2019年02月16日

アメリカでは逮捕も!? 精神医療界のタブーとは

アメリカでは逮捕も!? 元ももクロ有安杏果の48歳彼氏が犯した精神医療界のタブーとは
2/15(金) ハーバー・ビジネス・オンライン

 2018年1月にアイドルグループ「ももいろクローバーZ」を脱退、芸能活動を休止していたタレントの有安杏果が2月6日、自身の個人事務所「アプリコット」を立ち上げたと発表。
 さらに、事務所の代表は結婚を前提に交際している48歳の医師であると明かした。
「FRIDAY」の直撃取材によるとこの医師が都内でメンタルクリニックを開業している精神科医のA氏であることが判明。
公私ともに支えてくれているパートナーがいるのは喜ばしいことだが、有安がA氏について「医師として」活動をサポートしてくれた人物であるとコメントしてしまったのはやぶ蛇だった。

 なぜなら、有安とA医師の関係は精神医療業界としてはアウトだからである。
 心理臨床家や心理学研究者が属する日本心理学会の職業倫理規程には「多重関係の禁止」として、以下のように書かれている。

心理臨床実践にたずさわる者は、原則として、現在自分と利害関係や親密な関係にある者、あるいは過去にそうであった者を援助対象にはしない。
そうした関係にある者からの援助依頼を受けた場合には、他の機関や他の専門職を紹介するなど適切な処置をとる。
また,臨床実践の開始後に援助対象者との間に恋愛関係や性的な関係をとり結んではならない。
たとえ援助が中止ないし終結された後であっても、専門的な関係の影響が及びうる間は、そうした関係をとり結んではならない」

 簡単にいうと、多重関係とは治療者とクライアントという以外に、別途新たに結ばれる関係を指す。
 だが、これはあくまで日本心理学会員向けの倫理規程であり、A医師は精神科医。
医師会の規定に反していなければセーフという逃げ口上も可能だ。

だが、これについて精神科医の岡本浩之氏は、このように指摘する。

「医師と患者が恋愛関係になることに対して明確な罰則はなく、少なくとも日本国内では法的には問題ないと言えます。
ただ、日本医師会が平成29年に出した『医の倫理について考える 現場で役立つケーススタディ』には、医師と患者の恋愛についての項目があり、次のような記載があります。
『医師個人には恋愛の自由はあるが、もしこの医師が患者と付き合った場合、患者という弱い立場を利用したと言えなくはない。
また恋愛関係がこじれた場合、医師がこの患者に対する治療を継続する上で、確実に影響をもたらすであろう。
(中略)ちなみにアメリカ医師会の倫理規定では、患者との恋愛は禁じられている』

 今回の恋愛関係に至る経緯を考えると、医師会としても賛同できる内容ではないと思います。
普通の交友関係からのスタートでも、相談に対して治療的な対応をしたのであれば、医師と患者の関係に準ずるものとして考えます

◆結婚しても倫理違反から逃れることはない
 多重関係の弊害とは、どのように表れるのか。
「患者は精神科医に対してかなり深い悩みを話すことが多く、精神科医はまずは悩みをしっかり聞き、内容を受け止めて理解を示すことから治療を始めます。
ですから、患者が医師に依存し恋愛感情を持つことはあります」

 患者が治療者に特別な感情を持つ現象は「転移」と呼ばれ、心理職であれば誰もが注意するところだが……。
「精神科医と患者が恋愛関係になった場合、患者は精神科医に過度に依存するようになり、精神科医はそれを重荷に感じて不安定となり突然音信不通となり行方をくらまし、捨てられたと感じて傷ついた患者も自殺を図るという例が実際に起きています。
また、患者の依存を利用して精神科医側が支配的、暴力的となり、その関係に苦しんだ患者の状態が悪化して自殺を図った、という類いのことも起こります」

「週刊文春」が2017年に報じた例が典型的だ。
 有名精神科医・ゆうきゆう(本名:安田雄一郎)氏が自身のクリニックの患者であった当時17歳の女性と性的関係を持った後、一方的に関係を絶ち、女性の精神状態が悪化したと報じられた件である。
女性側の狂言であるという説も浮上し真相は不明たが、精神科医と患者という立場ではこうしたことは起こり得る事態なのだ。

 ちなみに精神医療研究の最先進国とも呼ばれるアメリカでは心理臨床家がクライアントとSEXをすると、州によっては犯罪行為として処罰される。
A医師はところ変われば逮捕・実刑に相当する可能性があるのだ。
 またアメリカ心理学会(American Psychologist Association)では、一度クライアントとして関わったら2年間はSEXしてはいけないという倫理規定もある。
そのくらい、多重関係は治療に害を及ぼすものとみなされているのだ。

 ただ、両者は婚約中で、いずれ結婚するためそうしたことも帳消しになるのでは? という意見もあるが、そう単純な話でもないという。
「結婚すること自体は問題はないのですが、有安さんのメンタルケアが今後も必要なのであれば、A医師自身は夫としてのサポートに徹し、別の精神科医に治療を任せることが必要でしょう。
交際相手や配偶者の精神症状を冷静かつ客観的に治療すること、患者側も多重関係にある医師と距離感を保って依存しないことは極めて困難です。
ですから多くの精神科医は、自身の診療の目が曇らないようにする意味でも、患者と恋愛関係にならないことを意識しています」(岡村氏)

 今はまだいいが、万が一、二人が別れた場合は苦難が生じる可能性がある。
「もちろん、お互いにしっかり話し合って納得をして別れることが出来れば問題はありません。
しかし、こういうケースではそのような別れ方をすることは少ないです。
 先ほどの事例のように、精神科医が患者の依存に耐えきれなくなって関係が破綻した場合、精神科医がうつ状態となり、それを見て不安に感じた患者もさらに不安定となり、互いの精神状態が悪化します。

 また、精神科医の支配的な態度に患者が耐えられなくなって関係が破綻した場合、患者は精神的に不安定となり、衝動的な自殺企図などを起こしやすくなります」(岡村氏)

 だが、あくまで職業倫理の話であり、法的強制力がない以上、追及するのも野暮かもしれない。
逆に、医師の治療的サポートがあったとはいえ、したたかに個人事務所を立ち上げていた有安のメンタルの状態は本人が言うほど深刻ではなかったともいえる。
ファンとしては喜び、応援すべきところなのかもしれない……。


安宿緑】 編集者、ライター。
心理学的ニュース分析プロジェクト「Newsophia」(現在プレスタート)メンバーとして、主に朝鮮半島セクションを担当。
日本、韓国、北朝鮮など北東アジアの心理分析に取り組む。
個人ブログ
posted by 小だぬき at 00:00| 神奈川 ☔| Comment(2) | 健康・生活・医療 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする