2020年07月01日

自民党「成長戦略・未来像」が「中高生の作文みたい」「ブラック小説」とネット上で話題に

自民党「成長戦略・未来像」が「中高生の作文みたい」「ブラック小説」とネット上で話題に
2020.06.30 ビジネスジャーナル

 新型コロナウイルス感染症に伴う外出自粛や営業自粛で、日本経済は深刻なダメージを受けた。
政府・与党がどう経済を立て直すのかに国民の注目が集まっている。
そんななか、自民党政務調査会は25日、「ポストコロナの経済社会に向けた成長戦略」と題する方針を発表した。
政府与党としての基本方針ともいうべきものだったのだが、これに記載されている「一つの未来像」について「中高生の作文みたい」などとインターネット上から指摘が上がっている。
いったい、どんな内容だったのだろうか。

 今回公表された「成長戦略」では、ICTの活用やデジタル化を今以上に推進した上で、適切な集中と分散を行い、地域分散社会や持続可能な経済や環境をつくり、東京の金融センター化を推進したり、科学技術の集積を一層進めたりすることが掲げられている。
 なお戦略を進める視点として、「国民目線」「格差、社会分断に対する目配り」「企業の環境変化に対する支援」「厳しい国際環境への対応」に重きを置くのだという。
その上で、実現すべき未来像を以下のように表現している。

『ポストコロナの経済社会に向けた成長戦略』一つの未来像
(以下、引用)
「父さん、昔は、通勤ラッシュがあって大変だったんだってね?」、 来年大学を卒業する息子が突然開いてきた。
「ああ、満員電車に1時間半も揺られて会社に通ってた、ぞっとする」。
 いつからだろう、遠い昔のことになったのは。
今では、テレワーク中心に週数回会社に顔を出す、フレックスタイムだ。
お陰様で、家族との時間、大好きなソフトボールを楽しむ時間も持てている。
子どもたちも、 地域の温かな支え合いの中で育ち、地域の伝統文化も吸収しながら伸び伸び育ってきた。

「ところで、就職活動は順調か」。
「俺、地元で仲間達と高齢者向けレジャーサービスのNGO立ち上げようと思ってる」息子に笑われてしまった。
 息子の友達も、フリーランスとして働いたり、スタートアップに挑んだり、自らの意思で多様な選択をしているようだ。
隣の子は何と大学在学中に起業に成功している。

  GIGAスクール構想の実現で、全国どこでもSTEAM教育に資する良質な情報にアクセスできるようになり、個別最適化した学びの中で課題解決力と創造力ある人材が増えているのだろう。
画一教育の俺の時代とは違う、正直羨ましい。
(中略)
 そして、自分の時代と明らかに違うのは、地元の企業への就職が増えていること。
かつてここには、世界有数の自動車メーカーの工場があったが、海外移転してしまって、空き地が寒々と広がっていた。
 ところが、気がついたら、様々な業種の企業が地元回帰してきている。
企業も、効率化は当然だが、それと同時に、サプライチェーンの弾力化やジャスト・インケースの供給源の多角化・多元化を図ってきた結果だ。
やっぱり街に産業、仕事があるというのは素晴らしい。
しかも、その仕事がリアルタイムで世界と繋がっているのだから、 エネルギッシュだ。

 その世界だが、 各国の自然災害発生情報がネットに犯濫している。
自由、人権を求める人々のデモも頻発している。
でも、この地域は、自治体、地域の組織が連携した統合型の防災の仕組みが充実しているし、もちろん、日本は、自由、民主主義、人権がしっかり守られている国、個人情報も自分のもの。
日本人でよかったと思う。
 その日本は、「分断から協調へ」、環境問題やSDGS推進などの地球規模の課題で世界をリードすべきだし、国益を守るための経済安全保障の充実が必要だ。

政治家には我が子達の笑顔が続くように、大局観をもって頑張ってほしい。
そんなことを考えながらテレビを見ていたら、おっ国会中継。
相変わらず立ったり座ったり、「大局観もって頑張る前に、国会のデジタル化進めた方がいいよな!!」とがっかりしながらチャンネルを変えたところに、「おばあちゃんからメール。今から来るって」と娘が教えてくれた。
母は102歳の現役。
現在も一人暮らし、買物は「ネット+小型自動配送ロボット」 で完結、 家事もサービス型ロボット。
 他方で、ここには、 素晴らしい医療・介護のネットワークとともに郵便局、 農協、社協、商工会、地域の見守り、サポートが充実している。
そして、今日も、無人・自動の移動手段を自由自在に活用して、我が家に孫の顔を見にくるそうだ。
病歴・受診歴薬の履歴、母の医療データは、マイナンバーのもとでしっかりと蓄積されている、いざという時にも迅速に対応できることが何よりも有り難い。
やっぱり令和の時代は圧倒的に便利で安心だ。
「いつから?」そうあのコロナとの戦いが転機だ。
「えっ、まじ、人類が火星に到達した!よし来年は家族で宇宙旅行しよう」
(引用終わり)

「中高生の作文みたい」
 Twitter上では、このショートショートのような夢物語に対し、以下のような反応が寄せられている。
「星新一的なオチが最後に欲しい、そしたら短編ブラック小説として完璧にキマる」(原文ママ、以下同)
「ちょっと目端のきく中高生の作文みたい」
「悪文の典型例として教材に使えそう」
「なるほどわからん (さっぱりわからん)」

 たしかに、中学校などでよく課題作文として書かされる「私の考える20年後の世界」を彷彿とさせる内容だ。
平易にビジョンを伝えようという意図は感じるが、生活感あふれる設定と文脈に、多くの政治・経済用語を挿入しすぎていて伝わりにくくなっている。
またどうして箇条書きではなく、唐突に独白形式にしてしまったのだろう。

なぜこのような文章にしたのか自民党関係者に聞いたみたところ、次のように話した。
「え、誰がどう考えても完璧で素晴らしい未来じゃないですか。
これでわからないというのなら、政務調査会担当者に次からイラストや漫画も挿入するように伝えておきます」

 国の特別定額給付金や持続化給付金の支払いが未だになく、困窮する人は日に日に増えている。
一方で30日、国会議員に数百万円のボーナスが支給された。
夢物語のディティールにこだわる政治と、国民の窮状の乖離は深まるばかりだ。
          (文=編集部)

ニュースサイトで読む: https://biz-journal.jp/2020/06/post_165549.html Copyright c Business Journal All Rights Reserved.
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2020年07月02日

江川紹子さんとオウムの死闘、バイトで食いつなぎ坂本弁護士一家を追った

江川紹子さんとオウムの死闘、
バイトで食いつなぎ坂本弁護士一家を追った
2020.7.1 ダイヤモンドオンライン
木俣正剛:元週刊文春・月刊文芸春秋編集長

華奢な女性ジャーナリストが 編集部に持ち込んだ企画
 ジャーナリストの江川紹子さんと初めて仕事をしたのは、彼女が神奈川新聞を辞めてフリーになった直後のことでした。
華奢(きゃしゃ)で笑顔を絶やさない彼女が、のちに、オウム真理教というテロ組織と1人で闘うとは、当時は想像もできませんでした。
 あるとき、江川さんから、坂本堤弁護士とともにオウム真理教という新興宗教に洗脳されている信者のことを取材して書きたいと提案されました。
ゴーサインは出したのですが、他の仕事に取り紛れ、まだ、坂本弁護士に会えないままだったとき、真っ青な顔をした江川紹子さんが文春編集部に現れました。

「木俣さん、何も聞かないで、私が週刊文春の記者であるという名刺を作ってください」と言います。
 切羽詰まったものを感じて、すぐに名刺を作製してお渡ししました。
それから2週間くらいたった頃でしょうか。
江川さんが説明に来ました。
「坂本弁護士一家が拉致されました。
オウムの仕業としか考えられません。
一家が自分で失踪する理由なんて見当たらないのですから。
でも神奈川県警は、積極的に動いていません。
そしてフリーの記者は記者会見には出られないので、週刊文春の名刺作製をお願いしました。
警察が熱心でないのは、坂本弁護士が所属する横浜法律事務所は、刑事事件では県警と対立することが多い人権派弁護士事務所だということもあるかもしれません」

 編集部にすぐ報告・相談をしました。
結論は徹底的に江川さんをサポートし、この事件の解明とオウム真理教の問題点を洗い出そうということになりました。
 思想の右とか左とかは関係ありません。
三権分立の要、言論の自由の要である弁護士を拉致するという組織は、民主主義を否定する存在であり、許されるものではない。
これが素直な編集部の思いでした。

全てを投げ打って 坂本弁護士一家を捜した江川さん
 今となると、オウム真理教は、発足してすぐにテロリスト集団化し、地下鉄サリン事件を起こして、壊滅に追い込まれたという印象しか残っていないかもしれません。
 しかし、坂本弁護士一家失踪直後に、彼らが記者会見をしたときは、週刊文春と週刊新潮以外のメディアは、教団の名前さえ伏せて報道し、「ああいえばじょうゆう」とあだ名された上祐史浩(当時教団の幹部、サリン事件以降は教団緊急対策本部長。現「ひかりの輪」代表)の長広舌を画面で垂れ流すありさまで、記者会見でも厳しい質問など飛びません。

 確かに憲法で信教の自由は保障されています。
単に新興宗教だから、という理由で「怪しい教団」扱いをできないことはわかります。
しかしそうした事情を考えても、当時のメディアは及び腰、というより、その教団の踊りや日常を面白おかしくとらえていたとしかいいようがありません。

 しかし、江川さんの責任感には、アタマが下がりました。
坂本弁護士一家失踪に対する責任を感じ、生存につながる情報や目撃情報が週刊文春編集部にある度に、その取材に真っ先に出歩いていました。
 フリーの記者が、結論が見えない仕事を抱えると、食べていけません。
原稿が書けないのですから。
それでも、彼女は他の仕事を入れず、坂本弁護士一家の足跡を追い続けていました。
 あるとき、彼女に、「熊本に坂本弁護士を自分で拉致したと名乗り出た人物がいる」という情報を告げたとき、彼女曰く「わかりました。必ず取材にいきます。実は、まったく仕事がないので、コンビニでアルバイトをしようと思っていたところなので、解約してからいきます」。
 そこまでの責任感と覚悟だったのです。

 私自身、江川さんのサポートで、元信者の告白や家族を教団に奪われた人々の取材をしていると、当然、教団にとって目障りな存在となってきます。
 取材申し込みに私の名前を書くわけですから、当然、先方に名前もわかります。
自宅もなぜかわかっていたようで、アパートの私の郵便箱にだけ、オウム真理教のビラが投げ込まれていたこともありました。

戦慄した「オウムからのポケベル」
江川さんにはホスゲンガス攻撃
 夜半、自宅でふと外をみると、アパートのベランダに謎の人物が立ったまま部屋の中をのぞいていたこともあります。
こちらが気付くと、2階からすぐに飛び降りていきました。
また当時、私は新居を建築中だったのですが、その工事現場を見に行ったら、突然ポケベルに文字が出ました。
「アタラシイイエハイイネ」
 周囲を見渡しても誰もいません。
家を新築していることは、会社の同僚たちにも話していなかったので、本当に不思議です。

 一度、週刊文春編集部の部員のポケベルが順番に次々鳴り出したこともありました。
もちろん、どれも教団の仕業だという確証はありませんが、警察や自衛隊、NTTなどに信者がいたことを考えると、どんな嫌がらせでも計画すればできたはずです。
 江川さんに、謎の人物のことやポケベルの報告をしつつ、オウムの若手がロシアで軍事訓練まで受けているといった情報交換をし、お互い気をつけましょうと電話で話し合った翌朝のことでした。
 朝5時頃、江川さんから電話がありました。
寝ぼけ眼で受話器をとると、江川さんが、焦った声でこう言います。
「明け方、自宅の郵便受けに何かを投げ入れられました」「なんだか変な臭いがしたけれど、たいしたことはないですよ」  江川さんは気丈に言い張るのですが、念のため知り合いの医師に病院を紹介してもらい、精密検査をしたところ「喉が糜爛(びらん)している」と全治2週間。

命がけで殺人教団に立ち向かった ジャーナリストだった
 それから1年。地下鉄サリン事件が起こり、幹部が逮捕された以降の公判で恐るべきことが判明しました。
あれは猛毒「ホスゲンガス」だったのです。
第一次世界大戦でドイツが大量に使用した毒ガスで、肺水腫を起こしたあげく、体液が流出して心不全に至る猛毒です。
たまたまホスゲンガスの出来が悪く、しかも容器の作りがずさんだったため、彼女は大事にならずにすみました。
 同じころ、永岡弘行・オウム真理教被害者の会会長はVXガスをかけられ瀕死の重傷を負っています。
永岡氏は69日間も入院して生還しましたが、別の会社員はVXガスによって死亡しています。

 江川さんはまさに命がけで、この殺人教団に立ち向かったジャーナリストでした。
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2020年07月03日

国民を弾道ミサイルから守る気がなかった日本政府

国民を弾道ミサイルから守る気がなかった日本政府
7/2(木) JBpress
北村 淳:軍事社会学者

 日本政府はイージス・アショア地上配備型弾道ミサイル防衛システムを調達する目的を、「弾道ミサイル攻撃の脅威から日本国民を守る」ためと説明してきた。
しかし調達を突然白紙撤回したことによって、その説明は口先だけの空手形のようなものであったことが明らかになった。

■ いとも簡単に破談になったイージス・アショア調達
 空手形であるという理由は大きく2つある。
第1の理由は、「弾道ミサイル防衛能力を強化し、かつ弾道ミサイル防衛態勢を安定的に維持するため」として鳴り物入りでアメリカから調達することになっていたイージス・アショアを、確固たる代替補完策も示さずにいとも簡単に破談にしてしまったからである。
 何もイージス・アショアの配備が日本にとっての弾道ミサイル防衛を万全にするための唯一の秘策というわけではない。
いくつかの防衛方針と様々なシステムを組み合わせなければ、強力な攻撃兵器である弾道ミサイルから国民を守ることなどできない相談だ。

 そもそも、弾道ミサイル防衛には大きく分けて3通りの方式が存在する。
 第1は、駆逐艦や巡洋艦に搭載するイージス・システム、局所防衛用のPAC-3システム、それにイージス・アショアといった、飛来してくる弾道ミサイルを待ち受けて撃ち落とすタイプの方式。
 次に、敵が弾道ミサイルを発射する直前に発射装置などを破壊してしまう方式(日本の政治家などは、誤って、あるいは真意を隠すために「敵基地攻撃」と表現している)。
 そして第3に、強力な報復攻撃戦力を手にして、「万が一にも日本に対して弾道ミサイル攻撃を実施した場合には、その数等倍の威力を持った報復攻撃を実施する」態勢を示すことによって、日本に対する弾道ミサイル攻撃を抑止する方式である。  

これらの3通りの方式と、それぞれを実施するための数通りのシステムを組み合わせることによって、弾道ミサイル攻撃の脅威に対抗することができるのである。
したがって「イージス・アショアのかわりに『敵基地攻撃』という方策を手にしよう」という意見は、弾道ミサイル防衛の原則に則っているようにも思えなくはない。
しかし、その「敵基地攻撃」(上記のように、この表現自体誤っているのだが)そのものが現実離れしたアイデアであったならば、イージス・アショアに代える手段を真剣に考えたことにはならない>

■ 政府が言い立てた「最大の脅威は北朝鮮のミサイル」
 そしてもう1つの理由は、イージス・アショアの配備段階から白紙撤回、そして「敵基地攻撃」をはじめとする思いつき的アイデアの浮上、といった一連の動きを通して、日本政府防衛当局が対処しようとしている弾道ミサイル防衛とは、北朝鮮による対日弾道ミサイル攻撃を主眼(唯一に近いレベル)に置いていることが改めて明らかになったからだ。

 なぜこのことが「日本政府にはもともと弾道ミサイルの脅威から国民を真剣に守り抜く意思がない」ことを示していると言えるのか。
それは、日本に対する弾道ミサイル攻撃の脅威は、実際には中国軍によって突きつけられているにもかかわらず、日本政府は北朝鮮による対日弾道ミサイルを最大の脅威のように言い立てているからである。
 後述するように、北朝鮮が日本に対して弾道ミサイルを発射するかどうかはアメリカの方針次第である。
すなわち、日本にとっての北朝鮮による弾道ミサイル攻撃の脅威をつくり出すのはアメリカである。

 ところが、日本政府は北朝鮮の弾道ミサイルを最大の脅威として、その脅威をつくり出すアメリカから超高額兵器である艦載イージス・システムやPAC-3を購入し、イージス・アショアをも調達しようとしていた。
これは奇妙極まる構造と言わざるを得ない。

■ 対日攻撃に踏み切る可能性が最も高いのは中国
 そもそも、弾道ミサイル攻撃を日本に対する脅威と考えているのならば、北朝鮮の弾道ミサイルに限定するのは誤りである。
日本周辺諸国だけでも、日本を攻撃する性能を有する弾道ミサイルを保有しているのは、北朝鮮だけでないからだ。
中国、ロシア、韓国も対日攻撃が可能な弾道ミサイルを保有している。

 日本を軍事攻撃する可能性という観点から考察すると、中国が最も対日攻撃に踏み切る可能性が高い。
 なぜならば、尖閣諸島を含む東シナ海での領域紛争における日本と中国の外交的バランスは五分五分といったところであるものの、軍事的バランスは中国有利が固まりつつある。
そのため、中国指導部が(おそらく何らかの国内的事情によって)対日軍事攻撃の脅し(たとえば「日本各地に弾道ミサイルや巡航ミサイルを大量に撃ち込むぞ」といった脅し)によって一気に決着を付けてしまうという暴挙に出ないとも限らないからだ。

 日ロ間、日韓間にも、それぞれ領土紛争が存在しているが、日本が北方四島ならびに竹島を完全にロシアと韓国に占領されており、それぞれ実効支配を許している状態が70年前後も継続している。
したがって国際常識に照らすと、それらの領土問題を解決するために軍事衝突が勃発するのは、日本が自衛隊を投入して失地回復軍事作戦を敢行した場合に限られる。
つまり、ロシアや韓国から日本に対して先制的に弾道ミサイル攻撃が敢行される恐れはほぼ存在しない。

 日本と北朝鮮の間における最大の懸案事項は、言うまでもなく日本人拉致問題である。
この問題を解決するために北朝鮮が日本を軍事攻撃する必要は全くない。
国際常識に従うならば、多数の自国民が隣国によって拉致されているといった国家間紛争が存在している場合、紛争解決すなわち自国民奪還あるいは報復のために軍事攻撃を敢行するのは北朝鮮ではなく日本ということになる。
したがって、北朝鮮が自衛隊による拉致被害者奪還作戦や報復攻撃を警戒し恐れるというのならば無理からぬところであるが、日本が北朝鮮による弾道ミサイル先制攻撃を恐れるというのは全くの筋違いである。

■ 北朝鮮の対日ミサイル攻撃はアメリカ次第
 とはいっても、北朝鮮が日本に弾道ミサイルを撃ち込む可能性がないわけではない。
アメリカが北朝鮮を軍事攻撃し、日本政府がアメリカを支持した場合だ。
 その際には、在日米軍関連施設はもとより、空自航空基地、民間飛行場といった北朝鮮攻撃のための航空機出撃拠点となり得る施設、ならびに日本政府の対米協力態勢を打ち砕くために日本の戦略要所(原子力発電所、火力発電所、石油コンビナート、石油備蓄基地、各種レーダーサイト、造船所、放送局、主要橋梁、霞ヶ関官庁街など)にも、合わせて200基以上の弾道ミサイルが発射されることになるであろう。  
(ただし、北朝鮮の弾道ミサイル保有数に関しては西側情報機関によっても大きくばらつきがあり、日本攻撃用ミサイルに関しても100基以下から300基以上まで大きな開きが生じているのが現状だ。)

 要するに、北朝鮮が日本に弾道ミサイル攻撃を実施するのはアメリカによる北朝鮮攻撃に端を発するのであり、それ以外の理由によって北朝鮮が自ら進んで日本に対して弾道ミサイル先制攻撃(日本周辺に向けての弾道ミサイル発射実験と弾道ミサイル攻撃は全く性格が異なる)を敢行する動機は見当たらない。

 上記のように、北朝鮮の弾道ミサイルだけを日本に対する脅威として騒ぎ立て、弾道ミサイル防衛の主目的が北朝鮮による弾道ミサイル攻撃から日本を守るためであるように喧伝するのは大いなる詭弁と言わざるを得ないのだ。
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2020年07月04日

我々の日常に潜む「小さなファシズム」、大学の体験授業に学ぶ

我々の日常に潜む「小さなファシズム」、大学の体験授業に学ぶ 『ファシズムの教室 なぜ集団は暴走するのか』
2020.7.3 ダイヤモンドオンライン
麻木久仁子:HONZ

「白いシャツと紺のジーンズ」で 「リア充爆発しろっ!」
 数年前のこと、ツイッターで奇妙な動画を見た。
揃って白いシャツにジーンズを身につけた大勢の若者たちが、「リア充爆発しろっ!」と大声で叫んでいる動画だ。
声を揃え息を合わせ、大声で唱和している。「なんだこりゃ?」。

 どれどれと検索してみると、ある大学で行われている「ファシズムの体験学習」だという。
どうやらその動画は、周りで見物していた学生が撮ったものらしいが…。
 甲南大学文学部の田野大輔教授のファシズム体験学習である。

*『ファシズムの教室 なぜ集団は暴走するのか』
  田野大輔著 大月書店刊 1600円+税

 田野教授が「田野総統」、学生たちは「田野帝国の国民」となって行なわれるロールプレイングを通して、人々がファシズムを受け入れるときどのような感情の動きがあるのかを体験させ、いわば「ファシズムに対するワクチン」となるような気づきを得ることを目的としている。
 体験学習は2回にわたって行う。
大教室に集まった250人で行う大規模ロールプレイだ。

1回目。
「独裁」を体験するのだからなんといってもまず「独裁者」を決めなくてはならない。
そこで田野教授が「独裁者役」を務めることを、全員の拍手を持って承認させる。
そして、独裁者への敬意を敬礼で示すことを要求し、ナチス宜しく片手を斜めに伸ばして「ハイルタノ!」と大声で唱和させる。
 続いて独裁を支える共同体の一体感を実感させるために、全員を立たせ「独裁者」たる教授の笛に合わせて足を踏み鳴らす。
さらに、誕生月ごとに席を座り直すように促し、友人と切り離して横のつながりを失わせて分断し、「総統と自分」という縦のつながりへの従属が容易になるようにする…
そして「ハイルタノ!」と声を合わせて絶叫させ、いよいよ「共同体の敵(と設定した)リア充を排除するため、「リア充爆発しろ!」を唱和する練習をして、授業は終わる。

「サクラ」による ロールプレイも体験
 2回目。
「白いシャツと紺のジーンズ」を身につけてくるように指示された学生たちが勢ぞろいする。
「制服」は一体感を支える有効なツールだ。
いよいよ「共同体の力を実行する体験」をする。
例によって誕生月ごとに座り直させて分断し、「リア充爆発しろ!」の糾弾の練習をする。
が、ここに白シャツではなく柄シャツを着てきて(共同体の掟を破る)、そのうえ私語をするなど一体感を壊すような行動をとるものが現れる。
柄シャツは教壇に引き出され、首には「総統に反抗しました」という札を下げられ、晒し者にされる。
もちろん柄シャツも引きずり出す者も「サクラ」でありすべて台本なのだが、それでも教室は静まり返る。
一体感の高揚と、それを乱した者に与えられる屈辱への恐怖をロールプレイするわけだ。

 いよいよグラウンドでの糾弾行動である。
 隊列を組み、「ハイルタノ!」を叫び、グラウンドを行進する。
野次馬も見ているが、恥ずかしがるなと指示され、繰り返し叫んでいるうちに声は大きくなっていく。
そして、発見したカップル(もちろんこれもサクラ)を取り囲んで「リア充爆発しろ!」と、耐えかねたカップルが退散するまで怒鳴り上げるのだ。
こうして「目的」を遂げた受講生たちは、さて何を思うのか。

 受講生たちの体験後のレポートが興味深い。
“彼らの多くが集団行動に参加するなかで徐々に没入感を増していき、悪いことだとわかっていても気持ちがどんどん高ぶっていく経験をしていることがわかる。

「最初は乗り気でなかった自分が大声を出すようになっていた」 「ちゃんと声を出さないと逆に恥ずかしいという感情が生まれた」 「いったん従う気持ちに包まれたら、従わないメンバーに苛立つようになった」
 レポートには、学生たちが自分の意外な感情の変化に驚いたことが表れている。

この体験学習は、そもそも「独裁体制とは厳しい統制に抑圧された大衆が恐怖に縛られ家畜のごとく独裁者に従って成立するもの」ではないことを実感するためのものなのだ。

“同じ制服を着て指導者に忠誠を誓い、命令に従って敵を攻撃するだけで、人はたやすく解放感や高揚感を味わうことができる。
そこではどんなに暴力的は行動に出ようとも、上からの命令なので自分の責任が問われることはない。
この「責任からの解放」という単純な仕組みにこそ、ファシズムの危険な感化力があると言ってよい。
 そのような感情を体験することで、ファシズムが参加者にとって胸躍る経験でもありうること、それだけに危険な感化力を発揮しうることが理解できるようになるだろう”

客観的な視点を 失わせないようにするための工夫
 この体験授業が話題になると、様々な反応が現れた。
もちろん「素晴らしい」という声は多かったが、批判や懸念もあった。
わざわざファシズムをいかに実行するかなどと教えて寝た子を起こすことにならないかという声もあった。
またこうした「感情を動かす」授業の倫理的な側面についての懸念もあったように思う。
「集団の暴走」を体験するのだから、本当に暴走してしまい、コントロールを失う危険があるのではないか、というものだ。

 が、本書を見れば、こうした様々な立場からの懸念は事前に十分想定されており、その対策を講じた上でおこなわれていたことがわかる。
 まずこの授業は、2回きりの体験授業のみで成立しているものではない。
これは「社会意識論」という講座の一場面であり、体験学習の前にファシズムのメカニズムについて十分学んだ上で行う、実は座学をこそ重視したものなのだ。
その事前の講義の中では有名なミルグラム実験や監獄実験などについてもとりあげ、「権威への服従」についての知識を学ぶ。

体験後も参加者がいかに「実感」を「客観」的に認識できるかという「デブリーフィング」に力を入れている。
また、体験学習自体にも多くの配慮がなされている。
一つ挙げるなら例えば「ハイルタノ!」だとか「リア充爆発しろ!」などと叫ばせるのは、いわば「滑稽」なのだが、これはあくまでもロールプレイなのだという客観的な視点を失わせないようにするためなのだという。

我々の日常に潜んでいる 「小さなファシズム」
 それにしても、この体験学習のプログラムをみると、いかに我々の日常に「小さなファシズム」が潜んでいるか気づかされて、怖くなる。
一体感が与える高揚。
共通の敵を見出した時に強まる共同体の絆。
「正しい指導者」に従うことで得られる解放感。
読者はいまこの令和の日本の日常において目にする、様々な場面を想起することだろう。

 我々自身が思う以上に「感情」というものは「持って行かれる」ものなのだ。
ナチス政権下ではユダヤ人男性と交際したドイツ人女性がさらし者になったそうである。
パリが陥落した時にはドイツ人男性と交際したフランス人女性がさらし者になった。

 戦争に反対するような人間を非国民と呼び糾弾した我が国の歴史は言うまでもない。
が、私自身、どこに身を置くか次第で「正義の糾弾者」にならないとも限らないという恐れを感じるのだ。
理屈でわかっていても声を出し体を動かし、感情を揺さぶられることで得られる解放感の魔力を理解しなくてはならないと、本書は教えてくれる。
全員で一緒の動作や発声をくり返すだけで、人間の感情はおのずと高揚し、集団への帰属感や連帯感、外部への敵意が強まる。
この単純だが普遍的な感情の動員のメカニズム、それを通じた共同体統合への仕組みを、本書はファシズムと呼びたい。
 このメカニズムを知らないで、いかに「感情の動員」から逃れられるか、見当もつかない。
知るしかないのだ。ぜひ、「ファシズムの教室」で学んでみてください。
         (HONZ 麻木久仁子)
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2020年07月05日

「秋に解散」を振り回す麻生副総理のある思惑

「秋に解散」を振り回す麻生副総理のある思惑
キングメーカー狙いか、首相への援護射撃か
2020/07/04 東洋経済オンライン
泉 宏 : 政治ジャーナリスト

コロナ国会では、あまり存在が目立たなかった麻生太郎副総理兼財務相が、ここにきて永田町を騒がせている。
安倍晋三首相と6月だけで8回も会談した麻生氏が、同月29日に公明党の斉藤鉄夫幹事長に「秋に解散をやるべきだ」と持ち掛けるなど、「政局の仕掛け人」として動き出したからだ。

安倍首相の盟友で後見人も自任する麻生氏だけに、政界では「首相と打ち合わせたうえでの動き」(閣僚経験者)との見方も多く、与野党を問わずに解散風に身構える。
ここにきて東京を中心に新型コロナ第2波の不安も急拡大しており、石破茂元幹事長が「この状況で(解散は)やるべきではない」と発言するなど、与党内には秋解散反対の声も広がっている。

秋解散への地ならしか
安倍首相自身は解散について「やれるときにやる。その時期は神のみぞ知る」と漏らしたとされる。
麻生氏との会談と並行して、安倍首相は連日、与党幹部らとの会談も続けており、「秋解散への地ならし」(自民幹部)との指摘もある。
麻生氏が「解散するなら秋しかないと進言した」(側近)のは、安倍首相の求心力回復への援護射撃ともみえる。
その一方で、細田派に次ぐ党内第2勢力の麻生派の領袖として、本格化しつつあるポスト安倍レースでの「キングメーカー狙い」との見方も出る。

麻生氏の唱える秋解散説には、さまざまな政治的要素が絡む。
現在の衆院議員の任期は2021年10月満了で、2020年10月で前回衆院選から3年となり、「平均2年半」とされる衆院選の間隔をすでに上回っている。
しかも、任期満了直前の2021年9月末には安倍首相の自民党総裁としての任期が切れる。
コロナ禍での経済対策や東京五輪開催を前提に政治日程を予測すると、政界では「次期衆院選のタイミングは『年内』か『来秋』の2択」(自民長老)との見方が支配的となる。

このうち「来秋」は事実上の任期満了選挙となる可能性が高く、政治的には安倍首相による解散権行使との意味合いは消え、政局運営の武器とはなりそうもない。
だからこそ麻生氏は「解散するなら秋しかない」と首相の背中を押すのだ。
夏以降に予想される内外の政治日程も麻生氏の主張を裏付ける。
アメリカが議長となるG7サミットは8月末が想定され。安倍首相の盟友・トランプ大統領の再選がかかる大統領選は11月3日だ。
さらに、国際オリンピック委員会が東京五輪開催の可否について検討を本格化させるのも10月ごろとみられている。

解散説の原因となった「3A1S」会談
さらに、医療専門家の多くが11月以降にコロナ第2波の襲来を予測している。
となれば、政治的にみても「秋口解散ー10月選挙しかない」(自民選対)。
「選挙の神様」との異名もあった小沢一郎氏(国民民主党)も「選挙をやるとすれば10月だ」と断言する。
与党内では、臨時国会を9月28日に召集して冒頭解散し、投開票日を10月25日とする具体的な選挙日程も取り沙汰されている。
公明党が党大会を9月27日に設定し、安倍首相の出身派閥である細田派の政治資金パーティが同28日開催予定であることや、10月25日が衆参統一補欠選挙の実施日となることから組み立てられた仮説だ。

麻生氏の言動とともに、今回の解散風加速の原因となったのは、いわゆる「3A1S」と呼ばれる安倍、麻生両氏と菅義偉官房長官、甘利明自民党税制調査会長の4者会談(6月19日夜)だ。
「政権の真の中枢」と位置付けられてきた4氏の会談は、2017年7月以来3年ぶり。「前回の会談では解散時期も話し合われ、それが9月28日解散ー10月22日投開票という前回衆院選につながった」(自民幹部)とされる。
「まさにビデオテープでもう一度」(閣僚経験者)ともみえる。

もちろん、与党幹部の中では「コロナ禍での解散などありえない」との声が多数派だ。
ポスト安倍の人気ナンバーワンとなっている石破氏は、7月2日の講演で「(前回は)国難突破解散だったが、(今回は)何を国民に問うのか。
『いまなら勝てるだろう解散』はやるべきでないし、憲法の趣旨にも大きく反する」と、秋解散説を厳しく批判した。

その一方で、選挙で自民党が最大の頼りとする公明党も、山口那津男代表や斉藤幹事長が秋解散に否定的見解を繰り返している。
「コロナショックで集会も開けず、選挙準備が整わない」(斎藤氏)のが理由だ。
にもかかわらず、同党は2日、次期衆院選での小選挙区公認候補を発表した。
「(衆院議員の)任期が1年ちょっとだから、当然のスケジュール」(斉藤氏)と強調するが、野党は「秋解散への準備」(立憲民主幹部)と色めき立つ。

そうした中、自民党内ではポスト安倍レースも本格化している。
石破氏や岸田文雄政調会長ら後継総裁の有力候補と、安倍首相や麻生、二階俊博幹事長、菅各氏との会談が連日行われている。
一連の会談は「解散時期やそれに先立つ党・内閣人事での感触を探る目的」(細田派幹部)とみられており、これも解散風をあおる要因となっている。
中でも、麻生、二階両氏の「縦横無尽な動き」(自民幹部)が際立つ。

麻生氏は安倍首相との連続会談と並行して、各派閥の領袖や幹部との会談を繰り返している。
これに対抗するように、二階氏も石破、岸田両氏とそれぞれ個別に会談する一方、菅氏とも意見交換するなど、「政界随一の寝業師」(二階派幹部)としてにらみを利かす。
まさに「麻生氏と二階氏による政局運営での主導権争い」(岸田派幹部)ともみえる。

二階氏は幹事長続投に布石
二階氏は9月8日に幹事長在任日数が歴代最長となる。
2日の岸田氏との会談では「前途洋々、次に期待する」とエールを送る一方、岸田、二階両派を含めたお祝いの会を開催することも話題になったという。
「9月の党役員任期切れに絡めた人事での幹事長続投への布石」(岸田派幹部)との見方も広がる。
麻生氏は首相に就任した2008年9月に、臨時国会での解散を模索したが、リーマンショックで断念した経緯がある。
当時も衆院議員の任期満了が約1年後に迫っており、結果的に2009年8月末の「政権交代選挙」で自民党は惨敗、民主党政権が誕生した。
「安倍首相にその轍は踏ませたくない」との思いが麻生氏の活発な動きにつながっているとの見方もある。

そうした中、首相サイドからは秋解散に否定的な声も漏れてくる。
「国民がコロナ禍で苦しむ中、感染防止や経済対策に専念すべきで、解散による政治空白などありえない」(官邸筋)という判断だ。
首相側近も「首相には、この状況であえて伝家の宝刀を抜く気はない」と断言する。
「多弱」と呼ばれて久しい立憲民主、国民民主など主要野党の足並みの乱れが続く現状から、自民党内には「秋に解散しても負けない」(幹部)との声も少なくない。
しかし、自民党が秘かに実施した全国的調査では「今やれば自民過半数割れもありうる」(自民選対)との厳しい結果が出ているとされる。
そもそも安倍首相にとって「伝家の宝刀を抜くかどうかは、まずはコロナ次第だが、ポスト安倍レースの状況も見極める必要がある」(側近)のは間違いない。

現状では、安倍首相が後継者に期待する岸田氏への国民的期待は依然として広がりを欠き、安倍首相の足元の細田派内でも「岸田氏は担げない」との声が多数派だとされる。
安倍首相が来秋の事実上の任期満了選挙を選択すれば、その前段となるはずの自民総裁選で石破氏勝利の可能性も広がる。
このため、党内からは「首相が秋解散を決断する場合は、選挙後に退陣して両院議員総会の投票で岸田後継を実現する戦略」(閣僚経験者)とのうがった見方もささやかれる。

梅雨明け間近の永田町は「コロナと解散説での暑苦しさ」(自民若手)が増すばかり。
盟友の麻生氏の仕掛けた解散政局に首相がどう反応するのか。
それこそが「神のみぞ知る」の実態だ。
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2020年07月06日

米軍が働くかは状況次第 「専守防衛」は危うい本土決戦論

米軍が働くかは状況次第 「専守防衛」は危うい本土決戦論
7/4(土) 産経新聞

 地上配備型迎撃システム「イージス・アショア」の導入計画が撤回された。
政府が、これに代わるミサイル防衛体制を含む新たな安全保障戦略を検討していくことになった。

 安倍晋三首相が議論を進める考えを示した敵基地攻撃能力保有の是非が焦点となる。
自民党は、小野寺五典元防衛相を座長とする検討チームで、抑止力の一つとして積極的に取り上げる方針だ。
 これに対して、日本の防衛力充実を望まない中国や、憲法や「専守防衛」を理由に挙げる公明党、共産党などから反対論が出てきた。

 中国外務省報道官は「専守防衛の約束を真剣に履行するよう促す」と述べた。
その中国は、2千発以上のミサイルを日本に向けている。
それらには核弾頭を搭載できるものがある。
 中国に「専守防衛を守れ」と説教する資格はない。

中国の反発から分かるのは、敵基地攻撃能力の保有は対中抑止力向上に有効だということだ。
 公明党の斉藤鉄夫幹事長は「専守防衛の基本的な考えからも国民の理解を得られると思っていない」と述べた。
共産党の小池晃書記局長は「攻撃的兵器の保有は、自衛のための最小限度の範囲を超えるから許されないとしてきた憲法上の立場を完全に蹂躙(じゅうりん)する」と語った。
立憲民主党もこれまで保有に反対してきた。

 中国やこれらの党に共通するのは、国民を守る際に日本だけは世界で唯一、侵略国の領域で戦うなと求めている点だ。
日本国民の命を蹂躙する侵略国を利する話を「専守防衛」という聞こえの良い言葉で覆っている。
 このような俗論的な「専守防衛」論はとても危うい。

米軍が働くかは状況次第だ。
自衛隊は本土決戦を強いられる。
自国の領域ばかりで戦えば国民の犠牲が甚大になるのは道理だ。
 政府の立場は俗論とは異なる。
専守防衛の下でも敵基地攻撃能力保有を合憲としてきた点は、まだましである。

 本来は、日本侵略を決める政治中枢も叩(たた)ける「積極防衛」を理念とするのが望ましい。
求められるのは、どうすれば日本と国民を守れるかという「必要性の論理」に基づく真摯(しんし)な議論だ。
それを憲法が認めないというなら、憲法解釈の方がひどく誤っている。
       (論説副委員長・榊原智)
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2020年07月07日

いかさま王をまたも選んだ東京都民の罪…あまりに残酷な僕たちの民主主義

いかさま王をまたも選んだ東京都民の罪…
あまりに残酷な僕たちの民主主義
2020年07月05日 PRESIDENT Online

築地市場の豊洲移転問題、希望の党の国政進出、東京五輪の開催地問題、コロナ対応……。
小池百合子氏が知事になってから彼女はメディアに露出し続けた。
しかし、彼女は知事として何を残したか。

■怒濤の小池都政 この4年間は一体…
東京都民にとって次の4年間の運命を左右する東京都知事選挙が開かれ、現職の小池百合子氏が圧勝した。
元日本弁護士連合会会長の宇都宮健児氏や、元熊本県副知事の小野泰輔氏などが候補者として名乗りを上げたが、20年5月30〜31日にJX通信が行った世論調査では、現職の小池百合子氏が支持率69.7%と、とてつもない強さを見せていた。
そんな小池氏はこの4年間、マスコミから注目を集め続けた。

築地市場の豊洲移転問題では、都議会のドンと呼ばれた内田茂氏や石原慎太郎氏との戦いが話題を集め、オリンピック会場問題でも突如東北でのボート競技開催案をぶち上げるなど、メディアを翻弄。
「小池劇場」とも呼ばれた。

そんな中、都議会自民党の川松真一朗氏は「4年間終わってみると、何も成果がなかった」と批判する。
一体、この4年間、小池氏はどんなことをしてきたのだろうか。
次のリーダーを選ぶとき、どのような資質の持ち主を選ぶべきか。
あるいは、どのような人物を避けるべきなのだろうか。

■「対立を煽るパーソナリティ」の持ち主
ここに一冊の本がある。
『危険人物をリーダーに選ばないためにできること』。
著者であるビル・エディ氏は「対立を煽るパーソナリティ」の持ち主に権力を与えてしまうことの危険性を説く。

トランプもプーチンもドゥテルテも、多くの死者を出した独裁者にはこのパーソナリティが共通していたそう。
エディ氏は対立を煽るパーソナリティを持つ人物──「対立屋」は、「ひどく人を騙すこと」があったり、「常に社会を分断せずには」いられなかったりと「極めて危険な政治家になる」と警鐘を鳴らす。
また、「このような政治家を選出する傾向は世界的に広がりつつ」あるのだとも。

対立屋は、政治的信条や立場にかかわらず「どこにでも存在します。
対立を拡大したり長引かせたり」し、「調整したり解決したりしません」
エディ氏は、対立屋は「みな同じような言動のパターンを共有」していると話す。

たとえば敵と見なして標的とした相手に執拗な非難を繰り返すことだ。
また、何にでも白黒をつけたがり極端な解決策に走ることや「攻撃的な感情を抑制できない」考え方を抱いていることが多いという。
また、きわめて否定的な言動を他者に対して行うこともよく見られるという。
対立屋たちはまた、他者を「よい人」と「悪い人」に分け、絶えずこの二者を対立させて話し続けることで集団を分断する。そうやって「支持者に標的を攻撃するよう教え込」むのだ。

「よい人」と「悪い人」で二分したといえば、豊洲移転問題が記憶に新しい。
川松氏は「小池氏は自身の選挙対策のパフォーマンスとして豊洲移転を止めた」と指摘する。
「いったん立ち止まるというのはよかったと思います。そのいったんがあまりにも長すぎて、たとえば環状2号線の工事も延期になりましたし、必要のない議論の時間を無駄に費やしてしまった。

わかりやすく言うと、1つは百条委員会*。
元都知事の石原慎太郎氏も呼んで委員会をやりました。
最終的には何もなかったわけですよ。
また、豊洲の土地を購入する費用について、購入すること自体がおかしいということで、石原氏を相手にした住民訴訟が起こされていました。
小池氏は、もともと東京都が用意していた弁護団を差し替えて、新しい小池弁護団をつくって住民訴訟に臨もうとしました。この小池最強高給弁護団が最終的にどうなったかというと、石原氏に責任ありきで追及することはできないということで、従来の方針に戻ったわけです」(川松氏)

*自治体の事務に関して疑惑や不祥事があった際、事実関係を調査するため、地方自治法第100条に基づいて地方議会が設置する特別委員会。

さて、対立屋のなかでもナルシストとソシオパスの特徴を持ち「独裁者、すべてを支配する最高権力者」になりたがる人のことをエディ氏は「悪性のナルシスト」または「いかさま王」と呼ぶ。
「『ナルシスト的(自己愛性)パーソナリティ』の持ち主は、自分が上だと見せるため、他者を下に置かないと気がすまない。
彼らは他人を支配するために政治に興味を持ちますが、政治家としての手腕を持ち合わせていません」(エディ氏)

小池氏について生い立ちから現在に至るまでを緻密な取材をもとに綴った『女帝 小池百合子』で、著者の石井妙子氏は小池氏を「強者に憧れ、自分も強者でありたいと願」う人物だと表現している。
「彼女はただ、上を目指しているだけ」「政治家として何かをなしたいわけではない。政治家として、より上の地位に就きたいだけなのだ」と言う。

川松氏も「小池氏を4年間見ていて思うのは、世間の風を見ながらやりすぎた。
それは周りの人たちも含めてです。
自分の信念があれば周りの意見も押し切れるのに……」と話す。

「コロナの自粛要請の中で、営業を続けたパチンコ店だけを公表しましたが、なぜパチンコ店なのか。
これも世間がパチンコ、パチンコとパチンコ叩きに躍起になっていたからで、その空気を読んだだけです。
コロナ対策では政治家としての軸を感じませんでした」(川松氏)

■小池百合子は「いかさま王」か
またエディ氏によれば、「ソシオパス的(反社会性)パーソナリティ障害」の人は支配欲が強く、嘘や言いくるめなどの欺瞞に長けていて強い攻撃性があり、良心の呵責が欠如していると指摘する。
彼らは「他人を支配し、恥をかかせることができる立場」に惹かれる傾向にあるそうだ。

待機児童、介護離職、満員電車、残業、都道電柱、多摩格差、ペット殺処分──小池氏は都知事に立候補したとき、7つのゼロを実現することをマニフェストに掲げていた。
「2階建て電車を走らせ満員電車を解消する」といった解決策に実現性などなかったことは明らかだ。
また、小池氏は「条例をつくったり、法改正の必要はありません。それを公約とし、実行する」とも話した。

この発言に石井氏は「彼女は法律にも規則にも、あまりにも無知であり、その自覚がなかった」と添える。
ちなみに、7つのゼロの大半は未達成だ。
たとえば、2016年度に約8500人に上っていた待機児童数は、直近では3000人を下回る大幅減となっているがゼロにはまだまだ遠い。
国会議員時代から取り組んできた無電柱化の推進も同様で、都道電柱のゼロを掲げたが、東京新聞によれば、電柱の地中化率は39%(16年度)から41%(18年度)に改善した程度だ。
また「残業ゼロ」は、都職員の勤務時間縮減を進めているが、月平均残業時間は23時間前後とほぼ変わらない。
東京都による、テレワークの推進が「介護離職ゼロ」に近づける可能性はあるが、都は都内に約7800人いるとされる介護離職者(総務省調査、17年)の推移がどうなったかを把握しておらず、「多摩格差ゼロ」はそもそも数値目標が存在しないという。

■夢のようなマニフェストに騙されてしまった
全くもって7つのゼロを確実に達成しようという意欲が見えてこない。
都民はまんまと小池氏の掲げる夢のようなマニフェストに騙されてしまったということなのだろう。

前述の築地市場の豊洲移転問題に対する小池氏の政策も、何度となく転換を繰り返した。
彼女は1度もその理由や、新たな政策を実現するための具体的な解決策は明らかにしなかった。
豊洲への移転に莫大な費用がかかることと汚染対策の不足を非難していたはずが「築地は守る、豊洲を生かす」──汚染問題の解決はしないまま、財源を明言せずにどちらにも市場機能を維持すると転換。
移転賛成派・反対派いずれの票も取り込んで都議選に勝利した後は、築地市場の跡地を国際会議場や展示場にすると発表した。

自らがかつて「市場機能を築地にも残す、いったん豊洲に移った仲卸の方々も5年後には戻れるようにお手伝いする」と発言した「事実すら認めようと」しなかった。
「築地の『食のテーマパーク』化構想も何もなかったことに……」(川松氏)

ナルシストもソシオパスも標的を非難することで人々の注意をそらそうとする。
エディ氏は「ある政治家がナルシストのように見える一方で、よく嘘をつき、衝動性や攻撃性も高いようであれば、おそらくその政治家は両方の障害の特性を持っている」と指摘する。

一方で、いかさま王は「対立を煽る感情戦」によって、攻撃の標的とした人や周囲の人々からも強い感情を引き出し、メディアを通じて大衆を煽ることにも長けているという。
「いかさま王が感情戦を行うときにはまず攻撃の片棒を担ぐ人を手なずけます。
そして彼らと非難の標的を攻撃し、コミュニティを分断し、ついには万人を支配するのです。
また、彼らは『勝って権力を握ることだけ』にしか興味がないため、問題解決のための具体的手段に触れることはありません」(エディ氏)

こうして見ていくと、エディ氏が語る「権力を握らせてはいけない危険人物」に残念ながら小池氏はあてはまってしまう。
しかし、それでも都民が選挙で選んだというお墨付きを彼女は得ている。
それではなぜ、都民は「いかさま王」を当選させてしまったのか。

■権力の座に就くことに成功する
「いかさま王は敵と見なした人物や集団を激しく攻撃します。
この感情戦によって、有権者は『熱烈な支持派』『憤る抵抗派』『おとなしい穏健派』『幻滅した棄権派』の4つの集団に分断されます。
熱烈な支持派とそれに反発する抵抗派は感情的に対立し、穏健派は両者の対立的な姿勢にうんざりし、棄権派にも失望しています。
棄権派は政治に背を向ける人々です。
いかさま王はこれら4つの集団を紛争状態や膠着状態に巧みに保ち続けることで権力の座に就くことに成功するのです」(エディ氏)

そのようなリーダーを選んでしまわないために何ができるのか。
「重要なことはまず対立屋を見分けることです。
パターン化され繰り返される手口を見極めるのです。
これからも世界には対立を煽るパーソナリティや対立を煽る政治家が常に出てきます。
対立屋の悪口は避け、情報に焦点を合わせるべきです。
対立屋に対抗する候補者およびその支持者は、分断されたどのグループにも『ポジティブな感情的配慮』をしなくてはなりません。
『支持派以外の3つの集団に仲間同士という感覚を生み出す必要』があるからです」(エディ氏)

エディ氏は、いかさま王たちが成人人口の40%程度以上の支持派を得ることはないと指摘する。
「他の3つの集団がまとまれば多数派になることができる」とエディ氏は述べ、対立を煽る感情戦に巻き込まれず、冷静でいることの大切さを強調する。
とはいえ当分の間、都民は小池都政と向き合っていかないといけない。
何か解決策はないのだろうか。
「小池氏の俯瞰で物事を見る感覚や発信力は抜群に高いです。
一方で、周りの人たちが彼女の能力を生かしきれていない。
ブレーンとなる人間や実行力がある協力者がいればいい知事になるはずです」(川松氏)

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ビル・エディ(Bill Eddy)
個人や組織が「対立屋」に対処することを支援する会社、HIGH CONFLICT INSTITUTEの共同創立者兼トレーニングディレクター。
アメリカ、サンディエゴにある国立紛争解決センター、シニアファミリーメディエーター。
最新刊は『危険人物をリーダーに選ばないためにできること』(プレジデント社)。

川松真一朗(かわまつ・しんいちろう)
1980年、東京都生まれ。
日本大学法学部法律学科卒業。テレビ朝日アナウンサーを経て、2013年、東京都議会議員に初当選し、現職2期目。
自民党東京都連青年部長。都議会自民党総務会副会長、都議会オリンピック対策特別委員、都議会公営企業委員。
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2020年07月08日

小池圧勝で解散風 国民は「腐敗堕落の安定」を望むのか

小池圧勝で解散風 国民は「腐敗堕落の安定」を望むのか
2020/07/07 日刊ゲンダイ

 5日に投開票された東京都知事選は、前回(2016年)の約291万票を上回る約366万票を得た現職の小池百合子知事(67)が圧勝した。
 過去最多の22人が立候補した都知事選で、小池が、元日弁連会長の宇都宮健児(73)や、れいわ新選組代表の山本太郎(45)、元熊本県副知事の小野泰輔(46)ら他の候補を寄せ付けなかった最大の理由は、新型コロナウイルス禍の中で行われた選挙戦という“特異な状況”だったからだ。

 新型コロナの感染が拡大していない通常の選挙であれば、小池が前回の公約に掲げた「7つのゼロ」で、「ペット殺処分ゼロ」しか実現していないことや、財政負担が膨らむ東京五輪・パラリンピックをめぐる対応、カジノ誘致や豊洲市場の問題など、選挙の争点は多岐に及んでいたはずで、すべては「新型コロナ」の一点にかき消されてしまったと言っていい。
 選挙戦で、小池は新型コロナ対策の公務を優先させるとして街頭演説には出ず、もっぱらネットの動画配信による運動を展開。
候補者同士が互いの政策について質問したり、討論したりする機会も「3密」を理由に限定された。
これでは原則、全候補の主張、政策を公平に扱うメディアは知事選を取り上げようがなかっただろう。

 都知事選の終盤は、都内で新型コロナの新規感染者が連日100人を突破。
すると、小池はここぞとばかりに現職の強みを最大限に生かし、緊急会見を開いてメディアへの露出を増やしていたから、タダでさえ現職有利といわれる選挙で、知名度に乏しい他の新人候補は太刀打ちできなかったに違いない。

■野党は本気で与党と対峙する気がない
 要するに今回の小池圧勝は、新型コロナという「終わりの見えない災害」の最中に行われた異例の選挙であり、「危機には安定」という有権者のいわば思考停止状態を巧みに利用した結果ともいえるのだが、それにしても改めて無能ぶりを見せつけたのが野党勢力だ。
 立憲の長妻選対委員長は5日夜、「野党がまとまれなかった。総選挙で一騎打ちの構造に持っていくために努力しなければいけない」と反省の弁を口にしていたが、立憲、共産、社民の3党が支援した宇都宮(約84万票)と、3番手の山本(約65万票)、維新が支援した小野(約61万票)の得票を合わせても、自公が支援した小池の6割にも満たないのだ。
仮に東京では完全アウェーの維新と自公が組んでいたら、与野党の差は歴然だった。

 野党に支持が集まらなかった理由は決まっている。
もはや、お家芸ともいえるドタバタが有権者に透けて見えていたからだ。
 リーダーシップを発揮する立憲は前川喜平元文科次官(65)に出馬を打診して固辞され、さらに山本の擁立を検討したものの、次期衆院選で「消費税率5%」を共通政策にするよう迫られて断念。
結局、共産、社民と歩調を合わせることになったわけだが、実際は新型コロナ対応で日増しに存在感を増す小池におじけづき、独自候補を擁立できなかったからに過ぎない。

 一方、早々に自主投票を決めた国民も、宇都宮、山本、小野の3人に支援が分裂。野党の足並みがこれだけバラバラでは、選挙巧者の小池に勝てるはずがない。
元参院議員の平野貞夫氏がこう言う。
「都知事選は野党一本化がうまくいっていれば結果は分からなかったし、少なくとも野党結集のステップの選挙にするぐらいの姿勢で臨むのが当然だったのに、立憲などにそんな気概は感じられませんでした。
要するに野党は本気で与党と対峙し、政権交代を目指す気がない。
それをだらしないと言っても始まらないが、いい加減、野党立て直しを真剣に考えないと健全な民主主義が存在しなくなってしまいます」

コロナ拡大の最中に国会を閉じながら解散は言語道断
「現場の司令官である知事の足を引っ張っていいのか」
 選挙終盤、国民の玉木代表は厭戦論を口にしていたと報じられ、党内では「不戦敗」を容認する声すら出始めていたという。
こうなると、小池が強過ぎたというよりも、戦う前から戦意喪失していた野党が弱過ぎたのであり、全く絶望的な気分になってくる。
 野党がここまでの体たらくだと、メディア各社の世論調査で「次の首相候補」で有力な野党議員の名前が出てこないのも当然だろう。
共同通信の調査でも、安倍首相(14・2%)、石破元自民党幹事長(23・6%)に対し、立憲の枝野代表はわずか3・5%だ。
 一体、野党はいつまで「あれはダメ、これはダメ」「あの人は嫌い」などと小学生みたいな幼稚なことを言っているのか。大局的な視点に立った国家観が全く感じられない。

そもそも誰のため、何のために政治があるのかといえば、国民のためであり、今の野党であれば腐敗堕落の自公政権を倒し、まっとうな政治を取り戻すために存在しているのではないのか。
 おごり高ぶる与党に鉄槌を下すための選挙で、逆に野党のダメぶりを見せつけてどうするのか。
案の定、野党のドタバタを見て、安倍自民は「解散するなら今だ」と早期解散を容認する考えが広がりつつあるというから何をかいわんやだ。

■解散話を批判せずに報じているメディア
 麻生財務相は6月末、公明の斉藤鉄夫幹事長に「秋の解散が望ましい」との見解を示した、と報じられた。
斉藤は選挙準備が進んでいないとして年内解散に慎重な考えを示していたが、公明は2日に衆院選選挙区の2次公認候補を発表。
支持母体である創価学会は近く、各地域の幹部を集めた会議を開く予定だ。

 都知事選の結果を受けて安倍自民や公明が俄然、解散・総選挙に向けて勢いづいているのは、野党の足並みが乱れていることに加え、維新が支援した小野が健闘したことも背景にあるという。
仮に次期衆院選で自公が過半数割れに陥る可能性が出てきても、「維新を取り込めば安定多数を得られる」(自民党中堅議員)との見方があるからで、野党共闘がこじれて分裂するほど安倍自民にとっては好都合なわけだ。
そして何といっても、新型コロナ禍の中で行われる選挙は、有権者が安定志向になりやすいとみているのだ。

 だが、民主主義の根幹である公文書を平気で改ざん、隠蔽、破棄し、犯罪行為をもみ消すためには検察組織の人事にまで手を突っ込む犯罪者の巣窟のような政党、政権が「今はコロナだから勝つ」という理由で解散に踏み切るのであれば、民主主義はいよいよオシマイ。

今のぬるま湯野党と批判精神を忘れたメディアの体たらくで、狡猾政権はやりたい放題だ。
政治アナリストの伊藤惇夫氏がこう言う。
「新型コロナの『第2波』が来るかもしれないのに早々に国会を閉じ、選挙で勝てるからといって、解散・総選挙の声が出るのは不謹慎極まりないし、言語道断でしょう。
新型コロナは今も国内外で感染拡大しているのです。
解散・総選挙というバカげた発言を、何ら批判もせずに報じているメディアもまた、どうかしているとしか思えません」

 国民は「腐敗堕落の安定」を求めているのではない。
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2020年07月09日

殺人、賄賂、賭け麻雀もお咎めなし…わが国の"上級国民さま"という人間のクズ

殺人、賄賂、賭け麻雀もお咎めなし…わが国の"上級国民さま"という人間のクズ
2020年07月08日 PRESIDENT Online
麹町 文子、政経ジャーナリスト

■事件を起こしても「ごめん」で済んでしまった大臣
誰もが知る「天下人」と言えば、豊臣秀吉や徳川家康の名が挙がるが、栄華を極めた武将たちの裏には「身分制度」があったことも知られている。
貧困層の対極にある特権階級の上級武士は豪華な邸宅に住み、美酒に酔い、大手を振って闊歩(かっぽ)していたことだろう。 さすがに今日においては、こうした「ヒエラルキー」は跡形もなく崩れたものだと思っていたが、どうも違ったらしい。

今、日本には「見えない階層」が存在しているのだ。
「上級国民」と呼ばれる彼らは、単に社会的地位や所得といった「スペック」が高いだけではない。
たとえ法を犯した場合でも「下級国民」とは異なるケースが待っているというから理解に苦しむのである。
令和時代の新たな「身分制度」に一般国民の怒りは、静かに、しかし確実にたまりつつある。

「大臣を辞職し、会見で事実を認めて謝罪したことを考慮した」。
東京地検特捜部は6月25日、選挙区内で秘書が香典などを渡したとして公職選挙法違反の疑いで刑事告発されていた自民党の菅原一秀前経済産業相=衆議院東京9区=について、起訴猶予処分とした。
多くの国民は「えっ?」と驚いたことだろう。
誰もが子供の時に「謝って済んだら警察はいらない」と習い、それはいかなる人でも平等に評価されると信じてきたからだ。

東京地検は「公選法を無視または軽視する姿勢が顕著とまでは言い難い」「悪質性が低い」なども不起訴理由に挙げているが、昨年9月の内閣改造に伴い経産相に就いた菅原氏を1カ月余りの「超スピード辞任」に追い込んだ『週刊文春』は6月25日発売の誌上で、菅原氏の細かい指示があったとする元公設秘書の証言も掲載している。
それと今回の処分を比較すると「なんだかなぁ」という暗い気持ちになる人々は少なくないのではないか。

■お線香配って辞職した小野寺議員が不憫でならない
昨年10月の「文春砲」炸裂後、雲隠れ状態にあった菅原氏は6月16日に突如記者会見を開いて「一部、公選法に触れる事案があった」と認め、謝罪していた。
この会見後まもなく不起訴処分が発表され、その理由に「謝罪」があることを重ねてみると「なに、それ……」と感じてしまう。
ツイッター上にはハッシュタグ「#菅原前経産相の不起訴に抗議します」「#菅原前大臣ごめんで済んだら検察いらない」が現れ、「事前にアドバイスを受けていたのでは?」「本人が違法性を認識しているのになぜ不起訴?」などのコメントが相次いだ。

ちなみに、「影の総理」といわれる菅義偉官房長官の側近でもある菅原氏は離党や議員辞職をする考えはないそうだが、同じ自民党の小野寺五典元防衛相は初当選からまもない1997年、支援者の弔問に行った際に線香を配ったことが公選法の「寄付行為」にあたるとして書類送検され、議員辞職したことも付記しておきたい。
菅原氏の不起訴処分を受けて、寺田学衆議院議員は6月25日のツイッターで「お線香配って辞職した小野寺議員が不憫でならない」と皮肉っている。

■現代における「上級国民」は何を意味する?
「ちょ、待って!」と驚いたことは以前にもあった。
2019年4月、東京・豊島区で旧通商産業省工業技術院の元院長が運転する乗用車が次々と歩行者らをはね、母子2人の命を奪い、8人が重軽傷を負った悲惨な事故が起きた。
約7カ月後、当時87歳の元院長は自動車運転処罰法違反容疑で書類送検されたが、重大事故を起こしても逮捕されなかったことにインターネット上では「なぜ?」「高級官僚だった『上級国民』だから?」との見方も相次いだ。
この件については、逃亡や証拠隠滅の恐れがないことなどが理由とされたようだが、腑に落ちなかったことだろう。

で、上級国民って何?
 この言葉は2015年にもネット上にも現れている。
来年夏に開催が延期となった東京五輪のエンブレムをめぐり、デザインの著作権侵害疑惑が浮上。
ベルギーの劇場ロゴと酷似していると指摘された際、大会組織委員会の武藤敏郎事務総長(元財務事務次官)が「組織委としては『模倣ではない』との専門家の説明がある以上、そう理解していたが、『一般国民』からは分かりにくいということは一致した見解だった」と説明した時だ。

上から目線で「自分たち=上級国民」「それ以外=下級・一般国民」と分けるような表現を不快に思った人は多かっただろう。
ネット上で炎上した結果、「上級国民」という言葉は2015年と2019年の新語・流行語大賞の候補にノミネートされている。明確な定義は定かではないが、「上級国民」とはかつてのように「上流階級にある者」というよりは「権力者とその周辺」「高い地位にある者・あった者」がイメージに近く、多くは国民の素朴な疑問とともに政治家や高級官僚らに向けられているようだ。

■黒川氏は賭けマージャンで逮捕されなかった
最近では、安倍晋三政権に近いとされた東京高検の黒川弘務前検事長が朝日新聞社員や産経新聞記者と「賭けマージャン」していたことが発覚。
その際にも「上級国民」批判が起きた。
黒川氏は今年5月に辞任したが、刑法の「賭博」に抵触する行為をしたにもかかわらず、その処分が国家公務員法に基づく「懲戒」より軽い「訓告」だったことに批判が集まったのだ。

安倍政権が今年1月、特例的に黒川氏の定年を延長して「次期検事総長」への階段まで用意していた裏には「捜査機関から守ってくれた政権の守護神」(国民民主党の小沢一郎衆院議員)への配慮があったとの解説も目立つ。
だが、過去には「賭けマージャン」をした自衛隊員が停職処分となった例もあり、黒川氏らが行っていた「点ピン=1000点100円」と呼ばれるレートで、同じく「賭けマージャン」をしていた岐阜市のマージャン店経営者や客らが書類送検されており、「この違いはどこ?」との混乱を招いている。

元大阪府知事の橋下徹氏は5月27日のTBS系「ゴゴスマ〜GOGO!Smile!〜」で、「身内を救うために法律の解釈を変えるんじゃなくて、まず国民への説明が先でしょ」と痛烈に批判したうえで、「こういうことが容認されるならば、みんなで検察庁の前で賭博しましょうよ。大博打大会をやったらいいんですよ」と怒りを爆発させている。
ちなみに、黒川氏の退職金は約5900万円に上ったというが、共同通信が5月29〜31日実施した世論調査では、黒川氏の「処分が甘い」との回答は8割近くに達した。

■記者も検察とのなれ合い以前に罪を犯している
「上級国民」という観点から黒川氏のケースを見ると、その甘さもあわせて「賭けマージャン」の相手側である新聞社社員にも当てはまるのではないか。
朝日新聞は5月29日、経営企画室に勤務していた男性社員を停職1カ月の懲戒処分とし、産経新聞も6月16日に東京本社社会部次長と記者の2人を出勤停止(停職)4週間とする懲戒処分を発表した。
産経新聞の調査によれば、この次長らは3年前ごろから4人のメンバーが固定されて「月2、3回の頻度で集まっていた」というが、「これって、常習的とはいえないの?」と思う方々はいるだろう。
さらに「情報を入手したい記者にとって取材対象者とのマージャンは、取材の機会を創出できる非常に重要な場だった」との趣旨を述べているが、検察とのなれ合いの前に「賭けマージャン」という法に抵触しているのではないか。
「取材」だからといって許容されるものではないだろう。

黒川氏は退職金を約800万円減額され、辞職。
一方は停職処分だけという違いは何なのか。
ちょっぴり黒川氏には同情してしまう。
メディアには、財務省など省庁幹部や警察・検察、国会議員らとのマージャンが頻繁に行われてきた「なれ合い」が当然との雰囲気が今もあるが、日頃から厳しく「森羅万象を斬る」ことを仕事にしているのであれば、自分たちを「上級国民」に置くことなく、より厳格な対応が求められるだろう。

■国家公務員今年の夏のボーナスは満額約320万円
漫画家・小林よしのり氏の人気作『おぼっちゃまくん』には、前はスーツで後ろは全裸というキャラクター「貧ぼっちゃま」が登場し、「落ちぶれても元上流家庭」と見栄を張る名ぜりふが笑いを誘った。

最近の「上級国民」による謝罪や説明を聞いていると、「前(表)で謝っている姿を見せ、後ろ(裏)では笑っている」のではないかとの疑念を持ってしてしまう。
幼い頃から勉強ができて、社会的地位を獲得し、世の中を「操作」している錯覚に陥るのかもしれないが、そうした勘違いした人々とは「ともだちんこ〜!」ができないことだけは断言しておきたい。

コロナ禍で国民生活が大ダメージを受け、日銀短観が過去2番目の大きな落ち込みとなる中、6月30日に支給された国家公務員の夏のボーナスは8年連続プラスとなり、国会議員には満額約320万円が支給されたという。

上級国民の皆様、今日も一般国民をなめてますか?

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麹町 文子(こうじまち・あやこ)
政経ジャーナリスト 1987年岩手県生まれ。
早稲田大学卒業後、週刊誌記者を経てフリーランスとして独立。
プレジデントオンライン(プレジデント社)、現代ビジネス(講談社)などに寄稿。婚活中。
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2020年07月10日

「数十年に一度」の大雨特別警報、実は毎年出ていた

「数十年に一度」の大雨特別警報、実は毎年出ていた
専門家「一般の人々の感覚では違和感」
2020年07月09日 J-CASTニュース

大雨特別警報が九州で2020年7月4日と6日に相次いで出された。
「数十年に一度」の重大な災害が予想されるという大雨特別警報だが、実際には運用が始まった2013年以降、毎年出されている。

「異常気象」に見舞われ続ける近年の日本。
今後も私たちは、「数十年に一度」の豪雨から逃れられないのだろうか。
気象庁は4日朝に熊本県と鹿児島県、6日午後に福岡県、佐賀県と長崎県、8日朝には岐阜県と長野県にそれぞれ大雨特別警報を出した。
いずれも次のような強い表現で住民らに警戒を呼びかけた。

「これまでに経験したことがないような大雨となっています」
「自分の命、大切な人の命を守るため、(中略)緊急に身の安全を確保してください」

「毎年になると恐怖でしかない」「気象庁もジレンマだろう」
気象庁によると、大雨特別警報は次のような気象条件の時に出すという。
避難勧告や避難指示に相当する気象状況の次元をはるかに超えるような現象をターゲットに発表します。
発表時には何らかの災害がすでに発生している可能性が極めて高い状況です。
数十年に一度の大雨となり、さらに雨が降り続くと予想される場合に、大雨特別警報(土砂災害)を発表することとしています

しかし、近年頻繁に出ている大雨特別警報について、ツイッター上では4日以降、次のような投稿が相次いだ。
「大雨特別警報=『数十年に一度しかない、これまでに経験したことのないような大雨』という定義なのに、毎年のように聞く不思議」 「気象庁もジレンマだろうね。

数十年に一度レベルの災害級の大雨降るからと大雨特別警報出しても毎年出されると『数十年に一度じゃないのかよ』と言われ、度重ねて異常時態を伝えても何処まで伝わるのか」 「数十年に一度が毎年になるとか恐怖でしかないやろ なんか日本終わりそう」

  実は、気象庁のホームページの「よくある質問」でも、次のような「ツッコミ」例と応答例が掲載されている。

筆問「大雨特別警報が発表される主な事例は、数十年に一度どころか約1年に一度のペースで発生しているのではないですか?」
応答「数十年に一度とは地域ごとにみた場合のものであり、全国的にみた場合には、年に1〜2回程度あるかもしくはないかの頻度になります」

福岡県では「4年連続」で数十年に一度が...
実際に大雨特別警報はどれくらいの頻度で出ているのか。
気象庁からデータを提供してもらい、2013年の特別警報が制定されて以降のすべてをまとめた。
次の一覧表に示すように、実は毎年出ている。

1)2013年9月16日 福井県、滋賀県、京都府、台風18号による
2)2014年7月7日 沖縄県、台風8号による
3)2014年7月9日 沖縄県、台風8号による
4)2014年8月9日 三重県、台風11号による
5)2014年9月11日 北海道、大雨による
6)2015年9月10、11日 栃木県、茨城県、宮城県、関東・東北豪雨による
7)2016年10月3日 沖縄県、台風18号による
8)2017年7月5日 島根県、梅雨前線の大雨による
9)2017年7月5日 福岡県、大分県、九州北部豪雨による
10)2018年7月6、7、8日 長崎県から岐阜県までの11府県、豪雨による
11)2019年7月20日 長崎県、台風5号による
12)2019年8月28日 佐賀県、福岡県、長崎県、前線の大雨による
13)2019年10月12、13日 静岡県から岩手県までの13都県、東日本台風による
14)2020年7月4日 熊本県、鹿児島県、梅雨前線の大雨による
15)2020年7月6日 福岡県、佐賀県、長崎県、梅雨前線の大雨による
16)2020年7月8日 岐阜県、長野県、梅雨前線の大雨による
このように、地域ごとでも毎年のように大雨特別警報が出ているところもある。

例えば福岡県は、2017年以降4年連続で出ている。

今後も「異常気象」続く?
専門家に聞いた 背景に何があるのか。
気象庁が公表した「気候変動監視レポート2018」では、豪雨災害に関し、それまで明らかでなかった地球温暖化との因果関係に初めて言及している。

「極端な気象・気候現象の長期的な増加傾向には、地球温暖化の影響があると考えられ、(中略)昨年(2018年)夏の顕著な高温及び豪雨の背景に地球温暖化の影響があったという見解を公表しました」

気象学が専門の名古屋大学宇宙地球環境研究所の坪木和久教授も、同様の見解を示す。
地球温暖化による平均気温の長期的な上昇とともに大気中に含まれる水蒸気が増加する傾向にあり、それが一つの要因となって近年の豪雨や、台風に伴う強雨となっている可能性があります

この夏や秋、そして来年以降も、私たちは「数十年に一度」の豪雨を覚悟しなければならないのだろうか。

坪木教授はこう話す。
今後も日本では異常気象が続くでしょう。
私たちは最新の知見に基づいて今後の対策を考えていくべきだし、人々は自分の命を自分で守り、災害が予測される時は適切に避難することが必要です

その上で、大雨特別警報の「数十年に一度」の表現についてはこう指摘した。
「科学的、統計的には間違っていませんが、一般の人々の目線では違和感を持たれるでしょう。
もう少し一般の人の感覚に配慮した適切な表現にしていく努力が必要です」
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2020年07月11日

豪雨リスク激増を日本人に気づかせない、「3つのタブー」の存在

小だぬき→大雨の被害を目の当たりにして、今一つモヤモヤしている点が、山や地面の保水・治水能力が 過去と比べて 大幅に低下しているのではないかという点です。山林伐採・植林などの林野行政が災害を誘発していないのか、土という治水・保水能力が アスファルト、コンクリート化のためにやせ細っていないのか、宅地化認可基準に問題はないのか、昭和28年生まれで多くの台風などで 床上浸水も經驗した小だぬきには この国の国土計画そのものに問題点が潜んでいないか気になるのです。今、土木関係・林野関係の論考を探しています。素人の小だぬきでも解るものがあれば教えてください。
豪雨リスク激増を日本人に気づかせない、「3つのタブー」の存在
2020.7.10 ダイヤモンドオンライン
鈴木貴博:百年コンサルティング代表

日本で前例のない豪雨災害が多発 なぜとっさの時に動けないのか
 相次ぐ自然災害に、日本各地で特別警報が続出しています。
7月7日に九州を中心に豪雨が発生し、熊本県南部に甚大な被害をもたらしました。
そしてその翌日には岐阜、長野県に大雨特別警報が発令され、岐阜県では飛騨川が氾濫。
下呂市、高山市などで浸水し、およそ4000人が孤立状態になっています。
 多くの被害が出ている災害のさ中に迷うところはありますが、このタイミングだからこそ世間に警鐘を鳴らすことができるという意味で、本稿を書いています。

 前例のない豪雨災害が日本では急増しています。
ところが被災者となった方々の話を聞くと、「雨足が激しくなってきたとは思ったが、そのとき、まさかこれだけの被害になるとは考えなかった」という話が実に多いのです。
本当は直ちに命を守る行動をとるべきときに、動けない。
結果として、「これはマズイ」と気づいたときにはすでに逃げる場所がなくなり、災害に巻き込まれてしまうという人が、実に多いのです。

 背景として、「2020年代は豪雨災害が激増する時代になる」という科学的に根拠のある予測が、きちんと国民に伝わっていない状況があります。
 たとえば、次のような質問を投げかけてみると、よくわかるかもしれません。

「気候災害の中でより怖いのは、巨大台風と集中豪雨のどちらですか?」
 この問いに、私のような昭和世代は「台風」と答えるものですが、現実には21世紀以降、圧倒的に人命が奪われている災害は集中豪雨のほうです。
 気象庁は災害の教訓を後世に残す目的で、大きな気象災害については「伊勢湾台風」や「洞爺丸台風」のように命名することを定めています。
この制度ができた当初、1950年代から60年代にかけては、甚大な気象災害といえば台風が圧倒的に多かったものです。
その後、日本家屋の強靭度が上がったことで、台風が気象災害として命名されるケースは減ります。
そして80年代から90年代の20年間は、台風と豪雨を合わせても、わずか3つしか気象災害の命名はなされませんでした。
かつては、「気象災害はそれほど怖くはない」と日本人が錯覚する時代が存在していたのです。

 ところが21世紀に入って、甚大な気象災害が激増します。
過去20年間で(今週の2件の集中豪雨災害を除いて)命名された気象災害は14件と、再び日本列島で気象災害が猛威をふるう時代がやってきたのです。  気象庁が命名するほどの甚大災害のうち、21世紀に入ってからの14件の内訳は、豪雨災害が11件、台風が2件(これは、どちらも昨年の台風です)、そして豪雪災害が1件と、集中豪雨の数のほうがずっと多いのが現実です。
そして、死者・行方不明者を合計すると、豪雨災害が542人、台風が92人、豪雪が152人となり、気象災害の中で集中豪雨の危険度が他を圧倒していることがわかります。

気象災害で集中豪雨の被害は圧倒的 リスクを覆い隠す「3つのタブー」
 そして、気象災害が起こるたびに感じることは、こうした事実がうまく国民の間で認知されていないことです。
それはなぜかというと、そのことを広く国民に警告することに対して、3つのタブー、言い換えると3つの経済的な利害関係者が存在するからです。

 1つめのタブーは、地球温暖化を認めたくない巨大利権の存在です。
これは一般には、エネルギー産業と自動車産業の複合体と言われますが、パリ協定で議論された温室効果ガス削減目標に対して、何とかしてこれを先延ばしにさせよう、覆そうとしている勢力が、陰謀論ではなく現実に存在します。
 読者の皆さんの中には、「地球温暖化は嘘だ」という話を耳にしたことがある方も、多いのではないでしょうか。
「温室効果ガスによる地球温暖化などは実は起きておらず、むしろ地球は今氷河期に向かっている」といった科学者の論文が、よくニュースになっています。

「地球温暖化なんて起きていない」 本当にいる不都合な真実を隠す人々
 これは、ノーベル平和賞を受賞したアル・ゴア・元米国副大統領の『不都合な真実』がベストセラーになった頃からの現象で、ロビイストたちが「地球温暖化は嘘である」という主張で、ワシントンDCの政治家たちにアプローチしているのです。
アメリカではロビイストは一大産業で、その動きの背景にはエネルギー産業と自動車産業の利害関係者が強く関与していると言われています。
 現実には、それらのお抱え科学者たちの主張とは逆に、地球の平均気温は過去20年間、上昇傾向にあります。
温室効果ガスの濃度も、今世紀初めは370ppmだったものが、直近の公表数字では408ppmまで上昇しています。
そもそもこの20年間で、夏が以前よりも暑くなったことは、すべての読者の方が気づいているのではないでしょうか。

 温室効果ガスは確実に地球を温暖化させている一方で、テレビなどマスメディアの有力スポンサーの中には、それを積極的に広めたくない人たちが存在する。
だから民放ばかり見ている人は、温暖化により豪雨災害が激増しているという情報に気づきにくいのです。
 ちなみにこの集中豪雨災害は、これからの10年間でさらに増加します。
私の新刊『日本経済予言の書』の3番目の予言は気象災害の増加についての予言をまとめたものですが、その中で集中豪雨災害の増加については、予言ではなく事実であり、現在進行形で急増しています。

 具体的に数字でそれを示すと、先ほどの数字のブレークダウンでは、2000年代の10年間に起きた甚大な集中豪雨災害は5件で、死者行方不明者は91人。
それに対して2010年代の10年間では6件で、死者行方不明者は451人。つまり災害規模は、直近の10年間の方が確実に甚大になっているのです。
 その豪雨災害の増加、甚大化をもたらしている原因が、温暖化に伴う海面の温度上昇です。
温暖化のペースはパリ協定での取り組みにもかかわらず、今でも増加の一途を辿っています。

科学的に考えれば、2020年代の豪雨災害被害は、2010年代よりその数も規模も上回ることが予想されるのです。

気象災害には歴然とした 「地域差」があるという現実
 次に、これもあまり知られていない2番目のタブーがあります。実は、温暖化による気象災害には地域差があるのです。
はっきり言えば、日本の西半分が危ないことが温暖化の研究者によって予測されており、現実に死者の多い豪雨災害は中部地方以西に圧倒的に多いのです。
 本当は、日本の西半分よりももっと豪雨災害が増えるのがお隣の中国の南半分で、そのため三峡ダムが危ないのではないかという別の予言がありますが、この話は本稿では割愛します。
 とにかく、温暖化で海面温度が上昇することにより、前線が従来よりも南に抑え込まれて、結果として豪雨災害は西で起きやすくなります。

ここまでが科学的事実なのですが、そんな話が広まると自治体から不動産業界まで、西日本の関係者はいい気持ちがしないものです。
 地元のメディアが「この場所は危険が高いことを認識したほうがいいですよ」とは言えない事情があるのは、当然でしょう。
そうした事情もあり、気象災害の地域差については語ることがタブー視されているのです。

 そして、3つめのタブーがダムです。
豪雨災害がこれからの10年間で激増することははっきり予測されているのだから、本来であれば集中豪雨の気象予想が出た段階で、ダムの水は早めに下流に放流しておくべきです。
 しかし、ダムは渇水対策優先で建設された経緯があるため、豪雨が予想されるからといって、簡単に水がめを空にすることはできません。
その上、豪雨は特定の場所に集中するので、7月8日のように岐阜・長野が集中豪雨の対象になると予測されていても、どのダムから事前に水を放流すべきかを判断することは難しいのです。
 だからといって、すべてのダムから事前に放流することはもっと現実的ではありません。
そういう状況だと、たとえ先回りした放流で、飛騨川水系のダムが豪雨を上流で食い止められたとしても、他の水系ではダムの水がめが枯渇してしまう事態が起きるかもしれないわけです。

判断が難しいダムの放流タイミング 気象予測の精度向上が頼みの綱  
このように事前の対応が難しい中、ダム建設時には想定していなかったレベルの集中豪雨が発生することによってダム決壊のリスクが発生し、止むを得ず豪雨のさ中に蓄えた水を下流に向けて放流するケースが、これまでの豪雨災害の中で何度か見られています。
 地球温暖化の本格化以降、数時間の間に集中して降る雨の量が想定外の規模になってきたことは事実ですが、ダム建設で生業を立てている人たちにとって、「そこまでは想定していなかったので」とは、口が裂けても言えないわけです。
 ただ、この3つめの問題は、これからの10年間における気象予測シミュレーションの精度向上によって、克服されるかもしれません。
要するに、「どのダムが危なくなるか」がもっと高い精度で判明すれば、関係者は自信を持って水がめから放流することができるようになるからです。
特に世界最高スピードのスーパーコンピュータ「富岳」が誕生したことで、その解決に希望がもてるかもしれないのです。  

さて、話をまとめましょう。
集中豪雨災害は「まさか自分の家が!」と思うようなところで、しかもピンポイントで発生します。
今は遠く離れた隣の県、隣の町の災害だったとしても、次の豪雨は自分の町にやってくるかもしれない。
豪雨自体は広域的でありながら、甚大災害が起きる場所は1カ所に集中するタイプの災害です。
よって、自分がその犠牲になることは想像しにくいわけです。

 心に留めておくべきは、そのような豪雨災害が2020年代の日本では激増すること。
そして過去20年間に被害が起きた被災地は、実は自治体が作成したハザードマップである程度その危険が指摘されてきたということです。
 今回の集中豪雨の被災者に、心からお見舞いを申し上げます。
読者の皆さんには、とにかく日本における集中豪雨災害のリスクが、過去にないほど高いレベルになっている事実を、再確認していただきたいと思います。
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2020年07月12日

感染恐れ来院患者5割減も…コロナ禍で病院経営は崩壊寸前

感染恐れ来院患者5割減も…コロナ禍で病院経営は崩壊寸前
2020/07/09 日刊ゲンダイ

 新型コロナウイルスの感染者が再び増加するなか、コロナ関連の経営破綻が全国で309件に達している(7月3日現在東京商工リサーチ調べ)。
業種別では緊急事態宣言の発令で来店客が減った飲食業を最多に、インバウンド需要喪失の影響による旅行・宿泊業、百貨店の休業の影響を受けたアパレル関係など個人消費の業種が目立つ。

 しかし、いま懸念されているのが医療施設の経営破綻だ。
コロナの感染リスクから来院患者が激減し、赤字経営の施設が急増しているのだ。
東京商工リサーチ情報部の松岡政敏課長が言う。
「感染者を受け入れている病院は多忙を極める一方、ほとんどの病院は赤字経営です。
感染を恐れて来院患者が激減する病院が多く、スタッフの雇用見直しなど厳しい対応を迫られています。
今後、医療施設の経営破綻は避けられないでしょう」

 東京都で勤務、開業する医師が加入している「東京保険医協会」が行った会員医療機関へのアンケート「新型コロナウイルス感染症による医業経営への影響」では、外来患者数、保険診療収入ともに9割超の医療機関が減少し、前年同月に比べ5割以上減少している医療機関は3割に上った。
調査は4月に実施されているため、緊急事態宣言の発令、自粛要請による休業で施設の経営はさらに厳しい状況に追い込まれていると考えられる。

 首都圏で内科と耳鼻咽喉科を専門にするクリニック院長がこう証言する。
「うちも4月から保険診療収入は前年比4割減です。
都心の場合、看護師や事務員らの人件費や機材といった固定費が高く、収入の半分以上を占めて利益はほとんど出ていません」

■患者数の5割減も
 首都圏の駅直結ビルにあるナビタスクリニックの医師で、医療ガバナンス研究所の上昌広理事長が語る。
「病院の経営は2月までは黒字でしたが、3、4、5月と赤字が続いています。
駅中の施設のため自粛要請で駅ビルが閉鎖し患者は5割減、3月以降は毎月3000万円の赤字です。
都心で経営している施設ほど自粛を受けやすく、固定費が高いためぎりぎりの経営状態です」

 上氏はコロナの影響で平年より死亡者が増えた東京都の超過死亡者数の増加にも注目する。
「コロナで来院をやめ、ステイホームした高齢者が体調を崩し持病を悪化させて亡くなっている。
3、4月は過去最高の超過死亡者数です。
東日本大震災の後に全く同じことが福島県南相馬市でも起きている。
医療従事者の手配が遅れ医療崩壊した結果です」
 首都圏の医療崩壊に赤信号がともっている。

   (ジャーナリスト・木野活明)
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2020年07月13日

ノーベル賞学者・本庶佑氏が警鐘「日本でのワクチン開発、治験など現実離れした話」

ノーベル賞学者・本庶佑氏が警鐘
「日本でのワクチン開発、治験など現実離れした話」
2020年07月12日 文春オンライン

「安倍晋三首相は記者会見で、『東京五輪を完全な形で開催するなら(新型コロナウイルスの)ワクチンの開発がとても重要だ』と述べていましたが、それは非常にハードルが高いと言わざるを得ない」
「文藝春秋」8月号のインタビューでそう語るのは、本庶佑・京都大学特別教授(78)だ。

本庶氏と言えば、免疫を抑制するたんぱく質「PD-1」を発見し、がん治療薬「オプジーボ」の開発に大きく貢献した功績で、ノーベル生理学・医学賞(2018年)を受賞した。
 最近では、そのオプジーボを製造・販売する小野薬品工業に対し、特許の対価を巡って、約226億円の支払いを求める訴訟を起こしたことも大きく報じられている。
 世界を代表する免疫学者でもある本庶氏が、免疫の仕組みを利用するワクチンの開発に否定的なのはなぜなのだろうか――。

■世界で「ワクチン開発競争」が激化しているが……
 欧米や中国などでは今、「ワクチン開発競争」が激化している。
英オックスフォード大学が開発するワクチンは、早くも臨床試験の最終ステージに突入し、米製薬大手のファイザーも独ベンチャーと共同開発するワクチンの初期臨床試験が好結果だったと公表したばかりだ。
 日本も例外ではない。
大阪大学発の創薬ベンチャー・アンジェスがすでに治験を開始し、年内の実用化を目指しているほか、塩野義製薬も国立感染症研究所と共同で年内にも治験を開始する方向だという。

 ワクチン開発への期待は高まる一方だが、本庶氏はこう警鐘を鳴らす。
「そもそも、新型コロナウイルスはインフルエンザウイルスやHIVウイルスと同じように、『DNA』ではなく、『RNA』を遺伝子に持つウイルスです。
このRNAウイルスの場合、効果的なワクチンを作るのは難しいことが知られています」

 端的に言えば、二重らせんという安定的な構造を持つDNAに対し、一重らせんのRNAはその構造が不安定で、遺伝子が変異しやすい。
「インフルエンザのワクチンを打っても効かないことが多いのは、流行している間に、ウイルスの遺伝子が変異していくからです。
遺伝子が変異してしまうと、ワクチンが効きにくくなったり、まったく効かなくなったりするのです」

■もし完成しても一部のウイルスにしか効かない
 新型コロナもインフルエンザ同様、遺伝子が変異するスピードが非常に速いという。
「中国で発生して以来、世界各地に広がっていく過程で変異を繰り返し、5月末ですでに数百の変異があるという報告があります。
ワクチンが完成しても、開発当初とは異なる遺伝子のウイルスが蔓延しているかもしれない。
そうなると、一部のウイルスにしか効かないことも十分にあり得ます」

 さらに、本庶氏が「首を傾げざるを得ない」と指摘するのが、日本での臨床試験だ。
例えば、前出のアンジェスは、大阪市立大学医学部附属病院で臨床試験を開始している。
「日本で開発し、治験までやると言っているグループがありますが、あまりに現実離れした話でしょう」

 なぜ日本での開発・治験が「現実離れ」しているのか。

その答えは、「文藝春秋」8月号ならびに「文藝春秋digital」に掲載した本庶氏のインタビュー「 東京五輪までに『ワクチン』はできない 」をお読みいただきたい。
 そのほか、ワクチンとは切り離せない副作用の問題や、第二波に備えた検査・検疫体制の具体的な提案、新型コロナ専門家会議の問題点、小野薬品を訴えるまでの詳細な経緯、生命科学を軽視する政治や行政への憤りなど9頁にわたって語っている。 (「文藝春秋」編集部/文藝春秋 2020年8月号)
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2020年07月14日

専門家が指摘「スーパー南海地震」 茨城から沖縄、フィリピンを襲う想定被害規模とは?

専門家が指摘「スーパー南海地震」 
茨城から沖縄、フィリピンを襲う想定被害規模とは?
7/13(月)  AERAdot.(編集部・野村昌二)

懸念されている巨大地震、南海トラフ地震。
「いつ起きてもおかしくない」と指摘する専門家の声もある。
だが、地震は単体ではなく連動して大地震を引き起こす可能性もあるという。
AERA 2020年7月13日号では「地震」と「水害」を徹底調査。
災害列島に生きる私たちは、真剣に考えたい。
*  *  *
 西日本の太平洋側で切迫度が高いのが、南海トラフ地震だ。
30年以内にM8〜9クラスが「70〜80%」の確率で発生するとされる。
南海トラフに沿った静岡県は11年からの9年半で1100回、和歌山県は651回、高知県303回で、決して多いとは言えない。またこれらの県が今年になって増えているという兆候も見えない。
 だが、少ないからといって安心はできない。

立命館大学環太平洋文明研究センターの高橋学特任教授(災害リスクマネジメント)は、「令和の南海トラフ地震がいつ起きてもおかしくない状況にある」と指摘する。
「西日本でもフィリピン海プレートの影響でユーラシアプレートにひずみがたまり、地震だけでなく鹿児島県の口永良部島や桜島などの火山活動も活発化しています」

 さらに6月に入ると奄美地方から沖縄、台湾、フィリピンにかけても地震は頻発していると指摘する。
これらは、フィリピン海プレートとユーラシアプレートの境界付近で起きている地震だ。
沖縄は今年になって59回の揺れがあり、沖縄本島では1月、震度4の地震が起きた。

 高橋特任教授は警告する。
「地震は単体で捉えるべきではないと考えています。
首都直下と南海トラフ、沖縄──。
いずれもフィリピン海プレートが影響しています。
茨城から沖縄を経て台湾、フィリピン付近まで、連動して大地震が起きる可能性があります」

■スーパー南海地震の規模
 この連動する大地震を高橋特任教授は「スーパー南海地震」と名づけた。
この地震が起きれば全長2千キロ以上をはるかに超える範囲が被害を受けることになる。
高橋特任教授は言う。
「東日本大震災のデータをもとに計算したところ、47万人以上の津波による死者が出ます」

 一方、北に目を向けると、北海道も揺れている。
11年からの9年半で2371回揺れて8位。
今年を見ると、震度4が3回起きていて、いずれも十勝沖を震源としている。
これらは、北海道の太平洋側での巨大地震の前触れなのか。

 北海道大学大学院地震火山研究観測センターの高橋浩晃教授(地震学)はこう説明する。
「元々北海道の太平洋沖は、地震活動が高い場所。
決していま地震活動が活発化しているというわけではありません」
 だが一方で、北海道東沖の千島海溝で「超巨大地震」が起きる危険性は指摘されている。

17年12月、政府の地震調査委員会は千島海溝で超巨大地震が30年以内に起こる確率は最大40%とし「切迫している可能性が高い」との見解を示したのだ。
「18年9月の北海道胆振地方中東部を震源とした胆振東部地震はマグニチュード6.7でした。
それと比較し千島海溝で切迫している地震は1千倍のエネルギーを持ち、マグニチュード9近く。
東日本大震災と同じ規模になります」(高橋教授)

 巨大地震が発生すると、東日本大震災の時と同じように20メートルを超える津波が北海道の太平洋側の地域を襲うとされる。
高橋教授は言う。
「地震はいつ起きるかわかりません。
住民は防災意識を持ち、避難訓練や非常用持ち出しの備えをしておくことが大切。
行政は長期的ビジョンに立ち、ハザードマップの見直しや防潮堤・避難路の建設など防災対策を講じ、子や孫の代まで伝えられるシステムを築いていってほしい」

※AERA 2020年7月13日号より抜粋
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2020年07月15日

安倍首相の熊本視察にブーイング…惨事便乗“成功体験”崩壊

安倍首相の熊本視察にブーイング…惨事便乗“成功体験”崩壊
2020/07/14 日刊ゲンダイ

 熊本県南部を中心に九州全域に甚大な被害をもたらした記録的豪雨。
発生から10日目を迎えた13日、安倍首相は現地入りし、14人の犠牲者を出した球磨村の特別養護老人ホームや人吉市などを視察した。
 それを受けて14日、一連の豪雨災害を「特定非常災害」に指定し、2020年度予算の“予備費”10兆円を活用した4000億円超の経済対策を閣議決定。
予備費活用は2018年の西日本豪雨の時は1058億円、昨年の九州北部豪雨は3・8億円だから、4000億円はケタ違いの大盤振る舞いだ。

矢継ぎ早の対応で“危機管理のアベ”をアピールし、求心力アップを狙う思惑のようだが、むしろ反感を買っている。
〈来なくていい!〉 〈邪魔になるから!〉 〈コロナまき散らすな〉 〈国会開けよ〉
 安倍首相の視察予定が報じられると、SNS上ではこうした拒絶反応が拡散。

被災地は県外からのボランティア受け入れを見合わせるほど、新型コロナウイルスの感染拡大に神経をとがらせている。
 にもかかわらず、防災服を着てアベノマスクをつけた安倍首相は航空自衛隊のC2輸送機で鹿児島に飛び、アベノマスク発案者の佐伯首相秘書官などを引き連れ、10人超の大名行列である。

■4000億円大盤振る舞いは予備費批判かわし
 これでは被災者から「コロナに感染して2次災害にならないか心配」という不安の声が上がるのも無理はない。
菅官房長官が「圧倒的に東京問題」と評するほどの震源地からゾロゾロ来られたらたまったもんじゃないだろう。
法大名誉教授の五十嵐仁氏(政治学)はこう言う。
「コロナ時代の新たな日常と言っているのですから、熊本県の蒲島知事ら首長の要望を聞くのはオンライン会議でも十分です。
被災地の懸念を無視して視察を強行したのは、災害対策に取り組んでいるポーズにしか見えませんし、経済対策にしても巨額の“予備費批判”をそらす狙いが見え隠れする。
惨事に便乗して政権浮揚を図るのは、安倍政権のいつものやり方です」

 13年末に秘密保護法を成立させ、14年7月に集団的自衛権行使を容認する閣議決定で内閣支持率が低迷した時は、8月に広島土砂災害が発生。
安保法制をめぐって世論も大揺れした16年も熊本地震が起き、西日本豪雨の最中の赤坂自民亭でのどんちゃん騒ぎで批判されると、北海道胆振東部地震が発生。
 そのたびに安倍首相は被災地に急行し、支持率を回復させてきた。
しかし、今度ばかりはそうした“成功体験”は通用しそうにない。
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2020年07月16日

日本になぜ「自粛警察」が生まれるのか 日本世間学会の研究者に聞いた

日本になぜ「自粛警察」が生まれるのか 
日本世間学会の研究者に聞いた
7/15(水) GLOBE+

世界中で新型コロナウイルスの感染が拡大する危機のさなか、日本では「自粛」「要請」という言葉が飛び交った。
法的強制力や罰則があるわけではなかったが、人々の外出を抑制するのに一定の効果があった。
九州工業大学名誉教授の佐藤直樹氏は、日本人のこうした行動の背景には「世間」というものの存在があると指摘する。
日本人と世間の関係について語ってもらった。
            (聞き手・畑中徹)

――コロナ危機では、政府による「自粛要請」を、多くの日本人は受け入れて外出が大きく減りました。
法的強制力や罰則などを伴った諸外国の政府の対応とは異なりましたが、ある程度の成果がみられました。
それはなぜでしょうか?

欧米におけるコロナ危機への対応は、外出禁止命令や罰則付き外出制限、ロックダウン(都市封鎖)などでした。
一方、日本では「自粛」「要請」といった言葉に象徴されるように、命令や罰則もロックダウンもない、(新型コロナウイルス対応の特別措置法に基づく)
緊急事態宣言での「外出自粛」「休業要請」という、きわめて「ゆるい」ものでした。
それでも一定の効果がみられたのは、日本には欧米には存在しない「世間」というものがあるからです。

――「世間」がキーワードなのですね。

そうです。
日本には「世間の目」というものがあるので、自粛や要請に応じないものに対しては、周囲から「世間のルールを守れ」という強い同調圧力がかかります。
ルールを順守しないと世間から排除されるため、日本人はじつに生真面目にこれを守っています。
「世間を離れては生きていけない」とも思っていて、排除されないように、つねにまわりのことに気をつかって生きているのです。

――同調圧力がかかるということですが、コロナ危機では、日本人は「あの人はマスクをしていない」とか「外出自粛要請があるのに、お隣さんは出かけていった」というほどに周囲を気にしていたと思います。
これらも、やはり世間に起因するのでしょうか?

そのような同調圧力も世間に由来するものでしょう。
日本人の間では「みんな同じ」という同質性の同調圧力が働くために、隣の人がちょっとでも違う行動をとることに過敏でした。
たとえば屋外でマスクをしなかったり、外出自粛要請を守らなかったりと、「世間のルール」に反する逸脱行為とみなされます。
これが相互監視を生み出すのです。
コロナの感染が広がる中では、世間による同調圧力と相互監視の肥大化につながりました。

――コロナ危機下では、日本国内のあちこちで「自粛警察」と呼ばれる動きも出てきました。
自粛警察として、抗議や通報、ときには脅迫をする人たちの心理はどのようなものでしょうか?

緊急事態宣言のもと、国内で登場した「自粛警察」も、世間の同調圧力と相互監視の一つのかたちでしょう。
自粛や要請に逆らっているものを発見したとき、自分に直接危害を加えるものでなくても「迷惑をかけられた」と思い込みます。
そこに正義感も加わり、「人に迷惑をかけるな」という意味での抗議や通報、脅迫にいたってしまう。
それが正当化されるのは、「人に迷惑をかける」行為が、日本ではきわめて悪いことであるとみなされているためです。
日本では「世間のルール」に反したものに対して、法的根拠もなく、権利や人権も無視されて、世間が事実上の処罰をおこなっているといえます。

1000年前から日本にある「世間」
――世間のルールというものは、ほかにどんな場面ではたらくのでしょうか?

思い浮かぶのは、たとえば東日本大震災のような大きな自然災害が起きたときの日本人の対応です。
被災者が避難所で整然と行動していたことをみて、海外メディアからは日本では非常時に略奪も暴動も起きないと驚きの声があがりました。
海外の場合、災害などで警察が機能しなくなり「法のルール」が崩れてしまうと、略奪や暴動に結びつくこともあるでしょう。
ところが日本では、そのような状況であっても避難所では「世間」が形成され、世間のルールが強力に作動するために、略奪や暴動にはならないのです。

――近年よく使われた言葉に、「空気を読む」「忖度(そんたく)」があります。これらも、「世間」につながるものでしょうか?

「空気を読む」「忖度(そんたく)」という言葉も世間に密接に関係していると考えます。
劇作家の鴻上尚史さんは「『空気』とは『世間』が流動化した状態である」と定義しています。
つまり、がっちりとしていない、ゆるい「世間」が空気だといえます。
「KY(空気が読めない)」は、2007年ごろから若い世代の間で広がったといわれますが、この空気に動かされるのも世間の特徴でしょう。
森友学園問題の籠池泰典前理事長が、以前、日本外国特派員協会主催の記者会見で発した「忖度」という言葉は、通訳者が英語にうまく翻訳できなかったと記憶しています。
ここでは、「空気を読んで、あらかじめ上の意向を察して、自分の行動を決定する」という意味で使われましたが、日本に特有の概念であるため、通訳者も対応に困ったのでしょう。

――日本において、世間というものはいつごろからあるのでしょうか?

万葉歌人として有名な山上憶良は「世間(よのなか)」という言葉をたびたび使っていますね。
「世間(よのなか)を憂(う)しとやさしと思へども飛び立ちかねつ鳥にしあらねば」などが知られています。
日本では「世間」が千年も前から連綿と続いているのです。
そして、日本人は、いまなお「世間」というものに縛られているのです。

佐藤直樹(さとう・なおき) 
1951年生まれ。専門は世間学、刑事法学。
日本世間学会幹事。
著書に「目くじら社会の人間関係」「加害者家族バッシング」など。

朝日新聞社
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2020年07月17日

ワイドショー賑わす「芸人枠の医者」に現場は大迷惑!【医師覆面座談会】

【医師覆面座談会】
ワイドショー賑わす「芸人枠の医者」に現場は大迷惑!
2020.7.16 ダイヤモンドオンライン
ダイヤモンド編集部 野村聖子:記者

日本中が新型コロナウイルスに翻弄された時期に実はガラガラだった病院や診療所、ユーチューブやワイドショーを賑わす“コロナ芸人”の医者たちの正体、医師免許を取ったときには想像もしていなかった“失職危機”――。
ツイッター医師たちが、一般メディアでは決して報道されない本音と医者という職業の行く末を、身内への忖度なしに語り尽くす。

不要不急の受診減にあえいだ数カ月、コロナバブルに群がる“芸人枠”の医者は黙ってろ!
――コロナの業務への影響はいかがでしたか。

D 2月から3月上旬はコロナ関連業務の医師が、バイト先病院に来ないで欲しいと言われた案件の代打等で忙しかったんですけどね。
東京からの医師派遣はお断りだけど、埼玉の医師はOKとか(笑)。
3月下旬には仕事は減りはじめて、更に株で失敗した先生が死に物狂いで案件を奪いあうようになって、4、5月は悲惨。
そのかわり執筆業の仕事はバブルでした。

C 僕もD先生と同じフリーランスで、週4回、それぞれ違う職場で読影(レントゲンやCTなどの画像診断)の仕事をしています。
3月くらいから株価が下がって慌ててはいたんですが(笑)
直接仕事に影響してきたのは4月から。
緊急事態宣言でまず一つの職場が一時的に閉鎖、別の職場は常勤だけで回せるようになり、非常勤が全員切られ、週4日のうち2日、仕事が無くなっちゃいました。

D コロナの画像って見ました?

C 週2で行ってる総合病院がコロナ受け入れ病院なので、緊急事態宣言後にちょくちょくコロナのCTが出てきてました。
正式な名称ではありませんが「マリモサイン」(写真参照)という初期のコロナ肺炎に特徴的な所見が見られることがあって、ツイッターでは話題なんですよ。
普通の肺炎ではあまり見られない所見です。
 その病院は奇跡的に非常勤切りがなかったですけど、本当に暇で。
出勤しても1日半分も働いてないような状況が続いてました。

D 我々フリーランスは雇用の調整弁ですからね。
C先生は不動産賃貸経営もしてるけどそっちは?

C 4月から賃料減免要請が来た上に、貸してるテナントが休業要請で休んだり、2部屋が退去になったりで、こっちも結構痛いです。

B 僕は開業してちょうど10年。
耳鼻科って、毎年3月が突出して患者数が多い月なんですね。
4月5月6月で減って、9月が底で、冬にかけてまた増えていく。
その差が倍以上あるくらい季節変動のある科なんですけど、その3月にコロナ騒ぎが(笑)。
うちはまだ10年目なのでまだ耐えられる体力もあるんですけど、開業して1、2年のときにこれがきたら、ちょっと死活問題なんじゃないかと思います。

A 僕のところは大学病院なので、もともと不要不急の受診は勧めないということで、コロナの時期は患者さんに電話再診を促して、待合室の混雑を防がなければいけないという風に動きました。
結果、病院としては明らかに減収になったと思われます。
幸いそれが直ちに減俸にはならないですけど、病院以外に診療に行っている外勤先から「来るな」と言われたというのはありましたね。

D 防護服ってどうでした?
開業医にも回ってくるものですか。

B それが、全然回ってこなくて。
医師会から透明のカッパやら、ゴーグルも見たことないふにゃふにゃの、どこ製のかも分からないものが(笑)4月の終わり頃にやっと送られてきました。

A 2011年の東日本大震災の時も思ったけど、厚生労働省って現場への物品配給について一切責任を持ってない。
大学病院でさえ配慮されないし、今回もまざまざとそれを感じましたよね。

B 普段マスクは卸業者から買うんですけど、テレビが本格的にマスク不足を報道する前、3月初めの時点で、卸業者に「マスクはもう卸せません」と言われて。
それで速攻アマゾンで見たら、すでに値段が上がってましたけど、仕方なくまとめて買いました。
周りの開業の先生も、みんな自分たちで何とか調達していましたね。

D 私も病院に防護具がなくて、ワークマンに自分で買いに行ったのもその頃ですね。
今にして見ると、物の不足具合って株価と連動してるなと思う。
株といえばC先生、その頃底値買いした?

C 結構買っちゃいました(笑)。
承認欲求をこじらせたユーチューバーや、自称“専門家”に現場は大迷惑

D そういえばA先生、ダイヤモンド・プリンセス号(以下、ダイプリ。注1)に関して物申したいことがあるとか?

A “例”の先生のことですか(笑)。
「何してくれてんの」って感じですね。
いろんな国に対応を断られていたのを日本が引き受けて横浜に停泊させたにもかかわらず、世界中からボロクソに言われた。その日本の国益を損なうきっかけになったのが例の先生の誤認を含んだ英語のユーチューブ。
結局削除したけど訂正はしなかった。

D なまじ英語ができる人は困りますよね。

C あの先生って、昔からああいう感じなんですか?
僕は、今回の騒動までよく知らなかったんですけど。

B 僕の後輩が例の先生の下で働いていたことがあったんですけど、もう先生たちもご存じの通り、“研修医のカリスマ”。
全国から若い研修医が、信者のごとく先生のところに集まってきていた感じでしたね。

D 私、あの先生と米国に留学してた時期が近いんですけど、当時、米国留学帰りの内科の医者ってパッとしない人が多かった中、教授になって、当時方々でスター扱いでしたよね。
なのに、今回スターが10年たって諸行無常、みたいな。

A まさに“希望の星”でしたよね。

B ただ、スタンドプレーが過ぎるというか。
感染症内科って、いろんな診療科に感染制御のコンサルティングに行くわけですけど、今までの現場のやり方をまずバッサリ斬って、他の科の先生方に嫌な顔されるという(笑)。
それであちこちで衝突して、というのは有名な話です。
日本の感染症分野の第一人者であることは誰もが認めるところなんですけどね。

D 今回も、ヒーローになろうとして、盛大にコケたって感じでしたね。

A ああいう性格なのは、感染症かいわいでは周知の事実なので、厚生労働省が招集したダイプリの班にも入れてもらえなかったわけで。

B あの件、実は他の先生たちが忖度して言えなかった検疫上の問題点を、例の先生を船内に入れたら、ユーチューブで告発みたいなことを必ずやると、みんな分かっていて逆に利用したんじゃないか、みたいなうわさも耳にしましたけどね。
 あちこち空気読まずに指導しだして、現場が変な空気になるのは、みんな絶対分かっていたはずですしね。

(注1)英国船籍のクルーズ船。2020年2月に船内で新型コロナウイルスの集団感染が発生して入港先を探していたところ、日本政府が入港を許可し、船内で検疫に当たった

D “希望の星”といえば、今回(元WHO<世界保健機関>西太平洋地域事務局長で政府の新型コロナウイルス感染症対策専門家会議副座長の)尾身(茂)先生と、国会に招致されて並んで答弁しちゃった先生の話もします?

A あれはひどかった。ダイヤモンドさんにお聞きしたいんですけど、ああいう人ってやっぱりメディア的に便利なんですか? 

D あの先生も、福島県の大野病院事件(注2)で、産婦人科の医師が逮捕されたときは、医療側をまとめてマスコミと戦うリーダー、まさに“希望の星”だったんですけどね。

A そうそう。

D 16年に東北医科薬科大学に医学部が新設されるときに、対抗筋を応援していたようだけど、あれがコケちゃってからおかしくなったのかなあ。

A かつて血液内科で辣腕を振るっておられて、医局という制度を嫌って大学を離れたのに、結局は巡り巡って自分の派閥というか、医局まがいのものをつくってしまったという。
すごく頭のいい人なんですけど、いわゆる承認欲求をこじらせて、とにかく全ての主張の軸が「厚労省憎し、医系技官憎し」。
確かに、この文脈でなされる主張の中には一部正しいこともあるけど、今回のコロナ危機では、もう厚労省憎しが前面に出過ぎて、言ってることが科学的にメチャクチャ。
これをワイドショーをはじめとするメディアが取り上げまくって、最前線の先生方がどれだけ迷惑したか。

D 国会まで行きましたからね。
途中からテレビに登場し始めた、「WHOの方から来た」産婦人科医?ともツーカーの仲でしょ。
しかも、2人とも東大出身。
A先生、先輩じゃないですか(笑)。

B あの“WHO”の人、4月から突如スターとして躍り出ましたよね(笑)。

A 恥ずかしいですね。
“WHO”の人なんて、経歴詐称ギリギリでしょ。
本当に、ああいう人たちは、大義があるように見せて、実のところはゆがんだ承認欲求を満たしたいだけ。
がん領域にも超有名な先生がおられますけど、承認欲求をこじらせた元エリート医師が及ぼす害悪というのは、厄介なものです。

D 今回のコロナは、東大“人材豊富”でしたよね。
ダイバーシティをアピールしたというか。

A “みんな違ってみんなダメ”でしたね。
本当にメディアの皆さんには“芸人枠”の医者を使わないよう、くれぐれもお願いします。

(注2)04年、福島県立大野病院で産婦人科の医師が帝王切開手術をした後、妊産婦が死亡し、その2年後に医師が業務上過失致死罪と医師法違反の容疑で逮捕・起訴された事件。
08年には無罪が確定するも、事件を「医療ミス」とする過熱したマスコミ報道の影響で、全国の産科医が激減し、今日に至る周産期医療の崩壊を招いたといわれている。
同病院は11年に東日本大震災により閉鎖。

Key Visual by Noriyo Shinoda, Graphic:Daddy’s Home
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2020年07月18日

関東も危ない豪雨降らせる「線状降水帯」の正体

関東も危ない豪雨降らせる「線状降水帯」の正体
集中豪雨を引き起こす大きな原因の1つ
2020/07/17 東洋経済オンライン
今井 明子 : 気象予報士・サイエンスライター

2020年7月上旬から日本列島の幅広い範囲で豪雨による災害が発生しています。
この7月の豪雨は熊本、鹿児島、福岡、佐賀、長崎、岐阜、長野の7県で大雨特別警報が出され、7月3日0時から15日5時までの総雨量は、高知県馬路村の魚梁瀬で1491.5ミリ、長野県大滝村の御嶽山で1462.0ミリ、大分県日田市の椿ヶ鼻で1351.0ミリとなりました。

また、この豪雨に伴い熊本県の球磨川をはじめとする複数の河川が氾濫を起こし、流域では浸水や土砂災害が発生。
7月16日12時現在で、死者は76名、心肺停止が1名、行方不明者が8名となり、この豪雨は「令和2年7月豪雨」と命名されました。
今回のように激甚な災害をもたらした気象現象には名前がつくものですが、気象現象が終わったあとに命名されることがほとんどであり、気象現象が続くさなかに命名されるケースはまれです。
いかにこの豪雨による被害が大きいのかがうかがい知れます。

「線状降水帯」とは?
200名以上の犠牲者を出した西日本豪雨からたったの2年で、またこのような甚大な被害を出した災害に見舞われてしまうとは。
新型コロナウイルスの感染拡大という未曽有の災いが起こっている中で、今度は豪雨が私たちを痛めつけます。
本当に自然とは容赦しないものだと思わずにはいられません。

さて、毎年梅雨の後半になると必ずといっていいほど集中豪雨が起こり、大きな災害が発生するものです。
特に、今回の令和2年7月豪雨のような数十年に1回レベルの集中豪雨を引き起こす大きな原因のひとつが「線状降水帯の停滞」です。

では、線状降水帯とはいったい何なのでしょうか。
具体的には、このレーダーエコーのような状態の現象のことをいいます。 この画像は、気象レーダーでの観測に基づいた降水強度の分布図ですが、赤や黄色などの強い雨が降っている場所が、まるで線のような細長い形で表示されています。
線状降水帯には長さや幅などに厳密な定義があるわけではないのですが、雨の降っている場所の幅が20〜50km、長さがおよそ100km以上であるもののことを線状降水帯と呼ぶことが多いです。

線状降水帯の正体は積乱雲です。
積乱雲というのは、いわゆる雷雲と呼ばれるもので、しとしとと降る雨ではなく、土砂降りの雨をもたらします。
夏の夕立を発生させる犯人です。
しかし、夏の夕立は1時間程度であがってしまいます。
また、夕立が降っているときに気象レーダーの画像を見ても、雨の降っている場所は丸い形をしています。
これはなぜかというと、夕立は基本的に単体の積乱雲からもたらされることが多いからです。

積乱雲の水平方向の直径は、だいたい数km〜十数km。そして、積乱雲の寿命は1時間程度です。
だから、単体の積乱雲がもたらす夕立の範囲は狭く、1時間程度で雨がやんでしまうのです。

「積乱雲の世代交代」が行われている
では、なぜ積乱雲の寿命は1時間程度なのでしょうか。
まず、積乱雲というのは、強い上昇流によって発生します。
空気が上昇流によって上空にまで運ばれると、その空気中の水蒸気が水の粒(雲粒)や氷の粒(氷晶)に変わります。
これが積乱雲です。
そして、氷晶や雲粒がまわりの水蒸気を取り込んだり、お互いがぶつかりあったりして粒が大きくなると、重力の影響を受けて落下します。
これがです。

雨粒は落ちるときに周囲の空気も一緒に引きずりおろすので、下降流が発生します。
すると、この下降流が積乱雲が発達するために必要だった上昇流を打ち消してしまいます。
こうして次第に積乱雲の勢力が弱まり、最後には消えてしまうのです。
つまり、積乱雲は強い上昇流によって成長し、雨が降ることで下降流が発生して衰弱していくというわけです。

このように積乱雲単体の寿命は1時間程度なのですが、集中豪雨では土砂降りの雨が数時間続きます。
これはなぜなのでしょうか。
それは「積乱雲の世代交代」が行われているからです。

たとえば、地面の近く(下層)で温かく湿った風がずっと山や前線に向かって吹きつけていれば、上昇流が発生し続けます。このとき、地面から3kmほど上空(中層)の風が、地面近くの風と同じ方向に吹き続けると、衰弱した積乱雲は風下の方に流されていきます。
こうして、イキのいい積乱雲が同じところでずっと発生し続けてしまい、長時間大雨が降り続くことになってしまうのです。

なお、このような線状降水帯のタイプは「バックビルディング型」と呼ばれるもので、線状降水帯にはほかにも、積乱雲を発生させる下層の風と、積乱雲を移動させる中層の風の風向きが約90°の場合に発生する「バックアンドサイドビルディング型」や、下層の風と中層の風がぶつかり合うように吹くと発生する「スコールライン型」があります。

線状降水帯が特に危険視されるのは、線状降水帯が移動せずにその場で停滞する場合です。
先ほど挙げた線状降水帯の3つのタイプの中でも、集中豪雨をもたらすのはほとんどが「バックビルディング型」と「バックアンドサイドビルディング型」なのですが、それはこのふたつのタイプが積乱雲が同じ場所にできやすいものだからです。

西日本だけに発生するわけではない
なお、線状降水帯はなにも梅雨末期だけしか登場しないわけではありませんし、西日本にしか発生しないわけでもありません。
たとえば2015年の9月に鬼怒川が氾濫した関東・東北豪雨も、線状降水帯が次々と発生したことがわかっています。
このときは、台風から変化した温帯低気圧と、それとは別の台風によって発生しました。
つまり、梅雨が明けたら安心だとか、東日本に住んでいるから安心というわけではないのです。

もっと詳しく線状降水帯のことを知りたいのであれば、JAMSTEC(国立研究開発法人海洋研究開発機構)のホームページに掲載された茂木耕作副主任研究員による「線状降水帯の停滞が豪雨災害を引き起こす」というコラムがオススメ。
このコラムでは球磨川の氾濫を引き起こした今年の7月3日や4日の集中豪雨の原因や、なぜ線状降水帯が動かなかったかについて考察されています。

茂木研究員は、今年に限らず、以前から線状降水帯が発生しやすい季節にコラムを執筆し、ホームページで発信してきました。
それはなぜなのか尋ねたところ、「線状降水帯という言葉をもっと広めたい」という気持ちが発信の原動力になっているとの答えがありました。
「線状降水帯という言葉がメディアに登場したのは、私の記憶でいうと8年ほど前からだったのですが、しばらくはなかなか広まりませんでした。
毎年この言葉を発信し続けてきたこともあり、この2〜3年ほどでようやく線状降水帯という言葉が一般の人々の会話にも出てくるようになってきたと実感しています」(茂木研究員)

なぜ、線状降水帯という言葉を広めたいのか。
それは、1人1人の防災意識を高めてほしいという気持ちがあるからと言います。
「大雨が降る前に、天気予報では降水確率がいくらになりそうだとか、予想降水量が何ミリになりそうかなどを伝えますよね。
でもこの数字だけを聞くと、どうしても他人事な受け止め方になってしまいがちです。
だから、避難指示が出ても避難しない人が出てしまう。
でも、線状降水帯という言葉が浸透すれば、雨が降るとレーダーの観測結果を見るようになると思うんです。
もし、自分のいる場所付近で赤や黄色の線が出ていて、それがしばらく動かなさそうなら、『これはまずい』と直感でわかります。
そして、どうしようかを自分の頭で考えるようになります。
そうやって状況を自分事としてとらえ、主体的に動けるようになってほしい」(茂木研究員)

15時間先までの降水量分布がわかるサイト では、事前に線状降水帯をチェックするにはどうすればよいのでしょうか。
まずは、気象庁ホームページの「今後の雨(降水短時間予報)」をブックマークしておくことをおすすめします。
このページには、レーダーとアメダスなどから観測した降水量分布が表示されています。
15時間先までの降水量分布がわかるため、この先自分の住んでいる地域に線状降水帯がかかりつづけるのかどうかがわかるのです。
そのうえで、実際に雨が降りだしたら、「今後の雨(降水短時間予報)」の隣のタブの「雨雲の動き(高解像度降水ナウキャスト)」や「危険度分布」もチェックしましょう。

「雨雲の動き」では1時間先までの降水の状況がよりきめこまかに表示されますし、雨雲が今後どの方向に動いていくかもわかります。
もし、雨雲がしばらく動かないのなら、それはとても危険な状態になるということが、想像がつくわけです。
さらに、「危険度分布」では自分の近くの場所の洪水・浸水・土砂災害の危険度が色分けされて表示されます。
自分のいる場所付近の色を見れば、そこが危険かどうかもすぐにわかります。

大雨災害は、地震と違って事前に予測できるため、適切な行動をとれば命を守ることにつながります。
命を守るコツは、自分から主体的に情報を取りに行き、自分の頭で状況を判断して、適切な行動をとれるようになることです。
そのためにも気象用語に敏感になり、危険な情報を示す言葉を耳にしたら気象情報をこまめにチェックする習慣を身につけてほしいと思います。
posted by 小だぬき at 00:00 | 神奈川 🌁 | Comment(4) | 健康・生活・医療 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2020年07月19日

女子医大だけじゃない 次に起こる医療従事者の反安倍決起

女子医大だけじゃない 次に起こる医療従事者の反安倍決起
2020/07/18 日刊ゲンダイ

 開始まで1週間を切っての運用変更に旅行現場は大混乱である。
安倍政権肝いりの「Go To キャンペーン」は、16日、旅行代金を割り引く「Go To トラベル」で東京発着の除外が決定。
17日は事業を所管する国交省の赤羽大臣が、高齢者と若者の団体ツアーを支援対象から外すと発言し、線引きは旅行業者に委ねるとしたため、業者からは「基準を示して」と悲鳴が上がっている。
「キャンセル料は誰が払うのか」など、もはやカオス状態である。

 総額1兆6794億円という巨額は、政府の力の入れようが分かるというもの。
確かに観光業は軒並み収入が9割減で経営が火の車だ。
もっとも、理由はそれだけじゃない。
選挙の際に旅行業者の政治団体が自民党議員へ献金するなど「密」な関係もある。
しかし、再び感染拡大というこの緊急局面で、大事な血税を投入すべき先は、もっと他にあるだろう。
そう、医療現場である。

 今週、ツイッターでは〈#GoTo 予算を医療に回せ〉という投稿がトレンド上位入り。
「Go Toの予算を医療現場や被災地などに回して」という趣旨で、「Go To」に反対する署名も10万人を突破した。
大勢が賛同するのは、それだけ医療現場の悲惨な状況が報じられているからだろう。

 東京女子医大では、夏のボーナスが「ゼロ」だと聞かされた看護師400人が、退職の意向を示しているという。
このニュースは衝撃だった。同大は5月からコロナ患者用に、普通病床とICU(集中治療室)を確保しており、コロナ患者がいなくても常にベッドを空けている状態。
外来患者も大幅に減少していて、赤字は30億円に上るという。
退職金すら出るのか分からない状況らしい。

 さすがに「大量退職」が大きく報道されたからか、17日になって大学側が態度を一転。
 独立行政法人福祉医療機構からの資金調達で「原資を確保できる見通しになった」として、ボーナス支給を検討するとの文書を関係者に出したようだ。
 医療ガバナンス研究所理事長の上昌広氏が言う。
「危機的な状況ですね。医療費は全国一律なので、東京の都心部の総合病院、特に私立の大学病院ほど、固定費が高くて経営が大変だというもともとの構造的問題があります。
そこへコロナ禍が重なり、経営は一気に悪化した。
東京女子医大は医療事故を機に評判を落とし、患者が減っていましたからより深刻でしょう。
経営の厳しい病院で医療従事者が辞めていくのは合理的で仕方のないことですが、一般企業と違うのは病院には入院患者がいて、ケアが必要だということです。
スタッフが辞めれば医療事故も医療崩壊のリスクも高まります」

■3割の医療機関がボーナス減額を通告
 千葉県船橋市の総合病院「船橋二和病院」でも、医師や看護師がボーナス減額に抗議するストライキを決行した。
日本医療労働組合連合会によれば、傘下の組合を通じた調査で、約3割の医療機関が夏のボーナス減額を組合側に通告しているというから末期的だ。
 新型コロナウイルスに感染する不安と緊張の中、使命感で働いている医療従事者が報われない現実。
これでは待遇悪化で現場を離れる人が続出しかねない。

 そんな医療現場のボーナスカットは許しがたいが、医療機関の経営悪化も深刻。
厚労省が4月の診療報酬の全国状況をまとめたところ、前年同月より13%の減少だった。
どの病院も不要不急の手術は延期、感染リスクを避け外来患者は大幅減少だから収入減は当然だ。
 17日の全国の新規感染者は596人。
16日は600人を超え、4月のピーク時に迫る勢いである。

急激な感染拡大には「既に第2波の流行が始まっている」という見方も出ている。
それなのにこのままでは、感染者数に医療現場の人手が追いつかなかったり、病院破綻が続出して、医療崩壊へまっしぐらだ。

フランス政府は1兆円規模の歴史的賃上げを決定
 この間、政府も自治体も何をやってきたのか。
安倍首相は4月の会見で「医療現場を守るため、あらゆる手を尽くす」と宣言し、二言目には病院と保健所を支援し、強化すると口にしてきた。
だが、ずっと足りないと言われてきたPCR検査はいまだ十分な体制になっていない。
 米国では1日500万件の検査が行われ、ニューヨーク州に750カ所のPCRセンターが整備された。
中国では人口2000万人の北京市で感染が起きた際、800万人にPCR検査が実施された。
16日の参院予算委員会で参考人として陳述した東大先端科学技術研究センター名誉教授の児玉龍彦氏は、既に東京にエピセンター(感染の震源地)ができており、制圧には20万件の検査が必要だと力説していた。

ところが、今の日本国内の検査体制は最大能力でも1日3万件程度、東京都は3000人程度(1週間平均)に過ぎないのだ。
 医療現場の感染不安を解消するためにも、PCR検査の拡充が急がれるのに、厚労省が熱心なのは「夜の街クラスター」の検査ばかり。
「本来なら医療従事者のPCR検査だって、公費でやるべきなのです」(上昌広氏=前出)

 安倍政権は第2次補正予算で医療機関への支援策として2兆円超を盛り込んだ。
ただ、現場で疲弊する医療従事者への給付金は、実際にコロナ患者の診療を行った医療機関では1人20万円、対象機関ながら実際にコロナ患者の診療がなかった場合は10万円、それ以外は5万円だ。
これに追加して、独自に10万円を支給する自治体もある。
だが、「Go To トラベル」が1泊最大2万円の割引を何度でも受けられることと比較すると、命がけで働く医療従事者に最大20万円では、少なすぎるんじゃないか。

■「同情するなら金をくれ」が心情
医療従事者への敬意と感謝を示すためとして、安倍政権は6月、東京上空に航空自衛隊のアクロバットチーム「ブルーインパルス」を飛行させたが、そんな目くらましより、「同情するなら金をくれ」が現場の心情だろう。
感謝によって励まされ、鼓舞される面はあっても、ボーナスや給料の削減で生活苦になれば、医者も看護師も安心して仕事を続けられない。

 仏政府は13日、医療従事者の賃上げ策として総額80億ユーロ(約9730億円)の支出を決めた。
平均給与は月額2万2000円程度増額される。
カステックス首相は「この国の保健制度にとって歴史的な瞬間だ」と語ったという。
 仏でも医療従事者は感謝され英雄と称えられているが、評価以上のものを求めて給与アップや病院の財源強化を掲げた抗議デモが行われてきた。
今回の賃上げ決定は、これに仏政府が応えたということだ。

安倍政権も10兆円もの予備費があるのだから、何らかの対応をすべきだろう。
 法大名誉教授の五十嵐仁氏(政治学)が言う。
「政府は医療崩壊を避けるために全力を注ぐべきです。
予備費が10兆円もあるのですから、金がないとは言わせません。
『Go To』で瀕死の旅行業界を救済することを否定はしませんが、それは感染が収まってからでいい。
まずは医療従事者が心置きなくコロナと闘えるよう支援することが先決。
優先順位があります」

 安倍政権のコロナ対策は、「アベノマスク」「減収世帯30万円が一律10万円へ変更された現金給付」、そして今回の「Go Toの混乱」と、やることなすこと頓珍漢のうえ、世論の不評に右往左往。
この政権はオツムがイカれているとしか思えない。

 内閣は支持率下落で首相の求心力も風前のともしびだ。
官邸では安倍の側近官僚が跋扈し、菅官房長官との確執やコロナ対策での主導権争いも囁かれる。
組織はバラバラの空中分解。
安倍本人は予算委にも出席せず逃げ腰で、第2波の危機に瀕しても記者会見すら開かないのだから無責任極まりない。
 このまま感染者が増え、医療現場への負担が増えれば、医療従事者のストレスと不満は爆発。
次に起こるのは、フランスのように反安倍決起だろう。
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2020年07月20日

5度の出撃から奇跡的に生還した少年特攻隊員が明かした建前と本音

5度の出撃から奇跡的に生還した少年特攻隊員が明かした建前と本音
7/19(日)  現代ビジネス
神立 尚紀カメラマン・ノンフィクション作家)

平成30(2018)年2月22日、一人の元特攻隊員が91歳で世を去った。
小貫貞雄(こぬき・さだお。戦後、杉田と改姓)。
18歳で零戦搭乗員として第一線部隊に配属、激戦地フィリピンに送り込まれ、特攻隊員となる。
米軍の沖縄侵攻が始まると、台湾を拠点に、爆弾を搭載した零戦で5度にわたって特攻出撃を重ねたが、いずれも敵艦隊に遭遇することなく、奇跡的に生還した。
爆装出撃5回というのは、公式記録で確認できる限り、生き残った海軍特攻隊員のなかでは最多である。
小貫は生前、筆者に、特攻志願から出撃、生還、そして終戦にいたるまでの率直な心情を吐露していた。絶望的な戦況のなか、少年は「死」を目前に何を思い、感じていたのか。
----------
「同調圧力」に屈して志願した18歳
第二航空艦隊司令長官・福留繁中将が、整列した特攻隊員を前に訓示する。
小貫貞雄はこのなかにいた  
「諸君は空の神兵(しんぺい)である。
ただいまより特別攻撃隊員を募集する。
我と思わん者は一歩前へ出よ」
 第二航空艦隊司令長官・福留繁中将の訓示に、一瞬、その場が凍りついた。

 フィリピン、クラーク・フィールドのアンヘレス北飛行場。
ぎらぎらと太陽が照りつける草原の滑走路に整列した搭乗員たちは皆、顔は前を向いたまま、目だけをきょろきょろさせて、周囲の様子をうかがっていた。
そして数秒。
沈黙に耐えかねた誰かが前に出ると、それにつられて全員が、ぞろぞろと重い一歩を踏み出した。
 爆弾を搭載した飛行機による体当り攻撃、すなわち特攻が本格化しつつあった、昭和19(1944)年10月末のことである。

 18歳の小貫貞雄(戦後、杉田と改姓)飛行兵長も、雰囲気に引きずられて一歩前に出た。
いま風に言えば「同調圧力」に屈したのだ。
しまったと思ったが、もう後戻りはできなかった。
 「ありがとう、ありがとう。
だがこれでは志願者が多すぎて選びようがない。
いずれ選考のうえ連絡するから、ひとまず宿舎に帰って休むように」   と言って、福留中将は、ハンカチでそっと目頭を押さえる仕草をした。

 小貫は、大正15(1926)年3月23日、宮城県に、鉄道員の次男として生まれた。
軍艦に憧れて海軍一般志願兵を受験したが、成績がよかったので、試験官の勧めで飛行兵志望に切り換える。
そして昭和18(1943)年6月、村人たちの盛大な見送りを受けて、乙種飛行予科練習生(特)、通称「特乙(とくおつ)」の二期生として、山口県の岩国海軍航空隊に入隊した。
 「特乙」とは、乙種予科練(受験資格は高等小学校卒業以上)の合格者のなかから生年月日の早い者を選抜、速成教育を施すために新設されたコースで、小貫も、「殴られて体で覚える」すさまじい詰め込み教育に耐え、海軍に入ってわずか9ヵ月後の昭和19(1944)年3月には零戦搭乗員として実戦部隊に配属される。

 同年10月には、米軍の大部隊がレイテ島に上陸したのを受け、零戦で編成された第二二一海軍航空隊(二二一空)の一員として、日米決戦を目前に控えたフィリピンに送り込まれていた。
 「二二一空は制空部隊なので、連日の邀撃(ようげき)戦に参加しましたが、車で言えばまだ初心者マークをつけているようなもので、一番機から離れないよう飛ぶのが精いっぱいでした。
私の小隊長の石原泉上飛曹が、『初心者が後ろで引き金(機銃の発射レバー)を握っていたら俺が危ない。
お前は機銃は撃たなくていいから、とにかく離れずについて来い』と注意してくれましたが、編隊からはぐれると必ずやられますよ。
それで機銃も撃たず、尾翼に被弾して還ってきたのが私の初陣でした。

 何度かグラマンF6Fと空戦をやって、最初は体が震えて困りましたが、これが武者震いか、とやせ我慢しているうちに、だんだん戦場に慣れてきます。
そして、仲間がちらほらやられるようになると、クソ度胸がついてきて、敵愾心が湧いてくる。
俺は負けない、と、いっぱしの戦闘機乗りとしての意識が芽生えてくるんです」

「顔で笑って心で泣いて」という言葉そのまま
 ちょうどその頃、フィリピンでは、味方主力艦隊のレイテ島への突入を支援するため、米空母の飛行甲板を一時使用不能にする目的で、第一航空艦隊司令長官・大西瀧治郎中将のもと特攻作戦が開始される。
 そして、その予想以上の戦果に、当初は特攻に消極的だった第二航空艦隊も、追随して特攻作戦に踏み切った。
福留中将の呼びかけに応じて、全員が志願した形となった二二一空の搭乗員たちは、次々と戦闘機の特攻部隊に指定された第二〇一海軍航空隊(二〇一空)に転勤していった。
 「ニッパ椰子の葉で囲った粗末な三角兵舎のなかで、みんなでごろごろ待っていると、夜、暗くなってから要務士がカバンを持ってやってきて、『ただいまより二〇一空転勤者を発表する』とやるんですよ。
そして名前を呼ばれる。
一度に5人か6人ですけどね、この瞬間の気分は何とも言えません。
 名前を呼ばれた者は飛び上がって喜んでるんだけど、心のなかは逆、泣いてるんですよね。
それで呼ばれなかった者はガックリしたような顔をしながら腹のなかではホッとしている。
明と暗がはっきりと分かれる瞬間でした」

 そして12月15日。ついに小貫にも、二〇一空への転勤、すなわち特攻隊への編入が言い渡される。
 「そのとき、私はクラークのアンへレス北飛行場にいました。
夜10時頃、搭乗員室に要務士がやってきて、私と山脇林(はやし)飛行兵長の二人に転勤が言い渡された。
それで深夜、ライトを消した黒塗りのフォードに乗せられて、マバラカット市内にある二〇一空本部へ連れていかれました。

 二〇一空では、飛行長・中島正中佐が、『よく来てくれた』と迎えてくれ、従兵が皿に乗せたぼた餅を運んできてくれました。
 そして、それを食べ終わるか食べ終わらないかのときに、飛行長から、『明朝黎明(れいめい)発進』を告げられたんです。ドキン! としてぼた餅を喉に詰まらせそうになりましたよ。
こっちはまだ、口がもぐもぐ動いているのに。
 で、遺書を書いて用意せよと言われるんですが、いきなり遺書を書けと言われても、いざ明日、死ぬときの心境なんて、すぐには言葉に出てこないし、実感が湧かない。
 山脇と二人で、『俺は空母をやるぞ。お前は戦艦をやれ、あれは硬くて跳ね返されるぞ。だから艦橋を狙うんだ。
当たった瞬間は痛いだろうな。
どこまで意識があるんだろう』……などといろいろ話をしながら、少しうとうととしたらもう朝でした」

 割り切れない思いを胸に、小貫は、宿舎に用意された藁半紙に、鉛筆で遺書を書いた。
両親、兄弟、親戚、恩師、脳裏に浮かぶ人はたくさんいたが、感謝の思いを言葉にしようにも、なかなか思うに任せない。
結局、小貫の遺書は、  〈遺書/大和男の子と生まれ来て/明日は男子の本懐一機一艦/親に先立つ不孝お許しください/天皇陛下万歳〉  と、ぶっきらぼうなほど短いものとなった。
 「天皇陛下万歳っていうのは、まあ当時の決まり言葉ですね。
ちょこちょこっと書いて最後にそう付け加えれば、なんとなく軍人らしく格好がつく。
まだ18歳ですからね、虚勢ですよ。
顔で笑って心で泣いて、という言葉そのままです。
 空戦でも死ぬかもしれないが、それは相手を倒すことが目的で戦った結果ですから、特攻で自分から死ぬ覚悟を決めるのとは全く違う。
腹のなかを整理するのが大変でした」

 12月16日、飛行場に出て、黒板に書かれた当日の搭乗割(編成表・第十一金剛隊)を見ると、山脇の名前はあったが、飛行機の準備が間に合わなかったのか、小貫の名前はそこになかった。
 「一瞬、選に漏れた無念と、今日は生き延びたという本能の喜びが交錯しましたが、山脇の顔を正視できない思いでした。それでもみんなと一緒に出撃前の訓示を聞いて、山脇と一緒に指揮所から飛行機の秘匿場所まで1.5キロほど歩きました。
飛行機に乗る間際になって、山脇から、これを家族に届けてくれ、と遺書と髪の毛と爪の入った小さな紙の包みを渡されました。
山脇が飛行機に乗り込むとき、私は一緒に左主翼の上に乗って、試運転の爆音のなか、『おい、何か言っておくことないか』と声をかけたんですが、彼は黙って首を振るばかりでした」

 山脇飛長は、この日の出撃からは生還したが、12月29日、第十五金剛隊の爆装機としてミンドロ島南岸沖の敵輸送船団攻撃にバタンガス基地から出撃、戦死した。
 山脇機の自爆の状況を、直掩機として出撃した荒井敏雄上飛曹が確認している。
荒井が筆者に語ったところによると、山脇は離陸後ずっと、風防のなかで顔をくしゃくしゃにして泣いるのが見えて、かわいそうでならなかったという。
しかも、敵船団を発見し、山脇機は敵巡洋艦後部に突入、命中するのが見えたが、爆弾が不発に終わったらしく、敵艦からは煙ひとつ立ち上らなかった。
山脇は出撃後、爆弾の信管の発火装置の留め金をはずし忘れたものと思われた。

「自分が生きているほうがおかしい」!?  
  年が明けて昭和20年に入ると、米軍はいよいよ、ルソン島のリンガエン湾に侵攻を開始した。
艦砲射撃の砲声が、数十キロ離れたクラークにまで轟いていた。
遠からず、米軍が大挙上陸してくることが予想された。
それを迎え撃つため、二〇一空は全力をもって特攻隊を出撃させるが、日本軍の航空基地は敵艦上機による空襲で壊滅状態に陥り、やがて飛行機も底をつく。
 飛行機を失った航空隊員たちは、急遽、陸戦隊を編成、ピナツボ山の山麓に立てこもってゲリラ戦を続けることになり、手榴弾の投擲訓練をふくめ、陸上戦闘の準備に入った。
 「飛行服を脱ぎ、草色の第三種軍装に編上靴、ゲートル、拳銃二丁、戦死者の遺品から頂戴した日本刀を腰に差した、なんともお粗末な陸戦姿でした。
陸上戦闘の怖さを知らないわれわれは、仲間と刀を振り回し、『俺は宮本武蔵だ』などと、田舎芝居の役者気取りでした。
私は飛行兵長でしたが、よその部隊の兵隊にナメられないようにと、二階級上の一等飛行兵曹の階級章をつけていても、誰にも文句を言われませんでした。
こんな混乱の最中に、司令部から、搭乗員救出作戦が発令されたんです」

 飛行機の搭乗員は、養成に時間がかかるうえに、飛行適性があって、誰でもなれるというものではない。
だが、陸上戦闘には素人で、いてもたいして役に立たない。
翼を失った搭乗員はクラークに400名以上、ルソン島の各基地を合わせれば500名以上が残っている。
飛行機さえあればふたたび戦力になる搭乗員を陸上戦闘で失うことは非効率との判断から、司令部は、フィリピンから搭乗員だけを脱出させることを決めた。
1月8日のことである。
 クラーク・フィールド、バンバンの丘にある司令部の前に集まった搭乗員たちは、大西瀧治郎中将以下の見送りを受けて、陸路、迎えの飛行機が来るルソン島北部のツゲガラオ基地に向け出発した。
 バンバンからツゲガラオまで、直線距離で300数十キロ、歩く距離はその2倍近くになる。
18日間に及ぶ炎天下の慣れない行軍に、彼らは黙々と耐えた。
やっとの思いでツゲガラオに着くと、夜陰に乗じて飛んできた迎えの輸送機に乗せられ、1月末、台湾・高雄基地に到着した。

 台湾では、二〇一空に代わる特攻部隊として新たに第二〇五海軍航空隊(二〇五空)が開隊され、ここで編成される特攻隊は「大義隊」と命名された。
大義隊は、当初103名の搭乗員からなり、台湾を中心に、石垣島、宮古島にも分かれて展開した。
小貫も、否応なしにこの隊の一員に加えられていた。
 4月1日、猛烈な艦砲射撃ののち、米軍は沖縄本島南西部の嘉手納付近に上陸を開始、この動きに一矢を報いようと、九州、台湾に展開した陸海軍航空部隊は、総力をもって敵攻略部隊、機動部隊に攻撃をかけることになる。

大義隊も、4月1日、「第一大義隊」が出撃したのを皮切りに、沖縄方面の敵機動部隊に向け、特攻出撃を繰り返した。
 沖縄戦が始まって以後、爆装特攻機としての小貫の出撃は、4月12日(第八大義隊)、13日(第九大義隊)、17日(第十二大義隊)、28日(第二十六大義隊)、6月21日(第二十二大義隊)の5回を数える。
6月21日の出撃では、零戦にとって限界と言える500キロ爆弾を搭載し、あとの出撃では250キロ爆弾を機体の腹に抱いていた。
 海軍の特攻隊は、「索敵攻撃」、つまり敵艦隊を探しながら飛行し、見つけたら突入するという方法をとることが多く、予定海面に敵艦が発見できなければ帰還することが許されているから、何度も出撃を繰り返しながら生還した人はめずらしくない。
それでも、小貫の5回というのは、大義隊のなかで最多だった。
 「毎日、出撃状態で搭乗員が待機している。
日によって飛行機の整備状況は違うし、索敵機の敵艦隊発見の報告を受けて出撃するから、搭乗割が決まるのは当日のことです。
 出撃命令を受けると、飛行機は掩体壕に隠してあるから、近くても500〜600メートルの距離を、仲間の搭乗員や整備員と歩くことになります。
飛行機が離陸するまでは、やはり後ろ髪を引かれますね。
怖いのを通り越して、どうして俺、18や19で死ななきゃならないのかな、まだ世の中のことを何も知らないのに、人生これで終わるのか、いやだなあ、親孝行もできなかったな、などといろいろ考える。
 でも、離陸して編隊を組んでしまうと、気持ちが吹っ切れて、よし、一番でかいのにぶつかってやれと、意識が敵のほうに向くんです」

 上空で編隊を組むと、互いに手信号で確認しあって、機内からワイヤーでつながっている爆弾の安全栓を左手で抜く。信管に直結する発火装置の風車が回りだし、零戦の腹に抱いている爆弾は即発状態になる。これは、フィリピンでの山脇飛長機の不発を受けて、離陸すれば互いに確認しあうようになっていたのだ。
 だが、目標の位置については数時間前の索敵機の情報が元になるので、予定地点に着いても敵艦隊はすでに移動しており、姿が見えないことが多かった。
 「一回目の出撃で予定地点に敵を見ず、指揮官機が爆弾を投棄し、引き返す合図をしました。ホッとしました。
引き返すとなると、こんどは、次の出撃のために飛行機を無事に持って帰らないといけない。
機銃をおろして機銃弾も積まずに出撃することもありましたから、途中で敵戦闘機に襲われないかという、行きとはまた違った恐怖心が湧いてきます。
 着陸すると、今日は生き延びたという安堵感や喜びの気持ちが広がりますが、それもつかの間、また次の出撃が待っている。
その繰り返しで、そのたびに寿命が縮む思いがしました。

二度、三度と特攻出撃を繰り返し、自分の隣の索敵線を飛んだ仲間が敵艦と遭遇して突入した情報を聞いたりしたりているうち、だんだん、戦友がみんな死んでるのに自分が生きているほうがおかしいと、意識が変わってきました。
 出撃前の別杯も、最初はお神酒だったのが、次は水盃、あとになったらそんなこともしなくなった。
見送るほうの感覚も麻痺してきたのかもしれません」

終戦の日、悔しいフリをしながら体の内では歓喜が
 8月15日、全機特攻出撃の命令を受け、台湾・宜蘭基地で6度めの出撃準備を整えていた小貫は、出撃中止を告げられて戻った防空壕で、たまたまそこに集まった15名ほどの特攻隊員とともに、玉音放送のラジオを聴いた。
 「玉音放送は、雑音が多くてよくは聞き取れませんでしたが、戦争が終わったことは理解できた。
そのときみんなの表情がね、頬が緩んでピクピクしてるんですよ。それを表に出さないように我慢してる姿がね。
戦争に負けたのは理屈では口惜しいんだけど、死なずにすんだという喜びがどんどん湧いてくる。
みんな悔しいフリはしていますよ。

『デマ宣伝にだまされるな! そうだそうだ! 戦闘続行! 』なんて口々に言いながら、頬が緩んでる。
身体がよじれるような、踊り上がりたいような喜びが体の内から湧いてくる。
戦争に負けた悔しさとこれとは、とりあえず別ですよ。
人間の生存本能じゃないでしょうかね」

 終戦で、小貫は一等飛行兵曹に進級した。
台湾には、中華民国軍が、GHQの委託に基づき、日本軍の武装解除のために進駐してきた。
中国軍の占領方針は、蒋介石総統の「怨みに報いるに徳を以てせん」の言葉どおり、旧怨を感じさせない紳士的かつ穏やかなものであった。
 終戦とともに、二〇五空は台中の東側の山裾にあった新社基地に移った。
宿舎が「収容所」と名を変えただけで、中国兵による監視もない。
日本軍将兵は最後まで階級章をつけ、帯刀や拳銃の所持も許され、互いを呼ぶときも官職名のままである。
 日本に帰れるのは何年先になるか、予想もつかなかった。

小貫たち二〇五空の隊員は、整地した三反歩(約九百坪)の畑を借り受け、自給自足の準備を始めた。
農作業の傍ら、大学卒の予備士官が教官となって、若い隊員たちがこの先、生きていくのに困らないようにと、数学、歴史、英語、修身から北京語まで、テストを交えながらの座学も行われた。
 いつ来るとも知れなかった帰国のときは、意外に早くやってきた。
 昭和20年12月26日、突然、二〇五空の隊員に帰国命令がくだる。
その日のうちに台中を引き払うことになり、ここではじめて武装解除を受けた。飛行機をもたない搭乗員の武装は軍刀と拳銃だけだが、それらを中国軍に引き渡す。
 持ち物は、現金1200円と砂糖を少し、それに落下傘バッグ(50×50×20センチほどの四角い帆布製手提げ鞄)に入る身の回りのものだけと決められた。
 基隆港の倉庫で一泊ののち、12月27日、兵装を撤去した小型海防艦にすし詰めの状態で乗せられ、台湾をあとにした。
二日め、波が静かになった。
島が見えた。  
「オーイ、日本が見えたぞー!」  と、皆で口々に叫んで指さしながら、生きて祖国の土を踏めることを喜び合った。

「特攻くずれ」の罵声を反骨心のバネに
 ――しかし、命がけで戦って帰った若い彼らを迎えたのは、焦土となった故郷と、敗戦と窮乏に荒んだ人々の心だった。  小貫が、同郷の戦友と二人で、元軍人ばかりの復員列車から満員の東北本線の一般列車に乗り換えると、乗客の間から、  「お前らのせいで戦争に負けたんだ。馬鹿野郎!」  と罵声が飛んだ。

 客室に入るに入れず、マラリアの再発で高熱を出し、震える戦友を介抱しながら、夏用の飛行服姿のまま、寒風の吹きぬけるデッキにうずくまって、故郷の駅に着くのを待つしかなかった。
遺書が届いていたので、家に帰ると、予科練時代の写真が大きく引伸ばされて仏壇に飾ってあった。

 復員した小貫は、地元で農林省の食糧検査員を二年間務めたあと、東京に出て繊維加工会社に就職した。
結婚して杉田と姓が変わり、そして昭和42(1967)年、独立して空調用エアーフィルターの製造会社を経営する。
戦地帰りの若い旧軍人に投げかけられた『特攻くずれ』、『予科練くずれ』といった心ない言葉が、仕事の上でも反骨心のバネになったと、小貫は回想する。

 「困ったときに特攻隊でのことを思い出すと、これは強いですよ。
戦争で死んだはずの身、敵艦に突っ込んで死ぬほどの気概でやればできないことはない、と気持ちを奮い立たせるんです。
私が海軍にいたのは、17歳から19歳のわずか2年と数ヵ月。でもそのわずかの期間の経験が、私の土台をつくってくれた。
できれば、いまの若い人たちのように、恋をしたり遊んだり、楽しい青春時代が欲しかったなあ、と思うこともありますが……」

 小貫はまた、全予科練出身者の集いである、財団法人海原会の副会長を長く務め、戦没搭乗員の慰霊、戦友の遺族の世話にも積極的に取り組んでいた。
 「いまでも毎朝、仏壇に線香をあげて仲間の冥福を祈っています。
死んだ連中は年をとらない。
思い出すと、取り残されたようで寂しいものですよ。
私が生き残ったのは、たまたま私が飛んだ索敵線上に敵艦がいなかったからで、偶然にすぎません。
生ある限り、彼らのことを忘れずにいるのが自分に課せられた使命だと思っています」

 戦友の霊を慰めることは、小貫にとって、戦争で失われた青春を取り戻す終わりのない旅であり、『特攻くずれ』としての意地でもあったのだ。
 平成30(2018)年2月22日、死去、享年91。
いまでは数少なくなった戦場の生き証人が、また一人、姿を消した。
 戦没した零戦搭乗員は4330名。
終戦時生存者は、訓練中の者をふくめ3906名。そのほとんどがすでに物故し、戦後75年のいま、健在が確認されているのは数十名にすぎない。
 戦争の惨禍を「忘れてはならない」とか、「後世に伝える」という言葉をしばしば耳にするけれど、「忘れない」にしても「伝える」にしても、その前提となるのは、現実にあったことを「知る」ことだ。
体験者の声を生で聞くことはもはや難しくなりつつあるが、いかにそれを伝え残してゆくかが、ふたたび悲劇を繰り返さないための喫緊の課題であると言えるだろう。
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2020年07月21日

精神科医が「職場の人間関係は悪くて当然」と断言するワケ

精神科医が「職場の人間関係は悪くて当然」と断言するワケ
2020.7.20 ダイヤモンドオンライン
樺沢 紫苑:精神科医、作家

「全員仲良し」なんてありえない
「職場での人間関係」に関するある調査では、84%もの人が問題を抱えているというデータがあります。
さらに、転職者に対する別の調査では、「人間関係が転職のきっかけになった人」が、53%にも及んでいます。
「うちの会社は人間関係がよくない」という話をよく聞きます。
逆に、「うちの会社は人間関係が最高だ」「こんなに働きやすい職場はない」という話は、滅多に聞きません。
なぜでしょう。
それは、「すべての職場は人間関係がよくない」からです。

私は、今まで10ヵ所以上の病院で勤務してきましたが、「人間関係がとてもよかった」という病院は、1ヵ所もありませんでした。
どんな組織でも、数十人から数百人のバラバラな性格の人が集まっているので、全員が仲良しというのは、ほぼありえない話です。
たとえば、小学校、中学校、高校のクラスを思い出してみましょう。
40人ほどのクラス全員が仲良しで、いじめや仲間はずれなどまったく存在しない、人の悪口を言う人も誰もいない。
そんなクラスが存在したでしょうか。
あなたは自分の職場を「人間関係が険悪」と思うでしょうが、多くの職場を見てきた私から言わせると、それはごく「普通」のことです。

「職場の人間関係はよくない」のがスタンダードなのです。
ですから、「職場の人間関係が悪い」という理由で転職すると、次の職場も「人間関係が悪い」、また次の職場も「人間関係が悪い」と、何度転職しても、理想の職場は見つからないはずです。
考え方を変えるべきなのです。

職場の人間関係は深めるな
「対人関係の三重円」という考え方があります。
円の一番内側が、「重要な他者」である家族や恋人、親友。
円の2番目が、友人や親戚。
円の一番外側が「職業上の人間関係」です。
つまり、「職場の人間関係」は、心理学的に見ると重要ではないのです

それなのに多くの人は、「職場の人と仲良くなる」ことを重視し、「友人」と同レベルに親密度を深めようと膨大な時間と精神エネルギーを費やします。
結果として、精神的に疲弊し、「今の職場を辞めたい!」と思うのです。
「まったく話をしない」「目も合わせない」「相手を引きずり下ろすための嫌がらせが日常茶飯事」など、仕事に支障をきたすと困りますが、職場の人間関係は最低限のコミュニケーションがあれば十分なのです。

社会人になってすぐの人は、それまでの人間関係を引きずります。
たとえば、「高校、大学のクラスメイト」や「部活の仲間」のイメージで、「職場の人間関係」をとらえます。
ですから、職場の仲間とも、今までの「友人」と同じような「深い関係」を築こうとする。
結果としてそれは実現されないので、悩み、疲れるのです。

職場の人間関係は、もっと「ドライ」でいいのです。
職場の人と「仲良くなろう」という意識を捨てましょう。
「仲良くなる」や「好かれる・嫌われる」ではなく、報告・連絡・相談など仕事に必要なコミュニケーションをすることのほうが、100倍、1000倍重要です。

チームは「8人」が限界
Amazon創業者のジェフ・ベゾス氏の「2枚のピザ理論」という考えがあります。
チームの仕事を効率的に行うのに適切な人数は、ピザ2枚でまかなえる人数。
つまり、5〜8人程度の人数。
10人を超えると、相互の意思疎通が希薄になり、仲間割れがおきる、派閥に分かれるなど、チームワークが破綻する可能性が高いのです。
「ピザ2枚で空腹を満たすことができない人数で会議をしてはならない。」  ―― ジェフ・ベゾス(Amazon創業者)

「すべての職場は人間関係がよくない」と書きましたが、例外もあります。
8人以下の職場であれば、「全員と仲良し」ということは、十分にありえます。
私の経験でも、外来部門だけだと、医師、看護師、事務員で5、6人ほどのチームとなりますから、全員と意思疎通ができてとても仕事がしやすいというところもありました。
中小企業や、小さな部署、自分が所属する5〜8人以下のチームなど「小グループ」であれば、コミュニケーションがとりやすく、関係性が密になりやすいのです。
ですから、それ以上の人数がいる組織では、「全員と仲良くしよう」という発想に無理があります。

あなたのことを嫌う人もいるのは当然。
あなたが、好きになれない人がいるのも、実に当然の話です。
逆に言うと、「会社全体の人間関係」が悪かったとしても、あなたの所属する5〜8人程度のチーム内で、コミュニケーションがとれていて、まずまずの人間関係ができていれば、仕事上、大きな支障にはなりません。
そして、それは個人の努力でも、ある程度は実現可能なはずです。
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2020年07月22日

精神科医による「職場での孤独」を打ち破る方法

精神科医による「職場での孤独」を打ち破る方法
2020.7.21 ダイヤモンドオンライン
樺沢 紫苑:精神科医、作家

 コロナ禍や自粛生活などの「環境の変化」により、多くの人が将来への不安を抱え、「大きなストレス」を感じています。 ストレスを溜め込みすぎると、体調を崩したり、うつなどのメンタル疾患に陥ってしまいます。

あなたの味方を「たった1人」だけ作ろう
職場での孤独や人間関係で悩むことは多いと思います。
そのとき、気軽に相談できる人がその中に1人いるだけで、精神的に楽になります。
人間は「孤独」が一番つらいものです。

誰にも相談できないと、ストレスは溜まる一方です。
アドバイスや助言ももらえないと、八方塞がりで事態はさらに悪化していきます。
先輩や同僚などに「あなたの味方」「相談相手」が1人いるだけで、職場のストレスは大きく減じ、問題解決に向かいます。

「キーマン」という概念があります。
直属の上司や部下など、職場でいちばん大切な人のことです。
その「キーマン」と「相談相手」の計2人との人間関係に集中するだけで、ものすごく仕事がしやすくなります。

「人間関係の輪」に入れないワケ
新しい職場に勤めはじめた場合、「自分だけ浮いている」「自分だけ仲間の輪に入れていない」と思う人も多いでしょう。
あなた以外の社員は、5年、10年、20年も、その会社に勤めているなら、中には、10年以上も同じ部署にいて毎日顔を合わせている人もいるはず。
その人たちが、仲が良いのは当然でしょう。
その輪の中に、新参者のあなたがいきなり入って、すぐに溶け込むのは、不可能としか言いようがありません。
だから、新しい会社に勤めると多くの人は、「自分だけ輪に入れない」「自分にだけよそよそしい感じ」を受けるかもしれませんが、悲観する必要などありません。

「信頼関係の5ステップ」という概念があります。
どんな人間関係も、「警戒」「疑心」「理解」「共感」「信頼」という5つの段階を踏んでいきます。

最初のステップは「警戒」です。
あなたが、職場の人間関係を「警戒」の目で観察しているのと同様に、職場の人たちは「新参者」であるあなたを、警戒の目を持って、あなた以上に観察しています。
「この新入りは、どれだけ仕事ができるのか?」「仲間として活躍してくれるのか?」「前向きに仕事に取り組んでいくのか?」「今どきの若者は、すぐに辞める奴が多いから、こいつもそうじゃないか」と、「期待」に加えて「不信」「危惧」「心配」など、複雑な感情を持ちながら、あなたの一挙手一投足を観察しています。

そこであなたができることは、自らが「警戒」や「疑心」を解きながら、「理解」に向けて進むことです。

なんといっても成果を出すこと
あなたが職場で理解されるもっとも確実で、簡単な方法は「仕事で成果」を出すことです。
職場の人があなたに望んでいるのは、「良好な人間関係」ではありません。
「仕事ができるかどうか」「与えられた仕事がきちんとこなせるか」「早く一人前の会社の戦力となって、自分たちを助けてくれるか」という点です。
ですから、「この会社は人間関係がよくない」と言っているヒマはありません
あなたがすべきことは、一刻も早く仕事を覚えて、一人前の戦力となり、バリバリと働くことです。
そのことによって人間関係は「共感」「信頼」へとステップアップします。

「職場の人間関係の輪に入れない」という人は、順番が逆なのです。
あなたが仕事で結果を出し、その対価として「信頼」が与えられるのです。
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2020年07月23日

「死んでも睡眠は削るな!」コロナ禍に精神科医が断言するワケ

「死んでも睡眠は削るな!」コロナ禍に精神科医が断言するワケ
2020.7.22  ダイヤモンドオンライン
樺沢 紫苑:精神科医、作家

 コロナ禍や自粛生活などの「環境の変化」により、多くの人が将来への不安を抱え、「大きなストレス」を感じています。  ストレスを溜め込みすぎると、体調を崩したり、うつなどのメンタル疾患に陥ってしまいます。

「眠れない」を放置するリスク
そもそも、「眠りの質が悪い」とはどういうことでしょうか。
脳と体には「睡眠」というシステムがあります。
疲労回復、免疫力アップ、新陳代謝、細胞修復、脳内の情報の整理などの役割を持ちます。
睡眠は生物にとって絶対に必要な機能なのです。

「眠れない」というのは、生物にとってかなりの異常事態です。
不規則な生活やストレスなどによって、「正常な睡眠機能」が破綻したということです。
人間の体には、「自然治癒力」が備わっています。
昼もある程度働きますが、免疫活動が活発になる「睡眠中」にこそ自然治癒力は働きます。
睡眠時間が短かったり、睡眠の質が悪かったりすると、自然治癒ができず、やがて「病気」を発症します。

「眠れない」というのは体からの「警告」です。
その警告に耳を傾け、不摂生な要素を取り除かないと、あなたはメンタル疾患や心筋梗塞、脳卒中などの身体疾患、あるいは突然死や過労死のリスクを抱えることになります。

「眠れない」は、「健康」と「病気」の中間、「未病」の状態なのです。
慢性的な不眠を抱えている人といい睡眠がとれている人とでは、うつ病の発症率は40倍の違いがあります。
認知症のリスクの差は5倍にもなります。
あらためて、質の悪い睡眠を放置すると、極めて高い確率で病気になることを知っておきましょう。

逆にいうと、生活習慣さえ改善すれば、健康で長生きができるのです。

睡眠不足の3大デメリット
睡眠不足が健康に悪いというのは知っていても、本当の睡眠不足の恐ろしさを多くの人は知りません。
睡眠不足のデメリットは、大きくまとめると3つあります。

(1)病気になる(寿命が縮む)
睡眠不足による病気のリスクを、たくさんの研究が示しています。
睡眠6時間以下の人は、そうでない人と比べて、がんが6倍、脳卒中が4倍、心筋梗塞が3倍、高血圧が2倍、糖尿病が3倍、風邪が5倍のリスクです。
死亡率が5.6倍も上がるという研究もあります。

健康に悪い生活習慣は「喫煙」が一般常識ですが、「喫煙よりも睡眠不足のほうが健康に悪い」と主張する研究者も多くいます。
若い頃は大丈夫と思っていても、そのときの睡眠不足が、10〜20年してから「生活習慣病」としてあらわれてきます。

(2)仕事のパフォーマンスが下がる
睡眠不足の人は気づいていませんが、睡眠を削ると脳のパフォーマンスは劇的に下がります。
6時間睡眠を14日間続けると丸2日徹夜したのと同程度の認知機能になります。
つまり、毎日6時間睡眠を続けている人は、「毎日徹夜明けで仕事をしている状態」で仕事をしているということです。

睡眠を削ると、集中力、注意力、判断力、実行機能、即時記憶、作業記憶、数量的能力、数学能力、論理的推論能力、気分、感情など、ほとんどすべての脳機能が低下することが明らかになっています。
睡眠不足の人は、本来持つ能力の3〜5割減くらいの能力で、毎日仕事をしているのです。

(3)太りやすくなる
「睡眠を削ると太る」というリスクもあります。
ダイエットを失敗する人が多いのは、睡眠不足の状態でダイエットをしているからです。
睡眠時間と肥満についての研究では、睡眠時間5〜6時間で1.2倍、4〜5時間で1.5倍、4時間以下では1.7倍も太りやすくなるそうです。
「睡眠不足の人は、1日385キロカロリー余計に摂取している」というデータもあります。

睡眠不足の人は、猛烈に食欲がアップします。
睡眠不足によって、食欲増進ホルモンのグレリンの分泌が増え、食欲抑制ホルモンのレプチンが減り、ショ糖、脂肪、ジャンクフードの摂取欲求が増えます。
食欲が増え、甘い物や油っぽいものを食べたくなるのです。

睡眠不足になると、体は「危険性」を感じて、必死でエネルギーを蓄えようとするのです。
痩せたければ、「ダイエット」の前に「睡眠」です。

必要な睡眠は「何時間」なのか
さまざまな研究とデータがあるのですが、必要な睡眠時間は、質のいい睡眠を「7時間以上」というのがひとつの答えです。 カリフォルニア大学の睡眠時間と死亡率を調べた研究によると、睡眠時間「6〜7時間半」の人が、最も長生きをしています。それより睡眠時間が短くなると、死亡率が高まります。

睡眠時間と死亡率の関係は、V字形となります。 厚労省の調査では、40代の約半数が睡眠6時間未満で、5人に1人が睡眠に関する悩みを抱え、20人に1人が睡眠薬を服用しているのが現実です。
多くの日本人にとって、睡眠は深刻な問題です。
7時間以上の睡眠を確保しましょう。

「睡眠ファースト」で1週間を過ごそう
睡眠不足の自覚がある人は、「睡眠時間を1時間だけ増やすこと」からはじめるといいでしょう。
「1週間だけ」でいいので、いつもより1時間早く寝て、1時間睡眠を増やしてみる。
スマホ、テレビ、ゲームなどの余暇時間を削ったり、掃除や洗濯などの家事を少々サボってでも、睡眠時間を増やします。
たった1時間増やすだけで脳の機能は著しく改善します。
仕事のパフォーマンスは上がり、生産性は上がります。
仕事が早く切り上げられるようになれば、そこでさらに睡眠時間が確保しやすくなるでしょう。
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2020年07月24日

身近な詐欺被害

身近な詐欺被害
2020年07月23日 SPA!
多田文明.悪徳商法評論家

平穏な日常にある日突然“修羅場”が訪れる。
見て見ぬフリをしているだけで、誰もが常にそんなリスクと隣り合わせで生きている。
一寸先は闇、人生の落とし穴にハマったとき、生還できるかどうかの分岐点はどこにあるのか?
修羅場を突破する秘策がここにある!

◆「老後資金2000万円説」の不安につけ込まれ、なけなしの貯金をむしられる
●安岡 博さん(仮名・42歳)/建設業
 昨年、頻繁に耳にした「老後資金には2000万円必要」という話に40代の自分は焦りました。
そんなとき、資産運用系のオンラインサロンで仲良くなった人から、「老後資金づくりにもってこいの投資があるんです。500万円預けてくれれば、毎月配当金が20万円。
50歳までには2000万円貯まるので、老後も安心ですよ」と誘われ、つい心が動いてしまいました。

最初の数か月は配当がありましたが、半年とたたず音信不通。
なけなしの貯金を失い、今、老後資金はゼロです。

===
「昨今の手口は、出会いの場を利用し、相手の信頼を得てから騙すのが常套」と語るのは、悪徳商法評論家の多田文明氏。
特に多いのがSNSでの出会いだ。
「ツイッターやLINEなどの頻繁なやり取りを通じて親近感を獲得し、『こんないい人が嘘をつくわけない』と相手に思わせた上で騙すケースが多い。
流行のオンラインサロンでも、参加者の仲間意識を利用し、主宰者の知らぬところで詐欺が横行する例もあります」

 では、悪徳商法のトラブルを回避するにはどうすべきか。
「仮想通貨などの投資話で多いのですが、見知らぬサイトで何かを申し込む場合は、そのサイトの広告文、申し込み画面、完了画面まで、すべてキャプチャーしておくこと。
実はすごく小さな文字で免責事項が書いてあることもあるし、後日サイトが削除されても、証拠として提出できます」

 また、世間話感覚でも、相手の勧誘に安易に同意するのはNG。
「『いいですね』『はい』などの肯定的返答は同意とみなされ、契約が成立してしまうこともある。
また、SNS上で知り合った相手から『会おう』と言われた際は『目的を教えて』と告げる。

食事など別の理由で会ったのに、マルチに勧誘するのは法律上アウト。
事前に目的を確認し、身を守りましょう」

◆<悪徳商法・詐欺被害の突破術>

1:HPや先方とのやりとりは、キャプチャー&保存するのが鉄則
2:「いいですね」「はい」などの肯定的返答は絶対に発しない
3:ネット上だけの知り合いから会いたいと言われたら、目的を確認

<取材・文/週刊SPA!編集部>
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2020年07月25日

「私たちは苦しみの多い社会をどう乗り切るか、という宿題を与えられ生きている」

「私たちは苦しみの多い社会をどう乗り切るか、という宿題を与えられ生きている
2020年07月24日 日刊ゲンダイ
篠原鋭一.千葉県成田市の曹洞宗長寿院住職

【Q】友人たちと居酒屋に行ったりで、女性のいる飲み屋さんに行くのが楽しみで、それを元気の糧に仕事をしていたのですが、コロナ以降、飲み会がほとんどなくなってしまい、女性のいる店も行けない雰囲気になって、ストレス解消ができません。
ひとり暮らしなので、家に帰っても寂しいだけで、悶々とする日々を送っています。

【A】お酒なんかひとりで飲んでいればいいんですよ。
コロナというこんな事態がなかったら、毎晩毎晩新橋や新宿で飲み歩いていいたような人は、いまが自分を見つめなおすいい機会です。
どうせ飲み歩いても中身のある話なんてしないんですから。
ひとりで飲む酒を楽しめばいい。

 私は成田空港の近くの長寿院という寺の住職をしているのですが、いまはコロナで飛行機があまり飛ばなくなって、本当に静かなんですね。
そこで静かにひとり酒を飲んでいると、竹のすれる音とか、虫や鳥が鳴く音とか、いままでも聞いたこともあるような気がするけど、こんなにたくさんの種類があったかなあ、という音が、たくさん聞こえてきます。
そんななかでひとり酒を飲んでいると、まるで俳人の松尾芭蕉の時代に還ったかのようで、実に味わいがあります。

 そうしてひとりで酒を飲んでいると、ある種の瞑想の時間のようになって、いままで気付かなかったことや思いつかなかった考えが、ふっと浮かんでくる。
インドでは古来から人生を学生期、家住期、林住期、遊行期と分けて、年齢によって生の在り方が変化していくと教えます。そのなかで中年を過ぎると林住期といって、森林に隠栖して修行する時期が来るというのですが、そういう得難い時が来たと思えばいい。

自分の人生の生まれてから今までをゆっくり思い返して、ありがたい時間を持つことができたなあ、と思えばいいんです。
そのほうが、お姉ちゃんたちと騒いで飲んでいるよりよっぽどいい。
自分の部屋だと雑音が多くて静かな気分にならないというのなら、ぜひ長寿院までいらっしゃい。
ソーシャルディスタンスで私とは2メートル離れて、ゆっくりお酒を飲めばいいでしょう。

 コロナのためにあれもできなくなった、これもできなくなったとマイナスでばかり捉えるから、苦しみばかりがつきまとってしまう。
もともと世の中自体に不安がつきもので、私たちは不安と同居しながら生きていくものなのです。
だからこの世界を娑婆、苦しみの多い社会と呼ぶのです。
私たちはそんな社会をどう乗り切っていくかという宿題を与えられながら生きている。

この答えを見つけにいくのが面白いととられられたら、物の見方が変わってくる。
自分の生きている時代に、こんな大変化に遭遇した。
これは面白い。
この大転換期に遭遇して、自分という人間の在り方はどう変わっていくだろうかと、面白がる気持ちになれば、苦しさもなくなります。

飲み歩いて騒いで、落ち着かない疲れる生活から、静かにひとりを楽しむ生活に、一段階上昇したと思えば、残念がる理由など何もないはずですよ。
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2020年07月26日

精神科医が「これだけは食べていい!」と断言する5つの食べ物

精神科医が「これだけは食べていい!」と断言する5つの食べ物
2020.7.25 ダイヤモンドオンライン
樺沢 紫苑:精神科医、作家

「いい、悪い」は議論されている
「健康にいい食べ物は何ですか? 健康に悪い食べ物は何ですか?」「結局、何を食べていいのかわかりません」と思っている人は多いでしょう。
しかし、たくさんの本や論文を読んで研究していると、それぞれで書いてある内容が異なり、似た研究でも実験結果が相反することも多くあります。
学者によっても議論が巻き起こる食事ですが、その中でも、「これだけは知っておいたほうがいい」という内容だけを厳選してまとめます。

これが科学的に正しい「5つ」だ!
科学的に健康にいいとされている食べ物は何でしょうか。
数多くの研究によって本当に健康にいい、つまり脳卒中や心筋梗塞、がんなどのリスクを下げると考えられている食品は、次の5つです。

1 魚
2 野菜と果物(フルーツジュースとじゃがいもは含まない)
3 茶色い炭水化物(玄米、蕎麦、全粒粉のパン)
4 オリーブオイル
5 ナッツ類

逆に、健康に悪いと考えられているのが、
「赤い肉(鶏肉は含まない。ハム、ソーセージなどの加工肉は特に悪い)」
「白い炭水化物(白米、うどん、パスタ、小麦粉を使ったパン)」
「バターなどの飽和脂肪酸」です。

健康に悪い3つの食品を避けて、健康にいい5つの食品を増やすのが、最も科学的に健康な食事法です。

「白米よりも玄米。
肉よりも魚。
バターよりもオリーブオイル。
間食にナッツをつまむ」という食事が、科学的根拠に基づいた健康的な食事と言えます。

その他、健康にいい可能性が高い食べ物
白米が「健康に悪い食品」に分類されるのは意外ですが、精米した白米は栄養や食物繊維などが取り除かれてしまい、また血糖も上昇しやすいため、たくさんとると糖尿病のリスクを高めます。
玄米は、「完全栄養食」と言われています。
ビタミン・ミネラル・食物繊維を豊富に含んでおり、人間が健康を保つために必要とされる栄養素のほとんど(ビタミンC以外)を摂取できるためです。

玄米は、「硬い」「炊飯時間が長くかかる」というイメージがありますが、白米と比べて水を2〜3割多く入れて、一晩吸水させると、普通の炊飯器で白米とさほど変わらない軟らかさに炊くことができます。

他にも、健康にいい可能性が示唆された食品は、「ダークチョコレート」「コーヒー」「納豆」「ヨーグルト」「酢」「豆乳」「お茶」が挙げられています。
ぜひ、取り入れてみてください。
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2020年07月27日

同じことをして「楽しめる人、楽しめない人」たった1つの思考の違い

同じことをして「楽しめる人、楽しめない人」たった1つの思考の違い
2020.7.26  ダイヤモンドオンライン
樺沢 紫苑:精神科医、作家

せっかくの人生、楽しんだほうがいい
同じことをしていても、「楽しめる人」と「楽しめない人」に分かれます。
物事はすべていい面と悪い面を持ち合わせているので、そのどちらを見るか。

1日を振り返って、良かったことと悪かったことが2つあったとき、そのどちらにフォーカスするかで人生は決まります。
せっかく同じ人生を送るのなら、物事のいい面を見つけ、人生を楽しんだほうが幸せです。
その考え方について見ていきます。

「楽しいこと」を脳がブロックしていないか?
「人生を楽しむ人」には重要な共通点があります。
それが「素直さ」です。
「素直さ」は、成功の条件としてもよく出てくるキーワードです。

偏見や先入観を持たずに「ニュートラル(中立)」な状態になることです。
多くの人は先入観を持っています。
「そんなことをやっても、つまらないに違いない」「前も同じパターンで失敗しているから、今度も失敗するに違いない」など、先入観は過去の経験に大きく縛られ、行動に制約をかけます。
そんなときに、ニュートラルな状態になれれば、他の人からアドバイスや助言を受けたときに、「とりあえずやってみよう」と、素直に受け入れることができます。
それにより、チャンスや出会いが広がり、当然、「楽しいこと」「おもしろいこと」と出会える機会も増えます。

先入観が強いと、それを失い、今と同じような生活を繰り返します。
よって、「楽しいこと」「おもしろいこと」が起きるはずがないのです。
どんなに素晴らしい情報でも、ニュートラルな状態でないと、脳はその情報をブロックします。
聞いているのに、右から左へと、情報が抜けていくのです。

「とりあえずやる」が最強の戦略
素直になるためには、「とりあえずやってみる」ということです。
「この本、おもしろいよ」と言われたら、とりあえず読んでみる。
「あの映画、すごかったよ」と言われたら、とりあえず観てみる。
「今度のパーティー、ぜひ来てよ」と誘われたら、とりあえず行ってみる。

先入観を取り払い、相手の「おすすめ」や「誘い」を信じて、受け入れてみるのです。
その先には、無限の出会いとチャンスが広がっています。
おもしろいことや楽しいことは思わぬところからやってくるものです。

「宝物」はどこにある?
日々、私たちが生活している領域が、「コンフォートゾーン(快適領域)」です。
いつも行く場所、いつも会う人、いつも食べるもの。
それが、コンフォートゾーンです。

日々の生活が「楽しい」と思えないのなら、それは「今のコンフォートゾーン」の中に「楽しいこと」がないのです。
「楽しいこと」はコンフォートゾーンの外にあります。
コンフォートゾーンの外には、無限の世界が広がっていて、勇気を出して、外の世界に足を踏み出すことで、「宝物」(楽しい、幸せ)を発見できます。
「宝物」は、初めての場所、人、イベント、お店などに隠れています。

もちろん、コンフォートゾーンから出ることは、「苦しいこと」「困難なこと」への挑戦でもあります。
しかし、そこにはあなたの無限の可能性が秘められています。
勇気を出して一歩を踏み出し、人生を楽しんでみましょう。

「ウィッシュリスト」を書いてみよう
先ほどのコンフォートゾーンは、外側からのアプローチでしたが、内側からのアプローチもあります。
自分にとって何が楽しいのか、何をしたいのか、何を実現したいのか、何を手に入れたいのかを明らかにするのです。
そのためには、「ウィッシュリスト」がおすすめです。
ウィッシュリストは、1年ごとに振り返り、どこまで達成したかを評価し、そのアップデートをしましょう。

私の場合は、ウィッシュリストに書いた内容は1年で半分、2〜3年で7〜8割が実現しています。
「願望」「夢」「目標」を好きなだけ書いて、7〜8割が実現するわけですから、書かないほうが損です。

それでは、なぜ、ウィッシュリストは書くだけで実現するのでしょうか。
それは、自分の「やりたいこと(Wish)」に対して、脳のアンテナが立つからです。
たとえば、「ハワイに行きたい」と書いたとしましょう。
あなたの友達から「今年の夏休みはハワイに行きたい」と話が出たときに、「じゃあ一緒に行こう」と瞬時に反応することができます
もし、ウィッシュリストで願望が顕在化していないと、「いいね」だけで終わってしまいます。

ウィッシュリストを書くことで、それに関する情報が目につくようになり、実現へのスピードがより速まるのです。
新年や年度初めなどに、年間の目標を立てる人は多いでしょう。
そのときに、「遊びの年間目標」を書く人は少ないと思いますが、ぜひ書き入れてください。
私の場合は、「年間120本の映画鑑賞」「1年のうち6週間を海外で過ごす」という遊びの年間目標を作っています。

また、朝に今日1日の「ToDoリスト」を書く人であれば、そこにも「遊びのToDo」を書き込んでください。
「19時半から映画『○○』を観る」というように書けば、「じゃあ19時頃には必ず仕事を終えていないといけないな」と緊迫感が生まれ、仕事がはかどり、遊ぶことができます。
「平日に映画なんて観られるわけがない」と先入観を持っている人は、いつまで経っても変わりません。

「遊びの目標」「遊びのToDoリスト」を書くことにより、「遊び」の機会が増えるだけでなく、仕事のパフォーマンスも高まります。
ぜひ、人生を「楽しめる人」になってください。
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2020年07月28日

生活や人づきあいがちょっとラクになる「いい人」のやめ方

生活や人づきあいがちょっとラクになる「いい人」のやめ方
『他人のことが気にならなくなる「いい人」のやめ方』
2020.7.27 ダイヤモンドオンライン
名取芳彦(なとり ほうげん)真言宗豊山派密蔵院住職

『他人のことが気にならなくなる「いい人」のやめ方』の要点

(1)幼少期から他人の評価を受け続けて育った私たちは、人からの評価を気にしがちである。
それを認識し、人からどう思われるかを気にしない、自分流のやり方で幸せになれる目標に向かっていこう。
(2)あなた自身のやりたいことに取り組んでいれば、「我慢してまで叶えたい目標か」と考えることで嫌なことにノーと言いやすくなる。
目標を理由に気乗りのしない誘いを断ることもできる。
(3)ときには依存してくる人と一線を引いたり、関わりたくない人と縁を切ったりすることも必要である。
大切なのはあなたの今やこれからだ。

【必読ポイント!】
◆人と比べないラクな生き方のヒント
◇私はこれでいい  
私たちは小学校に入学して以来、他人の評価を受け続けて育ってきた。
そんな私たちが、人からの評価を気にするのは仕方のないことでもある。
人からの評価はよいに越したことはない。
自己肯定感も高まる。
しかしそのためにあえて媚を売ったりしていると、自分が嫌になってくることもあるだろう。
 そんなときこそ、人からどう思われるかを気にしないでいられる自分をつくるチャンスだ。

仏さまは、「慈悲で悟りを目指します!」などと向かうべき目標ややり方も自分で決めている。
私たちも自分流のやり方で目標に向かっていけば、人の目を気にする必要はなくなる。
ぜひ自分なりの幸せになれる目標を立てて、前に進んでみよう。

◇気づかいは疲れるもの
「人に気をつかって疲れる」と言う人がいるが、かといってわがまま人間になってしまうわけにもいかない。
人に気をつかうのは立派なことだ。
相手のためにする気づかいは人との関係をあたたかなものにしてくれる。

問題なのは、疲れてしまうことの方にある。
 気をつかったら疲れるのは当たり前だ。
そう思えば、疲れることに対して腹を立てなくなる。
その余裕を持つには、他人に気をつかわないでいい空間や時間を確保する必要がある。
散歩や読書、気のおけない人たちとの時間、のんびりした時間を意識的にもつようにすると、心のバランスが取れて、気持ちがラクになるはずだ。

◇仮面を外そう
 他人から期待される人物像に合わせて「いい人」「いい子」を演じる人がいる。
そうして仮面をかぶりつづけていれば、当然のように息苦しくなってくる。
 世間一般の「いい○○」のイメージはあまり当てにならないものだ。

たとえば、「いい子」は親の言うことをなんでも聞く孝行者のイメージがあるが、そのために自分の考えや価値観が持てなくなっては困りものだ。
「いい上司」の理想像は優しい人だと考える人もいれば厳しい人だと考える人もいる。
「いい部下」にしても従順、気骨がある、など人の好みはさまざまだ。

このような人物像をすべて網羅し、演じることは不可能である。
 周りから期待される人物像を演じようとするより、自分が理想とする人物像を思い描き、それに近づこうとするほうがよい。
自分の魅力や才能を発揮できるようになるだろう。

◆嫌なことを我慢しすぎなくていい
◇嫌なことにノーと言おう
 花を見て怒る人はいないので、仏教で花は優しさのシンボルである。
また、寒さに耐えて美しい花を咲かせることから我慢の大切さをも教えてくれる。
優しさと我慢の思いを託して仏壇やお墓に花を供えるとき、亡き人や仏さまはその心を3割だけ受け取り、7割をこちらに返すと言われている。

 我慢について知っておいたほうがいいのは、我慢は目標がないとできないということだ
誰でも我慢は嫌なものだが、「この目標を達成したい」という思いがあれば、耐える力が湧くものである。
 人から嫌なことをされたのにノーと言えない人は、我慢してまで叶えたい目標があるのかを考えてみよう。
嫌なことをされれば自尊心が傷つく。
それを放置していれば相手はますます図にのり、こちらの傷は増えていく。

自分に自信を持って、尊厳を大切にして生きるためには、「気分よく暮らしたい」といった目標を立てて、ノーと言えるようになることが大事だ。

◇愚痴は流していい
 愚痴はもともと仏教語だ。
仏教語大辞典には、「通俗には、心愚かなため、言っても効果のないことを述べたてるのを、愚痴をこぼす、という」とある。
つまり、愚痴は言っても効果がないものなのだ。
解決策を探そうとする「相談」とは異なり、愚痴の目的は不満を述べることにあるので、聞く側には忍耐が要求される。
ネガティブな人に接すると自分もつい暗くなってしまうが、こちらにも笑顔でラクに生きる権利があるのだから、負けてはならない。

「あの人が嫌い」と愚痴を言う人がいたら、「向こうもそう思っているよ」と言ってしまってもよい。
「あのやり方は納得できない」と否定的なことを言う人がいれば、「どんなやり方なら納得できる? それをあなたができる自信はある?」と詰め寄るフリをしてもよい。
対応したくなければ、「ネガティブなことばかりに聞こえるけど、何かいいことはないんですか?」とでも返す。
愚痴やネガティブな発言を重く受けとめる必要はないのだ。

◇えこひいきはどこにでもある
 龍には九匹の子どもがいて、その一匹が贔屓(ひいき)という。
姿は亀に似ていて、重いものを背負うのが好き。
神社仏閣では境内の石碑を支えていることがある。
これに「怙(頼りになるもの)に依る」という意味の「依怙」がついて、「えこひいき」だ。

 平等を前提にしない状況であれば、自分によくしてくれる人や好感を持ってくれる人をえこひいきするのは当たり前だ。
だからえこひいきに目くじらを立てても仕方がない。

問題になるのは、平等に対応すべき人が特別な人だけをえこひいきすることだ。
 仕事の場で、あまりにも上司のえこひいきが激しくて正当な評価が得られないのであれば、上司から気に入られるよう振る舞うか、いっそのこと転職するのもやむを得ないだろう。
えこひいきをする上司からの正当な評価などはハナから期待せずに仕事にはげむ。
その姿を陰から見てくれる人はいるものだ。

◆あなたの目標を大事にしよう
◇誘いより「やるべきこと」
 30代のころ、人づきあいのよかった先輩が、ある時期からレジャー系の集まりに参加しなくなったことがあった。
「最近つきあいが悪くなった」と陰口を言っていたが、先輩がカウンセリングの勉強を始めているという話を風の便りで聞いて、己の至らなさに気づいた。
先輩は自分の今やるべきこと、やりたいことに取り組んでいたのだ。
 それからというもの、誘いがあったら行けるようにと自由時間を確保するのに必死だった日常は変わった。

住職をしているお寺で写仏の会を立ち上げ、ライブハウスで声明のライブを行うことにしたのだ。
こうしてやるべきことができたので、仲間からの誘いを断らなければならなくなることが続いた。
 気乗りのしない誘いを断れないのは、「誘いを断ってまでやるべきこと」がないことが原因だ。
「月に10本映画を観ることにした」「今日はフルコースを家で作る」といった個人的な目標でも大義名分になり、誘いや頼まれごとを断る立派な理由になる。

周りに流されずにあなた自身のやりたいことに取り組めば、あなたの人生は前に動き出すはずだ。

◇固有の「らしさ」などない
「女は女らしく」「男は男らしく」という言い方があるが、「〜らしい」と一口に言っても、それぞれ抱くイメージは違うものだ。
仏教の「空(くう)」の教えでは「すべてのものに、変化しない固有の実体はない」と考える。
これを踏まえれば、固有の「らしさ」などは存在しないということになる。

 時代や国によって「らしさ」の定義は異なる。
自分にしか定義づけのできない「自分らしさ」であっても、時や状況とともに変化していくはずだ。
 すべてのものは変化し続けていて同じ状態のままではないのに、「これはこういうものだ」とレッテルを貼るのは、ただのこだわりにすぎない。
この場合のこだわりとは良い意味ではなく、「つまらないことにとらわれている」ことを意味する。
何かにこだわって1カ所に留まっていては、周りにある素晴らしい考え方や世界を知ることもできなくなってしまう。

「らしさ」を押し付けられたら、「レッテルを貼って物事を固定化して安心したいタイプの人なんだな」と受け流す。
自分も含めて、すべてのものの変化を楽しむようにしよう。

◆ときには縁を手放そう
◇依存してくる人とは線を引こう
 メールやSNSでのやりとりがなかなか終わらない人、返事をしないと文句を言う人がいる。
そんな人は「あなたと私は特別な関係だ」と一方的に思い込んで、「私との関係を大切にして!」と言ってきているようなものだ。
自立している人は豊かなネットワークを持って生きている、ということが見えなくなってしまうのだろう。
こういう困った人に調子を合わせていると、相手は自分が依存していることにも気づかず、ますますまとわりつくようになる。
この状態は相手のためにもならないし、自分の生活を守るためにもよくない。

「私は私でやりたいこと、やるべきことがあります」ときっぱりと伝えて距離をおく方が、お互いにとってよい方向へ向かえるだろう。
 メールで相談を受けたときは早い段階で、「私にメールしなくても笑顔でいられるようになるといいですね」と伝えている。
相手が依存状態になることを防ぐためだ。ブログのコメントを個人宛に送ってくる人は、自分が相手と「特別な関係」だと思っているので、「感想は誰でも読めるブログのコメント欄へお願いします」とつれない対応をする。
冷たいと思われるのは承知のうえで、自立した大人として距離をとっているのだ。
自分に依存しようとする人と距離をおくことを、そもそも冷たいと思う必要もない。

◇みんなに好かれる必要はない
 実生活での人づきあいは、自分の世界を広げてくれるものである一方、状況や相手によってはわずらわしいものにもなり得る。
したいことがあるのにそれを我慢して対応しなければならないような状況では、特に面倒に感じるだろう。

相手があまりにもこちらの都合を考えない場合には、自己主張も必要だ。
わずらわしさを感じる人にまでいい顔をしなくてもいいのだ。
私たちは、全員から好かれることも嫌われることもないのだから。

 あまり縁を持ちたくない人なのに向こうから媚びるように近づいてくる場合には、嫌われる勇気を持って、そっけない態度を取るのもやむを得ない。
たとえ相手を怒らせたとしても、あなたがその人とのつきあいを続けてストレスをかかえるのはよくない。
 縁は大切なものだが、ときには断ち切る勇気を持とう。
つながっていた縁を終わりにすることが大切な場合もあるのだ。

◇過去より今を楽しもう
 私たちが出会う人とのつながりは、永遠に持続するわけではない。
結婚して子どもができたら独身の人と話が合わなくなるように、かつて仲が良かった人と疎遠になっていくのは仕方のないことだ。
 そうして疎遠になる人がいる一方、新しい仲間も次々に現れる。
そうして仲良くなる人が増えるのだから、全員と関係を保ち続けることは不可能だ。
会うは別れの始まり」である。
仲が良かった人と疎遠になることを寂しく感じるのなら、縁をつなげられるよう、「お茶でもしない?」とこちらから連絡すればよい。
もちろん、そうして誰かに会う分、会えなくなる人も出てくる。

なくしたものを嘆くより、今あるものを大切に」と思えば、人生を振り返らずに進んでいける。
古きよき時代を懐かしむより、「今」と「これから」を楽しみにしよう。
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2020年07月29日

「コロナ第二波」の危機、「空気」が支配し続ける日本を批判する

「コロナ第二波」の危機、「空気」が支配し続ける日本を批判する
7/28(火)  現代ビジネス
堀 有伸(精神科医)

いま第一に行なわれるべきこと
 日本の社会や文化、政治について批判的なことを論じるのは控えようと思っていた。
 しかし昨今のCOVID-19感染症をめぐる状況を見聞し、やはりモヤモヤしてしまうことが多く、もう一度「日本的ナルシシズム」の批判を書こうと考えた。
 少なくない方がそうだと思うが、私もGo Toキャンペーンに賛成はできない。
観光業に従事している方々が逼迫していることは分かる。
 しかし、今、強調するべきことはそこだろうか。

無事に治療薬やワクチンが開発され、臨床的に安定的に使用されるようになり、事態が収束したとみなされるまで、まだしばらく時間がかかると予想される。
 その場合に、検査体制を拡充し、感染者や重症者が増えた場合に必要とされる物資・人員を確保するなど、国民の安全と安心を支える状況を準備することが、第一に行なわれるべきである。
 その後に、この感染症の影響によって経済的な苦境に陥らざるをえない人々への対策がなされるべきだ。

 しかし、その安全対策をなおざりにしたままで、「経済のことを軽くみて感染症の脅威を強調するのは誤り」といった空気をつくり、経済対策としても国全体というよりは、一部の業界を偏重している政策の実施を急ぐ為政者に、不信の念を持たざるをえない。

 原発事故が起きる前に津波による事故のリスクが指摘されていたのに、それを無視したことが大きな代償を要求したことを、もう忘れてしまったのだろうか。

オリンピック開催への執着
 現在の政府からはさらに、来年に延期されたオリンピック開催への執着が感じられる。
 これは、一つ一つの手順を踏んだ上での実現を目指すのならば素晴らしいが、感染症の制御に十分なコストをかけようとせずに、「そこにこだわるのは経済を軽視し、経済的な事情で困窮する人を顧みない道徳的に劣った行為」という空気をつくって感染症への不安を押し込めて、その上での開催を目指しているのではないか、という懸念を抱いてしまう。

 今年2月頃を思い出そう。
その頃はまだ、今年に東京オリンピックを開催したいという政府の執着は明らかで見やすかった。
そんな時に、横浜港での大型クルーズ船ダイヤモンド・プリンセス号についての対応が、日本内外から批判を集めた。
この批判に対しては、関係者からの強力な反論が行なわれた。
その後にオリンピックの延期が決定され、首相による緊急事態が宣言される事態となった。

 緊急事態宣言中に、国民はよく自粛した。
そして、不用意な行為で感染した人々は近隣の日本人から強い批判を受けた。
専門科会議は「新しい生活様式」を提唱するなど、国民を良く主導した。
そして5月25日に緊急事態宣言が解除された。
 「まだ油断するのは早いだろう。このように制限を緩めることと厳しくすることを、この2〜3年の間は数回くり返すのだろう」というのが、私が持っている予想だ。

 しかし、4〜5月の自粛生活で生じた被害や欲求不満を、そのままでは受け入れがたいと感じた人々が少なくなかったのかもしれない。
 専門家会議が突然解散された。
Go To キャンペーンのニュースが聞こえてきた。

 日本が歴史の中でくりかえしてきたパターンが、もう一度くり返されているような気がした。
 そのパターンとは、「緊急時には一丸となって、素晴らしい知恵と努力を発揮して見事に切り抜ける。
しかし、少し余裕が出来たときに、緊急時に成立したシステムの見直しを行なわず、全体的な状況を調査して大規模で徹底したシステムを構築することを行なわず、大きな行動のデザインを欠いたまま、だらだらと緊急時のシステムを使い続ける」とまとめることができるだろう。

 さらに、「緊急時に多くの負担を担ってくれた人に感謝や報酬を与えず、ラッキーと思ってそのまま潰れるまで安く使い続ける」というのが、最近顕著になってきた傾向かもしれない。

「一つの空気」を尊重すると…
 私は、新型コロナウイルス感染症の対策として、PCR検査を含めた検査体制は拡充されるべきだと考えている。
もちろん、感度や特異度についての議論があることは知っている。
 そうであっても、「定量的な議論が可能となるような数の検査が実施されなければならない。その時に実施できる検査が問題の少ないものであるならば、それは望ましい事態である。
しかし問題のある検査でも、それしかないのならば、それが行なわれないよりは行なわれる方が望ましい」と考えている。  

しかし、3〜4月くらいの医療崩壊の危険があったタイミングでは、PCR検査の数を急に増やして現場に負担をかける判断を行なわなかったのは、正解だったと考える。
 一方で状況が落ち着いて余裕ができたタイミングでは、今後も危機的な事態が続くことを予想し、少しでも判断の材料を増やすための検査体制の拡充が行なわれるべきだろう。
 諸外国と足並みをそろえることで信頼関係が構築できるという目的もある。
厳密に感染のリスクを評価したい国が、検査数が少ない日本の国民を、潜在的な感染者とみなすようになることは、十分にありえる事態である。

 このような現象が反復することを可能にする深層の心理を、私は「日本的ナルシシズム」と呼んで批判してきた。
 「一つの空気」を尊重すること、その空気を尊重する人々の中での序列を絶対視することで、生きていくことができる、あるいはそれを離れては生きていけないという信念である。
 しかし、このような心理で生きている人は、「感染症対策」と「経済対策」という二つの空気が矛盾・葛藤する状況で、考えることも決断することもできなくなるだろう。
可能なのは、権威的な断定である。

 近代の「民主主義」「自然科学」「自由主義経済」などの仕組みは、複雑な世界の中で、自ら責任で決断を行なう「人間」を、制度の前提としている。
 決断が可能となるためには、そのために必要な学術的なデータを収集し、それを自らが構築している世界観の中に当てはめ、その上で周囲の局地的な状況を見極めて、自らの責任で決断を行なう人間と、そのような人間を育てて支援する教育が必要である。
 そして、決断を積み重ねた上に個人の歴史が生じ、そのような個人が集まってできたものとして社会や国家の歴史も積み重ねられる。

 しかし、現在の日本社会では、「官」も「民」も、少なくともその表層において、このような近代社会の理念としての人間となること、決断の責任を負うことを必死で回避しているように見える。
 できれば、リスクのあることは他の人に丸投げして、自分は成果にだけ乗っかりたい。
最近では、経済活動の自粛による痛みを国民に求めることを、「専門家会議」に言わせた政府の振る舞いのことを、例としてあげることができるだろう。

 そのように責任を回避している無意識の罪悪感を紛らわすため、あるいは自分ができないことを行なっている人への羨望の感情を晴らすため、「空気に逆らっても」自分としての決断を行なう人々が、日本では強い批判と攻撃の対象となる。そしてそのような「空気を読まない人」を軽蔑することが教育される。
その人々が実績のない人ならば、そのまま捨て置けばよい。

 しかし、実績のある人ならば、安い名誉を与えて使役し、なるべくその成果は上位の人が吸収するようにする。
そのような悪循環が生じて、ますます日本社会における「決断」は困難となる。
能力のある人は使い潰されて疲弊し、新たな人材の育成が困難になる。
人材の流出も続くだろう。
残念ながら将来的な発展は期待できず、持っている蓄えを少しずつ減らすことになるだろう。

なぜ不利な条件を受け入れるのか
 なぜ、少なくない普通の日本人はそのような不利な条件で働くことを受け入れてしまうのか。
そうしないと道徳的な教育の名目で、タテ社会の上位にある人からいじめられることを知っているからである。
 たとえ上位の人が直接手を下さなくとも、同じくらいの序列の「空気を読まない」人を攻撃することで、上位の人から報酬が与えられることを期待する序列の近い他の日本人が、上位の人の意向を忖度して攻撃を始める。
この攻撃は、普段抑圧されている攻撃性を、共同体の承認の下に発散できる機会なので、強い快楽を伴っているし、一体感も育まれやすい。

 逆にもしその攻撃性の発露が妨げられた場合には、強い欲求不満を生じる。
そして、そのような攻撃性の発散の対象にならないように、目立たず空気に合わせて振る舞うことが普通の日本人にとっての最適な選択となりやすい。
 私がこのような発言をすると、「批判や他の人の悪口を言う不道徳な人間は信用しなくてよい」といった類いの反応を受けることが少なくない。
 しかしこのような反応こそが、自分の美的・感性的判断を、基本的人権のような普遍的な理念よりも優先させる行為で、日本的ナルシシズムの中核的な現象である。

 「それを認めると自分の心がもたないから」という理由で誰か他の人に責任を押しつける行為が、倫理的に重大な問題であるという認識が薄い人々がいる。
 しかし、基本的人権は、「村の掟」よりも尊重されねばならない。
「自分も他人も『手段』として扱うことなく、『目的』として扱いなさい」という倫理についてのカントの発言を思いだそう。

 現状の日本では、あらゆる立場の人が「手段」となってしまったかのようだ。
混沌とした状況の中で、その時に影響力の大きい人の意向が刹那的に実現されていき、統一性はない。
 そもそも誰の意向かが隠されていて、一貫性がなく、記録も残らないので、その行為は検証できない。
何が起きているか分からず疑心暗鬼のまま、ズルズルベッタリと義理に引きずられながら消耗戦を戦わざるをえないような不安を感じる。

日本的ナルシシズムからの脱却へ
 さて、もう一つ付言しておく。
私にももちろん政権への不満はある。
しかし同時に、私は政治的でありたくないと思っている。
日本における社会や文化の問題として日本的ナルシシズムの問題を考えたい。

 政権が批判されるべきではないとは思わない。
しかし、政権のみにすべての悪の原因を帰属させ、それを強く攻撃して打ち倒せばよいと考えるのも、私には「一つの空気への隷属から抜けだし、自ら主体的な決断の責任を担う」行為とは思えない。

 反権威的な言動を中心的に展開する日本的リベラルと呼ぶべきような人々も、内部では上記のような序列をつくり、同じような力学の中で動いているように見えることがある。
 COVID-19感染症対策で言えば、ただ「政府憎し」というニュアンスで行なわれた検査体制拡大の要求が、その主張を行なう人々の社会的な信用を低下させ、結果として検査体制拡充の実現に向けて、足を引っ張っているとすら感じている(これは、原発事故後に極端な形で放射線被ばくによる健康被害を強調した反原発運動の活動家たちにも、言えることだ)。

 たとえば、検査が現在よりも容易に行なわれるべきだとしても、自分たちが勝手に振る舞うためのお墨付きを得るために、病院にきて「陰性であることの証明」を強硬に求めるような個人や企業の振る舞いが制限されるような対策も講じられるべきである。
 まず政治的な決断・行為以前の段階で、主体的な決断の責任を担うことに、国民の一人一人がなじんでいくことが必要である。
その中には当然、苦しく、痛みを伴う決断も含まれる。

 そこで、誰か悪者をつくって安心するのではなく、自分もその状況を改善していくための当事者の一人だと考えることだ。そしてこの場合に、社会的な立場が上の人こそ、より多くの責任を担うべきなのは、当然のことだ。

 そのような近代的な個人主義を軽蔑する日本的ナルシシズムを脱却し、自我を確立すること(本質的な内容が一致していれば、表現はそれぞれの人が納得できるものを選ぶのがよいだろう)が、日本が長期停滞という苦境から抜け出し、かつ目の前の問題への対応力を向上させるためにも、求められている。
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2020年07月30日

「なぜか貧乏になる人」の3つの特徴

「なぜか貧乏になる人」の3つの特徴
2020年07月28日 All About

誰もが「貧乏になりたくない!」と感じています。
しかし、「貧乏になりたくない!」といっている人が、自ら貧乏への道に転がり落ちていってしまうのはなぜなのでしょうか。
そこで、貧乏になりやすい人の3つの特徴を紹介します。

■貧乏になる人には3つの特徴がある!
金融心理学者のブラッド・クロンツ博士の研究によると、お金持ちになれない人には3つの特徴があるのだとか。
その特徴は、以下の3つです。

・特徴1:お金儲けが嫌い!
・特徴2:資産運用を怠る!
・特徴3:お金の勉強を怠る!

これら3つについて、「私にも当てはまるかも……」と感じた方は要注意。
そんな方は貧乏体質かもしれません。
これから、それぞれの特徴について詳しく解説しましょう。

■特徴1:お金儲けが嫌い!
エラスムス大学の研究によると、僕ら人間には「お金稼ぎ=悪」と考えてしまう傾向があるようです。
貧乏体質な人は、「お金を稼ぐ=他人からお金を奪う行為」と考えがちです。
この考えに頭を支配されると、「お金を稼ぐ=悪いこと=自分はお金を稼いではいけない」というように、心がお金を遠ざけるようにプログラミングされていきます。
結果として、お金嫌いが過ぎる人は目の前に大きなチャンスがやってきても、「お金儲けは悪いことだから……」と遠ざけ、チャンスを逃してしまうのです。

しかし、「お金稼ぎ=社会貢献の証」な訳ですから、嫌う必要はありません。
もし本当に「お金儲け=悪いこと」なのであれば、世界の長者番付には悪人ばかりがズラリと並ぶことでしょう。
実際、世界の長者番付には、アマゾンを立ち上げたジェフ・ベゾス氏や、マイクロソフトを立ち上げたビル・ゲイツ氏が名を連ねています。
彼らが世界にもたらした恩恵を考えてみれば、「お金儲け=良いこと」と考えるのが自然ではないでしょうか。

■特徴2:資産運用を怠る!
貧乏体質の人は資産運用を怠ります。
そのせいで、お金を増やす機会を失い、損をしてしまうのです。
ありがちなのが、「資産運用はギャンブルだ」と勘違いしているパターンです。
たしかに、巷にあふれる投資本にはガセも多く、「資産運用=ギャンブル」と思われても仕方がないのかもしれません。
間違ったイメージのせいで、上手にお金を使えない方もたくさんいます。

しかし、実際には資産運用とギャンブルはまったくの別物です。
それこそ、宝くじなどの純粋確率で結果が決まるギャンブルと違い、上手に資産を運用すれば(思い通りにいくとはいえないまでも)お金を増やすことも可能です。

■特徴3:お金の勉強を怠る!
貧乏体質の人はお金の勉強を怠ります。
そして、いい加減な噂話や、素人の助言に振り回されてお金を動かし、痛い目にあってしまうのです。
貧乏から脱却するには、お金の勉強が欠かせません。

とくに大切なのが、「家計の改善」と「資産の管理」につながる勉強です。
難しい理論を学んだり、分厚い参考書を読む必要はありません。
ウェブの記事などを参考に、まずはお金の勉強をはじめてみましょう。

■まとめ:今すぐ行動に移して!
あなたも、本記事を読んでいるということは、「貧乏は嫌だ!」「貧乏になりたくない!」と強く願っているハズです。
筆者も、大学時代は工場で働いていた時期もあり、極貧の生活を送っていたこともありました。
貧乏の辛さを知り、「早く抜け出したい!」という一心で、お金について必死に学び続けてきた背景があります。

人生は変えられます。
何から変えられるか考えて、今すぐ行動に移してみましょう。

【参考文献】
:なぜか貧乏になる人の3つの特徴https://allabout.co.jp/gm/gc/9022/47記事下段に記載

(文:中原 良太(マネーガイド))
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2020年07月31日

言い返せない人は反撃のコツがわかっていない

言い返せない人は反撃のコツがわかっていない
いつも悔しい思いをしているすべての人へ
2020/07/30 東洋経済オンライン
ゆうきゆう : 精神科医/作家

「言い返したい! でも、言い返せない…」
皮肉やあてこすり、叱責、誹謗中傷など、心ない言葉を投げてくる人、誰の周りにも多かれ少なかれいるのではないでしょうか。
距離を置きたいけれど、仕事関係や親族、ご近所付き合いなど、どうしても離れられない人もいます。
ほとんどの場合、できることといったら、ただ「ガマンする」だけ。
そして後から思い出して、「なぜあのとき、何も言い返せなかったんだろう…」と、自分を責めてしまうものです。

実は、しがらみに負けて何も言い返せず、言われるがままというのは得策とは言えません。
我慢し続けるあなたの行動が、相手を調子づかせ、さらにはあなたの評判を落とす原因になりかねないのです。
相手を完膚なきまでにたたきのめす必要はありません。
大切なのは、「ちょっとだけ反撃」をして自分の身を守ること。

ここでは、人間関係にできるだけ波風を立てないようにしながら、「どのようにして、ちょっとの反撃をするか」についてご紹介しましょう。

◎強い相手に応戦するには、とにかく、ゆっくり話すこと
議論や口論などで勝つには、受け身ではなく、能動的に会話をしていく必要があります。
相手の勢いをいかに抑えて、自分がどんなタイミングでしゃべればいいのか。
その点にかかっていると言っても過言ではありません。

まず何よりも大切なのは、とにかく「ゆっくりと話すこと」です。
人間は無意識に相手の話のペースに合わせてしまうもの。
相手のペースに巻き込まれず穏やかに とにかく相手の気持ちをゆるめたければ、あなた自身が落ち着くこと。
相手のペースに巻き込まれず、穏やかに話してみてください。

とくに、相手が興奮して矢継ぎ早に話しかけてきたときに、あなたが早口で応戦すれば、相手はますますヒートアップしてしまいます。
相手を興奮させて、火に油を注ぐようなやり方をしては、勝ち目はないでしょう。

やりとりをしていくうちに、さりげなく相手の攻撃の牙を抜き、上手になだめて話を終わらせてしまうのがベストなんです。

◎あれこれ考えないで、とにかく返す!「反射の戦術」
高圧的な態度の人と接すると頭が真っ白になってしまう。
とっさに「うまい切り返し」ができる人はそう多くないでしょう。
そういうときには、「反射の戦術」がおすすめです。

相手の話を、反射的に「要約して返す」だけ。
たとえば、取引先やお客様から、クレームでいきなり怒鳴りつけられたとしても、勢いにのまれてはいけません。
詳細も分からないまま即座に謝罪すれば、負けを認めたも同然です。

必要なのは「要約力」のみ
また、言葉を選んでいて返答を遅らせてしまえば、勢いづいている相手はさらに強力な攻撃で追い打ちをかけてくる可能性もあります。
こんな場合は、とにかく即座に相手にリアクションを返すことが重要です。
しかも、ここで必要なのは、「要約力」のみ。
これなら、多少心が動揺していても、何とか対処できるはず。

だまりこまずに、まずは相手の一方的な攻撃の流れを止めてください。

「反射の戦術」は、次のような効果も期待できます。
まず、相手の苛立った感情をある程度やわらげられます。
「相手の話を要約して返す」という行為は、「話をちゃんと聞いていますよ」「まずは、あなたの話を受け入れますよ」という好意的なメッセージになるのです。
また一旦、相手に言葉を投げ返すことで、「そうだ。私は○○○で困っているのだ」と、相手に冷静に考えさせる効果もあります。
客観的に自分の怒りや欲求を見つめ直す機会にもなるのです。
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