2019年08月01日

巻き上げた消費税どこへ 30年間ウソばかりついてきた政府

巻き上げた消費税どこへ
30年間ウソばかりついてきた政府
2019/07/31 日刊ゲンダイ
斎藤貴男ジャーナリスト

 日本銀行の試算によれば、現役を退いた高齢夫婦の生活費は年金だけでは賄えず、ざっと1500万円の貯蓄が必要になるらしい――。
 これは1988年に、あるワンルームマンション会社が監修して出版された本「パートナーシップ」の一節だ。
ネタ元だった同社の幹部にいただいて、思うところがあり、大切に保管してきた。
 どこまでも宣伝のための本なので、年金制度を充実させなければ、とは続かない。
だから皆さん、当社のマンションに投資して、安心な老後に備えましょう、とくるわけだ。

 どこかで聞いたふうな話ではないか。
そう、例の“2000万円問題”とまったく同じのような。
 消費税は本の出版の翌年、89年に導入されている。

“高齢化社会への対応”が喧伝され、その後も社会保障の充実やら安定化やらが掲げられては、3から5、8%と増税が重ねられ、ついには10%の税率大台に乗ることにされた経緯は周知の通り。

 なんだ、これ?
 高齢化社会に備えるためとの掛け声で新税が課せられ、も30年間で3倍も引き上げられたのに、状況は何も変わっていない。
単純計算しただけでも、老後の不足金額が1500万円から2000万円に増えてしまったというのは、どういうこと?

 いや、カマトトぶりっ子はもうよそう。
要は政府がウソばかりついてきたってだけの話。
私たちが巻き上げられた消費税は、社会保障のためなどではまったくなく、土建屋政治や大企業の減税や、近年では軍事費などなど、権力の金儲けや戦争ごっこに乱費されてきただけの話なのである。

 私は2010年に「消費税のカラクリ」という本を発表した。
以来、そのことも、消費税とは富裕層や巨大資本が社会的弱者からなけなしの金を収奪するためのシステム以外の何物でもない実態も、嫌というほど語ってきたのだが、大手のマスコミにも、それを主な情報源とする世間一般にも、ことごとく無視された。

 しかし、わかる人にはわかっていた。
先の参院選で消費税廃止を公約し、それゆえに黙殺されていた山本太郎氏の「れいわ新選組」が台風の目になった事実は重い。  
10%への増税を、この国の社会は、それでも認めるというのだろうか。
まだ時間は残されている。

前記の拙著に150枚の新章を加筆した「決定版 消費税のカラクリ」(ちくま文庫)を、ぜひ読んでみていただきたい。
消費税の恐ろしさ、薄汚さを、今度こそ理解してもらえるはずだから。
posted by 小だぬき at 00:00 | 神奈川 ☀ | Comment(3) | 社会・政治 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする