2019年09月03日

消費税増税という悪魔がポイント還元を嗤っている

消費税増税という悪魔がポイント還元を嗤っている
2019/09/02 日刊ゲンダイ

 10月1日の消費税率10%開始まで1カ月を切った。
大新聞は1日、増税直前の現場の大混乱をこぞって報じたが、いい気なものだ。
大混乱のタネは「民主主義の基盤である知識を誰もが入手しやすくする」とのタテマエで、定期購読の新聞も対象になる軽減税率である。

 税率が異なる店内飲食(10%)と持ち帰り(8%)の価格の扱いで大手外食チェーンの対応はバラバラ。
政府は対応レジの導入に上限20万円などの補助金を設けたが、7月末時点の申請は想定の4割ほど。
対応レジの人気機種は需要に生産が追いつかず、納入が数カ月も先――とまあ、混乱ぶりを書き連ねて、社説では「あと1カ月、準備を万全に」などと上から目線で一席ぶつ。

 現場が悲鳴を上げるほど混乱しているなら、それこそ「民主主義の基盤」を重んじて「軽減税率なんてヤメちまえ」と主張すべきだ。
ところが、自分たちだけ軽減税率を勝ち取った手前、「日々の買い物の痛税感を和らげ、低所得者の負担を軽くする」などと取り繕う。
おためごかしの論調にはヘドが出そうだ。

 そもそもレジの導入や補助金の申請が遅れているのは、大嘘つきの安倍首相のせいだ。
過去2度の増税延期に加え、今回も正式決定を渋った。
選挙に勝つなら何でもアリの政権だけに、7月の参院選直前まで「3度目の延期もあり得る」と様子見を決め込んだ事業主も多かったはずだ。

 軽減税率を巡る混乱は、まさに“オオカミ中年”の安倍がどれだけ国民に信頼されていないかを物語っている。

■一石二鳥を狙うはずが総スカンの大マヌケ
 さらに混乱に拍車をかけているのが、キャッシュレス決済へのポイント還元策だ。
 還元率は中小店舗(資本金5000万円以下か、従業員数が50人以下)が5%、大手フライチャイズ加盟の中小店舗は2%。
クレジットカードや電子マネー、スマホのQRコード決済などで代金を払えば、ポイントが付与される。

 対象店舗が参加申請すれば、ポイント分は国の財源で補填。増税後の景気刺激とキャッシュレス普及の“一石二鳥”との触れ込みだが、参加を申請した店舗はまだ対象の約4分の1だけ。
全国の約200万店のうち、8月29日時点で約51万店にとどまる。
 そりゃあ、そうなるに決まっている。
ただでさえ、中小店舗は複雑な軽減税率にウンザリなのに、キャッシュレスに対応する暇はない。
手間やコストもバカにならない。

軽減税率に対応できるレジを購入するだけで「業者が薦めるのは1台50万円ほど」とされる。
 国の補助があっても負担は大きく、来年6月までの期間限定策に備えるためだけに、キャッシュレス端末に手を出す余裕はない。
ましてや、客や店主の高齢化が目立つ商店街などでは、キャッシュレス決済など遠い存在でしかない。
 その上、ポイント還元の対象外の大企業や直営店中心の大型チェーンは価格競争にさらされる。
既に直営店が多い飲食チェーンは客離れを恐れて税込み価格を据え置く「実質値下げ」や、自社負担でポイントの還元実施に動いている。

コンビニ大手も制度の対象外となる直営店でも自社で負担し、支払い時に2%分を即座に差し引く「実質値引き」が主流だ。大手スーパーも負けずに「消費増税還元セール」を仕掛けてくるだろう。

不公平で薄汚れた典型的な弱肉強食
「結局、混乱を避けるために企業の負担は増えるばかり。
値引き分のシワ寄せで、その傘下の下請けは四苦八苦。
従業員の給料減の要因にもなりかねません。
効果ゼロの愚策です」(経済アナリスト・菊池英博氏)

 これでは、ますます消費を冷え込ませるだけ。
実にアホらしい話で、誰がどう見ても景気刺激策にはなりそうもない。
 消費増税に伴う新たな税負担増は5.7兆円。

安倍政権は今年度予算に増税対策費として、2兆円超を盛り込んだが、うちポイント還元費は2798億円。
増税対策の7割近くを占めるのは「防災・減災、国土強靱化」を推進させる公共事業で予算規模はナント、1兆3475億円に上る。
 消費増税対策のドサクサに紛れて、自民党の大スポンサーであるゼネコンを潤す大盤振る舞い。
国民の懐に戻すはずの2兆円超の増税対策なんて大嘘。
見せかけの数字でしかないのだ。

 還元税率にしても対象の多くは食料品だが、総務省の家計調査によると、最新の今年6月分で2人世帯以上の消費支出に「食料」が占める割合は約28%に過ぎない。
日々の交通費や光熱水費、衣類や携帯電話の通信費など、残り7割以上の支出の多くには10%の税率が重くのしかかる。  

安倍はポイント還元策などについて、「十二分の対策を講じることで、経済の大宗を占める国内消費をしっかりと下支えしてまいります」と豪語したが、まったくのデタラメ。
インチキ政府が打ち出した効果の薄い弥縫策で現場は大混乱とは、筋書きの悪い喜劇でしかない。

元静岡大教授で税理士の湖東京至氏はこう指摘する。
「8%の税率据え置きやポイント還元で消費者を欺いたところで、消費税の“悪魔性”は覆い隠せません。
税率が2%引き上げられると、きっちり価格に2%分転嫁されていると思う人も多いでしょうが、実は違います。
価格の上乗せ分に法律上の義務はなく、力のある企業ほど2%以上を転嫁しがち。

実際に増税前から商品の値上げラッシュは続いています。
しかも税金を納めている企業と、還付される企業が併存し、大企業には『輸出戻し税』という“特典”までついてきます。
不公平で汚い、典型的な弱肉強食の税制なのです」

■日本経済をメタメタにする玉砕命令
 低所得者ほど物価負担が重くなる逆進性という“魔物”まで抱えながら、この国では法人税や所得税の減税分を「悪魔の税制」で肩代わりしてきた経緯もある。

庶民のカネを大企業や金持ち優遇策につぎ込んだ構図です。
消費税は一般財源なので使い道も自由。
政府は『社会保障に充てる』と言って巻き上げながら、社会保障に回った分はごく一部で、大半は借金返済に消えてしまった。
いくら弥縫策を講じても増税後は必ず買い控えが広がり、モノが売れず、真っ先に中小企業は苦しむことになる。
増税後は弱い立場の人ほど厳しい目に遭うのが、消費税が悪魔の税制たるゆえんです」(湖東京至氏=前出)

 まるで消費税という悪魔がポイント還元を嗤っているかのようだ。

 増税のタイミングも最悪だ。  
トランプ米政権は1日、中国製品に対する制裁関税「第4弾」を発動。
中国も即座に報復し、2大貿易大国が互いに課す関税率はついに平均20%を超える。
 保護主義が戦禍につながった1930年代並みの水準というから、すさまじい。
 休日明けのきょう以降、米中貿易戦争の本格化で外需が落ち込もうとする中、内需まで冷え込ませる消費増税に突き進むとは、日本経済への「玉砕命令」に等しい。

「第4弾の追加関税の目玉は中国製パソコンなど電子機器で、その部品の多くは日本企業が供給しています。
貿易戦争の激化は日本のメーカーにとっても大打撃。
対中貿易の黒字は減り、しかも安倍政権が韓国政府にケンカを売った悪影響で、対韓貿易の黒字も減る。
日米貿易交渉も日本車に25%の高関税を課されたり、円安誘導を禁じる為替条項をのまされるリスクは残ったまま。

つまり外需は上がり目なしで、貿易赤字へまっしぐら。
アベノミクスも行き詰まり、消費増税後の日本はマイナス成長に陥って、長期低迷の時代に入っていく。
今からでも増税を凍結すべきです」(菊池英博氏=前出)

 アホらしい軽減税率とポイント還元で大混乱という喜劇は、本当の悲劇の序章に過ぎない。
posted by 小だぬき at 00:00| 神奈川 ☀| Comment(2) | 社会・政治 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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