2020年06月20日

安倍首相「自画自賛ウソ会見」と何も突っ込まないお粗末記者

安倍首相「自画自賛ウソ会見」と何も突っ込まないお粗末記者
2020/06/19 日刊ゲンダイ

「この通常国会を振り返るとき、正にコロナ対応の150日間であったと思います」
 閉幕した通常国会を振り返り、18日夜の会見で、こう声を張り上げていた安倍首相。
世界中が新型コロナに翻弄されたこの約半年間、日本政府は感染拡大の防止と経済の立て直しに向けて迅速に対応したかのような物言いだったが、果たしてそうだったのか。

「1月末には中国湖北省からの外国人の入国を拒否する措置を決定しました。
その後も、世界的な感染の広がりに応じ、入国拒否の対象を順次、111カ国・地域まで拡大し、水際対策を強化してきました。
2月にはダイヤモンド・プリンセス号への対応、3月にかけて大規模イベントの自粛、学校の一斉休校、こうした取組を進める中で、我が国は中国からの第一波の流行を抑え込むことができました」

 例えば、安倍首相はこう言っていたが、中国・武漢市で「謎の感染症」として新型コロナの存在が日本国内で大々的に報じられ始めたのが昨年12月末から1月中旬。
感染封じ込めに成功したとされる台湾はこの時点で中国人観光客らの入国規制を始めていたにもかかわらず、日本政府は何もしなかった。
それどころか、安倍首相は、中国で新型コロナが感染拡大し始めた最中の1月下旬、北京の日本大使館のホームページ(HP)に「多くの中国の皆さまが訪日されることを楽しみにしています」という祝辞を出し、中国人観光客の春節旅行を呼び掛けていたのだ。

 祝辞の掲載後、危機管理の意識を問題視された外務省は「不適切だった」として、すぐに削除。
つまり、「入国拒否の措置」どころか、真逆の対応を取っていたわけだ。
「ダイヤモンド・プリンセス号への対応」にしても、災害派遣医療チームとして船内に入った神戸大学感染症内科教授で、医師の岩田健太郎氏がユーチューブ動画で告発していた通り、「どこが危なくてどこが危なくないのか全く区別がつかない」「常駐しているプロの感染対策の専門家が一人もいない」「むちゃくちゃな状態」だったのが実態だ。

喉元過ぎれば熱さを忘れる、ではないが、国民がこの時の政府対応の不手際を忘れていると思っていたら大間違い。
これでよくも「中国からの第一波の流行を抑え込むことができました」と言えたものだ。

■安倍首相への厳しい質問はゼロ
「事業規模230兆円、GDP(国内総生産)の4割に上る、世界最大の対策によって雇用と暮らし、そして、日本経済を守り抜いていく」
 この発言にも首をかしげざるを得ない。

 1次補正の歳出増加額は25.6兆円。
大マスコミはこの分を「真水」と伝えるが、融資メインの「資金繰り対策」(約3.8兆円)や「予備費」(1.5兆円)、不要不急な「Go Toキャンペーン事業」(約1.7兆円)を排除すれば、「本当の真水」と呼べるのは約18.6兆円しかないのだ。

2次補正の事業規模117.1兆円のうち、一般会計の歳出増加額は約32兆円。
「資金繰り対応の強化」に11.6兆円を充てるが、中身は日本政策金融公庫や民間金融機関が既に実施している「無利子・無担保融資」の拡充に過ぎない。
やはり、「本当の真水」と呼べるのは10兆円ソコソコだ。
結局、「事業規模230兆円」なんて数字ありきの見せかけに過ぎないのだ。

 肝心要のコロナ対策だって、お世辞にもうまく行っているとは言い難い。
 中小企業や個人事業主を支援する「持続化給付金」は、給付申請から2週間程度とされる審査スケジュールが守られず、いまだに給付金が振り込まれない事業者が続出している。
そうしたら、事務手続き業務を請け負う一般社団法人「サービスデザイン推進協議会」(東京)の「20億円中抜き疑惑」が発覚だ。
 クーポン券や割引券で旅行や飲食を促す目的の「Go Toキャンペーン」も、事務手続きの経費が3000億円超という巨額費用が問題視されている始末で、こうやってモタモタしているうちにコロナ関連の倒産件数はあっという間に200件を突破。失業予備軍とみられる一時休業者は600万人という危機的状況だ。
 これでどうやって「日本経済を守り抜いていく」のか。全く現実を理解していないとしか思えない。

 安倍首相は「5月末から濃厚接触者についても、症状がなくとも、全員をPCR検査の対象としました」とも言っていたが、専門家や現場の医師らがPCR検査の対象拡大を求めていたのは1月〜2月だ。
なぜ、もっと早く対応しなかったのか。
なぜ専門会議の議事録はないのか。
「やっている(た)フリ」ではなく、まずは国民に対するきちんとした説明が先だろう。

 それにしても情けないのは大新聞・テレビの記者だ。
会見では、安倍首相が自画自賛していた「ウソ」について、いくらでも突っ込むことができたのに何ら質問がなかったからだ。
 この日、前法相の河井克行衆院議員(57)と妻の案里参院議員(46)が、東京地検特捜部に公選法違反(買収)の容疑で逮捕されたにもかかわらず、関連質問したのはフジテレビの記者のみ。
それも「自民党から振り込まれた1億5000万円の一部が買収資金に使われたことはないということでいいのか」なんて言っていたから驚く。
 なぜ、記者が政権側の疑惑を否定するような形で「いいのか」と念を押す必要があるのか。

地検特捜部がわざわざ、記者に質問のネタを与えようと、2人を首相会見前に逮捕した“意味”をまるで理解していない。
安倍首相にいつも不倫芸能人を問い詰めているように、安倍首相に対しても厳しく問い質せばいいではないか。
安倍首相が平然と国会や会見で「ウソ」をつくのは大新聞・テレビの記者の姿勢にも問題があるのだ。
posted by 小だぬき at 00:00 | 神奈川 ☔ | Comment(4) | 社会・政治 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする