2019年07月20日

安倍首相と山本太郎の政見放送動画が異例の130万回再生 「#消費税廃止」が争点に急浮上

安倍首相と山本太郎の政見放送動画が異例の130万回再生 「#消費税廃止」が争点に急浮上
2019/07/19 AERAdot..(西岡千史)

7月21日投開票の参院選が終盤に入った。
各党の幹部議員は、激戦区を中心に全国を飛び回ってラストスパートに懸命だ。

 そのなかで、街頭演説で黒山の人だかりをつくっているのが、れいわ新選組の山本太郎代表だ。
デフレ脱却のための「消費税廃止」を政策の中心に据え、参院選を足がかりに「政権を取りに行く」と訴える。
 ただ、4月に設立されたばかりのれいわ新選組は国会議員5人以上などの政党要件を満たしていないため、テレビや新聞への露出は限られている。
にもかかわらず、SNSを中心にインターネット上では、れいわに関する投稿や動画であふれている。

 なかでも注目されているのが、山本氏の政見放送だ。
ツイッター上では「はじめて政見放送で泣きました」
「全ての政見放送をみて唯一心に響いた」などの投稿が相次ぐ。

『黙殺 報じられない“無頼系独立候補”たちの戦い』の著書があるノンフィクションライターの畠山理仁氏は、こう話す。

「れいわは政党要件を満たしていない『確認団体』なので、テレビ出演や討論会に出ることができませんが、政見放送は“動く候補者”が放送されます。
政党要件を満たさない政治団体にとって広告効果が高く、力を入れる候補者は多い」  

 確認団体の政見放送では「NHKから国民を守る党」(N国)も話題を集めている。
同党の立花孝志代表の動画は、“笑える”政見放送としてYouTubeで270万回を超える再生回数となっている(19日現在、以下同じ)。
 一方で、有権者に向けて一人で日本の課題と政策を語りかける山本氏の政見放送も約84万回の再生回数を記録。
安倍晋三首相が出演した自民党の約13万回や、立憲民主党の枝野幸男代表の約2万回を上回っている。

 7月9日には、山本氏と、安倍首相と三原じゅん子参院議員による自民党の政見放送を比較した動画がツイッターで投稿された。
こちらの再生回数は130万回超、2万回以上シェアされた。
 動画の冒頭は、山本氏の訴えから始まる。

「現在の日本、子どもの貧困、約7人に1人。高齢者の貧困、5人に1人。一人暮らしの女性貧困、3人に1人。このままでは、この国に生きる人々は持ちません」
 ここで、安倍首相と三原氏による政見放送に切り替わる。
三原氏は好景気に沸く日本を紹介する。
「アベノミクスのもとで、経済は好調ですね。
史上初めて47すべての都道府県で、有効求人倍率は1倍を超えています。
地方の観光地に、たくさんの外国人の方々が押し寄せ、にぎわっているという話もよく聞きます。
消費額にして4兆5000億円の一大産業が生まれ、地方経済も明るさを増しています」

 同じ日本の話なのに、まったく違う世界。
動画を紹介したツイッターの投稿でも、こう書かれていた。

<2つを対比すると、まるで日本という国の中に、全く違う別世界が存在するかのように思える。
安倍総理と山本太郎さん。
どちらが言ってることが正しいのか。
もはや日本は完全に分断されてしまったのだろうか?>

 報道機関の情勢調査などではれいわの獲得議席数は1〜2議席と予想されている。
れいわの選対関係者も「インターネットや街頭演説で話題になることと、実際の投票行動は別」と冷静だ。
れいわは今回、比例区で二人の障害者を特定枠に入れているので、山本氏が当選するには、比例区で3議席以上獲得しなければならない。

山本氏の戦略はどこにあるのか。前出の畠山氏は言う。
「山本氏が比例区に回ったことで、れいわ支持者から『何とかしなければ』という気運が高まりました。
一方で、比例区で得票率2%以上を獲得して政党要件を満たせば、山本氏が落選しても、テレビの討論番組に政党の代表として出演できます。
次の国政選挙でも、山本氏の選挙運動が拡大する可能性は高い」

 山本氏が掲げる「消費税廃止」は、ツイッターで投稿されるキーワードのトレンドで上位に入り、参院選の争点に急浮上している。
立憲は消費増税は「凍結」と公約しているが、激戦の選挙区では一歩踏み込んで「廃止」を訴える同党の候補者も注目を集めている。
国民民主党や日本維新の会、共産党なども、消費に悪影響が出るとして、消費増税の中止を訴えている。

 政見放送の比較動画で山本氏と安倍首相が主張した2つの日本。
有権者が見ているのは、はたしてどちらの光景なのか。
そして、どの政党の政策が「課題大国」の日本に有効なのか。
有権者に見えている「日本の現在」が、選挙の行方を決める。
           (AERA dot.編集部/西岡千史)
posted by 小だぬき at 06:15 | 神奈川 ☁ | Comment(4) | 社会・政治 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

れいわ新選組・山本太郎氏「世の中変わるなら捨て石上等」

れいわ新選組・山本太郎氏
「世の中変わるなら捨て石上等」
2019/07/18 日刊ゲンダイ

財政規律、財政再建と言う政治家はDV野郎です」
 21日投開票の参院選でもっとも注目されるのが、山本太郎代表が立ち上げた「れいわ新選組」の動向。
テレビ中心に大手メディアが存在を黙殺する中、街頭では大勢が立ち止まり、演説に耳を傾け、寄付をする。
その映像がネットで拡散され、著名人もがSNSで応援する。
かつてない社会現象だ。
 ◇  ◇  ◇
 ――投開票日が迫っていますが、手応えは?

 反応はすごくいいです。公示日は(立候補)届け出がギリギリ、ポスターも張れてない、第一声でのぼりもない、選挙カーもないというスロースタートでしたが、どこへ行っても感触はいい。

 ――12日の品川駅前での街頭演説「れいわ祭」はかなりの群衆で、どんどん膨れ上がっていきました。何が有権者を引きつけていると?  

自分で聞いてみると、退屈な演説だなと思うわけです。
きのう(12日)も映像を確認して吐きそうになったんです。
イケてなさに。
ただ、分かりやすいというのはあるんじゃないですか。
山本太郎でも理解できるんだから、みんな理解できる。
それ以上でもそれ以下でもない。
それと、本気の捨て身って、なかなかないじゃないですか。
僕も野原さん(東京選挙区に出馬した野原善正候補)も、世の中が変わるんだったら、捨て石上等のつもりでやっている
そういうところが伝わっているのなら、面白がる人がいるかもしれないですね。  

――寝ている票の掘り起こしは狙い通りですか。

 今の時点で何とも言いようがないです。
蓋を開けてみないと。
無党派に対して他の政党は伸びしろが少ないと思うんですよ。
そうした中で、伸びしろ「しか」ないのが僕たち。
グラウンド・ゼロから始まっていますから。
(有権者の)視界に選択肢として映ればもっと面白くなると思うんですが、ネットなどの一部のメディアでしか取り上げられない。
強制的に垂れ流すテレビでは、僕らの存在は扱われない。
それは想定済みで分かっちゃいるけれど、大変ですね。

――確かに、テレビではほぼスルーされています。

 政党要件を満たさないので扱われないようなのですが、そうは言っても、国会議員1人が旗揚げしたグループが3億円の寄付を集めて、演説会場はどこよりも盛り上がっている。
ひとつの現象として取り上げられてもいいのでは、と正直思いますね。
もっとも、演説内容はスポンサーサイドにとって好ましくないでしょうから。
テレビは商業主義ですからね。

 ――低投票率が懸念されています。

 ハッキリ言って、みんな政治どころじゃないんですよ。
「立憲主義に基づいた政治を行う」っていくら訴えても、多くの人はそれどころじゃない。
生活が本当に苦しくて、目の前のことで精いっぱいという声をたくさん聞いてきました。
こうした声を私よりも聞いてる先輩はいっぱいいると思うんですよ。
それなのに、消費増税とか、増税凍結どまりとか。
「ナニ寝言言ってんだ」ってことは、与野党に言いたいですね。
(この国の経済状況は)20年続いたデフレから脱却して緩やかなインフレみたいな話になっていますが、いまの状況でプライマリーバランスの黒字化だとか、財政規律だ、財政再建だとか言っている政治家は与野党関係なくDV野郎ですよ。

■「政治に緊張感を生む存在を目指す」
 ――キツイですね。

 ここまで地盤沈下した中で財政規律だの、財政再建だのっていうのは、国民にとって暴力行為です。
殺す気か、という話でしかない。
消費増税を容認する人たちと、消費増税凍結を訴える人たちの未来デザインはほぼ一緒。
消費税廃止を掲げる僕たちとは描く将来像が全く違う。
 凍結では、いずれ解凍されて増税に向かってしまう。
消費税という大きな基幹税制を残し続けるということ。
逆進性が強かろうが、中小企業の首が絞まろうが、消費税を大企業の補填に使い続けていくということ。
違いは時期だけで、消費増税も増税凍結も大きく変わりません。

この国に生きる人への愛とカネが足りない

 ――「れいわ祭」で「政権を取りに行く」と宣言していました。

 万年野党という座を手に入れるために政治団体を旗揚げしたのではないですから。
この参院選ではできれば10人、そこまでいかなくても可能な限りを議会の中に送り込んでいただいて、市民の運動から初めてできた政党としたいんです。
参院選で得た議席によって、政治に緊張感が生まれるような存在をめざす。
仕事をする政党だと認識してもらえれば、次の衆院選で今回より議席を増やし、3年後の参院選とステップを踏んで、その先を狙っていけると思っています。

 ――「政治に緊張感」と繰り返しています。

 国会は結局、与党のリズムで進んでいて、なりふり構わずやってくる。
相手が常軌を逸しているのだから、こっちもトコトン抗わなきゃ野党は甘く見られる。
例えば、委員会の強行採決で委員長を取り囲んでも、脇や後ろにいるだけで前はスカスカ。
要は正面から(カメラに)撮ってもらえば抵抗している感じは出る。
そういう演劇みたいなこと、やめた方がいいですよね。
 ガチンコで喧嘩をしにいく野党に変われば、与党も今のペースで物事を決められなくなる。
有権者の政治に対する見方も変わり、もっと興味を持っていただけるようになる。
他の野党が貴族みたいな戦い方をしていたら、僕たちと温度差が出て、有権者に「どうしてもっと必死にやらないんだ」とバレてしまうから困るわけです。
僕たちの存在が緊張感を生む出発点になれればと思います。

 ――野党は本気の捨て身を見せ切れていないから、有権者の支持が高まらない。

 みんなダメだと言う気はありません。
与党の中にも心ある人がいるし、でもその中で公認を得られなくなるから黙っている人たちがいる。
野党の中にも素晴らしい人たちはいて、とてもじゃないけどかなわないっていう人たちが山ほどいます。
けれど、ここ一番抗うべきという場面で気合が足りないというか。
権力闘争なんだから、権力を奪うということに対してのこだわりや執念が感じられないってことですね。

 ―――それでも国会は「数」が必要。他の野党の仲間もつくらなきゃいけないですよね。

 国会の中はものすごくシンプルで、カネがあるか、票があるか、自分が次も議員でいられるか、が一番重要なんです。
選挙が始まる前に10億円集まっていたら、現職の国会議員が動いていた可能性があると思います。
そうは言いながらも、野党との関係性も重要だとは思っています。
この6年間、政治をぶっ壊してきたのは与党なのですから、野党は1議席でも減らさせてはダメだし、当然、手を組んでいく人々だと思っています。

 ――投票率が低くなりそうなのは、「選挙に行っても何も変わらない」という諦めもあるように思います。

 分野の違う話ですけど、高校野球ってなぜあんなに燃えるのかというと、緊張感ですよね。
1回きりの勝負をガチンコで戦わなきゃ次に上がれない。
そこに磨き抜かれたテクニックを競うプロ野球との違いがある。
700人以上いる国会議員のほとんどがプロの政治家。
そこに高校球児みたいな集団が紛れ込んで、粗削りだけれども「ならぬものはならん」と空気を読まないでやるべきことをやる。
政治が面白くなって、期待感が膨らむと思うんですよね。

――今の政治に足りないものは何でしょう?

 この国に生きる人々を思う気持ちですね。
20年以上もデフレで、圧倒的に日本だけが成長していない。
要は国からの投資がないってことです。
揚げ句の果てに、貧乏になって、生産能力も低くなり、衰退国家の入り口に立っている。
この20年は、この国に生きる人々への愛とカネが足りなかった歴史なんじゃないですか。
衰退が加速しても、形としては国は残る。先に倒れるのは人々ですよ。
 行く末は究極の自己責任社会。
生産性で人間の価値が測られるのですから、将来的に命の選別まで迫られる可能性が高いだろうと思っています。
だからこそ、寝たきり界のトップランナーや重度障害者の方が国会に入ることによって、生産性で物事を語ったりとか、命の選別にブレーキをかける。
それで特定枠を使ったんです。
国会が真剣に取り組まなきゃいけないテーマを突き付けられるということです。
    (聞き手=小塚かおる/日刊ゲンダイ)


山本太郎(やまもと・たろう) 
1974年兵庫県宝塚市生まれ。
高校在学中に「天才・たけしの元気が出るテレビ!!」(日本テレビ系)の「ダンス甲子園」に出場し、芸能界入り。
俳優として活躍。
3・11後に反原発活動を始め、12年の衆院選(東京8区)に無所属で初出馬するも落選。13年の参院選(東京選挙区)で初当選。
自由党共同代表などを経て、今年4月に政治団体「れいわ新選組」を旗揚げ。
posted by 小だぬき at 00:00 | 神奈川 ☁ | Comment(0) | 社会・政治 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする