2020年03月30日

「ニセ医学」にだまされる人がハマる落とし穴

「ニセ医学」にだまされる人がハマる落とし穴
ウソ情報に振り回されないための7箇条伝授
2020/03/28 東洋経済オンライン
桑満 おさむ : 五本木クリニック院長

近年、SNSなどで誰もが気軽に情報を発信できるようになり、巷には「ニセ医学」が蔓延しています。
例えば、「ワクチンを打つと自閉症になる」「アトピーでステロイドを使うのは危険」など、標準医療を否定して、医学的には根拠のない、矛盾だらけのトンデモ健康法を吹聴するのです。
知らず知らずのうちに身近なところへと忍び寄る「ニセ医学」に惑わされないための心得を桑満おさむ氏の著書『”意識高い系”がハマるニセ医学が危ない!』より紹介します。

みんな「コラーゲンでお肌プルプル」にダマされてる!
身近なところでいえば、「コラーゲンでお肌プルプル」というのもニセ医学。
確かにコラーゲンは人間にとってとても重要な成分であり、肌の弾力を支える成分の1つです。
しかし、コラーゲンを摂取しても、体の中でコラーゲンとは似ても似つかない物質にまで分解されてしまいます。
中には「私は効果を感じている!」という人もいるかもしれません。
しかし、その実感は、おそらくプラセボ(偽薬)効果でしょう。

プラセボというのは、効き目のある成分は何も含まれていない「偽」の「薬」です。
「肌がいつもよりプルっとしてる気がする!」と言っている人がいますが、これなども、まさしくプラセボ効果だといえます。
効果がないものを売ってもよいのかと疑問に思うかもしれませんが、事実、コラーゲン食品の宣伝をよく見てみると、「たるみが治る」「肌が若返る」など、直接的に効果効能をうたってはいません。
きれいな女性が出てきてコラーゲン食品をとったあと、肌を触りながら「プルルン」など弾力を思わせる言葉を言っているだけなのです。

テレビも新しい情報を求め、結果、小さなトピックを盛りに盛って紹介したり、スポンサーに配慮した偏った情報を流すなど、ニセ医学に加担しています。
このような例は「メジャーなニセ医学」といえるでしょう。

マスメディアは影響力が大きいため、間違った情報が広がりやすいのが問題です。
十数年前、健康情報番組がブームになったときがありました。
各局がこぞって簡単なダイエット法や、よりセンセーショナルな健康情報を流そうとしのぎを削った結果、行われたのが悪質なヤラセともいわれています。

それよりもさらに近年、私が危ぶんでいるのは、インターネットを中心に広がる反医療の「マイナーなニセ医学」。
ニセ医学にハマっている人は、総合していうと、言葉は悪いかもしれませんが、ヒステリックな自然派といえます。
ネットの情報には玉石混淆で、トンデモない嘘があふれています。

一方で公的機関のホームページなどを当たれば正確な情報が簡単に手に入ります。
しかし、自然派をこじらせるタイプの人は、自分の考えが正しいという視点でスタートするため、賛否両論を比較して公正に判断しようとはしません。
そのため、インターネット上で見かけた「ニセ医学」に対して感情的になり、簡単に受け入れてしまうのです。

ダニング=クルーガー効果と意識高い系
ダニング=クルーガー効果というのは、能力が低い人ほど、自分に対して過大評価をするという認知バイアスであり、つまり、自分が信じたものは正しいと信じて疑わず、周りの人に否定されても、相手は「正しいことを知らないのだ」と見下し、他人にも認めさせようとしてしまいます。
つまりヒステリックな自然派になりやすいのは、「意識高い系」と呼ばれるタイプの人に多いと考えられます。

ここから、ニセ医学にダマされないための7箇条をお伝えします。
ニセ医学を勧める人とそれに影響されやすい特徴や状況があり、特に注意するべき事象を解説します。

1:「始めると体から毒が排泄されたことを示す身体的変化が現れます」
そのニセ医学を取り入れることで、毒が出たことを意味する身体的な変化が現れる、もしくは、逆に「身体的変化が現れないと毒がたまっている」などと言われます。
後者は「○○しても変化がなければ、免疫力が低下している証拠」などとも言われます。
毒や毒素などそれっぽいが抽象的な表現には理屈がないことが多く、注意が必要です。

2:「好転反応」という言葉
ニセ医学を取り入れることで不調が起こっても、好転反応であり、よい兆しのように言われます。
例えば対象者がアトピーであれば、ステロイド剤を止めさせてニセ医学をすすめるわけですから、せっかく抑えていた炎症が再燃します。
それは別にニセ医学によって毒出ししている時期なのではなく、単にステロイドを止めたことで症状が悪くなっているだけです。
つまり、悪化すれば好転反応であり、そのうちによくなればニセ医学の手柄になるという、「負けなし」の、好都合なシステムになっているということです。
さらにいえば、ニセ医学の広告やSNSの体験談などは、「治った人だけ」であることを忘れてはいけません。

3:不妊に悩む人、妊娠中、育児中の人は狙われやすい
妊娠したい人、妊娠している人、育児中の人をコアターゲットにするというのも、最近のニセ医学の特徴です。
子どもができないのは冷えているから、心が整っていないから、ひどいものでは前世のカルマなどと、人の弱みにつけこんで怪しい施術や物を売り込んできます。
妊娠、出産すれば、妊娠中に取り入れた添加物や化学物質が「胎毒」となり、子どものアレルギーや発達障害につながるから「毒出しをさせろ」と言い始めます。
ニセ医学は次から次へと怖い言葉を作るのが上手ですが、そんな事実はないので、まともに取り合ってはいけません。

4:「何でも治せます。がんでも治せます」
現代医学では完治が難しい病気について、例えばがんであっても「治せる」と安請け合いするのがニセ医学の特徴です。
がんであれば種類を問わず、ステージ4で全身状態が悪化した末期がんと呼ばれる場合でも、「何でも来い」と無責任に受け入れます。

5:「海外では当たり前。日本は遅れている」
日本は世界的に見ても添加物大国だとか、トランス脂肪酸を規制していないのは先進国では日本だけというような、国ごとの特徴を考慮せず、おまけに正しくもない情報を好みます。
また、「(対象のニセ医学は)日本ではあまり知られていないけれど、海外では当たり前だよ」という決めゼリフも得意です。

6:難しい言葉を使ったもっともらしい説明
例えば、「エントロピー」、「量子力学」など、難しい単語を多く繰り出して、「もっともらしいような説明」を行うなど、ニセ医学を吹聴する人たちは特異な話術に長けていることが多いです。

7:批判に対して攻撃的
ニセ医学の施術者もそのファンもなぜか攻撃的な人が多く、批判的なことを言う人にはこぞってSNSに攻撃的な反論を寄せてきます。
さらには、それならば科学的根拠を示せと疑問を投げかけられた場合、「6:難しい言葉を使ったもっともらしい説明」を行います。

正しい知識を身につけることが重要
ニセ医学を信じてしまうと、誤った知識を披露してしまった際に自分が恥ずかしい思いをするだけではなく、自分や自分が一生懸命守ろうとしている家族や友人に、深刻な健康被害がおよぶ可能性があります。
大げさな話に思われるかもしれませんが、医療現場にはニセ医学を信じた挙句、最終的にはさじを投げられた人たちが実際にやってきます。
だからこそ、ニセ医学に取り込まれる人が少しでも減るようにと、私は情報を発信し続けています。
皆さんも自分がニセ医学に取り込まれないように正しい知識を身につけていきましょう。
posted by 小だぬき at 00:00| 神奈川 🌁| Comment(2) | 健康・生活・医療 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする