2020年02月12日

小太りは長生きする?「内臓脂肪=悪」は間違った認識かも

小太りは長生きする?
「内臓脂肪=悪」は間違った認識かも
2020年02月11日 SPA!

◆痩せすぎは早死にのリスクが高く、小太りこそ長寿の秘訣!?
「メタボ肥満は万病のもと、痩せれば健康!」などと脅されて、右往左往する姿は痛々しい。
だが、そんな痩身迷子たちに朗報だ。
最新の調査から、その努力は必要ないようなのだ。

◆小太りは長生きする……その医学的根拠が判明!?
 歴史を振り返れば、’80年代に一世を風靡した「りんごダイエット」や「ゆで卵ダイエット」に始まり、昨今では「糖質制限ダイエット」や「サバ缶ダイエット」など、毎年のように新しい「○○ダイエット」がテレビや雑誌を賑わせている。
ネット上ではさらに珍奇なダイエット法が怪しげな効果効能を謳っており、いまや我が国は一億総痩せ体形を目指して突っ走っているかのようだ。

 東京都健康長寿医療センター研究所は、’87年から東京大学および米ミシガン大学と共同で、60歳以上を対象にした追跡調査を実施している。
その最新の結果(’17年)によれば、肥満指数(BMI)の低い痩せ形は死亡リスクが高い一方で、軽度や中度の肥満であればリスクは変わらなかったのである。
 この傾向は働き盛りの40〜59歳の中高年世代でも同様で、国立がん研究センターの研究者らが、すでに’02年に論文を発表している。

それによると、最も死亡リスクが高いのは男女ともにBMIが最も低い層である14〜18.9の層だったことが判明した。
BMIとは、健康診断の際、肥満や低体重の判定に使用されるもので、「体重(s)÷身長(m)の2乗」で算出される。WHO(世界保健機関)による肥満度判定基準では、18.5〜25未満を普通体重と定めている。
これを日本人に当てはめ、平均身長を170cmとすると体重53〜72sにあたるのだ。
 だが、このレンジに入っている人々の死亡リスクは、一部を除いて軒並み高い。
つまり、苦労して痩せるよりは、BMI 23〜26.9、体重換算で66〜78sの小太り体形のほうが死亡リスクが低いのである。

 こうした調査結果に大きく頷くのは、外科医の今津嘉宏氏。
これまで数々のがん手術を扱ってきた今津氏は「小太りな人は健康」を現場で実感してきた。
「ここで注意したいのは男性のほうが、より『小太りは健康』の傾向が強いことです」

◆「内臓脂肪=悪」は間違った認識!?
 確かに男性のほうが女性よりもBMI 23〜26.9の人の死亡リスクが底を打つように低くなっているのがわかる。
「世間には、『太るのは悪』と考える人が多いですが、『小太りこそ健康で長生き』というのは外科の現場では一般的な考え方です。
術後の経過をよくするにはどうすればいいか外科医は長年にわたって考えてきました。
 その結論として言えるのは、やはり痩せている人よりも小太り気味の人のほうが、術後の体調もよく、傷の治りが早いのです。
だから患者さんには『肉を避けて野菜中心に食べるなんてことをしてたらすぐに死ぬ。ちゃんと食事をして、体重を増やさないとダメですよ』と必ず説明しています」

 もちろん病気になる前の段階でも、小太りは命を守ってくれる。
「人は食べないと栄養を取れずに死ぬ。
当たり前のことですが、痩せている人というのは、生きるために必要な栄養が不足しています。
そうすると病気への抵抗力が弱まりますから、治りも悪くなります。
死亡リスクが高いのは当然でしょう。

 一方、小太りの人は、病気に対する貯金をたくさん持っていると考えてください。
不規則な生活の人であっても、しっかりごはんを食べて小太りになれば病気のリスクを抑えられます」
 さらに、メタボの脅しとセットで語られがちな超悪玉・内臓脂肪も、健康にプラス効果をもたらすことがあるという。

「内臓脂肪は、脂肪をため込む白色脂肪細胞と、脂肪を燃焼させる褐色脂肪細胞から構成されています。
実は内臓脂肪が増えると、白色脂肪細胞から動脈硬化や糖尿病を防ぐ効果のあるアディポネクチンという善玉物質が分泌されるのです。
しかし、肥満状態になってしまうと、白色脂肪細胞が肥大化して数も増加し、善玉物質の分泌が減り、代わりに悪玉物質が生成されるので要注意です」
 過ぎたるはおよばざるがごとし。
適度な小太りを維持することが大切なのだ。

◆太りにくい人は腸内環境を改善  
一方、ダイエットに詳しい専門家はこの議論をどう捉えるのだろうか。
中高年向けのジムを主宰している枝光聖人氏に聞いた。
「確かに、痩せている人に比べて、体重がやや重い人のほうが元気で長生きという実感はあります。
ただし、BMIは身長と体重から割り出しているため、筋肉量と体脂肪量が考慮されていません。
脂肪よりも筋肉量が多くて重い人のほうが健康的ですね」

 いうなれば「筋肉小太り」が最強の健康体ということか。
確かに、筋肉量が健康に及ぼす影響について調べた米ミシガン大学の最新研究によれば、「筋力が弱い人ほど寿命が短い」ことがわかっている。
特に握力の強さが健康状態を測る上で有力な判断材料になっているという。

「なぜ握力が寿命と関係しているのかといえば、指は日常生活で必ず使うから。
その力が落ちているということは、下半身の筋力など、ほかの部位も相当衰えている証拠になるのです。
そうなればもう日常生活もおぼつかないです」

 好きなものを食べて飲んで、筋トレなどには目もくれずに小太りを維持しながら長寿を望む……はさすがにダメということか。
「かといって、ムチャな食事制限をするのは絶対に避けてください。
どんなに健康な人でも、40歳以降になれば、自然に筋肉量が少しずつ落ちていきます。
そんななかで低カロリーダイエットや低糖質ダイエットをして十分に食事を取らなければ、さらに著しく筋肉が減ってしまいます」

 つまり、しっかり食べて筋肉量を増やすことで、結果的に普通体重よりも小太りのポジションに達することが大切というわけだ。
 こうまで言われると、いくら食べても太れない、痩せやすい体質の人たちは不安になるだろう。
そんな方に今津氏がすすめるのは腸内環境へのアプローチだ。
「腸にいる腸内細菌の種類によって代謝が変わり、痩せやすい人と太りやすい人がいることが最近の研究でわかってきました。
ですから痩せやすい体質の人は、無理をしてたくさん食べるのではなく、納豆、味噌、ヨーグルト、チーズなどの発酵食品を積極的に食生活に取り入れてみましょう。

 1週間同じものを食べ続けて、いつもより便の調子がよければ、その食品が自分に合っていて腸内環境が改善されているということ。
何をしても太れない人に関しては、漢方薬で腸内細菌のタイプを変えるという方法もあります」

 小太りへの道は、すべての人に開かれている。

【外科医師・今津嘉宏氏
芝大門いまづクリニック院長。
外科医の豊富な経験を生かしつつ、漢方医として体質改善、栄養指導にも取り組んでいる

【パーソナルトレーナー・枝光聖人氏
日本初の中高年専門パーソナルトレーニングジム「心身健康倶楽部」代表。
これまで延べ2万回の指導実績を持つ

取材・文/福田晃広 野中ツトム(清談社)
posted by 小だぬき at 00:01| 神奈川 ☀| Comment(4) | 健康・生活・医療 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする