2020年10月01日

精神科医が教える「他人の目を気にしなくなる方法」

精神科医が教える「他人の目を気にしなくなる方法」
2020.9.30  ダイヤモンドオンライン
樺沢 紫苑:精神科医、作家

なぜ、人と比べてしまうのか
「あの人は自分より仕事ができる」「頭がいい」「かっこいい」「金持ちだ」……。
人は、ついつい他人と自分を比較しますが、比較するほどに落ち込んでしまいます。
あるいは、「なんて自分はダメなんだ」と自分を責める。

嫉妬心から「引きずり下ろしてやる」とか「嫌がらせしてやろう」とか、他人を攻撃するようなネガティブな考えが浮かぶこともあるでしょう。
そんなネガティブな考えが出ても、落ち込む必要はありません。
それは、誰にでもあることなのです。

「社会的比較理論」の提唱者、フェスティンガーは、人が他人と自分を比較してしまうのは、本能、あるいは無意識の反応であると言っています。
つまり、ほとんどの人は、他人と自分を比較する心理的なクセを持っているわけで、「他人と自分を比較して落ち込んでしまう」という心理は、あなただけのものではなく、ほとんどの人に存在するものです。
ですから、他人と比較する自分を責めたり、落ち込んだりする必要はまったくありません。

人と自分を比べると「不幸」になる
他人と自分を比べると、確実に不幸になってしまうものです。
自分より優秀な人は、この世の中にいくらでもいます。

日本人の中で、「仕事」「勉強」「スポーツ」「収入」「容姿」が自分よりも良い人、高い人は山ほどいるのです。
それをいちいち比較していたら、それだけで人生は終わります。

仮に、スポーツのある種目で日本一になったとしても、自分よりも収入が高い人は必ずいるし、自分よりかっこいい人も必ずいます。
あるいは、日本一になったとしても、世界レベルで見ると箸にも棒にもかからないでしょう。

他人と比較すると、死ぬまで落ち込み続けるしかないのです。
他人と自分を比べるほど、あなたは不幸になります。

自分より上の人と自分を比較する心理を「上方比較」と言います。
上方比較には、「自分もそうなりたいからもっと頑張ろう!」というポジティブな要素もありますが、ほとんどの人は、他人と比較して自分の欠点を探し出す、ネガティブな上方比較を無意識に行っています。

他人ではなく「自分」と比べる
他人と比べると不幸になる。
では、どうすればいいのか?
他人や周りの人と比べるのではなく、「自分」と比べましょう。
過去の自分と今の自分を比べるのです。
3ヵ月前の自分、1年前の自分、3年前の自分、10年前の自分。

今の自分がダメだとしても、3年前と比べると、少しは進歩、上達しているのではありませんか?
もし、過去の自分と比べて、進歩していないのであれば、今から頑張って、3ヵ月後に結果を出す。
そうすると、「3ヵ月前の自分と比べて、これだけ進歩したよね」と言えるはずです。

「20万円の安月給。でも、去年は18万円。2万円も増えている!」
「TOEIC400点。でも、前回より30点もアップしている!」
「今日も残業。でも、昨日は終電ギリギリだった。今日は22時に帰れてラッキー!」

このように、過去の「マイナスの状態」と比べると、現在は「ポジティブな状態」にいることが明確になります。
自分のポジティブな成長を実感できると、「もっと頑張ろう」とモチベーションが湧いてきます。
少しずつでも「結果」が出はじめると、毎日が楽しくなり、さらに「やる気」も湧いてきます。

他人と比べると「自分のマイナス部分」が浮き彫りにされ、過去の自分と比べると「自分の変化した部分」が浮き彫りにされます。
その中から自分のプラスの自己成長に気づくことで、自己成長が高まり、自分に自信が持てるのです。

他人と比べたい衝動に駆られたときは、「1年前の自分はどうだった?」と過去の自分と比較したイメージを想像して、その衝動を振り払いましょう。
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2020年10月02日

インフルのワクチン接種が解禁、「子どもは後回し」に感じる大きな疑問

* 小だぬきも 1日に接種しました。
インフルのワクチン接種が解禁、「子どもは後回し」に感じる大きな疑問
2020.10.1 ダイヤモンドオンライン
久住英二ナビタスクリニック理事長、内科医師・血液専門医

10月1日はインフルエンザの予防接種の解禁日。
今シーズンの予防接種について、厚生労働省は定期接種対象の65歳以上の高齢者を優先し、それ以外の希望者には接種を待ってもらう方針を発表している。

つまり、「子どもは後回し」という格好だが、この方針は高齢者への感染リスクを考えた場合、臨床医として非常に不安と疑問を感じる。
その理由と問題点を指摘したい。
(ナビタスクリニック理事長、医師 久住英二)

進まぬ小児のインフル接種助成
さらに開始時期を遅らせる政策  
インフルエンザの予防接種シーズンが始まろうとしている。
解禁日は毎年10月1日。
ただし、今年は去年までと“ルール”が異なるようだ。遡ること1カ月、厚生労働省は定期接種対象の65歳以上の高齢者を優先し、それ以外の希望者には接種を待ってもらう方針を発表した。
メディアでも大きく報じられたので、認識されている方は多いだろう。

 その結果、日本感染症学会が「接種が強く推奨される」とした「医療関係者、高齢者、ハイリスク群(妊婦等)、小児(特に乳幼児〈生後6カ月以上〉から小学校低学年〈2年生〉)」のうち、高齢者以外は事実上、優先的な接種が保証されない状況となりつつある。

 この政策が本当に吉と出るのか。
高齢者を守るための施策が、かえって高齢者をリスクにさらすことにならないか。
毎年インフルエンザの予防接種と診療に追われてきた臨床医として不安を覚えた。

しかし問題は、インフルエンザの主たる患者となる子どもたちである。
例年、患者全体の約5割前後を0〜9歳が占める。
14歳まで含めれば、全体の7割近くに上る。
また、インフルエンザ脳症のリスクも未成年は成人に比べて高い。

 気になって、試しに東京都(島嶼部を除く)の基礎自治体について、子どもへのインフルワクチン助成とその開始時期を調べてみると、下記の図のようになった。
東京都の子供のインフルエンザ助成.jpg
とにかく白い。
実に53あるうち32市区町村は、子どものインフルエンザ予防接種に関して何の助成も行わず、予定もしていなかった。
さらに、助成はあっても3つの市で開始が10月1日より遅く、4つの区・市では対象は乳幼児のみに限られていた。
助成額は1000円から全額(無償)まで、ばらつきが大きかった。

 この状況を見る限り、子どもたちが高齢者と並んで「接種が強く推奨される」対象に挙げられていることは、ほとんど考慮されていないようだ。
65歳以上の高齢者が、インフルワクチンを定期接種として無償で、10月1日から確実に受けられるのとは処遇に差がありすぎる。

子どもへのワクチン接種が 「高齢者を救う」というエビデンス
 これだけ私が子どもたちへのインフルワクチン接種にこだわるのは、一つには先の通り彼らのかかりやすさとリスクゆえ(日本小児科医会も「小児への接種時期を一律に遅らせることは避けるべき」とする独自の声明を9月17日に発表)
だが、それだけではない。
「子どものインフルワクチン接種が、高齢者のインフルエンザ関連の死亡や入院を減少させる」という研究が、日露米などから報告されているからだ。

 日本の接種率の変化とインフルエンザ関連死亡の変化を調べた研究がある。
国内では1962〜1987年の15年間、学童のインフルエンザ予防接種は、学校で集団接種として行われていた。
その間、日本の冬季の超過死亡数は、高齢者の大幅な増加にもかかわらず減少していったという。

しかし、集団接種が中止されて以降、超過死亡数は増加し始めた。
さらに、定期接種から任意接種に切り替わった1994年からは急増した。
論文ではこうした推移から計算し、約420人の子どもへのインフルワクチン接種で、高齢者の死亡を1人減少させられるとしている。

 ロシアの研究では、モスクワの幼稚園と小中高校で実施された集団予防接種(有効性60〜68%)の結果、60歳以上の高齢者15万8451人について、インフルエンザやその合併症が有意に減少した。
 インフルエンザと見られる疾病は70%以上減少し、それに伴って合併症とされる7つの疾患も減少したという。
肺炎は62%減、気管支喘息60%減、慢性気管支炎41%減、心血管疾患71%(調整後50%)減、糖尿病57%減、胃腸疾患54%減、慢性腎盂腎炎41%減となった。

 さらに米国の研究からは、高齢者自身にワクチン接種をするよりも、子どもたちに接種した方が高齢者にとって有益である可能性が示されている。
 通常、インフルエンザの罹患率は、高齢者の加齢とともに増加する。
しかし、米ボストン・タフツ医科大学が、2002〜2006年の高齢者の入院記録約500万件と、子どもおよび高齢者のインフルエンザ予防接種率データを分析したところ、子どもの接種率上昇に伴い高齢者のインフルエンザでの入院が抑えられていた。
 ところが、高齢者自身のワクチン接種は、高齢者のインフルエンザ発症とは有意に関連していなかったという。
論文では、子どもへのインフルワクチン接種が、高齢者のインフルエンザに対する集団免疫を誘導する可能性があるとしている。

 要するに、高齢者をインフルエンザから守るためにも、子どもたちのワクチン接種を同等に優先させるべきなのだ。

「強く推奨」にもかかわらず 3週間以上待たせる厚労省
 実はこのことは、私のような“町医者”にとってみれば決して意外ではない。
米国疾病予防管理センター(CDC)によれば、インフルエンザワクチンの有効率は、小児では74%に上るのに対し、高齢者は40%となっている。
この数字は診療している実感にもなじむ。
 高齢者はワクチンを打っても効きづらいのだ。

 今さら説明するまでもないが、そもそもインフルワクチン接種が「高齢者優先」と言われ始めたのは、新型コロナウイルスの流行に端を発する。
今冬はインフルエンザとの同時流行が危惧される。
両方の感染症に同時罹患する可能性がある。

日本感染症学会によれば、新型コロナ⼊院患者の4.3〜49.5%にインフルエンザとの混合感染が認められたという。
B型インフルエンザとの合併症例では重症化も報告されている。
 のみならず、同時流行は医療現場の逼迫にも追い打ちをかける。

例年と違い、今年はインフルエンザでの受診や治療薬の処方に実質的に制約が生じるかもしれない。
予防が肝心だ。
 人々が合理的に判断するならば、インフルワクチン接種希望者は例年以上に増えるだろう。
一方、ワクチンの供給量は、約3178万本(2015年の4価ワクチン導入以来最大)となる見込みだ。
1人1回接種でも日本の人口の4分の1以下しかカバーされない。
 そこで捻り出されたのが、件の高齢者優先策である。

厚労省からの「事務連絡」として、全国の自治体に対し9月11日付で正式に周知された。
 その中で、高齢者と同じく「接種が強く推奨される」はずの「乳幼児(生後6カ月以上)〜小学校低学年(2年生)の方々」は、「10月26日(月)まで接種をお待ちいただくよう」に、と明確な“呼びかけ”が行われたのである。
「事務連絡」には法的拘束力はないが、自治体では具体的に法令を運用する際の指針として機能している。

予防接種そのものは各自治体の自治事務でも、予防接種法に基づく以上、厚労省から「事務連絡」が出されれば自治体はそれに則るのが基本だ。
 また、日本医師会も、厚労省からの「事務連絡」を都道府県および群市区医師会に転送し、「関係医療機関等に対する周知」を促している。
 その結果、自治体の施策では高齢者の優遇措置ばかりが徹底され、インフルワクチン接種は「高齢者は10月1日から、それ以外は10月26日から」が何の疑問も持たれずに“標準仕様”となった。

ワクチンは追加注文できない
子どもの接種時に不足する可能性
 毎冬インフルエンザ治療の最前線に立つ身として、この解禁日に懸念を抱かざるを得ない理由が、まだあと2つある。
 東京都感染症情報センターのグラフによれば、毎年第44週、つまり11月初旬からインフルエンザ患者が出始める。
ただ、増えるのはインフルエンザだけではない。
11月には気温が下がって体調を崩しやすくなるため、普通の風邪も増加する。
インフル感染推移.jpg

 ワクチン接種希望者にしてみれば、受診した患者からウイルスをもらうリスクは少しでも避けたいだろう。
医療機関としても、待合を分け、混み合わないよう誘導し、加湿や換気など十分配慮するが、受診者が集中すれば手厚い対応は困難になる。

 10月中の感染症患者の少ない時期にインフルワクチン接種を済ませるのが、希望者にとっても医療機関にとっても合理的だ。
まして小児科など高齢者が受診しない医療機関に10月26日までただ待機させておくのは、ナンセンスでしかない。
 また、我々のクリニックのように複数の診療科(内科、小児科)でインフルエンザワクチンを扱っている場合、実質的に後回しにされた小児科分の在庫が不足する恐れもある。
ワクチンの在庫管理は科をまたがって一括して行っているためだ。

 インフルエンザワクチンの発注は、8月末に済んでいる。
卸業者は、医療機関の各ワクチンの前年度実績に基づき、それに見合う数しか売ってくれない。
高齢者が先行して接種し子どもたちに接種するワクチンがなくなっても、追加発注はできないのだ。

 相対的に効果の低い高齢者への接種が徹底され、より高い効果の期待できる子どもたちへの接種を不確かにした厚労省の“呼びかけ”。
救いは、これがあくまで“呼びかけ”であることだ。
 実際の解禁日は、各医療機関の賢明な判断にゆだねられている。
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2020年10月03日

人生100年は幸せか

花谷寿人の体温計
人生100年は幸せか
毎日新聞2020年10月1日 東京夕刊

 100歳以上の高齢者が初めて8万人を超え、50年連続で過去最高を更新した。
長寿はめでたい。だが政府の「人生100年時代」のお題目には違和感がある。

 <高齢者から若者まで全ての人が元気に活躍し……>
 社会保障制度を維持するため、老いても隠居せず、元気で働いてもらいたいのが本音だろう。
だからといって、それが理想の社会だと国が唱えることは、果たして幸せをもたらすのだろうか。
   ◇
 この夏出版の「死を受け入れること」(祥伝社)は医師の小堀鷗一郎さんと、ベストセラー「バカの壁」の著者で解剖学者の養老孟司さんの対談集。
ともに82歳。
 小堀さんは埼玉県で患者の自宅を訪問する在宅医療を担う。
体験記録「死を生きた人びと 訪問診療医と355人の患者」(みすず書房)は2019年の日本エッセイスト・クラブ賞を受賞した。

 東大病院などで外科医として40年間勤務した。
「患者をどうやって生かそうかと考えていましたが、今は患者をどうやって死なそうかと考えるのが仕事です」。
高齢者の終末期に接し「その人らしい死に方とは何か」を考えるようになったという。

診てきた高齢者の大半はお金や健康に恵まれず、社会の支援も乏しい。
 内閣府主催のフォーラムで講演を頼まれた時のこと。
80歳を過ぎても元気に働く自分のような人間をモデルに、国民を勇気づける催しだと気づいた。

 だが、多くの高齢者がそれで力を得られるわけがない。
講演で国の姿勢を皮肉った。
それと同時に、恵まれない境遇でも豊かな老後を送る患者の話をした。

 学校へ行けず、字を覚えたいという女性がいた。
新聞や雑誌からノートに書き取る。
「葵(あおい)」はどんな花ですか。
そう聞かれた小堀さんは「今度デジカメで撮ってくるよ」と答えたが、約束を果たせぬまま女性は亡くなる。
「元気で活躍する」ことはなくても、彼女の老後は幸せだったと思う。   
   ◇  
森鷗外に短編「妄想」がある。
老人は本を読み、摘んできた草花をルーペで見る。
<折々のすさびである>。
すさびとは、心の思うままにという意味だ。
死を恐れず、死に憧れることもなく。

 鷗外は小堀さんの祖父。文豪が生きた時代より、高齢者は幸せになっただろうか。
           (論説委員)
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2020年10月04日

コロナリストラがどれだけキツくても会社を辞めてはいけない7つの理由

コロナリストラがどれだけキツくても会社を辞めてはいけない7つの理由
10/3(土) プレスゼントオンライン

三菱自動車、ジェットスター、東芝など、9月に入って大手企業が次々に人員整理を発表している。
自分の会社でリストラが始まったとき、どうすればいいのか。
リストラ評論家の砂山擴三郎氏は「退職金を加算されても、絶対辞めてはいけない」と断言する。
その理由とは――。

※本稿は、砂山擴三郎『今どきサラリーマンのためのリストラされずに会社にぶら下がる方法』(主婦の友社)の一部を再編集したものです。

■あなたはそれでも辞めますか?
   2回リストラを経験し、多くのリストラ退職者の再就職支援をしてきた私から言わせれば、会社の勧奨に応じて退職を決断するのはまったくの短慮に思える。
「愚の骨頂」なのだ。

 会社側の厳しいプレッシャーに抗しきれないこともあるだろう。
こんな会社にいてもろくなことがない。
倒産したら元も子もないし給料がカットされるのも確実だ。
今なら退職金満額がさらに加算され、再就職支援サービスで次の仕事もみつけられそうだ。

 だが、それでも退職することには賛成できない。
じっと我慢し、リストラの大嵐をやり過ごすか跳ね返してほしい。
業績不振は経営者の責任。
そのために自分と家族の人生が犠牲にされることはない。
まして、そんな会社に義理立てする筋合いはない。
どうするかはもちろん、自己責任・自己判断になるが、考えるための材料を以下に提供したい。

人生、我慢で得られる幸せもあるのだ。

■理由1 リストラで会社は持ち直す
 「大の虫を生かすために小の虫を殺す」の言葉がある。
大の虫である会社を助けるため、小の虫である社員を犠牲にすることだ。
犠牲にされた社員を踏み台に会社は生き残る。
お荷物社員を辞めさせれば、利益が出ると考えるからリストラをする。
そのために必要な巨額の資金も「数年で元が取れて回収できると判断するから」金融機関は資金を貸すのだ。

 よく「リストラをする企業には未来はない」とか「リストラをした会社の末路は知れている」と言われるが、それは事実に反するまったく感情的なもので、実はリストラの先には「明るい未来がのぞめる」ことが多いのだ。

■理由2 退職金に加算がされても得しない
 「来月から大幅に給料がカット、ボーナスも多分出ないだろうし何よりもこのまま行くと倒産して退職金は出ないだろう」、さらに続けて上司は囁きかける。
「だけどね、今辞めたら退職金は加算されるし、再就職支援サービスも受けられて万々歳だよ」

 サラリーマンの収入は一時的な損得で判断しないほうがよい。
幸いすぐ再就職ができても、中高年者は特に給料が大幅減になるのが当たり前。
なぜなら勤続10年、20年の年功部分を喪失するのだから。

給料が下がれば、公的年金受給時に報酬比例部分も少なくなる。
 退職金の加算金額や再就職先での給与額にもよるが、生涯給与で比較するとリストラ退職は圧倒的に損な選択になることが多いと言える。

私自身、57歳でリストラ・自営化の道を選択したが、その際将来的にみると金銭面ではマイナスになると覚悟はしていた。
しかし、残留を選択した同期と比較してこれほど大損になるとは思わなかった。
 退職金で住宅ローンや教育ローンを返済でき、再就職先の安い給料でも女房と二人食っていければいいという人もいるだろう。
退職後の生活設計ができるから辞めてもいいという判断だ。
しかし中高年にとって、マイホームと子どもの教育資金をクリアしても、親の介護や自分たちの老後の資金問題がある。
当面ではなく将来設計をしたうえでの判断がのぞまれる。

 リストラをすることによって会社は大きな利益を生み出し再建を果たそうとする。
社員も同じように利益を得られるかというとそうではない。
社員が損をすることによって、会社が得をすることを忘れてはならない。
両方得をすることは労働経済学上ありえないのだ。

■理由3 リストラ退職は一生引きずる
 再就職支援会社でカウンセラーをしていてわかるのは、どんな人も退職後数カ月は「リストラされた」ことを引きずることだ。
 愛着もあり会社のために頑張ってきたと思っているのに情け容赦なく「戦力になっていない、働く場所はない」と「辞めろコール」を浴びせかけられたのだから、そのショックたるや計り知れない。
裏切られた、生きていく気力が失せた、と心に大きな傷を受ける。
さらに自分自身の自信と誇りを失い、プライドもずたずたにされている。
再就職活動をはじめるどころではないのだ。
こういうケースで、家族が本人の気持ちを推し量って対応してくれればいいのだがそうでないことも多い。

 「夫がリストラされたなんて、親戚や近所に恥ずかしい」と食ってかかる奥さんも珍しくない。
「いつになったら就職が決まるの」と毎日就職活動で疲れて帰ってくるたびに家族から罵声を浴びせられる。
精神的に追い込まれ、帰宅恐怖症になる人もよくみかける。
 仮に運良く就職が決まっても、このときの心の傷がトラウマとなり、家族との間にできた溝が修復されず人生の敗残者のようになってしまう人も出てくる。
再就職支援会社のロビーやブースの異様な静けさは、リストラされた人の精神状態そのものと思わずにはいられないのだ。

■理由4 再就職が難航する、長期化する
 リストラされた人を見る世間の目は厳しい。
仕事ができないから、努力して頑張らないから、本人のせいでリストラされたとまったく見当はずれの見方が多い。

求人に応募しても、中高年者や長年勤めた会社を辞めた場合はまずリストラを疑われる。
面接で根掘り葉掘り聞かれ、そのうえ敬遠されることが実に多い。
リストラ時に再就職支援サービスが提供されても、当てにできないと感じる人も多いのだ。
 会社面接でいくら説明しても、「ああ、あの会社でリストラされた人ね」と決めつけられ、能力や意欲に疑問符をつけられる。
そのため厳しき門になり、採用されても処遇が一段低くされることがある。
リストラの烙印を押され色眼鏡で見られてしまうのだ。
 求人企業と求職者の間に立って就職のお世話をする人材紹介会社は、就職が決まれば求人企業から紹介料を受領する。
顧客企業からは「リストラされた求職者の場合、半分にしてほしい」とか、ひどい場合は「無料にしろ」、というケースもあるという。

 労働力調査によると、完全失業者は214万人(2020年4〜6月平均)中、失業期間が1年を超える人が55万人、前年同月比で4万人増えている。
新型コロナで企業の業績が急激に悪化し、新卒の内定取り消しも出ている中、条件の悪い中高年のリストラ退職者は必然的に苦戦せざるをえないのが実情だ。

「しばらくゆっくりして」という方もいるが、しばらくが一生になりかねないことに気付いてほしい。
自分一人でも起業するだけの気概やバイタリティー、それに能力がなければ転職はしないほうがいい、という人もいる。

■理由5 リストラ、一度あることは二度三度ある
 仕事上、リストラされた方を大勢見てきた。
能力や意欲は人それぞれであるが、仕事の取り組み方・周囲の人との接し方・性格などこれほど似ているのかと思うくらいに似ていることが多い。
何かリストラされやすい、会社から目をつけられやすい特徴を持っている可能性があるのでは、と思ってしまう。

 今の世の中、大樹はない。
この会社は危ないと思ってリストラに応じて再就職しても、その会社が長期安定している保証はない。
ましてや一度リストラされた人は、そうでない人に比べて自分では気が付かないリストラされやすい何かがあるかもしれない。
そういう意味では一度あることは二度あるとも言える。

■理由6 とにかく一呼吸おいて時間稼ぎが有効
 この会社はもう見込みがない、と見切りをつけるにしても、そうすぐに再就職先は決まらないだろう。
厚労省の調べではリストラされた人が1年以内に再就職できたのは約4割だ。
次の就職先を決めるための準備、貯金などの生活設計の見直し、人脈作り、資格の取得、キャリアの充実とやることは山ほどある。
「ため」をできるだけ多く作っておけば、飛ぶときに高く飛べる。
決めたら急ぐことはない。

■理由7 残り者に福来たる
 歯科材料メーカー営業主任の山室健太さん(仮名。33歳)は、「あのとき辞めずにいて良かった」と大声で叫びたい気分だと語る。
1年前、製品クレーム対応を誤った会社は従業員3割減の大リストラに着手。
山室さんも何回も部長から肩たたきを受けた。
ところが直属の課長が家業を継ぐために退職、危うくセーフとなったのだ。

山室氏は退職する課長から、懇切丁寧にクライアントの引き継ぎを受け、長年培った営業の心構え、テクニックを教わった。そのせいもあるのか半減した営業部員の中でトップセールスにのし上がったのだ。

 リストラで残った者には地獄が待っている。
給料カット、ボーナスも出ない、おまけに残業も認められない。
それなのに人が減って仕事の量が異常に増え、赤字の会社は仕事の成果のハードルを高くしてくる。
やってられないとまた人が辞めていく。
会社全体が悪循環に陥って……と、よく聞かれる話だ。

しかしこのピンチは逆にチャンスなのだ。
人が減って仕事が増えることはポストが空いて昇格するチャンスなのだ。
給料がカットされても、再就職先での給料と比較すればずっと上かもしれない。
そのうち会社再建がなされれば、カットされた給料以上になるだろう。
社員が減った分、潤い方が多くなるに違いない。

 去るも地獄残るも地獄なら、天国になる可能性が高い地獄を選択したい。
嵐はいつまでも続かない、
辛抱すればそのうち止むのだ。
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2020年10月05日

人ごとじゃない、詐欺に騙される人たちの意外な共通点とは

人ごとじゃない、詐欺に騙される人たちの意外な共通点とは
2020.10.4 TRILL

さんきゅう倉田です。芸人をしています。
芸人という仕事も、もちろんコロナの影響で仕事が減っています。
その分、勉強をしたり何かを作ったり発信したりして、売上を増やす努力が必要です。

世の中には、努力をせず、楽して儲けようと考える人がいます。
もちろん、少ないコストで大きなリターンが得られるのなら、とても良い仕事だと思います。
しかし、楽して儲かる仕事を、他人が紹介してくれることはないと、必ず認識しておかなければいけません。

なんで参加してしまったんだ…
知人が1万払ったセミナー 知人、といっても、全然親しくない、ほとんど赤の他人が、有料の投資セミナーに参加しました。 参加費は1万円。安くない金額です。
それでも、秋葉原のとある貸し会議室に100人以上が集まっていました。
平たく言うと、儲かる投資話が聞けるようです。
テーブルごとに、オードブルと缶チューハイが置かれていて、奥には高砂があります。
スタッフは20代の男性が5人ほどで、全員、スーツのズボンと色付きのシャツ、ベストを着ていました。
身なりは若手実業家風を装っていた、と知人は言います。

しかし、会場の隅っこで、コンビニ弁当を食べており、彼らが儲かっていない様子が覗えました。
ただ、時間がなくて、コンビニ弁当で済ませているのかもしれません。
念の為、腕時計も確認すると、大学生が古着屋で買うような時計やG-SHOCKをはめていたそうです。

身長155cm体重60kg「浅黒い」怪しいリーダー登場
定刻になると、主催者側のリーダーと思われる男性が、高砂に上がり、マイクを手に話し始めました。
「今日は、とても良い料理を用意しました。存分に召し上がってください」
こいつらは、ラーメン屋でテーブルの周りの「当店のこだわりPOP」を見たこともないのか。
本当に美味いのなら「良い料理です」なんて言わない。
なぜ良いか、何にこだわっているのかを言うのだ。

何も言うことがない時、「本当に良い料理です」と言い「閑静な住宅街です」と言うのだ、ばかめ。知人はそう思ったそうです。
リーダーはそれから1時間、中身のない話をしました。
「とにかく、今はSNSです。SNSで発信すること。これが儲かる。絶対やってください。まず、SNSです。ガンガン発信すること。とにかくSNS。そして情報を集めること。それにはSNS。すぐ初めましょう。

FacebookもTwitterも全部始めましょう。
なぜか?情報です。
では、情報を集めるためには、どうするか?SNSをやるんです!
今、みなさんに足りないものはなんだと思いますか?情報です!
そして、何があれば儲かると思いますか?情報です!

では、どうするべきか、SNSを始める!Facebook、Twitterなんでも良いです!すぐに始めてください。
いいですか?いいですね?」 ずっと、同じ話を繰り返したそうです。
それを参加者は真剣に聞いていました。
参加者はどのようなきっかけでこのくだらないセミナーに参加しているのかわかりませんが、50代〜70代でした。
そのあたりの世代がよく見るサイトか何かに広告を載せていたのかもしれません。

このセミナーは、SNS黎明期に行われたものではありません。
今から4年ほど前です。 それでも、くだらない内容に憤慨して大声を出すような参加者はいませんでした。
知人の推測ですが、リーダーはこのようなセミナーや情報商材の販売で利益を得ているようでした。
こういうセコい騙し商売に巻き込まれないためには 利益を得ていると言っても、安物のスーツにせこい腕時計、テンションと抑揚だけの下手なパフォーマンス、鍛えられていないたるんだ肉体、贔屓目に見ても美容に興味のない肌から、規模は小さいとわかります。

それでも、良くないものや普通のものを誇張することで、リーダーの話に騙される人がいる。
なぜかというと、嘘をつかない人は、他人が嘘をつくとは考えないからです。
ぼくも、芸人になって数年経ってから、平気で嘘をつく人がいると知りました。

大切なのは友人でもない他人の儲け話を信用しないこと、根拠を説明しない人を信用しないことだと思います。
話のつまらない二流社長にならないためには 真贋を見抜けるお金持ちには、いくつかの共通パターンがあります。
怒らない、鷹揚に構える、他人を否定しない、身繕いをきちんとしている、 必要な分野についての勉強をコツコツ続ける。
そんなお金持ちの類型を抽出して、電子書籍を出版しました。
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2020年10月06日

「ちょっといいかな」リストラ面談の崖っぷちで大逆転する8つの裏ワザ

「ちょっといいかな」リストラ面談の崖っぷちで大逆転する8つの裏ワザ
10/5(月) プレジデントオンライン

三菱自動車、ジェットスター、東芝など、9月に入って大手企業が次々に人員整理を発表している。
自分の会社でリストラが始まったとき、生き残るにはどうすればいいのか。
リストラ評論家の砂山擴三郎氏が「リストラ面談に呼ばれたときの8つの裏ワザ」をアドバイスする――。
 ※本稿は、砂山擴三郎『今どきサラリーマンのためのリストラされずに会社にぶら下がる方法』(主婦の友社)の一部を再編集したものです。

■会社のペースに乗せられるな
 早期退職・希望退職を会社側が募集し、個別に社員に退職勧奨(いわゆる肩たたき)する場合に必ずつきものなのが、会社側による対象者への「面談」だ。
一方的に会社都合で退職させたり解雇することの難しさを知っている会社の狙いは、「面談」を通じて本人を説得し、納得させて退職させることなのだ。

 会社側は戦力外社員とみなせば、退職してもらうためにあらゆる手を尽くす。
普通のやり方ではなかなか本人が「承知」しない。
中には「連日のように面談、休憩なしの長時間拘束、大声・威嚇・暴力・嫌がらせなどを伴う面談、多人数による面談」で強引に明らかな法違反の退職強要がなされることもある。
 それだけに会社ペースでの面談になって、退職に追い込まれることのないように自衛手段を講じる必要が出てくるのだ。
以下、会社側を押し返すための8つの裏ワザをお教えしよう。

■裏ワザ1 想定問答のロールプレーイングする
 ある程度の規模のリストラをする企業は、専門企業から手ほどきを受けるのが普通だ。
その場合、リストラ対象者との面談のやり方のスキル・テクニックを二日間ほどの研修で面談者に徹底的に覚え込ませるときに使われるのが「リストラマニュアル」(別名「辞めさせマニュアル」)である。
新聞や週刊誌の特ダネ記事とかスクープとして報じられることがしばしばあるが、今はネット上で容易に入手できる(「リストラマニュアル」で検索)。

 このマニュアルは何種類もあるが、ほとんど内容は変わらないのでどの会社のケースにも使えるだろう。
これを見れば、面談者の心構え・注意事項・面談のやり方・問答内容が詳細に記述されている。
読めば相手の手のうちがよくわかるので「百戦危うからず」だ。
 特に問答内容はビックリするくらい同じ。
こう言われたらこちらもこう切り返そうと事前の準備が完璧にできる。
あまりにも想定どおりに対応できるので、不謹慎だがゲーム感覚で対応できる。
そのため、ある人が思わず「笑み」をもらしたため面談者から叱責された、と聞かされたことがある。

 問答のポイントについては、拙著『仕事のできるあなたが、なぜリストラされるのか』に詳しくある。
なお、会社側がリストラマニュアルを使っているかどうかを確かめる方法は簡単だ。
面談室で面談者が自席の斜め前に座っていれば(もう一人いる場合は自席の横手)、このマニュアルを使っていると判断できる。
試しに座る場所を変えると、面談者も変えてくるはずだ。
「真向かいに座る」ことは対立関係になるからと、マニュアルでは禁じているからだ。

■裏ワザ2 面談記録をマメにとる
 突然の場合でも、「リストラ宣告だな」とピンときたら、とにかく記録をとり始めなければならない。
そのために日ごろから、少なくともメモ帳と筆記用具は携行しておきたい。
それにICレコーダーも必須ツールだ。
 これによって相手は気勢をそがれ、これは一筋縄ではいかないと思うだろう。
脅かし半分の下手な発言もしてこなくなるのが普通だ。

記録はいろいろなところで相談に乗ってもらう場合も利用でき、何よりも裁判などになったときは力強い武器になる。
やれば導入から圧倒的優位に事を進められる。
 この辺は相手もよく知っているので、そういったものの使用を止めさせたり牽制したりする。
これは100%近くあると考えたほうがよいだろう。
 「なにそれは。そんなんじゃあ、話せる事も話せないでしょうが。そういうことされるとお互いの信頼関係も崩れてしまうので遠慮してよ」

 何を言われても、その場でノートを広げ、「2020年10月5日、月曜日、今10時11分。第一会議室、面談者は山本和夫部長。部長が『それは遠慮してください』と発言」とドンドン大きな字で書けばよい。
ICレコーダーも前に置いて「録音スタート」とスイッチオンすればよい。
使うことはなんの問題もない。

 激しく抗議されることも、その場の雰囲気もあるだろう。
難しければICレコーダーは無理に使わなくてもよい。
とり上げられたり、机の上にオフして置かされたりすることに備えて2台持ちが今や常識になっている。
 馬の耳に念仏でほうっておけば、苦笑しながら黙認される場合も多い。
こうなれば、まず初戦は大勝利でのスタートとなる。
さらにノートパソコンを持ち込んで発言をいちいちインプットする輩も出てきている、と嘆く人事担当者もいるくらいだ。  

「そうですよ、部長のおっしゃるとおりですよ。これはあくまで言った言わないの話になった場合の確認用です。駄目なら私はこれから一切無言で通します」
 「金持ち喧嘩せず」の対応で既成事実を作ればよい。できるだけ細かく、要約しないでありのままの発言と様子を書く。相手側に、「こうですよね」と確認をとるのも高等戦術だ。
 ある人は、録音された一部始終をそのつど聞いて「こんな事言われて、絶対負けない」と励みにしていると聞いたことがある
さまざまな使い方があるものだ。

■裏ワザ3 とにかく時間を稼ぐ
 各部署や人事にはリストラ目標人員があり、いつまでにという時期も決まっている。
よって、トラブルが起きそうだとか時間がかかりそうな人は後回しになりがちだ。
ここが狙い目で、そうこうする内に台風一過。
あれはなんだったのかということがしばしばある。
景気が回復して急にリストラが中止になったり、希望退職の応募人員が募集枠を超えたり、上司の異動でリストラ候補から外されたり……。
だからとにかく時間を稼ぐのだ。
 普通、面談で設けている「週1回以内」「1回が長くて1時間」の基準をこの際活用するのだ。

そのやり方として、
 ★2回目以降の面談では、メモや録音したものを基に前回の詳細な問答記録を作って面談者に渡す。
そして一つ一つ読み上げて確認。
違っていれば修正し、最後にサインさせる。
 イチャモンをつけられたら、「大事な打ち合わせだから、キチンと議事録を作り、互いに確認するのが当然でしょう」と涼しい顔で受け流せばよい。
 ★家族と示し合わせて面談中に携帯電話をかけさせる。
電話応答したあと、溜息をつきながら「女房がうつになって」「子どもが不登校で」「母親が徘徊して」と家族のマイナス情報を面談者に伝える。
時間なので。ちょっと心臓の調子が悪くて医者からは早く手術するように勧められていまして。
発作がいつ起きるかわからないのです」と語る。
面談が中断し、面談者も勢いがそがれ、また無理押しできないという印象を与える。
 ★面談者の説明や説得の内容を細かく確認して質問する。また持論をとうとうと述べる。  「会社が収益悪化した原因なんですが、私が思うに……」
 ★事前の想定問答に基づき、ああ言えばこう言うスタイルで自分の考えに引き込んでいく。
 ★面談者が答えにくい質問をする。
 「それは就業規則の何条何項に規定されているのか、今まで適用された事例はどうか」
「社長の経営責任について聞きたい。そもそも会社がこんな危機に陥ったのは○○事業に新規進出したせいではないか。どんな成算があったのか聞きたい」

■裏ワザ4 無言で貫き通す
 沈黙は「金」というが、無言で腕組みして一切何も答えないのだ。
そのときに「じっとにらみつける」「顔面を引きつらせる」といったことを併せてやるとより効果的になる。
 実は人事が面談でおそれているものの一つが「無言」で、「のれんに腕押し」状態はベテラン人事もどうしたらいいのかわからなくなるのである。
わかったのか、わからないのか、何を考えているのか、まったくわからないので対処できず、音を上げてしまう。
 本人が黙り込めば黙り込むほど相手は話しかけてくるものだ。
そうせざるをえないのだ。
なぜなら、本人は黙っていても何も困らないが、なんとか説得し了解を取りつけようとする相手(会社側)は焦りまくる。
「何か言ってくださいよ。頼みますよ」と懇願するまでになる。
 本人にとって一秒一秒が苦しく辛い。
無限とも思える魔の時間だが、相手はそれ以上に苦しい。
辛抱し我慢し耐え抜きたい。
リストラされたときの大変さに比べれ これしきはどうってこともないはずだ。この方法は「誰でも・簡単に・いつでもできる、失敗しない」方法だ。

■裏ワザ5 常套句ですべて切り返す
 事前にさんざん問答を練習していても雰囲気にのまれたり、相手に気後れしたりするので十分に返答できないことがある。それに備えて「常套句」をいくつか準備し、相手の問いかけに対して的外れでもなんでも構わないのでそれで答えよう。
無表情で答えるとより有効だ。

 「私は辞めません」
 「それはなぜですか? 」(どんな返事に対しても3回繰り返す)
 「それはどういうことですか? 」(どんな返事に対しても3回繰り返す)  

何を言われても、単純にして明快なこれら3つの言葉ですませる。
繰り返し繰り返しこの言葉を呪文のように唱えるのだ。
私はこの言葉を「魔法の文句」と称している。
ぜひ、ご活用を。
この威力のほどを実地に試してください。
 相手は付け込む隙を見つけようと、例えば「なぜ辞めないのですか? 」と反応してくるが、そのときでも「辞めません」でOKなのだ。
そして黙って相手の目を見るといい。

 3つでも多いという人は、「私は辞めません」一つだけでも大丈夫。
忘れないようにと、手のひらにマジックで書いた人もいます(笑)。
 「辞めたくない、絶対に。辞められないんです。だから、何をされても何を言われても辞めません」。
まさに「踏まれても蹴られてもついていきます下駄の雪」の心境だ。
家族の顔を思い浮かべながら、ひたすら耐えがたきを耐え、忍びがたきを忍んでいくのだ。

■裏ワザ6 体全体を使って相手に自分の意志を表現すること
 例えば、こうだ。
 「目を大きくむきながら、両手に力こぶしを作り、椅子から立ち上がって大声で声を震わせながら、『私は絶対辞めません』の言葉を3回繰り返す」
 動作、アクションでは、  「溜め息をつく」「頭を抱える」「頭をかきむしる」「突然奇声を発する」「手を震わす」「手を振り回す」「声を震わす」「泣きそうな目」「荒い吐息」「握り拳を作る」「急に立ち上がる」「とろんとした目」「机をこぶしで叩く」「あらぬ方向に目を向ける」……

 自分の気持ちや心情を体で表現する効果的な方法を考え出して、自分で自分を演じる役者になることだ。

■裏ワザ7 面談者の失言を徹底的に追求すること
 面談者も速成教育を受けたばかりの管理職であったり、他部署からの応援人事だったりする。
落とさなければならない気持ちが先行してついつい口にしてはいけないことを言ってしまうというミスをしがち。
これが狙い目なのだ。

 激昂して、「この馬鹿者が」「だから君は駄目なんだ」とか、「もうクビだ」「僕も本当はリストラなんかしたくないんだけどね」などと絶対使ってはならない言葉を使ったりする。
 「部長、今、私をクビだと言いましたよね、整理解雇ということですか。このあとすぐ労働組合に相談します。説明と発言が違うじゃないですか、どうしましょう」
 レコーダーにもバッチリ入っている、もう面談者は逃げられない。
ここで攻守所を変えることになる。
すぐその場で言うのが効果的だが、次回に発言メモを見せたり、テープを聞かせたりしてもいいだろう。
次から対応がはっきり変わってくるはずだ。

■裏ワザ8 面談者への個人対応をする
 面談者にとって避けたいのは、前述した「記録をとられること」「対象者の無言」と、もう一つあるのが「自分への個人対応」だ。
 面談前に面談者の個人情報を集めるようにする。
フェイスブックで検索したりして、社内人脈・住所・家族構成・学歴・趣味など幅広く知りたい。
これが武器になるのだ。
そのうえで機を見て「会社じゃあ、時間もないし、立場上言えないこともあるでしょう。
部長の自宅の最寄り駅は、確かJRの○○でしたよね。一度夜にでもお邪魔しますよ」と、これでいい。

 リストラマニュアルによると、「会社は……と考えている」「会社は……を決して許しません」などの言い方を面談者に推奨する。
要は、「こんなことをしたりやったりするのはすべて会社で私個人ではない。私はこういう立場にあるから仕方なくやっているのだ」と心のやましさを覆い隠すと同時に個人攻撃に待ったをかけている。
面談者個人に矛先が向けられることは会社として困る、やめてほしいということだ。
これが狙い目になる。
 この個人対応に耐えられる人はほとんどいないだろう。
しかしこれは乱用してはならない。
必ず「素振り」だけにしておくことだ。
要は、「私に退職を強く求めるとあなた自身も返り血を浴びますよ」という印象を与えておくことが必要なのだ。
一番やられたくないことなので、扱いがガラッと変わる可能性がある。
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- 砂山 擴三郎(すなやま・こうざぶろう) キャリアコンサルタント
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2020年10月07日

なんでも「正解」が欲しい日本人に足りない視点

なんでも「正解」が欲しい日本人に足りない視点
オックスフォード大学式チュートリアルとは
2020/10/06 東洋経済オンライン
大仲 千華 : マインドセットコーチ・トレーナー、明治学院大学教員

未曾有のウイルスによって働き方やライフスタイルに大きな変化が起きている。
先が見えない中、どう行動するのが正しいのか、誰を信用すればいいのかなど、「唯一無二」の答えが存在しない状態となっている。
こうした中、『自分の軸で生きる練習』筆者で、プロコーチングとして活躍する大仲千華氏は、「万能な答えのない状況では、1つの答えを追求するより、いかに自分で考えるかということのほうが重要だ」と話す。
本記事では同氏がオックスフォード大学で学んだ自分の頭で考えて、自分に必要な答えを導き出す方法を紹介する。

1つの答えを出すより、「いかに考えるか」が重要
私たちはいま、前例のない「答えのない時代」を生きています。
国際情勢から為替の変動、そして新型コロナウイルスまで、「未知なこと」や「予測不能なこと」が日常的に勃発し、一つひとつの出来事が複雑に影響し合って、日々の生活や働き方などが思わぬ方向に進む事態も発生しています。
その変化の速度は、ますます加速しているといえます。
このような状況下では、すべての問題を解決してくれる唯一無二の答えなど存在しません。
そんな「答えのない時代」に、自分にとって必要な答えを導き出すためには、どんな能力が必要なのでしょうか?

その1つが、考え方の考え方、つまりは「考え方の軸」を持つことです。
万能な答えのない状況では、1つの答えを追求するより、「いかに考えるか」ということのほうが重要だからです。
私はイギリスのオックスフォード大学大学院で、答えのない状況での考え方の軸を本格的に学びました。
オックスフォードに入学して驚いたのは、教授と学生が1対1、もしくは1対2で対話をしながら学ぶ「チュートリアル」という指導体制がとられていたことです。

多くの大学では、講義における議論への参加ぶりや提出した課題の内容によって評価されるのに対し、オックスフォードではこのチュートリアルこそが、学びの中枢になります。

まずは、そのステップをご紹介しましょう。

@これまでの論点を言語化し、整理する
毎週新しいテーマに関する文献を大量に読むことによって、テーマを理解して言語化し、論点を整理します。
何十年、何百年もかけて積み上げられた先行研究の内容を「自分の言葉」で表現する作業です。
それをもとに、いままでに何が明らかになっていて、どんな課題があるのかという点について、自分なりの結論を出して小論文にまとめます。
オックスフォードではこの作業を1年間で8週間×3学期=計24週間繰り返します。

A不明確な点を明確にする
完成した小論文を教授に提出すると、チュートリアルが始まります。
教授によく聞かれたのは、「それはどういう意味?」という質問でした。
この単純な質問を繰り返されると、不明確だった部分が明確になっていきます。
自分の中できちんと理解できている場合はそれなりに回答できるのですが、理解できていない場合はうまく言葉にできずに説得力のある答えができないからです。
この質問のおかげで、自分の理解の曖昧な点を明らかにすることができます。

答えは1つではないことを知る

B結論に至った思考の前提を確認する
次に聞かれたのは「どうしてそういう結論になったのか?」ということでした。
この質問によって、全体の論理展開に矛盾がないか、自分の考えのもとになっている前提は何かを確認していきます。

C洞察を深める
そのうえでさらに、洞察を深めていきます。
自分の理解や情報が足りない点をクリアにしたうえで、さらにどう思うか聞かれたり、「こういう別の見方もあるけど……」と、反対意見に対する考えを求められます。
自分とは違う意見と比較することで、自分の視野や選択肢を広げ、そのうえで改めて「自分にとっての結論は何か?」をよりはっきりさせることが狙いです。

D理解を積み上げる
こうしたプロセスの中で、唯一の答えを求められることはありませんでした。
むしろ、答えは1つとは限らず、多彩な視点があってよいことが強調されます。
そして、「誰も1人では理解を深めることはできない」という前提のもと、自分とは違う意見にオープンに耳を傾けて、自分自身の思考プロセスを確認する作業を続けるように促されました。

チュートリアルでは、クラスメートの存在や教授からの「なぜその結論になったの?」という問いかけのおかげで、「なぜあなたはそのテーマに興味があるのか?」といつも自分の根源について問いかけられているような気になったものでした。
この思考のプロセスを繰り返すうちに、私は「理解や答えはある日、突然湧き出てくるものではない」ということに気がつきました。

ひらめきが何千回、何万回もの地道な情報収集と試行錯誤の末にやってくるのと同じで、「考える」作業も、成功体験を一つひとつ積み重ねていくことで、新しい答えやオリジナルな答えに到達します。
つまり、「理解する」ということは、思考と洞察の「積み上げ」によってもたらされるのです。

かつてアインシュタインは、「大切なのは、疑問を持ち続けることだ。神聖な好奇心を失ってはならない」と言いました。
彼の言うように、この変化の激しい時代において力になるのは、疑問や好奇心を通じて自分自身への理解を深めることであり、同時に、他者と意見を交わしながら、丁寧に目の前の課題に対して向き合っていくプロセスです。

オックスフォードでの体験によって、私は答えのない課題に向き合うための「メンタリティー」と「考え方の軸」を構築することができました。
とはいえ、現在学校に通っていない方は普段の生活や仕事をしていく中で、自分自身でどのように課題に向き合っていけばいいか、理解を深めていけばいいか、イメージしにくいかもしれませんね。

答えがないときに大事な3つの問いかけ 答えがないように見えるときこそ、次の3つの「問いかけ」を行い、目の前の課題を整理してみてください。

@「何が問題なのか?」
A「これまでに何が明らかになっているのか?」
B「どのような選択肢・対策がいいのか?」

オックスフォードを卒業して数年後、私は国連で東ティモールや南スーダンといった民族や宗教が複雑に絡み合う「予測不可能」な紛争の現場で働くことになるのですが、そこでこの力が助けになるとは、まだ夢にも思いませんでした。
これらは、現在コーチングのプロとして活動する中でも、つねに念頭に置いている思考のステップです。

一見複雑に見える出来事や新しいテーマであっても、自ら調べ、一つひとつわかる範囲が増えていき、自分の中での理解が深まっていくにつれ、これまではわからなかったことが確実にわかるようになっていきます。
この3つの問いを繰り返しながら、知識と理解を積み上げていくと、一見難しいことに対しても自分で必要な「答え」がわかり、自ら判断できるようになっていきます

自分で答えを導き出し、「わかっていく」体験は、確実に自信となり、人生においても大きな力となってくれることでしょう。
posted by 小だぬき at 00:00 | 神奈川 ☁ | Comment(0) | 健康・生活・医療 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2020年10月08日

中高年の「目の疲れ」、本当に効く方法とは

中高年の「目の疲れ」、本当に効く方法とは
2020.10.7 ダイヤモントドオンライン
川口友万:サイエンスライター

読書の秋である。
秋の夜長は、“積ん読”になっていたビジネス書や小説を一気に片づけたいところだが、何とも困るのが目の疲れ。
40代半ばあたりから老眼が進み、本を読むのもひと苦労。
ピントが合わずに視界がかすむ。
年を取ると、なぜこんなに目がかすむのだろう。
目の筋肉の衰えと細胞の劣化、そして涙が減るためらしい。
どうすれば改善するのだろうか。
   (サイエンスライター 川口友万)

ドライアイの チェックリスト
 年を取ると目の調子がどんどん悪くなる。
かすんだり長く開けていると疲れて、本を読む気がうせる。
目が見えにくくなっている時、目はどうなっているかというと乾いている。
涙の量が減っている。いわゆるドライアイだ。

ドライアイとはどういう症状か?
 目薬の製薬会社が作ったチェックリストによると、以下のうち5項目が当てはまるとドライアイの恐れがある。

1.目が疲れやすい
2.目やにが出る
3.目がごろごろする
4.重たい感じがする
5.目が乾いた感じがする
6.何となく眼に不快感がある
7.目が痛い
8.涙が出る
9.ものがかすんで見える
10.目がかゆい
11.光を見るとまぶしい
12.目が赤い

深いまばたきが ドライアイを防ぐ
 結構、みなさん当てはまるのではないか。
 ドライアイの最大の原因はパソコンだ。
パソコンの画面を見ながら作業をすると、肩が凝ったり目がかすんだり腰が痛んだりと、いろいろな症状を併発する。
長時間、モニターを見ながらキーボードとマウスで作業するという、今までなかった体の使い方が引き金になる。

 眼科医によれば、パソコンを使っている時は、まばたきの回数が極端に減るのだそうだ。
普通、私たちは1分間に20回ぐらいまばたきをしているが、パソコンを使って作業をするとまばたきの回数がおよそ3分の1に減ってしまうという。

 角膜の表面は、まばたきによって涙腺から押し出された涙で潤っている。
まばたきが減ると涙が減り、涙で角膜が潤わなくなる。
乾燥した目の表面にはガラスにひびが入ったような細かい傷ができ、異物感が出たり、視力が低下する恐れもある。
これがドライアイだ。

「異物感などの自覚症状」
「涙の分泌量・質の低下」
「角膜もしくは結膜に傷がある」
という3つの症状があると、ドライアイと診断される。

 厚労省によれば、およそ2000万人にドライアイの危険があるというから、もはや国民病と呼んでいいだろう。
 年を取った人の方がドライアイになりやすく、症状は深刻だ。

涙液は油層、ムチン層、水層の3層からなっている。
 若い時は油層が分厚いため、涙が蒸発しにくい。
それだけドライアイになりにくいが、年を取ると涙の質が劣化し、油層が薄くなってしまう。
 ドライアイは、パソコンでの作業時間が長ければ長いほど発症しやすい。
1時間より2時間、2時間より4時間、長く連続して作業が続けば続くほど目は乾いていく。
 厚生労働省では、1時間ごとに10分の休憩を取るように指導している。
この時、涙を出すことが目を守ることになる。
まばたきを意識的にする、まばたきを深くすることによって涙液が出る。

 普段のまばたきは案外と浅く、瞳孔の下まできちんとまばたきをしていない。
そのため、目の下の角膜がずっと乾いた状態になっていることが多い。
一番下まで意識的にまばたきをすることで涙が補充され、ドライアイを防ぐことができる。

冷やした目薬は 目の疲れに逆効果
 ドライアイの発症には男女差があり、女性に発症しやすい。
 パソコンでの作業者のうち、女性の有病率は48%と、およそ2人に1人がドライアイだ。
一方、男性の有病率は27%と、女性の半分程度。

 女性の発症率が高い理由の一つとして、化粧を指摘する声もある。
 アイメイクをする際に涙腺のうち油分を分泌するマイボーム腺が化粧品で塞がれ、油分の量が減ってしまうというのだ。  

目にはたばこも良くない。
タバコの煙にさらされると涙の分泌が不安定になり、炎症の細胞が増えて目に負担がかかる。
 コンタクトレンズもドライアイの原因だ。
 コンタクトレンズは、それ自体が水分を吸う性質がある。
そのため、涙がコンタクトレンズに吸収されて、目の表面が乾きやすくなる。

パソコンを使う時はコンタクトを外してメガネに変えた方がいい。
 ドライアイが悪化すると角膜に穴が開く。
穴が大きくなると目の組織が中から出てきてしまい、角膜移植しなければ失明することになる。
おかしいと思ったら、早めに医師に見せた方がいい。

 ドライアイの症状が軽い場合は人工の涙液、角膜が傷ついている場合はヒアルロン酸入りの点眼薬を使う。
 医療用は市販薬と違って、防腐剤やメンソールなどの刺激物が含まれていないので目に優しい。
市販の点眼薬を使い過ぎると、角膜の表面に防腐剤が蓄積して表皮が荒れるので注意が必要だ。
 よりひどい症状の時は、涙点プラグを使う。
涙が蒸発するのは10%程度、残りは涙小管という管を通って鼻へと流れ込む。
そこで管の入口にあたる涙点を栓で塞ぎ、涙が流れ出すのを防ぐ。
コラーゲンを注射器で流し込み、栓をするキープティアという施術もある。

 では、普段の目の疲れはどうすれば改善するのか? 
 目を温めればいいのだ。
 温めるとまぶたの縁にある皮脂線の詰まりがなくなり(皮脂の融点は体温よりも若干高く約38度)、涙の分泌を促すことができる。
 目が疲れたからといって、冷蔵庫で冷やした目薬をさすのは逆効果なのだ。
温めたタオルなどで目を温めると疲れが取れ、涙が再び流れ出す。

加齢による目の疲れは 若い時と何が違うのか
 ドラッグストアの目薬売り場などでは、1500円前後もする目薬が数多く並んでいる。
それらの中には、加齢による疲れ目やかすみ目に効くという商品が多い。
 加齢による疲れ目やかすみ目と若い時の疲れ目とは違うのか。
 製薬会社は次のように説明する。
「(若い時の疲れ目と中高年の疲れ目では)疲れの原因が異なります。
疲れ目の主な原因は目を酷使することにより目の筋肉(毛様体筋)が疲労することです。
中高年の場合、目の筋肉の疲労に加え、加齢により目の筋肉の機能が低下していることが考えられます」(ロート製薬広報部)

 疲れ目=目の筋肉が疲れる点では年齢は関係ないが、中高年は筋肉自体が衰えているので、目が疲れやすい。
 中高年になると、なぜか目がまぶしくて、物を長時間見られないことも起きるが、あれも目の老化現象だ。
「また、角膜では皮膚と同様に、古くなった細胞が剥がれて新しい細胞が作り出されています。加齢により新しい角膜細胞を作り出す機能が低下すると、角膜細胞が減り表面がデコボコになります」(同)

 角膜が滑らかさを失うと角膜の表面で光が乱反射し、光がチカチカとまぶしくなる。
 年を取ると細胞の代謝がスムーズに行われないのは、小さなケガさえいつまでも治らないので実感する。
目の表面でも同じような代謝の劣化が起きているのだろう。
 そうした加齢特有の症状に合わせて、目薬も成分が変えてある。
中高年向けの製品に共通して含まれているのがネオスチグミンメチル硫酸塩という成分だ。
ネオスチグミンメチル硫酸塩は筋肉を収縮させる働きがある。

なぜ筋収縮剤が加齢のかすみ目に関係するのか。
 レンズの働きをする水晶体を厚くしたり薄くしたりしてピントを合わせるのが、毛様体筋の働きだ。
近くを見る時、毛様体に力が込められて水晶体がぐっと厚くなり、ピントが手前で合う。
 ところが年を取ると毛様体の力がなくなってしまい、力を入れてくれなくなるのだ。
水晶体が厚くならず、近くにピントが合わなくなる。
これが老眼であり、かすみ目の正体だ。
 そこでネオスチグミンメチル硫酸塩で毛様体筋を収縮させ、水晶体を厚くしてピントを合わせるわけだ。

 眼科で処方する目薬には、ネオスチグミンメチル硫酸塩が市販薬とは、文字通り桁違いの量が配合してある。
疲れ目がひどい時は、医師の診察を受けて処方薬をもらうことをお勧めする。
 加齢による目の疲れは筋肉の衰えなので改善は難しい。
目薬で筋肉を動かしながら、涙を増やすように目の周りをあたため、こまめに目を休めたり、太陽光を直接見ないように気をつけたりするぐらいしかない。

 最近はルテインやゼアキサンチンという成分が目に良いことがわかっている。
網膜の黄斑部に分布し、高い抗酸化作用で網膜を守るのだ。
この2つの成分は、ホウレン草やケール、ブロッコリーなどの緑黄色野菜にたくさん含まれている。
ポパイではないが、目を良くする(少なくとも悪くさせない)ためには、緑黄色野菜を食べるのもいいだろう。
posted by 小だぬき at 00:00 | 神奈川 ☁ | Comment(0) | 健康・生活・医療 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2020年10月09日

「誰もが『生きたい』と思える社会」が議論の前提

「誰もが『生きたい』と思える社会」が議論の前提
2020年10月7日 毎日新聞
香山リカ・精神科医

 京都で起きた難病・筋萎縮性側索硬化症(ALS)の嘱託殺人事件を受け、同じ病を患う参院議員の舩後靖彦氏が、<ALS患者嘱託殺人 誰もが「生きたい」と思える社会を>という論稿を書いた。
 「尊厳死や安楽死の議論の前に、まずはだれもが『生きていたい』と思えるような環境、社会づくりを」という舩後氏の主張をどう受け止めるか。

さらに、「死の自己決定権」や新型コロナウイルスの感染拡大でしばしば話題になる「命の優先順位」をどう考えるか。
読者に呼びかけたところ、多くの意見が寄せられた。

 まず私が感銘を受けたのは、この問題を経済合理性の観点で語ろうとした人が、今回ひとりとしていなかったことだ。
京都の事件では、難病患者の依頼を受けて薬物を投与して死に至らしめた医師のひとりのSNSアカウントが特定されたが、「回復の見込みがない難病や高齢の患者の医療を続けるのは、カネとマンパワーの無駄」といった内容の投稿が多くを占めていた。
 それに対してネットでは批判の声が渦巻いたが、一部ではあったものの「この医師の言うことは正論」などと評価する人がいたのも事実だ。
さらにごく一部には、「仕事もできず生産性がない人たちには生きる価値はない」という優生思想的な発想から、尊厳死や安楽死を積極的に認めようとする声もあった。  

さらに事件が発覚した7月23日、日本維新の会代表の松井一郎代表が「維新の会国会議員のみなさんへ、非常に難しい問題ですが、尊厳死について真正面から受け止め国会で議論しましょう」とツイッターで呼びかけた。
これにも「殺人事件が判明した当日に尊厳死の議論を呼びかけるとは」という非難とともに、「お願いします」「必要かと思います」と肯定する声もあった。

 こうした流れを受けて、医療財源の節約といった経済合理性の観点から一気に尊厳死や安楽死の法制化の動きにまで進むのでは、と私も一時は緊張した。
 しかし、今回寄せられた意見の多くは、舩後氏に賛意を示すものだった。
のちほど紹介する「議論は必要」という人もあくまで患者自身の観点に立って見解を述べており、「このままじゃ医療費のムダづかい」「生かしておく必要はない」などの経済至上主義や優生思想からそれを語ろうとはしていなかった。

 人間としてそれはごくあたりまえのことなのかもしれないが、最近の世相はとかくすさんでおり、私など「誰もが生きられる社会を」という言葉を口にするだけで、SNSでは「きれいごとを言うな」「じゃあなたが障害のある人、全員を面倒見ろ」といった攻撃が飛んでくる。
その中で今回のような誠実な意見を目にすると、それだけで心が洗われるような気がした。
 今回は、障害や病気の当事者や家族の方も多く意見を述べてくれた。

脊髄(せきずい)損傷の障害がある『木村俊夫』さんは、はっきりと「少なくとも今の日本の自己責任論や生産性云々(うんぬん)、弱者切り捨ての風潮が蔓延(まんえん)している社会では尊厳死や安楽死の議論はすべきではないと思います」と言う。
 また、障害があるという『匿名希望』さんは、「私自身は消極的安楽死に賛成で、日本尊厳死協会に加入している」としながらも、命が「自分の意思とは関わりなく優先順位を決定されるのではないかという危惧は常にある」と正直に自分の気持ちを語ってくれた。

 さらに、当事者にしかわからない話を書いてくれた人もいた。
『大道寺玲子』さんのように、かつて病から何度も死を考えたが、「今、つくづく『あの時死ななくて本当に良かった』と思っています」という。
 『猫派です』さんは母親の自殺未遂を経験したという家族の立場から、「それを見て自殺は駄目なことなんだと学びました」と思いを打ち明けてくれた。
 もちろん、今回、当事者の立場から尊厳死、安楽死を望む、という声もいくつかあった。
進行性の膠原病(こうげんびょう)を患っているという『ニャン子ママ』さんは、「不治の病は本人にしかわからない苦しみがあり、それは家族であっても理解する事は不可能だと私は思います」として、安楽死に肯定的な立場だと明らかにする。  『ぴー』さんはがんで苦しんで亡くなった母親をみとった家族の立場から、「本人が望むなら安楽死もありだと思います」と述べる。
これも重い意見である。

 また、現在は病や障害はないが、将来、他人の手を煩わせるのはいやだ、安楽死の権利があった方が不安が減って生きやすくなる、という意見もいくつかあった。
さらに、脳神経内科医だという『Neurologist』さんは、病で終末期を迎えた人は時間がたつにつれて死を受容し、延命治療を望まなくなるという論文を紹介しながらも、「『命の優先順位』は論外です。
これでは収入の多い人の方が少ない人より価値があるなど優生学的思想を産みます」と語った。

 いずれの人たちの言葉も本当にリアルでかつ重いと思う。
今回の意見を通して私は、尊厳死や安楽死の問題は原則的に、当事者や家族、現場の医療従事者以外から語られることがあってはならないのだ、という思いを強くした。
 つまり、松井・日本維新の会代表のように、当事者でもない立場の人が外から「さあ、そろそろ考えませんか」などと切り出すべきではないのではないか。
 そして、こういったすべての議論の前に、まずは舩後氏の言う「誰もが『生きたい』と思える環境、社会」があるべきだ、というのはすべての投稿の根底にある認識のようだった。

中には、「相模原の事件が絶対に起こらないと言い切れない今の日本では、議論すら拙速にすぎると思います」
「まだ差別主義者が跋扈(ばっこ)するこの日本で命の選別に関わる議論など百年早い」と言い切る人もいた。
本当にその通りであろう。

 今回、「命」に関する本質的な議論の中で、冷笑主義的な詭弁(きべん)や経済優先の表面的な意見ではなくて、誠実かつ率直な「正論」を多くの人から聞けたことは、私にとってもたいへん有意義であり、心から投稿者のみなさんに感謝している。
「尊厳死、安楽死は是か非か」といった拙速な議論ではなく、またこうして「命とは何か」「人生とは何か」という問題をじっくり読者と考える機会を持ちたい。 
posted by 小だぬき at 00:00 | 神奈川 ☔ | Comment(0) | 健康・生活・医療 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2020年10月10日

「税は取りやすいところから」荻原博子が警告する「増税」乱発

「税は取りやすいところから」荻原博子が警告する「増税」乱発
10/9(金) 女性自身

10月からビール類などにかかる酒税が改定された。
酒税(350ミリリットル換算)は、ビールが77円から70円になり、7円の引き下げ。
反対に、新ジャンル(第三のビール)は28円から37.8円と約10円の引き上げ。
発泡酒は46.99円のまま、今回は据え置きとなっている。

そんな10月からの新・酒税法について、経済ジャーナリストの荻原博子さんが解説してくれたーー。
■税は「取りやすいところから取られる」
今回の酒税改革は、3段階で進められます。
次は3年後の’23年10月、最後は6年後の’26年10月の予定で、最終的に、ビール、発泡酒、新ジャンルにかかる酒税が54.25%に統一されます。
ビール類の出荷量は’18年、ビールが約1億9000万ケースで、新ジャンルは約1億5000万ケース。
’19年以降の出荷量は非公開ですが、新ジャンルがビールを猛追しているといわれます。

さらに今年はコロナ禍で、飲食店での需要が多いビールは出荷量を落とし、反対に、家飲みが増えた結果、新ジャンルは出荷量を増やしていることが予想されます。
仮に、両者の出荷量が同じだとすると、酒税は7円の引き下げと10円の引き上げで、国の税収は増加。だとしたら、増税ですよね。
これまでも、酒税はビール類の売れ行きに多大な影響を与えてきました。
発泡酒が’94年に登場し人気が出ると、’96年と’03年に酒税を引き上げ。
’04年に新ジャンルが登場するや、’06年にまた酒税改定。
そして、今回、新ジャンルも発泡酒もビール並みの酒税にする。

まさに“税金は取りやすいところから取る”の典型です。
酒税以外にも、取りやすいところに新税・増税が乱発されています。
日本を出国時に1000円徴収される「出国税」は’19年に導入され、「森林環境税」は’24年度から住民税に1000円上乗せされます。
また、たばこ税は3段階引き上げの2回目が、10月から実施されています。

消費税をはじめ、これらの増税は、私たちの家計をじりじりと苦しめています。そもそも、ビール1本約200円のおよそ3分の1が酒税で、さらに消費税も私たちは負担しているのです。
いっぽう、これら税金の使い道は、国民からは見えづらい。

元総理大臣の葬儀より、コロナ禍で倒産目前の会社を救うことに、もっと税金を使えないのでしょうか。
国には税収をどう増やすかではなく、どううまく使うかに、知恵を絞ってほしいものです。
「女性自身」2020年10月20日号 掲載
posted by 小だぬき at 00:00 | 神奈川 ☔ | Comment(2) | 社会・政治 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2020年10月11日

急増する「コロナ詐欺」10の手口と、身を守るために今すぐ実践できること

急増する「コロナ詐欺」10の手口と、身を守るために今すぐ実践できること
10/10(土) All About

◆新型コロナウイルスの大流行に便乗するサイバー犯罪
ここ数年サイバー犯罪の検挙件数は右肩上がりで増えており、その中でネット詐欺も広まっています。
新型コロナウイルスの影響で外出を自粛し、その分自宅でインターネットを利用する人が増えました。
サイバー犯罪者は、そんな機会を見逃しません。
これから紹介する10の手口は、どれも新型コロナウイルスをネタにして横行する犯罪の数々です。
このコロナ詐欺について、主な手口と対策を解説します。

◆手口1:ECショップをかたるフィッシング詐欺
緊急事態宣言が出た4月には、ECショップをかたる詐欺サイトが2019年4月と比べて、なんと5倍以上に激増しました。
実在するサイトを装い偽のWebサイトに誘導するフィッシング詐欺の手口です。

◆手口2:マスクや消毒液の販売に便乗したネット詐欺
2020年前半は、マスクを格安で販売するとだまして、金銭を奪うネット詐欺が流行していました。
今はマスクの流通が正常化したので、姿を消しています。
同じように、消毒液などのウイルス対策用品のネット詐欺もありました。
筆者もAmazonでマスクを購入したところ、いつまで経っても届かないので購入履歴を確認したところ、見覚えのないタオルに差し替わっていたことがあります。
もちろん、マスクどころかタオルも届きませんでした。
マスクの価格は1円などの激安ですが、送料を1万円や2万円と高額に設定する手口も流行しました。
ユーザーが合計金額を確認せずに購入するのを狙ったものです。
しかも、返品&返金処理をしても、通常は送料は返ってこないので、1円しか返金されないということになります。
現在は対策され、この手口は見られなくなっています。

◆手口3:個人情報リストをターゲットにしたフィッシング詐欺
金銭ではなく個人情報をターゲットにしたフィッシング詐欺もあります。
例えば、マスクを無料で配布するという名目で、住所や氏名などを入力させるのです。
もちろん、入力してもマスクは届きません。
盗まれた個人情報はリスト化され、ダークウェブなどで販売されます。
すでにフィッシング詐欺に引っかかっている被害者のリストですから、これからネット詐欺を行うつもりのサイバー犯罪者にとってはお金を払っても欲しいリストとなります。

◆手口4:持続化給付金の申請手続きを狙ったネット詐欺
持続化給付金を受け付けている期間は、面倒な申請を代わりにするので手数料を取るというネット詐欺が登場しました。
ちなみに、手数料を支払っても、申請はしてもらえません。

◆手口5:PCR検査や助成金を利用した詐欺
厚生労働省は、「費用を負担するので新型コロナウイルスの検査を受けるように言われ個人情報を聞かれた」や「50万円の助成金を受けられる」と電話が来る詐欺事例を公開しています。
2020年上半期に警察が把握した電話でのコロナ詐欺は88件、被害金額は8395万円にも上っています。

◆手口6:LINEアンケートを真似た詐欺
LINEは国内8300万人のユーザーに対して、新型コロナウイルスに関するアンケートを取りました。
このアンケートを真似たメッセージを送り、クレジットカード情報を入力させようとするのです。

◆手口7:投資家を狙った詐欺
新型コロナウイルスの影響で全世界的に経済がダメージを受けていますが、そのようなときは「金」に投資しよう、というメールもばらまかれました。
実際、そんな傾向もあるのですが、詐欺師がばらまいているメールから購入しようものなら、よくて高額の手数料を取られ、通常はお金や個人情報を盗まれるだけでしょう。

◆手口8:新型コロナウイルスの感染マップアプリを騙ったマルウェア攻撃
新型コロナウイルスの感染マップアプリを騙ったマルウェアも登場しています。
不正なアプリをユーザー自身にインストールさせようとするのです。
ランサムウェアに感染するとPC内のすべてのファイルが暗号化され、復号化したいならお金を支払うように求められます。

◆手口9:「コロナ・マネーミュール」という名のネット詐欺
海外の事例になりますが、コロナ・マネーミュールというネット詐欺も発生しています。
とても巧妙な手口で、ぱっと見被害者がいないように見えるのがポイントです。
ある日、慈善団体から新型コロナウイルス対策の仕事を手伝ってくれないか、と連絡が来ます。
近くの薬局でマスクの価格を調べるといった簡単な作業すると報酬が振り込まれます。
その際、例えば30万円が入金され、報酬の1万5000円を引いた分を、慈善団体のビットコインウォレットに送金するように指示されます。
お金は先払いですし、本当に1万5000円はもらえます。
しかし、これはマネーロンダリングの手先にされているネット詐欺なのです。
犯罪で得たお金を足が付かないようにビットコイン化する手口で、被害者はそのリスクを肩代わりすることになります。

◆手口10:治療薬を偽った詐欺
アメリカでは、新型コロナウイルスにかかりにくくなるとか、かかっても治ると謳った製品が多数販売されています。
FDA(米国食品医薬品局)はメーカーや商品名を名指しして警告しているほどです。
エッセンシャルオイルやハーブ製品、はちみつといった商品が多く、FDAによると製品の謳い文句通りに機能しない可能性が高いとのことです。

◆ネット詐欺に引っかからないための対策
これらのネット詐欺に引っかからないためには、事例を学ぶとともに正しいデジタルリテラシーを身につける必要があります。
とはいえ、対策は簡単です。
まず、メールやメッセージで送られてきた怪しいURLは絶対に開かないことが重要です。
もし、政府機関や企業のWebサイトを開きたいなら、自分で検索して本物のURLからアクセスしましょう。
アプリをインストールする際は、アプリストアなど信用できるところを利用することもポイントです。
野良アプリはそもそもマルウェアの可能性があるので注意してください。

ノーリスクで儲かるといった美味しい話などありません。
その手の話が来た時点で、ネット詐欺を疑ってください。
コロナ・マネーミュールのように看破しにくいこともあるのですが、事例を知っていれば相手にせずに済みます。
サイバー犯罪者は何百万何千万と餌をまき散らし、ごくごくわずかに引っかかる人たちを狙っています。
デジタルリテラシーを身につけ、自衛してください。

          柳谷 智宣(スマートフォンガイド)
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2020年10月12日

「#先生死ぬかも」日本の教育現場はあと10年も持たない

「#先生死ぬかも」日本の教育現場はあと10年も持たない
10/11(日) 現代ビジネス
たかまつなな 芸人 時事YouTuber

担任の先生が「死にたい」…疲弊する学校の現場
 今から3年前、私は大学院生だった。
深夜2時過ぎだったろうか。LINEに電話がかかってきた。
「誰だろう?」と思いながら電話をとると、相手は相当泥酔していた。
どこかで聞いたことのある声だなと思い聞いた。
「あの〜もしかして、●●先生ですか?」。
電話をかけてきたのは、私の昔の担任の先生だった。
明らかに様子がおかしく、自殺をほのめかす言葉を次々に発した。
後日、他の先生にも話を聞いたら、「働きすぎ」だということだった。

 私は1年間で1万人以上の子どもたちに出張授業を届けている。
学生時代からお笑い芸人として活動している私は、お笑いの力で教育界を変えたいと考え、全国の学校へ出張授業をしている。
そんな中で強く感じることがあった――このままじゃ先生死ぬかも 。

 時代の要請で新しい授業が求められているが、それらに対応できない現場。
その大きな要因として、忙しすぎる先生の実態があることをこの目で見た。
子どもの自殺、不登校の取材をした際も、こんなに忙しい先生にもうこれ以上の対応を求めるのは難しいと思った。

学校問題の根っこの問題は、この先生の忙しさである。

中学校教師の6割が過労死ライン超え
 学校への出張授業を通して寄せられる悲痛な声を受けて、私は3年近く先生の過労問題を取材した。
すると、小学校の教師の3割、中学校の教師の6割が過労死ラインを超えて働いていることがわかった。
これは言い換えると、いつ死んでもおかしくない先生が小学校には3割、中学校には6割もいるということだ。
過労死で亡くなってしまった先生のご遺族の方とお話しする度に、繰り返してはいけないと痛感する。

 先生たちは、本当に生徒のことを愛している。
今、先生方は特殊な法律上、残業代は0円で働いている。
いくら働いても残業代がもらえないという仕組みのため、管理者側に人件費というコスト意識がなく、子どものためといって際限なく仕事が増えてしまうのだ。

「子どものため」を思うと仕事を減らすのはなかなか難しい。
ほぼただ働きだ。
 より面白い授業を、より充実した部活動をするため、どんどん忙しくなる。
そして、倒れていく先生があとを絶たない。
なんとか、この先生の悲惨な状況を知っていただきたい。
そう思い今年の8月、私が先生たちにSOSを発してくださいとツイートで呼びかけたところ、「#先生死ぬかも」がtwitterのトレンド入りした。
タイムラインには、先生の悲痛な声が溢れ返っていた。

ネガティブな印象を隠したがる教育界
 それに対して、文科省のオープンな会議である三鷹市の当時の首長が「ブラックだと言われすぎだから、やりがいのある仕事だと訴えましょう」と平然と言ってしまうぐらい、世間との認識はズレている。
自分の部下が過労死ラインを超えている、だから自分の会社の人気が落ちた。
そんな時に一番すべきことは、部下を守るために残業時間を削ることだ。
仕事の量を減らすなり、新しい人を採用するなり、アウトソーシングできることはするなりの対応が必要だ。

 そんな時に、やりがいのある仕事だと訴えようとするのはおかしい。
これでは、学校は「ブラック企業」そのものだ。
そして、過労死されたご遺族の方にお話をお伺いすると、地方紙に「美談」として取り上げられたり、生徒のことを思って労災を申請しにくいという声が聞こえ、実態がわかりにくくなっていることを知った。
それでも、厚労省が出している「過労死白書」の中には、過労死が多い職業として教員が入っている。
このままの状況でいい訳がない。

学校の教育現場は、もう崩壊している。
学校の先生の「子どものために」という気持ちに依存している。

SDGsを教える学校現場の矛盾
 東京都では、平成29年度の教師の採用倍率が7.1倍だったのに、令和3年度の採用倍率は3.9倍に低下した。
教員の採用倍率は全国的に低下傾向にあり、大学の教授からも「この子は先生になって大丈夫なのかと危惧する子が就職することがある」と、たまに聞く。
倍率が1倍台のところもある。
受けたらほぼ全員受かるのだ。
教員の質もどんどん低下するだろう。

 今学校では、小学校の教科書にSDGs(国連が作った、持続可能な世界に変えるための17個の目標)が登場し、中学校でもSDGsの副教材が配布されるなど、持続可能な社会について考える機会が増えている。
これは、とてもいいことだ。
今生きている自分たちさえよければいいのではなく、この先も地球環境や人類の暮らしがよくなることを目指すことは、若い人たち自身にとっても有益なことだ。

 SDGsの中には、目標8に「働きがいも経済成長も」がある。
「包摂的かつ持続可能な経済成⻑及びすべての人々の完全かつ生産的な雇用と働きがいのある人間らしい雇用 (ディーセント・ワーク)を促進する」というもの。
でも、SDGsを教える教育現場、教える先生の働き方に持続可能性がない。
そんな矛盾を抱えている。

現場に行って感じるのは、先生が忙しすぎて、授業や子どもたちと向き合う時間がなくなり本末転倒になっているということだ。
SDGsをはじめ、英語やプログラミングなど教える内容が増えても、やることが減ることはない。
先生が増えることがない。
どんどん現場の先生に押し付けられている。

文科省の対策は意味をなさない
 こんな状況に対して文科省が何もしていないわけではない。
政府が働き方改革を旗印にした時に、学校の先生の働き方を見直すという議論になった。
そして、そもそも学校の先生の仕事はどこまでなのかが議論され、それが発表された。
 また、「変形労働時間制」という制度を導入することができるようになった(最終的な決定は各自治体が導入するか判断する)。
同制度は、夏休みにリフレッシュするために先生に長期休暇をとってもらい、その分浮いた労働時間を忙しい時間に振り分けるという制度だ。

勤務時間が延びる分、見かけ上の残業は減るという恐ろしい制度である。
教師が長期の休みをとりながらも学校側にお金のロスがない、という点ではいいのかもしれないが、何の意味もなさない。  そして、2019年1月に「公立学校の教師の勤務時間の上限に関するガイドライン」を文科省は策定し、上限時間数を「月45時間、年360時間」と決めた。
月80時間以上残業をしている先生が小学校の3割、中学校の6割いるという現状を考えるとなかなか難しいことは明らかだろう。
仕事量を大幅に減らすか、先生を増やすのどちらかしかないのに、抜本的な改革がなされないまま、この件については終了したかのような空気が漂っている。

 メディアも、先生が忙しいことはすでに周知されたという認識で、政治的な動きもないこの問題についてニュース性を感じられないのか、報じられる機会が減ってしまった。
また以前よりも取材のハードルが高くなった。
採用倍率が下がっているのは、忙しい、過酷だと報じられすぎたからだと考える教育委員会や校長が増えたように感じる。

忙しい実態を隠したところで何も変わらない。
むしろ、忙しいことや SOSを社会に求めて、先生の増加などを社会に訴えかけたりするほうが健全だろう。

教育のプライオリティが低い日本
 私は今回、自民党の総裁選挙を取材して痛感したことがある。
それは、教育に関する質問がほぼ皆無だということだ。
世間が関心がないのか。
票がとれないのか。
今子どもがいる世帯数自体が非常に少ない。
18歳未満の子どもがいる世帯は全体の5分の1ほど。
教育への優先順位は下がってしまうのも仕方ないのかもしれない。

 また教員の働き方改革も、コロナですっかり白紙になってしまったように感じる。
クラスターが出たら、先生の責任を強く報じられる。
消毒をしたり、ソーシャルディスタンスを保ちながら授業をしたり、新たな負担が増えるばかり。
医療従事者の労いはあっても、先生への労いはなかなか見られない。

 SDGsはあくまで目標。
つまり、目標は達成しないといけない。
目標をどう達成するか、一人ひとりが考え、実行しなければならない。
私が書いた『お笑い芸人と学ぶ13歳からのSDGs』(公文出版)では、今日からできるSDGs100のアクションを紹介している。
いかに行動につなげるかを大切にしている。

先生たち、今こそ持続可能な教育現場を作るために、「変える」努力をしてほしい。
そのために私もできることは全てやる。
子どもにツケを回さないために、一緒に変えましょう。
posted by 小だぬき at 00:00 | 神奈川 ☁ | Comment(4) | 教育・学習 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2020年10月13日

脳科学が教える、逆境で心折れる人と平常心を保てる人の決定的な違いとは

脳科学が教える、逆境で心折れる人と平常心を保てる人の決定的な違いとは
2020年10月12日 PRESIDENT Online
博士(医学) 細田 千尋

虐待や災害、貧困……。
強いストレスにさらされても、そこから立ち直っていける人は何が違うのでしょうか。
そして私たちは、どうすれば立ち直る力を鍛えることができるのでしょうか。
脳科学の専門家が解説します。

■同じストレス下でも折れる人と折れない人がいる
誰しも、苦しいことや悩みを抱えながら人生を歩んでいます。
恵まれているように見える人でも、逆境にいるように見える人でも同じです。
そして同じようにストレスフルな体験をしても、大きな精神的打撃を受けて立ち直れなくなってしまう人と、立ち直れる人がいます。
これは年齢を問わず、大人でも子どもでも当てはまります。

実際に、研究上、同じネガティブな環境(虐待や災害、貧困など)の下に育っても、心理的な不適応に陥ってしまう人とそうでない人がいることが明らかにされています。
逆境にさらされたり、ストレスフルな出来事が起きたりして、精神的な傷を受けて一時的に落ち込んでも、そこから立ち直り、環境に適応していくことができる人の特性のことを「レジリエンス」と言います。

このレジリエンスは、逆境からの立ち直りだけでなく、内的な成長にもつながることがわかっています。

■レジリエンスが強い人の10の特徴
過酷な環境下にいながらも、PTSDなど精神的に崩れることのなかった人の特徴などから、レリジエンスの高い人の10の特徴が明らかにされています。

@楽観主義、
A利他主義、
B確固とした道徳的基盤をもつ、
C信仰心やスピリチュアリティを持つ、
Dユーモアがある、
E自分の役割のモデルを持っている、
F他人の社会的なサポートを受けられる環境を持つ、
G恐怖を直視できる、
H使命感が強い、
Iメンタルトレーニングを受けている。

また、脳科学の研究からは、レジリエンスの強い人は、幸福感に関わるオキシトシンやセロトニンなどが多く分泌されていることがわかっています。
さらに幸福感と関連している左眼窩前頭皮質の体積が大きいこともわかってきています。

米国心理学会は、レリジエンスを高める方法として以下の10個を挙げています。

@ 家族や友人・他人と良い関係を作ること
A 克服できない問題と捉えてしまわない
B 変化を生活上での一部分としてきちんと受け入れる
C 何かしらの目標に向かって進むこと
D (流されず)断固とした行動を取ること
E 自己発見のための機会を探すこと
F 自分に対する肯定的な見方(自己効力感)を持つこと
G 物事の捉え方についての展望を持つこと
H 希望に充ちた見方を持つこと
I 自分自身を大切にすること

ただ、おそらく多くの悩める人にとっては、この項目が成立しないから悩んでいる、苦しんでいるのだと思います。

■マインドフルネスは科学的に効果があるのか
上記10個ができずに苦しんでいる人にとって、レジリエンスを高める方法としてのマインドフルネス瞑想があります。
マインドフルネスは、さまざまな媒体で取り上げられ広く一般認知されている反面、その伝わり方から、怪しい印象を持っている人もいるかもしれません。
でも実際、科学的にもその効果が検証されているものです。

ここでは、心理学、科学的に沿った正しいマインドフルネスの説明をしてみたいと思います。
マインドフルネスとは、「意図的に今この瞬間に、価値判断をすることなく注意を向けること」で、仏教にその起源をもつ概念です。
ここで最も大事なことは、今の経験を過去の記憶や未来への期待と関係づけず、今起きていることに注意を向けることです。そして良い・悪いといった評価をせず、ありのままに観察することです。
そしてこれは、瞑想(マインドフル瞑想)を通してできるようになります。

■感情に左右されない力を鍛える
マインドフルネス瞑想によって、
@注意制御(今だけに意識を向ける)、
A感情調整(感情をのせずに事実だけに目を向ける)、
B自己知覚(正しく自分を知る)が導かれ、結果的に自己コントロールができるようになり、効果を得られるとされています。

人は、他人と比較し安心感や不安感を行き来したりしがちです。
けれども、置かれている環境・状況について、良い悪いといった価値判断をしたり、不快だ、と感情的に反応したりせずに、自分の状態や思考の癖について俯瞰することが重要です。
そこで初めて、感情にとらわれずに選ぶべき選択や、とるべき行動をとることができるのです。
その結果、問題を大きく考えすぎてしまったり、破局的な解釈(何もかも終わりだ、等)といった、悩んでいる時に起こりがちなことも避けられます。

近年、“マインドフルネスをすると集中力が高まる“といった言葉だけが独り歩きしています。
マインドフルネス瞑想によって鍛えられるのは、「自分を俯瞰し目の前の事実のみに着眼する力(感情のコントロール)」で、それにより、自分自身も自身を取り囲む周囲についても、肯定的に受け入れられるようになります。
この「状況を俯瞰し感情に左右されない力」が、ビジネスや人間関係といったあらゆる場面で効力を発揮してくるのです。

理不尽なことも多く、それをなぜ自分が受け入れなければいけないのか? と受け入れられず苦しむ時、マインドフルネス瞑想などを活用しながら、感情コントロール訓練をし、レリジエンスを高めることができれば少し生きやすくなるでしょう。

<参考文献>
・Adler, A. B., Williams, J., McGurk, D., Moss, A., & Bliese, P. D.(2015). Resilience training with soldiers during basic combat training: Randomisation by platoon. Applied Psychology: Health and Well-Being, 7, 85?107.
・Southwick,S.M., Vythilingam,M., & Charney, D.S.(2005). The psychobiology of depression and resilience to stress: implications for prevention and treatment. Annual Review of Clinical Psychology 1: 255-91.
・American Psychological Association. “10 Ways to build resilience ” in The road to resilience.
佐伯年詩雄 2007.「スポーツ・野外活動・自然体験が育むもの」『児童心理』第61巻,pp.254-258. 52
・H?lzel, B. K., Lazar, S. W., Gard, T., Schuman-Olivier, Z., Vago, D. R., & Ott, U. (2011). How does mindfulness meditation work?: Proposing mechanisms of action from a conceptual and neural perspective. Perspectives on Psychological Science, 6, 537?559.
・Tang, Y. Y., H?lzel, B. K., & Posner, M. I.(2015).The neuro science of mindfulness meditation.Nature Reviews Neuroscience, 16, 213?225.
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細田 千尋(ほそだ・ちひろ) 博士(医学)
東京大学大学院総合文化研究科研究員/科学技術振興機構さきがけ研究員/帝京大学医学部生理学講座助教。
東京医科歯科大学大学院医歯学総合研究科認知行動医学卒業後、英語学習による脳の可塑性研究を実施し、研究成果が多数のメディアに紹介。その研究をきっかけに、「目標達成できる人か?」を脳構造から判別するAIを作成し特許取得。
現在は、プログラミング能力獲得と脳の関連性、 Virtual Realityを利用した学習法、恋愛と脳についても研究をしている。
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2020年10月14日

年金は貯蓄ではなくて、保険である理由

年金は貯蓄ではなくて、保険である理由
2020.10.13  ダイヤモンドオンライン
大江英樹:経済コラムニスト

年金は3種の不幸に備える 「保険」である
 公的年金に関しては、最近ようやく少しずつ世の中の人の誤解が解けつつあるような印象がある。
筆者もあちこちで年金について記事を書いているが、以前はまったく見当外れでエビデンスも無ければ、論理的でもない「年金破綻論」がコメントとして寄せられることが多かった。
だが、そういう感情的な議論は影を潜め、まともな議論が出てきたのはとても喜ばしいことである。

 ただ、それでも年金についてはまだまだ多くの誤解が存在しているのだが、そんな誤解の中でも最も基本的な部分、つまり「公的年金の本質」、もっと突っ込んで言えば「公的年金の存在意義」について十分な理解がされていないように感じられる。
 結論から言ってしまうと、公的年金の本質は「保険」なのである。
ところが、多くの人は年金を「貯蓄」だと思っている。
金融の専門家の人たちも公的年金について正しく理解していない人たちは多いのだが、彼らのように優秀な能力と頭脳を持っているにもかかわらず年金について間違った理解をしているのは、根本的に「年金が保険」であることを理解していないからだろう。

優秀な“ファイナンス脳”を持っているがゆえに年金について誤解し、「年金は積立方式にすべし」という論が出てくるのだと思う。
 年金を積立方式にすることが、いかに非現実的なことであるかは後で述べるが、まずは年金=保険であることの意味について考えてみよう。
 そもそも保険の目的とは何か?
それは「将来起こりうる不幸な出来事に対してみんながお金を出し合って備えること」である。
これに対して貯蓄の目的は「将来の楽しみや安心のために自分でお金を蓄えて備えること」である。
保険は共同で、貯蓄は自分で備えるものなのだ。

したがって、保険と貯蓄ではその仕組みや構造が異なるのは当然である。
では、年金が保険であるとすれば、それは一体、将来起こりうるどんな不幸に対して備えるものなのだろうか?

公的年金は3種類の不幸に備えるようにできている。
「長生きすること」は 幸せとは限らない?
 まず最初の不幸は「長生きすること」である。
「長生きが不幸とは、どういうことだ?」と思われるかもしれないが、長生きが幸せなのは「健康でお金が十分ある場合」だ。
 ところが誰でも年を取ると働けなくなり、収入が途絶えるわけだからお金に対する不安が出てくるのは当然だ。
もし世の中に年金制度がなかった場合、働けなくなった老後をまかなうためには自分で貯蓄するしかない。
 しかし、何歳まで生きるかは誰にもわからないから、どれくらい貯蓄しておけば安心なのかもわからない。
だからこそ死ぬまで受け取れる「公的年金」には大きな意味があるのだ。
この役割を果たすのが「老齢年金」であり、公的年金の最も大切な役割である。
言わば終身支給の保証がついた「所得保障保険」なのである。

「病気・怪我」「自身の死亡」への 備えにも
 2番目の不幸は「病気や怪我によって自身が障がい者になること」である。
これに対応するのが「障害年金」である。
老齢年金は支給開始が65歳からであるが、障害年金は、年齢に関係なく、一定の条件の下で支給されるので、万が一の場合でも安心できる。

 そして3番目の不幸は、自分自身が病気や事故で亡くなってしまった場合である。
これは本人というよりも、むしろ残された家族にとっての大きな不幸である。
そこで残された家族に対してその生活を支えるために支給されるのが「遺族年金」である。
これは民間の生命保険の役割を果たしていると言ってもいいだろう。

 言うまでもないことだが、こうした「老齢年金」「障害年金」そして「遺族年金」はいずれも別々のもので、それぞれに加入しなければならないということではない。
単に支給方法が違うということであって、公的年金に入っていれば該当する事象が生じた場合は、いずれの年金も受給することができる。

年金を「損得」で考えるのは 本質的ではない理由
 よく年金を損得で考える人がいるが、たしかに貯蓄や投資であれば損得で論じることが重要だろう。
自分が出したお金がどれぐらいになって戻ってくるかが貯蓄や投資の成果なのだから、これは当然である。

 ところが年金は保険なのだから、「元を取る」という発想はあまり意味がない。
元を取るということで言えば、世の中の保険はほとんど元のとれないものばかりだ。
 保険に求められる最大の意義は「安心」なのである。
何か不幸な事態が起きてもそれに対して経済的な心配をしなくても良い、という安心感だ。
投下資本に対するリターンを評価することに長けている“ファイナンス脳”を持った金融のプロフェッショナルの人たちが年金の理解を間違えるのもこの点にある。

 さらに言えば、現役世代が年金の受給世代を支える「賦課(ふか)方式」は少子高齢化が進む時代では支えきれなくなるので、自分の年金を自分で作る「積立方式」にすべしという意見もしばしば金融のプロから出てくる。
が、しかしこれも保険であるという本質を考えると間違った意見である。
 そもそも年金の制度運営として「積立方式」はそぐわない。理由は2つある。

 1つは前述したとおり、自分の寿命が何歳まであるのかは誰にもわからないことである。
これだけあれば大丈夫と思って積み立てをしても予想以上に長生きした場合は原資が枯渇する恐れがあるからだ。
だからこそ、その時代に働く人がみんなで保険料を拠出し年金給付に充てるというやり方の方が、老後生活をまかなう制度としては向いている。

年金制度が積立方式になると 年金積立金の運用リスクも
 2つ目の理由は、もし将来の年金支給原資を全て積み立てていくのであれば、それらが常に運用のリスクにさらされてしまうということだ。
 現在の年金は毎年徴収される保険料をその年の年金受給者に払うやり方で、言わば単年度決済であるから運用のリスクはない。
ただし、今までこのやり方で余った分を積立金として蓄え、運用を重ねた結果、その残高が約200兆円となっている。
この積立金は今後の年金財政にとってはバッファーとして重要ではあるものの、200兆円という巨額の資金を運用していくのは結構大変だ。
 現実に今年の1〜3月で大きなマイナスが出た時は話題になったし、過去にもリーマンショックの時には一時的に評価損が膨らみ、メディアも野党もこぞって攻撃をした。

賦課方式で毎年決済していてもこれだけの積立金があるのだから、将来に向けて年金保険料の全てを積み立てるとすればその金額は恐らく1000兆円を超えるだろう。
 仮に今回のような大きな下げが起きると、評価損だけで100兆円、すなわちほぼ年間の社会保障給付費ぐらいの金額がマイナスとなってしまう。
そうなれば今とは比較にならないぐらい大変な騒動になるだろう。

 それに将来起こるかもしれないインフレに対しては、投資でもって完璧に対応できるとは限らない。
なぜなら、平成の30年間のように市場が長期にわたって低迷することもあり得るからだ。
ところが物価が上昇するということは極端なハイパーインフレでない限り、経済成長に伴って賃金も上がる。
 したがって、賃金をもらっている世代が保険料を負担するというのは、どんな時代にあっても最も合理的な方法なのである。

事実、先進国である程度の人口規模の国において積立方式をとっている国はない。
 もちろん現在の公的年金制度にもまだ色々と問題点があることは事実だ。
そのために5年毎に健康診断である公的年金の「財政検証」がおこなわれ、それに沿って制度の手直しがおこなわれているのである。

ただ、公的年金は今流行の言葉で言えば、「公助」ではなく「共助」、つまり社会を構成する多くの人が共に助け合うという制度なのだ。
だからこそ年金は保険なのである。
本質を間違えないようにすることが大切だろう。
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2020年10月15日

本当のことの伝え方

香山リカのココロの万華鏡
本当のことの伝え方
2020年10月14日 毎日新聞首都圏版  

「ファクトチェック」ということばがはやっている。
世の中に影響力を持つ政治家などがテレビやSNSで発したことばがファクト(事実)かどうか、あとからじっくり調べていくことを意味する。

アメリカのニュース番組を見ていると、しょっちゅう「このあいだの大統領のことばはファクトではない」
「この発言はファクトと言ってよいだろう」などとやっている。
 政治の世界で事実が大切にされるのは、もちろんよいことだ。

では私たちの日常生活はどうだろう。
 たとえば私がいる医療の世界でも、最近は「患者さんには本当のことを伝える」のが基本になっている。
かつては胃がんがあっても、医者が「胃潰瘍ができていますから、手術で切っちゃいましょうかね」と言うことがあったが、いまは違う。
内視鏡検査の画像を見せながら「ここに見えるのが悪性腫瘍つまりがんです。CTを見ると転移はないようですね。手術して胃を4分の3、取るのがよいと思いますが、よろしいですか?」などとはっきり伝える。
いきなり言われてショックを受け、頭の中が真っ白になった、という人の話も聞いたことがある。

 医者の先輩が、かつてこう言っていたのを思い出す。
「なんでもファクト、事実を伝えるのがいいのかな。
昔はよく“やさしいウソ”と言ったものだよ。
患者さんが高齢だったり気が弱そうだったりしたときは“良性でしたからご心配なく”とウソを言ってもいいんじゃないかな」
 そのときは、私たち後輩は「ダメですよ。やっぱりちゃんと本当のことを伝えなきゃ」と言ったが、だんだん自分がシニアに近づいてくると「もし自分に悪い病気があったら、“やさしいウソ”の方がいいかも」とも考えるようになった。

 とはいえ「ファクトが大事」という流れが変わることはないだろう。
もしかしたらこの先はAI診療が普及して、診断結果がメールなどで送られてくることになるかもしれない。
でも、病の再発率や余命なども書かれている、というのはやっぱりやめてほしい。

 医療以外の世界でも「本当のことを伝えたら傷つくだろうな」と伝え方に迷う場面は、実はけっこうあるのではないか。
相手のために事実とは違うことを伝えたことがある、という人もいるはずだ。

 政治の世界ではファクトを。
でも、生活の中では“やさしいウソ”も少しだけ許してほしい――。
そんなことを言うのは身勝手すぎるだろうか。
              (精神科医)
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2020年10月16日

「非正規」格差で判決 是正の責務は変わらない

「非正規」格差で判決 是正の責務は変わらない
2020年10月15日 毎日新聞 東京朝刊

 非正規従業員にボーナスや退職金を支給しなくても、不合理な待遇格差には当たらないとの判断を最高裁が示した。
 大学のアルバイト職員と、駅売店の契約社員が裁判を起こしていた。
ともに2審は支給しないのは違法と判断したが、今回の判決で労働者側の逆転敗訴が確定した。

 最高裁判決はいずれも、非正規従業員の仕事が正規従業員ほど複雑ではないと認定した。
配置転換がないことも理由に挙げた。

 雇用の実態に、もっと目を向けるべきではないか。
4月から始まった「同一労働同一賃金」の制度の推進にも、水を差しかねない。

 裁判官の1人は、契約社員の仕事内容は正社員と大きな違いがなく、退職金を支給しないのは不合理との反対意見を記した。
 待遇格差の中でもボーナスや退職金は金額が大きく、非正規従業員にとって不公平感が強い。

 判決は支給の目的を、人材の確保や定着を図るものと指摘した。
補足意見では、退職金は原資を積み立てる必要があり、雇用主の裁量が大きいと言及した。
企業側に軸足を置いた判断といえる。

 ただし、判決は個別の状況によって、不支給が許されないケースがあり得ると明示している。
雇用側が都合良く労働条件を決めるためのお墨付きにしてはならない。
 同一労働同一賃金に向けて法律が整備され、厚生労働省は運用の指針をまとめた。
 その中で、ボーナスの有無は不合理な格差の対象とされたものの内容は具体的でなく、退職金については明確な記載がない。
 実際の待遇改善は、労使交渉にかかってくる。
労働組合が積極的に関わっていくべきだろう。
行政の支援も不可欠だ。

 非正規従業員は、労働者の4割近くを占めている。
一方で、その賃金は正規従業員の6割程度にとどまっており、厳しい立場に置かれているのは明らかである。
 コロナ禍では雇用の調整弁として扱われ、解雇や雇い止めも相次いでいる。
企業は待遇改善が責務であることを深く自覚すべきだ。

 働き方が多様化する中、公平な待遇は労働者だけでなく、企業の人材確保にとっても、ますます重要になる。
格差是正のための取り組みを止めてはならない。
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2020年10月17日

コロナで加入増加!民間医療保険は本当に必要か?

コロナで加入増加!民間医療保険は本当に必要か?
2020.10.16 ダイヤモンドオンライン
早川幸子:フリーライター

新型コロナウイルスの猛威は一向に衰える気配を見せず、冬に向けてインフルエンザとの同時流行も懸念されている。
「コロナの陽性となって入院したら、たくさん医療費がかかるのではないか?」
「感染して仕事を休んだら、収入が減ってしまうのではないか?」といった不安を持っている人もいるだろう。
 こうした不安を手っ取り早く解消できそうなのが、民間の医療保険への加入だ。
そのせいか、保険の見直しを専門とするファイナンシャルプランナーのもとには、新たに医療保険の加入を検討する人からの相談が増えているという。

コロナ患者には宿泊施設の療養でも 特例的に入院給付金が支払われる
 民間の医療保険は、病気やケガで入院や手術をした場合に、あらかじめ決められた入院給付金や手術給付金などが支払われる。
新型コロナウイルス感染症も、疾病(病気)に該当するため、万一、罹患して所定の入院や手術を受けた場合は、給付金の支払い対象になる。
 ただし、入院給付金は、病気やケガで入院した場合に「1日あたり1万円」などが支払われるもので、その保険契約の内容が記載されている約款で定められている病院や診療所に入院しなければ給付を受けることはできない。
 新型コロナウイスル感染症の治療では、医療崩壊を防ぐために、無症状の病原体保有者や軽症患者は、ホテルなどの宿泊施設や自宅で療養するケースも出ているが、本来は、こうしたケースは給付金の支払い対象外だ。
 だが、今回は金融庁からの要請によって、医療機関以外の宿泊施設や自宅でコロナの療養をしている人も、特例的に入院給付金の支払い対象として取り扱ってもらえる措置が取られている。

 万一、コロナに罹患した場合に、ホテルや自宅で療養していても、入院給付金をもらえれば、安堵感を得られるのは間違いない。
だが、医療保険に加入していないと、コロナになった時の医療費が支払えないかというと、そんな心配は無用だ。

指定感染症の医療費は公費負担 患者の自己負担は原則なし
 新型コロナウイルス感染症については、まだ分からないことも多いが、これまでの調査・研究で感染しても無症状のままの人もいれば、重症化する人もいることは明らかになっている。
 無症状ですめばよいが、肺炎の症状が出て重篤化すると、抗ウイルス薬の投与、集中治療室での人工呼吸器などによる治療が行わるようになり、医療費も高額になることが予想される。
 ただし、新型コロナウイルス感染症は、1月28日の閣議で、「感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律(感染症法)」で定められている「指定感染症」に決定された。
そのため、感染拡大を防ぐための医療の提供体制、医療機関による患者数の届け出のほか、医療費の負担についても、法律に基づいた運用が行われている。

 指定感染症に定められると、都道府県知事は、患者に対して検査や入院の勧告、感染拡大を防止するための就労制限などを行えるようになる(10月9日の閣議で措置内容が見直され、24日から入院対象が重症化リスクのある高齢者や基礎疾患のある人に限定される予定)。
 感染症の蔓延防止のためとはいえ、強制的な入院は一時的にせよ個人の権利を制限することになる。
そのため、感染症法の第三十七条では、自治体の勧告や措置による入院の場合、治療にかかった一連の費用(検査、診察、医薬品、医学的処置、入院費など)は、公費負担にすることを定めており、原則的に患者の自己負担はない。
ただし、第三十七条の2で、患者やその配偶者などの扶養義務者が、入院費用を負担できると判断する場合は、その費用を患者に求めてもよいとしているため、自治体の多くは、所得の高い人に対しては、指定感染症であっても治療費に一定の自己負担を設定している。

 例えば東京都では、市町村民税の所得割(住民税のうち、収入に応じて決まる部分)が56万4000円を超える人は、月額2万円を限度とした一部負担金がある。
 このように高所得層には一定の自己負担はあるものの、決して高額ではない。
ほとんどの人は、コロナに感染して治療費そのものは高額になったとしても、そのすべてが公費で賄われるので、医療費の心配はないのだ。
 また、会社員や公務員などで、被用者保険(企業や団体などに雇われて働く人のための健康保険)に加入している人は、新型コロナウイルスに感染して仕事を休むと、その間は傷病手当金をもらえる。

コロナで仕事を休んでいる間は 傷病手当金が支給される
 傷病手当金は健康保険の給付で、病気やケガで仕事を休んで、給料を払ってもらえなかったり、減額されたりした場合の所得保障だ。
 1日あたりの支給額は、平均的な月収(※)を30日で割った金額の3分の2で、連続して3日休んだあとの4日目から最長1年6カ月の間に、実際に休業した日数分が支払われる。

※傷病手当金が最初に支払われた日から連続した、過去12カ月の各月の標準報酬月額(月収)の平均。
就職後すぐに病気やケガをして、休職までの期間が12カ月に満たない場合は、就職から休職までの標準報酬月額の平均額と、28万円(協会けんぽの場合。全加入者の標準報酬月額の平均)を比べて、少ない方の金額をもとに支給額を計算する。
 支給要件は「労務不能の状態」なので、入院や通院をしていなくても、自宅療養も対象になる。
仕事をできない状態かどうかは、原則的に主治医が判断する。
しかし、 新型コロナウイルス感染症については、感染拡大防止のために医師の診察を受けずに自宅療養している人がいる可能性もあるため、特例的に事業主が証明すれば給付対象になる措置が取られている。
 現状では、傷病手当金の制度があるのは被用者保険のみで、都道府県が運営している国民健康保険の加入者は病気やケガで仕事を休んだ場合の所得補償はない(特定業種で運営している国保組合のなかで、財源に余裕のある一部の組合には傷病手当金の制度があるところも一部ある)。

派遣社員やパートタイマーなどの非正規雇用の労働者も、厳密には企業や団体に雇われて給与をもらって生活している被用者だ。
ところが、労働時間などの加入要件の線引きによって勤務先の健康保険に加入できないために、仕方なく国民健康保険に加入している人もいる。
こうした人がコロナに罹患して休業を余儀なくされると、無収入になってしまう。
 そこで、これも特例として、国保に加入している被用者を対象に、国が財政支援をすることで、被用者保険と同様の傷病手当金が支給されることになっている。
 支給されるのは、新型コロナウイルスに感染、または発熱などで感染が疑われ、休業した日から3日経過したあとの4日目から、最長1年6カ月の間に実際に休業した日数分。
 適用期間は、当初2020年1月1日〜9月30日までの間とされていたが、感染拡大を受けて12月31日まで延長されることになった。

保険でカバーできるリスクは限定的 貯蓄を妨げない程度に抑えよう
 このように、正規雇用の労働者だけではなく、非正規雇用の派遣社員やパート社員なども、コロナに感染して休業を余儀なくされた場合は、加入している健康保険から傷病手当金がもらえるようになっている。
 自営業者やフリーランスの人には傷病手当金は支給されないが、コロナの影響で売り上げが減少した場合は、持続化給付金や家賃支援給付金などの申請ができる。
万一、罹患した場合はこうした助成によって当面の生活費はカバーできそうだ。

 前述のように、新型コロナウイルス感染症の治療費は自己負担がないうえに、休業中は、健康保険や国からの所得補償も受けられる。
 そもそも、保険は日々の収入や手持ちの預貯金では賄えないような、大きな経済的リスクに備えて加入すべきものだが、医療費や当面の生活費は、民間の医療保険に加入していなくても、ある程度の貯蓄があれば賄える。
本当に医療保険に加入しなければカバーできないリスクなのかどうかは疑問だ。

 その一方で、今、問題になっているのは解雇や雇い止めなどによる減収だ。
総務省統計局が10月2日に発表した「労働力調査(基本集計)」によると、8月の完全失業率(季節調整値)は前月比0.1ポイントアップの3.0%。
完全失業者数は、前年同月比49万人増の206万人で、7カ月連続で増加しており、多くの人が雇用保険の基本手当の給付を受けながら暮らしている。

 コロナ禍によって起きている経済的リスクは、感染症の罹患による医療費や収入減だけではなく、企業の倒産や解雇などによって、仕事を失うことでも発生している。
 だが、民間の医療保険から給付を受けられるのは、病気やケガで入院や手術をした時だけで、解雇や雇い止めにあっても給付金はもらえない。
 保障を得るためには相応のコスト(保険料)もかかるが、お金を受け取れる範囲は限定的だ。
そこに保険料をたくさんつぎ込んでしまい、貯蓄がままならなくなると、その他のリスクに対応できなくなってしまう。

 人生は、何が起こるか分からない。
昨年の今頃は、だれも世界がコロナに見舞われて、オリンピックが先送りになるなんて考えもしなかっただろう。
 想像を超えるリスクに対応するためには、使い道が限定される保険商品よりも、何にでも使える貯蓄をできるだけ増やしておくことが有効だ。
そのためにも保険商品の利用は最低限に抑えて、その分を貯蓄に回し、ちょっとやそっとのことでは倒れない骨太の家計を日頃から作っておきたい。 (フリーライター 早川幸子)
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2020年10月18日

いつもの日常に疲れたとき「心を楽にする小さな習慣」

曹洞宗住職が教える、いつもの日常に疲れたとき「心を楽にする小さな習慣」
2020年10月17日 PRESIDENT Online

曹洞宗徳雄山健功寺の住職である枡野俊明さんは、「現代人には非日常が必要」と言います。
疲れたときに、気軽にできる心のリフレッシュ法とは――。
※本稿は、枡野俊明『人生は凸凹だからおもしろい 逆境を乗り越えるための「禅」の作法』(光文社新書)の一部を再編集したものです。

■日本人の美「わび、さび」とは
千利休の茶の湯は「わび茶」といわれます。
わびは漢字を当てれば「侘び」で、わびしいこと、また、質素、簡素なことを意味しています。
一方、さびは「寂び」。
その意味はさびれていること、枯れていること、古びている、ということです。

どんなものも、ときの移ろいのなかでさびれたり、枯れたり、古びたりしていきます。
もともとの姿を失い、どんどん不完全になっていく。
しかし、そこにはもとの姿にはない、もとの姿とは違った、美しさがあります。
それがさびの美といえるでしょう。
さびの美はわびしさをともなったり、どこまでも質素、簡素であったりします。
ともすると、それらは美しさを損なう要素とも受けとられますが、そう受けとるのではなく、そこに風情、趣、おもしろみ……といったものを感じていくのがわびです。

質素でわびしい佇まいの茶室という空間で、簡素に徹した茶道具や花、軸などを用いて、茶の湯の世界を展開する。
それが利休のわび茶といっていいでしょう。
その流れが現在にまで受け継がれているのは、わび、さびに感応する心、それを美しいとする心を日本人がもち合わせているからである、といっていいと思います。
たとえば、それは古い禅寺の苔むした灯籠に趣を見る心です。
満開の桜より、散りゆく桜のはかなさに美しさを感じる心です。

■「何もない環境」になぜ人は惹かれるのか
わび、さびに対する憧憬は古くから日本人のなかにあったと思われます。
僧侶であり、歌人でもあった西行法師は、平安末期に由緒ある武家の家系に生まれます。
しかし、若くして裕福な武士の立場をみずから捨て、出家して諸国を漂泊するのです。
最終的に西行が選んだ暮らしは、京都北麓の山中に結んだ庵での隠遁生活でした。
わび、さびへの憧れがそうさせたといっても、けっして過言ではないでしょう。

衣食住のどれをとっても、武士としての生活は、豊かでなに不自由のないものだったと想像されます。
それに比べて隠遁生活は、いずれも満たされるものではなかったでしょう。
しかし、その満たされないところに、不完全なところに、あえて西行は身を置いたのです。
そして、その生活を受け容れた。
山中の庵では季節の移ろいを肌で感じることができたでしょう。
小鳥のさえずりや川のせせらぎ、風のそよぎの心地よさを思うさま楽しむことができたはずです。
それは、満たされないがゆえに手に入れることができた暮らし、不完全がもたらした美しい暮らしではなかったでしょうか。そのなかにいて西行は、わび、さび(の美)を満喫していたのだと思います。

■利便性を手放して気づく豊かさ
日本で曹洞宗を開いた道元禅師にこんな言葉があります。
「放てば手に満てり」 もっているものを手放すことで、よりすばらしいものが満ちてくる、という意味でしょう。
この言葉はどこか、この時代に対する警鐘にも聞こえます。
たくさんのものをもち、多くの利便性に囲まれている、というのが現代人の暮らしです。
しかし、誰もが心のどこかで満たされない思いを感じているのもたしかでしょう。
いっときでもそれらを手放す、それらから離れる時間をもつことが必要なのではないでしょうか。
たとえば、携帯電話をもたずに山あいの鄙びた温泉宿で一日、二日過ごす。
利便性から離れたその時間は、わび、さびの世界(利便性が崩れた不完全な世界)に身を置く時間といっていいかもしれません。
そして、それは、心を穏やかさ、あたたかさ、潤い……で満たすはずです。
年に一度でも、二度でも、そんな機会をもちませんか。

■一日のスケジュールを少しだけ変えてみよう
ふだんの生活のなかでもわび、さびに触れる時間をもつ。
現代人にはとても大切なことではないでしょうか。

人の一日のスケジュールはだいたい決まっているものです。
夕方までは仕事がその中心になりますし、仕事が終わってからも同じようなことをして過ごしているという人が多いのだと思います。
晩酌をしながら夕食をとり、テレビを観たり、音楽を聴いたりしたあと、就寝するといったものが、いわば「お定まり」のパターンになっている。
その定型を崩しませんか。
ときにはベランダでも庭でもいいですから、戸外に出てひとときを過ごすのです。
月をただボーッと眺めるというのでもいいのです。
できれば、満月ではなく、雲がかかっている月、欠けている月がおすすめです。

■日々の暮らしにこそ、わび、さびを
村田珠光は次のような文言を残しています。
「月も雲間のなきは嫌にて候」 月も満月はつまらない。
やはり、雲の間に見え隠れする月にかぎる、といった意味でしょう。

珠光は千利休のわび茶の流れをつくった人です。
見え隠れする月にわび、さびの美しさがある、と考えていたことは疑いを入れません。
雲間に光る月、満月から徐々に欠けていく月を眺めることは、まさしく、わび、さびの美に触れることなのです。
もちろん、それはお定まりの日常を変化させますし、日々に新たな味わいを添えてくれることにもなるでしょう。
秋には虫の声も聞こえるでしょう。
美しい音を響かせてくれていた鈴虫が思わぬところで鳴くのをやめる。
そこで、「なんだ、もっと聞いていたかったのに……」とは思わないでください。
こちらの思いとはかかわりなく、聞こえたり、聞こえなくなったりする、その不確実さにわび、さびの風趣があるのです。
風が花びらや紅葉の葉を散らすのも、雪がわずかずつ降り積んでいくのも、わび、さびの美しさといっていいでしょう。
四季を通してわび、さびを味わうことはできます。
ぜひ、定型を捨て、外に出ましょう。
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枡野 俊明(ますの・しゅんみょう)
「禅の庭」庭園デザイナー、僧侶 1953年生まれ。
曹洞宗徳雄山建功寺住職、庭園デザイナー、多摩美術大学環境デザイン学科教授。
大学卒業後、大本山總持寺で修行。
禅の思想と日本文化に根ざした「禅の庭」を創作する庭園デザイナーとして国内外で活躍。
著書に、『心配事の9割は起こらない』(三笠書房)、『傷つきやすい人のための 図太くなれる禅思考』(文響社)、『禅、シンプル生活のすすめ』(知的生きかた文庫)など。
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2020年10月19日

「次々に湧いてくる不安」を心から消すたった一つの方法

禅の世界に学ぶ、「次々に湧いてくる不安」を心から消すたった一つの方法
2020年10月18日 PRESIDENT Online

コロナ禍がもたらした生活の大きな変化により、どうにもならない不安を抱える人は多いのではないでしょうか。
曹洞宗徳雄山建功寺住職であり、『心配事の9割は起こらない』『上手な心の守り方』(三笠書房)を著書にもつ枡野俊明さんに不安の解消方法を教えてもらいます。
※本稿は、枡野俊明『人生は凸凹だからおもしろい 逆境を乗り越えるための「禅」の作法』(光文社新書)の一部を再編集したものです。

■どうにもならないことは、無頓着でいい
人は誰でも不安に駆られたり、悩みに押し潰されそうになったりすることがあるはずです。
不安も悩みも、いってみれば、生きている証ですから、生きているかぎり、それらがなくなることはありません。
ただし、どうでもいい不安や悩みに振りまわされるのはつまらないことです。

不安については、禅にこんなエピソードがあります。
禅宗の始祖である達磨大師と二祖となった慧可和尚に関するものです。

達磨大師のもとにやってきた慧可がこう尋ねます。
「わたしはこれまで仏典を学び、修行もしてきましたが、どうしても不安を断ち切ることができません。
どうか、わたしの不安をとり除き、安心を与えてください
達磨大師はこう応じます。
「それなら、おまえがいう“不安な心”とやらをここにもっておいで。
そうしたら、おまえを安心させてやろう」
慧可は必死になって不安な心を探します。
しかし、いくら探しても見つかりません。
慧可は再び達磨大師のもとに赴いてそのことを告げます。
「不安な心を探したのですが、どこにも見つかりません」
その慧可に達磨大師はこういいます。
「ほら、おまえの心を安心させてやった」

最後の言葉で達磨大師のいわんとしたのはこういうことです。
いくら探しても見つからないのは、もともと不安などというものには実体がないからだ。
自分の心が勝手につくり出しているに過ぎないのである。
そのことに、つまり、見つからないことに、実体がないことに気づいたら、すなわち、それが安心なのだ。
これは「達磨安心」という公案のもとになっているエピソードですが、不安や悩みの「正体」を的確にいいあてているといっていいでしょう。

不安も悩みも、じつは自分の心がつくり出しているのです。

■「不安」は不確実な未来だと自覚しよう
不安を抱くのは将来、未来に対してです。
「このご時世ではいつまで仕事がつづけられるかわからない。
家族のいまの生活を維持していけるだろうか?」
「いずれ親の介護の問題が起きてくるだろう。
きょうだい間で押しつけ合いになったりしたらどうしよう」
「子どもが引っ込み思案で心配。
このままで社会生活に適応できるのか?」

いずれも先のことを見越して、不安になっています。
しかし、将来どうなるか、未来に何が起きるかは、誰にもわからないのです。
不確実性のなかにあるのが将来、未来です。
そのわからないことに対して、手の打ちようがあるでしょうか。
何かできることがありますか。
ありません。

わからないことは、いくら不安を感じようが、悩もうが、どうしようもない。
どうにもならないのです。
禅はこう教えます。
「どうにもならないことは放っておきなさい」
そう、どうにもならないことには頓着しない、無頓着でいるのがいちばんいいのです。
頓着することで、自分が不安をつくり出してしまう。
仕事がつづけられなくなった自分を想像して、親の介護をめぐっていがみ合っているきょうだい間を思って、社会に適応できなくなった子どもに頓着して……不安になるわけでしょう。

不安は想像の産物、思いの産物、頓着の産物です。
そこに実体はありません。
いい替えれば、現実にはなっていないのです。
そして、人が何かできるのは、いま、目の前にある、現実に対してだけです。

■「いま」にこだわる大切さ
即今、当処、自己」 この禅語を知ってください。
たったいま、その瞬間に、自分がいるその場所で、自分自身ができることを精いっぱいやっていく、そのことが大切である、という意味です。

たとえば、仕事をつづけられなくなった自分を想像するのではなく、「いま」自分がやるべき仕事に全力でとり組む、いがみ合うきょうだい間を思うのではなく、「いま」親の介護についてきょうだい間で話し合うことを提案する、子どもの将来に頓着するのではなく、「いま」子どもを誘っていっしょに外の世界(世間)に触れる……などなど、できることはいろいろあるはずです。

こんな言葉もあります。
人はきのうにこだわり、あすを夢みて、きょうを忘れる
過去にとらわれたり、未来に頓着したりするから、いまが疎かになるのです。
できること、やるべきことは、いまにしかないのに、そのことに全力を注げなくなる。
ひたすら注力すべきはいま、いましかありません。
将来、未来は不確実、不透明ですが、それがどのようなものであっても、常に「いまを精いっぱい」で臨んでいれば、怖いものなし。
そこに、楽しさも、おもしろさも、必ず、見出すことができます。

■おなかから声を出そう
わたしは毎朝、四時半には起きます。
それからすべての窓を開け放って各部屋の空気を入れ換え、寺の門を開けます。
その後、朝のお勤めになるわけですが、その際の読経が「健康法」になっているのではないか、と思っています。

読経ではおなか(丹田=おへその下、約七・五センチ)から声を出します。そうしないとよく通る声にはならないのです。
おなかから声を出すには姿勢を正しくしなければなりません。
腰(骨盤)を立て、背骨を真っ直ぐ伸ばす。
少しそっくり返るような感覚がするかもしれませんが、それが頭のてっぺんと尾てい骨が一直線上に位置している正しい姿勢なのです。
読経のときは正座ですが、足を結跏趺坐というかたちに組んでおこなう坐禅でも、上半身の姿勢はまったく同じです。
前屈みの姿勢でいると、内臓が圧迫されて負担が大きくなります。
内臓にいちばん負担がかからないのが正しい姿勢です。
声もよく響きます。
そのときの呼吸は深く、ゆっくりしたものになっています。
酸素が十分にとり込まれる呼吸です。
その結果、全身の血のめぐりがよくなる。
おなかから大きな声を出すと、身体があたたかくなってくるのはそのためです。
血流のよさは健康であるために欠かせない条件でしょう。
読経が健康法になっている所以がそこにあります。

■「声だし習慣」は健康状態のバロメーターになる
一般的な日常生活とお経は縁がないと思われているかもしれませんが、朝、仏壇の前で『般若心経』をあげているという人は、案外、少なくないのです。
『般若心経』は二六〇字余りの短いお経ですから、生活にとり入れるのもそれほど難しいことではないと思うのですが、いかがでしょうか。
もちろん、お経でなくてもかまいません。
おなかから声を出す習慣をもつことは、健康上とてもよいことだと思います。
気に入った詩や文章の一節を音読する、その日のスケジュールを声に出して確認する、歌をうたう……。
何か自分に合ったものを見つけたらいかがでしょう。

声を出すことを習慣にしていると、それがその日の健康状態を知るバロメーターになります。
わたしの場合がまさにそうなのですが、日によって声の出方が違うのです。
体調がいいときは部屋中に響くような声が出るのに対して、体調が思わしくないときはくぐもったような声になるのです。

体調がわかれば、その日の行動調整ができます。
「きょうは調子がいいから、少々、がんばっても大丈夫だな」
「体調がイマイチだから無理をしないように心がけよう」 といった具合。

体調に合わせた動き方をすることで、大きく健康を損なうことがなくなります。

■今日からできる「声だし習慣」入門編
「朝、声を出す習慣ね。
たしかにいいと思うが、ちょっとハードルが高い気がする」
そんな人もいるでしょう。
「入門編」もあります。

手始めに大きな声で挨拶することを家族間の朝のルールにするのです。
かつての日本では祖父母、両親、子どもたちという三世代が同じ家に暮らすというのがふつうでした。
その時代の朝は、「おはようございます!」「おはよう!」という元気な声が飛び交っていたものです。
挨拶はしつけの基本中の基本だったからです。

しかし、時代を経たいま、核家族化が進み、しつけは蔑ろにされ、家族間でも挨拶を交わさない、という家庭が増えているように感じます。
かつての姿をとり戻すべきでしょう。
家族間に新しいルールをつくることで、家庭の空気は変わります。
慣れ親しんで(馴れ合って)いるゆえにどこか停滞した空気感に、清々しい風が吹き込みます。

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枡野 俊明(ますの・しゅんみょう)
「禅の庭」庭園デザイナー、僧侶 1953年生まれ。
曹洞宗徳雄山建功寺住職、庭園デザイナー、多摩美術大学環境デザイン学科教授。
大学卒業後、大本山總持寺で修行。
禅の思想と日本文化に根ざした「禅の庭」を創作する庭園デザイナーとして国内外で活躍。
著書に、『心配事の9割は起こらない』(三笠書房)、『傷つきやすい人のための 図太くなれる禅思考』(文響社)、『禅、シンプル生活のすすめ』(知的生きかた文庫)など。
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2020年10月20日

まじめな人ほど「疲れが取れない」納得の理由

まじめな人ほど「疲れが取れない」納得の理由
10/19(月) 東洋経済オンライン

ITコンサルティング会社から独立後、1度も営業せずに月収96万円を達成したフリーランスのシステムエンジニア・末岐碧衣氏による連載『友達0のコミュ障が「一人」で稼げるようになったぼっち仕事術』。
エンターテインメントコンテンツのポータルサイト「アルファポリス」とのコラボにより一部をお届けする。

■ON/OFFの切り替え、できてますか? 
 休んでも休んでも疲れが取れない!  そんな経験ありませんか? 
 いつでもどこでも仕事ができてしまうリモートワークのオフィスワーカー、フリーランス、経営者など、休みも含め、ある程度自分の裁量に任されているような人は、意識的に仕事のON/OFFを切り替えないと、つねに仕事中という状態になりかねません。
 私も独立して自宅で仕事をする時間が増えた頃は、切り替えがまったくできませんでした。
それでつねに仕事をしていないと不安で、休んでいても仕事のことを考えてしまう日々が続き、結果として半年もしないうちに精神的にも肉体的にも息切れ状態になったのです。

 私ほどではないにしても、終業後だらだらと仕事をしたり、休日も仕事のメール見たりしてしまう人は少なくないように思います。
今回は、コミュ障でぼっちだからこそ気づけた、そんな状態から抜け出すのに効果的なテクニックを紹介したいと思います。

 ●まじめな人ほど、身体を休めるのが下手? 
 なぜ、休んでいても仕事のことを考えてしまうのか。それはまじめすぎるからだと思います。
 休むことに罪悪感や不安・焦りを感じてしまう、もっと仕事で評価されたい、お客さんのためにベストを尽くしたい、仕事が楽しくてほかのことに興味が持てないなど、理由は人それぞれですが、まじめな人ほど自分を追い込んでしまいがちです。  
 例えば、こんなことをしたことがありませんか? 

・その日の作業に一区切りついているにもかかわらず、まだ眠くないからもうちょっとやろうかなと深夜・明け方までサービス残業? してしまう
・忙しくても仕事を引き受けてしまう
・仕事の連絡に即レスするために頻繁にスマホをチェックしてしまう
・仕事が終わらないときはすべて自分の責任だと考え、誰かに相談することなく睡眠時間や休日を犠牲にして仕事をしてしまう

 頑張った分評価されるかもしれませんが、そうした無理は蓄積してしまうもの。
知らず知らずのうちに、仕事を忘れてゆっくり休めない身体になってしまい、気づいたときには、自分ではコントロールできない状態になっている――というのが、いわゆるワーカホリックの怖いところです。

 私が陥ってしまった状態の話をすると、ずっとONのモードが続き、少しずつ息切れしてきたというか、仕事はやれるんだけれど元気がなくなっていったという感じでした。
平日の業務時間中はいつも眠くて疲れていて集中できず、ダラダラと夜遅くまで仕事をしてしまう。
それにもかかわらず無駄やミスが多くなかなか終わらないので、休日も平日の遅れを取り戻すために仕事をしなければならない、という悪循環に陥ったのです。
 加えて、「休日に連絡しても対応してくれる人」という印象をもたれてしまい、土日だろうが年末年始だろうが仕事の連絡が来るようになりました。
休日なのでそもそも対応する必要はないのですが、駆け出しのころは自信がなく、それくらいサービスしないと自分には価値がないと思い込んでいたのです。

 そんな働き方を続けていたところ、
何のために仕事してるんだっけ?  
何が楽しくて生きてるんだっけ? 
 みたいなことをぐるぐる考えるようになりました。
それで眠れなくなった私は、眠るための飲酒が癖になり、浅くて短い睡眠しか取れない日々にさいなまれることに……。
夢の中でもプログラミングの仕事をしていて、上司にミスを指摘されて言い訳する自分の声で飛び起きたこともありました。

 極めつけは、2時間の映画すらまともに見られなくなったこと。
始まって30分も経たないうちに気づけば仕事のことや将来のことをモヤモヤ考えてしまい、話の筋を見失うようになったのです。
30分も集中力がもたない、というのは自分でもかなり衝撃で、ずいぶん気落ちしたのを覚えています。

■情報を遮断したら元気になった! 
 そういう状態になって私は、運動してみたり、仕事量を減らしてみたり、自然に触れるようにしてみたり、いろいろやってみました。
中でもいちばん効果があったのが、スマホを持たずネットもできないような状態にして、オフラインにするというものでした。

 前職でお世話になった人の中に、非常にまじめで、休日だろうが風邪で休んでいようが、自宅にパソコンを持ち帰って仕事するタイプの人がいました。
毎年必ず、1人で沖縄の美ら海水族館を訪れてジンベイザメの水槽の前でぼんやり1日過ごしている、という変な人で、チーム内でちょっとしたネタにされていました。
 初めて聞いたときは「何それ、楽しいの?  変なの」って思いましたが、今なら理解できます。
おそらく、今で言うマインドフルネスに近い効果があったのではないかと思います。
なお、マインドフルネスには、うつの改善や集中力アップの効果が認められています。

 思い返してみると私は、ニュースを見たりSNSをチェックしたりしているときに不安が強まり、仕事のことを考えるループに入り込むことが多かったです。
 テレビをつければさまざまなニュースが流れていて、それに対してコメンテータがいろいろ言っていて、CMでは知りたくもない新商品の情報が次々紹介され、電車に乗ってもそこら中に広告が貼ってあり、スマホにはLINEやらTwitterやらSNSの通知がひっきりなしに飛んできて、YouTube動画は毎日新しいものがアップされます。

 今の若い世代は年金もらえないから貯金しろだの、会社がなくなっても大丈夫なように副業を始めようだの、今日生きるのでいっぱいいっぱいなのに、読むだけで疲れる情報が毎日飛び交っています。
休日でもお構いなしに仕事メールが飛んでくることもあります。
 そうした外からの情報を遮断しただけで、私の頭の中の声(不安をあおったり焦らせたりする)は静かになりました。
その状態で、黙々と掃除をしたり、瞑想をしたり、好きな本を読んだり、料理をしたりして過ごすと精神的に落ち着き、すごく安らぐのです。
まぁ、本を読みながら、うっかり登場人物と自分を比較して不安になったり、仕事のことを考え出して気づいたら話の筋を見失っていたりと、最初から完璧に切り替えることは難しかったのですが……。
 ともかく、そんなふうにオフラインを取り入れた結果、今では当時の1/5くらいの時間で同じ量の仕事を集中してこなせるようになりました。
2時間の映画も、最後まで楽しめる状態に回復しています。
 それだけではなく、ワーカホリックになる前よりも、仕事への集中力が増し、ON/OFFの切り替えも自分でコントロールできている感覚が、人生の幸福度を高めている感じがします。
調子のよいときは、午前中にすべての仕事を終えることができ、午後は軽い足取りで散歩や買い物に出かけたりするのがささやかな楽しみになっていたりするのです。

■オフラインな時間の作り方
 いやいや、スマホを手放すなんて無理だよ!  そんなことぼっちにしかできないよ!   そう考えてしまうのもわかります。
オフラインな時間を実現するにはちょっとした準備が大切です。
仕事や友人から連絡がひっきりなしに来てしまうような場合、それをオフラインだからと無視するのはなかなかに精神力を要することで簡単ではありません。

 例えば、私はオフラインの時間を決めたら「この日のこの時間帯は所用のため連絡が取れませんので、あらかじめご了承ください」と周知しておくようにしています。
休日よりも限定的なので、相手に悪印象をもたれる心配もありません。
 もう1つ、忙しかったり暇だったりの波が激しいので、あえてオフラインな時間は固定していません。
例えば、メインの仕事は月・水・金という契約になっているので、それ以外の曜日で適当にオフラインな時間を作るようにしています。
 つまり、あらかじめ「オフラインの時間を取る!」ということだけ決めておき、ある程度自由度をもたせて、周囲に迷惑をかけないようにしておくのがよいのかなと思います。

 ただし、こんな感じで連絡が来ることの対処ができたとしても、スマホを見るのが習慣づいてしまっている人(多くの現代人がそうだと思いますが)は、オフラインな時間そのものに抵抗を感じるかもしれません。
 私も以前は、つねに何かしていないと落ち着きませんでした。
寝る前だけでなく仕事中、散歩中、運動中でさえ、動画やラジオ、オーディオブックを聞き流すのが癖になっていて(一時期は、同時に2冊の本が高速で読めると思って片耳イヤホンの左右で違うオーディオブックを、倍速で聞き流したりしていました。〈笑〉)、無音だと落ち着かない、何かしら情報が入ってきていないと耐えられないという末期症状(? )でした。

 でも、情報のシャワーをつねに浴びて過ごすというのは、脳にストレスを与え続けているような状態です。
脳は情報という刺激が大好きなので、自然とやってしまいがちなのですが、実は休んでも疲れが取れないことの根本的な原因はここにあるように感じています。
だからこそ、強引にでも情報を遮断する必要があるのかなと。
 ちなみに、私がまず手始めにやったのは、スマホを持たずにぶらぶらと近所の禅寺まで散歩するというものです。
禅寺では時々、清潔な作務衣(さむえ)を身に着けたお坊さんがホウキで石畳を掃いていたりして、眺めているとなんとなく自分の心もきれいになっていく感じでした。

■ちゃんと休めているか、改めて考えてみよう
 私は、オフラインな時間を意識的に作ることで、情報ジャンキー的な悪癖も減り、無意味に変な焦り方もしなくなりました。
仕事のことで不安になる時間も減り、仕事中は仕事で集中し、休みは休みで切り替えて楽しめるようになったのです。

 「何をやっても楽しくない、何をやってもうまくいかない」と感じたときはいったん立ち止まって、自分に向かって「疲れていないか、本当に休めているのか」を尋ねてみる必要があるのかなと思います。
それでもし心当たりがあるようだったら、情報を遮断したオフラインの時間を過ごしてみると、よくなるかもしれません。

■まとめ
・まじめな人ほど、休むのが下手
・休めてないと感じたら、オフラインの時間を過ごしてみる
・オフラインになるときは、周囲迷惑をかけないようにしておく
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2020年10月21日

菅政権の目的は「国民統制」!?聞こえのいい政策が続く危険性とは

菅政権の目的は「国民統制」!?聞こえのいい政策が続く危険性とは
2020.10.20 ダイヤモンドオンライン
上久保誠人:立命館大学政策科学部教授

菅政権が発足し、1カ月で続々と政策を打ち出している。
しかし、政権の目的は「政策実現」ではない。
国民にとって「いい政策」が聞こえてくるが、菅政権の最終的な目的は「国民統制」ではないかということが、既に見えてきている。(立命館大学政策科学部教授 上久保誠人)

安倍前政権は目的=政策実現、手段=権力集中 菅政権は逆になった!?
 菅義偉政権が「安倍政治の継承」を掲げて発足してから1カ月がたった。
だが、安倍晋三前政権とのはっきりとした違いが見えてきた。
それは、菅政権では、政権が「目的」とすることと、その実現のための「手段」が、安倍前政権時代と入れ替わっていることだ。

 安倍前政権では、首相の「やりたい政策」というものが前面に掲げられていた。
まず、首相の悲願であった「憲法改正」だ。
次に、「特定秘密保護法」、「安保法制」、「テロ等準備罪(共謀罪)法」などの安全保障関連の法律の整備であった。
 また、それら「やりたい政策」を実現するために、内閣支持率を維持する経済政策「アベノミクス」、「一億総活躍」、「働き方改革」「女性の社会進出」、「教育無償化」などの国内政策も次々と並べられた。
これらの政策を実現が、安倍前政権の「目的」だった。
 そして、その「目的」を実現するための「手段」が、菅官房長官(当時)を中心とする首相官邸への権力集中だった。

在任期間が歴代最長だった菅官房長官は、毎年約10億〜15億円計上される官房機密費や報償費を扱い、内閣人事局を通じて審議官級以上の幹部約500人の人事権を使い、官邸記者クラブを抑えてメディアをコントロールし、官邸に集まるありとあらゆる情報を管理した。

 官邸に集まるヒト、カネ、情報を一手に握った菅官房長官が行ったことは、「森友学園問題」、「加計学園問題」、「桜を見る会」、「南スーダンの国連平和維持活動(PKO)の“日報隠し”問題」、「裁量労働制に関する厚労省の不適切な調査データの問題」などの公文書の改ざん、隠蔽、破棄、そして「前法相夫妻の逮捕」などのスキャンダルの悪影響が広がることを抑え込むことだった。
 要は、政策の実現という安倍政権の「目的」を妨げるものを排除していく「手段」として、菅官房長官は、絶大な権力を掌握して、それを行使したといえる。

 一方、菅政権では、官僚、メディアを掌握し、国民を統制すること自体が政権の「目的」のようだ。
そして、政策はその目的達成のための「手段」として打ち出されているように見える。

政策そのものではなく、やり方が問題
「ハンコ廃止」は大臣がやることなのか
 菅首相は、就任と同時に、行政の縦割り打破や規制改革に取り組むことを打ち出した。
これ自体はなにも問題はない。
日本政治・行政の長年の課題であり、この解決を図ろうとするのは、新政権として当然のことである。

 問題は、行革・規制緩和を進める菅政権のやり方だ。
菅首相は、河野太郎行革担当相に対して、国民から電話や電子メールで「縦割り」の弊害の具体的な事例を通報してもらう窓口「縦割り110番」を設置し、行政の目詰まりを全部明らかにし、1カ月ごとに報告をするように指示した。
 河野行革相が「行政の無駄」として目を付けたのが、「ハンコ」だった。
行革相は、全府省庁に対し、民間から行政機関への申請手続きなどで求める押印手続きなど、「ハンコ」を原則廃止するよう文書で要請した。
「ハンコ」を存続させる場合は9月末までに理由を示すようにも求めた。
 その後、河野行革相は、全府省庁での検討結果を公表し、押印を求めていた約800種類の申請書や添付書類を全廃する考えを示した。
一方、法律や政省令、告示で押印を要求していて変えられないと回答があったものが35種類あったが、「(押印を)やめられると思う」と、全府省庁に再検討させたことを明らかにした。

 中央省庁では、ハンコを必要とする手続きはおよそ1万1000件あるといわれる。
その中には、「偉い人スタンプラリー」と呼ばれる、1枚の書類に10以上の承認印を必要とするものがあふれ返っている。
すべての役職者の承認印を得るのに、担当者が何日も役所内を回り続けなければならない。
要するに、「無駄な押印」は、「お役所仕事」と呼ばれる行政の非効率の象徴であることは間違いない。
「ハンコ廃止」は、この「お役所仕事」の改善につながる。

コロナ禍における定額給付金10万円の支給がもたついたことなどで批判されたことなど、行政手続きの煩雑さは長年の日本の課題である。
それを改善するための有効な策であることは間違いない。
 また、やりがいのない煩雑な業務に忙殺されて残業が多いことで、若手官僚の多くが転職を考えているという。
「ハンコ廃止」で無駄な業務を減らすことで、霞が関の「働き方改革」につなげて、優秀な人材の民間への流出を防ごうという狙いもあるだろう。

 しかし、そもそも「ハンコ廃止」は、首相が音頭を取って、大臣が陣頭指揮してやるべきことなのだろうか。
役所であれば、部長あたりが音頭を取れば、できることではないのかということだ。
 実際、筆者が勤務する大学を例にすれば、既に「ハンコ」を押す機会は激減している。
留学生が増えたからだ。
留学生は印鑑を持っていないから、書類にサインすればいいということになる。
指導教員もサインでいいとなり、次第に日本人学生の他の書類もサインで十分というのが増えていったのだ。
 要は、別に大臣に陣頭指揮などしてもらわなくても、業務の効率化を現場レベルで考えればできることだ。

特に、国際的な競争にさらされる現場だと、有無をいわさず変化を求められる。
既に変えている民間企業も多数ある。
 確かに、霞が関は特に外部との競争と無縁で、変化が起こりにくいところではある。
だが、コロナ後はデジタル化・IT化が徹底的に進む「スーパー・グローバリゼーション」の世界になる。
時間は少しかかるかもしれないが、いや応なしに変化は起きていく。
それを、大臣が陣頭指揮をして、行革の中心課題のように扱うというのには、強い違和感があるのだ。

政権の陣頭指揮で「ハンコ廃止」を進める理由
官僚バッシングにうってつけ
 それでも、菅政権が陣頭指揮で「ハンコ廃止」に突き進むのには、行革の推進以外に理由があるからだ。
それは、この政策が庶民を「感情的」にして官僚をバッシングさせるには格好だからである。
 子どものころから頭のいい優等生で、東京大学など優秀な大学を出て、霞が関に入ったエリート官僚が、実は自分たち以上に、非効率的で無駄な仕事をしてきたことが明らかになる。
頭でっかちなガリ勉で、実はたいしたことないじゃないかと思う。
これは、エリート官僚にコンプレックスを持ってきた庶民にとって、実に気持ちがいいことだ。

 既に「ハンコ廃止」にもさまざまな異論が出始めているが、今後、行革・規制緩和が本格化して、霞が関の本格的な抵抗が起こり始めたら、感情的になって官僚をバッシングするようになる。
その「気持ちのよさ」を知った庶民が、次々と「炎上」を起こすことになる。
 菅首相は、政権に反対する官僚を「異動させる」と明言している。
省庁幹部人事を一元管理する内閣人事局で「官僚支配」を続ける方針だ。

安倍前政権時、内閣人事局を使った官邸主導の強化による官僚の「忖度」には強い批判があった。
 しかし、菅政権では、首相に抑え込まれる官僚の姿を見ることに「気持ちのよさ」を覚えた庶民によって、感情的な「官僚バッシング」が起こる。
そして、首相の強気の姿勢が異様なほど称賛されることになりはしないか、強い懸念を覚える。

「携帯電話料金引き下げ」の進め方にも疑問
政策は「統制の手段」として実行される
 菅政権の打ち出した政策は、その他にも「統制の手段」として実行されることが疑われるものがある。
例えば、菅政権の目玉政策のひとつである「携帯電話料金引き下げ」である。
 菅首相は就任直後に武田良太総務相を官邸に呼んで、トップダウンで値下げを急ぐよう指示した。
武田総務相は「国民生活に直結する問題なので、できるだけ早く結論を出す」とし、「(値下げ幅は)1割程度では改革にならない。
海外では健全な競争を導入して70%下げたところもある」と、大幅な値下げの実現に強い決意を表明した。

 確かに、携帯電話料金が下がることは、コロナ禍の経済停滞に苦しんできた庶民にとってはありがたいことだ。
だが、これも首相が音頭を取って大臣が陣頭指揮でやることかという疑問がある。
 政府が経済についてやるべきことは、市場の公平な競争条件を整えて、多くの企業を参入させて、結果として適切な水準まで市場の価格が自然に下がっていくように促すことだろう。
それ以上に強制的に値下げをさせるなど過剰な企業活動への介入は、「統制経済」につながってしまう危険があるのではないか。

 安倍前政権時にも、企業に対して「賃上げ」を再三再四にわたって求めるなど、「統制経済」的な側面があった。
だが、それは「アベノミクス」という政権の看板政策を実現するためのものであった。
また、あくまで企業側に対する「要請」であり、強制力を持つものでもなかった。

 一方、菅政権は、より強く産業を統制しようとする意図がにじんでいる。
政権発足直後にロケットスタートで「携帯電話料金値下げ」を政府主導で決める。
これは、庶民にとって一見いいことのように見えるので、携帯業界は抵抗しづらい。
抵抗すれば、庶民からバッシングを受けることにもなりかねないので、黙って従うことになるだろう。
それを見る他の業界も、菅政権の強い姿勢に震え上がり、黙ることになる。

菅政権は、このように産業界全体の強い統制に成功することになるのではないか。

「いい政策」が続き批判できない空気が漂う
 さらにいえば、菅政権は「不妊治療の保険適用拡大」など、多くの国民が「いいことだ」と賛成できる政策も次々と打ち出している。
これが、後述の「学問の自由」の侵害の問題などが起きても、「いいことをやっているんだから」と批判を控えさせる効果がある。
 端的な事例は、野田聖子・自民党幹事長代理が、「女性はいくらでもウソをつける」発言をした杉田水脈議員に辞職を求める13万6000筆の署名の受け取りを拒否したことだ。
「議員辞職させる権限がないから受け取れない」という理由は意味不明である。

 一方、野田幹事長代理は、菅政権の1カ月について「国民に直接響く、生活感を大切にした政策の積み重ねが特徴で、24時間休むことなく突き進んできた1カ月だった。
一緒にいる私たちもヘトヘトで、いい仕事をさせてもらったと感謝している」と高く評価した。
要は、菅政権が女性の権利拡大の政策に取り組んでくれるので、批判的な行動はできないということだ。

度を越している学者の抑えつけ
梶田会長の行動は「子どもの使い」
 そして、菅政権の国民統制という目的のための「手段」の極めつけが、「日本学術会議任命拒否」だろう。
筆者は、日本学術会議が「学問の自由」を守れていない側面があると批判した。
しかし、菅政権の学者を抑えつけようとする姿勢は、度を越しているように思う。

 菅首相と日本学術会議の梶田隆章会長(東京大学教授)が、首相官邸で15分間会談した。
梶田会長は、学術会議が推薦した会員候補105人のうち、6人を任命しなかった理由の開示と任命を求める要望書を、首相に直接手渡した。
しかし、梶田会長は菅首相の直接任免拒否の理由を問いかけることはなく、首相も説明しなかったという。

 会談で菅首相は、「学術会議が国の予算を投ずる機関として国民に理解をされる存在であるべきだ」と話し、「学術会議としてしっかり貢献できるようやってほしい」と梶田会長に要請した。
梶田会長は、政府への政策提言が不十分といった批判が出ていることを念頭に「発信力が今まで弱かった。早い段階からしっかり改革していきたい」と応えた。
そして、学術会議の在り方について、今後検討していくことで合意したという。

 一言でいえば、梶田会長の行動は、「子どもの使い」のような無様さだった。
なぜ、菅首相に任免拒否の理由を直接聞かなかった。
首相が答えなければ、テコでも動かない。
答えるまで官邸に籠城するくらいのことはしてほしかった。
命を懸けて首相と刺し違えるくらいの覚悟がなければ、「学問の自由」など守れるわけがないではないか。

 菅首相も、ノーベル賞受賞者の梶田会長をいい加減に扱うことはできなかったはずだ。
乱暴に官邸から追い出せば、世論が黙ってはいないからだ。
梶田会長は自らが持つ絶大な「権威」を使って「権力」と戦うべきだった。

戦前、学問の自由を守るために逮捕されてもまったくひるまなかった河合栄治郎のように、信念を示してほしかった。
 だが、梶田会長は、しょせん学者がけんかのやり方を知らないひ弱な優等生でしかないことをさらしてしまった。
やはり、日本学術会議は「学問の自由」を守るために百害あって一利なし、無用の長物だと断ぜざるを得ない。

今後、政治は遠慮なく「学問の自由」を奪うために学者を攻撃してくるだろう。

学者を最初に狙い撃ちした理由
政権の最重要の「目的」とは
 菅首相は、日本学術会議を攻撃する二の矢を既に放っている。
自民党は、日本学術会議の在り方を検討するプロジェクトチームを発足させ、初会合を党本部で開いたのだ。
下村博文・自民党政調会長は、政策提言など会議側の活動が不十分だとの認識を示し、「納税者の国民の立場から見て、学術会議の在り方を議論することは重要だ」と発言した。
 自民党は、年内をめどに提言をまとめ、政府に提出する方針だという。

一見、自民党が言うことは「正論」に聞こえる。
だが、要は政府に批判的な学術会議を、政府に黙って従うものに変えるという、自民党の学者に対する公然たる宣戦布告だと言っても過言ではない。
 前回も述べたが、古今東西、「権力」は国民を統制しようとする時、学者を最初に狙って攻撃してきたものだ。
学者は「権威」があり、社会に圧倒的な影響力を持ちながら、優等生でけんかができないからだ。
政治家からすれば、崩しやすい相手であり、いったん崩せば、国民は「権威」を崩した「権力」に対して、黙り込むことになる。

 菅政権が、政権発足後、まず学者を狙い撃ちにしたのは、政権の最重要の「目的」が国民の統制にあることを明確に示しているのだ。
だが、何度でも繰り返すが、学者から「学問の自由」を奪うことを皮切りに、国民の「言論の自由」「思想信条の自由」を抑えつけて、「権力」への批判がない社会を実現した先に待っているのは、「亡国」しかないということは、古今東西の歴史が証明している。

 政策とは、国民を統制するための「手段」ではない。
政策は、国民の自由と幸せな生活の実現という「目的」のためにあるはずだと、菅首相に強く主張しておきたい。
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2020年10月22日

お金が手に入る「おいしい話」に乗った人の末路 「…だけ」には要注意

お金が手に入る「おいしい話」に乗った人の末路 「…だけ」には要注意
10/21(水) LIMO(山内良子)

 かつて消費者金融会社に勤めていた筆者。
その当時、お客さんからお金に関する「おいしい話」が原因のトラブルについて相談されることも多く、その末路を知ることも少なくありませんでした。 
 今回は実際に筆者が見聞きした、おいしい話とその結末について紹介します。

生活に余裕がない人ほど騙されやすい
筆者が経験上感じたのは、生活がカツカツの人や借金のある人は「とにかく、この生活から抜け出したい」と焦ってしまうことが少なくないということです。
そのため、「簡単に儲かる」「ラクに稼げる」「簡単な副業」など、すぐにお金が手に入りそうな誘い文句に興味を持ちやすく、それに賭けてみようという心理に陥りやすいようです。

たとえば、家族に内緒で借金をしている人が騙されやすいのは、「保証人や担保なしで貸してあげる」という言葉です。
そういう場合に危ないのは利息の高い闇金だけとは言えません。
新型コロナウイルスでも問題となった個人間融資では、見返りに法外な利息や性行為のようなことまで求められるケースも。

そして、甘い言葉に乗せられて一度借りてしまうと「バレたくない」という気持ちを利用され、下記のような泥沼に発展しやすいのです。

借金をしていた相手に頼まれて保証人になってしまったケース
個人経営の化粧品店で働いていたある女性は、会社を経営する男性と玉の輿婚をしたものの、お金にシビアな夫が財布をガッチリ握っていたため消費者金融に借金し、ブランドの新作を買い漁って支払いに困窮。
勤務先の化粧品店のオーナーに「貸すよ。あるとき払いでいいから」と囁かれ、借りてしまいます。
そんな生活が半年ほど続き、これでは申し訳ないという気持ちが募っていたとき、オーナーに「人に騙されて今月の家賃が支払えない。保証人になって」と持ちかけられたのです。
夫に黙って保証人になったところ、オーナーが夜逃げして消費者金融や闇金の厳しい取り立てにあい、夜の店で働いて借金を返すハメになってしまったと嘆いていました。

副業の「支度金」が戻ってこなかったケース
また、現実離れした金額だと怪しいと疑う人も多いものですが、「月に3〜5万円くらい稼げる副業」と言われると、つい信じてしまうこともあるようです。
筆者の元同僚も、しっかり者だったにもかかわらず「在宅で5万円稼げます」の謳い文句につられて支度金の2万円を支払い、そのお金が返却されずに悔しい思いをしていました。
仕事の内容は封筒に住所を書いてチラシを入れるというもの。
支度金2万円の内訳は、送料と仕事を放棄したときの補償金で、補償金は3か月仕事をすると返却されるというものでした。
このように「補償金」や「登録料」などの名目で、働く前にお金が必要になる仕事は怪しいと言えるでしょう。  

「詐欺ではないが低単価」というケース
「まずは副業から」などの謳い文句でライターやウェブデザインの募集をかけているものの、時給換算※すると300〜400円で労力と収入が見合っていなかったり、「能力に応じて昇給」などの甘い言葉を使い低い単価でどんどん仕事を依頼してくるケースも少なくありません。

筆者のこれまでの経験では、給料や報酬の安い仕事のほうが制限されることが多く窮屈で、細かい部分まで執拗なほどチェックが入り、精神が疲れてヤル気が削ぎ落とされました。
長期的にみて、収入が見合わないと続かないことが多いので、パソコンやスマホを通じて自宅でできる業務委託の場合でも、単価や仕事内容に注意するのが賢明でしょう。
※時給換算するときは事前準備から業務完了までの時間で計算しましょう

「…するだけ」は怪しい可能性大
「…するだけ」など、大したことはないような印象を与えたり、誰もが簡単にできそうだという印象を抱かせるのも、怪しい話を見分けるポイントです。
筆者の元顧客の中にも、「…だけ」に騙されて悲惨な末路を迎えた人がたくさんいました。  

クレジットカードを不正利用されたケース
元顧客の息子(20代前半の学生)は、「クレジットカードを作るだけで5万円あげる」と言われて作成して渡したところ、いつの間にか枠いっぱいまで使われていたことが発覚。

借金の名義貸しをしてしまったケース
元顧客の公務員(40代男性)は、「奥さんに内緒でお金を借りたいから、名前だけ貸して」と頼まれて名義貸しをしてしまい、頼んできた人が債務整理をしたため自分が全額返済するハメに。

「保証人の欄に名前を書くだけのバイト」に乗ってしまったケース
やはり元顧客で70代の年金暮らしの男性はパチンコに入れあげてお金に困り、「保証人の欄に名前を書くだけで1万円のバイトがある」と誘われるがまま、次々に保証人に。
ところが、保証人を頼んできた人が1人夜逃げし、また1人破産し、借金の取り立てで首が回らなくなり、結局、息子夫婦が弁護士に相談して解決を図ることになりました。

おわりに
生活が苦しかったり、借金をしたりしている人は、早くラクになりたいと焦る気持ちから、お金に関する「おいしい話」に騙されやすくなる傾向があります。
もしも簡単にお金が手に入るという話に遭遇したら、「自分だったら、そんなおいしい話をわざわざ他人に教えるか?」と、まずは自分自身に問いかけてみてください。
そうすれば、目の前にふってわいたその話がほぼ100%の割合で、詐欺まがいや犯罪がらみ、もしくは危険なことだと気づくことができるでしょう。
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2020年10月23日

国会は火だるま必至 菅首相“棒読み記者会見”でも問題発言

国会は火だるま必至
菅首相“棒読み記者会見”でも問題発言
2020/10/22 日刊ゲンダイ

 官僚が書いた原稿を棒読みするのに慣れ過ぎて、自分の言葉では答えられなくなったのか。
それとも、何が問題なのか全く理解していないのか。
 21日、外遊先のインドネシア・ジャカルタで記者会見した菅首相。
記者から、あらためて日本学術会議の新会員候補6人の任命を拒否した理由を問われると、こう言い放ったから驚いた。
「国の予算を投じる機関として国民に理解されることが大事だ。
推薦された方々がそのまま任命されてきた前例を踏襲してよいのか考えた結果だ」
 オイオイ、ちょっと待て。
最初に理由を問われた際には「総合的、俯瞰的に判断」と答えていたではないか。
それが世論批判を受けて突然、「推薦リストを見ていない」と支離滅裂な言い訳を始めたかと思いきや、今度は「国民に理解されることが大事」だから理解不能だ。

 さらに、16日の日本学術会議の梶田会長との会談に触れた菅は「国民に理解されるように日本学術会議をよりよいものにしていこうと合意した」などと上から目線で開き直っていたが、一体どの口が言っているのか。

 問われているのは、日本学術会議の組織体制や学者の在り方ではない。
理由も示さず、法律に反する形で任命を勝手に拒否した菅の認識、違法性だ。
自分自身のデタラメを棚に上げ、さも学術会議側に問題があるかのよう論点をすり替える。
これぞ自分の品性下劣を告白しているようなものだ。

■外遊は「外交オンチ」のイメージを変えたかっただけ
 菅は会見で、日本とASEAN(東南アジア諸国連合)について、
「法の支配、開放性の基本原則の実現を目指している」と、もっともらしく訴えていたが、「法の支配」を破壊しているのは今の日本政府だろう。
 日本学術会議に対して、菅が言うように「理解していないぞ」と憤慨している一般国民はほとんどいない。
むしろ、「国の予算を投じる機関として国民に理解されることが大事」と強く指摘されるべきは今の日本政府であり、菅自身だ。

 そもそも、今回の外遊だって国民に理解、支持されていたのか疑わしい。
どう考えても、国会を開かず、所信表明演説をすっ飛ばしてまで強行する必然性があったとは思えないからだ。
そして何よりも新型コロナウイルスの“感染リスク”の問題だ。
 当然ながら、今回の外遊では、菅以下、政府関係者や同行記者は感染防止策の徹底が求められ、ベトナム入国時には全員が新型コロナの「陰性証明書」を提出。

インドネシアの大統領宮殿での首脳会談でも、出席者は原則として事前にPCR検査を受けたというが、世界中で新型コロナの感染が拡大する中、わざわざ訪問する必要があったのか。
単に「外交オンチ」のイメージを変えたかっただけじゃないのか。
さらに言えば、インドネシアの財政支援にポンと500億円も拠出するのであれば、そのカネをなぜ、日本の新型コロナ対策に使うことを考えなかったのか。
やっていることがチグハグを通り越して意味不明だ。

政治評論家の森田実氏がこう言う。
「この1カ月間でハッキリしたことは、菅内閣は、やることなすこと全てが間違い。やはり、誤って誕生した内閣だということです。
学術会議の問題は明らかに学問の自由を保障した憲法23条違反。
この条文は戦前の学者弾圧などの反省を踏まえて規定されたものであり、任命拒否は許されるものではない。
説明しないのは民主主義の否定です。
各国首脳がコロナ対策に全力を注いでいる時に何もせず、中国を刺激するためとしか思えない国に外遊。
野党は早く総辞職させるべきです」

菅は「諫言」が持つ言葉の意味を理解していない
 当たり前のことだが、日本学術会議では、それぞれの研究分野において優れた知見が認められた識者が会員に推薦、任命されてきた。
繰り返すが、今回、その任命について理由も示さずに拒否したのは国民じゃない。菅自身だ。
「私が任命権者」とエラソーに言うのであれば、国民が納得する理由をきちんと説明すればいい。
それなのに、俺が決めたのだから従えと言わんばかり。
思想統制の意思剥き出しだ。
任命を拒否した識者はもちろん、学術界に対する尊敬もない。
「権力があれば何でもできる」と考えているパワハラ人物と同じで、勘違いにもホドがあるだろう。
こんな自己中心的な考えを「政治家の覚悟」と称しているのだとすればマンガだ。

 菅は学術会議問題の“本質”を理解していない。
「教養のレベルが露見」と発言した静岡県の川勝平太知事は、メディアに真意を問われた際、「私は(菅首相が)誤っていると思うので諫言した」と語っていたが、この意味すら分かっていないだろう。

 諫言とは、目上の人の過失を指摘、忠告することだ。
唐の皇帝、太宗・李世民は政治を誤らないよう諫言する役目の人物を重用したというが、それは時の権力に忖度がはびこれば、いずれは国家の衰退につながると考えていたからだ。

今の日本で言えば、政府に諫言する役割を担っている組織のひとつが日本学術会議であり、それが「右向け右」となれば国家が滅びるため、識者を含む多くの国民が強い危機感を持って反対の声を上げているのだ。

■スピード感を持って国家を破壊している
 ところが、菅はそんなことを気にも留めていない。
安倍政権と同様にノラリクラリと逃げ続けていれば、国民はすぐに忘れると居直っている。
 菅はスピード感という言葉を多用するが、重要課題や政策に対してスピード感を持って対応するという意味じゃない。
スピード感を持って安倍政権以上に民主主義を破壊し、国家を衰退させようとしているのだ。

「できるだけ早く政府として責任を持って処分方針を決めたい」
 政府が東電福島第1原発から出る放射性物質トリチウムを含んだ処理水を海洋放出する方針を固めたと報じられたことについて、菅は会見で無表情のままこう答えていたが、これも学術会議問題と同様に戦慄を覚える。

 福島県内では、59市町村のうち、41の市町村議会が海洋放出について「反対」か「慎重」とする意見書、決議を可決している。
20日、福島県内の女性市議らが衆院第2議員会館で集会を開き、「政府は住民の意見を聞いてほしい」と訴えていたのに、てんで無視だ。

すべてが「俺が決めるから従え」という姿勢で、「住民の意思」など眼中にない。
しゃべればしゃべるほど民主主義と国家を壊す「怖さ」、鉄面皮の本性が透けて見える。
 だが、来週26日召集の臨時国会では、こんなデタラメな姿勢、答弁が通用するはずがない。
答弁を重ねるほどにボロを出し、火ダルマ状態になるのは必至だ。

立正大名誉教授の金子勝氏(憲法)がこう言う。
「菅首相は所信表明演説もせず、自分のやりたいことを好き勝手やっているのですから、国民主権に対する冒涜以外の何物でもない。
野党は法にのっとり、これまでの言動の矛盾をきちんと問いただすべきでしょう。
国会では、官房長官時代のような『ご指摘には当たらない』なんて答弁は許されません。
野党は連携して徹底的に追い込むべきです」
 パワハラ勘違い男は一刻も早く退場させるのが国民のためだ。
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2020年10月24日

脳はストレスとどう戦っているのか?

脳はストレスとどう戦っているのか?
2020年10月23日 ダイヤモンドオンライン
ホルスト・ルッツ 繁田香織:翻訳家

国民病1位を引き起こすストレスをどう脳が処理をするかに注目。
同じ事象でもポジティブに受け取る人がいれば、ネガティブに受け取る人もいます。
脳がどう受け取るかがすべて。
では、脳はストレスとどう向き合うべきなのか。

■ストレスを減らす方法
 ストレスは、基本的に悪いものではありません。
むしろ、ストレスは人間が生き延びるために必要なものなのです。
 狩猟や木の実などの採集のみで食料を手に入れていた時代には、敵に襲われそうになったときに闘ったり逃げたりする身体の反応、いわゆる「闘うか逃げるか反応」は生死にかかわるほど重要でした。

 たとえばライオンに遭遇したときに、身体はストレスホルモンを一瞬のうちに全身にかけ巡らせ、すばやく「闘うか逃げるか」の反応を起こすことができるようにしていたのです。
しかし、ライオンに槍を射った後は安心して、ストレスホルモンの分泌量は正常になり、落ち着いてきます。

現代でも、命にかかわる事態に見舞われ、それを乗り越えようとするときには、同じ反応が起きます。
つまり、ストレスはよいものでもあるのです。

 ただ、現代では、ストレスは国民病を引き起こす原因の第1位です。
過度のストレスが原因である病気は、高血圧や睡眠障害、さらに血管の狭窄、胃酸過多、疲労困憊、燃え尽き症候群、心筋梗塞など数多くあります。
 技術者疾病金庫〔医療保険金庫の1つ〕が2015年に実施した調査によると、ドイツでは精神疾患による欠勤の日数は2006年から急激に増加しており、精神疾患が欠勤原因の第2位となっています。
 つまり、ストレスを生じさせる事態が絶えず起こると、ストレスホルモンの分泌量がほぼずっと高いままで調整されることがないため、自然な心拍変動〔脈と脈の間隔が短くなったり長くなったりすること〕が保たれず、つねに「闘うか逃げるか」モードになっているのです。

 では、こうした場合にどうすればいいのでしょうか? 
「ストレスを和らげるべきだよ」と気遣ってもらえると確かにうれしいですが、そのような人から実際に何かしてもらえるのでしょうか?
 あるいは、自分で簡単にストレスを和らげることができるのでしょうか?
 いいえ、おそらく簡単にはできないでしょう。

ストレスに対応する身体のシステムが、これまでネガティブなストレスを生じさせていた状況について、ストレスを生じさせない状況と判断できるようにならなければいけないのですから。

ここでちょっとした例を挙げてみましょう。
 あなたが幹線道路で車を運転し、前を走っている車を追い越そうとして反対車線に出たとします。
しかし、反対車線を走っているあなたの車が、追い越そうと思っている車とほぼ横一列に並んだとき、向かいから予想以上のスピードで車が走ってきました。
ハラハラする瞬間です!
 元の車線にうまく戻れるでしょうか?
 アクセルを思いっきり踏み、うまくいけと願います!
 何とか元の車線に戻れて、事故を起こさずに済みました。
もちろん、向かいから走ってきた車はすごい勢いであなたにパッシングをし、元の車線を走っていた車も、あなたに危険な横入りをされたとパッシングをしてきました。

 さて、この場合の心理状態には2パターンあります。
このパターンのどちらに当てはまるかで、あなたのタイプがわかります。  

1つ目は身体中が震えて、頭に血が上り、脈が非常に速くなり、心筋梗塞を起こす一歩手前の状態になる。  
2つ目はわりとリラックスしており、満足げな笑みを浮かべ、心の中でこぶしを上げて「いや〜、すごくうまくいった! こうでなくては!」とつぶやいている。

 1つ目のパターンは、ストレスホルモンが過度に分泌され、非常にストレスを感じている状態です。
 2つ目のパターンは、アドレナリンも分泌されていますが、比較的リラックスしており、自分の運転テクニックに興奮している状態です。
 この2つの心理状態を起こした状況は、どちらもまったく同じですから、状況自体がネガティブなストレスを生み出しているのではないといえます。

 誰もが自分一人で、それ自体はニュートラルである状況からネガティブなストレスを引き起こすシナリオや、ネガティブなストレスを引き起こさないシナリオをつくっています。
ただ通常、これは意図して行なわれるものではなく、身体の中で自動的に起こります。
 しかし、ライフキネティックのトレーニングを行なうと、ネガティブなストレスを引き起こさないシナリオをつくることができるようになるのです。

記事抜粋 「脳が活性化する世界最先端の方法」
***************************
 ライフキネティックでは、簡単なエクササイズによって、脳内でまだ利用されていない領域を活動させていくことを目指しています。
(中略)ライフキネティックのエクササイズには、知覚(とくに視覚)の能力と、すばやく情報を処理して動きに反映させるための集中力が非常に求められます。
 このことは、とても簡単な動きを行なうエクササイズにもいえます。
これらすべての要素を満たしているのが、ライフキネティックなのです。
つまり、ライフキネティックの公式は次のようになります。

「知覚+脳トレ+動き=能力の向上」

 ライフキネティックでは、この3つの要素を使って、脳内のネットワークを改善し、それにより脳のあらゆる領域を一層活用させることを目指しています。
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2020年10月25日

なぜ2度あることは3度あると思ってしまうのか

なぜ2度あることは3度あると思ってしまうのか
2020年10月24日 東洋経済オンライン
小幡 績 : 慶應義塾大学大学院准教授

世の中は、馬鹿馬鹿しいほど明らかな間違いにあふれている。
今回はアメリカ大統領選挙を例に取りながら、簡単な行動経済学的視点で「なぜ間違いが生まれるのか」を解説してみよう。

バイデン氏優勢なのに日本では「まだわからない」の謎
いよいよアメリカの大統領選挙は大詰めを迎えている。
10月22日夜、最後の「一騎打ち」の討論会が行われた。
PBSという公共放送主催で行われたために第1回目よりも冷静に行われ、ドナルド・トランプ大統領に有利な初回のセッティングよりも、民主党のジョー・バイデン大統領候補に結果的に有利になったようだ。
バイデン氏とトランプ氏の支持率の差は、トランプ氏のコロナ感染以後の1カ月で大きく開いた。
足元ではやや差が縮まったが、この討論会も無風であったため、大統領はほぼバイデン氏で確定だ。

同国での調査もすべて「バイデン氏ほぼ確実」を示しているし、かんべえ氏(吉崎達彦・双日総合研究所チーフエコノミスト)の好きなリアル・クリア・ポリティクスの「大統領選挙賭けサイト」でのオッズも、バイデン氏が圧倒的に優勢だ。
そして金融市場もバイデン大統領を織り込んで、再生エネルギー銘柄が上昇。
一方で債券市場は民主党による財政支出拡大を前提にアメリカ国債の利回りは上昇している。

それにもかかわらず、日本国内では「まだわからない」という記事や専門家のコメントが目立つ。
なぜなのだろうか。
理由は2つある。
第1に、日本人の専門家は民主党が大嫌いだからである。
このバイアスは驚くほど広く存在する。
外務省の官僚が書いたといわれる「YA論文」でも、民主党政権の外交政策は日本に望ましくないことが背景にあり、勢いあまって「トランプ政権は日本の安全保障にとって悪くない」ようなことをのたまってしまう。

なぜ、民主党が嫌なのか。
それは、アメリカの東部エリート層が伝統的に持つ「弱者の味方である自分に陶酔する思想」が嫌いだからである。

日本人から見ると、自分たちは苦労したこともなく、その痛みもまったくわからないくせに、偽善的に振舞っているような印象となるようだ。
これはアメリカの低所得者層にもある程度共通で、前回の「アンチヒラリー(・クリントン)」、今回のトランプ氏への根強くかつ熱狂的な支持、さらには「エリートとワシントンとメディアの連合が生み出すフェイクニュースという都市伝説」を信じる土壌ともなっている。

アメリカや日本のアンチ民主党の是非はともかく、この結果、日本の知識層、官僚、保守寄りのメディアは、願望を込めて「民主党バイデンが負けることもありうるんじゃないか?」と予想している。
これは、行動経済学でいうところの確証バイアスである。
しかし、トランプ氏が勝つかもしれないと、ありえないことをまともな人々が言っている最大の理由は、前回トランプ氏が事前の予想に反して勝利を収めたことが一種のトラウマになっていることだ。
前回もそうだったから、今度もありうるんじゃないか。
そういうことである。

8人に1人は「為替の神様」になれる
普通は、人間は一度の意外な出来事では見方を変えない。
1回目は偶然、いわば、まぐれである。
しかし2回続くと、それはこれまでの見方を変更する動きにつながる。
3度起これば、もうそれが必然になる。

「為替相場の神様」などと呼ばれる人はよく現れる。
なぜなら、為替は上がるか下がるか、2択に過ぎないからである。
「円高になる」と予言して、1回当たると、それはたまたま。
2回連続で当たると、彼は天才。
3回連続となると、彼は為替の神様になるのである。

しかし、これは2の3乗で確率8分の1だから、少なくとも8人に1人は神様がいることになる。
「2度あることは3度ある」というのは、2度ありえないことが起きると「2回連続のショックは大きすぎて、その例外事象が、普通に起こるような気がしてくる」ことを表す。

2016年の「トランプショック」の場合は、実は伏線はブレグジット(イギリスのEU離脱)ショックにあった。
ブレグジットは、金融市場も想定外の出来事で、当日地域ごとに票が開くにつれて、「意外、あれ、あれれ、あれれれれ、まさか!」となって、そこからドカーンと英ポンドが大暴落し始めた。
もっともブレグジットの場合、事前の世論調査では、ほとんどの調査で五分五分だった。
それにもかかわらず、金融市場は「ブレグジットなどありえない」という予想で、完全に国民投票の結果は「紆余曲折があるも、否決になる」と勝手に決めてかかっていた。
これも前述の確証バイアスであるが、仕方がない面もあった。

サプライズとなった理由は主に2つだ。
第1に、そもそもブレグジットなどという誰にとっても得にならないうえに、イギリスの運命としては壊滅的な結果、歴史が終わってしまいかねないような選択肢を、あえて国民が結果として選ぶというのは、どう考えても合理的でない。
「あまりに不合理だ」というのが、現実を直視できなかったもっとも大きな原因であろう。
第2の理由は、国民投票というのは、ほぼ初めての出来事だったからだ。
国民投票はめったに行われないし、行われたとしても毎回議決すべき事項は異なる。
したがって、客観的な予測をしようにも、データどころか、1度の前例もない。
確率分布が描けないという意味で、リスクではなく、ナイトの不確実性に近いイベントだったと捉えられる。
歴史的に一度きりの事件であるから、客観的な予測をしようにもどうしていいかわからない、ということだ。

ブレグジット後にトランプ当選のサプライズがあった
この結果、ブレグジットはあまりに衝撃的な結果をもたらした。
この衝撃が大きすぎて、人々、とりわけ市場と専門家たちの間には強いトラウマとして「世論調査などの予測は当てにならない」という印象が深く刻みこまれたのである。
そして、トランプ氏が大統領に当選するという、この年2度目のサプライズが、その4カ月後に起きた。
こちらも、ブレグジット以上のサプライズだったことは、4年前になるが誰もが覚えていることだろう。
理由はブレグジットと同様だ。

トランプ氏はこれまでも大統領選挙に出馬しようとしていて、ほぼ泡沫候補扱いだったのが、共和党にほかにはろくな候補がいなかったので、あれよあれよという間に共和党の候補になってしまった。
共和党内部からも強い反対が残り、一枚岩でないどころか誰もワシントンでは支持しないという有様だった。
結果からすると、それが逆に効果的で、ワシントンの外にいて「これまでのエリートたちとは違う」、という保守的な低所得層の支持を受けて当選してしまった。

「トランプ大統領」が想像できない以上「そんなことは起こるわけがない、と信じていた、いや希望していた。
両者が混乱したまま、思考停止になっていたのだ。
その中で、前述の確証バイアスで「ヒラリー有利」の情報だけを受け入れていた。
事前調査では「拮抗している」という情報もかなりあったのに、それは無視された。
さらに、この場合は「ある種の想定外」、ということで「現実に悲惨なことになるシナリオに目をつぶる」「臭いものに蓋」「想定外の事象を過小評価する」という現象とも言えるだろう。
ブラックスワンである。

「言論ギャンブラー」の私でさえ怖くなる
しかし、ここで問題なのは、トラウマになるような現象が2度続けて起きたことである。
これで有識者と言われてきた人々はすっかり自信をなくしてしまった。
それで「トランプの逆転はありうる」というあり得ない予想に、「それはありえない」と言えなくなってしまっているのである。
私も「もしトランプが当選したら、もうこのコラムの執筆は辞める!」と言いたいところだが、「言論ギャンブラー」の私でさえ、少し怖い。

なぜトランプ氏が負けると自信を持って言えるのか。
それは、事前調査の結果がそうなっているからである。
それはみんな知っている。
ブレグジットも、前回のアメリカ大統領選挙も、それで結果は違ったではないか。
ではなぜ今度だけ自信を持てるのか。
そういう疑問を多くの方がお持ちだろう。

あなたは、すでに行動経済学でいうところの罠にはまっている。
それまでの2回と今回は、まるで違うのである。

第1に、2回のサプライズはサプライズでもなんでもなかった。
かなり拮抗していて、ブレグジットなどは、完全に五分五分の事前調査だったのに、信じなかっただけだ。
今回は、明らかに差がついている。
第2に、ブレグジットの事前調査は予測精度が高くなかったと思われる。
国民投票はほぼ初めてだったし、事前調査に答えるサンプル有権者たちも自分がどう行動するか、よくわかっていなかったと思われる。
したがって、回答者がよくわかっていないのだから、回答があまり役に立たないのは当然で、結果がサプライズだろうが、調査予測としてはサプライズではない。
予測しようがなかったからだ。

それに対し、アメリカ大統領選挙は長年の伝統と蓄積がある。
データとして積み重ねがあるということは、データとして絶対的に重要だ。
そして、答えるほうも、大統領選挙のベテランが多い。
何度も投票に行っているから、答えは決まっているし、アメリカのほとんどは事前に民主党か共和党か決まっているから、事前調査はかなり正確だ。
気分で投票先が変わることは、ほぼない。

サプライズはなくても、予測できないことが1つある
しかし、これが前回の落とし穴だった。
トランプ氏の支持者は、これまで選挙に行ったことがないような人々も投票した。
さらに、共和党、民主党という枠組みを超えた、アンチエリート、アンチワシントン、アンチヒラリーの票が多すぎて、事前の予想がこれまでの大統領選挙の予測と異なり、構造変化が起きていたことを捉えられなかったのだ。
今回は違う。
トランプ氏の2回目の大統領選挙だ。
しかも、前回のサプライズで懲りているから、調査会社も有権者もかなり慎重になっているし、分析も慎重だ。
「慎重に見積もって、バイデン」なのだから、今度はサプライズはないはずだ。

バイデン当選は確実だが、予測できないことが1つある。
新型コロナの影響だろうって? まさか。
そんな些細なことではない。
それはトランプ氏が敗戦を認めずにどう行動するかだ。

だが、世の中にとってはサプライズだし、それを利用して投資家たちは自分たちの都合がよいように、混乱に解釈をつけ、乱高下で儲けようとするだろう。
怖いのはコロナなどではなく、トランプ氏のわがままぶりと、投資家たちの強欲さだけだ。
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2020年10月26日

「伝わりやすい文章」を書くために必要なたった1つのポイント

「伝わりやすい文章」を書くために必要なたった1つのポイント
2020.10.25 ダイヤモンド社書籍編集局
『死の講義』著者・橋爪大三郎インタビュー
取材・構成/川代紗生

文章は「結論」から書く

──伝わりやすい文章を書くために、おすすめの方法はありますか?

橋爪 
「トピック・センテンス・メソッド」というものがあります。
ひと言で言うと、結論から言うということだ。
考えているときには、結論って、最後に出てくるでしょう? 
ああでもない、こうでもないと考えて、最後に結論にたどり着くのが、頭にとっては自然なんです。

 でも、書くときにこの順番でやったら、全部の「思考のプロセス」を読者にお付き合いさせないといけないわけです。
時間がかかるし、負担が大きいですよね。
もちろん、そういう本もあっていい。
だけど、ビジネスで使う文章や、実用書に載せる文章は、結論から書くべきですね。
著者が責任をもって、「これが結論です」と提示する。

 「結論を提示する」ということは、前提や、途中のプロセスや、条件を理解しているということなんですよ。
結論が出てくるプロセスを体系的に理解して、把握していないと、結論から書くことはできない。
だから、文章の品質を保証するために、結論から書く「トピック・センテンス・メソッド」は、とてもいいやり方だと私は思う。  
「トピック・センテンス・メソッド」については、日本では『理科系の作文技術』(中公新書)という本の中で木下是雄先生が紹介されているので、くわしく知りたい人はそれを読んでみてください。

表現の幅を広げたければ「小説」を読め

──橋爪先生の本を読んでいると、的確でわかりやすい表現が散りばめられているのがわかります。
ボキャブラリーを増やし、表現の幅を広げるためにできる習慣などはありますか?

橋爪
 いろんな小説を読むことでしょうね。
だって、小説家って語彙のプロじゃないですか。
あらんかぎりの能力を駆使して、情景を描写している。
日本語の限界を試しているわけですよね。

 買い物に行くとき、ふつうは自転車か、せいぜいファミリーカーかなんかに乗っていくでしょう。
でも、小説というのは、スーパーに買い物に行くのに、ランボルギーニか何かの、そういう高速スポーツカーで行くみたいな話なんですよ(笑)。
いろいろな能力や備品が満載なんですね。

 日本語というのは、漢語と和語と片仮名でできているんです。
漢語というのは2000年ぐらい前、途中で徐々に入ってきた外国語で、片仮名というのは、つい最近やってきた欧米語ですよね。

そのなかで、言葉との距離感がなく、一番、「わかった感」が生まれるのは、和語なんです。
 それから、スピーチのときにはとくに役に立つと思うんだけど、故事の言い回しをリストアップして、使えるような字引があるといい。
たとえば、「負けるが勝ち」とか、「転ばぬ先の杖」とか、「江戸の敵を長崎で討つ」とか、熟語辞典に出ているようなものや、日常的な言い回しも。
「あ! これ、いいな」と思っても、すぐ忘れちゃう。
だから、そういうのをまとめて、これを活用しましょうみたいな本があるといいですよね。

 たとえば、政治家の演説を聞いていると、官邸官僚が彼らの専門用語で書いているから、和語はほとんど出てこないですよね。
中央省庁の文書は役人同士が理解できればいいので、日常語を切り離して置き換えるという、自己防衛の固まりなんです。  『パワースピーチ入門』(角川新書)という本にも書いたんですが、日常語でもスピーチができるはず。
「本年度予算」とかは、どうしても漢語にしないといけないわけだから、それ以外のところを和語にする。
言い訳をしないで、枝葉を削る。

執筆スピードを上げる習慣術

──ご多忙な中でたくさんの本を同時進行で書かれている、橋爪先生の執筆ルーティンを教えてください。

橋爪
 12時過ぎには寝て、8時ぐらいに起きる。
ちゃんと寝て、食事もちゃんと取る。
きわめて普通ですね。
寝る前には、「こういうことを解決しないといけない」という仕事上の疑問を考えて寝るようにします。
そうすると、寝ているあいだに頭が勝手に考えてくれる。

 たとえば、今書いているものがあったとして、「その次、どう書こう?」みたいなことですね。
考えても、そのことを、すぐ書けるわけじゃないでしょう。
たとえば30ページ〜50ページ書くとすると、5つか、6つのトピックを巡っていくわけじゃないですか。

今、書いているのは、このトピックなんだけど、その次、その次の次……というように、ぼんやり考えながら、今のところを書いている。
実は書いてみるまで、どうなるかわからないんですよ。
 だから、「ここはほぼ書き終わったので、次、これを書こう」みたいなことを確認して寝るわけですね。

──橋爪先生は、1日何時間ぐらい執筆されているんですか?

橋爪
 起きているあいだはなるべく。
修士論文を書くときに、最後の章が、まだ書けてなくて、あと24時間しかないということになったときに、下書きなしで60枚、しかも、ワープロがなかったから手書きで書いたことがあったけど、あれは新記録でしたね(笑)。
 ワープロになってからは、書くのが楽になったし、スピードも速くなりましたね。

──執筆スピードを速くするコツは何でしょう?

橋爪
 ややこしいことを、ややこしく書こうと思わないことですね。
「こんなりっぱなことを書ける、りっぱな著者なんですよ」っていうふうに書かないことです。
そういう意識がちょっとでもあると、難しい語彙や複雑な言い回しで書こうとしてしまう。
そうすると、時間がかかるし、読むのも時間がかかる。
見通しが悪くなるから、何を言っているのかもわからなくなる。
自分でもわからなくなるんだ。

──世の中に出ている本には、そういうものが多かったのでしょうか?

橋爪
 学術的なものは9割方がそうですね。
文章がわかりやすいと批判しやすいんですよ。
何を言っているかわかるから、間違っていたら、すぐに批判できる。

でも、反証可能性があるということは、学問の基礎ですから、文章はわかりやすくなければならない。

 本質はアイデアなんだから、アイデアで勝負すべきであって、アイデアがあるかのように見せかけて、勝負するのはダメなんだ。
 「プレーン・センテンス」(シンプルで素直な日本語)で書くことにすれば、書くことに神経をほとんど使わないから、速く書ける。
あ、文学は凝らないといけないんだけどね。
でも、文学じゃない場合は、プレーン・センテンスで書けばいい。
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2020年10月27日

冬は地獄絵 学者潰しやハンコに血道をあげている場合か

冬は地獄絵 学者潰しやハンコに血道をあげている場合か
2020/10/26 日刊ゲンダイ

 秋の足音とともに、新型コロナウイルスの感染が勢いを増している。
全国各地で新規感染者の過去最多更新が相次ぎ、東京都では累計3万人を突破。
全国の累計感染者は10万人に迫り、死者は1700人を超えた。
新型コロナと季節性インフルエンザが同時に大流行する「ツインデミック」の懸念も高まる中、抜本的なコロナ対策が急務なのは言うまでもない。

菅政権発足から41日目となった26日、臨時国会が召集。
菅首相がようやく所信表明演説に臨んだが、空恐ろしいほど中身がない。
危機感が欠落しているのか、打つ手なしなのか。
あるいは弱者は見殺しなのか。

 所信表明の柱は、新型コロナ対策と経済の両立、デジタル社会の実現、クリーン社会の実現、地方創生――など。
肝心の新型コロナ対策は威勢がいいものの、新たな具体策への言及はなし。
 1日平均20万件の検査体制の整備だとか、来年前半までに全国民分のワクチンを確保して無料接種を実施だとか、口にしたのは安倍政権の置き土産のみ。
それ以外も同様で、“スガ色”と言えそうなのは携帯電話料金の値下げと行政手続きのハンコ廃止くらいのもの。

安倍前首相との大きな違いを挙げるとすれば、キャッチフレーズがなかったことくらいだ。
 自ら火種をまいた日本学術会議の任命拒否問題には触れず、マーケットの安定や「Go To キャンペーン」の反響を自画自賛である。

■日銀とGPIFが東証1割強を爆買い
そもそも、株価を支えているのは公的マネーだ。
アベノミクスの異次元緩和で日銀が市場に大量のマネーを流し込んだ上、ETF(上場投資信託)を爆買い。GPIF(年金積立金管理運用独立行政法人)も国民の虎の子である年金を鉄火場にブチ込んだ。
その結果、保有額(3月末時点)は日銀31兆円、GPIF36兆円。
東証全体の時価総額の12%を占め、1部上場企業の8割で大株主となっているという。

 株高は“禁じ手”を延々と使い続けているからで、実体経済と乖離した官製相場なのだ。
経済が回っているからではない。
恐ろしいほどの能天気とスッカラカンの政権は、「Go To キャンペーン」でやっているふりの目くらまし。
それに浮かれる国民の刹那はこの国の行き先を暗示しているかのようだ。

政治評論家の本澤二郎氏は言う。
「二兎追う者は一兎も得ず。経済活動と新型コロナの感染抑止が両立しないのは、足元の感染状況を見れば明らかでしょう。菅首相がやろうとしていることはシッチャカメッチャカです。
政府は年末年始の帰省などを分散させるとの名目で1月11日までの休暇延長を経済界に要請するようですが、本来の目的は別のところにあるのではないか。
令和の代替わりに伴う最長10連休では、旅行業界が特需に沸いた。
令和特需の再来を狙い、菅首相肝いりのGo To キャンペーン利用を後押しする狙いが透けて見えます。

長期休暇を取って旅行を楽しめるのは時間、懐、体力に余裕がある一部の層だけ。
令和の連休では仕事を失った非正規社員の困窮が大問題になった。
14連休、17連休になれば、彼らの生活はどうなるのか。
経済弱者の存在は頭の片隅にもないのでしょうか」

 冬には経済も感染も阿鼻叫喚の地獄絵になるのではないか。
学者潰しやハンコ廃止に血道を上げている場合なのか。

ANAがトヨタに出向要請する異常事態
 東京商工リサーチによると、新型コロナ関連の倒産は650件(23日現在)を突破。事態は深刻だ。
 そうした中、国内エアライン首位のANAを傘下に持つANAホールディングスが事業構造改革案を27日発表。
ANAは一般社員約1万5000人の年収を平均3割削減する方向で労働組合と交渉中で、副業範囲の拡大も進めているが、新たに報じられた改革案の内容には愕然とする。

 コロナ禍が直撃したANAホールディングスの2021年3月期連結決算の最終利益は、過去最悪となる5000億円前後の赤字を計上する見通しだ。
前期は276億円の黒字。
コロナショックの凄まじさを物語っている。
採用凍結などで22年度までにグループ全体の社員の1割ほどにあたる3500人程度を削減し、維持費が割高な大型機を中心に約30機を売却する計画だという。

こうしたコスト削減策は一般的な手法だが、それに加え、一時的な人員圧縮策としてトヨタ自動車を含む数社に社員の受け入れを要請しているというから驚く。

 経済評論家の斎藤満氏はこう言う。
「異常事態です。経済危機に直面し、企業が子会社や関連会社に従業員を出向させて雇用を維持するケースは珍しくありませんが、他社への出向はまず聞きません。
需要が戻り、運航を回復する展望を描けない中での非常手段でしょう。
政府の新型コロナ対策は非常に場当たり的で、感染を封じ込めないうちに経済活動再開に舵を切った。
それで感染抑止に努めるといっても、つまるところ個人任せです。
アクセルとブレーキを同時に踏み込んでいるようなもので、コロナ禍収束は見通せない。
このままでは設備投資はおろか、雇用の維持もできなくなる企業が続出してしまうでしょう。
負担を覚悟の上でいったん経済を止めて感染を封じ込めなければ、感染拡大を何度も繰り返してかえって経済を冷やすことになりかねません」

■野党追及で国会空転か
 進行するANA危機を筆頭にした経済クラッシュが現実味を帯びている。
それなのに、菅は国会でマトモに議論する気もなし。
この国は恐ろしい方向に進んでいる。

「通常国会が閉会したのは6月下旬。
新型コロナ対応で通年国会を求める声は無視され、通常国会は6月下旬に閉会した。
4カ月も空けてようやく召集した臨時国会の会期はたった41日間。
学術会議問題で瞬く間に化けの皮が剥がれ、菅首相はどうしても国会に出たくないのでしょうが、それにしても卑怯なやり方です。
衆院議員の任期満了まで1年を切り、いつ解散総選挙に突入してもおかしくない。
1強多弱と揶揄されてきた野党も選挙を見据え、腹をくくっています。
野党が予算委員会で学術会議問題や新型コロナ対策を追及し、菅首相が的外れな答弁を繰り返せば審議を止めざるを得ない。国会が空転する事態になれば、国家観もなく、派閥総乗りで担がれた菅首相は一気にガタッといく可能性がありますよ」(本澤二郎氏=前出)

「Go To」も携帯料金引き下げも人気取りに過ぎない。
最後にババを引くのは国民だということを肝に銘じないといけない。
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2020年10月28日

認知症やがんのリスクが高まる「睡眠負債」とよく眠るための8つの習慣

認知症春目春目やがんのリスクが高まる「睡眠負債」とよく眠るための8つの習慣
10/27(火) ハルメクWEB

更年期以降は注意。
認知症やがんのリスクが高まります
睡眠不足や睡眠の質の低下から、知らぬ間に蓄積していく「睡眠負債」。
この負債が認知症やがん、生活習慣病などのリスクを高めると注目されています。
睡眠の悩みが増える更年期以降は、睡眠負債をためないように質のよい睡眠法を身につけましょう。

睡眠負債とは?
寝付きが悪い、夜中に何度も目が覚める、朝起きたとき、すっきりしない……。
そんな心当たりのある人は、「睡眠負債」を抱えているかもしれません。
睡眠負債とは文字通り、眠りの借金がたまっていること。

米スタンフォード大学医学部精神科教授で、同大学睡眠生体リズム研究所所長の西野精治(にしの・せいじ)さんは、「日々の睡眠不足が知らぬ間に蓄積して、脳や体にダメージを与えてしまう。
この負債は睡眠時間の短さだけでなく、睡眠の質の低下によってももたらされます」と話します。

そもそも睡眠は年齢とともに変化するといいます。
「特に女性は更年期以降、睡眠の質が低下しがち。
女性ホルモンが減少するため、体温調節や睡眠そのものにも影響が出やすいのです」(西野さん)

十分寝ているつもりなのに、朝疲れがとれていなかったり、日中に強い眠気を感じたりするなら、睡眠の質が低下しているサイン。
また休日になると、いつもより寝坊してしまうという人も要注意です。
「普段より2時間以上も多く寝ているようなら、睡眠負債がかなりたまっている証拠」と西野さん。

さて、あなたは大丈夫?
 まずは次のチェック表で確認してみましょう。

睡眠負債かどうかのチェックリスト
1つでも当てはまったら睡眠負債かも?

・寝付くのに30分以上かかる
・夜中に5回以上目が覚める
・朝、起きたときに疲れている・
・日中、やる気が出ずに眠気を感じる
・休日は2時間以上起床が遅い

よくイライラする 睡眠の大切な役割と健康効果を知っておこう
睡眠にはいろいろな健康効果があります。
例えば
・日中に活動した脳と体を休ませる、
・記憶を定着させたり、
・逆に嫌な記憶を消去したりする、
・成長ホルモンなどのホルモンバランスを整える、
・免疫力を増強して感染症やがんなどの病気を遠ざける、など。

最近の研究によると、脳の老廃物を除去する働きもあるそう。
「例えばアルツハイマー病では、脳内に大量の老人斑が沈着しています。
この原因となるのがアミロイドβという物質ですが、睡眠中はこれを除去する働きが最も高まることがわかっています」と西野さん。
不要になった物質を排出する、いわば脳のお掃除タイムというわけです。

【睡眠の5大ミッション】

・脳と体に休息を与える
・記憶を整理して定着させる
・ホルモンバランスを調整する
・免疫力を上げて病気を遠ざける
・脳の老廃物を排出する

ベストな睡眠時間と睡眠負債による健康への影響は?
30〜102歳までの110万人を6年間追跡調査した結果、死亡率が最も低かったのは7時間睡眠の人たちでした。
7時間睡眠を基準にすると、それより短くても長くても死亡率は上昇。
最大で1.3〜1.4倍高くなりました。

睡眠が本来持つ働きを妨害するのが、睡眠負債。
この負債がたまると、脳と体にさまざまなダメージが及びます。
なんと死亡率まで上がるというのです。

「米国の大規模研究では、死亡率が最も低かったのは7時間睡眠の人たち。一方、睡眠時間が極端に短い人や長い人では死亡率が1.3〜1.4倍上がるという結果でした。
つまり、睡眠時間は多過ぎても少な過ぎても死亡率が上がることがわかったのです。
他にも肥満や糖尿病、高血圧などの生活習慣病、がん、認知症などのリスクも高まると報告されています」(西野さん)
睡眠負債のツケはかくも大きいのです。

とはいえ、更年期以降の女性は一般に睡眠時間も短くなりがち。
「個人差が大きいので7時間睡眠にこだわる必要はありませんが、自分に合った質のよい睡眠をとることが何より重要」と西野さん。眠りの質を高め、睡眠負債をためない生活を始めましょう! 睡眠負債を解消する睡眠の質を上げる鍵とは? ハルメクWEB 睡

眠負債をためない、あるいは既にある睡眠負債を返済する――。
そのために手に入れたいのが、質のよい眠りです。
西野さんによると、睡眠の質を高める鍵は、「寝始めの90分間」にあるといいます。
「睡眠には、脳も体も眠っている『ノンレム睡眠』と、脳は起きていて体が眠っている『レム睡眠』とがあります。
寝ついてすぐに訪れるのが最も深いノンレム睡眠で、これは90分間ほど続きます。
新陳代謝を促して健康やアンチエイジングに貢献する成長ホルモンが最も多く分泌されるのも、このとき。

最初の90分間をいかに深く、ぐっすり眠るかが、睡眠の質を決定的に左右するのです」 いわば“黄金の90分間”。
これが得られれば朝の目覚めもスッキリで、日中、眠気に悩まされることもありません。
逆に、この90分間の質がよくないと、いくら長く寝ても熟眠感がないのだそうです。

では、黄金の90分間を得るにはどうしたらいいでしょうか。
ポイントは「体温」だと西野さんは説明します。
「体の中の深部体温は、日中は高く、眠るときは低くなります。
逆に言うと深部体温が十分に下がらないと、ぐっすり眠れないのです。
この仕組みを知った上で、深部体温の上がり下がりをうまくコントロールすることが重要です」

また眠りの準備は「朝から始まっている」とも。
「よい眠りは、よい覚醒があってこそ。
朝起きて行うことや昼間の過ごし方の中にも、睡眠の質を高める大事な条件があります」。
そう語る西野さんに、最高の睡眠を得る8つの方法をアドバイスしてもらいました。早速試してみましょう。


覚えておこう!8つの睡眠負債の解消方法
1 入浴は就寝90分前までに
ぐっすり眠るために西野さんがすすめるのが、入浴。
「条件にもよりますが、お風呂に入ると深部体温が0.5℃ほど上がります。
深部体温は上がった分だけ下がろうとしますから、入浴後に急降下が起こります。
れがスムーズな入眠と熟眠につながるのです」(西野さん)。
つまり、深部体温を「上げて下げる」のがコツ。
深部体温が元に戻るまでに約90分かかるので、入浴は就寝90分前に済ませておくのがベストです。

2 アラームは2つの時間設定で
西野式アラーム活用術は、「2つの時間設定」。
1回目のアラームはごく微音で短くセット。
2回目は通常の音にして20分後に設定を。
「朝方は眠りの浅いレム睡眠が多いので、小さな音でも覚醒しやすく、目覚めもよいはず。
もし深いノンレム睡眠中なら、2回目のアラームで目が覚めます」

3 寝るときは靴下を脱いで
足が冷たいからと、靴下をはいて寝ていませんか。実はこれは逆効果。
「手足がぽかぽかしてくると、自然と眠くなるもの。これは手足の末梢血管が拡張して熱を放散し、その結果、深部体温が低下するからです。
靴下をはいたままだと、この熱放散が妨げられるので、深部体温が下がりにくく、寝つきも悪くなるのです」(西野さん)。靴下をはくのは寝る直前まで。寝床に入るときには脱ぎましょう。
どうしても冷たいときは、足湯で血行をよくするのが効果的です。

4 寝床にスマホは持ち込まない!
寝る前のスマホやパソコンにも注意を。
「画面から出るブルーライトを網膜が感知すると、覚醒度が上がることがわかっています。
またスマホを操作することで、脳も興奮します」と西野さん。
スマホは寝床に持ち込まないのが得策です。

5 朝起きたら日光を浴びる
人の体内時計は1日より少し長く、約24.2時間。
「このズレを修正してくれるのが、太陽光。朝起きたら、日光を浴びて覚醒のスイッチを」と西野さん。
なお白内障などがあると光に対する感受性が鈍り、眠りや体内リズムに影響を及ぼす可能性も。

6 日中は20分程度の仮眠を
日中に眠くなったら、仮眠を。
ただし、夕刻の長い仮眠は夜の睡眠に影響するので禁物。
西野さんは午後3時までの「20分程度の仮眠がいい」と話します。
30分未満の昼寝をする人は、昼寝習慣がない人に比べて認知症発症率が6分の1程度だったとの報告もあります。

7 素足で覚醒度を上げる
朝起きたらスリッパは履かず、あえて素足で立ち上がる――。
これは効率的に覚醒度を上げるテクニックなのだとか。
「脳の奥にある脳幹部には上行性網様体という部位があり、ここを刺激すると覚醒することがわかっています。
ひんやりとした床に足がじかに触れると皮膚感覚が刺激され、上行性網様体も活性化。覚醒スイッチが入るわけです」(西野さん)。
冷たい水で手や顔を洗うことも、皮膚の温度を下げて脳を目覚めさせてくれます。

8 「眠れない」という思い込みを捨てる
「寝つきの悪さや中途覚醒を過大評価して『眠れない』と訴える人がいますが、検査をしてみると実はよく寝ていたという例も多いのです」と西野さん。
寝つくのに20分ほどかかる、夜中に3、4回目が覚めるというのは正常範囲。心配無用です!

いびき、眠気……睡眠負債につながる病気にご用心!
ぐっすり眠れない、朝の目覚めが悪い、日中、強い眠気に襲われる……。
こんな悩みの背景には、病気が隠れていることもあります。
「代表的なのが、睡眠時無呼吸症候群。
肥満体形の中年男性に多いイメージがありますが、女性や、痩せている人も無縁ではありません。
高齢の方の場合は、心不全などの病気に合併して発症することもあります」と西野さん。
女性は閉経後に発症率が増えるという報告も。
いびきがひどい、途中で呼吸がとまっていると家族に指摘されたら早めに専門の医療機関で検査を受けましょう。

■教えてくれた人
西野精治さん にしの・せいじ
 米スタンフォード大学医学部精神科教授。
同大学睡眠生体リズム研究所(SCNラボ)所長。
医師、医学博士
著書『スタンフォード式 最高の睡眠』(サンマーク出版刊)が30万部を超え、コミック版も発売。
女性、子供、高齢者の睡眠問題も解説した「スタンフォード大学教授が教える熟睡の習慣」(PHP新書刊)。
最新刊に『睡眠障害 現代の国民病を科学の力で克服する』 (角川新書刊) 。

取材・文=佐田節子 
※この記事は、「ハルメク」2017年10月号掲載の記事を再編集しています。 
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2020年10月29日

「人望がある」は幻想!“いい人”をやめるべき理由

「人望がある」は幻想!“いい人”をやめるべき理由
2020.10.28 ダイヤモンドオンライン
弘兼憲史:漫画家

「人生100年時代」という言葉が根付き、生涯現役が謳われている昨今。『島耕作』シリーズや『黄昏流星群』など数々のヒット作を生み出した漫画家・弘兼憲史氏も、70代の現在が人生で一番楽しいと感じているといいます。
とはいえ、実際は体力的にも精神的にも制約が出てくる人生後半戦を、どうすれば楽しく過ごせるようになるのでしょうか。弘兼氏の最新エッセイ『弘兼流 やめる!生き方』(青春出版社)から、人生後半戦を楽しく過ごすための生き方を紹介します。

「いい人」と「魅力がある人」の違いとは  
前回は、自分の親や妻に対して「いい人」でい続ける必要はないというお話をしました。
では、会社の人間関係ではどうでしょうか。
「課長 島耕作」に登場した中沢部長は、「理想の上司像」なんていうランキングでトップになったこともありました。
部下が失敗した時には責任をとる、自分の部下は守る、何があっても動じない器の大きさを持っている、常に前向きな姿勢、それでいてクールな判断を下す経営能力まで兼ね備えているのですから、完璧な上司と言えるかもしれませんね。
だからこそ、社長まで上り詰めるわけです。

 しかし、僕は彼を完璧な上司であり有能なビジネスマンとして描いていても、完璧な人間としては描いていません。
あえて読者が想像する糊代を残し、家庭のことは描かなかったのですが、ホステスとの間に生まれた息子が登場し、最期も愛人宅が舞台です。
漫画の世界ですから、幸せな家庭と仕事を両立させるような完璧人間を描くことだってできるのですが、それでは人間的な魅力に欠けるんですね。

「いい人」と「魅力がある人」は必ずしも一致しないのは、みなさんも感じていることだと思います。
漫画を描いていても、「悪い人」や「不良」のほうが、魅力的に描きやすい。
一時期流行った「ちょい悪オヤジ」なんていうのも、誰しもが不良に魅かれる部分をくすぐる存在でしょう。

「いい人」とは他人から見た基準だった
 いつだったか、「人望というものは錯覚に過ぎない」という文章を書いたことがあります。
「いい人」が誰からも好かれるというのは思い込みだから、「いい人」を演じるのはつまらないことだと言いたかったのです。
 いつでも相談に乗ってくれる、誘ったら断らない、頼み事を聞いてくれるといった「いい人」は、便利だから人が集まります。
 でも、誘いを断ったり頼み事を断ったりして、便利な存在でいることをやめると、「いい人」ではなくなってしまうわけです。
 そうなってみて、自分の周りに人が集まっていたのは、人望があったからではなくて都合のよい存在だったからだと気づく。
「いい人」というのは、まわりの人間の願望を満たす存在なのですよね。

 性格がいい人、人の気持ちがわかる人、誠実な人、優しい人。ひと言で「いい人」と言っても、それこそいろいろなタイプがあるわけですけど、「いい人」が必ず好かれるとは限りません。
「あの人は、いい人なんだけどねぇ……」という言い方をする時は、相手にとっての願望が満たされていないわけです。
「こうあってほしい」「こういう人でいてほしい」という願望がなければ、その人が「いい人」であろうとなかろうと、どうでもいいはずなのですから。
 つまり、「いい人」かどうかというのは、自分ではなく、他人からの基準ということになります。

人生後半戦は、自分にとっての「いい人」を目指す
 みなさんの職場にも、部下から「人望が厚い、いい上司」として慕われている人がいるのではないでしょうか。
でも、そういうタイプの人は「いい人」を演じているだけなのかもしれません。
もちろん、サラリーマンであれば、多かれ少なかれ本来の自分とは違う人間を演じるところがあるかと思います。

部下の気持ちをつかむために演出があってもいい。
人から嫌われないということは、仕事をうまく運ぶためにも、敵を増やさず安全に生きるためにも大事なことです。

 でも、60歳からの人生では「いい人」を演じるのはやめたほうがいい。
エネルギッシュに突き進んでいる時期は免疫力も高く苦水を飲んでも排出できるのですが、新陳代謝が落ちてくるとダメージが大きくなって、なかなか回復できません。
 だいぶ前から、メンタルケアを扱う本では、人から好かれようとするのをやめてラクになろうとか、完璧主義をやめてストレスを減らそうといった「いい人をやめよう」という流れが出てきています。

「いい人」を演じることがストレスの原因になるからよくないと言っているわけです。
「いい人」を演じ続けると、自己否定につながって自分のことが嫌いになってしまうこともあります。
これはうつ病の原因にもなります。
 どんなに他人から好かれていたとしても、自分のことが嫌いだったら幸せな人生は送れません。
だからこそ、人生後半戦では、誰かの願望を満たすための「いい人」であろうとするのはやめて、自分の幸せのために生きたいですね。
 これまでさんざん誰かにとっての「いい人」を演じ続けてきたのなら、これからは自分にとっての「いい人」を目指しましょう。
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2020年10月30日

できないことは、やらないほうが成功できる?

できないことは、やらないほうが成功できる?
2020.10.28 All About

成功しているように見える人、活躍しているように見える人、キラキラ充実しているように見える人がいます。
どこにその秘密があるのでしょうか。

自分の得意や強みを磨く
自分の持ち味そのままで生きられる環境に身を置くには、やはり向き不向きがあります。
たとえば、イチローが野球ではなくサッカーに打ち込んでいたら、今ほどの偉業を成し遂げられるかというとそれはわかりません。

私の知人に、内気で人見知りな男性がいるのですが、彼は当時勤めていた住宅メーカーでトップセールスになりました。
営業部に配属されたばかりの頃、彼はその内気な性格が災いし、全く売れませんでした。
2年目に入り、さらに4カ月経っても1棟も売れず、そうなると普通は辞職や転職を考えるのが、その業界の通例といいます。

そのとき彼は、こう考えたそうです。
自分からアプローチするのは苦手だし、やりたくない。
ならば、客の方から会いに来てもらえるようにできないか――と。
それで思いついたのが、今ではポピュラーなマーケティング手法となっているセールスレターです。
彼は対面でのコミュニケーションは苦手でも、文章を書くのは得意だったからです。
彼はそのレターに、満足できる家の選び方や顧客の声など、これから家を買おうとする人に役立つ情報、自社や自分の住まいに対する思い、自身の近況などを書いて、展示場の来場者や資料請求した人に送り続けました。

そしてしばらくすると、客の方から「具体的に相談したい」と連絡してくるようになり、やがてトップ営業マンとなった彼は、脱サラして現在は営業コンサルタントの仕事をしています。

短所より長所に目を向ける
エネルギッシュで社交的な人がうらやましい、そうでない自分は情けないなどと落ち込むのではなく、自分が内向的なら、内向的でも活躍できる仕事や職場を選ぶ。
コミュニケーション能力が低いなら、それを底上げする努力をするよりも、コミュニケーション能力が低くてもできる仕事に就く。
そうやって、自分が得意で誰かの役に立つ分野に注力し、そこに打ち込み成功体験を積むことです。

欠点を直すには、多大なエネルギーを要する上に、たいして楽しくないでしょう。
そこで、「それはどうしても直さないといけない欠点なのか?」「ここの場所で努力するメリットはあるのか?」「この我慢を続ければ、本当に明るい未来が待っているのか?」と、振り返ってみることです。

他人と比較しない
成功しているように見える人、活躍しているように見える人、キラキラ充実しているように見える人がいます。
心の中を見ることはできませんから、本当のところはどうなのかわかりません。
しかし、明らかに自分よりも恵まれていそうな人や幸せそうにしている人を見て、嫉妬したり落ち込んだりしたことはないでしょうか。

特にネット情報で、成功したという結果だけを瞬時に見ることができるし、SNSはそういう自慢の場として大勢の人がアピールしていますから、他人と比較して自分はしょぼいなどと暗い気分になってしまう人も少なくないようです。
ただし、SNSは自己愛を満たすには手軽なツールですから、そこでリア充アピールをしている人は、承認欲求が満たされていない人がほとんどです。
なのでそれらを見て落ち込む必要はまったくないと知ることです。

成功している人は、自分自身をよく知っている
とはいえ、実際に成功して活躍している人はやはりいます。
彼らが輝いて見えるのは、自分の長所を認識し、そこで勝負しているからです。
自分の特技や強みがわかれば、それをどう表現すればよいかを模索しようとします。

サッカー選手にお笑いの才能がなくても、誰も気にしないでしょう。
やはり得意な分野で勝負をすることが、自分を輝かせる唯一の方法です。

しかし多くの人は、自分にはお金がない、才能がない、チャンスがない、頭が悪い、人付き合いが下手、などマイナスの部分をより強調して認識しやすい傾向があります。
あるいは、それをコンプレックスとして引きずってしまう。

なぜか自分の欠点はよく見えるのに、長所や強み、伸ばすべき能力はなかなか見えないものです。
たとえば、芸能界の仕事と一言でいっても、歌、芝居、ドラマ、映画、漫才、リポート、お天気解説、料理、ミュージカル、バラエティなど、いろいろな分野があるわけで、すべての領域で秀でる必要はありません。
それらの中のどれか1つで輝けばよいのです。

実際、お笑い芸人としては芽が出なくても、料理の分野で売れている人がいますし、歌は下手でも演技力で活躍している人はいるでしょう。
だから自分には向かないと思ったら、すぐに方向転換することです。
それは3日坊主でもよいということではなく、自分との適正を冷静に峻別するという意味です。

それにはやはり、自分はどういう人間で、どういう性格や傾向を持ち、何が得意で何が苦手か、何をしているときに幸福を覚え、何をしているときが苦しいかを見極めておく必要があります。

出典:『「できないことはやらない」で上手くいく 嫉妬、コンプレックスを「捨てる」技術』(WAVE出版)
文:午堂 登紀雄(マネーガイド)
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2020年10月31日

「格安スマホ」は本当にお得?乗り換え前に確認したい「9つのデメリット」

「格安スマホ」は本当にお得?
乗り換え前に確認したい「9つのデメリット」
10/29(木) LIMO [リーモ]
石倉 博子(ファイナンシャルプランナー)

通信費の節約には、格安スマートフォン(スマホ)が大きく貢献します。
通信費が年間数万円安くなるかもしれないと聞いたら、すぐにでも格安スマホにしたくなりますよね。
でも、ちょっと待ってください。
メリットだけではなく、デメリットもあることを理解しておかないと後悔することになります。
格安スマホへの乗り換えを考えている人、必読です。

格安スマホ2つのメリット  
1.料金が安い
「格安スマホ」と名前が付くわけですから、一番のメリットは料金が安いことです。
ドコモ、au、ソフトバンクの三大キャリアが持つ通信回線を借りてサービスを提供しているため、初期費用や維持費がかからないことが料金を抑えられる理由です。
さらに、実店舗を持たない会社や、店舗がある会社でも大手キャリアに比べて少ないため、人件費や設備費が抑えられることも、料金の安さに結びついています。

格安スマホの会社やプランによって様々ですが、大手キャリアの月額料金と比べると3,000円〜5,000円程度安くなる場合が多いようです。  

2.料金体系がシンプル
基本はデータ通信料+通話料となっており、その他に、かけ放題プランなどのオプションを付けることができます。
普段の使い方と合ったプランを選択すれば無駄がありません。
大手キャリアの場合、プランが複雑だったり、オプションが多かったりするため、無駄な料金を払ってしまうケースがあります。

意外に多い?!格安スマホ「9つのデメリット」
「安い」というわかりやすいメリットに対し、デメリットは少し細かく見ていきます。
安易に乗り換えて後悔しないためにも、しっかりと頭に入れておきましょう。  

1.通信速度が安定しない
先述したように、大手キャリアの通信回線を借りているため、混雑する時間帯によっては、通信速度が遅くなることがあります。
これが一番のデメリットと感じている人は多いと思います。
しかし、中には大手キャリアとほとんど変わらない通信速度を実現できている格安スマホもあります。
そこで、選ぶ際に、通信速度を最優先にして選ぶとよいかもしれません。  

2.サポート体制が弱い
店舗がない、あっても数が少ないため、何かトラブルがあった時に、大手キャリアのように近くの店舗に行って相談することができないことはデメリットといえるでしょう。
ただ、最近は家電量販店や大型店の一角に店舗を設けている格安スマホ会社も増えてきています。
サポートが不安な人は店舗がある会社を選んだ方がよいでしょう。  

3.初期設定を自分でしなければならない
購入時、大手キャリアの場合、すぐに使える状態で渡されますが、格安スマホの場合は、初期設定を自分で行わなければなりません。
説明書を読めば、問題なく設定できるものですが、デジタル機器に不慣れな人や設定が苦手な人は、相談できる店舗がある会社を選ぶとよいでしょう。  

4.故障した時の対応が面倒
格安スマホは、通信プランである「格安SIM」とスマホ本体を表す「端末」を合わせた総称です。
大手キャリアの場合、元々がセットで売っているため、故障の対応はすべてやってくれますが、格安スマホの場合、SIMと端末のサポートは別々になります。
そのため、本体が壊れた場合は、メーカーに直接修理を依頼しなければなりません。  

5.通話料が高くなる
キャリアの場合、家族間や同キャリア間では通話無料などのサービスがありますが、格安スマホには、基本、このようなサービスはありません。
よく通話をする人は格安スマホにしたことで、却って料金が高くなってしまうこともあります。

ただ、格安スマホにも、「かけ放題プラン」をオプションで付けられる場合があるので、通話が多い人は利用しましょう。
また、LINEやFaceTimeなどの無料で通話できるアプリもあるので、代用できればそれほどデメリットとはならないでしょう。  

6.キャリアメールが使えない
「@docomo.ne.jp」「@ezweb.ne.jp」「@softbank.ne.jp」といったキャリアメールが使えません。
そのため、メールを使う場合は、GmailやYahoo! メールなどのフリーメールで代用することになります。
ただ、MMD研究所の調査(※)によれば、日々のメールやメッセージのやりとりを、キャリアメールで行う人よりも、LINEやショートメールを使う人の方が多くなっている現状では、それほどデメリットにはならないかもしれません。  

7.キャリア決済が使えない
キャリア決済とは、ネットショッピングなどで購入した代金を月々の携帯料金と一緒に支払うことができるサービスです。
最初にIDとパスワードを入れてログインをしておけば、あとは暗証番号を入れるだけで決済ができます。
クレジットカードを持っていない人や、カード番号の入力に抵抗がある人には有用です。

ただし、限度額が低く設定されていたり、使える店舗が限られているなどのデメリットもあるので、クレジットカードで十分という人には使えなくても問題はないでしょう。  

8.テザリングができない場合がある
テザリングとは、ネット環境がない外出先などでパソコンを使う場合に、スマホを使ってインターネット接続をすることです。
格安スマホでも、基本、テザリングは可能ですが、一部のスマホや格安SIMでは、テザリングに対応していない場合があるようです。
購入前に各社のWebサイトやサポートセンターを利用して、確認をしておきましょう。  

9.格安SIMと端末の相性を判断するのが難しい
格安スマホは格安SIMと端末で成り立ちますが、格安SIMによって、使える端末と使えない端末があり、それを初心者が判断するのはなかなか難しいといえます。
そのため、今使っている端末をそのまま使いたい場合でなければ、格安SIMと端末のセットで購入するのがよいでしょう。

格安スマホ「向いている人」「向いていない人」
ここまで、格安スマホのメリット、デメリットを見てきましたが、デメリットが多くなってしまったため、格安スマホの乗り換えに不安になってしまった人もいるでしょう。
しかし、これらのデメリットの多くは代用ができたり、ちょっとした手間を挟めば解決できるものなので、あとはそうした行為ができるかできないかといった適性の問題になってきます。

そこで、格安スマホが向いている人と向いてない人をまとめてみました。  

<格安スマホが向いている人>  
・とにかく通信費を安くしたい人  
・電話をあまり使わない人  
・サポートがいらない人  
・自宅にインターネット環境がある人  

<格安スマホが向いていない人>  
・今使っているスマホを使い続けたい人  
・電話をよく使う人  
・デジタル機器の扱いに慣れていない人  
・キャリアメールやキャリア決済を続けたい人  
・通信速度の安定を求める人

格安スマホにして、いろいろ問題が出てくるのではないかと不安になっている人には、その問題がはっきりして、解決策がわかれば不安はなくなります。
一方で、問題の解決方法がイメージできない人は無理して格安スマホに乗り換える必要はないのかもしれません。
まずは自分に合っているかどうかを判断してみてくださいね。
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