2019年11月29日

安倍最長政権「裏側の醜悪」 権力しがみつきで薄汚い手口

安倍最長政権「裏側の醜悪」
権力しがみつきで薄汚い手口
2019/11/28 日刊ゲンダイ

 安倍首相主催の「桜を見る会」をめぐって新たな問題が次から次へと浮上し、菅官房長官がサンドバッグ状態である。
 反社会的勢力と疑われる人物と自身が会場で写真を撮っていた一件では、菅は26日の記者会見で「結果として入っていた」と反社の出席を認める発言をしていたが、27日に再び問われると、「写真があるなら、結果として会場にいたのだろうと言った。
出席したとは言っていない」と苦しい釈明だった。

 安倍や菅らが推薦した招待者名簿が廃棄された件に関しては、菅は27日の参院本会議で「あらかじめ決められた手続きに沿って廃棄したものであり、組織的な隠蔽との指摘は当たらない」と強弁。
共産党議員が資料要求した同日にシュレッダーにかけておきながら“隠蔽ではない”などとよくぞ言えたものだ。

 安倍後援会の前夜祭についても、「安倍夫妻は飲食をしていないから会費は払っていない」「ゲストのようなものだったんじゃないか」とトボけたが、安倍本人が「会費は会場受付で事務所職員が集金し」と話している。
安倍事務所が受付なのに、安倍夫妻がゲストなわけない。
ホストだろう。

 菅の弁明に破綻が出るのは、安倍が立ち話程度のぶらさがり取材を受けただけで、マトモに説明責任を果たさないからだ。安倍の「関与していない」という答弁とのつじつま合わせを強いられているから、矢面に立たされた菅や内閣府の官僚が口を開けば開くほど矛盾が露呈する。
子供だましのシュレッダー発言でも分かるように、答弁はボロボロ。
安倍官邸の危機管理は地におちた。

■「逃げ恥」状態の自民党
 誰が見ても政権の苦境はクッキリで、自公与党は野党から求められていた首相が出席する参院予算委員会の集中審議を拒否。
これは「委員の3分の1以上から要求があった時は、委員長は委員会を開かなければいけない」という参院規則38条に反しているのだが、与党が違反してでも拒むのは、一問一答で安倍が野党に攻撃されるのを避けるためだ。

「国会で求められれば、説明責任を果たすのは当然だ」と安倍自身が言っているのだから、集中審議でも何でも呼べばいいものを、与党幹部は「分かっているだろうな」という安倍の恫喝が怖いのか。
とにかく逃げの一手で、国会の会期延長も避け、幕引きに必死。
国民の疑念を完全に無視して、上から下までアベ様忖度の異常異様なのである。
「まさにドラマのタイトル『逃げるは恥だが役に立つ』の状態です。

『桜を見る会』は当初、官邸の問題だったが、自民党関係者も6000人を招待していることが明らかになり、疑惑の矛先も安倍後援会の『山口県ルート』や『ニューオータニルート』だけでなく、『反社ルート』まで加わった。
政治部マターから社会部マターに拡大し、東京地検が出るべき事案になってきました。
『問題ない』と言い続けてきた菅官房長官もフニャフニャしてきた。
安倍政権が調子に乗っていたのがバレて、そのおかしさは国民にもよ〜く伝わっています」(政治ジャーナリスト・角谷浩一氏)

安倍オンリー、安倍ファーストの政治
 安倍は今月20日、通算の首相在職日数で憲政史上最長となった。
それなのに大宰相と呼ばれないのはなぜなのか。

 戦後の長期政権は、賛否があるものの確かに何らかの大きな実績を残している。
 吉田茂はサンフランシスコ講和条約を締結し、米国からの独立を勝ち取った。
佐藤栄作は「沖縄の祖国復帰が実現しない限り、わが国の戦後は終わらない」との声明を発し、沖縄返還を成し遂げた。
中曽根康弘は「戦後政治の総決算」を掲げ、国鉄や電電公社の民営化など行政改革を断行した。
小泉純一郎にしても、構造改革はろくでもなかったが、自ら訪朝し、5人の拉致被害者を奪還した。

 ところが、安倍には何もない。
大新聞は二言目には「長期政権のメリットは外交での存在感」などと解説するが、「私の政権で解決」と意気込んだ拉致問題も北方領土問題も1ミリも動いていない。
政権の代名詞だった「アベノミクス」はただ株価を上げただけで、国民生活を豊かにするものではなかった。
むしろ、安倍が長きにわたって政権に居座り続けていることで、この国は劣化し、腐敗の度合いを深めただけではないのか。

嘘とペテン。
その場しのぎの言い訳。
国会軽視。
官僚をコントロールする恐怖支配。
公金の私物化……。

これぞ安倍政権の本質であり、今国会の「桜を見る会」疑獄に凝縮されている悪政の数々でもある。
 そして、浅ましい権力亡者はライバル潰しに躍起だ。
次の首相に最も近いとされてきた幹事長や財務相の重要ポストに、80歳の二階や79歳の麻生というロートルを就け、決して後継者を育てない。
ポスト安倍で1番人気の石破は、派閥からの入閣者をゼロにして徹底的に干し上げる。
最長政権はそうした汚い手口によってつくり上げられたのである。

 聖学院大教授の石川裕一郎氏(憲法)がこう言う。
「長期政権の“成果”と言うのなら、強行採決により成立させた特定秘密保護法や安保法制などになるんじゃないでしょうか。ただ、桜を見る会の問題がモリカケの時と少し違うなと思うのは、安倍首相や菅官房長官の説明があまりに破綻しているからなのか、自民党内からも少しは疑問や異論が出るようになってきていることです。
官僚もこのまま安倍首相についていっていいのか、戸惑っているように見えます」

■善を捨て、腐敗が進む日本
 安倍の権力しがみつきのアノ手コノ手はメディアの懐柔にも及ぶ。
「桜を見る会」が炎上した今回も、頻繁にマスコミ関係者と会食。
取り込まれるメディアもどうしようもないが、内閣記者会のキャップとの懇談会では、安倍の話は自身の正当化と野党批判に費やされたという。

 許し難いのは天皇の政治利用だ。
最近で言えば、即位の礼のパレードは酷かった。
自民党本部前を通るコースに変更させ、まるで自分が天皇になったかのように、車の窓を開けて、沿道の人々に手を振っていた。
 唖然だったのは、来日したローマ教皇に、安倍が「『核兵器のない世界』の実現は、私の揺るぎない信念、日本政府の確固たる方針」と発言したことだ。
日本は2017年に国連で採択された「核兵器禁止条約」に署名していない。
米国による「核の傘」を肯定しているのに、よくもまあイケシャーシャーと教皇に会えたものだ。
驚くべき鉄面皮である。

 政治評論家の森田実氏が言う。

「安倍首相の政治には、国民の幸せや平和を守るといった理想はありません。
ただただ権力を少しでも長く維持したいだけ。
安倍オンリーで安倍ファーストの政治なのです。
アリストテレスは最古の政治学の本で、『政治は最高の善の追求』つまり、国民大衆の幸福を追求すること、と言っています。
権力闘争の中で、理想を捨ててしまう政治家は少なくありませんが、安倍首相の場合は、初めから理想がない。
安倍政権が長続きしている結果、日本は善を捨て、どんどん腐っていっています」

 桜を見る会をめぐる政権の醜態を連日、見せつけられるにつけ、多くの国民がこの国の堕落に気づいたのではないか。
posted by 小だぬき at 00:00 | 神奈川 ☔ | Comment(0) | 社会・政治 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする