2020年02月02日

安倍首相が乱発する閣議決定、無知の突破力がもたらす異常事態

安倍首相が乱発する閣議決定、
無知の突破力がもたらす異常事態
2/1(土) NEWSポストセブン

 安倍首相はかつて党首討論で、志位和夫・日本共産党委員長からポツダム宣言の条文について質問され、「まだその部分をつまびらかに読んでおりません」と答弁したことがある。
 日頃、目の敵にしている共産党に背中を見せたことがよほど悔しかったのだろう。
野党の質問主意書で質されると、こんな閣議決定がなされた。
〈安倍内閣総理大臣は、ポツダム宣言については、当然、読んでいる〉

 こうしたやり方で、首相や大臣たちの失言は、訂正されないまま「閣議決定」でどんどん正当化されている。
安倍首相や大臣にすれば、国会で追及の矢面に立たされ釈明に追われるより、役人に答弁書をかかせて閣議決定したほうが楽だろう。
 だが、「閣議決定」を経た答弁書は政府の統一見解となり、大臣の国会答弁より重い意味を持ち、政府機関の役人はその内容に縛られる。

元文部科学官僚の寺脇研・京都造形芸術大学教授が指摘する。
「安倍総理が自衛隊を『わが軍』と呼んでしまった。
答弁書でも追認した。
だから役人が国民から『自衛隊は軍隊か』と聞かれたら、『国際法上、一般的には軍隊と取り扱われる』と答えることになる。
閣議決定ですから。
 総理夫人が公人か、私人かの問題も、安倍総理自身が妻は私人だと考えているのだから、そう答弁書にまとめなくてはなりません。
それが閣議決定されると、役人は国民から『昭恵さんは公人か私人か』と問われたら、『私人です』と答えねばならないが、それに対して『何で私人に指示されて動いているのか』という問題が出てくる。
 森友学園の件でも同様ですが、役人は閣議決定の内容につじつまを合わせるために、資料廃棄といった無理をしなければならなくなる」

 2015年刊『検証 安倍イズム』(岩波新書)でいち早くこの閣議決定政治を指摘していた政治ジャーナリストの柿崎明二氏が、その原点に遡る。
「第一次安倍政権時代の2006年、村山談話を換骨奪胎するために『侵略については定義が確立されていない』との政府答弁書を閣議決定したのが端緒でした。
歴史認識や安全保障を中心として、第二次政権ではどんどん閣議決定を利用する範囲が広がっている。
 国会を通さずに官邸中心で作成できるし、その後の国会では野党の追及を『政府答弁書の通り』とかわすこともできる。
安倍首相にとって非常に使い勝手がいいんです」

 そうした政治手法の“集大成”ともいえるのが、今回の国会同意なき自衛隊海外派遣だろう。
 1月20日から中東に派遣された海上自衛隊のP3C哨戒機が現地で活動を開始し、2月2日には護衛艦が出航する。
 小泉政権時代の自衛隊イラク派遣が国会で特別措置法を制定した上で実施されたのに対し、安倍政権は昨年の官庁仕事納めの12月27日、国会の議論がないまま「閣議決定」だけで派遣を決定した。

 憲法学者の水島朝穂・早稲田大学法学学術院教授は、「安倍晋三という『無知の突破力』をもつ首相が長期在職していることによって引き起こされた異常事態」と厳しく批判する。

「自衛隊を中東に派遣する場合の法的根拠は、武力攻撃事態・存立危機事態法や海賊対処法、国際平和支援法など5つの法律がある。
今回のケースはどれも適用するのが困難で、本来は新たな特別措置法を国会で定める必要があった。
 しかし、安倍政権は国会での議論を嫌う傾向が強く、国会の議決がいらない閣議決定だけで派遣した。
議会制民主主義を完全に否定するやり方と言えます」

 前回のイラク派遣をめぐっても、安倍政権による自衛隊の日報隠しが問題化した。
その後、大部分が黒塗りで公表された日報には、「非戦闘地域」とされた派遣地域で「戦闘」や「銃撃戦」などの記述が複数箇所あった。
 それについても、安倍首相は〈「一般的、いわば国語辞典的な意味での戦闘」は、自衛隊法等において(中略)定義されている「戦闘行為」とは異なるものである〉
〈政府としては、自衛隊が(中略)対応措置を実施してきた区域については、(中略)「戦闘行為」が行われることがないと認められる地域に該当していたと考えている〉と閣議決定している。

 国民に情報を隠し、国会の論点をずらし、政権の方針に逆らう異論を許さない。
数々のトンデモ閣議決定は、この政権の独善的本質を物語っている。

※週刊ポスト2020年2月7日号
posted by 小だぬき at 00:00| 神奈川 ☀| Comment(4) | 社会・政治 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする