2018年11月23日

成績がいい子はノートの取り方にコツがある

成績がいい子はノートの取り方にコツがある
黒板を黙々と書き写す
  板書の大きすぎるムダ
2018/11/22 東洋経済

石田 勝紀
: 一般社団法人教育デザインラボ代表理事、都留文科大学特任教授
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小学校2年生男子を持つ母親です。
学校生活で、ノートへの板書が苦手です。
日によって、特に国語は取り組もうとしない、テストを見るかぎり内容はある程度理解しているのに書いたり書かなかったりしています。
担任の先生にもこまめに声かけをしていただいているようなのですが、なかなか難しい日もあるようです。
家でいろいろ話はしているのですが、うまくいかない状況です。
アドバイスよろしくお願い致します。
    (仮名:大谷さん)
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黒板に書かれたことを
ただ書き写せばそれでいいのか?
ノートの書き方というのは、重要ですよね。
それができていないとなると、心配になるというお気持ちはよくわかります。
筆者はこれまで、たくさんの保護者の方から相談を受けてきましたが、過去にノートを取ることについてのご相談はほとんどありませんでした。

板書とは、先生が黒板に書くことを黙々と写せば済む、特に頭を使わなくてもできる作業で、授業中寝ている子以外はだいたいノートを取っているため、それほど問題にはなりにくいのです。
しかし、ちょっと考えてみてほしいのです。
それは、「黒板に書いてあることをノートにただ書き写せばそれでいいのか?」ということです。
実はここに勉強ができる子とできない子の差がはっきりと表れます。

これを読んでいる保護者の方もこれまで、子ども時代や学生時代、授業中にノートを取った経験はおありですよね。
ここで1つ質問したいのですが、「あのノートを取る“作業”、本当に意味はあるのでしょうか?」 「意味はあるに決まっているでしょ」という人もいるかもしれません。

もちろん意味がある人もいます。
しかし、大多数の人は、先生が黒板に書いたことを、ただ「書き写しているだけ」であったりします。
字の練習になる以外、ただ書き写す作業にどれだけの意味があるのでしょうか。
さらに、書き写すときに「先生見えません〜」と言った経験がある方もいるのではないでしょうか。
ということは、見えないと書けないわけで、「先生が説明している内容と、黒板に書いてある内容が違う」のです。
そのような状況では、ますます、黒板に書いてあることをただ写すことはほとんど意味がないといっていいのではないでしょうか。

それよりもノートは誰かにコピーさせてもらって、自分は授業中、先生の話をよく聞いていたほうが、よほど理解も進み、結果としてできるようになると思いませんか?
このノートを取るということに疑問をうっすらと感じている子どもたちもいます。
そういう子はノートをとることに意味を感じていないので、先生の話を聞くことに集中していたりします。
または、逆にただ遊んだり、ふざけたりする子もいます。

さらに、もう1つ問題があります。
それは、ノートの取り方を教えてもらっていないということなのです。
年度の初めにノートの取り方というプリントを渡して説明してくれる先生もいるようですが、筆者の記憶ではそのような経験はほとんどなく、また筆者が指導してきた子どもたちに聞いても、保護者に聞いても、ほとんどないと言っています。

なぜノートの取り方を教える必要がないかといえば、ただ黒板を書き写せばいいからなのです。
先生が色分けして書けば子どもたちもその色を使って色分けする。
先生が四角で囲えば、子どもたちも四角で囲う。
つまり、単なるコピーをすればいいのです。
それできれいなノートが作れたらそれで誰も文句は言わないのです。

本当に重要な学びのために
必要なノートとは
しかし、重要なことは内容です
表面的な形も、汚いよりはきれいなほうがいいですが、最も重要なことは、何を学んでいるかということ。
ただひたすら書き写す作業ばかりでは、本当に重要な学びは限定されてしまうでしょう。

大谷さんのお子さんは、ご質問にあるように勉強内容自体は理解できる子のようですので、ノートを取ることに意味を感じていないのかもしれません。
では、このままでいいのかという問題です。
学校の先生からはノートを取る指導がされ、家でも同じ話をされているため、このままでは授業中、単純なノートを取る“作業”に時間を費やしてしまうかもしれません。
そこで、次のアドバイスをしたいと思います。

「ノートを取ることが楽しくなり、しかも理解力も同時につく方法」です。
以下、お子さんに次の2つのことを話してあげてください。

1) 蛍光ペン、色ボールペンをノートに使って自由に“遊べ” 蛍光ペンや色ボールペンを使うと、特に子どもは面白さを感じるようになります。
しかし、これらの文具を使って、ただの落書きをするのではありません。
「超重要は赤」「ちょい重要はオレンジ」という感じで、蛍光ペンでノートに書いてあることで重要そうなところ塗っていくのです。
その時、蛍光ペンの使い方と色ボールペンの使い方を教えてあげてください。
蛍光ペンは塗るためのもの、色ボールペンは字を書くためのものということを知らない子も意外といます。
蛍光ペンで字を書いてもいいですが、見にくいため効果的ではありません。
ボールペンで下線を引くということもありますが、蛍光ペンで塗ってしまったほうが目立ちます。

つまりノートをインパクトのあるにぎやかなものにしていくのです。
そうすると、ただ板書を書き写すという“頭を使わない作業”から“頭を使う勉強”へとシフトする可能性が高まります。
実はこれを始めると楽しくなります。
勉強というよりも遊びに近い感覚になります。
それが子どものモチベーション(やる気)に火をつけるきっかけになることもあります。

2) 黒板に書いてあること以外(先生がしゃべったこと)をノートにどんどん書く
先生が話した面白いことでもいいですし、吹き出しの書き方を教えてあげて「ここ、ちょうたいせつ!」とノートに書いてもいいでしょう。
現在小2ということですので、あまり高度なことはできないかもしれませんが、要するに黒板に書いていあること以外をメモするという習慣を作ってしまうということです。
話を聞いていないとこれらは書けませんし、理解できなければ、「ここぜんぜんわからない!」と書いておけばいいのです。そうすれば先生や親がノートを見たときに、子どもの状態を把握できたりもします。

オリジナルノートにしていく
子は、成績が上がっていく
実は、この「黒板に書いてあること以外を書く」習慣がある子どもは、すこぶる成績が良いのです。
それは中学、高校で顕著になります。
筆者はこれまで3500人以上の子どもたちを指導してきた経験からも、そのような傾向がありましたし、また、東大の大学院で見た東大生のノートの取り方にも共通点がありました。
もちろん、そのようなことをしなくても、成績が良い子もいますが、ノートをただ周囲の人と同じものを書いているだけではなく、オリジナルノートにしていく子は、成績が上がっていく傾向にあったのです。

このようなわずかなノートの取り方の差が、中学、高校、大学、社会人になっていくに従って、どれだけの差になっていくかを考えると、日常の単純なテイク・ノートは非常に大切な習慣だといえます。
せっかくなら、単純作業をやらせるのではなく、面白く、楽しく、しかも学びに直結するノートの取り方をぜひ教えてあげてください。
posted by 小だぬき at 00:00 | 神奈川 ☔ | Comment(2) | 教育・学習 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする