肥満の原因は栄養不足だった。
料理嫌いでも「地味ご飯」でやせる方法
2019年06月02日 女子SPA!
「ダイエットは流行病」。
ドキッとする一言からはじまる『ダイエット事典』には、体作りを根本から整える知識がいっぱい。
著者の森拓郎氏は運動指導者であり、これまで30冊におよぶボディメイクの本を出版しています。
「ダイエットの本質は健康的な体をつくるための食事のしかた」と提案する本書には、過酷な筋トレや食事制限は一切載っていません。
なぜなら「ほとんどの肥満の原因は『運動不足』より『栄養不足』」だからです。
◆甘いものがやめられないのも栄養不足
飽食の時代に栄養不足? と驚くなかれ。
朝食はコンビニの菓子パンにテイクアウトのコーヒー、
昼食は丼物かパスタなどの単品料理、
残業明けの夜食はダイエットも兼ねてグラノーラバーだけ、こんな食生活をしている人もいるのではないでしょうか。
「現代人の多くは、エネルギーとして余りやすい精製糖と粗悪な油を取りすぎている傾向にあります。
だから代謝機能も低下して、太りやすくなるというわけです」という本書の見解は、私もちょっと耳が痛かったです。
とはいえ、精製糖や粗悪な油が使われているのは、私達が大好きな安いスイーツ。
そもそも甘いものがほしくなる衝動って、どこからくるのでしょう?
本書によると、理由はふたつありました。
まずひとつ目は、「カロリー不足。食事が貧相だから、甘いもの(=お菓子)で補いたくなる」。
ふたつ目は、「ミネラルやビタミンなどの栄養不足。特にビタミンB群やマグネシウムは糖代謝に関わるので必ず充実させたい」。
なるほど、つまり栄養が足りていれば、甘いものに対する欲求も自然と減ってくるわけです。
普段の食事内容にも、注意が必要。
手軽で便利でおいしい、パスタやラーメンやうどんといった「麺だけ食」でも栄養不足は加速するというのです。
本書いわく「麺だけを食べていれば『糖質の塊』を食べているに過ぎません。
健康的にヤセたいのなら、たんぱく質に富んだ具を足すべきです」。
食べる時も麺以外の具から先に食べるのがコツ。
「麺を食べ始める頃にはお腹も満たされてきているので、早食いを避けられます」と本書が言うように、少しの工夫と習慣が、無理なくヤセる秘訣なのです。
◆具体的には何を食べればいいの?
理屈はわかるけど、一汁三菜とか1日30品目摂取とか、かなり難しいのも事実。
そこで本書がおススメするのが、「地味ご飯」です。
「朝食にご飯1杯と卵1個、納豆1パック(50g)で、栄養バランスが完璧にとれます」と昔ながらの「地味ご飯」に太鼓判! 「これに具材入りの味噌汁を足せば、さらに栄養を強化できます」と猛プッシュ。
ついでに「ご飯を玄米か麦飯にできればなおよし」ということですが、すべてを網羅できなくても、「ご飯+卵+納豆」ならできそうじゃないですか。
極端な話、この3品をすべてお茶碗に投入して混ぜてもいいのです。
朝でなくても、1日1食「地味ご飯」に変えるだけで栄養不足が解消し、ラクにヤセられるならかえってお得じゃありませんか。
◆「そばは太らない」のウソ、ホント
数ある麺類のうち、太らないイメージがあるのがそば。
「確かにそばは低GIですし、うどんなどに比べてたんぱく質も意外と豊富」と本書もそばを推奨していますが、本書はそれだけでは終わりません。
チェックすべきは、「そばを選ぶなら、ミネラルやビタミンがより多い十割そば(つなぎに小麦粉を使わず、そば粉だけでつくられたそば)」
「卵や納豆などの高たんぱくな具を追加すること」。
ついでに、ダイエットを意識しているなら天ぷら類は我慢すべし。
「衣は小麦粉ですし、チェーン店の場合、使い古され酸化した油で揚げているというリスクも高まります」とのこと。
この酸化した油ですが、「太りやすくなるだけでなく、悪玉コレステロールを増やし善玉コレステロールを減らしやすくなっています」というではないですか。
『ダイエット事典』というだけあって、本書はダイエットにまつわる些細な疑問をズバッと回答。
けっこうドSな指南もありますが、それもこれも「一生太らないカラダを手に入れる!」ための愛のムチ。
次回は、さらに突っ込んだ内容をお送りいたします。
<文/森美樹>
【森美樹】 1970年生まれ。
少女小説を7冊刊行したのち休筆。
2013年、「朝凪」(改題「まばたきがスイッチ」)で第12回「R-18文学賞」読者賞受賞。
同作を含む『主婦病』(新潮社)を上梓。
Twitter:@morimikixxx