2019年11月09日

日米地位協定の真の問題点、「戦闘機を操縦中に読書」よりヤバい

日米地位協定の真の問題点
「戦闘機を操縦中に読書」よりヤバい
2019年11月08日 週刊SPA!編集部

最近、在日米軍が「日米地位協定」をないがしろにする事件が続いている。
 山口県の岩国空軍基地に所属する米軍パイロットが飛行訓練中に「手放し操縦」はおろか「読書」、さらには「自撮り」までしていたという衝撃的な事実が、米海兵隊の調査報告書で発表された(11月2日に報道。調査結果自体は9月に米軍のHPで公表)。

 これらのパイロットの規律違反はもちろん大問題だが、この報告書でさらに波紋を呼んでいることがある。
2016年に沖縄県沖で起きた接触事件が初めて明らかになったのだ。
これは、日米地位協定の第3条(施設及び区域内外の管理)に関連する日米合同委員会合意にある「事件・事故情報」を「できる限り速やかに」通報するという手続きに違反している可能性が高い。

 そして、今年5月には長崎県の佐世保基地で、日本人警備員が拳銃を携帯したまま基地の外の公道に出ていたことが発覚。
これは明確に日米地位協定に違反する行為だ。

 近年、国連職員として東ティモール、シェラレオネ、アフガニスタンで紛争処理を指揮してきた伊勢崎賢治氏が積極的に日米地位協定、さらには日ジブチ地位協定の問題点を発信し続けていることで、日本が結んでいる地位協定が「欠陥だらけ」だということが知られるようになった。
 そして、保守の立場から日米地位協定の改定の必要性を発信しているのが、漫画家の小林よしのり氏だ。
最新刊の『ゴーマニズム宣言 2nd Season 第3巻』では、自民党の石破茂氏との沖縄の米軍基地にまつわる対話のなかで、「本当に日本が主権国家ならば、今すぐにでも地位協定を改定すべき」という論を展開している。

小林氏にその真意を解説してもらおう。
「わしは石破氏のことはとても高く評価しています。
説明能力が高く、非常に論理的で『丁寧に説明すれば分かってくれるはずと国民を信頼しているのが、とてもいい。
ただ、今年の3月に彼と対話したときに、石破氏は『沖縄の基地撤廃を主張する人が、集団的自衛権反対というのは、論理として成り立たない』と言っていたのですが、これは意見が対立しましたね。

石破氏は『集団的自衛権が行使できて初めて、沖縄の基地問題に対して主権を行使できる』という主張なんですが、米軍基地の問題は集団的自衛権とは関係がありません」

 日本と同じ第2次世界大戦の敗戦国であるドイツとイタリアでは、交渉によって地位協定を改定し、米軍基地が自国の主権のもとにあることを確定させ、フィリピンも一時は米軍基地を撤退させた
これらのことから考えても、日本政府は本来やるべき地位協定の改定を行っていないことは明白だ

「それでも、石破氏はかつて『日米地位協定の改定はできないと決めつけるものではない』と発言していました。
ただ、ほとんどの日本の政治家は『米軍に守ってもらわないとならない半独立国家だから、地位協定を言い出せない』と思っているんでしょうね」(小林氏)

 もちろん、日米地位協定の改定について発言している政治家はいないわけではない。
だが、最近の目立つところでは国民民主党の玉木雄一郎代表の「日米地位協定の見直しは不可避」発言(2018年10月9日)や、現職ではない元首相の鳩山由紀夫氏が「共和党」結党準備会(今年10月25日)の際に言及したことなどが報道されてはいるが、とても政界で大きなうねりになっているとは言えない状況だ。

 だが、日米地位協定に関しては政治的立場が保守でもリベラルでも、そのどちらでもなかろうとも、次に紹介する2つの条文を知ればおかしさが理解できるだろう。

日米地位協定 第二条(施設及び区域の許与,決定,返還,特殊使用)
1(a) 合衆国は、相互協力及び安全保障条約第六条の規定に基づき、日本国内の施設及び区域の使用を許される。(後略)

 これは「全土基地方式」と呼ばれるもので、つまりは「アメリカが求めれば日本国内のどこにでも基地などの提供の求める権利がある」ということだ。
これはうがった解釈でもなんでもなく、伊勢崎賢治氏と布施祐介氏の共著『主権なき平和国家』では、外務省の内部向け解説書にその旨が書かれていることが紹介されている。
そして、この「権利」は日米安保条約の第6条の以下の条文に基づいている。

日米安全保障条約 第六条
 日本国の安全に寄与し、並びに極東における国際の平和及び安全の維持に寄与するため、アメリカ合衆国は、その陸軍、空軍及び海軍が日本国において施設及び区域を使用することを許される。(後略)

 実際、2016年には一時、北方領土の2島先行返還の機運が盛り上がったが、交渉過程でロシア高官が返還した場合に米軍基地が置かれる可能性があるのか、と尋ねたところ、谷内正太郎・国家安全保障局長(当時)は「可能性はある」と答えたと報道され、一気に交渉は冷え込んだ。
だが、これらの条文があるぎり、そう答えざるを得ないのも事実だ。

 これらの状況を踏まえ、小林氏は「日本のアメリカからの脱属国化」を熱く語る。
「わしは、保守派から『反米』と呼ばれるわけですよ。
でも、実際は親米でも反米でもないんです。
ちゃんと日本が独立主権国家となり、対等な安全保障条約を結び直すことが必要

しかし、日本は現状ではアメリカの『属国』ですよ
これはいい加減に自称保守も、リベラル左翼も、認めなければいけません」

 まずは、問題の所在を知ることからすべては始まる。
日米地位協定の諸問題に関しては沖縄県庁の「地位協定ポータルサイト」が詳しい。
外務省の日米地位協定のHPと比較しながら、「何が問題なのか」をぜひ知っていただきたい。
posted by 小だぬき at 00:00| 神奈川 ☀| Comment(0) | 社会・政治 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする