなって思うようになるって……」
「いま、法律を変えようとしているあの法律もそうでしょうけど、それも含めて、いまの政府がああいう方向に行ってしまうっていうね、これ、止めないと絶対いけないでしょうね」
「これ、へんな方向に行ってますよ。
そら変えなあかん法律はいっぱいあってもね、戦争放棄っていうのはもうこれ謳い文句で、絶対そうなんですが9条はいろたらあかんと思うんですよね

 また、沖縄をテーマにした回では、辺野古の新基地建設に反対する人びとが集うキャンプ・シュワブのゲート前に現れ、座り込みを続ける86歳のおばあ、島袋文子さんの手を握り、語り合った。
 このこときは、樹木が沖縄の基地反対運動の現場に現れたことが大きな話題になったが、安保法制に賛成する夫・内田裕也は、樹木を批判。
ネットでは、内田に同調し、樹木のほうを非難する声も少なくなかった。
 2015年8月当時、本サイトでは、このときの経緯を記事にし、樹木の腹の据わったスタンスを高く評価する記事を書いている。
追悼の意味で一部を編集して再録するので、是非読んでほしい。 (編集部)
*小だぬき→辺野古基地建設は 沖縄に基地を増やすことにしかならない。普天間基地返還を米軍は確約していない。

●辺野古に出かけ反基地闘争を
激励した樹木希林に、
内田裕也が「ヤメロ」
 沖縄の基地問題をめぐって、ある夫婦がバトルの様相を見せた。
その夫婦とは、内田裕也と樹木希林夫妻。
2015年8月2日、内田がTwitterにこんな投稿をした。
〈オキナワの基地問題は本当に難しい!『安保条約』によって、米銀基地によって、日本は守られてきた。
KKさん、軽々しい発言はヤメロー!JOKEではすまされない。
祈る 正論!ROCK’N ROLL! 内田裕也〉(原文ママ)

 内田がイニシャルで名指ししている「KKさん」とは、明らかに樹木希林のこと。というのも、樹木は7月30日に辺野古の新基地建設を反対する人びとが集うキャンプ・シュワブのゲート前に現れ、大きなニュースになったばかり。
このことに対して、夫・内田裕也は反応したのだろう。

 それにしても、「ロケンロー!」「ラブ&ピース」が決め台詞で、ジョン・レノンの「パワー・トゥー・ザ・ピープル」を十八番にする内田が“日本は米軍基地によって守られてきた”と言い出すなんて、「あれ? ロックンローラーじゃなかったの?」という気がする。
 そもそも内田裕也は、若いころから“反体制”を謳ってきた人物である。
ベトナム反戦運動の高まりから生まれた伝説のロックフェス・ウッドストックにも多大な影響を受け、1974年には日本初の大規模ロックフェスとなったワンステップフェスティバルをプロデュースしたし、反体制を貫いた映画監督・若松孝二の作品にも多数主演してきた。

さらに、2014年の終戦記念日にはTwitterでこうもつぶやいている。
〈69回目の終戦記念日を迎えた!310万人の人が亡くなった!若者は戦争のあったこと、戦争の悲惨さを知らない。
SMAP、嵐、関ジャニ∞、AKB48、ももいろクローバーZ、きゃりーぱみゅぱみゅ、日本の人気者達、戦争のヤバさを一回くらい歌ってくれ!

樹木希林は基地の前で
座り込みを続けるおばあの
手を握り約束した
 体制に唾を吐き、“愛と平和”を口癖にし、「民衆に力を!」と高らかに宣言する歌を歌ってきた内田が、政府に虐げられ、この地に平和をと声をあげている沖縄に“基地移設は正論”と言う……。
これではロックンローラーの名が廃るというものだ。

 他方、そのロックンローラーの妻・樹木希林は、逆に夫よりもずっとロケンローしている。
 今回、樹木は東海テレビ制作のドキュメンタリー番組の収録のために辺野古を訪れたというが、彼女は事務所にマネージャーも置かず、自分自身で仕事を選び、現場に趣くのは有名な話だ。
しかも、今回収録した番組と思しき『戦後70年 樹木希林ドキュメンタリーの旅』(6回シリーズ/沖縄をテーマにするのは8月15日放送分)のHPによれば、その番組は沖縄戦にスポットを当てたもので、平和祈念公園の「平和の礎」を訪れる予定だとある。
これまでの樹木の行動力を考えると、今回、樹木は、スタッフも想定していなかった辺野古行きを自らの意志で決めた可能性も高いのではないだろうか。
 その日、辺野古のキャンプ・シュワブ前を訪れた樹木は、炎天下のなか基地移設反対を叫ぶ人びとの言葉に耳を傾けた。
そして、座り込み運動をつづける86歳のおばあ、島袋文子さんの隣に座り、「沖縄戦から辺野古問題までを熱く語」った島袋さんの手を握り、「辺野古問題を俳優仲間に広める」と応えたという(「News Watch」記事より)。

 樹木が熱い握手を交わした島袋さんは、今年の春、「女性自身」(光文社)の取材にこう話している。
「もし本土の人が沖縄は米軍部隊がいるから生活できているんでしょう、という感覚をいまだに持っているとしたら、それは大きな間違いです」

 本土の人間として米軍基地は必要だと沖縄の痛みも無視して言う内田裕也と、権力に抵抗する人びとを元気づけ、表現者として沖縄の声を届けようとする樹木希林。
そう考えると、樹木のほうが圧倒的に「ラブ&ピース」で「ロケンロー」だ。
posted by 小だぬき at 17:17 | 神奈川 ☁ | Comment(0) | 社会・政治 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2018年09月18日

ヤマト「引っ越し過大請求」に見る低いモラル

ヤマト「引っ越し過大請求」
に見る低いモラル
「組織ぐるみ」の不正も発覚、風土改革が急務
2018/09/18 東洋経済

木皮 透庸 : 東洋経済 記者
「全てのグループ会社において内部統制を含め、経営のあり方を見直していきます」
9月6日、ヤマトグループの社内サイトにヤマトホールディングス(HD)の山内雅喜社長のメッセージが掲載された。
傘下のヤマトホームコンビニエンス(YHC)の過大請求問題を受けたもので、信頼回復に全社一丸となり取り組む必要性を訴えた。

過大請求の根因は「商品設計」
ヤマトHDは8月末、この問題で、社外の弁護士らで構成される調査委員会の報告書を公表した。
過大請求額は総額約17億円。
そのうち約16%が悪意を持って見積額を上乗せしていたことや、一部では組織ぐるみの不正があったことも明らかになった。

調査委員会は「YHCは全社的に倫理意識が欠如していた」と厳しく指摘。
山内社長は「顧客の信頼を裏切り、深くお詫び申し上げる」と陳謝した。
YHCは7月の問題発覚後、法人向けサービスの受注をやめ、9月からは個人向けも休止。
最繁忙期の来春までの再開を目指している。

YHCの業績は今回の問題で6期ぶりに営業赤字となる見通しだ。
調査委員会は過大請求の根本原因として「商品設計の不備」を挙げる。
YHCの引っ越しサービスは、家財算出表に基づいて家財量をポイント化し、実際に運んだ量に応じ金額を修正して、請求する仕組みだ。

ほぼ全支店で過大請求
報告書によると、「運用が非常に煩雑で困難」
「マニュアルでは見積もり内容の修正をどのタイミングでどの方法ですべきか示されていなかった」という。
「見積もりの修正をしないことが当たり前になっていた」(ヤマトHDの大谷友樹常務)。
結果的に全国128拠点のうち、123カ所で過大請求が行われていた。

内部管理体制にも欠落があった
採算性についても商品開発段階で十分に考慮されてはいなかった。
YHCのサービスは家財量のポイントを料金の算出基準としているため、繁閑の差に合わせた見積もりが困難だった。
その中で繁忙期には割引率の高い法人案件が多いこともあり、採算確保のため、上乗せ見積もりが行われていた。
実際に中国統括支店傘下の支店長は「2トンだったら、3トンで見積もれよ」といった指示を出していた。
ある競合幹部はYHCの料金について「以前から高いと思っていた。引っ越しに力を入れている印象はなかった」と指摘する。

山内社長は「競争環境や人件費などが変化する中、価格設定の見直しができていなかった」と反省の弁を述べた。
ただ、問題は商品設計だけではない。
内部管理体制にも欠落があった。
過大請求問題を外部告発した元高知支店長の槙本元氏は「法人契約を全社的に管理・監督する本社組織が2012年になくなり、チェック機能が利かなくなった」と指摘する。

本社は商品設計を行うが、サービスの運用は現場に近い各統括支店以下に権限を委譲した。
その結果、「各支店が好き勝手にやるようになった」(槙本氏)。
高知支店はある法人顧客から今年4〜5月に121件の引っ越しを受注したが、119件で組織ぐるみの過大請求を行っていたと認定された。
高知支店を統括する立場にある四国統括支店長も黙認していた。
統括支店は全国に11あるが、東北、東京、関西、九州の各統括支店でも組織的な不正と見なせる水増しが確認された。

「グループの最底辺」と言われたYHC
YHCの引っ越しサービスは、宅配便の路線網活用を前提に法人向け長距離引っ越しをターゲットとして開発された。
槙本氏は、ヤマト運輸頼みの営業体制にも問題があったと指摘する。
「ヤマト運輸に営業力があるから、努力しなくてもいい。
受注は宅配便の顧客で取れるところから取ろう」。
YHCの元経営陣にはそんなことを言ってはばからない社長もいたという。

 後ろ向きなお詫び行脚
過大請求を行った企業へのYHCのお詫び行脚は今も続いている。
謝罪にはヤマト運輸の支店長クラスが同行しているようだ。
引っ越しと宅配便で法人顧客の基盤が重なっているため、宅配便の顧客離れを防ぐことが目的だろう。
ただ、「お詫びへの同行も上から下に押し付ける形で、もはやお詫びの内容や顧客の反応に興味はなく、何件行ったかということに力点が置かれている」(ヤマト運輸社員)。

別のヤマト運輸社員が閉口するのは、今回の問題での役員に対する処分の甘さだ。
一番重くてもYHCの前の社長2人の降格処分で、ほかは減給や役員報酬の自主返納にとどまる。

「グループの最底辺」と言われるYHCの低い地位とも無縁ではなさそうだ。
YHCの売り上げはグループの3%ほどにすぎず、ヤマトHDからの監視の目も行き届いていなかった。
分社化で設立されたYHCは社員の待遇は低く、グループ他社との人事交流はほぼなかった。
不正拡大を招いた企業風土の問題は根深い。
山内社長は全社の総点検を進めるとするが、実効性のある対策が取れるのか。
グループ79社で社員21万5000人にまで膨れ上がった巨大物流企業は岐路に立たされている。
posted by 小だぬき at 08:49 | 神奈川 ☁ | Comment(0) | 社会・政治 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2018年09月19日

メディアの災害報道に批判も

メディアの災害報道に批判も
報道陣への食事要求、
被災者への無神経インタビュー…
メディアの災害報道に問われるモラル
2018年09月18日 リアルライブ

9月6日未明に発生した北海道胆振東部地震は、激しい揺れを伴い、長時間にわたる停電や土砂崩れなど住民に甚大な被害を与えた。
 そんな中、「二次被害」として問題化しているのが、マスコミによる被災者感情を無視した取材や、その傲慢な行動である。
北海道胆振地震では、あるTwitterユーザーが
「取材班に携帯を見せろなど、今の心境どうなのって、人間のやることじゃない。
炊き出しに来てる人の邪魔ばっかりしている」と発言。

 さらにメディアが炊き出しをしていた同ユーザーに対し「報道陣にご飯はないんですか?」と話したエピソードを紹介。「お前らに食わせるために炊き出しをしているわけではない」と批判した。

 北海道地震ではテレビ朝日系の「北海道テレビ」の女子アナが取材中に液状化した泥に足を取られ、正午から午後5時半頃まで救急隊に手間を取らせた事案も発生。
「迷惑をかけるな」「邪魔するな」と猛批判を浴び、その報道姿勢を疑問視する声が噴出した。

 マスコミの被災者感情を無視した取材も相変わらず。
西日本豪雨では『スッキリ』(日本テレビ系)の阿部祐二レポーターが行方不明の家族を必死で捜索する母親に対し無神経とも思えるインタビューをし、各所から怒りの声が上がった。
熊本地震・大阪地震でも甚大な被害を受けた人に対し「どんな気持ち?」と質問する報道陣が相次いだ。

 さらに最近はTwitter上で被害の様子を伝える動画・画像を公開したユーザーに対し、「画像や動画がほしいからフォローして連絡をくれ」と被災者の現状を考えず自己の利益追求のために素材提供を迫る行為も横行。
「マスゴミ」と揶揄されても致し方ない状況だ。

 ワイドショーなど情報番組のバラエティ化で、災害をも視聴率のタネとし、面白おかしく報じるテレビ界。
被害を報じることで救える命や、支援の輪が広がることも事実ではある。
しかし災害時にはヘリコプターの音で助けを求める声がかき消される、メディアの車で渋滞が発生し救援物資が届きにくくなる、被災地のガソリンや食料を報道陣が横取りするなどの事例が報告されており、「被災者の邪魔」になっていることもまた事実である。

 テレビメディアはそんな批判も「どこ吹く風」。
まるで「報道バラエティ」として取り扱っているという見方もあり、その信頼性は低下するばかりだ。
 本来、地震の被害状況をテレビメディアがこぞって報道する必要性はない。
レポーターが現地に乗り込み、被害を報告することは被災した人々の感情を逆なでする行為だ。
災害が起こった際はスタジオから被災者にとって有益な情報を発信しながら、視聴者に支援を訴えることが本来の役割ではないだろうか。

 少なくとも被災し家族や家を亡くした人に「どういう気持ち?」と聞き、貴重な食料を奪うような行為は慎むべきだ。
そして自分たちの行動も「二次災害」となっていることを自覚する必要があるだろう。
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2018年09月20日

なぜ警備ビジネス業界は拡大が続くのにブラック企業だらけなのか

なぜ警備ビジネス業界は
拡大が続くのに
ブラック企業だらけなのか
2018.9.19 ダイヤモンドオンライン

福田晃広:清談社
街を歩けば、オフィスや商業施設、工事現場など、いたるところで目にする警備員の存在。
多くの人が知っているようで知らない警備ビジネスの実態を、仙台大学体育学部准教授で、著書『警備ビジネスで読み解く日本』(光文社新書)がある田中智仁氏に聞いた。
(清談社 福田晃広)

セコム誕生は1962年
東京五輪が警備業界拡大の契機に
 2018年7月、警察庁が公表した「平成29年における警備業の概況」によると、2017年12月末時点で日本全国の警備会社数は9548社で、警備員数は55万2405人。
ここ数年、わずかではあるが増加傾向にあり、警備業界の拡大は続いているといっていいだろう。

  日本の警備会社の草分け的存在である「日本警備保障」(現・セコム)が設立されたのは1962年、高度経済成長期の中盤だった。
日本人の働き方が大きく変化し、自営業者と家族従業者が減少、代わりに被雇用者が増えて、サラリーマンが一般化した時代だ。
当時の警備業務の実態について、田中氏はこう説明する。
当時の主な警備業務は、オフィスビルや工場などの施設警備と巡回警備でした。
しかし、守衛や宿直は専門的な警備技術を体得していない人がほとんどで、警備体制は脆弱。
そこにビジネスチャンスが潜んでいたのです」(田中氏、以下同)

 警備会社の存在が注目されるようになったのは、1964年の東京オリンピックで、選手村などの警備に当たったことによる。
さらに翌年にはテレビドラマ『ザ・ガードマン』が大ヒットしたことで、警備業という仕事の知名度は急上昇したといわれている。

「人や財産を守る」警備員なのに、
約4割が高齢者という矛盾
 現在、日本の警備会社の業務は警備業法第2条で、大きく4つに分けられている。
施設を守る1号警備業務、
不特定多数の人や車両を誘導する2号警備業務、
貴重品や危険物を運ぶ3号警備業務、
依頼者の身辺を守る4号警備業務だ。

 前述のように、警備業界の規模は拡大し続けているが、課題も多いという。
警備業務の目的は「人の生命、身体、財産などを守る」ことだが、現状では警備員の約4割が高齢者であると田中氏は指摘する。
「なぜ高齢者が多くなるかといえば、『守衛の系譜』と『年金問題』が挙げられます。
もともと施設警備を担っていた守衛は、多くが定年退職者の再雇用。
高齢の人でも対応できる業務内容が想定されていたので、警備員へ置き換えられても、ほぼそのまま存続しています。
また、年金だけでは生活できない高齢者が急増していますので、人手不足が深刻な警備会社がその受け皿になり、雇用せざるを得なくなっているのです」

 また他の業界に比べて、労働条件が劣悪といわれており、契約内容や会社によって細かな違いはあるものの、長時間労働、昼夜逆転の生活を強いられている警備員も少なくないという。

「約9割の警備会社が中小企業で、つい5年ほど前の調査では、主に交通誘導の警備業務を行なっている警備員の約半数が社会保険未加入という実態も明らかになりました。
人手が足りてないため、休暇も取りづらく、心身の健康を害する警備員も潜在的にも多いと予想されます。
給与水準には徐々に改善の兆しが見えつつありますが、改善すべき点は多い」

 田中氏が指摘するように、警備業界は企業規模、給与水準、健康状態の格差が大きい
この格差をいかにして解消していくかが問われていくことになる。

AIやロボットの進歩だけでは
警備員はますます窮地に
「将来的にはAIや警備ロボットなどの技術の進歩によって、そもそも警備員の存在すら不必要になるのではないか」と思われる読者もいるかもしれない。
このもっともな疑問について田中氏は以下のように答える。
「AIや警備ロボットの方が人を雇うよりもコストが安くなれば、人的警備の淘汰が進むことが予想されます。
ただ、警備会社の多くは中小企業のため、コスト面からAIや警備ロボットを導入できない可能性が高い。

もし一部業務で導入したとしても、それらのコストと同等になるように警備員の給料を下げることが予想され、生活に困窮する人が続出することもあり得るし、当然ながら警備の質の低下も避けられません

 田中氏によれば、現在、2020年の東京オリンピック・パラリンピックに向けて、AIや警備ロボットを活用した警備方法が試行されているが、警備員の専門性を伸ばそうとする動きは見られないという。
 これまで警備業界では、業務別教育を行なって警備員の専門性を向上しようと取り組んできた。
ところが現在は、AIや警備ロボットにばかり熱心に取り組んでおり、警備員に対してはこれまでとは真逆の方策を取っているというわけだ。

このままでは、「専門性が低くて貧しい警備員」と「高性能なAIや警備ロボット」の二極化が進むことは避けられないと田中氏は危惧する。
 ちまたでは「AIに仕事を奪われる」ことが話題となっているが、警備業界はその最たる業種の1つともいえる。
多くの他業種と同様、合理化が進む時代にあって、警備ビジネスも大きな転機を迎えているのかもしれない。
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2018年09月21日

八代弁護士とせいじが消費税で「たかだか2%」の暴論

八代弁護士と千原せいじが
消費税で「たかだか2%」と
暴論はき総スカン!
遙洋子は八代に
「権力に従順な男やのぉ」
2018.09.20 LITERA編集部

 安倍応援団やネトウヨコメンテーターがやたら幅を利かすようになった最近の情報番組やワイドショー。
なかでもその傾向が強いのが関西ローカルの番組だろう。
全国放送ではやや保守的という程度の発言しかしないコメンテーターが、関西ローカルでは露骨な安倍首相礼賛やヘイトまがいのセリフを連発しているというケースも少なくない。

 しかし、先日、その関西の情報番組で、調子に乗りすぎて総すかんを食らってしまったコンビがいる。
弁護士の八代英輝と、千原兄弟の千原せいじだ。
 東京のワイドショーなどでも安倍応援団ぶりやネトウヨ的言動が有名な二人だが、ともに15日放送の『胸いっぱいサミット!』(関西テレビ)に出演、そこで消費税について、国民を馬鹿にしているとしか思えない暴論を口にし、共演者、スタジオの観客、さらにはSNSでも、ブーイングの嵐を浴びてしまったのだ。

 問題発言があったのは、番組内コーナー「関西人が選ぶ えらいこっちゃニュース!」でのこと。
1位のニュースとして、自民党総裁選が大きく取り上げられ、まず、パネリストの東国原英夫が、石破候補が100%勝つ見込みがないことを解説すると、出演者の橋本マナミが「えーーっっ、なんで!? 森友加計問題とか、もうまったくなかったことみたいになってますよね」と疑問の声を上げる。

さらに遙洋子も、14日に行われた総裁選討論会について「安倍首相はしゃべりがうまい」と一応もちあげたのち、こんな批判を展開した。
「でも上手でイラッときたのが、日本のほうがアメリカよりも女性の雇用率は高いんですよと(安倍首相が言ったこと)。
いやでも実際、非正規がめちゃくちゃ多いじゃん。
貧困多いじゃんっていうことは一切しゃべらない。
そして女性はいろんなライフスタイルに向けて、いろんな働き方が選択肢としてあっていいみたいな美談として語っている。女が望んで仕事辞めたりパートに復帰したりとかやってるかどうかわからないじゃないですか。
でもそれが女の働き方の成功例のように彼は発言した。
対して石破さんがおっしゃったのは、虚心坦懐、女性の意見を聞こうよってこと。
だから女性の意見を聞くことから始めると。
どっちに説得があるんやといったら石破さんじゃないですか」  

 もっとも、この女性の雇用問題については、さすがのせいじ八代英輝も何か言うとまずいと思ったのか、不機嫌そうな顔をしながらも口を挟まず、おとなしくしていた。
 だが、話題が消費税10%増税に話題が移り、スタジオで、安倍首相による「消費税増税分の半分を子育て世代に投資し教育無償化を実行する」との総裁選公約が紹介されると、徐々に雲行きが怪しくなる。

 このときも、最初は安倍政権への批判が中心だった。
東国原が「約束違反だからね。これは全部社会保障費だったんで、もともと」と突っこむと、他の出演者も次々と消費増税に異を唱えていた。
 橋本マナミ「上がるっていうこと自体が、もう意味がわからないです。
(中略)私もお金がない時期がけっこう長かったんですけど、(国民は)すごい切り詰めているんです。
だから消費税が上がることによって、やっぱり消費が減ると思うんですね。
全体的な。
そうしたら経済もまわらなくなるし、本当にいいことが全然ないと思います」

 デヴィ夫人「助成金とかなんとかも非常に無駄遣いしているところがたくさんあるじゃないですか?
 それからやっぱりトヨタとかソフトバンクとかオリックスとか、ものすごい大きな大会社から取るのはいくらでも取っていいと思うんですけれど」
 東国原「その関連でいえば、法人税プラス内部留保がすごいじゃないですか。
内部留保税というのを考えたほうがいいと思うんです」
 「その前にするべきことがあるんじゃないですか。
議員さん領収書なしで経費が使えるだとか、立候補者減らしましょうねって言ってるのに増やす方向に行ったりだとか、その前にすることがあるやろう!」

八代弁護士が消費増税を「だって8から10に変わるだけですよ」

 デヴィ夫人までが弱者の側に立つとはびっくりだが、いずれも正論すぎるほどの正論である。
しかし、ここでせいじが議論に割り込んできて、こうまくしたてたのである。
「それはもう3%になる頃からね、言うてきたことで、(いまでも)なおらないということは、なおらないんですよ。
だからそんなもうね。
そんな無理なことは無理やって諦めましょ」
「いや無理やもん。消費税が3%になったの何年前? 80なん年? あのときからなおらん。
30年待ってなおらなへんものはなおらへんで、そんなもん」

 つまり、消費税3%が導入された1989年から、消費税とその使い方をめぐり政府への批判は存在した。
でも未だに何も変わらないんだから、もう諦めて10%への消費増税も受け入れろ、ということらしい。

この発言には出演者だけでなくスタジオの観客からも「えーっ!!」と声が上がった。
 しかし、もっと唖然としたのが八代の発言だった。

東国原が「軽減税率が必要で、日用雑貨にはかけない、それが最低限の条件ですわ」と、消費増税での軽減税率の必要性を主張すると、八代は、訳知り顔でこう反論したのだ。
「でもね、そのたかだか2%にその軽減税率が使うほうがコストが……」

 2%増を「たかだか」って、いったいこの男はどういう神経をしているのだろう。
しかし、これ、たんに口をすべらしたわけではなかったらしい。
東国原が「だめ、軽減税率は絶対! 導入しなきゃだめ」と反論すると、八代は再びこう言い放ったのだ。

「だって8から10に変わるだけですよ」
 これにはスタジオの観客からも「えーーーっっ!」との大きな声があがり、東国原橋本は「あなたは金持ちだから」「これが八代の正体です」などと批判、スタジオ中が騒然となった。

 しかしそんな八代に同調し、助け舟を出したのが、せいじだった。
「でも、俺、先生言う通りで、たかだか2パーよ」
「『ええっ』て(言うけど)ドーナツ2個やめたらええねんって」
「あほみたいにドーナツ食ってるからや。
ほんま、もう」

遙洋子八代弁護士に「権力に従順な男」「長いものに巻かれて生きてこられた」
 消費税2%増をドーナツ2個にたとえるせいじはどうかしているとしか思えないが、これに対し、
が「いかに(お二人が)お小遣いを潤沢にもらっている立場にあるかですよ」と皮肉をかましたうえで、庶民にとってはけっして「たかが2%でない」ことを説得力をもって語り始める。
なんでみんなポイントカードやTカードとかいろんなポイントカードで財布が膨らんでいるのかっていうと、1%、2%のサービスを追い求めて、財布ポイントカードでパンパンになっているわけですやん。
そのなかでまで2パーあげるってどういうこっちゃ!

 このの意見にスタジオの観客からは拍手が湧き上がるが、しかし、せいじと八代は引き下がらない。
せいじは「それ(ポイントカード)入れるから、さらに擦れてまた財布、買い替えなあかんやろ?」と混ぜ返し、「ほんま俺、思うんやけどな。10%でええと思うで」
「計算しやすいからええやん! なにも変わらへんで2%で」などと、「たかだか2%」を主張し続ける。

 さらに八代にいたっては、こんなとんでもないことを言い出した。
「法律で決まっているんです、私たち代表で選挙でしか意見を言えない。
その選挙で選んだ人たちが決めたことを、なんで私たちが今度反対するんですか」

 開いた口がふさがらないとはこのことだ。ようするに、選挙で選ばれたんだから、安倍政権のやることに一切反対するな、と言うのである。
言っておくが、選挙で選ばれたというのは白紙委任されたということではないし、国民には憲法で選挙以外のさまざまな政治意思の表明の形が認められている。
こんな民主主義の基本原則すら無視するとは、この男、ほんとうに弁護士なのか。

 しかし、この八代の暴言については、本サイトが怒るまでもなかった。スタジオでも八代に対して非難の声が殺到したのだ。
 からは「なんで愚直に従わなきゃいけないんですか。権力に従順な男やのぉ!」
「長いものに巻かれて生きてこられたんですね」と鋭いツッコミが繰り出され、
東国原には「(自民党への投票数は)たかだか2000万人くらいですよ。
そのなかでも半分は(消費増税)反対ですよ。
だから選挙で選んだその政党が正義であるというのは考え方、ちょっとおかしいよ」と完膚なきまでに反論されたのだった。

千原せいじは「番組でこちょこちょしゃべっても、変わるか!」と開き直り 
 その後も、この“ネトウヨ・コンビ”は「これ(議員減数)やってからじゃないと税金あげられないというのは話が違うと思いますよ」(八代)、
「結局ね、国民に興味がないんですよ。
だからやってないことだけはツッツクけど、やってることに目がいかないという。もうそらもう」(せいじ)などと、安倍政権の消費税政策擁護を繰り返していたが、もはや、なんの説得力もなく、負け犬の遠吠えにしか聞こえなかった。

 実際、放送終了後は、SNSでもふたりへの批判が殺到。
「なめとんのか!!!」
「お前絶対アホやろ、ノー味噌腐っとるやろ」
「なら所得税あげて払えるあなた方が払ってよ」
「二人とも、本当にオメデタイ。お花畑とはこのこと」といった批判の声があふれた。

 八代やせいじはきっと「関西の番組だから、多少乱暴なことを言っても大丈夫」と考えていたのだろう。
実際、ふだんは露骨な安倍政権礼賛やヘイトまがいの中韓批判を口にしても、ここまで炎上することはない。
しかし、今回は、消費税というテーマで、庶民の懐具合をまったく理解していないどころか、国民を馬鹿にしていることがバレてしまったのだ。
反発を招かないわけがない。

 おそらく、空気を読むことに長けている八代あたりはさっそく軌道修正して、消費税に対しては慎重になるかもしれない。もちろん、全国放送の『ひるおび!』(TBS)では、絶対にこういうことは口にしないだろう。

 しかし、この弁護士が「たかだか2%」という特権意識と「政権の決めたことに文句を言うな」という反民主主義的思想の持ち主であることを、視聴者はゆめゆめ忘れてはならない。
 それにしても、八代といい、せいじといい、なぜこんなネトウヨみたいな質の悪いコメンテーターばかりが重宝されるのか。
ちなみに、せいじはこの討論の最後、「だから変わらないって。こんな番組でこちょこちょしゃべってたって、変わるか! そんなの!」と捨て台詞をはいていたが、
視聴者の多くはきっと、「だったら、おまえが小銭稼ぎでこちょこちょしゃべるのをやめろ」と突っ込んだに違いない。
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2018年09月22日

サマータイム、安倍政権の政治的意図

サマータイム、
安倍政権の政治的意図
2018.09.20 Business Journal

文=小笠原泰/明治大学国際日本学部教授

 サマータイム導入の可否をめぐり議論が盛り上がっている。
欧州では、9月12日にEUのユンケル欧州委員長が、EU加盟国が一律に採用しているサマータイム制度を2019年に廃止する法案を欧州議会と加盟国の理事会に正式提案した。

これを受けて、導入をゴリ押ししようとする自民党は翌13日、サマータイム導入を前提とした議員連盟を、導入を前提としない研究会に格下げし、法案提出の目標時期も今秋の臨時国会から先送りした。

 ことの発端は、安倍晋三首相が8月7日、東京オリンピック・パラリンピック競技大会組織委員会委員長の森喜朗元首相と会談した際、サマータイム制度導入の提案を受け、自民党に検討を指示したことだった。
以降、「健康に悪い」「残業が増える」「EUでもサマータイム導入の見直しが始まっているのに世界に逆行している」といった指摘が多数なされている。

 本稿では、サマータイム導入の政治的意図や、グローバル化する日本社会への影響など多面的な観点から論点整理を行ってみたい。

今回のサマータイム導入の論点を整理すると、以下の6点になるのではないか。

・猛暑の夏に開催する東京五輪・パラリンピックへの対応
・サマータイム導入の政治的意図
・現行のサマータイム案
・導入国からみた日本におけるサマータイム導入の必要性
・海外との関係で考えるサマータイム導入
・反対意見の論調 猛暑の夏に開催する東京五輪・パラリンピックへの対応

 今回のサマータイム導入議論は、2020年の東京五輪が念頭にある。
酷暑の時期の開催なので、マラソンなど屋外競技をより涼しい時間帯に行おうという目的である。
しかし、酷暑対策であるならば、坂村健東洋大教授も指摘するように、単に競技の開催時間を早めれば良いだけである。
選手には前もって周知し、競技場へのアクセスとなる公共移動手段の始発をこの期間だけ早めれば済むことである。
 つまり、東京五輪の酷暑対策として、サマータイムという社会全体に大きな影響を与える制度を導入する意義は、まったく不明である。

サマータイム導入の政治的意図
 では、合理性のないサマータイム導入が、なぜ議論になっているのか。
それは、東京五輪を酷暑の夏季に開催することに対する海外での不評という外圧を利用してでも、サマータイムを導入したいという政治的意図があるからである。
これがサマータイム導入の一番大きな理由であろう。

自民党にとっては、
サマータイム導入は悲願
サマータイム導入はこれまで、1995年、1999年、2005年、2011年の4回試みられていたが、すべて法案提出は断念され、失敗に帰している。
この意味では、自民党にとっては、サマータイム導入は悲願なのであろう。

 実は日本でもサマータイムを導入していた時期がある。
敗戦後の占領統治時代の1948年〜1951年までの3年間、GHQ主導で導入していた。夏時刻法という法律を制定し、標準時刻に1時間を加えたタイムゾーンを採用し、5月の第1土曜日から9月の第2土曜日までの期間を夏時間としていた。
1952年の講和条約発効前に、この夏時刻法は廃止された。

諸説あるが、廃止の大きな理由は、当時の日本では人口の大半は農業で生計を立てる農家であり、太陽の動きに合わせて生活をしてきた彼らは、夏時刻による1時間の時間変更に馴染めず不評であったというのが廃止の最大の原因といわれている。

 では、自民党が執着するサマータイムの導入目的とはなんであろうか。
それは、省エネと経済効果であるようだ。
省エネに関しては、エアコンの利用が広がった今、サマータイムを導入しても省エネどころかエネルギー消費が増えるといわれているので説得力はない。
 もう一つが、日没の時間が遅くなることによる経済効果である。
しかし、“飲み屋”での消費が大きい日本では、夜の時間の短縮は経済的にマイナスの効果をもたらす。
明るい時間を長くすることで日中の消費が増えたとしても、当然、その分だけ夜の時間が短くなり夜の消費は減る。
時間当たりで日中消費のほうが夜の消費よりもよほど大きくない限り、大幅な消費増にはならないであろう。
つまり、大きな経済効果は期待薄といえる。

 しかし、経済成長がお題目の政治家にとって重要なのは、「経済効果がある」と主張することなのである。
政治家と官僚(特に経産省)が「日本のGDPを伸ばすには、その6割近くを占める個人消費を増やさなければならない、それが我々のミッションである」と考えているのであろう。
不発に終わったプレミアムフライデーも、この発想がベースにある。
経産省としてはあの手この手で個人消費を増やすのに必死であり、そこでサマータイム導入の議論に飛びついたといえよう。  

経産省にとっては、「経済成長のために矢継ぎ早に経済対策をしています」と国民に見せることが重要なのであり、その対策が実際に経済効果をもたらすかは彼らにとって重要ではない。
実際、政策失敗の屍が累々であるが、その責任を取ろうとは露ほども思っていない。

現行のサマータイム案
以上のように省エネと経済効果が不確かななかで、システムリスクと高い社会的コストを伴うサマータイムを導入するのは説得性に欠ける。
しかし、政治家は突き進むのである。
日本の政治家は、消費税の軽減税率といい、合理性を欠き目先の人気取りのために将来に禍根を残すことを平気で行うのである。
国民としては、そのような政治家に投票し続けるのはもうやめるべきではないか。

 8月6日付産経新聞によると、現在、政府と与党で検討されているサマータイム案では、夏に時間を2時間繰り上げる夏時間を、2019年と2020年に2年間限定で導入する方向のようである。
そして繰り上げ期間として、「最も暑い6〜8月を軸に数カ月間だけ2時間繰り上げる方向で検討に入った」とある。
もしこれが本当なら、政治家の発想を疑わざるをえない。

 まず、2時間繰り上げは、世界に類のない異常な繰り上げである(例外として、連合国占領下のドイツで1945年と1947年に2段階のサマータイムを実施)。
医師でなくとも健康に悪いというのはわかる。
また、6〜8月を軸に数カ月間というのも合理性がない。
欧米では、明るい時間帯を長くするためにサマータイムがあるので、約7カ月(2018年は3月25日から10月28日)、北米では約8カ月(3月11日から11月4日)である。

実施国を見ている限り、数カ月ではサマータイム本来の意味がないと思われる。
さらに、2年間の限定導入というのも理解できない。
もし、本当に2年間の限定導入というのであれば、コンピュータのシステム改修の多大なコストと手間とリスクをどう考えているのであろうか。

 以上、サマータイムをめぐる議論の政治的な文脈を総括したが、自民党が検討を進める現行案は議論するに値しないといえる。
次回は、より本質的な意味での日本社会におけるサマータイムの必要性について考えてみたい。

ニュースサイトで読む:
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2018年09月23日

<安倍政権に注文する>強引な改憲に走るな

<安倍政権に注文する>
強引な改憲に走るな
2018年9月22日 東京新聞「社説」

自民党総裁に連続三選された安倍晋三首相は、憲法九条への自衛隊明記を含む改憲に強い意欲を燃やしている。
 記者会見でも「総裁選の最大の争点だった。
結果が出た以上、大きな方針に向かって一致結束して進んでいかなければならない」と語った。

目標は二〇二〇年の新憲法施行である。
総裁の任期は二一年九月までの三年だから、自分の任期中で念願の憲法改正を達成したいのだろう。
 今秋に召集される予定の臨時国会で早くも党改憲案を提出し、連立与党を組む公明党と協議を進める方針という。

施行の年を区切っているのだから、何とも急ぎ足であるのがわかる。
 国の最高法規であり、戦後日本の平和主義にかかわる規定だ。
スケジュールありきで改憲を進めてならないのは当然である。

 そもそも首相の九条改憲案は昨年五月にビデオメッセージの形で唐突に提案されたものだ。
戦力不保持などを定めた九条二項を維持したまま自衛隊を明記するという案である。
これは一二年の自民党改憲草案とは全く様相が異なる。

確かに首相の改憲案は衆院選の公約でもあったし、党大会でも決議されている。
 だが、総裁選を戦った石破茂氏はこれに「反対」と明確に唱えていた。
憲法改正推進本部長代行の船田元氏も「首相の改憲への姿勢に同調できない」とし、総裁選で抗議の白票を投じている。
自民党内でも意見が分かれているのが実態ではないのか。

 さらに公明党に至っては、山口那津男代表が「憲法改正の優先順位が高いとは言えない」とくぎを刺している。
与党内でも足並みがそろわぬ現状である。
 国民の意見はどうか。どんな世論調査でも九条改憲には「反対」の声が上回っている。
国民が積極的に望んでもいない改憲に首相が前のめりになるのはおかしい。

 改憲の動機が何なのかも不明瞭である。
「自衛隊の違憲論争に終止符を打つ」などと語っているが、激しい論争のある現状ではない。
違憲論はあくまで憲法学者の学説である。
 政府は自衛隊発足時から合憲説をとり、それが定着している。
国民も自衛隊に対し、反目しているわけではない。

 九条の平和条項を変えれば、軍事国家への道になるかもしれない。
九条改憲には軽々に踏み込んではならない。
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2018年09月24日

加藤浩次が五輪批判に「外野がウダウダ言うな」

加藤浩次が『スッキリ』で
東京五輪ボランティア批判に
「外野がウダウダ言うな」…
“五輪無罪”同調圧力の典型
2018.09.23 LITERA編集部

 9月26日から東京オリンピック・パラリンピックにおける大会ボランティアの募集がいよいよ始まる。
 ボランティアに関しては募集要項の案が出た時点で
「10日以上かつ1日8時間以上という拘束時間」
「交通費や宿泊費すら出ない」
「医療従事者や通訳など専門性の高い仕事までボランティアの枠内に含まれている」といった数々の問題を指摘されていたが、結局是正されることになったのは交通費の問題ぐらいで、ほぼそのまま強引に押し通されるかたちとなった。

 しかし、改善された交通費も1日あたり一律1000円しか支給されないため、これではとても足りない。
往復の電車賃の一部(もしくは大半)を自己負担しなくてはならないボランティア参加者は続出することだろう。

 そんななか、9月14日放送『スッキリ』(日本テレビ)での加藤浩次の発言が一部で話題となっている。
 この日の『スッキリ』では、「東京五輪ボランティア無償は問題ある? ない?」と題したコーナーが放送された。
この企画は、ボランティアをめぐる賛否の議論をVTRにて紹介したうえで、スタジオにいる出演者が各々「賛成」と「反対」に分かれてコメントを言うという構成で放送されていたが、その討論のなかで「問題ない」派の加藤浩次は、東京オリンピックのボランティアに異論を唱える世間に対し、「外野がウダウダ言ってんじゃねえよ」と激高したのだ。

 自身の発言の番になった加藤はまず、「議論する意味がないと思っています。
まず、募集かけて人数が足りないってなってないのよ。
募集まだかけてない時点で、『その契約の条項がおかしい、お金くれ』って、『じゃあ、お前やんな』と。
『いいよ』と。11万人集まればいいわけでしょ、そこで集まったら誰も文句ないじゃない」と怒りをあらわにしたうえで、このように語った。

「自分の経験になるかもしれない、各国の人と喋れるかもしれない、そして、自分のスキルを上げたいという気持ち、さらに、お祭りを盛り上げるひとつのパーツになって楽しみたいっていう、こういう気持ちがボランティアでしょうよ。
それで『お金くれ』っておかしいって」

 加藤は「ボランティア=無償」という前提で論を進めているが、賃金の発生する「有償ボランティア」というかたちは一般的にいくらでもある。
 なので、「『お金くれ』っておかしいって」という意見がおかしいのだが、加藤は続けて「本当に11万人まったく集まんなかったら、その議論は必要だと思う。

いまの時点でお金をあげるっていう、意味がわかんない。
まったく意味がわかんない。
ボランティアなんだもん。
やりたいって方が一生懸命やって」と語り、本当に切羽詰まったときにお金の話を考えればいいと提案した。
この男はなにを言っているのか。
人が集まるから金が不要とか、集まらなかったら考えろ、とかそういう次元の話ではない。

いま、批判されているのは、善意につけこんだ搾取構造なのだ
 しかし、加藤がさらにひどかったのはその後だった。

今年2月に行われた平昌オリンピックの会場で、日本から来たボランティアスタッフにも出会い、彼らは交通費や宿泊費も自費で来ていたと語りながら、このように叫んだのだ。
「それ以外の外野がウダウダ言ってんじゃねえよって思うな、俺は」
 もはや呆れるしかない。

「外野がウダウダ言ってんじゃねえ」と言い出したら、ありとあらゆる社会問題に関する議論が成り立たなくなる。
曲がりなりにも『スッキリ』というワイドショーでキャスターをやっている人間が、こんな言葉を口にするとは……。

「徴兵」「学徒動員」を想起させる
文科省、スポーツ庁の各大学への通知  
それにしても、普段は芸能人のスキャンダルや炎上騒動で散々外野から辛辣なことを言っている加藤が、なぜこんな暴論をはいたのか。
 その背景には、明らかに「オリンピック開催に関して文句を言う人間は非国民」
「オリンピックのためなら市民生活を犠牲にすることも許される」といった、いわゆる「オリンピック無罪」の考えがある。  

事実、オリンピックのボランティアをめぐっては、すでに現段階から加藤の言う「気持ちがボランティアでしょうよ」「やりたいって方が一生懸命やって」の範囲を大きく越え、むしろ、「徴兵」「学徒動員」とでも言うべき状況になりつつある。  

まず、文科省とスポーツ庁が全国の大学と高等専門学校に対して、学生を東京オリンピックのボランティアに参加させるため、大会期間中は授業や試験をやらないよう通知を出した。
 東京オリンピックは7月24日から8月9日にかけて行われ、パラリンピックは8月25日から9月6日まで行われる予定。
通常であればこの時期は試験期間と重なる。

 そこで文科省は、すべての大学、高専に、授業や試験がこの大会期間と重ならないよう、対応を促した。
実際、NHKの調べによると、都内にある大学119校のうち79校は、生徒のボランティア参加を促すため、該当期間に授業や試験などを行わない予定であるという。
 また、ボランティアへの参加を単位として認める大学も出てきた。
すでに決定をくだしている学校はわずか4校だが、検討している大学は55校にものぼっている。

『スッキリ』のなかで加藤は、ボランティアへの参加を「気持ち」と表現した。
しかし、大学生にとって単位が発生するということは正規の授業に準じるものであり、これでは強制とたいして変わらない

企業にも東京五輪組織委から
ボランティア動員のノルマが
 また、「オリンピックのため」の滅私奉公が呼びかけられているのは学生だけではない。
会社員もだ。
 東京都オリンピック・パラリンピック準備局大会施設部が、
「大会期間中は休暇をとってほしい」
「ボランティア休暇制度をつくってほしい」などと要望しているが、スポンサー企業はさらに“ノルマ”を課せられるようだ。

 2018年9月12日付「日刊ゲンダイDIGITAL」によれば、東京2020オリンピックゴールドパートナーの富士通は、東京五輪組織委員会から300人のノルマを課せられたという。
また、同じゴールドパートナーの三井不動産にも300人のノルマが課せられていると報じられている。

「日刊ゲンダイ」の記事では、富士通の広報担当に話を聞いており、担当者は「300人の社員をボランティアとして送るだけでも、業務のバランスを考えたり、周囲の協力を得なければならない状況です。
これ以上の人数がボランティアに割かれるとなると業務上の支障が出かねません」と証言している。

しかも、富士通では、ボランティア参加者は積み立て休暇や有休を利用することになるという。
 加藤は「『お金くれ』っておかしいって」と言うが、はっきり言って、この状況のほうがよほどおかしいだろう。

 昨年夏、東京オリンピック・パラリンピックの開会式および閉会式の基本プランを作成する「4式典総合プランニングチーム」の一員である椎名林檎が「国民全員が組織委員会」なる言葉を口にし多くの批判を浴びた。
 しかし、オリンピックに異を唱える者や、大会のための滅私奉公に文句を言う人間を「非国民」のように扱う風潮は、さらに加速している。
 このように同調圧力をまん延させ、全体主義的な社会にしてまで、東京オリンピックは開催しなければならないものなのだろうか。それこそ「おかしい」だろう。
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2018年09月25日

何をやっても無駄。人がネガティブ思考に陥る本当の理由とは?

何をやっても無駄。
人がネガティブ思考に
陥る本当の理由とは?
2018年09月24日 SPA!

いまの仕事楽しい?……ビジネスだけで成功しても不満が残る。
自己啓発を延々と学ぶだけでは現実が変わらない。
自分も満足して他人にも喜ばれる仕事をつくる「魂が燃えるメモ」とは何か?
そのヒントをつづる連載第68回
 信念というと、「一つのことをやり抜く」といったポジティブなイメージがあるかもしれません。
しかし思考には「ポジティブ思考」と「ネガティブ思考」があるように、信念にも「ポジティブな信念」と「ネガティブな信念」があります。

「何をやっても無駄」とか「どうせまた失敗する」といったネガティブ思考には誰もが悩まされたことがあるでしょう。
こうしたネガティブ思考は切り替えようとしても、なかなか切り替えられません。
「こんな風に後ろ向きになるのは良くない」といくら自分に言い聞かせても、「でもやっぱり上手くいかないんじゃ……」と考えてしまいます。
 そして「思考は現実化する」という格言のとおり、「何をやっても無駄」で「また失敗」を繰り返すことになります。

自己啓発の一環として過去の出来事をきちんと思い出していくと、やり方や環境のせいばかりでなく、むしろ自ら失敗に転がり込んでいったことが明らかになります。
成功した実業家が「そのまま続ければうまくいくはずなのに、もう少しのところでみんなやめてしまう」と嘆くのに納得できるようになります。

◆思考は結果で、信念は原因
こうした否定的なサイクルの原因になっているのが、自分のネガティブな信念です。
「自分の信念」と「現実の出来事」の化学反応によって思考は生まれています。

ポジティブな信念があればポジティブな思考が生まれ、ネガティブな信念があればネガティブな思考が生まれます。
つまり思考は結果であり、信念こそが原因です。
自分の思考ばかり気にして信念に気づかないのは、卵ばかり気にして鶏に気づかないのと一緒です。
 ただ、人間にはそうならざるをえない事情があります。
普通に生活しているだけでは、自分の信念に気づくのはとても困難です。
それがネガティブな信念でもあれば尚更です。

ネガティブな信念が生まれる経緯には苦しみや悲しみ、理不尽があります。
誰もそんな過去を積極的に思い出そうとはしません。
こうして過去の記憶と共に信念も抑圧されて原因がわからなくなり、ただただ自分の思考に振り回される状態が出来上がります。

 ネガティブな信念が特に生まれやすいのが創作、競争、恋愛の3分野です。
作家や漫画家、ミュージシャンなどクリエイティブな職業を自分の仕事にできなかった。
スポーツでレギュラーになれなかった、あるいは勉強で志望校に合格できなかった。
好きな人に振り向いてもらえなかった。
「才能が認められなった」「人に選ばれなかった」という経験は、人生全体に負の影響を及ぼします。
「経験があると」と言いましたが、こうした経験がない人などいません。
生まれてからこの方ずっと幸せで順風満帆なんて人間はいないからです。
誰もがその時々で苦しみや悲しみ、理不尽を経験し、心に痛みを秘めています。
そして、いつかそれと向き合う日がやってきます。
その日が来るまでは、心の痛みを避けるようにして同じ失敗を繰り返します。

◆ネガティブな信念に向き合おう
 反対に自分のネガティブな信念に気づき、きっかけになった過去と向き合えると、その過去と信念から自由になれます。
これはただ認識するだけで、何かアクションを起こす必要はありません。
「ああ、あの時、自分は本当に絶望したんだな」と心から納得すれば、ごく自然に才能や失敗を話に持ち出さないようになります。
これが「才能の発掘」や「成功」によって悩みを解決しようとするのではなく、そもそもそれを問題視しなくなる「解消」という手法です。

 クルマにアクセルとブレーキがあるように、心にもアクセルとブレーキがあります。
ポジティブな信念がアクセルであり、ネガティブな信念がブレーキです。
ブレーキを緩めなくては、いくらアクセルを踏んでもクルマは進みません。
同じようにネガティブな信念に気づかなくては、いくらポジティブな信念があってもその力を発揮できません。

 この文章を読んでいると、やけに無感情になるかもしれません。
それこそがまさに抑圧です。
「誰もが心に痛みを秘めています」と言われても、「へー、そうなんだ」と自分は関係ないとばかりにスルーできるのが、人間の心の巧みさです。

もしナチュラルに過去の出来事を認められているならば、「そういえば私にそういうことがあったなぁ……」と振り返られるはずです。
 とはいえ、そうした信念は準備なしに無闇に掘り起こすものでもありません。
もし何かしらを感じるものがあるならば、自分の思考を記録するメンタルレコーディングから始めるのをオススメします。

「ポジティブな信念」と「ネガティブな信念」を発見していく過程は同時に起こります。
そうして私たちは自分の両面を認めながら成長していくのです。
自己啓発はとてもエキサイティングな冒険です。
もしそれに目覚めたら、もう普通に生きることはできません。

 ポジティブな信念は初志貫徹の助けになりますが、ネガティブな信念は同じ過ちを繰り返す原因になります。
自分がどんな信念を持っているのか把握しておくのはとても大切です。
自分が思ったことや感じたことを記録して、繰り返されるパターンから自分の信念に気づきましょう。
続けるとわかりますが、私たちは良い意味でも悪い意味でも同じこと繰り返しています。
どうせなら良い繰り返しを選択しましょう。
記録はそのために必要な自分の記憶を呼び覚ましてくれます。

佐々木】 コーチャー。
自己啓発とビジネスを結びつける階層性コーチングを提唱。
カイロプラクティック治療院のオーナー、中古車販売店の専務、障害者スポーツ「ボッチャ」の事務局長、心臓外科の部長など、さまざまな業種にクライアントを持つ。
現在はコーチング業の傍ら、オンラインサロンを運営中。ブログ「星を辿る」
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歯磨きは1日1回だと虫歯になる? 虫歯のウソ・ホント

歯磨きは1日1回だと虫歯になる?
虫歯のウソ・ホント
2018/09/24 All About

丸山 和弘(歯科医)
今まで当たり前と思っていた情報や言い伝えが、意外にも間違っているということがあります。
今回は、歯磨きに関する思い込みや噂について、解説していきます。

Q1.食後の3分以内に磨けば、
虫歯になりにくい?
子どものころ「食べたら3分以内に歯磨きしなさい」なんて言われた人はいませんか?
これはある実験のデータから砂糖水を口に含み約3分で歯が溶け始めるため、その前に歯垢を取ってしまえば虫歯になりにくいといった話が元ネタでした。
よく考えると、これは食事を始めてから3分以内に歯磨きをしなくてはならず、食後の3分以内に磨けば虫歯になりにくいといったことではありません。 → A 「うそ」

Q2.歯磨き粉の研磨剤で歯が削れる?
「歯磨き粉には研磨剤が入っているので使わないで歯を磨いたほうが歯のために良い」
こんな話を聞いたことはありませんか?
たしかに、歯磨き粉を使用しなくてもプラークを落とすことができますので、使わなくても問題はありません。
しかし現在ではフッ素入りなど、歯に対してメリットのある製品が多く研磨剤に関してもクレンザーのような強い研磨作用はないので、それほど心配しないで使用することができます。 → A 「うそ」

Q3.歯ブラシの毛先が開いたら交換?
歯ブラシの毛先が開いてくると表面的には汚れは取れますが、歯と歯の間に毛先を差し込みにくくなってしまいます。
一般的には歯ブラシは毛先の「かど」の部分が重要なので、毛先が開いてきたらかどが無くなり丸くなります。
このため交換したほうが良いと思われます。 → A 「本当」

Q4.歯磨きは1日1回だと虫歯になる?
歯磨きを1日3回毎食後に行なっている人には怖くてできないことですが、1日1回しか磨かない人もいます。
どちらが虫歯になりやすいでしょうか?
実は虫歯に関しては1日1回でもしっかり磨けていれば大丈夫です。
むしろ食生活の間食など食べる回数が多い方が虫歯になるリスクが高くなります。 → A 「うそ」

Q5.歯ブラシは柔らかくても汚れは取れる?
歯ブラシ選びの時、柔らかい歯ブラシは汚れが取れない気がして、痛くない程度の固めの歯ブラシを選んでいる人いませんか?
歯ブラシが固くても柔らかくても口の中の汚れを落とす効果は同じです。
落とす相手の固さが硬ければ歯ブラシも固いほうが良いですが、歯ブラシで落とすのは「プラーク」と呼ばれる柔らかい汚れです。
したがって、かなり柔らかめの歯ブラシでも歯ブラシのかどがしっかりしていれば汚れは十分に落とすことができます。
最近では歯ブラシは柔らかいものを勧める歯医者さんが増えてきています。 → A 「本当」

Q6.デンタルフロスでは
歯周病は予防できない?
スーパーやドラックストアーなどで様々なオーラルケアーグッズを目にします。
歯ブラシ以外の補助器具を買う際に「検診で歯周病に注意してください」といわれ、フロスを買って歯の間の掃除をしている人いませんか?
フロスの正しい使い方は、歯と歯の間で歯がしっかりとくっついている部分を掃除するために使います。
決して、歯肉に強く擦るようには使ってはいけません。
このため、歯周病の予防にはあまり効果がありません。
歯と歯肉の間の汚れを取ることが重要だからです。
虫歯予防には「フロス」、歯周病予防には「歯間ブラシ」と覚えましょう。 → A 「本当」


全部知っていた人は、オーラルケアーに対してかなり関心のある方だと思います。
勘違いしていた情報があるという人は、今後の正しい歯磨きの参考にしてみてください。
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2018年09月26日

加齢による「身体感覚」の劣化−「空気を読めない」高齢者にならないために!

加齢による「身体感覚」の劣化−
「空気を読めない」
高齢者にならないために!
2018/09/25 ZUUonlin
*小だぬきのための論文のようです。
土堤内昭雄(どてうちあきお)
ニッセイ基礎研究所 社会研究部 主任研究員

内閣府『平成29年版高齢社会白書』によると、2012年の日本の認知症患者数は約462万人、団塊世代が後期高齢者になる2025年には700万人程度にのぼり、高齢者の5人にひとりを占めるという。
認知症に至らずとも、60代以降になれば、加齢にともなう認知力の低下は多くの高齢者にみられる。

物事の理解・判断が遅くなったり、記憶力が低下したりする上に、空間認識力が衰え始めるのだ。
空間認識力とは、人間が有する視覚、聴覚、嗅覚、触覚、味覚などの感覚器により、物体が3次元空間の中でどのような状態にあるかを把握する力だ。

たとえばわれわれがキャッチボールをする時、目や耳からの情報をもとに、ボールの飛んでくる方向や落下点を判断してボールを捕捉する。
距離や速さなどの認識を誤ると正確にボールをキャッチすることはできない。

老化が進むと、若い頃に容易だったことが思い通りにゆかなくなることも多い。
運動機能に加えて空間認識力が衰えて「身体感覚」が鈍くなるからだ。
視野が狭まり、人や物にぶつかったり、わずかな段差につまずいたりすることも増える。

すべてが加齢のせいではないだろうが、「身体感覚」の劣化は高齢者の社会生活にも大きな影響を与える。
一方、認知力が低下すると社会状況を的確に把握することが難しくなり、いわゆる「空気を読めない」高齢者が増える。
その結果、社会の中でさまざまなトラブルが発生する。
鉄道係員に対する暴力行為やコンビニ店員への暴言など、悪質なクレーマーも60代以上の高齢者によく見られる。

このような人が増える要因のひとつは、社会的視野が狭まり、いわば社会空間における「身体感覚」の劣化や喪失によるものと言えるかもしれない。
「空気を読めない」高齢者にならないためには、一体どうすればよいのだろうか。

ひとつは「身体感覚」を鍛えることだろう。
言葉のキャッチボールである人間のコミュニケーションを円滑に行うためには、相互の言葉を正確に捉える「身体感覚」が必要だからだ。
「人の話を聞かない」、「自分だけに意識が向く」など自己中心的ではなく、相手に意識や目を向けることが重要なのだ。
最近ではレーダーやカメラなど多くのセンサーを備えた衝突防止装置の付いた自動車が増えている。
高齢者が人生を楽しくドライブするためにも、周囲の状況を念入りに観察し、五感に加えて「身体感覚」を適切に磨くことが求められる。
社会空間の中で安全な車間距離を維持する「身体感覚」を持つことも、超高齢社会における重要な「老いる力」ではないだろうか。
(参考)研究員の眼
『“幸せ”の自己アイデンティティ〜ストップ! 「キレる高齢者」』(2016年7月5日)https://www.nli-research.co.jp/report/detail/id=53327?site=nli
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2018年09月27日

台風24号 去年の台風18号と同様に、日本列島を縦断し広範囲で暴風か

台風24号 
去年の台風18号と同様に
日本列島を縦断し
広範囲で暴風か
9/26(水) ウェザーニュース
24号台風の進路予想.jpg
 日本に接近中の台風24号は、今週末に先島諸島付近を通過した後、週明けにかけて日本列島を直撃する可能性が高まってきました。
 先島諸島から東シナ海に進んで、東に進路を変える進路は、去年9月に九州に上陸した台風18号と似ている点が多くあります。
 ■ 去年の台風18号との類似点 ■  
・東シナ海で勢力が強まる  
・進路を東に変えて急加速  
・広いエリアで暴風に警戒 
東シナ海で勢力が強まる

 去年の台風18号は、海面水温が高い東シナ海で発達のピークを迎えました。
 今回の台風24号も沖縄の南で一旦、勢力を弱めたものの、先島諸島から東シナ海に進む中で再び勢力を増すと予想されます。
 その分、勢力を保った状態で日本列島に近づきそうです。

 どちらも秋の台風らしく、急に速度を上げて日本付近を北上します。
 東シナ海を北上中は自転車並みの速度で進んでいたものが、上空のジェット気流に乗ることで、自動車並みに加速します。  

日本に近づくに連れて、スピードが上がって急に近づいてきますので、対策は早め早めに行うようにしてください。

広いエリアで暴風に警戒
 どちらも強風域の直径が1000kmを超える大型台風で、台風の中心から離れたところでも暴風のおそれがあります。
 去年の台風18号でも、台風の進路から遠い横浜で30.3m/s、仙台で28.3m/s、釧路で35.0m/sの暴風を観測。
 今回の台風24号は、それよりも勢力が強いため、暴風のエリアがさらに拡大してもおかしくありません。

 去年の台風18号は、鹿児島県に上陸した時の中心気圧が975hPaで最大風速が30m/sでしたが、今回の台風24号はこれよりも強い勢力で近づく見込みです。
 台風の進路に関わらず、広域での被害が懸念されますので、早めに対策を行ってください。 
***********************
台風24号 列島上陸か 
     特徴と警戒点
9/26 日直予報士

大型で非常に強い台風24号は29日(土)頃に沖縄にかなり接近、30日(日)から1日(月)にかけて九州から北海道を縦断する可能性。
広く暴風や大雨となる恐れがあります。

●大型で非常に強い
台風24号の進路と特徴
沖縄の南の台風24号は大型で非常に強い勢力を維持しています。
今後もゆっくり北上し、29日(土)頃に非常に強い勢力で沖縄にかなり接近する予想。
その後、北東に進路を変え、30日(日)から1日(月)にかけて九州から北海道を縦断する恐れがあります。

今回の台風の特徴は
・沖縄付近では動きが遅く影響が長引く恐れがあること
・台風周辺の湿った空気が流れ込んで本州付近の秋雨前線の活動が活発になり、台風の接近前から大雨となる恐れがあること
・台風は進路を北東に変えた後、一気にスピードを上げて、九州から北海道を縦断し、急に大荒れの天気となる恐れがあること などです。

●各地の警戒点
【沖縄】沖縄では風が強く、海はしけています。
27日(木)はさらに風が強まり、海はうねりを伴ってしけるでしょう。
28日(金)以降は猛烈なしけとなる見込みです。
石垣島など先島諸島では28日(金)から、本島地方は29日(土)に暴風となるでしょう。
高波や暴風に厳重な警戒が必要です。
海岸付近では高潮による浸水や冠水にも注意が必要です。

【九州〜近畿】29日(土)には秋雨前線の活動が活発化し、発達した雨雲が次々かかるでしょう。
台風の接近前から雨量が多くなる恐れがあります。
台風が予報円の中心を進めば30日(日)に西日本を縦断し、暴風が吹き荒れ、台風本体の活発な雨雲がかかる恐れがあります。交通機関が大きく乱れる可能性があり、注意が必要です。

【東海〜関東】29日(土)頃から秋雨前線の影響で活発な雨雲がかかるでしょう。
台風が予報円の中心を進むと、30日(日)から1日(月)の午前中を中心に雨や風が強まり、荒れた天気となる恐れがあります。

【東北・北海道】こちらは今のところ、1日(月)に荒天が予想されます。
台風は本州付近でスピードを上げる予想で、台風が西日本に近づいたと思ったら一気に北日本に近づいてくる可能性があります。
油断せずに早めの台風対策を心掛けて下さい。
この情報は26日現在の資料をもとに発信しています。
特に、台風の転向(向きを変える)する場所や時期の予想にまだ幅があり、荒天の期間が変わる可能性があります。
今後も最新の台風情報にご注意下さい。
日直予報士でも随時最新の情報をアップしていきます。
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2018年09月28日

生活保護打ち切り相次ぐ 義援金は収入か 困窮する被災者も 自治体の対応に差

生活保護打ち切り相次ぐ 
義援金は収入か 
困窮する被災者も 
自治体の対応に差
9/27(木) 西日本新聞

 生活保護受給者が地震や豪雨で被災した上、保護費を打ち切られる事例が相次いでいる。
義援金を収入とみなされたり、親族宅に避難したことで「支援者がいる」と判断されたりするのが主な理由だが、中には困窮した暮らしに逆戻りする人もいる。
支給の可否を判断する自治体は、被災者の事情に十分配慮した対応が求められる。

【データ】高齢世帯4分の1貧困 「生活保護未満」独居女性では2人に1人

 「義援金はだんだん減っていく。
毎月入る保護費がないと、やっぱり不安」
 2016年4月の熊本地震で被災した熊本県の女性(83)は悩む。
生活保護を受給していたが、義援金と被災者生活再建支援金を収入とみなされ打ち切られた。
年金収入はなく、義援金を取り崩して暮らす。

夫は十数年前に死去、保護費が頼り
 住んでいた賃貸住宅は壊れ、避難所や別の賃貸住宅を転々とした。
夫は十数年前に死去し、1人暮らし。
交通事故の後遺症で足が自由に動かない。
月に6万円台の保護費が頼りだった。

 生活保護制度は、被災した受給者が義援金などを受け取っても、自立更生に使う分は収入とみなさない考え方を示す。
生活再建費用を自治体に申告して認められれば、その分は収入から除かれる仕組み。
仮に余った分が半年以上の最低生活費を超えていれば、保護費支給は廃止される。

 ただ、受給者や支援団体は、自立更生に認められる金額は少なく、義援金などの大半を収入とみなされて保護が廃止されていると主張する。

出費を自立更生費として認めてもらうには、購入前に店で見積書を受け取り、自治体に提出する手間もある。
複雑な手続きを嫌って申請せず、義援金などのほぼ全額を収入認定される人もいるという。
 女性は地震で家財道具を失った。
障害者用の靴を生活再建費として自治体に届けたが、「ぜいたく品」と言われた。
「足を引きずるから普通の靴はすぐ傷んでしまう。ぜいたくかね」

保護費打ち切り、東日本大震災でも
 被災者の暮らしを立て直す義援金などが、逆に保護費打ち切りの要因となる事態は、11年3月の東日本大震災でも明らかになった。

 日本弁護士連合会が同年8〜10月、被災5県(青森、岩手、宮城、福島、茨城)で実施した調査では、義援金や補償金を収入とみなされて生活保護を廃止・停止されたケースが458件に上る結果が出た。

 「国の通知と自治体の対応の差が大きい」
 国は同年5月、自立更生に充てる分を収入とみなさない考え方とともに、家の修理や家財道具の購入など生活再建にかかる出費を広く解釈するよう自治体に通知していた。
しかし事務を担う自治体への周知が十分でなく、柔軟な運用ができなかったことが浮かび上がった。

 同様の通知は、後の熊本地震でも行われた。
熊本地震で被災し、義援金を受給したことで保護費を打ち切られた熊本県の男性(62)は「受給者のギャンブルが問題になり、自治体も支給に慎重になっていると感じる。
でも被災した受給者が元の生活に戻るためには、少しは蓄えもいる。

国の通知と自治体の対応の差が大きい」と訴える。

避難で住まいを転々…保護打ち切りの例も
 避難で住まいを転々とするうち、保護費を打ち切られた例もある。
昨年7月の九州豪雨で被災した福岡県朝倉市の男性(65)だ。
 男性は1人暮らしの自宅が壊れ、同じ市内の妻と娘宅に身を寄せた。
約1カ月同居し、その後は1人で避難所へ。
昨年末から仮設住宅に単身で暮らしてきた。
 保護費は、妻と娘宅に避難したことで世帯が同一となり、支援を受けられると判断されて豪雨直後に廃止された。

義援金や支援金は今年6月に底を突き、一時は妻や支援団体から届く食材だけで日々をつないだ。
 生活保護は支給を世帯単位で判定し、世帯全体の収入が最低生活費を下回ると対象になる。

ただ国は09年、失業などで家を失った人が一時的に知人宅に身を寄せても、一律に同一世帯としないよう通知している。
受給者と別居家族の世帯が同一かどうかは平常時も争いになることが多い。
避難で住居を転々とする災害時は判断がより難しくなる。

 男性は市から、家族と同一世帯として保護を再申請するよう言われた。
家族と折り合いが付かずに迷ううち、生活費が足りず一時体調を崩してしまった。

「再建と自立、両方の視点で」
 花園大の吉永純教授(公的扶助論)は「義援金などの収入認定は、国も示しているように被災した受給者の原状回復と、生活保護法が示す『自立の助長』の両方の視点で判断する必要がある。
障害者ならハンディキャップをいかに考慮するかが大切。
朝倉市の男性の世帯認定も一時的に同居したことにとらわれず、単身生活の状況を認めて申請を受け付けるべきだった」と語る。 
**********************
憲法9条改悪の前に
  憲法25条の充実を
        小だぬきの鬱的心配
憲法第三章
第二十五条
@すべて国民は、健康で文化的な最低限度の生活を営む権利を有する
A国は、すべての生活部門について、社会福祉、社会保障及び公衆衛生の向上及び増進に努めなければならない

台風24号が今沖縄県を襲い 日本列島縦断コースを取ろうとしています。
今憲法論争をする気はありませんが、昨日までの自然災害の復旧・復興・被災者保護は、十分になされていますよね。
西日本新聞記事にあるような「生活保護」認定の矛盾や運用の誤りは解消されて、24号台風の対策は十分にとられていますよね。
今までの活動をみていると気象庁、消防署・消防団、警察、自衛隊、海上保安庁の出動態勢が早く、一番遅いのが 内閣危機管理室と与党政治家。
災害時に 平然と宴会やゴルフをしていた安倍晋三総理のいつもの指示の遅れを考えると 自公政権の怠慢のために この台風で犠牲者がでるのが心配です。

国防は自衛隊だけでは担えません。
国民が国の行政・立法は、国民のために為されているとの信頼を厚くするほど、自衛隊の支援が非常時にできるのです。
安倍総理が有能な政治家であれば 政策の第一順位は 災害対策で、
無能な総理なら 日米会談・北朝鮮脅威・憲法改悪や新閣僚の総裁選貢献度でしょうね。

多くの国民がまともと信じ込まされている 自民党・公明党・維新の会が 憲法25条にどのような態度をとっているのか!!
もうそろそろ「悪夢から目覚め」、左翼連合戦線を育てる「普通の夢」を育てませんか??

与党のいう「現実政治」は、国民のためとオブラートに包んだ 経済的利益のみで「国民の命」ではないことが 台風24号の内閣・政治家の無能で証明されることがないように・・・。

現場の職員は適切な指示なら 喜んで困難に挑むものです。
せめて現場派遣は適切な時期に そして職員に現場判断で適切な対応ができるようにして欲しいものです。
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2018年09月29日

台風24号 土日に直撃 交通障害の恐れ

台風24号 土日に直撃
交通障害の恐れ
2018/09/28 tenki.jp

大型で非常に強い台風24号は29日(土)に沖縄本島にかなり接近し、
30日(日)から10月1日(月)に西日本から北日本を縦断する予想。
広く大荒れの天気で、交通機関が大きく乱れる可能性。

●大型で非常に強い台風24号の進路
台風24号は29日(土)に非常に強い勢力を保ったまま沖縄本島にかなり接近するでしょう。
まだ台風の動きが遅く、影響が長時間続く恐れがあります。
その後、進路を北東へ変え、スピードを上げるでしょう。

30日(日)には非常に強い勢力で西日本に接近・上陸し、さらに加速して10月1日(月)にかけて東日本・北日本を縦断する予想です。
先日、近畿を中心に被害をもたらした台風21号は25年ぶりに非常に強い勢力で徳島県南部に上陸、その後、兵庫県神戸市付近に再上陸しましたが、今回の台風24号も非常に強い勢力で西日本に接近・上陸する恐れがあり、警戒が必要です。

台風24号予想 29日午後3時.png
c tenki.jp 提供 台風24号 土日に直撃 交通障害の恐れ

また、日本の南に停滞している前線が、29日(土)にかけて西日本や東日本に北上し、30日(日)は北日本まで北上する見込みで、台風の接近前から大雨となる恐れがあります。

●各地の警戒期間と警戒点

【沖縄】29日(土)は本島地方も暴風となる見込みです。
最大風速50メートル以上の猛烈な風が吹き荒れ、瞬間的には70メートルの樹木や電柱が倒れてしまうようなめったにないような風が吹く恐れもあります。
また、台風本体の雨雲がかかり、1時間に80ミリ以上の猛烈な雨が降り、大雨による災害が発生する恐れがあります。
暴風や土砂災害、低い土地の浸水、河川の増水や氾濫に警戒して下さい。
また、海岸や河口付近の低地では、高潮による浸水や冠水に厳重に警戒が必要です。
30日(日)にかけて海上は猛烈なしけとなりますので、海岸付近には近づかないで下さい。

【九州〜近畿】台風接近前の29日(土)は前線の活動が活発になり、雨や雷雨になるでしょう。
非常に激しい雨の降る所もある見込みです。
30日(日)は台風本体の活発な雨雲がかかるでしょう。
平年の9月ひと月分の雨が一気に降ってしまうような災害級の大雨の恐れがあり、警戒が必要です。

自治体から出される避難情報に注意し、早めの避難、安全確保をなさって下さい。
30日(日)には外出が危険なほどの猛烈な風が吹き荒れたり、海岸付近では高潮の恐れがあります。
潮位が堤防を越えなくても、潮位が高い中で高波があると波が海岸堤防を越えて浸水する可能性もあります。
高潮や高潮と重なり合った波浪による浸水などにも厳重に警戒して下さい。

【東海〜関東】29日(土)は前線の影響で雨が降るでしょう。
次第に雨脚が強まり、激しい雨の降る所もある見込みです。
沿岸部を中心に風も強まるでしょう。
30日(日)の午後から10月1日(月)の午前中が荒天のピークで、暴風や大雨に警戒が必要です。

【東北・北海道】30日(日)の夜から10月1日(月)の午前中にかけて大荒れの天気となる恐れがあります。
早めの台風対策を心掛けて下さい。

各地、荒天が予想される期間は空の便に加え、列車の運休や遅れ、高速道の規制など交通機関が大きく乱れる可能性があります。
最新の交通情報にもご注意下さい。
不要不急の外出は避けるようにして下さい。
posted by 小だぬき at 00:00 | 神奈川 ☀ | Comment(0) | 健康・生活・医療 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2018年09月30日

鬼怒川氾濫、国は危険性放置

田中圭太郎「現場からの視点」
鬼怒川氾濫、国は危険性放置
2018.09.29 Business Journal

文=田中圭太郎/ジャーナリスト
2015.9 鬼怒川 水害.jpg
鬼怒川で発生した2015年9月の水害。

関東・東北豪雨により、茨城県を流れる鬼怒川が氾濫し、流域の5つの市が洪水に飲み込まれた。
住民は孤立し、約4300人が救助されたが、災害関連死と認定された12人を含む14人が死亡。
多くの住宅が全壊や大規模半壊などの被害を受けた。

 この水害は単なる自然災害ではなかった。
住民は洪水が起きる危険性を、発生前から国に指摘していたのだ。
しかし、現在も国が非を認めないため、常総市の住民ら30人は8月7日、国に約3億3500万円の損害賠償を求めて提訴した。  

今年7月の西日本豪雨、昨年7月の九州北部豪雨など、全国で水害の被害が相次ぐなかで、住民は「水害被害にあった多くの人たちのためにも、国のデタラメな河川行政の転換を求める」と憤る。

現地で原告の住民に話を聞いた。
凄まじい被害は「国による人災」
 8月7日、水戸地方裁判所の下妻支部には、提訴に訪れた住民と弁護団、それに報道陣と、多くの人が詰めかけていた。
提訴を終えて、建物から出てきた弁護団の只野靖事務局長は、報道陣の取材にこう答えた。

「3年前、水害が起きた当初から、国の対応に瑕疵があると考えてきました。
国の責任が大きいこの水害は人災です。
その思いを強くしています」

 3年前の15年9月10日午前6時頃、関東・東北豪雨により、常総市の若宮戸地区で最初に洪水が発生した。
鬼怒川の水量はその後も増え、午後0時過ぎには上三坂地区の堤防が決壊。
最終的に決壊は200メートルにわたった。

 激しく流れる洪水は建物、田畑などを次々と浸水し、常総市の中心部である水海道地区にも及んだ。
常総市の面積の約3分の1にあたる、約40平方キロメートルが浸水してしまった。
市内では住宅の全壊が53棟、大規模半壊と半壊が約5000棟。
災害関連死と認められた12人を含む14人が亡くなる甚大な被害を出した。

 この水害が、なぜ人災なのか。
原告のひとりで、最初に洪水が発生した若宮戸地区で農業生産法人を営む高橋敏明さん(64)は、静かな口調ながら、怒りを込めて話した。
「若宮戸地区には自然の堤防となっている砂丘林があるだけで、本来国がつくるべき堤防がありませんでした。
しかも、ソーラー発電の業者が、砂丘林を掘削して、無堤防状態になっていました。
にもかかわらず、国は十分な対応を取りませんでした。
そこから洪水が流れ出たのです」

国は鬼怒川の危険を2度にわたって放置
写真は、現在の若宮戸地区。
ソーラーパネルが並ぶ場所の付近だけ、200メートルほど砂丘林が切れているのが確認できる。
ここが最初に水が溢れた場所だ。
いまは水害後の工事で堤防がつくられているが、被害が出た時には、砂丘は低く削られていた。

 鬼怒川は一級河川なので、国土交通省の管理下にある。
砂丘が削られた2014年3月以降、住民が国に対策を求めると、国は「その場所は河川区域ではなく、私有地なので手が出せない」という態度だった。
 しかし、あまりにも危険な状態なので、住民が引き続き対応を求めると、14年7月、国の担当者は1個の高さが約80センチの土嚢を2段積んだ。
取られた対策はそれだけだった。

 それからわずか1年あまり。住民の予想通り、豪雨の早い段階で、砂丘林が削られた場所から川の水が溢れ出た。
洪水はあっという間に住宅や田畑を飲み込んだ。
砂丘林が削られていなければ、あふれた水量はもっと少なく、これほどの被害は出なかった可能性が高いのだ。

 それだけではない。
国は長い時間をかけて「鬼怒川直轄河川改修事業」を進めている。
11年度の事業評価の際には、当面7年で堤防を整備をする区間と、おおむね20年から30年をかけて整備をする区間が定められている。

 若宮戸地区の砂丘林の高さは、事業で整備の基準にしている「計画高水位」よりも1メートル低い。
しかし、整備計画の区間には入っていなかった。
原告を支援する水源開発問題全国連絡会の嶋津暉之共同代表や弁護団が、国が提出した資料を分析すると、国は03年度に若宮戸地区で堤防をつくる詳細な設計をしていながら、その報告書がお蔵入りしていたことがわかった。

 つまり、国は若宮戸地区の砂丘林が低いことを認識していながら、意図的に堤防を整備せずに放置していたことになる。
さらにその砂丘林が削られても、十分な対策を講じなかった。

住民は2度にわたって国に放置されてしまったのだ。

誰かが立ち上がらなければ
 若宮戸地区の高橋敏明さんは、砂丘林が削られた場所からおよそ800メートルほど離れた場所で、観葉植物や、花卉の栽培を行なっていた。
鬼怒川の氾濫により、1500坪もあった花卉栽培の温室などの施設は破壊されてしまった。
「45年間、丹精を込めて植物を育ててきましたが、水害によって壊滅的といいますか、跡形もなくなりました。
経営も危機的な状況に陥りました。
皆さんに協力いたただいて、今は水害前の7割くらいまで再建できています」

高橋さんは、法人と個人の両方で原告になっている。
責任があるのは明らかなのに、非を認めない国の態度が今でも許せなかった。
しかし、それだけではない。
多くの被災者が国の落ち度を訴えてきたが、生活の再建に追われて、裁判まで起こそうという人は時間がたつとともに減ってきた。

誰かが立ち上がらなければ、国の態度が変わることはない。そう思い、裁判を決心した。
「私たちの声を無視して、危険を放置した国に責任がないというのは、信じられません。
私たちが立ち上がることによって、あきらめかけていた人たちも、また一緒に国を訴えようと、動きだすのではないかと思っています」

 実際に、今回提訴した法人と個人の30人以外にも、原告団に加わろうという動きが出ている。
近く追加提訴が行われる見通しだ。

泣き寝入りしている人のためにも
 今年7月に発生した西日本豪雨により、各地で大規模な河川の氾濫が発生し、これまでに220人が犠牲になった。
 鬼怒川氾濫と同じように、危険がわかっていながら、洪水対策がとられていなかった場所といえば、岡山県倉敷市真備町の小田川が挙げられる。
小田川は過去にも繰り返し氾濫し、河川改修も計画されていたが、実施されないまま今回の水害が発生し、51人が亡くなった。

 水害をめぐる訴訟では、1984年1月に出た大東水害訴訟最高裁判決によって、その後住民側が行政を訴えてもほとんど勝訴できない状況となった。
大東水害とは、72年7月に大阪府大東市で大雨で寝屋川が氾濫した水害。
その判決で示されたのは、河川の管理と、改修中の河川の管理について瑕疵が認められるのは、「河川管理の一般水準及び社会通念に照らして、格別不合理なものと認められる」場合だけというものだった。

 鬼怒川水害でも、国は非を認めていない。
しかし、常総市に行って見てみれば、これだけ長い流域で、周囲に多くの住民が暮らす一級河川を、自然の堤防に頼って国がまともに管理していないことに驚かされる。
鬼怒川は利根川の最大の支流で、関東平野を流れる重要な河川のひとつである。

社会通念に照らして、放置してきた国に責任がないとは、到底思えない。
 弁護団の只野靖事務局長は、水害訴訟の流れを変えるのも今回の裁判の意義のひとつだと、力を込めて語った。
「水害で被災した方で、裁判で行政の責任を問いたくても、できなかった方が何万人もいると思います。
全国で水害が多発しているなかで、鬼怒川と同じメカニズムで被災した方もいるかもしれません。
想定外の雨が降ったのだから仕方がない、という国の姿勢で済ませていたら、大きな被害が出る状況はいつまでたっても変わらないでしょう。
水害の被害にあった多くの方のためにも、裁判で河川行政の転換を求めていきたいと思います」
 行政による人災を、自然災害で済ませていいはずがない。
鬼怒川氾濫をめぐる訴訟では、国の河川行政そのものが問われている。

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