ここがおかしい 小林節が斬る!
これは「新党」結成ではなく「旧民主党の復活」にすぎない
2020/08/22 日刊ゲンダイ
解散・総選挙の噂が立ってから、旧民主党の政治家たちによる再集合の駆け引きが激しくなってきた。
しかし、有権者にとって、この光景には既視感があり、「またか」とウンザリされていることに気付けないほど当の議員たちは合併騒ぎに熱中している。
思えば、かつての民主党は、政権を取る前の公約などはなから無視して、重要な政策上の論点についてまるで学生のような論争を繰り返しながら分裂していった。
それが、3年前の「希望の党」騒ぎでは、当時の民進党は、いったん「全会一致」で希望の党への合流を決めた。
その時の彼らの「これで小池都知事の人気にあやかって『議員』で居続けられる」と安堵した表情を覚えている人は多いはずだ。
その時、彼らが熱心であったはずの政策論争は消えてしまっていた。
ところが、小池党首の「(政策の違いにより)排除します」との発言で事態は一変してしまった。
「排除される」と思った議員たちが、「判官びいき」の(弱者に味方する)民意に訴える形で立憲民主党を旗揚げして全滅は免れた。
その際にはまた「政策の違い」が強調された。
しかし、その後の今日に至る彼らの離合集散を見ても明らかなように、彼らはいずれも、自分が「議員」であり続けられるならば「政策」も「党名」もどうにでも変えられる者たちだということである。
つまり、議員でいることだけが目的の「商売政治屋」である。
今回も、あれだけ政策が違うと競い合っていた2党を中心に、旧民主党の議員たちが、立憲民主党の人気(?)と国民民主党のお金に期待して、とにかく再結集しようとしている。
しかも、これで「新党」だとか「政権奪還」などと本気で言っているとしたら、私は彼らの頭を疑ってしまう。
もう血迷って自分たちの姿が見えないのではなかろうか。
権力の私物化が白日の下にさらされてしまった上に、未曽有のコロナ禍に対して政治の責任を果たしていない安倍政権に、国民は明らかに倦んでいる。
しかし、だからといって、かつて政権運営に失敗して、今、商売野党に堕して役立たずの旧民主党にも期待のしようがない。これでは国民が不幸である。