2020年02月04日

証拠は捨てたもん勝ち!? “桜国会”が示す公文書管理の闇<週刊朝日>

証拠は捨てたもん勝ち!?
“桜国会”が示す公文書管理の闇 <週刊朝日>
2/4(火) AERA dot .  

国会では「桜を見る会」を巡り、野党の追及が続く。
地元後援者を多数招待するなど安倍晋三首相が会を私物化していた状況がわかってきた。
 前日に会費5千円で「前夜祭」をホテルニューオータニで開いたことも、問題視されている。

2月3日の衆院予算委員会で立憲民主党の辻元清美議員は、政治資金収支報告書に記載がないことは脱法行為だと質問。
安倍首相は事務所職員が集金し全額をホテル側に渡しているので政治団体への入出金はなかったなどとして、次のように主張した。
「5千円という料金はホテル側が設定したものだ。
政治資金規正法上も公職選挙法上も一切問題無い」
 脱法行為だとの指摘を否定するが、領収書の写しなど資料の公表は拒んでいる。

疑惑について言い訳をしつつ、裏付けとなる証拠は出さずに幕引きを図るねらいだ。

 森友・加計問題などと同様に、桜を見る会を巡っては、公文書の違法な廃棄や改ざんが指摘されている。
 焦点となっている内閣府の招待者名簿の廃棄について、菅義偉官房長官はこう開き直る。
「公文書管理法のルールに基づき、名簿は保存期間1年未満と設定しているものであり、紙媒体、電子媒体ともに廃棄している」

 パソコンのサーバーにはバックアップデータも残っていたはずだが、菅氏は「バックアップデータは行政文書ではない」として復元を拒んだ。
 公文書管理法に詳しい右崎正博・獨協大学名誉教授が厳しく批判する。

「政府は昨年3月、内閣総理大臣決定として『行政文書の電子的管理についての基本的な方針』を公表しています。
将来的に紙文書はやめて電子媒体に移行するということです。
万一、原本が失われても、バックアップデータがあれば文書を復元できるからです。
それなのに電子媒体を廃棄したとか、バックアップデータは行政文書ではないというのは、安倍首相が自ら定めた方針を否定するようなものです」

 名簿の保存期間を1年未満としたことについても、疑問を呈する。
そもそも、森友学園問題では多くの公文書が、保存期間が1年未満だということを理由に廃棄されていた。
そのことへの批判が高まり、政府は2017年12月に公文書のガイドラインを改定していた。

「ガイドラインの改定で、保存期間が1年未満の文書は原則としてなくしたはずでした。
ところが今回、内閣府は例外規定を当てはめて速やかに廃棄しており、悪質です」(右崎氏)  
ガイドラインの例外規定で保存期間を1年未満にできる文書は、正本・原本が管理されている行政文書の写しや、明白な誤りなどから利用に適さなくなった文書などだ。
招待者名簿は該当しないように思えるが、内閣府は次の項目に該当するとして、18年4月から1年未満文書に変更したと強弁している。

「保存期間表において、保存期間を1年未満と設定することが適当なものとして、業務単位で具体的に定められた文書」
 読めば分かるように、これは「その他」の項目といえるようなもの。
役人の判断で「適当」かどうか幅広く決めていいのなら、ガイドラインは骨抜きになる。

「公文書等の管理に関する法律施行令」によれば、1年以上保存する文書の「起算日」は、公文書が作成された翌年の4月1日。
前年度作成の文書は、少なくとも翌年度1年間は保存されるように定めているのだ。

 招待者名簿については、公文書管理法違反も発覚している。
保存期間が1年以上の公文書は「管理簿」に記載し、廃棄した場合は「廃棄簿」に記載しなければならない。
 ところが、11〜17年度までの7年間にわたって、管理簿にも廃棄簿にも記載がなかった。
内閣府は1月17日付で、歴代の人事課長6人を厳重注意処分にした。
森友学園問題のように役人に責任を押しつけた格好だ。

「ルールに基づいて適切に保存・廃棄している」という政府の主張は崩れている。
廃棄記録がないのだから、野党の求めに応じて再調査するのが筋だが、政府は拒否し続けている。

 招待者名簿の電子データを廃棄した日について菅官房長官は、「紙の名簿の廃棄時期と同じく昨年5月7日から9日に消去した」(1月27日の衆院予算委員会)と、あいまいな答弁をしている。
 電子媒体の廃棄証拠となるログ(電子的な履歴)を確認すれば、正確な日時が特定できるはずだ。

南スーダンに派遣された陸上自衛隊の国連平和維持活動(PKO)部隊の日報問題では、防衛省が廃棄したと説明していた電子データが後から見つかった。
野党側は招待者名簿の電子データは復元可能な状態で、調べれば開示できるはずだと見ている。
それを政府に認めされる突破口として、ログの確認を繰り返し求めているのだ。
 菅官房長官は野党の要求を拒否。
1月29日の参院予算委員会で理由をこう述べた。

「ログを確認することが行われれば、同じシステムを利用している国家安全保障局、さらには内閣官房、内閣府のまさに国家機密に関わる情報を含めて調査することとなり、漏洩(ろうえい)の危険性が増すことから、ログの確認は不正侵入の検証などの取得目的の範囲内で行われるべきものである」
 ログを確認しただけで国家機密が漏洩するとは信じ難い。
安倍首相を守るためなら、何とでも理由をつけるようなものだ。
まさに、“証拠は捨てたもん勝ち”の状況だ。

 前出の右崎氏はこう嘆く 「ログの確認は技術的に可能なはずなのに、やろうともしない。
ログを開示しないということは、行政文書の管理簿や廃棄簿そのものを隠すのと同じです」
 公文書管理の最終的な責任を負うはずの安倍首相は説明責任から逃げているが、ウソは暴かれつつある。

 桜を見る会には、高齢者らへのマルチ商法で行政指導されたジャパンライフの元会長らも、招待されていた。
「安倍首相は招待者基準や人数を自分の責任で見直すと言っていますが、その基礎的資料となる名簿を廃棄してどうやって検証作業をするのでしょうか」(右崎氏)

 公文書管理法では、公文書等は健全な民主主義の根幹を支える「国民共有の知的資源」だとして、文書管理の大切さを次のように強調している。
「国民主権の理念にのっとり、公文書等の管理に関する基本的事項を定めること等により、行政文書等の適正な管理、歴史公文書等の適切な保存及び利用等を図り、もって行政が適正かつ効率的に運営されるようにするとともに、国及び独立行政法人等の有するその諸活動を現在及び将来の国民に説明する責務が全うされるようにする」

 安倍首相は、説明の責務を最後まで果たさないつもりなのだろうか。
(本誌・亀井洋志)
posted by 小だぬき at 14:50| 神奈川 ☁| Comment(4) | 社会・政治 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

マイナンバー カード強要は不適切だ

マイナンバー カード強要は不適切だ
2020年2月3日 東京新聞「社説」

 マイナンバーカードの保有状況を政府が公務員と家族について繰り返し調べている。
「強制だ」と反発の声もある。
法令では任意が原則である。
普及が進まないとはいえ、不適切な手法といえる。

 マイナンバーカードがあると、コンビニで住民票の写しや印鑑登録証明書などが受け取れる。
確定申告でも自宅で「e−Tax」という電子申請が可能になる。
身分証明にも使える−そんな利点がうたわれるが、カードの普及率は一月二十日現在で15・0%である。

 利便性があれば、どんどん普及率は高まるはずだ。
でも、日常でそれほど住民票などが必要ではないし、政府が宣伝するほど、国民はカードの利便性を感じてはいないのだろう。
麻生太郎財務相も昨年、「俺も正直言って、使ったことは一回もない」と語ったことがあるほどだ。
 普及が進まないためか、国家公務員と家族には昨年十月と十二月、内閣官房と財務省が作成した調査用紙を配布した。
地方公務員と家族には、総務省が各自治体に依頼して、昨年六月、十月、十二月の三回調査している。

 政府は「あくまで取得の勧奨だ」と説明するが、国家公務員向けの調査用紙には、カードの交付申請をしない理由を問う欄まである。
家族に対しても理由を書かせ、かつ複数回にわたり報告させる−これを事実上の「強制」と言わずして何と言うのだろう。  

職場によっては管理職らがカード非保有者にだけ繰り返し調査票を配る例もあったという。
確かに政府は国民の取得を推進する立場だが、マイナンバーカードの取得は、法令で「その者の申請により交付する」と記されている。
あくまで本人の意思に任せる申請主義に基づく。
 任意取得が原則なのだ。
政府の手法に反発の声が上がるのも当然である。

国家公務員の取得率は昨年十月で28%、被扶養者にあたる家族は13・1%である。
地方公務員もほぼ同じ数字である。
 こんな調査をすれば、カードを持たないことが昇進などの妨げになるかと心配になるし、家族にまで調査を広げるのはゆきすぎである。

個人番号制が情報漏えいリスクや超監視国家につながると不安視する声だってあるのだ。
 二〇二一年三月から健康保険証の機能も持たせるが、従来の保険証も併用する。
カード取得は個人の選択を尊重する原則から逸脱してはいけない。
posted by 小だぬき at 00:00| 神奈川 ☀| Comment(0) | 社会・政治 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする