詐欺に騙されないためには…「彼らと一流営業マンは紙一重」元知能犯担当刑事に聞く
11/24(火) 日刊ゲンダイ
不況になると詐欺がはびこると言われる。
このような詐欺や儲け話にひっかからない術はあるのか。
知能犯罪と闘ってきた森透匡氏はこう指摘する。
「持続化給付金の不正受給などのようにわかりやすい詐欺はありますが、詐欺をやる連中はその都度ネタを変えます。
なにを専門ってことはありません。
今でも仮想通貨などの詐欺話は続いていますしね」
典型的なものが一獲千金を狙う投資話だ。
「投資話は深入りしないことが一番です。
それでもという人には、あえていくつかアドバイスをしましょう。
まず誰が投資話を持ってきたかが大事。
詐欺師グループは詐欺被害者のリストを持っています。
信じられないでしょうが、騙される人はホントに何度も騙されるんですよ。
信用できない人からの話には絶対に乗らないことが大前提です」
ただ、信用している旧知の人でも、その人が話を理解していない場合や騙されている場合があるので要注意だそうだ。
そんな場合にどうしたら詐欺話を確認できるのか。
「話の根拠を把握することです。
あなたは実際にそれをやっているんですか?
どういう利益が出た実績があるんですか?
と質問をして相手の話を自分自身で確認すること。
私も投資はしていますが、投資って結局は自己責任になりますよ」
インターネットで調べることは意味があるのか。
「ネットにはいろいろな情報が書いてあります。
ある投資話が危ないと否定をしていても、その記事があなたをひっぱりこむ目的のために書かれているってことがよくあるんです。
ネットだけで正しい情報かどうかを判断するのは難しいです」
確かに各種不正取得やダイソン詐欺のように、生身の人間を介さないネット完結型の詐欺も目立つ。
「ともかく最終的な判断をする前に誰かに相談をすることです。
詐欺師は口がうまくて、よくしゃべる。
どんな質問をしてもなんとなくすべて答えてきます。
しかも人間に慣れていて、コミュニケーション能力がとても高い。
詐欺師と一流営業マンは紙一重と言われるゆえんです。
そして第三者に相談できないような状況や心理状況に持ちこみます。
振り込め詐欺はまさにそうですよね。
そして誰にも相談できないまま気づけばおカネを渡しています。
とにかくいったん立ち止まって気づくということが大事です」
欲が出ると自分で秘密を抱えてしまうもの。
公的機関など、どこかに相談することが大事なのだ。
▽森透匡(もり・ゆきまさ)
一般社団法人日本刑事技術協会代表理事。
某警察の元警部。詐欺・横領・贈収賄事件を扱う知能犯、贈収賄事件を20年の間担当。
東日本大震災を契機に独立。
毎年180カ所の講演をこなしている知能犯罪対策のプロ。
近著に「ウソや隠し事を暴く全技術」(日本実業出版社)。
******************************
◆有名大学生も持続化給付金の不正受給
緊急性があることからネット上の手続きだけで最大100万円が支給される持続化給付金に不正受給が相次いで発覚している。
不正受給を繰り返し1億円以上受給した神戸市の会社役員には10月26日に懲役3年の求刑。
10月21日には関西有名校、同志社大学の学生ら2人が組織的に持続化給付金を不正受給したとして逮捕。
学生らはサークルを使って仲間を勧誘していたともされる。
「朝日新聞」電子版(10月21日配信)によれば、愛知県警が相談を受けた申請者の半数以上が10代から20代だったという。
◆Go To トラベルの電子クーポン不正取得
「Go To トラベル」の電子クーポン券はチェックインする日の午後3時に発券される。
千葉県のホテルでは大人8人、5連泊、総額62万9200円分の予約があった。
午後3時に宿泊費の15%にあたる電子クーポン9万4380円分が発行されたものの予約者はついに現れなかった。
制度の隙間をついたネット詐欺とみられる。
◆ダイソンの偽サイト詐欺
高級掃除機ダイソンの偽サイトが発覚。
格安だと思わせて買わせ、さらにニセ商品を間違えたと送りつけて油断させる。
その間に入金は完了させてしまうという手法のネット詐欺。
◆オーナー投資詐欺?
高級車専門カーシェア会社破綻
ローンを組んでポルシェやメルセデスなど高級車のオーナーとなり会社に預け、ローン支払い分と同額のレンタカー収益を得るというオーナー系投資話。
しかし運営会社(埼玉県)の破綻により600人以上が数百万円から数千万円のローンを抱えた。
運営会社は新車ではなくコストの低い中古車を購入していた手口も明らかになっている。