2020年04月18日

公明は手柄どころか大罪「一律10万円」ここまで遅れた真相

公明は手柄どころか大罪
「一律10万円」ここまで遅れた真相
2020/04/17 日刊ゲンダイ

 安倍首相は“ゲタの雪”に裏切られた気分だろう。
悪評ふんぷんの臨時給付金30万円案が、大どんでん返しで1人当たり一律10万円を給付することになった。

 異例の目玉対策の転換は、公明党の猛プッシュがあったとされるが、とんでもない。
 確かに公明党の強硬姿勢はすさまじかった。
山口代表は15日の直談判に続き、16日も安倍首相との電話協議で10万円給付を補正予算案に盛り込むよう重ねて要求。党も衆院予算委員会理事懇談会を欠席する意向を伝え、開催は見送られた。
与党の欠席戦術は異例中の異例だ。

 ネット上では〈山口さんの押し切り勝ち〉〈公明党の手柄だな〉〈まじめに見直した〉と、公明主導を絶賛する声も見られるが、真相はこうだ。
「評判の悪い30万円給付について、公明党幹部は支持母体の創価学会から『閣外協力も視野に入れる』と強く見直しを迫られたのです。
14日に二階幹事長が10万円の一律給付を打ち出したため、慌てた山口代表が急きょ、15日に首相に直談判しました」(公明党担当記者)
 学会に「連立離脱」も辞さずの覚悟を示されて、ようやく腰を上げたのである。

 実際、公明党は3月末時点で、家計が深刻な人々の暮らしを守るため、「1人当たり10万円」の支援を打ち出していた。ところが、今月3日になって、政府・自民党の「収入半減世帯に30万円」案をアッサリ容認。
石田祝稔政調会長は「1世帯当たりの人数は大体2・27人。3人世帯なら30万円と(1人10万円と)計算がピタリと合う」とガッテンしていた。
その舌の根も乾かぬうちに、おとといの会見で石田会長は、1人当たり10万円について「一歩も引かない決意だ」と意気込んでいた。
このポジショントークこそ、“コウモリ政党”の本領発揮だろう。

「公明党は一律10万円を引き出したというより、ここまで引き延ばしたと言えます。
例えば、国民民主党は3月18日に一律10万円を打ち出しています。
自公合意で30万円の支給がわずか2割の世帯にとどまることになり、給付金をアテにできない人が、休めずに働きに出たケースも少なくない。
もっと早い段階で、一律10万円の政治決断ができていれば、外出自粛、ひいては感染防止にもつながったはず。
“天下の愚策”をいったん容認した公明党の責任は重大です」(立正大名誉教授の金子勝氏=憲法)

 7年以上に及ぶアベノミクスの格差拡大策を放置しておいて、今さら国民の味方ヅラはしらじらしすぎる。

給付開始は早くて7月か
 国民1人当たり一律10万円が給付されることになった臨時給付金。
公明党の斉藤幹事長は5月下旬から6月初旬の給付を目指す意向を示しているが、大甘だ。
どうやら、早くて7月になりそうだ。

補正予算を大急ぎで通したとしても、給付には膨大な事務作業が必要なのだ。
 実務を行う市町村は、受給者について、住民基本台帳の住民登録通りの住所に住んでいるかすべてチェックし、振り込み口座情報をもらう必要がある。
入手した口座情報は「なりすまし」防止のために本人確認も必要になる。
内閣府の幹部は、振り込み開始時期について「夏以降になりそうだ」と漏らしているという。

 安倍首相も7日夜の会見で「全員給付だと約3カ月かかる」と断言していた。
夏に給付されても、とっくに干上がっている。
posted by 小だぬき at 01:00 | 神奈川 ☁ | Comment(0) | 社会・政治 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

なぜ今、「一律給付」と「消費減税」が必要なのか?

なぜ今、「一律給付」と「消費減税」が必要なのか?
2020年04月17日 SPA!(江崎道朗)

◆なぜ今、「一律給付」と「消費減税」が必要なのか?
 我々は今、二つの危機に直面している。
一つは、新型コロナウイルス感染拡大の危機だ。
この危機に対して安倍首相は4月7日、7都府県を対象に「緊急事態」を宣言し、外出自粛によって感染拡大を抑制する方針を示した。
経済的損失を覚悟のうえで国民の大半は「政府の要請」に協力するだろう。  

もう一つは、「日本経済は戦後最大の危機に直面している」(安倍首相)ことだ。
この危機を乗り切るため、同じ日に、安倍首相はGDPの2割に相当する「108兆円」の緊急経済対策を発表した。
 それでなくとも昨年10月の消費増税で景気は悪化していた。
そこに新型コロナの影響で日本経済は本年度GDPでマイナス10%、実に55兆円もマイナスになるのではないかと言われている。
 その穴埋めを政府の財政出動でしておかないと、国民経済は致命的な打撃を受ける。
このため政府は今回、108兆円もの緊急経済対策(補正予算)を打ち出したわけだ。

 ただしこの数字は「事業規模」だ。
多くの経済学者が指摘しているように「真水」、つまりGDPを押し上げる効果がある政府の財政支出がいくらかが重要だ。  

実はこの108兆円には昨年12月に閣議決定された26兆円の経済対策の未執行分が入っている。
よって、新規対策は82兆円。
しかも中小企業向けに実施する納税や、社会保険料の支払い猶予のための26兆円は「財政支出」ではない。

◆経済対策108兆円のうち真水は20兆円未満
 実際の「真水」に相当するのは「大変困難な状況に直面している家庭(一世帯30万円)、児童手当の上乗せ、中小・小規模事業者に対する現金給付と地方税減免」8兆円、「医療体制の整備と治療薬の開発」2.5兆円、「観光や農林水産業への補助金」8.5兆円などで、総計で20兆円に満たないと言われている。
 現に、この補正予算に伴う新規国債発行額は16.8兆円だ。
量としては不十分だ。
この財政出動の出し渋りをした事務方のトップは、財務省の岡本薫明事務次官だ。
 しかもこの財政出動の恩恵を直に受けることができるのは、一部の人に限られる。
今回の2つの危機は、国民すべてに襲いかかってきている。

よって、「給付金を一律10万円配布すべきだ」という案が与党や野党の一部からも出されていたのだが、これを否定したのが麻生太郎財務大臣だ。

◆「消費税減税」と「一律給付」に今こそ踏み切れ
「日本の尊厳と国益を護る会」など自民党の若手議員約100人が消費税を一時的に減税すべきだと主張したが、これを却下したのが甘利明・自民党税制調査会会長だ。
 よって、一部の人たちだけに「30万円給付」となった(※)のだが、日本は申請主義なので本当に困っている人に行き渡るかどうかもわからない。
この欠陥制度を決定したのが、安倍首相と岸田文雄・自民党政調会長だ。

 だが、今回の危機は簡単に収まりそうもない。
よって改めて真水の追加、つまり「一律給付」と「消費減税」に踏み切ることで、国民一丸となって2つの危機に立ち向かう態勢を整えるべきではないだろうか。
自民党若手と野党の一部の奮闘を期待したい。

※編集部注:政府・与党は4月16日、減収世帯限定の30万円給付を取り下げ、「国民1人あたり一律10万円給付」という異例の決定をした
※週刊SPA!4月14日発売号より
―[連載「ニュースディープスロート」
                                 <文/江崎道朗>]―
江崎道朗】 ’62年生まれ。九州大学文学部哲学科を卒業後、月刊誌編集長、団体職員、国会議員政策スタッフを務め、外交・安全保障の政策提案に取り組む。
著書に『日本は誰と戦ったのか』(ベストセラーズ)、『コミンテルンの謀略と日本の敗戦』(PHP新書)など
posted by 小だぬき at 00:00 | 神奈川 ☁ | Comment(2) | 社会・政治 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする