2020年05月05日

頑張れない自分は「負け組」ですか? 坊主となった辻仁成が答えます 「人の期待なんか、ほっとけ」

頑張れない自分は「負け組」ですか?
坊主となった辻仁成が答えます
「人の期待なんか、ほっとけ」
9/8(日) withニュース

作家の辻仁成さんがお坊さんとなって10代の悩みに答える「遁走寺の辻坊主」。
女子高生が打ち明けた「親も先生も頑張れっていうんだけど、頑張れないんです」という相談に、辻坊主が授けた教えとは?

今日の駆け込み「頑張れません。どうしたらいいでしょう?」

わしがここの住職、辻坊主である。
この都会の小さな貧しい寺の名前は遁走寺という。
遁走とは「逃げだすこと」だが、それでか、いつのころからか逃げ出したい子供たちがよく訪れるようになった。
あそこに行くと話を聞いてくれるという噂が広まったらしい。
話を聞くだけで、とくに立派なことが言えるわけじゃない。
暇なので、話し相手にちょうどいいのかもしれんね。

わしは御覧のとおり、昼間から寝転がってぐうたらしているのでこの辺の大人たちからは変わり者の生臭坊主と後ろ指さされておる。
御覧の通り、ここはビルに囲まれたつぶれかかった寺なので、檀家もほとんどいなければ、仕事もほとんどない。
わしは猫の百地三太夫(ももちさんだゆう)と暮らしている。
三太夫の猫語が理解できるおかげでわしは退屈せずにすんでおる。

さて、いつものように三太夫と濡れ縁で午睡しておると、 「辻坊主」 と声がしたので、薄目をあけてみると、かわいらしい女子高生が立っておった。
わしは半身を起こし、どうした、と訊き返した。
「ここに来たら、辻坊主が話を聞いてくれるというので来ました」
「そうか、よく来たね。で、なんだい、その話とは」

だいたい、誰もがこんな感じでいきなり話しかけてくる。
でも、本当ならば、まず名を名乗るべきだろう。
そのことをやんわり指摘すると、 「あ、ごめんなさい。ミノリです。ミノと学校では呼ばれてるけど、どっちでもいいです」 と戻って来た。
よしよし。 三太夫が起き上がり、ミノリ君と向き合った。
「かわいいだろう。三太夫という名じゃ」
「太ってますね」 すると三太夫がわしを振り返り、猫語で、けしからん、と呟いた。
もちろん、ミノリ君には、にゃあ、と聞こえただけである。

「何かわしに相談があって来たのかね? そこに座りなさい」 ミノリ君が濡れ縁に腰かけ、寺を囲むビルを見上げた。
三太夫が再び寝転がる。
「あの、頑張れないんです。親も先生も頑張れっていうんだけど」 ミノリ君がぼそっと呟いた。
「頑張らないでいいよ」 わしはそう言った。
「でも、頑張れって、言われる」
誰の人生じゃ?」 え、とミノリ君がわしを振り返った。
「それ、誰の人生じゃね」 「わたしのです」
「じゃあ、人の命令とかきかんでいい。そんな期待、ほっとけ。頑張るな」 あ、とミノリ君がわしをじっと見つめて動かなくなった。

わしはつるつるの頭をかいて、にこりと微笑み、 「頑張るもんか、で行け」 と繰り返した。
「頑張るもんか、ですか」 みゃあ、と三太夫が鳴いた。
がんばらにゃあ、とわしに同意したのだが、ミノリ君には猫語が理解できない。

「でも、負けるな戦えってパパが言う。もっと頑張りなさい、とママが言うの」
「戦うな、頑張るな、逃げてよし、とわしは言うぞ」 三太夫がにゃあと鳴いた。
「でも……」 「なにがでもだ。

戦って苦しむなら、逃げ出していい。
勝てとかわしはいわない。
自分を大事にしろとだけ言う。
自分を大事にしなさい。
誰の人生だ?

するとミノリ君が、わたしの人生、と呟いた。
「無理して戦ってなんになる。
誰に勝つ? 何に勝つ? 君は自分の人生を大事に生きることが何よりの使命だ。
それは人の期待に応えるために自分を殺すことじゃない。だろ?」 三太夫がにゃあと鳴いた。
「な、そんなに苦しむことじゃない。そこで昼寝していきなさい。寝て起きたらすっとする」

「……ありがとう」 ミノリ君は濡れ縁にごろんと寝転がって昼寝をしはじめた。
わしは狭い庭の掃除をしなきゃならなかったので、下駄に足を入れて、竹ぼうきを掴んで庭におりた。
最後に掃除をした日が思い出せない。
まさに、生臭である。
でも、関係ない。
誰の人生じゃ。誰の人生だよ」 わしはブツブツ、そう呟きながら、落ち葉を払うのだった。

辻仁成さんが、実際に相談機関などに寄せられた10代の悩みをもとに創作しています。     

◇ 文・辻仁成(つじ・ひとなり)
1959年、東京都生まれ。
『海峡の光』(新潮社)で芥川賞、『白仏』(文芸春秋)で仏フェミナ賞外国文学賞。
『人生の十か条』(中央公論新社)、『立ち直る力』(光文社)など著書多数。
posted by 小だぬき at 12:00 | 神奈川 ☀ | Comment(5) | 健康・生活・医療 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

片づけられない人の6つの習慣

片づけられない人の6つの習慣
2019.09.07 ビジネスジャーナル

吉川永里子
=収納スタイリスト、整理収納アドバイザー

片づけが苦手な人がついやってしまう行動  
私もかつて片づけられない女だったので、その当時は片づけが苦手な人がやってしまいがちな行動をとっていました。
片づけが苦手・できない人は、第一に正しい片づけ方を知らないことが多く、そのためついうっかり、苦手な人が陥りがちな行動をとってしまっています。

 片づけ方が苦手な方がとってしまうあるある行動は、いくつかあります。
例えば次のような6つです。

1.一気に片づけようと、まとまった時間を取ろうとする
2.心配だからと、ついストックをたくさん買い込む
3.とりあえず取っておこうとして袋にしまう
4.言い訳が多く、すぐやらずに先延ばしにする
5.処分するモノを売ろうとして、いつまでも手放せない
6.見えないように棚や引き出しの隙間に突っ込む  

今回は、6つの行動のうち、前半の3つに着目します。

一気に片づけようと、まとまった時間を取ろうとする
 片づけが苦手な方は、片づけにとても時間と労力がかかると思っています。
だからゴールデンウィークや年末の休みなど、まとまった休みのタイミングに片づけようと考えます。
 でも、片づけってそんなに一気に終わりません! 
まして、片づけが苦手な人ならなおさらです。

 私たちのような片づけのプロと一緒に行うなら別ですが、自分一人で片づけるなら、コツコツやるのが基本
毎日5分とか毎週末30分とか、コツコツ時間をつくって、少しずつでいいから片づけを進めましょう!

 片づけを始めるタイミングは、片づけたいなと思ったその瞬間がベスト。
まとまった時間を取ろうとしていたら、いつまでたっても片づけはスタートしませんよ!

心配だからと、ついストックをたくさん買い込む  
別にゴミや要らないモノを溜め込んでいるわけではないのですが、片づけられない人がいます。
それが、あらゆるモノをストックし過ぎな人です。
 洗剤、テッシュペーパー、化粧品、ラップやゴミ袋などの日用品。
ペットボトルの水、缶詰、乾物、お菓子、コーヒーなど多種多様な食品。
子どもがいる場合は、オムツやお尻拭き、まだサイズの大きい洋服なども買い込みがちです。

 ストックをたくさん持ってしまう人は、総じて心配性なところがあります。
足りなくなるかも? まだあったかしら?
 次はいつ特売になるかわからないし! と、不安な気持ちからついつい買ってしまいます。
ただし、そのうち使うモノだとしても、ストック量が過剰だと収納スペースを圧迫してしまいます。
 まずは、在庫がなくなって必要になるまで買わない! というルールを設定し、過剰なストックを減らす生活を心がけましょう!

とりあえず取っておこうとして袋にしまう 
 これは片づけが苦手な人のほとんどがやってしまう、あるある行動です。
さらにこの行動が、余計に片づかない環境をつくってしまうという、絶対にやめたい悪習慣です。
整理収納サポートで多くのお宅に伺っていますが、そこで見るのは、紙袋やビニール袋にガサッと入った、書類や小物の数々。
 テーブルの上に散らかっているモノを、とりあえずまとめて入れて部屋の隅によける。

 とりあえず袋に入れる→部屋の隅によける→また別のモノの塊をとりあえず袋に入れる→部屋の隅によける――。

こうやって繰り返されていくことで、モノがごちゃっと入った袋が地層のように部屋に溜まっていきます。
 袋の中に入れたモノは見えないので、何がどこにあるのか、まったくわからなくなり、結局すべて死蔵することになります。

部屋を見渡してみて、分類されていないままモノがごちゃごちゃ入っている袋があったら要注意!
 見えないモノはないのと同じです。
今すぐ袋から「全部出し」して、中身が見えるようにしましょう。
行動を変えれば片づけられるようになっていきます!
 少しずつでOK! 小さな範囲でOK!
 袋1つでもいいんです。
思い立ったときに整理して、モノを減らす行動を意識してください。

(吉川永里子=収納スタイリスト、整理収納アドバイザー)

【吉川永里子プロフィール】
収納スタイリスト・整理収納アドバイザー
2008年より収納スタイリストとして活動を開始。
片づけられない女だった過去の経験を活かし「片づけはストレスフリーに生きる近道」をモットーに、ざっくばらんに整理収納について説く。
働く女性やママの目線で行うライフスタイル提案が好評で、個人宅のアドバイスから、メディア出演・講演など、テンポのいいわかりやすい言葉で女性の暮らしを全力サポート。
これまでに10000人以上に片づけをレクチャー。
プライベートは、賃貸住宅で夫と4人の息子たちに囲まれて暮らすステップファミリー。

ニュースサイトで読む:
https://biz-journal.jp/2019/09/post_117279.html Copyright c Business Journal All Rights Reserved.
posted by 小だぬき at 00:00 | 神奈川 ☀ | Comment(6) | 健康・生活・医療 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする