2021年01月17日

補選「不戦敗」で痛撃回避 内閣支持急落、苦境一段と 春解散論下火に〔深層探訪〕

補選「不戦敗」で痛撃回避 内閣支持急落、苦境一段と 春解散論下火に〔深層探訪〕
1/16(土) ji.ji.com

 4月25日投開票の衆院北海道2区補欠選挙まで3カ月を残し、自民党は候補者擁立を断念した。
収賄罪で在宅起訴された吉川貴盛元農林水産相の議員辞職に伴う選挙とあって、逆風は必至。
同日選となる参院長野選挙区補選も旗色が悪く、2敗すれば政権に深刻な打撃になるとみて「不戦敗」を選択した。
新型コロナウイルス対策への批判を背景に内閣支持率の低下にも歯止めがかからず、菅義偉首相の苦境は一段と鮮明になった。

◇「2敗よりまし」
 「今回の事態を重く受け止め、深く反省し、有権者の信頼回復に努めることを優先すべきだと考えた」。
首相は15日、擁立見送りの理由について記者団にこう説明した。
 自民党細田派中堅は「2敗するより、一つを不戦敗にした方がダメージは少ない」と、同時に行われる参院補選も勝ち目がないとみていることを明かした。
公明党の石井啓一幹事長も記者会見で「厳しい補選」と認めた。

 自民党は、「桜を見る会」をめぐる問題で安倍晋三前首相の公設秘書(当時)が略式起訴されたばかり。
菅政権は立て続けに「政治とカネ」の問題に見舞われている。
固い地盤を誇った立憲民主党の羽田雄一郎元国土交通相の死去に伴う参院補選は、立憲にとって「弔い合戦」となり、自民党が議席を奪還するのは困難との判断だ。

 コロナ対策に手を焼く政権の苦境を、内閣支持率の急落が映し出す。
時事通信の1月の世論調査で、支持は34.2%と前月から8.9ポイント下落。
不支持は39.7%で、初めて支持を上回った。
「危険水域」とされる30%割れも目前に迫る。
 自民党内では「コロナ対応は誰がやっても批判される」(麻生派中堅)と首相を擁護する声もある。
だが、党国対幹部は18日召集の通常国会で首相が野党の追及の矢面に立たされ、「支持率はさらに下がる」とみる。
「『菅首相で衆院選は戦えない』という声が出てくるかもしれない」と漏らした。

◇五輪開催に悲観論
 自民党内では衆参補選に合わせた衆院解散・総選挙論が取り沙汰されていたが、衆院補選を不戦敗としたことで、こうした見方は下火になりそうだ。
擁立見送りは、解散権を握る首相と、二階俊博幹事長も了承済みだ。
感染収束の見通しが立たず、4月の衆院選は困難との見立てもある。
若手議員は「4月はもうないんだろう」と語った。

 次のタイミングは7月22日の任期満了に伴う東京都議選との同日選だ。
同23日から東京五輪が予定通り開催されれば、事実上の任期満了選挙となる秋の解散を避ける最後のチャンスとなるが、都議選に集中したい公明党が難色を示す。
ここを逃すと、パラリンピックが閉幕する9月5日より後しかない。

 秋の段階で東京五輪とパラリンピックが成功裏に終了していれば、政権に追い風となる可能性もある。
だが、感染拡大を抑え込めない現状から、政府・与党内では開催そのものへの悲観論が急速に広がっている。
中止となればコロナ対策の失敗を意味し、政権は窮地に追い込まれかねない。

首相は自身の手で解散どころか、9月末に任期を迎える党総裁選での再選もおぼつかない。
 V字回復を繰り返した安倍政権を引き合いに、政府関係者はこう語った。
「支持率は今後も上がる要素はない。菅首相は外交でも得点を挙げられないからきつい」
posted by 小だぬき at 00:00 | 神奈川 ☀ | Comment(0) | 社会・政治 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする