2020年03月02日

「換気悪い密集空間を避けて」 感染場所の特徴公表

「換気悪い密集空間を避けて」
 感染場所の特徴公表
3/1(日) 朝日新聞デジタル

 新型コロナウイルスの感染が広がっていることを受け、安倍晋三首相は1日、政府対策本部の会合で、換気が悪く、人が密集するような空間に集まることを避けるよう国民に求めた。

専門家による調査で、スポーツジムや屋形船などで小規模な患者の集団(クラスター)が発生し、1人が12人に感染させた例があったという。

 厚生労働省によると、2月26日までに明らかになった国内の感染者110人の濃厚接触者らを調べた結果、屋形船での集団発生では1人が12人に、スポーツジムの事例では1人が9人に感染を広げていたことがわかった。
政府は、密閉空間など換気が悪く、人が密に集まって過ごすような場所が集団感染の共通点と判断
こうした場所を避けるよう国民に呼びかけた。

一方、感染者の約8割は誰にも感染させていなかったという。
 また、イベントの大小にかかわらず、開催の必要性について検討するよう要請。
開催する場合は、風通しの悪い空間や、人が至近距離で会話する環境をなるべくつくらない実施方法の検討を求めた。

 イベントや集まりに対する政府の要請は段階的に強まっている。
政府が25日に公表した基本方針では、主催者に開催の必要性の検討を求めたものの、「全国一律の自粛要請ではない」としていた。
だが翌26日には一転、大規模な文化イベントなどを2週間、中止か延期、縮小するよう求めた。

 新型コロナウイルスは、感染者のせきやくしゃみのしぶきを吸い込む飛沫(ひまつ)感染や、ウイルスが付いた手で口や鼻を触ることによる接触感染でうつる。
潜伏期間が1〜14日ほどと、インフルエンザの1〜3日に対して長く、発症前でも感染を広げる恐れがある。
発症後もしばらくは症状がかぜと同じで気づきにくい。

 こうしたことから、若い人を中心に、本人が気づかないまま感染を拡大させる事態が懸念されている。
中国でも、湖北省の女性が南京市で家族と会食し、結果的に10人に感染を広げた事例が報告されている。
 安倍首相はまた、政府がマスクをメーカーから買い取り、感染者が増えている北海道で配る方針を明らかにした。

■集団感染が起こった場所や状況
・スポーツジム
・屋形船 ・ビュッフェスタイルの会食
・雀荘(じゃんそう)
・スキーのゲストハウス
・密閉された仮設テント

■集団感染の共通点
・換気が悪い
・人が密に集まって過ごすような空間
・不特定多数が接触するおそれが高い場所

朝日新聞社
posted by 小だぬき at 07:14 | 神奈川 ☁ | Comment(6) | 社会・政治 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

臨時休校「一生の思い出」奪われた子たちの本音

臨時休校「一生の思い出」奪われた子たちの本音
卒業は人生の節目、なおざりにしてはいけない
2020/03/01 東洋経済オンライン
二宮 未央 : ライター、コラムニスト

「今日は泣いている友だちが何人もいました。
小学校を卒業したら、進路はそれぞれでバラバラ。
今日を最後に、今のクラスのみんなと同じ教室で集まれなくなるんだな、って。
だから今日はクラスのみんなで集まって、校庭で思いっきり鬼ごっこをしたんだけど、いつも遊んでいるはずの『ただの鬼ごっこ』がこんなにも楽しいなんて初めて思った」

2月28日(金)夜、東京都内の小学校に通う小学6年生の佐和田美海さん(仮名、12歳)は、涙ながらにこんな話を打ち明けてくれた。
「あまりにも突然過ぎた」(美海さん)

政府の決定は2月27日(木)夜に安倍晋三首相から全国に伝えられた。
新型コロナウイルスの感染拡大を受け、全国すべての小中学校や高校、特別支援学校などに3月2日(月)から春休みに入るまでの臨時休校を要請すると発表したのだ。
2月28日、政府は各都道府県の教育委員会などを通じて、正式に臨時休校を要請した。
一部の自治体では受け入れに反発し、従わないとする動きも出ているが、私立学校を含めて多くの小中学校や高校が政府の要請に沿う恰好で対応を始めた。

首相の方針表明からわずか1日で3学期終了
一部の学校は土曜授業により2月29日(土)も生徒が登校したが、原則週休2日制が定着している昨今、安倍首相による方針表明のわずか1日後の2月28日(金)をもって、3学期は終了。
新学期が始まる4月上旬まで大多数の学校は授業を行わない見込みだ。
各校の個別対応を除けば大半の生徒が事実上、今年度はもう学校には登校できなくなったわけで、これを受けて、28日は大量の荷物を抱えて帰宅する学生が全国津々浦々で見受けられた。

「起きてしまったことは仕方がないけれど、もっと早い段階で手を打っていれば、こんな突発的なことにはならなかったかもしれないと思うと、憤りを感じます」。
都内私立高校に通う高校3年生の渡部亜紀さん(仮名、18歳)はそう語る。

新型コロナウイルスは、年齢が高くなるほど感染した後の重症化や命を失うリスクが高まる一方、10代以下の子どもたちの多くは比較的軽症で済むというのが、先行している発症例の分析結果から明らかになっている。
それでも、全国で約1300万人にも及ぶ小中高生の動きを政府が止めたいのは、児童生徒自体が重症にならなくても、地域外から感染したコロナウイルスが親を介して地域に持ち込まれ、その子供である児童生徒に移り、さらに児童生徒同士の感染を経由して地域内に広がるだけでなく、それが他地域へとさらに感染が連鎖していくことを阻止する狙いがあると推察できる。

安倍首相は2月29日(土)18時から開いた記者会見で、臨時休校についてはこのように言及した。
「新型コロナウイルスは集団による感染をいかに防ぐかが重要です。
子どもたちの健康、安全を第一に考えました。
学校は教職員、子どもたちが集まって、同じ空間を共有することに感染リスクを伴います。
万が一にも学校において子どもたちの集団感染を起こしてはならない。
学校が休みとなることで親御さんにはご負担をおかけする。
小さなお子さんをお持ちの家庭には大変なご負担を強いる。
急な対応に全力を尽くしてくださっている自治体や教育現場の皆さんにも感謝します」

ようやく表に出てきた安倍首相だったが 一定程度は理解できる。
ただし、生徒たちはもちろん、教師をはじめとする学校関係者、放課後に子どもを受け入れる学童関係者、子どもの親たちなどはさまざまな対応を迫られる。

生活に大きな変化を迫られたり、経済的に困ったりする人もいて、それらについての不満や政府への批判・反発の声なども巻き起こっている。
これまでの政府のコロナウイルス対策が後手に回り続けていた印象が拭えなかった中で、主には加藤勝信・厚生労働相に説明役を任せ、やっと前面に出てきた安倍首相が打ち出した決断は用意周到で準備された印象は薄く、唐突に映ってしまった。

学校関係者や親たちの対応による社会的なインパクトはもちろんながら、最も影響が大きいのは子どもたちだ。
筆者も2人の子どもを持つ親の1人として、自分の子どもはもちろん、周囲の親を経由して多くの子どもたちの複雑な心境の声をたくさん耳にしている。

思いがけない休みが突如訪れ、「ラッキー!オンラインゲームで友だちと遊べる!」(小学5年生男子)、「期末試験なくなってホッとした!」(高校1年生男子)と浮かれている子どもたちもいるが、戸惑いも少なくない。
「せっかく勉強したのに期末試験がないのは残念。
部活ができないのも嫌だ」(中学2年生女子)というような不満の声のほか、ある高校3年生男子は「ホワイトデーのお返しをどのタイミングで渡せばいいのか…」と落ち込んでいた。

何よりもあまりに唐突で準備期間もほとんどなく、年度最後の3月の授業をすっ飛ばしてしまう臨時休校が始まったことで懸念されるのは、小学6年生、中学3年生、高校3年生の「卒業」という人生の節目が中途半端になりかねないことだ。
特に心が成熟してから仲間との別れを初めて経験する小学校の卒業式は、人生において一生の思い出に残る節目の1つである。

政府は臨時休校を求めるにあたり、入試や卒業式を実施する場合は感染防止など万全の対応を取るよう求めている。
安倍首相は2月29日(土)の記者会見で「子どもたちにとって3月は学年の最後、卒業前、進学前の大切な時期。
学年をともに過ごしたともだちとの思い出をつくるこの時期に学校を休む措置を講じるのは断腸の思いです。
卒業式は必要最小限の人数に絞って実施していただきたいと考えています」と話した。

