コロナ禍のさなか検察庁法改正案 “抗議デモ”470万件の衝撃
2020/05/11 日刊ゲンダイ
コロナ禍のさなかに、改めて安倍政権の無法ぶりが浮き彫りになっている。
検察官の定年を延長する「検察庁法改正案」を政府・与党が“強行成立”させようとしていることに猛烈な批判が集中。
ツイッター上で週末(9〜10日)、「#検察庁法改正案に抗議します」とのハッシュタグを付けた投稿が470万件を超え(10日午後10時)、巨大なネットデモに発展している。
そもそもこの問題は、安倍官邸の“守護神”と呼ばれる黒川弘務東京高検検事長を今年1月に、国家公務員法の解釈変更により閣議決定して定年延長させたことが発端。
検察トップの検事総長に就任させることを狙ったとの疑惑が渦巻いた。
つまり、今度の法案は官邸の“脱法行為”を後付けで正当化する弥縫策である上、成立すれば、起訴権限をほぼ独占する検察が官邸に牛耳られることになりかねない大問題なのである。
8日に与党は、野党の反対をはねのけ、委員会を強行開催する横暴ぶりだったが、コロナショックのさなかに検察人事をいじることがそんなに重要なのか。
世間の関心がコロナに集まっている隙に、法案を通すつもりではないのか。
そんな当たり前の疑問からネットデモは急拡大。
プロレスラーの大仁田厚や歌手のきゃりーぱみゅぱみゅ、女優の小泉今日子らが声を上げ、ハッシュタグ付きの投稿は470万件を超えるに至ったのだ。
不要不急の法案審議
目立つのは「火事場泥棒」とのコメントだ。
演出家の宮本亜門は〈このコロナ禍の混乱の中、集中すべきは人の命。どうみても民主主義とはかけ離れた法案を強引に決めることは、日本にとって悲劇です〉と投稿。
混乱に乗じて問題法案の審議を強行するのは、あまりにもあくどい。
高千穂大教授の五野井郁夫氏(国際政治学)はこう言う。
「起訴権限を持つ検察の幹部はフラットであることが大前提で、個人によって判断にバラつきがあってはいけないポジションです。
そこに、特定の個人を充てようということはあってはなりません。
人事について議論するにしても、少なくとも今はそのタイミングではないでしょう。
与野党が最優先すべきはコロナ対策です。
不要不急の外出自粛を求める政府・与党が、まさに不要不急の法案を審議している。
自分たちに都合のいい法案をシレッと成立させる気なら、火事場泥棒との批判は免れません」
一部では、安倍首相はコロナ対策に疲れ果て、周囲に「もう辞めたい」などと漏らしていると報じられている。
それならば、さっさと退場してもらった方が国民のためになる。