2018年11月08日

PTA退会なら「餅つき大会参加ダメ」 非会員家庭の子ども排除の実態

PTA退会なら「餅つき大会参加ダメ
非会員家庭の子ども排除の実態
2018/11/08 AERA

熱心にPTA活動に取り組む人の中には、全員が参加すべきだといった考えを持つ人も少なくない。
そのため、非会員が増えることと比例して、トラブルも増加しているようだ。

 最も多いのは「退会すれば、PTAで購入している物品を子どもに配れない」と言われるケースだ。
証書ホルダーなどの卒業記念品や、卒業式で胸につけるコサージュなど、PTAから子どもたちに贈られる物品について、非会員家庭の子どもにだけ配布しないというのだ。

 理屈としては、PTA会費を支払っていないのに利益を得るのは不公平だということ。
そのため「非会員家庭からは実費を徴収して子どもに同じものを配る」というPTAも多い。
ただ、非会員からの実費払いの申し出を役員が拒んで子どもに物品を与えず、訴訟が起きた例もある。

 ほかにも、例を挙げればきりがない。
都内の公立小学校に子どもを通わせるある母親は、「退会するなら、PTA主催の餅つき大会に子どもが来てはダメ」と言われた。
中部地方の公立小学校に子どもが通う父親は、「運動会のテントはPTA予算で買ったものだから、やめるならお子さんを入れてあげない」と告げられた。
千葉県のある保護者は、「災害用の備蓄品はPTA予算で買っているので、非会員家庭の子にはあげない」という役員の発言を聞いた。
 このような非会員家庭の子どもを排除したサービス提供は、本来は当然許されるものではない。
なぜならPTAは、会員サービスを行う団体ではなく、学校に通う全ての子どものために活動する公共性の高い組織だからだ

PTAが校内に専用の部屋をもらったり、教室でプリントを配ってもらったりできるのも、公共性を認められた団体だからだろう。
 それなのに、「非会員の子ども排除」が起きるのは、PTAが長い間「保護者全員、参加必須」という認識で運用されてきたため、非会員になる権利があるとみなされてこなかったという歴史がある。

 戦後まもなく日本に導入されて以来、多くのPTAは、保護者全員が自動加入する形で運用されてきた。
「PTA会員=全保護者」という間違った理解が定着し、「PTAは会員サービスを行う団体だ」という誤解が蔓延。
誤った形で運用されてきた歪みが、子どもへのしわ寄せという形で表出している。

 これらの問題を解決する方法はないのだろうか。
 例えば、PTAをやめて近隣の子で班を組み集団登校する「登校班」をはずされた事例。
非会員家庭の子どもが登校班に入れないという問題が2年ほど続いたが、校長や地区の保護者たちとが話し合い、先月ようやく、登校班への復帰が認められた。

この校長は言う。
「子どもには関係ないことなので、何とかしたいと思って話し合いの場を設け、解決することができた」
 都内の区立小学校のPTAのケースでは、「登校班はずし」を告げられていた保護者が、間違った対応を認めた校長から謝罪を受け、解決に至ったという。
子ども本人が登校班で通うことを希望せず、現在は1人で通わせているが、この保護者は、 「非会員家庭の子は登校班に入れないという前例を作らずに済み、ほっとしている」  と言う。

問題解決のカギを握るのは校長や教育委員会だ。
どちらの例も、学校側が「非会員家庭の子どもであっても、登校班から排除しない」という方針を明確に示したことで、保護者が納得するという経過を辿っている。
最初は反発が強くても、学校側が「子どもはあくまで平等に扱う」という姿勢を貫くことが肝心なのだ。

 PTA問題に詳しい文化学園大学教授の加藤薫さんは言う。
「学校が関わる集団登下校において差別はあってはならないこと。
PTAなどに学校が働きかけても排除が続く場合は、学校主体で班編成をするなり、登校班をやめて個人登校に切り替えるなり、毅然とした態度で臨むことが重要です」