ただ、一部の大学も含めて、早々と卒業式の中止を決めてしまった自治体や学校も少なくない。
開かれるとしても、保護者や在校生の参加を自粛するなどの規模を縮小した格好で行われることになる可能性が高い。

当の子どもたちはこんな風に思っている
これに対して当の子どもたちはどう思っているのか。
筆者が複数の子どもたちから聞いた率直な声は以下のようなものだ。

・「卒業文集を書き終えて、卒業式の台本も配られていたのにやらなくなって悔しい。卒業式は保護者抜きで簡単に短縮してやる方向だけど、練習してきたのに掛け合いや歌はナシ。みんなと本当にバラバラになってしまう。いきなり断ち切られてしまった」(小学6年生男子)
・「6年生を送る準備に備えてずっと取り組んできたものを披露できなくて残念。受験を控えているので学習面で不安があるし、6年生とはお別れの実感がわかない」(小学校5年生女子)
「最後の1カ月が、コロナによって潰された。コロナが憎い。せっかく6年やってきた最後の1カ月は、思い出を作るうえで重要なので、とにかく悲しい。卒業の会は笑顔でがんばる」(小学6年生男子)。
・「(卒業式の中止がすでに決まり)学校は好きじゃなかったから卒業式がなくなるのはいいけど、一生の思い出が1つ失ったと思うと悔しい。準備の期間、心の準備が欲しかった」(高校3年生女子)

2月28日(金)朝、突如「ランドセルを背負える最後の日」が訪れた小学6年生の子どもを持つ母親による、わが子の“最後のランドセル姿”を写真に収めたSNS投稿も多く見られた。
「心の準備が欲しかったです。
卒業前の最後の1カ月は、子どもにとって思い出作りにとても大事な時期なのに、その大切な時間を奪われてしまったような気持ちです。もちろんどうしようもないことなのは分かっていますが…」。
そう語るのは、冒頭の美海さんの母である、母親の佐和田真知子さん(38歳)。

命を守るため感染拡大を阻止することが最優先であるから、致し方ないことは重々承知しているものの、卒業に向かってカウントダウンもなく、突然「今日で終わり」と突き付けられ、この虚しさと憤りをどこにぶつけたらいいのか分からないと佐和田さんは語った。

「卒業式の掛け合いの言葉や、卒業の歌で在校生に見送られながら卒業する、日本人の誰もが経験する感極まる初めての体験をさせてあげられないのは悲しい」と、筆者に話してくれた親もいた。

3.11で卒業式を経験できなかった人たちの本音
式典やイベントの自粛といえば、3.11が思い起こされる。
2011年3月11日の東日本震災発生直後は、教育機関における卒業式や祝賀ムードのイベントの中止が相次いだ。
当時、卒業式を経験できなかった多くの人が、誰のせいでもない、ぶつけようのない悔やまれる思いを未だに抱えているという話も聞く。

感情的な部分を論じている面もあるが、そうはいっても人間は感情の生き物だ。
そして何事も物事の「区切り」や「終わり」には、そのための段階的な心の準備を経て、けじめをつけるための「儀式」が必要となる。
子どもたちにとっての卒業式がまさにそれだ。

お笑いコンビ「ロンドンブーツ1号2号」の田村淳さんは2月29日、自身のツイッターを更新し、卒業式が中止となった学生たちへ「YouTubeのロンブーチャンネルで、3月15日にリモート卒業式をやろうと思うのですが…家から出ずともネットで繋がって卒業式をやりませんか?」と呼びかけた。
こうしたケアは親たちにとってもありがたいものだろう。

このようなどうしようもない事態に陥ってしまったのであれば、この与えられた時間をいかに有効活用して次のステップに進めるように考えることが、大切なのではないだろうか。
限られた条件の中であっても、子どもたちの心に一生残る「卒業式」あるいは「卒業の儀式」をなおざりにしてはいけない。学校関係者に限らず、私たち大人にもできることはあるはずだ。
posted by 小だぬき at 00:00 | 神奈川 ☁ | Comment(0) | 教育・学習 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする