人生を変える「ここだけの話」を引き出す方法
2019年05月13日 SPA!
いまの仕事楽しい?……ビジネスだけで成功しても不満が残る。
自己啓発を延々と学ぶだけでは現実が変わらない。
自分も満足して他人にも喜ばれる仕事をつくる「魂が燃えるメモ」とは何か?
そのヒントをつづる連載第101回
仕事でもプライベートでも「ここだけの話」というものがあります。
周囲の気配をうかがいながら、こっそりと語られるその内容は、物事の評価や人物の印象を一瞬で変えてしまいます。
ある男性は実家のお墓まいりに行った時に、父親に「お前はもう知ってるんだよな?」と尋ねられました。
なんのことかわからず、「何が?」と彼が聞き返すと、自分と二人の兄が腹違いだと打ち明けられて驚いたそうです。
彼はその二人の兄との間に壁を感じていました。
その影響か、人間関係
全般に対して引っ込み思案なところがありました。
現在はそんな自分を変えるべく、色々な集まりに積極的に参加するようになりました。
私たちは直接的な原因を求めます。
たとえば人間関係なら、自分と相手のどちらに問題があるのかを考えようとします。
しかし、実は間接的な遠因の方が強く影響していて、それが無用な気後れや対立を招いています。
その遠因が明らかになる機会が「ここだけの話」です。
情報社会はこうした遠因から人を遠ざけます。
私たちは「いつでも、どこでも、誰でも」という均質的な情報を求めています。
「それをやればうまくいく」というインスタントな話を欲しがっています。
しかし、そんなものはありません。
他人を参考にして、自分なりの答えを出すしかないのです。
情報社会は確かに便利です。
家にいながら、ネットや本で色々と知ることができます。
しかし、それで知ることができるのは全体のごく一部に過ぎません。
ネットも本もパブリックなメディアです。
あまりあれこれ話しすぎると、本人は良くても、周りに迷惑がかかります。
そのため、語られる内容にも自然と制限がかかっています。
自分の人生が変わるきっかけになるような「ここだけの話」を聞くには、実際にそこに行くしかありません。
ネットや本で「これは!」と思った人がいたら、その人のセミナーや講演会に行ってみましょう。
そして、できるだけ質問しましょう。
セミナーや講演会では、質疑応答の時間が大抵設けられています。
「いい質問です」と言われるような質問をすると、「ここだけの話」を披露してくれます。
相手から話を引き出すコツは体験談です。
大切なのは理屈よりも理由です。
どうしてそう考えるようになったのかを語る時に、打ち明け話をする空気が生まれます。
よく「言葉は生き物」と言いますが、話もまた生き物です。
お互いの空気が温まらないと出てこない話題があります。
あなたが真剣に尋ねれば、相手も真剣に答えてくれるでしょう。
そういう本気の会話が人生を変えるきっかけになります。
これは実は当たり前の話でもあります。
たとえば音楽の場合、録音よりもライブの方が感動できるのは、誰もが知るところです。
ところが言葉の場合だと、文章もトークも変わらないと思ってしまいます。
実際は生の言葉の方が、何倍も印象に残ります。
ネットや本でわかることはたくさんあります。
しかし、実際に会って初めてわかることも同じくらいたくさんあります。
気になった人には直接会うようにしてみてください。
自分のこれからを考えるよい刺激になるでしょう。
【佐々木】 コーチャー。
自己啓発とビジネスを結びつける階層性コーチングを提唱。
カイロプラクティック治療院のオーナー、中古車販売店の専務、障害者スポーツ「ボッチャ」の事務局長、心臓外科の部長など、さまざまな業種にクライアントを持つ。
現在はコーチング業の傍ら、オンラインサロンを運営中。ブログ「星を辿る」