2020年01月01日

新しい年のスタート

明けましておめでとうございます 
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幸多き1年にしていきたいです。
「ダメなものはダメ」
「イヤなことはイヤ」
「間違いは間違い」
素直に表現したいです。

昨年 流行り言葉になった忖度などぶっ飛ばし
素直な目を大切にして 閉塞感を「希望」に
変えられるように 「聴き、視て、考え、行動
できる」自分になりたいと念じています。
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本年も「小だぬきのつれづれ日記」が成長でき
ますように 叱咤激励をよろしくお願い致します。
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2020年は祝日のない月が増える? 月別に休日数をチェックしてみた

2020年は祝日のない月が増える?
 月別に休日数をチェックしてみた
2020年1月1日 BCN+R

 ついに2020年がやってきた。
今年は、東京五輪をはじめとしたビッグイベントが盛りだくさんだ。
ところで、この時期に気になるのが「2020年の祝日」。

土曜日と被って休みが減っているのではないか、大型連休で何日休めるのか。
2020年のカレンダーをもとに月別で祝日数を調べてみた。  

まず、1月の祝日は「成人の日」の1日。毎年第2月曜日と定められているので、祝日の数に影響はない。
今年は、11〜13日が3連休になる。

2月は、昨年まで「建国記念日」の1日だったが、今年からは新たに「天皇誕生日」が追加される。
建国記念日の11日は火曜日。
天皇誕生日は23日の日曜日なので、翌日の24日が振替休日になる。

3月の祝日は、「春分の日」の1日。
今年の20日は金曜日なので、20〜22日が3連休になる。

4月の祝日は、「昭和の日」の1日。
人によってゴールデンウィークになる初日が、今年は水曜日となっている。  

「憲法記念日」「みどりの日」「こどもの日」と3日の連続した祝日がある5月は、土曜日被りで休日が潰れる可能性が高いが、今年はセーフ。
3日の憲法記念日が日曜日なので、6日が振替休日になる。
暦通りなら5連休。
4月30日、5月1日を休めれば8連休。
さらに7日、8日を休めれば12連休となる。

6月は、もともと祝日がない月なのでスルーする

7月は、10月第2月曜日の「体育の日」が7月24日に移動。
「スポーツの日」と名称を変えて祝日になる。
これは、東京五輪の開会式に合わせた20年のみの措置だ。
それに伴い、「海の日」は前日の23日にスライド。
23〜26日が4連休になる。  

8月の唯一の祝日である「海の日」は月曜日。
お盆の週がまるまる休みになる人であれば、8〜16日で9連休になる。

9月の祝日は、「敬老の日」「秋分の日」の2日。
どちらも土曜日被りはなく、19〜22日が4連休になる。

「体育の日」が7月にスライドした関係で、10月はなんと祝日が0日に。

11月は、「文化の日」「勤労感謝の日」の2日が祝日。
「文化の日」は飛石連休だが、「勤労感謝の日」は月曜日なので21〜23日が3連休になる。

12月も10月と同じく「天皇誕生日」が2月にスライドした影響で、祝日の数は0日。
参考までに、クリスマスイブが木曜日、クリスマスが金曜日でどちらも休日とはならない。
おまけで年末年始休暇の日数を調べてみると、21年の3が日が金〜日曜日となるため、例年より少ない7日間の連休になる人が多そうだ。

 総括するとトピックは以下の通り。
「祝日の土曜日被りはなし(2016年以来、3年ぶり)」
「2日分の祝日が移動(2月23日の天皇誕生日、7月24日のスポーツの日)」
「6月だけでなく10月と12月も祝日がない月になる」。

祝日が減らず休日の日数が多いのはうれしいが、祝日がない月が増えるのは頭の痛いところだ。
ただ、3日以上の連休の数は多いので、旅行やレジャーの計画を立てるには絶好の1年といえるだろう。
(BCN・大蔵大輔)
posted by 小だぬき at 19:39 | 神奈川 ☀ | Comment(2) | 健康・生活・医療 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2020年01月02日

民主政治の再構築 あきらめない心が必要だ

民主政治の再構築 あきらめない心が必要だ
毎日新聞「社説」2020年1月1日
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 2020年が始まった。
 先の大戦から75年、冷戦終結から30年が過ぎた今、民主政治のほころびが目立っている。
 我々に安心感を与えてきた人権保障、権力分立、法の支配などの基本原理が危うさを増している。

 深刻なのは、民主政治の起源でもある欧米の多くの国々で、ポピュリズムが大手を振っていることだ。
 共通しているのは、敵か、それとも味方かの二分法で分断を深める政治手法だ。

選挙で多数を得た力は、本来、異論との間で接点を探るために使われるべきである。
しかし、実際は多数派の論理で異論を排除する光景が日常化している。

 トランプ米大統領に対する弾劾訴追劇は世界を暗たんとさせた。
 トランプ氏の支持者と共和党は、米国史上3度目の弾劾訴追という事態を重く受け止めようとしない。
先達が腐心した権力のチェック・アンド・バランス(抑制と均衡)は機能せず、民主国家としての信頼を大きく損ねた。

ポピュリズムのうねり
 冷戦が終わり、社会主義国が次々と消えた。
市場経済が広がり、自由と平和、民主主義が息づく世界の将来像が共有された。
 民主政治の下で市場経済は発展し、増える中産階級が政治的な発言を求め、民主政治は揺るぎないものとなる。
好循環の中で、二つはセットで発展する。
 定説とさえ思われたこうした「セット」論はもはや怪しくなった。

 きっかけは08年のリーマン・ショックだ。
国際的に低成長になる中、グローバル化の進展で先進諸国の中産階級が没落すると、民主政治が脅かされる状況が目の前に表れた。
 没落する先進国の中産階級の不満をあおることで、ポピュリスト政治家は上昇気流をつかむ。
社会の変化が大きいほど支持を集めやすい。
 一方で、問題は誰かのせいにされがちだ。
真犯人を国外に求めたがる。
トランプ現象も英国の欧州連合(EU)離脱もそうした表れだ。

 その中で、温暖化や海洋汚染などの地球の生態系に関する問題や、核軍拡競争の懸念が深刻の度合いを増している
 国家単位で答えを出すことが困難な問題がうねりを増す中で、ポピュリスト政治家は国際秩序に大きな価値を認めない。
地球の持続可能性レベルの危機さえ招来している。

 日本が果たすべき役割を、改めて考えるときだろう。
 12年に自民党総裁に返り咲いた安倍晋三首相は国政選挙で6連勝中だが、野党の異論に耳を傾けないどころか、敵視する姿勢さえ際立つ
それで強固な支持基盤を獲得する手法は、ポピュリズムの潮流に沿う。
 ただ、選挙の勝利は強固な支持層より「代わりがいない」という消極的選択に支えられている側面が強い。

日本の民主政治は欧米に比較すれば、まだ安定しているようにも映るが、政策を実行に移す段になると、多方面に配慮せざるを得ないというのが実相だろう。
このため、目立った成果はあげられていない。

「20世紀初頭に近い」
 昨年暮れに来日した、フランスの経済学者ジャック・アタリ氏は今の世界の状況を「20世紀初頭に近い」と形容した。
民主政治の不安定化を受けた指摘だ。

 民主主義は、政策決定に時間がかかり、最終的に合意されたものもあいまいさが常に残る。
それよりは、中国のように、基本的人権は抑圧されても、権威主義的な政治体制の方が市場経済との相性がよく効率性が高いとの考えも強まる。

 しかし、日本は民主政治のモデルを教科書のように目指すべき方向として追い求めてきた。
その歴史は、曲折はあったものの、明治維新以降150年を超える。
 今ここで、大事にしてきた価値観を否定する必要はない。
 たとえ、市場経済との二人三脚が崩れたとしても、民主政治の旗を掲げることは重要だ

日本は大国ではないが、世界の中で重要なアクター(行為者)ではある。
民主政治の旗を掲げ続けることによってこそ、米国に世界秩序への関与を働きかけることができる。
 東京大の宇野重規(しげき)教授(政治哲学)は「民主主義というものは忍耐心がいるものなのに、決定能力の低さに世界が疲れ、価値観が揺らぎ始めている。
民主主義は非常に危機的になっている」と話す。

 あきらめる心にあらがいたい。
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正月三が日にやってはいけない6つのタブー

正月三が日にやってはいけない6つのタブー
2019/12/31 All About
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正月三が日……
縁起をかついで、やってはいけないこと
日本人の暮らしに息づくタブーはたくさんありますが、「正月、三が日にやってはいけないこと」が意外と多いのはご存知ですか?
掃除、煮炊き、ケンカ……縁起をかついで、やらない方がいいとされている風習があるのです。

そもそも三が日とはいつのことか、松の内との違いはなにか?などの基礎知識を解説しつつ、 代表的な「三が日のタブー」をご紹介します。

そもそも正月の「三が日」とは?
「実用日本表現辞典」で「三が日」の意味を調べると、次のように記されています。
“正月の元日から三日まで。
新年を祝賀する期間で、事実上の祝日となっている”
つまり、三が日とは、1月1日、2日、3日の3日間のことをいいます。
慌ただしい大晦日から一夜明けるとお正月に。不思議なくらい新鮮な気持ちになります。

1日(元旦)は家族そろってお屠蘇やお雑煮、おせち料理でお祝いをします。
最近は少しずつ変わってきてはいますが、三が日の間に、初詣や書初め、お年玉を贈るなど、お正月ならではの特別な行事が執り行われます。

「正月」「三が日」「松の内」の意味の違い 正月の「正」には「初め・改まる」という意味があります。
すなわち「年が改まった最初の月=1月」となります。
現代では三が日を正月というのが一般的。
しかし古文書などを調べると、かつては1月すべてを正月といっていたそうです。

また「松の内」とは、年神様がいる期間。
住む地域によって変わりますが、一般的に1月7日まで(地方によっては10日、15日の場合も)、お正月飾りである松飾り(門松)を飾っておきます。
諸説ありますが、ここでは代表的な6つをご紹介したいと思います。

タブー1:掃除をしてはいけない
お正月には、歳神(としがみ)様という神様が、福を持って家を訪ねてきてくれます。
それなのに掃除をして追い払うなんて、もってのほか! 福を払いのけてはいけませんね。

同じ意味で、キッチン、バス、トイレの掃除、そして洗濯も神様を水で洗い流すことになるので、縁起が悪いのです。
水仕事全般がタブーにあたります。
掃除のような根拠はありませんが、「元旦にお布団を干してはいけない」、昔ながらの風習も残っています。
年の初めには歳神様がこられるので、忙しく家事などせず、ゆっくり休んでお出迎えしなさい……ということなのでしょう。

タブー2:刃物を使ってはいけない
この理由にも、いくつか説があります。
「三が日に刃物など使わなければ、この1年を無事に健康で過ごせる(もし切ったりして怪我をしては大変!)」、「包丁で切ることは、縁を切ることにつながってしまう」、「三が日の間は包丁も使わないで休ませてあげる」など……。

三が日は、お雑煮、おせち料理と前もって作り置きしたものをいただき、台所仕事をせずにゆっくり休むようにとも考えられますね。
住む地域によっては、自分の身体の一部である爪を切ってしまっては、家族との縁も切れてしまう……というジンクスもあるそうです。

タブー3:火を使う煮焚きをしてはいけない
煮焚きすると必ず灰汁(あく)が出ます。
この「灰汁(あく)を出す」が「悪く(あく)を出す」の意味につながっています。
かまどなど、火を使うところには、火の神としてまつられる「荒神様(家の中心にあって家人を守護する)」がおられます。正月早々に火を使うと、その「荒神様」は怒ってしまいます。
せめて三が日ぐらいは、火を使わずに、「荒神様」を休ませてあげるための風習だといわれています。

タブー4:四足(よつあし)歩行の動物の肉を食べてはいけない
四足とは、漢字の通り、4本の足を持って歩く動物。
「豚」「牛」「馬」が代表的ですね。
仏教の教えからきている(殺生禁止)、天武天皇が僧侶の肉食禁止令を出した、など、理由はいろいろ考えられます。
一昔前のおせち料理では、当然肉を入れるのは避けられていました。

地域によっては、「豚」「牛」を食べない風習が残っているようですが、現在は気にせずに食べている場合が多いです。
神経質になりすぎるのもよくありませんが、二本足の「鶏」は例外ですから、気にされる方は鶏肉を食べてください。

タブー5:ケンカをしてはならない
皆が新しい年を良い年にしたいと願うのが年の初めです。
実際ケンカをしたところでその年が最悪の年になるとは限りませんが、1年の運勢が決まる大事な時に争いなどして、悪い運気を植え付けたくないという考えから生まれた、縁起かつぎともいえます。

タブー6:お金を使ってはいけない
これは住む地域に残る風習などによって、変わってきます。
「年の初めにお金を使いすぎると、その1年はお金が貯まらない」のだそうです。
ですが、神様に手向ける初詣でのお賽銭は大丈夫だといわれています。
大事なのは、この1年浪費せず、お金の使い方を考え、先を見据えてしっかり計画するようにと自らを戒めること。
2日からは早速初売りセールが始まるご時世ですが、少なくとも元旦は初詣のお賽銭までに留めておくのが無難でしょう。
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2020年01月03日

真冬に下半身を冷やすとなぜ老化が進むのか

真冬に下半身を冷やすとなぜ老化が進むのか
2020年01月02日 PRESIDENT Online
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いよいよ寒の入り。
もっとも寒い季節に起こりやすい「冷え」の症状。
その改善方法を知り、ココロとカラダを健やかに保ちながら、来たる春への準備をしましょう。

■新年のスタートは、内臓疲れを癒やすことから
1月6日〜1月19日は小寒(しょうかん)で、冬至が過ぎて寒さが次第に厳しくなる頃です。
小寒の節に入ることを「寒の入り」といい、立春までの1カ月が寒の内です。

1月7日には、春の七草である、セリ・ナズナ・ゴギョウ・ハコベラ・ホトケノザ・スズナ・スズシロを入れた七草がゆを食べ、新しい年の健康を祈ります。
春の七草は、お正月に無理をさせた内臓、特に胃腸を休ませる意味があるとも言われています。

新年のスタートでもあるこの時期は、まず内臓の疲れを癒やし、カラダに新鮮なエネルギーを送れるように調整しましょう。 一年の中でもっとも寒いこの季節は「寒」といいます。
「小寒の氷、大寒に解く」と言われるように、小寒が一番寒い時期といえるでしょう。

寒い夜は空気も澄みきっており、星がきれいに見えるのもこの時期の特徴です。
季節のはじまりの初候は、五節句の1つにあたる1月7日の「人日(じんじつ)」に健康を祝って春の七草の入った七草がゆをいただくことからはじまり、松飾りを外して年神様を天に送る「どんど焼き」が行われます。

季節が進む次候では、春菊、氷下魚(コマイ)が旬を迎え、十日戎(とおかえびす)で商売繁盛を願うとともに、11日には鏡開きを行います。
季節の終わりである末候には、カブやアンコウが旬を迎え、雄のキジがメスを求めて甲高い声で鳴く声を聞き、淡い黄色の蝋梅(ろうばい)の花がいくつも咲き、少しずつ春が近づいていることを教えてくれます。

■季節の冷えと、内臓の冷えでカラダはピンチに!?
この時期は、暴飲暴食によっても内臓機能が低下し、内臓の冷えが起こります。
そこに、小寒という季節の冷えが重なることで下腹部、さらには下肢全体(足)が冷えてしまいます。

特に下腹部や下半身は腸・腎臓・膀胱・子宮・卵巣などの臓器と関連が深いことから、単純な泌尿器や生殖器のトラブルだけでなく、ホルモン分泌が乱れやすくなるため、老化が進むと考えられています
そのため、冷えが強い人は、食習慣を整えるとともに、下腹部や足も温めるように心がけましょう。

新年に入り、新たな気持ちで頑張ろうと誓ったことでしょう。
しかし、忙しい日々の中で、確実に時間は経過しています。
新年に誓った新たな思いが三日坊主にならないように、ここで今一度、気持ちを引き締めなければいけません。
この時期はとても寒いことから、何をするにも億劫(おっくう)になりがち。
新年に決めた思いを最後まで貫きましょう 。

■ツボ押しと熱になる食材で、カラダを内側から温める
「カラダとココロの養生法」
この時期はカラダ、特に手足を温めることが大切です。

足を温める方法としては、手足の血液循環を改善する「指もみ」がいいでしょう。
ツメの生え際あたりを心地よい程度に5秒くらい圧迫した後、3秒ほど休憩してまた5秒ほど圧迫する。
このような指もみを毎日各指10回ほど行いましょう。
また、普段から1日30分程度の散歩を行うことは、全身の筋力や循環を改善するには効果的。
もし、運動ができない場合は、手指足指の「グーパー」運動や、つま先立ち運動などを行うようにし、下肢の血液循環や筋肉の維持に努めましょう。

また、おヘソの真裏で背骨のライン上にある「命門(めいもん)」、首の後ろの一番出っ張った骨より2つ下の骨から指2本分外側にある「風門(ふうもん)」、足裏の真ん中よりやや指側で、足の指をキュッと曲げると一番へこむ場所にある「湧泉(ゆうせん)」といったツボは、カラダの中心を温めてくれるツボです。
お灸やカイロなどを貼り、温めるようにしましょう。

「食養生」
この季節の旬は豚肉です。
豚肉はカラダを温める作用があるとともに、ビタミンB1も豊富で、滋養強壮、免疫力アップに効果的です。
また、東洋医学では冬の季節と関連が深い腎(じん)に属す食べ物で、冬に向いている食材と考えられています。
また、春菊もこの季節に重要な食べ物です。
甘味と辛味を兼ね備えた涼性の食べ物で、ストレスの軽減効果とともに、腫れものを抑え、痰(たん)を切る作用があることから、風邪気味時に効果的な食材です。

「お勧めのツボ」
小寒を乗りきるためのお勧めのツボは照海(しょうかい)です(図表1)
照海は内くるぶしの真下にあり、押すと痛みを感じるくぼみの部分です。
このツボは、元気を高め、カラダを温めてくれるだけでなく、耳鳴りやめまい、頭痛にも効果的です。

イタ気持ちいい程度に10秒程圧迫し、5秒空けて5回程度刺激するようにしましょう。
なお、足の内くるぶしあたりを触って冷たい場合は、ドライヤーで温めたり、お灸を行うのがお勧めです。

■年代別・症状別、「冷え」の対処法を知ろう
【タイプ別:お腹が冷える原因と対処法】
東洋医学では冬はカラダが冷える時期で、カラダを温めることが必要とされています。
特に、お腹の周りには大切な臓器が集中しているため、お腹を温めることで内臓機能を高め、全身の熱産生を上げるようにしましょう。
なお、冷えといっても、年代により冷え方が大きく異なります。

大まかには20〜30代はストレス中心のストレス冷えですが、
40〜50代は内臓機能の低下による内臓冷え、
さらに60代以降は筋肉量の低下に伴う老化冷えです。

これは年代よりも個人のライフスタイルに依存しているため、自分のタイプを知ることが大切です。
一生懸命頑張りすぎている頑張り屋さんタイプの人は、寒さやストレスで交感神経が亢進(こうしん)しているため、手足の末梢(まっしょう)血管が収縮することで血流が中心に集まり、冷えを起こしていると思われます。
対処法は、手足を温め、全身の循環を良くすること。
まずは、手足の温浴を行ってみましょう。

温浴は、洗面器(両手首や足首まで十分に入るもの)に、普通の入浴温度よりやや熱めのお湯(40〜42度)を用意し、10〜15分程、手または足を浸します。

気持ちが落ち込みやすい場合やストレスが強い場合は、ラベンダーや柑橘系のアロマエッセンスオイルを、お湯に入れることも効果的です。
また、時間がないときは手首周辺や足首周辺を温めるためのリストバンドやレッグウォーマーなどを利用するのも有効です。

生活リズムの乱れが原因の生活習慣タイプの人は、冷たいものやカラダを冷やすものを食べすぎることで、内臓の冷えや内臓機能の低下が引き起こされています。
そのため、内側からカラダを温める食習慣が大切となります。

これまでは、カラダを温めるには冬に旬を迎える根菜類や色の濃いものを紹介してきましたが、今回は飲み物について考えてみます。
まず、ホットココアは、ココアに含まれている「テオブロミン」という成分が、手足の末梢血管を広げる働きがあります。
また、紅茶やほうじ茶は、茶葉を発酵させてつくられている発酵食品でもあるため、飲むことでお腹の調子を整え、内臓機能を回復する働きがあります。

なお、紅茶の中にはカラダを冷やすカフェインを多く含むものがあるため、注意が必要です。
甘酒や味噌(みそ)汁も麹(こうじ)や味噌などの発酵食品を利用していることから、飲み物ではありませんがカラダを温める作用があります。

年齢による加齢タイプは、全身の筋肉量が低下しており、熱産生能力が低下しています。
運動で筋肉量を増やし、熱産生をアップさせることが大切です。
腰やお腹の筋肉が弱っているため、腰周りだけでなく肩回りの筋肉も動かしましょう(図表2)

特に肩甲骨の周りには褐色脂肪細胞と呼ばれる脂肪を燃焼し、熱を産生する筋肉が存在しています。
肩や腰を回して、熱産生を促進しましょう。
なお、いずれの運動も1セット10回程度とし、合計1日3セット程行います。

なお、自分のカラダのタイプに関しては、カラダの状態を入れるだけで簡単にわかる無料アプリYOMOGIを利用すると便利です。
月に1回(毎月10日まで)入力すると、あなたに合ったその月の養生法が送られてきます。

小寒は冬の寒さが厳しい時期です。
しかし、カラダの冷えは外気温の影響だけでなく、内臓の冷えが関係している可能性もあります。
まずは食生活を整え、お腹の健康を保つことで、カラダの中から温めてみましょう。

「小寒の特徴」
●心身の症状
カラダ:カラダ(下腹部・下半身)が冷えやすい
ココロ:やる気や気力がない、億劫に感じる

●季節に多い症状
お腹・下半身の冷え

●心身の養生法
ツメもみ、手足の運動、お腹・背中・足裏のお灸

●食養生に効く食材
豚肉・春菊
●ツボ
照海(しょうかい)

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伊藤 和憲(いとう・かずのり)
明治国際医療大学大学院/養生学寄付講座教授
鍼灸学医学博士・全日本鍼灸学会理事。
同大学附属鍼灸センター長。
トリガーポイント鍼治療の第一人者であり、慢性痛の緩和治療に精通。
現代女性のための、東洋医学に基づく心身のセルフケアも指導している。
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2020年01月04日

「都合の悪い真実を隠す」“お手盛り”安倍長期政権がもたらした数々の弊害

「都合の悪い真実を隠す」
“お手盛り”安倍長期政権がもたらした数々の弊害
1/3(金) 文春オンライン (望月 衣塑子)

 第1次内閣を含めた安倍晋三首相の通算在職期間は2019年11月に桂太郎内閣を超えて憲政史上最長となり、同年末には第2次内閣発足から数えて8年目に突入する。

「得意分野」の外交を振り返ると……
 安倍首相の「得意分野」という外交では、1年ごとに首相が交代していた頃に比べれば、国際的なプレゼンスも交渉力も高いはずだが、拉致問題や領土問題で結果を出せていないどころか、対米追従の結果、農畜産と防衛分野で大きな負担を国民に強いているのが実態だ。

 私は武器輸出解禁と米国製兵器の「爆買い」を取材してきた。
日本の2019年度の防衛予算は5兆2500億円を突破し、これには総額1757億円超といわれるイージス・アショアなどのミサイル防衛システムの購入費が含まれている。
 対米交渉はトランプ大統領に押し込まれている。

2019年9月の日米貿易協定交渉では、日本が米国から購入する牛肉・豚肉の関税について、TPP(環太平洋パートナーシップ)並みまで引き下げることで合意したが、日本が求めていた自動車関係の関税撤廃は棚上げされ、再交渉の時期すら明記されなかった。
安倍首相は会談後、「自動車関係の追加関税を課さない趣旨を確認した」と“成果”を強調した。
 だが、それは1年前に武器の爆買いで一度阻止したはずだ。

自動車関税でカードを切らされた日本
 2018年9月、国連総会後の会見でトランプ大統領は「貿易赤字はもう嫌だと日本に言ったら、日本はすごい量の武器を買うことになった」と述べ、その後、貿易格差是正のため、F35AB戦闘機計147機に、総額1兆5000億円が費やされることがわかった。
官邸周辺を取材すると、乗用車の輸入関税を2.5%から25%へ引き上げることを検討していたホワイトハウスを思いとどまらせるために切った「カード」だという。
 つまり、自動車関税で日本は2枚もカードを切らされたのだ。
完全に負けである。

2019年のG7で約束したトウモロコシの爆買いもしかり。
安倍首相は「害虫対策の観点で輸入が必要」と説明したが、輸入量は害虫被害を大きく超える。

外務省の力が低下している安倍政権
 他の外交でも成果がない。
トップ会談を重ねたロシアとは、平和条約・領土問題交渉が進まず、2019年度の外交青書からは、北方四島にからみ「日本に帰属する」の記述が消えてしまった。
北朝鮮とは、交渉の糸口すら見えず、拉致問題の解決の見通しは立たない。
徴用工訴訟の大法院判決をきっかけに輸出管理強化にいたった日韓関係も1965年の国交正常化後で最悪だ。

 首相官邸に権限が集中した結果、外務省の力が相対的に低下し、国会議員や民間のチャンネルは細り、交渉の弾力性を失っている。
9月に国家安全保障局長が外務省出身の谷内正太郎氏から、警察庁出身の北村滋・前内閣情報官に交代したことで、この傾向はさらに強まるだろう。

目立つ強弁と責任転嫁
 一方、内政に目を向けると長期政権の歪(ひず)みと硬直化が現れている。
カジノ法案、改正水道法案、外国人労働者受け入れ拡大に向けた入管法改正法案などが相次いで強行採決され、国会軽視も甚だしい。
これでは憲法改正で野党が協議に応じるはずもなく、いまや「改憲やるやる詐欺」と揶揄される始末だ。

 政権で目立つのが強弁と責任転嫁だ。
入管法改正法案の委員会採決では、朝日・毎日・東京の各紙が「採決強行」と見出しで報じたが、菅義偉官房長官は「強行採決なんかやっていない」と言い張った。
衆参でわずか計約35時間の審議だったにもかかわらず、だ。

辺野古沖埋め立てでも、明らかに赤土混じりの土砂が目の前で投入されているが、土砂の性状検査の結果は示さないまま「適切」と主張した。
 官僚への責任転嫁はさらに見苦しい。
森友学園問題をめぐり、安倍首相が国会で「私や妻が関係していれば、首相も国会議員もやめる」とたんかを切ると、財務省がつじつま合わせのため決裁文書を改竄。
自殺者も出た。

ところが、安倍首相は「しっかりと調査し、膿(うみ)を出し切り、組織を立て直す」と財務省に全責任を押しつけた。
膿の原因が誰なのかは明らかだ。
 加計学園の獣医学部設置問題では、「総理のご意向」発言があったと記した文部科学省の文書を「怪文書」と決めつけ、防衛大臣が「ない」と答弁したイラク派遣自衛隊日報は存在が隠されていた。

「アベノミクス」に「老後2000万問題」まで
「アベノミクス」はどうか。
GDPの成長率、実質賃金、物価上昇率のいずれも低調で、失敗は明らかだ。
それどころか、景気動向や賃金の指標となる毎月勤労統計の不正が発覚し、政府の統計に対する国民の信頼が損なわれている。
 直近では「95歳までに夫婦で2000万円不足する可能性がある」と試算した金融審議会の市場ワーキング・グループの報告書が批判を浴びると、麻生太郎金融担当大臣は受理を拒否。不手際があったとして金融庁長官が陳謝させられた。

安倍首相は「対案もないまま、ただ不安をあおるような無責任な議論は決してあってはならない」と批判したが、諮問機関の報告書は、政策を議論するための重要な材料だ。
もし政策に失敗したとしても、その原因を分析して改善策を打つのが政治だ。
だが、客観的データから目を背けることは、改善のきっかけを失うことになり、二重の罪だ。

お手盛り成果の限界
 首相の権力基盤は、麻生財務相と菅官房長官、二階俊博自民党幹事長がキーマンで、誰か1人でも代わることがあればパワーバランスが崩れ、政権は衰退する。

責任転嫁も強弁も改竄もごまかしも、政権に都合の悪い真実を国民の目から隠す、という目的と動機が共通している。

 7月の参院選。安倍首相は福島市での第一声で「あの時代に逆戻りするわけにはいかない」と民主党政権を引き合いに出した。
民主党政権は1200日。
その後の安倍政権は倍以上だ。
いまさら「あのころよりもマシ」とアピールせざるを得ないことが、お手盛り成果の限界を示している。
目をそらされてはならない。
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2020年01月05日

不眠ループから抜け出すための行動療法とは

不眠ループから抜け出すための行動療法とは
2020年01月04日 PRESIDENT Online

ここ数年、「睡眠負債」という言葉が話題になるなど、睡眠不足や不眠に注目する人が増えている。
不眠に対する正しい知識やその改善法を知り、快適な睡眠を手に入れよう。
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■睡眠不足と感じる人が増加。でも、その実態は……?
「毎日、忙しくて睡眠時間が短い」など、働く女性の中には睡眠不足を感じている人も多い。
平成29年の厚生労働省の調査では、「ここ1カ月間、睡眠で休養が十分にとれていない」と回答した人は、平成21年に比べ、ほとんどの世代で増加。
特に40代に睡眠不足を感じている人が多い。

うまく眠れない日々が続くと、「もしかして不眠症では……?」と疑う人もいるが、そもそも「不眠」とは、どのような状態を指すのだろうか。
東京家政大学 睡眠行動科学研究室 岡島 義 准教授にお話を伺った。

「『不眠』とは、ストレスなどで十分に眠れない状態を指し、
『不眠症』とは、不眠が原因で、日中に倦怠感、意欲・集中力の低下、頭痛、めまいなどの支障が出ることをいいます。

つまり、日中、元気に活動ができて、仕事などに支障がなければ不眠症ではなく、睡眠時間の長さにこだわる必要はないのです」
日中の活動に支障が出ないために必要な睡眠時間は、人それぞれ。9時間必要な人もいれば、5時間程度で十分な人もいる。
また、睡眠時間がしっかりとれ、日中の活動に支障がないにもかかわらず、睡眠の途中で目が覚めるなどして『全然、眠れていない』と不満感を抱く人も多い。

■あなたの不眠の原因は? チェックしてみよう!
では、日中の活動に支障が出る不眠の原因には、どのようなものがあるのだろうか。
次のチェックリストで、各項目1〜4のどれに当てはまるかチェックしよう。
1:そうではない 2:そうかもしれない 3:どちらかというとそうだ 4:そうだ

□日頃、運動をほとんどしない
□朝食はとらない
□寝る前にお酒を飲んだり、タバコを吸ったりしている
□就寝3〜4時間以内に、カフェインを摂っている
□日中は、よく昼寝をする
□寝る前に熱いお風呂につかっている
□寝室の温度や湿度が快適でない
□寝室の電気は「昼白色」「昼光色」(いずれも白っぽい光)だ
□夜更かしなどで不規則な生活を送っている
□眠くなくても決まった時間に布団に入る

監修/東京家政大学 睡眠行動学研究室 准教授 岡島 義先生、厚生労働省『健康づくりのための睡眠指針2014』をもとに編集部作成
岡島先生は「4に○のついた行動が不眠症の原因の可能性があります。
しかし、本当に睡眠に影響しているかどうかは、日中の支障と照らし合わせてみないとわかりません。
このように行動と睡眠の因果関係を明らかにし、不眠を改善していくのが『認知行動療法』です」と話す。

■「認知行動療法」で、不眠ループから抜け出す!
「認知行動療法」は不眠症やうつ病など、さまざまな身体的・精神的疾患に使われる心理療法。
困っている症状を、その人のせいにするのではなく、その人の「クセ=振る舞い、考え方、身体反応など」に注目し、そのクセを修正することを目的とする。

不眠を改善する場合、治療薬より効果に維持力があるといわれている。
認知行動療法で不眠を改善するには、まず「毎日の睡眠」と「日中の支障」を記録する「睡眠日誌」をつけることが重要だ。睡眠日誌はノートにつけても、スマートフォンのアプリを利用してもOK。
「何時に布団に入り、だいだい何分くらいで寝ついて、何時に起きたか。
そして、不眠の原因と思われる行動の有無と、日中、どんな支障があったか」を記録する。

すると、自分が何時間眠れば日中の活動に支障をきたさないかがわかるうえ、不眠の原因と思われる行動と睡眠の関係が見えてくる。

例えば、テレビを見ながら寝てしまう習慣が不眠の原因だと思っていたが、テレビを見ても見なくても、日中の活動に支障が出るようなら、ほかにも不眠の原因が隠れているといえる。

また、不眠の原因となる行動を変えようと思っても、なかなか思いどおりにはいかないもの。
例えば、「明日から運動をしよう」と決めても、続けることは難しく、多くの人は「意志が弱いから続かない」と思いがちだ。
しかし、認知行動療法では、どうしたら続けることができるか、その方法を具体的に考えることからスタートする。
「自分の生活や活動パターンを具体的にイメージしながら、いつ、どのように運動を取り入れるかを考えます。
できなかったことを自分自身の性格のせいにしてしまうと、事態は何も進展しません。

できなくても気にせず、できることから始める。
そして、一つの行動を修正し、睡眠に変化がなければほかを試せばいい。
特に不眠の改善は、数日で結果が出るものではありません。
気長に取り組むことが、不眠ループから抜け出すコツです」

■寝室を見直して、心地いい睡眠を
ベッドなどの寝具を見直したり、部屋の模様替えをしたりするなど、眠る環境を見直すことも不眠解消につながる。
最近では、角度をつけて入眠をサポートし、眠ったら自動でフラットになるベッドや、睡眠中の心拍や呼吸をモニタリングし、眠りを分析する機能のついたベッドもある。
また、肌触りのいいベッドファブリックや着心地のいいパジャマを取り入れたり、リラックスできるよう寝室の模様替えをしたりするのもおすすめ。

睡眠日誌をつけつつ、睡眠環境を見直して不眠を解消し、仕事のパフォーマンスを最大限に発揮しよう。

岡島 義(おかじま・いさ)
東京家政大学 睡眠行動科学研究室 准教授
公認心理師・専門行動療法士・産業カウンセラー
著書に『認知行動療法で改善する不眠症』(共著・すばる舎)、『不眠の科学』(編共著・倉書店)など。
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2020年01月06日

"時間使いのコツ"4つ

一日の充実度が倍増する"時間使いのコツ"4つ
2020年01月05日 PRESIDENT Onlin
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毎日忙しく「やらなければいけないこと」ばかりに追われていませんか?
 2020年を「やりたいこと」をやる年にするにはどうすればいいのでしょう。
お正月休みのうちにゆっくり考えたい「時間の使い方」についての作戦です。
※本稿は有川真由美『いつも機嫌がいい人の小さな習慣』(毎日新聞出版)の一部を再編集したものです。

■生活の優先事項を3つ以内に絞る
現代人はほんとうに忙しい。
社会生活を送っていると、「やらなきゃいけない」と感じることがつぎつぎに押し寄せてきます。
いい仕事をすること、家族サービスをすること、人と交流すること、学ぶこと、運動をすること、服に気を使うこと……。
情報をたくさん集め、1日に多くの予定を詰めることが「充実している」と思うかもしれません。

しかし、「たくさんのことをするのがいい」という価値観や時間の使い方は、そろそろ卒業しませんか?
あれもこれもと、あきらめない姿勢は、一見、パワフルに見えますが、現実は、どれも中途半端で不満が残り、疲れてしまうはずです。
なにより、ほんとうに大切なことがわからなくなってしまうでしょう。

それよりも、自分にとって大切な優先事項を3つ以内に絞って、「あとは適当でいい」と手放してしまったほうが、幸せを実感できます
私たちが「やらなきゃいけない」と思っていることのほとんどは、実は「やらなくてもいいこと」なのです。
やることを広げるよりも、やることを絞って深めていったほうが、「自分はなにを大切に生きるのか?」という自分の軸ができて、充実感も、満足感も得られます

手放したものは、永遠になくなるわけではありません。
「いまは、これを大事にしたい」でいいのです
だれがなんと言おうと「いまは趣味が第一。あとは適当でいい」という人もいるし、「夢に向かって生きる」「家族ファースト」という人もいます。
自分の大切なものをちゃんと理解している人は、幸せで魅力的に見えます。
優先事項を絞る習慣で、人生の時間を大切にできるようになるのです。
人生でもっとも大切なスキルは、大切なことを絞る力です

■「時間がない」と言わない
「時間がない」という言葉は、あまり言わないようにしています。
「スケジュール管理能力がない」と言っているようなものですから。
もちろん、時間の余裕がないことはあります。
優先順位の低いことはやりません。
しかし、強烈に「これはしたい!」「この人に会いたい!」と思ったことは、かならず実行するようにしています。

「時間がないからできない」ではなく、「時間がないなか、どうしたらいいか?」と考えると、なんとかなるものです
先日は、仕事がたんまりあるなか、ずっと尊敬していた人に会えることになり、スケジュール帳とにらめっこ。
「なんとかなりそう!」と膝を打ち、台湾に夕方着いて、翌朝帰る……という無茶なことをやってしまいましたが、「行ってよかった!」と満足感でいっぱい──そんな経験は、一生の財産になると思うのです。

かつては「時間がない」とやりたいことを先送りすることもありました。
ですが、忙しい人をよく観察すると、そんな人にかぎって、ちゃっかり遊んでいたり、しっかり勉強を続けていたり、じっくりなにかに取り組んでいたりする……。
彼らは「あれこれやるぞ!」とやみくもにがんばっているのではなく、優先順位をハッキリさせて、「限られた時間でも、できる方法はある」と時間の使い方に注力しているのです

仕事と子育てで忙しい友人は、電車での通勤時間に勉強をして、いくつもの資格を取得しました。
練習時間の短い進学高校のスポーツ部が、時間をかけた強豪校に勝利することがありますが、限られた時間で効率的な方法を編み出しているからでしょう。

時間は1日24時間、ひとしく与えられています。
「時間がないから遊べない」「勉強できない」なんて言っていたら、人生が終わってしまいますよ。
「時間がないからできない」と言っている人は、時間があってもできません。

■だれかのために時間を使う
ある男性がこんなことを言っていたことがありました。
「男はよく『家族のために毎日がんばってる』なんて恩きせがましく言うけど、あれは違うよね。
仕事は自分が認められたいとか、役に立ちたいって気持ちがあるからやってるわけで、そもそも家族を養うのも、そうしたかったからでしょう」
たしかに「100%だれかのための時間」というのはありえないと思ったのです。

「自分のための時間」「だれかのための時間」は、単純に割り切れるものではありません。
「あの人にはこれだけやってあげた」「親が望むように生きてきた」「会社のために働いてきた」という人は、自分の時間を犠牲にしてきたと思っているのでしょう。
わかっておきたいのは、人生の時間はすべて「自分で選択できる自由時間である」ということ。
どう使うかは、一人ひとりに委ねられています

「いや、そんな自由はない」と思うなら、「〜しなくては」という呪縛に縛られているのかもしれません。
「だれかのための時間」でも、「自分がそうしたいから」と思えば、「自分のための時間」になります
その意識がなければ、他人に振り回されてばかりの時間です。

「だれかのため」とだけ考えては、自分の気持ちが置いてきぼりで、身がもちません。
逆に「自分のための時間」ばかりでも、虚しさがあるものです。
人は「だれかのためだからがんばれる」ということが多い。
仕事をするのも、食事を作るのも、遊びの計画を立てるのも「あの人の喜ぶ顔が見たい!」と思えば、張りきります。
人の役に立ったり、認めてもらえたりすることで、安心感も幸せも得られます。

自分のための時間も必要ですが、「だれかが喜んでくれることが自分の幸せ」と思える時間をもてたら、より大きな幸せがもたらされるのではないでしょうか。
「あの人の喜ぶ顔が見たい」は自分を育ててくれます。

■「与えられた人生の時間」を意識する
大切な友人が、この世界から旅立っていきました。
家族のいない彼女は、亡くなる数カ月前に主治医から「動けるのはあと2〜3カ月ですから、いまのうちに会いたい人に会って、行きたいところに行っておいてください」と言われたといいます。
そのとき、「そんなこと、いまさら言われなくても、ずっとやってきたあたりまえのことよね」と笑った彼女は、たしかに、それまでと同じ時間との向き合い方をしていました。

やりたいことをやり、やりたくないことはしない。
・会いたい人に会い、会いたくない人には会わない。
・自分の好きな世界を大切にする。
・人のためにできることをする……。

ホスピスに入ってからも「もっといろいろなことを知りたい」と本を読み、お見舞いにきた友人たちと大いに笑い、持ち物はきれいに処分して去っていきました。
悲嘆するのではなく、「いまの幸せな時間」を心から喜んでいました。
10代20代で大病をした彼女は、人生の時間をいつも意識していたのかもしれません。
よく「残された時間」などと言いますが、ほんとうは「与えられた人生の時間」ではないでしょうか。
そもそも生まれたこと、生きていること自体が奇跡なのですから。
「与えられた時間」を意識する習慣のある人、まったく意識していない人では、時間の過ごし方はまったく変わってきます。

「与えられた時間」を意識していれば、ほんとうに大切なことに時間を使いたいと思います。
人を恨んだり、後悔したりしている場合ではなく、人生のストーリーを的に、真剣に考えるようになります。
将来を漠然と不安がるのではなく、現実的に時間に向き合うようになります。
どの時点を切り取っても「いい時間を過ごした」と思える生き方がしたいものです。
「時間には限りがある」とわかっている人は強いのです。

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有川 真由美(ありかわ・まゆみ) 作家
鹿児島県姶良市出身、台湾国立高雄第一科技大学応用日本語学科修士課程修了。
化粧品会社事務、塾講師、衣料品店店長、着物着付け講師、ブライダルコーディネーター、フリー情報誌編集者など、多くの職業経験を生かして、働く女性へのアドバイスをまとめた書籍を刊行。
韓国、中国、台湾でも翻訳される。
旅をするように国内外で転々と住らし、旅エッセイも手掛ける。
2014・2015年内閣官房すべての女性が輝く社会づくり推進室「暮しの質」向上検討会委員。
日本ペンクラブ会員。
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立憲民主党の「死」、枝野幸男氏の傲慢とれいわ新選組への希望

枝野幸男氏の傲慢
小だぬき
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新党ではなく 国民民主党を吸収合併以外はないとの報道。
枝野氏は 大きな勘違いをしているようです。

立憲民主党が野党第一党でいられるのは、政策が支持されているのではなく 小池百合子氏の選別に異議を持ち 希望の党に行かずに旗揚げしたことに対する「応援して支えねば」という素朴な「革新幻想」です。

今の野党連合の動きは、国民民主党議員と一緒だった「民主党」の派閥争いにしか見えない。
枝野氏は 小池氏の選別と同じで 国民民主に無原則吸収を求めている。
選別に反発したのは 国民のためではなかったと 枝野氏は告白しているようなものです。

立憲民主党が支持率を低下させているのは、国民のための政党ではなく「議員のための」党でしかないことが知れてきている結果だと思うのです。

与党やマスコミ・財界のいう「現実論」に それが本当に国民にとっても「現実論」かという視点は一度も提示していない。
消費税減税の議員勉強会への否定的対応、対決法案といわれた 秘密保護法・共謀罪・種子法・水道法・派遣法・PTTなどの強行採決を容認するような国会対応。
全盛期の社会党のように国対間で裏取引があったとしても ギリギリまで議場封鎖や長時間の牛歩など 国民に寄り添う闘いを展開した姿勢は、立憲民主にはない。

社会党の解体・消滅過程は、自民党の現実論に妥協し 彼らの現実論という土俵に乗った「野党」間の現実容認↓争いに過ぎないものになっている。

「現実論」という これまでの政府与党と変わらない政策であるならば、選挙で野党支持するよりも自民党の柔軟さ 幅広さという幻想を選択した方がましという投票行動、また政治とは 国民生活と遊離したものとアキラメ 棄権する行動をとるのは それこそ「現実的」ではないだろうか。

「現実論という新自由主義」の元で起きているのは、年金・医療費・生活保護・介護保険・育児関連費の削減と自己責任論の強化、公共財の無原則な民間への売り渡し、派遣法などにみられる 労働の奴隷化ではないでしょうか??

枝野さん、国民の願いは 立憲民主の主導権拡大ではなく 閉塞感ただよう現実に対抗するための政策協議の合意のもとの新党ではないでしょぅか。

山本太郎代表の「れいわ新選組」に多くの人(もちろん私も)が希望を感じるのは、世間で信じられている「現実」が正しいのかと真正面から問題提起しているからです。
弱者に徹底的に寄りそうという理念が 現実論幻想を打ち下そうとする挑戦です。

枝野さん、政党のための政党などだれも望んでいません。
「れいわ新選組」現象といわれるものを 真摯に分析して しっかりと政策・運動を組み立てなければ、いずれ「れいわ新選組」に支持率でも逆転されることは明らかです。

枝野さんの偏狭なセクト主義にはなはだ呆れる限りです。

*****************************
立憲民主党の枝野代表は5日、国民民主党などとの合流について「新党を作る呼びかけをしたことは一切ないし、新党を作るつもりは100%ない」と述べ、立民に国民が加わる「吸収合併」方式を前提とする考えを改めて強調した。
訪問先の島根県出雲市で記者団の取材に応じた。
 国民の玉木代表は4日の記者会見で「吸収合併はあり得ない。新党を作っていく」と発言していた。
この発言について、枝野氏は「何か勘違いしている」とも語った。
 枝野氏はさらに、玉木氏が4日、党首会談を複数回行う考えを示したことについても、「党首会談を2回以上やるつもりはない。
1回で(合意)できなければ別の党になる」として、破談の可能性も示唆した。
 両氏は近く党首会談を行う見通しだが、ここに来て溝の深さが浮き彫りになっている。(読売新聞.1/5)
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2020年01月07日

悪政も行き着くと喜劇になる 青木理氏語る20年

悪政も行き着くと喜劇になる 
青木理氏語る20年
1/6(月) 日刊スポーツ

年末の世論調査で内閣支持率を軒並み急落させた首相主催の「桜を見る会」問題。
年が変われば、嵐も収まり、そのうち忘れられると、首相周辺は沈静化するのを待っている。
今日6日、首相の伊勢神宮参拝、年頭記者会見で、2020年の政治は本格スタートする。
東京オリンピック(五輪)、パラリンピックに沸き立つだけの1年にしないためにも、年の初めに気骨のジャーナリスト青木理さん(53)に話を聞いた。【取材・構成=中嶋文明】  
 ◇   ◇   ◇
−反社会的勢力について「あらかじめ定義することは困難」と閣議決定したり、区分番号「60」は首相枠であることを示す小泉内閣時代の文書が国立公文書館から出てきたり、ドタバタになっています

悪政も行き着くと喜劇になるということか、もはや失笑するしかない惨状です。
以前、安倍首相の大学時代の恩師でもある加藤節成蹊大名誉教授にインタビューした際、安倍政権の特質は「2つのむち」だと言っていました。

ひとつは無知、もうひとつは無恥。
反知性的であると同時に、恥を知らない。
誰が聞いても分かるウソを平然と口にする。
ホテルで開いたパーティーの明細書はないとか、招待者名簿を廃棄したのが野党議員の資料請求当日だったのは偶然だとか。

−首相は「障がい者雇用の短時間勤務職員との調整を行った結果、5月9日になった」と答弁しました

ひどい話で、それこそ個人情報でしょう。
自分たちを正当化するために障がい者すら利用する。
最悪の発想です。

−バックアップデータは最大8週間残っていたけど、共用性がないから、行政文書、公文書ではないというのもありました

バックアップは万が一のために組織が共有しているのですから、公文書に決まっています。
そもそも公文書は「健全な民主主義の根幹を支える国民共有の知的資源」(公文書管理法)です。
公開するか否かは別としても、歴史や教訓を後世に伝えるための記録でもあるのに、廃棄し、改ざんし、果ては文書そのものを作ろうとしない。
これで国の歴史や伝統を重んじる「保守」を自称しているのだから笑わせます。
こんな先進国はほかにありません。

例えば米国は公文書管理が徹底していて政府高官のメモや電子メール、時には卓上カレンダーなども保管対象になるそうです。
日程や会食予定などが書き込まれる可能性があるからです。
ジャーナリストの北丸雄二さんが先日、米国の政治ニュース専門サイト「ポリティコ」の記事を紹介していましたが、トランプ大統領は読み終わった文書を破り捨ててしまう癖があって、ホワイトハウスのスタッフが制止しても聞かないから、困り果てたスタッフは破られた紙片をかき集めて必死に復元しているそうです。
それくらい公文書管理に厳格です。

−内閣府は18年4月に招待者名簿の保存期間を「1年」から「1年未満」に変更しました。
人選とか翌年の準備を考えれば、素人目にもおかしいですよね

会計検査院は予算の執行などが適切かチェックする憲法で定められた重要な機関ですが、チェックをする上で名簿は絶対必要です。
功績、功労のあった人が本当に出席しているのか、廃棄してしまえば確認すらできません。

−世耕弘成参院幹事長は神奈川県のハードディスク流出を引き合いに「名簿は個人情報の塊。できるだけ早く消去するのは当たり前」と言いました

桜を見る会の名簿以上の個人情報を国は山のように保管しているでしょう。
それも全部廃棄するのですか。
ならばマイナンバー制度など即刻やめるべきですが、そうはならない。
とにかく自分たちを正当化するためなら、論外の言い訳や、へ理屈を持ち出してくる。
まさにこの政権の特質です。

そうした政権の下で、財務省では文書改ざん、防衛省ではPKO日報の隠蔽(いんぺい)やイージスアショアのずさん調査、厚労省では不正統計、総務省では情報漏えい、文科省では収賄等々、主要な省庁で重大な不祥事が同時多発的に起きている。
かつてないことです。
背景にはいろいろな事情もあるでしょうが、政権維持のためにはウソをつく官邸に人事などを握られ、ヒラメ官僚の忖度(そんたく)がまん延し、官僚組織が深刻な根腐れを起こしていると見るべきでしょう。
外交もそう。
ロシアとの北方領土交渉も日朝交渉も官邸の思いつきに振り回され、結局は何の成果も残せていません。

−昨年は日韓関係が戦後最悪になりました

韓国にも問題はありますが、日本側の問題点も真摯(しんし)に省察すべきです。
先日、韓国で両国のメディア関係者が集うシンポジウムに参加しました。
日本のメディア状況の報告もあって、ほぼ同じ時期に辞任に追い込まれた韓国のチョ・グク国前法相と日本の河井克行前法相の問題を取り上げた
日本のテレビの報道時間を比べたら、韓国の前法相を扱った時間が4倍も多かったそうです。
報告者は「この労力を国内政治の報道に振り向けたら、安倍政権はもっと窮地に陥っただろう」と皮肉っていました。
僕も同感です。 なぜこんな状況になってしまっているかといえば、メディアにも「1強」政権におもねったり萎縮したりするムードが広がっているから。

対立する隣国の政権が窮地に陥っているのを見て留飲を下げるという面もあるでしょう。
中国などが経済成長し、日本の国際的地位が相対的に低下する一方、少子高齢化などで将来への不安は深まる。
そんな中、周囲を見渡してたたきやすい相手を見つけてたたく、そんな風潮が日本社会に広がり、それを政権もあおって利用している感があります。

−嫌韓本、雑誌も相変わらずです

一定程度は売れるからという理由で出版人が差別や偏見、排外主義をあおるのは最低の振る舞いです。
しかも嫌韓やヘイトを露骨にあおる月刊誌に安倍首相や政権幹部が喜々として登場している。
そんなものを見たら、心ある韓国の人もあきれ、安倍政権と対話しようという気もうせてしまうでしょう。

青木理(あおき・おさむ)
1966年(昭41)10月26日長野県生まれ。
共同通信記者を経て、2006年、フリージャーナリスト。
「日本の公安警察」「絞首刑」「日本会議の正体」「安倍三代」など著書多数。
最新刊に「暗黒のスキャンダル国家」。
テレビ朝日系「羽鳥慎一モーニングショー」、TBS系「サンデーモーニング」などでコメンテーターを務める。
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<共産・小池氏の寄稿全文>れいわの双方向性には学びたい

れいわの双方向性には学びたい
消費税5%での野党共闘 共産党が説得する
2020年1月6日 毎日新聞

小池晃・共産党書記局長

 安倍晋三首相が言っているのは「“悪夢の民主党政権”を復活させていいんですか」ということだけだ。
国会審議で私にも言うので「私は民主党ではありません」と言ったら、場内が爆笑した。
それぐらい他に言うことがない。
民主党政権のマイナスイメージを強調し、最大限に利用している。

共産党が担保
 だとすれば、いま野党がやるべきことは自民党に代わる新たな政権構想を示していくことだ。
1票を投じれば新しい政治が作れるということをわかりやすい形で国民に示す必要がある。  

そして今度の野党連合政権はかつての民主党政権の復活ではなくて、共産党がいる。
共産党の存在が、民主党政権の再来ではないという最大の担保になる。
 共産党と共に政権構想を示すことが、国民の期待に応えることになり、安倍首相による野党共闘批判に対する最も決定的な回答になると考えている。

 共産党の志位和夫委員長と立憲民主党の枝野幸男代表との党首会談では「安倍政権を倒し、政権を代え、立憲主義を取り戻す」ことを確認した。
国民民主党の玉木雄一郎代表とも政権交代を図るために協力することで合意した。
これからも一歩一歩、前へ進めていきたい。

れいわの双方向性には学びたい
 安倍政権が長く続いている責任の一端はたしかに野党にもある。
これまでの政党が国民の期待に十分に応えられていない部分はあった。
その意味でれいわ新選組については学ぶべき点はある。

 まず、アピール力と熱量がある。
そのうえで双方向性がある。
私もれいわの街頭演説会を見に行ったが、聴衆から、ちょっとそれはおかしいんじゃないかという意見が出ても、反論をするのではなく、最後まで聞いて受け止める。

そんなあなたも私たちは守りたいというメッセージを出し、そのうえで自らの主張を説明していく。
 双方向の対話を貫いていることは我々も学ぶべきだと感じた。
共産党の選挙運動ももっと双方向でやりたいと思う。

共産党の経験をれいわに伝える
 野党共闘のなかにれいわのエネルギーは必要だ。
そのためにれいわには共産党が野党共闘のなかでどういう努力をしてきたかを伝えていきたい。

 共産党はなかなか他党とは政策的に一致しないような問題も粘り強く話して一致点を広げてきた。
市民連合の皆さんとも知恵を出し合い、共通政策の合意を作ってきた。
れいわとは、そうした努力をお互いにしようということを話している。

 自分の政策を押し通さなければ共闘はできないというようなことでは野党共闘はうまくいかない、というのがこの間の共産党の経験ですよ、ということを、押しつける形ではなく、我々の経験を伝えるというスタンスで臨んでいる。

消費減税の方向でまとまれる
 消費税の5%減税については、安倍政権が消費税率を8%に上げたことで景気が悪化し、それをさらに10%にしたのだから、5%まで戻すのは日本の家計消費の冷え込みに対する政策として必要だ。
共産党はそのための財源も示している。
 しかし5%の減税で一致しなければ共闘しないということは言わない。
一致できるように努力はするけれども、どこまで一致できるかはこれからの協議次第だ。
他の野党の皆さんともそういう話をしている。

 先の参院選では、10%への増税反対で一致したわけだから、8%に戻すことまでは一致できるはずだ。
同時に安倍政権がやってきた2回の増税をもとの5%まで戻すのがスジだ、というところまでもっていきたい。

 減税よりも給付を増やして暮らしを温めたいという考え方も理解できる。
そこはよく相談しながらすりあわせて、一致できるところを探っていきたい。

 これから消費増税の経済や消費に対する悪影響がより深刻になってくれば、野党が減税の方向でまとまることは可能だと思っている。
posted by 小だぬき at 12:00 | 神奈川 ☁ | Comment(2) | 社会・政治 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2020年01月08日

悪質クレーマーには「あえて解決しない」という解決策もある

悪質クレーマーには「あえて解決しない」という解決策もある
2020.1.7 Diamondオンライン(山下由美)

『役所窓口で1日200件を解決! 指導企業1000社のすごいコンサルタントが教えている クレーム対応 最強の話しかた』の著者でクレーム対応のプロ、山下由美さんがこれまでにない画期的なクレーム対応の話しかたを初公開。
「怒鳴る」「キレる」「自分が正しいと言い張る」「理詰めで責める」「言い分が見当違い」「多人数で取り囲む」「シニアクレーマー」などあらゆるお客さまからのクレームを、たったひと言「そうなんです」と言わせるだけで解決します。

悪質クレーマーに対する最終的な2つの選択肢とは?
 私が提唱する「超共感法」は、クレームを申し立てるお客さまの気持ちを代弁する言葉を投げかけ、お客さまから「そうなんだよ」「そうなんです」といったYES言葉を引き出し、こちらを「敵」ではなく「味方」と認識してもらうことで、スムーズに解決に導くものです。

YES言葉を引き出した時点で、お客さまの怒りはほぼ解消されます。
 一般のクレームはどんなに怒りが激しかったり、要求がエスカレートしていたりしても、その根底には「自分の困り事の解決」が目的としてあります。
そのため、超共感法により怒りを解消することで、解決に導くことができます。

 しかし、相手が悪質クレーマーの場合、そもそもの目的が「金品」や「誹謗中傷などによる自己満足」です。
何かに困っていてクレームを申し立てているわけではないため、妥協点や合意点を探しても無駄です。

基本的には、次の2つの対応しかありません。

解決策➀ 交渉を打ち切る
 解決を断念して、交渉を打ち切ります。
以下を参考に、はっきりと告げてください。

「お話は承りました。残念ながら、当方ではご要望にお答えできません。
これでお話し合いを打ち切らせていただきます」
「当方でできる対応はさせていただきました。
これ以上のご要望にはお応えできません。
今後、お客さまの行動により、当方に損害が出た場合には法的処置を取らせていただきます」  

また、担当スタッフを「クビにしろ」などと、本来、社外の人間が立ち入るべきでない領域に踏み込んだ要求をされた場合も、「私どもの会社では、人事は社内の規則に基づいて行なうよう決められております」と毅然とした態度で断ります。

解決策A そのまま放置する  
「放っておいたら連絡が来なくなった」というケースは珍しくありません。
悪質クレーマーからしてみれば、あきらめて、ほかのクレームに力を注いだほうが効率的なのでしょう。

 解決策@の「交渉を打ち切る」との違いは、要望に応えられないことだけを伝える点です。
短時間で話を終わらせ、後は放っておきます。
また連絡があれば、同じ対応を続けます。

 それでもなお理不尽な要求が続くときは、法務部や弁護士など法律に詳しいプロの手にゆだねます。
もちろん、明らかな脅迫や暴行を受けたときは、迷わず警察に通報します。

 以上のように、悪質クレーマーには現場の担当者だけでは、対抗し切れないことが少なくありません。
相手の言いなりになって問題をこじらせることのないよう、さまざまなシーンを想定してルールやフレームをつくっておき、例外をつくらずに対応することが大切です。

 逆に悪質クレーマーに対して絶対に行なってはならないのは、前例を作ってしまうことです。
2014年9月東京都足立区の飲食店で、執拗にクレームを受け、自腹でお金を渡していた店長が対応に悩み、相手を刺し殺す事件がありました。
悪質クレーマーの正体は普通の会社員だったと報道されています。

解決しようとしてお金を渡したことで、余計に深みにはまってしまったのでしょう。
 悪質クレーマーが登場したら、一人で抱え込まず、早めに上司や法律の専門家に相談するようにしましょう。

お互いを敵とせず、Win-Winの関係を築く
 ここ数年を見ても、クレームをつける人のタイプやその内容、場面が大きく変わってきています。
今では普通の主婦や高齢者が悪質クレーマーになったり、今後は外国人観光客などによるクレームも増加していくことでしょう。

 私はお客さまを「神さま」だとは思っていません。
「人間」として尊重しています。
人間ですからいろいろな人がいます。
そのため、クレームの対応も、相手や時代に合ったものでなければなりません。
従来のようにお客さまを「神さま」として奉り、じっと話を傾聴して正しい説明をする方法では、解決しないクレームが増えているのです。

 一方で、ミスや誤解があったり、見解に違いがあっても、お互いを敵とせず、Win-Winの関係を築くのが、本来のクレーム対応の姿であることに変わりはありません。

前述のとおり、一部の悪質クレーマーを除けば、クレームを申し立てるお客さまは実際に困り事を抱えています。
その事をこちらにわかってもらい、解決してもらいたいだけなのです。
決して怒りをぶつけたり、正しい説明を聞きたいわけではないのです。

 冒頭で触れた超共感法によるクレーム対応が、一般のあらゆるクレームに効果を発揮する理由はここにあります。
クレーム対応の初動として、お客さまの気持ちを代弁して、YES言葉を引き出すことの重要性を胸に刻んでください。

 そして、悪質クレーマーに対してはためらわずに見切りをつけ、交渉を打ち切るか、放置しましょう
金品等を目的とした相手に、クレーム対応者が胃を痛める必要などないのです。

『役所窓口で1日200件を解決! 指導企業1000社のすごいコンサルタントが教えている クレーム対応 最強の話しかた』の著者である山下由美さんが独自に編み出したクレーム対応法「超共感法」に、今、熱い視線が注がれています。

続々と新型クレームが登場するなか、従来のマニュアルでは対処しきれなくなっているからです。

『役所窓口で1日200件を解決! 指導企業1000社のすごいコンサルタントが教えている クレーム対応 最強の話しかた』 山下由美 著 定価:本体1,400円+税 発行年月:2019年07月 判型/造本:46並 頁数:224 ISBN:9784478029039

現在、クレーム・コンサルタントとして活躍中の山下さんは、ご自身が何千件、何万件ものクレームを処理してきた実績を持ちます。
地方公務員として30年間勤務。福祉部、税務部などで、多いときには電話も含め、1日200件のクレームに対応する傍ら、プレイバックシアター(即興演劇)、心理学、コーチングなどを学び、それらの手法を活かした独自のクレーム対応法を確立しました。
クレームに来た人を笑顔にし、実際、クレーム来訪者によるファンクラブまでできた伝説的存在です。

2005年、役所を早期退職後、クレーム・コンサルタントとして、指導した企業は約1,000社。
地元の北海道から口コミで広がり始め、今やその世界では、名前を知らない人のいないクレーム・コンサルタントの第一人者です。

著者が編み出したクレーム対応法は、「怒鳴られたら怒鳴り返す」「正しい説明はしない」「傾聴するな!」など、従来のマニュアルなどに記載されている常識をことごとく覆すものです。

お客さまにたったひと言「そうなんです」と言わせるだけで、相手の怒りを嘘のように消し去り、クレームを解決するという画期的な手法となっています。
覚えることはたった一つですから、誰でもすぐ実践できます。
しかも、お客さまのタイプやクレームの種類を選ばないため、一般的なマニュアルでフォローしきれないような新型クレームも難なく解決に導きます。
著書『役所窓口で1日200件を解決! 指導企業1000社のすごいコンサルタントが教えている クレーム対応 最強の話しかた』では、そうした先生の手法を余すところなく紹介。
さらに金品目的などの悪質クレーマー対策も万全の内容となっています。
クレーム対応担当者、またクレーム対策に苦労の絶えない企業にとって、必読の一冊です!
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介護保険改正で施設入居者の貯金が狙われる! どう対策するか

介護保険改正で施設入居者の貯金が狙われる!どう対策するか
2020.01.07 マネーポストWEB

 厚労省はさる12月16日、2021年からの介護保険制度改正に向けて大幅な制度改革案を社会保障審議会に提出した。
厚労省資料によれば、施設への入居費用の補助が削られるとともに、介護サービスの自己負担上限引き上げられる。
 さらに見落とせないのが高齢者の「貯金」が狙われていることだ。

介護施設に入所した際の軽減措置(補足給付)には、収入とは別に重要な“基準”がある。
現行制度では入所者の貯金額が1000万円以上あれば、収入がどれだけ低くても軽減措置を受けられない。
 新制度ではこの預金基準がさらに厳しくなる。

具体的には、年金月額10万円超の人は「貯金500万円」以下でなければ入所時の軽減措置を受けられず、同6万7000円なら貯金550万円以下、同3万円は貯金650万円以下が軽減措置の条件になる。

 この基準はどうやって算定されたのか。
厚労省資料にはこう書かれている。

〈介護保険三施設の本人支出額の平均と年金収入を比較し、補足給付を受けながら本人の年金収入で15年入所できる水準にする〉
 お役所言葉でわかりづらいが、要は年金だけでは入居費用をまかなえない人が、貯金を取り崩しながら支払っていった時に、年前後で貯金が尽きるように逆算して基準を作ったということだ。

「年金収入の範囲内で入居費用をまかなえるように補助する制度」から「入所者の老後資産を介護費用で吸い上げる仕組み」への大転換と言っていい。

対策は2つある。ファイナンシャルプランナー・小谷晴美氏が語る。

「介護保険は要介護度が高いほど手厚い介護サービスを受けられる制度ですが、要介護認定の際には、比較的重度の要介護度4の患者でも中度の要介護度3とされたり、中度なのに特養に入れない要介護度2など低めに認定される傾向があるようです。

 要介護認定は調査員の本人調査と主治医の意見書によって行なわれる。
日頃から主治医とコミュニケーションをとって患者の状態を正確に理解してもらい、十分な給付を受けることができる認定をしてもらうことが重要です」

 もうひとつ、老後資金を介護費用で使い果たさないために最も有効なのが生前贈与だ。
介護アドバイザーの横井孝治氏が語る。
「親を施設に入れる前、あるいは自分が施設に入所する前に、金融資産を子供に生前贈与して預金残高を500万円など基準額以内に減らしておく。
そうすれば、介護施設での費用は軽減措置で安く抑え、資産を次の世代に残すことが可能になります」

※週刊ポスト2020年1月3・10日号
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2020年01月09日

木村拓哉は『教場』で「ヒーロー・キムタク」を葬れたかも。脚本の問題点

小だぬき
紹介するドラマ批評は、優れていると思います。
ですが、何かドラマに違和感を感じ 2度視聴してみて その正体がつかめました。

もう40年以上前に法学部で学習した「刑法」「刑事訴訟法」の法解釈、「警察官職務執行法」の運用の問題点について、このドラマは無関心であったということです。

「推定無罪の原則」
「職務質問」「取り調べ」の扱いについて その弱点がもろにでていました。
職務質問、取り調べのテクニックは、描かれているのですが、前提となる不審者、被疑者になるまでへの人権の考慮が触れられていないのです。
証拠に基づかない限り 本来逮捕は請求できないし許されない。
自白偏重では 冤罪や不当逮捕・誤認逮捕の温床になる。
職務質問も される側に拒否権があり ドラマのように警察官のテクニックでは冤罪を生む誤りをおかしかねない。
どのような場面や状況なら「職務質問が許されるのか」が 前提として示されなければならない。

私の世代の学生運動鎮圧の手段として多用された「転び公妨」(警察官が自ら転び、公務執行妨害で逮捕する)の時代に戻ったのか それに近いことを「警察学校」は 教育しているのかと 人権軽視の批判がおきかねない描き方でした。

「任用試験と学校の教育」
建前をいうようですが、警察官の採用にあたっては、試験合格後に厳しい信条・素行調査をした上で 採用者が選別されるハズです。
本来ならこの時点で適性が見極められなければならない。
公務員試験は、採用候補者名簿登載試験で 名簿登載=採用ではないからです。
そうであれば 学校の役割は 採用された候補者を 育てることに重点がおかれるハズで ドラマのように振るいにかけ途中退職者がでることを正当化しては 警察官として希望を持って入校する者への背信行為ではないか。
体力的な問題での自主退職、犯罪非行での退校処分は、容認されても 「退職届」をつきつけての教育は より成長するための手段としてでも許される教育だろうか??

神奈川県民として 治安を守る警察官に感謝しつつ、警察学校教育への誤解を生みかねない描写には 慎重であって欲しい。
ただでさえ 防犯カメラなどの普及でプライバシーが脅かされる恐れと背中合わせの今、
警察描写は 警察の腐敗や警察官犯罪があっても 大多数のノンキャリア警察官は 懸命に治安を守る最前線にいるということを忘れずに 彼ら彼女らを励ますものであって欲しい。
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木村拓哉は『教場』で「ヒーロー・キムタク」を葬れたかも
2020.01.08  NEWSポストセブン

 木村拓哉は日本においてその作品動向が最も注目される俳優のひとりであると同時に、常に失敗が許されない立場を求められる。
ドラマウォッチを続ける作家で五感生活研究所代表の山下柚実氏が分析した。
 * * *
 年末、電車の中でもテレビ画面でも、妙に頬がこけ白髪で濃いサングラス姿の中年男性の不気味な顔が目に飛び込んできた。
これがキムタク?
 警察学校の鬼教官をキムタクが演じるという衝撃的なSPドラマ『教場』(フジテレビ系)の番宣でした。

 年末年始といえばまさに「キムタク祭り」の様相で、天才シェフ・尾花夏樹役が話題となったドラマ『グランメゾン東京』(TBS系)は29日の最終回の視聴率が16.4%。
まずは成功と言える着地ぶりで、続編を期待する声も聞かれました。
 続けて、年が開けると3日に映画『マスカレード・ホテル』の地上波放送。
フジテレビとしてはその勢いを保ったまま、視聴者に『教場』へとなだれこんで来てほしい、という願望ありあり。
そんな「キムタク祭り」の作戦にのって騒ぐのには多少抵抗感があった人もいたはずです。  

という状況下、1月4日、5日2夜連続で放送されたスペシャルドラマ『教場』。
木村さんは適正の無い人間を容赦なくふるい落とす鬼教官・風間公親として、異形の風貌で登場してきました。
 案の定、登場してしばらくの間は、何とも居心地の悪い浮遊感が漂っていた。
「鬼」と呼ぶにはドス黒い迫力が欠けている印象か。
セリフにキムタク節の抑揚やクセもちらり感じられたりして、鬼教官よりも「木村拓哉」が前面に出てくるのかどうか、視聴者としてはとまどいつつ見ていました。

 しかし。物語が展開していくにつれて、「鬼教官」としてのキャラクターがしっかりと立ち上がってきたのです。
 静かで落ち着きのある怖さ、何を考えているのかわからない不気味さ、メガネの奥にのぞく瞳の不自然さ、ピクリとも動かない顔の筋肉。鬼教官・風間の暗さと凄まじい集中力とが、見ている人をぐいぐいと惹き付けて最後まで離しませんでした。

 もうこの人を、「キムタク」とか軽々しく呼んではいけないのかもしれない。
「何をやってもキムタク」という言葉を封印すべき時がきたのかと感じさせるほど、役者としての決意が伝わってきたのです。

 世の中、ファンと同じくらい突っ込みを入れようと待ち受けている辛口視聴者がたくさんいます。
そうした人々を前にして、演技で説得しねじ伏せるのは、並大抵のことではない。
その意味で正統派役者・木村拓哉の誕生の夜、だったのではないでしょうか。

もう一つ、このドラマで指摘したいのは役者陣の素晴らしさでした。
 警察官になる夢を叶えるべく入校してきた生徒たち──宮坂定に工藤阿須加、落ちこぼれの平田和道に林遣都、元インテリアコーディネーター楠本しのぶに大島優子、自信過剰な菱沼羽津希を川口春奈、仲間と馴染まない都築耀太を味方良介。

 一人一人が役者として人物を造形する力を発揮し、目の前にいる「木村拓哉」の重さに動じず、同じ比重で立ち向かっていこうとする姿勢が印象的でした。
 例えば工藤さん演じる宮坂が、風間教官を前に一対一で「補習」されるシーン。
教官の指示に素早く反応し、警察官としての所作を一つ一つこなしていく。
敬礼をする。
手錠を出す。的確にぴたりと動作をし、また元に収める。
二人は演技でしっかりと対峙し、拮抗しているように見えました。

 これまで多くの場合、ヒーローとしての役を固定され、結果としてヨイショされてきた木村さん。
本人が望むか望まないかに関わらず、一人だけ高い位置に立つ構造も多かった。
 しかし、このドラマは役者たちの頑張りもあって、水平的な位置取りで鬼教官と生徒が向かい合った。他の役者と水平的な関係になった時、「木村拓哉」はまた違う味わいを見せることができる。
それがはっきり伝わってきたのです。

その意味で、このドラマは「ヒーローとしてのキムタク」を葬ることができた作品かもしれません。

 唯一、残念だった点があります。
それは、短い時間の中にいろいろと多彩な生徒たちのエピソードを凝縮して詰め込みすぎた点。
これならスペシャルではなくて、むしろ連続ドラマで見たかった。

 学校という場所の特徴は多くの生徒がいること。
だから、一人一人育った環境、抱えている問題も違い各人の個性から家庭、過去までをバリエーション豊かに描き出すことが可能です。
今回の役者たちが優れていた分、一人一人の人間性をもっと味わいたかった……と感じさせるくらい、『教場』は興味深い仕上がりだった、ということでしょう。

 気になるのは最後にさらっと映ったシーン。
風間が次に担当する教室の中に、なぜか佐久間結衣、上白石萌歌、伊藤健太郎、三浦貴大らが座っていた。
ということはすでに続編が仕込まれている兆しなのか。
制作陣の手の内に、まんまとはめられてしまうのもまた、ドラマ好きの至福かもしれません。
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2020年01月10日

安倍首相、「内憂外患でもゴルフ」の本当の狙い

安倍首相、「内憂外患でもゴルフ」の本当の狙い
イラン攻撃、IR疑惑噴出でも余裕をアピール
2020/01/09 東洋経済オンライン

泉 宏 : 政治ジャーナリスト

令和2年の政治は波乱の幕開けとなった。
年明け早々、アメリカによるイラン革命防衛隊司令官の殺害で中東情勢が緊迫化。
2019年末には日産自動車前会長のカルロス・ゴーン被告が保釈中にレバノンへ逃亡し、統合型リゾート施設(IR)事業に絡んだ収賄容疑で秋元司衆院議員(自民党を離党)が逮捕されるなど、内外で政治的にきな臭い動きが同時進行している。

そうした中、安倍晋三首相はこれらの事件に表立った反応をせず、余裕の表情で年末年始の休暇を満喫した。
仕事始めの1月6日の伊勢神宮参拝後の年頭記者会見では、「五輪・パラリンピックが開催される歴史的な年を、日本の新時代を切り開く1年とする」と決意表明。
7日の新年会などでは2021年9月の任期満了までの1強政権維持に意欲と自信をにじませた。

アメリカ、イラン双方の橋渡し役に 安倍首相は年頭会見の中で、緊迫する中東情勢について「現状を深く憂慮しており、事態のエスカレーションは避けるべきで、すべての関係者に外交努力を尽くすことを求める」と語り、アメリカ、イラン双方と友好関係を維持する日本の立場も踏まえて、「日本ならではの外交を粘り強く展開する」と両国の橋渡し役となる考えをアピールした。

しかし、8日にイラクにある駐留米軍基地に対してイランがミサイル攻撃をし、事態が一段と深刻化したため、11日から予定していた安倍首相のサウジアラビアなど中東3カ国の歴訪は延期の方向となった。
政府が年末に閣議決定した海上自衛隊の中東派遣方針については、菅義偉官房長官が8日午前の記者会見で派遣方針に変更はないと説明した。

ただ、トランプ大統領が仕掛けた今回の米イラン対立は「中東全体を巻き込んだ大規模戦闘にもつながりかねない」(中東専門家)だけに、「日本が下手に手を出せばやけどをする」(外務省幹部)との不安は拭えない。
今後、状況が報復合戦の様相となれば、自衛隊艦船が武力衝突に巻き込まれる危険も拡大する。

防衛省の元幹部も「戦闘に巻き込まれる可能性が高まれば、自衛隊派遣は再考すべきだ」と指摘しており、派遣自体が政権運営のリスクにもなりかねない。

2019年末から政界捜査が急進展したIR汚職事件も、安倍首相にとって頭痛の種だ。
約10年ぶりに国会議員として逮捕された秋元容疑者は、IR参入を目指していた中国企業から、IR担当の内閣府副大臣として数百万円の賄賂を受け取ったとされる。
東京地検はほかの自民党議員・元議員の事務所を捜索する一方、中国企業からの資金提供の対象となった超党派のIR議連メンバーの自民4人と日本維新の会1人の5議員からも事情聴取を進めているとされる。

自民議員4氏はそろって「金はもらっていない」と否定しているが、同議連副会長で維新の下地幹郎・元郵政民営化担当相は、6日の記者会見で100万円を受け取り、政治資金収支報告書に記載していなかったことを認め、維新に離党届を提出した。
松井一郎・維新代表(大阪市長)は「議員辞職すべきだ」と厳しい姿勢を示した。

下地氏が議員辞職すれば、自民議員4氏のいずれかが金を受け取っていたことが発覚した場合、議員辞職を迫られることになり、政権への打撃は少なくない。
IR法はもともと、安倍首相が打ち出した成長戦略の一環として、政府与党が2016年暮れの臨時国会で強引に成立させた経緯がある。
このため、主要野党は通常国会で政府に整備中止を迫る方針だ。

菅義偉官房長官は6日の民放テレビ番組で「IRは日本が観光大国を目指すうえで必要だ。
これ(整備)と今回の事件は明らかに次元が違う」と強調。
政府として事業を推進していく考えを強調したが、通常国会の与野党攻防の大きな争点となるのは確実だ。

政権を揺さぶるゴーン被告の大脱走
菅氏は自民党の二階俊博幹事長とともにIR事業推進の旗振り役ともみられている。
与党内では「事件が大規模なIR疑獄に発展すれば、菅氏らの立場も苦しくなる」(閣僚経験者)との声も出る。
安倍首相はIR汚職についての質問に反応することを避けているが、捜査の進展次第では厳しい対応を迫られる可能性が大きい。
ゴーン被告の大脱走も政権を揺さぶっている。
日本の司法制度をあざ笑うようなレバノンへの脱出劇はスパイ映画さながらで、世界中のメディアが注目し、さまざまな情報が飛び交っている。
ところが、司法トップの森雅子法相が記者会見して「被告人が日本を出国した記録がないことが判明しているので、不正な手段を用いて不法に出国したものと考えている」などと認めたのは、ゴーン被告の脱走から1週間以上経った1月6日のことだ。

ゴーン被告は8日夜(日本時間)にベイルートで記者会見するなど、日本の司法との対決姿勢を国際社会にアピールし、日本政府の対応も問われる状況となった。
日本の司法制度が踏みにじられたにもかかわらず、安倍首相も記者の質問を回避し続けている。

政治的にきな臭い事件が相次いだ年末年始だったが、安倍首相は9連休を満喫した。
ゴルフにも4回出かけ、大学時代の友人や財界関係者、さらに親族や秘書官と名門ゴルフコースでプレーし、「おかげさまでゆっくりしました」と笑顔をふりまいた。
休暇のほとんどは都心部の高級ホテルで過ごし、食事は連日、家族や友人と中華、フレンチ、和食に舌鼓を打ってご満悦だったとされる。
安倍首相がことさら余裕と自信をアピールしたのは、自民党内での反安倍の動きを牽制する思惑もあるとみられる。

ポスト安倍を目指す面々は、石破茂元幹事長を除いて首相の顔色をうかがう状況が続いている。
安倍首相は年末年始の民放テレビインタビューなどで、自らの後継候補について、岸田文雄政調会長、茂木敏充外相、菅義偉官房長官、加藤勝信厚生労働相の4人の名前を挙げた。
安倍首相が後継者について個別の名前を表立って並べたのは初めてで、あえて石破氏の名を外したことも注目される。

安倍首相の「意中の人物」は岸田氏との見方が多く、首相も「大変誠実で、岸田氏といると居心地がいいと感じる人が多い」と評価。
別の番組のインタビューでも「岸田さんも次の総裁選に出ると明確におっしゃっている。
もうバットをぶんぶん振っている。
もうじきその音が聞こえてくる」と岸田氏への期待を強調してみせた。

一連の発言について、自民党内では「首相は今後も1強を維持し、ポスト安倍でも主導権を発揮して退陣後も院政を敷くことを前提に政権運営を続けるつもりだ」(閣僚経験者)との見方が広がる。

子年のジンクスはあるか?
ただ、歴史を振り返ると子年は「時の首相にとって不吉な干支」(政界関係者)でもある。
60年前の1960年には首相の祖父の岸信介首相が日米安全保障条約を国会で成立させた際の「安保闘争」の混乱の責任をとって退陣した。
その12年後の1972年には長期政権を築いた首相の大叔父の佐藤栄作首相が退陣して、今太閤ともてはやされた田中角栄首相が登場している。
さらに1996年には年明け早々に日本社会党(当時)の村山富市首相が突然退陣を表明。
2008年には福田康夫首相が「あなたとは違うんです」という“迷言”を残してわずか1年で退陣した。

安倍首相は、今年8月に佐藤氏の連続首相在任記録を抜くが、祖父や大叔父も退陣した「子年のジンクス」は他人事と言えそうもない。
安倍首相は党の仕事始めや都内で開催された複数の新年会に出席した際のあいさつで、「桃栗三年柿八年」のことわざに引っ掛けて「柚子は9年の花盛り。柚子までは責任を持って大きな花を日本に咲かせたい」と述べ、政権9年目となる2021年まで政権を維持する考えをにじませた。

党内の一部でささやかれるいわゆる「五輪花道説」を否定することで「ポスト安倍の動きが顕在化することを防ぐ狙い」(自民幹部)の発言と受け取られている。
安倍首相は同時に、やはり子年だった西暦1600年の関ヶ原の合戦にも言及し、年内解散断行の可能性を示唆した。
関ヶ原の合戦は10月21日だったことから出席者からは「やはり五輪後の10月解散・11月投開票を狙っている」(有力財界人)との声も相次いだ。

こうした安倍首相の発言について、政界では「約1年9カ月後の任期満了までの安倍1強維持への自信と不安が交錯しているからでは」(自民長老)との見方が広がる。
6日の株式市場は日経平均株価が一時500円以上下落し、8日には中東情勢が緊迫化したことを受け、再び急落した。
オリンピック後の景気悪化も予測される中、先行きの不安が拭えないスタートとなっている。
そうした中、安倍首相が「子年のジンクス」を乗り越えて1強を維持できるのかどうかも極めて流動的だ。

「今年は、何が起こるかわからない予測不能の政局が続く」(自民幹部)とされるだけに、余裕の表情とは裏腹に、安倍首相が年明け早々から「出たとこ勝負」の緊迫した政権運営を強いられることは間違いなさそうだ。
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2020年01月11日

「がん保険」はぼったくり…民間の医療保険は本当に必要か?

「がん保険」はぼったくり…
民間の医療保険は本当に必要か?
2020年01月10日 SPA!

三大疾病「がん・脳卒中・心筋梗塞」が急激に増える40〜50代。
実際にそれらを発症しながら生還した人、病の実情と生き残る方法や気になる治療費など徹底取材した。
今回は本当に必要な保険とは何か考える。

◆命とお金の天秤の不正解。本当に必要な保険とは!?
「ほとんどの病気は、健康保険と50万円程度の貯蓄で対応できると見ています」と語るのは、保険コンサルタントの後田亨氏だ。
その理由は?
「三大疾病において、安全と有効性が証明された標準治療は既に保険適用になっています。

保険適用外の先進医療とは、実効性が十分証明されていない治療です。
また、健康保険には所得や年齢によって支払う医療費の上限が決まる『高額療養費制度』があります。
自己負担額が抑えられるんです。

 例えば、年収336万〜600万円だと、自己負担の上限は4か月目までは月『8万100円+α』で、それ以降はさらに引き下げられます。
私の顧客の現役医師たちも『大病であっても、保険適用の治療を受ける限り、医療費は50万円程度まで見ておけばいい』と言います」

 とはいえ、「命とお金は天秤にかけられない」という考え方もあるが……。
「国立がん研究センターのデータによれば『現在40歳の男性が10年以内』にがんと診断される確率は1%。
50歳で5%です。
これらの確率から計算すると『がん保険』の保険料は暴利を疑われる水準です。

 健康保険が使えない治療なども含め『あらゆる手を尽くしたい』という気持ちは、わかるつもりですが、民間の保険でお金を用意するには、妥当とは思えないコストがかるのです。
広告などに恐怖を煽られてはいないか、冷静に判断すべきです。

加入するにしても、会社員は社員向け団体保険から検討したほうがいいです」
 特に終身型に飛びつくのは、愚の骨頂だ。
「遠い将来のリスクを正しく把握できる人などいませんから、長期契約になるほど保障内容が時代に合わなくなる可能性が高まります。
保険が有効なのは、当面の保障なのです」

 有効な保険の入り方は?
「子供がいる世帯主の死亡保険、病気やケガで長期間働けなくなった時に備える就業不能保険は、大金が必要になることもあるので検討に値します。

保険料が安い『団体保険』やネット生保などから検討しましょう」
 お金を多く払えば命が助かるわけではなし。
冷静に。

保険の正解
1.医療保険の代わりに50万円貯蓄しておく
2.会社員はまず団体保険を検討する
3.お金と命の保障は別物。冷静な判断をするべき

後田 亨氏】保険コンサルタント オフィスバトン
「保険相談室」代表。保険の有料相談の第一人者。
『「保険のプロ」が生命保険に入らないもっともな理由』(青春出版社)など著書多数

取材・文/週刊SPA!編集部
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2020年01月12日

赤っ恥検察 ゴーンを批判する暇あるなら総理の犯罪捜査を

赤っ恥検察
ゴーンを批判する暇あるなら
総理の犯罪捜査を
2020/01/11 日刊ゲンダイ

 いくらムキになって反論しても後の祭りだ。
逃亡先のレバノンで開いた日産前会長のカルロス・ゴーン被告の捜査批判会見に、東京地検が全面対決である。
「日産と検察に仕組まれたという主張は不合理で、全く事実に反する」

 東京地検の斎藤隆博次席検事は9日、隔週開催の定例会見を1週間早めて開き、海外メディアを含む約30人に、起訴内容や捜査状況を詳細に説明。
普段なら30分で終わるのに、約1時間20分もかけてゴーンの主張を逐一否定してみせた。

 ゴーンの「取り調べは1日8時間にも及び、弁護士の立ち合いもなく、自白を強要された」との発言を、斎藤氏は「虚偽の事実を前提とし、全くの見当違い」と一方的に腐し、実際は1日平均4時間弱だと主張。
日曜以外は1日2時間前後は弁護人と接見し、取り調べの様子は録音・録画しており、自白の強要はなかったと強調した。  

まるでガキの言い争いだが、地検はよっぽど悔しいのだろう。
斎藤氏は裁判で立証しようとする「手の内」まで明かしたから、驚いてしまう。

 役員報酬を過少記載したとされる有価証券報告書の虚偽記載事件では、ゴーンが毎年度1円単位で「未払い報酬」を確認し、別名目で受け取る準備をしていたと“暴露”。
偽証の疑いで、ICPO(国際刑事警察機構)に国際手配まで要請したゴーンの妻・キャロル容疑者についても、「ゴーン元会長の勾留中に元会長の意思を受け、関係者に接触して罪証隠滅を行った」と糾弾。
ゴーンの前妻にも接触し、多額の金銭を支払い、口止めをした疑いがあることまでバラしたのだ。

首相こそ堂々と潔白を主張すべき
 さらに地検は「被告人ゴーンは処罰を受けることを嫌い、国外逃亡した」と断じた日本語版と英語版の文書をHPで公開。

普段は情報発信に後ろ向きで、裁判以外の場で個別の事件には言及しない検察としては、極めて異例の対応だ。
 この日は森雅子法相も2度も会見。
「潔白と言うなら、日本で裁判を受け、正々堂々と無罪を主張すべき」とゴーンにかみつき、その発言をわざわざ英語とフランス語で翻訳し、法務省と検察のHPに掲載した。

 日本の刑事司法制度への国際的な批判やイメージ悪化を警戒し、斎藤氏も森も世界の目を意識して国の威信を背負っているかのように猛反論。
とはいえ、ゴーンにぬけぬけと逃げられてしまった以上、負け惜しみにしか聞こえない。

 そもそも、歯ぎしりしながら立証すべき事案をオープンにするなんて、地検はゴーンを日本の裁判にかけることを暗に諦めているようなもの。
もはや手も足も出ないことを認めたに等しい。

「ご都合主義のゴーン被告と明確な証拠を示せない地検は、どっちもどっち。
ゴーン被告にボロクソに言われたから、地検も対抗せざるを得ないのでしょうが、相手の身柄が遠くレバノンにある以上、いくらゴーン被告の罪状を並べ立てても立証は厳しい。
いくらゴーン被告に反論しても、結局は水掛け論にしかなりません」(元検事で弁護士の落合洋司氏)

 斎藤氏や森の発言は、ゴーンに「バカげている。日本の司法制度は完全に時代錯誤だ」とコケにされる始末。
死んだ子の年を数えるような司法当局の負け惜しみには、醜悪さすら漂うのだ。

 ゴーンに逃げられた東京地検特捜部はカジノ汚職の捜査を拡大。
手あたり次第に関係者を事情聴取し、関係先を捜索している印象だ。
 収賄容疑で逮捕した衆院議員の秋元司容疑者を14日にも再逮捕する方針。
どうにか賄賂の総額を1000万円前後に積み上げようと躍起のようだが、国会議員が不逮捕特権に守られる通常国会の召集は20日だ。
 それまでの捜査の成果が“チンピラ”議員1人をパクッただけでは、特捜部のメンツは丸潰れである。

 カジノ捜査にやみくもとなり、逃げたゴーンに未練タラタラになっているぐらいなら、特捜部はいっそ、「総理の犯罪」を追及すべきだろう。
安倍首相主催の「桜を見る会」の闇に切り込んでこそ、「赤っ恥検察」の汚名を返上できるというものだ。

政治資金に詳しい神戸学院大教授の上脇博之氏(憲法学)はこう言った。 

「安倍首相の地元有権者に対する飲食接待は公職選挙法違反にあたり、いわゆる収支報告書に一切記載のない『前夜祭』も政治資金規正法違反の疑いが濃厚です。
また、本来の会の趣旨から逸脱し、与党の後援者や反社会的勢力を招待するのは税金の目的外支出となり、財政法にも反する。
さらに当初予算の3倍以上に支出が膨らんだ年もあるなど、予算の枠をはみ出すことが常態化。
ケータリング会社への支出だけでも当初予算を超えるほどで、要するに呼ぶ必要のない人々を呼んでいたということ。

予算の超過分は国に損害を与えたことになり、主催者の安倍首相は背任罪で問われるべきです。
これだけの法令違反を放置するのは検察の怠慢です。
背任罪の時効は5年。逃げられたゴーン被告に未練を残すより、目の前の立件すべき事件の捜査に着手することを望みます」

■行政府を挙げた逃亡幇助に証拠隠滅
 年が明けてからも、桜を見る会の疑惑は次々と噴出している。
 昨年の飲食提供などの関連業務を巡り、内閣府が入札公告前に昭恵夫人と懇意のケータリング会社と打ち合わせをしていたことが判明。
飲食物の提供について、内閣府は業者を事前に審査する「企画競争入札」を実施したが、受注を前提とした事前打ち合わせは出来レースをにおわせる。

 しかも、この会社は2014〜19年にかけて飲食提供を連続受注していた。
またもやアッキー人脈の“威光”が影響したのではないかとの疑念は晴れない。
 13〜17年度の5年分の招待者名簿については、内閣府の法を逸脱した管理の実態が浮き彫りになった。
公文書管理法が義務づける行政文書の管理簿への記載を怠り、政府のガイドラインが定める廃棄簿への記載がないなどルール無用状態。

5年にわたって単純ミスを繰り返すのは、あまりにも不自然だ。
桜を見る会の名簿ということで、内閣府が組織ぐるみで隠蔽を図ったとしか思えない。

 法大名誉教授の五十嵐仁氏(政治学)がこう言う。
「桜を見る会の問題は、まさに総理夫妻の犯罪であり、官僚機構を巻き込んだ一大疑獄の様相を呈しています。
森法相は『身の潔白を主張するなら、堂々と日本の裁判で立証すべき』とゴーン被告に訴えましたが、同じことは安倍首相にも当てはまる。

やましくなければ国会から逃げず、堂々と身の潔白を主張すればいい。
ところが、ゴーン被告のように逃げ回り、行政府を挙げて首相の逃亡幇助と証拠隠滅の手助けをしている状態です。
この疑獄はもはや見過ごせないレベルなのに、検察が動かないことを国民はよく見ていますよ」
 政治の信頼を取り戻し、司法のケジメをつけるためにも、特捜部は税金私物化の本格捜査に乗り出すべきだ。
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2020年01月13日

医師が教える「病院で円滑に診察を受けるコツ」

医師が教える「病院で円滑に診察を受けるコツ」
どうすれば「症状」をうまく伝えられるのか
2020/01/12 東洋経済オンライン
上原 桃子 : 医師・産業医

冬到来のこの時期、風邪やインフルエンザなどで医療機関を受診される方が多くなると思います。
しかしいざ診察が終わってみると、思うように自分の症状が伝えられなかった経験はありませんか?
 今回はそうなってしまう原因と、その対策についてお伝えしたいと思います。

医師と話すのは緊張するもの
初対面の人と1対1で話すのは、誰でも緊張するものです。
さらに病院の診察室は医師からすればおなじみの空間ですが、患者にとっては非日常の空間です。
しかも自分の症状を伝えて判断を下されるわけですから、さながら面接室のように捉える方もいるかもしれません。
また、近年は電子カルテの普及によって、パソコンの入力画面ばかり見て患者のほうを見ない医師もいます。

人は自分の話をするとき、相手の表情や仕草、いわゆるリアクションを見ながら話をします。
仏頂面でノーリアクションの人と、うんうんと笑顔でうなずいてくれる人、どちらが話しやすいかといえばきっと後者でしょう。
画面のほうを向いて無表情でうなずくような医師に対して話すとき、私たちはより一層圧迫感を覚え、何を話せばいいのかわからなくなってしまうのです。
これは医師側の問題ではありますが、一方で、患者から聞いた情報を正確に書き留めておくのもまた、医師にとって必要な仕事です。

患者側も、矢継ぎ早に、とりとめもなく話すのではなく、伝え方に工夫をすることでお互い余裕をもって話ができるのではないでしょうか。
例えば、自分なりに伝えたいことのメモを事前に作っておく。
これだけでも自分の中で話題が整理され、伝え忘れもぐんと少なくなると思います。
発熱を伝えるときの体温の変化など、言葉で表しにくいことは、メモを直接医師に見せてもよいでしょう。

そうは言っても、何をどうやって伝えたらいいのかわからない。
そんな声を多く聞きます。
その原因の1つは、診察のはじめに聞かれるお決まりの質問、「今日はどうされましたか?」にあると思います。

「はい、いいえ」や「AかBか」で答えられない、この答えの幅が広い質問はOpen Questionと呼ばれます。
患者が話したいことを自由に話せるように、という趣旨の質問ですが、何を話せばいいのか、かえって混乱してしまうのです。

そんなときは、今自分が一番困っている症状を話しましょう。
そのまま自分が話し続けるか、医師から質問が来るかはその状況次第ですが、ここで診察の流れを知っておくとスムーズです。
医学生は診察のトレーニングをする際、症状を聞く基本的な流れをOPQRSTという語呂合わせで覚えます。

O(Onset)はいつから症状が出たのか、
P(palliative/provocative)は症状がよくなる(悪くなる)行動、
Q(quality/quantity)は症状の様子、
R(region/radiation)は症状の場所、
S(associated symptom)はその他の症状、
T(time course)は時間の経過です。

頭痛を例にしますと、「2週間前から痛い・眠ると頭痛がおさまる・ズキズキ痛む・頭の後ろが痛い・発熱と鼻水もでる・これらが2週間続いている」といった具合です。
経過についてはなるべく時系列に沿って伝えるといいでしょう。

このように、症状を伝えるときには、一番困っている(気になる)症状を主にして伝えるようにしましょう。
すべての医師がこれに沿うとは限りませんが、少なくとも自分から症状を伝える際は参考になるかと思います。
情報の過不足は医師が決めることで、もし足りなくても追加で質問されるので問題ありません。

多くの症状を伝えることに遠慮してしまう
とはいえ、熱もある、鼻水も出る、腰もちょっと痛いかも……と次々に症状が浮かんでくると、こんなに多く情報を伝えるとかえって医師を混乱させてしまうのでは?と思ってしまう方もいらっしゃいます。
その結果、「よく考えると、たいしたことないかも」と自分で勝手に決めつけてしまい、本来重要であるかもしれない症状を伝えずに診察を終えてしまうのです。

「聞かれなかったからそれ(症状)は言わなかった」という話もよく聞きます。
しかしながら、先程も申し上げましたように、情報を集めて過不足があるか、重要かどうか判断するのは医師です。
いくら診察に慣れた医師でも、顔を見た瞬間に相手の生活状況や隠れた症状、病気の名前がわかるわけではありません。
幾つかのキーワードを繋ぎ合わせて、知識と経験則から診断するのです。
少しでも気になることがあれば遠慮せず伝えましょう。
もしかしたらそれが、診断につながる重要なキーワードになるかもしれません。

対策をまとめると、
@必要ならばあらかじめメモを作っておき、
A自分がいま一番困っていることから時系列に沿って詳しく話すこと。
Bその際に、一番気になることを主軸に伝えること。
➃どんなに小さなことでも、気になることは医師に伝えること。

診察は、医師と患者のコミュニケーションです。
医師が患者に話しやすいと思われるよう努力するように、患者側からも医師へ歩み寄る姿勢が医師との信頼関係を築きます。

これらを1つでも心に留めておくことで円滑な診察を受けられると思いますので、ぜひ実践してみてください。
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2020年01月14日

故・日野原重明さんは、あの「地下鉄サリン事件」でどう行動したか

故・日野原重明さんは、あの「地下鉄サリン事件」でどう行動したか
1/13(月) 現代ビジネス

「とにかく助ける」
 誰の人生にも、大きな決断を求められる瞬間というのはやってくる。
そういうときにこそ、人間の度量が試されるものだが、元聖路加国際病院院長の日野原重明さん('17年に105歳没)にとって、それは'95年に83歳で遭遇した「地下鉄サリン事件」だった。

内科医として、聖路加看護大学の学長や、国際内科学会会長などの要職を歴任してきた日野原さんは、80歳にして院長への就任を請われ、無給で職務にあたっていた。
 3月20日の午前8時30分、日野原さんはいつもどおり朝の6時40分に自宅を出て病院に出勤し、7時半から幹部を集めた定例の会議を開催していた。
そこに、事件の一報が届く。

 「地下鉄で、大きな爆発事故が起きたようだ」
 8時40分には、病院内に緊急の呼び出しがかかり、医師たちが救急センターに集まってくると、救急車がけたたましいサイレンを鳴らしながら、次々と患者を運んできた。
 「目が痛い」と泣き叫ぶ人がいれば、すでに心肺停止の人もいる。

 「いったい、何が起こっているのか」
 目を覆いたくなるような光景に、日野原さんは絶句した。
当時、聖路加病院の救急部の医員として現場に立っていた奥村徹氏が回想する。

 「火事か爆発かという話だったのに、実際に患者が来てみると、誰も煙を見ていないし、爆発音も聞いていない。
みんなが『なにか、おかしいな』と考えている間にも、重症や重体の人々が次々と運ばれてくる。
 普通、心肺停止の人は瞳孔が広がるものですが、それがあのときの患者は全員が『縮瞳』といって、小さくなっていた。『これは異常だ』と現場も動揺していました」

 今でこそ、そうした健康被害がサリン散布の影響によるものだったことは広く知られているが、事件直後にその状況は明らかになっていない。
 何もわからぬまま、集まってくる患者の数は刻一刻と増えていく。
パニックになってもおかしくはない状況のなか、日野原さんはベテラン医師らしい冷静さで状況を見極めていた。

 「何が起きているかはわからないが、いまはとにかくこの患者さんたちを助けるしかない」

「責任は自分が取る」
 一度腹をくくると、日野原さんの動きは年齢を感じさせないほど早かった。
すぐさま緊急事態宣言を出し、その日の外来診療の受付を中止。
すでに麻酔のかかっていた患者を除くすべての手術を延期してオペ室を空けた。
 短時間の間に約100人の医師と、300人の看護師や助手、そして聖路加看護学校の学生も含め、病院の総力をあげて緊急態勢を整えた。

 ちなみに当時、建て替えられたばかりだった病棟は、大災害の発生を見据えた日野原さんの要望により、壁面に酸素の配管が2000本近く張り巡らされ、収容所として使えるように広いロビーや礼拝堂施設まで設けられていた。
こうした環境が、応急処置場として活用されることになる。

 「日野原先生は、あれだけの人なのに権威主義的なところがまるでなくて、院内で『ひのじぃ』とあだ名される存在でしたが、あのとき見せたリーダーシップは素晴らしかった。
 『来た患者さんは責任を持って聖路加で診る。断るな』と基本方針を決め、『最終的な責任は俺が取るからあとは自由にやってくれ』と。
現場を信頼し、すべてを任せてくれた。
おかげで、みんなが持てる力を尽くして処置にあたることができました」(前出・奥村氏)

 日野原さんはまず、外科系の副院長に「トリアージ」を実施させた。
これは、患者の症状を見極めて、重症、中症、軽症にわけ治療の優先順位をつけていくというもの。
 患者の生死を左右するため、一瞬の判断力が要求される。
平時の医療現場では行われることはないが、サリン事件のように症状の程度が違う患者が次々と搬送される状況には不可欠の処置だった。

 そして内科系の副院長には原因の究明を指示
看護部長を兼務した副院長には、退院できる患者を退院させて治療のスペースを確保させた。

「救える人を救うのは当たり前じゃないか」
 こうして、トップとしての決断が必要な部分で的確な指示を出すと、あとは部下たちに任せて、病院内を飛び回った。  

「外部に対する情報の公開も迅速でした。
混乱している患者さんや一般の人たちに向けて『いま、何が起きて、どこまでわかっているのかをすぐに伝えなくてはダメだ』と、10時半には緊急の記者会見を開いた。
 運ばれてきた患者さんたちに向けては、状況を説明した小さな紙を作って随時配布していました」(奥村氏)

 この一日だけで聖路加国際病院は640人の患者を収容、事件後1週間で対応した延べ患者数は、約1600人にのぼった。  

のちに病院のある日比谷線の築地駅は、小伝馬町駅、霞ケ関駅に次いで多くの被害者が出た駅だったことが判明する。
全病院をあげて患者を受け入れるという日野原氏の見事な決断がなければ、犠牲者はもっと増えていただろう。
 「あとになって『いろいろな病院に分散して治療するのが正しかったのではないか』と批判する声もありましたが、日野原先生はどこ吹く風という感じでした。
『緊急時に救える人を救うのは当たり前じゃないか』という感覚だったのだと思います」(奥村氏)

 そしてこの経験は、日野原さん自身のその後の人生にも大きな変化をもたらした。
翌'96年に院長を退き、理事長に就任すると、自らの経験を世の中に伝える活動に精を出すようになったのだ。
 生前、日野原さんが死の直前まで連載を続けていた雑誌『ハルメク』の副編集長・岡島文乃氏が回想する。
 「晩年まで信じられないような過密スケジュールの中で仕事をされていました。
内科医として診療の現場にも立っていたし、各地で講演もたくさん入っていた。

 『医療の最新情報はやっぱり向こうに行かないと手に入らない』と、年末にはかならずアメリカに出張もされていた。
あまりにもお忙しいので、お昼ご飯のあいだや、移動中の車内などで話を聞かせていただくことも度々でした」

誰のために100年を生きるか
 なぜ、そこまでして働き続けるのか。
日野原さんは「召命」という言葉で表現していた。

 「『この命は人のために生きるよう授かったものなのだ』ということでした。
お父さんが牧師さんなので、キリスト教の考え方もあったと思いますが、いっぽうで、地下鉄サリン事件など医師として立ち会った極限の現場で見たことが、先生の人生観に大きな影響を与えたことは間違いないでしょう。
 本当に立派な方でしたが、チャーミングなところもたくさんありました。
講演会でも『いくつですかと聞かれると、いつも65歳と答えちゃうんですよ』なんて冗談を飛ばして会場をドカンドカンと沸かせていた」(岡島氏)

 むろん、誰もが日野原さんのように、最晩年まで働き続けることができるわけではないし、無理をしてまで誰かに尽くそうとする必要もないだろう。
 だが、「何歳からでも創めるのに遅くはない」と説き続けた日野原さんの生きざまは、我々に勇気を与えてくれる。

 「今のように『人生100年時代』と言われるずっと前から、
日野原先生は『人はいくつになっても変わることができるのだ』と信じ、自身も最期までそれを実践された方でした。
 『より良く生きたいという思いを抱き続ける人にこそ、幸せは訪れる』。
先生の言葉を、私は生涯忘れることはないと思います」(岡島氏)
 105年という途方もない道のりを、鮮やかに駆け抜けた一生だった。

 週刊現代
2019年12月28日・2020年1月4日合併号より
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安倍政治、漂流する最長政権の内実 その限界と欠落する二つの要素

安倍政治、漂流する最長政権の内実 その限界と欠落する二つの要素
2020/01/14 全国新聞ネット

 安倍晋三首相は新年恒例の伊勢神宮(三重県伊勢市)を6日に参拝した。
その直後の記者会見で、夏の東京五輪・パラリンピックを挙げ「この歴史的な年を日本の新時代を切り開く1年にしたい」と高々と宣言した。

首相は昨年11月19日、近代以降の内閣制度の下で最長在任日数となった。
もっともそこに祝賀ムードはなかった。
「桜を見る会」では自身の公私混同が厳しく問われた。
自衛隊を派遣する中東の情勢は緊迫化し、カジノを含む統合型リゾート施設(IR)事業を巡る汚職事件は元内閣府副大臣の逮捕に発展、捜査の行方は見通せない。

 政権に向かう国民のまなざしは厳しさを増している。
20日に召集される通常国会では、越年したこれらの問題から逃れられないだろう。
最長政権となった安倍政権のこれまでを振り返りながら、波乱が想定される政権の行く末を考えたい。(東京大学教授=牧原出)

 ■問われる首相の「風格」
 長期政権と言えば、戦前では日露戦争を首相として指導した桂太郎、戦後では高度経済成長後半期に沖縄返還を成し遂げた佐藤栄作をはじめ、伊藤博文、吉田茂、小泉純一郎、中曽根康弘が居並ぶ。
これら名宰相と比べ、首相安倍晋三にそれほどの高い評価を与えることができるかと言えば、やはり疑問が多い。

 首相の公私混同は、夫人の振る舞いを制御できないことや、森友・加計学園問題など、さまざまな局面で見られる。
首相自らヤジを飛ばして陳謝したり、厳しい質問では答弁に詰まったりする場面は国会の風物詩と化し、直近の国会では与党が首相を国会に登場させないよう国会運営で配慮し始めている。
最長在任の首相に本来あるべき「風格」がないのである。

 ■長期政権の源泉
 何がこの政権を長期政権へと導いたのか。
首相安倍を支える政治家・官僚のチームの組織力は見逃せない。
さえた知性に乏しい首相をチームが幾重にも補ってきた。
経済産業省出身者で脇を固め、経済政策アベノミクスを練り上げるなどこれまでにない突破力と、危機管理にたけた警察出身官僚を中心に防御力を磨いてきたのである。

 最長在任首相となった今、問われるべきは「安倍1強」と呼ばれる政治現象がどこから生まれたかである。
そこには、政権交代が二重の意味で関わっている。

 第一には、言うまでもなく、09年に民主党政権を誕生させた政権交代と、12年の政権交代による現政権の誕生だ。
二度の政権交代後、政権陥落を防ぐことは、自民党内で強いコンセンサスとなっている。
与党は首相の足を引っ張るのではなく、協力して選挙を勝ち抜くことで、与党の座を守ろうと必死になっている。
 これが、自民党という政党から見た政権交代への対処であったとすれば、
もう一つの見方は、安倍自身から見た政権交代だ。
07年の参院選で大敗して政権を投げ出したことが、政治家安倍にとって最大の挫折だった。
その後の福田康夫・麻生太郎政権は、自民党総裁による政権であったとはいえ、野党に奪われたのに近い失意と悔恨をもたらすものでしかなかった。
 07年の失脚からの復活こそが、12年の総裁復帰と政権奪還を図る過程における安倍の一貫した問題意識だったのだ。  

■意図せず長期化、欠落する長期的発想と人材
 個人的屈辱からの克服と、民主党からの政権奪還という二つの意味において政権交代を果たし、成立したのが第2次以降の安倍政権なのである。
現政権は「戦後レジームからの脱却」「美しい国」といった1次政権で顔を出していた復古的要素を脱色した。

代わりにアベノミクスを中心とするデフレ克服施策を前面に打ち出し、外交面では、1次政権で挫折した集団的自衛権を限定的に認める憲法解釈の変更も進めた。
 ここまでが、政権が当初温めていた政策構想であったとすれば、15年夏でこれら政策はほぼ実現したことになる。
その後は、1年から2年間隔で行われる衆・参院選に合わせ、毎年のように1年限りの政策を打ち出すという短期政権のようなスケジュールをこなさざるを得なかった。

 戦後の長期政権との決定的な違いはここにある。
歴代の長期政権は多数の有識者と各省幹部によるチームが、諮問機関やワーキンググループを通じて、中長期的視点からそのときどきの課題に対処してきた。
そうでなければ、講和独立、沖縄返還、民営化、バブル破綻後の産業再生などおよそ不可能だった。

 現政権は、麻生副総理兼財務相・菅義偉官房長官を双頭に、前述の通り官邸官僚が支える体制が強固に作られてはいる。
ただ政策が次々繰り出される現状を見ていると、長期的発想を持つ人材が、安倍政権には不在であるかのようだ。
短期的発想しか持たぬまま、半ば意図せざる形で首相の在任期間が最長となってしまったのだ。

 ■「思考停止」状態のアベノミクス
 確かに場当たり的な政策が目につく。
地方創生、一億総活躍、働き方改革、全世代型社会保障制度改革など目標は極端でありながら、地味で小粒な施策に終始している。
アベノミクスも異次元緩和の継続の先は思考停止したかのようである。

外交では一見熟練したようだが、風格に乏しい首相は、国家安全保障局と外務、防衛両省の十分な支えがあって、ようやく交渉も可能だったというべきだろう。
 個人的な信頼関係もやはりトランプ米大統領との関係に限られる。
中国の海洋進出に対抗し、法の支配に基づき地域の安定と経済発展を目指す「自由で開かれたインド太平洋」構想は21世紀の日本にふさわしい外交方針だ。
ただ安倍首相が進めたと言うよりは、長期政権のもとでとにもかくにも継続できたことで実りつつあると言うべきであろう。

 ■政策選択の幅を広げるが、針路を決める力は不足
 まるで近視眼的で効果に乏しい政策の羅列のようだ。
にもかかわらず、この7年間を大きく見渡せば、20世紀の日本政治とは局面の異なる政治への転換を促しているのも事実だ。
多くの政策が、これからの日本にとって、政策選択の幅を広げる点で一貫している。

 アベノミクスという経済政策の転換は、円高基調であった為替レートを円安基調へと転換し、定着させた。
輸出産業にとって有利な条件を整え、人口減に転じた時期に観光産業を活性化させ、日本社会の門戸開放を進めた。
外国人労働者の受け入れを広く認める政策も同様だ。

日本社会の多様性が格段に増したわけではないが、その条件が整備されたのである。
 また、集団的自衛権を容認する憲法解釈の変更は、激しい反対運動に直面しながらも、安全保障法制の立法にこぎ着けた。もっとも政府は集団的自衛権を行使することには慎重で、ごく限定された条件下とはいえ、米国との防衛協力は進んだ。

 14年と19年の二度の消費増税に、首相自身は必ずしも積極的ではなかったようだが、民主党政権末期に自公民で結んだ「三党合意」を、延期を重ねながらも履行した。
5%の消費税率は10%となり、今後の税制改正はさらなる上昇もあれば、1%程度減税する可能性もあり得るだろう。

 そして、天皇退位である。
明治以降の天皇制が想定していなかった退位は、現上皇の強い意志で国民に提案され、圧倒的多数の支持のもと、今回限りの特例として粛々と退位と新天皇即位の手続きを進めた。
今後天皇は、生涯在位するという従来のスタイルを堅持することもできる一方、国民の支持とともに退位するという選択の余地も残した。

■過渡期のまま終焉に向かう安倍政権の宿命
 長期政権であればこそ、自らの発案であるなしにかかわらず、政治の基本軸となる争点について、選択の幅を広げたのは成果である。
だが残念ながら、短期的思考に制約され、長期的な視点で今後の方向性を示すことはできていない。

政権が新たに取り組んだと自ら主張し、6日の会見でも最重要課題に掲げた全世代型社会保障改革は、年金支給開始年齢の問題といった微修正にとどまり、抜本的な改革へと方向付けているわけではない。
経済政策、安全保障政策、財政政策、象徴天皇制のいずれも方向付けるのは、ポスト安倍政権か、その後の政権となるであろう。
 選択の幅を広げる政治的コストは覚悟して払ったものの、日本の針路を決定づけるほど、世論の先頭に立つ勇気には欠ける。
それが安倍政権なのだ。
長期政権のまま長大に過渡期の中で漂流し、その過渡期のまま終えざるを得ない宿命にあるかのようだ。

■静かな退陣なら大収穫、投げ出しも
 この長期政権をどう終えるかは、第1次政権で屈辱的な退場を演じた安倍首相にとって関心事の一つであることは想像に難くない。
その意味で、自民党総裁任期満了を来年秋に控えた今年1年の政権運営はとりわけ大きな意味を持つだろう。

 桜を見る会で現れた政権の公私混同ぶりは、もはや隠しても隠し通せない問題になっている。
公金を使った行事に地元後援会の関係者を多数出席させていたことは「身内びいき」との印象を国民に与えたし、個人情報を理由に招待者名簿の公表を拒む姿勢は、森友・加計学園問題や自衛隊イラク派遣部隊の日報問題でも繰り返されてきた光景だ。

 憲法改正では、6日の会見で「私自身の手で成し遂げていく考えに全く揺らぎはない」と強がってみせたが、世論の盛り上がりに欠ける上、参院では「改憲勢力」が3分の2の議席を既に失っており、実現可能性はほぼないだろう。
首相が仮に衆院の解散・総選挙に踏み切ったとしても現状の議席を確保できる保証はなく、憲法改正がより遠のく可能性すらある。

 外交で成果をアピールことはできるだろうか。
中東情勢は8日、イランによる米軍駐留のイラク基地へのミサイル攻撃で緊張が一気に高まった。
北朝鮮の非核化問題や米中の貿易対立も混迷を深め、安倍首相の仲裁で華々しく解決することなどほぼ不可能だ。

 国民からの信頼感が摩滅する中で、社会保障制度改革や財政再建といった地味な課題に今後どこまで向き合えるかで、この長期政権の評価が決まる。
その帰結が静かな退陣であれば政権にとっては大収穫であり、一歩間違えれば第1次政権と同様、激しい糾弾を受けた「投げだし」もあり得るだろう。
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2020年01月15日

高度成長期に大ブーム…反戦平和教育と共存した「戦争漫画」の遺産

昭和28年生まれの小だぬきの少年時代とオーバーラップする「戦争漫画」
戦争描写の中での 命の描き方、戦争の虚しさ・犯罪性・・。
「紫電改のタカ」には 今も影響を受けています。

高度成長期に大ブーム…反戦平和教育と共存した「戦争漫画」の遺産
1/14(火) 現代ビジネス(神立 尚紀)

 戦争によって焦土と化した日本が、徐々に復興し、高度成長期を迎えた頃、少年たちを熱狂させたのは、その戦争を題材とした漫画だった。
 学校では、反戦・平和教育が徹底されていた時代に、なぜこのような「戦争漫画」ブームが起こったのか。
その興亡からは、戦後日本の複雑な容貌が見えてくる。

 かつて、1960年代をピークとして、少年漫画誌に太平洋戦争中の日本海軍の戦闘機「零戦」や陸軍の戦闘機「隼」が飛び交い、「紫電改」が乱舞する時代があった。
 軍用機だけではない。当時の少年誌を眺めて見ると、戦艦「大和」、戦車、自衛隊、忍者、馬賊(旧満州で暴れ回った賊。日本人の頭目もいた)……といった、いまでいうミリタリーや歴史を題材にした活劇風の絵が、当時大人気だったプロ野球の長嶋茂雄や王貞治、大相撲の大鵬などとともに表紙を飾っている。

 当時の子供たち(小だぬきも)がどんなものに関心を持っていたか、手に取るように伝わってくるではないか。
怪獣や特撮ヒーローものが人気を博す以前、少年誌にアイドルタレントの水着写真が載るなど、まだ考えられもしなかった時代のことである。
 この時期にはまた、いくつかの出版社から、少年向けの戦史全集が出ていて、通して読めば、戦争の全体の流れがそれなりに頭に入るようになっていた。
何より、執筆・監修者の多くが、当時存命だった元参謀クラスの軍人や、講談社の『少年版・太平洋戦争』シリーズの山岡荘八のような、従軍経験を持つ一流作家だったから、子供向けとはいえ、ずいぶん贅沢なものだった。

 少年漫画誌も、1960年代には中身の3分の1近くが読み物ページである。
戦記本の出版で知られる潮書房光人新社の前身、潮書房光人社の元会長・故高城肇氏も、『週刊少年マガジン』(講談社)に「空の王者ゼロ戦」その他の連載を持っていて、そんな記事はいま読んでも読み応えがある。

 こんな本や雑誌にリアルタイムに胸を躍らせた子供たちの世代は、現在、還暦前後だろうか(小だぬき66歳)。
ときを同じくして発売されるようになった軍用機や軍艦、戦車のプラモデルの人気も、ブームを後押しした。
男の子なら誰でも日本陸海軍機や戦艦の名前、大戦中の主要作戦がすらすら言えた世代。
実際、これぐらいの年配の人に、いまも熱狂的な軍用機、軍艦やプラモデルのマニアが多いようである。

町に「軍隊経験者」が溢れていた時代
 こんな、戦後一時代を築いた少年雑誌の戦争漫画は、いつ生まれ、どのように消えていったのだろうか。

 昭和20(1945)年8月15日、日本の敗戦とともに、それまで一般には知らされていなかった軍事機密の暴露記事が新聞各紙をにぎわせるようになった。
 たとえば、「紫電改」という戦闘機の名前と存在を明らかにしたのは、昭和20年10月6日の朝日新聞がおそらく最初である。
続いて、人間魚雷と呼ばれる特攻兵器「回天」、パナマ運河爆撃に出撃するはずだった潜水空母「伊四百型」、エンジンとプロペラを機体後部に載せた斬新な前翼型の戦闘機「震電」などの存在が次々に報じられる。
 10月22日の毎日新聞では、〈秘密の翼 終戦期の海軍新鋭機〉の大見出しで、紫電改をはじめ海軍の新鋭機が写真入りで特集され、〈生産競争に惨敗 質は世界の最高水準〉と、やや負け惜しみ的な中見出しとともに紹介されている。

 ところが、GHQ(連合国軍最高司令官総司令部)が9月21日に発布したプレスコード(報道統制規則)が効力を発揮するようになり、11月、民間航空全面禁止の指令が出されるとともに、新聞からも旧軍の飛行機に関する記事が消えた。

 それから5年。
昭和25年、GHQによる日本の航空運航禁止が解除されることが決まり、昭和26(1951)年9月、サンフランシスコ平和条約が調印された前後から、太平洋戦争を回顧する本の出版が急増、航空雑誌や旧軍機の記事も息を吹き返す。
プレスコードが失効し、すでに日本国憲法によって保障されていたはずの「表現の自由」が実現したのは、平和条約が発効した昭和27(1952)年4月28日のことだった。
  昭和28(1953)年、出版協同株式会社から出版された『坂井三郎空戦記録』(実際の執筆者は同社社長の福林正之)が大ベストセラーになる。
戦争前期、まだ優勢を保っていた時期に連合軍機をバタバタと撃ち墜とす零戦の姿は、同じ年に始まったテレビのプロレス中継で、外国人の巨漢レスラーを空手チョップでなぎ倒す力道山と同じように、敗戦で「ガイジン」にコンプレックスを抱く多くの日本人を熱狂させた。

いわば、零戦の20ミリ機銃は、力道山の空手チョップのような「必殺技」であったのだ。
 戦争が終わり、新憲法が公布、施行され、GHQによる占領が解かれても、人の価値観や体験から得た皮膚感覚は、10年や20年で変わりきれるものではない。
20歳で終戦を迎えた旧軍人なら、昭和30年で30歳、40年で40歳、50年でも50歳の、働き盛りの年代である。

 昭和38(1963)年、大阪生まれの筆者自身の卑近な例で言えば、子供の頃の昭和40年代、ふだん接する近所の商店主や、「おっちゃん」と呼ぶ年配の男性のほとんどに軍隊経験があり、「ワシは徐州の会戦(昭和13年)に出たんや」「ワシはこう見えて陸軍少尉で爆撃機に乗ってたんやぞ」「ワシは上等兵曹で空母『龍驤』や戦艦『扶桑』に乗っとった』などの回顧談の多くは、いささかの誇張を交えた武勇伝だった。
中華民国軍との戦いで、敵弾が鉄兜(ヘルメット)に命中、貫通せずに鉄兜のなかをグルグル回り、頭に鉢巻状の傷痕が残る菓子職人もいた。
その人は、このときの体験がもとで、やや気が変になっていた。

 ――ともあれ、学校で先生が教える、戦前、戦中の日本や旧陸海軍を全否定するかのような(それはそれで歴史から目を背ける問題をはらんだ)反戦・平和教育と、日常、身近な大人から聞く戦争の姿には、「戦争はいけない」という結論は同じでも、けっして小さくない落差があったのは事実である。

そして前者のいわば「建前」と、後者の「本音」とのはざまにこそ、戦記本が読まれる土壌があった。

少年漫画誌の隆盛で、一躍ブームに
 漫画の世界でも、昭和30(1955)年、光文社の月刊誌『少年』で連載が始まり、のちにテレビアニメ化されたロボット漫画の嚆矢「鉄人28号」(横山光輝作)は、そもそもの設定が、太平洋戦争末期、日本陸軍が起死回生を期して開発していた秘密兵器である巨大ロボットが戦後に現れて活躍する話で、やはり戦争の影響は無視できない。

 昭和34(1959)年、『週刊少年マガジン』(講談社)、『週刊少年サンデー』(小学館)が発刊され、少年漫画誌がブームになった頃からは、それまで主に大人の読み物だった戦記ものが、漫画となって子供の世界にまで降りてきた。
 「戦争漫画」という括りにしてしまうと煩雑になるので、飛行機がメインの「空戦漫画」にかぎって、どんな漫画があったかというと、代表的なものはまず「ゼロ戦レッド」(貝塚ひろし・『冒険王』秋田書店、1961年7月号〜1966年1月号連載)、「0戦太郎」(辻なおき・『少年画報』少年画報社、1961年9月号〜)であろう。

貝塚ひろし、辻なおきは空戦漫画の二大作家と呼ばれ、その後も貝塚は「ゼロ戦行進曲」「烈風」「ああ、零戦トンボ」、
辻は「0戦はやと」「0戦仮面」「0戦あらし」と、空戦漫画を描き続ける。
 作風は、貝塚が、得意とするスポーツ・魔球ものの野球漫画のテイストを色濃く感じさせるものだったのに対し、
のちに梶原一騎とともに「タイガーマスク」を世に出す辻は、少年撃墜王を主人公に、そのライバル(たいていいやなヤツ)、そして敵役をわかりやすく描き分け、どちらかといえば講談や時代劇に近いものだった。

 「0戦はやと」は、昭和39(1964)年、脚本の一部と主題歌の作詞を「北の国から」などの作品で知られる倉本聰が担当し、テレビアニメ版がフジテレビから38話にわたって放映されている。
 前線からかき集められた撃墜王ばかり36機の世界最強の戦闘機隊が、荒唐無稽ともいえる活躍を見せるプリミティブな空戦活劇だが、締め括りのナレーションに「これだけは絶対忘れまい、敵も味方も人間であることを」という言葉が入るなど、ヒューマニズムにも一定の配慮が感じられる内容になっていた。

 ほかにも、月刊漫画誌『ぼくら』(講談社)に昭和38(1963)年10月号から39(1964)年8月号にかけ連載された、現代の天才パイロットが、父の形見の「ゼロ戦二十一世紀」と名づけた零戦を駆ってライバルや悪の組織と戦う「大空三四郎」(原作・高森朝雄〈梶原一騎〉、漫画・吉田竜夫〈タツノコプロ創始者〉)、『少年サンデー』に昭和37(1962)年から38(1963)年まで連載された、少年航空兵が陸軍の一式戦闘機「隼」を駆って活躍する「大空のちかい」(九里一平〈タツノコプロ第3代社長〉)など、この時代には星の数ほども戦争漫画が生まれ、それぞれに人気を得た。

 だが、そんな戦争漫画の中から代表的な作品をひとつ挙げよ、といわれれば、筆者は躊躇なく「紫電改のタカ」(ちばてつや)を選ぶ。

異彩をはなっていた「紫電改のタカ」
 「紫電改のタカ」は、『週刊少年マガジン』に、昭和38(1963)年7月から40(1965)年1月まで連載され、子供ばかりでなくその親の世代にも人気を博した、ちばてつや唯一の戦争漫画である。
 零戦や隼が縦横無尽に活躍する漫画のなかにあって、「紫電改のタカ」は、明らかに異彩を放っていた。
あくまでもバーチャルな世界、奇想天外なところがあるのは、同時代の他の漫画とさして変わらない。
しかし、決定的に違う「何か」があったのだ。

その差は、ひと言でいうと、人間性の描写にあったと思う。
他の作家が、登場人物のキャラクターを「説明」してしまうところ、ちばてつやのそれは「描写」の域に達していた。
つまり、余計な台詞や説明的なカットがなくとも、登場人物それぞれの個性が際立ち、素直に読者に伝わってきた。
これは、当時20歳代半ばだった作者の天稟によるものだろう。

 簡単にあらすじを紹介すると、主人公は滝城太郎一飛曹(のち飛行兵曹長)。
四国松山出身、おはぎが大好物である。
松山には母と、幼馴染で滝に思いを寄せる信子がいる。
滝の属する七〇一飛行隊は多数の敵機との空戦で壊滅、滝を含む4名の生き残りは、松山の三四三空に配属され、度重なる戦果を挙げるが、最後は特攻隊員として出撃する。

 ――あらためて目を通しながら、「紫電改のタカ」のあれこれを考察してみる。
といって、これは論文でも作品解説でもない。
筆者の私的な感想文に近いものであるということを、あらかじめお断りしておく。

 太平洋戦争末期の台湾・高雄基地。
「そこには名機紫電で編成された七〇一飛行隊があった」というところから、物語は始まる。
隊長が「白根少佐」であることからも、舞台設定が実在の戦闘第七〇一飛行隊であることは確かだろう。
 実戦前の猛訓練に、不平たらたらで宿舎に帰った紺野一飛曹たち若い搭乗員が、隊長の悪口を言うのをたしなめる新入りの滝。
生意気な登場の仕方である。

 滝は、緊急指令で敵重爆撃機B-17を邀撃、編隊から単機離れて、急上昇、急降下の戦法でいきなり2機を撃墜、初戦果を挙げる。
この戦法はのちに「逆タカ戦法」と名付けられた。
だが七〇一飛行隊は、次の出撃で敵グラマン戦闘機の大編隊との空戦で壊滅、滝と紺野一飛曹、久保一飛曹、米田二飛曹の4人だけが島に不時着して生き残る。
 そこで彼らは米軍に虜われるが、滝の機転で危地を脱し、浜辺に隠してあった紫電で脱出。
そして味方占領下の島の上空で、またも敵の大編隊と遭遇、空戦に入る。
滝はここで「黒いウォーホーク」(P-40。米陸軍戦闘機)を操る凄腕の少年パイロット、ジョージと対戦する。
からくも勝利して万歳で地上部隊に迎えられた滝を待っていたのは、「マツヤマキチヘスグカエレ」との「カイグンシレイ ゲンダミノル」からの電報だった。

 滝を呼び戻した「源田司令」はいわずもがな、実在の源田實大佐だが、「紫電改のタカ」連載開始の前年、1962年に源田元司令は参議院全国区に自民党から出馬、73万票を集めて当選している。
源田氏がこの漫画を見た感想を聞きたかったものである。

 新鋭機・紫電改のテストのため横須賀に飛んだ滝は、そこでも空襲に来た敵艦上機群を邀撃、逆タカ戦法で戦果を挙げる。逆タカ戦法は、急降下で突然、敵の視界から姿を消し、下から撃ち上げ、上空に抜けてさらに急降下で上方攻撃をかけるという戦法で、滝機を見失った敵機は「オオ ナ、ナンダ」とか「イマハヤリノ忍術ヲツカッタノカ?」などと言いながらうろたえるばかりで、回避動作もせずに巡航を続ける。
多いときはこれの反復攻撃で13機を撃墜したほどの恐るべき戦法だ。

 この日の空戦で、敵海軍機の中に1機だけ、「滝と対決するために」陸軍機の黒いウォーホークでまぎれてきたジョージと宿命の一騎討ち。
しかしジョージは、割り込んできた1機のオンボロ零戦に撃墜されてしまう。
この零戦を操縦していたのは、菅野大尉。
実在の戦闘三〇一飛行隊長・菅野直大尉とは似ても似つかぬ髭のおっさんに描かれているが、作品のキャラクターとしてはいい味を出している。
 海に墜ちて助かったジョージは、やはりこの日、撃墜されて捕虜になった兄・トマスを救出すべく、同じ地点に墜ちた黒岩上飛曹との格闘を制して、横須賀基地内にあると設定された収容所に乗り込み、兄を助けて欲しいと滝に懇願するも、黒岩の裏切りで射殺されてしまう。

 この黒岩というのは「予科練の優等生」だったという設定だが、じつにわかりやすい「いやなヤツ」である。
どさくさに米兵捕虜たちは脱走するが、その責任も黒岩が滝になすりつけ、滝は憲兵隊(集英社版の単行本では警務隊)に連行されるのだった。
 滝は憲兵(警務)に暴行を受けるが、黒岩とジョージの格闘を目撃していた久保一飛曹の証言で釈放される。
 悪が滅びるのは少年漫画の習い、黒岩はやがて、今度は三四三航空隊(またの名を剣部隊)編成の源田司令の訓示の最中に、松山上空にふたたびやって来た黒いウォーホークを見て、恐怖のあまり発狂する。
この飛行機に乗っていたのは、弟の復讐にやってきたトマスだった。
黒岩はトマス機との空戦で命中弾を浴びせるが、体当たりされて戦死する。

 ここで注目すべきは、作者が「友軍=善玉、敵軍=悪玉」というとらえ方から完全に自由であることだ。
この場合、悪いのは黒岩で、ジョージやトマスではない。
敵も味方も、いいヤツはいいヤツとして、悪いヤツは悪いヤツとして、等しく人間的に描かれているのだ。
しかも、悪いヤツに関しても、最後にはフォローすることを忘れていない。
このあたり、のちのちばてつやの代表作、「あしたのジョー」にも共通するものがあろう。

ラストに凝縮された作者のメッセージ  物語は、息もつかせぬ展開を見せる。
トマスと黒岩が死んだ晩、突然、松山基地上空は多数の気球に覆われる。
気球の先には、空気中の振動を敏感にキャッチして爆発する「YBひみつ爆弾」が吊り下げられていた。
敵は、松山基地の戦闘機を封じている間に、呉軍港に空襲をかけてきたのだ。
このとき、滝はとっさの機転で気球を撃退、敵機を気球の下に追い込んで全滅させ、その功により二階級進級、准士官である兵曹長に任じられた。
 そして、菅野大尉に力量を見込まれて、スマトラ帰りの「七人のさむらい」と呼ばれる搭乗員たちの隊長に抜擢され、下士官搭乗員と同じ兵舎で起居をともにすることになる。
生きながらにして二階級進級の栄を受けた搭乗員は現実にはいないから、これはあくまで漫画のなかの話。

 「七人のさむらい」は、若い滝を侮って、ことあるごとに反抗する。
そのリーダーは花田上飛曹。
滝は、「一飛曹のころのほうが楽しかった」と涙で枕を濡らす。
やがて滝以下11名の搭乗員に、台湾近くの島にある秘密基地への進出が下令される。
ここでは紫電改ならぬ高速モーターボートで敵艦隊を壊滅させ、任務を終えて帰ってきた滝は、太陽に向かって飛ぶことで敵機を幻惑する「新戦法」を編み出し、一日の空戦で24機を撃墜、さらにその戦法に磨きをかけるべく、訓練に明け暮れるのだった。

 不死身に思えた滝の肉体も、そろそろ限界に近づいてくる。
ちょうどその頃、不気味な縞模様の入ったP-51戦闘機を駆るタイガー・モスキトンと呼ばれる米軍パイロットが、遭遇した日本機を片っ端から撃墜していた。
 撃墜王・坂井三郎中尉がモスキトン撃墜を滝に託そうと、特別製の黒い紫電改を届けにくるが、そこで滝は、坂井中尉に体の不調を見抜かれ、日本アルプスの山中で静養を命じられる。
だがこれは、静養に名を借りた、モスキトン撃墜のための秘密訓練であった。

 滝が許しを得て、大分基地に移動した部隊の元へ帰ったとき、花田上飛曹が滝に無断で黒い紫電改に乗ってモスキトンと対決するため出撃する。
花田は結局、モスキトンに敗れ、なんとか基地に帰還したところで事切れる。
翌朝、モスキトン撃墜の決意も新たに、滝が出撃する。

 滝VSモスキトンの死闘は、この作品のクライマックスである。
激闘の果てにモスキトン機を撃墜したと思ったら、滝はもう1機の同じ迷彩の敵機から射弾を受ける。
モスキトンは、兄弟のパイロットが2人1役、つまり2機で単機を装い、日本機が一方に気をとられている隙にもう1機が奇襲をかける戦法をとっていたのである。

 残る1機に命中弾を与え、不時着させてみると、そのパイロット(モスキトン兄)は滝と変わらない年頃の少年だった。
彼は、真珠湾攻撃のときに家族を日本機に殺され、復讐のため戦闘機パイロットになったが、「オレハモウ日本人ヲニクンデイナイヨ――オマエノヨウナヤサシイ日本人モイルコトガワカッタカラダ」と言い残し、拳銃で自決してしまう。

滝に残ったのは、前途有為な若者を死なせた無常感のみだった。
 「戦争ってなんだ? なんのために戦争をやるんだ? どこのだれがこんなばかげたことをはじめたんだ?」と苦悶する滝は、戦争が終わったら学校の先生になって、子供たちに、戦争がいかに恐ろしいものであるかを教えてやるんだ、と決意する。
 だが、そんな滝を待っていたのは、特攻出撃の命令だった。
滝は、「自分の死が祖国日本を救うことになるのだということばを信じようと努力しながら」、死出の旅に出る。
ちょうど滝が出撃した頃、母と信子が、滝に面会のため、好物のおはぎを持って大分駅に到着していた――。

 実際の三四三空は特攻を出していないが、そんな重箱の隅をつつくようなことを言っても始まらない。
滝の確認できる撃墜機数を、全部で67機(+協同撃墜多数)と数えることも空しい。
「信じながら」ではなく「信じようと努力しながら」、滝は死んでいかねばならなかったのだ。
作者のメッセージは、まさにこのラストシーンに凝縮している。

 連載開始時のキャッチコピーは、〈いよいよはじまった日本一の戦記まんが! 〉。
確かに始めのうちは、少年漫画らしい痛快アクション劇に近い感じであったものが、ジョージが理不尽な死をとげる頃から、戦争への疑問を投げかける雰囲気へと、だんだんトーンが変わってくる。
同時に、誌面に掲げられる、楽しげで威勢のいいキャッチと作品の内容との間に乖離が目立つようになってくる。
おそらく連載中に、編集部や出版社の営業サイドの意図を超えたところで、作者が滝城太郎を通じて内面的にも成長をとげ、作品も自立するようになったのではないか。

 モスキトンが出てくる頃には、はっきり反戦的といえるほどに、作者の視点が定まっているが、最終回においてもなお、『少年マガジン』には〈雨の日も風の日も、紫電改を操縦して大活躍する滝城太郎! わらいと感動で、人気最高の航空戦記まんが! 〉というキャッチがつけられていて、やや痛々しい思いがする。
同じ号の特集は、「アメリカ第七艦隊のすべて」。
少年誌にはつきものだった懸賞も、「マンモス戦車大懸賞」だった。

ブームに冷水を浴びせた事件
 そして、「紫電改のタカ」連載終了の3年後、戦記漫画ブームに冷水を浴びせる事件が起きた。
「あかつき戦闘隊」懸賞問題である。
 「あかつき戦闘隊」は、相良俊輔原作、園田光慶画、前編(パゴス島編)、後編(特攻編)に分かれ、『週刊少年サンデー』(小学館)で昭和43(1968)年から44(1969)年にかけて連載された。
紫電改のタカ」と双璧をなす、空戰漫画の名作とも呼べる作品だ。

 前編の物語は、新任中尉の八雲剛一郎が新鋭機紫電に乗って、南洋のパゴス島という、ならず者パイロットばかりが集められた「あかつき戦闘隊」が配備される小島に、隊長として赴任するところから始まる。
 パゴス島は、地上にある飛行場は見せかけのオトリで、実際の滑走路は海面に浅く隠れた「まぼろしの滑走路」と称する秘密基地だった。
経験不足の八雲は部下たちにナメられ、手荒い洗礼を受ける。
だが、自ら階級章を外し、部下に真摯に教えを乞う八雲の姿に、部下たちも次第に心酔するようになってゆく。

 パゴス島は敵機の来襲や艦砲射撃にさらされ、隊員たちは櫛の歯が欠けるように戦死。
ついに秘密基地であることが敵に見破られ、生き残りがたった4人となって、撤退を決意する。
 だが、まさに飛び立とうとしたところに敵機が来襲。
八雲は爆薬を抱えて駆け出し、自らを犠牲にして部下の脱出の時間を稼ごうとしたが、それを察した部下の神虎吉一飛曹(河内の床屋のせがれ)が八雲から爆薬を奪い取り、着陸してきた敵機もろとも爆死してしまう。
残った3人は、ボロボロになった戦闘機を操縦してパゴス島を後にした。

 後編では、大尉となった八雲が、あかつき戦闘隊の生き残り・今三太郎二飛曹とともに、潜水空母イ-400(モデルは「潜水空母」伊号第四百潜水艦)に乗ってレイテ決戦に参加。
イ-400は敵駆逐艦「ホワイトウルフ」との激闘で傷つき、戦艦「大和」の盾となって敵の魚雷を受け沈没。
上空から掩護するため発進した八雲も、敵機の大群との空戦で撃墜され、ただ一人生き残った今二飛曹は「大和」とともに内地に帰還する。

 問題になったのは、『少年サンデー』昭和43(1968)年3月24日号で同誌がキャンペーンを張った「あかつき戦闘隊大懸賞」の商品の中身である。
ミリタリーグッズで知られる中田商店がスポンサーになり、1等がなんと日本海軍の兵学校生徒制服・制帽・短剣、刀帯のセット、2、3等がアメリカ軍コレクション、4、5等がドイツ軍コレクション(ナチス旗、鉄十字章)。
当選者総数は240名だった。

 これが「少年誌における軍国主義の復活」につながるとして、児童文学者たちが抗議の声を上げ、小学館および中田商店に懸賞の撤回を求める「要望書」を出した。
このことが3月15日の朝日新聞朝刊社会面で報じられたのを皮切りに、20にものぼると言われる、いまで言う「市民団体」が小学館に圧力をかけたのだ。

 少年漫画誌全体が軍事ものに偏りすぎていた時期であり、抗議の声にも理がないではなかったが、昔もいまも、こういう「市民団体」の出す要望や抗議の類は、表現の自由と相反する「価値観の一方的な押し付け」と紙一重のものであることに変わりはない。
しかも連日、入れ替わり立ち代わり抗議に押し寄せてくる。
小学館も閉口したに違いない。

 3月29日になって出された小学館の回答は、賞品の撤回には言及せず、「懸賞商品が、戦争推進の材料とならないように以下のように十分な配慮を行う」として、「当選者発表に際して、商品名の表示は行わない」「当選者に送付する際に商品についての解説を送付する」というものだったが、学校によっては「男子全員が葉書を出した」と言われるぐらい、多くの子供たちが応募したにも関わらず、当選して賞品が送られてきたという話はついぞ聞かれなかった。

 懸賞問題が影響したものか、「あかつき戦闘隊」の完結編として書かれた(若木書房版単行本まえがきで、原作者が言及している)はずの「本土決戦編」は、掲載も刊行もされず、幻に終わった。
 そして、さしもの戦争漫画ブームも、収束に向かう。
少年誌として最後発でスタートした『週刊少年チャンピオン』(秋田書店)が、辻なおきの「0戦あらし」(昭和47年)、貝塚ひろしの「烈風」(昭和48年)を連載したのをほぼ最後として、戦争漫画は、メジャー系出版社の週刊少年誌の連載という場からは姿を消していった。

 同時に、読み物が多かった少年誌も、漫画主体のより軽いものへと変化していった
昭和44(1969)年頃から、松本零士が「戦場まんがシリーズ」の短編漫画を不定期に発表、のちにオムニバス形式のアニメーション作品(OVA)となり、名作として熱狂的なファンがつくようになるが、これは系譜としては「あかつき戦闘隊」以前の戦争漫画とは別のものであろう。

反戦・平和教育と戦争漫画が共存した時代
 戦争漫画は以後、細分化されたマニアックな部分で生き残っていくことになるが、ディテールに凝るあまり、人間性が置き去りにされているように感じるのは筆者だけだろうか。
 近年では、実在の人物や兵器が、タイムスリップものや、美少女キャラクターの擬人化ゲームや漫画のモチーフにされ、当事者や遺族の心情とはかけ離れた独特の世界を構築している。
そのことの是非をここで論じても始まらないが、軍隊経験のある人が現役の社会人として身近にいた時代なら、こんなふうにはならなかっただろう。
と言って、いまどき半世紀前のノリで戦争を描いても、世間一般に受け入れられるとは思えない。

時代は変わる、としか言いようがないのかもしれない。
 戦争漫画衰退の理由はいくつか考えられる。
一つには、時期を同じくして現れた特撮変身ヒーローものがそれに取って代わったこと。
次に漫画自体の幅が、ギャグあり、心霊・怪奇ものあり、恋愛ものありと急速に広がり、雑誌のなかで戦争ものの価値が相対的に下がったこと。
「あかつき戦闘隊問題」で、出版社の姿勢が慎重になったことも否定できまい。

 そして、昭和47(1972)年の日中国交正常化。
上野動物園にパンダが贈られ、中国共産党政権との友好一色だった当時の世相では、それまで人気のあった、馬賊をテーマにした「おれは馬賊」「馬賊のすべて」などという特集記事はもはや組みづらい。
「パンダが戦争漫画を滅ぼした」というのはオーバーだとしても、それまで国内だけに目を向けていた出版社側にも、一定の配慮は働くようになったのではないか。

 ここまで紹介した戦争漫画の単行本の多くや少年向け戦記全集も、昭和50(1975)年頃までは地方のどこの本屋にも置いてあり、「キディランド」のような子供のおもちゃ店でさえ、日本陸海軍の軍帽、階級章などの軍装品を店頭に並べていた。
それらもいつしか店頭から姿を消し、いまの40歳代以下の男性になると、よほどマニアックな人は別として、戦争漫画を読んで育ったという人はほとんどいないのではないだろうか。

 戦争漫画のブームがよかったのか悪かったのか、筆者にはわからない。
ただ、戦後、反戦・平和教育と戦争漫画が共存する、そんな時代もあったということは、知っておいてもいいだろう。

戦争漫画で育った世代が生んだ名作  
――だが、ここへきて、従来の戦争漫画とは全く別の形で、戦争の時代を描いた漫画とその映画作品が脚光を浴びている。  

この世界の片隅に」。
こうの史代が『漫画アクション』(双葉社)で平成19(2007)年から21(2009)年にかけ連載した漫画を、片渕須直監督が映画化。
平成28(2016)年11月の公開以来、3年を超えるロングランとなり、令和元(2019)年12月20日には、新たなエピソードを加えた「完全版」とも呼ぶべき「この世界の(さらにいくつもの)片隅に」が、全国で公開されている。

 広島に生まれ、呉に嫁いだ主人公の「すずさん」を通して、戦時下の庶民の日常、ささやかな喜び、否応なしに迫りくる戦争の恐怖、そのなかで生き抜く人々の強さを丹念に描いたこの作品は、思想信条を超えて多くの人々の共感を呼んだ。

原作が素晴らしいものであったのは間違いない。
同時に、片渕監督の細部にまで妥協を許さない姿勢が、原作の世界観を損なうことなく、光の当て方や見る角度次第でいくつもの色に輝く映像作品を作り上げた。
 この映画の凄さは、当時の記録をもとに、その日の実際の気温で画面に蝶を飛ばす、飛ばさないを決めるほど徹底した取材、調査、考証に基づいて作られていながら、それらを一切誇示していないところだ。
気づく人は少ないと思うが、呉が空襲を受ける場面で、敵艦上機を追って一瞬映る紫電改の豆粒ほどの機体も、よく見れば主翼の空戦フラップがちゃんと作動していたりする。

 一事が万事で、物語自体はフィクションであっても、ディテールに神は宿る。
万人に受け入れられる間口の広さと、気づく人だけが気づけるディープな描写とが両立していて、だからこそ、何度観ても新たな発見があり、熱心なリピーターを呼ぶのだ。

 「この世界の(さらにいくつもの)片隅に」と、かつての戦争漫画とでは「戦争」の描き方が全く異なり、作品のなかで両者の間に関連性を見出すことはできない。
だが、片渕監督は、知る人ぞ知る零戦、大戦機研究の第一人者であり、かつての戦争漫画に触れて育った世代でもある。
その時代に子供だった人が、半世紀のときを経てこの作品を生み出したと考えれば、「自分の死が祖国日本を救うことになるのだということばを信じようと努力しながら」出撃した「紫電改のタカ」の滝城太郎も、以て瞑すべし、と言えるのかもしれない。  (文中敬称略)
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2020年01月16日

山口敬之逮捕を握り潰した“官邸の忠犬”中村格が警察庁ナンバー2に!

山口敬之逮捕を握り潰した中村格が警察庁ナンバー2に!
『報ステ』に圧力、安倍秘書の息子 の
      喧嘩にまで介入した“官邸の忠犬”
2020.01.15 LITERA編集部

 ついに、あの“官邸の忠犬” “政権の爪牙”が警察庁ナンバー2の座に就く。
昨日14日、警察庁長官に松本光弘次長、警視総監に斉藤実副総監が昇格する人事が閣議で承認されたが、同時に警察庁次長に中村格官房長が就くことがわかったからだ。
 次長というと長官のたんなる補佐役のように受け取られがちだが、実際にはその権力は絶大で、指揮監督は全国におよび、事実上、警視総監以上の権限をもつ。
しかも、予算をはじめ人事や政策立案まで握るポジションであり、さらに出世コースとしては次期長官が約束されたも同然だ。

 そのポストに官邸の忠犬たる中村氏が就く──。
この人事に、憤りを覚える人はきっと多いはずだ。
 というのも、中村氏といえば、昨年12月に東京地裁で勝訴した伊藤詩織さん事件で山口敬之氏の逮捕を潰した最重要キーマンだからだ。
 あらためて振り返ると、元TBS記者で「安倍首相にもっとも近いジャーナリスト」と呼ばれていた山口敬之氏から性暴力を振るわれたという伊藤さんの相談を受け捜査を担当していた高輪署の捜査員が、2015年6月8日、逮捕状を持って成田空港で山口氏の帰国を待ち構えていた。
ところが、この逮捕直前に上層部からストップがかかった。
この逮捕取りやめを指示したのが、当時、警視庁刑事部長だった中村氏だった。
実際、山口氏の逮捕を取りやめるよう指示したことについて、本人が「週刊新潮」(新潮社)の直撃に対し、「(逮捕は必要ないと)私が決裁した」と認めているのである。

 伊藤さんの著書『Black Box』(文藝春秋)には、伊藤さんが直接、中村氏への取材を二度試みたくだりが出てくるのだが、それによれば、中村氏は一切の説明をせずに逃げたのだという。
〈出勤途中の中村氏に対し、「お話をさせて下さい」と声をかけようとしたところ、彼はすごい勢いで逃げた。
人生で警察を追いかけることがあるとは思わなかった。
私はただ、答えが欲しいのだ。
中村氏にはぜひ、「私のした判断は間違いではなかった。なぜなら……」ときちんと説明して頂きたい。

なぜ元警視庁刑事部長の立場で、当時の自分の判断について説明ができず、質問から逃げるばかりなのだろうか?〉(『Black Box』より)
 結果的に事件は2015年8月に書類送検され、山口氏は翌年7月22日付けで嫌疑不十分で不起訴処分に。
逮捕寸前まで行った事件が、このように中村氏の逮捕取りやめ指示によって“ブラックボックス”のなかに押し込められてしまったのである。
 そして、この中村氏による逮捕取りやめ指示の背景にあるとみられてきたのが、中村氏と菅義偉官房長官の関係だ。

中村氏は第二次安倍政権発足時に菅官房長官の秘書官をつとめており、“菅の懐刀”と言われてきた。
 その深い関係を象徴するのが、『報道ステーション』(テレビ朝日)の古賀茂明降板事件だ。

2015年、IS人質事件に関してレギュラーコメンテーターだった古賀氏は安倍首相が「『イスラム国』と戦う周辺国に2億ドル出します」と宣戦布告とも取られかねない発言をおこなったことを批判。
さらに「まぁ私だったら“I am not ABE”(私は安倍じゃない)というプラカードを掲げて、『日本人は違いますよ』ということを、しっかり言っていく必要があるんじゃないかと思いましたね」と発言した。

 この発言に官邸は大激怒。
本サイトでも当時伝えているが、「菅官房長官の秘書官」が番組編集長に電話をかけまくり、編集長が出ないと今度はショートメールで「古賀は万死に値する」という、恫喝をかけた。
その「菅官房長官の秘書官」が中村格氏だったのである。

『報ステ』に圧力メール、安倍首相秘書の息子のために「ゲーセンのケンカ」に捜査一課を投入
 古賀氏は著書『日本中枢の狂謀』(講談社)のなかで、この『報ステ』に恫喝メールを送った「菅官房長官の秘書官」が中村氏であることを明かし、こう綴っている。

〈一月二三日の最初の「I am not ABE」発言の直後、なんと番組放送中に、まず中村格官房長官秘書官(当時)から、報道局ニュースセンター編集長の中村直樹氏に電話があったという。
たまたま中村編集長が電話を取り損ねると、今度はショートメールが入った。
テレ朝関係者に聞いた話では、その内容は「古賀は万死に値する」といったような、強烈な内容だったそうだ。〉

〈報道によると、この日、菅官房長官は、秘書官と一緒に官邸で番組を見ていたそうだ。
その真偽はさておき、仮に直接聞いていなくても、私の発言を知れば、菅官房長官が激怒することは容易に推測できる。
 秘書官としては、アリバイ作りのためにも、すぐに抗議しておかなければならない。
それが秘書官の務めだ。
そこで、とにかく放送中にアクションを起こしたことを菅官房長官に示すため、ショートメールを送ったのではないか、といわれている。〉

 つまり、菅官房長官によるメディア圧力の実行部隊として中村氏は動いてきた人物でもあるのだ。
その後、中村氏は警視庁刑事部長として伊藤さんの事件の逮捕状を握り潰したわけだが、この一件にとどまらず、中村氏は安倍政権の“秘密警察”と化してきた。
 たとえば、中村氏がやはり刑事部長だった2015年、中村氏の指示により、安倍首相の秘書の息子が被害者となったゲームセンターでの喧嘩になんと凶悪犯罪を扱う捜査一課が投入され、強引に容疑者逮捕に及んだと昨年11月に「週刊新潮」が報道。

記事によると、事情聴取で被害者の父親が「安倍総理の秘書をしていた」と話し、その報告書が本部に上げられたため中村部長が大騒ぎ。
〈被害者は安倍(晋三)総理の秘書の息子さんなんだ。すぐに逮捕して欲しい〉と捜査一課長に精鋭を招集させた。
そして、当時は東京・三鷹の小学校教諭の男性が児童に対する強制わいせつなどの疑いで逮捕されメディアでも大きく報じられたのだが、その捜査が大詰めを迎えていたときに釣宏志・捜査一課長が捜査員を呼び出し、こう命じたのだという。
〈三鷹をちょっと止めて別の件をやって欲しいんだ。
世田谷署管内のゲームセンターで子供が殴られた。
すぐやってくれ。(加害者を)3日で逮捕しろ。
これは中村刑事部長のご下命だ〉

“官邸の忠犬”中村格が実権を握り、警察はますます“安倍首相の私兵”に!
 また、中村氏をめぐっては、昨年2月に刑事告訴され議員辞職した自民党の田畑毅・前衆院議員(のちに書類送検、不起訴)の問題でも、捜査の指揮を執った愛知県警本部長を警察庁に呼んで慎重捜査を厳命したと噂され、「田畑氏が刑事告訴された2月上旬以降、警察庁の中村格官房長が頻繁に官邸を訪ねている」とも報じられた。

 安倍首相にベッタリの記者の逮捕取りやめを指示しただけではなく、政権に打撃を与える議員の事件への介入まで……。
まさに“安倍官邸の忠犬”と呼ぶにふさわしい中村氏だが、問題なのは、今後、警察庁次長として権力を増大させた中村氏による“政権の秘密警察化”がさらにエスカレートすることは目に見えているということだ。

 前述したように、中村氏は菅官房長官の秘書官時代に『報ステ』に圧力をかけた張本人だったわけだが、警察庁ナンバー2という立場から社会部にも睨みをきかせることができる。
つまり、官邸が政治部に圧力をかけているのと同様、中村氏の権限で社会部の報道にまで介入することもできると言っていい。

 さらに、一般市民への圧力も強まるはずだ。
すでに昨年7月の参院選時には北海道札幌市で安倍首相の街頭演説中に「安倍やめろ!」とヤジを飛ばした市民が警察に取り押さえられ強制排除されるといった問題が起こり、この1月9日には、12日の“安倍やめろデモ”の運転手として東京都公安委員会に届出をしていた男性が「車庫飛ばし」という微罪で逮捕され、実名報道されるという事件が起きている。
 中村次長の下で、こうした戦前の言論弾圧さながらの警察による違法捜査が頻発するだろう。

 忠臣が論功行賞を得て、ますます安倍首相による「警察権力の私物化」が進んでゆく──。
それは安倍首相を批判する行為自体が取り締まり対象となりうるという、恐怖の世界のはじまりなのである。
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2020年01月17日

医師の苦悩「疑似医療への転院希望を断れない」

医師の苦悩「疑似医療への転院希望を断れない」
2020年01月16日 PRESIDENT Online

大学病院の医師たちが「疑似医療」に手を焼いている。
闘病で不安な患者は、怪しげなクリニックであっても、ウソと科学的根拠を巧みに混ぜた口上に欺かれてしまう。
患者がそうした治療を受けたいと言い出せば、止める方法はないという――。
※本稿は、鳥取大学医学部附属病院広報誌『カニジル 3杯目』の一部を再編集したものです。

■医師側は「嘘っぱち」とは言いづらい
鳥取大学医学部附属病院 呼吸器内科の阪本智宏助教は疑似医療に手を焼いている医師の一人である。
「ぼくたちがよく治療しているのは、W期の肺がんの患者さんです。
つまり一番進行している肺がんです。
まずはW期の肺がんですと伝えます。
その後、言葉遣いには気をつけながらも、根治はもう望めない状態であることを理解してもらった上で、延命と(症状の)緩和を目的とした、いわゆる抗がん剤を含む薬の治療をすることになります。
そして、患者と話し合って、具体的にどのように治療を進めて行くのかを決めます」

ところが、あるとき患者からこんな風に相談を受けた。
――こんなものを見つけました、ここを紹介してほしい。
疑似医療を行うクリニックだった。
「選ぶ権利は患者さん側にあるので、『こんなのは嘘っぱちです』とは言いづらい。
とはいえ目を覚ましてほしいので、散々オブラートに包んだ話をした後、『あなたが私の親だったら殴っても止める』と強い言葉を使うこともあります。
それでも行きたいというのならば止めることはできないので、手紙(紹介状)は書きます」

■嘘とエビデンスのある事実を「サンドイッチ」
ことを複雑にしているのは、そんななかに医師免許を持った人間が運営しているクリニックがあることだ。
阪本はそうしたクリニックの「宣伝文句」はずる賢いと嘆く。

「“これでガンが治ります”と書いてあると流石に嘘っぽいから、そうはしない。
嘘とエビデンスのある事実をサンドイッチにしている。
ここまでは合っているけれど、さらっと嘘が入っている。
疑似医療には裏付けとなるデータがないのだとよく言われますよね。
それに対して、データはある、論文はこれだけ出ていると広告を打っている。
でも金を払えば論文を出してくれるところがある。
ぼくたちは“ハゲタカジャーナル”と呼んでいます」

退官間近の有名大学教授の看板を利用することもある。
「データがないっていうけれど、こんな有名な大学の先生が論文を書いている。
(阪本)先生はどれだけ知っているんだって言われると、この(疑似医療の)治療法については全く知りませんと答えるしかない」

また、医療現場で使われている「標準治療」という言葉が誤解を招くこともあるのではないかと阪本は感じることがある。 「これが一般的な標準治療ですと言われると、標準ではないもっと上の治療があるのではないかと思う患者さんがいる。
(金銭的に)余裕のある方は特に『いくら掛かってもいいから、一番いいのをやってくれ』とおっしゃることがある。
標準治療というのは、今までのデータの積み重ねで決められたものです。
これが(現時点で)一番いい治療なんだということを納得してもらうのが大変」

■プラセボ効果が疑似医療を守ってきた
金銭を払えば、現時点で病院が行なっていないもっといい治療が受けられるのではないかという、藁(わら)をも掴(つか)もうとする患者の気持ちにつけいるのが疑似医療である。
疑似医療の歴史は古い。
それどころか、科学的根拠に基づく医療が広まる前には、疑似医療が主流だった時期がある。

例えば「瀉血(しゃけつ)」である。
古代ギリシアでは、病気の原因は血液が淀むことだとされていた。
そのため、肝臓の病気ならば右手の血管を切る、あるいは脾臓(ひぞう)の病気ならば左手の血管を切る――瀉血が有効だとされていたのだ。
この瀉血は長く効果があると信じられていた。
アメリカ初代大統領のジョージ・ワシントンは瀉血により死亡したとされている。
風邪をこじらせた彼は、繰り返し瀉血を受け、大量の血を失ったのだ。

また、プラセボ(偽薬)効果も結果として疑似医療の守り神となってきた。
プラセボとは〈私を喜ばせるであろう〉という意味のラテン語だ。中世イギリスの詩人たちは、このプラセボを〈気休め〉の意で使っている。

■臨床実験さえも逆手にとられる
プラセボ効果がはっきりと示されたのは第二次世界大戦末期のことだった。
野戦病院に勤務していたアメリカ人の麻酔科医ヘンリー・ビーチャーが、傷ついた兵士にモルヒネの代わりに、生理的食塩水を注射。
鎮痛剤であるモルヒネが不足していたのだ。
するとモルヒネと同じような効果があった。
プラセボ効果は猛烈な痛みさえ押さえ込んだのだ。

人間と他の生物を区別するのは想像力である。
人間は信じ込むことで何ら効能のない処置に対しても身体が反応する。
もっとも、プラセボ効果は一時的に症状を好転させることはあるが、根本的な治療にはつながらない。
プラセボ効果を過信して、治療を放置、症状が悪化する場合もある。

プラセボ効果を排除し、本来の効果があるかを臨床実験で測定することが、医学界の大きな課題でもあった。
ただし、疑似医学に手を染める人たちは、こうした臨床実験さえも逆手にとってきた。

阪本はこう指摘する。
「改ざんとはまでは言わなくとも、作為的なデータは出せる。
このデータを拾うと不利になるからやめよう、そしてよくなったように見えるデータを引っ張ってくることは可能なのです」 問題の根は深いのだ。

■免疫療法は効果が証明されていない
とりだい病院内には「がん相談支援室」が設置されている。
臨床心理士の資格を持つ、吉岡奏がん専門相談員は自らの仕事をこう定義する。
「医師に治療についての説明を受けたけれども、なかなか理解しきれない。
そうした患者さんに対し、もう少し詳しく知るためのツールの紹介や、医師に質問する際に正確に伝え、聞くための事前準備のサポートなどが私たちの主な仕事です。
そういったなかに免疫療法などの代替医療についての相談もあります」

代替医療とは現代西洋医学以外の医療行為の総称である。
「免疫療法をやっていますかという相談に対し、どのような治療をイメージしているのかを聞きます。
その上でいわゆる自由診療で行う免疫療法はここではやっていないと説明します。
そして国立がん研究センターのがん情報サービスというサイトの“免疫療法”などの情報を紹介しています」

〈免疫療法 まず、知っておきたいこと〉というページではこう書かれている。
〈これまでの研究では、残念ながらほとんどの免疫療法では有効性(治療効果)が証明されていません〉
そして免疫療法を2つに分けている。
効果が証明されている免疫療法と、さまざまな治療法を含む「広義」の免疫療法である。
この広義の免疫療法は効果が証明されておらず、保険治療が認められていない。
そのため患者が全額治療費を支払う自由診療である。
この選択をする場合は〈公的制度に基づく臨床試験、治験などの研究段階の医療を熟知した医師〉にセカンドオピニオンを求めるように注意を促している。

■健康食品の過剰摂取で死に至ることも
吉岡は続けてこう話す。
「患者さんは、そういう不確かなものを頼りたくなるほど不安なのです。
私としては、なぜそれを試したいと思ったのかひとまず気持ちを聞く。
その上で現状で改善できる点を探っていくようにしています。
その後、どのような結論を出すのかは患者さんにお任せします。
今の治療が一番なんですね、と納得して帰ることもあります」

がんを宣告された患者、そして家族の心情は揺れ動くものだ。
だからこそ、安易に言い切ることはしない。
良心的な医療従事者の一つの選択である。

一方、がんに対する免疫療法のように生死に直接関わらない、いや、関わらないと思われているからこそ大胆な宣伝広告を打っているのが、健康食品である。
矢野経済研究所の『2018年版健康食品の市場実態と展望』によると健康食品の市場は緩やかな右肩上がりを続けており、2017年には1.2兆円に膨れ上がった。
健康食品メーカーはテレビを始めとしたメディアの大口スポンサーでもある。
テレビを付ければ健康食品のCMを毎日のように見かける。
とりだい病院も健康食品、サプリメントの過剰摂取により他の医療機関から紹介、あるいは緊急搬送されてくる患者がいるという。

鳥取大学医学部附属病院薬剤部の島田美樹部長は複数の健康食品を長期的に使用する場合、特に注意を払う必要があると警告する。
「たとえば、ダイエット食品。痩せる効果を期待して一種類ではなくいくつかの製品を同時に摂る。
これは、ある成分を重複してしまうことになります。
さらに長期間に亘って摂り続けると肝臓の細胞が死に始め、ひどい場合は劇症肝炎から死に至ることもあります」

簡単に手を出しやすい健康食品も、実は生死に関わるのだ。

■天然成分が身体にいいとは限らない
また、よかれと思って摂取した健康食品が身体に知らず知らずのうちに害を与えることもある。

「例えば沖縄県は長寿県で、みんな○○を含む食品を食べて健康だとされると、その食品の成分を抽出したものが健康食品として出回るわけです。
しかし、長生きで健康なのは、バランスのよい食事のなかで適度にそうした成分を摂っているからです。
その成分が凝縮された製品を日々ずっと摂り続けると、本来ならば肝臓で代謝されて体外に排出されるはずのものが蓄積していきます。
肝臓の働きが追いつかない。結果的に肝臓に負担を掛けてしまうことになります」

天然成分という謳い文句も注意が必要だ。
島田によると、人間を含めた生物は、外来異物に対する適応能力を持つという。
島田が学生の講義でよく使うのは、煙草の葉に生息する芋虫の話だ。
「最初、芋虫はニコチンを含む煙草の葉を食べた時、ニコチン中毒を起こしてぐったりしてしまう。
しかし、これを食べないと生き残っていけないとなると、芋虫の体内にニコチンを解毒する酵素が増えてくるのです。
人間も同じです。
天然成分だから安心、食品として使われているものだから大丈夫というわけではない。
ある程度の量までは適応できるが、それ以上になると体内に蓄積される、あるいは一気に摂ると適応できないという天然成分もあるのです」

■まっとうなことをやると、お金儲けにならない
また実際には効果の期待できない成分を含んだサプリメントも多い。
「グルコサミンは関節の痛みを緩和しない(※)、ヒアルロン酸は肌に浸透しないと散々言われている割にはどんどん商品が出ている。
プラセボ効果なのです。
謳い文句を信じて飲んでいるとよくなったような気になってしまう」

まちがった情報が垂れ流しになっている現在、我々がすべきなのは、疑問を感じたときには信頼できる医師や薬剤師に相談、そして公式機関の見解を慎重に参照することだ。
前出の阪本は一つの見極めは、治療のマイナス面をきちんと説明しているかどうかだと言う。

「自分たちの治療に対して、プラスの情報ばかり与えてくる人は信用したら駄目です。
治らないと一方で言われて、別のところから治ると言われると、人は信じてしまう。
しかし、治るし副作用もないというのはありえない。
うまい儲け話は信用したら駄目というのと同じです」

そしてこう続ける。
「医療って金になると思われているじゃないですか。
でもまっとうなことをやっていると金にならないんです。
ぼくらも新しい治療法を患者さんに届けたいという思いでやっています。
しかし、正規の手順でやっていると、一切お金儲けにならない。
ノーベル賞を獲った人が研究費がない、それが今の現状です。

それにも関わらず適当なやり方で金を荒稼ぎしている人がいる。
そして患者さんも不幸になっている。
こんな馬鹿な話はないと思いますよ」
山中伸弥のiPS細胞研究所への一部補助金の打ち切りが検討されたことは記憶に新しい。
疑似医療が栄え、まっとうな医療従事者が天を仰ぐ。
これも医療の現実である。

※「グルコサミンは関節の痛みを緩和しない」について:厚生労働省『「統合医療」に係る情報発信等推進事業』「統合医療」

情報発信サイトWEBページ
▼正しい情報を得るときはこちらを参照
日本医師会WEBページ 健康・医療に関する各種情報を提供。健康食品に関する注意喚起も掲載。
・がん情報サイト「オンコロ」WEBサイト 治験・臨床試験を支援事業をする企業の情報提供サイト。 がん医療の情報を分かりやすく発信している。
・国立がん研究センターがん情報サービスWEBサイト 肺がんや乳がんなど、がんに関する詳しい解説や、がんと診断を受けた時から療養に至るまでの情報を提供。
・厚生労働省「健康食品」に関するWEBページ 健康食品に関する詳しい解説や注意喚起を掲載。
・消費者庁WEBページ 健康食品に関する情報を紹介。

『代替医療解剖』 サイモン・シン,エツァート・エルンスト著 青木 薫 訳 2013/9/1新潮社文庫刊
代替医療と総称される治療の数々を歴史背景も分析した上で、科学的な見地からその危険性について追及している。
著者の一人であるサイモン・シンは、本書出版の同時期、英国ガーディアン紙のウェブ版コラムを発表。
その内容が名誉毀損であると英国カイロプラクティック協会に訴えられたが、のちに勝訴した。

        (カニジル編集部)
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2020年01月18日

テレビドラマ「刑事・医療系が75%」の危険水域

テレビドラマ「刑事・医療系が75%」の危険水域
まだ変わらぬ視聴率至上主義の中高年シフト
2020/01/17 東洋経済オンライン
木村 隆志 :
コラムニスト、人間関係コンサルタント、テレビ解説者

年明け早々から2020年代最初の連ドラがスタートしていますが、気になるのは放送前の段階から
「相変わらず人が死ぬ刑事ドラマばかりでしんどい」
「医療ドラマばかりで見ていて気が滅入る」などのネガティブな声が続出していること。
それも無理ありません。

今冬は最も視聴者の多いプライムタイム(19〜23時)に放送される16作中、刑事ドラマが6作、医療ドラマが6作という極端に偏ったラインナップなのです。

【刑事(事件)ドラマ】
「絶対零度〜未然犯罪潜入捜査〜」(フジテレビ系、月曜21時)
「相棒」(テレビ朝日系、水曜21時)
「科捜研の女」(テレビ朝日系、木曜20時)
「ケイジとケンジ 所轄と地検の24時」(テレビ朝日系、木曜21時)
「駐在刑事 Season2」(テレビ東京系、金曜20時)
「ハムラアキラ〜世界で最も不運な探偵〜」(NHK、金曜22時)

【医療ドラマ】
「病院の治しかた〜ドクター有原の挑戦〜」(テレビ東京系、月曜22時)
「恋はつづくよどこまでも」(TBS系、火曜22時)
「アライブ がん専門委のカルテ」(フジテレビ系、木曜22時)
「病院で念仏を唱えないでください」(TBS系、金曜22時)
「心の傷を癒すということ」(NHK、土曜21時)
「トップナイフ―天才脳外科医の条件―」(日本テレビ系、土曜22時)

救うにしても死んでしまうにしても 全体の75%が、救うにしても死んでしまうにしても、命をめぐるシリアスなストーリーであり、「しんどい」「気が滅入る」と言いたくなるのも仕方ないのです。
極端に偏ったラインナップになったことで懸念されるのは、若年層のドラマ離れ。

例えば、「アライブ」はがん、「トップナイフ」は脳外科に特化した物語であり、中高年層がターゲットであることは明らかです。
若年層に「がんや脳の病気に興味を持て」「学校や職場から帰ってきたあとに命を救うドラマを見て」というのは無理があるでしょう。
そのほかの刑事・医療ドラマも、ほとんどが中高年層をターゲットにしたもの。
さすがにここまで偏ってしまうと、その中高年層ですら「飽きてしまった」「ドラマはもう見ない」という声をネット上にあげるなど、ドラマ全体のイメージダウンにつながってしまいます。

月曜2作、
火曜1作、
水曜1作、
木曜3作、
金曜3作、
土曜2作と、
ほぼ毎日放送され、「テレビは刑事・医療ドラマ専門チャンネル」と揶揄されるほどの危機的状況は、なぜ訪れてしまったのでしょうか?
 また、どんな改善策が求められるのでしょうか?

刑事・医療ドラマが多いのは今冬にはじまったことではなく、2010年代は何度か全体の約半数を占めることがあり、そのたびに「偏りすぎ」「食傷気味」という声があがっていました。
しかし、今冬ほど極端に偏ったことはなく、それが2020年代の幕開けだったことに危機感を抱かざるをえません。

全体の75%に至った直接的な理由は、テレビ朝日以外のテレビ局で刑事・医療ドラマが増えたから。
もともとテレビ朝日は刑事・医療ドラマが全体の80〜90%を占めていましたが、今冬はテレビ朝日が3作/3作(100%)、フジテレビが2作/2作(100%)、NHKが2作/2作(100%)、テレビ東京が2作/2作(100%)、TBSが2作/3作(66%)、日本テレビが1作/2作(50%)という高比率になったことが原因なのです。
 ※関西テレビは0作/1作(0%)、読売テレビは0作/1作(0%)

なかでも象徴的なのはフジテレビ。
2010年代の低迷で少しでも視聴率を獲得したいだけに、一定の成果が期待できる刑事・医療ドラマの割合を高めているのです。
ちなみに月9ドラマは7作連続で刑事・医療ドラマ(刑事事件を扱う1話完結の「SUITS/スーツ」を含む)が放送され、6作で2ケタ視聴率を獲得したことが、その裏付けとなっています。
さらに、本来は視聴率獲得の必然性が薄いNHKが2作/2作(100%)だったことに驚かされました。

昨年、番組のネット同時配信や受信料徴収の是非が叫ばれる中、大河ドラマや朝ドラの視聴率が下がったことで危機感を抱き、一定の成果が期待できる刑事・医療ドラマに走ったとしても不思議ではありません。
しかし、民放のテレビマンにしてみたら、「NHKまで刑事・医療ドラマで視聴率を狙うなんてひどい」という心境でしょう。

ともあれ、「ドラマの視聴率が大きく下がりはじめた2010年代に、各局がそれを打破すべく試行錯誤を続けた結果、2020年代の幕開けが刑事・医療ドラマが75%に偏ってしまった」という感は否めないのです。

高視聴率ドラマ「トップナイフ」の矛盾
日本テレビが中高年層の支持が厚い天海祐希さんを主演に据えた医療ドラマ「トップナイフ」を手がけることも見逃せません。
「日本テレビは2作/3作(50%)でいちばん低い割合じゃないか」と思うかもしれませんが、同局はスポンサーのニーズに応えて広告収入を得るために、コアターゲットをC層(4〜12歳)、T層(13〜19歳)、1層(20〜34歳)、2層(35〜49歳)に定め、一般的な視聴率にはとらわれず他局とは一線を画すドラマを制作してきました。
つまり、「中高年層向けの番組では、視聴率が取れてもスポンサーからの広告収入が得られないから、コアターゲットから外している」のです。

実際、昨年は他局が二の足を踏む学園ドラマの「3年A組 ―今から皆さんは、人質です―」「俺のスカート、どこ行った?」を続けて放送したほか、異例の2クールミステリー「あなたの番です」で考察合戦を促すなど、目先の視聴率にこだわらず、中高年層以下の視聴者層を獲得しました。

刑事・医療ドラマでも、「白衣の戦士!」の中条あやみさん、「ニッポンノワール」の賀来賢人さんなど主演に若手俳優を起用するなど、他局とはまったく異なる制作方針だったのです。
それだけに、天海祐希さん×医療=ガチガチの中高年向けである「トップナイフ」は意外でしたし、日本テレビの戦略がブレたことに危うさを感じました。

「トップナイフ」は視聴率こそ13.0%ながら、主な視聴者層がコアターゲットではない中高年層だったことで、「広告指標としての評価はあまり高くない」と聞きました。
もちろん視聴率も取れたほうがいいに決まっていますが、これまで支持されてきたコアターゲット(4〜49歳)やスポンサーの期待に応えたとは言えないのです。
いずれにしても、各局が目先の視聴率を追い求めたことで、ここまで偏ってしまったことに疑いの余地はありません。
その結果、ドラマの多様性は失われ、刑事・医療ドラマのイメージは悪化し、若年層どころか30〜40代のドラマ離れにつながってしまった感があります。

クリエーティブなスタッフの流出
刑事・医療ドラマに偏ってしまうことの弊害は、視聴者のドラマ離れだけに限りません。
離れてしまうのは、ドラマを作るクリエーターたちも同様。
今冬は「アンナチュラル」「逃げるは恥だが役に立つ」(TBS系)などで知られる人気脚本家・野木亜紀子さんが深夜帯の「コタキ兄弟と四苦八苦」(テレビ東京系)を手がけることで、テレビマンやドラマフリークを驚かせています。

近年はこのような人気も実力もある脚本家やプロデューサーが、視聴率至上主義で刑事・医療ドラマが量産されるプライムタイムを避け、見る人が少なくても自由度の高い深夜帯を選ぶ傾向が加速。
さらには、「カルテット」(TBS系)、「Mother」(日本テレビ系)などを手がけた坂元裕二さんのように深夜帯どころかテレビそのものから距離を取る脚本家もいますし、動画配信サービスなどにやりがいを見いだしてテレビ局を退社するスタッフも少なくありません。

現在プライムタイムのドラマを手がけているクリエーターは、「刑事・医療ドラマの制作に慣れている」「連ドラらしい連続性より、気軽に見られる1話完結の物語が得意」「視聴率獲得のために割り切ったドラマ作りを徹底できる」というタイプが多数派を占めるようになりました。
すなわちプライムタイムのドラマでは、質の高い1点物の逸品を作るクリエーティブさより、少しずつ色や形を変えて日用品を作るそつのなさが優先されているのです。

テレビ局にとって、ドラマを手がけるクリエーターたちは、強みであり宝とも言える存在。
最も多くの人々が見るプライムタイムに、その強みや宝を生かせない現状こそ、危険水域に入ったことの証しなのです。

視聴率獲得を狙うほどガラパゴス化
最後にもう1つあげておきたいのは、刑事・医療ドラマのガラパゴス化。

もともと刑事・医療ドラマは海外でも人気のジャンルであり、海外番販(海外への番組販売)やリメイクという点で期待できるはずなのですが、日本の作品は必ずしも世界各国で受け入れられるとは限りません。
日本国内で視聴率を獲得するために作られた刑事・医療ドラマは、日本人の一定層にだけ響く作品になりがちで、脚本、演出、演技、美術、音楽、放送回数などの面で「海外の人々にフィットしない」というケースが少なくないようなのです。
そもそも「日本国内ですら中高年層以外の支持をなかなか得られない作品を海外の人々に買ってもらうことが難しい」のは当然でしょう。

ドラマというコンテンツそのものは、動画配信サービスの発達と普及によって、世界中の人々に見てもらえるチャンスが広がっています。
だからこそ刑事・医療ドラマを制作するにしても、日本国内で視聴率を獲得するための作品ではなく、クリエーティブなものが求められているのではないでしょうか。

ちなみに今冬に放送されている刑事・医療ドラマ以外の作品には、
謎が連鎖する長編サスペンス「10の秘密」(関西テレビ、フジテレビ系)、
週刊誌が舞台のお仕事ヒューマン作「知らなくていいコト」(日本テレビ系)、
タイムスリップを絡めたファンタジーミステリー「テセウスの船」(TBS系)、
アクションを絡めた痛快ミステリー「シロでもクロでもない世界で、パンダは笑う。」(読売テレビ、日本テレビ系)。

この4作は高視聴率を獲得できないかもしれませんが、日本テレビがコアターゲットにするなど広告収入につながりやすい4〜49歳の支持は厚く、その点ではそれなりの成果を収めるでしょう。
75%を刑事・医療ドラマが占める今冬では、なおさら希少価値が高く、最後までドラマフリークたちのよりどころとなりそうなのです。

バラエティーも中高年向けで危険水域に
ここではドラマに焦点を当てて書きましたが、危険水域に入っているのはバラエティーも同じ。
目先の視聴率を獲得するために、健康、家事、カルチャー、教養などがベースの中高年層向け番組が増える一方で、若年層の心をつかんでいるとは言えないのです。

ドラマもバラエティーも、まさに大同小異で「テレビはそういうもの」とみなされかねません。
このような極端に偏った状況が続けば、自分に向けて作られたコンテンツを選んで、好きな場所で、好きなタイミングで見られるネットコンテンツに多くの視聴者を奪われてしまうでしょう。

各局に求められているのは、苦しい状況だからこそ広い視野を持つこと。
自社の利益だけでなく、業界の利益につながることができるか?
 目の前の成果にとらわれず、中・長期的な成果を見据えられるか?
指標としてすでに矛盾が生じている視聴率を各局で奪い合っている業界の未来が明るいはずはありません。

「ドラマもバラエティーも似た番組ばかり」というイメージを払拭し、1人でも多くの人に「テレビは面白い」と思わせるには何をすればいいのか。
番組の多様性を取り戻していくことはもちろん、それぞれの質を高めていくことが、広告収入にしろ、視聴収入にしろ、ビジネスとしての成功を収めることにつながるでしょう。
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2020年01月19日

ヒートショック対策3つ 湯船に入る際の声にも意外な効果が

ヒートショック対策3つ
湯船に入る際の声にも意外な効果が
2020年01月17日 日刊ゲンダイ

 冬場のお風呂はお父さんにとって天敵。
厚労省によると、入浴中の心肺停止は年間1万9000件(13年度)。
12月から2月にかけ5割が集中しており、ヒートショックが大きな原因とみられる。

トイレや玄関先でのヒートショックを加えれば、おそらく年間で軽く1万人以上の人が命を失っていることになる。
 ヒートショックとは急激な寒暖差に心臓がびっくりし、心筋梗塞や脳梗塞を引き起こすこと。
意外や北海道民は全国で2番目に少なく、香川県や兵庫県など比較的温暖な地域で事故例が多い。

 では、日頃はどんな対策を講じるべきか。
キッチンやバス給湯器で知られる「リンナイ」が池谷医院・池谷敏郎院長(循環器専門医)の監修でヒートショックになりやすい人、そうならないための対策を発表している。
「10の設問のうち、
『暖房はリビングのみ』
『上着やストール等を羽織らずにトイレに行くことが多い』
『運動習慣がない』という人が高い率でいました。
いずれもヒートショック予備群になる生活習慣になります」(リンナイ広報担当者)

 一方、「部屋の乾燥」も危険なひとつ。
暖房で部屋が乾燥すると、知らず知らずのうちに脱水症状に。
その状態で脱衣所やトイレに行けば、フラッと立ちくらみしてしまうのだ。
脱水によって低血圧の状態になり、血液もドロドロになっている。
その意味で、部屋を乾燥させない床暖房は理にかなった暖房機なのだという。

 さらに、ヒートショックにならない3つの対策がある。
「池谷院長はYouTubeで『オネェ体操』という動画をアップしています。

・体をもじもじさせるように小刻みに動かし、乾布摩擦のように血行を促します。
・2つ目は『ほっトマト甘酒』。
甘酒1にトマトジュース2の割合で注ぎ、温かくして飲む。トマトのGABAが高めの血圧を安定させるのです」(前出の担当者)  
・そして3つ目の対策が思わず笑ってしまう。
「昔の親父のように湯船に入る際、または上がる際に『あ〜』とか『う〜』とか大声を出すことが大事のようです。
声を出すことは血圧上昇を緩和する作用があるそうです」(同前)
 あり得ないくらい熱いお湯の銭湯で、おっさんたちが「あ〜」とうめくのは、ちゃんと理由があったのだ。
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2020年01月20日

20日召集の国会で火ダルマ必至 世紀のデタラメ政権の命運

20日召集の国会で火ダルマ必至
世紀のデタラメ政権の命運
2020/01/18 日刊ゲンダイ

20日召集の通常国会を控え、主要野党が「長期政権のゆがみをただす」と気勢を上げている。
 米国とイランの対立で緊迫化する中東への海上自衛隊派遣の是非や、カジノを含む統合型リゾート(IR)事業に絡み、東京地検特捜部に逮捕、起訴された元自民党衆院議員の秋元司容疑者の収賄事件、昨年から続く安倍首相主催の「桜を見る会」の私物化疑惑と名簿廃棄問題経産相を辞任した菅原一秀衆院議員の金品贈与疑惑……など、追及のネタを挙げればキリがない。
野党が安倍政権を退陣に追い込もうと手ぐすね引いているのも当然だ。

 さらに国会開会直前になって、また新たな火種が浮上した。
 昨夏の参院選をめぐる公選法違反容疑で、ともに自民党の河井克行前法相(衆院議員)と妻の案里参院議員が広島地検の家宅捜索を受けたことだ。
 公選法違反の疑惑が報じられて以来、2カ月半以上も国会を欠席し、雲隠れしていた2人は、広島地検の家宅捜索を受けてようやく報道陣の前に姿を見せたものの、詳しい説明は一切なし。
野党の国対委員長は16日の会談で、2人に対する政治倫理審査会の開催を求める方針を決定。
参院野党は、自民党が調査した上で、議院運営委員会に報告するよう要求するとともに、一部の野党は、安倍が施政方針演説を行う20日の本会議開催には応じられないとの強硬姿勢を示した。

■不祥事の理由は長期政権より体質にある
 国会の会期は6月17日までの150日間。
政府・与党はまず、経済対策を盛り込んだ2019年度補正予算案を月内に成立させた上で、20年度予算案の年度内成立を目指す考え。
新規提出法案を60本以下に絞ったのは、夏の東京都知事選や東京五輪を控え、会期延長が難しいとみているからだが、長期政権の末期症状ともいうべき醜聞ネタが次々と出てくる状況を見ていると、会期延長どころか会期末まですら果たして持つかどうか。

 与党・自民党は継続審議中の国民投票法改正案を成立させ、国会での改憲論議の進展を目指しているらしいが、ハッキリ言ってそれどころじゃないだろう。
 仮に中東情勢が悪化し、それこそ海自隊員が巻き込まれるような最悪の状況になれば、年末のドサクサに紛れて勝手に閣議決定で中東派遣を決めた安倍政権の責任を求める怒りの声が噴出するのは間違いない。

カジノ疑惑だって、すでに秋元以外の複数の自民党議員が賄賂を受け取っていた疑惑が取り沙汰されているのだ。
河井の公選法違反疑惑にしても、検察がこのタイミングで現職国会議員の捜査に着手したのは立件に自信があるということ。つまり、いつ国会開会中の逮捕許諾請求があっても不思議じゃない。
そうなれば安倍政権はたちまち火ダルマ状態になるのは間違いない。

法大名誉教授の五十嵐仁氏(政治学)がこう言う。
相次いでいる問題に対し、長期政権ゆえの腐敗、堕落のように報じられていますが、そうではなく、政権の体質がもともと悪いのです。
これまでに辞任した閣僚だって1人や2人じゃないでしょう。
いわば、政権内の毒がいよいよ全身に回り、それが表面化してきただけ。
予算委では安倍首相も逃げられず、野党が徹底的に追及すれば政権もどうなるかわかりません」

内閣総辞職か解散か、それとも政権内で“政権交代”が起きる可能性
「現政権は8年目を迎える。
桃栗3年、今年は立派な柿を収穫したい。
実はこの先もある。
ユズは9年の花盛り。
このユズまでは私も責任を持ち、大きな花を日本に咲かせていきたい」

 7日に自民党本部で行われた新年仕事始めのあいさつ。
安倍はこう言って総裁任期(3期9年)を全うする意欲を示し、あらためて「求心力」をアピールしていたが、もともと後ろ暗いことばかりやってきた悪辣政権だから、いったん、ほころびが出始めたら崩れるのはあっという間だ。

「補正予算を成立させた直後に解散するのではないか」――。
通常国会での野党の激しい追及を予想し、永田町では「2月解散」説までささやかれているが、醜聞の連鎖が止められなくなった背景には、安倍政権の屋台骨を担ってきた菅官房長官の足元が揺らいだこともあるだろう。

 昨年9月の内閣改造で菅が入閣を後押ししたとされる河井前法相と菅原前経産相の2閣僚が「政治とカネ」問題を理由にわずか1カ月半で辞任に追い込まれ、菅の昨年5月の訪米に同行した「右腕」の和泉洋人首相補佐官が不倫旅行疑惑で猛バッシングを受けた。
新元号「令和」を発表して注目を集め、「ポスト安倍」に急浮上した時期もあったが、当時の勢いはすっかり消え失せ、見る影もない。

 政治アナリストの伊藤惇夫氏がこう言う。
長期政権の緩みたるみと一緒に閣内のきしみも出始めているのは間違いないでしょう。
日本では過去、東京、札幌、長野で五輪が開かれていますが、いずれもその年に総理大臣が交代している。
国会審議などで安倍首相の求心力が落ちれば、政権内で“政権交代”の動きが顕在化する可能性はあります」

■強制捜査、起訴権限を持つ検察を本気にさせた
 安倍政権をグラつかせている理由は他にもある。
今まで幾度となく政権の悪事が指摘されても、ダンマリを決め込んでいた法務・検察が態度を一変させていることだ。
 今の稲田伸夫検事総長は、法務事務次官だった時に林真琴名古屋高検検事長(当時は法務省刑事局長)を次の事務次官に起用しようと考えていたが、官邸の横やりでご破算に。
そうして後任の次官にねじ込まれたのが、菅の覚えめでたい黒川弘務東京高検検事長(当時は法務省官房長)だった。
稲田検事総長はこの官邸人事に激怒していたとされるが、黒川は2月に定年を迎えるため、もはや法務・検察が官邸に忖度する必要は何もないと判断したのだろう。

 人事や権限が官邸から法務・検察に“戻った”ことで、手のひら返しの対応に変わるというのも、それはそれで問題ありだが、いずれにしても他の霞が関省庁のヒラメ官僚と異なり、強制捜査、起訴権限を持つ検察が本気になれば、次から次へと安倍政権の醜聞が出てくるのは当たり前だ。

 果たして総理大臣の在職日数が憲政史上最長となった世紀のデタラメ政権の命運と波乱国会の行方はどうなるのか。

政治評論家の森田実氏がこう言う。
政権の中枢が今ほどモラルや社会正義を失った時代はありません。
戦後最低の政権と言っていいでしょう。
五輪ムードが高まる前に野党は総辞職か解散に追い込む必要がある。
野党が一丸となって徹底的に追及できるか。
国民世論も後押しできるか。
すべてはその動きにかかっています」

「今だけ、カネだけ、自分だけ」。
平気で悪事を働き、隠し、バレても嘘を重ねる。
こんな最悪政権は今年こそ鉄槌を下す時だ。
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2020年01月21日

バレバレの“スマホ検索”で処分 イマドキ受験生のヌクヌク模試証言

バレバレの“スマホ検索”で処分
イマドキ受験生のヌクヌク模試証言
2020年1月20日 東スポWeb

1990年に始まった大学入試センター試験は今回が最後となったが、スマートフォンでカンニングしようとした受験生が出た。
大学入試センターは、1日目となる18日に埼玉県の会場で、地理歴史・公民の試験中にスマートフォンでカンニングをしようとした受験生1人が、全科目の受験無効処分になった。
 試験開始の約45分後、ポケットから取り出したスマホを股の間に挟んで、電源を入れるのを複数の監督者が確認。
本人が「分からない問題があり、スマホで検索しようとした」と認めた。
外部への問題漏えいなどは確認されなかった。

 それにしても、バレバレのカンニングをなぜ実行したのか。
 模擬試験監督を務める予備校講師は「進学塾、予備校、学校が生徒をお客様扱いしているので、カンニングを注意できなくなっています。
注意されずにヌクヌクと好き勝手にやってきた生徒が、厳格な本番で痛い目に遭ったのかもしれません」と指摘する。

 してはいけないカンニングだと自覚していれば、せめてパンツの中にスマホを入れて個室トイレで見るなど、バレない方法を考えるだろう。
しかし、模試で注意された経験がないと本番でもやってしまうのかもしれない。
 同講師は「模試の試験監督をしていたら、机の下でスマホを見ている生徒がいたので、近づいていくと『ずーっと見ていてキモいんだけど。キモいキモいキモいキモい! 試験監督!』と機関銃のようにしゃべってきました」と語る。

 模試は、受験生にとって本番のために経験を積む貴重な機会だ。
主催者側も受験生のためにカンニングを注意するのかと思いきや…。
「他の受験生の迷惑にならないように、なだめて、カンニングは見て見ぬふりをしました。
騒がれたり、悪口をネットに書かれたりしないように、多少のことには目をつむるんです。

塾も予備校も昔より甘くなっているから、本番も注意されないと勘違いしたのでしょう」(同)
 模試と本番の区別がつかなかったのか!?
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2020年01月22日

元埼玉県警の警察官が懸念する「日本は治安がいい」という誤解

第1回 元埼玉県警の警察官が懸念する
「日本は治安がいい」という誤解
1/21(火) 幻冬舎オンライン

不正アクセス、企業トラブルはもちろん、ストーカーや煽り運転など、現在の日本では誰もが「被害者」になるリスクがあります。
身近に潜む犯罪から身を守るスキームを、警察OBの危機管理コンサルタントが伝授します。
※本連載は『新装改訂版 警察は本当に「動いてくれない」のか』(幻冬舎MC)から一部を抜粋したものです。

表面上の数字に惑わされてはいけない
「日本は治安がいい」という一般的なイメージは誤解
日本は治安が「悪い」国である――。
こう言われたとしても、信じる人はほとんどいないでしょう。
「日本の犯罪件数は、平成14年をピークに減少傾向」などとメディアを通じて報道されていることもあって、「日本の治安は年々よくなっている」というイメージが一般に流布しています。

しかし、本当にそうなのでしょうか。
「ほら、ギョウザを作っている会社の社長が銃で撃たれて死んだ事件があったじゃない。
あれ、まだ犯人が捕まっていないんだよね。
怖いよね。
あんた、刑事だったんだろう。
現役に戻って事件を解決してよ」

「昨日の深夜、近くのコンビニが強盗に襲われたんだ。
この前は裏の家に空き巣が入ったばかりだよ。
最近、治安が悪化しているんじゃないか」

私の周りでは、このように犯罪に対する不安を口にする人が大勢います。
犯罪件数などの数字によって示される事実は、せいぜい「海外と比べれば治安がよい」という程度のことを物語っているに過ぎません。
それは、あくまでも相対的評価であり絶対的評価ではないことに注意しなければなりません。
そもそも、一般国民が心の底から「日本は安全だ」と思っているのでなければ、治安がよいなどとは到底言えないはずです。

そこで、治安の善し悪しについて正しく判断するためには、国民が実際に肌で感じている治安の状況に対する感覚、すなわち「体感治安」の現状について確認することが必要です。
平成29年に政府は、この体感治安に関する調査(「治安に関する世論調査」)を行っています。
同調査では、18歳以上の日本人3000人に対して、「日本は安全・安心な国か」「犯罪に対する不安」などの治安に関する広範なアンケートが試みられています。

以下に挙げたのは、そのうちの「最近の治安に関する認識」という質問項目に対する回答結果をまとめたものです。

よくなったと思う         8.1%
どちらかといえばよくなったと思う 27.4%
どちらかといえば悪くなったと思う 48.6%
悪くなったと思う         12.2%
わからない            3.6%

ご覧のように、「よくなったと思う」「どちらかといえばよくなったと思う」と答えた人の割合よりも、「どちらかといえば悪くなったと思う」「悪くなったと思う」と回答した人の割合のほうがはるかに大きくなっています。
こうした調査結果からは、日本人の多くが「治安が悪化している」「犯罪が増えている」と肌で感じている現実が浮かび上がってきます。
このように、「日本は治安がいい」という一般的なイメージは実は誤解であり、「犯罪件数の減少」という表面上の数字に惑わされた勘違い≠ノ基づいたものなのです。

高齢者をターゲットにした、卑劣な犯罪は増える一方
日本人の体感治安が悪化している、すなわち国民の多くが「治安はよくなるどころか悪くなっている」との思いを強めているのは、昨今の深刻な犯罪情勢からすれば無理もない話でしょう。
殺人、強盗、強姦などの凶悪犯罪の発生は後を絶たず、しかも子どもや老人そして女性など、いわゆる社会的弱者を対象とした卑劣な犯罪が日常的に起こっているからです。

前述の「治安に関する世論調査」でも「不安を感じる犯罪」として、「インターネットを利用した犯罪」や「振り込め詐欺や悪質商法などの詐欺」のように社会的弱者が被害者となることが多い犯罪を少なからぬ人が挙げています(図表1参照)
ことに高齢化社会の進行を背景に、思考、身体に衰えがある高齢者がひったくりや特殊詐欺などの被害者となる事件は大きく増えています。

特殊詐欺とは、対面ではなく、電話、ファクス、メールなどを使って不特定の者から金銭などをだましとる詐欺犯罪です。
子や孫を装って助けを求め金銭を詐取するいわゆる「オレオレ詐欺(振り込め詐欺)」もその一種になります。
[図表2]のグラフが示しているように、特殊詐欺の被害総額は年々増加傾向にあり、手口別の被害額では「オレオレ詐欺」が最も多くなっています。

私がかつて勤務していた埼玉県警の管内でも、1000万円近い金銭をだましとられた高齢者が何人もいました。
「被害までには至らなかったが、電話がかかってきた」という未遂のケースも含めると相当な数に及ぶはずです。
特殊詐欺の犯人は個人ではなく組織になっている場合が多く、高齢者を欺くことを目的とした専門的な教育、訓練も受けているため、犯行は極めて迅速に行われます。
お金を渡したら最後、被害に遭った金銭を取り戻すことはほとんど不可能でしょう。

したがって、「オレオレ詐欺」は被害を未然に防ぐことが何よりも重要になるのですが、残念ながら、現段階では、予防に向けた警察の取り組みが十分に機能しているとは言えない状況です。
なお、余談ですが、かつて警察は「振り込め詐欺」に代わる名称を公募したことがあります。
その結果として、一時期「母さん助けて詐欺」と呼ばれていたことがあるのですが、一般には定着せずいつの間にか「振り込め詐欺」に戻ってしまいました。

今思うと、一体、何のための、誰のための名称変更だったのでしょうか。
国民のためだったのか、それとも警察のためだったのか・・・。
ちなみに、現在、埼玉県警は痴漢防止のために「チカン抑止シール」なるものを作成しています。
ネーミング募集やキャンペーンに予算を割いているにもかかわらず、国民には全く浸透していません。
その場しのぎの対策に予算を割くのではなく、先々まで考えた対策をしなければ、いつまでたっても本質的な解決にはならないのではないでしょうか。
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2020年01月23日

「意思を尊重する」と言いながら既定路線は決まっている?

【がんと向き合い生きていく】第149回
「意思を尊重する」と言いながら既定路線は決まっている?
1/22(水) 日刊ゲンダイデジタル

佐々木常雄/東京都立駒込病院名誉院長

 コンピューター会社に勤務していたAさん(77歳・男性)が、病院で外来診察を受けて午後になって再度来院されました。
セカンドオピニオンのため、他院への診療情報提供書とCT検査の画像データが入ったCDを取りに来られたのです。
 胃がんの手術を受けてから2年経った今回のCT検査で、Aさんの腹腔内にはごく小さいリンパ節が見られました。
手術した病院で6カ月前に受けたCT検査と比較するために持参する今回のCT画像を書き込んだCDができるのを待っていた時のお話です。

 Aさんは、もしこれが再発である場合は覚悟をしなければならないと思っていました。
「先生! 私はいざとなった時のために『延命治療はいりません』『人工呼吸器はつけません』『胃ろうは作りません』、そう書いたものを仏壇に置いてあります。それでいいですよね?」
 Aさんはそう言うと、さらにこんな話を続けました。  

   ◇  ◇  ◇ 
 3年前のことです。肺がんだった兄が病院から退院して自宅に戻り、「相談があるから来てくれ」と言うので足を運びました。
兄が寝ているベッドの脇に往診の医者と看護師と奥さんがいて、そこに私も加わりました。

 医者が肺がんの治療はもう無理な状態であることを説明した後、
「あなたにとって最善の方法を考えましょう。あなたの意思を尊重しますよ」と言いました。
続けて、看護師が「食べられなくなった時は胃ろうは作りません。人工呼吸器はつけません。なるべく苦しまないように希望する……それでよろしいですね」と、ゆっくり繰り返します。

 兄は一つ一つにうなずき、それと一緒に医者と看護師もうなずいて、それを看護師が記録しています。
 私は黙って聞いていましたが、その時、なんとなく違和感を持ったのです。

医者は「あなたにとって最善の方法を考えましょう。
あなたの意思を尊重する」と言いながら、既定路線は決まっている。看護師が「胃ろうを作らない。呼吸器もつけない」と確認し、兄が同意するのが当然といった感じでした。
なんだか医者や看護師の思い通りに進めるための単なる儀式に思えたのです。

■「生きたい」と思ってもなかなかそうは言えない  
医者や看護師の考え方が、きっと間違っていることではないのでしょう。
ですから、私は反論することもありませんでした。
後で分かったのですが、あれが「人生会議」ってやつだったと思うのです。
でもあれじゃあ、本当の人生会議ではないですよね。

 医者と看護師が帰って兄と私だけになった時、「兄さん、あれで良かったの? 私には『いい治療法があったら探してくれ』と言っていたじゃないか。
もう、探さなくていいの?」と尋ねました。
すると、兄は「いいんだ。最後はあの医者と看護師に頼むしかないのだから」と答えます。

 私は思いました。
 病気になった者は立場が弱い。あんなになると負け組なんだ。
「あなたにとって最善の方法を」と言われても、「なにかいい治療法はないか……生きたい」と心で思っても、なかなかそんなことは言えない。
もし、そんなことを言ったら、きっと「お金持ちでもないのに、あの年寄りがまだ生きたがっている」そう思われるだけなんだ。
「いつでも考えを変えていいです」と言われても、話し合った記録を文書で残すわけだから、これをひっくり返すのはとても大変で、無理ですよ。
「この前、『なにもしない』って希望しましたよね。ここに書いてありますよ」と言われるだけだよね。

  ◇  ◇  ◇ 
 2週間後、Aさんはセカンドオピニオンの返事を持って来院されました。
「小さいリンパ節は、よく見ると前のCTでもありました。
PET検査をしてみましたが、問題はなく、再発は考え難いと思います。
念のため、6カ月後のCT検査を見ていただければと思います」
 不安が解消され、Aさんは大喜びでした。
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第33回サラリーマン川柳 今回の優秀100句を一挙掲載

第33回サラリーマン川柳
今回の優秀100句を一挙掲載
2020/01/23 毎日新聞

「第33回サラリーマン川柳コンクール」
                                   優秀100句(順不同)

我が家では 最強スクラム 妻・娘
・割勘も 新入社員は ペイでする
・令和婚 逃して目指すは 五輪婚
・話聞け! スマホいじるな! 「メモですが」
・おじさんは スマホ使えず キャッシュです
・これセーフ? 部下への言葉 ググる日々
・定年や 辞めるに辞めれぬ 2000万
・長時間 会議で決めた 時短案
・会議数 減らせないかと 会議する
・メモを取れ 言えばスマホを 部下が出し
・たばこ辞め それでも妻に 煙たがれ
・ロボットと 職奪い合う 新時代
・健康は アプリとサプリで 管理する
・エンタメも 子守りもこなす Youtube
・初めての デートにトライ NO再度
・一日で イクメン名乗って 怒られる
・会議では 令和最初が 定型文
・食事摂る? 今の時代は 食事撮る?
・できる人 昔残業 今休暇 10% 
・バブルは金利 いま税金
・大行列 タピれる前に クタビれる
・お小遣い 値上げトライも 逆ジャッカル
・パプリカを 食べない我が子が 踊ってる
・ギガバイト 時給いくらか 孫に聞く
・ジジババも 子育て参加 ワンチーム
・欲しいのは 100年安心 妻の愛
・指示したら それ無駄ですと 断られ
・還暦は ゴールじゃなくて 通過点
・アレクサは 何科の草か 孫に聞き
・顔認証 オンとオフでは 別認証
・定年後 孫のお迎え 本業に
・「今日残業」 送ると妻から 1いいね
・家族ライン いつになったら 既読つく
・カッコよく スマホ決済 あとで泣き
・遠足日 夫の弁当 鮮やかに
・AIに 引き継ぎするのが 大仕事
・デート先 映えない場所だと 却下され
・パソコンを 上司に教え 日々多忙
・同僚の 飲み会気づく sns
・リーチです 昔麻雀 今マイケル
・欠点を 個性と言い張る 新社員
・ポイントが 私の大事な お小遣い
・もう来たの? ウーバーイーツと 我が夫
・忘年会 癖で上座へ 元部長
・街コンで 気がつきゃ全員 顔見知り
・もうアラフォー 新卒続かず まだ若手
・ラグビーで 一家団らん ワンチーム
・AIを 部長と呼ぶ日が すぐそこに
・女房の 不利な時だけ ノーサイド
・二次会を 断るつもりが 誘われず
・セルフレジ なぜか係に 付き添われ
・タピるって 旅に出るのか? 父慌て
・マイホーム 今や二人で シェアハウス
・イクボスも 家では別の ボスの部下
・「令和初!」 通常業務も プレミア感
・調べもの OKグーグル 辞書はどこ
・シメシメと 増税前に 無駄遣い
・主人にも ドラレコつけたい 5時以降
・「ワンチーム」 にわかに課長が 言い始め
・10%増 増える体重 延期なし
・「早よ、帰れ!」 言ってる上司が 帰らない
・もう1杯 おねだりトライ 妻キック
・検診の 三日前では 結果出ず
・無駄遣い 言い訳いつも 「令和初」
・AIに 営業スマイル 審査され
・能力値 課金で上がるの ゲームだけ
・習い事 かけ持つ子ども 親は秘書
・人事異動 上司のトリセツ 引き継がれ
・6時間 並ぶの俺で 嫁タピる
・2%増 なぜか小遣い 2割減
・ハイハイが とても上手な 孫と部下
・60年 政権交代 しない妻
・登録が ストレスだらけの キャッシュレス
・おっとの座 妻にジャッカル 返される
・増税が 分からなくなる スマホペイ
・出会いの場 昔合コン 今パソコン
・オンライン 知らずに上司を 打ちのめす
・部下休む インスタ上では 元気そう
・飯はいい そう言う前に 飯はない
・お小遣い LINEでねだり ペイを待つ
・消費税 十パー惜しく 持ち帰り
・帰宅中 妻から受注 パパウーバー
・紙減らせ その指示がまず 紙で来る
・若手との 会話が一番 高難度
・部下のため 言ってる奴ほど 俺のため
・増税後 10パーセントで 居場所買う
・役に立つ 昔は上司 いまスマホ
・万一に キャッシュ握って 初ペイペイ
・横向けば AIがいる 日も近い
・ノーサイド 笛が鳴らない 我が職場
・営業を 一番するのは 妻の前
・居場所なく 近所のベンチで テレワーク
・若手呼ぶ 連れて来たのは 五十代
・平成に ついていけずに 令和来る
・ぼっちでも ネトゲの中では 友100人
・この脂肪 筋肉だったら ラガーマン
・足りないの? そもそも無いよ 2000万
・多様性 とりあえず生 絶滅種
・お疲れと いたわる彼女は ブイアール
・インスタ用 最初の乾杯 ハイテンション

  ※第一生命保険の資料より作成
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2020年01月24日

安倍首相の墓穴答弁で判明 桜名簿「確実に存在する」根拠

安倍首相の墓穴答弁で判明
桜名簿「確実に存在する」根拠
2020/01/23 日刊ゲンダイ

 疑惑続出の「桜を見る会」を巡って、招待者名簿を「廃棄した」と内閣府は強弁し続けてきたが、安倍首相の「墓穴答弁」で状況は一変。
やっぱり、招待者名簿は確実に残されていることがほぼ判明した。  
    ◇  ◇  ◇
 内閣府はこれまで、招待者名簿について「紙」の資料はシュレッダーにかけ、電子データも削除したと怪しい主張を展開してきた。
対する野党は、電子データの削除を示すPC上に残された「ログ(履歴)」の開示を要求。
内閣府はかたくなに開示を拒否し続けてきた。
 ところが、22日の衆院本会議で安倍首相がやらかした。

 代表質問に立った立憲民主党の枝野幸男代表が改めてログの開示を要求すると、安倍首相は「(ログの)内容を明らかにすれば、(第三者によるPCへの)不正侵入を助長する恐れがあり、開示することはセキュリティー上の問題がある」と珍答弁。
SNSでは〈ありえないw〉〈そんな嘘には騙されない〉といった意見が飛び交っている。

■専門家は「黒塗りで出せば問題ない」
 ログ開示は本当にセキュリティー上、問題があるのか。
ITジャーナリストの井上トシユキ氏の見立てはこうだ。
「ログは、メモリーに保存されているPCの過去の『動作記録』です。

検索すると〈〇年×日 △時◇分 delete〉といった形で画面にズラッと表示されます。
一般的には、個人情報やメールアドレスなどが特定されるような情報は表示されません。
仮に表示されたとしても、黒塗りで隠せば問題はないはずです。

 内閣府はデータをサーバーで一元管理する『シンクライアント方式』を採用しています。
サーバーから個人端末にデータを呼び寄せて作業する場合、安全性の観点から端末のインターネットを切断し、オフライン状態にして利用するのが一般的。
そういった運用をしているのなら、そもそも不正侵入される経路はないのではないでしょうか」

 22日の野党追及本部では、国民民主党の原口一博国対委員長が内閣府の担当者に「現物を出せないなら、ログを見て、いつ廃棄したのか私に教えてくれるだけでもいい」と発言。
野党は必ずしもログそのものの開示を求めているわけではないのだ。

 ちょっと確認すれば済む話なのに、かたくなに「開示拒否」にこだわるのは、廃棄したことを示すログ自体が存在しないからに違いない。
つまり、名簿の電子データは廃棄されず、しっかり保存されている可能性が高いのだ。
 実際、「なかった」はずの「桜」関連文書がちゃんと保存されていたケースが相次いでいる。

21日には、桜を見る会の2011〜13年開催分の決裁文書が存在していることが発覚。
13〜19年開催分の招待者数や内訳を示した文書が残されていることも分かった。
これらの文書は各年ごとにまとめられ、厚さ10〜15センチのファイルにとじられており、内閣府官房総務課の一室に置いてあったという。
おびただしい数の「桜」関連文書が残っているのに、招待者名簿だけ「存在しない」とは、どうみたって不自然だ。

 安倍首相の墓穴答弁で名簿が残されていることはハッキリした。
野党は内閣府の一室に乗り込んで捜しに行った方がいい。
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2020年01月25日

生活保護ケースワーク「外部丸投げ」で始まる、福祉現場の崩壊

生活保護ケースワーク「外部丸投げ」で始まる、福祉現場の崩壊
2020.1.24 ダイヤモンドオンライン

みわよしこ:フリーランス・ライター

「福祉事務所の民営化」が 現実になるかもしれない不安
 生活保護ケースワーカー業務は、自治体職員が、自治体の設置した福祉事務所で行う原則となっている。
人間の生死を左右する職務であり、最もデリケートな個人情報を預かる業務であるからだ。

しかし、2019年後半から急激に、外部委託の可能性が現実味を帯びてきた。
「外部委託」という選択肢の提案は、2006年、全国知事会と全国市長会が設置した検討会が行った。
検討会で重要な役割を果たしたメンバーの叙述によると、目標の1つは、政府から見た地方自治体を「陳情団」から「シンクタンク」へと脱皮させることであった。

 とはいえ、この提案には、生活保護費という「コスト」を圧縮することに関する具体的な方策が、「手段を選ばず」という感じで列挙されていた。
日本国憲法、生活保護、そして地方自治の原則と相反する内容も多く、生活保護を深く知る人々からは、「荒唐無稽すぎる」「実現しないだろう」と考えられていた。

 しかし2013年以後、提言の内容は次々と現実化されてきている。
まだ現実化していない残り少数のうち1つが、福祉事務所の外部委託である。
 地方自治体の行政職員たちは、官僚と同様に行政のプロフェッショナルであり、地方の実情と住民の実像を深く知っている。
福祉事務所の外部委託については、どのような思いを抱いているのだろうか。

今年度、厚労省が開催した「生活保護担当指導職員ブロック会議」で取りまとめられた地方自治体の声から、読み取ってみたい。
 厚労省からの質問は、「ケースワーク業務の一部を外部委託することや、非常勤職員が行うことについて、どのように考えますか」
「(外部委託や非常勤職員が行うことに賛成の場合)どの業務について委託や非常勤職員の対応が可能と考えますか」の2段階となっている。

外部委託および非常勤職員によるケースワーク業務の是非については、賛成 44%、反対 26.4%、その他 29.6%であった。しかし、「おおむね半数が賛成している」と考えてよいのだろうか。
内容を詳細に見てみると、疲弊する地域、削られる資金、不足する人員の中で模索する自治体の姿が浮かび上がってくる。

「外部委託」と「非常勤職員」で 自治体の反応に大きな違い
 最初の質問は、ケースワーク業務の一部を外部委託、または非常勤職員に行わせることの是非に関するものである。
しかし外部委託の場合、委託で来た職員に対して直接の指示や指導を行うと、「偽装請負」となる。
このことについては、厚労省が質問で注意を喚起している。

 回答の自由記述欄を見ると、外部委託については「反対」「業務を限定して慎重に」という内容が目立つ。
この点に注目して集計してみると、反対63(50.4%)、「この業務だけなら」などの条件付き賛成34(27.2%)、賛成25(20%)、不明3であった。
どう見ても「賛成多数」とは言えない。

 自由記述欄を見ると、「外部委託してもよい」と考えられている業務には、生活保護法29条に基づく資産調査などの業務に加えて、安定している世帯の訪問調査が目立つ。
単純な業務(通知の封入や入力など)や専門性の高い業務を外部委託したいという意見もあるが、「受給者と関わらない業務なら可」という意見もある。

 生活保護の根幹に関わる決定などのコア業務を「外部委託すべき」という意見は非常に少数であり、しかも政府に対する皮肉とも取れる「生活保護業務を全部一括で外部委託しなくては非効率で無意味」といった意見が混じる。
「システム業務に関する外部委託なら可能」としつつ、そのシステムは「国が」「全国統一のシステムを導入」し、「運用する委託業者の指定・管理」をすることを求める自治体もある。

 現在のところ、生活保護業務は外部委託できない。
非常勤職員は、「生活保護世帯80世帯に対してケースワーカー1人」という基準の“頭数”には含まれない。
しかし、外部委託も非常勤職員の配置も、実態として進行してしまっている。

現状追認を求める自治体に 国はどう対応すべきか
 1990年代以来の地方分権改革により、地方自治体では人員も資金も不足が続いている。
必要に迫られて致し方なく判断するのであれ、新自由主義推進のために積極的に判断するのであれ、いずれにしても「福祉事務所のケースワーカーを含め、正規雇用の職員を増やす」という“王道”は選択しにくい。

 中には、「正規職員は不足しており、定期異動もあるため、専門性と特殊性を持った法人がケースワークを行うべき」という意見もある。
その自治体の正規職員の役割は、外部委託先に仕事をさせる、鵜飼いの鵜匠のようなものなのだろうか。

 働ける年齢層に手厚いケースワークを行って就労を促進し、高齢者は生存確認プラスアルファ程度に留めるという“割り切り”を表明している自治体もある。
しかも、高齢者のケースワークはすでに外部委託しているという。
同様の”割り切り”を迫られた自治体は全国にいくつかあるけれども、堂々と表明する自治体は限られる。
この自治体は、自由記述欄で「大阪府」であることを表明している。

筆者としては「やっぱりね」なのだが、現在、不適切とされる運用に関する“開き直り”はいただけない。
 障害者や高齢者に関して介護事業所と連携し、「訪問調査回数として計上可にしてほしい」という自治体もある。
専門性が高い事業所との連携は必要だが、ケースワーカーによる訪問調査まで任せることには疑問を感じる。

障害福祉や介護が生活保護とは一応は切り離されていることが、本人にとっての救いとなる場面もあるはずだ。
 ともあれ、人員削減を強いられている以上、法も制度も整備されていない現状の中では、外部委託や非常勤職員に頼らざるを得ない。
人員削減を強いているのは、今回このアンケートを行っている厚労省、そして政府である。
自由記述欄には、このことに関する意見もある。
「人事がなかなかケースワーカーを増員しない。
最低限の確保のために非常勤職員の採用を考えなくてはならない。
そうすると、職員不要ということにされるだろう」
「非常勤職員を採用すると、正規職員が増員されなくなる」

 筆者には、行間から「真綿で首を締め続けているのは、どなたでしょうか?」という皮肉を含んだ怨念のつぶやきが浮かび上がってくるように感じられる。
さらに、期待される負担軽減やコストカットなどの効果に対する疑問の声もある。
「最終的には正規職員が判断することになり、負担軽減にはつながらない」
「深刻な人員不足である。外部委託すると、指揮命令や職種多様化でさらに業務が困難になる」
「採用、労務管理、委託業者への指示など、正規職員の仕事が増える」
「業務内容や裁量による判断が多い。すべて契約書に書くことは難しい。外部委託は無理」

 地域と業務の現場に向き合っている各自治体の人々だからこその、具体的な「対案」もある。
「ケースワーカーの負荷は、業務の簡素化で減らすべき」

「現状は、どこの誰の責任?」 声にならない自治体の憤懣
 現在の生活保護業務は、不正受給対策や就労促進など数多くの名目のもとで、複雑になりすぎている。
しかしケースワーカーたちは、求められる業務をこなすしかない。
2013年と2018年の生活保護法改正、および改正された法に基づく数多くの規定が要求しているからだ。
「ケースワークの効率化は、システムの一元化、他自治体への委託、複数自治体での福祉事務所の共同設置などで行うべき」

筆者は、「国は、国自身の役割や地方の権限拡大や業務の効率化を、何であると考えているのでしょうか?」というメッセージを行間に読み取った。
 ケースワーク業務の「外部委託」という文言を見ただけで、自治体福祉の外部委託や指定管理に食い込んでいる巨大企業の社名を思い浮かべる方もいることだろう。
しかし、企業名が透けて見えるほど具体的な外部委託について考える前に、行政として、自治体として、そして政府として、すべきことがありそうだ。

外部委託や不安定雇用の職員に ケースワーク業務は任せられるか
 非常勤職員の導入に関する各自治体の回答は、賛成51(40.8%)、条件付き賛成22(17.6%)、反対30(24.0%)、不明22(17.6%)であり、外部委託よりは受け入れやすいようだ。
反対の理由は主に「目が届かない」「業務の質が落ちる」というものだが、退職した職員を再任用している場合、そうなるとは限らない。
経験者の再任用に関しては、現在は行っていないと見られる自治体からも「賛成」の声がある。

 とはいえ、深刻な人材不足に悩む地方からは、「外部委託や不安定雇用の職員がケースワーク業務を?」という声もある。どの業務でも、「とりあえず頭数が揃っていれば、いないよりはマシ」ということはないであろう。
生活保護ケースワークは、特にそうであるはずだ。

 そもそも、必要な「雇われ力」を持った人が一定数いるという前提がなければ、「必要とされる能力を持った人に、必要なときだけ業務に就いてもらう」という選択肢は存在しない。
疲弊し人材難に苦しむ地方では、正規雇用と人間らしい生活を営める業務量、さらに時間をかけた教育が「正解」ということになるのかもしれない。
国の役割は、それが可能な分配を行うことではないだろうか。

 まずは、地域の自治体のありように目を向けよう。
地方選挙に行き、首長や議員を選ぼう。
今後も住んでいたい地域が維持されることは望ましくても、「税金が高すぎて住んでいられない」ということになっては困る。
そして、民主主義のもとで住民にできることは多い。

(フリーランス・ライター みわよしこ)
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血圧の基準値 140以上で受診勧奨だが150でも妥当と専門医

血圧の基準値 
140以上で受診勧奨だが150でも妥当と専門医
2020年01月25日 NEWSポストセブン
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 毎年、多くの人が受ける健康診断。
切り離せないのが「基準値」だ。
血液検査や血圧検査の結果は、数値の一覧表として渡される。
その表では各検査項目に定められた基準値に沿って、「正常」「要注意」「要精密検査」といった判定が下され、患者は表をまじまじと見つめて「思ったより良かった」「もうダメだ」などと一喜一憂してしまう。

 だが数値だけに振り回されてはいけない。
NPO法人医療ガバナンス研究所理事長の上昌広医師が指摘する。
「検査そのものは受診後の健康管理に役立つ有益なものですが、そこで示される基準値はあくまで“目安”だということを理解しておかなければいけません」

 そもそも健康診断における基準値は、各臨床学会のガイドラインなどをもとに厚労省が定めている。
健診後に生活習慣病改善のための保健指導が必要となるレベルは「保健指導判定値」、
重症化防止のための治療が必要となるレベルは「受診勧奨判定値」として示される。

 例えば高血圧については、上の血圧(収縮期)が130mmHg以上なら保健指導の対象、140mmHg以上なら受診勧奨となる。
「たとえば、親を脳卒中で亡くしている人は、血圧が140程度でも脳卒中リスクに注意したほうがいいでしょう。
一方で、かつて血圧の基準値は『年齢+90』といわれ、現在でも家族歴のない高齢者の血圧が高い分には問題ないとする見方もあります。
 薬で血圧をむやみに下げると血流が悪化して血栓ができやすくなり、脳梗塞が発生しやすくなるともされる。
基準値は判断の目安として必要ではありますが、“絶対に正しいもの”ではありません。
血圧が140でも医師が降圧剤を処方するケースもあれば、150でも投薬なしという判断はあるのです」(同前)

“基準値を超えても健康な人は多く存在する”ということを統計的に示したデータもある。
日本人間ドック学会が2014年に発表した約150万人の検査の解析結果では、「上の血圧が147でも健康」という結果が出たのだ。
人間ドック学会は血圧の他に27項目についてこの基準範囲を示している。

 健康診断の数値に詳しい、東海大学名誉教授の大櫛陽一氏がこう語る。
「私が全国約70万人の健診データを解析した結果では、55〜59歳の健康な男女の血圧上限は160mmHgでした。
人間ドック学会の発表も踏まえたうえで言えることは、『現行の基準値である140mmHgは厳しすぎる』ということでしょう。
私は、血圧は年齢プラス90〜95が妥当で、60歳なら150〜155までは問題ないと考えています」

※週刊ポスト2020年1月31日号
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2020年01月26日

この国で「長時間労働」がまかり通る本当の理由

この国で「長時間労働」がまかり通る本当の理由
2020年01月25日 PRESIDENT Online

なぜ過労死や長時間労働の問題はなくならないのか。
弁護士の明石順平氏は「労働基準法にはさまざまな抜け道がある。
また違法残業の罰則は企業に甘く、事実上ブラック企業は野放しだ」という――。
※本稿は、明石順平『人間使い捨て国家』(角川新書)の一部を再編集したものです。

■原則は「1日8時間、1週40時間」以内
労働基準法(以下、労基法)の原則では、1日8時間、1週40時間以上労働させてはならないことになっている(労基法32条)。
また、休日は週に1日又は4週で4日以上である(同法35条)。
休日の決まりはこうなっているものの、1週40時間という縛りがあるので、多くの会社は土日休みの週休2日制を取っている。

使用者が、労働者の過半数で組織する労働組合か、それが無い場合には労働者の過半数を代表する者との書面による協定を締結して労基署にこれを届け出た場合、この「1日8時間、1週40時間」を超える残業や、休日労働をさせることができる。
この決まりが労基法36条に規定されているので、一般に「三六(サブロク)協定」と呼ばれている。
そしてこの協定は事業場ごとに締結する必要がある。

この三六協定であるが、そもそもこれすら締結していない企業が非常に多い。
やや古い統計になるが、厚労省の平成25(2013)年労働時間等総合実態調査によると、三六協定を締結していない事業場の割合は44.8%にものぼる。
これを日本の企業の99%超(従業員数でいうと約70%)を占める中小企業に限定すると、なんと56.6%が三六協定を締結していない。

■「三六協定」がなければ1分でも違法残業
締結していない理由は「時間外労働・休日労働がない」が43.0%と一番多いが、皆さんはこれを信じられるだろうか。
私はとても信じられない。
締結していなければ1分労働時間がはみ出しただけでも違法なのだから、締結しない理由が無い。
ただ単にめんどくさかったから、というのが本当の理由ではないかと思う。

一方、2位以下を見ると、「時間外労働・休日労働に関する労使協定の存在を知らなかった」(35.2%)、「時間外労働・休日労働に関する労使協定の締結・届出を失念した」(14.0%)、「就業規則等で規定を設けるのみで十分と思っていた」(1.0%)となっている。

1位の理由に比べればまだこちらの方があり得る。
特に規模の小さい企業の経営者の場合、本当に法律に無知な場合が多く、まさに「俺が法律」となっていることがある
三六協定すら締結しない企業が、残業代をきちんと払うだろうか。
私はそうは思わない。
この三六協定締結率の異常な低さは、極めて多くの残業代不払いが発生していることを推認させると言ってよいだろう。

■抜け道で残業時間は青天井だった
そもそも締結すらしていない企業が全体で4割を超え、中小企業に限っては約6割にのぼるこの三六協定であるが、協定の際には上限を決める必要がある。
では、その上限は労使で合意さえすれば限界はないのか。

2019年4月に改正労働基準法が施行される前までは、この上限について、大臣告示(平成10年労働省告示第154号)が存在するだけであった(図表1)
ざっくり言えば、1カ月45時間、1年360時間ということである。
1カ月45時間だとおおむね毎日2時間程度の残業になる。
なお、年合計360時間以内に収めるという縛りがあるので、毎月で平均すれば残業を30時間以内にする必要がある(360時間というのは、45時間を単純に12倍した数字ではない)。
それだと、毎日の残業時間はだいたい1時間20分程度にしなければならない。

ただ、これはあくまで大臣告示なので、法律と同じ拘束力を持つわけではない。
その上、臨時的に限度時間を超えて時間外労働を行わなければならない特別の事情が予想される場合、「特別条項」を設ければ、限度時間を超えられる、という抜け道が用意されていた。
そしてこの抜け道がフル活用されていたのである。
すなわち、残業時間は事実上、青天井という状態であった
図表2は特別延長時間の上限についての調査結果である。

■過労死ライン超えが許されていた
特に大企業に注目していただきたい。
特別条項付き三六協定を締結している企業の割合は58.6%にも達し、うち過労死ラインである80時間を超えるものは14.6%、100時間を超えるものが3.9%もある。
かつては特別条項を設けさえすれば、過労死ライン超えの残業をさせることが可能な状況だったのだ。
これでは意味がない。

なお、中小企業はその割合が小さくなっているが、これは、先ほど指摘したとおり、中小企業の場合はそもそも三六協定自体締結していない企業が約6割を占めているからであろう。
大企業より中小企業の方がマシというわけではない。
私の経験から言うと、大企業と中小企業の違いは「文書が整っているかどうか」に過ぎず、異常な長時間労働をさせるという点はまったく同じである。
企業規模が大きくなれば、法務部門にも人的リソースをかけることができるので、文書だけはきちんと整っている。

■法改正で青天井は解消されたが…
2019年4月から改正労働基準法が施行され、従前は大臣告示で定められているだけだった前述の上限時間が法制化された(ただし、中小企業への適用は2020年4月から)。
原則は1カ月45時間、1年360時間である。
特別条項を付ければこの上限を超えられるが、従前とは異なり、この特別条項による延長時間にも上限が設けられた(図表3)
つまり、青天井状態は解消された。

非常にややこしいのだが、この特別条項の限度時間規制を要約すると次のとおりである。

@時間外労働が年720時間以内
A時間外労働と休日労働の合計が月100時間未満
B時間外労働と休日労働の合計について、「2カ月平均」「3カ月平均」「4カ月平均」「5カ月平均」「6カ月平均」がすべて1カ月当たり80時間以内
C時間外労働が月45時間を超えることができるのは、年6カ月が限度

@については、「休日労働時間が含まれない」という点がミソである。
なぜか休日労働の時間が除外されているため、大幅に時間が削られてしまう。
A〜Cの規制は、要するに過労死ラインに到達しないようにしろと言っている。
裏を返せば、過労死ラインまでの残業が許容されているということである
月45時間という原則は、年6カ月までなら超過できてしまう。

■過労死や過労うつは簡単に無くならない
これで過労死や過労うつがなくなるのだろうか。
私は到底そうは思えない。
「過労死ライン」というのは、「そこに到達しなければ全部セーフ」というものではない。
人によってストレス耐性には差があるし、過労死の認定に当たっては、労働時間以外のほかの要素も考慮されるからである。

現に、月50時間台の残業で労災認定されたケースもある。
また、中小企業への上限規制適用は2020年4月からであるが、それ以外に、上限規制の適用が5年間猶予される業務がある(図表4)
このうち、建設事業と自動車運転の業務は、いずれも脳・心臓疾患の労災認定件数の上位を占めている「過労死・過労うつの発生件数が多い」業種である(図表5)

見てのとおり、道路貨物運送業(中分類)は圧倒的に1位であり、道路旅客運送業(中分類)も5位に入っている。
また、建設業も、大分類で「建設業」に分類されるものが、6位、8位、14位に入っており、上位に位置する。
このような状況であるにもかかわらず、これらの業種に対する上限規制は5年も猶予されてしまうのだ。

■人命、安全よりも長時間労働が優先された
これはだれにとっても他人ごとではない。
これらの業種に従事する労働者たちの命が危険にさらされることはもちろん、疲労困憊したドライバーが運転する事故に巻き込まれたり、疲労のため施工ミスをした建物が倒壊するといったケースがあることを想像してほしい。
人の命よりも、安全よりも、長時間働かせることが優先されてしまっている。

さらに、医師についても、以前から長時間労働が問題視されているにもかかわらず、上限規制が5年間猶予されてしまっている。
人々の命を助ける医師自身の命が危険にさらされているという状況である。

そして、新技術・新商品等の研究開発業務については、上限規制の適用が、猶予ではなく、単に除外されている。
なお、この業務につき、1週間当たり40時間を超えて労働した時間が月100時間を超えた労働者に対しては、医師の面接指導が罰則付きで義務付けられた。
事業者は、面接指導を行った医師の意見を勘案し、必要があるときには就業場所の変更や職務内容の変更、有給休暇の付与などの措置を講じなければならないとされている。
しかし、このような措置が歯止めになるとは到底思えない。

以上のとおり、上限が定められ、以前よりはマシになったと言えるかもしれないが、多くの抜け道が用意されており、極めて不十分である。

■企業側に甘すぎる罰則
三六協定を締結しないで残業させた場合や、締結しても前述の上限を超えて残業させた場合の罰則はどうなっているのかというと、懲役6カ月又は罰金30万円である(労基法119条)。
懲役刑が科されることはまず無いので、事実上は罰金のみ。
なお、この罰則は残業代不払いについても同じである。

行き過ぎた長時間労働は人の命にかかわることであるにもかかわらず、それを規制する法律に違反した場合の罰則がたったの30万円なのである。
こんな軽い罰則だと、三六協定の締結すらしない企業が大量発生し、残業代不払いも無くならないのは当然であろう。

■電通への罰金「たったの罰金50万円」
あの高橋まつりさんの過労死事件も、電通に科された刑事罰はたったの罰金50万円であった(遺族に対する民事的な賠償は別途されている)。
なお、なぜ30万円を超える金額になったかというと、次の理由による。
電通が起訴された事件は、高橋まつりさんを含む4名の社員に対し、三六協定で労使が定めた上限を超える残業をさせた(労基法32条違反)というものであった。
このような場合、罰金刑の上限は、単純に4名分を合算することになるので、30万円×4=120万円となる。 つまり、法定の上限からすると、70万円も減額されていることになる。
尊い命が奪われたにもかかわらず、このような軽い刑で済ませて良いのだろうか。

■国の姿勢は「企業優先」「人命軽視」
確かに実務上はどんな刑罰であれ、上限いっぱいの刑が科されることは稀であるものの、そもそもその上限が低すぎる
したがって、そこからさらに軽くする必要性はあるのか非常に疑問である。
50万円など、電通にとっては痛くもかゆくもない。
この罰則の異常な軽さは、次のとおり、ほかの法律と比較すると際立つ。

・著作権法の場合、著作権侵害に対する罰則は10年以下の懲役若しくは1000万円以下の罰金。
法人に対する罰金は最高で3億円。
・特許法の場合、特許権侵害に対する罰則は10年以下の懲役若しくは1000万円以下の罰金。
法人に対する罰金は最高で3億円。
・金融商品取引法の場合、有価証券報告書の重要事項に虚偽の記載のあるものを提出した場合は10年以下の懲役若しくは1000万円以下の罰金。
法人に対しては最高で7億円の罰金。

このように、いずれも個人に対する法的責任の上限は10年以下の懲役若しくは1000万円以下の罰金となっており、法人に対しては、著作権法及び特許法が3億円、金融商品取引法については7億円にも達する。
これらと比較すれば、罰金30万円など無に等しい。
これら3つの法律に共通するのは、このように罰則を重くしないと、企業の営業活動に大きな支障が出る点であると思われる。他方、その企業を支える労働者に対する保護は、恐ろしいほどに軽く見られている
「企業優先、人命軽視」というこの国の姿勢が透けて見える。

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明石 順平(あかし・じゅんぺい) 弁護士
1984年、和歌山県生まれ、栃木県育ち。弁護士。
東京都立大学法学部卒業、法政大学法科大学院修了。主に労働事件、消費者被害事件を専門に弁護を行う。ブラック企業被害対策弁護団事務局長。
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2020年01月27日

医師と製薬会社社員が「絶対に飲まないクスリ」

医師と製薬会社社員が「絶対に飲まないクスリ」
2020年01月26日 PRESIDENT Online

病院や診療所で医師から、飲みきれないほどのクスリを処方されることがある。
忘れてはいけないのは、クスリには必ず副作用が伴うこと。
いま飲んでいるクスリは大丈夫か。
クスリに精通する医師や製薬会社社員に「本音」を聞いてみた。

■高くても飲みたいクスリ、自分では飲まないクスリ
これから飲むクスリが効くか効かないか、飲んでみなければわからない。
だが、失敗はしたくない。
そこで、クスリを処方する側の医師、クスリを開発・製造する側の製薬メーカーの関係者に飲みたいクスリ、飲まないクスリについて率直に聞いてみた。

医師や、製薬会社の社員は、仕事柄、本当は飲んでいいクスリ、飲んではいけないクスリを熟知しているのではないだろうか。
現在わが国の保険診療で使われている医療用医薬品はおよそ1万6000品目あるといわれている。
今回は、生活習慣病、がん、感染症、うつ病、骨粗鬆症、認知症、風邪、痛みなどの治療で使われる薬剤を中心にまとめる。

▼降圧薬・血糖降下薬・コレステロール低下薬
生活習慣で治せる病気に、クスリはいらない
降圧薬には現在、ARB阻害薬、ACE阻害薬など、血管を拡張させて血圧を下げるものが多い。
だが、ただ数値を下げるために副作用のあるクスリを飲み続けるのはよくない。
「日本ではARB阻害薬がよく飲まれていますが、より効果が高く薬価が安いACE阻害薬は、アメリカやヨーロッパでは人気があります」というのは、製薬メーカーの元営業マンのA氏だ。

A氏自身が高血圧でACE阻害薬を服用しているという。
糖尿病で怖いのは、高血糖の状態が続くと、血管が傷つき合併症を引き起こしやすくなること。
脳や心臓の血管で動脈硬化が進むと脳梗塞や心筋梗塞が起きやすくなる。
糖尿病も高血圧も、治療はまず食事療法と運動療法を行い、効果がない場合は薬物療法を行う。

福岡徳洲会病院人工関節・リウマチ外科センター医長の陳維嘉氏は「糖尿病の治療でよく使われているSU薬やグリニド薬などは、食事療法や運動療法がきちんとできないと低血糖になるリスクがあり、生活が不規則な自分が患者なら飲みたくないクスリです」ときっぱりという。

コレステロールは体の細胞膜の主要な材料であり、副腎皮質ホルモンや性ホルモンなどの原料だが、増えすぎると血管壁にたまって動脈硬化が起きやすくなる。
ナビタスクリニック川崎(神奈川)の内科医、谷本哲也氏は「血糖値やコレステロール値が少し高いぐらいであれば、クスリに頼る前にまず生活習慣を見直すべきです。
治療にかかる費用をトレーニングジムに回すなどして、できるだけ運動を」と勧める。

A氏は「病気は自覚症状が強いほどクスリに頼りたくなります。
生活習慣病の多くは自覚症状が乏しく、その結果心筋梗塞や脳梗塞を引き起こしやすくなります」と話す。
クスリに頼らず、文字通り「生活習慣」を変えることを第一に考えるべきだろう。

▼抗がん剤・白血病
■治るクスリの登場で、治療がガラッと変わった
近年、抗がん剤の開発は目覚ましい。
最近では、免疫の反応を強化してがん細胞を攻撃する免疫療法の実用化が進んでいる。
その代表が免疫チェックポイント阻害薬だ。
オプジーボは現在、悪性黒色腫、非小細胞肺がん、腎細胞がんなど、7種類のがんで保険が適用され、さらに適応が広がっている。

A氏は「オプジーボやキイトルーダなどの免疫チェックポイント阻害薬が開発されて、以前なら余命数カ月の患者でも、生存期間が3〜5年延長する時代になりました。
がん克服にさらに一歩近づいた画期的なクスリだと思います」と評価する。

不治の病と恐れられていた白血病の治療も分子標的治療薬のグリベックやイレッサによって大きく変わり、治癒が望める病気になってきた。
谷本氏も「もし私が白血病にかかったら、グリベックを飲むと思います」という。

▼風邪薬・胃腸薬・肝炎
■日本では抗生物質を3〜4割減らすべき
風邪は主に、ライノウイルス、コロナウイルス、RSウイルスなどのウイルス感染により発症し、原因の多くは細菌ではない。

細菌性の病気には抗菌薬(抗生物質)が処方されるが、ウイルスに抗菌薬は全く効果がない。
また、風邪のウイルスに有効なウイルス薬はほとんどない。
しかし、念のために抗菌薬が使われがちで、クスリに対する抵抗性を持った菌(薬剤耐性菌)の出現が世界中で問題になっている。
「日本でも抗菌薬をムダに使いすぎる傾向があり、3〜4割は減らすべきでしょう。
薬剤耐性菌が蔓延すると、以前は治っていた感染症が致命的になる恐れもあります」と、谷本氏は警鐘を鳴らす。

胃腸薬は進化を遂げている。
治療薬としてプロトンポンプ阻害薬(PPI)、H2受容体拮抗薬(H2ブロッカー)などがよく使われる。
A氏は「H2ブロッカーの登場によって胃潰瘍の手術がほとんどなくなりました」と話す。
ガスターなどが代表的なクスリだ。

C型肝炎も画期的なクスリで治る病気になった。
C型肝炎ウイルスに感染して慢性化すると、やがて肝硬変から肝臓がんへと移行していく。
薬物治療は、DAA内服薬の登場で大きく変わった。
DAAは高価なクスリで薬剤費は100万円単位でかかるが、外資系製薬会社に勤務するB氏は、「適切な治療薬を選択すれば、ほぼ完治するようになりました。
C型肝炎になったら迷わずソバルディやハーボニー配合錠の治療を受けます」と話す。

▼鎮痛剤・骨粗鬆症治療薬
■クスリで痛みを取るほうが、治療が効果的になる
慢性痛は治りにくく、薬物治療も一筋縄ではいかない。
陳氏は、「痛みを我慢することで日常生活に支障が出るので、我慢しないこと。
痛みを我慢して増悪してから鎮痛薬を飲むと効果が薄れます。
痛みが生じたらすぐクスリを使うと効果的」とアドバイスする。

痛みの治療に使われるクスリには、非ステロイド性消炎鎮痛薬(NSAIDs)、アセトアミノフェン、ステロイド、麻酔薬など、さまざまなものがあるが、「私は鎮痛薬ではロキソニン、ボルタレン、アスピリン、バファリンなどのNSAIDsより、副作用が少ないアセトアミノフェンを処方することが多い」というのが谷本氏の治療方針。

陳氏も「NSAIDsには消化管潰瘍などの副作用があるので要注意です」と話す。

骨粗鬆症の治療でよく使われているビスホスホネートは骨を壊す破骨細胞を抑制する作用がある。
骨は、骨を作る細胞と壊す細胞が常に再生と破壊を繰り返している。
このバランスが崩れて、骨を壊すほうに傾くと骨の強度が低下する。
これが骨粗鬆症だ。

ビスホスホネートについて陳氏は「安価で費用対効果に優れたクスリ」と評価する。
だが、クスリを飲む前に、「普段運動しない人、糖尿病の人、ステロイドを毎日5ミリグラム以上3カ月以上投与されている人は骨粗鬆症の予防が必要です」と注意を促す。

「予防は運動することと、食事やサプリメントなどでビタミンDを摂ること。
骨粗鬆症は生活習慣の改善である程度防げる病気です。
私自身、生活習慣で治せる病気ならクスリは飲みたくありません」。

▼抗うつ薬・認知症治療薬・睡眠薬
■向精神薬は、死ぬまで飲むようになっている
うつ病の治療薬は、三環系抗うつ薬、四環系抗うつ薬、SSRI、SNRI、NaSSAなどがある。
ベスリクリニック(東京)の理事長で産業医の田中伸明氏は、「抗うつ薬など向精神薬の選択基準は効果があって、副作用が少ないこと。
最も重視すべきは服薬を中止しやすいことです」と指摘する。

「SSRIのパキシル、デプロメール、ルボックス、SNRIのサインバルタなどは副作用が強く、服薬を中断すると離脱症状が現れるために、やめるにやめられないクスリです。
生涯にわたって服薬するようになっています。
私は、効果があって、副作用が少なく、離脱しやすいクスリ、SSRIならレクサプロ、ジェイゾロフト、SNRIならイフェクサーなどを処方しています」。

認知症の治療薬には、アリセプト、レミニール、リバスタッチ(イクセロン)、メマリーの4種類があるが、いずれも根本的に治す効果はない。
飲むと攻撃的になるような副作用も見られる。

「認知症に対しては、今も治せるクスリが出ていない」(B氏)。
薬物の依存症で精神科に入院する原因として覚せい剤・危険ドラッグに次いで多いのが抗不安薬・睡眠薬といわれている。

「抗うつ薬と同じく離脱が難しいデパスやエチゾラムは処方せず、依存性の弱いマイスリー、ロゼレム、ベルソムラなどを処方します」(田中氏)。
同クリニックでは、精神疾患の治療に磁気刺激治療(TMS)を行っている。
TMSによる“脳のマッサージ”と薬物を併用した治療を短期間で集中的に行い、急性期を乗り切ったら、脳のトレーニングを始めることで、うつ病や発達障害、PTSDが「クスリに頼らない」で劇的に改善するという。

▼ジェネリック
■製薬会社社員は、ジェネリックを飲まない
医療用医薬品は、新医薬品(先発薬)とジェネリック医薬品(後発薬)に分けられる。
先発薬と同じ有効成分を含み、有効性・安全性が先発薬と同等であるとして国から製造・販売が認められたのがジェネリック医薬品だ。

ただ、有効成分以外にも、製法や製造にも特許があり、これらの特許が切れなければ同じ添加物を用いたり、同じ工程で製造したりすることはできない。
そのため、ジェネリック医薬品は厳密には先発薬とは異なっている。

谷本氏によると、ジェネリック医薬品は製薬メーカーが国内の自社工場で製造するばかりでなく、中国やインドなど海外から原料や製剤を輸入して製造されるケースが増え、工程の不備で発がん性物質が混入し、製品が回収される事態も起こっているという。
「先発薬のメーカーが同じ工場で製造する、オーソライズドジェネリック(AG)と呼ばれる後発薬は比較的信頼性が高いといえそうです」(谷本氏)。

抗てんかん薬、抗がん剤、抗真菌薬以外は自社製品をすべて飲んだというA氏も、ジェネリックには抵抗があるという。
「正直なところジェネリックは避けたいですね。
できれば先発薬が安心です」と本音を明かす。

B氏は「診療報酬ではジェネリックを使用することで保険点数が加算されるようになっています。
それでも製薬メーカーの社員の中にはジェネリック医薬品は絶対に飲まないという人もいます」。
同じ治療薬なら古い薬より新薬を使ってみたいと思うのは医師も患者も同じだろう。
しかし、谷本氏は「新薬は効果の点で期待できても、まれな副作用のデータが少なく値段も高いので、安易に飛びつくのは勧められません。
クスリには、副作用はつきものです。
新薬の発売後、半年から1年ぐらいたって使用経験の情報が集まるまで待つのも1つでしょう」と釘を刺す。

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谷本哲也 石川県生まれ。鳥取県育ち。
九州大学医学部卒業。内科医。
探査ジャーナリズムNGO・ワセダクロニクルと医療ガバナンス研究所の共同プロジェクト、「製薬会社と医師」に参加。
著書に『知ってはいけない薬のカラクリ』など。

陳 維嘉 中国・上海市出身。
1997年、九州大学医学部卒業。
2005年、九州大学医学部医学博士。
日本整形外科学会専門医。
現在は、福岡徳洲会病院人工関節・リウマチ外科センター医長。
国際医療支援室室長を務める。

田中伸明 熊本県人吉高校出身。
鹿児島大学医学部卒業。日本神経学会認定医。
厚生労働省、外資系コンサル会社などを経て、現在、心療内科ベスリクリニック理事長。
ビジネスパーソンのメンタル障害の解決に尽力している。
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2020年01月28日

「さよならテレビ」 が暴いたTV局の深すぎる闇

「さよならテレビ」 が暴いたTV局の深すぎる闇
悪いのはテレビ業界か、それとも視聴者か
2020/01/25 東洋経済オンライン

吉田 潮 : コラムニスト・イラストレーター

テレビに関する原稿を書いている同業者やテレビ局の人から「あの番組、観た?」と言われた。
放送圏が限られていて、関東では観られなかったことから、録画したDVDが密かに貸し借りされており、入手困難とも聞いた。
テレビの裏事情をさらけだした問題作と言われながらも、実際に観た人が周囲にあまりいなくて、半ば都市伝説のようになっていた。
それが東海テレビのドキュメンタリー番組『さよならテレビ』だった。

この正月から映画館で上映されていると聞いて、観に行ってきた。
私事だが、2016年頃からフジテレビ報道局の夕方の番組から声がかかり、たまにちょっとだけ出演している。
「みんなのニュース」「プライムニュース イブニング」、そして今は「Live News it!」である。
日雇いの立場なので、契約もなければ制限もない。
期待もされていないので、呼ばれるたびに社会科見学気分で報道局を眺めている。
裏事情もうっすらと見て、「さもありなん」「致し方なし」と思うこともあれば、「これだからテレビは!」と思うこともあるっちゃある。
だから、期待せずに鑑賞したものの、テレビ局が抱える生々しい悩みがてんこもりで、ぐっと引き込まれる1時間49分だった。

3人の物語、人選の妙
構図を簡単に説明する。
東海テレビの報道局内にカメラを据え、「テレビの今」を伝えるドキュメンタリー番組を作る、という圡方宏史ディレクター。
ところが、報道局の上層部からは「気になって仕事にならない」「何を撮りたいのかわからない」「やめろって言ってんだろ!」と拒まれる。
身内からの塩対応でかなり不穏なスタートだ。

それでも、当たりの柔らかい人物に絞り込んで撮影を進めていく。
「不器用でうっかりさんの若手新人記者」「スポンサー絡みの案件を器用にこなすベテラン契約記者」「自分の色を出せないアナウンサー」。
この3人の日常を追いつつ、報道局内の重い空気感も映し出していく。
実はこの人選が、テレビ局の悩ましさをあぶり出していて、うまくできているなぁとうなってしまった。

内容に踏み込んで書いたので、これから観ようと思っている人は、ここで読むのをやめてください。

即戦力はほしいが、若手育成も組織の基盤として必要。
しかし20代が居つかないのがオールドメディアの宿命……、そんな悩みを肌で感じさせたのが若手新人記者・渡邊雅之の奮闘だった。
デフォルト笑顔で、よく言えば愛嬌があるものの、「期待の新人」とは言いがたい。
人名の読み方を間違えるわ、顔出しNGの取材対象者の映像を出そうとするわで、言っちゃなんだけど、根本的に報道に向いていない印象。
それでも怒られながら成長していく姿を追うと思いきや、1年で「卒業」を言い渡される。
彼は制作会社からきた派遣社員だったのだ。
映像の中にもあったが、「卒業なんてきれいごとですませていいのか」という意見もある。
確かに難ありだが、本人は続けたい意志をもっていた。

問題は「若手を育てる余裕がない」ことにある
ただでさえ時間も人員も足りていない状況で、さらに「働き方改革」のあおりを受け、残業禁止令も発令。
有能とは言いがたい若手を手取り足取り優しく育てる余裕など、ない。

逆に、テレビ局の人から聞いた話を思い出した。
「20代の子はGW明けが第1関門。4月に入ってきて、仕事のイロハを丁寧に教え、GW明けると会社に来なくなって辞める」という。
この繰り返しで、若手は育つどころか根付かないそうだ。
使えない・居つかない。
テレビ局に限ったことではないが、実に悩ましい問題である。

忖度・迎合・問題意識のなさ
そして、ベテランの契約記者・澤村慎太郎の憂い。
柔和な笑顔で「Z案件」をこなす。
Zとは「是非ネタ」、つまりスポンサー絡みのヨイショネタのこと。
「抵抗はないです」と言いつつも、実は権力の暴走には危機感を抱き、つねにアンテナを張り巡らせている、気骨ある記者だとわかる。
撮影当時、国会で審議されていた「共謀罪」につながるネタを澤村がまとめたものの、本放送では政府が名付けた「テロ等準備罪」の文言で統一されてしまった。

危機感や問題意識をもつ人がここ(報道局)にはいない、と漏らす澤村。
権力に迎合する報道姿勢に、憂いと憤りを感じているのだ。
彼の憂いの対比として、何度か挟まれた映像が実に興味深い。

テレビ局には小学生が社会科見学に訪れる。
報道部長が子どもたちに講義をするのだが、そのタイトルは「報道の使命」。

内容は、
1. 事件・事故・政治・災害を知らせる
2. 困っている人(弱者)を助ける
3. 権力を監視する とある。

この文言を何度か映し出すあたりは、報道局全体に対する完全なる揶揄であり、皮肉でもある。
澤村は、圡方ディレクターら撮影スタッフにもたびたび疑問を投げかける。
テレビが抱える闇はもっと深いのではないか、と。

確かに、ワイドショーやニュースを観ていて、「ああ、この番組(局・人)は権力側の立ち位置ですね」とわかることもある。
ド素人の私がわかるくらいならまだいい。
権力に追従して、視聴者に伝えるべきことを伝えないほうがよっぽどたちが悪い。
それでも上の判断で、番組は構成される。

反省と検証、そしてトラウマ
最後は、福島智之アナウンサー。
そつなく進行をこなすものの印象が薄く、番組の顔としては弱い。
副調整室では福島の「色のなさ」にため息とダメ出しの言葉が漏れる。
メインキャスターとして新番組が始まるというのに、自分が前面に出ることに悩んでいた。
弱気な発言で「向いていない」とつぶやく。

というのも、福島にはトラウマがあったからだ。
2011年、生放送中に岩手県産のお米プレゼントの当選者を発表する際、「怪しいお米」「セシウムさん」などと、とんでもないテロップを流して大問題になった。
「ぴーかんテレビの不適切テロップ事件」である。

当時、キャスターを務めていたのが福島だった。
ネットでたたかれ、番組は打ち切りに。
福島は非難の的にされてしまった経緯がある。
喪失感や苦悩を抱える人を小バカにした文言は許しがたいし、大失態だ。

ただ、匿名かつ執拗なネットの批判をメディアはどこまで受けとめるべきか、とふと考えてしまった。
東海テレビはこの致命的な失敗を二度と繰り返さないために、「放送倫理を考える全社集会」を毎年行っているそうだ。
その割に、覆面座談会企画で出席者の顔を映し出すというミスを犯しちゃったりして。
このドキュメンタリーは反省に基づく自己検証を行いながら、報道局ができれば隠しておきたい恥部もしっかりさらけ出していた。

ラストシーンをどう捉えるかは人それぞれだが、3人の来し方行く末とテレビ局の悩みが実にうまく構成されていたと私は感心した。
「ある種の予定調和」も感じられた。
構成のうまさを感じた時点でドキュメンタリーとしての精度が失われる、と考える人もいる。
でも、予定不調和のリアリティーをぶんなげられて終わるよりも、作り手の意地悪さや問題提起を肌で感じつつ、多少の作為で「テレビ的に」まとめられたほうが断然見やすいし、実は面白いと思った。

響く、とも思った。
「テレビ的」なものこそ数字を取るジレンマ 今、テレビは「いかにもテレビ的」と批判され、そこから脱却しようともがいているのだが、実は「いかにもテレビ的」なものが数字を取れるというジレンマもあるだろう。
報道番組だが冷凍食品の特集で視聴率が上がり、局内が盛り上がるシーンもあった。
皮肉と諦観を矜持に変えるためにも、このドキュメンタリーが多くの人の目に触れる必要があると思う。

渋谷ユーロスペースで観たが、テレビ業界人と思しき人々がちらほら。
前半では笑いが起こり、「あるある〜」的な反応だったが、最後のほうは固唾をのんで凝視していた(ような気がする)。
私も同様である。
「さよならテレビ」というタイトルはテレビ局の人間だけに向けた言葉ではない。
冷凍食品の特集はじっくり観て、共謀罪のニュースはさらっと聞き流す、そんな私たち視聴者に向けた皮肉かもしれないなと思った。
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2020年01月29日

社会主義の敗北を認めない日本共産党の空しき抵抗

社会主義の敗北を認めない日本共産党の空しき抵抗
綱領の核心部分を削除、そしてとうとう何もなくなった
2020.1.28(火)JBpress
筆坂 秀世:元参議院議員、政治評論家)

16年ぶりの綱領改定が大きな議題となった日本共産党の第28回党大会が、1月18日に終った。
ただその改定内容は、実に空しいものであった。
「相手がいないのに自分だけで気負い込むこと。実りのない物事に必死で取り組むこと」を「独り相撲をとる」というが、まさしくそれが今回の綱領改定であった。

 日本共産党が戦後の活動の指針としてきたのは、1961年の第8回党大会で決定された「日本共産党綱領」(61年綱領)であった。
その後、ソ連崩壊などさまざまな出来事に応じて、改定を繰り返してきたが、この綱領を大きく変えるものではなかった。  

全面的な改定が行なわれたのが2004年の第23回党大会であった。
今回の党大会では、この綱領(04年綱領)の核心部分を削除するという改定が行われた。
 この3つの綱領の中身を吟味すると日本共産党という政党が、いかに物事を正しく認識しないで、ご都合主義的な現状分析、情勢分析を行ってきたかがよく分かる。

ソ連などの社会主義国を徹底的に美化していた61年綱領
 61年綱領を今読めば、現実とは大きくかけ離れた分析に、多くの共産党員は恥ずかしくなるか、信じがたいものを見たと思うことだろう。
 例えばこの綱領では、「資本主義世界体制は衰退と腐朽の深刻な過程にある」「世界史の発展方向として帝国主義の滅亡と社会主義の勝利は不可避である」などと分析していた。
だがこの数十年、現実に進んできたのは帝国主義(資本主義のこと)の滅亡ではなく、ソ連、東欧諸国など社会主義の滅亡であった。
 また社会主義陣営を「平和と民族独立と社会進歩の勢力」と規定していた。
しかし事実はどうだったか。

ソ連国内では、スターリンによって反対派の粛清、大弾圧が行われ、酷寒のシベリアには数百万人もの農民などが強制収容所に送り込まれ囚人労働に従事させられていたと言われている。
 対外的にも、バルト三国の併合、ナチス・ドイツとのポーランド分割支配まで行ってきた。
スターリンは、ヤルタ会談でルーズベルト米大統領やチャーチル英首相に対して、日本の千島列島などの領有を認めるよう要求した。
これは当時、ソ連も認めるとしていた「領土不拡大」の原則に反するものであった。

 ソ連だけではなく、社会主義陣営で複数政党制や議会制民主主義を採用してきた国は1つもない。
すべてが共産党や労働者党などの一党独裁体制が敷かれてきた。
 中国では、ウイグル民族やチベット民族への弾圧が現在も行われている。
「平和と民族独立と社会進歩の勢力」の正反対の勢力が社会主義陣営だったのだ。

61年綱領の分析は完全に間違っていたということである。

本当の社会主義は失敗していないと弁明
 ソ連や東欧諸国の社会主義体制の終焉によって、世界でも、日本でも「社会主義は敗北した」というのが常識的な見方となった。
だが日本共産党はそれを簡単には認めない。
なんと弁明するのか。
04年綱領には次のようにある。

〈レーニン死後、スターリンをはじめとする歴代指導部は、社会主義の原則を投げ捨てて、対外的には、他民族への侵略と抑圧という覇権主義の道、国内的には、国民から自由と民主主義を奪い、勤労人民を抑圧する官僚主義・専制主義の道を進んだ。
「社会主義」の看板を掲げておこなわれただけに、これらの誤りが世界の平和と社会進歩の運動に与えた否定的影響は、とりわけ重大であった〉
 要するに、社会主義の原則を投げ捨てて間違った道を歩んできた。
だから失敗したのだと言うのだ。

続けて次のように言う。
〈ソ連とそれに従属してきた東ヨーロッパ諸国で1989〜91年に起こった支配体制の崩壊は、社会主義の失敗ではなく、社会主義の道から離れ去った覇権主義と官僚主義・専制主義の破産であった〉
 社会主義の失敗ではなかった。
本当の社会主義は失敗していないと弁明するのである。

 しかし、そうだとすれば、国によって政党名は違うが、マルクス主義を掲げた共産党などの政権政党で道を踏み外さなかったところは、ただの1つもなかったということになる。
“正義の味方”のはずの共産党が、世界では“悪の権化”になっていた。
これではいかにも説得力に欠ける。

 しかも、社会主義は失敗ばかりだったというのでは、共産党を名乗る日本共産党にとっても決して喜ばしいことではない。かつては高らかに声を上げていた社会主義の未来を語れなくなってしまうからである。

社会主義の敗北を認めないための04年綱領
 そこで04年の綱領改定で挿入されたのが、前段の2つの規定である。
 まず1つ目は次のように書かれている。
〈今日、重要なことは、資本主義から離脱したいくつかの国ぐにで、政治上・経済上の未解決の問題を残しながらも、「市場経済を通じて社会主義へ」という取り組みなど、社会主義をめざす新しい探究が開始され、人口が13億を超える大きな地域での発展として、21世紀の世界史の重要な流れの1つとなろうとしていることである〉

 中国、ベトナム、キューバの取り組みが、「世界史の重要な流れ」だということだ。
ソ連、東欧は駄目だったが、これらの国々が社会主義の優位性を示していくだろうというのだ。
楽観的としか言いようがないが、藁にもすがる思いだったのだろう。

 だが現在の中国を見て、社会主義を目指す国などと思ってきたのはおそらく日本共産党だけだろう。
誰もが共産党一党独裁の覇権主義国家であり、国際法を無視する軍事大国と見てきたはずだ。
「政治上の未解決」などと簡単に言っているが、自由も、民主主義も、人権も抑圧された社会と見てきた。
だから香港での市民の戦いがあり、台湾の総統選挙でも「中国共産党にノー」の審判が下されたのだ。  

さらにまだある、というので、次の一文も挿入された。
〈21世紀の世界は、発達した資本主義諸国での経済的・政治的矛盾と人民の運動のなかからも、資本主義から離脱した国ぐにでの社会主義への独自の道を探究する努力のなかからも、政治的独立をかちとりながら資本主義の枠内では経済的発展の前途を開きえないでいるアジア・中東・アフリカ・ラテンアメリカの広範な国ぐにの人民の運動のなかからも、資本主義を乗り越えて新しい社会をめざす流れが成長し発展することを、大きな時代的特徴としている〉

 延々と書いてあるが、南米ベネズエラでのチャベス政権の誕生を指している。
チャベス政権は、みずから「新しい社会主義」を掲げていたからだ。
これを「大きな時代的特徴」とまで持ち上げてしまったのである。
 だが石油価格が下落するとベネズエラ経済は大失速し、国民の暮らしは大変な事態に追い込まれている。
チャベスの後継者となったマドゥロ政権のもとでも市民の反政府デモを暴力的に鎮圧し、多数の死者を出している。
ここでも評価を完全に誤ってしまったのだ。

自慢の「科学の目」は間違ってばかり
 04年綱領策定の中心を担ったのは、当時の不破哲三中央委員会議長である。
この人の造語に「科学の目」というのがある。
物事を正しく認識するには、科学的に物事を見なければならないという意味である。
04年綱領の前段の2つの規定は、その面目躍如というべきものだろう。

 ところが今回の綱領改定では、この04年綱領の売り物だった規定が、2つとも全文削除ということになった。
この規定が間違っていたからだ。
これが自慢の「科学の目」なのである。

 かつては、“地球上の半分の人びとが社会主義の下で暮らしている。
この地球は、資本主義から社会主義へ発展している。
これは歴史的必然である”と言っていた。
だが党大会での志位和夫委員長の発言によると、キューバもベネズエラのマドゥロ政権を支援しているので駄目だそうで、残るはベトナムだけとなってしまった。

社会主義は、この地球上からほぼ消えてしまったことを証明したのが、今回の党大会だったのだ。
 まあ、どっちにしても3つの綱領が社会や日本の政治に大きな影響を与えたわけではない。
日本共産党がその内部で勝手に“ああでもない、こうでもない”と独り相撲をとっていただけだ。
遊びの世界なのである。
だがその無責任さには呆れるしかない。
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2020年01月30日

“復興五輪”強調に怒り 福島県民「内閣支持率30%」の衝撃

“復興五輪”強調に怒り
福島県民内閣支持率30%の衝撃
2020/01/29 日刊ゲンダイ

 桜疑惑が炎上し、低迷したままの内閣支持率。
 そんな中、福島県の地元メディアが行った世論調査の結果が、安倍政権に衝撃を与えている。

今月25日、福島民報社と福島テレビが共同で「県民世論調査」を実施。
700人から回答を得た。
 安倍内閣を「支持する」は、前回の昨年9月調査から11・1ポイントも下落し、30・3%。
逆に「支持しない」は、13・6ポイント増え、53・9%になり、支持と不支持が大逆転したのだ。

 昨年の参院選で自公は東北6県の1人区を2勝4敗と大敗したが、福島は勝った。
その福島での支持率急落に、ネット上では〈これが国民の正常な感覚だろう〉〈福島県民は冷静です〉〈復興五輪なんて何浮かれてんだと思ってるのが本音なんだろうな〉と話題になっている。

「力強く復興しつつある被災地の姿を見て、実感していただきたい。まさに復興五輪であります」――。
安倍首相は20日の施政方針演説で、福島の復興を強調した。
「聖火が走り出すスタート地点は、福島のJヴィレッジ。
かつて原発事故対応の拠点となった場所は、子供たちの笑顔であふれています」
「浪江町では、世界最大級の再生エネルギーによる水素製造施設が、本格稼働。
未来を拓く産業が今、福島から次々と生まれようとしています」

 しかし、当事者の福島県民は、“復興五輪”を強調する安倍首相にハッキリと「ノー」を突きつけた形だ。

立正大名誉教授の金子勝氏(憲法)が言う。
「福島県民は復興が進んでいないことを実感しています。
東京五輪を優先にしたため、福島の復興が遅れた面もある。
なのに、安倍首相は『復興五輪』と称して勝手に区切りをつけようとしている。
欺瞞に満ちた施政方針演説への県民の怒りが支持率急落に表れたのだと思います」
「復興五輪」と叫べば、福島県民が喜ぶと思ったら大間違いだ。
posted by 小だぬき at 00:00 | 神奈川 ☀ | Comment(8) | 社会・政治 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2020年01月31日

武田教授が警告。本当の恐怖は温暖化でなく「寒冷化」という事実

武田教授が警告。
本当の恐怖は温暖化でなく「寒冷化」という事実
1/30(木) まぐまぐニュース

先日掲載の記事「武田教授が警告。朝日とNHKが今すぐやめるべき温暖化という大嘘」では、「環境問題」などもともと存在しないという持論を展開した、中部大学教授の武田邦彦さん。

武田さんは今回、自身のメルマガ『武田邦彦メールマガジン「テレビが伝えない真実」』で、仮に温暖化ガスが増加しとしても気温の変化が抑えられるメカニズムを紹介するともに、本当の恐怖は温暖化よりも寒冷化だとしてその理由を記しています。

30年後予想が100年後に。
考えられる「気候変動」による実際の影響とは?
現在は、現代型の生物(多細胞生物)が誕生してから、三番目の氷河時代で、その中でもおそらくは生物が経験する初めての寒冷な温度であると考えられます。
多くの生物にとって寒い時代ですので、生物の大半は赤道直下にいます。

ブラジルのアマゾンやインドネシアには植物(森林など)が、アフリカのサバンナには動物が快適に生活していますが、いわゆる温帯と言われる地域は、家屋、衣服、暖房などが使える人間には良いのですが、動植物は寒く、その数は赤道直下に比べて極端に少ないのです。

本当に生物のため、自然のためを考えれば、このままの状態だと若干温暖化ガスが増えるので、それで気候などがどうなるかを観測し、それから対策を取るというのが正しいと思います。
マスコミや環境運動家の誤った誘導で、「温暖化ガスの増加はゆっくりだが、気候の変化は急激に起こる」という非科学的な認識が広がっています。
アメリカの上院で「気候変動」の可能性が指摘されてからすでに30年以上が経ったのですが、当初の予想と比較して、現実の気候の変動は予想よりはるかに小さいものでした。

そのため、21世紀に入ってから、それまで30年後の気候変動と言っていたのを、環境運動家は100年後に切り替えました。30年後ですと、最初の予想の時期がすでに過ぎ、大幅に予想が狂っていることが明らかになっているので、誰も確認できない100年後としたのです。

また、一度、温暖化ガスが増加して温暖化が進んでも、それが危機的な状態になったら、植物の生育速度があがり、ガスの吸収が多くなりますし、海洋の植物プランクトンも増加します。
さらに空気の気温が高くなると、徐々にその熱が海に伝熱しますが、海洋は4000メートルもあり、さらに空気に対して水の比熱が1000倍にもなるので、熱の大半は海洋に吸収されます。
さらに海洋は流動性があって、100年単位で海流によってかき混ぜられますので、気温の変化は抑えられます。
つまり自然は変化の方向に対して、それとは反対の反応が進みますので、それ も十分に考慮しておかなければなりません。

「地球温暖化」が問題視されているいま、本当の恐怖は「寒冷化」した世界
現在は「地球温暖化」というと怖いイメージですが、もともと「温暖な気候」というのは飢饉の恐れもないのですが、「寒冷化」はとても怖いもので、ヨーロッパでも日本の江戸時代でも、気候が寒冷化すると飢饉が訪れて大量の餓死者を出すのが普通です。
長い歴史の中で気温が上がったから大きな被害が生じたというのは、特殊な例です。
シベリア、日本、アマゾンなどを思い出せばわかることですが、生物は高温多湿のアマゾンがもっとも繁殖し、シベリアは極めてゆっくりとしか植物も動物も成長しません。

生物は生き物だから直観的にはわかりにくいけれど、体内の反応は化学反応なので温度に強く影響される。
地球が温暖化すると、どこに住む生物も活発になるので、穀物、家畜、プランクトン、魚などすべての食糧生産は上昇し、飢餓の可能性は劇的に低下します。
今、地球温暖化が怖い、すぐにでも対策を取らなければならないと言っている人は、たとえば20年後から急速に寒冷化して作物が取れなくなり、餓死者が増えたらその責任をどうやってとるのでしょうか?

温暖化ガスの上昇は緩やかなので、科学はそれほど将来を正確に予想できないことを考えて、100年ぐらいは様子を見ないととんでもないことになります。
温暖化と違い寒冷化は空気だけが冷えると不作になるので、影響が直ちに来るから大変です。

これまでも環境運動家は、 ゴミがあふれるダイオキシンは猛毒だ環境ホルモンで女性化する などと社会を脅かし、それが間違いであってもまったく反省もせず、責任も取っていません。
日本は民主主義で言論の自由も認められていますが、そのかわり、自分の言ったことに責任を持つ必要があります。
人生で一つや二つの間違いをすることがありますが、たとえば朝日新聞やNHKは繰り返し間違っていて、その責任を取ろうともしていません。

言論の自由を守るのは、社会に向かって情報を発信する人が、その発信する内容について責任を持つことで成立します。
その点で数々の誤報や情報操作を続けた朝日新聞が言論の自由を声高に言っているのは実に不見識です。
地球温暖化については、すでに精神的なものは時間的な損失を除いても、国民一人当たり100万円程度の税金を使用したとされています(東京理科大学渡辺先生の試算による)。
このように社会に大きな損失を与えるものですから、せめて日本国内に学問的に十分検討できる学会を作って、そこで日本国民のために温暖化の可能性、その日本に対する影響などを議論する必要があります。
image by: Timon Goertz / Shutterstock.com MAG2 NEWS
posted by 小だぬき at 00:00 | 神奈川 ☀ | Comment(6) | 社会・政治 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする