2020年05月11日

コンビニ店員を悩ませるご近所さんの嫌味「非常識と言われても…」

コンビニ店員を悩ませるご近所さんの嫌味「非常識と言われても…」
2020.5.10 日刊SPA (取材・文/吉沢さりぃ) 

ご近所さんから嫌味「コンビニで働くなんて非常識」
 テレワークが推進される中でも普段と変わらず勤務しなければならない仕事もある。
我々の生活に欠かせない、スーパーマーケットやコンビニエンスストアだ。
 しかし、そこに勤めている人々にもさまざまな苦悩や葛藤があった。

客からのクレームで精神的にボロボロ
「スーパーで働くうちの母が心配です……」
 現在、紗綾さん(23歳・仮名)は母親(55歳)のことが気がかりだという。
紗綾さんは三人兄弟。
全員が実家を出ており、お金に困っているわけではないが、3年前から母親は「気分転換」程度のつもりで週3回程度働き始めた。
しかし、コロナをきっかけに状況が大きく変化した。
「東京がロックダウンするかもって噂が3月にあったじゃないですか? あの辺りから、もうスーパーの混み方が尋常ではないみたいで。母は連日のニュースを見るたびに『辞めたい』と嘆いていますが、そうもいかないみたいで……」

 小さい子どもがいる母親や高齢者と同居している人は、コロナ感染への不安からパートを辞めてしまった。
そんななか、紗綾さんの母親は逆にシフトを増やされてしまったそうだ。
「完全に辞め時を見失った感じですね。

スーパーは休業要請が出ていないし、休んでしまったら困る人が多いから。
私たちも心配だから辞めてほしいし、父なんか『何で辞めれないんだ!』ってカンカンなんですけど、母も責任感があるだろうし、急に辞めれないですよね」
 これまでは週3のパートだったが、ここ最近は週5で働くことも増えた。

電話越しでいつも『しんどい』と言っているそうだが、肉体的な疲労よりもっとキツいことがあったという。
「お客さんに『いらっしゃいませ』と言ったら、『(コロナが)移るかもしれないから喋るな!』と怒鳴られたらしいんですよね。
他にも買ってくれた商品で野菜や卵は別途小さいビニール袋に入れるんですが『触るな!』とか。
気持ちはわかりますけど、母だって感染しないように最大限努力している。
 それにそんな暴言を吐いてきた人だって、無症状なだけでコロナ感染者かもしれないじゃないですか。
最近『私がパートを辞められるのはコロナにかかった時かな』なんて言っていたんで、本当に肉体的にも精神的にも心配なんです」

 現在は多くのスーパーやコンビニでレジに“飛沫防止シート”が導入され、ビニール手袋を着用したうえでの会計となっているが、それ以前はこのような出来事が日常茶飯事だったのだ。

実家ぐらしのシングルマザーである里美さん(34歳・仮名)は、コンビニでアルバイトをしている。
週5で出勤して月16万円前後の収入を得ているそうだが、多くの葛藤があるという。
「今までは近くの会社や学校のお昼休みなど、就業時間内はそこそこ混んで、あとはまったりしているような店でしたが、ここ最近は“常にそこそこお客さんが入っている”という状態ですね」

 小学生の息子と両親の4人暮らし。
コロナをきっかけに辞めるという選択肢もあったが……。
「多少の蓄えと両親の年金もありますが、子どもの学資保険とか支払いは多い。
いつコロナが終わるかわからないなかで、いきなり無職は怖い。
いまは失業者が増えているから、仕事があるだけマシなのかもしれないし……。
とはいえ、感染したくはないので、仕事終わりは玄関で服を脱いでシャワーを浴びてから部屋に入るようにしています。
 子どもに関しては基本的な対策をしているので、そこまで心配していません。
ですが、なにより両親がどちらも65歳をこえているので、万が一、私が職場からもってこないか心配です」

 そんな思いを抱えつつ里美さんは勤務を続けているが、気を揉んでいる大きな理由は、近所の人からの目だ。
「自宅に近いコンビニで働いているので、近所の人も知っているんです。
両親がちょっと外に出たら、80代の老夫婦に『おたくの娘さんまだあのコンビニで働いているの?』って嫌味を言われたそうなんです。
『あんな不特定多数の人が来るところで働いてるなんて非常識じゃないですか?』とも。

両親もなんて答えたらいいかわからず平謝りしたそうですが、いたたまれない気持ちになりました。
 その老夫婦の意見もわかります。
でもコンビニやスーパーの従業員が休んだら、皆さんの生活が大変になるんですよって言いたい。
辞められるなら辞めたいけど、辞めたい人が全員辞めたらどうなるのか、1度考えて欲しいですね」

 連日のコロナに関する暗いニュースの連続でナーバスになる人が多いのは分かる。だが、こんな時だからこそ他人を思いやったり、優しい気持ちを持つことが大切ではないだろうか。

 吉沢さりぃ
ライター兼底辺グラドルの二足のわらじ。
近著に『最底辺グラドルの胸のうち』(イースト・プレス)がある。
趣味は飲酒、箱根駅伝、少女漫画。
Twitter:@sally_y0720
posted by 小だぬき at 00:00| 神奈川 ☁| Comment(0) | 社会・政治 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする