2021年02月01日

東京五輪には「もう1年延期」の選択肢しか残っていないといえる理由

東京五輪には「もう1年延期」の選択肢しか残っていないといえる理由
2021.2.1 ダイヤモンドオンライン
垣田達哉:消費者問題研究所代表、食品問題評論家

東京オリンピック・パラリンピック(以下東京五輪)開幕まで半年となった。
新型コロナウイルスの感染拡大が続く中、菅政権は「開催する」「無観客で行う」「中止する」のいずれも選択できず、「1年延期する」が唯一の選択肢となるだろう。
その理由について解説する。(消費者問題研究所代表 垣田達哉)

政府が開催すると 明言できない理由
 菅義偉首相は1月18日に召集された通常国会の衆参両院の本会議の施政方針演説で「夏の東京五輪は、人類が新型コロナウイルスに打ち勝った証しとして、また、東日本大震災からの復興を世界に発信する機会としたいと思います。
感染対策を万全なものとし、世界中に希望と勇気をお届けできる大会を実現するとの決意の下、準備を進めてまいります」と述べた。

 注目すべきは、菅首相は「準備を進める」とは言うものの、一言も「開催する」とは述べていないことだ。
「開催する」と言うならば、平時の五輪ではないのだから、「選手団や観客の受け入れ条件」や「運営方法」「感染対策」などを公表しなければならない。
 例えば、選手団やマスコミ等の五輪関係者の受け入れ(日本への入国)条件はどうなるのかということだ。

具体的には次のようなことを明らかにする必要があるだろう。  
・ワクチン接種やPCR検査の義務化を求めるのか  
・各国の出国前2週間の隔離や日本入国後の2週間隔離が必要なのか  
・競技前のいつから入国できるのか、日本での事前合宿は可能なのか  
・選手団は選手村に缶詰にされるのか、帰国は競技後すぐなのか  
・外出はどこまで制限されるのか、観光はできるのか  
・食事は食堂でするのか個室でできるのか  
・接触プレーの多い競技の感染対策はどこまでできるのか

 感染対策も含め、具体的な内容を示さなければ、各国は選手団や観光客を日本に送り込んでいいのかどうかの判断ができない。
 受け入れ条件は、厳しくすればするほど日本への入国が難しくなるとともに、「コロナに打ち勝った証し」にはならなくなる。
一方、条件を緩和すれば「感染対策が不十分だ」と、これも日本への入国を躊躇(ちゅうちょ)する国が出てくる。
 もっとも、日本側が条件を示したところで、世界中の人が安心して日本に来られる状況になっているかどうかは疑問だ。

例えばワクチン接種は6月末までであれば、医療従事者や高齢者までしかできない見通しだ。
選手団に優先して接種することは可能かもしれないが、さすがに観客まで優先することはできないだろう。
 仮に、日本も含め各国とも感染者が減り、終息に近づいていたとしても、世界中の人が集まる東京五輪に、どれだけの国が選手団や観光客を送りこむことができるだろうか。
どの国も、東京五輪のことより、コロナ終息後の国のあり方が最優先課題になる。
ましてや、結果的に「東京五輪がコロナ拡散の証し」となれば、選手団や観光客を送りこんだ国の責任を問われることになる。
 いずれにしても、本当に東京五輪に来てくれるのかどうかは、具体的な条件や運営方法を示さなければ回答は出ない。
開催するといっても、参加国数が激減することになれば、無理やりに開催する日本の恥になるだけである。

 コロナ禍の東京五輪の開催条件などを各国に提示するのは、せめて半年前の今月中にすべきだ。
政府は、昨年同様「3月末に判断すればよい」と考えているかもしれないが、発表が遅くなるほど参加国は減るだろう。
半年前の現時点で何も具体的なことを提示できないということは、開催するつもりがないとみられても仕方あるまい。

無観客開催は 日本側が同意できない
 では、無観客での開催はなぜ難しいのか。
 そもそも、なぜ無観客で開催するのかというと、東京五輪で感染が拡散し、ウイルスが自国に持ち込まれることを各国が懸念しているからだ。
国際オリンピック委員会(IOC)からすれば、無観客であっても開催されればテレビの放映権料が入ってくるので大きな痛手にはならないだろう。
だが、日本はそういうわけにはいかない。

 無観客で開催するということは「安心して日本には行けない」ということを証明することになる。
そんな国に、選手団だけとはいえ、集結していいのかという不安は大きいだろう。
無観客開催となれば、東京五輪は菅首相が言う「コロナに勝った証し」ではなく「コロナに負けた証し」になる。

 さらに日本側にとって最も無観客が受け入れられない理由は、五輪誘致による経済効果が期待できないことだ。
 一般の観光客は一切来ない上、選手団も恐らくは観光などせずにすぐに帰国するだろう。
そうなれば、コロナで大打撃を受けた航空・飲食・宿泊・観光業界等だけでなく、それらの業界の取引先(食糧生産・供給者、五輪関連商品製造者等)も、当てにしていた五輪特需の恩恵を受けることができない。
 こうした業界の多くは、自民党の支援母体である。

無観客開催は業界が喜ばないどころか、恨まれかねない。
そんな危険な賭けに、自民党が挑戦するとは思えない。
 では、日本の観客だけで開催することはできるだろうか。
試合中の応援団は、選手団以外は日本人だけで、日本以外のすべての国はアウェーで戦うことになる。
そんなことになれば、日本が世界から反感を買いかねないだろう。

東京五輪を中止すれば 自民党は見放される
 では、中止はどうか。
 中止するということは、今までに東京五輪のために投入された税金が、ほとんど無駄になるということだ。
もちろん、インフラや施設等の再利用は無駄にはならないが、それでも結果として「過去最大の赤字五輪」となる。
 コロナの影響とはいえ、結果的に日本は大きな負の遺産を抱えることになる。
政治は結果責任である。
国民から「中止するなら昨年すべきだった」「後手後手対応の政権だ」「負の遺産をどうするのか」といった声が、せきを切ったかのように湧きあがるだろう。

 一方、無観客でさえ多くの業界(特に自民党の支援団体)から不平不満が噴出するのに、中止を決断することは、こうした業界から見放されることになるかもしれない。
 総選挙を控える今年に中止宣言などすれば、国民からも支援団体からも見放され、自民党の大敗につながりかねない。
少なくとも、「コロナに勝った証し」で開催すると言っていた菅政権はもたないだろう。

 東京五輪が、今年の開催もできない、無観客もできない、中止もできないとすれば延期という選択肢しか残らないが、おそらく自民党にとっても一番都合が良いはずだ。
 延期となれば、開催を期待していた国民や業界もほっとする。
IOCも2020年から2年の延期であれば、放映権料も確保できるかもしれない。
各国の競技団体も、遅れたとはいえ選手団を五輪に送り込むことができる。
五輪に向けて選手を育成したことが無駄にはならない。
 日本政府にしても、さすがにもう1年たてばコロナも終息に近づいているだろうから、感染対策を厳重にすることもなく、各国から選手団や観光客も受け入れやすい。

 一方自民党にとっても、延期宣言をすることで、五輪開催を期待していた国民や業界の支持を保つことができる。
有力支援団体である医療業界も、今年開催には大反対するだろうが、延期となれば受け入れてくれるだろう。
 1年間で日本経済を立て直し、1年後からは訪日観光客をコロナ以前のように呼び戻すといったシナリオを国民に提示し、公約に掲げて総選挙をすれば、議員数が多少減ったとしても、政権交代につながるような大敗にはならないだろう。

 政治の最優先課題はコロナ対策だが、自民党にとって最大の目的は、今年の総選挙に勝つことだ。
来年以降、東京五輪が開催されようとされまいと、選挙での大敗だけは避けなければならない。
そうなると、自民党にとっての東京五輪の選択肢は「延期」しかないだろう。
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2021年02月02日

桜疑惑で安倍前首相に致命的弱点 “虚偽答弁”を見過ごすな

郷原信郎「これだけは言いたい!」
桜疑惑で安倍前首相に致命的弱点 “虚偽答弁”を見過ごすな
更新日:2021/02/01 日刊ゲンダイ

 虚偽答弁問題で昨年末、安倍前首相は国会での説明を行ったが、多くの疑問が残ったまま2020年は終わった。
 新たな年は、コロナ感染の急拡大で、「虚偽答弁」問題から関心が遠ざかり気味だ。
しかし、現在の感染の危機的状況も、安倍内閣から菅内閣に引き継がれた「説明責任無視」の悪政が影響している。
その根本にあるのが「虚偽答弁問題」だ。

安倍氏の説明について、なお残る疑問点、問題点を整理しておこう。

 第1に、虚偽答弁を行った理由について重要な点が説明未了だ。
 安倍氏は、国会答弁で、「安倍晋三後援会は夕食会を主催したが、契約主体は個々の参加者だった」と説明していた。
野党の追及本部の質問状に対して安倍事務所は、上記の契約主体に関する答弁を「事実と異なる答弁」のひとつと回答した。そこで問題になるのは「ホテルとの契約主体が個々の参加者」などという荒唐無稽な説明は、誰が考えたのかである。
その点については、秘書から事実に反する説明を受けたとは言っていない。
その説明は、安倍氏自身が、公選法違反、政治資金規正法違反を免れる「言い訳」として苦し紛れにつくり出したものなのであろう。
この点について追及していけば、意図的な虚偽答弁が否定できなくなる可能性がある。

 第2に、説明に致命的な弱点がある。
 安倍氏は、前夜祭の費用の補填は、預けていた個人の金から秘書が無断で拠出していたと説明する。
公選法による「寄附の禁止」(199条の2第1項)との関係について、補填分は「会場費」の実費を負担したもので、同項が「寄附」から除外する「政治教育集会に関する必要やむを得ない実費の補償」に該当するので違法ではないと説明している。
しかし、単なる地元有権者との懇親の場である「桜を見る会」前夜祭が、「政治教育集会に関する」ものだというのは常識に反する。
 安倍氏は、飲食代金の5000円は参加者個人の負担で、安倍氏側は会場費だけを補填したかのように説明している。
しかし、通常はホテル側が、飲食費、会場代のほか、さまざまな費用を積み上げて総額を計算した上、参加者の会費徴収分を決め、残金は補填するということになるはずだ。
そうであれば、飲食代、会場費を含めた前夜祭費用総額の一部を補填したということであり、「必要やむを得ない実費の補償」には該当しない。
 安倍氏は、明細書の提示を「事務所にはない、ホテルは『営業の秘密』を理由に提出を拒んでいる」と言ってかたくなに拒んでいるのも、この点のウソがばれてしまうからではないか。

 安倍政権から現政権に引き継がれた「説明責任無視の姿勢」こそ、コロナ感染拡大が日本を危機的状況にしている大きな要因だ。その中心にある「虚偽答弁問題」を、決して見過ごしてはならない。
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2021年02月03日

本格的に困窮した者を救えない生活保護は“最終的”手段ではない

鈴木涼美「8cmヒールで踏みつけたい」
本格的に困窮した者を救えない生活保護は“最終的”手段ではない
2021年02月02日 SPA!

1月27日の参議院予算委員会で、コロナ禍によって生活が困窮する人たちへの対応策を求められた菅首相は「政府には最終的には生活保護という仕組みも。
しっかりセーフティネットをつくっていくことが大事だ」と答弁。
直接補償を否定する政府の姿勢に反発が強まっている。

◆この風俗雑誌の片隅で/鈴木涼美
 モニークが映画『プレシャス』で演じた貧困家庭の母親は、ケアワーカーが訪問する時だけダウン症の孫を呼び寄せて生活保護を不正受給して暮らす。
かといって彼女が社会の旨みを利用して幸福に生きているようには見えないし、とりわけ彼女の娘プレシャスの境遇は悲惨で、健康で文化的な最低限度を満たしているとは到底言えない。

 そもそも生活保護の利用率が1.6%と、諸外国と比べても極めて低い日本の場合で、不正受給の割合は保護費全体の0.4%。注目すべき問題ではない。
 ’90年代に新聞社の調査で援助交際の経験があると答えた少女たちの割合よりも低ければ、国会で寝ている議員の割合よりも、彼らが不倫している割合よりも遥かに低い。

 2度目の緊急事態宣言で再び生活が困窮する人が確実に増えると予測される中、菅首相は定額給付金について「再び支給することは考えていない」と給付を否定、その際に「最終的には生活保護という仕組みも(ある)」とも語ったことが波紋を呼んでいる。

 日本の生活保護は、「優先する」とされる親族による扶養の範囲が広く、親族に扶養の可否を問い合わせる扶養照会がネックとなって受給を躊躇う人が多いことも問題となっている。
 生活保護の話になると自民党議員だけでなく、若い人たちの間でもすぐに不正受給や労働意欲の問題に焦点が当たるが、それはスポーツでいう反則や、本や雑誌でいう誤植よりずっとせせこましい話題にすぎない。

 日本は先進国の中で、失業保険や生活保護で暮らしていくハードルが極めて高い国だとは、フランスで失業保険などを延々と利用しながら気ままに暮らす自称ミュージシャンの男と最近別れた友人の言葉である。
 そもそもわからないのは、コロナ禍の経済悪化に対応するために10万円の現金給付が行われ、当然、生活保護の制度は最初からあったにもかかわらず、自殺者の数は急激に増えたわけで、困窮者の状況を救えていないというのは単純にわかる。
 生活保護に加えて給付金でも不十分だったのだから、より手厚い支援を、と考えるのが普通だと思うが、大手の旅行会社の困窮には体を張るタイプの政治家も、一介の貧困家庭の困窮には大変冷たい。

 地方豪族の高齢者はまだしも、こういう時にさっさと切られる都心の弱者たちがなぜ右傾化して政権擁護してきたのか甚だ疑問だ。
 私が20歳そこそこくらいの時、首都圏ではデリヘルブームが起きて、スカウトマンやキャバクラのボーイたちがこぞって開業していたのだが、女の子の確保が難題となる中、風俗雑誌に勤めていた友人が自信を持って勧めていた、確実に問い合わせが増える求人文言は「面接したその日から働けます」というもの。
実際、研修や性病検査の必要なくすぐ稼げるという理由で、ソープよりもデリヘルを選ぶ子は今も多い。

 ベーシック・インカムの議論を含め、生活保護や失業保険の改善と拡充も大いに進めてほしいが、すでに前例のある現金給付なら、前回より速やかに実施できるはずだ。
 本格的に困窮している者は一週間の研修を耐え凌ぐ余裕もないことを知らない与党重鎮たちこそ、「出会い系バーで貧困調査」をしておくべきだった。
  ※週刊SPA!2月2日発売号より
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2021年02月04日

何も考えず服従するのは気持ちがいい? 「ファシズムの体験学習」が教えてくれること

何も考えず服従するのは気持ちがいい? 「ファシズムの体験学習」が教えてくれること
2/3(水)  BOOK STAND[文・山口幸映]

 少し前に話題となった「ブラック校則」。
ツーブロック禁止や下着の色指定など、意図がよく分からない校則が現存する学校は多く、多様性や個人の尊重という観点からも見直そうという動きが出ています。
 そんな理不尽な校則を再考する際に一読しておきたいのが、今回ご紹介する田野大輔さんの著書『ファシズムの教室:なぜ集団は暴走するのか』です。

 本書は、「ファシズムの危険性に気付かせること」を目的に田野さんが大学の授業で行った「ファシズムの体験学習」の記録で、その内容はナチスさながら。「ハイル、タノ!(田野万歳!)」と敬礼、キャンパス内を集団で行進し、カップルを囲み「リア充爆発しろ!」と叫ぶというものです。
もちろん、このカップルは事前に仕込んだ「サクラ」で、一連の行動にも台本があるロールプレイ。
安全面にじゅうぶん配慮した上で実施されました。

 いささか滑稽に見える疑似体験ですが、参加者が特異な体験を重ねるうちに徐々に良心を失っていく様子を、本書では以下のように分析しています。
「『指導者から指示されたから』『みんなもやっているから』という理由で、参加者は個人としての判断を停止し、普段なら気がとがめるようなことも平然とおこなえるようになる」(本書より)
 そして、ナチスが「恐怖政治」で民衆を服従させていたわけではなく、民衆が自発的にナチスを支持していった面に触れつつ、責任感を持たない「権威への服従」が独特な快楽をもたらし、誰しもそこに魅了されてしまう可能性を含有していることを伝えています。

 さらに本書で見逃せないのが「制服」の効果にも言及している点です。
「同じ制服を着ることが集団意識にどんな変化をもたらし、いかにしてファシズムと結びつくのかを認識させることは『体験学習』の最も重要なねらいの一つである」(本書より)という観点から、授業中は全員白シャツ・紺色ジーンズでパンツインという服装を指定していました。
 田野さんのねらいはどのように作用したのでしょうか?

 体験学習に参加した大学生からのコメントをいくつか紹介します。
「制服もロゴマークも身につけていないくせに集団にまぎれ込んでいる人を見ると、憎しみすら感じた。規律や団結を乱す人を排斥したくなる気持ちを実感した」(本書より)
「250人もの人間が同じ制服を着て行動すると、どんなに理不尽なことをしても自分たちが正しいと錯覚してしまう」(本書より)
「運動会でやったことと同じだと思った」(本書より)
「中学・高校で制服を着ていたことが怖くなった」(本書より)

 コメントからは、全員が同じユニフォームを着用して同じ行動を取り、集団への帰属意識が生まれる中で、やがて1人の人間としての感情が麻痺していくに至るリアルな心理が伝わってきます。
「受講生は実習での体験をふり返って、自分が感じた高揚感や万能感、胸躍るような充実感にこそ危険があることに気づき、それに流されないための内面的な歯止めを身につけるようになる。
その意味で、『ファシズムの体験学習』は一種のワクチン接種のような効果を持つと考えられる」(本書より)

 著者がワクチンと例える通り、本書は集団行動の危険性を察知できる「免疫」を獲得するための最適な入門書と言えるでしょう。
近年、教育現場では、従来型の管理教育から生徒主体の実践型アクティブ・ラーニングへ方針が転換されつつあります。
本書を読んだ上で、今一度、学校がなぜ校則や制服を取り入れているのか、その意義を問い直す必要があるのではないでしょうか
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2021年02月05日

伊藤惇夫氏、森会長の女性蔑視発言に「政治家の失言は本音の吐露」

伊藤惇夫氏、森会長の女性蔑視発言に「政治家の失言は本音の吐露」
2/4(木) スポーツ報知

 4日放送のTBS系「ひるおび!」(月〜金曜・午前10時25分)では、東京オリンピック・パラリンピック組織委員会の森喜朗会長が3日、東京都内で開かれた日本オリンピック委員会(JOC)の臨時評議員会での発言が波紋を呼んでいることを報じた。
 森会長は3日に「女性がたくさん入っている理事会は時間がかかります。女性は競争意識が強い。だれか一人が手を挙げて言うと、自分も言わななきゃいけないと思うんでしょうね。みんな発言されるんです」などと発言した。

 これらの発言に、政治アナリストの伊藤惇夫氏は「個人的に接すると、すごく気づかいのある人だという意見が強いのですが、それがなんでこういう風に。
政治家の失言は本音の吐露なんですよ。
日頃思っていることが思わず出てしまうというのが大半だと思うので、やっぱりそういうことを思っていたのかなという感じがしますよね」とコメントした。
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2021年02月07日

なぜ、日本は「ワクチン後進国」なのか? 豊田真由子が思う「理由」と「背景」

なぜ、日本は「ワクチン後進国」なのか?
 豊田真由子が思う「理由」と「背景」
2/6(土) まいどなニュース

新型コロナウイルス感染症の収束に向けた鍵のひとつは、ワクチン接種です。
しかし、日本の国産ワクチン開発はなかなか進まず(行われてはいます)、そして、購入を約束していた海外メーカーのワクチンは、(当然に予想されたことではありますが)世界で争奪戦の様相を呈しており、新型コロナワクチンが日本国内に入ってくるのは、当初の予定より大幅に遅れることが判明しました。

こうした中で、「日本は世界有数の科学技術・経済大国であるはずなのに、どうして、国内でワクチンが製造されず、輸入に頼らなくちゃいけないの?国や国内のメーカーは、何をしているの?」というご質問を受けます。
実は、これには、歴史的経緯に基づく、日本の特異な事情があります。

物事は、なんでもそうだと思いますが、「ある特異な状況が生じるには、相応の理由・背景があり、その状況を解決するためには、その理由・背景がなんであるかをきちんと知り、そこから根本的に対応していく必要がある」と思いますので、そこを明らかにしていきたいと思います。
(※「ワクチンの効用とリスクを考える」(2020年12月4日)も、併せてご参照ください。) 主な理由として、以下のようなことがあります。

(1)1970年代からのいわゆる「予防接種禍」の帰結として、国、国民、メディア、メーカー等が皆、予防接種そのものについて消極的になり、国内の開発・製造力が、極めて限定的になった。
(2)新興感染症への対応は、国家の危機管理の問題であり、ワクチンは、国と国民を守るための国防のひとつでもある、という意識が欠如している。
  ◇   ◇   ◇
(1)予防接種禍を受けた流れ
日本は1980年代まで、世界的に見てもワクチン開発国のひとつでした。
しかし1970年代以降、種痘(天然痘)ワクチンによる脳炎や、DPT(ジフテリア・百日咳・破傷風三種混合)ワクチン、MMR(麻疹・流行性耳下腺炎・風疹新三種混合)ワクチンによる無菌性髄膜炎など、重篤な副反応の報告があり、ワクチンへの不信感が広まっていきました。

そして、国の責任や補償について、各地で集団訴訟が相次ぎ、裁判は長期化。結果として、国側の敗訴あるいは和解となり、「予防接種は効果の少ない一方で、副反応が多発するこわいもの」という、正しくない認識が、国民のみならず医療者の間にも定着してしまいました。

特に予防接種は、乳幼児を中心にしたものでもあり、保護者の間に、子どもにワクチンを受けさせたくない、という考えが広まりました。
こうしたことにより、国は予防接種に消極的になり、以降、ワクチン政策はほぼ止まってしまいました。

1994年の予防接種法改正により、接種要件が「義務」から「勧奨」接種へと緩和され、接種形態も「集団」から「個別」接種へと、移り変わっていきました。
このような状況を受け、それまで世界に先駆けて、水痘や、百日咳、日本脳炎ワクチンなどの開発に取り組んできた日本の製薬業界も消極的となり、国内での新たなワクチンの大規模な開発は、ほとんど行われなくなりました。
2000年代に入っても、日本脳炎ワクチン接種後の急性散在性脳脊髄炎(ADEM)発症やHibワクチンと小児用肺炎球菌ワクチン同時接種後の死亡事案、子宮頸がんを予防するHPV(ヒトパピローマウイルス)ワクチンの接種勧奨差し控え等の事例があり、ワクチンの負の面を強調する報道もあり、国民の不安は増大しました。

もちろん、実際に重篤な副反応で亡くなった方・苦しむ方とご家族にとっては、本当に取り返しのつかないことであり、甚大な苦しみであり悲しみです。
『ワクチン接種によって、重篤な副反応が発生する確率は高くはない(数十万人・数百万人に一人程度)』といっても、ご本人とご家族にとっては、それは『1分の1』、人生のすべてなのです。
公的な救済も必要ですし、耐え難い苦しみを、広く伝え、理解を深めていくことも、とても大切です。
ただ、そのことと、社会全体におけるワクチンの効用を否定することは、やはり、分けて考える必要があります。

一般的に、ワクチンを接種することで、一定程度、個人の感染を予防する・重症化を防ぐことができ、公衆衛生の観点からは、ワクチン接種により地域や国で多くの方が免疫を得ることで、感染拡大を抑えることができます。
ワクチンを接種しなかったことで、「接種していたならば失われなかった命」が失われ、「接種していたならば救えたはずの重症化や後遺症」が生じます。

我が国では、麻疹、風疹、水痘、おたふくかぜなど「ワクチンで予防することができ、他の先進国では、ほぼ制圧された疾患」の流行が繰り返されています。
これを日本人が旅行等で海外に持ち込むため、例えば海外メディアで「日本は麻疹の輸出国」などと非難・揶揄されることがあります。
これは、「感染症の発生動向を監視し、ワクチンによって感染症をコントロールするという戦略そのものの考え方」の問題ですから、当然、新型ウイルスによる新興感染症への対応についても、この流れが続くことになります。

2010年6月、新型インフルエンザ(H1N1)パンデミックを受け、専門家による対策総括会議は「ワクチン製造業者を支援し(略)生産体制を強化すべき」と結論付けました。
国内のワクチン生産力は著しく衰えていましたので、政府の資金的支援が必要でしたが、実際に行われたことは逆でした。
国の研究機関における基礎研究と、民間企業の開発応用を、資金的に橋渡しする財団が、いわゆる『事業仕分け』の対象となり、国として研究開発をサポートする仕組みは機能しませんでした。

今、日本で新型コロナワクチンが手に入らないことには、こうした経緯・理由があります。
したがって、こうしたことを踏まえた上で、では、一体、今後どうしていくことにするのか? 「ワクチンには、態様・頻度は様々であるが、避けがたい副反応が出ることがある。リスクをゼロにはできない。
それでも、ワクチンには、個人・社会の感染を防ぐ、死者・重症者を減らすという重大な効用がある。
だから、希望する人がワクチンを使用する。」ということの意味を、改めて、考えるべきときだと思います。

(2)感染症対策のひとつであるワクチンは、国の危機管理の問題
日本が購入予定の新型コロナワクチンのひとつに、米バイオ企業モデルナのmRNAワクチンがあります。
モデルナは、2010年創業、2014年からワクチン開発に参入した新しい企業ですが、新型コロナ禍が発生すると、2020年3月半ばにはすでに臨床試験を開始しました。
「ワープ・スピード」を掲げる米政権の後押しを受け、モデルナには米国保健福祉省の生物医学先端研究開発局(BARDA)経由で9億5500万ドルの補助金が出され、米政府は、1億回分を15億2500万ドルで購入する契約を結んでいました。
これは、新型コロナ禍が発生してからの政権の動きですが、本当のポイントは、それよりずっと前にあります。

モデルナは、2013年の段階で、mRNAワクチン等の開発で、国防総省傘下の防衛先端技術研究計画局(DARPA)から、約2450万ドルの補助を受けていました。
これは何を意味するのでしょう?
人類の長い歴史を見ても、戦争においては、直接の戦闘によるものだけではなく、飢餓や疾病、特に感染症による軍の被害は甚大でありました。
特に、軍が、大きく地域を移動し、「その現地の人々にとっては一般的であっても、当該国の兵士にとっては、免疫を持たない新たなウイルス」に直面した場合、当該軍における感染は急激に拡大します。

したがって、国防という観点からも、「感染症を如何に防御するか」というのは、極めて重大な問題なのです。
(なお近年は、細菌・ウイルス兵器への対応等も求められています。) 新興感染症対策は、国家の危機管理の問題です。

台湾が2019年12月末の時点で、いち早く武漢での新型肺炎の発生を、WHOに報告できたのはなぜか?韓国が、個人のプライバシーも含め、国民に対する国家の強いコントロールが可能になっているのはなぜか。(一般論として、これが民主主義国家として望ましいかどうか、という議論は、もちろんあるわけですが。)

イスラエルで、すでに国民の36%(330万人)が、新型コロナウイルスワクチンの接種(一回目)を終えられた(2021年2月5日現在)のはなぜか?
もちろん、SARS,MARSなどの教訓を踏まえているといったこともありますが、そもそも、これらの国・地域は、それぞれ、中国、北朝鮮、アラブ諸国と、極めて高度の緊張関係にあり、国と国民の中に、戦時危機とそのために何をすることが必要であるか、という意識が常にあります。
「国と国民の命を守る」ということについて、政府や国民が、常日頃から、どれだけ真剣に考え、具体的に準備をしているかが、反映されているのです。
  ◇   ◇   ◇
もちろん、どのウイルスのワクチンであれ、ワクチンを接種するかどうかは、最終的に個人の判断に委ねられることです。
ただ、今現在も、そしてこれまで長きにわたっても、我が国で、その判断の根拠となる正確な情報がきちんと広く届けられてきたか、また、新型コロナワクチンについていえば、接種を希望する人にとって、必要なワクチンが入手できる状況にあるのか、地域や国の感染拡大を抑える有効な策として、ワクチンが適時に提供されるのか――

我が国の現下の状況は、悲惨な状況にあると言わざるを得ません。
そして、それは決して、今に始まった問題ではなく、歴史的に、ある種の民意の反映として、ワクチン接種に消極的な国とならざるを得なかった、そして、“平和”が長く続いてきた中で、一方で「真に国と国民を守るとはどういうことか、そのために何をしなければならないか」といった根本的な問題について、我が国では、きちんと考えられてこなかった、ということの結果でもありました。

感染拡大を抑えるために、新型コロナワクチンの接種が、希望する人に、迅速に適切に進められていくよう尽力するとともに、上述したような前提に立って、改めて、個人は、あるいは、国は、なにをどう考えて、変えていくのか(あるいは変えていかないのか)といった議論を、意義あるものとして、進めていくべきではないかと思います。

◆豊田 真由子 
1974年生まれ、千葉県船橋市出身。東京大学法学部を卒業後、厚生労働省に入省。
ハーバード大学大学院へ国費留学、理学修士号(公衆衛生学)を取得。
医療、介護、福祉、保育、戦没者援護等、幅広い政策立案を担当し、金融庁にも出向。
2009年、在ジュネーブ国際機関日本政府代表部一等書記官として、新型インフルエンザパンデミックにWHOとともに対処した。
衆議院議員2期、文部科学大臣政務官、オリンピック・パラリンピック大臣政務官などを務めた。
          まいどなニュース
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2021年02月08日

「“性差別”高速で時速320キロのスピード違反」森喜朗氏“女性蔑視発言”を海外メディアはこう報じた

「“性差別”高速で時速320キロのスピード違反」森喜朗氏“女性蔑視発言”を海外メディアはこう報じた
2021/02/07 文春オンライン( 村田 珠里)

「女性がたくさん入っていると会議は時間がかかる」――。
東京五輪・パラリンピック組織委員会の森喜朗会長(83)が2月3日、JOC(日本オリンピック委員会)臨時評議員会でした発言は、瞬く間に国内外で報道され、「性差別的」と猛批判を受けた。
ただでさえ、新型コロナウイルスの流行が収まらない中での東京五輪・パラ開催に暗雲が立ち込めていたが、また一つ悩みの種を抱えることとなった。

首相退任も失言がきっかけだった
 これまでも失言続きだった森会長。
首相時代の2001年2月、高校生ら9人が死亡したえひめ丸事故では、一報を受けてもゴルフを続けたことを非難されると「私が(官邸に)行かないことで、何が遅れたのか」と開き直った。
これも世論の反感を買い、森政権は退陣に追い込まれた。

 女性蔑視発言の前日には、自民党本部の会合で、コロナ禍で開催が危ぶまれていることについて「一番大きな問題は世論がどういうふうに五輪を考えているか」と述べたのも、「世論軽視」と炎上した。
 3日のJOC臨時評議員会。問題の女性蔑視発言が出たのは、JOCが女性評議員を増やすことについて話し合われているときだった。
「女性理事を選ぶというのは、日本は文科省がうるさく言うんですよね。
だけど女性がたくさん入っている理事会は、理事会の会議は時間がかかります。
女性っていうのは競争意識が強い。
誰か1人が手を挙げて言うと、自分も言わなきゃいけないと思うんでしょうね」  参加者からは笑いが起こったという。

「#Moriresign(「森は辞任しろ」)」も拡散
 発言はすぐさま国内外で発信され炎上。
米紙ワシントンポストは「(森会長が)女性は会議で話が長くて迷惑だと発言」と発信。
同じく米紙のニューヨークタイムズも「女性の制限を示唆」、ロイター通信も「東京大会トップの森会長が性差別発言」と伝えるなど、各メディアが森会長が女性を蔑視していると厳しく報じた。

 翌4日に、森会長が謝罪会見を開き、発言を撤回しても、ワシントンポスト紙は「『反省』の意を表明したが、時折笑顔も見せていた」と皮肉った。
森会長が会長職を辞退するつもりはないと述べたことについて、BBCはSNS上で「#Moriresign(「森は辞任しろ」の意)」というハッシュタグも出回っていると報じた。

「大ポカを繰り返すことで知られる」と仏メディアは紹介
 数ある海外メディアの報道の中でとりわけ痛快だったのは、仏フリーペーパーの「ヴァンミニュツ」。
森会長の発言を「“性差別”高速道路を時速320キロのスピード違反で走り、速度取り締まり機に引っかかった」と表現。
「頼まれてもいないのに」持論を語ったとしている。

森会長については「大ポカを繰り返すことで知られる」と紹介した。
 国内の新幹線で最高速度が出る東北新幹線「はやぶさ」と、フランスの高速鉄道TGVはともに最高時速が320キロ。
高速道路を新幹線並みのスピードで走ったら、世界中どこでも一発アウトだろう。

 謝罪会見で記者から「組織委員会の会長をされるのは適任なんでしょうか」と問われた森会長は、こう答えた。
「さあ。あなたはどう思いますか」。
世界中の人は森会長の発言をどうとらえただろうか。
  (村田 珠里/Webオリジナル(特集班))
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2021年02月09日

森失言で東京五輪ボランティア約390人辞退、問い合わせ約4550件

森失言で東京五輪ボランティア約390人辞退、問い合わせ4550件
東スポWeb 2021/02/08

東京五輪・パラリンピック組織委員会は8日、森喜朗会長(83)の女性蔑視発言と「居直り謝罪会見」を受けて、東京大会のボランティア辞退者数、聖火ランナー辞退者数、コールセンター問い合わせ件数を公表した。

