2021年02月24日

銀行手数料の「改悪」相次ぐ、利用者にいちばんやさしい銀行はどこか

銀行手数料の「改悪」相次ぐ、利用者にいちばんやさしい銀行はどこか
2021.2.23 ダイヤモンドオンライン
松崎のり子:消費経済ジャーナリスト

メガバンクが次々発表している「紙の通帳有料化」。
無料で享受してきた銀行サービスが、もはや“昔話”になりつつある。
あらゆるサービスが有料に向かうなか、うっかりしていると利用者が余計な手数料を負担させられることも増えるだろう。
知っておくべき「有料」と「無料」の境目を知り、これからの銀行選びのポイントを探っていこう。(消費経済ジャーナリスト 松崎のり子)

メガバンクで続々と有料化
 3大メガバンクの中で「通帳有料化」に2021年からかじを切ったのがみずほ銀行。
2021年1月18日以降に口座を新規開設した場合、通帳発行・繰り越しごとに1冊1100円(税込み)の手数料が発生する(通帳発行・繰り越し時に70歳以上の利用者は無料)。
みずほ銀行は1冊ごとという点がポイントで、お金の出し入れが多く通帳をどんどん繰り越す人は不利といえそうだ。

 続いて、三井住友銀行。2021年4月1日以降に新規開設した普通預金口座で紙通帳を使う場合は、年間550円(税込み)を対象口座から自動的に引き落とすという(18歳未満または75歳以上は対象外)。
 もし口座残高が手数料額に満たない場合は、通帳不発行型口座へ自動的に切り替えとなる。
これは、みずほも同じ扱いだ。

 通帳発行手数料だけを見れば三井住友の方が安いが、気を緩めてはいけない。
2021年4月から新設される手数料がまだあるからだ。

新生活で新たに口座を開く場合は要注意
 4月1日以降に新規開設した普通預金口座で、Web通帳の選択またはSMBCダイレクトの利用登録を済ませていない、さらに2年以上入出金がなく、かつ残高が1万円未満なら、年間1100円(税込み)がかかる。
要は、大した金額も入金せず、ほとんど使わない口座には維持管理のため手数料をかけるぞ、という話だ(※18歳未満または75歳以上、同じ支店に定期性預金口座・外貨預金口座等がある場合は対象外)。
 同様の手数料を発表しているのが三菱UFJ銀行。
7月1日以降に開設した口座で、2年以上利用がない場合は「未利用口座管理手数料」として年間1200円(税抜き)を徴収しますとお知らせが来る(ほかに定期預金、外貨預金、投資信託等が1円以上ある、または借り入れがある場合は除く)。
お知らせから3カ月たってもノーリアクションだと、この金額を口座から引き落とし、残高が手数料を賄えなくなったら口座を解約する。

 まず押さえておくべき点は、紙の通帳にしろ口座維持手数料にしろ、新規に開く口座のみが対象ということ。
これから新生活シーズンを迎え、勤務先や各種引き落とし等の都合で新たに口座を開くときは注意が必要になる。
なお、りそな銀行は2004年4月1日新規開設分からすでに年間1320円(税込み)の未利用口座管理手数料を導入している。

4月からATM手数料も上がったり下がったり
 もっと身近な手数料の変更もある。
三菱UFJ銀行は4月1日からローソン銀行ATMでの入出金について、時間外・時間内手数料を100円上げる。
その代わり、毎月25日と月末日は時間内手数料が無料になる(※この日が休みの場合は前日が無料)。そのほかの提携コンビニATMも、すでに25日と月末は時間内手数料が無料に変更済みだ。
 同じく三井住友銀行も4月5日より、毎月25・26日のコンビニATM時間内手数料は無料とし、それ以外の日は110円引き上げる。
ただでさえ混雑する給料日がもっと密になりそうで、これは喜ぶべきか、悲しむべきなのか(ちなみに三井住友と三菱UFJはATMで提携しており、提携を示すステッカー付の店舗外ATMなら、同じく25・26日が無料だ)。

 そういうケチケチしたことを考えたくない人は、ゆうちょ銀行一択しかない。
全国の郵便局のほか、ファミリーマート等にもATMの設置がある。
なんといっても、時間外はおろか土日祝日も入出金に手数料がかからない。
台数も約3万2000台(2020年3月)とセブン銀行ATMを超えている。
この先、リモートワークで郊外に引っ越したり、ワーケーションでリゾートで働こうと考えたときにも、郵便局さえあればお金を引き出せるので、やはり最強といえるだろう。

最初からデジタルシフトのネット銀行が「安い」と限らない
 店舗なし・通帳なし・ATMなしのネット銀行は、レガシーを引きずるメガバンクよりいろんな手数料が安い気がするが、さにあらず。
 例えば、自社ブランドのコンビニATMを持つ、セブン銀行とローソン銀行。
コンビニ自体は原則24時間開いているというのに、24時間無料で使えるわけではない。
セブン銀行の場合、平日・土日ともに出金は7時〜19時以外は110円がかかる。
ローソン銀行もセブン同様、無料の時間帯は7時〜19時だけだ。
 逆に無料時間が長いのはイオン銀行。
ATMを設置している店舗が開いてさえいれば、その時間は無料で引き出しできる。

 お金がかかるのは、実は引き出し時だけではない。リアル・ネット含めた多くの銀行では、取引内容や残高に応じ、利用者をステージ・クラス別に振り分けているところが多く、より活発に使ってくれるユーザーには手数料無料回数を増やすという方式を取っている。
そのステージ判定に乗らない、単に口座を開いただけのフラットな状態で比較してみると意外な差が見えてきた。
なんと、「入金にも手数料がかかる」ケースがあるのだ。

条件を満たさないと入金に手数料がかかる銀行は、以下の通りだ。
・auじぶん銀行 ・ジャパンネット銀行 ・楽天銀行 ・ローソン銀行  それぞれへの入金が「無料にならない」ケースを見ていこう。

入金しただけで手数料を取られる?その条件を確認
 まずauじぶん銀行だが、残高が10万円未満のステージ「じぶんプラス1」相当だと、出金だけでなく入金にも110円がかかる。
給与振り込みやスマホデビット利用などでステージを上げることはできるが、条件未達だと入金もおちおちできない。

筆者はauPAYのチャージにこの銀行を使っているが、残高が10万円未満のため他行の無料振り込み特典を使って口座に振り込んだうえでチャージ、という迂回方法を使っている。
 ちなみに三菱UFJ銀行からの振り込みは無料だし、定額自動入金サービス(毎月6日または26日に他行口座より指定金額をじぶん銀行口座へ入金してくれる無料サービス)で10万円をキープする方法もあるにはある。

 次にジャパンネット銀行。
ここは毎月1回目は無料で入出金できるが、2回目からは3万円以上でないとやはり手数料がかかる。
4月からはPayPay銀行と名を改めるが、このあたりがどうなるのか注目したい。

 次に楽天銀行。
1月19日に国内インターネット銀行として初めて1000万口座を突破と勢い華々しいのだが、意外なことに、実は楽天銀行も3万円未満の入金には手数料がかかってしまう。
ただし、口座開設から3カ月目までは無条件で5回まで無料という特典があるので念のため。
楽天銀行に口座を開く人は、ほとんどが楽天カード保有者かつ楽天グループのサービスを小まめに利用する層と考えられるので、くれぐれも決済代金を入金する際には自分が該当するステージに気を付けよう。

 ラストのローソン銀行は、7時〜19時以外だと入金にも110円かかる。
コンビニ銀行の割に便利さがいまいちと感じるのは残念だ。

なんだかんだ手数料が安いのは、あの銀行
 先にも書いたように、ネット銀行が必ずしも手数料が安いわけではなく、引き出し手数料についてもバラバラだ。
この比較は定期的に行っているが、流通系を外したネット銀行のうち取引等条件なしで無料引き出し回数が最も多いのは、ソニー銀行で4回。続いて、GMOあおぞらネット銀行、住信SBIネット銀行の2回と続く。
なお、あおぞら銀行BANK支店は、ゆうちょ銀行ATMに限り、回数制限なしに引き出し無料となる。

 キャッシュレスへの流れで言えば、現金の入出金が有料か無料かはささいな話になっていくだろうが、うっかり引き出したために220〜330円も取られるのはつらい。
土日祝日も無料、コンビニ内ATMとしても使えて利用時間も気にしなくていい点では、やはり、ゆうちょ銀行が最強と言わざるを得ない。
 しかし、光もあれば影もある。
ゆうちょ銀行がドコモ口座不正引き出し事件のメインターゲットにされたのは記憶に新しいところだ。
使い勝手がよく、多くの人が口座を持てば持つほど、悪意ある人間に目を付けられやすい。
ゆうちょ銀行をはじめ、各行が不正対策を取っているが、やはり利用者自身が自衛することが欠かせない。

紙通帳の有料化、不稼働口座への手数料等を
きっかけに、保有する口座の確認・整理ももう一度しておきたいところだ。
posted by 小だぬき at 00:00 | 神奈川 ☁ | Comment(0) | 健康・生活・医療 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする