2020年04月15日

今こそ薦めたいパンデミックがよく分かる映画5選

今こそ薦めたいパンデミックがよく分かる映画5選
2020年4月14日 JBpress (郄山 亜紀)

 新型コロナウイルスの感染拡大によって、ついに東京のほか、6府県に緊急事態宣言が発令される事態となってしまった。
繁華街から人が消え、海外では都市封鎖、これまで見たこともない光景が広がっている。
 果たして、想像すらしていなかっただろうか。

ウイルスを扱った映画はこれまでいくつかあり、そのどれもが危険性を示してくれていた。
だが、多くの人は娯楽として楽しむだけで、真剣に受け止めていなかったのではなかったのではないだろうか。
社会が混乱を極めている現在、改めて見てみると、作品がいかに有用だったか、気づかされる。
「ちゃんと観ておけばよかった。もっと多くの人が観ていたらよかったのに」と悔やまれるばかりだ。

コロナ禍で専門家にも頼られる出演者たち
 接触によって感染する強力な新種のウイルスが中国から欧米、そして東京と瞬く間に広がり、死者が続出。
といっても、これはコロナの話ではない。
『コンテイジョン』(2011)のオープニングである。
 香港で元恋人と密会していた女性がアメリカの自宅に帰宅。
彼女は咳と熱の症状がおさまらず、急死。一緒に住んでいた幼い息子も亡くなってしまう。
残されたのは夫と10代の娘。
その頃、フリーのジャーナリストが謎の連続死の原因を追っており、疾病予防管理センターの職員たちはウイルスの感染源を調べ、拡大を抑えようとしていた。
さまざまな立場の人たちのドラマがドキュメンタリー・タッチで進行していくパニック・スリラー。

人間は普通、日に2000〜3000回、顔を触る。
そのうえ、ドアノブ、蛇口、エレベーター、人の手を触る。
それらが媒介物になって、感染は広がる」など、劇中、研究者が話す言葉は現在、私たちが毎日のようにワイドショーで見聞きしている内容とまるで同じ。
さらに対処のために、学校を閉鎖しようとすると、役人たちから「親は働いているのに、誰が子供の世話を見るのか」と反対され、らちが明かない。
ことの重要さにみんなが気づく頃には時、既に遅く・・・。

 ちなみに、ここでウイルスの拡散を阻止しようとする伝染病学者を演じているのが『タイタニック』のケイト・ウィンスレットである。
彼女のほか、マット・デイモンら、この映画に出演者たちはこの度、コロンビア大学の依頼で新型コロナウイルスに関する解説動画に出演。
手洗いやソーシャル・ディスタンス(社会的距離)確保の大切さを訴えている。

今回の騒ぎで、この映画を観る人が急増、リアルな展開が再評価されている。
専門家も太鼓判を押す、いまの私たちに最も必要な作品である。
(参考)コロンビア大学公衆衛生大学院 CONTROL THE CONTAGION サイト:https://www.mailman.columbia.edu/control-contagion

医療崩壊するか、しないか
 新型ウイルスの感染が拡大する日本で、闘い続ける医療従事者たちの姿を追う『感染列島』(2008)
ここで目を見張るのは、緊急で運び込まれた病人によって、たちどころに広がる院内感染の恐ろしさ。
+あれよあれよといううちにベッドは埋まり、重病の患者を優先したいという病院側の説明も空しく、押し掛けた軽症の人々が「入院させろ」と訴える騒ぎとなる。
日に日に疲弊する医療スタッフと爆発的に増える患者数。
医療崩壊が起きるなか、緊急救命医役の妻夫木聡による「たとえ明日、地球が滅びるとも、今日君は林檎の木を植える」という台詞が印象的。
「とりあえず病院」と駆けこむのは間違いと多くの人が知っていれば、こんな惨事にはならなかったはずだ。

 猛威を振るう変種ウイルスの拡散を防ぐために完全封鎖された街でのパニックの様子が映し出されるのが『FLU 運命の36時間』(2013)
コンテナに入れられた密入国者たちが韓国の盆唐に運ばれてくる。
ところが病気にかかっていた一人が原因で、中にいた全員が感染。
唯一、生き残った者が街に飛び出し、感染源となって人々の生命が脅かされる。
映画の序盤から、1.密閉空間、2.密集場所、3.密接場面の3密に閉じ込められた人々の惨状に目をそむけたくなる。
ちゃんとしないとマスクも意味がないこと。
スマホでも感染すること。
そして、何もせず、咳をすると、無防備な人々にどれだけ飛沫が浴びせられるかが、映像で実にわかりやすく伝わってきて、おぞましい。

ウイルス感染者と非感染者の対立 ゾンビ映画もまた、ウイルス映画として捉えると見方が変わってくる。
 パニック大作『ワールド・ウォー Z』(2013)は人を狂暴化させる謎のウイルスに感染した人と、まだ感染していない人との攻防戦。
ウイルスに脅威を感じるアメリカ人たちがスーパーになだれ込む姿は皆が銃を持っているために、買い占めというより、もはや強奪。
最終的に恐ろしいのはウイルスよりなにより、我先にと行動を起こしてしまう人間たちの方かもしれない。

『28日後・・・』(2002)は謎のウイルスで壊滅状態になったロンドンを舞台にしたサバイバルSFホラー。
公開時、誰もいないロンドンの街の画がインパクト大で、どうやって撮影したのかと話題になった。
が、ロックダウンされた現在のロンドンはいままさにそんな状態だ。

 かつて観たことがある作品でも、いまで観てみるときっと印象が違うだろう。
既にDVD化されており、配信されている作品も多い。
家での過ごし方が問われるなか、時にはひやっと、ぞっとしながら、楽しんでウイルス対策を学んでみてはいかがだろうか。まずは何よりたった一人の行動が世界の未来を左右することを知ってほしい。

『コンテイジョン』(2011)
<キャスト>マリオン・コティヤール マット・デイモン ローレンス・フィッシュバーン ジュード・ロウ グウィネス・パルトロー ケイト・ウィンスレット  <スタッフ>監督:スティーヴン・ソダーバーグ

『感染列島』(2008)
<キャスト>妻夫木聡 檀れい 国仲涼子 田中裕二 池脇千鶴 竹山隆範 佐藤浩市 金田明夫 光石研 キムラ緑子 嶋田久作 正名僕蔵 ダンテ・カーヴァー 馬渕英俚可 小松彩夏 三浦アキフミ 夏緒 太賀 藤竜也 <スタッフ>監督・脚本:瀬々敬久

『FLU 運命の36時間』(2013) *Huluで配信中

<キャスト>チャン・ヒョク スエ パク・ミナ ユ・へジン マ・ドンソク イ・ヒジュン <スタッフ>監督:キム・ソンス

『ワールド・ウォー Z』(2013)
<キャスト>ブラッド・ピット ミレイユ・イーノス <スタッフ>監督:マーク・フォースター

『28日後・・・』(2002)
<キャスト>キリアン・マーフィ クリストファー・エクルストン ブレンダン・グリーソン ナオミ・ハリス ミーガン・バーンズ レオ・ビル <スタッフ>監督:ダニー・ボイル 筆者:郄山 亜紀
posted by 小だぬき at 00:00 | 神奈川 ☀ | Comment(6) | 社会・政治 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする