「缶コーヒーで気合を入れる人」が危ないワケ
2019年10月19日 PRESIDENT Online
Q. コーヒーを飲むべきは「起きた後」か「寝る前」か?
■医学的に正しい食事術とは コーヒーはカフェインのせいで健康に悪いイメージがあるかもしれません。
しかし、糖尿病や動脈硬化を抑える効果があることがわかっており、1日に数杯程度を積極的に飲むのはいいでしょう。
私も愛飲しています。
ただ覚醒作用のあるカフェインが含まれるため、時間帯の配慮は必要です。
夕方以降の摂取は、言うまでもなく夜眠れなくなる場合があります。
そこで、夜に喉が渇いたときにオススメしている飲み物は、ハーブティー(ローズマリー、カモミール、ラベンダー、ペパーミントなど)。
リラックス効果があるので、仕事終わりに最適です。
もちろん、カフェインが入っていないものを選んでください。
どうしてもコーヒーが飲みたい場合は、デカフェを飲まれるといいでしょう。
上質な眠りのためには、夕食もできれば睡眠の4時間前までに終えること。
食べたものが消化吸収を終えるのには約4時間はかかるうえ、朝昼食とは異なり、夜は肉体も脳もほとんど使いません。
食べたものがそのまま脂肪として蓄えられてしまうので、できれば主食抜きのおかず中心にしておきたいですね。
朝昼晩の食事配分の理想は、「3:5:2」と覚えておいてください。
■お酒好きな方には朗報
ところで、お酒好きな方には朗報があります。
食事とともにお酒を飲むと、血糖値の上昇を抑えるエビデンス(証拠)があるのです。
糖質を多く含むビールや日本酒、紹興酒などは避け、抗酸化作用のあるポリフェノールが豊富な赤ワインや、辛口の白ワイン、蒸留酒などがオススメです。
もっとも飲みすぎは厳禁。
アルコールの血中濃度を薄めるために、意識的に水は多めに飲んでください。
また、我々の体は固体より液体のほうがより早く糖質を吸収しやすいのです。
一見体に良さそうなオレンジなどの果物も、実際は「果糖」の塊。
もちろん、砂糖満載の清涼飲料水や缶コーヒーは「砂糖の塊が溶けた液体」と認識すべきでしょう。
これらは飲むと一時的にハイな気分になりますが、それは短時間で血糖値が上昇し、セロトニンやドーパミンなどの脳内物質が分泌された結果にすぎません。
「缶コーヒーで仕事前に気合が入った」=いわゆる「血糖値スパイク」が起きている状態であり、これを繰り返せば、脳は「再びあのハイ状態を」と、過剰に糖分を求め始めます。
これは「糖質中毒」と呼ばれ糖尿病の原因。
一時的なハイ状態は「至福点」とも呼ばれ、飲料メーカーはこれを計算しつくした商品開発を行っています。
最後に、コーヒーを飲む場合は、あくまで本格コーヒーをブラックで飲むこと。
砂糖たっぷりの缶コーヒーなどの“コーヒー飲料”と、「本格コーヒー」は全く別物であることを覚えておいてください。
▼缶コーヒーは本格コーヒーと別物注意
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牧田 善二(まきた・ぜんじ)
AGE牧田クリニック院長
1979年、北海道大学医学部卒業。
2008年、生活習慣病や肥満治療のため、東京・銀座に「AGE牧田クリニック」を開業し、延べ20万人以上の患者を診ている。『医者が教える食事術2 実践バイブル』など著書多数。
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