2018年10月21日

片山さつきの訴訟恫喝に非難殺到

片山さつきの訴訟恫喝に非難殺到
菅義偉官房長官や稲田朋美らも
同じ手口で疑惑封じを
2018.10.20 LITERA編集部

 今週発売の「週刊文春」(文藝春秋)がスクープした、片山さつき地方創生担当相の「100万円口利き」疑惑。
すでに大きく報じられているが、会社経営者X氏が青色申告の取り消しを免れようと片山氏側に相談。
私設秘書である南村博二氏に指定された口座へ100万円を振り込み、片山氏本人もX氏の目の前で国税関係者に電話をかけ、X氏に「じゃあやっておきますよ。任せてもらえれば、大した問題じゃないから」
「うまくいったら、百万円なんて決して高いものじゃないわよね」と述べた、というものだ。

 この報道を受け、18日、片山地方創生担当相はインタビューで「特定の企業への税務調査に口利きをしたことはないし、100万円を受け取ったこともまったくない」
「非常に事実誤認かつ不正確な内容」と否定し、「可及的、速やかに名誉毀損で訴える準備を進めている」と言い、訴訟を起こす構えをみせた。
 だが、メディアの取材に応じた南村氏は、100万円を受け取ったことを認め
「通常業務に対する正当な報酬」「片山氏が国税当局に電話したのかどうかも知らなかった」と強調する一方、受け取った100万円が片山氏側に渡ったかどうかについては「帳簿や通帳を確認してからでないと回答できない」などと発言。

片山氏の私設秘書としてではなく税理士として仕事を請け負ったのなら、片山氏に100万円を渡す必要はない。
にもかかわらず、「確認しないとわからない」というのはおかしい話だ。
 いや、それ以前に問題なのは、片山大臣の態度だろう。
 そもそも、18日のインタビューにしても、自身に浮上した疑惑について説明するために開かれたのではなく、大臣就任を受けてメディアのグループインタビューに応じるという、もともと予定されていたもの。
しかも、一方的に主張を述べたあとは「もう訴訟準備に入っており、弁護士から細かいところは止められている」などと言うだけで、質疑はたったの約4分で終了。
片山大臣の言う「事実誤認」「不正確な内容」というのはどの部分なのかは一切説明せず、「訴訟」を理由にして口を閉ざし、逃げてしまったのだ。
 片山氏は国会議員、しかも大臣である。
そんな公人中の公人が、「訴訟準備中」「弁護士に止められている」なんて理由で自身の疑惑について説明を拒むようなことが許されるわけがない。

 実際、この片山大臣の姿勢には、批判も続出。
18日夜放送の『NEWS23』(TBS)で星浩キャスターは「片山さんは名誉毀損で訴えると言うんですけど、このやり方が認められれば、スキャンダルが報じられたときに全部名誉毀損で訴えて、詳細は説明しないということになる。
これはいくらなんでも閣僚として通じない」と批判。

19日放送の『バイキング』(フジテレビ)でも、司会の坂上忍が「やってないんだったら、説明責任があるんじゃないですか?って僕は単純に思っちゃう」と言い、コメンテーターの東国原英夫も「常套手段ですよね」「政治家は、訴追は訴追、訴訟は訴訟で置いておいて、国民の代表としてつまびらかに国民に説明する義務がある」と疑義を呈した。
 まさに批判のとおりだろう。

現に、片山大臣だけではなく、安倍政権の閣僚や中枢を担う議員たちは、これまで自身のスキャンダル報道に対し、「訴訟を起こす」とメディアを恫喝すると同時に、国民への説明責任から逃げてきたからだ。
 最たる例が、菅義偉官房長官の「3000万円迂回献金」疑惑だ。
これは2015年5月に「週刊ポスト」(小学館)が、菅官房長官が日本歯科医師連盟(日歯連)から2013年に3000万円の迂回献金を受け取っていた疑惑を報じたものだ。
既報に詳しいが(https://lite-ra.com/2015/05/post-1111.html)、この疑惑は当時東京地検特捜部が捜査しており後に逮捕者も出た日歯連迂回献金疑惑の本丸とも目されるものだった。
 だが、菅官房長官は定例記者会見で「事実無根」「報道した『週刊ポスト』に法的手段を考えている」と述べ、すごまれた新聞やテレビは一切この問題を報じず、そのまま沈黙してしまったのだ。

菅官房長官、下村元文科相も
訴訟ちらつかせ、説明責任から逃亡 
 さらに、先日の自民党役員人事で憲法改正推進本部長に抜擢された下村博文・元文科相も昨年6月末、加計学園から200万円の“闇献金”を受け取っていた疑惑を「週刊文春」が報道した。
しかし、下村元文科相は会見で「記事は事実無根」とがなり立て、「名誉毀損に当たるとして告訴の準備をしている」と明言。
「都議選が終わったら丁寧にお答えします」などと言っていたが、いまなお「丁寧にお答え」などしていない状態だ。
 ちなみに、菅官房長官も下村元文科相も、その後、当該記事をめぐって週刊誌を訴えたというニュースはまったく報じられていない。
ようするに、マスコミを黙らせ、説明から逃げるために訴訟をちらつかせたにすぎないのだ。  いや、ちらつかせるだけではなく、実際に告訴した議員もいる。

そのひとりが、やはり先日の自民党役員人事で筆頭副幹事長となった稲田朋美・元防衛相だ。
 稲田元防衛相は、まず「在日特権を許さない市民の会」(在特会)と近い関係にあると報じた「サンデー毎日」(毎日新聞出版)を告訴。
さらに、地元で「ともみの酒」なる日本酒を会費代わりなどで配っていたという疑惑を報じた「週刊新潮」(新潮社)に対しても、会見で「これはもはや表現の自由と呼ぶに値するものではありません」と言い、その後、記事中で「弁護士バカ」と書かれたことで名誉を傷つけられたとして稲田氏の代理人弁護士である夫・龍示氏が訴訟を起こした。
 だが、「サン毎」記事では、1審、2審と稲田元防衛相が連敗し、最高裁で敗訴が確定。
レイシスト団体との蜜月を報じた記事の正当性が認められたかたちに。
夫が訴えた「週刊新潮」記事のほうも、昨年、最高裁で上告が退けられ、敗訴が確定した。

 国民の「知る権利」を代行する記事に対して訴訟を起こし、ことごとく敗訴するとはみっともないにもほどがあるが、そもそも「週刊新潮」のほうは、前述したように公職選挙法にあたる稲田氏の日本酒贈呈疑惑を追及する記事だった。
しかし、その第2弾の記事のために稲田氏側に取材を申し込んだ際、龍示氏がファクスで訴訟を予告して記事掲載を阻もうとしてきたという。
そして「週刊新潮」が第2弾でこの恫喝文章を記事にすると、「(このファクスが)恫喝だと気づかないのなら、世間を知らない弁護士バカ以外の何ものでもない」と書いたことを理由に提訴したのである。
つまり、記事を潰すために訴訟をちらつかせた挙げ句、その行為を晒され批判されたことに逆ギレして告訴したのだ。

高市元総務相に訴えられた
「週刊ポスト」編集長が更迭  
訴訟を起こすと恫喝したり、実際に告訴することでメディアの動きを封じる──。
その象徴的な事例が、2015年4月に「週刊ポスト」が掲載した、高市早苗総務相(当時)の大臣秘書官をつとめる実弟が関わったとされる「高市後援会企業の不透明融資」問題だ。

 この問題が報じられると、高市氏の実弟は「週刊ポスト」の三井直也編集長(当時)や発行人、担当編集者、ライターまでを被告にして名誉毀損で訴えた。
さらに、警視庁への刑事告訴までおこなうという高圧的手段に出て小学館をゆさぶったのだ。
これが要因のひとつとなり、小学館上層部が三井編集長を就任わずか1年で交代させるという異例の人事に結びついたと言われている。
 いまでは信じがたいが、三井編集長が就任してからの「週刊ポスト」は、それまでの軟派路線とはうって変わって反安倍政権の姿勢を鮮明にし、前述した菅官房長官の3000万円迂回献金疑惑など、毎号のように政権批判が特集されていた。
ところが三井氏の後任編集長は軟派路線で政治的にも保守的で知られる人物だった。
ようするに、訴訟によって疑惑の追及を断たせたばかりか、批判することそのものまで鈍らせることに“成功”したのだ。

 本サイトでは繰り返し強調してきたが、政治家など公人の疑惑や思想、支持勢力について報じ、論評することは、権力の監視が責務のマスメディアとして当然のことだ。
訴訟をちらつかせて事前に記事を潰そうとしたり、実際に告訴して黙らせようとする行為は言語道断であり、完全なる報道圧力だ。
 だが、これこそが、東国原が言うように、安倍自民党の「常套手段」なのだ。
衆院選の立候補中に過去の経費私的流用疑惑が報じられた青山繁晴議員は、記事を掲載した「週刊文春」を刑事告発。
また、国会で財務省の太田充理財局長(当時)に「アベノミクスをつぶすために、安倍政権を貶めるために、意図的に変な答弁をしているんじゃないですか?」などとトンデモ質疑した和田政宗議員は、この質疑を取り上げて批判的なコメントをした『とくダネ!』(フジテレビ)での柿崎明二氏のほか、『ひるおび!』(TBS)で事実誤認の発言があった“安倍応援団”の田崎史郎氏にまで法的措置をとると息巻いた。

 安倍政権による報道圧力体質と、国民への説明責任放棄。片山地方創生担当相はまさにいま、それを実行していると言っていい。
しかし、「訴訟を準備中」などという理由で逃げること自体が、大臣としての資質をまったくもちあわせていない証拠だ。
しかも、対する「週刊文春」は、「記事には絶対の自信がある。
次号以降でさらに続ける」と宣言。

今回の疑惑について2016年からキャッチし取材を進めてきたという「週刊文春」の満を持したスクープなだけに、さらなる続報が待たれるところだが、片山大臣のこの無責任極まりない態度には、もっと批判が浴びせられて当然だろう。
posted by 小だぬき at 12:40 | 神奈川 ☀ | Comment(0) | 社会・政治 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

在日米軍地位協定、異常な特権なくす抜本改定を

在日米軍地位協定
異常な特権なくす抜本改定を
2018年10月19日(金)しんぶん赤旗「主張」

 沖縄県で米海兵隊普天間基地(宜野湾市)所属ヘリの不時着が相次いだのを受け、防衛省が機体整備の状況を確認するため求めていた自衛官派遣に米軍がいまだ応じていないことが分かりました。
9カ月近くたっても派遣を受け入れない米軍とこれに毅然(きぜん)と対応できない日本政府の責任は重大です。
同時に、こうした事態は在日米軍に異常な特権を与える日米地位協定を抜本的に改定する必要性を改めて浮き彫りにしています。

自衛官立ち入りできず
 防衛省が自衛官の派遣を求めたのは、1月に普天間基地に所属するヘリが立て続けに不時着したためです。
その前月(昨年12月)にも同基地所属ヘリが保育園や小学校に部品や窓を落下させる事故があったばかりで、県民の批判の声が高まっていました。

 当時の小野寺五典防衛相は、米側から不時着を繰り返したヘリ(AH1Z)の同型機全ての追加点検や抜き打ち検査をしたとの説明があったとしつつ、「これを私どもはそのまま受け取るわけにはいかない」とし、「今後速やかに自衛隊の専門的・技術的な知見を活用して確認・検証を行う」と自衛官派遣を表明していました(1月29日、衆院予算委員会)。

 ところが、2月1日に予定されていた派遣は「米側からさらなる準備が必要となり、延期したいとの旨の連絡があった」として行われませんでした。
日本共産党の赤嶺政賢議員は同23日の衆院予算委分科会で、政府は主権国家として恥ずかしくない態度で米側と交渉し、事故調査に参加できるようにすべきだと強く求めていましたが、今に至るも実現していません。

 しかも、防衛省が派遣「延期」の理由を「相手国との関係もあり、答えは差し控えたい」(今月12日、岩屋毅防衛相)として明らかにしていないのも大きな問題です。
 自衛官派遣に米軍が応じないこととの関係で、改めて焦点となっているのが日米地位協定です。

 日米地位協定は米軍に基地の排他的管理権を認め、日本側の立ち入り権を明記していません。
 日本とは対照的に、ドイツでは、NATO(北大西洋条約機構)諸国との取り決めで、政府や州、地方自治体による基地の立ち入り(アクセス)とともに、緊急時の事前通告なしの立ち入りも規定しています。
イタリアでは、米国との取り決めで、自国司令部の下に米軍基地が置かれ、自国司令官は機密区域を除き全ての区域に自由に立ち入ることができると定めています。(国立国会図書館・調査及び立法考査局「レファレンス」8月号の論文)

 沖縄県が行ったドイツ、イタリアの地位協定に関する調査でも同様の結果が報告されています。
日本の実情はあまりにも異常です。

知事会が一致して要求
 全国知事会は7月、翁長雄志沖縄県知事(当時)の要請を受けて採択した「米軍基地負担に関する提言」で、日米地位協定を抜本的に見直し、航空機の安全航行を目的にした航空法をはじめ日本の国内法を米軍にも原則適用することや、事件・事故時の自治体職員の迅速・円滑な立ち入りの保障などを明記するよう求めています。

 日米地位協定の抜本改定は独立国として当然の要求であり、政府に実現を迫る運動と世論を広げることが必要です。
posted by 小だぬき at 00:00 | 神奈川 ☔ | Comment(0) | 社会・政治 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする