2019年09月01日

防衛費概算要求 どこまで膨張するのか

防衛費概算要求 どこまで膨張するのか
2019年8月31日 東京新聞「社説」

 安倍政権下で防衛費はどこまで膨張するのか。
防衛省の二〇二〇年度概算要求は六年連続で過去最大となった。
情勢の厳しさを理由とするが、防衛力整備に節度を取り戻すことが必要ではないか。

 防衛省の二〇年度予算概算要求は一九年度当初予算比6・3%増の五兆三千二百二十二億円となった。
「事項要求」にとどめた米軍再編関係経費などは含まれておらず、仮に一九年度と同額の二千五百五億円を計上した場合の実質的な前年度当初比は6・0%増となる。
厳しい財政事情の中、増額要求が続くのは異例である。

 日本の防衛費は冷戦終結後、減少傾向が続いていたが、安倍晋三首相が政権復帰後に編成した一三年度に増額に転じ、二〇年度まで八年連続の増額要求となった。
 政府は昨年十二月、安全保障や防衛力整備の基本方針を示す「防衛計画の大綱(防衛大綱)」と、それに基づいて防衛装備品の見積もりを定めた「中期防衛力整備計画(中期防)」を改定した。

 新しい中期防では一九年度から五年間の防衛費の総額を二十七兆四千七百億円程度と定めている。
改定前の中期防では、五年間の総額を二十四兆六千七百億円としており、すでに五年間で二兆八千億円も増やすことになっている。

 防衛費を押し上げる要因はヘリコプター搭載型護衛艦「いずも」型の事実上の空母化や、「いずも」型で運用する短距離離陸・垂直着陸可能な戦闘機(F35B)、地上配備型迎撃システム「イージス・アショア」など新しい装備の調達である。
これらは新しい大綱や中期防に盛り込まれ、二〇年度概算要求に費用が計上された。

 F35Bやイージス・アショアはいずれも高額で、米国が価格や納期の主導権を持つ「対外有償軍事援助(FMS)」で調達する。
事実上の空母運用やイージス・アショア導入には、専守防衛を逸脱するとの指摘や、そもそも日本防衛に必要なのか、という議論がある。
 トランプ米政権への配慮から導入を急げば、厳しい財政をさらに圧迫するばかりか、「専守防衛」という戦後日本の安全保障政策をも毀損(きそん)しかねない。

 真に必要な防衛力を整備し続けることは当然としても、アジア・太平洋地域で続く緊張緩和に向けた模索に背を向け、防衛力を増強し続ければ、日本自身が地域の不安定要因となりかねない。

 防衛費の増減は対外的なメッセージとなり得る。節度を持って予算編成に当たるべきである。
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2019年09月02日

大政策をひとつも残せない「時間浪費」の戦後最長政権

大政策をひとつも残せない「時間浪費」の戦後最長政権
2019/09/01 日刊ゲンダイ( 伊藤惇夫政治アナリスト )

 この8月24日、安倍首相の在職日数は佐藤栄作元首相を超え、戦後最長となった。
11月20日を過ぎれば、歴代最長の桂太郎元首相を抜くことになる。
長期政権となった要因の大半が弱体野党にあることは間違いないが、この政権が過去に例がないほどの「安定政権」であることは否定できない。

だが、「安定」に「安住」する政治ほど、始末の悪いものはないことを改めて指摘したい。
 安定政権には安定しているからこそできること、やらなければいけないことがある。
それは、国家の将来を見据えた長期ビジョンの策定だ。
目先の人気取りや個人的な名誉欲にとらわれるのではなく、この国の現状と予測可能な将来に待ち受ける課題を、冷静に、客観的に分析し、30年、50年先のあるべき姿を描き、そのために必要な対応策を国民に示すことこそが、政治、政権に課せられた責務だろう。

 連載の第1回でも触れたが、急激な人口減ひとつとっても明らかなように、この国の「体力」は確実に低下していく。
「世界第2位の経済大国」に再び舞い戻ることなど不可能だ。
にもかかわらず、安倍政権はそうした冷厳な事実から目をそらし、「日本を取り戻す」「1億総活躍」「アベノミクス」といった空疎なスローガンを連発し、国民にバラ色の夢をまき散らしている。
そんなことは不可能なのに。

 かつて、田中角栄は列島改造論を唱えた。
確かに、土地バブルに象徴される弊害を伴ったことは事実で、賛否両論があるのは当然だが、一方で、この改造論が工業再配置と交通・情報通信網の全国ネットワーク構築によってこの国の全体像をつくり替える、という壮大なビジョンだったことは否定できない。
ついでに言えば、志半ばで倒れた大平正芳が唱えた「田園都市構想」も、ある種の国家改造論だった。

それに対して安倍首相はどうなのか。
次々と看板政策を打ち出すが、どれもその場しのぎの「小政策」で、おまけにその大半が尻切れトンボ状態だ。
 何度も言うが、この国は確実に「下り坂」に直面している。
当面の課題を処理することは当然だが、同時に政治は、特に安定的な政権は、この長い下り坂を、どれだけ緩やかなものにするか、その先にどうやって「平地」を見いだすかという道筋を示すことが最大の使命だろう。

言い方を変えれば、体力低下を体質改善によって、どう防ぐかということ。
その方向性が国民に提示されることで初めて、そこにたどり着くために必要な、痛みを伴う政策についても理解を得ることが可能になる。

 安倍政権もやがては幕を閉じる。
その時、いったい何が残っているのか。
ただ「長いだけ」の政権であるなら、それは無駄な時間どころか、「劣化」を放置、助長した“邪魔もの”にすぎなかったことになるのではないか。

政治の怠慢がこの国を劣化させていく。
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2019年09月03日

消費税増税という悪魔がポイント還元を嗤っている

消費税増税という悪魔がポイント還元を嗤っている
2019/09/02 日刊ゲンダイ

 10月1日の消費税率10%開始まで1カ月を切った。
大新聞は1日、増税直前の現場の大混乱をこぞって報じたが、いい気なものだ。
大混乱のタネは「民主主義の基盤である知識を誰もが入手しやすくする」とのタテマエで、定期購読の新聞も対象になる軽減税率である。

 税率が異なる店内飲食(10%)と持ち帰り(8%)の価格の扱いで大手外食チェーンの対応はバラバラ。
政府は対応レジの導入に上限20万円などの補助金を設けたが、7月末時点の申請は想定の4割ほど。
対応レジの人気機種は需要に生産が追いつかず、納入が数カ月も先――とまあ、混乱ぶりを書き連ねて、社説では「あと1カ月、準備を万全に」などと上から目線で一席ぶつ。

 現場が悲鳴を上げるほど混乱しているなら、それこそ「民主主義の基盤」を重んじて「軽減税率なんてヤメちまえ」と主張すべきだ。
ところが、自分たちだけ軽減税率を勝ち取った手前、「日々の買い物の痛税感を和らげ、低所得者の負担を軽くする」などと取り繕う。
おためごかしの論調にはヘドが出そうだ。

 そもそもレジの導入や補助金の申請が遅れているのは、大嘘つきの安倍首相のせいだ。
過去2度の増税延期に加え、今回も正式決定を渋った。
選挙に勝つなら何でもアリの政権だけに、7月の参院選直前まで「3度目の延期もあり得る」と様子見を決め込んだ事業主も多かったはずだ。

 軽減税率を巡る混乱は、まさに“オオカミ中年”の安倍がどれだけ国民に信頼されていないかを物語っている。

■一石二鳥を狙うはずが総スカンの大マヌケ
 さらに混乱に拍車をかけているのが、キャッシュレス決済へのポイント還元策だ。
 還元率は中小店舗(資本金5000万円以下か、従業員数が50人以下)が5%、大手フライチャイズ加盟の中小店舗は2%。
クレジットカードや電子マネー、スマホのQRコード決済などで代金を払えば、ポイントが付与される。

 対象店舗が参加申請すれば、ポイント分は国の財源で補填。増税後の景気刺激とキャッシュレス普及の“一石二鳥”との触れ込みだが、参加を申請した店舗はまだ対象の約4分の1だけ。
全国の約200万店のうち、8月29日時点で約51万店にとどまる。
 そりゃあ、そうなるに決まっている。
ただでさえ、中小店舗は複雑な軽減税率にウンザリなのに、キャッシュレスに対応する暇はない。
手間やコストもバカにならない。

軽減税率に対応できるレジを購入するだけで「業者が薦めるのは1台50万円ほど」とされる。
 国の補助があっても負担は大きく、来年6月までの期間限定策に備えるためだけに、キャッシュレス端末に手を出す余裕はない。
ましてや、客や店主の高齢化が目立つ商店街などでは、キャッシュレス決済など遠い存在でしかない。
 その上、ポイント還元の対象外の大企業や直営店中心の大型チェーンは価格競争にさらされる。
既に直営店が多い飲食チェーンは客離れを恐れて税込み価格を据え置く「実質値下げ」や、自社負担でポイントの還元実施に動いている。

コンビニ大手も制度の対象外となる直営店でも自社で負担し、支払い時に2%分を即座に差し引く「実質値引き」が主流だ。大手スーパーも負けずに「消費増税還元セール」を仕掛けてくるだろう。

不公平で薄汚れた典型的な弱肉強食
「結局、混乱を避けるために企業の負担は増えるばかり。
値引き分のシワ寄せで、その傘下の下請けは四苦八苦。
従業員の給料減の要因にもなりかねません。
効果ゼロの愚策です」(経済アナリスト・菊池英博氏)

 これでは、ますます消費を冷え込ませるだけ。
実にアホらしい話で、誰がどう見ても景気刺激策にはなりそうもない。
 消費増税に伴う新たな税負担増は5.7兆円。

安倍政権は今年度予算に増税対策費として、2兆円超を盛り込んだが、うちポイント還元費は2798億円。
増税対策の7割近くを占めるのは「防災・減災、国土強靱化」を推進させる公共事業で予算規模はナント、1兆3475億円に上る。
 消費増税対策のドサクサに紛れて、自民党の大スポンサーであるゼネコンを潤す大盤振る舞い。
国民の懐に戻すはずの2兆円超の増税対策なんて大嘘。
見せかけの数字でしかないのだ。

 還元税率にしても対象の多くは食料品だが、総務省の家計調査によると、最新の今年6月分で2人世帯以上の消費支出に「食料」が占める割合は約28%に過ぎない。
日々の交通費や光熱水費、衣類や携帯電話の通信費など、残り7割以上の支出の多くには10%の税率が重くのしかかる。  

安倍はポイント還元策などについて、「十二分の対策を講じることで、経済の大宗を占める国内消費をしっかりと下支えしてまいります」と豪語したが、まったくのデタラメ。
インチキ政府が打ち出した効果の薄い弥縫策で現場は大混乱とは、筋書きの悪い喜劇でしかない。

元静岡大教授で税理士の湖東京至氏はこう指摘する。
「8%の税率据え置きやポイント還元で消費者を欺いたところで、消費税の“悪魔性”は覆い隠せません。
税率が2%引き上げられると、きっちり価格に2%分転嫁されていると思う人も多いでしょうが、実は違います。
価格の上乗せ分に法律上の義務はなく、力のある企業ほど2%以上を転嫁しがち。

実際に増税前から商品の値上げラッシュは続いています。
しかも税金を納めている企業と、還付される企業が併存し、大企業には『輸出戻し税』という“特典”までついてきます。
不公平で汚い、典型的な弱肉強食の税制なのです」

■日本経済をメタメタにする玉砕命令
 低所得者ほど物価負担が重くなる逆進性という“魔物”まで抱えながら、この国では法人税や所得税の減税分を「悪魔の税制」で肩代わりしてきた経緯もある。

庶民のカネを大企業や金持ち優遇策につぎ込んだ構図です。
消費税は一般財源なので使い道も自由。
政府は『社会保障に充てる』と言って巻き上げながら、社会保障に回った分はごく一部で、大半は借金返済に消えてしまった。
いくら弥縫策を講じても増税後は必ず買い控えが広がり、モノが売れず、真っ先に中小企業は苦しむことになる。
増税後は弱い立場の人ほど厳しい目に遭うのが、消費税が悪魔の税制たるゆえんです」(湖東京至氏=前出)

 まるで消費税という悪魔がポイント還元を嗤っているかのようだ。

 増税のタイミングも最悪だ。  
トランプ米政権は1日、中国製品に対する制裁関税「第4弾」を発動。
中国も即座に報復し、2大貿易大国が互いに課す関税率はついに平均20%を超える。
 保護主義が戦禍につながった1930年代並みの水準というから、すさまじい。
 休日明けのきょう以降、米中貿易戦争の本格化で外需が落ち込もうとする中、内需まで冷え込ませる消費増税に突き進むとは、日本経済への「玉砕命令」に等しい。

「第4弾の追加関税の目玉は中国製パソコンなど電子機器で、その部品の多くは日本企業が供給しています。
貿易戦争の激化は日本のメーカーにとっても大打撃。
対中貿易の黒字は減り、しかも安倍政権が韓国政府にケンカを売った悪影響で、対韓貿易の黒字も減る。
日米貿易交渉も日本車に25%の高関税を課されたり、円安誘導を禁じる為替条項をのまされるリスクは残ったまま。

つまり外需は上がり目なしで、貿易赤字へまっしぐら。
アベノミクスも行き詰まり、消費増税後の日本はマイナス成長に陥って、長期低迷の時代に入っていく。
今からでも増税を凍結すべきです」(菊池英博氏=前出)

 アホらしい軽減税率とポイント還元で大混乱という喜劇は、本当の悲劇の序章に過ぎない。
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2019年09月04日

恐るべき消費税ムダ遣いの歴史 ガラガラの温泉施設まで作っていた

恐るべき消費税ムダ遣いの歴史
ガラガラの温泉施設まで作っていた
2019/09/03 マネーポスト  

1989年に導入された3%(当時)の消費税は、「高齢化への対応」と「財政再建」のために使われるはずだった。
しかし実態は、巨額のカネがホテルや農道空港建設などの公共事業に使われていた。

なぜ、「社会保障」の財源が公共事業に化けていったのか。
 消費税が創設された平成元年はバブル経済真っ盛り。
霞が関では、各省庁が新税の税収を当て込んで全国にスキー場やゴルフ場、マリンリゾートなどを大規模開発する総合保養地域整備法(リゾート法)をはじめ、農道(空港、橋)、スーパー堤防やダム、空港整備計画など巨大事業を用意した。

 そこに政治家にとって税収を社会保障や財政再建ではなく、公共投資に回す格好の口実が飛び込んでくる。
米国からの「外圧」だった。
 折から日米経済摩擦が激化し、時の海部内閣は日米構造協議(1990年)で米国政府から「日本は内需拡大のために毎年GDPの10%(約46兆円)を公共事業に使え」という要求を突きつけられた。
国の税収の大半を公共事業にあてなけなければならない、とんでもない金額である。

 だが、地元に公共事業をバラ撒きたい自民党の政治家たちは飛びついた。
その中心が「自民党のドン」と呼ばれた金丸信・副総裁だ。
公共事業に君臨する建設族のボスであり、1988年の消費税国会では、衆院税制特別委員長として消費税法案を成立させた人物でもある。
 日米構造協議のさなか、金丸氏から時の橋本龍太郎・蔵相に電話が入る。
「おい、せっかくのアメリカからの要求だ。500兆円くらい出せよ」  ドンの指示だった。

 当時、大蔵省ナンバーツーの財務官として日米構造協議を担った内海孚(まこと)氏の証言である。
「米国は非公式協議でGDPの10%という要求を出してきた。私は抵抗しました。
しかし、米国側はアマコスト駐日大使が水面下で金丸さんにアプローチしていると伝えられていました。
どうやら大使は『金丸さんのところに行けば、公共事業が広がる』というアドバイスを得ているようでした。
そして金丸さんが橋本大臣にそういう電話をしてきた。
 橋本大臣は断わったんですが、政治決着で公共事業拡大が決まった。

海部首相とブッシュ大統領の会談で、向こう10年間で道路や港湾など430兆円の公共投資を行なうことを約束しましたが、私たち大蔵省は公共事業については意思決定に加わることができず、そんなおかしな判断には一切関わっていません」

 その後、米国の“もっと増やせ”という要求で日本政府は200兆円追加し、公共投資基本計画の総額は630兆円(13年間)に修正された。
当然、消費税収だけでは全く足りず、国債もバンバン発行していく。
「ジャンジャン使っちゃった」
 そこにさらなる税収横流しの追い風が吹く。

1993年に細川内閣が登場すると、GATTのウルグアイラウンド貿易交渉で日本はコメの一部輸入自由化を受け入れた。
 政権を失って野党になっていた自民党はこれを猛烈に批判し、翌年、自社さきがけの村山(富市)連立政権で与党に復帰すると、米自由化で影響を受ける農家を支援するという名目で農水省だけで6兆100億円のウルグアイラウンド対策予算を組んで大盤振る舞いを始めたのだ。
 当時の農水省ガット室長でウルグアイラウンド交渉にあたった山下一仁氏が振り返る。
「私の使命はコメの関税化(自由化)を防ぐこと。
コメについては当時の国内消費量の8%の80万トンを関税ゼロで輸入するというミニマムアクセスを受け入れた。
しかし、輸入量と同量のコメを飼料用や援助米として処分することにしたので、国内の生産を減らす必要はない。
 米農家に影響は全くないものでした。

しかし、村山政権になると自民党は巨額の対策費を実現させた。
影響がないのに対策が打たれたのだから、この対策費にはいかなる理屈も正当性もなかった」
 6兆円は政治家と役人、自治体の“つかみ金”となった。

必要のない農道、林道、遊歩道などの農業土木事業だけでは使い切れず、農村地帯では何億円もかけて温泉を掘削し、全国20か所以上で公営の温泉ランド建設ブームが起きた。
 自民党OBの谷津義男・元農水相が振り返る。

「自民党は票が欲しかったから、農協の要求、農家のいうことを聞いて金目が先にありきだった。
6兆100億円の予算を取ったとき、あまりに巨額だったから、これはまずいぞ、何に使うんだと党内で大議論になったんだが、大丈夫だろうとジャンジャン使っちゃった。
 使い途を市町村に任せたら、農家の人が体を休めることができるとか理屈をつけて温泉まで掘った。
これをいうと怒られるかもわからんが、ウルグアイラウンド対策費はほとんど役に立たなかったんだよ」

 栃木県の那須塩原温泉街のさらに奥、車で20分ほど山を登った自然公園「箱の森プレイパーク」にある日帰り温泉「遊湯センター」もそのひとつだ。
入り口に「農林漁業特別対策事業」の看板がある。
 お盆期間中に取材で訪ねると、広い公園には親子連れが1組、温泉の利用客はいなかった。
受付で話を聞いた。
「いい温泉なんですがいつもガラガラです。
利用者は多い時期で月に50〜80人くらい。
地元の農家の人が農作業を終えた後に浴びに来るなんて聞いたことがありません。
ここは山奥であまり知られていないし、地元の人は那須塩原温泉街に行きます」

 総務省が集計している国と地方自治体の公共投資を合わせた「行政投資額」の実績値をみると、日本が米国に公約した期間にぴったり630兆円使われていた。
 これではいくら消費税率を上げても税収を社会保障に回せない。
借金が膨れあがるはずである。


週刊ポスト 19年09月06日号
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2019年09月05日

東京五輪が軍国主義の象徴・旭日旗を持ち込み許可する愚行

東京五輪組織委が旭日旗を持ち込み許可の方針!
大日本帝国・軍国主義の象徴を平和の祭典で拡散させる愚行
2019.09.04 LITERA編集部

正気の沙汰とは思えない。
東京オリンピック・パラリンピック組織委員会が、「旭日旗」の競技会場への持ち込みについて、禁止せず許可する方針だというのだ。
 産経新聞、FNN、韓国メディアの報道によれば、旭日旗の使用に関連した韓国SBSの質問に対して、東京オリンピック・パラリンピック組織委員会は、「旭日旗は日本で広く使用されるため、それを防ぐ理由がない」
「旭日旗自体には、どのような政治的意味も含まれていない。そのため禁止品目とは見なさない」などという内容の公式回答書簡を送ったのだという。
共同通信なども同様に伝えている。

 東京五輪・パラリンピック組織委員会は「旭日旗自体には、どのような政治的意味も含まれていない」などとデタラメを吹いているが、「旭日旗」は紛れもなく戦前・戦中日本の軍国主義の象徴だ。

韓国や中国のみならず、日本が侵略したアジア諸国から反発が起こることは当然であり、しかも、まがりなりにも「平和の祭典」を標榜する五輪に持ち込むなど、国際社会の常識で考えればありえない判断だ。
  国際オリンピック委員会がこのまま看過するとも思えないが、東京オリンピック・パラリンピック組織委員会の森喜朗会長が、安倍首相と思想ともにする極右仲間であることを考えれば、強行する可能性もゼロではないだろう。

 ここ数年、安倍政権は、「旭日旗」をめぐって、大日本帝国の軍国主義の象徴であるという負の歴史をネグり、正当化しようという動きに出ている。
 2017年、サッカーのアジア・チャンピオンズリーグの試合で、サッカーJ1・川崎フロンターレのサポーターが、韓国の水原三星ブルーウィングス戦で旭日旗を掲げ、アジア・サッカー連盟が、旭日旗を掲げる行為は人種や政治的な心情による差別を禁じる規定に違反するとして、川崎を処分。
 この処分にネトウヨたちが反発した。

単にネトウヨが頭の悪い妄言をがなり立てているだけならまだマシだが、なんと日本政府がこうしたネトウヨの妄言レベルのことを追認するような動きに出たのだ。
 2017年当時、菅義偉官房長官は「旭日旗は差別的ではないとの認識か」との質問に対して、「自衛隊旗や自衛艦旗だけではなくて、大漁旗やしゅっさん、節句の祝い旗など、日本国内で現在も広く使用されていると考えている」などと会見で述べるなど、事実上、旭日旗の使用は不適切ではないとの認識を示した。

「日本国内で現在も広く使用されている」と言うが、それは在特会とかのヘイトデモではないか。
 さらに、今年5月には、日本の外務省がホームページで「旭日旗」に関する説明文書をアップ。
「旭日旗」が大日本帝国・軍国主義の象徴であるという史実をネグり、“まったく問題ない”と強弁したのである。
 しかし、日本政府や東京五輪・パラリンピック組織委員会がどんなに「旭日旗自体には、どのような政治的意味も含まれていない」などと強弁しようとも、「旭日旗」が大日本帝国・軍国主義の象徴であるという史実は揺らがない。
むしろ「旭日旗」正当化は安倍政権の歴史修正主義の象徴なのだ。

 こんなものをオリンピック・パラリンピックという「平和の祭典」とも称される国際イベントの場に、持ち込むなど許していいはずがないだろう。
 本サイトでは、「旭日旗」が、現在の「海上自衛隊旗」も含め、いかに問題あるものか、検証したことがある。
以下に再編集して、掲載する。

「政治意味がない」などという東京五輪・パラリンピック組織委員会の説明がいかに欺瞞に満ちたものか。あらためて、ご一読いただきたい。 (編集部)
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外務省がHPで「旭日旗」正当化!
サッカー国際試合でも問題になる軍国主義の象徴を無理やり肯定する歴史修正主義
 慰安婦問題や徴用工問題などで「史上最悪」と言われる日韓関係。
そんななか、またもや安倍政権による歴史修正主義が韓国世論を刺激した。
2019年5月24日、日本の外務省がホームページで「旭日旗」に関する説明文書をアップ。
こんなふうに“まったく問題はない”と強弁したのだ。

〈旭日旗の意匠は、日章旗同様、太陽をかたどっている。
この意匠は、日本国内で長い間広く使用されている。〉
〈制定以来、自衛艦旗及び連隊旗は国内外の様々な場面で掲げられてきている。
これらの旗は、これまで半世紀以上にわたり、自衛艦または部隊の所在を示すものとして、不可欠な役割を果たしてきており、国際社会においても広く受け入れられている。〉

 ようするに、安倍政権は“旭日旗のデザインは自衛隊で長年使用されてきたもので、国際社会にも受け入れられている”と主張したのだ。
 周知の通り、現在でも海自・陸自の旗として使われている「旭日旗」を巡っては、戦前・戦中日本の軍国主義の象徴であることから、韓国をはじめ国際社会で強い反発を呼んできた。

 しかも、旭日旗は、スポーツの場でも何度も問題化してきた。
2017年には、サッカーのアジア・チャンピオンズリーグの試合で、サッカーJ1・川崎フロンターレのサポーターが、韓国の水原三星ブルーウィングス戦で旭日旗を掲げた。
アジア・サッカー連盟は、旭日旗を掲げる行為は人種や政治的な心情による差別を禁じる規定に違反するとして、川崎に執行猶予付き無観客試合や罰金などを命じた。
川崎は異議申し立てをしたがスポーツ仲裁裁判所には提訴せず、処分が確定。
だが、昨年のロシア・ワールドカップでも日本代表対セネガル代表戦で旭日旗が出されるなど、同じ事が繰り返されている。  

とりわけサッカーの試合を巡っては、世界的にもナチスのハーケンクロイツを掲げたサポーターやクラブ側に厳しい処分が出されている。
日本サッカー協会は「旭日旗に政治的な意図はない」などと主張しているが、先述したアジア・サッカー連盟の裁定をみてもわかるように、旭日旗はスポーツの場にふさわしくない「政治的」「差別的」な象徴としてはっきりと禁じられているのである。
 それを、よりによって戦中の旭日旗をそのまま海上自衛隊の旗にしている日本政府が〈国際社会においても広く受け入れられている〉と言い張ったのだ。

 だとすれば、何度でも、日本政府が隠蔽しようとする“旭日旗の歴史”を確認しておく必要があるだろう。
はっきり言うが、外務省の旭日旗をめぐる説明は歴史修正主義と呼ぶべきシロモノでしかないからだ。

戦中は「旭日旗=天皇の分身」だった! 旗手が軍旗もろとも自爆も
 まず、「旭日旗は日本の軍国主義の象徴である」という韓国など国際社会の批判は、べつに言いがかりでもなんでもなく歴史的事実だ。
旭日旗は、戦前・戦中に帝国陸軍の「軍旗」(連隊旗)および帝国海軍の「軍艦旗」として用いられた。
それぞれ形が異なるが、現在、海上自衛隊が艦旗として使用している旭日旗は、戦中の海軍から丸ごと引き継がれたものだ。  それら旭日旗は、戦前、どのように扱われていたか。

たとえば陸軍では、単なる連隊の標識にとどまらず「旭日旗=天皇の分身」として、軍旗に関する礼式、取り扱い等も規定された。
紛失したり、奪取されることなどもってのほかで、敗北・玉砕の際は連隊長が腹を切り、軍旗を奉焼の儀式にて灰にした(寺田近雄『完本 日本軍隊用語集』学習研究社)。

 歴史家の秦郁彦氏によれば、第二次大戦末期には爆薬によって旗手が軍旗もろとも自爆する処置までとられたという(『日本陸海軍総合事典』東京大学出版会)。
まさに“狂気”としか言いようがない。
実際、戦中、陸軍近衛歩兵第6連隊で旗手をつとめた作家の村上兵衛はこう書いている。

〈軍旗を失った歩兵連隊などというものは、もはや哂い者にすら価しなかった。
それは存在しないのである。
また存在させてもならないのである。
だから、わが陸軍においては「軍旗喪失」と「連隊全滅」とは数学的正確さを持った同義語に過ぎなかった〉(小説「連隊旗手」)

 一方、海上自衛隊にそのままの形で引き継がれた、帝国海軍の旭日旗はどのように扱われていたか。
1902(明治35)年に海軍少佐・奥田貞吉の名前で著された「帝國國旗及軍艦旗」は、その意匠に〈我帝國ノ武勇ヲ世界ニ輝カセ〉〈帝國ノ國權ヲ地球ノ上ニ發揚セヨ〉という意味があると説明している。

つまり、外務省は〈自衛艦または部隊の所在を示すもの〉と一面しか説明せず、完全にネグっているが、歴史的には、たんに船舶の所属を表すだけでなく、国威発揚や帝国主義の正当化を図る示威行為の意図があったのだ。

海上自衛隊の旭日旗復活には、“大日本帝國の思想性”復活の意図があった
 狂気の象徴だった陸軍の軍旗および海軍の軍艦旗、旭日旗は当然ながら、敗戦後は一度消滅する。
では、なぜそれが前述したように、海上自衛隊で自衛艦旗として復活したのか。
 それは「自衛隊艦旗と旧軍の旭日旗が違うもの」だからではない。
逆に、海上自衛隊がその「旧軍の旭日旗の思想性」を復活させたいと考えたからだった。

 現に、防衛省・自衛隊ホームページでは〈自衛艦旗は戦前の日本海軍の軍艦旗そのままのデザインですが、その制定にあたって海上自衛隊の艦旗はすんなりと旧軍艦旗と決まったわけではありませんでした〉と解説されている。
 1954(昭和29)年の自衛隊設置を前に、その前年から旗章が全面的に見直されることになったのだが、〈多くの部隊が希望している旧軍艦旗を採用することについても、情勢はこれを許す状況にはないのではないかとの議論〉があったというから、やはり、旭日旗が軍国主義を示すものであるとの認識は当時の関係者にもあったわけである。

 ところが、防衛省が説明するところによれば、〈各部隊・機関の意見を集めたその結果、各部隊等の大部分は旧軍艦旗を希望している意見が多いことが判明〉して、旧日本帝国軍の軍艦旗がそのまま制定されたという。
 元海軍軍人の大賀良平・第12代海上幕僚長(故人)が、かつて雑誌の「海自50周年」の記念特集に「旭日旗、再び」と題して寄稿した文によれば、1951年、吉田茂はサンフランシスコ講和条約締結と前後し、米国から艦艇の貸与を打診され、これを受け入れた。
その際、貸与艦をどう運用すべきかを検討する秘密委員会が設けられ、山本善雄元海軍少佐が主席となり、旧海軍側から8名が参加したという。

この答申によって、翌52年に海上警備隊が創設されたのだが、大賀元海幕長は当時をこう述懐している。
(この時、関係者が感激し狂喜したのは、かつての軍艦旗“旭日旗”が再び自衛艦旗として使えるように決まったことだ〉(「世界週報」時事通信社/2002年8月20・27日合併号)

 大賀元海幕長の言う「感激し狂喜した関係者」が、海軍出身者のことであることは疑いない。
自衛艦の「旭日旗」が、帝国海軍のメンタリティによって復活したことは明白だ。
つまり、海上自衛隊の自衛艦旗=旭日旗は、たんにそのデザインが戦中と同じというだけでなく、大日本帝国の思想性を継承したものに他ならないのである。

外務省の唐突な旭日旗正当化の背後に安倍首相周辺の極右政治家  
外務省は、このたび公表したHPでの説明のなかで、〈太陽から光線が放たれる旭日のデザインは、日本特有のものではない〉として、北マケドニア共和国の国旗などに〈類似のデザイン〉があり、〈世界で広く使用されている〉としている。
 だから何だというのか。
問題は「旭日」=朝の太陽の“デザイン性”にあるのではなく、「旭日旗」=帝国軍旗・戦艦旗という“史実”にある。

いまでも海自が使っている日本の「旭日旗」が、まさしく大日本帝国のミリタリズムを継承したものである以上、韓国など日本が植民地化したり侵略したアジア諸国が嫌悪するのは当たり前の話だ。
 外務省はいったい何のために、こんなタイミングで、無理やりな旭日旗正当化をHPで発表したのか。

 今回の問題を巡っては、安倍首相の覚えもめでたい自民党の山田宏参院議員がTwitterで
〈自衛艦旗に対し、韓国だけが「戦犯旗」などと的外れで無礼な非難を国際社会で繰り返しています。
そこで国際社会で正しい認識をしてもらえるよう、このたび防衛省と外務省のホームページで、旭日旗について日本語と英語での説明文を、本日17時に掲載することになりました〉(5月24日)と投稿している。

外務省HPでのプロパガンダは安倍首相周辺の極右勢力が主導したと考えて間違いないだろう。
 安倍政権が「旭日旗」を正当化しようとするのは、あきらかに戦前日本の帝国主義を肯定する歴史修正主義の延長だ。
ゆめゆめ騙されてはならない。
                                  (編集部)
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2019年09月06日

大臣なんて課長級? “官邸闇支配”内閣改造の茶番劇

大臣なんて課長級?
“官邸闇支配”内閣改造の茶番劇
2019/09/05 日刊ゲンダイ  

来週11日に行われる内閣改造。
野党が国会審議を要求しているのに、自民党はガン無視し、党内の関心は「進次郎は復興相か」などと、“組閣人事”一色となっている。
新内閣の発足まで1週間もあるのに、NHKまで<二階幹事長、岸田政調会長 留任>と、4日夜7時のニュースのトップで報じる始末だ。  

2012年12月の政権スタート以来、9回目となる今回の組閣は、安倍独裁の“総仕上げ”になるとみられている。
 自民党の中堅議員がこう語る。
「すでに7年間も総理総裁をやり、さすがに安倍総裁の4選はないだろう、というのが党内の共通認識です。
常識的に考えて、任期は2021年9月まであと2年です。
どんな政権も終わりが見えてくると求心力が落ちるもの。
最後まで求心力を維持するために、この先、安倍官邸は意図的に“解散風”を吹かせるはずです。
さらに、9・11の組閣では、岸田文雄、茂木敏充、加藤勝信といった“ポスト安倍”候補を主要ポストに就け、自分の下で“後継レース”を争わせるハラだとみられています。
忠誠心を競わせる。恐らく、禅譲を期待して自分を殺し、忠勤に励んでいる岸田文雄のように、ポスト安倍候補は、誰も安倍首相に逆らえなくなるでしょう。
“安倍1強”がさらに強まる人事になるはずです」

 前回、昨年10月に実施した内閣改造では、総裁選で支持してくれた主要派閥に配慮したが、今回は、派閥に配慮せず、一本釣りを多用すると予想されている。

■進次郎の“育休宣言”は“入閣拒否宣言”
 はたして新内閣はどんな顔ぶれになるのか。
大手メディアは「大幅改造になる」と期待をもたせているが、“サプライズなし”となる可能性が高い。
「入閣待機組」がざっと70人いるが、目玉になりそうな議員は皆無だからだ。
 ワイドショーが「厚労相か、復興相か」「ご祝儀入閣」などと騒ぎたてている小泉進次郎も入閣しない可能性が強まっている。
これまで進次郎は、2回、入閣の打診を断っている。
先月31日、「小泉進次郎の育休は何が良い形か。いろいろなアイデアを聞きたい」と、育休宣言したのは、入閣拒否宣言だとみられている。

 一方、安倍首相の方も進次郎を起用するつもりはないらしい。
政治ジャーナリストの角谷浩一氏はこう言う。 「安倍首相には、進次郎を育てるつもりはサラサラないはずです。
なにしろ、過去の総裁選で進次郎は、石破支持に回り、一度も安倍首相を支持していない。
安倍首相は、そういうことを根に持つタイプです。
それに、いま進次郎を抜擢するメリットがない。
進次郎に頼らなくても支持率は高いですからね。
むしろ、入閣させた時のリスクを考えているはずです。
滝川クリステルさんと結婚した途端、週刊誌が女性問題を書き立てているからです。
大臣になったら、過去に関係した女性が実名で告発することだってあり得る。
安倍首相は第1次政権の時、閣僚のスキャンダルが続出して政権崩壊につながっただけに、スキャンダルを嫌う。
リスクがあるのに、わざわざ入閣させないのではないか」

 目を引きそうな女性大臣の候補も乏しい。
NHKを筆頭に大手メディアは、いまから一大ニュースとして取りあげているが、9・11内閣改造は、パッとしないものになるのではないか。

威を借りた官邸官僚がバッコする異常  
そもそも、なにもかも官邸だけで決めているこの政権に、内閣を改造することにどれほど意味があるのか。
安倍政権にとって、大臣など誰がなっても同じ、さながら課長人事のようなものだろう。
 実際、安倍政権は、内政も外交も、すべて官邸が決めている。
自民党内では、安倍と菅官房長官には逆らえないという空気が蔓延し、この7年間、大臣が自分の判断で政策を決めたことはほぼ皆無。
いまや「自民党に政治家は安倍・菅の2人しかいない」と揶揄されるありさまである。

異様なほど官邸支配が強まっている。
 官邸支配を象徴するのが、並の閣僚以上に力を持った“官邸官僚”たちだ。
各省庁のトップである事務次官をアゴで使い、官邸の威光をバックに絶大な権力をふるっている。

「官邸官僚」という造語をつくったノンフィクション作家の森功氏が、官邸支配の構図をこう語る。
「官邸支配の実動部隊となっているのが、首相秘書官、首相補佐官、官房副長官、官房副長官補ら、いわゆる官邸官僚です。官邸官僚は各省庁から官邸に出向した身分で、従来、出身省庁の利益のために働くのが役割でした。
ところが、安倍政権では一変しています。
彼らは省庁の枠を超え、次官クラスも動かす“スーパー官僚”になっている。
代表者が、経産省出身の今井尚哉首相秘書官です。
安倍政権の政策のほとんどは、今井秘書官が企画立案しているといわれています。
もちろん、秘書官である彼らに、本来権限はありません。
でも『総理の意向だ』の一言でなんでも通ってしまう。
官邸官僚のなかには、局長止まりの役人も多い。
それでも事務次官が従い、霞が関が反旗を翻さないのは、安倍政権が新設した“内閣人事局”が1府12省庁の幹部680人の人事を握っているからです。
その結果、霞が関は、直接の上司である大臣ではなく、首相官邸を見て仕事をするようになっています」

 官邸官僚のもう1つの特徴は、警察官僚が力を持っていることだ。
裏表、あらゆる情報を集め、安倍・菅に上げている。
政敵のスキャンダルも押さえる、その圧倒的な情報量が官邸支配をさらに強めている。

「官邸支配の大きな問題は、この7年間、ほとんどメンバーが代わらず、少人数で日本の行方を決めていることです。
権限が一極に集中している。
官邸が暴走してもチェック機能が働かないことも問題です」(森功氏=前出)

■大臣に能力を求めない政権  
権力は集中すればするほど腐敗していくものだ。
まして、権力者の側近が実権を握る「側近政治」は、確実に腐敗していくと歴史が証明している。
 加計疑惑でも、暗躍したのは、官邸官僚たちだった。
文科省の事務次官だった前川喜平氏に、「総理が自分の口から言えないから、私がかわっていう」と、加計学園の獣医学部新設を迫ったのも、官邸官僚である。

 政権発足後、7年間、権力を支える麻生、菅が代わらないのは、政権の暗部を共有しているからなのではないか。

最悪なのは、官邸官僚が中心となって手がけてきた政策は、ことごとく失敗に終わっていることだ。
トルコ、イギリスへの原発輸出はほぼ全滅。
「経済成長年3%」「出生率1・8」「介護離職ゼロ」も、1つも実現していない。
北方領土返還、拉致問題と外交にも関わったが、外務省との軋轢を生んだだけで、すべて頓挫している。

 官邸一極支配の政権で、大臣を選ぶことに、どんな意味があるのか。
内政も外交も、すべて官邸が決める政権では、内閣改造などセレモニーに過ぎない。
 政治評論家の有馬晴海氏が言う。
「いま、環境大臣が誰なのか、法務大臣が誰なのか、スラスラと名前が出てくる国民はほとんどいないでしょう。
なにしろ、安倍政権では、印象に残る仕事をしている大臣はほとんどいない。
目立ちやすい外相にしても、岸田外交、河野外交と呼ばれるものはなにも残っていない。
恐らく、安倍首相は、政権を支える麻生財務相と菅官房長官以外、大臣は誰でもいいと思っているのだと思います。
五輪担当相だった桜田義孝さんのように、まともに国会答弁できなくても、仕方ないと考えているフシがあります。
裏を返せば、大臣には能力を求めていないのだと思います」

 わずか7年間で、この国は大きく歪んでいる。
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2019年09月07日

京急衝突事故を招いた“魔の四重禍”を放置した横浜市の大罪

京急衝突事故を招いた“魔の四重禍”を放置した横浜市の大罪
2019/09/06 日刊ゲンダイ

 起こるべくして起こったのか――。
5日、横浜市神奈川区の踏切で発生した13トン大型トラックと京浜急行線の衝突脱線事故。
神奈川県警によると、トラック運転手の本橋道雄さん(67)が搬送先の病院で死亡し、電車の乗客ら33人が負傷した。
県警はトラック側に過失があったとみて捜査しているが、事故の裏には行政の“怠慢”が透けて見える。
  ◇  ◇  ◇
「ドーン!」
 現場となった「神奈川新町第1踏切」の近隣住民は正午前、大きな衝撃音を耳にし、自宅2階から急いで事故現場を見下ろしたという。
「事故の直後、トラックから黒煙が立ち上り、すぐに焦げ臭いニオイが鼻をつきました。
トラックと脱線した電車の破片がまじったのか、黒煙の中に銀色がきらめいていました」(50代女性)

 事故が起きた踏切は、京急線・神奈川新町駅を横浜駅方面に向かってすぐ。
トラックは事故直前、線路沿いの細い一方通行から踏切を渡るため右折したが、道が狭すぎて線路内で立ち往生。
遮断機が下り始め、トラック後方に快速特急(快特)が衝突した。

“赤い彗星”とも称される快特の下りは京急川崎駅を出たら、神奈川新町など10駅をシャアーっと通過。横浜駅までの
@最高速度は時速120キロに上るため、ほぼフルスピードで衝突したとみられる。

「線路沿いの道は第一京浜と平行しているから、
A第一京浜が混んでいる時の抜け道として使われているけれど、道幅が4メートルしかない。
大型トラックだと通りづらいし、あの踏切の手前で右折しようにもハンドルを切り返しても一度では曲がりきれないでしょうね。
小学生も通る道だから、危ないとは思っていた」(近隣の70代男性)

B右折困難も禁止規制はなし。
ただ、狭い抜け道のせいで踏切を渡りきれなかったことだけが事故の原因ではない。
この踏切は、いつ大事故が起きても不思議ではない“魔の踏切”だったのだ。

■国交省は「開かずの踏切」と認定
 問題の踏切は上下線計4本の線路を横切るため、「朝の通勤時間帯や夜の帰宅時間帯はなかなか遮断機が上がらない時間があった」(前出の50代女性)という。
実際、国交省作成の<踏切安全通行カルテ>は「神奈川新町第1踏切」を、ラッシュ時間帯の1時間のうち40分以上遮断機が上がらない
C「開かずの踏切」だと認定している。

 ところが、同省の<改良すべき踏切道の指定>のリストには入っておらず、踏切を管轄する横浜市も「『開かずの踏切』ということは知っていましたが、安全対策を進めるべき対象には該当していません」(道路局建設課鉄道交差調整担当課長)とスットボケ。

要するに、国も市も問題アリだと分かっていながら、安全対策を怠ってきたというワケだ。
 横浜市では2013年、同じく京急線で、杖をついた高齢男性(当時88歳)が生麦駅前の「生見尾踏切」を渡りきれず、電車にひかれて亡くなる事故が起きている。
この踏切も京急線の他、JR3路線が走る「開かずの踏切」で、林文子市長は当時、歩道橋の整備を「スピード感を持って行う」とすぐに対応。

一方、今回事故のあった「開かずの踏切」は放置してきた。
 林市長といえば、「白紙」としていたカジノ誘致を一転させて話題となったばかり。
記者の追及にイラついて会見後に資料を放り投げた姿を報じられて以来、“ブン投げ市長”とヤユされている。

カジノ誘致こそさっさと“ブン投げ”て、市民の安全確保にカネを使ったらどうか。
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2019年09月08日

丸山氏戦争発言 憲法への重大な挑戦だ

丸山氏戦争発言 憲法への重大な挑戦だ
2019年9月7日 東京新聞「社説」

 日本の領土が「不法占拠」されている状況は許し難いが、国会議員が戦争で取り戻せと軽々に発言することも聞き捨てならない。
国際紛争解決の手段としての戦争を放棄した憲法への重大な挑戦だ。

 NHKから国民を守る党の丸山穂高衆院議員が、韓国の国会議員団が上陸した竹島を「戦争で取り返すしかないんじゃないですか」と自身のツイッターに投稿した。
 丸山氏は五月、北方領土へのビザなし交流訪問団に同行。酒に酔った状態で元島民の訪問団長に、北方領土の返還には「戦争しないと、どうしようもなくないですか」と述べた。
それに続く、戦争による領土奪還発言である。

 議員の当落を決めるのは有権者による選挙であり、その地位は重い。
しかし、選挙時に想定されていない言動があれば、その都度、議員の資格が問われて当然だ。
 外国の「不法占拠」が長年続く自国の領土を、武力によって奪還することは、国連憲章でも、日本国憲法でも認められていない。
 憲法は「国権の発動たる戦争」と「武力による威嚇又(また)は武力の行使」を「国際紛争を解決する手段として」は永久に放棄している。

 外国の「不法占拠」は許し難くても、武力でなく外交交渉で取り返すのが平和国家・日本の道だ。
武力で領土を奪還しようとすれば相手国と戦争状態になるだけでなく、国際的に孤立し、国民の平穏な暮らしは脅かされる。そんな想像力もないのかと愕然(がくぜん)とする。

 国会議員が戦争で取り返すしかないと公に発言することは、戦争放棄の憲法九条と、国会議員の憲法尊重、擁護義務を定めた九九条に反する。
一私人のざれ言ならともかく、全国民の代表である国会議員としては不適切極まりない。
 憲法に背く発言を続けた以上、すでに議員としての適格性を失っている。
丸山氏には議員辞職という判断を重ねて求めたい。

 衆院では、北方領土訪問の際の丸山氏の一連の言動を「憲法の平和主義に反する」「わが国の国益を大きく損ない、衆院の権威と品位を著しく失墜させた」などとして、進退判断を促す糾弾決議を全会一致で可決している。
 しかし、丸山氏は辞職を拒み、日本維新の会を除名された後、N国に入党した。

N国の立花孝志党首は「表現の自由。問題提起の範疇(はんちゅう)」と述べたが、丸山氏の度重なる戦争発言は、問題提起の域を超えている。
放置するのであれば、公党としての責任を自覚していないと指摘せざるを得ない。
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強い台風15号、森田さんが「掛け値無しで危険」「首都圏最悪のコース」と注意喚起

強い台風15号、森田さんが「掛け値無しで危険」
「首都圏最悪のコース」と注意喚起
2019/9/ 8 J-CASTニュース

強い台風15号が、日本列島に接近しつつある。
予報によると、2019年9月8日夜から9日午前にかけて、関東を直撃する進路になっている。
台風15号は、8日11時時点で八丈島(東京都)の南南西約140キロメートルに位置し、中心気圧は960hPa(ヘクトパスカル)。
北西に向けて時速30キロで進んでいる。

この台風をめぐっては、気象関係者から、ツイッターで注意喚起が相次いで呼びかけられている。

新幹線・在来線が続々計画運休へ
気象庁は8日11時、今後の見通しを発表。8日夜遅くから9日明け方に、関東か東海地方に上陸し、昼前にかけて関東甲信地方を通過する見込みだとして、暴風や高波、土砂災害、低い土地の浸水、河川の増水・氾濫に厳重に警戒するよう呼び掛けている。

この発表によると、9日12時までの24時間の雨量は、関東甲信と東海地方の多いところで300ミリ。
伊豆諸島が200ミリ、東北地方が150ミリとなる見込み。
暴風は東海地方、伊豆諸島、関東地方で最大40メートル(瞬間60メートル)、東北地方で30メートル(45メートル)が予想されるという。
高波は伊豆諸島が最大10メートル、東海・関東地方が9メートル、東北地方が7メートルの予想だ。
これらの予報を受けて、東海道新幹線は、上りが8日17時以降、下りが20時以降、順次運休すると決めた。
関東のJR東日本各線も、東海道線、伊東線、青梅線、京葉線、内房線、久留里線、外房線が19時以降に順次運転を見合わせる予定だ(12時時点)。

「狼少年と言われても、今回だけは警戒して!」
TBSの気象情報で知られる森田正光さんは8日8時台に、「首都圏最悪のコース」とツイート。
上陸時の予想中心気圧が、1958年9月に1269人の死者・行方不明者を出した「狩野川台風」に匹敵すると指摘したうえで、「時代が違うから同じように考えられないが、掛け値無しで危険な台風」だとしている。

気象庁気象研究所の研究官である荒木健太郎さんは、8日6時台にツイッターで「関東の皆様にお願いです,今回の台風はいつもと違うと考えて必ず備えて下さい」などと呼びかけ、「日中は穏やかでも極めて危険な状況になります.ご自身や大切な人の命を守る為に必ず備えの確認を!!」と警戒を促している。

また、「あさチャン!」(TBS系)のお天気キャスター、河津真人さんは7日20時台、 「もうほんと正直に言うと、今まで関東に近づいてた台風の多くは心の中で『あー、クソザコナメクジ台風なんだけど、防災的に警戒を呼びかけないと』って感じでした」 として、「狼少年といくら言われてもかまわないから、今回だけは警戒してくれ!」とつぶやいている。
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2019年09月09日

明石家さんま「老害化する笑いの天才」の限界

明石家さんま「老害化する笑いの天才」の限界
9/8(日) 東洋経済オンライン  

昨年、『日経エンタテインメント!』(日経BP社)の「好きな芸人・嫌いな芸人2018」ランキングで異変が起こった。
「好きな芸人」部門で、調査開始以来、不動の首位を保ってきた明石家さんまが敗れて、新たにサンドウィッチマンが1位に輝いたのだ。
さんまを上回る次世代の好感度No.1芸人の誕生は、大きな話題になった。

しかし、今年はさらに驚くべきことが起きた。
『日経エンタテインメント!』2019年8月号で発表された「好きな芸人・嫌いな芸人2019」で、さんまが初めて「嫌いな芸人」で1位になってしまったのだ。
もちろん「嫌い」と思うほど感情が動くのは、それだけ認知されている証拠でもある。
いわば、嫌いな芸人として名前が挙がるのは人気者の宿命でもあるのだ。

 それでも、あのさんまが1位になるというのは衝撃的だ。
40年以上にわたって幅広い世代に愛され続けてきたさんまに、いま逆風が吹いている。
そんな空前の事態が起こったのはなぜなのか、改めて考えてみたい。

■なぜ好感度が下がっているのか  
記事の中でさんまを嫌いだと思う理由として挙げられているのは、「価値観の押し付けは目に余る」(57歳男性)、「なんでも自分の話にしてしまい、MCとして機能していない」(57歳女性)といった意見である。
さんまを根強く支持していたはずの熟年世代からも、このような批判が出てくるようになっているのだ。

ここで挙がった「価値観の押し付け」「何でも自分の話にする」という2つの問題について順番に検討していこう。  

まず、1つ目の問題について。
確かにここ数年、さんまのテレビやラジオでの発言が世間の非難を浴びるケースが増えている。
「いい彼氏ができたら仕事を辞めるのが女の幸せ」といった旧来の価値観の押し付けに思えるような発言や、「カトパン(加藤綾子)を抱きたい」というセクハラまがいの発言、さらには剛力彩芽などの若い女性タレントを本気で狙っていると公言したりするところが、バッシングの対象になっている。

 つい最近も、8月20日放送の『踊る! さんま御殿!!』(日本テレビ系)で、性別非公表のものまねタレントのりんごちゃんに対して「りんごちゃんなんかは男やろ?」と詰め寄った。
空気を察してヒロミがすかさず「りんごちゃんはね、そういうのないの、性別がないの」とフォローを入れると、さんまはそれでも納得せず「おっさんやないか、アホ、お前」と声を荒げた。
 りんごちゃん自身は場を収めようと「人それぞれの捉え方でいいんです」と答えていたが、ネットではLGBTに関してあからさまに無理解であるように見えるさんまに対する批判が相次いでいた。

 セクハラやパワハラに対する世の中の意識が変わり、それに伴ってテレビの世界でも、露骨にセクハラ・パワハラ的な言動を見せるタレントは少なくなっている。
そんな時代に、さんまだけが旧態依然とした価値観にとらわれ、世の中の空気にそぐわない発言を連発している。
それに違和感を抱く人が年々増えているのだろう。

■「教養がない」という弱点  
2つ目の「何でも自分の話にする」ということに関しては、ビートたけしによるさんま評が参考になるだろう。
たけしはさんまを「しゃべりの天才」と評価していて、反射神経と言葉の選択のセンスに関しては右に出る者はいないと絶賛している。
だが、そんなさんまにも欠点があるという。
それは「教養がない」ということだ。

バラエティ番組の中で、素人でも誰でもどんな相手だろうときちんと面白くする。
けれど、相手が科学者や専門家の場合、結局自分の得意なゾーンに引き込んでいくことはできるし、そこで笑いは取れる。
でも、相手の土俵には立たないというか、アカデミックな話はほとんどできない。
男と女が好いた惚れたとか、飯がウマいマズいとか、実生活に基づいた話はバツグンにうまいけど。 (ビートたけし著『バカ論』新潮新書)  

要するに、さんまには教養がないので、相手の話を同じレベルできちんと受け止めたうえで、それに対して何か返すということができない。
だから、話の中身ではなく、話し方や態度や言葉尻などの細部を捉えて、自分の土俵に持ち込んでそれを笑いにする。
もちろんそれ自体がさんまの芸人としての卓越した技術なのだが、それが人によっては「話を聞いていない」という不誠実な態度に見えるということだろう。
 これに関しては、今に始まったことではなく、さんまは若手の頃から一貫してこのようなトークスタイルを貫いている。
さんまは、あらゆる事象を笑いを取るための素材として平等に扱う。
目の前にいる相手が話していることも、それ自体が重要なのではなく、それで笑いが取れるかどうかだけが重要だと考えている。
笑いの職人としてのさんまの高すぎるプロ意識が、ここでは裏目に出ている。  

さんまの何でも笑いに変える話術はすばらしいものであり、彼自身が何も持たない若手の頃にはそれがとくに魅力的に見えていた。
だが、さんまは現在64歳である。
共演するほとんどのタレントが自分より年下だ。
年配の人間が、一回りも二回りも年下の相手に対して、一切聞く耳を持たないという頑固な態度を取っていれば、印象が悪く見えるのも無理はない。
 ただ、テレビタレントとしてプロ中のプロであるさんま自身は、ここで述べたようなことは百も承知だろう。
これまでにも、時代の変化に合わせて自分の見せ方を微調整したり、新しいものを貪欲に取り入れてきたからこそ、いつまでも古びないで最前線に立っていられるのだ。
しかし、そんな「超人」にも限界はある。

■さんま本人も「限界」を自覚か  
さんま自身も、近いうちに逆風が来ることを見越していたような節もある。
というのも、さんまは60歳になる前の一時期に「60歳で引退したい」とほのめかしていたことがあったのだ。
結局、前言を撤回して、それ以降も芸能活動を続けることになった。
実はさんまはその時点で「このまま続けていれば限界が来る」ということを何となく悟っていたのかもしれない。

 とはいえ、いまだに「好きな芸人」部門で2位をキープしていて、冠番組を多数抱えているさんまの勢いは、すぐに衰えるようなものではない。
本稿で述べたようなことすべてが、さんまというお笑い界の巨人の前には言いがかりに近い些末な指摘にすぎないのかもしれない。
 ただ、「お笑い怪獣」の異名を取るさんまにも、いつか確実に終わりの日は来るのだ。
さんまが「嫌いな芸人」部門で1位になったという事実は、後から振り返ってみれば彼にとっての「終わりの始まり」になるのかもしれない。

ラリー遠田 :作家・ライター、お笑い評論家
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今日 手術入院

今日、大学医療センター病院に10時30分予定で手術入院をします。
台風進路によっては 鉄道の再開が遅れるかもしれませんので ニュースにくぎ付けです。

 9日 (月) 入院 10:30
 10日 (火) 大腸内視鏡検査 10:00
 11日 (水) 多発痔瘻・膿皮症手術 3時間の予定

以下 経過観察などで10日〜14日の入院予定。

21日迄は 「予約投稿」で記事更新をします。
コメント返しやブログ訪問はできませんので お許しください。

毎日のように出血する症状と「さようなら」ができそうです。
30年年以上 拗らせた痔瘻。
やっと決心ができました。
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2019年09月11日

2019年度も折り返し!今からでも間に合う?家計の見直しのポイントとは

2019年度も折り返し!
今からでも間に合う?
家計の見直しのポイントとは
9/8(日) ファイナンシャルフィールド

年始に今年こそ貯めるぞ! 家計簿をつけるぞ! と意気込んだものの息切れしている人、なかなかお金を貯めることができないという人に挽回の方法を教えます。

やっぱり意気込んでも…
「お金を貯めたい。家計簿をつけよう!」なんて意気込んでも、やっぱりこれができない人はたくさんいます。
実は私もその一人です。
家計簿をつければお金の管理ができている、そして貯まるという錯覚に陥っている人もいるはずです。
自分に無理な暗示をかけて、疲れることをやっているにすぎません。

昔から、十人十色。10人いれば10人の考え方、やり方があっても良いと思います。
お金を貯める方法についてもいろいろなやり方があっても良いのです。
とかく、お金=家計簿となりますが、毎日つけるのは面倒で大変です。
そこで、家計簿をつけることが長続きしない人は、いっそのことやめてしまうのはどうでしょう?

では、どうすれば貯められるのか?
そこで、毎日毎日家計簿をつける代わりに、1ヶ月の収支の洗い出しをして無駄をしっかり把握し、カットすることが重要になってきます。 
この際、季節によっても支出は大きく違う点に注意しましょう。
例えば、夏は必要以上に飲み物の購入が増えますし、お盆休みなど長期の休みで外出も増えます。
このように、12ヶ月の収支の洗い出しをして、無駄をカットしていきましょう。

●強い意思で貯金の目標を持つ!
また、何のために・いつまでに自分はお金を貯めるのかを考えて、しっかり目標を決めることも大切です。
お金を貯めるには自分のお金に対する意識改革と、お金の悪い使い方の習慣を直すことが必要になります。
お金の悪い使い方の習慣も、生活習慣病と同じです。
生活習慣病は毎日の繰り返しの悪い習慣で、体に悪い影響を与えた結果、発症します。
今一度、自分と本気で向き合って考えてみましょう。

ここがポイント!! 
お金を使う悪い習慣とは?
私は、コーヒーが大好きです。
外出先のカフェでコーヒーを飲みます。
1日2回カフェに行くこともあります。
習慣とはこのようなものです。
では、他にお金を使ってしまう習慣にはどのようなものがあるのでしょうか?

・毎日のお酒、たばこの購入
・毎日のペットボトルの飲み物購入
・毎日の缶コーヒー購入
・コンビニの行き過ぎ
・カフェの行き過ぎ
・頻繁な飲み会などの付き合いのための飲食
・家族との頻繁な外食
・必要以上の洋服、靴、バック、化粧品の購入
・コンサートや舞台チケットの頻繁な購入
・食事以外のおやつの購入
・毎日昼の外食 ・雑誌の頻繁購入 など

分かっていても毎日または、頻繁に買ってしまっているものがそれです。

ここがポイント!!
 まだまだ、減らせる支出があるハズ!
上記の習慣以外に、以下のような定期的な支出でお金を浪費している可能性があります。
減らせるものはないか、チェックしてみましょう。

・ワイシャツのクリーニング代(形状記憶などを購入し自宅で洗うのはダメか?)
・スマホの料金プラン(格安スマホではダメか?)
・サブスクリプション(定額支払いの音楽配信などの解約忘れ)
・生命保険の見直し(比較検討したことはあるか?)
・美容院、床屋の見直し(安価の所では本当にダメなのか?)
・新聞は必要か?(webニュースではダメなのか?)
・自家用車の見直し(カーシェア・レンタカーではダメか?)
・住居費は妥当か?(住宅ローンの見直しなどしたか?)
・無駄な交際費(本当にその付き合いが必要か?)
・光熱費は各社検討したか?など

また、借金とクレジットカードの使い過ぎにも注意が必要です。
カードを使うならデビットカードを検討するのもよいでしょう。

まとめ
まずはついお金を浪費してしまっている習慣を改善し、支出を抑えることに力を注ぐのが一番です。
「収入―支出=自由になるお金」です。
この際、支出の中に貯金金額を入れて先に引いてしまうのがおすすめです。
残るお金が少ない人、全く出ない人は年収を上げることを考えるか、使うことをしないよう努力することが必要です。
また、使えるお金がこれしかないということをハッキリと分かるような自分なりの方法を見つけてみましょう。

例えば、1ヶ月の食費の予算を出したら、そのお金を冷蔵庫にマグネットで止めるなどして、自分に「今月はこれしか使えない」と分からせるのも良い方法かもしれません。
例えば5万円だとすると、1万円札5枚を貼り付けるといったかたちです。

無駄を見つけてお金を貯めるためには、自分と向き合い見直すことが重要です。
一度見直して実践し反省して、また見直しです。
この繰り返しで習慣が改善していきます。

さあ、やってみましょう!

執筆者:朝比奈瑞季
日本ファイナンシャルプランナーズ協会会員 
NPO法人 ら・し・さ(終活アドバイザー協会)会員
ファイナンシャルフィールド編集部
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2019年09月12日

ジム・ロジャーズ「消費増税はクレイジーだ」

ジム・ロジャーズ「消費増税はクレイジーだ」
このまま増税すれば「日本破綻」に行き着く
2019/09/08 東洋経済オンライン

花輪 陽子 : ファイナンシャルプランナー フ

ァイナンシャルプランナーの花輪陽子です。
10月1日から消費税が10%に上がり、「ポイント還元制度」や「軽減税率」などの新しい制度も始まります。
それらを目前に控えて消費者や中小企業の間で混乱が起きているようですが、この増税に関して、ジム・ロジャーズ氏は「クレイジー!」と驚きます。

無駄な支出に大ナタを振るえない日本
「もし私が日本の首相になり、国のトップとして責任を果たそうとするなら、何はともあれ支出の削減に取り組む。
それもおのではなくチェーンソーで大木を切り倒すような気持ちで無駄な支出を削るだろう」
一般家庭の場合、家計収支が赤字になったら、まずは支出の見直しを考え、収支をトントンにしようとするはずです。
しかし、日本の支出は増える一方で、プライマリーバランス(基礎的財政収支)はなかなか黒字になりません。
8月30日に来年度予算案の概算要求が各省庁から財務省に提出されました。
一般会計の総額は、高齢化を背景に社会保障費などが膨らんだ結果、6年連続の100兆円超え、過去最大の105兆円程度となる見通しです。

目を引くところでは、防衛省が宇宙やサイバー領域の防衛強化として過去最大の5兆3223億円を求めており、警察庁は東京オリンピック・パラリンピックの警備対策として300億円を求めています。
「すでに問題を抱えている日本において、防衛費をはじめとする支出を削減することもなく、さらに増税を実施するのであれば、日本人は子どもを増やそうという気をますますなくしてしまうだろう。
これが行き着く先は国の破綻だ」 ロジャーズ氏は続けます。

「あなたのお金をどうすべきか知っているのは誰だろうか。
安倍首相のほうがよくわかっている、と思うだろうか。
もちろん、そんなことはない。
自分のお金をどうすべきかをいちばん知っているのは、いつだって自分自身なのだ。
日本人が自らお金の使い道を決められるようにするためにも、日本政府は支出を大胆に削減し、減税を実施して日本人の活力を高めなくてはならない」

10%に増税されたとしても、日本の消費税は世界的にはかなり低い水準です。
デンマーク、スウェーデン、ノルウェーなど福祉が充実している国では25%と高く、フランス、オーストラリア、イギリスも20%です。
最低限の福祉で税率の低いシンガポールは7%ですが、グローバル化で経済の国境が低くなった今、所得税や法人税といった直接税に高い税率をかけると国内の資本や資産が海外に逃げてしまうため、間接税を引き上げざるをえないという事情があります。
そうした世界的な流れからも、日本の消費税はヨーロッパ並みに上がっていく可能性が高いでしょう。

ややこしい軽減税率で「牛丼」が大混乱
消費税は所得の多寡にかかわらず同じ税率をかけるため、低所得者の負担が重くなりがちです。
それを考慮して、飲食料品や一定の新聞などは軽減税率で8%に据え置かれる予定ですが、酒類や外食やケータリング等(一部を除く)は10%になるなど、小売業者や飲食業者、消費者にも混乱を招くほど複雑です。

例えば牛丼チェーンでは増税への対応がそれぞれ異なりそうです。
「すき家」と「松屋」は「並盛」の税込み価格について、店内飲食か持ち帰りかにかかわらず、現行と同額にすると発表しました。
つまり、本体価格を下げて税込み価格は据え置きという対応です。
一方、「吉野家」はすでにメニューを税抜きの本体価格表示に切り替えており、店内飲食には10%、持ち帰りには8%の税率をかけて販売する予定です。
このように各社で対応が違うために、消費者にとっては非常にややこしいのです。
また、今後さらに増税される可能性を考えると、吉野家のように税抜き本体価格表示にしておかないと都度対応することになり、企業側の負担も大きくなりそうです。

増税に伴って「ポイント還元制度」も始まる予定です(2020年6月まで期間限定)。
キャッシュレス決済にすると、国の補助金を原資に支払い額の最大5%分が還元される仕組みですが、中小の店舗では5%、フランチャイズの加盟店では2%、大企業の店舗では還元なしの3種類が混在することになり、こちらもわかりにくいです。
これは、ややトリッキーな制度ですから、キャッシュレス決済にすることで増税後のほうがおトクになる可能性もあります。

税抜き価格1万円のサービスやモノを購入する場合、9月30日までは8%の消費税率がかかり、支払い金額は1万800円です。10月1日以降は10%になるので、税込み1万1000円の価格になりますが、そこから5%相当の550ポイント(1ポイント当たり1円)が値引きされると、支払い金額が1万450円になるのです。 もちろん、キャッシュレス決済はすべてのお店でできるわけではありませんし、還元方法も事業者によって異なります。増税までに対応が間に合わないお店も多いでしょう。 キャッシュレス決済の初心者からは「クレジットカードを使ったら自動的にリボ払いになっていた」などといったトラブルの声も聞きます。
一部のカードではリボ専用だったり、事前登録でリボサービスになったりするカードもあるようです。
ポイント還元制度を利用しようとして、思わぬ落とし穴にはまる人もいるかもしれません。

消費者は家計収支やカード明細を小まめに確認しよう
また、政府はマイナンバーカードの普及に向けた具体策を示しました。
10月の消費税増税に伴い2020年度に導入するポイント制度は、全国共通の仕組みとなり、マイナンバーカードを本人確認とID設定に利用し、キャッシュレス決済サービス利用額の前払い等に対して、国からポイント還元が受けられる予定です。
私が暮らすシンガポールも納税番号の管理の仕組みがありますが、あくまで納税管理に使われており、それでポイントがたまったりはしません。
そのため、このニュースを耳にしたとき、やはりトリッキーに感じました。

消費税増税を機にキャッシュレス化と納税番号の管理を一気に行ってしまおうという意図が、クレイジーに感じてしまうのです。
「何のための増税?」と思われないためにも、外国人投資家の評価を上げるためにも、そもそもの消費税増税の目的である「財政の見直し」は急務です。
キャッシュレス化やマイナンバーなど、他国に比べて遅れていることを今回の増税と同時に促進させようとすれば、混乱に拍車がかかります。

私たち消費者としては、カード明細や家計簿を小まめに確認して家計がマイナスにならないようにする必要がありそうです。
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2019年09月13日

N国・立花代表「NHKも電通も文春も韓国に…」とヘイト陰謀論

N国・立花代表「NHKも電通も文春も韓国に…」とヘイト陰謀論
2019.09.08 LITERA編集部

 さすがに目があまる。
参院選でまさかの議席と政党要件を獲得した「NHKから国民を守る党」(N国)の党首・立花孝志氏のことだ。
「NHKをぶっ壊す」の“ワンイシュー”と、選挙区にワケのわからない候補者を大量に立てる“奇策”により、なんの間違いか国会議員になってしまった立花氏だが、当選後、売名丸出しでマツコ・デラックスに絡み出したのは周知の通り。

国会に議席を持つ政党のトップでありながら、民間のテレビ局とタレントに「抗議」という名の“嫌がらせ”を執拗に繰り返す様は、完全に常軌を逸しているとしか言いようがないが、3日にはとうとう、東京MXとマツコを相手取って「原告1万人の集団訴訟」をするなどと言い出した。

「仮にBPO(に訴えて)で勝ったとしてもみなさんには1円の得もない、ということなので1万人の裁判。原告1万人、集団で提訴しようと。マツコ・デラックスさんおよび東京MXテレビという会社を被告としてですね、有権者の皆さんが提訴する」(立花氏のYouTubeチャンネルでの発言)

 立花氏は、「気持ち悪い人たち」「なんか、ふざけて入れている人も相当数いるんだろうなあとは思う」というマツコの発言を「侮辱行為で、慰謝料請求の対象になる」と主張しているのだが、首を捻らざるを得ないことに、どうも立花氏自身は原告にならないというのだ。
N国に投票した有権者から「先着1万人」で募集をかけて原告団にするという。

「(参院選でN国に)投票された方が原告資格あると思います」
「一人1万円の慰謝料が請求できるかなと。
1万人が一人1万円で訴えた場合に合計1億円になります」
「(裁判費用は)一人100円でできると思います。
100円で1万円を請求するという裁判」
「原告団に僕は入りませんからね、僕自身は。
なので、別に僕はそんなのはどうでもいいんですけども、NHKから国民を守る党を応援している人たちをね、『気持ち悪い』とか『ふざけてる』とか言われたらみなさん黙っていられないでしょ?っていうことです」(YouTubeでの発言)

 念のため虚言を指摘しておくと、別に、マツコは有権者を「気持ち悪い」と言ったのではなく、立花氏やN国の候補者を「このままじゃただの気持ちの悪い人たち」と評したにすぎない。
また、マツコの発言がいかにごく普通の論評の範疇であったかについては、本サイトでも発言を詳細に書き起こしながらチェックしてある(https://lite-ra.com/2019/08/post-4906.html)。

 いずれにしても、「原告1万人訴訟」を宣言した立花氏には、実のところ原告として法的責任をとるつもりも裁判費用を払うつもりもないらしい。
まるで「100円出したら1万円もらえますよ」と言うような宣伝もほとんど詐欺的である。
常識的に考えて裁判所が立花氏の主張を認めるわけがなかろう(というか反訴で逆に損害賠償等を請求される可能性すらありうる)。
 まぎれもなくスラップ訴訟であり、“話題作り”のためのトンデモ訴訟と断じる他ない。

 だが、いくらトンデモだからと言って、もはや見過ごすわけにはいかないだろう。
なぜならば、立花氏がマスコミ相手にこうしたスラップ訴訟を起こすことで、メディアは確実に萎縮していくからだ。
実際、投開票日直後はN国をおもしろがって取り上げていたテレビも、立花氏によるマツコ攻撃のあたりから「面倒なことは……」と言わんばかりに話題にするのを避け始め、いまではこんな反民主主義的な暴挙にも出ても見て見ぬフリをしている。

 この次に何が起こるかは、火を見るより明らかだ。
立花氏は世間に存在感を誇示するため一層、過激化するはずだ。
そして、マスコミにとってN国はどんどんアンタッチャブルになり、事実上、何をしでかそうが“黙認”される状況が生まれてしまいかねない。

看過できない「N国」の危険性
立花代表はヘイト雑誌「ジャパニズム」で韓国ヘイト
 だが、N国という政党がいかに危険であるかは、この間の立花氏の振る舞いを見ればわかるだろう。
政見放送ではただ目立つためだけに元NHKアナウンサーのスキャンダルを連呼していた立花氏だが、もともと、以前から元NGT48・山口真帆の動画を名誉毀損丸出しの手法で拡散するなど、売名・金稼ぎのためならなりふり構わない人物だ。

とりわけ、ネット右翼・ヘイト勢力との親和性の高さは看過できるものではない。
 本サイトではずっと指摘しているように(https://lite-ra.com/2019/07/post-4871.html)、実際、統一地方選でN国から当選した議員のなかには在特会らと行動をともにし民族差別を煽動した中曽ちづ子・川西市議など、極右レイシストが複数いる。
また、立花代表自身も森友問題で部落差別を扇動するデマを吹聴したが、それ以前にも、在特会元会長の桜井誠氏などのレイシストをたびたび起用してきたあのネトウヨ雑誌「ジャパニズム」(青林堂)で荒唐無稽な“韓国陰謀論”を展開してきた。  

たとえば同誌2013年6月号では、「NHKの反日放送はこうして始まった」なるタイトルでインタビューに登場。
元NHK職員である立花氏は、1997年から2005年までNHKで独裁的権勢をふるった海老沢勝二元会長を賞賛しながら、「海老沢さんが闘っていたのは電通以外、何者でもないでしょう」などと語っているのだが、途中から、唐突に「情報戦の怖いところは、各マスコミが韓国の味方をしていることすら気づいていないということ」といった発言が出てくる。
そして立花氏は “電通もマスコミも韓国勢力に操られている”なる主張を無根拠にまくしたてるのだ。

「ですから、電通社員も、週刊文春記者も、反日的なことをしているとか、売国的なことをしてるとか、韓国の味方をしているんだとか、そういう意識や自覚はないんですよ。
それが洗脳であり情報戦の怖いところなのです。
そのような構造で、どうしても海老沢さんを排除したかった韓国勢力がいたんです。
 そして、海老沢さんを追い落としたいと思った韓国勢力が、NHKの弱点である芸能の不正経理に的を絞って攻撃をかけてきた。
その結果、海老沢さんは辞任になったのです。
 ですから、週刊文春の背後に君臨している電通という実質韓国企業は、NHKを潰したかったのではなくて、NHKを乗っ取りたかったのです。
潰してしまえばゼロですが、乗っ取ってしまえばプラスでしょう。
今のNHKは韓国が経営していると仮定してNHKの番組を視聴すれば、みなさんもご納得いただけるでしょう。
 国民を洗脳NHKという武器を、韓国勢力が手に入れてしまったのです」

 立花氏は「ジャパニズム」2017年4月号でも、〈どうも日韓サッカー・ワールドカップの頃から韓国が日本を乗っ取ろうという計画があったと聞きます〉などと書いているが、荒唐無稽にもほどがあるだろう。
実際、前述のインタビューを隅々まで読んでも「NHKが韓国勢力に乗っ取られた」とか「電通は実質韓国企業」とかいう立花氏の話にエビデンスは一つも示されない。
それもそのはずで、こうした「韓国勢力に支配されている」なる話は、ネトウヨ界隈の典型的な陰謀論だからだ。
まともなに相手にするのもバカらしい。

 だが、いくらファクトに基づいてなくとも、立花氏が元NHK職員の肩書きを使って韓国陰謀論を語れば、ネトウヨは「やっぱりそうだ!」と快哉を叫び、「韓国は日本を侵略しようとしているのだ」という妄想を強化させ、結果、ヘイトスピーチやヘイトクライムへ走っていく。
仮に、本人が“人気取り“のため確信犯的にこうした虚言を繰り返しているとしても、必ず現実社会に悪影響を与えるのである。

丸山穂高、青汁王子らを吸収し勢力拡大、百田尚樹ら安倍応援団とも急接近  
その立花氏が、いまや国政政党の党首だ。
ただの“気持ちの悪いユーチューバー”だったころから発信力は何倍も増し、政治家として実際に行使する力も得た。
しかもN国はいま、トンデモ議員を吸収する形でどんどん勢力を伸ばそうとしている。

あの「北方領土を戦争で奪い返す」発言をした丸山穂高議員を党に引き入れただけでなく、約1億8000万円の脱税の罪を問われている「青汁王子」こと三崎優太被告に来年の都知事選への出馬を打診。
公約は「国税庁をぶっ壊す!」になると立花氏は言うが、意味不明としか反応しようがない。
 また、丸山議員はN国所属となってからも、〈竹島も本当に交渉で返ってくるんですかね?戦争で取り返すしかないんじゃないですか?〉と戦争を扇動するツイートを発して問題になっているが、立花氏は「問題提起をしているに過ぎない」と発言を容認した。

作家の適菜収氏は〈N国党は「政界の肥溜め」〉(日刊ゲンダイ8月10日)と表現したが、まさにその「肥溜め」がどんどん増長し、この国を危機に陥れる可能性だってあるのである。
 たとえば、安倍首相の悲願とする改憲がそうだ。
改憲勢力の議席がギリギリ3分の2を割った参院で、N国がキャスティングボードを握るというシナリオはゼロではない。
立花代表は「安倍晋三首相がやろうとしている憲法改正の発議に賛成するという条件というか、協力することを武器に、スクランブル放送を実現したい」と発言しており、安倍応援団や極右界隈が盛んに秋波を送っている。

 実際、8月12日には、百田尚樹氏のネット番組にも出演し、百田氏や有本香氏、上念司氏といった極右安倍応援団とも急接近。
百田・有本・上念の3氏は、例の安倍親衛隊による報道圧力団体「放送法遵守を求める視聴者の会」の役員も務めている。
さらに、同じ8月には櫻井よしこ氏が主宰する「言論テレビ」にも呼ばれて、櫻井氏、上念氏、産経新聞の田北真樹子氏(「正論」編集長)、有元隆志氏(「正論」発行人)と共演。

この放送回は月刊「正論」10月号にも抄録されているが、立花氏と初対面だという櫻井氏はさっそく「立花さんは憲法改正に賛成なのですか?」とモーションをかけていた。おそらく、安倍応援団たちは政権に批判的な報道を抑え込むためにも、NHK批判を繰り返すN国を存分に利用したいと考えているのだろう。

 いずれにせよ、N国はもはや“泡沫のネタ団体”などではない。
繰り返すが、立花氏は国政政党のトップという権力者であって、国民の血税から多額の“給料”を受け取っている。
マツコの件でもわかるように、批判言論を訴訟で脅すことは到底、許されるわけがない。
政治家や公権力を自由に批判できることこそ、民主主義国家の最低条件だからだ。

さらに、立花氏は差別扇動のデマや陰謀論を平気で垂れ流し、「戦争で取り返すしかない」という所属議員の発言を容認して、ネトウヨや極右界隈をどんどん勢いづかせている。放置してしまえば、N国よりも巨大な権力を持つ政党からその下劣なやり方に倣った“模倣犯”が出てくる可能性も高い。
 立花氏が述べたように「公人なのでいろいろなことを言われようが自由」なので、この際、ハッキリ言っておくべきだろう。
立花孝志は政治家として最低限の品格もないばかりか、民主主義社会にとって極めて危険だ。
今すぐバッジを外してほしい。
           (編集部)
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2019年09月14日

安倍政権、農業支援の予算大幅減額の暴挙…一方で100億円超の戦闘機は大量購入

安倍政権、農業支援の予算大幅減額の暴挙…
一方で100億円超の戦闘機は大量購入
2019.09.08 ビジネスジャーナル

文=山田稔/ジャーナリスト

収穫の秋を前に、日本の農業、食料計画の先行きに不安を示すデータが相次いで発表された。
 まず、国内の食料消費が国内の食料生産でどの程度賄えているかを示す「食料自給率」の低下だ。
 農林水産省の発表データによると、2018年度の食料自給率はカロリーベース(基礎的な栄養価であるエネルギーに注目した熱量をベースとした指標)で37%と前年度から1ポイント下がり、冷夏で米が大凶作となった1993年度と並ぶ過去最低の数値となった。

供給熱量2443kcal(分母)に対し、国産供給熱量が912kcal(分子)だった。
天候不順に見舞われた北海道で小麦や大豆の生産が大きく落ち込んだことや、牛肉、乳製品の輸入増加などが指摘されている。

ちなみに、生産額ベースの自給率は66%で前年度と同じだった。
 世界各国の食料自給率(2013年=農水省試算・カロリーベース)を見ると、カナダの264%を筆頭に、オーストラリア223%、アメリカ130%、フランス127%、ドイツ95%、スペイン93%など。いずれも農業大国の実力をいかんなく発揮している。
隣国の韓国は38%(17年)で日本と同水準だ。

 日本の食料自給率は1965年度には73%と高水準だった。
71年度に58%と60%を切り、89年度には40%台に突入。
その後も横ばいや低下傾向が続き、37%にまで落ち込んでしまった。

政府は2025年度の自給率の目標を45%に設定しているが、現状では上向く兆しは見られない。

農業従事者の平均年齢66.8歳の衝撃
 食料自給率の引き上げには生産基盤の強化が不可欠だが、肝心の働き手はどうなのか。
 18年時点の農業就業人口は175万3000人。
10年の260万6000人と比べ、8年間で85万3000人、33%もの大幅減である。

農業従事者の平均年齢は10年の65.8歳から66.8歳に上がっている。
高齢化の進行と離農の現実が顕著である。
 一方、新規就農者は前年に比べわずかに増え5万5810人。

2年連続で5万人台にとどまったが07年の7万3460人、15年と16年の6万人台に比べ、減少傾向は明らかだ。
深刻なのは49歳以下の若手新規就農者数の落ち込みだ。
18年は1万9290人で前年比7.1%減、5年ぶりに2万人を割り込んでしまった。
内訳は、実家の農家に就農した「新規自営農業就農者」が9870人(2.2%減)、農業法人などに雇用された「新規雇用就農者」が7060人(11.3%減)、土地や資金を独自に調達した「新規参入者」が2360人(12.9 %減)となっている。

 有効求人倍率が1.61(18年)と上昇するなかで、さまざまな産業で人手不足感が強まり、農業以外に流れたものと見られている。
新規就農者全体で見ると65%が50歳以上である。
定年でサラリーマン人生を終えた農家出身者が実家の農業を継ぐ定年帰農者が増えているという。
 これからの日本の農業を支える柱となるべき若手の新規就農者が減っているのは、農業生産の基盤強化にとっては大きな不安材料だ。

「地方創生」の掛け声の裏側で就農支援予算は減額
 農業従事者の高齢化、農業人口減少という事態を前に、政府は農地の集積・集約化、担い手の育成・確保などを進め、一般法人の農業参入も進んだ。
家族単位で農業をする家族経営体は18年に118万5000と初めて120万を割り、過去5年で約30万の家族経営体が離農した。

一方、農業を営む法人経営体は2万2700と8年連続で増加中だ。
法人経営体が確実に増えてはいるが、大量の離農組による生産基盤弱体化をカバーして強化につなげるところまでは至っていないというのが実情のようだ。
 そんな厳しい状況が続くなか、19年度予算で新規就農者を支援する国の「農業次世代人材投資事業」の予算が減額された。

この事業は就農前の研修期間に最大150万円を2年間交付する準備型と、最長5年間同額を交付する経営開始型の2本立てで、19年度の予算は154億7000万円。18年度の175億3400万円から20億円以上も減ってしまった。
この事業は17年度までの6年間に2万7000人以上が受給し、新規就農者育成に寄与してきた。

それだけに、突然の減額に対し、事業資金の配分を受けて交付を実施する自治体や新規就農者から困惑や抗議の声が上がっているという。

 農業の生産基盤を強化し、食料自給率向上を図らなければならないときに、新規就農者支援の予算を減らす。
こんなことでは農業再生も地方活性化も絵に描いた餅にすぎなくなってしまう。

 1機100億円以上もする最新鋭ステルス戦闘機F35を大量購入する前に、政府は農業・食料政策をきちんと見直すべきではないか。
戦闘機の購入を1機減らすだけで新規就農者への支援金は十分賄えてしまう。
安全保障は軍事だけではない。
農業・食料政策も切実な安全保障である。
戦闘機に巨額の税金を使うよりも、次世代の農業者支援にその一部を回すほうが、はるかにメリットがあると思うのだが。 (文=山田稔/ジャーナリスト)

ニュースサイトで読む:
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2019年09月15日

【悪化する日韓関係】嫌韓を煽るメディアよ、頭を冷やせ…江川紹子の提言

【悪化する日韓関係】嫌韓を煽るメディアよ、頭を冷やせ…江川紹子の提言
2019.09.04 ビジネスジャーナル(江川紹子)

 今の日韓関係をめぐる報道やインターネットでの発信を見ていて、メディアの堕落ぶりがつくづく情けない。
 たとえば、「週刊ポスト」(小学館)は「『嫌韓』ではなく『断韓』だ/やっかいな隣人にサヨウナラ/韓国なんて要らない」というヘイトを煽るような大見出しで、特集を組んだ。

その中には「『10人に1人は治療が必要』――怒りを抑制できない『韓国人という病理』」といった、極めて差別的な記事も含まれている。

嫌韓を煽るメディアの“罪”  
オウム真理教事件などもあって、雑誌がよく売れていた1995年には94万9000部を売り上げ、週刊誌のトップランナーだった同誌が、その後凋落の一途をたどり、今や印刷部数で34万6591部(今年1〜3月)。
嫌韓ムードにでもなんにでも乗っかって、1部でも多く売り上げたい、ということなのだろうが、浅ましすぎる。

 テレビの情報番組は、韓国問題の扱い方にうんざりして、このところ極力見ないようにしていたが、いやでもネット等で情報は飛び込んでくる。
なかでもとびきりひどかったのが、TBS系CBCテレビ(名古屋市)の情報番組『ゴゴスマ〜GOGO!Smile!〜』でのコメンテーター武田邦彦・中部大学特任教授の発言だった。

 観光でソウルを訪れていた日本人女性が、韓国人の男性に暴行を受けた事件を番組が取り上げた際、「路上で、日本人の女性観光客を、訪れた国の男性が襲うなんてのはね、こらあもう、世界で韓国しかありません」などと述べた。
さらに、大阪で韓国人観光客が激減している話題でも、「日本男子も韓国女性が入ってきたら暴行しなけりゃいかんからね」と言い放った。

 いずれも、司会者や共演者から「先生、言い過ぎ」などという反応はあったが、これは「言い過ぎ」などというレベルではない。
 当然、批判が巻き起こったが、CBCの反応は鈍かった。
ようやく3日後、番組の中で「ヘイトや犯罪の助長を容認することはできません」として謝罪はしたが、武田氏の名前など、何を謝罪しているのかについて具体的な言及はなかった。

 加えて、コメンテーターとして出演したタレントの東国原英夫氏が、同じくコメント役の金慶珠(キム・キョンジュ)東海大教授に対し、「黙ってろ、お前は!」などと怒鳴る場面が問題となった。
これも、司会者が「穏やかにいきましょう」などと東国原氏をなだめたが、同氏の罵倒はすぐにはおさまらなかった。
 こうした事態が相次ぐのは、日頃の同局の番組づくりについての姿勢から、この番組なら、こうした暴言や韓国人への侮辱的振る舞いは許される、と出演者が思っているからだろう。

さらに、世の中に嫌韓の雰囲気が広がっていることもある。
メディアに韓国に対する批判、非難があふれ、韓国人を見下した物言いや国交断絶を言い募るコメントまでまかり通る“空気”を読み、「今は韓国をボロカスに言う発言がウケル」と調子に乗って、こういう暴言などが飛び出すのではないか。

 韓国に対する差別的な発言では、関西テレビ(大阪市)のバラエティー番組『胸いっぱいサミット!』で、作家の岩井志麻子氏が慰安婦問題に関するスタジオトークのなかで、韓国人の気質について「手首切るブスみたいなもんなんですよ」と発言したことについて、つい最近、BPO(放送倫理・番組向上機構)が審議入りしたばかりだ。
 しかし、今のところBPOはなんのブレーキにもなっていないように見える。

BPOは、今回の武田、東国原両氏の問題についても、早急に審議に入り、過剰な韓国叩きの風潮に対して、強い警告のメッセージを発するべきだ。
 差別的で品のない言葉で韓国を罵倒し、人々のヘイト感情を煽っている人たちや、それを世の中に拡散しているメディアは、自分たちが日本の品格をどれほど貶めているかを自覚してもらいたい。
 それに、現在のような状況は、韓国を罵倒して「スカッとする」人たちにとっては楽しいかもしれないが、多くの人たちにとっては何の利益にもならない。

それどころか、観光業を初めとして、経済的にはマイナスの影響ばかりだ。
 少し頭を冷やして、なぜこれほどまでに関係がこじれるのかを分析したり、考えたりする機会を、メディアが提供することこそ必要だ。
メディア自身が嫌韓を煽ってどうするつもりなのだろうか。

失われていく加害の「実感」
 それにしても、なぜ終戦から70年以上がたち、日韓基本条約が結ばれて国交が正常化してから来年で55年になろうという今になって、以前よりも歴史の問題がクローズアップしてしまうのだろう。

実際に、韓国でも日本による被害を体験した人は少なくなり、さまざまな交流のなかで、傷は癒やされてきたと思っていたのは、甘かったのだろうか。
 逆に戦前戦中を直接知る人が少なくなってきたことで、実態に即さない、知識やイメージ先行で歴史を語る人が増えたことが、歴史認識をめぐる対立を激しくしてしまっているのかもしれない。

 かつての日本の政治家や識者は、自分の体験や親しい人の話から、日本が植民地としたことで迷惑をかけて申し訳ない、という意識を大なり小なり持っていた。
そのため、さまざまな機会をとらえて、謝罪を述べてきたし、それに見合う態度をとってきた。
 たとえば、1984年に全斗煥・韓国大統領が国賓として初来日した時の晩餐会で、当時の中曽根康弘首相は次のように述べた。

「日韓交流史の中で、遺憾ながら今世紀の一時期、わが国が貴国及び貴国国民に対し多大の苦難をもたらしたという事実を否定できない。
私は政府及びわが国民がこのあやまちに対し、深い遺憾の念を覚えるとともに、将来を固く戒めようと決意していることを表明したい」

 1992年に盧泰愚大統領が訪日した際にも、宮沢喜一首相が「数千年にわたる交流のなかで、歴史上の一時期に、我が国が加害者であり、貴国がその被害者だったという事実」を忘れてはならないと述べ、「この間、朝鮮半島の方々が我が国の行為により耐え難い苦しみと悲しみを体験されたことについて、ここに改めて、心からの反省の意とお詫びの気持ち」を表明した。
慰安婦問題についても、「実に心の痛むことであり、誠に申し訳なく思っております」と謝罪した。

 ただ、こうした謝罪は、映像として広く世界に伝わったわけではない。
世界各地にホロコーストを生き延びたユダヤ人がいて、ドイツ首相の謝罪が世界に伝えられたのとは異なり、東アジア、しかも日韓関係に限定される問題は、国際的にも関心を集めなかったのだろう。

 調べれば首相の発言などの資料はあるが、言葉の壁もある。
日本語が読めない人が容易にアクセスできる資料がないと、謝罪の事実すら忘れられ、なかったかのように受け止められてしまう。
今、日本が過去の問題に向き合わずにきたような論評を海外からされるのは、そうした事情もあると思う。

 だからこそ、2015年暮れの慰安婦問題に関する日韓外相合議の際には、安倍晋三首相がカメラの前で、歴代首相の謝罪に触れつつ、改めて謝罪の言葉を述べることを期待したが、それはかなわなかった。
それがあれば、元慰安婦の方々にとって癒やしになるだけでなく、国際社会に向かって、日本の立場をアピールできる材料にもなっただろうに、と残念だ。
謝罪を外相が代弁するというのが、安倍首相の限界だったのだろう。

 それはともかく、過去に首相として謝罪の言葉を述べた中曽根氏は戦時中、海軍の将校であり、慰安所の開設にも関わった。
宮沢氏も、大蔵官僚として戦争を体験している。
そうした人たちは、日本が韓国にかけた迷惑を「実感」としてわかっていた。

一方の韓国側は、北朝鮮の脅威にもさらされており、安全保障や経済発展を優先する事情があった。
 しかし、当事者として戦争に関わった人たちが現役を退き、さらにはこの世を去っていくにつれ、加害の「実感」は失われていく。
世代交代の過程でも、原爆や空襲などの被害の経験は語りやすいが、加害の経験は伝わりにくい。

安倍首相も、祖父の岸信介元首相から、加害の事実は教わっていなかったのだろう。
 戦争を知らない世代にとっては、「加害の事実」は、自分たちがしでかしたわけではなく、実感も持てない。
それなのに、いつまでも「加害者」という立場に置かれることに倦み、不満を募らせる人たちが増えていく。

日韓における歴史の否定や単純化  
そして2015年夏、安倍首相が戦後70年談話でついにこう宣言した。
「あの戦争には何ら関わりのない、私たちの子や孫、そしてその先の世代の子どもたちに、謝罪を続ける宿命を背負わせてはなりません」
 これに、加害の事実を否定した人たちが呼応する。
かつての朝鮮人に対する対応について、日本側にまったく非がないかのように主張する声も大きくなっていく。
慰安婦となった女性を貶めるような物言いも飛び交う。
自分たちにとって都合のいい事実のみを寄せ集め、新たな歴史ストーリーをつくり上げたり、関東大震災の際の朝鮮人虐殺などの史実をまるごと否定する歴史修正も横行している。

 さまざまな出来事が絡み合ってできている歴史を、単純化し、自分たちの都合のいい部分だけをつなぎ合わせて語る人たちがもてはやされるようになった。
 ただし、歴史を単純化し、都合のいい部分だけを語る、という点は、韓国側にも言えるのではないか。

 戦前の朝鮮の人たちは、日本に支配される屈辱を苦痛に思う一方で、儒教文化に根ざした男尊女卑的価値観や経済的な困難による苦労も味わっていたのではないか。
一口に日本人といっても、いろいろな人がいることを、実体験として知っていた人もいただろう。
 しかし、生の体験をしていない人には、「強制連行されて慰安婦にさせられた」「強制連行されて劣悪な環境でただ働きさせられた」などという、強烈で単純化された被害体験のみが伝えられ、そうしたシンプルな構図からはみ出すエピソードや、背景となった社会的時代的状況など置き去りにされてはいないだろうか。

 こうして、どちらの国でも、後世に伝えられる歴史は、実態とは離れ、単純化されていっているのではないか。
一時期、日韓双方で歴史学者が史実に基づいて歴史認識のすりあわせをしようと試みたこともあったが、とりわけ韓国側が自国の歴史認識にこだわったこともあり、うまくいかなかった。

 しかし、だからといって、日本が加害の事実まですべて「なかったこと」にするのはどうか。
れは、日韓関係を修復するのに壁となるだけでなく、国際社会における日本の評価を著しく貶めると思う。
 日本の加害の事実はきちんと伝えつつ、そんななかでも人々の人権を擁護し、その人生を助けた日本人の姿を伝えるということは、矛盾なくできるはずだ。

そうした教育は、過去の過ちを学ぶと同時に、日本人として誇りを感じさせ、国や所属する組織が誤った時に人間としてどう振る舞うべきかを学ぶ機会にもなる。
犠牲者の無念を忘れずにいると共に、日本が過去の歴史に向き合う姿を、国際社会に知ってもらうことにもなろう。

そしてなにより、歴史の実相に近づくことができ、物事は「善vs悪」といった単純なものばかりではない知らせ、物事を単純化する風潮にもブレーキをかけるのではないか。
 もっとも、それで韓国側が納得するかというと、そう簡単にはいかないだろう。

 作家の村上春樹さんが、「相手国が『すっきりしたわけじゃないけれど、それだけ謝ってくれたから、わかりました、もういいでしょう』と言うまで謝るしかないんじゃないかな」と述べているが、果たしてどうか。
  ドイツにもギリシャから戦争賠償請求が  最近、ナチス・ドイツの侵攻を受けたポーランドや占領を経験したギリシャの現政権において、ドイツへの賠償を求める動きが相次いで報じられた。

 第1次世界大戦の後、敗戦国のドイツには戦勝国からの巨額の賠償請求がのしかかり、それがナチスの台頭の一因となった教訓から、第2次世界大戦後、戦勝国はドイツや日本に対して、賠償を放棄するなど寛大な対応をした。

 1953年にソ連がドイツへの賠償請求権を放棄し、ポーランドも同意。
さらに1970年のワルシャワ条約でも、ポーランドのドイツへの賠償請求放棄が確認されている。
しかし、ポーランドの現政権は、「賠償放棄は冷戦時代のソ連に強要されたもので無効」と主張している。
 ドイツは、ギリシャに対しては1960年に1億1500万マルクを支払ったことで賠償義務を果たしているとしているが、ギリシャの現政権は求める賠償金の額が3000億ユーロ(約35兆円)以上になると見込んでいる。

 冷戦の影響や、巨額の財政赤字が発覚した「ギリシャ危機」で債権国のドイツが厳しい緊縮財政を求めたことなど、さまざまな要素が絡んでいるが、ナチス政権への反省を表明し続けている“優等生”のドイツでさえ、今なお賠償問題から逃れられずにいる現実は重い。

 まして韓国の軟化は容易ではないだろう。
しかし、日本が意識しなければならないのは、韓国だけではない。
日本は、その丁寧な対応を、第三国から見て理解してもらえるようふるまうことも必要だと思う。
 そのためにも、韓国や韓国の人たちに対しては敬意をもちつつ、法的な主張や対応を誠実にしていく。

加害の事実については、後世にきちんと伝える。
差別など人権侵害に抗った人たちについても、しっかり教えていく。
 こうした地道な対応を、誠実に淡々と続けていくしかないのではないか。
      (文=江川紹子/ジャーナリスト)

●江川紹子(えがわ・しょうこ) 東京都出身。
神奈川新聞社会部記者を経て、フリーランスに。
著書に『魂の虜囚 オウム事件はなぜ起きたか』『人を助ける仕事』『勇気ってなんだろう』ほか。
『「歴史認識」とは何か – 対立の構図を超えて』(著者・大沼保昭)では聞き手を務めている。クラシック音楽への造詣も深い。
江川紹子ジャーナル www.egawashoko.com
twitter:amneris84
Facebook:shokoeg

ニュースサイトで読む:
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2019年09月16日

「術後うつ」にならないために知っておくべき注意点

「術後うつ」にならないために知っておくべき注意点
2019年09月06日 NEWSポストセブン

 大病が見つかったら、すぐに手術や治療を受けることが肝要だ。
ただし、適切な処置が行なわれたとしても、術後・退院後に意外な落とし穴が潜んでいることがある。
それが「術後うつ」「退院うつ」のリスクだ。

 NPO法人うつ・気分障害協会代表理事の山口律子氏は、術後うつを発症する患者は少なくないと指摘する。
「大病の手術の後は、経験したことのない不安や体力の衰えを感じることがあります。
とくに高齢者の場合、術後は本人が思っている以上に心身にダメージを受けている。
手術は成功したはずなのに思うように動けない、寝つきが悪い、前よりも疲れやすくなった、といったことがストレスになり、うつ状態になってしまうことがあるのです」

 そんな術後うつ、退院うつにならないために、あらかじめ注意できるポイントがある。
銀座泰明クリニックの茅野分・院長(精神科医)がアドバイスする。
「手術や治療の前に、術後に痛みが伴うケースなどの情報を詳しく聞いておくこと(インフォームド・コンセント)が重要です。
 例えば、この手術の場合、患部の痛みはどれくらいの期間続くのか。
完全に治るまでにどのような痛みが出るのか。
痺れや麻痺などの後遺症が出る確率はどのくらいあるのか。
こうした情報を聞いておくことで術後への心構えができますし、それ以外の異変が生じた際に本人も家族も気づきやすくなります」

 あらかじめ肉体的ストレスの少ない「低侵襲手術」を受ける選択肢もある。
医療経済ジャーナリストの室井一辰氏が語る。
「手術によって切除する場所が少なく、刺激も少ない手術のことを全般的に『低侵襲手術』と呼びます。

 例えば、大腸がんや胃がんなどに対しては、『腹腔鏡手術』が行なわれる機会が増えました。
お腹に小さな穴を開けるだけなので、従来の開腹手術と比べて体への負担がかなり軽くなったといえます。
 心臓疾患なら『カテーテル』を使った手術、ヘルニア関節手術では『内視鏡手術』が、より低侵襲の手術です。

 また、腹腔鏡手術をロボット支援の下で行なう『ダヴィンチ手術』は、より複雑で細やかな手技が可能になり、3次元の精確な画像情報を取得できるため、より安全かつ侵襲の少ない手術が可能になります。
 最先端治療のため保険適用外となる病気も多かったのですが、近年では胃がん、肺がん、直腸がんなどの患者数が多い疾患への保険適用が進んでいます」

 治療の選択では、「術後うつのリスク」よりも「治療の効果や必要性」を優先すべきことは言うまでもないが、治療の先に待つ“思わぬリスク”の存在を知っておくに越したことはない。

     ※週刊ポスト2019年9月13日号
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政府の認知症予防は危険だらけ

政府の認知症予防は危険だらけ
症状を進行させコミュニティを分断させる恐れも
2019.09.05 ヘルスプレス

 6月18日、政府は認知症施策推進大綱を発表した。
「予防」と「共生」を2本柱の目的として掲げ、高齢社会のなかで認知症になっても希望を持って日常生活を過ごせる社会を目指すことを目標としているものだ。
 ニュースで報道されていたこともあり、私が普段訪問している長屋の高齢者も、「やっぱり認知症に気をつけないと」と語っていた。

しかし、このような感想を聞くたびに、私は高齢者が安心に暮らせる社会から離れていくと感じる。
今回の大綱も、本当に認知症患者の希望につながるかは疑問だ。

運動不足の改善で認知症は改善できない!?  
そもそも認知症の予防方法が確立していない。
確かに認知症の予防は世界中で注目されており、2017年には世界保健機関(WHO)が、「認知症グローバル・アクションプラン」を策定し、認知症のリスクを軽減するために生活習慣への介入を推奨している。
 しかし、どのような介入がよいかはエビデンスが確立していない。

 この大綱でも、認知症の予防に関しては「運動不足の改善」「社会的孤立の解消」「生活習慣病」が挙げられているが、いずれもこの大綱がターゲットと定めている団塊の世代に対して介入することで認知症が予防できるかどうかはまだ結論が出ていない。

 例えば、運動は運動量が多い人は認知症のリスクが低いという観察研究はこれまでにも多いが、運動不足の人に運動をさせることで認知症リスクが下がるかどうかは結論が出ていない。
 英国サセックス大学のヤング(Young)氏による12報のランダム化試験のメタアナリシスによると、認知機能が正常な55歳以上の被験者に対して有酸素運動による介入を2か月から6か月間行っても、認知機能の改善は認められなかった*1。

 英国の35〜55歳の公務員を約30年にわたって調査した「Whitehall II Study」のコホートを用いて運動量と認知症の関係を調査した研究によると、認知症と診断された患者は診断から9年以内に運動量が低下していた*2。

 このことから、運動量の低下は認知症の前駆症状である可能性も示唆されている。
もしそうであれば、運動不足に陥った高齢者に介入しても認知症予防には効果がない可能性もある。

高齢者の糖尿病に介入してももはや手遅れ!?  
また、生活習慣病の中でも糖尿病を例に挙げると、2006年に『Lancet Neurology』に発表されたシステマティックレビューにおいても65歳未満での糖尿病は認知症のリスクになると言われている*3。

 高血圧、糖尿病などの生活習慣病は、長期間続くことで認知機能に影響を及ぼすと言われている。
このため、これらの改善は中年期に行っておくことが認知症予防に効果的だ。
 一方で、高齢になってからの糖尿病が認知症に与える影響はそれより小さい。
 スウェーデンの双子データベースを用いた研究によると、65歳未満に糖尿病を発症した人では認知症リスクが約2倍になっていたが、  65歳以降に糖尿病を発症した人は、そうでない人に比べて認知症リスクに統計的な差がなかった*4。

 現在すでに65歳を超えている団塊の世代では、もはや介入しても間に合わない可能性すらある。

大綱は利権争いと競争の歪み、天下り先の量産しか生み出さない
 今回発表された大綱は当初「認知症患者の6%の減少」と数値目標までついていた。
この数値は、5月16日似開催された「認知症施策推進のための有識者会議」で示された数値が根拠となっている。
 まず、10年間で認知症の発症年齢を1歳遅らせることを目標としている。
すると、10年間で有病率が1割低下する計算となるため、6年間で6%の減少、という目算となる。

しかし、上述のとおり認知症の予防方法が分かってもいない現在、認知症の発症年齢をどのように遅らせることができるのか不明だ。

このように予防方法が確立していない中であえて認知症の予防を政府が掲げることで生まれる懸念が2つある。  

1つ目は、政府の後押しによってできる利権と競争の歪みである。
例えば、「認知症施策推進のための有識者会議」資料によると、認知症予防は、住民サービスへの参加率向上、認知症予防に関するエビデンス収集の推進、民間サービスの評価・認証の検討、などが案として上がっている。
 民間サービスの評価・認証という単語で思い出すのは厚生労働省所管の独立行政法人である医薬基盤・健康・栄養研究所が審査を行う特定保健用食品(トクホ)だ。
 トクホ認証を受けていると健康に良いような印象を与えるが、トクホ認証の人工甘味料入りの飲料は、たとえカロリーゼロであっても健康には良くない。
 当初は健康に良い食品を分かりやすくするなどの目的でできた制度も、認証が形骸化すると消費者への利益はない。
残るのは、各省庁所管の独立行政法人、つまり天下り先だけだ。

 認知症予防サービスも、エビデンスが曖昧なだけに、このような歪な査定が行われる可能性が高い。
 例えば認知症テストの点数が上がるゲームソフトが認証を受けたとしても、そのゲームをした高齢者が運動不足から寝たきりになるのでは誰も救われない。
 むしろ現在のように予防方法が確立していない状態では、多くのプレイヤーが様々な試みを行い、うまくいったものを広めるのが理想的だ。

 例えば製薬会社のエーザイは、他の製薬企業が撤退するなか、社運を懸けて新認知症薬の開発を行っている。
 たとえ新薬の開発に成功したとしても認知症への効果や副作用の検証、費用対効果など専門家からの厳しい評価にさらされ、さらには特許切れ、他の新薬の出現など様々なリスクがある。
新薬の成功のためには、フェアだが激しい競争に生き残らなければならない。
 また様々な地域でNPOや福祉事業者などが認知症予防を目的としたサービスを行っている。
運動、認知機能トレーニング、食事、社会サービスなど、様々な側面からの介入があるが、現時点では認知症の予防効果がはっきりと証明されているものはない。
 これら単体のサービスの有効性もそうだが、個人に最適な組み合わせの評価など、効果の検証の道は長い。

 政府の役割は、フェアな競争の維持、効果の検証と公開であって、どのようなサービスが広まるかは競争に任せるのが適切だ。

認知症予防の煽りがコミュニティの分断を招く  
2つ目は、予防を煽ることで生まれるコミュニティの断絶だ。
私の経験では、認知症予防に対して積極的なコミュニティほど、認知症のような症状が出てきた高齢者をコミュニティから排除する傾向がある。
「認知症が怖いから予防しないと」と大勢が語って、みんなでラジオ体操をするなど健康維持に熱心な長屋の住民では、認知症の住民が出てきたときに「あの人は前から違ったから」「生まれも違う地域だから」と、自分たちのコミュニティのメンバーとして捉えるのではなく、自分たちとの差異を強調して元から違ったように捉えようとする発言が多くなった。

 一方で、仲良くお話しする程度はするが、運動などの健康維持には積極的ではない長屋もある。
 ここでも最近認知機能が下がってきた高齢者がいるが、その高齢者は「ばっちゃん、またぼけてるなあ」と言われはするが、部屋には毎日誰かが出入りしてニコニコと生活している。

 政府によって予防を煽ることは、「健康でなければいけない」という思い込みを招く。
 認知症やその他の疾患で健康を損ねた状態になった人をみると、「そういえばあの人は運動してなかったね」「甘いものが好きだったから」と自分と違うところを見つけてコミュニティの外に追い出してしまいやすい。

最も介入が必要な軽度認知機能低下が放置される危険性  
そうなると、認知症対策もうまくいかない。
ベルリン自由大学のサンク(Zankd)氏らの報告によると、認知症に関して最も不安が強くなり、尊厳を損ねるのは、認知症の前段階として知られる「軽度認知機能低下」の状態の人だ*5。

一方でこの段階の人は、適切な介入を行うことで認知機能が改善する可能性があると期待されている。
つまり、最も介入が必要な人だ。
しかし、認知症予防が喧伝される社会では、認知機能低下を指摘されるとコミュニティから疎外される懸念があるため、不安を共有することもできない。  
こうして本当に介入が必要な人が不安を誰にも伝えられないまま適切な介入が行われず、さらに認知機能が低下するという悪循環を生む可能性すらある。

「健康な人」と「そうでない人」の間で断絶がおきかねない  
今後、政府の取り組みにかかわらず、認知症の予防に取り組む高齢者は増える。
そのとき、高齢者コミュニティ内で「健康な人」と「そうでない人」の間で断絶が起きることを私は恐れている。
 人は誰もが老い、健康を損ねる。

高齢社会においては、特に健康状態の多様性が生まれる。
そこでは、安心して病気になることができる社会こそ、政府が目指す姿ではないだろうか。

 まとめると、現在の政府が行っている認知症対策は、将来の成長分野の健全な競争を阻害し、さらに高齢社会の分断を招く危険がある。
 需要のある認知症の予防分野は民間部門の競争に任せ、民間部門では支援できないような高齢者が幸福な生活を送ってもらえるように環境を整備する――。
これが高齢社会での国のあり方ではないだろうか。
      (文=森田知宏)

参考文献
1. Young, J., et al., Aerobic exercise to improve cognitive function in older people without known cognitive impairment. Cochrane Database Syst Rev, 2015(4): p. CD005381.
2. Sabia, S., et al., Physical activity, cognitive decline, and risk of dementia: 28 year follow-up of Whitehall II cohort study. BMJ, 2017. 357: p. j2709.

3. Biessels, G.J., et al., Risk of dementia in diabetes mellitus: a systematic review. Lancet Neurol, 2006. 5(1): p. 64-74.
4. Xu, W., et al., Mid- and late-life diabetes in relation to the risk of dementia: a population-based twin study. Diabetes, 2009. 58(1): p. 71-7.
5. Zankd, S. and B. Leipold, The relationship between severity of dementia and subjective well-being. Aging Ment Health, 2001. 5(2): p. 191-6.
医療バナンス学会発行
「MRIC」2019年9月3日より転載(http://medg.jp/mt/
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2019年09月17日

池江璃花子と密会、なべおさみの”ハンドパワー”は本物か、インチキか!?

池江璃花子と密会、なべおさみの”ハンドパワー”は本物か、インチキか!?
2019.09.03 TOCANA

 白血病を公表している競泳女子・池江璃花子選手とタレント・なべおさみに”密会報道”が持ち上がった。
8月29日発売の「週刊新潮」(新潮社)と30日発売の「フライデー」(講談社)が揃って報じているもので、池江選手ががんの「民間療法」を行うなべの教えに傾倒しているという内容だ。

 なべと言えば、1991年、長男で元たけし軍団のなべやかんの「明治大学替え玉受験事件」で騒がれたことで知られ、5月には古巣の吉本興業復帰が発表されたばかり。
近年はスピリチュアルに目覚め、自身の”気”や”オーラ”で多くの著名人の命を救ってきたと自称しているという。

両誌では、池江選手がなべの自宅を訪れるシーンや、一緒に東京・銀座へ向かう姿など、複数の写真が掲載されている。
事情を知る関係者の話。
「なべとは池江選手の母を介して知り合ったそうだ。
多額の報酬を支払い相談に乗ってもらっているみたいだ」

 なべはマスコミの取材は完全NGで、池江親子とのただならぬ関係≠ノついて完全否定しているという。
 ここでは、がんの民間療法についての良し悪しは触れないでおくが、2つの週刊誌が同時に同じネタを掲載した時点で、第三者のリークがあったと見るのが妥当。
それも「なべに”取り込まれる”池江親子に警鐘を鳴らす狙いがある」(同)ことは明らかだ。

「ただ、間違ってはいけないのは、池江さんは抗がん剤治療などをやめて、なべの手かざし療法≠ノ走ったわけではないということ。
病院の治療は治療で、きちんと受診している。
なべとの関係性は分けて考える必要がある」(スポーツ紙記者)

 とはいえ、池江選手を応援するファンからは「大丈夫なのか?」という声が殺到しているのも事実。
今後のキーマンは2017年6月に小林麻央さんをがんで亡くした歌舞伎俳優の市川海老蔵と、麻央の姉の麻耶だ。
「新潮の記事によれば、なべは闘病中だった麻央さんに”気”を送り続け、妹のことで疲弊していた姉の麻耶を気遣い、自宅でご馳走をもてなしたという。
それが本当かどうか。
そもそもなべと接点はあったのか。
池江選手とその家族のためにも、名前の出た海老蔵さんや麻耶さんはこの件に関して発言する必要があると思う」(ワイドショー関係者)

 なべは4年前に出版された「昭和の怪物 裏も表も芸能界」(講談社)の中で「私の業(わざ)を使える比率は50%です。半分は天が許してくれないのです」と告白。
生と死、どちらに転んでもいいような言い訳をすでに確立している。
 なべには是非ともマスコミの前で神秘のパワーを披露してもらいたいものだ。
                                     編集部
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2019年09月18日

「満員電車の腹痛」を避けるために

「満員電車の腹痛」避けるために
2019.09.08 Business Journal  

朝、満員の通勤電車の中で急にお腹がギュルギュルと鳴り出し、途中で下車して駅のトイレを探すか、会社まで我慢をしようか迷う。
特に“お腹弱い系”の人はよくこの「ギリギリの戦い」を経験をしているのではないだろうか。
 お腹が弱いにしても、なぜ通勤電車で下痢になってしまうのか。

 『もう通勤電車で下痢にならない! すべてのお腹弱い系を救う40の方法』(松生恒夫著、祥伝社刊)では、30年間で4万人以上の腸を診てきた医学博士の著者が、排便のメカニズムから朝の過ごし方・便意と上手に付き合う方法まで専門医としての結論を紹介している。

■「朝ごはん抜き」は引き金の一つ?
 松生氏が感じているのは、年々、下痢に悩まされている患者さんが増加していることだという。
 家を出る前にトイレに行っておけば安心できるが、その時間に限ってしたくならないもの。
 特に朝ギリギリまで寝て、朝食を摂る余裕もなく、バタバタしながら朝出かけるような生活では、トイレにかける時間も持てない。

 松生氏によれば、排便が起こるまでの過程で、大腸から肛門へと便を移動させる「大蠕動」が起こるという。これは食べ物や水分の摂取によって1日1〜3回起こる。
特に朝食を食べたあとの約1時間後に起こりやすいが、この動きは10〜30分しか持続しない。
そのため、ちゃんと朝食を摂らないと便意を適切に感じにくくなってしまうのだ。
 そして、朝食を食べずに、駅のホームでコーヒーを買って飲んでから慌てて通勤電車に乗る。
こんなことをしてしまうと、そのコーヒーが引き金となって、通勤電車の中で大蠕動が起こり、強い便意が起こってしまうという。

■満員電車という環境のストレスも問題
 また、ストレスフルな環境にも注意だと著者は指摘する。
 満員電車の身動きもできず、押し合いへし合いのなかで体を押されると、極度なストレスを感じる。
こんなときにもお腹が痛くなるケースは多い。

 お腹は痛い、トイレに行きたい。でも身動きはとれないし、電車はしばらく止まらない。
このストレスフルな環境は、便意にも大きく関係しているのだ。

 ◇
 もし満員電車が引き金の一つなら、例えば会社の制度でリモートワークが許されているなら家で仕事をしてから出社するなどができるだろう。
また、トイレに行ってから出社をするということも可能であるはずだ。
「朝、その時間に出かける」から、自分の体にあった働き方をするということを考えるきっかけになる。
 通勤電車で便意をもよおしてしまう、お腹が弱い人は、本書から下痢の正体や便意をもよおさないための食生活やライフスタイルを学ぶことで、快適な生活に近づけるかもしれない。 (新刊JP編集部)

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2019年09月19日

昔話が図書館から消える! 『美女と野獣』は性差別的な物語!? ポリコレ的にNGな童話の世界

昔話が図書館から消える!
『美女と野獣』は性差別的な物語!?
ポリコレ的にNGな童話の世界
2019/09/08 日刊サイゾー (ゼロ次郎)

――『赤ずきん』、『シンデレラ』、『いばら姫(眠れる森の美女)』……
誰もが知っている定番の童話に、ポリティカル・コレクトネスの波が迫っている。
4月18日付の「The Guardian」紙の報道によると、このほどスペイン・バルセロナにある複数の学校で、「ジェンダーに関する固定観念や、差別的な要素が含まれる本」を図書室から排除する動きが進んでいるという。
 ある学校では、委任を受けた調査団体が幼児向けの蔵書約600冊を精査。
登場人物の発言内容と役回りを1冊ずつ調べ上げた結果、約200冊について「教育的な価値がない」との判断を下した。

海外ニュースサイト「The Local」のスペイン版によると、その中には『赤ずきん』、『シンデレラ』、『いばら姫』、『美女と野獣』といった、メジャーなタイトルも含まれている。
こうした童話で描かれる女性は「勇者である男性の救助を待っている存在」として描かれることが多く、それが男女のステレオタイプを助長してしまうと問題視されているようだ。

「幼児は身の回りに起こることすべてを吸収します。
そのため、この時期に性差別的な固定観念に触れると、それを当たり前のものとして受け取ってしまう」というのが、調査団体の主張。
しかし、その一方で前出の「The Local」が取材したある図書館職員は「古典文学には独自の価値があり、検閲は危険な行為。
行き過ぎたポリティカル・コレクトネスは、守るべきフェミニズムの価値観をかえって傷つけかねない」と、警告している。  

本稿では、このようにポリティカル・コレクトネスで排除されていく童話の現状を、識者の意見を交えながら明らかにしていきたい。

スペインの判断は童話を理解していない
 まず、今回スペインで下された判断について、グリム童話の専門家はどのように考えているのだろうか?
 梅花女子大学大学院教授・武庫川女子大学名誉教授・日本ジェンダー学会会長の野口芳子氏はこう語る。
「スペインでの出来事については、『何を考えているんだ!』という思いです。
確かに、ジェンダーは時代や社会によって変わるもので、求められる『男らしさ』と『女らしさ』も変わっていきます。
だからといって、過去のジェンダー観が反映されている物語や昔話を排除すると、ジェンダーを歴史的に理解する機会を子どもから奪うことになります」

 過去を否定するのではなく、理解することが重要ということだが、そもそもジェンダーに限らず、童話や昔話というものは常に身近な教訓の教科書でもあった。
野口氏は『赤ずきん』を例に挙げ、次のように解説する。

「1697年にシャルル・ペローがまとめた『赤ずきん』が収録されている『教訓をともなった昔話』は、当時のフランス国王・ルイ14世の姪に捧げられたものです。
ペローの『赤ずきん』は最後に赤ずきんが狼に食べられて終わりますが、彼は19歳の貴族の令嬢に向けて『若い娘が知らない男の言葉に耳を貸すと、食べられてしまうよ』という、自身の身を守るための『教訓(モラリテ)』が付いた『昔話』を書いたのです」

 時代がくだり19世紀、『グリム童話集』に収録された『赤ずきん』は、口承で語り継がれた性的な部分を削除し、より教育的な側面が強くなったという。
「ドイツのグリム兄弟に『赤ずきん』を伝えたのは、ハッセンプフルーク家という良家の娘たちでした。
一家はフランス移民で、父親が州知事を務めるくらいでしたから、貴族向けに書かれたペローの昔話も知っていたはずです。しかし、グリム兄弟の『赤ずきん』の内容はペローとは異なります。

グリム版では祖母と娘が食べられて終わるのではなく、猟師によって救出される話になっているのです。
さらに、その経験を生かして、今度は祖母と2人で狼をやっつけるという、後日談も入れています。
つまり、悪い狼にやられた経験を生かして、やり返した娘と祖母の話として提供されているのです。
この後日談は初版から入っており、あとで書き加えられた話ではありません。

要するに主人公の成長、イニシエーションを語る昔話としての『赤ずきん』が提供されているのです。
というのも、グリム兄弟の『赤ずきん』の想定されていた読者層は貴族ではなく、市民だったからです」(同)

 このように伝承を改変し、良いしつけを意図した一般市民の近代的な価値観に合わせて描かれていたはずの物語が、21世紀に入ると教育現場から排除される可能性も出始めたというわけだ。
それでは、スペインの調査団体は、こうした物語の本質を理解していないということなのだろうか?
「(調査団体が批判している)『男による女の救出』とか『女は男に頼らないといけない存在』といったメッセージは、そもそも『赤ずきん』にはないのです。

フランスのロワール地方に流布している口承のバージョンでは、赤ずきんは狼に食べられるのではなく、知恵を絞って狼を出し抜きます。
人狼(ブズー)に食べられそうになると『おしっこがしたい』と言って家の外に出て、逃げられないように狼によって足に結ばれた紐を、赤ずきんはスモモの木に結びつけて、一目散に逃げます。
騙されたと気づいた狼は追いかけますが、間に合いません。
ここでは赤ずきんは無知で騙されやすい少女などではなく、知恵を絞って狼を出し抜く賢明でたくましい娘です。
つまり、生産者である中世の農民の姿が反映されているのです。

近代の消費者としての女性には『おとなしく、従順で、かよわい』ジェンダーが求められますが、中世の生産者としての女性は『賢く、勇敢で、したたかな』ジェンダーが求められています。
このように昔話を読むことで、ジェンダーは『時代によって社会によって変遷する』ということが学び取れます。
それによって、その時代のジェンダー観に縛られることなく、『もっと自由に生きていいのだ』という、気持ちを子どもが感じ取ることこそが、本当のジェンダー教育ではないでしょうか。

だから、今のスペインの動きは間違っていると思います」(同)

いつの時代も行われてきた童話の改編  
グリム童話研究の第一人者から、手厳しい声が上がるスペインの判断。
『昔話にみる悪と欲望――継子・少年英雄・隣のじい』(青土社)などの著作を持つ、千葉大学名誉教授の三浦佑之氏もこの動きに批判的だ。
「出版されたのは過去のものなんだから、それをあろうことか、図書館が進んで『ダメな本です』と、喧伝するのは非常に良くない。
童話に限らず、図書館はあらゆる本を提供する場所で、利用者は読みたい本を自由に選ぶ権利がありますから、本来であれば、たとえ殺人を教唆するような内容であっても、過去の本はすべて公開するべきでしょう。
その一方で、子ども向けの本は教育と密接に関わりますから、物語の内容が教育上よろしくないという理由で規制がかかったり、時代によって新しい装いを取ったりということは、しばしば行われてきました。

特に戦後は、戦前までの教科書に使われていた物語が禁止とされました。
太平洋戦争後、GHQによって検閲された『桃太郎』はいい例ですよね。
このように物語を排除する、あるいは、残酷な表現はやめて、もっとやさしい内容に書き換えるといったことは、いつの時代も行われてきたと思います」

『桃太郎』は戦時中、その内容から軍国主義の普及とスローガンに利用され、「桃太郎が真珠湾を攻撃する」というアニメまで制作されたが、その結果として戦後は教科書から消えてしまった。
書き換えに関しても今回、スペインで排除の対象となったグリム童話も、前述したようにさまざまな口承をグリム兄弟が市民道徳に合うよう“調整”し、不純な性描写や残酷描写を取り除いた結果、今でも世界的に親しまれる作品になった。

また、現在、絵本や児童書として市場に出回っている昔話は、今の価値観にアップデートされたものがほとんどだろう。
「多くの昔話は作者がいるわけでもないし、決まった形が定められているわけでもない。
そのため、口伝によってバリエーションが増えて、変わっていくんです。

変わっていくというのは、面白く変わっていくこともあれば、前述の『桃太郎』のように政治的な意図をもって変えられることもあり、誰かの都合によって変えられることもある。
しかし、基本的には、そういった流れを淘汰できる物語だけが残っていくわけですから、今回のスペインのように一方的に昔話を規制するのはあってはならないことです」(同)  

今回のスペインにおける動きは世界中で報道され、議論を巻き起こしている。
しかし、このようなポリティカル・コレクトネス的な観点に基づく童話の規制運動は、90年代から欧米諸国でたびたび起こっていた。
 例えば1990年には米国・カリフォルニア州の教育関係者が『赤ずきん』をやり玉に挙げ、結果として2つの校区で禁止される出来事があった。
問題視されたのは「おばあちゃんへの贈り物に含まれていたワイン」である。
具体的には、未成年にアルコールを扱わせたこと、狼がワインを飲み干して顔を赤くする描写などが「教育上よろしくない」とされた。

魔女のクレームで禁書寸前に?
 さらに米国では92年にも、グリム童話の名作『ヘンゼルとグレーテル』に対し「魔女の品位を貶めている」と、クレームがついた。
しかも、声を上げたのは自称「魔女」の女性。
いわく、「この物語は『魔女を殺し、その所有物を盗んでも問題はない』という考えを植えつける」
「魔女は子どもを食べたりしないし、黒帽子に長い鼻といったイメージも実態とは異なる」とのこと。
さすがに、この訴えは黙殺されたが、地元の小学校ではヘンゼルとグレーテルを殺人罪の被告とした模擬裁判が行われるなど、思わぬ反響があった。

 近年では2017年、SNS上で「#MeToo」ムーブメントが盛り上がる中、イギリスの主婦が『いばら姫』の、王子による目覚めのキスを問題視。
「禁止しろとまでは言わないが、(自分の息子が属する)小学校低学年のカリキュラムからは除外すべき」と、提言して炎上騒ぎとなった。

の『いばら姫』について、野口氏はこう語る。
「グリム版のキスによる目覚めには性的な意味ではなく、口から生命を吹き込むという意味があるのです。
西洋昔話では『キス』は精神的な愛を意味し、肉体的な『性交』を意味するものではありません。

フランスのペロー版『眠れる森の美女』では、王子はキスをせず、姫と性的関係を持ちます。
イタリアのバジレ版『太陽と月のターリア』では、妻帯者の王は眠っているターリアを犯して妊娠させます。
『あまりに美しいので、愛の果実を摘み取った』と詩的な文章で書かれていますが、要はレイプしたのです。
このバージョンを問題視するのならまだしも、グリム版のキスを問題視するのは見当違いです。

グリム兄弟は結婚前に妊娠出産する南欧の『眠り姫』バージョンを、結婚後に出産する北欧の『いばら姫』バージョンに改変したのです。
それによってグリム童話は広く市民社会に受け入れられてきたのです」

 木を見て森を見ず、とはまさにこのことである。
このように物語の本質を理解しないまま、表面的な部分だけを見て排除してしまうのは、文化の破壊ともいえるのではないだろうか?

「童話や伝承の中に今の常識では理解できない部分はあったとしても、それを拒否するとか、なくしてしまおうとすることは許されないでしょう。
例えば日本には『瓜子姫』という、ウリから産まれた瓜子姫が天邪鬼に連れ去られて木に吊るされる、あるいは殺されてしまうといった内容の民話がありますが、この物語は今の時代からすると、完全に児童虐待であり、堂々と人前で話せるものではないと思います。
しかし、『こんな小さな女の子がなぜ、むごたらしく死ななければならない?』といったように、その時代の中で少女の置かれていた立場といったことを考えるには、この物語はひとつのヒントにはなるかもしれない。

もっと強引に言えば、現代の女性に対する性差別を考える、ひとつのきっかけを与えるかもしれません」(三浦氏)

 前出のスペインの調査団体も、6〜12歳の小学生児童については「物語を批評的に分析する能力が備わっており、性差別的な要素に自ら気づくこともある。
本はそういった学びの機会を与える」と、一定の理解を示している。
だが、スペインで起きたような童話排除の動きは今後、世界にも波及するのだろうか?

「スペインの場合でも図書館がどういう経緯でこの判断に至ったのかは、ニュースなどでは詳しく書かれていませんが、子どもにどういう物語を与えればいいのかは人によって立場が違うし、『この本やめよう』となったら、その時点で図書館に入らないわけですから、ないとはいえない。
知らないところで、見えない規制は、すでに行われているのではないでしょうか。
図書館運営の中心になってくるのは司書ですから、彼ら/彼女らの判断によるところが大きくなりそうですね。
とはいえ、誰かが決まった形を作るよりも、自然のなりゆきに任せるのが本来の昔話のあり方なんじゃないでしょうか? 

みんなが面白いと思ったものが後世に語り継がれていくわけで、『これはダメ、これはOK』というのは、誰かが上から決めるものではないと思います」(同)
 ポリティカル・コレクトネスを重視するのも、ひとつの時代の流れではある。
しかし、それにかこつけて臭いものに蓋をするような対応は、過去だけでなく未来あるいは書物そのものをも冒涜する行為であることは肝に銘じておくべきだ。
(月刊サイゾー7月号『ヤバい本150冊』より)
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2019年09月20日

中学受験界「大学付属校」の落とし穴

中学受験界「大学付属校」の落とし穴
2019/09/08 サイゾーウーメン

 “親子の受験”といわれる中学受験。
思春期に差し掛かった子どもと親が二人三脚で挑む受験は、さまざまなすったもんだもあり、一筋縄ではいかないらしい。
中学受験から見えてくる親子関係を、『偏差値30からの中学受験シリーズ』(学研)などの著書で知られ、長年中学受験を取材し続けてきた鳥居りんこ氏がつづる。
*******************
中学受験界では数年前から「大学付属校」が大人気だ。
その理由は2点。
1つが2021年度入試から始まる「大学入試改革」、
もう1つが国の「私大の入学定員管理厳格化措置」の影響だ。

※私大の入学定員管理厳格化……文部科学省が私大の入学定員の超過に対して、私学助成金の交付をその人数に応じてカットするという措置。東京・名古屋・大阪の三大都市圏に学生が集中するのを抑え、地方へ振り分ける狙いがある。安倍内閣の「地方創生」政策の一環と言われている。

 いまだにハッキリと決まっていない大学入試改革の全容、一方で早慶、MARCHをはじめとした主要私大の“合格者絞り込み”という現実――これらが今、中学受験生の親たちの危機感をダイレクトに煽っているのだ。
 つまり「国の方針ひとつ」で我が子の大学受験がどう転ぶかわからない、という現状がある。
しかもその「方針」も迷走していると言えるだろう。
ゆえに親たちは、早い段階での「大学合格切符」という「保険」をかけようと躍起になっているのだ。

第5志望のN大付属入学、リベンジを誓うも!?  
広樹君(仮名)の母・貴代さん(仮名)も、この現実に焦った1人だ。
「中学受験をして私立に入学したとして、確かに高校受験はありませんが、高2から大学受験に向けた勉強がスタートするというのは既定路線。
であれば、6年一貫教育と言ったって、伸び伸びしていられる時期は少ない。
それならば、最初から大学付属狙いの方が広樹のためになるのでは? と思ったんです」

 こうして、貴代さんは、広樹君の受験校を第5志望まで全て大学付属校で埋めたという。
そして広樹君は、第5志望校であるN大学付属に合格を決めた。
インフルエンザに罹患してしまったため、本来の実力が発揮できなかったそうだ。

 塾の先生はこの結果をとても悔しがり、「広樹はW大系列に入れる実力だから、N大付属には行かず、公立中に進み、高校受験でリベンジしてはどうか?」とアドバイスしたそうだ。
 しかし、貴代さんの強い勧めで、広樹君はN大学付属に入学。
本人も最初はリベンジを固く誓っていたそうだが、現在高1の彼は、貴代さんからすると「見る影もない」ほど勉強しないという。

「広樹の学年が特にそうなのかもしれませんが、ほとんどの子が『無理はしない』思考なんですよ。
つまり、無理してまで他大を受けないってことですね。
浪人にでもなったら、目も当てられないですから……。
広樹は『このまま、ぬるま湯に浸って、入れるところに入れればいい』と思っている節があるんです。
でも、N大に入るのも、学内基準があるので、意外と難しいんですよね〜。
塾の先生の言うことを聞いておくべきでした……」

 たいていの大学付属校は、成績順に学部を選べるシステムなので、必ず志望が叶うという保証はない。
そもそも、自分の行きたい学部が「その大学にはない」というケースも大いにある。
子どもが、「入りたい学部」ではなく、「入れる学部」に自分を合わせるという現実もなきにしもあらずなのだ。

 「大学付属校に入れば安心」という親の「保険」がどこまで通用するかは、実際に子どもが高3になるまで、誰にもわからないというのが実情だろう。

夢のK大付属に合格、母は大喜びしたが……
 もう1人、太郎君(仮名)のケースをお伝えしよう。
彼は中学受験でE学園とK大付属に合格した。
彼の第1志望校はE学園であったが、「保険」を欲する親の犠牲となり、結果的にK大付属のF中学に入学したのだ。
 母である佐代子さん(仮名)は合格直後、筆者にこう言っていた。
「K大付属のF中よ! ほぼ全員がK大に入れるんだから、安心よね。
K大なら、どの学部でもいい!」

 太郎君の現在を、先にお伝えしておこう。
彼は19歳で、フリーターをしている。
学歴的には中卒である。
なんでもK大付属の独特のカラーに合わず、入学当初からの強烈な違和感を拭い去ることができなかったそうだ。
 F中はレポート課題が頻繁にあり、未提出者への指導が厳しいことに定評がある。
進級基準に満たない者は中学生であっても、容赦なく「肩たたき」(内部進級・進学ができない)される。

 太郎君というより、佐代子さんが最後まで内部進学にこだわったということが災いして、結果的に他高校の受験に失敗。
フリースクールに通ったものの、高校卒業資格は取れていない。
 太郎君が自嘲気味に笑いながら、筆者にこう漏らしたことがある。
「あの時、親がE学園に入れてくれたら、こうはなってなかったっす……」

 「大学までエスカレーター」という点だけに飛びつくのは危険だ。
大学付属校はとても魅力的な学校であることは確かだが、こういう「落とし穴」があることも、事前に承知しておくべきだろう。
 学校選びは「保険」を第一にするのではなく、子どもの特性を見て「将来、花が咲きやすいであろう環境かどうか」を一番に考えることが重要なのだ。
                  (鳥居りんこ)
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2019年09月22日

波乱の13日間の入院

昨日、東邦大学医療センター大森病院を無事退院しました。

入院初日は台風15号の影響で JRが計画運休→間引き運転で 入院のためのバックは 鉄道の満員電車で持ち込み不可能。
タクシーを呼ぼうにも「携帯の回線が混雑している」案内が20分近く流れ やっと繋がり 乗車できたとおもったら 幹線道路が大渋滞。
9時出発で多摩川大橋を渡れたのが 10時過ぎ。
運転手さんが裏道を熟知していて 2号館「マイナースステーション」の予約10時30分にギリギリセーフ。
入院受付の看護師さんから よく時間通り来られましたね、まだ日勤の看護師も多く来られない状態です、と疲労を心配してくれました。

その日から翌日の大腸内視鏡検査のための下剤攻撃。
昼食・夜食は フルーツジュースと牛乳のみ。
下剤の効果確認の 便・排泄物の看護師確認、合格するまでに 不味い下剤を約1リットル半でOKサインがでました。

大腸内視鏡検査で痔瘻の兆候なし。
病名から「多発性痔瘻」が消え、「膿皮症」のみの診断になりました。

11日の手術では 痔瘻がない分 傷も軽いかな・・・と楽観したのが大きな間違い。
尻の半分近くの皮と肉が抉られ 痛み止めを大量処方してもらっても痛みが消えない、寝るも地獄 トイレにいくも地獄の苦しみ。
傷口を鏡でみて 余りの酷さに絶句しました。

実質3日と半日の食止め。
普段は この位平気なのですが、「禁止されると無性に腹が減る」状態になりました。
入院3日目までは 傷の痛さと空腹との闘いでした。(続く)
posted by 小だぬき at 00:39 | 神奈川 ☁ | Comment(7) | 健康・生活・医療 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

入院3日までの補足、退院1日目

食事
9日(月)昼  セルティースープ(カボチャ)
                   ジュースパックP ]
                   ヤクルト
       ゼリーA

9日(月)夕      牛乳
        紅茶パック

.*10日大腸内視鏡検査、11日膿皮症手術

10日〜12日朝 食止め


看護師予定表 
10日(火)     内服 朝1日分をお渡しします。
      朝6時から下財を飲みます。
      吐き気や腹痛などがありましたら
      看護師に教えて下さい😞

11日(水)     点滴  手術(8:15〜12時予定)
                5時以降 飲水×
       6時に内服わたします、
       ゆかたに着換えてください。
       朝 浣腸をし きれいにします。
      8時までに排泄をすませてください。
      鍵(貴重品)は看護師があづかります。

12 日(木)    採血  採尿
      点滴
      看護師と一緒に歩きましょう

*歩けたら 導尿管が外れ 自由??の身に。

***************************
退院1日目
   ガーゼへの体液と血のシミだしが多く
   ガーゼ交換2回
   皆さまの温かい「おかえりなさい」で
   悪戦苦闘しながらガーゼ交換

入院時と違い、一人というのは
心細いものですね。
posted by 小だぬき at 09:24 | 神奈川 ☀ | Comment(2) | 健康・生活・医療 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2019年09月23日

復旧したはずなのに…「隠れ停電」千葉県内で相次ぐ

復旧したはずなのに…「隠れ停電」千葉県内で相次ぐ
9/22(日) 読売新聞  

台風15号の影響による千葉県の大規模停電は、23日で発生から2週間になる。
停電が続いているのは約2300軒(22日午後8時現在)で、ピーク時(約64万1000軒)の1%以下になった。
ただ、県内では停電が解消したとされる地区で電気がつかないケースが頻発。
電柱から住宅に延びる引き込み線の損傷などが原因で、東京電力も詳細を把握できず対応に追われている。

 東電の発表で、19日に町全域で停電が解消したとされた多古町。町役場には、「家の電気がまだつかない」とする町民からの問い合わせが20日までに43件寄せられた。

 21日に解消が発表された山武市の山間部に住む男性(47)宅でも停電が続く。
男性は自家発電機での生活を余儀なくされており、「うちの復旧は忘れられているのか」と憤る。

 電気は変電所や電柱に設置された変圧器で少しずつ電圧を下げながら、家庭に送られる。
東電は台風の影響で損傷した高圧線の復旧を終え、通電したことを監視システムで確認すれば、その地区の停電が解消したと発表している。
 だが、低圧線や引き込み線には監視システムがないため、損傷や不具合で停電が続いていても、東電は確認することができない。

“隠れ停電”とも呼ばれ、東電にも利用者からの問い合わせが相次いでいるという。
 東電は実態を把握するため、県内各自治体の災害対策本部に社員を派遣。
千葉市では22日午前6時現在、98軒で停電が続いていることがわかった。
一方、寄せられた情報をもとに復旧にあたっているが、「数が多く、作業が追いついていない」(担当者)という。

問い合わせはフリーダイヤル
0120・995・007)へ。
posted by 小だぬき at 00:00 | 神奈川 ☔ | Comment(0) | 健康・生活・医療 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

入院できただけ幸せ

今まで 脊椎狭窄ステンド手術、股関節人工関節置換手術を受けた 川崎幸病院では 食事も管理栄養士さんが 管理して病院食が自前で「糖尿病」食がだされました。

病院全体で病気通院のPC管理で 食事・リハビリなど 横の連絡は万全でした。
味もレストラン並みの味で こんなにも美味しくなったのかと感動したものです。

30年近く前の「胆嚢がんの疑い」で胆嚢切除手術をうけた北区の病院では 病院食はエサなのかと思うほど「魚の名前」なども不明で冷えた食事で 長らく病院食は「不味いもの」とのとの固定観念があったのです。

今回の東邦大学医療センター大森病院も 食事は美味しかったです。
ただ 気になったのは、委託契約業者が納入していた点です。
12日昼から常食(中)になったったのですが、量が半端なく多い。

美味しいものでも量が多いと 食べきるには「地獄」
途中から 常食(小)に変更してもらったのですが、少なくなったのはごはんのみ。おかず量は変わらず。
監理栄養士と話しをしたいといったら 委託業者なので・・・。と看護師さん。

大学病院で「自前」は難しいでしょうが 私の世代は「食事を残さない」「食事はお百姓さんの苦労から調理してくれる人まで たくさんの人のおかげだ、粗末にしてはいけない」と教育され身についたものには、「多ければ残せばいい」という選択はできないのです。

********************
9月11日の手術後は 痛み止めは遠慮なく使ってくださいね。と自己調整の器具も使ってくれました。

次の日の課題は 導尿管が外せる条件「自前歩行」できるかでした。
看護師さん付き添いなので「倒れたら君の方に倒れるよ」と冗談を言っているうちに 目標距離に到達。
すぐトイレで 導尿管を抜いてもらいました。

そのあと ベットは血まみれ。浴衣も大きな「日の丸」状態。
その状態が16日(火)まで続き、血液検査で「貧血」状態に。

感染症防止のため 12日(木)から シャワー使用。
そのたびに看護師に頼み ガーゼ交換。

16日から状況一変。

退院したら 自分でガーゼ交換をしなくてはいけないから お手伝いはしますが 自分でする訓練をしましょう、と可愛い看護師さんが 笑顔で宣言。

鏡を見ての 貼りかえがなんとも難しいこと。
上下・左右がままならない。
始めは 30分近くかかりました。

毎日の担当看護師さんが 「やり方を考えました」と日々改善提案。

**********************
看護師の情報網
私のいった弱音・冗談などが 次の担当に正確に伝わり、次は確実に改善されました。
    (続く)
posted by 小だぬき at 15:53 | 神奈川 ☀ | Comment(3) | 健康・生活・医療 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2019年09月24日

血税1兆円がドブに……

血税1兆円がドブに……
米国からの陸上イージス購入は亡国への道だ!
「文藝春秋」編集部 2019/09/23

 日本の防衛力の強化と拡大は急務である。
しかし、その方向性を間違えば、逆に私たち日本国民の首を絞めかねない。

 秋田県秋田市と山口県萩市に、アメリカが開発した「イージス・アショア」(陸上イージス)の配備が予定されている。

北朝鮮などの弾道ミサイルを迎撃するための装置だが、総額1兆円を軽く超える予算規模と、政府のずさんな導入計画が波紋を広げている。

グーグル・アースで“測量”された調査報告書
 今年6月、防衛省が作成した配備候補地の調査報告書に多くのデータの誤りが含まれていることが発覚。
本来なら実際に配備候補地で測量をすべきところ、手間を省いてグーグル・アースを用い、しかも縮尺の違いを見落としてデータを算出したため、実際の地形とは全く異なるデータが調査報告書に記載されていたのだ。
 しかも、地元説明会の席で住民たちを前に居眠りする職員などもおり、住民たちの不安と反感は一挙に高まった。

 だが、ことの本質はそれだけではない。
配備強行の裏には、空洞化する日本の防衛がくっきりと透けて見えてくる。

有事には住民を巻き添えに
 防衛問題に詳しいジャーナリスト・南村梟郎氏は、陸上イージスが内包する5つの問題点を指摘する。

「敵とのコスト競争の泥沼にはまり込む」
「有事の際には住民を巻き添えにする」
「経費膨張で日本の防衛力がいびつになる」
「自衛隊と米軍への信頼性が低下する」
「日本の守りを効果的に高める方法は別にある」というのがそれだ。

 このうち周辺住民が最も懸念するのは、「有事の際に巻き添えになる」という点だろう。
 秋田市西部の候補地である新屋演習場周辺には住宅地が広がり、演習場の数百メートル先には小中学校が点在する。
「自分たちが日本なら陸上イージスなんて配備しない。
有事になれば敵に真っ先につぶされるからだ」

――南村氏によると、米軍関係者はミサイル防衛について、こう認識しているという。
 もし、日本が北朝鮮や中国、ロシアと武力衝突する事態になれば、相手は高性能レーダーと迎撃ミサイルがセットになった陸上イージス施設を真っ先に攻撃してくるはずだ。
 そのとき、はたして基地周辺の住宅や学校はどうなるのだろうか?

導入経費は数兆円規模にまで膨張する  
さらに懸念されるのは、巨額の予算だ。
 当初、陸上イージスの導入経費は2基で約1600億円とされていた。
ところが計画が具体化するにつれてどんどん経費が膨張し、現在では約6000億円とされている。
しかし、レーダーや関連装備をグレードアップするたびに加算が続き、防衛関係者の間では、2兆円程度になると指摘されている。

長期的な維持費や広義の関係費用を含めれば、数兆円に膨張することは確実だ。

 日本が高値の防衛装備をどんどんアメリカから買わされている構図を、南村氏は高級外車の例にたとえる。
「平均的なサラリーマンが背伸びして外車を購入した後、セールスマンの巧みな口車に乗せられてどんどん高額な外車に買い替えさせられた挙句、通常の暮らしが立ちいかなくなるようなものだ」

 繰り返すが、日本の防衛力の強化と拡大は急務である。
 そのために必要なのは、陸上イージスのような装備に濫費することではない。
 もっと賢く予算を使い、効果的な抑止力を持たなければならない。

「文藝春秋」10月号 に掲載されている南村氏のレポート「亡国の陸上イージス」は、日本の防衛力強化のために何が必要なのかを詳細に論じている。

(「文藝春秋」編集部/文藝春秋 2019年10月号)
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2019年09月25日

“突然うつ”が増加中。心がポキッと折れる原因は何なのか

*小だぬき、せっかく退院できたのに 疲労感が予想以上に酷く 「コメント」を残せない友達やペット君には申し訳ない思いです。
消毒の仕方を工夫しながら 早く訪問再開できるようにファイトします。

“突然うつ”が増加中。心がポキッと折れる原因は何なのか
2019年09月24日 SPA!

2019年8月、ネプチューン・名倉潤が手術の“侵襲”によるストレスが原因のうつ病を公表したことは記憶に新しい。
このように、それまで何の前ぶれもなく元気だった人が、意外な理由やきっかけで“急に”うつ状態になってしまう例は多いという。
そんな「突然うつ」とも言うべき現象はなぜ起きるのか?
 実態に迫った。

◆労働環境の悪化で予期せぬきっかけがうつを発症させる!

まずはQ1「これまでに、突然心が折れて“うつ状態”になったことがありますか?」の回答をご覧いただきたい。
全国の40代男性2580人に調査したところ、「はい」と回答したのは784人。
実に約30%の男性が、自分でも予期せず“突然うつ”と呼べるような状態に見舞われたことがあるという結果になった。
=== Q1 これまでに、突然心が折れて“うつ状態”になったことがありますか? はい 30.4% いいえ 69.6%
※全国の40代男性2580人を対象に7月30日〜8月5日にアンケート(以下、同) ===

 慢性的な抑うつ状態が続く従来のうつ病と違い、なぜ“突然”心が折れるのか。
人材育成コンサルティング企業代表の前川孝雄氏は、背景に労働環境の変化を挙げる。
「ただでさえ人員不足でギリギリの企業が多いなか、働き方改革の推進により、労働時間の短縮、作業の効率化、生産性の向上を急ピッチで進めるムードが高まった。
こうした急激な変化に心身が適応できず、コップの縁すれすれまで溜まった水のようにストレスを溜め込んでいる人が実は多い。
すると、仕事と関係がなくとも些細なきっかけで突然水があふれ、うつ状態に陥るんです」

 それを裏づけるように、Q2「心が折れた一番の原因はなんだと思いますか?」では、心が折れた一番の原因に「労働環境」(35.8%)を挙げる声が2番目に多かった。

=== Q2 心が折れた一番の原因はなんだと思いますか? 心が折れた人500人アンケート(Q1で「はい」と答えた人を対象に調査) 人間関係(上司のパワハラ・部下の教育など) 39.4% 労働環境(過労・残業・休日なし・ワンオペなど) 35.8% 人事(出世競争・配属・降格など) 7.0% 金銭・経済問題(借金・投資の失敗など) 6.8% 家族との関係(妻との離婚・不和・子供の非行) 4.8% その他 3.2% 女性関係(失恋・浮気・不倫など) 3.0% ===

 臨床心理士の緒方俊雄氏は、40代という加齢による変化もストレス慢性化の原因だと語る。
「連日の徹夜、土日出勤など、30代の頃は無理が利いたからと自分を過信し、体力が落ちてくる40代で同じことをやっていると、ふとしたはずみでポキッと心が折れることは十分にあります」

 うつ病のトリガーは、ほかにもネプチューン・名倉を襲った“侵襲”など健康起因のものもあれば、Q2の第1位「人間関係」(39.4%)もそうだ。
心に余裕がなくなれば、上司や先輩、同僚、友人、そして家族の何げない一言すら心を蝕み、生きる気力を奪ってしまう。
“最後の一滴”が何になるか本人や周囲も予想できないのが、突然うつの恐ろしいところだ。

◆突然うつに男性が多い理由
 さらに産業医の大室正志氏は、突然うつに襲われるのは女性より男性が圧倒的多数だと指摘する。
「男性は、『自分はまだ大丈夫』という体への過信やプライドの高さからうつ病の予兆に鈍感すぎるし、それが危険なシグナルだと認めたがらない傾向にあるからです」

 そんななか、全識者が愕然としたのがQ3「心が折れたことを職場に報告しましたか?」の結果だ。
「会社に報告した」人が35%にも満たなかったのだ。

=== Q3 心が折れたことを職場に報告しましたか? はい 34.2% いいえ 65.8% ===
「社員と企業に信頼関係が構築できていない証し。

働き盛りの男性のメンタル不調を放置すれば、ほかの社員へのうつ病の連鎖や企業活動全体に悪影響を及ぼすリスクが高い。まして、Q4にあるように会社に報告したら『減給・降格・解雇された』(10.5%)となれば、企業のブランドイメージを左右しかねません」(大室氏)

=== Q4 (Q3ではいと答えた方)報告した結果どうなりましたか?(複数回答可)
休職した 37.4% 通院しながらそのまま仕事を続けた 33.9% 退職した 18.1% 減給・降格・解雇などの処分を受けた 10.5% 無断欠勤・無断退職した 8.2% 精神科に入院をした 2.9% その他 18.7% ===  

些細なきっかけで発症し、さらには会社にも報告しづらい……突然うつの恐怖は、決して他人事ではないのだ。

<文/週刊SPA!編集部 
       アンケート協力/エコンテ>
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2019年09月26日

インフルエンザが9月なのに流行し始めた理由

インフルエンザが9月なのに流行し始めた理由
グローバル化やスポーツイベント開催に注意
2019/09/25 東洋経済オンライン

上 昌広 : 医療ガバナンス研究所理事長

インフルエンザと聞けば冬場の病気というイメージがあるだろう。
ところが、今まさに流行が始まっている。
国立感染症研究所の9月17日の発表によると、9月2〜8日の間のインフルエンザ感染者数は、定点医療機関あたり0.77人で、前週から倍増した。
大流行した2009年に次ぐ勢いとなっている。

流行のきっかけは2学期が始まったことだろう。
9月2日には東京都東村山市の中学校がインフルエンザで学級閉鎖となった。
それにしても、夏場にインフルエンザが流行するとは奇妙だ。
インフルエンザは冬場の乾燥した時期に流行すると考えられてきた。
近年、状況は変わりつつあるようだ。
なぜだろう。

東南アジアなどの熱帯・亜熱帯では夏にも流行
実は、インフルエンザの流行が冬場に多いのは日本など温帯地域の特徴だ。
東南アジアなどの熱帯・亜熱帯では、冬だけでなく、夏にも流行する。 インフルエンザは、湿潤で暑い季節にも流行しうる。

2009年の新型インフルエンザの流行は夏場に起こったし、今年8月には沖縄県でインフルエンザ注意報が発令されている。
まれではあるが、わが国でも夏場にインフルエンザが流行することがある。
なぜ、近年は夏場の流行が目立つのだろう。

このことを説明する前に、世界でのインフルエンザの流行のメカニズムをご紹介したい。
実はインフルエンザの流行は、世界中を「循環」している。
日本の冬場に北半球、夏場に南半球で流行する。
つまり、1年をかけて、北半球から南半球を「往復」する。
この結果、その途上にある熱帯や亜熱帯は半年に1度のペースで年に2回流行する。

近年、この状況に変化が生じている。
原因はグローバル化の加速だ。
とくに注目すべきは、夏休み期間の7〜8月には多くの日本人が海外に出かけ、海外からも旅行客が押し寄せることだ。
彼らがインフルエンザを海外から日本に持ち込むのだ。

南半球との交流が拡大 ポイントは南半球との交流が拡大していることだ。
この時期、南半球はインフルエンザ流行の真っ最中だ。
日本政府観光局によれば、今年の7〜8月にオーストラリアから6万1900人が入国している。
対前年比7.4%の増加だ。
日本人もオーストラリアに出かける。
JTB総合研究所が各国政府の発表統計より作成したデータによれば、今年7月に、オーストラリアを訪問した日本人は2万8000人だ。
8月分は未発表だが、合計すると5万人は越えるだろう。
日本とシドニー間の航空機での所要時間は10時間程度だ。
インフルエンザ感染の潜伏期は1〜3日間程度だから、オーストラリアで感染した人が発症する前に入国あるいは帰国してもおかしくない。

南半球はオーストラリア以外にも、ニュージーランドや南米、さらにアフリカがある。
近年、交流は加速している。
今秋はとくに注意が必要だ。
ラグビーワールドカップが開催されているからだ。
ラグビーはイギリス発祥の球技だ。
イギリスと、かつて植民地であったイギリス連邦で盛んだ。

現在、ラグビーの世界ランキングのトップ7はすべてイギリス連邦に属する国だ。
南アフリカ、オーストラリア、ニュージーランドなど、多くが南半球に存在する。
そして来年は東京五輪の開催を控える。
その規模はラグビーワールドカップとは比較にならない。

インフルエンザを含め、さまざまな感染症が海外から日本に持ち込まれるかもしれない。
流行を防ぐにはどうすればいいだろうか。
マスクを利用されている人もおられるだろう。
インフルエンザが流行るとマスクが売れる。
ところが、意外かも知れないが、インフルエンザ対策でマスクの有効性は証明されていない。

9月3日、アメリカ疾病管理予防センター(CDC)の研究者が興味深い研究結果を公表した。
彼らは2862人の医療従事者を、一般用のマスクと、「N95」という高性能マスクをつける群に無作為に割り付けて、予防効果を検証したが、両群に大きな差はなかった。
「N95マスク」は防塵マスクの規格を示す。
アメリカの労働安全衛生研究所が定めたもので、きちんと装着すると、フィルターを介して、固体粒子を95%以上補足する。

アメリカでは医療機関に「N95マスク」を導入する際、医療スタッフに対して顔面への密着度を評価するための「フィットテスト」が義務づけられている。
その後は年に1回の頻度で行う。
この詳細は「医療従事者のためのN95マスク適正使用ガイド」で公開されている。

医療用のマスクでも感染を防げない
筆者も「N95マスク」を装着したことがあるが、肌に密着し、息苦しさを覚えた。
市販のマスクとは粉塵の吸入予防効果はまったく違う。
ところが、「N95マスク」を用いても、インフルエンザの感染を防げなかった。

結局、インフルエンザ予防に有効なのはワクチンだ。
この論文を発表したCDCの研究者たちも、インフルエンザを予防するにはワクチンしかないと明言している。
インフルエンザワクチンは、感染を完全には予防できないが、罹患しても軽症で済む。

成人に接種した場合、2週間程度後から抗体が増え始め、4週でピークに達する。
その後、3〜5カ月で低下するが、感染者と接触するなどして、ウイルスに暴露され続ければ、効果はもっと長持ちする。

年末から年始に接種すれば、冬場だけでなく、来夏にも効果が期待できるかもしれない。
ぜひ、インフルエンザの予防接種を受けることを勧めたい。
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2019年09月27日

テレビで話題「酢納豆」を勧める医師はデタラメ

テレビで話題「酢納豆」を勧める医師はデタラメ
2019年09月26日 PRESIDENT Online

「牛乳は超危険」「糖質ゼロは体にいい」といった健康情報はどこまで信用できるのか。
内科医の名取宏氏は「医師の中には、デタラメを言う人もいる。
『○○という食品が体によい/悪い』という情報は9割方は眉につばを付けて聞いたほうがいい」と指摘する――。

※本稿は、名取宏『医師が教える「最善の健康法」』(内外出版社)の一部を再編集したものです。

■「酢納豆」の効果に臨床的な証拠はなかった
外来で診察しているとき、高血圧の患者さんから「酢納豆が血圧を下げるって本当ですか?」と尋ねられました。
酢昆布なら知っていますが、酢納豆は初耳でした。

私「酢納豆って何ですか?」
患者さん「納豆に酢をかけたものです。テレビ番組で紹介されていました。体にいいというので毎日食べています」

私「味はどうですか? 美味しいのでしょうか?」
患者さん「正直言って、あまり好きではありません」

患者さんには「醤油の代わりに酢を使うことで塩分の摂取量が減り、わずかながら血圧が下がるかもしれません。
けれども、それ以上の特別な効果があるとは考えにくいです。
美味しくないのに、我慢してまで食べることはないでしょう」とご説明したところ、納得していただけました。

後日、インターネットで調べてみたところ、酢納豆はテレビだけではなく、ムック本や健康雑誌などでもすすめられていました。
酢納豆には、高血圧に対する降圧だけでなく、視力回復や体重減少、アンチエイジング、血糖降下など、様々な効果があるとされています。
しかし、体験談はありましたが、臨床的な証拠――つまり≪酢納豆を摂取する群≫と≪酢納豆を摂取しない群≫を比較して血圧が下がったというような研究結果は見あたりませんでした。
味も試してみました。酢をかけた納豆の味です。

「美味しい」と思う人が食べるのは、食べ方のバリエーションが増えて好ましいとさえいえます。
でも、私の口には合いませんでした。

■特定の食品で病気が治ると主張する「フードファディズム」
こういう特定の食品が様々な病気に効くという情報は、次から次に出てきます。
たぶん、本書が出版される頃には酢納豆は飽きられ、別の何かが流行していることでしょう。

酢納豆で高血圧や糖尿病などの様々な病気が治るという主張は、典型的な「フードファディズム」です。
フードファディズムとは、「食品や栄養が健康や病気に与える影響を過大に評価したり信奉すること」(※1)。
ちなみに「fad(ファッド)」というのは、英語で「一時的な熱狂」という意味です。
なんと的を射たネーミングでしょうか。
(※1)高橋久仁子著『「食べもの神話」の落とし穴:巷にはびこるフードファディズム』講談社

特定の食品が健康や病気に与える影響を評価するのは、かなり難しいことです。
特に長期的な影響を調べるには、当然ですが、長い時間がかかります。
酢納豆のように急に流行した食品(食べ方)については、何もわかっていないと断言できます。
ついでに言えば、食品(安全が確認されている食べ物)が健康や病気に与える影響は、もしあったとしても、多くの人を長い年月をかけて観察した研究でやっと差が出るか出ないかの小さなものでしかないのが通常です。

■食品が健康に与える影響を知るのに体験談は不向き
にもかかわらず、インターネットや健康雑誌では驚くような効能効果がうたわれています。
普通の食品ならセーフのようですが、これが健康食品の広告だったら法律的に完全にアウト。
効能効果の根拠は、たいてい体験談か自称専門家の推薦です。
つまり、芸能人の誰だれが好んで食べて効果を実感しているとか、ナントカクリニックの院長が大絶賛しているとか。

憧れの有名人が食べて体の調子がよくなったら、自分も食べてみたいと思うのは自然な感情でしょう。
しかし、食品が健康に与える影響を評価するには、体験談は不向きです。
タバコを吸うと肺がんになりやすいことは、ほとんどの方に納得してもらえるでしょう。
しかし、「タバコを吸っていても肺がんにならなかった」という体験談も、「タバコを吸わなくても肺がんになった」という体験談も、探せばいくらでもあります。
「これを食べたら体の調子がよくなった」という体験談も探せば出てくるわけです。

けれども、体調がよくなった理由が食品にあるとは限りません。
たまたま、その食品をとったときに体の調子がよくなっただけかもしれません。
体調がよくなるはずだという期待や思い込みによって、体調がよくなったかのように感じただけかもしれません。

■医師免許があってもいい加減な主張をする人はいる
大学教授やクリニックの院長が推薦していると信用する人もいるでしょう。
ただ、そうした「専門家」がきちんとした臨床的証拠を元に話しているとは限りません。
同じ医師として恥じ入りたくなりますが、医師免許を持っていても、いい加減なことを主張する人はいます。
医師のほとんどはきちんとしていると信じていますが、数多くいる医師(日本だけで30万人以上)の中にはデタラメを言う人もいるのです。

どこかのメディアが「酢納豆で病気が治る!」という記事の企画を立てたとします。
まともな医師に話を聞きにいっても「酢納豆で病気が治るというエビデンスはない」か、よくて「一部の病気に効く可能性がないとは言えない」くらいのコメントしかしてくれないでしょう。
これでは記事になりません。

しかし、中には「酢納豆はアンチエイジングにいい」、「酢納豆は高血圧にも効く」などと景気よく断言してくれる医師もいます。
本当に食品が効くと考えているなら、一般読者向けの記事にコメントするだけでなく、他の専門家に向けて学会で発表したり、医学論文を書いたりできるはずです。
しかし、私の知る限りでは酢納豆の効果についての論文はありません。
そうした医師は医学論文を書かなくても、一般向けメディアに載ることで名前が売れ、クリニックが繁盛するという利益が得られます。

メディア側にも、医師が期待通りのコメントをくれることで手軽に記事が書けるという利益があります。
両者は「Win‐Win」の関係です。
こうして、健康雑誌などに「酢納豆で病気が治る!」というフードファディズムを助長する記事が載ることになります。
テレビ番組でも同じことでしょう。
不利益を被るのは、不正確な情報に惑わされる読者や視聴者なのです。

■ナッツの糖質さえ気にするのは「フードファディズム」
特定の食品が「健康によい・病気が治る」とは反対に、「健康に悪い・病気になる」とするフードファディズムもあります。

もちろん、砂糖入りの清涼飲料水を大量に飲めば糖尿病になりかねませんし、赤肉や加工肉のとりすぎは大腸がんのリスクを上げます。
過剰摂取すれば健康に悪い食品はありますが、その影響を過大評価するのはフードファディズムです。
極端な糖質制限もフードファディズムです。
バランスを保ちながら適度に糖質を減らすのではなく、糖質こそが様々な病気の原因であり、減らせば減らすほど体によいと信じている人たちがいます。
糖質制限にも様々な流派があり、「糖質ゼロ」を目標に掲げている一派もあります。
そうした一派の人たちは、一般的な基準からいえば低糖質なナッツの糖質さえ気にします。
健康になることよりも、糖質を避けることが目的になっているかのようです。

■「牛乳は超危険」に科学的根拠はない
乳製品も「健康に悪い」とされることがありますが、科学的根拠はありません。
インターネットで検索すると「牛乳は超危険」などと不安を煽るサイトが見つかりますが、アレルギーや乳糖不耐症の人を除く大多数の人にとって、乳製品はカルシウム源として有用な食品です。

その他、前著『新装版「ニセ医学」に騙されないために』(※2)では、乳製品の摂取が乳がんリスクを下げるという研究を紹介しましたので、本書では別の研究を紹介しましょう。 (※2)
名取宏著『新装版「ニセ医学」に騙されないために』内外出版社
21か国における35〜70歳の成人、約13.6万人の食生活を調べた上で9.1年間フォローアップし、死亡と心血管疾患の数を数える大規模なコホート研究が行われたところ、乳製品を多く摂取している人は、そうでない人と比べて20%弱くらい死亡も心血管疾患も少なかったのです(※3)。

牛乳だけでも同様の傾向が見られました。
この研究によると、牛乳以外の乳製品なら、バターよりもヨーグルトのほうがよさそうです。 (※3)
Dehghan M et al., Association of dairy Intake with cardiovascular disease and mortality in 21 countries from five continents(PURE):a prospective cohort study., Lancet. 2018 Nov 24;392(10161):2288-2297.
ただ、ヨーグルトばかりを食べるのもフードファディズムです。
多くの人を対象に長期間調査した研究ではありますが、海外の研究なので日本人にどのくらい適用できるかはわかりませんし、各個人に当てはまるかどうかもわかりません。

今まで乳製品をとっていなければ「たまにヨーグルトも食べるといいかも」くらいに思っていただければ、ちょうどいいと思います。

■不正確な情報で無意味な我慢をするのは人生の大損
食の好みは大切です。
健康・長寿がいいといっても、人生が楽しくなければ意味がありません。
健康のために嫌いなものを我慢して食べ、反対に健康のために好きなものを我慢して食べないのはおすすめしません。
少しくらい健康に悪いとされる食品でも、持病などの理由で医師に止められていないのなら、量や頻度に気をつけて食べてもいいでしょう。

例えばマーガリンなどに含まれるトランス脂肪酸は心疾患のリスクを高めるので規制されている国もありますが、日本ではトランス脂肪酸の摂取量は多くありません。
極端に外食が多い、揚げ物をよく食べる人でない限り、さほど注意する必要はありません。
まして、不正確な情報を信じて、健康に悪くない好きな食品を我慢するなんてことになったら人生の大損です。

テレビや雑誌やインターネットにあふれる「○○という食品が体によい/悪い」という情報は、9割方は眉に唾を付けて聞き、自分の好みを優先させるくらいがちょうどいいでしょう。
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名取 宏(なとり・ひろむ) 内科医
医学部を卒業後、大学病院勤務、大学院などを経て、現在は福岡県の市中病院に勤務。
診療のかたわら、インターネット上で医療・健康情報の見極め方を発信している。
著書に『新装版「ニセ医学」に騙されないために』(内外出版社)。
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2019年09月28日

#老害」ネット上に溢れる"世代間憎悪"の実態

#老害」ネット上に溢れる"世代間憎悪"の実態
リア充のまま死んでいく高齢世代への拒絶
2019/09/26 AERA dot.

東京・池袋で4月、87歳(当時)の男性が運転していた乗用車が暴走。
12人が死傷した。
ネット上では〈#老害〉などのハッシュタグが使われ、やり切れない思いと怒りに満ちた感情が共有された
顔が見えないSNSで激しくののしる。

その言葉に共感し、拡散する。
成長期を生きた世代と、成熟期に育った世代のはざまにある深い溝。
そこに渦巻くのは、若年世代が高齢者に抱く疑念と憎悪だ。

SNSで飛び交う高齢者への怒り
高齢者が未来ある親子を「殺した」ことに、怒りが溢れた。
<いい加減高齢者の運転は制限しようよ ジジババが若者殺してどうすんだ>
<高齢者許せない。信号無視とかふざけるな。これだから若者は老人嫌いになるんだ>

東京・池袋で4月、87歳(当時)の男性が運転する車が暴走し、母親と3歳の子どもが亡くなった事故。
胸が締め付けられるような痛ましい現実に、SNS上には高齢の加害者を罵倒する言葉が並んだ。

ドイツ人作家のマライ・メントラインさん(36)は、ネット上のそんな状況を見て、こうツイートした。
<「自分の生活を支えている若年層を(おそらく不注意で)殺すとは何事か! どうせ金持ってるくせに!」的な怨念が強く感じられる点が印象深い。
何かが噴き出している>

<「世代間憎悪」が今後、次第に深刻になってくるかもしれません>
そのマライさんのツイートにも、
<その罪を犯した高齢者はネット社会が抹殺すると思います> などの返信が続いた。
警視庁はその後の調べで、運転していた男性がアクセルとブレーキを踏み間違えたと見ている。
だが、この男性が逮捕されなかったことや、年金問題、終身雇用の行き詰まりを経済界が認めたことなどで、若い世代から高齢者への憎悪の声がSNSでさらに高まった感がある。

そして、こんな言葉を頻繁に目にするようになった。
<#老害> この事故に限らず、横暴な行為だったり若者を貶(おとし)めたりする老人の行動を意味する「老害」をハッシュタグにして、SNS上で共有する。

マライさんが現状を憂う。
「年寄りはリア充のまま幸福に死んでいきそうで許せない、みたいな感情が渦巻いていた。
すでに下地がたまっていたのが、事故をきっかけに燃え上がったのだと思います」

「老害」という言葉を使用するのが若者とは限らない。
だが、高齢世代を揶揄するのに都合のいい言葉として、ハッシュタグが拡散のツールとなっている

マライさんは、とある県立高校でドイツ語の補助教員を週1回、8年間続けている。
生徒たちと接する中で、思うところがあると言う。
「年金問題など先進国の社会・産業の構造からみて『いろんなことの先細り』が不可避であるのが若い世代にも明白に見えていて、だからこその『やり場のない憎悪』と言えるのでは」

そしてそのことは、若年層の「ある傾向」とも密接につながっている、とマライさんは言う。
「生徒と話していると『どうせ私たちはゆとり世代。期待されてない』などと諦めている感じです。
ワクワク感、希望のなさを感じます」

諦めからのやり場のなさ。
加えて、若者は成長や達成をウソだと見抜いていると、マライさんは指摘する。
若い世代と高齢者憎悪との関係を、別の角度から指摘する人がいる。
社会学者で筑波大学教授の土井隆義さん(59)だ。

「世代間闘争」という言葉が盛んに使われたことがある。
1960年代から70年代にかけての学生紛争の時代。
そこから80年代にかけては、10代、20代の若者と、30代以上の大人との間に「分断線」があった時代だと、土井さんは言う。
「70年代、80年代の日本社会は成長期の真っただ中。
その頃の大人の若い時と、当時の若者が迎えていた社会状況は大きく違っていた。
その間で社会が成長していたからです。
結果、価値観の大きなギャップが生まれ、学生紛争や世代間闘争のバックグラウンドになっていた」

若者と大人の間にあった分断線が上昇した
やがて政治の季節は終わり、世代間闘争という言葉も消えていった。
その時期と、90年代に入りずっと右肩上がりだった日本のGDPが横ばいに転じ、社会の成熟期に入っていった時期とがほぼ重なっているという。
「そこから20年が経ち、たとえばいまの30代が成長してきた頃の社会状況と、いまの10代、20代の現在とでは、社会状況は横ばいの成熟期のまま。
あまり違ってはいないので衝突がないんです。
若者と大人が価値観をほぼ共有できてしまう」(土井さん)

つまり、若者と大人との間にあったはずの分断線が、消えた。
では、社会から分断線はなくなったのか。
「そうではありません。
今の50代、60代の人たちが10代、20代の頃は成長社会。
その頃に価値観を培ってきた世代と、社会がほぼ成熟期に入っていた今の若い世代との間にギャップがある。
つまり分断線が、かつては10代と30代の間にあったとすれば、今は30代と50代の間に移ってきている。
若者と30代は衝突しないが、30代の大人と50代以上の高齢者は衝突する」(同)

分断線は、消えたのではなく上昇した。
その結果が、若い世代と高齢者の衝突の社会構造的な要因になっている、と土井さんは考察し、こう続ける。
「若者や30代の大人から見たとき、50代後半から60代以上の高齢者は、自分たちとフォーマットが違う、異なる価値観を持っているよくわからない存在なんです。
だから、ぶつかる」

実際に、「高齢者がわからない」と話す若い世代に会った。
都内の大学に通う女性(21)は、高齢の、とくに男性に嫌な思いをさせられることが「しょっちゅうある」と言う。
たまたま靴擦れを起こして駅をゆっくり歩いていると、70歳くらいの男性に「ふらふら歩いてんじゃねえよ」と杖で足を叩かれたり、電車に乗る時に強引に割り込まれたり。

「最初は悲しくて、後になってムカつくことが多いです。
今では『高齢の方は周りの若い人に嫌悪感を持ち、見下してる』という結論になっています」

この女性はもともと、老後への不安が強い。
この先、自分は結婚しなかったらどうなるのか。一人でお金をためて老人ホームに入るのか、そこもいっぱいだと孤独死するのでは──。
そこまで考える。
そんな中、年金の話題に接したり、病院の待合室で高齢者の姿を見たりすると、モヤモヤすることもあると言う。
「周りの友達には、病気になってもお金ないから病院に行けない人もいる。
高齢の方は1割負担(75歳以上)で病院に行って、そんなに重い症状でもないのに、病院の待合室でしゃべっている光景を目にすると、高齢者との間に不公平感を覚えることもあります」

SNSで高齢者への憎悪の言葉を目にすることは多い。
自身で書き込むことはないが、彼らの心理は「正直、わかる」と。
「そうすることで若者が優位に立てるからだと思います。

自分よりも下の存在を作ることでプライドが落ち着く、みたいな」
レッテルを貼られた若者が、鬱憤を晴らすためにヘイト SNSは<#老害>のように、差別的な感情も共有できる。
自分の嫌悪感の正体が、この世界の誰かによって言語化され、それを自覚することでさらに嫌悪感が増幅していくのでは、と女性は言う。

一方で、高齢者へのネガティブな書き込みに、同じSNSできっぱりと異を唱える若い世代もいる。
技術系の仕事に携わる20代の会社員の男性は、「高齢者を悪く言う人が多くてうんざりする。
想像力が欠けているのでは」という趣旨をツイッターに書き込んだ。

違和感を覚えたのはやはり、4月の池袋の交通事故。
会社の同期が「事故を起こした老人が死のうが知ったことではないから刑務所へ入れろ」と言っているのを耳にした。
男性は反論した。
だが同期は納得がいかない。
「自分が高齢者になったとき、親が高齢者になって、もし事故を起こしてしまったときを想像したことがないからでしょう。

高齢者、現役世代という属性だけで『あの人は死んでもいい』『あの人は死んではいけない』と選別していることになり、とても危険な思想に感じる」
その背景には「ゆとり教育」や「若者の○○離れ」といった言葉も影響していると男性は指摘する。
勝手にレッテルを貼られ、批判にさらされてきた結果、上の世代へのヘイトを募らせていった人も多いのでは、と。
そしてこうも言う。
「これまでの鬱憤を晴らすために同じようにレッテルを貼って高齢世代を叩く、という構図が少なからずあると思います」

みんな公平に不幸になれば、憎悪は消せるかもしれない
高齢者への負の感情がもたらす不穏な未来を、作品で表現する人もいる。
映画監督の早川千絵さん(43)。
「10年後の社会」をテーマにしたオムニバス映画「十年 Ten Years Japan」(昨年11月公開)のうちの一本「PLAN75」で、75歳以上に国が安楽死を勧める特別支援制度「PLAN75」が創設された日本を描いた。
きっかけは障害者施設の入所者19人が殺害された「やまゆり園事件」(2016年)だった。

「事件の前から、高齢者に限らず、生活保護を受給するなど社会的に弱い立場にいる人たちに対して世間の風当たりがすごく強くなってきているなと。
『自己責任』『迷惑かけている人たち』みたいな声が聞こえてくるのが恐ろしいと思えたのです」(早川さん)
現在、この作品の長編を制作中だ。
準備として高齢者への取材を重ねている。
PLAN75のような安楽死制度ができたら、どう思うかを尋ねると、「あった方がいい」という声が多数を占めた。

「人に迷惑をかけたくない」「死ぬときは自分で選びたい」という理由からだ。
迷惑をかけられていると感じる若い世代と、迷惑をかけたくないと思う高齢者。
なぜギャップが生まれるのか。
「お互い接する機会が減ったので、双方の『顔』が見えてない。

老人ホームと幼稚園を同じ敷地につくるとか、高齢者へのボランティアの時間を中高校生の必修にするとか、逆に高齢者が子どもたちを世話してあげるとか、そういう良い体験があれば、『老人死ね』とか『年寄り迷惑だ』とか言わなくなるんじゃないかと思います」(同)
世代間憎悪を少しでも良い方向に導くには長い年月がかかるだろう。

前出のマライさんも「簡単な解決の道があるとは思えない」としつつ、あえて逆説的な言い方をすれば「みんな公平に不幸になる」ならば納得される社会に行き着くのではと言い、こう悲観する。
「今の高校生たちは、『平等に普通に暮らす』を目指してると思うんです。
それがあと数年たってうまく就職できないなどで、いわゆる非リア充層に入ってしまうと、目指す方向が『普通』ではなく『みんな同じような悪夢の中で生きるなら、まあそれもいいか』といった感じに変わっていく。
若者も高齢者も平等に不幸になることで世代間の憎悪は消せるかもしれませんが、その先にある社会もまた、怖い世界です」 (編集部・小長光哲郎)
※AERA 2019年9月23日号より抜粋
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2019年09月29日

表現の自由も風前の灯 昭和初期を彷彿させる政権の醜悪

表現の自由も風前の灯
昭和初期を彷彿させる政権の醜悪
2019/09/28 日刊ゲンダイ

 全ての表現活動を脅かす、最低、最悪の判断だ。
「あいちトリエンナーレ2019」の企画展「表現の不自由展・その後」(不自由展)が再開に向けて動きだした翌日(26日)、萩生田光一文科相が採択を決めていた補助金約7800万円の全額不交付を発表した。
 内定した補助金の取りやめは前代未聞だ。
萩生田は展示内容でなく手続き上の不備が原因と説明し、「検閲には当たらない」と強調するが、真に受けるバカはいない。  

不自由展は、慰安婦を表現した少女像などの展示に抗議が殺到。
放火をほのめかす脅迫もあり、わずか3日で中止に追い込まれた。
 文化庁は不交付の理由を、申請した愛知県が会場警備など警察に相談したのに文化庁に申告しなかった「不適当な行為」により、展示の実現可能性と継続性を適正に審査できなかったためとした。
だが、補助金の申請書類に実は安全性の懸念を記載する欄はない。

 県はどう申告すればよかったか――東京新聞の取材に文化庁の審査担当者は「仮定の話には答えられない」ときたからムチャクチャだ。
自ら後出しの屁理屈を認めたようなもの。
会期中の決定に不十分な説明。
その上、106あるうち1つの企画展の手続きで芸術祭全体の補助金を全額カットとは乱暴極まりない。
「ワイルド」な判断は、どう考えても官邸への忖度だ。

 菅官房長官は先月初めに「事実関係を確認、精査した上で適切に対応したい」と補助金の見直しを示唆。
“菅の一声”が文化庁に交付取り消しを決めさせたと言っても過言ではない。

韓国叩きで支持率上昇の過信の表れ
 しかも内閣改造で、よりによって安倍側近の萩生田が文科相に就任。
戦前回帰を目指す日本会議の超が付くシンパだけに、少女像などの展示は不快だろう。
 新大臣の存在が不交付を後押ししたとの見方もできる。

 理由はどうあれ、札束ドーカツで公権力が表現活動を抑圧するのは断じて許されない。
ましてや、不自由展を巡っては「ガソリン携行缶を持っておじゃまする」と脅迫ファクスを送った50代の男が逮捕されている。

今回の判断は、不自由展を中止に追い込んだ卑劣な行為を公権力が追認。
気に入らない表現は実力行使で潰してしまえ。
そんな表現の自由への挑戦を肯定し、助長する悪しき前例となる。

コラムニストの小田嶋隆氏が言う。
「政権の発想は卑劣な行為で不自由展を中止に追い込んだ人々と同じ。
慰安婦絡みなので、嫌韓一直線の政権として突っ張ったのでしょうが、悪しき前例により、全ての表現が脅かされる。
文化庁の屁理屈だと『騒ぎになる』作品を展示する限り、『事業の継続性』を疑われ“後出しジャンケン”で補助金不交付の圧力が働く。
その萎縮効果は計り知れません。
マトモな政権なら反発を恐れますが、今の政権は韓国叩きで支持率上昇に味を占めています。
今回の判断は、この程度のことをやっても国民はついてくるという過信の表れでもあるのです」

 公権力による「新たな検閲」は絶対に撤回させなくてはいけない。
“愛国心”教育を盛り込んだ改正教育基本法に始まり、
NHK支配と放送法をタテに取ったメディアへの忖度強要、
アジア諸国への歴史的配慮を義務付けた教科書検定の「近隣諸国条項」の骨抜きなど、安倍政権はこれまでも狡猾な手口で表現の自由を蹂躙し、教育に介入、歴史修正を進めてきた。

 芸術家グループ「Chim↑Pom」は不自由展に原発事故の被災地を舞台にした映像作品を出品。
その説明文で過去に別の展示会に出そうとした際、主催者から「安倍政権になってから、海外事業へのチェックが厳しい。
福島、慰安婦、朝鮮などはNGワードで、背くと首相周辺からクレームが来る」との趣旨の説明を受けたと明かす。

 ただでさえ、真綿で首を絞め上げるように表現の自由への侵害が各地で起きているのに、今度の札束ドーカツは言論統制の総仕上げ。
 その危うさは戦前と酷似しているという声が期せずして学者から上がっている。

 24日付の毎日新聞夕刊で〈今は「昭和3年」と酷似〉と警鐘を鳴らしたのは九大名誉教授の内田博文氏(近代刑法史)だ。
昭和3年とはどんな時代だったのか。
内田氏はこう解説していた。
〈その3年前に制定された治安維持法は、昭和3年に緊急勅令および議会の事後承諾という形で大幅に改定されました。
国体の変革が厳罰化され、最高刑は死刑となりました〉
〈昭和3年の段階であれば、治安維持法を廃止し、引き返す選択もできた。
しかし当時の世論は軍部にくみし、後戻りできない状況に進んでいったのです〉
 そして、今の日本は〈(昭和3年と)まるで同じです。
現政権は日本を新たな「戦前」にしようと企てています。

その証拠に、戦時体制の構築に向けてさまざまな下準備を進めてきました〉と喝破したのだ。

国連演説の16歳少女を見習って声を上げろ
 内田氏によると、国が戦時体制を推進する際
@治安体制
A秘密保護・情報統制
B国家総動員法制
C組織法制などをセットで整備する。

安倍政権も特定秘密保護法、集団的自衛権の行使容認、安全保障関連法、共謀罪などを矢継ぎ早に整備。
内田氏は〈一連の法整備で、国は都合の悪い情報を国民に隠し、国民を監視することができるようになりました。
これこそが「戦前回帰の企て」です〉と危機感をあらわにするのだ。

前出の小田嶋隆氏はこう言った。
「今の嫌韓ムードもアジアを見下していた戦前を彷彿させます。
不自由展についても、極端なやつが弾圧されるだけで俺たちは痛くもかゆくもない。
変わり者が困るだけとの軽い感覚で、そんな自由なら、なくなった方がいいと思う人も多いでしょう。
戦前もそうでした。

当初の弾圧対象は無政府主義者や共産党員ら“変わり者”だけでしたが、次第に『普通の人たち』が対象となっていった。
公権力の横暴を一度許すと、気が付けば自由は奪われていく。
そのことを肌感覚で知らない人々が増えていることが怖いのです」

愛知県の大村秀章知事は不自由展への補助金不交付について「表現の自由を保障する憲法21条を高らかに掲げ、裁判で争う」と徹底抗戦の構えだ。
「頼みはマトモな知事の抵抗だけでは情けない。
国連で気候変動の危機を訴えた16歳少女を見習い、主権者たる国民が手遅れになる前に声を上げるべきです」(政治評論家・本澤二郎氏)

 奪われた自由は二度と戻ってこないと自覚すべきだ。
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2019年09月30日

「がん検診」現役医師が教えるデメリットの数々

「がん検診」現役医師が教えるデメリットの数々
「不十分なエビデンス」に基づいた検診の弊害
2019/09/28 東洋経済オンライン
名取 宏 : 内科医

日本人の死因のトップである「がん」。
早期発見ができるよう「がん検診」に行く人もいるでしょう。
ですが、必ずしもすべてのがん検診が効果的とは言えません。
「がん検診のさまざまなデメリット」を、内科医の名取宏氏が新刊『医師が教える 最善の健康法』より解説します。
*******************
日本人の死因のトップは悪性新生物、いわゆる「がん」です。
ですから、健康で長生きするには、症状のない早期のうちに発見するため、なるべく多くのがん検診を受けたほうがいいと考える人もいるでしょう。

ところが、がん検診もさまざまで、確かにがん死を減らすことが証明されているがん検診はあるものの、中には利益が明確でないものもあります。

がん検診は「無害」ではない
それでも、「検診を受けるだけなら何も害はない。少なくとも損はしないのだから、たくさん受けたほうがいい」と思うかもしれません。
しかし、「検診には害がない」という考えは間違っています。

薬やワクチンに害(副作用)があることはよく知られていますが、検診の害についてはあまり知られていません。
医師でもよくわかっていない人もいます。
医師などの専門職向けに書かれた検診の教科書の序文には、「すべての検診には害がある」とあります(※1 Angela E. Raffle and J. A. Muir Gray著,Screening: Evidence and Practice, Oxford University Press)。

これまで、また現在も不十分なエビデンスに基づいた検診が行われ、結果として検診が害をもたらしていることに注意を促すためです。
序文はこう続きます。
「いくつかの検診は利益もあり、その中には妥当な費用で実施でき、害よりも利益が上まわるものもある」。
検診を受けるなら、害だけがある検診を避け、利益が害に勝るものを選んだほうがいいでしょう。

がん検診の害には、さまざまなものがあります。
最もわかりやすい害は、「偽陽性(ぎようせい)」でしょう。
がん検診の1次検査では、がんの疑いのある人を広く拾い上げ、精密検査で確定診断をします。
この1次検査の結果、がんが疑われて精密検査を受けたけれど、最終的にはがんではなかった場合を偽陽性といいます。

デメリット2:過剰診断
がん検診は、1次検査で大量の偽陽性を生み出します。
そして、精密検査では、がんの疑いのある組織を採取するなどすれば痛みを伴い、出血や感染といった合併症を起こすことがありますし、最終的にがんではなかったとしても「がんかもしれない」と言われて結果が出るまでの間、不安になります。
中には、がんではないという精密検査の結果が出ても、そちらのほうが間違っていることを恐れ、ずっと不安なままの人もいます。

「過剰診断」も、がん検診の害の1つです。
過剰診断とは、「治療しなくても症状を起こしたり、死亡の原因になったりしない病気を診断すること」です。
無症状でがんと診断され、治療を受けた人の中には、治療をしなくても一生症状が出なかった人がいます。
過剰診断は珍しいものではなく、例えば検診で乳がんと診断された人の20〜30%が過剰診断です(※2 Bleyer A and Welch HG., Effect of three decades of screening mammography on breast-cancer incidence., N Engl J Med. 2012 Nov 22;367(21):1998-2005.)。

甲状腺がんは過剰診断が起こりやすく、韓国では甲状腺がん検診が盛んに行われたため、がんと診断される人が15倍になりましたが、その多くは過剰診断でした(※3 Ahn HS et al., Korea’s thyroid-cancer "epidemic"−screening and overdiagnosis., N Engl J Med. 2014 Nov 6;371(19):1765-7.)。
甲状腺がんや前立腺がんの一部のように治療をせずに経過観察するがんもありますが、多くの場合、がんと診断されると治療もされます。

過剰診断は「過剰治療」につながります。
「腫瘍マーカー」は意味がない では、具体的ながん検診を例に挙げていきましょう。

まず、PSA(前立腺特異抗原)以外の「腫瘍マーカーによるがん検診」はおすすめしません。
採血だけで測定できる腫瘍マーカーは、その手軽さのためか、がん検診によく利用されますが、利益は明確ではありません。

一般的に腫瘍マーカーはがんが進行しないと上昇せず、早期発見に向いていないのです。
保険適応となる腫瘍マーカーの使い方は、治療の効果判定、がんの手術後に再発していないかを調べるフォローアップ、画像で見つかった腫瘍の性質を知るための質的診断などを目的としたものです。

無症状の人からがんを見つけ出す検診目的では、全額自費になります。
数千円を払って、意味のない検査を受けるのは馬鹿馬鹿しいです。

「有効な検診」と「無効な検診」の差
例外的に、前立腺がんの腫瘍マーカーである「PSAによるがん検診」は、「前立腺がん死を減らすという研究結果」と「前立腺がん死を減らさないという研究結果」の両方があって議論があるところですが、日本では公的に推奨されていません。

アメリカ予防医学専門委員会(USPSTF)の推計によると、55〜69歳の男性1000人がPSAによる前立腺がん検診を受けると、10年間で100〜120人が偽陽性となり、精密検査を受けます。
場合によっては前立腺から組織を採取する生検が必要になり、一定の割合で出血や感染といった合併症が起きます。
一方で、利益は0〜1人の前立腺がん死の予防です(※4 Moyer VA et al., Screening for prostate cancer: U.S. Preventive Services Task Force Recommendation statement., Ann Intern Med. 2012 Jul 17;157(2):120-34)。
「前立腺がんで死ぬのだけは嫌だ」という人以外には、あまりおすすめしません。

医療機関によっては、「卵巣がん検診」「膵臓がん検診」「子宮体がん検診」も行われていますが、それらのがんにかかるリスクが家族歴などからきわめて高いことがわかっているといった個別の事情がない限り、おすすめしません。
卵巣がん検診はランダム化比較試験が行われましたが、がん死を減らすことは示されませんでした(※5 Buys SS et al., Effect of screening on ovarian cancer mortality: the Prostate, Lung, Colorectal and Ovarian (PLCO) Cancer Screening Randomized Controlled Trial., JAMA. 2011 Jun 8;305(22):2295-303.)。

卵巣はお腹の奥のほうにあり、がんと確定診断するためには手術が必要になります。
偽陽性の場合に害が大きいことも、卵巣がん検診がすすめられない理由の1つです。

膵臓がん検診、子宮体がん検診も同様です。
国際的にがん検診が有効とされているがんは、「子宮頸がん」「乳がん」「大腸がん」ですが、これらはいずれも病変が体表面かそのすぐ近くにあり(消化管粘膜は、医学的には体表面)、確定診断のために組織を採取しやすいといえます。

「リキッドバイオプシー」の有効性
腫瘍マーカーよりも早期にがんを発見できる手法として、「リキッドバイオプシー」と呼ばれるものもあります。
リキッドとは「液体」、バイオプシーとは「生検」のこと。
血液や尿などの液体中のがん細胞の核酸を検出する「マイクロRNA検査」、がんにかかると血液中のアミノ酸濃度のバランスが変化することを利用した「アミノインデックス検査」、尿中に含まれる微量のがんのにおいに線虫が反応することを利用した「N‐NOSE検査」があり、よく新聞などで「血液1滴でさまざまながんを診断できる夢の診断法」などと紹介されます。

リキッドバイオプシーの欠点
しかしながら、これらの検査はすべて研究段階です。
がんを発見することはできても、まだ「リキッドバイオプシーを利用したがん検診」が「がん死」を減らしたことを証明したという臨床試験はありません。
将来に期待です。

検査によって利益が得られるというエビデンスはないのに、リキッドバイオプシーを用いたがん検診を提供している医療機関もあります。
保険適応はありませんので自費です。
腫瘍マーカー検査よりも高価で数万円ほどかかりますが、利益が証明されていないことや偽陽性の害に関する説明はされていません。
がん検診には害がないという誤解を利用して、お金儲けをしているように見えます。

公的機関が行っている進行中の研究に協力するならともかく、ビジネス目的の医療機関でこうした検査を受けることはおすすめしません。

さらに複数の臓器のがんを1回の検査で発見できると称するリキッドバイオプシーには、偽陽性のときに際限なく検査を行われかねないという欠点もあります。
さまざまな臓器のがんを発見できる点が長所だとしても、これは欠点にもなりうるのです。

「偽陽性の割合」は想像以上に高い
さて、ここで問題です。
どの臓器だろうと、今後1年以内に発症するがんをすべて発見できる検査があるとしましょう。
がんではない人を誤って陽性としてしまう確率は5%とします。

60歳前後の日本人のがんの罹患率はだいたい10万人当たり1000人です。
60歳前後の日本人が、この検査によるがん検診を受けた場合、陽性と判定された中での偽陽性の割合はどれくらいでしょうか。
5%じゃありませんよ。

仮に10万人が検査を受けると、本当にがんである1000人に加えて、がんでない9万9000人のうちの5%で、4950人が検査で陽性となります。
検査で陽性と判定される人は、1000+4950=5950人です。
つまり、検査で陽性と出た人の中の偽陽性の人の割合は、4950÷5950=約83%ということになります。
多くの方が思っていたよりも、偽陽性の割合はずっと高いのではないでしょうか。

どのような検査でも一定の割合で不正確な結果が出ます。
がんの人よりもがんではない人が圧倒的に多いので、がん検診で多くの偽陽性が生じるのは仕方がないことです。
それでも公的に推奨されているがん検診では、精密検査は特定の臓器だけを対象に行えばすみます。

肺がん検診だと胸部CT、大腸がん検診だと大腸内視鏡検査といった具合に、臓器ごとに精密検査を行えばいいのです。
一方、複数の臓器のがんを発見できる検査で陽性になった場合、全身を調べる必要があります。
胸腹部CT、腹部エコー、上部消化管内視鏡、下部消化管内視鏡、女性ならマンモグラフィーに乳腺エコー検査、脳腫瘍を心配するなら頭部CTに頭部MRIも追加し、全身PET検査まで行う人も出てくるかもしれません。

「カネ目当て」の医療機関もある
さまざまながんを一度に発見するような検査は、「がんではない人を正確にがんではないと判定する能力」が極めて高くないと実用的ではありません。
そして現在のところ、そこまで正確なリキッドバイオプシーは存在しません。

偽陽性が多く、検査がたくさん必要になると、検査を行う医療機関にとっては金銭的な利益になるということも指摘しておきます。
ただし、誤解してほしくないのですが、がん検診がすべてダメだと言っているわけではありません。

利益が害を上まわるがん検診もあります。
やみくもに検診を受けるのではなく、利益と害について理解したうえで、有効な検診を選んで受けましょう。
また、検診はあくまでも症状がない人が受けるものです。
がんを疑うような症状がある場合は、早めに病院を受診してください。
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