「まさか、そんなことまでは…」を平然とやる安倍政権
2019/12/07 日刊ゲンダイ
三枝成彰 作曲家
「桜を見る会」の存在が世間の耳目を集め始めたタイミングで沢尻エリカ容疑者が逮捕されたことについて、「不祥事隠しではないか」という声を耳にすることが多い。
タレントのラサール石井さんもツイッターで〈政府が問題を起こし、マスコミがネタにし始めると芸能人が逮捕される〉とつぶやいていた。
〈次期逮捕予定者リストがあって、誰かがゴーサイン出してるでしょ〉とも指摘している。
これに対して、「目の前に犯罪を起こしている容疑者がいれば、捜査当局も見過ごすはずがない」とか「何の証拠もない陰謀説」といった批判もあるようだ。
確かに証拠はないが、陰謀とはそんなものだ。
何らかの痕跡を残すほど杜撰な工作を一体だれがやるというのか。
もちろん常識で考えれば、犯罪者のストックなどあり得ないし、あってはならないことだ。
だが、安倍さんたちは、常識では考えられないことを次々とやってきた。
モリカケ問題の時は、あちこちから状況証拠となる資料が出た。
それでも関係者は「記憶にない」の一点張り。
昭恵夫人付だった女性官僚も海外に異動させる念の入れようだった。
加計学園の加計理事長は安倍さんが「腹心の友」と呼ぶほどの仲なのに、獣医学部新設については「聞いたことがない」と逃げている。
「桜を見る会」についても、野党が資料請求した直後に出席者リストをシュレッダーにかけて処分し、データも削除した可能性が高い。
事実なら明確な証拠隠しだ。
その上、その時点でサーバーに残っていたバックアップデータは「行政文書ではない」(菅官房長官)と言い張り、不開示を正当化している。
ちょっと振り返ってみても、おかしなことばかり。
彼らの説明が腹に落ちる人は、一体どれだけいるのか。
ほとんどいないだろう。
安倍政権は、我々が「まさか、そんなことまではやらないだろう」ということを次々と実行してきた疑いが濃厚だ。
目くらましのための有名人逮捕という「まさか」も、決して「まさか」とは言えない。
これまでも沖縄県民投票で辺野古移設反対派が圧勝した後にピエール瀧さんが逮捕され、甘利さんの口利き疑惑が噴出すると清原和博さんが捕まった。
ここまでタイミングが合うのは、偶然にしては出来過ぎだ。
やはり工作を指揮する参謀がいるということだろう。
安倍さんの在任日数は憲政史上最長になったという。
だがそれは実績を上げてきたからではない。
自分たちにとって不都合な真実をウソやごまかしで塗り隠してきた結果である。