2020年12月01日

「日本人のリモートワーク」最大の問題はここだ 「あうんの呼吸」「一方的な伝達」それで大丈夫?

「日本人のリモートワーク」最大の問題はここだ 「あうんの呼吸」「一方的な伝達」それで大丈夫?
11/30(月) 東洋経済オンライン
岡本純子 コミュニケーション戦略研究家

■コロナ禍で生まれた「社内コミュニケーション問題」
 新型コロナウイルスの感染再拡大に伴い、リモートワークの機運がさらに高まりそうです。
通勤がなくなり、楽だという声がある一方で、環境面や生産性の理由から、二の足を踏む企業や人も少なくありません。  

11月4日に東京商工会議所が発表した調査によると、リモートワークを実施している企業は53.1%と6月上旬に比べ、14.2ポイント減少しました。
「企業規模が大きいほど導入率は高く、中小ほど低い」という結果でした。
 「働き方改革(時間外業務の削減)が進んだ」「業務プロセスの見直しができた」「コスト削減につながった」などとその効果を評価する声も多かった一方、「社内のコミュニケーション」(57.9%)に大きな課題意識を抱えていることが浮かび上がったのです。

 リモートワークをしている多くの人が実感しているように、「リモートワーク最大のネック」ともいえるのが、この「社内コミュニケーション」です。
「同僚や上司と話す機会が減った」「気軽に雑談できる場がなくなった」など、今さまざまな問題が生じています。
 コロナ禍によって変質する「社内コミュニケーション」は、今後、どのようにしていけばいいのでしょうか。

 今回は、その「社内コミュニケーション」について、問題点と解決のヒントを掘り下げてみます。
 リモートの生産性は出勤に比べどれぐらい劣るのか勝るのか、興味深いところですが、スタンフォード大学のニコラス・ブルーム教授はある中国の旅行会社を対象に調査を行い、「リモートでは生産性が13%上がった」と結論づけました。

■ポストコロナのリモート比率は20%、週に2日
 教授の調査によれば、2020年5月現在で、年収2万ドル以上のアメリカ人の42%がフルタイムでリモートワークをしており、「70%の企業がリモートに肯定的」という結果でした。
 アメリカではかつて「リモートワークは機能しない」という認識が強く、ヤフーやIBMといった大企業が導入し、撤回するといった経緯がありました。
しかし、「ツールの発達」「Wi-Fi環境の改善」などにより、そうした負のイメージは払拭され、今後も定着していくとみられています。

 一方で、社員の間ではそのとらえ方に差があります。
 「ポストコロナでもリモート勤務をしたいか」という問いに、20%が「したくない」、25%が「毎日したい」、残りの55%が「使い分けたい」と反応は分かれました。
 ブルーム教授は、社員のリモート比率はコロナ前が全社員の5%、コロナ時代は40%、ポストコロナは20%ぐらいになり、「週のうち2日程度がリモートで」という形で収まるのではないかと予測しています。

 「リモートのデメリット」としてよく指摘されるのは「社員が同じ物理的空間にいることで生まれる「偶然の出会い」(セレンディピティ)が喪失してしまうこと」です。
 「Water Cooler(水飲み場)での出会いやおしゃべりが、創発やイノベーションの機会を作り出す」という発想から、多くのアメリカ企業がそうした出会いを促進するよう工夫をしてきました。

 ブルーム教授によれば、実際に会社で日々顔を合わせる人たちの間では関係性が深まっても、そういった一足飛びの絆が作りにくいことから、「リモートの人たちは出世が遅れがちになる」という調査結果もあるそうです。
また、「社員の孤独感」も懸念材料の1つとなっています。
 今後、リモートは常態化していくわけですが、とくに日本企業の場合、戦略的というよりは、「見切り発車で場当たり的な『リモート推奨』による負の影響」が懸念されます。

 懸念される理由は企業によっても異なりますが、おもな理由として次のようなことが挙げられます。

@ そもそも、社内コミュニケーションが戦略的に行われてこなかった
A きっちりとした人事評価システムが確立されておらず、リモートでの成果を測りにくい
B 対面重視で、意思伝達を「飲みニケーション」などに依存してきた
C Wi-Fiの脆弱性、家庭内で働くスペースを確保するのが難しいなどの環境的な障害がある
D 海外とのやり取りにおける言葉の壁がある

■日本企業の多くが「コミュ障」という現実
 これまで1000人以上のエグゼクティブのコミュニケーション指南に携わってきてよく実感するのは、いまだに「言えば伝わる」「言わなくて伝わる」と思っている人が本当に多いことです。
 そうした文化もあって、「社内コミュニケーションは自然発生的にあるもの」と認識されており、基本は「上から下、下から上への一方的な伝達・報告」で終わっているのがほとんど。
 「上下左右の対話の機会」「偶然の出会いからの会話」はリモートになってさらに減ってきています。

 日本社会はタテ社会、以心伝心文化の中で、フラットに自由にコミュニケーションをする慣習がなく、誰にでも伝わるように言語化する技術も継承されない中で、「対面での『あうんの呼吸』に依存」してきたわけです。
 日本の労働者のエンゲージメント(やる気、会社への忠誠度、愛着、コミットメント)はじつは世界最低レベル。
 生産性も先進国一低く、現行の職場コミュニケーションのお作法は「機能不全」、まったく使い物になっていません。
 私はそういった日本企業の「コミュ障」気質にリモートでのコミュニケーション不足が相まって、今後、日本企業の業績に「大きな影」を落とすのではないかと心配しています。

 一朝一夕に解決できる問題ではありませんが、次の「3つの方策」を提案したいと思います。

方策@ 物理的には「密」を避け、心理的には超「密」に
 「リモートによって、朝から晩までウェブ会議」というように忙しい人もいれば、ネットワークの網目からこぼれ落ちる人もいます。
 社員間の「つながり格差」が顕在化していたり、部署内では頻繁にコミュニケーションをとっていても、海に浮かぶ「離れ小島」のように、それぞれが孤立していてつながりにくい、といった状態も目につきます。
 社員が物理的にバラバラな状態だからこそ、心理的には超「密」なコミュニケーションが必須です。

 例えば、大手損保会社AIG損保では、日ごろからトップが率先して社内コミュニケーションを進めていますが、全社員を巻き込んだオンライン社員総会を企画するなど、つなぐ努力を続けています。

方策A 「タテ」ではなく「水平的」な情報伝播を
 イントラネットや社内報など、企業から社員への一方的な発信だけでは情報は伝播しないし、受け止めてはもらえません。  上から下への上意下達・一方通行の情報伝達だけではなく、「社員間の水平的なコミュニケーション」を活発化させる工夫も必要です。

 例えば、住宅設備メーカー最大手のリクシルでは、コロナ以前に導入した「社内版SNS」が社員コミュニケーションの活性化の起爆剤となっています。
瀬戸欣哉社長も積極的に参加し、社員のアイデアが即日採用になるなど、スピーディーな決断にもつながっています。

方策B コンテンツを「立体的に」パワーアップさせる  
 メールでの伝達、ウェブ会議、イントラネットへの掲載など、情報伝達の手段が「パターン化」していないでしょうか。
 情報が氾濫するこの時代だからこそ、もっと受け手が喜んで、自ら積極的に取り入れ、さらに「ほかの人に話したい!」と思える「コンテンツ」として、パワーアップさせていく必要があるでしょう。

 例えば、星野リゾートは社員をキャスターに仕立て、記者会見をニュース番組風に作って発信しています。
気軽にわかりやすく3次元の映像情報になっているため、「社員が見ても、すぐに理解できる」という利点があります。

楽天も動画で社内のニュースを毎日、発信し、好評を博しています。
 コンテンツをもっと魅力あるものにし、ウェブ会議だけではなく「あらゆるチャンネルを活用してコミュニケーションを進める努力」が不可欠です。

■いまこそ、「人と人とのつながり」が重要
 コロナ禍によって、リモートワークは今後も増えていくでしょう。
物理的距離のある時代だからこそ、人と人との心の距離を縮め、つながりをつくる「コミュニケーション」の重要性が、ますます高まっています。
 拙著『世界最高の話し方』でも紹介しましたが、リモート時代にこそ効果的な「コミュニケーションのコツ」は数多くあります。
ちょっとした「話し方の工夫」で、「たんなる伝える」が「つながる」に変わります。
 これからの世の中をたくましく生き抜くために、「リモート時代のコミュニケーション術」という「最強のサバイバルスキル」を手に入れ、自信につなげていってください。
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2020年12月02日

本当の専門家って何?

香山リカのココロの万華鏡
本当の専門家って何?
2020年12月1日 毎日新聞東京版

 医者になって30年以上たつ私だが、先日、診察室でショックなできごとがあった。
患者さんに「私、この病気じゃないかと思うんですけど」と伝えられた病名を知らなかったのだ。
「ごめんなさい。その病気、はじめて聞きました」と正直に伝えると、その人はスマホを取り出してその病気について解説したページを見せてくれた。

 症例数は少ないが、最近、報告が相次いでいるようだ。
私は診察中であることも忘れ「治療法も書かれてるんですか?」と患者さんに質問してしまった。
 休憩時間に若手の医者に「ベテランなのに知らないことがあるなんて情けない」と弱音を吐いた。
するとその若手は「患者さんの方が検査や治療に詳しいってこと、私もときどき経験しますよ」となぐさめてくれた。

 「とくに若い人は、情報を集める力がすごいですよね。
診察室に来るときには“診断”がついて“治療方針”まで決まってる人さえめずらしくないです。
家庭でできる検査も増えましたしね」

 ひと昔前なら、一般の人たちは医学書を見る機会などなく、例えば胸焼けがしても「何の病気でしょう」と不安いっぱいで病院にやって来た。
 そこで医者は「ご安心ください。これから専門的な検査をします」と採血をしたり胃カメラを行ったりして「診断は逆流性食道炎です。
でもこれは悪いものではないので心配はいりません」と詳しい説明をして薬の処方箋をわたす。
症状が改善すれば、その医者は「あの先生は名医だ。診断もすぐついたし治療もバッチリだ」とほめられるかもしれない。  

でも、いまは違う。
その気になれば医学書でも学術論文でも、ネットから簡単にアクセスすることができる。
「専門家にしかわからないこと」などほとんどない。
油断をすると私のように医者の方が知識がない、ということにもなりかねない。

 ちょっとした知識や技術だけでは「専門家」と名乗れない時代がやって来た。
医者のような専門家はどうあるべきか。
若手に相談すると「先生は気さくな雰囲気で患者さんをホッとさせるワザがあるから、だいじょうぶですよ」と言われた。  

うーん、医者として自慢できるのは雰囲気だけか、と残念な気持ちになったが、いまこそ「本当の専門家って何?」と考えるチャンスなのかもしれない。
いろいろな専門家に「情報があふれるこの時代、あなたが一般の人より秀でているのはどんなところ?」と聞いてみたい気がする。(精神科医)
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2020年12月03日

児童虐待の増加 孤立防ぐ手だて続けよ

児童虐待の増加 孤立防ぐ手だて続けよ
2020年12月1日 東京新聞「社説」

 児童虐待の件数が増え続けている。
子どもたちをどう守るかは子育て中の家庭だけでなく、社会全体に問われている。
地域のあらゆる資源を投入して親子を孤立させない取り組みが欠かせない。

 十九万三千七百八十件。
全国の児童相談所が二〇一九年度に児童虐待として対応した件数だ。
 前年度比21・2%の増、一九九〇年度の統計開始以来二十九年連続で最多を更新した。
 警察の通告による対応が年々増え、全体の半数を占める。
十年前の約十五倍に増えた。
虐待への社会の関心が高まったことが背景にあるのだろう。

 虐待の種類にも変化が見られる。
十年ほど前は身体的な虐待、ネグレクト(育児放棄)が多かったが、最近は心理的虐待が半数を超えている。
 子どもの前で家族に暴力を振るい恐怖心を与える「面前ドメスティックバイオレンス(DV)」が目立ちだした。
 父親が加害者になる割合も上昇している。

一昨年に東京都目黒区で船戸結愛(ゆあ)ちゃん=当時(5つ)、昨年は千葉県野田市で栗原心愛(みあ)さん=当時(10)=の死亡事件でも父親から母親への暴力があったことが公判で明らかになっている。
 支援は母親だけでなく父親が抱える問題へのケアも課題だろう。

 コロナ禍で自宅で過ごす時間が増え、親が抱えたストレスのはけ口が立場の弱い子どもに向かいやすい環境だ。
しかも、外出機会が減ったことで地域からは見えにくくなっている。
実際、今年一月以降の対応件数は増加傾向だ。
 養育に困難を抱える家庭が地域から孤立しSOSを発せられない状況が虐待の背景にある場合が多い。
地域の見守りを広げたい。

 厚生労働省は児童相談所で活動する児童福祉司を五年で二千人増員し二〇二二年度に五千二百六十人の人員確保を目指している。
 現場からは育成が追いつかないとの懸念がでている。
人員確保は必要だが、虐待事案に的確に対応できなければ支援につながらない。
自治体は人材育成にも知恵を絞ってほしい。

 専門職の手を借りる取り組みも始まっている。
虐待を見つける医師や、子育て相談ができる保健師、法的な助言が期待される弁護士などだ。
こうした他職種との連携を深める必要がある。
 市民からの通報が増え、警察の役割も増した。
虐待を疑われる子どもの保護に自治体との連携強化が不可欠だ。
さらに進めたい。
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2020年12月04日

「手取り14万円で贅沢出来ない…日本終わってますよね?」賃金が下がり続ける日本経済の意外な現状

「手取り14万円で贅沢出来ない…日本終わってますよね?」
賃金が下がり続ける日本経済の意外な現状
2020年12月3日 文春オンライン

 欧米だけでなく、アジア諸国と比較しても賃金、物価ともに低水準な日本。
先進各国では上がっている実質賃金も、日本ではこの30年間ほとんど上がっておらず、訪日外国人が増えた理由として、「物価が安い」ことが挙げられるようになりつつあるという。
日本は世界的に見てどんどん「安い」国になっていると言わざるを得ない現状だ。
では、一体どうすればこの状況を打破できるのか。
 経済評論家として活躍する加谷珪一氏の著書『貧乏国ニッポン ますます転落する国でどう生きるか』を引用し、日本経済の現状、そして打開策について紹介する。
 ◇  ◇  ◇
手取り14万円 終わっているのは日本かお前か
 通貨の過剰発行など金融的な理由でインフレ(物価上昇)が発生するケースもありますが、基本的に物価というものは経済成長と連動しており、経済が拡大すると、それに伴って上昇します。
逆に言えば、経済成長が実現できていない国は、賃金も物価もなかなか上昇しません。

 冷静に考えれば、ごく当たり前のことなのですが、日本の場合、不景気とデフレが長く続いたせいで、私たちの経済に対する感覚はかなり鈍くなっています。
実際、今の日本の現状について、どう解釈すればよいのかとまどっている人も多いのではないかと思いますが、昨年、ネット上でこうした事態を象徴する出来事がありました。

 2019年9月、自身の安月給を嘆き、「日本は終わっている」と主張したネットの書き込みに対して、ホリエモンこと堀江貴文氏が「お前が終わっているんだよ」と辛辣に批判したことがネットで大論争となりました。
 ホリエモンが批判したのは、ある掲示板サイトに立てられた「手取り15万円以下の人」というトピックでの書き込みです。投稿主によると、自身は40歳前後の会社員で、都内のメーカーに12年勤務してきたそうですが、手取りは14万円しかないとのことです。
本人は掲示板上で「役職も付いていますが、この給料です…… 何も贅沢出来ない生活 日本終わってますよね?」と書き込みました。
 この書き込みには多くの共感が寄せられ、ツイッターでも話題となったのですが、ホリエモンは自身のツイッターでこの発言を取り上げ、「日本がおわってんじゃなくて、『お前』がおわってんだよ」と一喝。
この発言がネット上で一気に拡散しました。
 ホリエモンの発言に対しては賛否両論となったわけですが、興味深いのは、今の日本社会においては、ホリエモンの発言も投稿主の発言も、基準を変えてしまうと、どちらも正しくなってしまうという点です。

 ホリエモンの主張は説明するまでもなく、いわゆる自己責任論ということになるでしょう。
投稿主は、役職もついているということなので正社員と考えられますが、12年勤務して手取りが14万円では、(この情報が正しければ)かなりの低賃金です。
 12年の間にスキルアップしたり、転職を試みることは可能であったという現実を考えると、この状況に甘んじているのは本人の責任であるというホリエモンの主張には一定の合理性があると思われます。

不本意に労働条件が悪い仕事に就かざるを得ない
 もっともホリエモンは口調こそ厳しいですが、投稿主を批判しているというよりも、ネット時代には多くの人にチャンスがあるのだから、それをもっと活用すべきだという一種の励ましと捉えることもできます。
 ただ、チャンスが広がっているといっても、「皆がそれを生かせるだけの能力を持っているわけではない」という主張や「条件が悪くても、誰かがやらなければならない仕事がある」という指摘が出ているのも事実です。

 経済学的に考えた場合、多くの労働者が主体的に職業を選択している状況であれば、こうした問題は起こりにくいとの解釈になります。
 その理由は、特定の職業の処遇が著しく悪い場合、そこで働く労働者は他の仕事に転職してしまうので、ある程度、賃金を上げないとビジネスとして成立しなくなるからです。
 もし賃上げできない場合は、労働時間や負荷などの面で条件を緩和する必要があり、その場合には、賃金が安くてもラクな方を選択するという労働者が集まってくることになります。
結果的に、誰かが犠牲者となって過酷な労働をしなければ社会が回らないという話は成立しません。

やる気がある労働者であれば、上がった賃金を使ってスキルアップの教育を受け、それによってキャリアを開拓することもできるでしょう。

下がり続ける労働者の賃金
 しかしながら、この話が成立するためには、社会全体が豊かで、一定以上の賃金水準が維持されていることが絶対条件となります。
平均的な賃金水準があまりにも低く、社会が貧しい場合には、不本意ながらも、著しく労働条件の悪い仕事に就かざるを得ない人が増えてくるのが現実です。
 残念ながら、今の日本は徐々に後者に近づきつつあります。

 日本における労働者の賃金は、多少の上下変動はあるものの、過去20年、ほぼ一貫して下がり続けました。
 仮に今回の投稿主が、ホリエモンが指摘したように、あまり努力をせず、現状に甘んじている人物だと仮定しましょう。
日本ではこうした労働者は、安月給のまま、苦しい生活を余儀なくされます。
ところが、欧米各国であれば、努力をしない人でも、給料の絶対値が高いので、生活水準は日本人よりも高くなります。
もし、投稿主が欧米各国で生まれていたのなら、ここまでの状況にはなっていなかったでしょう。

 同じ条件の人物でありながら、日本で生活していると貧しい暮らしを強いられるという点においては、「日本終わってますよね」という投稿主の主張にも一理あるということになります。
 結局のところ一連の論争というのは、日本を欧米と同水準あるいはそれに近い水準の先進国と見なすのか否かということに集約されます。

低所得者に対する支援が手厚い欧州各国
 欧州各国には経済的な余力があるため、低所得者に対する支援が手厚く、相対的貧困率も日本よりはるかに低く推移しています。
日本では「低所得者は怠けている」という批判も多いのですが、もし日本の低所得者が怠けているというのなら、欧州の低所得者も同様に怠け者ということになるでしょう。
 しかしながら、欧州の場合には、こうした人たちにも手厚い支援があるので、怠けていても、相応の生活を維持することが可能です。
米国は欧州のような手厚い支援策はありませんが、それでも人口1人あたりの社会保障費は日本よりも圧倒的に多く、日本との比較においては米国ですら福祉国家といってよい状況です。

 日本を豊かな先進国と見なすのであれば、「終わっている」という投稿主の主張は正しく、日本を先進国と見なさないのであれば、ホリエモンの方が正しいということになるでしょう。
 読者の皆さんのほとんどは、日本は先進国であるべきだと考えているはずですし、もちろん筆者もそう思います。
そうであるならば、相対的に賃金や物価が下がっている現状というのは、やはり打開すべきものではないでしょうか。
私たちが本当に豊かな生活を実現するためには、何としても「安い国」であることから脱却しなければならないのです。

国内消費で経済を回す国に転換すべき
 では、日本のこうした現状を打破するためには何が必要でしょうか。
 もっとも重要なのは、日本経済の仕組みについて、根本的な認識を改めることだと筆者は考えます。
 日本人は論理よりも情緒を優先しがちな国民ですが、これは問題解決にあたって大きな障壁となります。

現実を正しく認識し、論理的に考えていかなければ、正しい解決策を導き出すことはできません。
 まずは日本経済の仕組みから説明していきましょう。
 日本はモノ作りの国であり、輸出産業が経済を支えていると考える人が多いのですが、それはもはや過去の話であり、単なるイメージに過ぎません。
日本はすでに消費と投資で経済を動かす国になっており、これからの日本はこの強みを生かすよう政策を変えていく必要があります。
 国内消費で経済を回すことができるようになれば、世界の景気動向の影響を受けにくくなりますし、為替レートを過剰に気にする必要もなくなります。
また新型コロナウイルスのような危機が再び発生した場合でも、国内だけで対処が可能です。
当然のことですが、インバウンド消費に過度に依存する必要もなくなるわけです。

 その国がモノ作りの国なのかそうでないのかは、貿易収支の動向に端的に示されます。
 財務省が発表した2019年の貿易収支は2年連続で赤字でした。

日本はもはや多額の貿易黒字を計上する国ではない
 米中貿易戦争の影響で輸出額が前年比5.6%のマイナスとなり、これが大きく足を引っ張りましたが、貿易収支の動向についてもう少し長いスパンで見ると、日本はもはや多額の貿易黒字を計上する国ではなくなっていることがよく分かります。  

日本は戦後、ほぼ一貫して貿易黒字を計上しており、特に1980年代以降については、毎年、10兆〜15兆円もの黒字額となっていました。
しかし、2000年代半ばから黒字が減少し、2005年には貿易黒字と所得収支(海外への投資から得られる投資収益)が逆転しています。
つまり日本は、この頃を境にすでに輸出ではなく投資で稼ぐ国になっていると解釈すべきです。

 日本のGDPに占める輸出の割合は18.3%ですが、輸出立国の典型であるドイツ(46.1%)と比較するとかなり低い数値です。
 フランスには輸出立国というイメージがあまりありませんが、それでもGDPに占める輸出の割合は日本よりもはるかに高く31%もあります。
数字だけを見ると、日本は世界でも突出した消費大国である米国の水準(12%)に近く、もはや輸出国とは言えないというのが正しい認識でしょう。

輸出大国である前提のもと議論が重ねられている
 しかし、国内ではいまだに輸出大国であることを前提にした議論が多く、政府の支援策も輸出企業を対象としたものが少なくありません。
 実はインバウンド需要やオリンピックへの期待というのも、形を変えた輸出です。
 外国人観光客の買い物は確かに日本国内で発生していますが、購入しているのは外国人ですから、製品を輸出して代金を受け取っていることと本質的な違いはありません。

 安倍政権は中国からのインバウンドを成長戦略の柱と位置付けていましたが、こうしたプランが出てくるのも、外国(あるいは外国人)にモノを売らないと経済が成長しないという、従来の価値観が大きく影響しているからです。
 しかし日本経済の現状は大きく様変わりしています。

日本はかつての貿易黒字を凌ぐ投資収益を得ている
 日本は戦後70年にわたって積み上げてきた資本を原資に、多額の投資収益を得ており、今のところ世界最大の債権国の地位を維持しています。
2018年における所得収支(投資収益)は20兆円もあり、かつての貿易黒字を凌ぐ額です。
 投資から得られる収益は、一種の不労所得であり、以前は輸出で稼いでいた金額かそれ以上の金額を働かずして得ていることになります。
これは、不動産の大家さんと似たようなものですが、考えようによってはこれほど効率のよい稼ぎ方はありません。
本来、輸出に従事しなければ得られないお金を、タダで得ているわけですから、その分の労働力を国内向けのサービスに振り向ければ、国民の所得も大幅に拡大するでしょう。
 国内市場というのも実は宝の山です。
 日本は人口が減少していくので、今後、消費の絶対値もそれに合わせて低下することが予想されています。
これは避けようのない現実ですが、それでも、一定以上の生活水準を保ち、同じ言語を話す1億人の単一消費市場が存在している国というのは、世界を見渡してもそう多くありません。

コロナショックで露呈した日本経済の脆さ
 これは日本が持っている大きな資産であり、これを活用しない手はないのです。
今回のコロナショックでは、インバウンド需要に過度に依存してきた日本経済の脆さが一気に露呈しました。
日本は国内の消費市場をもっと大事にし、消費を活性化していく方向に舵を切る必要がありますし、そうすれば輸出やインバウンドに頼らなくても、十分に経済を成長させることができます。

 整理すると、日本には投資収益を得るための莫大な資本蓄積と豊かな消費市場があります。
日本は消費と投資で十分に豊かな生活を送れるだけのポテンシャルがあり、名実ともに消費国家・投資国家に向けてシフトしつつあります。
この現実をしっかりと受け止め、輸出やインバウンドにこだわるのではなく、強みを生かす政策にシフトすれば、再び日本経済を成長軌道に乗せることができるはずです。
           (加谷 珪一)
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2020年12月05日

「ネガティブな想像」実現する確率は1割のワケ

「ネガティブな想像」実現する確率は1割のワケ
それでも人々はなぜ不安になってしまうのか
2020/12/04 東洋経済オンライン
星 渉 : 作家・講演家・起業家プロデューサー /
前野 隆司 : 慶應義塾大学大学院
  システムデザイン・マネジメント研究科教授

私たちの幸福度に影響を与える感情は3つあります。
@ポジティブ感情
Aネガティブ感情
B人生満足度

3つそれぞれが影響するから、ネガティブ感情を感じる機会はできる限り少ないほうがいい。
ネガティブパワー「100」よりも、ネガティブパワー「1」のように、小さいほうがいいのは明らかです。
さまざまな幸福学の研究で、ネガティブ感情は「心配事や不安」が影響することがわかっています。
つまり、心配なことや不安なことが多かったり、大きかったりすると、よりネガティブになりやすいということです。

では、ここで問題です!私たちの心配事は、どのくらいの確率で実際に起きてしまうでしょうか?
A:90%以上  
B:60%以上  
C:40%以上  
D:10%以上

答えは、Dの10%以上。
正確に言うと、私たちの心配事が実際に起きるのは 13%の確率でしかないのです。
「降水確率13%」だったら、あなたは傘を持って出かけますか?
 そう、「まっ、大丈夫かっ」と傘を持たなくてもいいレベルでしか、私たちの心配事は実際には起きないのです。

ネガティブ感情は消そうとするほど大きくなる
しかも、13%の実際に起きた心配事のうち80%は「自力で解決できるもの」だと、国際認知療法学会会長のロバート・L・リーヒ博士の研究は明らかにしています。
つまりは、本当に解決できない心配事が起きる確率はたった3%となるわけです。
降水確率3%で傘を持って出かけますか?
そう考えるだけでも、心配事を気にしなくなりますよね。

ネガティブ感情は「消す」ではなく「記録する」。
不安、心配、緊張などネガティブな感情を消そう〞とする人がいますが、その考え方はNG。
ネガティブな感情は消そうとすればするほど大きくなります。
ネガティブな感情を感じたら、記録を取ることが有効です。

先ほど、「心配事は13%しか実際に起きない」とお伝えしましたが、そうは聞いても、やはり心配で不安に思ってしまうという人もいるでしょう。
「不安に思っていることが実際には起きない」と言われてもなお、なぜ不安に思うことをやめられないのか?
それは「実際には起きないという実感がないから」です。

では、なぜ実感がないのか?
それは、不安に思ったことが実際にはほとんど起きないので、不安に思ったこと自体を忘れてしまっているから、です。
さらに、不安に思っていたことを忘れては、また新しい不安が襲ってくる。
そして、また実際に起きなかったから忘れる。
そして、また新しい不安が……ということを繰り返し、「いつも不安」な状態から抜け出せないのが、私たちなのです。

「記録を取る」ことが大切!
そこで、心配事は実際に起きないのだと「実感」するために「記録を取る」。
これが「ジャーナリング」という手法です。
さっそく手順を紹介しましょう!

【「ジャーナリング」を試してみましょう!】
@ 心配に思うことがあったら、その心配に思うことを手帳にメモする(スマホのメモ機能などを使ってもOK)
A それを1カ月間続ける
B 1カ月後、メモした内容(心配に思ったこと)を見返して、それが実際に起きたかどうか○×をつける
C 心配に思ったことがどれだけ起きていないかを実感する

この4ステップを実践するだけで、客観的に心配事はそんなに実現しないのだと実感できるでしょう。
余裕があれば、
@の心配事をメモする際に、心配の大きさを10段階評価で書いておくとさらに効果的です。
自分の感覚で構わないので「この心配レベルは、すごく心配だから8だな」「これは、そこまで心配ではないから2だな」という感じです。

なぜこれがネガティブ感情に対して効果的なのか?
その理由は、私たちがどんな心配事に対しても「心配だ」という1つの言葉でしか表現していないことにあります。
夜も眠れないくらい心配なことについても「心配だ」。
いいタイミングで電車が来るか心配なときも「心配だ」。
全部同じ「心配だ」で表現するので、必要以上の心配をしていることが多々あるのです。

そこで、記録を取るときに心配のレベルを記載すると、「あっ、これはそこまで心配してないんだ」と実感でき、ネガティブ感情がその場で小さくなります。ぜひ、試してみてください。
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2020年12月06日

トイレが近い…医師に聞いた「頻尿」の原因と改善法

トイレが近い…医師に聞いた「頻尿」の原因と改善法
12/5(土) コスモポリタン

大切なデートや友人と遊びに出かけたとき、何度もトイレに行きたくなって、気まずい思いをしたことはありませんか?
または外出先でトイレが見つからず、ヒヤッとしたことがある人もいるかもしれません。
年齢を重ねるにつれ、または妊娠中、出産後に排尿の回数が増えることは知られていますが、中には頻繁にトイレに行く必要があるという体質の人もいます。

自分の頻尿の原因をきちんと把握しておくことは、とても大切なこと。
そこで本記事では、医師が解説する「頻尿になる原因とその改善法」を、<コスモポリタン イギリス版>から紹介。
心当たりがある人は、よくチェックしてみて。

頻繁にトイレに行きたくなる理由
これには“誰でもに当てはまる”という答えはありませんが、もともとトイレが近いという人なら、それほど心配する必要はなさそう。
ただ、排尿量(頻度)が急激に変化したというときは、その原因を考えるべきかも。
当たり前のことだけれど、水分摂取量が増えれば排尿量もおのずと増えるもの。水分を多めに摂るようにしていてトイレの回数が増えているなら、摂取量を減らせばトイレの回数も減らせるはずです。

イギリスの美容医療クリニック「Berkshire Aesthetics」のセレーナ・ラングドン医師は、以下のように解説しています。
「1日の排尿の回数は水分摂取量や何を飲んだかなど、多くの要因によって変わってきます。
十分に水分を摂っているかは、尿の色をチェックすることで判断できるもの。
理想的には明るい麦わら色。
色が濃い場合は水分摂取を増やした方が良いでしょう。
尿が明るく澄み切った色になれば安心です」

また、水分摂取をするうえでも「何を飲むか」が大事になってくるよう。
「たとえばカフェインには利尿作用がありトイレが近くなるので、摂取する飲み物に気をつけることも大切です。
水分摂取量には問題がないのに依然として頻尿の症状がある場合は、病気の可能性もあるので病院で診察してもらいましょう。
頻尿は糖尿病や膣炎の兆候、骨盤の不調としてあらわれる場合もありますし、過活動膀胱のせいかもしれません」
「更年期、通常40代後半の閉経期前後の女性によく見られるのが緊張性尿失禁、いわゆる尿漏れです。
(改善法として)骨盤底筋体操をしたり、場合によっては薬物療法で治療するのがおすすめです」

また「トイレが近くにない」というだけで不安に駆られ、心理的にトイレに行きたくなる頻度が増えることもあるのだとか。

女性は男性よりも排尿回数が多い?
女性の排尿量が男性よりも多いということは、必ずしも真実ではありません。
ただし「女性は尿道が短いため、尿路感染症を起こしやすいと言るでしょう」とラングドン医師。
「尿路感染症を予防するには水分を多く摂り、排尿後は前から後ろに拭き取るようにすること。
デリケートゾーンにデオスプレーなどを使用することは、避けた方が良いでしょう」
また、避妊薬を使用している場合、ホルモンも尿路感染に影響をおよぼす要因に。

骨盤底筋体操は効果がある?
骨盤底筋体操で膣を鍛えると、頻尿対策としても役立つとラングドン医師は説明。
「男女ともに言えることですが、特に女性にとって骨盤底筋体操はとても重要です。
骨盤底筋の健康度がもっとも高いのは、運動量が多い20代。
けれど骨盤底筋運動は年齢を重ねてからでも、始めるのに遅すぎるということはありません」

骨盤底筋体操のやり方 「やり方がわからないという場合は、まずは排尿するときに、途中でいったん尿を止めてみてください。
その止める動きこそが、骨盤底筋の働きです。
筋肉を引き締めることによって尿を止め、2〜3秒間引き締めたままにしてそしてゆるめる。
これを毎日10〜15回繰り返して鍛えるのが理想的ですね」
排尿量について心配があったり、排尿時に痛みをともなう場合は医師に相談を。
また、日頃から「排尿チェック」や骨盤底筋体操を続けていきましょう。
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2020年12月07日

「うつっぽい」と思った時に多い理由5つ【大人世代】

「うつっぽい」と思った時に多い理由5つ【大人世代】
2020.12.6 GLASSY

ウイルス感染の不安、対面のコミュニケーションの激減、不慣れなリモートワーク…。思いもよらないことだらけの今年、「うつっぽさ」を感じている人が増えています。
誰にでも起こりうる「うつっぽさ」の原因と対策をまとめてみました。

「うつっぽく」なる理由はいろいろあります
うつっぽくなってしまうのはどうして?
変化のめまぐるしい今の時代、どんな要素がうつにつながりやすいのか知っておきましょう。

理由1.人間関係によるストレス
うつの原因の中でも一番多いのが人間関係のストレス。
職場の上司、同僚との関係、恋愛や夫婦関係などによるストレスがうつのきっかけとなる場合が非常に多いです。
結局、人間が一番ストレスを感じるのは人間なのですが、それは生きている限り避けられないこと。
自分の心の持ちようや、人とのコミュニケーションの取り方を見直して、工夫していくことが大切です。(森下先生・以下同)

理由2.体の不調によるストレス
体の不調とメンタルは強く結びついていることを知っておきましょう。
特に胃腸の調子と睡眠は重要。
下痢が続くと気力、体力、意欲といった活力が低下します。
睡眠不足だと過敏性が増したり、感情的になって冷静に物を考えにくくなる傾向が。また低血圧の人は疲れやすく、気力や、やる気が出ない原因となります。
また女性は生理に伴う身体変化にも注意。
大きなきっかけがなくても体の不調からうつっぽくなってしまうこともあるので、まずは体調の改善を

理由3.真面目、完璧主義など性格によるもの
真面目な性格や完璧主義な性格の人は自分の体や心の状態へのケアが後回しになり、心身の不調を軽視してしまう傾向があります。
たとえば、働きすぎて体が疲れて参っているのに気づかない。
気持ちが落ち込んでいるのに、頑張らなくてはと無理をしてしまうなど。
自分の心と体に無頓着なことがうつの原因になりうるので、ふだんから自分の心身の状態を把握することを心がけて。

理由4.今年になって急増した「在宅うつ」
テレワークが浸透し、外出が極端に減ったことで登場した“在宅うつ”は、社交性と自立性の観点で説明ができます。
もっとも在宅うつになりやすいのは社交性が高く自立性の低い人。
今までは悩みを誰かに相談して解決できていたのに、人に会えないことでネガティブ思考から抜けられなくなることが原因です。
一方、社交性が低く自立性が高い人は自分の世界で満足できるオタク的な側面と、人に依存せず自分は自分という性格なので今の状況に強いと言えます。

理由5.「新型うつ」とよばれるもの
若い人に多い“新型うつ”。
これは“非定型うつ”の一種で、従来型のうつとは症状が異なります。
好きなことや興味があることをしている時は元気ですが、仕事など興味がないことをしているとうつっぽくなってしまうというもの。
プライドが高かったり、些細なことで傷ついてしまうタイプの人に多いとされています。

心当たりのある人は一度クリニックに相談してみるといいでしょう。

       監修/森下克也 取材/加藤みれい
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2020年12月08日

コロナ禍につけこむ「霊感商法」の闇手口!「家系図講演会」で2100万円の被害に

コロナ禍につけこむ「霊感商法」の闇手口!「家系図講演会」で2100万円の被害に
2020年12月06日 アサ芸Biz

 将来への不安や恐怖につけ込んで“洗脳”した信者から財産を巻き上げるカルト教団や霊感商法。
コロナ禍のゴタゴタにまぎれるかのように、水面下で勢力を拡大しているという。
驚愕の勧誘実態を調査すると……。

 標的は若者ばかりとは限らない。社会経験豊富で、自分だけは大丈夫と思っている中高年でも、意外なアプローチで籠絡されるケースが後を絶たないのだ。
 とりわけ、今年2月に国内で大量のコロナ感染者が報告されていた韓国で、6000組ものカップルを集めた「合同結婚式」を行った世界平和統一家庭連合(旧「統一教会」)はいまだに全国で霊感商法を続け、中高年をターゲットにした訪問販売などで、多額の金を巻き上げているのだ。

全国霊感商法対策弁護士連絡会事務局長の山口広弁護士が闇手口を告発する。
「中高年に多いのは『家系図を見て先祖を大切にしよう』と『家系図講演会』などに誘い込む手法です。
母方や父方の家系図を見ながら、先祖の中で財産、色情、殺傷のどれかの因縁を抱えて亡くなった人は永遠に地獄で苦しんでいる。
地上の子孫に気づいて救ってほしくて、交通事故や病気、不貞など問題を起こすのだと言います。
それをなんとかしたいのであれば『天の蔵に富を積みなさい』という説得をして、大金を献金させるんです」

 被害者の中には、2100万円もの大金を支払ってしまった高齢女性もいたとか。
法外な値段で壺などを売りつける、かつての霊感商法のような「押し売り」ではなく、 「70万、120万、210万の中でどれにしますか?」  と、あくまで被害者が自主的に、金や労働力を差し出したかのように仕向けるのが、昔も今も変わらないカルト教団の特徴だという。

カルト教団に詳しいジャーナリストの藤倉善郎氏が解説する。
「カルトの被害は霊感商法(グッズなどの販売)だけではなく、献金(お布施)による金銭収奪や教団活動への奉仕など(勧誘活動も)といった労働力の収奪、性的収奪、虐待など、さまざまなものがあります。

その中で、この文脈で一例となっている摂理については、高額な金銭被害は報告されておらず、偽装勧誘と教祖による性的暴力・性ハラが主な問題になっています。
そして最近のカルト教団の傾向としては、誘い文句が上手で命令や強制ではなく『提案する』形で、被害者に近づくのが特徴です。
結果的には、退路を断って追い込まれて入信せざるをえなくなるわけですが、あくまで入信するのは自己判断・自己責任。しかも宗教にこれまで縁のなかった人でもマインドコントロールの型にはめられてしまえば、かえって狂信的な信者になってしまうことも。
それほど注意が必要です」
 自分だけは大丈夫という油断に「コロナとカルト」はつけ込んでくるのだ。
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2020年12月09日

当時でも国力で20倍と見積もられた米英との戦争に…

余録
当時でも国力で20倍と見積もられた米英との戦争に…
毎日新聞2020年12月8日 東京朝刊

 当時でも国力で20倍と見積もられた米英との戦争に、日本人はなぜ突入したのか。
この問いにまたまた思いをめぐらす12月8日がやってきた。
最近では、それが行動経済学の考え方で説明されることがある

▲3000円を支払う選択Aと、8割の確率で4000円を払うが2割の確率でタダという選択Bがあれば、リスクをとるBを選ぶ人が多い。
先の展望を失った当時の指導層も似た心理で、大きなリスクを承知で僥倖(ぎょうこう)を求めたのである

▲経済思想史家の牧野邦昭(まきの・くにあき)さんの「経済学者たちの日米開戦」はそう指摘し、避戦のためには開戦リスクの大きさよりも、避戦が必ずしも「損」にはならない展望が必要だったという。
賭け金にされたのは途方もない数の人の命だった

▲当時のエリートだけでなく、一般国民も日米の国力の差はよく知っていたと説いているのは日本近代史家の加藤陽子(かとう・ようこ)さんだ。
政府は学校でも日米の国力の差をグラフで強調し、それを克服するのが大和魂だなどと教えていたという

▲加藤さんの「それでも、日本人は『戦争』を選んだ」によれば、国力の差はむしろ対外危機を扇動する材料とされた。
国民には国力の差から政府や軍と別の選択肢を描き出すすべはなかった。
開戦は、政府の自縄自縛(じじょうじばく)の結果でもあろう

▲その加藤さんは菅義偉(すが・よしひで)首相により学術会議への任命を拒まれた6人の一人だ。
国民のリスクを軽視する政府の冒険的施策はコロナ禍でも見られないか。
まこと日本人の選択を今も照らし出す79年前の12・8だ。
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2020年12月10日

文章がどうもうまく書けない人のための処方箋

文章がどうもうまく書けない人のための処方箋
目的と読み手を定め、素材を順番に並べよう
2020/12/08 東洋経済オンライン
上阪 徹 : ブックライター

文章が思うように書けない、と悩む人は少なくない。
とにかく時間がかかる。
書こうとしたら書くことがない。
長さにひるむ。
読みづらいといわれる。
伝わらない、刺さらない……。

私はフリーランスで文章を書く仕事をして27年になるが、中でもよく相談されるのが、「どうすればうまく構成ができるのか」だ。
そしてこんな会話が、いろんな会社の社内で繰り広げられたりしているのではないか、と想像している。

上司「社内報の自己紹介エッセイ、まだ悩んでるのか」
部下「はい、うまく起承転結に落とし込めないんです」
上司「無理に起承転結に落とし込むことはないだろう」
部下「いや、でも、文章といえば、起承転結じゃないですか。それ以外だったら、どうやって構成すればいいか、わからないんです」
上司「そもそも、何のためのエッセイなんだ?」
部下「なんか、社員について知ってもらう、ということらしくて」
上司「それで起承転結にできたら、何かいいことがあるのか」
部下「……」

「起承転結」を無理やりつくらなくてもいい
書く内容(これを私は「素材」と呼んでいる)は、ある程度集まっているが、それをどんな順番で並べて構成していけばいいのか、わからない。
実はまじめな人ほど、この悩みを抱えてしまっている。
というのも、構成といえば、「起承転結」など、子どもの頃に教わった文章のセオリーに強く影響されてしまうからだ。
「書き出しがあって、展開があって、転機があって、結論に至る。
そんなストーリーで作文を作るといい」と教わったわけだが、このセオリーになんとか合わせようとして頭を悩ませてしまう人は少なくないのだ。

もちろん、起承転結でうまく書けるケースもないわけではないが、とりわけビジネス文書の場合、多くは最初に結論を伝える必要があるケースが多い。
最後に結論をいうことになる起承転結は、ビジネスとの相性がそもそもよくないのだ。
では、どうするか。 拙著『文章の問題地図』でも詳しく解説しているが、まず、やるべきは、素材を「見える化」することである。
書こうとしていることは、ぼんやり頭の中にあって、それを並べ替えて書いていけばいい、と考える人も少なくないが、ぼんやりと頭の中にあるままでは、構成もぼんやりとしたままになってしまう。

書く内容を「見える化」しないまま構成しようとすると、書き慣れている人でもスムーズにはいかないのである。
構成を考えるとき、文章を書くことを仕事にしている私がよくやるのは、これである。

「もしカフェで目の前に読者が座っているとして、しゃべって伝えるとすれば、どんな順番で話していくか」
しゃべって聞かせるように、といっても、もちろんしゃべることをそのまま文章にすればいいというわけではない。
実際にしゃべるときには、話はあっちに行ったり、こっちに行ったり、止まったりすることもある。
それでも、それほど違和感なく話が聞けてしまうのは、聞き手が話だけを聞いているわけではないからだ。
それこそ、話している人の表情、身振り手振り、言葉のトーンの高低などなど、いろいろな要素と話していることを、全体で理解する。
だから、多少まごまごしても、違和感なく聞けるのである。

しかし、文章はそうはいかない。
止まって、そこにあるのだ。
となれば、スラスラとロジックが流れていないといけない。
だから私がお勧めしているのは、ざっくりでもいいので、書く内容を一度、箇条書きにして抜き出すことから始めることなのである。
それを眺めて、どういう順番で展開するかを考えるのだ。

たとえば、こんな素材があったとする。
・会社は工場街・大田区にある
・先代から事業を引き継いだ社長
・人を大切にすることを何より先代に教わった
・そのために工場を作り替えた
・工場は5年前に新設 ・最新鋭の機械も入っている
・この5年間で、離職者はゼロ
・未経験でも学べる

さて、これをどう構成していくか。
いきなり構成しようとすると、実は文章のプロでもやりようがない。
しかし、こんなふうに条件を定めてみたらどうか。

文章の「目的」と「読み手」を定める
文章の目的=「人材採用のため」
読み手=「転職を考えている20代」

構成を考えるときには、こんなふうにまずは「目的」と「読み手」の条件を定めるといい。
そうすることで、一気に考えやすくなる。
この条件が与えられると、私ならこんな構成にする。

・この5年間で、離職者はゼロ →
・未経験でも学べる →
・会社は工場街・大田区にある →
・工場は5年前に新設 →
・先代から事業を引き継いだ社長 →
・人を大切にすることを何より先代に教わった →
・そのために工場を作り替えた →
・最新鋭の機械も入っている

「素材」をしっかり書き出していれば、こうした構成がやりやすくなる。
そして、目的に沿って読み手にしゃべって聞かせるつもりで、「こうでこうでこう」という流れで考えてみるといい。
まさにこれが、カフェで目の前に読者がいたとしたら、の意味である。

目の前に読み手が座っているとして、書き出した「素材」を使って、どう目的のための説明をするか。
「こうでこうでこう」とつながりで考えていけばいい。
これを言って、これを言って、これを言う、という順番を考えてみるのだ。

面倒でもちゃんと「見える化」しておくことで、スピードは一気に高まる。
しかも、見ていただいたように、起承転結などいらない。
話して聞かせるのも、読んで理解してもらうのも、実がコミュニケーションツールとしては、同じなのである。

「おっ」「えっ」「そうなんだ」「なるほど」で始めよ だが、ここでひとつだけ注意したいのは、「書き出し」だ。
もともと私は広告からキャリアを始めていること、また私自身が読むことが好きではなかったことも理由になるのだが、文章というものに極めてシビアな見方をしているのである。

それは、 「できればだれも文章なんて読みたくない」 ということだ。
これが、スタート地点なのである。
となれば、なんとか読んでもらえる工夫を書き手がしなければならない。
そこで気をつけたいのが、「書き出し」なのだ。
あまりに凡庸なつまらない話から始まっていたら、読もうと思わないし、読んでもらえないのだ。

「書き出し」には、この4つの反応を意識している。
・「おっ」(意外なこと)
・「えっ」(びっくりすること)
・「そうなんだ」(強く共感すること)
・「なるほど」(新しい発見)

こんなふうに感じることから始まっていれば、読みたくなくても読む気になるかもしれない。
間違ってもやってはいけないのは、「私は〜」から始まる文章である。
私が書いているのだから、あまりにも当たり前すぎる書き出しだ。
これだけは避けることである。
だが、あとは「起承転結」などのセオリーにとらわれず、「目的」と「読み手」を定めて、「話すならどう展開するか」で考えてみるといい。
文章もコミュニケーションツールなのだから。
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2020年12月11日

「誰も助けてくれない」うつ病特有の考え方が不眠を招く

「誰も助けてくれない」うつ病特有の考え方が不眠を招く
12/8(火) ハルメクweb

名古屋大学の尾崎紀夫教授が最新の研究結果を元に、体、脳、心の関係を伝える1話10分全6回の講義。
今回はうつ病と睡眠障害について。

「老年期うつ病」と認知症に伴う「うつ症状」の見分けが困難です。
またうつ病と間違えやすい睡眠時無呼吸も解説します。

「夢ばかり見ていた」眠ってもすっきりしない!うつ病の睡眠特性 うつ病についてです。
これも睡眠障害が必発で起こる病気です。
その背景には、否定的なものの捉え方や、鑑別上非常に重要な睡眠中の無呼吸があります。
それらについて、お話をしたいと思います。

うつ病の方の睡眠ポリグラフィは、これまで何度か報告があります。
一般の方に比べると、レム期の睡眠が非常に多い。
「夢を見てばかりいた」とよく言われるのは、こういったことにも反映されています。
それから、途中でよく目が覚めてしまう。
睡眠の維持ができない。
深い睡眠も少ない。
脳を休めて記憶を定着させる働きが少なくなっている。
したがって、朝起きたときにすっきりせずに、昼間のパフォーマンスが落ちてしまいます。

睡眠障害はうつ病の始まりの頃からよく起こり、治療していてもなかなかよくならない症状です。
そういう意味で、精密医療上でも睡眠を捉えることが極めて重要だろうと我々は考えています。

「誰も助けてくれない」
うつ病のものの捉え方が不眠を招くメカニズム
ここで一点、気を付けなければいけないことがあります。
実際にうつ病の方の睡眠は良くないのですが、ご本人の主観と機器で確認した睡眠との間に乖離があることです。
例えば、主観と睡眠検査で寝付きの時間を比較した古典的な研究が、1962年に遠藤四郎先生により報告されています。
うつ病の方は「寝つくまでに時間がかかって眠れない」と言われますし、夜間の睡眠全体の時間も実際より短く訴える傾向があります。
もちろん良くないのは確かですが、実際以上に寝付きが悪く夜の睡眠も悪いと捉えがちだということがあります。
そういう意味では、その人たちの睡眠を、簡易機器でしっかり捉えることが、経過を見る上で極めて大事になります。

睡眠に限らず、うつ病のポイントはいろいろなことを否定的に捉えるところです。
例えば、業務の負荷を過大に捉えてしまい、あれもこれも大変だと感じるので、心の中のストレスがどんどん増えるばかりです。
一方で、上司等のサポートについては、普段なら存在すると感じているのを過小評価してしまい、誰も助けてくれないと思って一人で抱え込むような否定的な捉え方もあります。
このように否定的な捉え方が起こると、先々のことには当然不安が募る一方となり、「眠れない」システムが駆動し始めます。

うつ病の「悪循環」と、その解消法
我々の研究結果でもわかっているのが、図のようなうつ病の悪循環です。
ここには、いろいろな出来事が重なってきます。
長時間労働になり、睡眠が取れずに脳機能の回復が不充分になることもあります。
そうすると、脳機能の変化によって、物の見方が否定的になり、取り越し苦労や悲観主義が起こります。
そうなると、周囲のサポートを過小評価し、負荷を過大評価してしまい、それにより不安が起こるので、またまた眠れなくなります。
このような悪循環が起きているのがうつ病だと、我々のこれまでのさまざまな研究の成果からわかってきました。
患者さんやご家族にもこのように説明をし、どう治療するかについては、この悪循環を一つずつ切っていくようにしています。

脳機能が変化していることについては、体ではなく脳や心の休息を取るということで、これが実はなかなか難しいところです。
睡眠をいかに調節するかが問題ですから、「睡眠と生活習慣」でお話ししたようなことを申し上げます。
また、患者さんは一人で抱え込む傾向があることをご本人にわかっていただき、周囲にも相談をしておく。
あるいは周囲からお声を掛けていただいて、重なっている出来事の優先順位や重み付けをしていただく。
時には脳に働く薬も使いますが、薬以外に「物の見方の整理をする認知行動療法をしてみましょう」というような形で、うつ病の治療についても悪循環をもとに説明します。

うつ病と間違われやすい「睡眠時無呼吸症候群」
さて、うつ病とよく間違われているのが「睡眠時無呼吸症候群」です。
中年男性に多いのですが、女性の方もいらっしゃいます。
肥満がリスクファクターで、例えばあごの辺りが二重あごや三重あごになってくると、眠っている最中に喉の奥を押さえることになります。
それから、夜間のいびきですが、これはご本人では気付かないので、周りの方が気付かないとどうしようもありません。

昼間の症状としては「何もやりたくない」という感じで、ぼーっとして意欲が起きません。
うつ病とよく似た症状を出されます。
例えば、朝起きたとき、なんとなく頭がぼーっとして、頭痛がするといった感じです。
春の花粉症シーズンに無呼吸が起きてしまい、うつ病だと間違われて受診された方も、今まで複数いらっしゃいました。
無呼吸とうつ病は、症状的に非常によく似ているのです。

睡眠薬の中で、睡眠を促進するGABA(Gamma-Amino Butyric Acid、γ-アミノ酪酸のこと)に働くタイプのベンゾジアゼピン系、あるいは同じくGABAにはたらくアルコールが無呼吸を悪化させます。
これらは筋の緊張を落としてリラックスさせてくれるのですが、一方で無呼吸は悪化させることがわかっています。
かえって睡眠薬はマイナスです。
もちろん昼間ぼーっとするので事故にもつながります。

睡眠時無呼吸症候群はマウスピースで改善できる
我々の研究でも、睡眠時無呼吸の方はどうも認知機能が落ちることがわかっています。
睡眠中、普通は交感神経が下がるので体内の血液中のノルアドレナリンが下がります。
しかし、以前に私が行った研究では、この人たちは少ない酸素を必死で体中に行き渡らせるため、交感神経が高まってノルアドレナリンが増える現象を起こしています。
これは、かなり無理をしていますから、脳血管障害や心臓病のもとになります。
実際に放置すると、特に心・循環器系疾患による死亡リスクが増加し、治療すると改善することもわかっています。

重症度が高くない場合の改善手段としては、私どもも勧めているのが、(動画の中の)画像のようなマウスピースを歯科口腔外科でつくっていただき、それをはめて夜を過ごしていただくことです。
旅行にも持っていける手軽さです。
口の中で舌の方を物理的に上げてやって、落ちないようにするという簡単な器具です。
もう少し重症度が高いと、これでは不十分なので、睡眠中に酸素の圧をかけて開けてやり酸素を体内に入れる方法になります。
CPAP(シーパップ:持続陽圧呼吸療法)といいます。
昔は大きな機械で装着感が悪かったのですが、この頃はかなり改善されています。

「何もおいしくない」状態からの回復が治療の目標
ということで、うつ病およびうつ病と間違えやすい病気についてお話をしましたが、うつ病が良くなるとはどういうことなのでしょうか。
私の患者さんに主婦の方がいるのですが、その方が言われていた言葉を借りてお話をします。
睡眠とともに「食」も回復の指標だということです。

うつ病の症状の一つに、「何も楽しくない、何も関心がない」という症状が挙げられますが、食では「何もおいしいと感じられない」「おいしいものを食べたいとも思えない」と表れます。
そんな時期に、彼女なりに「食べないと駄目だ」と思い、必死で食べていたそうですが、そのうち食べることもできなくなり、やせてしまったといいます。
そういう頃ですから、自分がおいしいものを食べたくもありませんし、料理が嫌で嫌でしょうがなく、できなくなってしまった。
そして、そのように主婦としてやるべきことができない自分がもっと嫌になるという悪循環に陥っていたのです。
そんな状況でしたが、この方が言われたのは、「先日、夫から『料理の味が以前に戻ったね』と言われ、良くなったことを実感しました」ということです。
そのようなことが、うつ病回復の一つの目標であろうと思いながら、治療をさせていただいています。
                                    10ミニッツTV
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2020年12月12日

気持ちが落ち込みやすい人に試してほしい「心が軽くなる7つの質問」

気持ちが落ち込みやすい人に試してほしい「心が軽くなる7つの質問」
2020年12月11日 PRESIDENT Online
ジャーナリスト 笹井 恵里子

■お決まりのパターンで悩んでいないか
著名人の訃報、新型コロナウイルス感染への恐怖、今後の人生に対する漠然とした不安……今の時期、気持ちの落ち込む人が増えているかもしれない。
ただでさえ夏と比べて格段に日照時間の減る秋は、鬱っぽくなりやすい。

曇り空であってもなるべく外にいること、もしくは窓際で過ごすことを心がけよう。
日光に当たると、精神の安定を保つ作用のあるセロトニン(脳内神経伝達物質)が分泌されやすくなる。
そして気持ちが行き詰まってしまいそうなときは、自らの“思考”を見直すことをお勧めする。

思考が変われば物事の見方が変化し、これまで気づかなかった幸せや価値に目が向いたり、行動も変化しやすいだろう。
千葉大学医学部附属病院の清水栄司教授によると、悩みがあるというときに「お決まりのパターン」で考え続けている場合が少なくないという。
「体の姿勢に癖があるように、思考も同じ方向に傾きやすいのです。
考え方がパターン化していると決断が速いという利点があるため、心身が元気なときはそれもいいでしょう。
しかし落ち込みが長く続くようになったら、考え方を見直す必要があるかもしれません」

■早速「ぽじれん」から。これは「良いことを思い浮かべる習慣」
ストレスをためやすい考え方や行動の癖を修正する方法を「認知行動療法」と呼ぶ。
清水教授は心の健康づくりとして、「ぽじれん」「ここれん」という2種類の5分でできる簡易版・認知療法を提唱している。

早速「ぽじれん」から。これは「良いことを思い浮かべる習慣」だ。
「脳は悪いことを記憶して、良いことを忘れます。
怖いこと、嫌なことを2度と忘れないのは、古来動物として生存に有利だったためです。
しかし、現代人にとってはつらいことなので、『悪いこと』の思い出と同じ数、せめて『3つの良いこと』を思い出して心のバランスを保ちましょう」(清水教授)

具体的には1日(または1週間)を振り返り(1)できたこと、(2)楽しかったこと、(3)感謝することを書き出してみよう。
いずれも小さなことで構わない。

例として(1)朝、規則正しく起きることができた、(2)コーヒーが美味しかった、(3)家族がご飯を作ってくれた、同僚にテレワークで手伝ってもらった、といった具合だ。

もう1つの「ここれん」は、「7つの質問」(表)に答える形でストレスを捉えなおすもの。
まず自分のストレスや悩みは「何がどうなっていることか」を短文で書き出し、その“本当度”を数字で表す。
半信半疑を50%、絶対本当と信じているのを100%とすると、どれくらいの数字だろうか。
次にその悩みとあえて正反対の状況を想定し、そう言える“根拠”を探してみる。
例えば「誰々が自分を嫌っている(と考える)」ことが悩みなら「その人と仲が良い(その人が自分を嫌いではない)と感じられることはないか」と思いを巡らす。
「会えば挨拶をしてくれる」「質問したらメールを返してくれた」といったことがあれば、「それほど関係は悪くない」と思えるかもしれない。

「腰が痛い」という身体的な悩みであっても、「腰は痛くない」という反対の考えのもと「できたこと」を挙げてみよう。「散歩に行くことができる」「入浴後は痛みが軽くなる」などというように自分の生活を振り返り、「反対の根拠」を見つけたい。
「例文にあるように、仕事で失敗をして落ち込んでいる場合などでも、誰かが認めてくれたところがあるなら、それを根拠として『失敗ではない』と考えてもいいし、明らかなミスであれば『失敗は成功のもと』と切り替えるのもOK。
昔話の一休さんが『このはし(橋)、渡るべからず』と書かれているのを見て、はし(端)ではなく橋の真ん中を通るというトンチで返したように、発想を転換することが大切です」(同)

質問に答えることで気分が改善する人が多いという。
凝り固まった体を伸ばすようなイメージで、清水教授は「心のラジオ体操」と名付ける。
心の柔軟性を目指して毎日の習慣としたい。

■良い気分になることでストレスを解消する
さて何かストレスがかかる出来事があったとき、乗り切れる人もいれば、落ち込んでしまい、そこからしばらく抜けられない人もいる。
実は、ストレスはその要因の大きさと比例せず、前述したように物の見方にもよるし、その解消法、すなわちレジリエンス(回復力)によっても左右される。

日本医科大学特任教授で心療内科医の海原純子氏がこう話す。
「以前、気持ちを表現しない抑圧傾向の男性がストレスチェックを受けました。
本来めげてしまってもおかしくない状況でしたが、意外にも『心の元気度が高い』という結果でした。
話を聞くと、私が書いている毎日新聞のコラム『新・心のサプリ』を毎回切り抜き、体と心に良いことをいろいろ実践していると(笑)。
たとえストレスをためやすい弱点があったとしても、補うように工夫すれば乗り越えられます」

心の健康を維持するのに不可欠なものは、
(1)深呼吸
(2)適度に体を動かす
(3)睡眠
(4)気持ちを話せる仲間、友人、家族
(5)自然のふれあいの5項目。

海原氏は「いつも同じ手段を選択する人が多い」と指摘する。
「医者の場合、熱が出た患者を診察したときに、可能性がある病名をたくさん挙げ、その中から可能性が高いものを選べることが能力の高さだと言えます。
症状からさまざまなことを読み取る力があれば、患者を治癒に向けて導けます。

同じようにストレスを解消したいときや何かに迷っているときに選択肢が浮かぶ人ほど、問題にぶちあたったときに乗り切りやすくなるでしょう」(海原氏)
人は追い詰められるほど「この選択肢しかない」と思い込みがちだが、トレーニングを積めば複数の選択肢が思いつくようになるとのこと。
誰かと話す、動物を飼う、散歩をする、音楽を演奏する、料理をする、瞑想する、絵を描くなど、集中できる、または良い気分になれる“場所”や“こと”を少しずつ増やしていきたい。

お酒は気持ち良い程度であればいいが、嫌なことから逃げる、忘れるために飲むのは依存となるので注意したい。
海原氏は、自分なりのストレス予防策を立てたり解消することを「心の生活習慣」と呼んでいる。
「どうせ明日も会社に行けば体が汚れるからと、お風呂に入らない人はいないでしょう。
心も同じです。
大変だった日があれば、意識して心を洗いましょう」(同)

あなたは「心をきれいにする何か」をいくつ持っているだろうか。
気持ちをリセットし、ストレス予防や回復力につなげていこう。
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2020年12月13日

GGoToキャンペーン、なぜか止めない菅政権の「反知性主義」という末路

GoToキャンペーン、なぜか止めない菅政権の「反知性主義」という末路
12/12(土) :現代ビジネス
中原 圭介(経済アナリスト)

データを無視する「愚行」
 菅義偉政権が日本の生産性を引き上げるために「中小企業再編論」を掲げています。
中小企業がデジタル投資をしやすい環境をつくると同時に、事業継続が難しい中小企業に対して業態転換を支援するという政策であれば、私も大いに賛同したいところです。
 しかしながら、最低賃金の大幅な引き上げで中小企業の淘汰・廃業を進め、生産性を引き上げようとするのは、データや因果関係を無視した愚かな行為に見えてしまいます。

データをまともに検証することなく、因果関係と相関関係を取り違えて思い込みで進めているのでしょう。
 実際、中小企業庁の近年のデータが示すのは、廃業する企業の中で前年度の純利益が黒字だった企業の割合が高いということです。
 その割合は、実に60%を超えています。
ゾンビ企業より優良企業のほうが廃業している現実を踏まえると、廃業数が増えることで生産性は低下しているというわけです。
 そういった意味では、最低賃金の大幅な引き上げによって廃業を強いる政策が本当に正しいのか、しっかりとデータを検証して議論する必要があります。

 中小企業の生産性をかえって引き下げてしまうリスクについて何一つ語られないのは、違和感を覚えざるをえません。

日本で最も生産性が低いのは「政治家」
インバウンド対応でも間違えた 
 これは以前の連載でも申し上げたことですが、日本で最も生産性が低いのは政治の分野です。
そのことが、コロナ下で見事に浮き彫りとなっています。
 たとえば、安倍政権はインバウンドの経済効果に期待するあまり、コロナの感染拡大が懸念された2月に中国や欧米からの入国制限をためらいました。
多くの識者や国民が指摘していたように、その判断の遅れが国内の感染第1波を拡大させることとなったのです。

 私は当時、別の視点から政府は危ない橋を渡っていると思っていました。
というのも、観光庁の統計から算出すると、2019年の国内旅行消費額のうち、日本人の国内旅行が22兆円で79%を占めている一方で、訪日外国人の旅行は17%にすぎなかったからです。
 結局のところ、訪日客から国内の感染が広がり、小さい収益(訪日インバウンド)を守るために大きい収益(国内インバウンド)を犠牲にしてしまいました。
本末転倒とはまさにこのことです。

 今のところ、GoToトラベルとGoToイートといった政策で穴埋めをしているものの、これは政府のミスを国民の血税で補填しているのと変わりません。
政治の無能に起因する税金の無駄遣いといえるでしょう。
 そうはいっても、安倍政権下での感染拡大にともなうドタバタ劇は、政策効果の有無や反省すべき教訓をたくさん与えてくれたはずです。
それを現在や未来に生かさない手はありません。

菅政権の「愚かな反知性主義」 失策が目立ってきた 
 ところが菅政権下でも、これまでの政策の結果とその効果が検証されている形跡はありません。
安倍政権でのドタバタ劇を教訓としている節もありません。
むしろ、菅首相の過ちを認められない頑固さが目立ってしまっているようです。

 経済活動と感染抑止を両立するという理想に近づけるためには、「経済活動のアクセル」と「感染抑止のブレーキ」を効果的に繰り返していく必要があります。
そのためには、過去の教訓やデータを生かさなければならないわけですが、政府は相も変わらず行き当たりばったりの政策を続けています。
 経済学者のあいだでも、感染の長期化がかえって景気の回復を遅らせるという懸念を示す方々が増えてきています。
もとより感染症学者のあいだでは、政府に対する無力感が広がっています。

菅首相と二階幹事長が観光利権を守るためにGoToトラベルのアクセルを吹かし続けるのも、政治の無能さをさらけだした縮図といえるでしょう。
 過去の歴史が数々の教訓として示しているのは、感染症拡大の主たる原因は人の移動によるものだということです。
菅首相は「GoToトラベルが感染拡大の主たる原因であるとのエビデンス(根拠)は、現在のところ存在しない」と発言しましたが、これは反知性主義に基づく考え方です。
 政府は「GoToの利用が延べ4000万泊を超えてるのに対して、感染者は11月26日時点で202人にとどまる」として事業継続を強行する方針ですが、これでは観光客の感染率は観光に行かない人々の感染率より低いということになってしまいます。子どもでもわかる嘘のデータの流布は、政治への信頼を大いに毀損する行為でもあります。

そは 企業経営にしても国家運営にしても、予想される危機に対しては「小さいうちに早急に」対応するのが鉄則です。
 この点でも、政治の危機管理能力がいかに低いのか、国民は嫌というほど思い知らされたのではないでしょうか。
 歴史や科学を無視する「反知性主義」の政治は早急に改めてもらいたいところです。

政治の劣化が止まらない
 国会は4月に全国民に1人10万円の支給を決めましたが、今ではその効果を検証することができます。
統計が示すところでは、給付金が消費を押し上げる効果は低かったのです。
 実際に、家計が4〜6月期に所得を貯蓄に回した割合は23.1%と、1994年以降で最高を記録しています。
複数の民間のシンクタンクの試算によれば、給付金のうち消費にまわったのは、20〜30%程度しかないということです。  

私は当時から、「全国民に一律に給付金を配るのは、愚かとまではいえないが賢くはない」政策だと考えていました。
それは、コロナ不況が過去の不況と比べてダメージを受けた層が偏っているのがわかっていたからです。
従来の「薄く」「広く」型の対策では効果が限られるのは十分に予想できたことだったのです。
 その結果として、収入が減少した世帯の所得保証が極めて不十分なものになってしまいました。
 当初の政府案だった収入減少世帯に30万円を支給するという案のほうが、対策としては正しかったというわけです。

1人10万円の大盤振る舞いも、効果の検証をすると税金の無駄遣いの部類に相当するでしょう。
 それにもかかわらず、政治の劣化が止まりません。
従来からバラマキに慣れた政治は、コロナ下でさらに勢いを増しているからです。

 与党内では一律給付金の第2弾を求める声が強いといいます。お金を配る手法ばかりが議論される状況には、政治家の政策立案能力が著しく落ちたといわざるをえません。

 たしかに、コロナ下で緊急的な対応として財政の下支えは必要不可欠です。
しかし、成長戦略をどのように打っていくのか、人口減少をどのように抑制していくのか、といった将来への意見はほとんどないのは、非常に心もとないところです。

国会議員は4分の1に減らせる
 政治の生産性を引き上げるにはどうすべきなのでしょうか。
デジタル化が進んだ経済・社会において、国会や政府がお金の使い道を決定する時、必ず振り返らなければならないのは、これまでの政策がもたらした効果を細部にまでわたって検証するということです。
 そのためには、政治のデジタル化・AI化が生産性を上げるカギとなります。

デジタルやAIを理解して使える政治家が増えれば増えるほど、政策の決定プロセスが変わり、政治の可視化(見える化)が進むからです。
 政策の立案にしても予算の配分にしても、人がすべてを決めるからこそ「利権」「しがらみ」「権力闘争」などから抜け出せず、非効率で無駄が多い傾向が強まっていきます。

GoToトラベルや国土強靭化計画などは、その典型的な事例といえるでしょう。
 これに対して、デジタル技術とAIを組み合わせて政治に活用すれば、ビッグデータによって政策のきめ細かい検証が可能となり、過去の政策でいかに無駄が多かったのか如実に判明してしまうでしょう。

もう国民の目はごまかせなくなる
 政治の可視化によって国民の目をごまかせなくなるのは、権力を持つ政治家にとって好き勝手ができなくなります。
政治全体の無能さをさらけ出すことで、個々の政治家が国民のために自己研鑽する良いきっかけにもなりえます。
 正直なところ現状のままでは、政治のデジタル化によって国会議員は今の3分の1、4分の1にリストラするべきです。
今となっては地方の抱える課題は均一化してきていますし、都道府県ごとに国会議員がいる必要はありません。
 それでも国への陳情が必要というのであれば、その役割は知事に一元化すればいいのです。

 政治家のレベルは国民のレベルを映しているといわれます。
日本国民もいい加減目を覚まさなければならない時期に来ているのではないでしょうか。
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2020年12月14日

親しい人が「うつ病」になったら?知っておきたい症状と対応方法

親しい人が「うつ病」になったら?知っておきたい症状と対応方法
12/12(土) yoga(ライター/南 舞)

うつ病と聞くと皆さんはどんなイメージがありますか?
うつ病といっても実はさまざまな症状が現れると言われており、あなたの身近にも当てはまる人がいるかもしれません。
そんな時にどう対応していくと良いか、臨床心理士である筆者がお伝えします。

うつ病にも種類がある?
その違いとは 今や「心の風邪」と呼ばれるくらい、誰にでも起きる可能性が高いと言われているうつ病。
脳内にあるセロトニンやノルアドレナリンなどの心のバランスを保つ物質が減ってしまうことによりエネルギーが欠乏し、主に「強い憂うつ気分・意欲の低下・眠れない・疲れやすい」などの症状が現れると言われます。

実はうつ病の種類によって症状にも微妙な違いがあることを知っていますか?
今回は2種類のうつ病について取りあげます。

(1)メランコリー型うつ病
・「従来の典型的なうつ病」と言われるタイプのうつ病
・仕事や人間関係などへの過剰適応によって、エネルギーが枯渇した状態
・精神症状は一切気分が晴れない、気分の落ち込みは朝がピーク、過度の罪悪感など
・身体症状は食欲不振や体重減少、眠れない、早朝に目が覚めるなど

(2)非定型うつ病
・「新型うつ病」「現代型うつ病」などと呼ばれる新しいタイプのうつ病
・20代から30代の女性に多い
・気分の落ち込みがベースにあるが、楽しいことやストレスを感じない事に対しては気分が上がる(気分反応性)
・精神症状としては遊ぶ時などは一時的に気分が良い、他人を責める思考
・身体症状としては過眠、過食、身体が鉛のような重さがある メランコリー型うつ病と非定型うつ病。

基本の症状は同じなのですが、大きく違うのは「気分が一時的にでも上がるか上がらないか」「睡眠と食欲の状態がどうか」というところ。
非定型うつ病については、その症状の特徴から「わがままである」と思われてしまうことがあり、ついつい「もっと頑張ってみたら?」「やる気あるの?」などと言われて傷ついてしまうということも。

うつ病の人に出会ったら
1.十分に休むよう伝える うつ病の人に大切なことは、とにかく休むこと。休むことに罪悪感を感じてしまいがちなのですが、休むことが何よりも回復への近道です。
もし周囲の人にうつ病の人がいたら、休むように伝えてあげると良いでしょう。

2.病院に行くことを進める
心療内科・精神科というと、「行きづらい」「敷居が高い」というイメージを持たれがちですが、今は通いやすい雰囲気の病院の方が多いので、それもあって最近では様々な年代の受診率も増えてきています。
一人で行くのが抵抗がある場合は、家族など身近な人と一緒に行ってみることを勧めてみても良いでしょう。
病院では、お医者さんの診察によって薬を処方してもらえたり、状態によってはカウンセラーとカウンセリングをしていくこともできます。

3.アドバイスや励ましの言葉には気をつけて
もしあなたが症状のことやうつうつとした気持ちを話されたら「何とかしてあげないと」という気持ちになる人もいるでしょう。
ですが、うつ病の人にとって、良かれと思ったアドバイスや励ましの言葉が裏目に出てしまうこともあります。
無理に何か言葉を掛けようとしなくても、「うんうん」とうなづいてあげたり、「大変だったね、辛かったね」とか「何かできることがあったらいつでも言ってね」など安心できる言葉をかけてあげると良いでしょう。

メランコリー型うつ病も非定型うつ病も多少の違いはありますが、基本的には同じ対応で大丈夫。
うつ病と聞くと「どうやって対応したらよいか…」と悩むこともあるかと思いますが、無理に何かしようとしなくても、話を聞いてあげることだけでも十分なのです。
あなたの対応によって安心できる人がいるかもしれません。
できそうなことから実践してみてくださいね。
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2020年12月15日

ネトウヨ芸人も安倍信者も、社会から消えてもらうのみ

ネトウヨ芸人も安倍信者も、社会から消えてもらうのみ
2020年12月14日 SPA!(倉山 満)

◆ネトウヨ芸人も信者も、社会から消えてもらうのみ
 安倍信者の妄想と迷走、見苦しいこと限りなし。
 長すぎた安倍晋三政権が終わり、拠り所を無くした信者たちは、アメリカのドナルド・トランプ大統領に帰依していた。
専門家は大統領選挙においてトランプ劣勢を伝えていたが、「我らが安倍さん」の次の信仰の対象をトランプに求めた旧安倍信者は聞く耳など持たない。
 そこに付け込んだのがネトウヨ芸人たちだ。
「トランプが負ける要素は何もない!」「アメリカのメディアでも信頼できる情報源はトランプの有利を伝えている!」「最後は必ずトランプが勝つ!」等々、心地の良い言葉を並べ、無知蒙昧なネトウヨ相手の商売に励んだ。

 可哀そうだが、現実は残酷だ。
トランプ本人は見苦しく負けを認めていないが、世界は「トランプ後の世界」に向けて動いている。
 だが、ネトウヨ芸人にとって今は書き入れ時だ。

「不正選挙を許すな!」と言い出した。
これに狂信的なネトウヨは飛びついた。
今や安倍信者は寄生木が無くなり、トランプまでいなくなったら信仰の対象が無くなるので必死なのだ。
そんな信者に芸人たちは甘い言葉で語りかける。

「秘密の情報を教えましょう。米軍特殊部隊がフランクフルトでサーバー押収で急襲した際、銃撃戦となり、米軍、CIA双方に死亡者。
現場に何とCIA長官がおり、負傷して捕まった。
身柄はキューバのグアンタナモ基地に送られ、現在尋問中。同長官が取引に応じている」などと。  ……信じがたいが、こんな情報を垂れ流す人物にお金を払う客が少なからず存在するのだから、驚愕だ。

また、一応はプロの言論人やジャーナリストを名乗る人物が、この手の情報を拡散していたりする。
 ちなみにこれは、ロイターやAPがデマとして報じているフェイクニュースだ。

他にも「オバマ元大統領が逮捕された」など、世界の誰も報じない虚構の世界に浸っているのが狂信的安倍信者のなれの果てだ。
連中は願望と現実の区別がつかなくなっているのだが、そもそもネトウヨたちに言論の正当性などという概念はないのだから何を言っても無駄かもしれない。
 ネトウヨ芸人も信者も、社会から消えてもらうのみ。
長すぎた安倍政権8年の間に、日本の言論界の劣化は極まった。大掃除が必要だろう。

◆政権最初の1年は、積極的支持
 さて、そのご本尊の安倍晋三前首相である。
 改めて私の立場を明言しておく。
 政権最初の1年は、積極的支持だった。
「戦後レジームからの脱却。まず経済」との公約に、私は希望を抱いた。
微力ながら行動を伴う応援をした。
そして最初の1年は日銀人事に勝利し、劇的な景気回復の勢いを見せた。 だから積極的に支持した。

◆ネトウヨのご本尊、安倍晋三前首相の再登板など、検察にとって悪夢に他ならない
 ところが、’13年10月1日に消費増税を宣言。
景気回復を腰折れさせるのは明らかだったが、安倍首相(当時)は、増税を求める時の財務事務次官木下康司の圧力に、無惨にも屈服した。
ここで私は消極的支持に転じた。
他にマシな人材がいなかったからだ。

 事実、その後の6年間、安倍内閣は星の数ほど愚行を繰り返したが、そのすべてをナンチャラ民主党が無かったことにしてくれた。
それでも、再増税は延期、日銀の効果的な金融政策のおかげで、緩やかながら景気回復を続けていた。
 その事情も’19年で変わった。

この年7月の参議院選挙で安倍内閣は消費増税を公約に勝利。
10月に実行した。
私はこの参議院選挙の結果が出た時点で、積極的不支持に転じた。
今年に入ってからはコロナ禍で無能の限りを尽くし、検察人事に介入して大騒動を巻き起こした。
あげく、6月に国会を閉じてからは、与党は「安倍後継」に向けての談合に明け暮れていただけだった。
 当の安倍首相(当時)は明らかに憔悴しきっていたが、一部の佞臣(ねいしん)は「あと4年くらいやってもらいたい」と己の権力保持に邁進、ネトウヨ芸人と信者たちは相変わらず「安倍さんの批判を一切するな!」と高圧的な態度だった。

 見るに見かねた私は、「安倍さん、このまま首相を続けると物理的に死ぬぞ! 佞臣どものタワゴトに耳を貸すな」と訴えた。
これは皮肉ではなく、潔くやめる方が安倍さん本人の為だと考えたからだ。
 幸い8月末、安倍さんは病気を理由に退陣表明を行った。その直後の世論調査では、それまでの不人気が嘘のように劇的な支持率となった。
政治を知らない普通の人から見たら「景気を回復させてくれたし、病気なのに頑張っていたんだ」と映る。
花道への御祝儀だ。
後継は安倍内閣で番頭役だった菅義偉官房長官(当時)となった。
綺麗な辞め方だった。
 しかし、その直後に安倍首相は大手新聞の単独インタビューを受け、回復をアピール。
これでは仮病を疑われても仕方なかろう。
さらに議連を招集、自らの政権の政策は正しかったと訴えた。
 菅首相としたら、面白いはずが無い。
「いつでもお前の代わりに首相を引き受けてやる」と言われているようなものだ。

◆「3度目の安倍内閣」は検察にとって悪夢  
そして、「3度目の安倍内閣」は検察にとって悪夢に他ならない。
 最近、連日のように安倍前首相の政治資金疑惑を読売新聞が報じている。
例の「桜を見る会」で安倍事務所が後援会関係者を供応、その旨を政治資金として届け出なかったとのこと。
ここで読売が報じている意味だ。
この新聞は時の政権や官僚機構との関係が深い。
その読売が連日のスクープということは、リーク元は明らかに検察だ。
また、菅首相が承知していないはずがない。

では、捜査はどこまで及ぶか。
将来はともかく、現段階では強い警告だ。
さすがに、一部の人が期待する「安倍前首相逮捕」は、はしゃぎすぎだ。
 読売が報じている内容は政治資金規正法違反で、これが安倍前首相本人に及ぶとは考えにくい。
だが、それを理由に安倍前首相を事情聴取、他の疑惑を引き出して、という展開なら別だが。

 検察が政治の舞台に登場したら、命懸けだ。
検察には政治的武器がある。「起訴猶予」である。
検察が政治家の疑惑を掴んだ場合、引退などと引き換えに罪を見逃してやる場合がある。
今の時点で検察が狙っているのは、安倍前首相の引退表明だろう。
だが、下手な抵抗をすれば、名誉ある自決すら許されまい。
 安倍さん、現職総理大臣と検察を甘く見ない方がいい。   
     
―[言論ストロングスタイル]―
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2020年12月16日

何もかも場当たりの菅政権「GoTo悶絶退陣」になる様相

何もかも場当たりの菅政権「GoTo悶絶退陣」になる様相
2020/12/15 日刊ゲンダイ

 何もかもが場当たり対応の後手後手。
スッカラカンだったことが改めてハッキリしただろう。
14日、観光支援事業「Go To トラベル」の見直しを表明した菅首相のことだ。

 菅は首相官邸で開かれた新型コロナウイルス感染症対策本部の会合で、東京都、名古屋市を目的地とする旅行への適用を27日まで停止し、両地域を出発地とする旅行は自粛を呼び掛けることを表明。
さらに28日から来年1月11日まで全国一律に一時停止すると明らかにした。

 政府分科会がこれまで再三、「Go To」の一時停止を求めていたのに対し、知らんぷりを続けていた菅。
一転して除外地域の拡大や全国一律の一時停止を決めたのは、内閣支持率が大幅に下落したことと無関係じゃないだろう。  毎日新聞の世論調査で、菅内閣の不支持は49%となり、支持(40%)を大きく逆転。
生出演したニコ生動画では、ニタニタと薄ら笑いを浮かべながら「ガースーです」などと切り出して国民を唖然呆然とさせた。

 これ以上、分科会の提言や世論を無視して「Go To」を続けていれば支持率急落に歯止めがかからなくなると焦り、大幅見直しに踏み込まざるを得なくなったのは容易に想像がつく。

■何も決めずに見切り発車で「Go To」強行
 そもそも時間とカネに余裕のある一部の国民にしか恩恵がないのが「Go To キャンペーン」だ。
そんなバカげた不公平な政策に多額の税金をつぎ込むこと自体が大間違いなのに、官房長官時代から「経済を回すには、Go To事業は欠かせない」と言い続けてきたのが菅だ。

 臨時国会の初の所信表明演説で、新型コロナについて「爆発的な感染を絶対に防ぎ、国民の命と健康を守り抜く」などと声高に叫んでいたものの、具体的な対策を打つどころか、戦略もなし。
その結果が、今の感染者、重症者の急増という惨憺たる状況を招いたのだから開いた口が塞がらない。

 菅は「経済を回す」と繰り返すが、そうであれば万全な体制で「回す」ために取り組むべきことがあったはずだ。
医療体制の充実、医療従事者の確保、新型コロナ陽性者と陰性者の隔離の徹底などで、その上で、「Go To」によって感染者や重症者が増えた場合、いつ、どういう基準に基づいて誰が中止を決断するのか。
その際の国と都道府県の権限や役割をどう分担するのか。
そういったことを事前に何も決めずに見切り発車でキャンペーンを始め、今になって国と都道府県で責任を押し付け合い、ダラダラと小田原評定を続けているのだから国民の間に怒りと不安が広がるのも当然だ。

 国際政治学者で高千穂大教授の五野井郁夫氏がこう言う。
「菅政権は『我慢の3週間』とか言っていれば、春先のようにコロナは何とかなるとタカをくくっていたのでしょう。
要するになめていたのです。
しかし、不支持率と支持率が逆転したために慌てて『Go To』の見直しに動いた。
いまだに政策の失敗を認めず、『欧州と比べれば感染対策はできている』とか言っていますが、東アジアでみれば日本は最低に近い。
この期に及んでも、まだゴマカシ対応しているのだから呆れます」

コロナ対策と向き合わない政治家はドロップアウトが世界の潮流
 自民党の総裁選演説でも所信表明演説でも、菅からは「日本をどういう国にしたい」という国家観がまるで感じられなかった。
記者の質問をはぐらかしたり、官僚を恫喝したりすることは得意だが、しょせんは利権を握るのが目的の政治屋。
日本学術会議会員の任命拒否問題で「総合的、俯瞰的」と言い訳していたが、「総合的、俯瞰的」な視点が最も欠落しているのが菅自身なのだ。

 権力さえ握れば何でもできると勘違いしている典型的な「パワハラ・サディスト」だから、「Go To」見直しを渋っていたのも、おそらく「学者や国民の反発に耳を傾けていたらツケ上がるだけ」「俺が権力者なのだから黙って従えばいい」と思い上がっていたのだろう。

大臣から官僚まで、ウソをつき放題だった安倍前政権も「最低」だったが、菅政権はそれ以上に「最悪」。
そんな無為無策の悪辣政権が何ら政治責任も取らないまま、シレッと「Go To」見直します――と開き直っているのだから許せない。
 支持と不支持が逆転したとはいえ、それでも一定の支持率を維持しているのは、携帯電話の値下げやハンコの廃止、不妊治療の無料化といった若者や女性受けする政策で国民をはぐらかしているからだろうが、それも長くは持たない。
年末に向けて検察案件がズラリと出てくるからで、菅政権のメッキが剥げるのも時間の問題だ。

■誤りを認めず、反省もしない菅政権
 まずは「桜を見る会」の前夜祭問題で、政治資金規正法違反と公選法違反(買収)の疑いが指摘されている安倍前首相の事務所へのガサ入れの可能性だ。
すべての悪事を秘書に押し付けて逃げ切りを図ろうとしている安倍は、記者の囲み取材でヘラヘラしていたが、地検特捜部がこのまま秘書の略式起訴、罰金で済ませたら、それこそ世論は黙っちゃいないだろう。

 公判中の参院議員河井案里被告の公選法違反事件では、同法違反罪に問われた公設秘書の立道被告の懲役1年6月、執行猶予5年の刑が確定。
検察は近く、立道が連座制の対象となる「組織的選挙運動管理者」に当たるとして、案里の当選無効を求める行政訴訟を広島高裁に起こす方針だ。
案里と同じ公選法違反罪で起訴された夫の衆院議員克行元法相の公判も続いており、今後、どんな爆弾証言が法廷で飛び出すか分からない。

仮に「受け取ったカネは官房機密費だ」なんて証言が出てきたら、官房長官だった菅の説明責任が求められるのは避けられない。
 さらに自民党の吉川、西川という元農相2人をめぐる裏金スキャンダルもある。
そろって大臣在任中、広島県の鶏卵生産大手「アキタフーズ」グループの元代表から現金数百万円を受け取っていた疑惑で、「久々のデカい贈収賄事件として特捜部はヤル気マンマン」(検察担当記者)とささやかれている。
これらの事件が続けて立件されれば菅政権はたちまち立ち往生だ。

 政治評論家の森田実氏がこう言う 。
「トランプ大統領や(任期途中で総理を辞めた)安倍前首相はコロナ対策を軽んじて失墜した。
菅首相もコロナについて専門家の意見に真摯に耳を傾けてこなかったため、今になって慌てている。
コロナを甘く見ていたわけです。
コロナ対策と向き合わない政治家はドロップアウトするのは世界の潮流です。

加えて、菅政権というのは学術会議問題もそうですが、誤りを絶対に認めない。
『Go To』もそうです。
誤りを認めず、反省もないのだから国民が怒るのも当然です。
検察もこうした世論に応じて桜疑惑や元農相裏金事件などをきちんと捜査して立件するべきでしょう」

 菅政権の「Go To悶絶退陣」は時間の問題だ。
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2020年12月17日

死刑判決、座間9人殺害「巧みな人心掌握」の恐怖

死刑判決、座間9人殺害「巧みな人心掌握」の恐怖
12/16(水) 東洋経済オンライン
青沼 陽一郎 :作家・ジャーナリスト

  神奈川県座間市のアパートで男女9人の遺体が見つかった事件で、強盗強制性交殺人などの罪に問われた白石隆浩被告(30)に、死刑判決が言い渡された。
 白石被告は、2017年8月から10月にかけて、ツイッターで自殺願望をほのめかす相手を見つけると、自分にも自殺願望があるように見せかけて遺体発見現場となったロフト付きのアパートの部屋に誘い、15歳から26歳までの若者を相次いで殺害している。

 裁判での最大の争点は、被害者が殺害を承諾していたかどうかだった。
 弁護側は、被害者は自らの意思で被告人に会いに行ったことなどから、殺害に同意していたとして承諾殺人を主張。
検察側は、被害者は殺害時に全員抵抗していて、承諾はなかったとして死刑を求刑。
しかも、被告人本人は「承諾はなかった」と主張して弁護側と食い違う異例の展開となった。

 東京地方裁判所立川支部は判決で、被害者はいずれも殺害を承諾していなかったとしたうえで、被告人の証言も信用できるとして、死刑を言い渡している。
 言い渡し直後、裁判長が被告人に「聞こえましたか」と声をかける。
「はい、聞こえました」と答える白石被告。
死刑を認識させる場面も珍しい。

■裁判で感じた「しゃべりのうまさ」
 私(つまり筆者)はこれまで、数多くの死刑判決者あるいは死刑相当事犯の裁判を見てきた。
この裁判でも、傍聴席から白石被告の声を聞いた。
そこでほかの死刑判決者とは違う特徴があることに気付く。

 淡い緑色の大きめの服に身体を通し、黒髪を背中まで無造作に伸ばして法廷で語る白石被告の言葉に、まず感じたことは、しゃべりが上手なことだった。
 高くもなく低くもない声のトーンで、検察官の質問に答えていく。
淡々としている、というより、抑揚を抑えながら言葉が途切れることなく、スムーズに語る。
だから、耳障りもよく、すうっと言葉が頭に入ってくる。
 おそらくは、風俗のスカウトの仕事をしていた経験から、そんな話し方を身につけたと思われるが、そうすることで、相手女性を安心させることも知っていたはずだ。

 もうひとつの特徴は、その話し方に加えて、対人関係におけるスマートな感覚だった。
言い換えれば、自分のことをどう思っているのか、相手を冷静に見る視点と賢さだ。
 これまで観てきた死刑判決者は、どこか対人関係に不器用なところがあった。
コミュニケーションが苦手で、孤立し、やがて犯罪に結びつくことも少なくない。

池袋通り魔事件は仕事先でうまくいかず、早朝に携帯電話にかかってきた無言電話がきっかけで、怒りを顕わに飛び出していく。
先週、最高裁判所が再審を認めない決定をした山口県光市母子殺害事件の元少年も、相手のことなど最初から無視している。

 白石被告の場合、4人目の被害者を殺害する前に、すでにアパートに寝泊まりしていたもう1人の女性がいた。
この女性も自殺をほのめかして、誘い出していた。
だが、殺してはいない。
 その理由を検察に問われると、こう答えている。
 「お金になると思いました」
 「個人的な情報、悩みなどを聞くうちに、収入があることがわかり、お金になると思いました」
 その女性の職業については、「夜の商売です」とだけ答えている。

 そもそも、この犯行に至った最初の動機は「ヒモになりたい」ということだった。
そこに性的欲求が加わり、女性を誘い出し、金づるにならないとなると、性的暴行を加えてから殺害する。
 では、その女性とは性行為に及んだのか。検察が問うと「いえ、していません」ときっぱり答え、その理由をよどみなくこう説明している。
 「性行為をしたほうが親密になる女性と、性行為をしないほうが親密になる女性(がいる)と経験からわかっていたので、しないほうがお金を引っ張れると(思って)、しませんでした」
 「夜の仕事で身体を触られて、プライベートで触られるとウンザリする女性がいることは、スカウトでわかっていたので、しませんでした」
 少なくとも彼なりにそこもよくわかっていた。

■信頼、依存、恋愛のいずれかを抱いていると感じた
 しかも、金を引っ張れると思った理由について、次のように語っている。
 「本当に雰囲気でしか言いようがないですが、私に対して、信頼、依存、恋愛のいずれかを抱いていると感じとったからです」
 そして、4番目に犠牲となる女性とアパートの最寄り駅で落ち合う約束を取り付ける。
だが、アパートに連れ込むとなると、すでに寝泊まりしているもう1人の女性と鉢合わせになる。
そこで、  「事前に、友人が遊びに来るからと話して、アパートから出て行ってもらうように言っていました」
 実際には、この女性は犯行当夜、駅前のカラオケ店で過ごしている。
その間に、白石被告は4番目の女性をアパートに招き入れると、短時間のうちに、  「お金は引っ張れなさそうと判断しました」「雰囲気から収入がなさそうと感じました」  という理由で、ほかの被害者もそうであるように、いきなり背後から襲い、失神させてから性交すると、ロープを首に巻き、そのままロフトを利用して吊して殺害している。
 カラオケ店で過ごした女性は、朝、アパートに戻って来た。
ちょうど浴室で遺体を解体している最中だった。
女性は解体現場を見ている、と供述している。

 このあたりの事情を推測としながらも、白石被告はこう説明している。
 「事前に、ツイッターの方と会って、自殺を手伝って、遺体を解体すると話していたはずです」
 だが、それでは警察に通報されてしまうのではないか、そのおそれはなかったのか、と検察が問う。
 「知り合ってから時間が経ちます。信用、信頼、恋愛、依存の感情を私に向けてきたので、話した結果、例えば警察に話したら、私が捕まって私がいなくなると困ってしまうので、言わないだろうと考えて話しています」
 この女性は、結果的に殺されることもなければ、警察に通報することもなかった。

■悩みや問題がある人のほうが口説きやすい
 白石被告には、こうして相手が自分をどう思っているか、十分に理解して、巧みに操作していたところがある。
むしろ、まるで狩りを楽しむようにコミュニケーションツールを利用して女性を絡め取っていた。
 そもそも、ツイッターで自殺願望のある女性を探したことも、こう語っていた。
 「何か悩みや問題がある人のほうが口説きやすいと思いました。操作しやすいということです」

日本では10代後半から20代、30代の死因の第1位が「自殺」であること、そんな状態が20年以上続いていることは、以前に書いた(座間事件が映す「若年層の死因1位が自殺」の闇)。

白石被告は、希死念慮を持つ若者が多く、付け込みやすいことも知っていた。
対人スキルも心得ていてうまく利用した。
そこがほかの死刑事件と違うところだ。
 白石被告は死刑になっても控訴はしないと法廷で語っていた。
そして、被害者の承諾はなかった、と弁護人と違う主張をして、事件を流暢に語った。
にもかかわらず、反省、悔悟の言葉はなかった。

 裁判が終わってみると、この事件で最も希死念慮に囚われていたのは、白石被告なのかもしれない。
自殺願望を持つ同世代に親近感を抱き、猟奇的犯行をゲームのように楽しみ、それで死刑になることを望んだ。
 そうでなくても、解体した遺体の一部を一般ゴミと一緒に捨てる一方で、被害者の頭部をアパートに置いておいてどうするつもりだったのだろうか。
ため込めば、いつかは追いつめられ、破滅する。
その時を待つかのように、警察がアパートを尋ねてきたときは、観念してごまかすこともしなかった。
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2020年12月18日

菅氏ステーキ会食に批判の嵐…「国民の誤解」発言で火に油

菅氏ステーキ会食に批判の嵐…「国民の誤解」発言で火に油
2020/12/17 日刊ゲンダイ

 菅首相が年末年始の「Go To トラベル」全国一斉停止を発表した直後、東京・銀座の高級ステーキ店で大人数で会食したことに、国内外で批判が広がっている。
 与党内からも苦言が続出しているほか、海外メディアも相次いで報道。
ロイター通信は「国民にパーティーをしないように懇願した後、忘年会に参加したことで批判を集めた」と皮肉交じりに伝えた。

 菅首相は16日、「国民の誤解を招くという意味で、真摯に反省している」と陳謝したが、これがまた火に油を注ぐ結果となった。
 政府の「5人以上の飲食を控える」との注意喚起を菅首相が自ら破ったと国民は「正しく理解」している。
それを「国民の誤解」とはバカにしている。

「首相が有名人や政治家と高級ステーキの夕食を楽しんでいるのを見て、多くの人はいら立っている」と伝えた米紙ワシントン・ポストも“誤解”していると言うのか。
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2020年12月19日

岡田晴恵教授が警告する年始年末の注意点「マスク会食はマスト」

岡田晴恵教授が警告する年始年末の注意点「マスク会食はマスト」
2020年12月18日 女性自身

第3波の不安が広がるなか、いつもと違う年末年始がやってくる。
白鴎大学教授の岡田晴恵先生に、あらためて年末年始ならではのシチュエーションでの注意点、そして感染してしまった場合の対処法を聞いた。

【Q】帰省、会食、買い出し。年末年始ならではの場面の注意点は?

「まず帰省について。私は、なるべく控えたほうがいい、という意見です。
みなさん、ご存じとは思いますが、人が移動するからウイルスも移動する。
健康だと思っていても無症状なだけで感染はしているという方もいます。
安全なほうを選択しては、と思っています。

会食はするのであれば、最近推奨されている“マスク会食”がマスト。
マスク代わりに扇子を口に当てるという人もいますが、小さな飛沫は扇子では防げません。
また、12月末はお正月のための買い出しで小売店が混み合いますよね。
“人ごみができない時期にずらして早めに行く”“家族を連れず一人で行く”などの対策を。
そして、特にお伝えしたいのが、今後起こりうる自宅待機や自宅療養のための備蓄品を買い物リストに入れていただきたいということ。
誰もが感染しうる現状ですから、自分や家族が感染した場合を想定しておく必要があると思います。
現在、政府の方針で、感染者で入院をするのは、重症の場合や、高齢者や基礎疾患があるなど重症化のリスクが高い人にしぼられています。
重症度をはかる基準の一つは“酸素飽和度(血液のなかにどれだけ酸素が含まれているか)”ですので、発熱だけでは重症とみなされず、都道府県が用意した施設での宿泊療養、もしくは自宅療養になる場合があります。
もし自宅待機や自宅療養になっても、年末年始だと休業する小売店もあって、必要なときに必要なものを手に入れられない心配がありますよね。
ですから備蓄はすべき。
リストをつくりましたので、参考になさってください」

【Q】もし自分や家族の感染が疑われた場合、どうしたら?

「まず、感染が疑われる場合には、かかりつけ医に連絡・相談、または居住地の保健センターに連絡して指示を仰ぎましょう。
感染者が出た時点で、感染者が触れた可能性があるものは、すべて消毒や洗濯を行いましょう」

【Q】自分や家族が自宅療養をすることになった場合の注意点は?

「感染者は、同居家族と生活空間を分けましょう。
同居家族も感染している可能性があるため、できる限り外出は控えてください。
感染者の入浴は家族の最後にして、シャワーですませましょう。
洗面所やトイレは感染者が使った後はすみやかに家庭用洗剤で清掃して消毒します。
感染者が使ったパジャマなどの洗濯は、ほかの家族のものと一緒でも大丈夫です。
ただし便などが付着しているときは消毒しましょう。
自宅療養中に急に症状が悪化して即座に医療機関の受診が必要になる場合もあります。
そういうときは慌ててしまいがちですから、もしものときのために事前に医療費のためのお金、保険証、かかりつけ医の診察券、おくすり手帳を準備しておくとよいでしょう」

【Q】看病する側はどうしたら?

「感染拡大防止のため、看病する人は一人に決めます。
看病者は感染リスクが高い妊婦や高齢者、基礎疾患がある人は避けてください。
看病するときの服装ですが、まず接触感染を防ぐために使い捨てのビニール手袋を。
また、ビニールのカッパのような全身を覆うものを着ます。
カッパがなければ、大きなビニール袋を切ってかぶるのでもいいと思います。
目の結膜からも感染するので、ゴーグルやメガネをつけてください。
もちろんマスクもマストです。
看病後は、手袋やマスク、ビニール袋はきちんと処理し、ゴーグルやカッパは消毒してください。手も必ず洗いましょう」

【Q】最後に岡田教授から不安に思う読者へ一言お願いします!

「いつもと違う過ごし方で戸惑う方も多いと思います。
ただ、家のなかでも娯楽はありますし、楽しみを見つけていい年末年始を過ごしていただければと思います」

「女性自身」2020年12月29日号 掲載
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2020年12月20日

低所得は自己責任? 自分さえ良ければいい人増殖社会

低所得は自己責任? 自分さえ良ければいい人増殖社会
12/16(水) 日経ビジネス(河合 薫)

 今回は「努力と自己責任」について、あれこれ考えてみる。
 もうすでにかなり前の出来事のように感じてしまうが、「トランプかバイデンか?
どっちに転んでも、結論が出るのは年明けになるぞ!」と米国大統領選挙に関する報道で、メディアが盛り上がっていた最中、少子化対策を担当する坂本哲志内閣府特命担当大臣(一億総活躍担当)の発言が物議を醸していた。
坂本大臣は、閣議後の記者会見で、現在、中学生までの子供がいる世帯に支給されている「児童手当」のうち、所得が高い世帯にも特例的に月5000円を支給している「特例給付」について、廃止も含めて検討していることを明らかにしたのである。

●「900億円を待機児童解消に充てる」というが……
 さらに、支給額の算定基準が「世帯で最も稼ぎが多い人の収入をベースにする方式」から、「世帯全体の収入を合算する方式」に変更することも検討しているという。
 これらの2つの案が実際に変更されると、約900億円のお金が浮くため、それを菅義偉首相が掲げる待機児童の解消策に充てるのが目的ということだった。

 だがこの「児童手当廃止&世帯収入合算」にはSNSで批判が殺到し、ヤフコメやTwitterは荒れに荒れた。
そこで「まだ検討に入ったというだけで、決まったことではない」と火消しに走ってるらしいのだが……。
 いやぁ、マジすごかったです。
コメントの中にはかなり的を射たものも多かったし、実際に子育てをしている人が、いかに子育てに金がかかるかをつまびらかに書いているコメントもあり、大いに学ばせていただいた。
 興味ある方はググってみていただくとして、おおまかに批判を分けると3つのパターンがあった。

 1つ目は、「削るところはそこじゃないだろ!」「寝てるだけの政治家とか派手な葬儀とか、いらないものもっとあるだろう!」「裁判している議員の給料出すのやめろ!」「もっと先に廃止することたくさんあるでしょうが」といった“そこじゃないだろ!”批判。
 2つ目が、「なんで子供のための資金を、子供支援費から賄おうとするんだ!」「マジで少子化対策やるつもりあんのか?」「子育てに金がかかりすぎるんだよ!」などの“子育て環境”批判。
 そして、3つ目が「世帯収入合算」への反発だった。
 日本は「子供にかける予算」が先進国の中で圧倒的に少なく、親の収入に依存する「家族依存」的な社会経済構造になっているので、基準変更は死活問題となる。
現状では、所得制限は夫婦共働きでも収入が多い方を基準にしており、配偶者と子供2人が扶養に入る4人世帯なら年収960万円が目安となる。
しかし、合算方式になると満額支給されていた手当がゼロとなるケースが生まれる可能性もある。

 そもそも菅首相は所信表明演説で「少子化対策に真正面から取り組み、大きく前進させる」方針を出していたのに、子育て支援の予算を削って待機児童対策に付け替えるのはどう考えてもおかしい。
本気で「子育て安心プラン」と胸を張れるものをまとめるのであれば、「子供にかける予算」を増やす議論や、「所得で区切る根拠」をきちんと示した上で検討すべきだろう。

●麻生財務相が“いつも通り”のコメント
 くしくも、麻生太郎財務相が少子化の原因について、「一番は、『結婚して子供を産んだら大変だ』ばかり言っているからそうなる」などと、いつもどおり性懲りもない発言をしていたけれど(11月18日の衆議院財務金融委員会)、支給額の算定基準を変えれば、「やっぱ産んだら大変なんじゃん!」と思う人は増えるし、少子化対策に効果的とされる「2人目3人目を産みたい!」という社会は期待できない。
 と、あれこれ書いたが、おそらく合算方式の見直しは先送りになる可能性が極めて高いと個人的には考えている。
なんせこれだけコテンパンに集中砲火を浴びたのだ。
なので「児童手当」問題については、政府の方針が決まってから書く。

 じゃ、何を書くのかって?
 はい、冒頭に書いたとおり「努力と自己責任」についてです。
 今回のすさまじい数のコメントの中に、「努力して頑張った人が差別されて、努力もしない人が優遇されるのか?」といった不満が想像以上に多く、それは私がここのところ、肌で感じていた問題そのものだったのである。
 つまり、それらのコメントは「児童手当」へのコメントであって、「児童手当」だけへのコメントではない。
 「日本は、高所得者に不都合な政策が多すぎる」  「いい生活をしたくて自分の時間を削って働いてるのに、努力もしない人が優遇されるのか」  「収入が少ない人に迎合するような政策を次々と打ち出すのはおかしい」  「努力した人や頑張ってる人ほど年収高いんじゃないのか」  「票集めのために、低所得者を優遇するのやめてもらいたい」  「必死で努力して、実力つけて所得増やしてるのに、好きな時間に自由に働いてる非正規でやってる方が楽じゃん」  ……などなど、「低所得=努力してない人」といった、賃金の低さを個人の努力の問題とする意見が散見されたのだ。

 断っておくが、収入を上げるために頑張っている人を批判するつもりは毛頭ない。
 その頑張りが報われない社会になっているのは大いに問題だし、その問題についてはこれまで何回もコラムで取り上げてきた。
 だが、「報われない社会」問題と「低所得=努力してない人」問題は同義ではない。
ましてや「非正規=楽してる人」でもない。
 ところが、悲しいかな、収入の低さは自己責任と考える人が後を絶たない。というか、確実に増えた。
 「学校だって、仕事だって、資格だって、自分の頑張りでいくらでも上を目指せるのに、収入が低いと嘆くのはおかしい」「いやだったら転職すればいいし、自分から行動しないでどうする」などと、自己責任にされてしまうのだ。
 そもそも単なる雇用形態の違いで、賃金格差、待遇格差をもたらしたのは企業の側だ。
安い労働力を求め、賃金を低くし、昇進や昇給の機会や社内教育の機会をなくした。
散々「非正規雇用は調整弁ではない」といっていたのに、コロナ禍で真っ先に切られたのは非正規だった。

●「自助」は自分だけでは完結できない
 コロナ禍では一部をのぞき、多くの人たちの賃金が下がり、ボーナスが下がり、希望退職という名のリストラも拡大した。そんな厳しい状況だからこそ弱者に寄り添うことが大切なのに、なぜか「弱者たたき」が先行し、弱者の話題にすら興味を示さない。

 人は誰しも自分がかわいい。
自己利益を最大限守りたいという欲求が基本構造として組み込まれているので、厳しい状況になればなるほど、自分より楽してる人を許せなくなるかもしれない。
だが、自分さえよければいい……そんな風潮が拡大している。そう思えてならないのだ。

 くだんの「児童手当」へのコメント欄には、生活保護者たたきもあった。
 こんなふうにたたかれたら、「助けて」と言えなくなるよ、と。本当に困っている人ほど「人に迷惑をかけて生きるわけにはいかない」と、自分をそぎ落として生きるしかなくなってしまうだろう。

 頑張ること、勉強すること、「自助」の精神は大切ではある。
 だが、その「自助」は自分だけで完結できるものではない。
他者が絶対的に必要なのだ。
真の自立とは依存先があることで成立する。
自立と依存はコインの表と裏。表裏一体である。
 だいたい「自分の能力や知識」だと信じているものでさえ、他者が深く関係しているのだ。
私たちの重要な情報やスキルの多くは、他者とつながることで共有されている。
互いに刺激しあうことで、自分の能力だって引き出されている。
 努力だって同じだ。

 自己責任論には、「努力する能力はすべての人に宿っている」という前提がある。
しかしながら、めげそうになっても「頑張れ!」と励ましてくれる他者や、「〇〇にチャレンジしてみろ!」と機会を提供して背中を押してくれたり、サポートしてくれる人がいるからこそ、もうひと踏ん張りできる。
 なのに絶好調になると人は、そのことを忘れてしまうのだ。
「他者」というリソースの存在を忘れ、「自分は努力したんだよ。人のせいにするのはおかしい」と批判する。
ちょっとした時間のずれで、努力が実らないことだって往々にしてある。
非正規が量産された氷河期世代は、努力が足りなかったのか?

●「勝ち組・負け組」が流行語だった時代も
 思い起こせば、日本で格差への関心が高まりはじめたのは、「勝ち組・負け組」という言葉が流行語になった2006年ごろからで、08年の年末に日比谷公園につくられた「年越し派遣村」で貧困が可視化された。
 当時は坂本哲志総務政務官(当時)が、「(派遣村は)本当に真面目に働こうとしている人たちが集まっているのか」と述べ、発言の撤回・謝罪に追い込まれるなど、「弱い立場の人を最優先で救済する」という、人間倫理の根幹がまだあの頃の社会では共有されていたように思う。

 実際、政府もリーマン・ショックのときには「派遣切り」を問題視し、「やむを得ない事由がなければ、契約期間満了まで解雇できない」ようにする労働契約法の改正や、同じ会社で契約期間が5年を超えた場合は、無期雇用に転換することを義務付けるなど(本人の申し出による)、非正規労働者を守るための法整備を積極的に進めた。
 もっとも、法律の隙間をつく“あざとい解雇”は跡を絶たなかったし、正社員化が進む一方で、女性やシニア層の「新しい労働者」の多くは非正規で雇用され、非正規で働く人たちは増え続けた。
 それでも、国が「非正規の不安定さ」を議論の俎上(そじょう)に載せ、「人」を主役とするセーフティーネットの整備に動いたことは確かだ。

 一方、先日、菅首相が「アフターコロナに向けた環境に投資する」ための経済対策を指示したと報じられたが、そこにはコロナで浮き彫りになった「非正規雇用」問題や、社会福祉政策への言及はなかった。
 雇用調整助成金の特例措置は、21年1月以降も延長するとされているが、助成規模は縮小される可能性もあるので、体力のある大企業の正社員以外は「明日は我が身」だ。

同一労働同一賃金はおろか、働く場をどうやって確保するか?
 どうやって生活を維持しながら、スキルを磨く機会を得ることができるか?
 コロナ解雇にあった労働者も含めた非正規雇用の在り方を、今、議論しなくてどうする? と思うが、そこへの“温度感”が全く伝わってこない。

 そう、いつだって政府の方針は「私」たちの写し鏡だ。
 もちろん、コロナ禍では「他者と助け合う」人たちもたくさん生まれ、そこに私はアフターコロナの“光”を見た。
だが、同時に厳しさが増す中で、「自分だけ」意識も高まってしまったのではあるまいか。

●日本人の格差意識、なぜ薄い?
 格差の測定方法には研究者の専門によりさまざまだが、非正規の増加が日本全体の所得格差を拡大しているという見解はおおむね一致している。
 高齢化の影響も指摘されるが、経済産業研究所の報告では、米国や英国、ドイツ、スウェーデンでは当てはまらず、日本では若年層と中年層の所得格差が大きな要因だとしている(「日本の所得格差の動向と政策対応のあり方について」)。
 また、日本では「自国を不平等な社会だ」と回答した人の割合が、1999年の39%から2009年には50%と増えているものの、所得格差を表すジニ係数が同じくらいの国と比べると、その割合は低い。
「自国の所得の格差は大きすぎる」という質問でも、「大きすぎる」とする割合が99年の69%から09年には78%に増えているが、ジニ係数が同じくらいの国の中では低い方に属している(格差意識の薄い日本人〜 ISSP 国際比較調査「社会的不平等」から〜)。
 さらに、2007年には「所得格差が大きすぎる」と72%が答えていたが、その比率は徐々に低下し、2012年には56%にまで下がっているとの報告もある(東京大学社会科学研究所が継続して実施している「働き方とライフスタイルの変化に関する全国調査(JLPS)」の第6ウエーブ(2012調査))。

 実際には所得格差が拡大しているのに、「所得格差が大きすぎる」と答える人が年々減少する“パラドックス”は、その他の調査でも確認されている。
 この結果が意味することは何か?
 他人のことを気にする余裕がなくなってしまったのか?
 はたまた「自分さえよければいい」意識の高まりの表れなのか? あるいは両方なのか?。

 一つだけ確かなのは、格差意識の低い社会では機会格差がますます拡大し、格差の固定化が進んでいく。
 それははたして「私」たちが望む社会なのだろうか。
 私はコロナ禍で見えた“光”を信じたいし、頑張らなかったからダメな人、ではなく、世の中捨てたもんじゃないと思える社会を望み続けているのだけど、「私」はどうなのだろうか。
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2020年12月21日

「もし仲間がうつ病になったら何と声をかけるか」……俳優・安田顕が知った「うつ病」のリアル

「もし仲間がうつ病になったら何と声をかけるか」……俳優・安田顕が知った「うつ病」のリアル
12/20(日) 文春オンライン

 将棋棋士の先崎学九段が、自らの経験をもとに執筆したエッセイ『 うつ病九段 プロ棋士が将棋を失くした一年間 』(文春文庫)。
この本を原作にした特集ドラマが12月20日、夜9時よりNHK BSプレミアムにて放送される。
 映像化にあたり、主役の先崎棋士を演じるのは安田顕さん。原作を読み、心を揺さぶられたという。

「『うつ病』というと重くなりがちなテーマですが、淡々とした語り口で、時には真面目に、また時にはユーモラスに、病気に立ち向かっていく姿が描かれています。
先崎さんの将棋に対する思い、病を乗り越えたいという気持ちが伝わり、ぐっときました」

 先崎氏がうつ病と闘っていたのは、将棋界のみならず日本中が藤井聡太ブームに沸いた2017年。
7月のある日、大切な順位戦の盤面に集中できなくなった。
頭のなかでは不安と死のイメージが駆け巡る。
家族は精神科医である兄の先崎章氏に相談、章氏はすぐに入院を勧める。
そこからおよそ8カ月、先崎氏は対局をすべて休み治療に専念することになる。

 安田さんはこの作品を通して、うつ病とはどんなものなのかを改めて知ったという。
「原作や脚本を読んで、うつ病の方がとらわれる希死念慮は『死にたい』ではなく、『死になさい』という脳からの信号なんだと知りました。
またうつ病の症状は人それぞれと聞き、実際に先崎さんご夫妻からお話を伺ったのですが、先崎さん視点で描かれている原作を読むことに加えて奥様の話を伺ったことで、演技への取り組み方が定まりました。
奥様からは、先崎さんがどう見えていたのか。そして何を感じたのか……。
大変デリケートなお話を伺ったのですが、最初にそういうアプローチをさせていただけたことは、とてもありがたかったですね」

もし親しい仲間がうつ病になったら……
 ドラマでは、兄の章氏が先崎氏の顔を見てすぐに入院を勧めるシーンや、病にかかってから初めて棋士仲間に将棋で勝利するシーンなど、安田さんの表情がポイントとなる場面が多い。
「回復期は、感情が戻ってくるということなので、今までやらせていただいた役柄とそれほど違いはありません。
しかし、病の状態が悪いときの無表情のほうは、つくりあげるのがすごく難しかった。
自分の解釈が合っているのか分かりませんが、無表情とはいっても、心は揺れている、しかしそれが表面に出てこない状態なのではないかと。
自分の思いと脳から出る信号が違っている。
改めて、怖い病気だと思いました」

 うつ病は当事者だけでなく、それを支える家族や身近な人にとって負担が大きい病気だ。
家族全員で先崎氏のうつ病と闘うなか、精神科医である章氏は、うつ病の症状に苦しむ弟に繰り返し「必ず治ります」と連絡したという。
うつ病がとても身近な病気である現代、安田さんは章氏のこの対応を心にとどめておきたいと語る。

「もし親しい仲間がうつ病になったら……
考えれば考えるほど涙が出そうになりますけど、医師でない自分が言えることがあるとしたら、『みんな待ってます』かな。この作品から、それを教えてもらいました」

やすだけん/1973年、北海道生まれ。
舞台、映画、ドラマなどを中心に全国的に活動。話題作に次々と出演し、硬派な役から個性的な役まで幅広く演じている。

INFORMATION 特集ドラマ「うつ病九段」

「週刊文春」編集部/週刊文春 2020年12月17日号
posted by 小だぬき at 00:00 | 神奈川 ☁ | Comment(2) | うつ病について | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2020年12月22日

知らず知らずのうちにストレスが蓄積。多忙な年末年始を乗り切る、驚くほど簡単なスキル

知らず知らずのうちにストレスが蓄積。多忙な年末年始を乗り切る、驚くほど簡単なスキル
12/21(月) HARBOR BUSINESS Online<取材・文/山口博>

 年末を迎えて、輪をかけて忙しさが増している人が多いに違いない。
忙しさだけでなく、四半期に1度、年に1度のやり慣れていない仕事や、ほかのメンバーの仕事をカバーするなど、日常の定例業務ではない仕事が多くなる時期だ。

ストレス発生の原因は「ギャップ」
 休暇を楽しみになんとか乗り越えようとモチベーションが上がっていることもあるので、取り組んでいる最中はあまり気にならないものだが、年末年始は知らず知らずのうちにストレスが蓄積されていることが多い。

 ストレスは人間関係、職場環境、業務内容から発生することが多い。
いずれも、それらと自分とのマッチング度合で捉えることができる。
ほかのメンバー、自分と環境、自分と業務が合っていればストレスはあまり感じないし、合っていないと、それがストレスの元になる。

 このように申し上げると、自分とほかのメンバーの何が合っているか、合っていないか考えればよいのだろうかという疑問を持つだろう。
私はそれを、自分のモチベーションファクターとほかのメンバーのモチベーションファクターが合っているか、合っていないかというように捉えている。
 同じように、自分と職場環境、自分と業務内容のモチベーションファクターのマッチング度合で考えれば、ストレスが発生しやすいかどうか把握しやすい。

動機づけすることでギャップを埋める
 モチベーションファクターとは自分の意欲を高める要素で、何によって意欲が高まるかを示すものだ。
日本のビジネスパーソンのそれは、
「目標達成」「自律裁量」「地位権限」「他者協調」「安定保障」「公私調和」の6つにだいたい均等にわかれる。

 自分はチャレンジする目標達成のモチベーションファクターだが、相手は現状維持の安定保障のモチベーションファクターの持ち主で、お互いにそのことを把握していないと、話がすれ違ったり対立が生じやすく、ストレスが発生する。
 ほかのメンバーと交流しながら仕事を進めることを好む、他者協調のモチベーションファクターの持ち主にとっては、ほかの人とコミュニケーションができない在宅勤務の職場環境は、ストレスを生んでしまう。

 やり慣れてない仕事を急に振られると、ストレスを感じることが多いものだ。
自分はユニークな発想で仕事をしたい自律裁量のモチベーションファクターの持ち主だが、指示された仕事は、ひとつひとつエラーをつぶしていく安定保障の仕事だった場合、そこにストレスが生まれるわけだ。

 こうした状況の際に、「上司は選り好みできない」
「仕事だから、自分が好きなことばかりできるわけがない」と自分自身に動機づけすることはひとつの解決方法だが、こうして我慢すること自体がストレスをため続けることになるので、根本的な解決にならない。

 ストレスを発生させないために有効なのは、自分のモチベーションファクターと、相手や環境や仕事のモチベーションファクターの両方を満たすように、動機づけすることだ。

自分と仕事、それぞれの要素をすり合わせる方法
 たとえば、目標達成の人が安定保障の人と取り組む場合は、「リスク回避の方法を考えて(安定保障)、それが実行できるかどうかチャレンジする(目標達成)」というように、両方の人のモチベーションファクターをセットする。
 他者協調の人が在宅勤務で連携が取れない場合は、「在宅で個別に実施して(他者協調が満たされない状態)、その結果を共有フォルダに各自保存して、チーム全員で確認できるようにする(他者協調が満たされる状態)」というように、他者協調が満たされない状態と、満たされる状態の両方を適える状態をつくる。
 自律裁量の人が安定保障の仕事をする場合に、「コツコツとエラーを発見して解消することを実施しながら(安定保障)、エラー解消のための独自の方法を生み出す(自律裁量)」というように、自分と仕事のそれぞれのモチベーションファクターをプロセスに組み込む。

このように、自分と相手、自分と環境、自分と仕事のモチベーションファクターを組み込むと、驚くほどストレスが軽減する。
ストレスを溜めやすいこの時期に、是非試してみていただきたい。

意識的にモチベーションファクターを合致させよう
 質問:モチベーションファクターが合っていない場合の切り替え方法
 自分のモチベーションファクターに合っていない仕事をする際の気持ちの切り替えは、具体的にはどのように行えばよいのでしょうか?

 回答:意識を切り替えて、それらに動機づけをする
 たとえば、「ひとつひとつエラーを見つけていく」という安定保障の人に合った仕事をほかのモチベーションファクターの人がする場合に、自分自身で次のように意識を切り替えるとパフォーマンスが上がりやすくなります。
 上司が部下に業務の指示をする場合にも、相手のモチベーションファクターに合わせて指示の仕方を変えていけば、パフォーマンスが上がりやすくなるのです。
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2020年12月23日

「正義中毒」が蔓延する社会をいかに変えるか――中野信子(脳科学者)【佐藤優の頂上対決】

「正義中毒」が蔓延する社会をいかに変えるか――中野信子(脳科学者)【佐藤優の頂上対決】
12/22(火) ディリー新潮

 激化する不倫バッシングに、些細な失言をあげつらっては炎上させるネット空間。
そしてコロナ禍の中で現れたマスク警察や自粛警察。
平穏な日常が失われた時代に、他人を叩く「正義」が跋扈している。
いまや怪物と化したこの「正義」を制御する方法はあるのか。
脳科学研究からの提言。
 *  *  *
佐藤 帯に「自伝」とある最新作『ペルソナ』を拝読しました。

中野 ありがとうございます。

佐藤 ただ、これは一般的な自伝ではないですね。

中野 そうですね。現在から過去へと遡る形で書いていますし、思考にフォーカスしていますから、時代が前後したり、何があったのか具体的なことには触れずに、その時に感じたことだけを書いているところもあります。
ですから自伝といっても「内面の自伝」なんです。

佐藤 別の言い方をすると「精神の歴史」ですね。
中野先生の生い立ちを追ったり、成績表を見つけたりしてきても、中野さんの心の中までは書けませんから、それを書き残しておくことは大切です。
でも自分のことですから、なかなか書きにくかったでしょう。

中野 しんどかったですね。

佐藤 本の中で、人間というものは、確固たる一貫したものがあるのではなく、さまざまな要素を寄せ集めたモザイク、キメラ(ライオンの頭に山羊の体、蛇の尻尾を持つギリシア神話上の怪物)だという部分には非常に共感しました。

中野 脳から見れば、一貫している方がおかしいんです。
脳は毎晩、夢を見ながら再構成される。
いわば、人間は毎朝生まれ変わっているようなものです。
よく中野信子は何者かわからない、と言われますが、日々、変わっているわけですから、そんなことを言われても困る(笑)。

佐藤 脳から見れば、キメラでない人はいないわけですね。

中野 とくに私たちの世代は、ロスト・ジェネレーションですから。
公害まみれの1970年代に生まれ、凄絶な校内暴力の只中で学生時代を送り、過酷な受験戦争にも晒されてきました。
それを勝ち抜いて入った大学を卒業したら、就職氷河期。
「失われた世代」である私たちは、自我を確立させすぎないことによって、環境に合わせる能力を温存し、生き延びてきたんじゃないかと思うんです。

佐藤 日本全体がどんどん失速していった時代でした。

中野 そうでしたね。
「団塊ジュニア世代」という言い方もありますが、人数が多いというのは、多数の中に埋没することが運命づけられているということです。
集団と個の関係も、かなり意識させられてきました。

佐藤 中野先生は書く仕事、大学で教える仕事、研究する仕事に加えてテレビ出演と、ほんとうに多方面で活躍されています。
当然、それぞれで見せる顔も違っていますよね。

中野 かなり違うと思います。
今年はコロナもあって、やはり書く仕事が増えました。
パソコンの画面に向かっている時間がほとんどでしたね。
そのためなのか、世界の手触りが変わってきたという感覚があります。

佐藤 どういうことですか。

中野 日本人の多くは「不安遺伝子」を持っていて、自分をネガティブな方向に寄せていく傾向があります。
自分が考えているよりももっとダメだと思うことで、何が起きてもたじろがないよう準備をしている。

佐藤 自己防御ですね。
私にもその傾向があります。ネガティブに考えておくことで、自分を守るわけですね。

中野 そうです。でもネガティブに寄せていくと、ほんとうに自分が自信を持つための最後のよすがまで消してしまうことがあります。
だから人は他の人に会うことで、本来の自分の基準はここだとキャリブレーション(較正(こうせい)・調整)しながら生きている。
でも外に出て人とコンタクトする時間が減りましたから、較正の機会が失われてしまった。
それで世界の見え方が変わってきたのだと思います。

佐藤 確かに人と会うことで、自分の立ち位置ははっきりしますね。

中野 人と直接会わなくても、LINEなどSNSでやりとりすればいいじゃないか、と言う人もいますが、そうしたやりとりって、コミュニケーションじゃなくて「自問自答」なんですよね。

佐藤 そう思います。あの短さの中で自分をどう表すかですから。

中野 Zoomでやりとりしている時も、相手の顔を見ているのではなく、そこにある自分の顔を見ている人が多い。

佐藤 Zoomでは、コミュニケーションは深まりませんよ。
すでに知っている学生や作家、編集者が相手なら補助手段になりますが、それは前からの関係があるからです。
初対面の人だと難しい。

中野 変な喩えですが、蟹を食べたことがあれば、カニカマを食べても本物の蟹の味を思い出しますが、食べたことがなければわからない、ですね(笑)。

東大女子の受難
佐藤 自分をネガティブな方向に寄せるというのは、東大女子がバカなフリをする、あれもそうですね。
上野千鶴子先生もよく言われたことですが。

中野 そうしないと生きていけなかったと多くの人が告白していますね。
1994年入学の私の代では、東大の女子の比率は16%程度だったと思います。
工学部に進学するとさらに少なくなり、応用化学科は50人中5人。理学部応用物理科だと、学年に1人とかゼロという年もありました。

佐藤 やはり理系はかなり少ない。

中野 女子の場合、東大に入った時点で「第三の性」みたいな扱いを受けるんです。
東大女子は入れないインカレのサークルがありましたし、入れるサークルでも飲み会となると、男子5千円、女子千円、東大女子3千円と区別されていました。

佐藤 私は外務省時代の1996年から2002年まで教養学部の後期課程で教えていました。
国際関係論と地域文化論の両方が重なっている講座で、国際関係論コースは、内部進学点では法学部よりも高いんですね。
だから独特の雰囲気がありました。

中野 もともと頭のいい子が行くとこではありますが、みなさん、やっぱりすごくプライドをお持ちですよ。

佐藤 東大生は外から見ると、同じ頭で成績のいい人たちですが、文科一類、二類、三類の違いや、学部に上がる際の内部進学点の差などを見ていくと、かなり幅があって非常に面白い。
それを社会に出ても引きずっている東大出身者もいます。

中野 理系は当時、8割方は大学院へ進学しましたが、最近は起業する人が多くなりました。
ただ彼らが考えているのは、起業して3年くらいで大きくし、上場で大金を手にしたらあとは投資家として生きるというモデルではないでしょうか。
社会に資する企業を、粘り強く淡々と作っていこうというのとは少し違っているように思います。

佐藤 この連載や、以前に「プレジデント」でも企業トップと対談をしてきましたが、東大出身のトップはさほどいないんですね。
ボード(取締役会)までは多いのですが。

中野 トップになりたがらないんじゃないですか。

佐藤 やりたがらないのか、それとも何かマイナスの要因があるのか。
私は、東大生の一番の弱点はトレンドに弱いところだと思っているんです。

中野 トレンドに弱い自覚があるからこそ、学歴を必要とする。

佐藤 官僚をはじめ、いろんな東大出身者と付き合ってきて、最近、東大文系の劣位集団の特徴に気がつきました。

中野 へぇ、どんなところですか。

佐藤 大学入試時の2次試験で出た4問の数学の問題について、滔々(とうとう)と話をする人。
僕は2問解けたとか、2問半だとか、ここは部分点がついているとか、お酒を飲みながら2時間以上、それで盛り上がる。

中野 何年も前の話なのに、ちょっと痛々しいですね。

佐藤 普通は問題など覚えていないでしょう。
だから彼らはいま必ずしも幸せじゃないんだな、と思います。
文系の人は特に数学にこだわりますね。

中野 数学はやっかいな分野で、私は「女子なのに数学ができるんだね」と言われたこともあります。
女であることと理系であることが両立しないという浅い通念があった。

佐藤 アカデミズムの世界では、まだまだ女性であることでいろいろ障壁にぶつかるでしょう。

中野 それはもう大変です。
女だと論文書いても「ふーん、子供は産んだの?」とか「旦那はどういう人なの?」と言われますし、独身なら「女を捨てている」とかね。

佐藤 セクハラもあるでしょう。

中野 腐るほどありました。
先生から抱きつかれても「やめてください」と邪険にすると、評価が下がって奨学金を受けるのに不利になるので、告発できないんです。
そういう時の賢明な対処法があって、「先生も疲れているんですね」と、やんわり腕を解いて宥める。

佐藤 そうすると、バカのフリをするではないけれど、自分の感情も意思も押し隠して生きることになる。

中野 何も知らないフリをしながら、例えば心の中に「少年」の自分を飼っておいて、それが分かる人とは通じ合う。
そんな感じでした。

佐藤 お互いに同じようなものを持っている人同士なら分かり合える。

中野 そういう人に出会えると楽しかったですね。
ただ知らないように振る舞うことに慣れてしまうと、本当に自分の基準がわからなくなってくる。

脳内化学物質セロトニン
佐藤 『ペルソナ』にもありますが、中野先生は社会が押し付けてくる正義や健全さに一貫して違和感を表明されています。印象的なのは「正義中毒」という言葉です。
これは中野先生の造語だと思いますが、いつから使い始めたのですか。

中野 今年の初めに『人は、なぜ他人を許せないのか?』という本を出しましたが、もともとはバカ論を書きませんか、というお話でした。
誰かをバカ呼ばわりする時に、ヒトには独特の高揚感が生じるようである。
その生理的機序を考えているうちに、これは「集団バイアス」に関係していると考えるようになりました。
自分たちは正義、他の集団は貶(おとし)めていい、というバイアスです。
そうした現象は世界中に見られます。

佐藤 それがさまざまな紛争の元になっていますね。

中野 私はバカという言葉が好きではないので、この現象についての本を書かせてくださいと掛け合いました。
そして「正義中毒」という言葉に行き当たったんです。

佐藤 そうしたらコロナがやってきて、マスクをしないと糾弾したり、お店を開けているだけで嫌がらせをする正義中毒が次々と出てきた。
自粛警察なんて、まさに正義中毒です。

中野 だから何か予言の書のようになってしまったのですが、コロナ以前から不倫バッシングや不用意な発言の炎上は多々あって、ずっと続いていることですよね。

佐藤 年々、そうした現象が激しくなっている気がします。

中野 私はネットと自然災害によって加速したと考えています。
ネットは多様に見えて、嫌なものはスルーできますね。
SNSは、言ってみれば「同じ意見の繭」です。
そうしたツールが広まる中で、観測史上初めて、というような大きな自然災害が次々に起きた。
そこでは共同体の絆が強調され、一丸となって支援することが求められました。
そこに同調できない人は、悪になったわけです。

佐藤 危機には同調圧力が高まります。

中野 危機に直面すると、正義のありどころがわからなくなるので、自分の正義を振りかざして、社会を守ろうとするんですね。
でも危機ではそれぞれの正義が分散します。
だからスーパーでお惣菜を買おうとしただけで、見知らぬおじさんから「母親ならポテトサラダくらい作ったらどうだ」と言われてしまう。
その人にとっては、母親がお惣菜を買うのは、些細なことでも不正義です。
いまは、そういう現象がどんどん起きている。

佐藤 中野先生はこうした現象を脳からも説明されていますね。

中野 セロトニンですね。
精神の安定や安心感の源となる脳内化学物質ですが、集団形成にも関係し、ネガティブエフェクトとしては、妬みの感情も強めるようなのです。
これは社会の維持に大きな役割を果たす一方、そこから逸脱する者を懲らしめなければ、という感情を引き起こします。

佐藤 それがバッシングになる。

中野 人間は共同体に一定の貢献をし犠牲も払う一方で、利益を享受しています。
そこにただ乗りするフリーライダーを許さない。
それでバッシングが生まれますが、日本人はその傾向が強い。
ただ日本人はセロトニンの量を調節するセロトニントランスポーターの密度は低いんです。
これに関しては、まだ見つかっていない別の要素があるのかもしれません。

佐藤 正義中毒現象はまだまだ続きそうですね。

中野 いまがどれだけ不安定で、社会のリソース(資産)が減っているかという証拠です。
実はもう豊かでない社会を生きているんですよ。
自分よりちょっと得をしているだけでも他人が許せない。

佐藤 それを皮膚感覚でわかっていたのが公明党ですね。
10万円の特別定額給付金は初め、所得制限をつけて30万円給付で進んでいました。
でも例えば年収250万円で線を引いたら、260万円の人はものすごく怒りますよ。
そうすると社会の分断がより深刻になる。
それで彼らが覆した。

中野 どんな金額でも所得制限すれば、反発は避けられないでしょうね。

正義は戦略でしかない
佐藤 中野先生は、フリーライダーたちに、人々が惹きつけられてしまうことも指摘されています。

中野 彼らの多くはダークトライアドと言って、代表的なのはサイコパスです。
脳の内側前頭皮質の活動が活発でないという特徴があります。
集団の価値基準や同調圧力を意に介さず堂々と振る舞うので、あたかもその人の基準が全体の基準のような印象を与え、一部からは強い支持を集めます。

佐藤 いわゆる社会のトリックスターやボーダー(境界性パーソナリティ障害)、ヤクザの中にもいるでしょうね。
みんな、周りを巻き込んでいく特殊な能力を持っていますから。

中野 社会のリソースをうまく掬(すく)い上げられますから、社会で要職にあったり、企業のCEOになる人も多い。
彼らに付いていくと、自分も得をすると思わせる何かがある。

佐藤 だからフォロワーがいる。

中野 短い言葉をうまく使って人を感動させたり、敵をいなしたり、洗脳とまではいかなくても支持を取り付ける特殊能力があります。
それは規範から自由だからそう見えるということもあります。

佐藤 女性にもモテますね。

中野 女性はサイコパス、マキャベリスト、ナルシストの3要素を持っている男性に惹かれやすいことがわかっています。
まさに不倫相手となる男性たちです。
彼らは「新奇探索性」に富み、性的にもアクティブですから、その遺伝子を広く拡散する。
女性にしてみれば、ダークトライアドの男性との子孫を作れば、その子孫もあちこちでその遺伝子をバラまきますから、効率よく自分の遺伝子を残せるわけです。

佐藤 遺伝子に支配されている。

中野 彼らの魅力に抗えないのは、脳の中の古い皮質が私たちに指令を出しているからです。
でも、そもそも結婚の形態は、ある地域に生きる集団にとって、そこで最も繁殖に適した形がスタンダードになったものにすぎません。
それは一夫一婦制も同じです。
実は私たちが「倫理的」ととらえているものは、ごく最近になって形成されたのかもしれず、不倫=悪というのも、一夫一婦制が定着した後に後付けで広まった概念と考えたほうがいいと思います。

佐藤 正義についても同じことがいえますね。

中野 その通りです。
正義も別に不変でも普遍でもなく、ただ種として生き延びるためにビルトインされた戦略のひとつにすぎません。

佐藤 そこが中野先生の思索の核心部分ですね。

中野 もちろん正義は重要ですが、そこだけを強調してしまうと、過剰に自責的になる人たちが出てきます。
私はポジティブ心理学が苦手で、一定の効果はありながらも、かえって鬱になる人を生み出したと思います。
その反動により、ネガティブ感情の意味を考える研究が進んできました。

佐藤 これから中野先生ご自身は、どんな研究をするつもりですか。

中野 グループ・ダイナミクス(人の行動や思考が集団から影響を受け、逆に集団に対しても影響を与える特性)に興味がありますから、集団の意識について、心理学からリサーチしてみたいと思っています。

佐藤 具体的にはどの部分を掘り下げようとしているのですか。

中野 集団の意識を定量化することで、価値や意思が決まりますよね。
まさに民主主義は民意の定量化の仕組みです。

佐藤 その基礎にはみんな同質で同じ存在というアトム的な人間観があります。

中野 でもほんとは違いますよね。
能力も取り巻く環境もみんな違う。
さまざまな人がいるのだから、定量化でない意思決定の方法が必要です。

佐藤 それはファシズムに近くなりませんか。

中野 ファシズムに行かない方向での仕組みは、もう思いついているのですが、どう説明すれば誤解を生まないか、考えています。
民主主義でもファシズムでもないところで、集団の中の民意をどう拾い、どう未来に活かしていくのか、そこを考察していきたいと思っています。


中野信子(なかののぶこ) 
脳科学者 1975年東京生まれ。東京大学工学部応用化学科卒。
2008年同大学院医学系研究科脳神経医学専攻博士課程修了。医学博士。
08〜10年、フランス国立研究所ニューロスピン(高磁場MRIセンター)に勤務。
15年より東日本国際大学教授。
テレビのコメンテーターとしても活躍する。
『サイコパス』『不倫』『悪の脳科学』『空気を読む脳』など著書多数。

    「週刊新潮」2020年12月17日号 掲載
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来年は「いつものように」

香山リカのココロの万華鏡
来年は「いつものように」
毎日新聞2020年12月22日都内版

 長いあいだ精神科医をやっていると、不思議なことがいろいろと起こる。
「いつも同世代の患者さんが多い」というのもそのひとつだ。
20代から30代にかけては若い患者さんを診る機会が多く、40代になるとアラフォー、アラフィフの女性の来院が増えたのだ。
 そして、いま。ミドル世代は相変わらず来院するが、次第にシニアが増えてきた。
よく考えればそれは当然で、クリニックのホームページで医師の年齢を確認して「この人なら同世代だから」と選ぶ人も多いのだろう。
もしかしたら、若い世代で一、二度来院して「この医者、ずいぶん年上で話が合わないな」と離れる人もいる一方で、同じような年齢の人はなんとなく通い続けてくれているのかもしれない。

 そういうわけで、いまは診察室で還暦あたりやさらに年上の人たちと話すことが増えた。
こちらもつい同級生感覚で「そういうこと、ありますよね」などと意気投合する場合も多い。

 最近の話題は、なんといっても「今年はたいへんでした」ということ。
定年で再任用の予定が新型コロナウイルスの影響で取りやめに、施設に入っている母にも遠くに住んでいる孫にも会えない、といった話を聞いて「たいへんですよね」と心から同情している。
 ある時、そんな男性のひとりがこう言った。
「やっている事業、今年は最後のがんばりと思っていましたが、コロナのせいで全面ストップです。
今年はなかったと同じようなものですよ」

 私が「いっそ今年はなかったものと考えるのはどうですか」と言うと、彼はこう返した。「そうしたいけどほら、この1年で白髪とおなかの脂肪が増えちゃって。これだけは“なかったこと”になってくれないんですよ」
 それを聞いて「そうですよね、からだだけは確実に年齢を重ねてるんですよね」と思わず大笑いしてしまった。

これは若い人にはなかなかわからない感覚なのではないか。
 「時よ止まれ、おまえは美しい」というのはドイツの文豪、ゲーテの「ファウスト」に出てくるセリフだっただろうか。
でも、今年に限っては本当に時間が止まった感覚を味わった、という人も少なくないだろう。
そして、それは決して美しくはなく、つらかったりしんどかったりすることも多かった。

 来年こそは、時間がいつものように進み、若い世代もシニアも予定や計画を着々とこなしていける年になるように、と願っている。
            (精神科医)
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2020年12月24日

“自分に都合よい情報”だけを信じる心理、日常生活にどう影響する?

“自分に都合よい情報”だけを信じる心理、日常生活にどう影響する?
12/23(水) オトナンサー

11月の米大統領選では、トランプ、バイデン両候補の支持者の一部がそれぞれにとって都合のよい情報だけを信じて主張し、激しく対立しました。
彼らに限らず、「自分にとって都合のよい情報を選んで、それだけを信じようとする」という傾向は多かれ少なかれ、全ての人の心に潜んでいるのではないのでしょうか。
ネットの世界では、好きな情報、都合のよい情報だけを閲覧できる環境が整っています。

 自分にとって都合のよい情報を選んで、それだけを信じたいという思いが強まると、日常生活にどのような影響があるのでしょうか。
心理カウンセラーの小日向るり子さんに聞きました。

物事にハマりやすい人は強く
Q.人は自分にとって都合のよい情報を選んで、それだけを信じたい傾向があるようですが、この心理は何と呼ばれているのでしょうか。


小日向さん「『確証バイアス』と呼ばれています。
確証バイアスは人間がもともと持っている心理ですが、近年はネットの検索サイトがユーザーの属性(男女別、年代、居住地など)から、『ユーザーが見たいであろう情報』を上位で表示したり、『ユーザーの見たくない情報を遮断する機能』を提供したりするようになっており、見たい情報だけが集まる状態になりやすく、確証バイアスはさらに働きやすくなっていると考えられます。
こうした背景を考えると、興味を持った事象や人物をネットで深掘りしていくことが好きで、物事にハマりやすいタイプの人は確証バイアスが強くなりがちだといえるでしょう」

Q.自分にとって都合のよい情報を選んで、それだけを信じたい思いが強まると、日常生活にどのような影響があるのでしょうか。

小日向さん「バイアスとは『偏り』を意味しますが、日常生活における確証バイアスの影響は『傾倒する』ことだと考えると分かりやすいかもしれません。
例えば、
(1)ある人のファンになると、その人の発信するSNSや好意的な情報だけを信じるようになる
(2)ある思想に傾倒すれば、同じ思想を持つ人の情報だけを信じる
(3)ある情報サイトでの予測が当たると、そのサイトで発信される情報ばかり信じるようになる――などです。

これは、傾倒していく本人にとっては高揚感や安心感、帰属意識の醸成など心地よい感情を持てるため、日常生活が楽しくなる要素が強いです。
しかし、反対意見に激しくかみつく、仲間同士での過剰な結束など、周囲の人から好意的に受け止められない場面も出てきます。
さらに、傾倒したことによって、反社会的な行為や道徳に反する行為につながってしまうと、最終的には、本人も大きな後悔を感じる事態になる可能性があります」

Q.今は「都合のよい情報を選んで信じる」ことをしていない人が知らないうちに、そうした心理状態になる可能性はありますか。ある場合、どのようなことをしていると、そうした心理が強まりやすいのでしょうか。

小日向さん「可能性はあると思います。
例えば、今まで安定した職を得ていた人が急に失業したときです。
そうした場合、ほとんどの人は将来の不安を払拭(ふっしょく)しようと、ネットでキーワード検索をするのではないでしょうか。

そうした際は、これまで意識して中立を心掛けてきた人でも『自分が安心できる情報』ばかりを探すようになってしまいます。
つまり、それが意図したものであってもなくても、精神的に『足元がぐらつく』という不安な状態になってしまうことが確証バイアスを強める要因になるのではないでしょうか」

Q.ネット上には、自分の都合のよい情報だけを信じて、異なる意見を全否定するコメントも見られます。
こうしたコメントを投稿する人は普通のバランス感覚の取れた社会人であることも多いようですが、ネット上と日常生活とで心理を使い分けることができるのでしょうか。

小日向さん「一人の人間が異なる顔を使い分けすることで、心のバランスを取っていることは珍しいことではありません。
むしろ、『バランス感覚のある社会人』ほど異なる顔を使い分けている可能性があります。
なぜなら、有能な人は自分の主義や価値観に確固たるものを持っている傾向が強いのですが、実際の社会に迎合して、バランスよく生きていくためには自分を抑える場面の方が多いのも事実だからです。

そのため、もちろん、自分が信じる情報を世間に浸透させたいがために他の人の反対意見をつぶしている人もいると思いますが、実はそれほどその情報に固執していない人もいると思います。
そうした人は社会生活で抑圧されたストレスを発散させることがメインで、そのために、異なる意見に対して過激なまでに反論しているのではないかと思います」

Q.「自分にとって都合のよい情報を選んで、それだけを信じる」ことがないようにするには、どのようにすればよいでしょうか。

小日向さん「まず、すでに多くの人が感じていると思いますが、ネットで自動表示される情報はすでに選別された情報であるという事実を忘れないようにすることです。
そして、日常生活が都合のよい情報によって振り回されていないかを時々点検することも重要です。
具体的には、自分が満足する情報を得られるまでネットサーフィンをやめられなくなる、書き込みに夢中になるなどにより、睡眠や食事、仕事、入浴といった日常生活が大きく乱れていたら要注意です」

Q.自分に都合のよい情報だけを信じる人は今後も増えていきそうでしょうか。理由も含めて教えてください。

小日向さん「現代はネットの検索機能によって、個人が自由に情報を取捨選択できるようになりました。
また、先述したように、検索サイトも個人に与える情報を操作しています。

実際、心理学のカウンセリングの場でも、本人に都合が悪いアドバイスになると『でも、ネットではこのように書いてあります!』とネットの情報を盾にして、自分に都合がよい言葉を引き出したい心理が垣間見える場面が増えたと感じています。
ネット社会が衰退する可能性は低いと思いますので、やはり、今後もこうした人は増えていくのではないでしょうか」

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2020年12月25日

2021年をよりよくするために!良い目標の立て方

2021年をよりよくするために!良い目標の立て方
2020.12.23 ヵナウ

  2020年の今年はコロナが大流行して、仕事や生活に変化があった人も多いでしょう。
まだまだ収束の見込みもつかず、先が見えないご時世ですが、そんな混沌とした時代の中でも、自分の夢や希望を叶え飛躍の2021年になるように、良い目標の立て方をご紹介します。

まずは今年の振り返りから
今年1年を振り返ることで、より明確なビジョンの2021年の目標が立てられるようになります。
「達成できなかった目標」「出来るようになったこと」「続けられていること」「楽しかったこと、辛かったこと」「失敗したこと」「新しく挑戦したこと」「新しく身につけたスキル」「印象に残っている出会った人」 など、悪い部分を反省するだけでなく、良かった面も振り返ってノートに書き出します。

108個の目標を書き出す
今年の振り返りを踏まえて、2021年どのような目標を掲げ、成就したいのか、せっかくなので煩悩の数108の実現したい目標を書き出しましょう。
内容は、「本を出版」「会社を企業」のような大きなことから「毎日ヨガを続ける」「5キロダイエット」などの日常的なことまで。 「いつも違う選択を心がける」「ポジティブシンキング」など心の在り方の指針なども含めても良いでしょう。
例えば、「彼氏が欲しい」と漠然と書くよりも、「趣味が合うイケメンの彼氏が欲しい」など、なるだけ具体的にすると良いでしょう。

目標を絞り出す
108個の目標の中から、絶対に達成したい8個〜10個くらいの目標を選び出しましょう。
その絞り出した目標を1年間の大きな目標として、それを実現するまでに、具体的に必要ないくつ化のステップを考えます。

例えば「日常レベルの英会話を身につける」という1年を通した目標を立てたとします。
それを実現するために「毎日英会話のリスニングを聞きながら通勤」「外国人の友達を作る」「英会話教室に通う」「外国映画を字幕なしで見る」などです。
全ての目標は手帳などに書き出しておきます。

クリアしたものから印を付けるなどすると他の目標を達成するモチベーションにもなります。
なので、108個も目標の中には、確実にクリアできる目標もいくつか加えておきましょう。

目標を実現化するポイント
「今年こそ10Kgのダイエット!」など、毎年、同じような目標を掲げ、ズルズルと達成できないでいるものもあると思います。
それでも諦めたくない目標はどうしたら実現化できるのでしょうか?
失敗したことを責めない 今までに達成できていないことに対して「なんで出来ないダメな自分なんだ。」と自分を絶対に責めてはいけません。
自己否定は目標達成を遠ざけてしまうのです。

意識を変える
今まで続けてきて達成できていない目標を達成するには、意識改革が必要です。
今までと同じでは、いつまでも同じ失敗のループスパイラルの落とし穴に陥ってしまいます。
例えば、ずっと英会話の勉強を続けているが全く成果が見られない場合。
英会話が出来るようになりたい動機は仕事で海外へ進出したいという理由でやっていたとします。
それを、外国の人を好きになり、彼ともっと話したいから英会話が出来るようになりたいという動機に意識が変わった途端、英会話がグンと上達することもあります。

今までと同じモチベーション、動機、意識、その物事に対する見方ですと、現状維持になってしまいがちなので、目標を達成できないという結果も変わりにくいのです。
なので、目標に対する意識を変えれば、案外すんなりと目標は成就したりしますよ。

行動を変える
意識を変えると行動も自然と変わってくるものです。
しかし、意識的に行動も変えると、目標達成までの流れがより良くスピーディーに変化します。
英会話が上手く喋れるようになりたいという未だ達成出来ない目標があったとします。
仕事で使えるようになるためにという動機から、外国人彼氏ともっと話したいからという動機に意識を変えました。
そして、行動は、英会話教室に通っていたところから、外国人彼氏を含め、外国人の友達と遊ぶ機会を増やすという行動に変えたとします。
「英会話の上達」という同じ目標でも、動機と動機に基づく行動が変われば、今まで達成出来なかったことが、自然と達成、成就できるのです。
さいごに 2021年があなたにとって飛躍の年になりますように。 現状維持、保守的にならず、挑戦し続けましょう。
        (ライター/キタミカ)
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2020年12月26日

備蓄が必要なモノと必要ないモノの見分け方

備蓄が必要なモノと必要ないモノの見分け方
2020.12.26 ダイヤモンドオンライン
石阪京子:片づけアドバイザー

片づけられない人たちの“最後の駆け込み寺”として有名なカリスマ片づけアドバイザー・石阪京子先生の最新刊『一回やれば、一生散らからない「3日片づけ」プログラム
これが最後の片づけ!』が、ついに発売に!在宅ワーク化が進んだり、備蓄も必要だということが分かったwithコロナ時代。捨てるだけの片づけ術では対応しきれなくなった新時代の片づけ術とは?
絶対リバウンドしないための収納方法や家事のやり方とは? この連載では、本書の一部を抜粋しながら、石阪メソッドをご紹介します。
どこにも行けない長期休暇は、家族で楽しみながら3日間の「片づけ合宿」をやってみてはいかがでしょうか?

過不足ない備蓄をするにはどうすればいいのか?
 何を備蓄しておけばよくて、何が不要なのか。なるべくモノを少なくしたいのに、余分なモノまで備蓄する余裕はありませんよね。
詳しくは本書で紹介しておりますが、その考え方の基本をご紹介したいと思います。

 感染症対策の日用品で備蓄しておくのは、売り切れて買えなくなったら衛生上困るモノです。
手を消毒するアルコールジェルや、食品にも使えるアルコールスプレー(例えばドーバー パストリーゼ77)、ビニール手袋などは必ず備蓄しておきましょう。

 また、今回のコロナ禍で売り切れたマスクやトイレットペーパーも、1ヵ月分はストックを用意しておきましょう(量の目安は本書の巻末のリストに)。
また、これらの日用品も不安から買いすぎてしまう人がいますが、「余計なモノを増やさない」ということも大切です。
次の三つを心がけていただければと思います。

(1)定数管理をする
(2)何でもかんでもストックしない
(3)一つで色々な用途に使えるマルチなモノを選ぶ

(1)は、例えば下着や靴下、パジャマやタオルといった生活必需品にも通じるのですが、必要最小限の数しか持たないということです。

 私は、パジャマは2枚、下着や靴下は5枚、タオルは家族の人数+2枚と決めています。
パジャマと靴下は年に2回、春と秋に買い替えますし、タオルは年に一回新しくします。
使い倒して買い替えるので、考えようによっては経済的です。
ちなみに、パジャマは災害時にそのまま外に出てもおかしくないジャージやスウェットがおすすめです。

 また、マスクやアルコールジェル、トイレットペーパーのように感染症が流行した時に買えなくなると困るモノはストックしておく必要がありますが、すべての日用品を+1本ストックしておく必要はありません。

 例えば、歯磨き粉は、なくなりかけたらすぐにわかるし、なくなったとしても命に関わらないですよね。
だから、ストックは持たずに、なくなりかけたら買うということでいいと思います。
対して、サランラップは、残量がわかりにくいので突然なくなってしまう。
そういうモノは1個は余分に持っておいた方がいい。そういう考え方です。

(3)は、一つのアイテムで色々な役割を果たせるモノを選ぶということです。
これは日常の家事のアイテムを選ぶ時にも通じます。詳しくは本書のp170で紹介しています。

【著者からのメッセージ】

たった3日で片づいて、絶対リバウンドしない!
片づけアドバイザーの石阪京子と申します。

新型コロナウイルスの感染拡大を機に、片づけに対する意識は大きく変わりました。
家にいる時間が長くなることで、「家が片づいている人と、散らかっている人とでは圧倒的に幸せ感が違う」という事実に、改めて多くの人が気付かれたと思います。

毎日がバタバタしていて、部屋が散らかっていても、ダイニングテーブルにモノが山積みで家族一緒にご飯を食べられなくても、これまで「仕方ない」「まぁ、いいか」とやり過ごしてきた方は多いでしょう。

でも、家族と家で過ごす時間が増え、他人と気ままに触れ合えない分、日々の暮らしのありがたさや家族の大切さに気が付いた方が多いのではないでしょうか。

だから、今こそ、日々の暮らしや家族との毎日を快適にすることについて、真剣に考えてみませんか? そのスタートとなるのが、「片づけ」です。

これからは「捨てるだけ」の片づけはNG
ここ数年、なるべくモノを持たずに生活する「ミニマリスト」的な生き方も人気でしたが、コロナ禍を機に、やはり、いざという時のためにある程度のモノを「備え」ておかねばならないという意識が高まっているように感じます。

新型コロナウイルスのような感染症ばかりでなく、地震や水害などの自然災害にも備えておかなければ、いざという時、命が守れないこともあります。

備えるためにも、やはり最初に必要なのが「片づけ」です。
モノが多い家は、地震など自然災害の時にも危険です。
また、備蓄品を買っても置き場所がなかったり、万が一の時に必要なモノをさっと取り出せなければ、備えている意味もありません。

withコロナ時代には「備えながらスッキリ暮らせる片づけ方」が求められていると私は考えています。
その方法を書いたのが『一回やれば、一生散らからない「3日片づけ」プログラム これが最後の片づけ!』です。

この冬は家族で「片づけ合宿」に取り組もう
本書の片づけ方法は、最短3日間で家一軒が片づいて、しかも、一回やると一生リバウンドしません。
これまで、何回もいろんな片づけ法にチャレンジして失敗をし続けた方でも、本書の方法通りに行えば、二度と散らからない「最後の片づけ」にすることができます。

旅行に出かけない冬休みは、家族で「片づけ合宿」をするのに最適です。
働き方や暮らし方の価値観がガラリと変わった今だからこそ、二度とリバウンドしない「最後の片づけ」に、本気で取り組んでみてはいかがでしょうか?
posted by 小だぬき at 16:02 | 神奈川 ☁ | Comment(0) | 健康・生活・医療 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2020年12月27日

安倍前首相、「すべて秘書が」で逃げ切れるか

安倍前首相、「すべて秘書が」で逃げ切れるか
検察は不起訴処分でも削がれる政治的影響力
2020/12/26 東洋経済オンライン
泉 宏 : 政治ジャーナリスト

 安倍晋三前首相が12月25日、いわゆる「桜」疑惑で国会招致に応じ、同疑惑をめぐる国会での「事実に反する答弁があった」と虚偽答弁を認めて訂正・謝罪した。
国会での首相答弁の全面的な訂正、謝罪は前代未聞のことで、安倍氏の政治的・道義的責任は極めて重大だ。
菅義偉首相らは「これで『桜疑惑』には政治的区切りがついた」と幕引きモードだが、菅首相の政権運営にとって大きな打撃となるのは確実だ。

年明け以降の政局に不透明感
安倍氏の国会招致が決まったのは、全国のコロナ感染者数が3740人の最多記録を更新したクリスマスイブの24日。
事前報道通りの展開に、政界では「政権と検察当局のなれ合いによる落としどころ」(閣僚経験者)と勘繰る向きも多かった。

今回の国会招致は、コロナ対応の迷走による支持率急落で苦境に立つ菅首相にとって、前政権の「負の遺産」を処理する一環ともなった。
菅首相は2021年9月の自民党総裁選で再選を狙い、そのための「安倍封じの思惑もにじむ」(自民長老)。
一方、25日には吉川貴盛前農水相(22日に心臓病を理由に議員辞職)の議員会館事務所などが家宅捜索された。
政府のコロナ対策の迷走とも合わせて、年明け1月18日召集予定の次期通常国会で、野党が激しく政権批判を繰り広げるのは必至だ。

支持率急落で自民党内には「反菅ムード」も広がり始めており、年明け以降の政局展開は一段と不透明感が増している。
安倍氏の桜疑惑が大きく動いたのは24日昼前のことだった。
桜を見る会前日に主催した夕食会の費用補填問題を捜査してきた東京地検特捜部が、後援会代表の配川博之・公設第1秘書を政治資金規正法違反(不記載)の罪で略式起訴し、安倍氏については嫌疑不十分で不起訴処分にした。
配川氏は罰金100万円を即日納付したことで、一連の捜査が終結。配川氏は辞職した。

安倍氏は、費用補填問題が発覚した2019年11月以降、国会での質疑や記者会見などの場で、「補填などの事実はまったくない」と繰り返し否定してきた。
しかし、24日夕に開いた記者会見では「すべて秘書がやったことで、まったく知らなかった」と釈明したうえで、「国民の皆様や与野党すべての国会議員に対し、深く深くおわび申し上げる」と繰り返した。
記者会見場に白いマスク姿で登場した安倍氏は冒頭の数分間、手元のメモに目を落としながら、虚偽答弁に至った経過について「秘書の報告を信じていた」と連発し、自らの政治的道義的責任は「極めて重い」と繰り返した。
ただ、離党や議員辞職については「国民の信頼回復に努めて、職責を果たしたい」と否定して、首相経験者としての影響力保持への執念をにじませた。

会見参加者は記者クラブに限定 記者会見は合計1時間余り。参加者は自民党記者クラブ所属の記者24人に限定された。
安倍政権時代の官邸官僚が司会を務め、「会議室の使用期限があるので」と言って会見を打ち切るやり方も含め、「まるで(前政権の)再現ドラマ」(閣僚経験者)のような情景が続いた。
安倍氏は、118回にものぼったとされる虚偽答弁の原因について、「総理大臣としての職務に専念をしており、すべて責任者に任せていた」との釈明を繰り返した。
前夜祭の会費5000円についても「5000円ですべて賄っていたという認識で、秘書に何度も確認した」と説明したが、「結果的に自腹を切って経費を補填したのなら、公職選挙法違反になる」などと突っ込まれると、メモを確認しながら言葉に詰まる場面もあった。

ただ、記者団の追及はほぼ同じ質問の繰り返しに終始し、「首相再登板の可能性」を質問する記者もいた。
安倍氏も「まずは国民の信頼回復に全力を注ぐ」と再登板を明確に否定せず、記者会見場に嘆声も広がった。
会見はネットで生中継され、安倍氏が「秘書が…」を繰り返すと、「恥を知れ」「すぐ議員辞職しろ」などの書き込みがあふれた。
その一方で「アベちゃん頑張れ」などの書き込みも多く、前政権時代の「親安倍VS反安倍」の構図が改めて浮き彫りになった。

一方、最大の焦点だった国会招致については、安倍氏側が24日、大島理森衆院議長に「国会答弁に誤りがあった。訂正の機会をいただきたい」と申し出て、大島氏が検討を指示したこと一気に進んだ。
25日の議運委での質疑もNHKなどが生中継したが、野党の追及は24日の記者会見をなぞるような内容に終始。
安倍氏の答弁なども繰り返しが多く、盛り上がりに欠けた。
衆参両院でそれぞれ1時間余にわたって行われた質疑は、衆院では立憲民主の辻元清美と黒岩宇洋両氏、共産党の宮本徹氏ら、2019年から桜疑惑を追及し続けた面々が改めて安倍氏の見解を質した。
かみ合わない衆参の質疑 とくに辻元氏は「民間会社で社長が嘘を言えば、辞職が当然で、会社もつぶれる」などと繰り返し議員辞職を迫った。
安倍氏は「結果として間違った答弁をした責任は私にある」としながらも、24日の記者会見と同様に「一層身を引き締め、研鑽を重ねる」などと議員辞職を否定した。

参院では立憲民主の福山哲郎幹事長が追及に立ち、「答弁訂正で済む話ではない。審議時間を返せ」などと激しい口調で責め立てたが、安倍氏は淡々と同じ答弁を繰り返した。
また、2019年11月に疑惑発覚の端緒となる質問をした共産党の田村智子副委員長も「訂正した収支報告書も不明な部分ばかりだ」などと細部にわたって追及したが、質疑はほとんどかみ合わなかった。

今回の一連の経過を振り返ると、捜査を進めてきた東京地検のリークによるとみられるメディアの報道が先行。
政権擁護派とみられていた読売新聞やNHKが、補填金額の内訳やホテルの領収書の存在などを競うように独自報道した一方、政権批判派とされる朝日新聞が早々と「後援会代表の公設第1秘書が略式起訴、安倍氏は不起訴」などと報じるなど、「違和感だらけの報道合戦」(自民長老)が展開された。
その間、菅首相らは国会での野党の追及にも「捜査中なので答弁は差し控える」とガードを固めていた。
ただ、政界では「官邸が検察の動きを知らないわけがない」(立憲民主幹部)との声が支配的で、与党内でも「検察のリークは官邸と連携したもの」(閣僚経験者)との見方が広がるなど、「真相解明より政治的幕引きばかりが目立った」(同)のは否定しようがない。

検察が捜査終結を明らかにした24日午前には、菅首相は都内のホテルで講演中だった。
講演後の質疑で捜査終結への見解を問われた菅首相は、「内容を承知していない。安倍前首相から説明があると思う」と素っ気ない応答でかわした。
ただ、菅首相は前日の23日午前に上川陽子法相と密談しており、「そこで、検察の対応の報告を受けたはず」(与党幹部)と指摘する声もある。
その菅首相も、官房長官時代に安倍氏の説明をなぞる答弁を繰り返してきた。

24日夜にインタビューに応じた菅首相は「国会において安倍前総理が説明を行ってきたことと事実が違っていた。ここについては重く受け止めたい」と述べ、「必要に応じて前総理に確認しながら答弁した」と繰り返した。
事実と異なる答弁をした原因についても、「私はよくわからない」と答えた一方、「政治の責任で再調査する考えは」との質問に、「(国会で)質疑応答がきちっと行われてきている。(再調査の)予定はない」と素っ気なく否定した。

野党は追及継続の構え
安倍氏の会見と国会招致を受けて、自民党内には「とりあえず区切りがついた」と安どの声が広がる。
年内に安倍氏招致を実現させなければ、次期通常国会で政権が追い詰められる不安が解消したからだ。
26日から事実上の17連休に入るだけに、与党は「コロナの感染拡大は簡単には収まらないが、狂い咲きだった『桜』は年明けには過去の話になる」(自民幹部)と見る向きが多い。
これに対し野党側は「憲政史上の汚点になった。しっかりけじめをつけなければならない」(立憲民主)などと、次期通常国会で安倍氏追及を続ける構えだ。
野党側は「安倍氏がすべて秘書のせいにしても、国民は絶対に信じない」と口を揃え、特に、前夜祭での経費補填だけでなく、巨額な税金が投入された桜を見る会での地元関係者の大量招待は「明確な公職選挙法違反だ」と攻撃する。

そうした中、今回の不起訴処分については、刑事告発した弁護士らが検察審査会による「不起訴不当」を目指して動き出した。
折しも、賭けマージャンによって賭博容疑で告発され、不起訴処分となった黒川弘務・元東京高検検事長について、東京第6検察審査会が23日付けで「違法行為を抑止すべき立場で、社会に与えた影響は大きい」として起訴相当を議決した。

安倍氏についても「近い将来に検察審査会で起訴相当の議決が出る」との見方がある。
それゆえに、不起訴となっても安倍氏は表立った政治活動を自粛せざるを得ない。
菅政権発足後には「2021年4月には細田派に復帰し、領袖となる」とのシナリオが取り沙汰されていたが、「当分は無派閥のまま」との声が広がる。
他派閥からは「院政どころか、当分は閉門蟄居で、(2021年)9月の総裁選でも動けない」との厳しい声も出る。

首相は年末の講演などで、GoTo停止への理解を求めるとともに「これ以上の感染拡大を食い止め、経済をコロナ前の水準に回復させる」と繰り返すが、今のところ事態改善の兆しはない。
なお続く支持率急落に合わせて自民党内では「反菅ムードが広がり始めている」(若手)とされ、年明け以降もコロナ感染拡大が止まらなければ「(菅首相は)9月の総裁任期切れの前に政権危機を迎えかねない」(自民長老)との見方も出始めている。
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2020年12月28日

「心が折れる」という人と考えてみたい"心の形"

「心が折れる」という人と考えてみたい"心の形"
実際のところ、心はどういう形をしているのか
2020/12/27 東洋経済オンライン
いしわたり 淳治 : 作詞家・音楽プロデューサー・作家

あるときから「心が折れる」という表現をよく耳にするようになった。
目標に向かって頑張っていたのに、障害にぶつかって意欲がなくなったり、諦めたりすることを指しているようだ。

「心の形」とは?
この言葉を初めて聞いたときに、私は素直に「えっ、心って棒状だったんだ?」と思ったのを覚えている。
一般的に「心」と言われて思い浮かぶのは“ハートマーク”で、それは平面か、あるいは少し膨らんだ立体の状態で描かれるのが普通だ。
だから、「心が割れた」なら平面だろうし、「心が砕けた」なら立体なのかなと思うが、「心が折れた」となると、実は心は棒状だったということになる。

しかし、実際のところ、心というのはどういう形をしているのだろう。
心にまつわる表現の中には、「心がへこむ」という表現もある。

棒状でかつ、へこむ。
ということは、パイプ状の形をしているのだろう。
中は空洞なのだろうか。
「心を開く」「心にふたをする」という表現もあるから、中に何かを入れられて、閉じ込められる形状をしているのかもしれない。
筒状の容れ物ということだろうか。
ほかにも「心がはずむ」という表現もある。
はずむということは、ゴムのようなものでできているのだろうか。
言われてみるといつまでも心がへこんだままの人はあまりいないので、よほどゴムが劣化しない限りは元に戻るのだろう。

前述の「心が折れる」というのも、もしかしたら過度なストレスによってゴム状の素材がカチカチに劣化した先で起こる現象なのかもしれない。
「心がはずむ」以外にも、「心が揺れ動く」なんて表現もあるから、やっぱり心は元々は柔らかくて弾力のある素材に違いない。
そういえば「心をわしづかみにされる」なんて表現もある。
なるほど。筒の直径は手で握れるくらいなのだろう。
誰の手のサイズを基準にするかで違ってくるが、成人男性の平均的な大きさから考えても、せいぜい直径10p以下くらいだろうか。

ほかにも、「心が晴れる」という表現もある。
晴れるということは、心は基本的には透明な素材でできているのだろう。
普段はきれいに透きとおっているのだが、何かのきっかけで曇ったり濁ったりすることがあるのだろう。

よし、だんだんわかってきた。
心は“ゴムのようなものでできた直径10p以下の透明な筒状の容れ物”なのだ。
いや、待てよ。「心に刻む」という表現もある。これは大きな問題である。
せっかくの透明できれいな心に、私たちは大胆にも文字や映像を刻むことがあるのだという。
何ということだろう。
忘れたくない素敵な言葉や思い出を刻むことで、そのせいで心は曇ってしまわないだろうか。
そういえば、「思い出が邪魔して未来が見えない」なんて面倒くさいことを言い出す人もたまにいるから、何でもかんでも心に刻みすぎるのは、よくないことなのだろう。

心には本当に、本当に、大事なこと以外は刻んではいけないのだ。
これは今すぐ肝に銘じなければならない。

心の「長さ」は?
心にまつわる表現はほかにないだろうか。
うわっ、「心が騒ぐ」という表現もあるではないか。
自分の意思とは関係なく勝手に心がざわざわすることを指す表現だ。
勝手に騒ぎ出すなんて、それはもう心が意思を持った私とは別の生き物であるということである。
かなり衝撃的だが、でもまあ、考えてみれば私たちの腸内にも無数の細菌が暮らしているのだから、今さら体内にほかの生き物がいると言われてもそこまで驚きはしない。

そうか、心は“ゴムのようにやわらかい直径10p以下の透明な筒状のふたのある容れ物に似た私の中に住んでいる生き物”なのか。
と、ここまで考察してもまだわからないのは、その「長さ」である。
「心がせまい」だの「心が広い」だのという表現がある以上、その容積に個人差があることは明らかだ。
大体の直径もわかった今、容積に違いをもたらす要素は長さしかないから、あとは心の長ささえ判明すれば、私の中で「心の形」はバシッと決定するのだけれど。
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2020年12月29日

コロナ禍で軽んじられる看護師の命と罪深き「天使幻想」

コロナ禍で軽んじられる看護師の命と罪深き「天使幻想」
12/27(日) 日経ビジネス(河合 薫)  

「正体がつかめない未知のウイルスへの恐怖に、泣きながら防護服を着るスタッフもいた。
防護服の背中に名前を書いてあげながら、仲間を戦地に送り出しているような気持ちになった」
 「『頑張れ、永寿病院 地元有志一同』の横断幕が目に入り、まだ私たちはここにいてもいいんだと思えた」
 これらは2月26日に脳梗塞の診断で入院した1人の患者さんを起点とする新型コロナウイルスの集団感染が発生し、214人が感染、43人が亡くなった永寿総合病院(東京・台東)の看護師さんたちの言葉である。

●精神的にも肉体的にも限界……
 コロナ感染第1波で“炭鉱のカナリア”となった同病院の院長が、当時の状況をつまびらかに報告・説明したのは2020年7月のこと。
 「私どもの経験をお聞きいただくことで、新型コロナウイルス感染症に対する皆様のご理解や、これからの備えにお役に立てれば」と、院長は会見で話していたけど、再び、いや、“このとき以上”の悲鳴が、日本全国の医療現場で上がっている。  

そして、その悲鳴はもはや「目の前の人をとにかく助けたい」という、医療従事者たちの使命感だけでは乗り切ることができない事態に発展していることは、連日メディアで医師や院長先生が窮状を訴えているので、皆さんもご承知のとおりだ。

 そこで今回は、現場の医療スタッフから話を聞くことができたので、この話題を取り上げようと思う。
 ただし、病院によっては現場の看護師や医師にSNSなどでの発信を禁じているケースもあるし、今回答えてくれた私の知人も、「医療関係者ということ以外の属性は決して出さない」という条件で、掲載を承諾してもらった。
 なので、“いち医療関係者の声”ということで、まずは聞いてほしい。  
「世間では医療崩壊が起きるだの、医療崩壊を起こさないようにしなければだのといったコメントが氾濫していますが、起こる起こらないに関係なく、すでに看護師や医師は精神的にも肉体的にも限界です。
 同僚の中には、家族に『もうやめてほしい』と言われて辞めた人もいます。

 若い看護師の中には子供がいる場合もあるし、みな家族に感染させる不安を抱えているので、1人が辞めてしまうと退職者が続くことも少なくありません。
 幸いうちの病院ではそういった状況にはなっていませんが、もともと職場の人間関係や上司との折り合いが悪かった看護師は、やっぱり辞めちゃいますよね。
 でもね、それを誰が責められますか?
 責められないですよ。それほどまでに疲弊してるんです。

 だいたいコロナ感染の最前線で働いている看護師たちは、通常の業務だけを任されているわけではありません。
患者さんが高齢の場合には、意思疎通が難しく時間がかかったり、着替えやトイレなどの介護業務を兼任したりするケースもあります。
コロナ感染ではさまざまな書類を記録しなくてはいけないので、そういった業務に割かれる時間も負担です。

●犠牲を「美徳」とする空気
 病院からクラスター(感染者集団)は絶対に出せないという恐怖感は、ものすごいプレッシャーです。
看護師は患者さんの検温を繰り返し行い、症状や呼吸器の確認も頻繁に行うので、感染リスクは当然高くなります。
 なのにクラスターを出した病院への誹謗(ひぼう)中傷は、ものすごいです。
プロ意識が欠けているとか、医療従事者として失格だとか。
なんでそこまで言われてしまうのかと情けなくなる。
感染の不安からうつ傾向になってしまう看護師もいるほどです。

 自宅に帰っていないスタッフは、精神的な疲れを癒やす時間もありませんし、院内では飲食の提供をしていた店をクローズしているので、食事ひとつ取るのも大変です。
 ただ……個人的には、今に始まったことじゃないという思いもあります。
確かに今の状況は限度を超えてますが、もともと看護の現場は決して楽なものではありませんでしたし、理不尽を感じることも度々ありました。
 夜勤できる看護師は限られていますので、よほど経営状態がいい病院以外は慢性的に人手不足です。
世の中には看護師の給料は高いと思い込んでいる人もいるようですが、決して高くありません。
 そもそも医師と看護師は両方とも専門職として対等なのに、医師の下に看護師がいるという、いわば看護師を医師の補助的な役割とする昔ながらの認識がいまだに強く残っているんです。

 それって、どういう意味かわかります?
 看護師という仕事では、常に女性性が求められてしまうのです。
もちろん患者さんに寄り添った看護はプロとして必要です。
 でも、『女だからこれくらいして当たり前』といった見方が強い。
『女の癖にこんなこともできないのか』と叱られることもあります。
なのに産休が取りづらい空気があり、出産と育児のために退職し、その後、非常勤で勤めているというパターンが多いんです。
 極論を言うと、患者さんや医師のために自分を犠牲にしてでも、身を粉にして働くことが美徳とされてしまうのです。
そういった空気が、コロナ感染拡大でも余計に看護師たちを追い詰めているんじゃないでしょうか」

 ……さて、いかがだろうか。
 件のコメントにあったような連鎖退職は、今後さらに増えるのではないか。
私がコンタクトした他の医療関係者も、そのことを懸念していた。
第1波における、4月の緊急事態宣言のときも、松井一郎大阪市長が、「医療崩壊させないためのとりで」としてコロナ専門病院に位置付けた大阪市立十三市民病院では、多くの離職者が出た。
コロナ患者が一時的に減った6月ごろから医師や看護師らの離職が相次ぎ、10月までに医師4人、看護師14人を含む25人ほどの職員が病院を離れてしまったのだ(12月2日付朝日新聞)。

 朝日新聞の取材によれば、今回の第3波で病院を運営する地方独立行政法人大阪市民病院機構や市などは、市立総合医療センターなどから、看護師や医師を十三市民病院に派遣することを決めたという。
 しかし、十三市民病院の西口幸雄院長は「精神的な負担を考えると、離職を防げないかもしれない。
やっていけるのかという不安は変わらない」とコメントしている。

●今起きている問題、根っこはコロナ前から
 また、自衛隊の「看護官」ら10人が、旭川市の病院と福祉施設に派遣され、12月15日には7人が大阪市に設置される大阪コロナ重症センターに派遣されることになったが、看護官たちが普段勤務している自衛隊の病院でも多くのコロナ感染者を受け入れているので人手は限られる。
 岸信夫防衛相が「(医官と看護官の)余力を精査しているところ。
派遣要請をそのまま受け入れるのは困難を伴うと思う。
現段階ではできる限り対処していきたい」と12月8日の記者会見で述べたように、“看護官”も“看護師”と一緒。
厳しい状況で身を粉にして働いてるのだ。

 そして、何よりも問題なのは、もともと医師、看護師は、介護士と同様に人手不足が深刻な職種の代名詞で、1990年に1万2199床あった感染病床は、2019年には1888床まで減少しており(厚労省「令和元(2019)年医療施設(動態)調査・病院報告の概況」)、今回のようなパンデミックに耐えられる状況ではなかった。
 “医療崩壊”という言葉から、あたかも医療現場のひっ迫ぶりは「コロナによるもの」と受け止められがちだが、これまで繰り返し書いているとおり、コロナ禍で起きているすべての問題はコロナ前の社会に内在していたもので、それが顕在化したにすぎない。

 冒頭の医療従事者の話からもわかるように、医療現場にかねてあった“ひずみ”がコロナ感染拡大で、より激しくなってしまったのだ。
 だいたい夏前から「冬場の感染者は増える」と専門家たちが散々警戒を促していたのに、悲しいかなその声は届かなかった。
もちろん国だって何もしなかったわけではないし、それなりの準備はしてはいたのだろう。
が、備えは薄かったと言わざるを得ない。

 NHKが全国の医療機関で感染対策にあたる看護師を対象に調査したところ、「医療用の手袋が不足している」とおよそ60%が回答(「しつつある」も含む)。
価格が2倍以上になり、病院の経営もギリギリなので入手困難になっているという(12月8日付NHKサイトなど)。
 6月には厚労省が在庫が底を突きそうな医療機関を対象に優先的に配布したけど、全く足りていない。
世界的な品不足に加え医療現場以外の「必ずしも必要ではない人」たちが購入しているなど、「必要な人に必要なモノ」が届くようにコントロールできていないのだ。

●軽んじられる看護師たちの命
 必要な人も、必要な物も、必要な金も、足りていないのに、現場の人たちには「やる」という選択肢しかない。
いつだって不合理のしわよせは現場に押し付けられる。
医師も、看護師も、介護士も、保健師も、「労働者」である以前に「人」なのに、「人」として守られていないのだ。
 そんなギリギリの状態で「私」たちを助けるために踏ん張っている人たちに、刃を向ける人たちもいる。
あれだけ第1波のときにも、「医療従事者に心ない言葉をぶつけるのはやめて!」と医師たちが声を大にして訴えたのに、今もなお、医療従事者差別なるものが「ある」と知人の一人は断言する。

 大阪府が5〜7月に、新型コロナ対応にあたる医療従事者約1200人を対象に実施した調査では、13%が「中等度以上のうつ症状」にあることがわかり、日本赤十字医療センターが4〜5月に2000人に行った調査でも、3割が「うつ状態」。
 「人の命は何よりも重い」と誰もが言うけど、医師や看護師の命は?
 目の前の命を助けるために奮闘している人たちの命が軽んじられている。

医者は聖職でもなければ、看護師は天使でもない。
私たちと同じ「人」だ。
 なのに、その“当たり前”が忘れられている。
いや、正確には「忘れ続けられている」。
 その結果として、再び医療現場が戦場と化してしまったのだ。

 前述したとおり人手不足の代名詞である看護師だが、看護師の数自体は増えているのに全く足りていないという、日本ならではの問題がある。
 例えば、看護師の数だけを見ると08年の約87万7000人から、18年は約121万9000人で、10年間で約1.4倍も増加している(厚生労働省「平成30年衛生行政報告例の概況」)。
 また、海外と比較しても人口1000人あたりの看護師数は11.8人で、OECDの平均を上回り看護師の数は決して少なくない[Nurses(indicator)。
doi: 10.1787/283e64deen]。

 一方、制度が異なるので単純に比較はできないけど、病院ベッド100床あたりの看護師数はドイツやフランスの半分程度しかいないのに、看護資格の必要のない仕事(ベッドメーキング、配膳、薬剤などの在庫管理、心電図モニターの保守点検など)や医師の業務を任されていて、「看護師は専門職としてではなく、使いやすい安価な労働力とされ続けている」という批判もある。
 医療現場に代表されるヒューマンサービスの現場では、相手の人格やプライベートにまで踏み込んだ理解が必要な場合もあり、そこに費やされるエネルギーは並大抵ではないのに、看護師は「低賃金で都合よく使われている」。

 その背景にあるのが、看護師=医師の補助的な仕事=女性の仕事 という価値観の根深さだ。

●柔軟な働き方ができない看護師のリアル
 最近は、病院に行くと男性看護師が増えていると実感する人も多いかもしれないけど、男性看護師割合は7.3%(平成28年衛生行政報告例の概況)。
つまり、看護職は90%以上が女性で、「働く女性の20人に1人が看護職」といわれるほどジェンダー化されている。
 冒頭の医療関係者が指摘するように、育児との両立が難しいどころか、育児休暇を取るのも厳しい。
夜勤もあるので、家族の理解も必要になる。
 女性が活躍している職業なのに、女性であることの犠牲を強いられる。
柔軟な働き方だの、育児と仕事の両立だのといわれるのに、それができない環境がある。

看護師の数は増え続けているのに、その陰では(65歳以下で資格を持っているのに、現職の看護師として臨床現場で働いていない)潜在看護師も増え続けているという悪循環が生じている。
 一方、ジェンダー化されていることで、「男なんだから機械に強いでしょ」「男なんだからこれ運んで」といった男性看護師差別問題もあとを絶たない。

 厚生労働省の推計によれば2025年には6万〜27万人の看護師が不足すると推計されているのに、看護師さんたちが安心して働き続けられる環境になっていないのだ。
4年に1度行われる「平成30年度 厚生労働科学特別研究事業 『看護職員確保対策に向けた看護職及び医療機関等の実態調査』」でも、様々な事情や希望に対応した、柔軟な働き方ができるような環境整備が職場に求められていることがわかっている。
 そんな状況で起きたコロナ感染拡大。
今、この時間も必死で働いている医療関係者たちのために、私たちができること。
それぞれの立場でできること。たくさんある。
どうか誹謗中傷や差別だけは絶対にやめてください。
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2020年12月30日

悲しい別れが多かったけれど…来年こそは明るい一年に!

山田邦子 人生いろいろ
悲しい別れが多かったけれど…来年こそは明るい一年に!
2020/12/29 日刊ゲンダイ

今年もいよいよ後少し。中止になった仕事もたくさんあったけど来年以降も続くようないくつかの新しい仕事とも巡り合った。
多くの友人に支えられ、どさくさに紛れて還暦も迎え、何よりも動ける体に、そして健康に感謝した。
 残念だが、悲しい別れもあった。
大先輩・内海桂子さん、浅香光代さん、林家こん平さん、小松政夫さん。お別れは仕方のないことかもしれないが、寂しい。来年2月になっても、もう桂子師匠と一緒に豆まきが出来ない。
小松さんは、バラエティー番組などでもたくさん共演させていただいたが、電線音頭やしらけ鳥、どーかひとつ長い目で、知らない知らない、アンタはエライ、ベンベラベラベラベン〜などなど、ギャグの宝庫。

中でも私は“小松の親分さん”が大好きで今でも気分を上げたい時には楽屋や、誰もいなければ道路でもツーステップをしながらやっている。
特に落ち込んだ時などにやると、全てがバカバカしくなってあっという間に元気になるので後輩や知人にもオススメしている。
実際の小松さんはクールでスマートだった。

 2020年は他にもいくつかの悲しいお別れが。
カッコ良かった・宍戸錠さん、上着をくれた・梓みちよさん、ダンディー・志村けんさん、ズバズバ明るい・岡江久美子さん、銀座でお花を買ってくれて「隠れファンです」と言ってくれた・渡哲也さん、可哀想だった・木村花さん、三浦春馬くん、竹内結子さん、いつもカッ飛んでいて元気な・山本寛斎さん、高田賢三さん、素晴らしい・坂田藤十郎さん他々、そして 天才・堅田喜三久さんも12月17日に虚血性心不全で亡くなった。

85歳。歌舞伎長唄囃子、鳴り物の人間国宝。
まさに日本の宝が逝ってしまった。
演奏、たたずまい、呼吸、その全てが一流で、初めて会った瞬間からとりこに。
邦楽の番組、公演、イベントなどでお世話になり「邦子ちゃんのことだったら」と、ペーペーの私ごときの発表会の演奏にも特別に加わってくださり、ありえない幸せをありがとうございました。

素顔はサングラスに革ジャンの時もあり、サッと現れ、お名前のとおり“きさく”な“かた”だった。
今年はコロナで流れてお会いできなかったが来年はまたずうずうしくもお願いしたい演奏会があった。残念だ。謹んでお悔やみ申し上げます。  さあいよいよ新年が来ます。

2021年は明るい年にしたいですね。
先輩たちが残してくれた良いものは受け継ぎ、新しいチャレンジもしていきますのでど
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2020年12月31日

病床逼迫・大寒波・変異種…新型コロナが日本の正月を直撃

病床逼迫・大寒波・変異種…新型コロナが日本の正月を直撃
2020/12/29 日刊ゲンダイ

 新型コロナウイルス第3波の勢いが止まらない。
27日までの1週間平均の新規感染者数は3000人超と過去最多水準が続く。
28日から「Go To トラベル」が全国で一時停止されたが、時すでに遅し。
好転の兆しが全く見えない中、迎える年末年始。
新型コロナの3つの悪材料が横たわる。

【病床逼迫】
 医療提供体制は深刻な状態だ。
25日の厚労省の発表によると、コロナ感染者用の病床使用率は、23日時点で大阪67%、兵庫62%、群馬62%、高知60%、東京54%など8都道府県で、病床逼迫が最も深刻なステージ4(爆発的感染拡大)の指標50%を上回った。

ステージ3(感染急増)の指標25%超は、先月4日時点で5都府県だったが、23日時点では26都道府県と5倍超に膨れ上が っている。

 病床が逼迫する中、コロナ患者が増えるとの予測もある。
26日時点の東京都の患者(入院、宿泊、自宅療養、調整中の合計)は約7000人。27日時点のグーグルの予測は、12月24日から1月20日の28日間で都の患者数は、1日当たり最大1万2000人超と見込んでいる。
 医療提供体制が手薄になる年末年始に患者急増とは踏んだり蹴ったりである。

【大寒波】
 今年は30日ごろから日本上空に強い寒気が流れ込み、大寒波が列島を襲う見通しだ。
寒波は年明けまで居座るとみられている。
気象庁によると、正月三が日の東京の平年の最低気温は1・4〜1・6度だが、今年はマイナス1〜0度の予報だ。
27日の最低気温は5度程度で、正月は今より5〜6度程度低い。

北京大のグループは、気温が1度下がると感染者が約3%増えると解析している。
単純計算すると、気温要因で現在より15〜18%も感染者が増えかねない。

【変異種】
 英国で確認された感染力1・7倍の変異種ウイルスは世界各国に感染が広がっている。
日本でも、とうとう空港検疫以外で2人の感染が確認された。
さらには27日、英国滞在歴のある50代女性が、帰国時の検疫では陰性だったものの、その後、陽性だと分かった。
検疫をすり抜けての確認で、「水際対策」の限界が明らかになった。

ウイルスが市中に広がっている可能性も出てきたわけだ。
 加えて、日本で変異種ウイルスが発生する懸念もある。
「1日数万人の感染者が出ている欧米やアフリカに比べて、日本の感染者数はケタが少ないので、可能性は低いですが、日本国内で感染力が高い変異種が発生することも考えられます。
水際対策に加えて、日本で起きる変異にも警戒すべきでしょう。
英国はウイルスの遺伝子配列をしっかり調査していたので、変異種を早期に発見できました。ところが、日本の感染研などはウイルスの遺伝子調査や情報公開に後ろ向きです。タイムリーにウイルスの変異情報をつかんで対応できるのか疑問です」(医療ガバナンス研究所理事長・上昌広氏)
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安倍政権がコロナ対応よりも言論弾圧に必死!『モーニングショー』や岡田晴恵教授を標的、デマと詐術を駆使して批判を封じ込め

安倍政権がコロナ対応よりも言論弾圧に必死!『モーニングショー』や岡田晴恵教授を標的、デマと詐術を駆使して批判を封じ込め
2020.12.31  リテラ  2020年も、

残すところあとわずか。本サイトで今年報じた記事のなかで、反響の多かった記事をあらためてお届けしたい。 (編集部)
*************
【2020.03.07初出】
 新型コロナ対応の後手後手ぶりに批判が集まっている政府が、ここにきて言論弾圧に乗り出してきた。
始まりは一昨日5日、厚労省の公式ツイッターが『羽鳥慎一モーニングショー』(テレビ朝日)の報道内容に反論、あたかも同番組がデマを報じたかのような投稿をおこなったことだ。
 ところが、「デマ」を流していたのは番組ではなく厚労省のほうだった。

昨日6日放送の『モーニングショー』が真正面から検証して反論した結果、厚労省側がツイート内容を自ら「訂正」したのである。
 まずは事の経緯を整理しよう。
4日放送の『モーニングショー』では医療現場でのマスク不足に言及。
京都府保険医協会が会員を対象におこなった緊急アンケートでも病院の約9割がマスクが足りないという結果が出たことや、番組に連日ゲスト出演している池袋大谷クリニックの大谷義夫院長が、自身の病院でもマスク不足、とりわけ検体採取などの際に装着するN95マスクが足りなくなってきていることを紹介した上で、同じくゲスト出演していた岡田晴恵・白鴎大学教授が「まずは医療機関に配らなきゃだめです。みなさん欲しいのはごもっともなんですけども、医療を守らなくては治療ができませんから、医療機関、とくに呼吸器関係をやっている人に重点的に配っていく(ことが重要)」と提言をおこなっていた。

 だが、この放送の翌5日午前7時43分、つまり番組放送直前に、厚労省の公式ツイッターアカウントが、こんなツイートを連投したのだ。
〈3月4日午前8時からの「羽鳥慎一モーニングショー」の出演者から、「まずは医療機関に配らなければだめ。医療を守らなければ治療ができないから、医療機関、特に呼吸器関係をやっている人に重点的に配っていく 」とのコメントがありました。〉
〈厚生労働省では、感染症指定医療機関への医療用マスクの優先供給を行ったほか、都道府県の備蓄用マスクの活用や日本医師会や日本歯科医師会のルートを活用した優先配布の仕組みをお知らせしています。〉
〈最終的に全ての医療機関に十分なマスクが届くことが必要であり、引き続き、マスクの増産や全ての医療機関を対象とした優先供給を進めてまいります。〉

 厚労省が直々に、番組名を名指しした上、岡田教授の発言をわざわざ取り上げて「感染症指定医療機関への医療用マスクの優先供給を行った」「日本医師会や日本歯科医師会のルートを活用して優先配布の仕組みを知らせている」と喧伝する──。
これははっきり言って、異常な情報発信であるだけでなく、その主張も言いがかりとしか呼べないシロモノだ。

 前述したように、『モーニングショー』では医療現場でマスク不足に陥っているという医療従事者の声を中心に客観的事実を伝えただけ。
実際、それはデマでもなんでもなく、3日には千葉市の熊谷俊人市長が「N95マスクなど医療用マスクが特に不足している」とツイートして寄付を募っていたほどの状況なのだ。
だいたい、医療現場のマスク不足問題は『モーニングショー』だけが指摘していることではなく、他のワイドショーやニュース番組でも取り上げられている。
なのに、厚労省はわざわざ『モーニングショー』を名指しし、医療機関全般の話を「感染症指定医療機関」の話にすり替え、まるで同番組がデマを流しているかのような投稿をおこなったのだ。
しかも番組放送直前に、である。

 だが、名指しされた『モーニングショー』は黙っていなかった。翌6日放送の番組内で、この厚労省のツイートを紹介した上で、番組がおこなった感染症指定医療機関への取材結果を報告。
たとえば、北海道のある指定医療機関では「おととい1万枚納入された。
1日3000枚使うので十分ではないがありがたい」と述べる一方で、神奈川県のある指定医療機関は「国からマスクは届いていない」と回答、東海地方のある指定医療機関も「今のところ優先されている感じはしない。今後支給するという通知もない」と回答を寄せたのだ。

 厚労省はツイートで〈感染症指定医療機関への医療用マスクの優先供給を行った〉と断言したが、実際には医療用マスクが届いていない、通知もない指定医療機関があったのである。
 そして、『モーニングショー』は5日夜、厚労省担当者に対し、こうした感染症指定医療機関への取材結果をもとに取材。すると、厚労省担当者はこう述べたというのだ。
「『マスクの優先供給を行った』については言いすぎた表現。
『行っている』『開始した』が正しい」

 さらに、〈都道府県の備蓄用マスクの活用や日本医師会や日本歯科医師会のルートを活用した優先配布の仕組みをお知らせしています〉とツイートしたことについても、厚労省担当者は「訂正したい。そんなことは国会でも言っていない」と述べたという。
 ようするに、厚労省は番組名を名指しして「デマ」よばわりしたが、実際は「デマ」を流していたのは自分たちだったことを、認めたのだ。

首相官邸も『モーニングショー』の正当な安倍首相批判をインチキな論理で封じ込め  厚労省が流した情報が「デマ」であることを取材によってあきらかにし、直接厚労省に突きつけた『モーニングショー』には拍手を送りたいが、今回の厚労省のツイートは重大な問題だ。
というのも、新型コロナにかんしては、厚労省や首相官邸が発信する情報は一次情報として扱われ、信頼のある情報だという前提があるからだ。
にもかかわらず、その厚労省の公式ツイッターアカウントが「デマ潰し」を装って、特定番組を名指しして逆にデマを流した。
これにより『モーニングショー』への信頼は大きく失墜させられたことは間違いない。

 玉川徹氏は番組内で「僕の疑問なのは、なぜうちの番組の名前を名指しで、この時期にこのツイッターを出したかなんですよ」と指摘していたが、じつは『モーニングショー』を名指しして報道内容にいちゃもんをつけたのは厚労省だけではない。6日午前1時35分にも、内閣官房国際感染症対策調整室の公式ツイッターアカウントが、こんな投稿をおこなっている。
〈3月5日のテレビ朝日「羽鳥慎一モーニングショー」で、「総理が法律改正にこだわる理由は、『後手後手』批判を払しょくするため総理主導で進んでいるとアピールしたい」というコメントが紹介されています。〉
〈法律改正をする理由はそうではありません。あらゆる事態に備えて打てる手は全て打つという考えで法律改正をしようとしています。〉
〈現行の新型インフルエンザ等対策特別措置法では未知のウイルスしか対象としておらず、新型コロナウイルスはウイルスとしては未知のものではないので、今のままでは対象とならないからです。〉

「特措法では未知のウイルスしか対象としていない」などと主張しているが、特措法にはそんなことは一言も書いてない。一方、感染症法では、新感染症は〈既に知られている感染性の疾病とその病状又は治療の結果が明らかに異なるもの〉とある。普通に考えれば新型コロナもこれにあたると解釈できるし、特措法が適用できるはずなのだ。
 これは何も本サイトだけが主張しているような話ではない。

実際、政府の新型コロナ専門家会議のメンバーで特措法の立法にも専門家会議議長として携わった岡部信彦・川崎市健康安全研究所長は、5日の参院予算委員会で“新型コロナは特措法に適用可能”だと認識を示している。
つまり、安倍首相がなぜかそれを否定しつづけているだけなのだ。

 本サイトでも指摘してきたが、安倍政権はこれまで集団的自衛権容認、黒川弘務検事長の定年延長への国家公務員法適用など、さんざん法解釈を捻じ曲げてきたというのに、今回だけ厳密さを求めているのはあまりに不自然だ。
そして、本サイトの取材でも「安倍首相はとにかく自分の手ではじめて緊急事態宣言を出して、決断力をアピールしたいと考えている」という情報を得ている。
つまり、『モーニングショー』の「後手後手批判払拭のため総理主導をアピールしたい」という見方は実際に出ているものなのだ。

 政府の専門家会議メンバーさえも否定しているのに、内閣官房は「新型コロナは特措法の対象にならない」と主張し、特措法を適用しようとしない安倍首相の不可解な姿勢の背景という当然の論評に対し、厚労省と同じように『モーニングショー』をわざわざ名指ししてあげつらう……。
これはあきらかに、『モーニングショー』を狙い撃ちにした言論弾圧にほかならない。
 しかも、厚労省と内閣官房が偶然、同じようなタイミングで『モーニングショー』を槍玉にあげたとは考えにくく、安倍官邸が関係省庁に投稿の指示を出している可能性が高い。
現に、厚労省は『モーニングショー』の取材に「訂正したい」と述べた際、「そんなことは国会でも言っていない」と説明している。
かく国会答弁との整合性を気にする官僚が、わざわざ「デマ」の投稿をするとは思えず、答弁との整合性など気にしないもっと上の判断で、指示に沿って投稿したとしか思えないのだ。

自民党広報はTBS『Nスタ』を名指ししてデマ扱い!標的は岡田晴恵教授  
実際、『モーニングショー』への攻撃が安倍官邸の仕業であることを伺わせる事実は、まだある。
じつは厚労省が『モーニングショー』にデマ攻撃を仕掛けたのと同じ5日の午後18時2分、自民党広報もこんな投稿をおこなっているのである。
〈3/4のTBS「Nスタ」で女性出演者が「新型のコロナであるため感染が新しいウイルスであり、私たちには基礎的な免疫がなく普通のインフルエンザよりも罹りやすい」と発言しましたが、厚生労働省は「季節性インフルエンザと比べて感染力は高くない」との世界保健機関(WHO)の見解を紹介しています〉
〈真偽不明の様々な情報が飛び交い、多くの皆さんが不安や疑問を感じておられるかと思います。
首相官邸や厚生労働省には #新型コロナウイルス に関する情報サイトが開設され、随時更新されています。ぜひご活用ください。〉

 免疫や抗体の観点から「普通のインフルエンザよりも罹りやすい」と指摘しているだけなのに、自民党広報は「感染力」の話にすり替えて、「真偽不明の様々な情報」などとデマ扱いする……。
やり口は厚労省や内閣官房とそっくりなのだ。
 しかも、ここで自民党広報が取り上げた「女性出演者」というのは、岡田晴恵教授のこと。
岡田教授はこの間、『モーニングショー』をはじめとする番組に出演しては安倍政権の対応が遅れに遅れていることを専門家の立場から指摘しつづけてきた人物であり、安倍官邸が疎ましく思っていることは想像に難くない。
 さらに自民党広報のアカウントは、6日12時半に『モーニングショー』を名指しし、上述した内閣官房のいちゃもんツイートとほぼ同内容のツイートも投稿している。

『モーニングショー』では玉川氏や岡田教授らが安倍首相の後手後手対応を厳しく批判し、大谷医師が医療現場の混乱を生々しく伝えてきた番組だ。
そうした安倍首相の対応批判の急先鋒である番組や人物を名指しし、フェイクニュース扱いする。
これは安倍官邸が、安倍首相の新型コロナ対応批判を封じ込めるために、一気にマスコミ圧力をかける動きに出たということだろう。
 事実、露骨なことに、国会でもそうした動きが見て取れた。
というのも、5日の参院予算委員会で質疑に立った自民党の小野田紀美参院議員は、トイレットペーパー不足や日本国内感染者の数にクルーズ船感染者数を含めて1000人超えとNHKを筆頭にマスコミが報じていることを「事実と違う報道だ」と憤った挙げ句、総務省に対して「(マスコミを)指導しろ」「デマを流した人に罰則を」などと言い出したのである。

 ようするに、『モーニングショー』や『Nスタ』、NHKが名指しされたのは見せしめで、「しっかり監視しているからな」「罰則もくわえるぞ」などと恫喝し、すべてのテレビ局・番組を萎縮させようとしているのだ。

BuzzFeed Japan記者とTwitter Japan代表が厚労省のデマを垂れ流して批判封じに加担
 批判されるような対応しかとれていないくせに、今度はマスコミに圧力をかけて批判を封じ込めようとする──。
まったく下劣としか言いようがないが、今回、『モーニングショー』が厚労省が「デマ」を流したことを暴き、厚労省も番組の取材に「訂正」を明言したというのに、いまだ反省はない。

厚労省は番組終了後にこの問題にかんするツイートをおこなったが、訂正も謝罪もせず、〈3月4日午前8時からの「羽鳥慎一モーニングショー」の出演者から、「医療機関に配らなくてはだめ」とのコメントを受け、3月5日に、既に厚生労働省は医療機関に優先供給をする方針を自治体や医師会に明確にしていたので、この事実関係をお知らせしたところです〉などと投稿。
この期に及んでもデマを流したことを認めていないのだ。

 いや、さらに問題なのは、メディアに携わる人間たちがこうした官製デマ・報道圧力に対し、同調していることだ。
 5日に厚労省が投稿した、あきらかに筋違いの特定メディア圧力ツイートを、BuzzFeed Japanの岩永直子記者が引用し、こんなコメントを投稿した。
〈厚生労働省が具体的な番組名を挙げて、反論するのは初めて見た。これ、今後もどんどんやった方がいいと思う。いい加減な情報を流して国民の不安を煽るメディアには正面から対抗すべきだ。〉
 繰り返すが、『モーニングショー』は現場の医療関係者の声をもとに医療現場のマスク不足を取り上げただけだ。
それを岩永記者は「いい加減な情報」と、あたかも番組がデマを流したかのように印象操作。厚労省が特定メディアを狙い撃ちするという圧力をかけたというのに、あろうことか記者を名乗る人物が「今後もどんどんやった方がいいと思う」などと賛同を示すとは──。

しかも、岩永記者がお墨付きを与えた厚労省のツイートこそが「デマ」だったことが判明した後には、〈厚労省新型コロナウイルス対策本部の広報班に確認しました〉として、〈職員がどのような言葉で番組に説明したかは確認していないが、訂正の必要はない〉という言い分をそのまま投稿したのである。
 BuzzFeedはデマツイートのファクトチェックを積極的におこなっているが、言いがかりでしかなかった厚労省のツイートを嬉々として拡散しただけでなく、デマが判明しても、厚労省の開き直りに同調する。
官製情報に丸乗りするなど記者として信頼できるはずがない。

 だが、厚労省のデマを拡散させたメディア関係者は、岩永記者だけではない。Twitter Japan代表取締役の笹本裕氏も、厚労省のツイートを引用した上で、〈このように公開された場で正しい情報を発信して頂けると有り難いです。医療関係者からも悲痛の声がTwitter上に上がっていますから国民としてはメディアだけに頼らず理解を深められると幸いです〉と投稿をおこなったのだ。
 ネトウヨ化が著しい公益社団法人・日本青年会議所(JC)とメディア・リテラシー確立のためのパートナーシップを締結したことからもリテラシーのなさが指摘されてきたTwitter Japanだが、厚労省のツイートが言いがかりであることは明々白々だったのにそれを見抜くこともなく謝辞を述べるって……。
 しかも暗澹とさせられるのは、Twitter Japan は政権寄りと言われているが、BuzzFeedの岩永記者などは露骨な安倍政権応援団ではないということだ。

ようするに「中立」「冷静」だというようなポジションをとる記者が、官製デマに乗っかり、安倍首相の新型コロナ対応への批判を封じ込める役割を果たしているのである。
 このような有様では、安倍政権に対する批判はどんどん小さくなり、正当な批判・論評さえも「メディアがヒステリックなだけ」「テレビが煽りすぎなのが問題」などと矮小化されていくのは目に見えている。
いま必要なのは、官製情報を疑い、このあからさまな安倍官邸によるメディア圧力を跳ね返すことのほうだ。
       (編集部)  
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