 PTAの退会トラブルの多くは、PTA役員が、退会を思いとどまらせる意図で「子どもに不利益がある」という「脅し文句」を使うケースも多く、現実に子どもに不利益を科すところまではいかないことがほとんどだ。
校長、教育委員会、文部科学省へと相談が持ち上がっていくなかで、「PTAは保護者の加入、非加入に関係なく、全ての子どもを平等に扱ってください」と「指導」が入れば、事態が収まることも多い。

 卒業記念品など子ども全員に配る物品については、前に書いたように別途実費を徴収する方法があるほか、PTA予算で購入するのをやめて、公費や私費(教材費や卒業対策費などの学校徴収金)をあてることで解決するケースもある。
 今後、共働き家庭がさらに増えると、仕事などで忙しくPTA活動に参加できないという家庭は増えるだろう。
「本来PTAは任意加入の団体で、非会員家庭の子どもも会員家庭の子と同様に扱うもの」という認識を改めて確認することはもちろん、同時に、PTA活動の効率化や業務のスリム化を進めて、多くの人が参加したいと思えるような組織に変革しなければ、存続は難しいだろう。
(PTAジャーナリスト・大塚玲子)
※AERA 2018年11月12日号より抜粋
posted by 小だぬき at 14:00 | 神奈川 ☀ | Comment(0) | 教育・学習 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

安倍内閣の閣僚 これが適材適所なのか

安倍内閣の閣僚 
これが適材適所なのか
2018年11月7日 東京新聞「社説」

 国会での答弁はしどろもどろ、口利き、金銭授受疑惑を払拭(ふっしょく)できなかったり、深酔いして裸で議員宿舎内をうろついていた閣僚もいた。
これが安倍晋三首相の言う「全員野球内閣」の現実なのか。

 かつて「通称三行大臣」と揶揄(やゆ)される閣僚がいた、という。大臣の資質を欠くのに、派閥力学や当選回数の多さで大臣になった議員のことだ。
所管分野の専門家でなく、もの覚えも悪いので、官僚が書いた答弁書を三行分しか言えない。
以前存在した通商産業大臣をもじって、そう呼ばれた。

 桜田義孝五輪担当相がそれに当たるとは言わないが、国民に不安を抱かせるに十分な国会答弁の混乱ぶりだったのではないか。
 桜田氏は五日の参院予算委員会で立憲民主党の蓮舫参院幹事長から二〇二〇年東京五輪・パラリンピックの基本コンセプトや大会ビジョンを聞かれたが即答できず、政府の最終負担額をただす質問にも直接答えず「東京都や組織委員会をしっかり支援したい」などと要領を得ない答弁を繰り返した。
 当初見込み額の「千五百億円」を「千五百円」と言い間違え、慌てて訂正する一幕もあった。

 桜田氏はきのうの記者会見で、答弁の混乱は事前に質問通告がなかったためと主張したが、基本コンセプトなどは通告の有無に関係なく、答弁の準備をしておくことが五輪相の心構えではないのか。
 五輪経費がどこまで膨らみ、税金をいくら投入するのかも国民の関心事だ。
通告がないことを答弁できない理由にすべきではない。

 そもそも桜田氏は初入閣だが、専任の五輪担当である。
就任から一カ月がたち、どの閣僚よりも五輪に精通していて当然だ。
自身の答弁の混乱を野党のせいにするとは、閣僚の自覚が欠けている。

 片山さつき地方創生担当相も国税庁への口利き、百万円授受疑惑を国会答弁では払拭できず、四国を「離れ小島」と呼んだり、生活保護受給者を批判した過去の発言でも野党の追及を受けている。

 宮腰光寛沖縄北方相に至っては「全裸で衆院議員宿舎内の他人宅のインターホンを押した」との週刊誌の報道内容を認めた。
「深く反省」とはいうが、閣僚はもちろん議員の資格があるのか。

 首相は適材適所と言うが、自民党総裁選での連続三選を支援した派閥に配慮して、閣僚待機組を起用したのが実態ではないのか。
それを全員野球内閣と言い繕おうとも、国民はしっかりと見ていることを忘れるべきではない。
posted by 小だぬき at 00:00 | 神奈川 ☁ | Comment(0) | 社会・政治 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする