きょうの潮流
2020年5月17日(日) しんぶん赤旗
手洗い、マスク着用、「3密」を避ける…。
新型コロナウイルスに感染しない、させないように努力する毎日。
そんな中、コロナに感染した力士が亡くなりました。
基礎疾患があったとはいえ、28歳という若さ。
衝撃を受けました
▼不安の波が消えない日々…。
気分転換したくなりますが、東京では映画館もライブハウスも閉まっています。
公園でのピクニックも難しい。
自粛、自粛で鬱々(うつうつ)とした気分になります
▼休業を余儀なくされて収入が減った人。
解雇された人。
外遊びできない子ども。
“コロナに負けるな”のフレーズは、お互いに励まし合う思いからでしょう
▼でも―。「ちょっと違和感があるな」という声を聞きました。
「感染者や命を落とした人は、新型コロナに負けたってことになるような気がして」。
勝ち負けという意識が、さまざまな偏見や差別を生むことになるのではないかと
▼偏見・差別が広がると、排除の社会的風潮も強まります。
それは、人には優劣があり、劣る者は不要だとする「優生思想」につながります。
感染しやすいとされているのは、障害がある人や持病がある人、高齢者や低所得者。
いわゆる社会的弱者です
▼重症患者は治療の対象外とするガイドラインを策定したり、高齢者の呼吸器を外して、“治療効果のある”若者につけ直したりする国も出ています。
救命救急や人工呼吸器がひっ迫したとき、どう対応するのか。
命の選別をせず、あらゆる人の尊厳が尊重されるように。
社会のありようが今、問われています。