組織委によると、8日正午の時点で直近5日間の大会ボランティア辞退者は約390人(8万人に対して約0・5%)、聖火リレーランナー辞退者は2人、コールセンターへの問い合せは約4550件(電話約350件、メール約4200件)だという。

聖火リレーの辞退者にはお笑いコンビ「ロンドンブーツ1号2号」の田村淳(47)も含まれている。
淳は森会長の「田んぼで走ればいいのでは」発言に違和感を感じ、辞退をすることを発表している。

森会長は3日の日本オリンピック委員会(JOC)評議員会で「女性がたくさん入っている理事会は時間がかかる」と発言し、国内外に波紋を広げていた。
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2021年02月10日

「役人を怒鳴りつける」「調整力不足」 河野ワクチン担当相に周囲から不安の声

「役人を怒鳴りつける」「調整力不足」 河野ワクチン担当相に周囲から不安の声
2021年02月09日 デイリー新潮

■お茶を飲んだだけで「客に感染したらどうする!」
 菅義偉首相は、新型コロナウイルス感染症のワクチン接種について、「2月中旬にスタートしたい」と述べている。
そんな中、ワクチン担当相に任命された河野太郎大臣について、周囲からは「調整力不足」を指摘する声が出ている。
 *    *    *  
コロナを正しく警戒することは重要だが、一方で、「行き過ぎ」と思われるような事態も起こっている。
 たとえば、東京都内のタクシー運転手は、マスクをずらしてお茶をひと口飲むと、後部座席の乗客から、「客に感染したらどうする!」と怒鳴られたという。
 さるカルチャーセンターの講師は、こんな話を。
「ある教室で講師に1人、新型コロナの感染者が出た、という連絡があって、家族や関係者にも一切口外するなと。知られると、どこの教室のどの講師かという詮索が始まり、聴講生が集まらなくなるし、そうして詮索することは個人情報保護法に抵触する、というのです。

どういう人がどんな状況で感染したか、知らないほうがまずいと思いますが。
また、感染に対して本部がこうも過敏だと、感染したらクビになりはしないかと怖くなります。
だから医者にかかるのが怖いし、PCR検査も受けたくない」

■「ゼロコロナ」追求のデメリット
 昨年まで毎年、インフルエンザが原因で、日本で1万人程度の人が亡くなってきた。
インフルエンザも死亡リスクを伴う感染症だが、社会は感染者を許容してきた。
カルチャーセンターの講師がインフルエンザに感染したところで、1回休講になるだけで、だれも慌てなかったではないか。  しかも、社会的影響力が大きい人が大真面目に「ゼロコロナ」を説いた結果、社会に無用の混乱が生まれている。

一人はテレビ朝日「羽鳥慎一モーニングショー」のコメンテーター、玉川徹氏、一人は立憲民主党の枝野幸男代表である。  

1月31日、合流新党として結党以来、初めての党大会で枝野代表は、感染防止と経済再生の両立は「明確に失敗した」と政府を批判し、こう訴えた。
「なんとしても命と暮らしを守る。
命と暮らしを守ることのできる政権を作る。
自己責任から支え合いへ。“ゼロコロナ”の日本へ。
……新しい政権を作り、国民とともにこの危機を克服する」。

 医師で医療経済ジャーナリストの森田洋之氏が言う。
「抗ウイルスグッズや、部屋じゅうを除菌するといわんばかりの空気清浄機の宣伝からも、すべての菌やウイルスを排除しようという風潮が見られます。
しかし、菌やウイルスは人間と共存しているもの。手のひらにも口の中にもすごい数が存在し、体内も腸内細菌などは何兆個もいる。
それらをすべて排除したら、人間は生きていけません。
多くの人はこういう前提を知らないから、必要以上に怖がってしまうのでしょう」

 その発言が社会に影響を及ぼしうる立場の人は、基礎的な前提くらい学んでおいてもらえないものか。
森田氏が続ける。
「ゼロコロナの追求にはデメリットが二つ、あると思います。
ゼロコロナの方針をとっている台湾では、病院で陽性者が出たら、周囲が5千人規模で自宅隔離を命じられています。
このように、日常生活が制限されてしまうのが一つ。
次に、永遠に開国できなくなります。
やみくもにゼロをめざせば国民が幸せになるのか、考えなければいけません。
ウイルスとのある程度の共存を考えないと、永遠に鎖国という選択肢しかなくなります」

■2月、3月の感染者は
 政治アナリストの伊藤惇夫氏は、枝野代表の発言を聞いて、こう述べる。
「理想を言うのは構いませんが、現政権も現実を直視し、苦悩しながら方向性を決めている。
枝野代表も本気なら、ゼロ実現に向けてのタイムテーブルや工程表を示す必要があります」

 ゼロのための工程表なら、ロックダウン3カ月だろうか。だが、それでもゼロにはなるまい。
また、枝野代表は感染爆発を「人災」と指摘したが、感染拡大の原因は季節にもある点が見すごされてはいないか。
「呼吸器系の感染症のピークは、インフルエンザも既存のコロナウイルスも、1月中旬から2月上旬くらい。
1月に増え、いまはもうピークアウトしているのではないでしょうか。
予想通りにいけば、2月には新規感染者はいままでの半分程度になり、3月にはもっと減ると思います」(森田氏)

■河野大臣は「協調性が少し足りない」
 また、ゼロコロナなどと気張らずとも、2月中には日本でも、医療関係者を皮切りにワクチン接種が始まる。
ただ、ワクチン担当に指名された河野太郎大臣の発言に、国民の不安が増しているのも事実である。

 坂井学官房副長官がワクチンについて、「6月までに確保する見込み」と述べると、「修正をさせていただく」と発言。
政府内の足並みの乱れを自ら進んで浮き彫りにした。

政治ジャーナリストの鈴木哲夫氏は、河野大臣を長年取材してきた立場から、こう述べる。
「昨年12月から、菅総理は西村経済再生担当相、田村厚労相にワクチンの業務を任せていましたが、まったく進んでいなかった。
そこで総理は、行革を手際よく進めていた河野大臣の発信力、行動力を見込んだのです。
いまの官邸は根詰まりを起こし、総理の考えを共有できていません。

必要最低限の人にだけ話して流れを作る、というのが菅総理の政治手法ですが、コロナのような事態では、周囲とのコンセンサスや国民への説明が必要です。
結果、周囲は総理の考えがわからないまま混乱している。
そんななか、総理と唯一コミュニケーションがとれていたのが河野大臣なのです」

 そんな鈴木氏も、河野大臣の欠点を指摘する。
「ぐいぐい進めるがゆえに説明が不足し、協調性が少し足りない部分もある」

■「気負いすぎ」との声も
 さる国会議員の秘書は、こう述懐する。
「議員のほかに担当省庁の役人が集まる自民党の部会で、制度設計を説明する役人に向かって、河野さんがいきなり怒鳴り出したことがありました。
やると言っていたことができていなかった、という内容で、役人が謝っても構わず、“やるって言ったらやれよ”などと怒鳴り続けたのです。
場が凍りましたが、ただ、河野さんはほかの部会でも同じように怒鳴ることがあるので、役人は慣れっこという感じでした」  

前出の伊藤氏も、 「今後、摩擦が起きなければいいな、と思います」  と言って、続ける。
「ワクチンは業務が複数の省庁にまたがるのに、河野さんは調整力を不安視されている。
加えて、これまで新型コロナやワクチンに関与してこなかったので、どこに問題があり、どう進行しているのか、熟知していないはず。
それなのに、自分の発言以外は信用するな、などと発言するのは、気負いすぎかと思います」

  「週刊新潮」2021年2月11日号 掲載
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2021年02月11日

ひとりひとりを生きる 

香山リカのココロの万華鏡 ひとりひとりを生きる 
2021年2月9日 毎日新聞東京版

 かつて総理大臣だった人の発言が女性蔑視にあたるのでは、と大きな問題になっている。
食堂でランチを食べていたら、隣に座っていた男性たちが「女性については何を言っても怒られる」「女性のことはいっさい触れない方がいいよね」などと話していて、思わず「違いますよ」と言いたくなってしまった。

 私たちは長年の習慣でつい「男というものは」「女というものは」とそれぞれの性別をひとくくりにして何かを語りがちだ。
これには注意が必要だ。性別だけではない。
私もよく「私は北海道の出身だから牛乳が好き」などと言ってしまう。
しかし、よく考えてみると北海道にも牛乳が苦手な人はいるだろうし、東京にも牛乳が大好きな人はいる。
極端な言い方かもしれないが、人間は「人それぞれ」なのだ。

 それでもまだ「北海道出身だからこれが好物」と言うくらいなら、それほどの悪影響はない。
あてはまらない人は「そうは言えない」と反論もしやすいし、言った方も「そうですね、ごめんなさい」とすぐに訂正できる。

 ところが「女というものは」の方は違う。
女性は歴史的に男性に比べて、いろいろと不利な立場に置かれてきた。
たとえば、日本ではじめて女性が選挙に出て国会議員になったのは、1946年つまり戦後になってからなのだ。
それまでは女性の政治家がいなかったというのは、いまはなかなか想像もできないが、いま80代の人たちが子どもの頃、ようやくそんな社会になったのである。
 それから私たちは、一生懸命、男性と女性が同じように生きられる社会を作ろう、とがんばってきた。
そこで「女というものは」というとくに否定的な意味の決めつけが行われると、そのがんばりに対して「ほら、やっぱり……」と水をさされることになる。

 もし、最初に書いたランチの場にいた男性たちが同僚なら、私はこう言っただろう。
「男も女も、それぞれの人に意見を言ったり、ときには批判したりするのは、おおいにけっこうなんですよ。
ただ、ひとくくりにして“女というものはみんなこうだ”みたいな言い方をするのは、偏見につながってしまうからやめてくださいね」
 私が働いている医療の現場では、男や女といった区別はほとんどなく、誰もが個人として一生懸命、できる限りのことをやっている。
早く誰もがひとりひとりとして生き、お互いを大切にできるようになればいいな。
そう心から思うのである。(精神科医)
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2021年02月12日

防衛費の「無駄遣い」が止まらない…アメリカに抵抗できない「日本の悲惨な末路」

防衛費の「無駄遣い」が止まらない…アメリカに抵抗できない「日本の悲惨な末路」
2/11(木) :現代ビジネス(半田 滋)

 国会で2021年度予算案の審議が始まった。
防衛費は過去最大の5兆3422億円となり、新型コロナウイルス感染症対策の予備費5兆円よりも多い。
 武器購入や23万人いる自衛隊の人件・糧食費に多額のカネがかかるとされるが、目に余るのはその無駄遣いぶりだ。

 イージス・アショア代替策としてのイージス・システム搭載艦2隻の建造、開発した米国と日本以外どの国も買わないオスプレイの導入、米国でも評判の悪い滞空型無人機「グローバルホーク」の輸入は、まさに「無駄遣い3点セット」。

 オスプレイとグローバルホークは、米政府への支払いが進み、実際に導入中止を決断できるのは新たに建造するイージス・システム搭載艦だけ、ということになる。
 限られた予算を有効活用すべきなのは言うまでもないが、なぜか野党の中にも防衛費は「聖域」と見なす向きがあり、追及の手は緩い。

  まず、イージス・システム搭載艦の導入過程から振り返ろう。
 昨年6月、当時の河野太郎防衛相が配備停止を公表した後、国家安全保障会議で正式に導入断念を決定した。
ところが、トランプ米大統領にイージス・アショアを含む米国製武器の「爆買い」を約束した安倍晋三首相は収まらず、「イージス・アショア代替策」と「敵基地攻撃能力の保有」の検討を求める安倍談話を出して退陣した。

 「安倍政権の継承」を明言する菅義偉首相は昨年12月、イージス・システム搭載艦2隻の建造と敵基地攻撃に転用できる12式地対艦誘導弾能力向上型の開発を閣議決定し、21年度予算案にこれらの関連費用が計上されている。
 イージス・システム搭載艦の問題は多い。
そのひとつは巨額の費用がかかることだ。
 地上配備を前提に設計されたイージス・アショアの大型レーダー「SPY7」を船に載せることにより、イージス護衛艦「まや」型を大型化する必要が生まれ、1隻あたりの建造費は2500億円以上と「まや」型と比べて766億円以上も高騰。
この差額だけで汎用護衛艦が1隻建造できるほどだ。

 米国で開発中のイージス艦専用レーダー「SPY6」ならそのまま「まや」型に搭載できることから船体の大型化に伴う出費は不要となるうえ、「米政府御用達」の保証も受けられる。
 だが、防衛省はイージス・アショアのレーダー転用にこだわった。
 結局、SPY7を搭載するイージス・システム搭載艦は、米政府にとって未知の艦艇となり、防衛省はレーダーの性能を確認する実射試験費や人材育成費を負担することになる。
運用開始後も米政府の支援が欠かせず、バカ高い費用を請求される可能性が出てきた。

 「まや」型は乗員310人なので、イージス・システム搭載艦も同数と仮定すれば、2隻で620人の要員が必要だ。
人員増が人件費の増加につながるのは言うまでもない。

 海上自衛隊は予算不足と人員不足から汎用護衛艦の建造を見合せ、2年前から小型で安い護衛艦の建造を始めている。
この小型艦は、多機能護衛艦(FFM)と呼ばれ、1隻495億円、乗員100人とすべてがコンパクトだ。
 FFMと比べ、1隻2500億円以上、乗員310人というイージス・システム搭載艦2隻の建造は、組織の実情を無視した「巨大なカネ食い虫」というほかない。

 防衛省が天守閣を海に浮かべるのに等しい珍妙なアイデアにこだわるのは、イージス・アショアの配備断念により、米政府から多額の違約金が請求されるのを避けるためだ。
 イージス・アショアをめぐり、米政府との間で2018年度6億円、19年度1757億円の契約を締結しており、配備断念となれば、そっくり違約金として没収されるおそれがある。
モノが手に入らないにもかかわらず、2000億円近いカネが米政府に取られるのだ。
 そうなれば政治問題に発展し、安倍前政権や菅政権が野党に追及されるのは必至。
そうした事態を回避するため、防衛省は青天井の支払いになりかねないイージス・システム搭載艦を何食わぬ顔で建造しようとしている。

 振り返れば、安倍前首相がトランプ前大統領の求めるままに購入を約束したことが間違いの元だった。
 ミサイル迎撃に対応するイージス護衛艦は4隻から8隻に倍増され、迎撃ミサイルの射程も2倍に延びることが決まった後のイージス・アショアの追加購入は過剰であり、不要だ。
ここは米政府に違約金を支払ってでも、イージス・システム搭載艦の建造を見送るべきだろう。

値上げされ、それを買わされ…
  次にグローバルホークを見てみよう。
 グローバルホークは2万メートルの高高度から偵察する無人機だ。
米空軍が63機を調達する予定だったが、開発の遅れと価格高騰により、45機に削減、またドイツが導入をキャンセルするなど、売れ行きはよくない。
 防衛省は2014年、米政府との間で3機を合計510億円で購入する契約を結んだ。
ところが、米側は17年4月になって、追加部品の開発に費用がかかるとして119億円高い合計629億円に値上げすると通告してきた。
 一方の防衛省には武器の価格が25%上昇した場合、購入中止を検討するルールがあるが、米側が示した値上げ幅はそれより少ない23%。
図ったような「寸止め」に防衛省は中止を検討したが、最後は首相官邸の「予定通り買え」との声に押し切られた。

米人技術者の生活費「約30億円」も負担
 だが、問題は終わらない。
 防衛省は、尖閣諸島上空から中国公船の監視に活用する予定だったが、その後「陸上偵察用なので海上偵察には不向き」と判明。
巨費を投じて使えない偵察機を買うことになったのである。

 さらに追い討ちを掛けたのは、再び米政府だ。
 防衛省が負担するのは機体価格だけではない。遠隔操作に必要な地上装置や整備用器材などを含めると導入にかかる初期費用は実に1000億円にもなる。
 この負担とは別に維持管理のための費用が毎年約100億円もかかる。

驚くべきことに、この費用の中に3機が配備される青森県の三沢基地に滞在することになる米人技術者40人の生活費約30億円が含まれているのだ。
 一人あたり、年間7500万円の生活費を負担する計算。どれだけ優雅な暮らしをさせようというのか。
「なぜ生活費の負担までするのか」との防衛省側の問いに米側は「彼らは米国での生活を捨てて日本のために働くのだ」と「さも当然」と言わんばかりの回答だったという。

オスプレイ問題とは何だったのか
 最後はオスプレイだ。
 自衛隊のオスプレイ導入は、異例の経過をたどった。
本来、武器類はユーザーである自衛隊が選定する。
だが、10年先の安全保障環境を見通して策定する「陸上自衛隊長期防衛見積り」にオスプレイの名前はなかったとされる。  

陸上自衛隊はオスプレイの2倍以上の人員や物資を空輸できるCH47大型ヘリコプターを55機も保有していたからだ。
 導入することになったのは、米軍が沖縄配備を進めた2012年当時、沖縄から上がった配備反対の声に対し、民主党政権の玄葉光一郎外相が「安全性を訴えるため自衛隊も保有すべきだ」と提案、当時の森本敏防衛相が同調して調査費を計上、これを安倍晋三政権が引き継いだことによる。

 「沖縄の民意」より「米軍の意向」を優先した政治判断である。
 オスプレイは滑走路がいらない、夢の航空機とされるが、開発段階から墜落事故が相次ぎ、米国ではすでに40人以上が墜落事故で亡くなっている。
 陸上自衛隊には17機配備される。
自衛隊版海兵隊と呼ばれる「水陸機動団」(長崎県佐世保市)が運用することから、防衛省は佐世保に近い佐賀空港への配備を決めたが、地権者の有明海漁協の反対により、実現できず、千葉県の木更津駐屯地に暫定配備されることになった。

今後、首都圏の空をオスプレイが飛び回ることになる。  
こうして見てくると「無駄遣い3点セット」は、いずれも米国からの武器導入であり、政治家が関与したことがわかる。
文民である政治家が「これを使え」と軍事のプロである自衛隊の武器を選んだのだ。
その結果の「無駄遣い」である。

 2021年度予算に盛り込まれるコロナ対策費は、どれほど多くても困るという話ではない。
不要不急な武器なら購入は見送り、その分を国民の安全安心のために使うべきだろう。
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2021年02月13日

自衛隊メンタル教官が教える疲労コントロール法、疲れた心をリセット!

自衛隊メンタル教官が教える疲労コントロール法、疲れた心をリセット!
2021年02月12日 ダイヤモンドオンライン

仕事、生き方、人間関係…誰しも人生の中で一度は「やめるか?やめないか?」という問題に直面したことがあるでしょう。

何かを「やめる」ということは、これまでの努力や歩んできた道を一部否定することでもあるので、本人にとって悩ましく厄介な問題です。
そんな「やめる・やめない」問題で悩んで身動きが取れなくなり、苦しみを長引かせている人も多くいます。
そこで今回は、陸上自衛隊でメンタルケアに携わってきた下園壮太さんの著書『自衛隊メンタル教官が教える 心をリセットする技術』(青春出版社)から、「やめられない心」の原因の一つである疲労との向き合い方について解説します。

「やめる・やめない問題」をラクにする自衛隊の考え方
 私は自衛隊で心理幹部として隊員へのメンタルヘルス支援を行ってきました。
自衛隊は決めたことを初志貫徹する組織、という印象を持つ人が多いかもしれませんが、実は、任務に対してはとても柔軟に対応をする組織です。
 例えば、緊急性のある災害支援などは、準備していったことと現場で求められていることがまったく食い違っていた、というようなことは日常茶飯事です。
刻々と変わる任務に対応するには、まず「健康で動ける隊員」が必要です。
 次に「目標を仮置きし、少し動いて、状況の変化を観察すること」が必要です。

平たく言うと、考えすぎず、思いついたらやってみて、それでまた考える、というサイクルを上手に回していくのです。
 実は、自衛隊におけるこのような作戦の進め方が、自分の中で固定しやすい「やめる・やめない問題」を柔軟に動かしていくのにぴったりなのです。
この方法なら、いたずらに自信を失うこともなく、疲労したり不安で動けなくなることが少ないからです。

 これらの経験の中で、私がつかんだ「やめられない心」をラクするためのポイントを紹介します。

自衛隊訓練で重視するのは「疲労のコントロール」
 何をおいても優先して取りかかりたいのが、「エネルギーのケア」です。
「やめること」とエネルギーはまったく関係ないと思われる方が多いでしょう。
しかし、私が自衛隊で隊員の精神面のケアをするときに気づいたのが、「エネルギーケアが何より大切なのだ!」ということでした。
 日頃からトレーニングを積み、体を鍛えているとはいえ、災害の救援活動や紛争周辺地域での任務は、肉体的、精神的に過酷なものです。
予測できないトラブルが起こったときにもすみやかに状況を把握し、任務を遂行しなければいけません。
鍛えられた隊員でも、活動を続けているうちに集中力がなくなってきて、ミスをしはじめ、協調性がなくなり、ケンカをしやすくなります。
こうなってくると、何をやっても悪循環で、判断ミスで命の危険にさらされる事態になりかねません。

 そんなときに私は、隊員たちに繰り返しこう伝えました。
「人間は疲れると、体調が悪くなるだけでなく、能力が落ち、性格も悪くなる」
 頭痛・不眠など身体不調が出る、ミスが多くなる、イライラする、悲観的になる、人間関係が悪化する……。
これらは、根本的には疲れが原因であることがほとんどなのです。
そしてこれは、人間の基本原則と言えるものなのです。

 この基本原則を忘れないように、軍隊組織では、時に冷徹なくらい、疲労のコントロールを優先します。
例えば派遣された災害現場や救助活動において、「ここまでやりたい、やらなければいけない」と隊員が思っていても、むしろそのように感情的、感傷的になっている現場であればあるほど、隊員たちを取りまとめる指揮官は予定通りに撤収し、隊員たちが充分に休息できる時間を確保します。
 なぜなら、後ろ髪を引かれて中途半端な判断をすることによって、かえって心身の疲労を引きずり、危険を引き寄せる場合があることを指揮官は知っているからです。

重視すべきは短期の目標ややりがいではなく、長期的な目標達成です。
長期戦であるほど、長期にわたる疲労を見据えて「ここでやめておく」というつらい決断をするのが、指揮官の役割でもあるのです。

「疲労メーター」で自分の疲れに気づこう
 実は、疲労を回復して体の条件が整えば、それだけで「やめる・やめない問題」に決着がつく人もいるのです。
エネルギーがなくなっているからやめられなかったんだ、ということに、人は元気になって振り返ってからやっと気づくのです。
 こういった気づきにくい疲労に気づくために、ここでは疲労の指標となる「疲労メーター」を示しましょう。
多く当てはまるほど、あなたの疲れのレベルは上がっています。
 私は、クライアントとはじめて接するときには、必ず疲労の度合いを把握するようにしています。
疲労が強いと、自己改善にチャレンジしても、「やめる・やめない問題」に取り組んでも、満足のいく成果が極めて出にくいのです。
まずはエネルギー対処を優先します。

◎疲労メーター

□ついこの間までできていた同じ作業にすごく時間がかかる
□以前より環境は改善したのに、なぜか元気がない。疲れが抜けない
□取るに足らないことでイライラしたり傷つきやすくなった
□この先のことが漠然と不安だ
□趣味を楽しめなくなってきた。意欲が湧きにくくなった
□責任を負うこと、新しいことを避けたくなる
□人に会うのが億劫だ

 どんなに元気そうにふるまっても、しがみつこうとしても、無理には限度があります。
「人間は、がんばれても、3カ月から半年である」と、私は自衛隊時代から感じてきました。
自衛隊でも、海外勤務は3カ月から半年で終わらせるようにしているほど、この法則は明白です。
負荷が強い状態が続く場合、何とか持ちこたえても、半年を過ぎたころにはエネルギーが尽きて、ガクンと落ちてしまうのです。

 がんばることで苦境を乗り越えてきた人ほど、疲れているという感覚を感じていても、頭で「大丈夫だ」と否定してしまいます。
しかし、「あなたがダメなわけじゃない、努力が足りないわけでもない。ただ疲れてしまっているから、今いろいろうまくいかないだけなんですよ」とお話しして、本人が疲れに気づくだけでも、直面しているトラブルの5割以上は、解決してしまうのです。

 疲労は、「最近、どうもいろいろうまくいかない……」という思いの奥底に流れています。
だから、疲労に気づき、休もうと思うことが、まず大切なのです。

疲労回復に効果的な「おうち入院」のすすめ
 疲労を回復する最も効果的な方法を、私は「おうち入院」と呼んでいます。
入院中は、人は治療を受け、回復するためにじっとしています。
パソコンを持ち込んで仕事なんてしていたら、医師に怒られます。
入院しているつもりで、ぼーっとする。
スマホは見ない、本も読まない、家事もしない。
ただ、眠ります。
眠ることによって、頭の中で必要のない情報がお掃除されて、重たかった脳のデータもうんと軽くなるのです。

「おうち入院はよさそうだけど、休みなんて取れない」という人も多いでしょう。
私自身も、自衛隊時代は土日も講演などで埋まっていて、おうち入院は難しい状態でした。
 それでも何とか工夫してエネルギーを回復する方法はないだろうかと思い、考えついたのが、月曜の午前に半休を取ることでした。
 週はじめの半日は、朝礼や会議でつぶれてしまいます。
自分が必ずいる必要がある会議もそう多いわけではありません。
そこで、月曜午前に半休を取ってみることにしました。
朝はゆっくりと目覚め、通勤ラッシュのない中、ゆっくり出勤できる。
実際にやってみると、これは確かに心身の休息になっているな、と実感し、そのリズムで毎週、半休を取るようにしたのです。

 子育てや介護で忙しい人も、なかなか休めないものです。
1〜2時間でもいいから子どもやご両親と離れて、自分だけの時間を確保できる方法はないか考えてみてください。
家族と過ごすと、どうしても「がんばらなくては」という気持ちを発動させることになり、知らずにエネルギーを消耗してしまいます。

 確保した大切な時間を過ごすときには、「『やめる・やめない問題』についてあまり考えない」ことも大切です。
休憩タイムは、人や仕事からも距離を置きましょう。
SNSのチェックもやめます。

 あなたが、あまりエネルギーを使わず、リラックスできて、リフレッシュできること、楽しいと思えることは何でしょうか。
自分が楽しければ、何をしてもいいのです。
 楽しいことと言っても、本を一冊読破するとか、資格試験のため○○を覚え切る、などと、お休みにまで何らかの課題や目標を設定してしまう人がいます。
それでは、リフレッシュするはずが疲れをためることになりかねません。
「今日は一日、生産性のあることは何もしないでぼーっとした!」。
そんなふうに言えるのが、本当の「お休み」なのです。
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2021年02月14日

1円玉は損なのか、500枚預けても預金額は「0円」…手数料の仕組み

1円玉は損なのか、500枚預けても預金額は「0円」…手数料の仕組み
2021年02月13日 読売新聞

[New門]は、旬のニュースを記者が解き明かすコーナーです。
今回のテーマは「硬貨」。

 窓口で大量の硬貨を預け入れる際に手数料を課す金融機関が急速に増えている。
1円や100円といった硬貨の種類に関係なく、「101〜500枚で550円」が平均的な相場となる。
この結果、大量の1円玉を預けても全て手数料に取られ、「1円玉は持つだけ損」という状況になりかねない。

■「1円玉お断り」駄菓子屋の悲鳴
 「当店は1円玉の利用はできません」。
東京都北部にある駄菓子屋は、店内にこんな掲示を貼り出している。
たとえば税込み110円のお菓子を買う時でも、「100円玉と5円玉を各1枚、1円玉を5枚」といった支払いは遠慮してもらう。
1日50〜60人の来店客の半数は近所の小学生が占め、以前は1円玉を握りしめて来る子供も多かった。
男性店主は「1円玉で支払いを受ければ商売にならない。
背に腹は代えられない」と肩を落とす。

 駄菓子屋の苦境は、硬貨を入金する際にかかる手数料に原因がある。
多くの金融機関は、現金自動預け払い機(ATM)での硬貨受け入れを1回あたり100枚までとしている。
これより多いと窓口に持ち込む必要があり、その際、500枚までは「550円」、その後は500枚増えるごとに「550円」ずつ上がるのが標準的な水準となる。

窓口でも100枚まではATMと同様に無料だ。
 1円玉でも500円玉でも同じ1枚と数えられ、数千枚、数万枚の1円玉を持ち込んでも手数料の方が高くなり、口座への入金額は「0円」だ。
10円玉だけ500枚入金する時でも11%分に相当する550円の手数料がかかる。

薄利多売の駄菓子屋をはじめ、多くの小銭を扱うゲームセンターやさい銭を受け入れる寺社にとっても深刻な問題といえる。
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2021年02月15日

陳腐過ぎる日本国憲法デマのオンパレード。『百田尚樹の日本国憲法』を読んでみた

陳腐過ぎる日本国憲法デマのオンパレード。
『百田尚樹の日本国憲法』を読んでみた
2/14(日) HARBOR BUSINESS Online

 現在、我が国は、菅義偉政権に忍耐と貧乏を強いられる菅支配の下、今日本全体が貧窮状態に陥り、その痛みを軽減する為、日本凄い的な神話に郷愁を抱き、平然と中韓に対する排外主義を公に表現する国に成り果てていますが、そんな流れに逆行するべく、日本の保守の非合理性、瑕疵を打ち砕き、愛国神話の脱皮を目指す」今企画。

今年も新年を迎えましたが、皆さんは如何お過ごしですか。
 前回、門田隆将氏を紹介して今回は、第5回目。
で、今日は毎回愛国的に歪な内容で、世間の好悪感情を刺激し、虎ノ門news等に出演しながら、日本の排外主義の先頭に立ち、八面六臂の活躍を続ける作家百田氏が先日刊行した本が、相当、高い評価を得ていると聞き、今日は其の本を、取り上げます。
其の名も『百田尚樹の日本国憲法』(祥伝社新書)。

あまりの歴史的知識のなさにドン引き
 この本凄くて、発売と同時に何刷も版を重ねていて、Amazonでは賛美の嵐で、世間的にも高く評価されていると伝え聞き、その内容が非常に気になった私は、早速Amazonの感想を見て、その感想の量の多さに驚愕しました。
百田氏の人生の中でも特に万感の思いを込めて発刊された今作は、既に約12万部を売り上げ、百田氏独自の鋭い語り口で、日本の戦後の「平和主義」を痛烈に批判する本になっているそう。

 で、私も先日気になって読もうと思っていたのですが、余りに絶賛コメントが多いので、なかなか読む気になれず、つい昨日立ち読みしてみました。
初めに言っておくと、私は護憲派です。
なので百田氏とは見解の相違があるのですが、その護憲派の私が、百田氏の書いた護憲派の批判本を読んで感じたことを今日、書きます。
 しばらく読み始めて、私はこの本の、あまりの酷い内容に立ち眩みが起きました。

本の内容は、自然災害に対応するため憲法を改正して「緊急事態条項」を創設しよう的な内容ですが、私はそんな主張よりもこの本を読んだ時、この本の歴史知識の「底の浅さ」に、ドン引きしてしまいました。
 一言で要約すると、便所の落書きの如き本だったのです。
 では、この本の酷い主張の数々を、今日は、皆さんと一緒に詳細に検証して行きましょう。

まず冒頭から前半、百田氏は憲法の条文「平和を愛する『諸国民』」への不信感を表明し、日本の平和ボケを痛烈に批判する所から始まります。
以下抜粋。 “平和を愛する『白人様』の公正と信義を信頼して、われらの安全と生存を保持しようと決意した。この前文のひどさが伝わりましたか?
 要するに「日本人の平和は白人様次第」と言っているに等しいのです” (P21)

 百田氏は、憲法の条文『白人様』の公正と信義を信頼する平和ボケに浸る護憲派を鋭く批判し、揶揄します。
しかし、私は、この主張を見た後で、百田氏のツイートを見て笑いました。
今までの散々護憲派を批判した百田氏が、日本の未来をドナルド・トランプに掛ける姿はまさに百田氏が批判した『白人様』の公正と信義を信頼して平和ボケした護憲派」そのものです。

百田氏の虚偽は芦田均の日記を見れば一目瞭然
 まずこの時点で私は新年初笑いをしたのですが、ここまではまだ「笑えるレベル」です。
本を読み進めていくうちに、私は、この本の底抜けの無知と独断と偏見に満ちた百田氏の独善的な歴史解釈に気付き、だんだんと寒気を覚えるほど恐怖を感じました。
 さらに百田氏は、(これもネット保守の方にありがちな)日本の戦後の憲法をGHQが書いた事への憤りを表明し、従来の「押しつけ論」を主張していきます。

以下抜粋。 “日本国憲法は戦後の占領期にアメリカから押しつけられた憲法です” (同、P21)
 この保守の一般的な「押し付け」論ですが、この主張は、根本的におかしいです。
何故なら、そもそも憲法は支配者に「押し付ける」ものだからです(むしろ押付けは憲法に対する最大の賛辞です)。
 しかも、こと憲法に関しては、国民に対して秘密主義だったのは、むしろ日本側のほうでした。

 憲法制定時、明治憲法の焼き直しを日本側が提示してきた際に、アメリカはGHQ草案を提示しましたが、その時、日本側はそれを拒絶し、民政局局長のホイットニーが2つの草案を日本国民に提示しようと提案します。
が、日本側がそれも拒否しているのです(参照:『9条誕生』(塩田純/岩波書店 P134)。

 そのときの様子は、戦後、衆議院帝国憲法改正案委員会の委員長を務めた芦田均の日記に残されています。
“若しアメリカ案が発表されたならば、我が国の新聞は必ずや其れに追随して賛成するであろう。
其の際に現内閣が責任はとれぬと称して辞職すれば、米国案を承諾する連中が出てくるに違いない。
そして来るべき総選挙の結果にも大影響を与えることは頗る懸念すべきである”(『芦田均日記』岩波書店 P77)

 このように、アメリカより日本のほうが逆に「国民の意思を無視」しています。

手垢の付いた「GHQ洗脳説」
 さらに百田氏は、ホイットニーの「天皇が処刑になるぞ」という言葉を引用してコレを恫喝だと訴えますが、しかしこれは事実であり、天皇の戦争責任を厳しくソ連や中国が追及する姿勢を取っていたので、憲法を民主的に変える必要性があり、それを恫喝と感じる意味も分かりません。

 保守は、日本の歴史の象徴である天皇が処刑される姿を見たかったのでしょうか?
 百田尚樹氏こそ真っ先に、不敬罪を適用すべき人間ではないかと思いました。
 さらに百田氏は、「百田尚樹の日本国憲法」の中で、毎度保守の人々が口を揃えて主張する「GHQによって日本人が洗脳された」説を力強く主張していきます。

“1945年11月、NHKラジオで「真相はこうだ」という番組が始まります。
これは、大東亜戦争中の政府や軍の腐敗・非道を描くドラマで、それを聞いた国民の多くは当時の政府要人や軍人に対して反感を抱き、戦前日本は悪い国だったと思うようになりました” (P177)
 これも保守の方々が大好きな「日本人がGHQに洗脳された」説ですが、これは全く根拠が脆弱な主張です。
少なくとも私が調べた限り、日本人が自虐史観を「GHQの「真相はこうだ」」によって植え付けられた事実は見当たりません。
 その証拠に、当時NHKの「真相はこうだ」の放送を担当者、春日由三の自伝『体験的放送論』(日本放送出版協会)を例に挙げます、この本には当時のGHQの番組「真相はこうだ」を聞いた日本人の反応が率直にこう語られています。
 以下抜粋。 “真珠湾攻撃の日の翌日に、このいまいましい番組をスタートすると、はたせるかな、批判、非難、攻撃の手紙がみるみるうちに私のデスクに山積みし、抗議の電話が鳴りやまない、という事態に追いつめられることになった”(「体験的放送論」P271)

むしろ屈強な愛国心で洗脳に打ち勝っていた当時の日本人  なんと百田氏の主張する番組「真相はこうだ」は当時の日本人から「抗議」が殺到していたのです。
しかも、春日由三は、本の中で、こう回顧しています。
“そんなこんなで、この番組は文字通り悪評のうちに翌二十一年二月に一応終止符がうたれ、その後は題名も内容も変えて、ほそぼそと命脈を保つ(二十三年まで)だけになってしまった” (「体験的放送論」P272)
 なんとこの「真相はこうだ」は不評のうちに幕を閉じたのだと言います。
さらに春日氏は当時の状況を振り返り、 “あの敗戦ボケの時代に、この番組に対する視聴者の抵抗が予想以上にはげしく大きかったのをみて、私は日本人の愛国心といったようなものに、たのもしさをおぼえたことを記憶している” (「体験的放送論」P273)と回顧しているのです。

 このように春日氏によると当時「真相はこうだ」を聞いた日本人は百田氏の主張する様に洗脳されておらず、むしろ逆に、屈強な愛国心で「洗脳に打ち勝った」と誇ってすらいるのです。
これでは右派の言っている事と全く逆です。
 しかし百田氏は、日本の自虐史観が「人工的」であると主張する為に、その後の「戦犯赦免のための署名」をした日本人には、洗脳されず、下の世代から洗脳されていった、という何とも苦しい主張をせざるを得ないのです。
この論理も無茶苦茶です。

 もし日本人が、そのGHQの情報戦によって単純に洗脳されたと捉えるのであれば、その前の世代の戦犯に対する赦免活動も、全て日本軍が軍事目的を達成するために行われた洗脳の結果と捉えるべきです。
 それでは、次回さらにこの本を読み進めていきましょう。

<文/ドリー>
【ドリー】 本名・秋田俊太郎。
1990年、岡山県生まれ。ブログ「埋没地蔵の館」において、ビジネス書から文芸作品まで独自の視点から書評を展開中。同ブログを経て、amazonに投稿した『色彩を持たない多崎つくると、彼の巡礼の年』レビューが話題となる。著書に、村上春樹長編13作品を独自解釈で評論した『村上春樹いじり』(三五館)がある。ツイッター:@0106syuntaro
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2021年02月16日

確定申告を無視する人に襲いかかるヤバい罰則

確定申告を無視する人に襲いかかるヤバい罰則
ローン申請や引っ越しができなくなる危険も
2021/02/15 東洋経済オンライン
大河内 薫 : 税理士、ArtBiz代表取締役

新型コロナの影響による失業者が8万人に迫る中、雇用の受け皿としてウーバーイーツの配達員が急増しているそうです。
フリーランスに転身を図るIT系人材も増えており、今後もフリーランス人口は増加の一途をたどることが予想されます。
しかし、税金の知識がまったくないままフリーランスになると、知らず知らずのうちに税金で損をしてしいた……なんてことになりかねません。
書籍『お金のこと何もわからないままフリーランスになっちゃいましたが税金で損しない方法を教えてください!』の著者である税理士の大河内薫さんが、フリーランスになったら、最低限おさえておきたいお金のことについて紹介します。

会社員の場合、税金の支払いは会社がすべて担ってくれます。
天引き後の手取り金額しか見ず、自分がいくら納税しているのか気にしていないという人も多いでしょう。
しかし、フリーランスになったらそれは通用しません。
確定申告も納税も、すべて自分でやる必要があります。

「ハードルが高い!」と感じるかもしれませんが、実は確定申告で100点をとれているフリーランスはほとんどいません。
フリーランスの所得税は「申告納税制度」といって、自分で税金を計算して申告し、納税をする仕組みです。
税務調査が来たときが初めての答え合わせになります。
ただし、税務調査は必ず来るわけではありません。
フリーランスになった直後に来るという可能性は低く、もし来るとしても数年後です。

税務調査の際、論点となるのが「自分が支出したものがどこまで経費になるか」です。
とは言え、間違っていたからといって税務署の人から怒られることはありません。
満点はとれなくても大丈夫。いくつかポイントをおさえていればOKです。

まず知っておくべき「4つの税金」
個人が知っておくべき税金は、「所得税」「住民税」「事業税」「消費税」の4つ。

「所得税」は、1年間稼いだ所得に対してかかる税金で、国に納めます。
所得額によって、税率は5〜45%と変動します。

「住民税」は、自分が住んでいる都道府県と市区町村に払う税金です。
所得に対して税率は一律原則10%と決まっています。
確定申告をすると、市区町村に所得の情報がいき、その額をもとに住民税が決まって毎年6月に通知が来ます。

「事業税」は、所得に対してかかる税金で、確定申告をすると地方から通知が来ます。
税率は0〜5%ですが、全員が払うわけではなく、払う人と払わない人がいます。
払わなくていいのは、利益が290万円以下の人、「事業税を払わなくていい職種」に指定されている人(例:芸術分野の職業、林業、農業、医療など)です。

ウーバーイーツの配達員の中には、月収100万円を稼ぐというツワモノもいるそうですが、ウーバーの場合「第一種事業」に分類される「運送業」になるので事業税は5%です。

最後はおなじみの「消費税」です。
売り上げが1000万円を超えた翌々年は、事業者として納める必要があります。

4つの税金はそれぞれ納税のスケジュールがバラバラなので、フリーランスの人は、いつどのくらいの金額を支払うのかを、事前に把握しておく必要があります。
とくに住民税は前年の収入に対して翌年支払う税金なので、前年の年収が高く、今年の年収がダウンしてしまった、という人は要注意。
6月に支払い通知が届くので、慌てることがないようにしましょう。

控除をうまく活用しよう
売り上げから経費などを引いた差額が「課税所得」です。
経費以外にも引いていい「控除」がたくさんあります。

自分はどの控除を使えるのか?
 確定申告前に、ぜひ把握しておきましょう。

主な控除は以下のとおりです。
@基礎控除(所得により0〜48万円引くことができる)
A生命保険料控除(生命保険や医療保険を払うと引くことができる)
B配偶者控除・配偶者特別控除(配偶者がいると引ける可能性がある)
C扶養控除(子供や親を扶養している場合、引くことができる)

ほかにも、障害者控除、寄付金控除など、控除は全部で14種類あります。

よく「節税が大事」といいますが、その方法は2つしかありません。
「経費をたくさん作ること」と、「控除をたくさん使うこと」です。

そのためには、何が経費にできるのか、どの控除を自分は使えるのかを把握しておきましょう。
一方で、確定申告してしまうと、税金をとられて損をするのでは……と思っている人が多いですが、確定申告をしないと、脱税となり延滞税、加算税などさらなる課税をされてしまうリスクがあります。

確定申告をしない=自分の収入を証明できないことになるので、ローンが組めない、部屋を借りられない、事故にあったときに休業補償を受けられない、などさまざまなデメリットがあります。
必ず、確定申告はしてください。

経費が多い人の場合、納めすぎた税金が還付されるチャンスでもあります。
「どこまでを経費にできるの?」と疑問に思う方も多いと思いますが、経費の基本は「自分の仕事に関連したもの」と「事業をやってなければ支出しないもの」のみ。
ウーバーイーツの配達員なら、配達のために購入した自転車代やシェアサイクル代、配達時にアプリを利用する場合はスマホの通信費なども経費として計上することができます。
ただし「ウーバーイーツ用に10万円のクロスバイクを買ったけど、趣味のサイクリングとしても使っている」という場合は10万円を全額経費に計上することはできません。
もし仕事8割、趣味2割で使っているとしたら、8割分、つまり8万円を経費として計上しなければなりません。
このように、仕事と私用での使用割合を勘定して計上する考えを「家事按分(あんぶん)」といいます。
自宅で仕事をしているライターやデザイナーの場合は、家賃を家事按分で何割か経費計上することができます。

明確なルールがあるわけではありませんが、仕事場の広さや業務時間で割合を出すケースが多いです。
人前に出るような仕事をしている人の場合、衣装代や美容代なども経費として認められるケースがあります。
もちろんプライベートでも使えるものだから全額は無理ですが、仕事だけでしか着ない衣装なら、全額経費になる可能性もあります。

これらは偽装しようとしたらできますが、それはNG。
ウソは見破られるものと心得ましょう。
やましい気持ちがなくて、本心ならば、凛とした態度で税務調査に臨めます。

大事なのは「説明できる」こと
インターネット上では、あれはダメだとかこれは大丈夫とか、無数の情報が散乱しています。
しかし、それらは税務調査で認められたものではなくて、あくまで一般論。
万に一つ税務調査で負けなかった事実だとしても、あなたのケースに置きかえたら、結論はいくらでも変わります。
経費において大切なのは、税務調査が入ったときに「これはあのときにこういう理由で仕事に必要だから使いました」と自分がきちんと説明できるかどうかです。
「絶対に説明できる!」と思うのであれば、自信を持って経費に計上しましょう。

初めての確定申告でどうしても自信がない、という方は税理士会と税務署主催の「確定申告無料相談会」などを活用するのもおすすめです。
フリーランスになったら、会社員時代よりもはるかに高いマネーリテラシーが求められます。
しかし、そのお金の知識はきっと自分の一生の財産になるはずです。
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2021年02月17日

平和憲法を嗤う『百田尚樹の日本国憲法』に漂う、「平和ボケ」感

平和憲法を嗤う『百田尚樹の日本国憲法』に漂う、「平和ボケ」感
2/16(火) HARBOR BUSINESS Online

こんにちは、ドリーです。
 前回、あまりにも多くて書ききれなかった百田尚樹著『百田尚樹の日本国憲法』(祥伝社新書)の矛盾点について、再び取り上げていきます。

 やたらスイスをヨイショする百田氏だが……
 主張の端々の至るところが破綻していて今回も色々と失笑モノの百田氏の新作『百田尚樹の日本国憲法』(祥伝社新書)なのですが、特に私が笑ったのは、本の中盤で、スイスの話を例に出し始める下りです。
 百田氏は、本の中盤、スイスは長年完全武装の永世中立国だと主張し、スイスを持ち上げ、スイスの防衛意識の高さを説き、スイスは「戦争に加担することなく、他国からの侵略も受けていません。
徹底して中立を保ち続けています」と、スイスをやたらめったら褒めます。

 これも保守の方々が大好きなスイスの完全武装中立論ですが、失笑なのは、百田氏は、スイスに関する歴史的な知識が、全くない事です。
第一、そもそもスイスは永世中立国ではありません。
中立国には守るべき中立義務があり、スイスは、第二次世界大戦中において、中立義務違反の「常習犯」という評価もあるほどでした。
 スイスは、武装と同時に(中立国を装いながら)ドイツにあらゆる援助をしました。
中立法では交戦国への軍事物資の輸出は禁止されています(民間は認められている)、が、スイスは、ドイツに火薬や薬莢を送っており、それを軍当局の指示に基づいて行われたことでした。
 それがゆえに中立に違反していたと戦後各国に非難されました(『中立国スイスとナチズム』京都大学学術出版会 p366)。
 さらにスイスは、イギリスへは軍事物資の輸送と差し止めたが、ドイツには同様の処置を取らなかったのでコレも同様に中立違反だと指摘され、戦後糾弾されました(同、P367)。

スイスが平和を維持できたのは、「外交」と「軍事」によるもの
 このようにスイスが平和を維持できたのは、「外交」と「軍事」によるものであり、平和を「軍事」のみで維持していたと見るのは間違いです。
 ああ、あと本の中で、百田氏は、ハーグ陸戦条約は占領地の法律を尊重しろと書いてるのだから日本国憲法の無効論を途中で展開するのですが、ハーグ陸戦条約の適用範囲は「交戦中の占領地」であり「敗戦中の占領地」には適用されません。

それは日本政府自身が、第102回国会で、ハーグ陸戦条約は敗戦中の日本には適応されない政府の見解を発表しています。(参照:内閣衆質一〇二第四六号)。

   もっと驚愕したのは本の後半です。
百田尚樹氏は、護憲派と称する人間の緊急事態条項への不安を一笑する謎の理論を展開していきます。
 百田氏は、首相が災害に乗じて民主主義を廃し、独裁国家にする暇などないと述べ、さらに「首相はその対応で不眠不休の日々が続くため、日本の仕組みを根底から覆し、独裁国家にする暇などありません」(P33「百田尚樹の日本国憲法」)と、訳の分からない理論を展開していきます。

 百田氏は災害時に権力者は「くたくた」になるから大丈夫説を展開していきます。
何が大丈夫なのかサッパリ分かりません。

想像を超える無知っぷりに戦慄するしかない
 そもそも災害時に、関東大震災では、憲兵による思想家(大杉栄、伊藤野枝)の殺害や、亀戸事件(労働運動者10人の虐殺)が起こっていますし、日本軍の真珠湾攻撃の直前において事後検閲は突如「事前検閲」に切り替えられ(『日本ファシズムの言論弾圧抄史―横浜事件・冬の時代の出版弾圧』高文研 P20)
更にドイツでは、ソ連侵攻と共に、最初の絶滅収容所が建てられました。

 権力者は災害時に「くたくた」になるから大丈夫説で百田氏は緊急事態条項を推し進めます。
「無知」のパーフェクトストームです。
 災害時こそ、暴君は独裁的な暴政を繰り返してきました。
 ちなみにドイツやスイスの例を出して「緊急事態条項はあるだろ」と主張する百田氏ですが、スイスの場合は、緊急事態の際に、国会議員の過半数で制定され、その立法が憲法の根拠を欠く時は、時限立法を決め、国民投票で可決されない限り、1年で失効するものとされています(衆議院欧州各国憲法調査 スイス連邦憲法165条2項、3項)

  さらに、ドイツでは、議会が開催できない場合には、合同委員会(議員の会合)によって法律が制定され、更に、その法律も、議会の要求によって廃止できる上、期限付で失効し、抵抗権まで付与されています(『現代ドイツ憲法史―ワイマール憲法からボン基本法へ』塩津徹・成文堂 P238)。

 しかし日本の自民党の提案した「叩き台」の文面には、内閣の政令が「法律と代わる」と明記され、内閣の解釈で「緊急事態条項の宣言や延長」ができる仕組みになっていて、内閣に永続的に立法権が集中しかねない仕組みになっています(憲法改正に関する議論の状況について)。
 確かに、世界中に緊急事態条項があるのは常識ですが、自民党の改憲草案のような、一方的に権力が、内閣に集中する緊急事態の条項は世界の常識から照らし合わせても非常識です。

百田氏自身が嫌う「平和ボケ」がふんだんに詰まった奇書
 しかも、この場合、国会で118回もウソを付き続けた首相に権力が集中する場合もあるわけですから、国会でウソを付いた人間が、権力の操縦桿を握る。
これこそ緊急事態だと言わざるを得えません。
さらに、ホテルの明細書も出せない初めてのお使いの子供以下の総理大臣が、有事の際に、権力の操縦桿を握るなんて、チンパンジーが盲腸の手術をするぐらい不条理感があります。

 そして百田氏は、災害の際に様々な可能性を想定する事の重要性を訴えながら、再度、力強く、危機に対応する為の、緊急事態条項の創設を訴えます。
”有事の際は、想定外のことが起きるものです。
それらをすべて事前に予測して、法律として整備しておくなど不可能です”(「百田尚樹の日本国憲法」P28)
 これも全く訳が分かりません。
百田氏が主張する様に「何が起こるか分からないから様々な可能性に想定すべきだ」というのであれば、緊急事態を口実にして為政者が人権を侵害する「可能性も想定すべき」でしょう、なのに百田氏は、その可能性は絶対にないというのです。
 これこそ彼らの忌み嫌う「平和ボケ」と言うやつではないだろうか。
いやマジでこんな本が売れてる日本ってヤバくないでしょうか。

百田尚樹の様な、戦前の人権弾圧に対して無関心である人間の憲法改正は、益々危険極まりないものであると、私は更に確信し、憲法の理念を死守し、憲法の改悪は断固として許さないぞと決意を新たに固めました。
現場からは以上です。

【ドリー】
本名・秋田俊太郎。1990年、岡山県生まれ。
ブログ「埋没地蔵の館」において、ビジネス書から文芸作品まで独自の視点から書評を展開中。
同ブログを経て、amazonに投稿した『色彩を持たない多崎つくると、彼の巡礼の年』レビューが話題となる。
著書に、村上春樹長編13作品を独自解釈で評論した『村上春樹いじり』(三五館)がある。
ツイッター:@0106syuntaro
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2021年02月18日

危ぶまれる五輪開催、7割超が「反対」。賛成派、反対派の理由を聞いてみた

危ぶまれる五輪開催、7割超が「反対」。賛成派、反対派の理由を聞いてみた
2/17(水) HARBOR BUSINESS Online

 緊急事態宣言を出してもなお、新型コロナウイルスの感染者数は思うような減少傾向に転じていません。
そんな中、1年間延期された東京五輪の開催までおよそ5ヶ月と迫っています。
この状況での開催を国民はどう考えているのか、調査結果から民意を探っていきます。

開催反対が圧倒的多数の結果に
 この調査は、紀尾井町戦略研究所株式会社がインターネット上で1000人にアンケートをとったものです。
 「2021年の東京五輪開催に賛成?反対?」と聞いたところ、賛成273人、反対727人という結果になりました。
アンケートが実施された1月末は、東京都だけで連日1000人を超える新規感染者が確認されていた頃。
その状況も背景に、開催反対が7割を超えて賛成を圧倒するという結果になりました。

賛成の人々の意見は
 開催に賛成と回答した273人にさらにその理由を尋ねると、多い順に次のような理由が並びます。

「アスリートや五輪関係者の準備を考えれば開催すべきだと思うから」(117人)、
「五輪の準備に際して行った投資の回収や、開催による経済効果を無視できないから」(68人)。

 しかし、こうした理由とは異なる理由で賛成する人もいます。
筆者の取材に応じてくれた東京都に住む甲田さん(30代男性)は「NBAのスター軍団が日本で見られるのが楽しみなので、基本的には賛成です」といいます。
 現地の治安が不安視された2016年のリオ五輪では、NBAのスター選手を擁するバスケットボールアメリカ代表は、選手村に入らず、安全のために港に横付けされた専用の豪華客船で生活をしていました。
ただ、そうした特別な対応ができる選手団はごく一部に限られることは自明。
甲田さんが「ワクチン接種が進んで、その後の感染状況を見ないとわかりませんね」ともいうように、賛成といえど慎重な声も聞こえてきます。

開催反対の理由は
 一方で、開催に反対と回答した727人に理由を聞くと
「新型コロナ感染症が収束しない現状では時期尚早だと思うから」(355人)や
「五輪を開催することで感染拡大する可能性が否めないから」(229人)と、賛成派に比べて対策云々よりもコロナ自体への危機感が高いことが伺えます。

 とはいえ、「東京都および国の新型コロナ感染症対策や五輪運営に不安があるから」(78人)といったように対策への不安に、都や国がアプローチできていない現状も見えてきます。

 神奈川県在住の武田さん(30代男性)は筆者の取材に対して、「数多ある競技で、こないだのテニスの全豪オープンでの混乱のようなことが起きる可能性があるから」と話します。
開催期間中にロックダウンが宣言され、急遽無観客に変更されるなどの混乱が生じた、先日のテニス全豪オープンは記憶に新しいところです。
 さらに武田さんは「準備してきた選手が可哀想ではあるけど、準備できない選手はもっと可哀想。
比較的大丈夫な国とそうでない国の格差もあり、フェアな大会にできる可能性も低いからです」とも。

世界中から選手の集まる大会であるため、武田さんのように、日本国内の感染状況だけでなく、世界的な収束が先だと考える方もいるようです。

 東京都在住の綾部さん(20代女性)は「精神的な面も含め、ある程度は開放的になれたら開催しても良いかと思います」と、中途半端な開催を避けたいとの理由を話してくれました。
さらに綾部さんは「オリンピックを思いきってやるのであれば、その後も自粛要請等で制限するようなことはやめてほしい」と、五輪の開催によって感染が再拡大しコロナとの戦いが長引く懸念も示しました。

どういった条件が整えば開催可能か
 とはいえ、アスリートや関係者の準備と思い、それに経済効果があるのも事実。
そこで「どういう条件下なら開催可能と思う?」という質問もされています。
これに対しては、反対派が多数であるため「何をしても安心できないのでとにかく開催すべきではない」が419人で最多となりました。
 開催を視野に入れた中では「無観客での開催」(227人)といった五輪の運営としての対策だけでなく「開催までに感染者数が一定の人数以下になること」(134人)といった、国全体の状況を鑑みた決定も望まれているようです。

「海外の方が来ることによってまた医療体制が更にひっ迫すると思われるので、医療従事者のことを考えると反対です」と話す井沢さん(20代女性)は、条件について「海外の方が多くこられることで、医療体制の逼迫が考えられます。なので、それを拡充することと、入国者の追跡を他国のように本当に厳しく取り締まりをすることですかね」といいます。

 ただし、井沢さんは「本音を言えば、反対ではなく延期にしてほしいんですけどね」とも。反対と回答した人の中にも、東京でのオリンピックは実現してほしいと願っている人は多く、反対という意見も、苦渋の回答であることがわかります。
 ワクチンの接種が本格的に始まると、また国民感情には変化があるかもしれません。
開催ありきではなく、そうしたあらゆる状況を踏まえて、決定が下されることを願います。
                 <文/Mr.tsubaking>
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2021年02月19日

通学中の電車で突然「若者は外に出るな」マスク警察の恐怖

通学中の電車で突然「若者は外に出るな」マスク警察の恐怖
2021年02月18日 SPA!

緊急事態宣言の延長に伴い「マスク警察」や「自粛警察」などの存在が、ますます注目を集めている。
 これまでに経験したことのない「コロナ」というストレスに限界を感じている人が多いのだろうか。
他人に八つ当たりしたところで、ウイルスがいなくなるわけではないのだが……。

今回は「マスク警察」や「自粛警察」から受けた理不尽な思いや、恐怖を感じたというエピソードを紹介する。

◆子ども相手にも容赦ない「マスク警察」
 自身の恐怖体験を話してくれたのは杉本祐さん(仮名・30代)。
田舎に住んでいるため、食材を揃えられるスーパーは一軒しかないという。
「小さくても田舎特有の人間味溢れるスーパーなのですが、その日は、都心からの帰省客も多く、見慣れない人たちに圧倒されていました」
 杉本さんは「自粛しないんかい!」「田舎に帰省かい!」と内心ツッコミを入れていたという。

「私には4歳の息子がいるのですが、買い物をしていると『お父さん、少し疲れちゃった』と言うのです」
 スーパーに入るまでの待ち時間が長かったにも関わらず、文句も言わずに頑張った息子に「少し外で休もう」と顔馴染みの店員に断って休憩することにした。
息苦しそうにしていたマスクを外し、2人で愛用の仮面ライダーの水筒でお茶を飲みながら談笑していた……そのとき、事件は起きた。

◆恐怖の3分間、怯える息子
「普段、田舎では見ないような派手なおばさんが、私に向って『おい!』と言うのです。
振り向くと『なんでマスクしていないんだ! しかも小さな子どもまでマスクさせないなんて頭がおかしい! とにかくおかしい! 子どもを連れてさっさと帰れ!』と大声で叫び出したのです。
さらに、その娘だと思われる小学校高学年くらいの女のコまで『マスクしろ! 手には手袋しろ!』と追い討ちをかけてきました。
息子は完全に怯えてしまって、私も突然の出来事に頭の整理ができませんでした」

 約2〜3分間の出来事だったという杉本さん。
そこに夫と思われる男性が現れ、頭を下げながら車へ連れて行ったという。
まわりからは「変な人に絡まれたね」と声をかけてもらえたようだ。
「まだ買い物は残っていたのですが、その場には居づらくなり、帰ることにしました。
息子が『幼稚園でもああいう人がいるけど、かわいそうだね』と悟ったように言っていました」

◆若者というだけで…
 現在大学生の上川もかさん(仮名・20代)は、通学途中に「自粛警察」から怒鳴られたことがある。
昨年春から緊急事態宣言の影響でオンライン講義だったが、秋からは対面授業も始まったという。
「私は電車の中で座っていました。 講義が3限目からだったので、通勤ラッシュにもかぶらず、ゆっくり座ることができたんです」
 その時間帯は人が少なかったという。しかし、大学の最寄駅の数駅前で機嫌が悪そうな中年男性が乗車してきた。
「私の姿を見るなり、『若者は外に出るな!』と叫ばれました。びっくりしたのと同時に、無性に腹が立ってきて。つい反論してしまいました」
 川上さんは、その男性が自分を棚に上げながら他人はダメ、といった態度に腹が立ったと話す。
「私は大学に通うために電車に乗っているだけで、不要不急じゃありませんと言いました。
すると、相手の感情を逆撫でしてしまったようで、さらに捲し立ててきたんです。
『そんなことは知らない』と何度も言われたような気がします」

◆何を言っても「お前が悪い」「外に出るな」「若者のくせに」
 まわりの乗客は見て見ぬフリだった。
憤りを感じていたが、男性はますますエスカレートしていく。
「おじさんは、私が何を言っても『お前が悪い』『外に出るな』『若者のくせに』と繰り返すので、その勢いに押されて泣きそうになりました。
もう我慢できず、授業に遅れることは分かっていましたが、電車を降りてしまいました。
若者というだけで迫害されたのは初めてのことで驚きました」
 川上さんが悔しそうに続ける。

「怖さから泣いていたことで、その日は学校に行くことができませんでした。
お互いにマスクをしていましたが、大声で話しているおじさんを見ていると、飛沫が飛んでいるように感じて気持ち悪かったです」
 感染予防に気を付けることは当然だが、だからといって、他人に度を超えた恐怖を与えることはどうかと思う。
                                <取材・文/chimi86> 

【chimi86】
ライター歴5年目。
趣味は読書、ミュージカル、舞台鑑賞、スポーツ観戦、カフェ。
Instagram:@chimi86.insta
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2021年02月20日

丸山島根知事「五輪開催するべきではない」はマトモな正論

丸山島根知事「五輪開催するべきではない」はマトモな正論
2021/02/19 日刊ゲンダイ

「新型コロナウイルス対策に不備があれば当然主張すべきだが、それを聖火リレーの開催条件に結び付けるのはおかしい」  政府、与党内からは不満の声が出ているが、ネット上では<よくぞ言ってくれた。あっぱれだ>
<知事が県民と政府のどちらを向いて仕事をしているのかがよく分かる>などと好意的な受け止めが目立つ。

東京五輪・パラリンピックをめぐり、5月に地元で予定されている聖火リレー中止の検討を表明した島根県の丸山達也知事(50)のことだ。
 福岡県の専業農家に生まれ、東大法学部から総務省に入省。島根県で3年間、環境生活部長や政策企画局長を務めた経験から、総務官僚を辞して2019年4月の知事選に出馬。見事に初当選した。

 知名度が高くないため、あまり知られていないものの、丸山知事が政府の姿勢に反発するのはこれが初めてではない。
昨春、新型コロナウイルスの感染拡大を防ぐためとして、安倍首相(当時)が全国一律の休校要請を出した際、島根県(島根県教委)は47都道府県の中で唯一、県立高校や特別支援学校の休校を見送っている。
この時も、政府内から「勝手なことをするな」と批判の声が上がったが、県民の評価は高かった。

 大会前のイベントに過ぎないリレーに今、7200万円の県予算をつぎ込む必要があるのか。
それよりも新型コロナ対策に全力を尽くすべきではないか。
丸山知事の考えは極めて合理的だ。

しかも、丸山知事は突然、「五輪は開催するべきではない」と言い始めたわけではない。
そう訴えている理由があるのだ。
 島根県は、東京都などが新型コロナ感染者の濃厚接触者や感染経路を調べる「積極的疫学調査」を縮小していることを問題視し、以前から厚労省に対して全国調査の結果や情報提供などを求めてきた。
ところが厚労省は「ゼロ回答」のまま。
10日の会見でも、丸山知事は「状況について何も情報が得られていない。ゼロ回答です。
何もしていないということではないでしょうか。この話をどうでもいいと思っている政府は危機的」などと怒りをあらわにしていた。

さらに緊急事態宣言の期間中に行われた東京・千代田区長選で候補者の応援演説などをしていた小池百合子知事(68)の行動にも疑問を投げかけ、「不要不急の外出自粛要請の兼ね合いの中で許容されることなのか」
「私がこういうことをやったら袋叩きだと思いますよ。
でも大きなイベントの主要主催者だから、みなさん(メデイア)に許されているのかなとしか思えません」と主張。
五輪を開催する都市のトップにありながら、新型コロナ対策に取り組む姿勢が足りないのでは――と疑問を呈していた。

 ジャーナリストの横田一氏がこう言う。
「丸山知事は政府や東京都の小池知事に対しても臆することなく、正々堂々と正論を主張する。
非常にマトモな知事といった印象です。
政府や都は『唐突に何を言うのか』みたいな受け止めですが、島根県が厚労省に疫学調査に関する情報提供を要請していたことすら知らない。
つまり、放置していたわけです。
これでは政府や都に不信感を抱くのも当然です。

コロナで厳しい状況に追い込まれているのは全国どこでも同じであり、その中で『東京五輪に協力して』というのであれば、政府や都が主導し、きちんとしたコロナ対策を講じるべきです」
丸山知事の正論を政府や小池知事はどう受け止めるのか。
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2021年02月21日

橋本組織委会長が議員辞職を拒否するワケ 五輪憲章も無視で税金ドロボー批判

橋本組織委会長が議員辞職を拒否するワケ
五輪憲章も無視で税金ドロボー批判
2/20(土) 日刊ゲンダイ

 東京オリンピック・パラリンピック大会組織委員会の新会長に就任した橋本聖子参院議員が、いきなり迷走している。
19日午前、組織委会長をやりながら国会議員を続け、自民党籍も維持したまま北海道連会長も続投すると宣言したが、「政治的中立性が保たれない」と批判の声が上がると一転、午後になって自民党本部に離党届を提出。
道連会長も辞任することになった。

橋本氏はこれまで、国際オリンピック委員会(IOC)や自民党から、党籍を置いたまま会長職を務めることの了解を得たと説明。
大臣職を辞するだけでお茶を濁そうとしていたが、特定政党の議員のままで組織委会長をやれると考えていた方がおかしい。「自民党のための五輪か」と批判する声が上がるのは当たり前だ。
国会議員も辞めるのが筋だろう。

 橋本氏が「お父さん」と呼ぶ森喜朗前会長も、会長職と国会議員の兼務は想定していなかったという。
前東京都知事の舛添要一氏がツイッターでこう明かしている。
<都知事のときに組織委の森会長と東京五輪の準備を進めたが、森さんの健康状態もあって、万が一のときを考えた。
そのときの了解事項は、政治家が就任するときには国会議員の職は辞するということであった。
そうしないと、五輪憲章がうたう政治的中立性が担保されないからだ>

 議員辞職について、橋本氏は「尊い議席は、このまま守りたい」と言ってかたくなに否定している。
「橋本さんは数億円といわれる実父の借金を背負っているらしいから、辞めるに辞められないんだろう。
ただ、組織委会長の報酬と“二重取り”なんてことになれば、世論の反発を招いてしまう」(自民党関係者)

 組織委の「役員及び評議員の報酬並びに費用に関する規程」を見ると、月額10万円から200万円まで20段階あり、橋本氏は最高額の200万円という臆測も飛んでいる。
 本当なのか、組織委に確認すると、「事実ではない。
森前会長と同じく役員報酬はもらっていません」(広報部)とのこと。
そうなると、ますます議員は辞められない。

■主要閣僚ポストの密約も?
「橋本さんが“掟破り”で国会議員の身分にしがみつくのは、五輪後に重要閣僚のポストが約束されているからという噂も流れている。
しかし、国会議員は組織委会長の片手間にやれるような仕事ではないはずです。
選挙で国民の負託を得たと同時に、税金が投入される。しかも今は通常国会の真っ最中ですよ。
採決時だけ出席するというのでは税金泥棒でしょう。

就任の挨拶で『会長として全力を尽くす』と言ったのだから潔く議員を辞めて組織委会長に専念するべきです。
どうしても国会議員がいいなら、五輪を成功させて、また立候補すればいいじゃないですか」(政治ジャーナリスト・山田厚俊氏)
 議員を辞めたくないなら組織委会長を引き受けなければよかった。
スピードスケートと自転車競技で7回のオリンピックに出場した「五輪の申し子」が、個人や政党のエゴを優先して五輪憲章も無視とは皮肉な話だ。
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2021年02月22日

「ぽっちゃり体形は健康」は本当か?予防医学専門誌で検証

「ぽっちゃり体形は健康」は本当か?予防医学専門誌で検証
2021年02月21日 日刊ゲンダイ  

健康診断で「肥満」と診断されると、「健康のために体重を減らしましょう」と言われます。
 体重が増えたことで中性脂肪や血糖値が上昇したり、肝機能が悪くなったりしていれば「肥満が健康を害している」と理解できるので、前向きにダイエットに取り組もう、という気持ちになります。
 しかし、中には他の検査値には異常がなく、「体格だけが異常」と判定されていることがあります。
こうした場合にも本当に肥満は悪いのでしょうか? 

 体形には個人差があり、少し痩せている方が体調の良い人がいる一方で、少し太めの方が体調が良いという人もいます。
 また同じ体重でも、筋肉が多いか脂肪が多いかで、その状態にも違いはありそうです。
 今年の予防医学の専門誌に、運動習慣と体格との関連を検証した論文が掲載されています。

 体格の指標であるBMIという数値で、肥満と判定されている人に運動療法を施行して、運動をあまりしていない肥満のない人と比較しました。
 すると、たしかに運動をしていない同じ体格の人と比べれば、運動をしている人は健康的で、糖尿病などの病気のリスクも低かったのですが、肥満があると、それだけで糖尿病などのリスクは増加していて、運動習慣もそれをゼロにすることはできませんでした。

「運動をしていても、健康な肥満はない」と、そう考えた方がよさそうです。
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2021年02月23日

コロナに便乗した不当解雇が横行している。ユニオン交渉員の証言

コロナに便乗した不当解雇が横行している。ユニオン交渉員の証言
2021年02月22日 SPA!

2月2日の厚生労働省の発表ではコロナ解雇・雇い止めの人数が8万4000人を超え、長期化するコロナ禍で会社や自分の将来に不安を感じる人も多いだろう。
 今回は正規・非正規を問わず全国から不当解雇やハラスメントなどの無料相談も受け付けている「みんなのユニオン」で、交渉員として業務にあたる竹永一樹氏にコロナ禍での労働トラブルの実態を聞いた。

◆コロナ便乗解雇とは?
「『みんなのユニオン』で最も多く扱っているのは不当解雇です。
日本の労働法では解雇に対し、非常に厳しい扱いをしており、経営者が『当然解雇できるはず』と考える事案でも、実際の裁判では解雇が次々に無効とされています」と語る竹永氏。

 法律事務所で、刑事事件や交通事故の案件にパラリーガルとして従事した後、2020年4月の同ユニオン立ち上げ時から解雇・雇い止め・内定取消などの相談に対応している。
そもそもユニオンの交渉員の仕事とはどのようなものなのか。
「相談者からヒアリングした上で会社に内容証明を送り、不当解雇の事実を伝えて、適正な慰謝料等を労働者に払ってもらえるよう交渉を行っています。
労働事件の裁判は1〜2年かかりますが、仮に裁判で争って正式に解雇が無効になった場合、会社側は判決が出るまでの間の賃金を全額支払う義務が課せられます。
 それではお互い弁護士費用もかかりますし、経済合理性の観点から不毛なので、我々は会社側がそのリスクを負わない現実的な範囲で金額を提示し、裁判前に和解を提案するんです。
和解金の額は賃金ベースの計算になり、具体的事情によって変動します。
そこは組合員さんの希望を最大限叶えられるよう、会社さんと交渉をしていきます」

 同ユニオンでは団体交渉に加え、会社に無料&匿名で届けられる通知書サービス活動も行い、多角的に会社にプレッシャーをかけ、適法な職場環境が守られるよう働きかけている。
「政府が雇用調整助成金などの支援金を大きく打ち出しているため、倒産件数も想定程多くはなく、リーマンショックや東日本大震災の時などに比べれば、コロナを理由として適法に解雇できる件数は少ないほうだと思います。
とはいえ業種、性別、地域などを問わず『便乗解雇』の相談は多いです。
会社側も労働法で定められた解雇できる要件への理解が浅く、コロナで会社の売上も下がったタイミングで、ずっと解雇したかった人員を安易に解雇してしまうようなケースです。
解雇に関する相談件数は波もありますが、特に11月後半から12月末にかけては急増しました」

◆解雇された証拠があれば交渉で有利
 コロナによる便乗解雇では“縁起”的な問題も介入することも少なくないようで、中には新年に向けて悪い運気を取り除くために解雇されたというケースまで実際にあったそうだが、副業関係のトラブルも増えているという。
「医療関係のクライアントで、コロナの影響で始めた副業が偶然バレ、『副業先の職場でコロナにかかると影響が大きい』という理由から解雇されてしまった事例もありました。
たとえ副業禁止でも減給処分や注意による改善を求めることなく、いきなり解雇というのはまず認められず、最終的に金銭による和解に持ち込めました。
 会社が債務超過で事実上従業員を雇えなくなった場合や、もしくは労働者が刑事事件で起訴され、かつ実名報道されたために会社へ著しく損害を与えた場合など、そのレベルの話となれば解雇も認められる可能性もありますが、経営が少し傾いたから解雇、とはできないのが日本の法制度ですね」

 売上が立たずに苦しい経営に直面している経営者も多いだろうが、整理解雇も単に経営が赤字という理由だけでは要件を満たしたことにはならない。
竹永氏はどんな形でも解雇されたらまずはユニオンに相談することを勧める。
「整理解雇の条件には役員報酬やボーナスのカットなどの回避努力義務があり、程度もありますが、むしろ手続きとしては先に減給などをするべきなんです。
実際に雇用調整助成金など助成金もある中で解雇の必要は全くないのに、いきなり解雇してしまう会社さんは多いんですが、これは会社さんにとって非常に不利な状況になります。

従業員10人の会社さんの事例で、6人を解雇すれば事業を維持できたにも関わらず、10人全員を解雇したという理由で解雇が無効になったという例も過去にはあります」
 懲戒解雇も同様で、例えば会社のレジからお金を抜いていたなどの横領が発覚して解雇された場合も、自主退職の打診、減給や自宅待機処分などを行わなければ簡単に解雇は有効にならないという。
「みんなのユニオン」では交渉にあたって組合費や事前の着手金などは発生しない。
相談前に注意すべき点はあるだろうか。
「裁判や示談の交渉では会社さんは都合の良いことしか言わないので、解雇通知書や解雇理由証明書をもらったり、メールや電話で問い合わせて解雇された言質をとって録音したり、解雇された事実を証拠として残しておくことが必要です。
あとは我々に依頼していただければ、最終的に和解するまで会社との交渉をまとめるので、ご自身でやっていただくことはありません」

◆中年会社員を襲う“退職勧奨”対策
「内定取り消しもかなりの件数を受けていますが、基本的には解雇と同じで、まず内定が法的に認められる証拠が必要です。具体的には給与や勤務場所、勤務時間、出社日など基本的な条件が記載された労働条件通知書や雇用契約書といった書面、そうした内容がわかる会話の録音データなどですね。
結局、会社さんに『解雇していない』『内定を出していない』などと言わせないことが、交渉を進めるためのスタート地点になります」

 トラブルに発展しそうな会社との重要なやりとりは全て書面や録音、メールなどで押さえておくことが鉄則。
残業代未払いの問題でも具体的に会社から業務の指示があったのかがポイントになる。
「メールでもビジネスチャットでも、まずは残業の申請や報告をして会社側が残業を認知したことを裏付ける必要があります。
残業代未払いは職種によってはサービス残業が長年の慣習になっていて、そもそも何が問題なのか把握されていないこと、当たり前だと思い込んでいる点も根本的な問題です」
 コロナ禍が長期化することで、会社側も労働者側も経営状況が悪化し、便乗解雇が容認される空気が醸成されることを懸念する竹永氏。

◆安易に同意しないことが大切
 中年会社員のケースでは新しく若い社員が入ったことを理由に退職勧奨が行われるケースも増えていると紹介した。
「退職勧奨はあくまで打診なので、それ自体に法的な問題はありませんが、これに関しては安易に同意しないことが大切です。
拘束されて無理やり書かされた、記入したら退職金が増額されると騙されて同意したなど、よほどの理由や証拠がない限り法的に取り消すことができず、自主退職になってしまいます。

『いますぐ書いてください』と言われても、大前提として会社からそうした書類が提示されたら、労働組合や知り合いに相談すると言って、その場では記入しないようにしましょう」
 従業員の地位を奪う解雇や雇い止めがいかに難しいことか、会社にも従業員にもいま一度広く認知させていくことが大切なようだ。
<取材・文/伊藤綾、取材協力/みんなのユニオン>

【伊藤綾】 1988年生まれ道東出身。
いろんな識者にお話を伺ったり、イベントにお邪魔するのが好き。SPA!やサイゾー、マイナビニュース、キャリコネニュースなどで執筆中。
毎月1日に映画館で映画を観る会"一日会"(@tsuitachiii)主催。
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2021年02月24日

銀行手数料の「改悪」相次ぐ、利用者にいちばんやさしい銀行はどこか

銀行手数料の「改悪」相次ぐ、利用者にいちばんやさしい銀行はどこか
2021.2.23 ダイヤモンドオンライン
松崎のり子:消費経済ジャーナリスト

メガバンクが次々発表している「紙の通帳有料化」。
無料で享受してきた銀行サービスが、もはや“昔話”になりつつある。
あらゆるサービスが有料に向かうなか、うっかりしていると利用者が余計な手数料を負担させられることも増えるだろう。
知っておくべき「有料」と「無料」の境目を知り、これからの銀行選びのポイントを探っていこう。(消費経済ジャーナリスト 松崎のり子)

メガバンクで続々と有料化
 3大メガバンクの中で「通帳有料化」に2021年からかじを切ったのがみずほ銀行。
2021年1月18日以降に口座を新規開設した場合、通帳発行・繰り越しごとに1冊1100円(税込み)の手数料が発生する(通帳発行・繰り越し時に70歳以上の利用者は無料)。
みずほ銀行は1冊ごとという点がポイントで、お金の出し入れが多く通帳をどんどん繰り越す人は不利といえそうだ。

 続いて、三井住友銀行。2021年4月1日以降に新規開設した普通預金口座で紙通帳を使う場合は、年間550円(税込み)を対象口座から自動的に引き落とすという(18歳未満または75歳以上は対象外)。
 もし口座残高が手数料額に満たない場合は、通帳不発行型口座へ自動的に切り替えとなる。
これは、みずほも同じ扱いだ。

 通帳発行手数料だけを見れば三井住友の方が安いが、気を緩めてはいけない。
2021年4月から新設される手数料がまだあるからだ。

新生活で新たに口座を開く場合は要注意
 4月1日以降に新規開設した普通預金口座で、Web通帳の選択またはSMBCダイレクトの利用登録を済ませていない、さらに2年以上入出金がなく、かつ残高が1万円未満なら、年間1100円(税込み)がかかる。
要は、大した金額も入金せず、ほとんど使わない口座には維持管理のため手数料をかけるぞ、という話だ(※18歳未満または75歳以上、同じ支店に定期性預金口座・外貨預金口座等がある場合は対象外)。
 同様の手数料を発表しているのが三菱UFJ銀行。
7月1日以降に開設した口座で、2年以上利用がない場合は「未利用口座管理手数料」として年間1200円(税抜き)を徴収しますとお知らせが来る(ほかに定期預金、外貨預金、投資信託等が1円以上ある、または借り入れがある場合は除く)。
お知らせから3カ月たってもノーリアクションだと、この金額を口座から引き落とし、残高が手数料を賄えなくなったら口座を解約する。

 まず押さえておくべき点は、紙の通帳にしろ口座維持手数料にしろ、新規に開く口座のみが対象ということ。
これから新生活シーズンを迎え、勤務先や各種引き落とし等の都合で新たに口座を開くときは注意が必要になる。
なお、りそな銀行は2004年4月1日新規開設分からすでに年間1320円(税込み)の未利用口座管理手数料を導入している。

4月からATM手数料も上がったり下がったり
 もっと身近な手数料の変更もある。
三菱UFJ銀行は4月1日からローソン銀行ATMでの入出金について、時間外・時間内手数料を100円上げる。
その代わり、毎月25日と月末日は時間内手数料が無料になる(※この日が休みの場合は前日が無料)。そのほかの提携コンビニATMも、すでに25日と月末は時間内手数料が無料に変更済みだ。
 同じく三井住友銀行も4月5日より、毎月25・26日のコンビニATM時間内手数料は無料とし、それ以外の日は110円引き上げる。
ただでさえ混雑する給料日がもっと密になりそうで、これは喜ぶべきか、悲しむべきなのか(ちなみに三井住友と三菱UFJはATMで提携しており、提携を示すステッカー付の店舗外ATMなら、同じく25・26日が無料だ)。

 そういうケチケチしたことを考えたくない人は、ゆうちょ銀行一択しかない。
全国の郵便局のほか、ファミリーマート等にもATMの設置がある。
なんといっても、時間外はおろか土日祝日も入出金に手数料がかからない。
台数も約3万2000台(2020年3月)とセブン銀行ATMを超えている。
この先、リモートワークで郊外に引っ越したり、ワーケーションでリゾートで働こうと考えたときにも、郵便局さえあればお金を引き出せるので、やはり最強といえるだろう。

最初からデジタルシフトのネット銀行が「安い」と限らない
 店舗なし・通帳なし・ATMなしのネット銀行は、レガシーを引きずるメガバンクよりいろんな手数料が安い気がするが、さにあらず。
 例えば、自社ブランドのコンビニATMを持つ、セブン銀行とローソン銀行。
コンビニ自体は原則24時間開いているというのに、24時間無料で使えるわけではない。
セブン銀行の場合、平日・土日ともに出金は7時〜19時以外は110円がかかる。
ローソン銀行もセブン同様、無料の時間帯は7時〜19時だけだ。
 逆に無料時間が長いのはイオン銀行。
ATMを設置している店舗が開いてさえいれば、その時間は無料で引き出しできる。

 お金がかかるのは、実は引き出し時だけではない。リアル・ネット含めた多くの銀行では、取引内容や残高に応じ、利用者をステージ・クラス別に振り分けているところが多く、より活発に使ってくれるユーザーには手数料無料回数を増やすという方式を取っている。
そのステージ判定に乗らない、単に口座を開いただけのフラットな状態で比較してみると意外な差が見えてきた。
なんと、「入金にも手数料がかかる」ケースがあるのだ。

条件を満たさないと入金に手数料がかかる銀行は、以下の通りだ。
・auじぶん銀行 ・ジャパンネット銀行 ・楽天銀行 ・ローソン銀行  それぞれへの入金が「無料にならない」ケースを見ていこう。

入金しただけで手数料を取られる?その条件を確認
 まずauじぶん銀行だが、残高が10万円未満のステージ「じぶんプラス1」相当だと、出金だけでなく入金にも110円がかかる。
給与振り込みやスマホデビット利用などでステージを上げることはできるが、条件未達だと入金もおちおちできない。

筆者はauPAYのチャージにこの銀行を使っているが、残高が10万円未満のため他行の無料振り込み特典を使って口座に振り込んだうえでチャージ、という迂回方法を使っている。
 ちなみに三菱UFJ銀行からの振り込みは無料だし、定額自動入金サービス(毎月6日または26日に他行口座より指定金額をじぶん銀行口座へ入金してくれる無料サービス)で10万円をキープする方法もあるにはある。

 次にジャパンネット銀行。
ここは毎月1回目は無料で入出金できるが、2回目からは3万円以上でないとやはり手数料がかかる。
4月からはPayPay銀行と名を改めるが、このあたりがどうなるのか注目したい。

 次に楽天銀行。
1月19日に国内インターネット銀行として初めて1000万口座を突破と勢い華々しいのだが、意外なことに、実は楽天銀行も3万円未満の入金には手数料がかかってしまう。
ただし、口座開設から3カ月目までは無条件で5回まで無料という特典があるので念のため。
楽天銀行に口座を開く人は、ほとんどが楽天カード保有者かつ楽天グループのサービスを小まめに利用する層と考えられるので、くれぐれも決済代金を入金する際には自分が該当するステージに気を付けよう。

 ラストのローソン銀行は、7時〜19時以外だと入金にも110円かかる。
コンビニ銀行の割に便利さがいまいちと感じるのは残念だ。

なんだかんだ手数料が安いのは、あの銀行
 先にも書いたように、ネット銀行が必ずしも手数料が安いわけではなく、引き出し手数料についてもバラバラだ。
この比較は定期的に行っているが、流通系を外したネット銀行のうち取引等条件なしで無料引き出し回数が最も多いのは、ソニー銀行で4回。続いて、GMOあおぞらネット銀行、住信SBIネット銀行の2回と続く。
なお、あおぞら銀行BANK支店は、ゆうちょ銀行ATMに限り、回数制限なしに引き出し無料となる。

 キャッシュレスへの流れで言えば、現金の入出金が有料か無料かはささいな話になっていくだろうが、うっかり引き出したために220〜330円も取られるのはつらい。
土日祝日も無料、コンビニ内ATMとしても使えて利用時間も気にしなくていい点では、やはり、ゆうちょ銀行が最強と言わざるを得ない。
 しかし、光もあれば影もある。
ゆうちょ銀行がドコモ口座不正引き出し事件のメインターゲットにされたのは記憶に新しいところだ。
使い勝手がよく、多くの人が口座を持てば持つほど、悪意ある人間に目を付けられやすい。
ゆうちょ銀行をはじめ、各行が不正対策を取っているが、やはり利用者自身が自衛することが欠かせない。

紙通帳の有料化、不稼働口座への手数料等を
きっかけに、保有する口座の確認・整理ももう一度しておきたいところだ。
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2021年02月25日

麻生政権時と似てきた? 菅政権の「余命」がついに明らかになった…!

麻生政権時と似てきた? 菅政権の「余命」がついに明らかになった…!
2/24(水) 現代ビジネス
鷲尾 香一(ジャーナリスト)

長男の接待会食でさらに苦境に
 菅義偉内閣が誕生してから6ヵ月が経過した。
不十分な新型コロナウイルス対策とワクチン接種対応への遅れに加え、衛星放送関連会社「東北新社」に勤務していた長男と総務省幹部らとの接待会食が明らかになり、批判に晒されている菅義偉首相。  

菅政権の支持率の波形を見る…!
 菅政権はいつまで続くのかを、永田町では「政権の存続の指標」と言われる“青木方程式”で分析した。
 菅首相は、安倍晋三前首相の自民党総裁としての任期を引き継ぎ首相に就任したため、今年9月末には自民党総裁の任期を迎える。
 このため、菅首相就任当初は、「早期に衆議院を解散し、総選挙に打って出て、自民党が勝利を納め、菅首相が再選されることで“真の菅政権を樹立する”」との見方が強かった。
 ところが第1波を超え、政府の緊急事態宣言が解除され、夏場に小康状態を保っていた新型コロナの感染拡大が、秋口から再び増加に転じた。

9月16日に首相の“お鉢が回ってきた”本人にとっては、新型コロナ対策で解散・総選挙どころではなくなった。
 その後も、年末の臨時国会、年明けの通常国会など、解散・総選挙のタイミングは様々取り沙汰されたが、新型コロナの感染拡大が猛威を振るう中、その対策に追われることとなった。
 そして、今、長男と総務省幹部らとの接待会食が明らかになったことで、菅首相は苦境に追い込まれており、内閣支持率は低下の一途を辿っている。

第1次安倍内閣以降、8政権中5つで的中  “青木の法則”とも呼ばれる「青木方程式」は、自民党の青木幹雄元参院議員会長が経験に基づき提唱したもので、「内閣支持率と政党支持率の合計が50%を下回ると政権は倒れる」という法則だ。
 確かに、第1次安倍晋三政権以降の政権が倒れた時の状況を見ると、青木方程式が当てはまるケースは以下のように多い。なお、内閣支持率、政党支持率はすべてNHK世論調査による。
----------  
<内閣> <内閣解散直前の青木方程式> <内閣解散>
福田康夫内閣 2008年5月:46.6% 2008年9月解散  
麻生太郎内閣 2009年9月:38.0% 2009年9月解散  
鳩山由紀夫内閣 2010年5月;41.8% 2010年6月解散  
菅直人内閣 2011年8月:34.4% 2011年9月解散  
野田佳彦内閣 2012年12月:36.1% 2012年12月解散
----------
 第1次安倍内閣以降、8人の首相が誕生しているが、このうち5人の内閣は青木方程式が50%を下回り倒れている点を考えれば、青木方程式はある程度は信頼に値する。

 とは言え、福田康夫政権は青木方程式が50%を下回ってから4ヵ月間生き延びたし、麻生太郎政権は政権期間中に月1度の世論調査で4回も下回った。  菅直人政権は4ヵ間連続で50%を下回った後で倒れ、野田佳彦政権は1年4ヵ月の政権期間のうち、1年間も50%を下回っていたことから、青木方程式は50%を下回ったからと言って、すぐに政権が倒れるというものではない。

 ちなみに、第1次安倍内閣以降で青木方程式が50%を下回っていないのは、安倍政権(第1次から第4次まで)と、今のところの菅政権だけだ。

麻生政権と酷似
 さて、菅政権は2020年9月に内閣支持率62%、政党支持率40.8%、青木方程式102.8%で発足した。
 安倍政権が内閣支持率を34%、政党支持率を35.5%、青木方程式69.5%にまで下げていただけに、非常に高い支持を得たと言える。
特に、内閣支持率は各種世論調査で歴代3位の支持率と言われた。

 ところが、その後の支持率は低下の一途を辿っている。
2021年2月調査では、内閣支持率は38%、政党支持率は35.1%、青木方程式で73.1%まで低下している(表1)。
 青木方程式の法則から見れば、まだ“安全圏”といったところだが、安倍前首相が政権を“投げ出した水準”に急接近している。
 ただ、筆者には気になることがある。
それは、政権発足からの支持率の推移が、1年で政権崩壊した麻生内閣の動きに似ている点だ。
 麻生政権は発足時の内閣支持率48%、政党支持率37.3%、青木方程式85.3%だったが、4ヵ月目に内閣支持率が49%→25%に急落、政党支持率も35%→28%に低下したことで、青木方程式も84%→53%に低下した。
そして、この時、内閣支持率と政党支持率が逆転している(表2)。

 政権発足時の支持率こそ、麻生政権よりも菅政権の方がかなり高いが、菅政権も麻生政権同様に4ヵ月目に内閣支持率が56%→42%に急落、青木方程式も92.8%→80.2%に低下し、2月調査では内閣支持率と政党支持率が急接近し、逆転しそうな勢いだ。
 そこで、両内閣の発足から6ヵ月間の内閣支持率と青木方程式を並べてみた。いかがだろうか、似ていないか(表3、表4)。  

第1次安倍政権以降の内閣で、ここまで支持率の波形が似ているものはない。
となれば、菅政権も1年という“短命政権”で終焉を迎えるのだろうか。
 そもそも、菅首相は安倍前首相の自民党総裁の任期を引き継いだため、今年9月に任期を迎えることは前述した。
加えて、10月には衆議院議員の任期を迎える。
だからこそ、菅首相としては早期に解散・総選挙に打って出て、真の菅政権樹立を目指していたわけだ。
 ところが、解散・総選挙に打って出るタイミングは非常に難しい状況になっている。

新型コロナ対策はワクチン接種が始まり、佳境を迎えている。
開催できればだが、7月には東京オリンピック・パラリンピックが控えている。
 その上、各自治体でのワクチン接種が始まれば、「ワクチン接種で、自治体の職員は総出でで対応しなければならなくなり、選挙に人を回す余裕はなく、選挙を行える状況ではない」(自治体職員)という。
 さらに、「新型コロナのワクチン接種会場の手当てだけでも大変なのに、選挙の投票会場が確保できるのか」(別の自治体職員)との指摘もある。

 こうなると解散総選挙は、
1.自民党総裁の任期を迎える9月直前、
2,先に自民党総裁選を行い、菅総裁が再選された後に、任期満了で衆議院選挙を行う、などのタイミングが有力視され始めている。
 しかし、問題は9月にしろ、10月にしろ、国民の新型コロナワクチンの接種が終わっているのか、という点だ。
2回のワクチン接種が必要となれば、先の日程も相当に難しいのではないだろうか。

 そこで考えられるのは、可能性は相当に低いものの、国民のワクチン接種が始まる前の“間隙を縫った”解散・総選挙だ。  特に、2月のNHK世論調査は、長男と総務省幹部らとの接待会食が明らかになる前の結果なので、この問題が反映されていない。
3月の世論調査の結果次第では、青木方程式の危険水準に急接近する可能性もある。
3月世論調査は注目だ。
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2021年02月26日

【眞子さまと小室圭氏の結婚問題】天皇陛下の言及は『裁可』を覆したに等しいとの声

【眞子さまと小室圭氏の結婚問題】天皇陛下の言及は『裁可』を覆したに等しいとの声
2021年02月25日 NEWSポストセブン

 3年もの間、「沈黙」を貫き続けられた天皇皇后両陛下。
だが、その日、陛下が初めて「問題」に触れられ、大きな波紋を呼んでいる。
 令和皇室全体を揺るがす最大の問題──秋篠宮家長女の眞子さまのご結婚についてだ。

2017年の婚約内定当初こそ、雅子さまは誕生日文書で《心からのお幸せをお祈りしております》と言及されたが、ご結婚問題が「国民の関心事」となってから一変された。
「両陛下はこれまで公の場では眞子さまのご結婚や小室圭さんについて言及されてきませんでした。
あくまで他家のプライベートな事柄であり、ご発言が眞子さまにとってプレッシャーになりかねないと案じられたのでしょう。
特に雅子さまは、私的な場でも頑ななまでに触れられないといいます」(皇室関係者)

 だが、沈黙を貫くには“傷口”が広がりすぎた。
陛下はご自身のお誕生日というタイミングで、ついにご結婚問題に言及された。
いや、せざるを得ない状況だった。
「その内容は、ご結婚に重大な懸念を持たれていることがわかる手厳しいもの。

陛下は事前に秋篠宮ご夫妻だけでなく、上皇ご夫妻にも内容を伝えられたでしょうから、相当な危機感とご覚悟の上での発言だったと思います」(宮内庁関係者)
 異例ともいえる陛下の開口。
その内幕を辿ると、眞子さまに向けられた「祈り」の思いが浮かび上がった──。
結婚の「裁可」を覆されたに等しい 《眞子内親王の結婚については、国民の間で様々な意見があることは私も承知しております。
このことについては、眞子内親王が、ご両親とよく話し合い、秋篠宮が言ったように、多くの人が納得し喜んでくれる状況になることを願っております》
 2月19日、お誕生日を前にした記者会見の場で、陛下はそう述べられた。
そのおことばの持つ意味は、あまりにも重い。

「公式の場でここまで踏み込んだ発言をされたことに、眞子さまへの“最後通告”とも取れる強いご意思を感じました。
まずは両親の言うことに耳を傾けなさい──そんな眞子さまへのメッセージが込められていると読み取れます」(前出・宮内庁関係者)
 そもそも、陛下がお誕生日に他家のプライベートに関して触れられること自体、異例のことだ。
たとえ質問されても、「私的な事柄なので、発言は控える」などと、言及を避けることもできたはずだ。
だが、陛下が言及せざるを得ない状況をつくられたのは、ほかでもない、眞子さまご本人だった。

 眞子さまは昨年11月、ご結婚に関する「お気持ち」を記された文書を発表された。
そこでは、《天皇皇后両陛下と上皇上皇后両陛下にご報告を申し上げ》たこと、そして、両陛下が《私の気持ちを尊重して静かにお見守りくださっている》ことが記された。
続く12月には宮内庁のトップである西村泰彦長官が小室家側の「説明責任」について言及。

その2つのことで、眞子さまのご結婚は、プライベートの範疇を超え、皇室全体の課題となった。
「それだけの問題ですから、陛下には“自分が言及しないわけにはいかない”という思いもおありだったのでしょう。
 もともと関係者の間では、 もし言及されるにしても、“意思を尊重したい”“見守っていきたい”といった、眞子さまの文書に応える形で、ある意味、あたりさわりのない発言をされるというのが大方の見方でした。
ですが、まさかここまで踏み込んだ発言をされるとは……」(皇室ジャーナリスト)

 関係者を驚かせるほど、差し迫った発言をされた陛下。
前出の皇室ジャーナリストは次のようにつなげる。
「眞子さまのご結婚を認める『裁可』をされたのは、当時の天皇である上皇陛下です。
天皇が認めることで初めて、内親王の婚約内定は成立するものなのです。
天皇陛下は裁可をされたご本人ではないとはいえ、“もう一度両親とよく話し合って”と取れる発言をされた。
それは、裁可を根本から覆すに等しい、非常に厳しい注文ではないでしょうか」
 眞子さまはこの言葉をどのように受け止められたのだろうか。

    ※女性セブン2021年3月11日号
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2021年02月27日

自主ではなく「官房機密費」で返納? 渦中の山田真貴子内閣広報官に怨嗟の声

自主ではなく「官房機密費」で返納? 渦中の山田真貴子内閣広報官に怨嗟の声
2021年02月26日 日刊ゲンダイDIGITAL

<いやはや、首相会見を仕切るだけで、そんなにもらえるのか>
<これじゃあ、どれほど批判の声が出たって辞めないわけだよ>
 ネット上では怨嗟の声が広がっている。

放送関連会社「東北新社」に務める菅義偉首相の長男らによる総務省幹部接待問題で、同社から総務審議官時代の2019年11月に約7万4000円に上る高額な接待を受けていた山田真貴子・内閣広報官(60)。
山田広報官は25日の衆院予算委に参考人として出席。
「公務員の信用を損なったことを深く反省している。本当に申し訳なかった」と陳謝したものの、「今後、職務を続ける中で、できる限り自らを改善したい」と述べ、引き続き内閣広報官を務める意向を示した。

 90年代前半のテレビCM「反省だけなら、サルでもできる」のセリフではないが、反省して謝ったからオシマイではないだろう。
内閣広報官とは文字通り、内閣の広報マンという重責を担う「顔」だ。
今後、首相会見に登場する度、記者や国民からは疑惑の目で見られることになる。
「本当に申し訳ない」と思うのであれば、きちんとけじめをつけるために広報官を辞するべきではないのか。

 国民が不信感を募らせているのは、山田広報官が何ら“お咎めなし”という理由だけではない。
その破格というも言える高額な給料に対しても憤りの声が上がっている。
 加藤勝信官房長官は25日の会見で、接待問題を受けて給与報酬月額の10分の6を自主返納することになった山田広報官の返納額が70万5000円に上ると明らかにした。
つまり、広報官の給与報酬は月額で117万5000円。
地域手当などを含めると給与は月額で約140万円ほどになるだろう。

 国税庁の調査によると、サラリーマン全体の平均月収は約35万円(推定)だが、このコロナ禍では残業代も減り、給与はさらに下がっているだろう。
わが身を削る思いで必死に納めた税金が、疑惑の広報マンに対して自分たちの月収の約5倍も支払われ、さらに業者からも賄賂性の高い飲食代を負担してもらっていたのだから驚天動地だ。

<10分の6じゃなく全額返納しろ>
<俺たちの税金を何だと思っているんだ>
 ネット上で怒りの連鎖が広がっているのも無理はない。

 野党国会議員がため息交じりにこう言う。
「国民には自助を求めながら、家族や取り巻きには公助するのが菅首相。
山田さんは菅首相のお気に入りのため、自主返納すると説明されているお金の原資も実は官房機密費ではないか、などとささやかれています」

 不祥事で返納するお金も税金でなんて冗談ではない。
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2021年02月28日

山口二郎教授 「権力者が追い詰められた時の反応」…菅首相のいらだちに

山口二郎教授 「権力者が追い詰められた時の反応」…菅首相のいらだちに
2/27(土) デイリースポーツ

 山口二郎法政大学教授が27日、ツイッターに新規投稿。
菅義偉首相が26日に“ぶら下がり”で報道陣の質問に対応した様子について「追い詰められた時の反応のパターン」などと言及した。
 山口教授は、芥川賞作家の平野啓一郎氏が26日のNHK「ニュース7」について投稿したツイートを引用。
同番組は冒頭から約10分にわたって菅首相が時にいらだちながら、6府県で緊急事態宣言を3月7日の宣言期限を前倒して解除することを決定したものの会見をしない理由などを問われた様子を放送した。

平野氏は「ニュース7の首相のぶら下がり、記者の質問が正常化してて驚いた」などと投稿した。

 山口教授は菅首相について「権力者が追い詰められた時の反応のパターンと想像する」と指摘。
「権力者の威光を誰も怖がらなくなり、配下だと思っていた者が離れていくと、権力者は錯乱する。
岩波新書の『暴君 シェイクスピアの政治学』(スティーブン・グリーンブラット)を読むと、菅首相の今後が予想できるだろう」と投稿した。
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