2021年05月01日

バッハ会長が今度は「精神論」ブチ上げ大炎上…今や東京五輪開催“最大のアキレス腱”に

バッハ会長が今度は「精神論」ブチ上げ大炎上…
今や東京五輪開催“最大のアキレス腱”に
2021年04月30日   日刊ゲンダイDIGITA

国民の怒りはもっともだ。
 28日に行われた国際オリンピック委員会(IOC)、国際パラリンピック委員会、政府、東京都、大会組織委員会による5者協議。
その冒頭挨拶でIOCのトーマス・バッハ会長は「日本人が粘り強さや、へこたれない精神を持っていることは歴史が証明している。
これまで逆境を乗り越えてきたように、五輪だって厳しい状況でも乗り越えられる」と発言。

五輪を開催するために不屈の精神でコロナを乗り越えろ! というわけだが、なぜ五輪のために日本人が犠牲にならなければいけないのか。
当然のように、インターネット上では「日本は甘く見られたものだ。くやしい」
「地続きじゃない小さな島国のことと思って好き勝手に言いやがって」
「舐めてんのか」などという声がひっきりなしに飛び交っている。

 バッハ会長は21日、「緊急事態宣言は東京五輪と無関係。日本政府による黄金週間(GW)へ向けた感染予防処置と理解している」と言い放ち、コロナに苦しむ国民感情を逆なでしたばかりだ。
口を開けば炎上発言を繰り返すこの男に対し、「日本国民のことよりもまず、なんとしてでも東京五輪を開催したいのです」と、続けるのは国士舘大学の非常勤講師でスポーツライターの津田俊樹氏だ。

■大本命は北京五輪
「IOC会長の言葉とは思えないほど、無責任で身勝手な発言。
新型コロナウイルスに対してエビデンスもない“精神論”を持ち出すなんて、まったく信じられません。
日本人をおだてて世論を変えたかったのでしょうが、逆効果です。

その実、IOCが東京五輪の開催にこだわるのは、今から約10カ月後に控える冬季北京五輪のためです。
中国はいま人権問題の渦中にあり、各国でボイコットの機運が高まっている。
もし、東京五輪が潰れたら北京五輪が共倒れになる可能性は非常に大きくなります。
中国企業は五輪スポンサーについているから、今後のためにも何としてでもつなぎ留めたい。
そんな気持ちが東京五輪に向いているのです」

 バッハ会長のスケベ心は空振りし、何か言うたびに日本の開催ムードは縮む一方。
数々の失言の末に森喜朗(83=大会組織委前会長)が表舞台から去った今、東京五輪開催の最大のアキレス腱はバッハ会長ではないか。
posted by 小だぬき at 00:00 | 神奈川 ☀ | Comment(0) | 社会・政治 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

政府の中途半端なコロナ対策に怒る声「アプリに無駄遣いしたり信用できない。議員を全部入れ替えてほしいぐらい」

政府の中途半端なコロナ対策に怒る声
「アプリに無駄遣いしたり信用できない。
議員を全部入れ替えてほしいぐらい」
2021年05月01日  キャリコネ

東京、大阪、兵庫、京都の4都府県を対象に緊急事態宣言が発令されている。
東京では大型商業施設や一部飲食店などに休業を要請。
このほか鉄道各社には減便を要請するとともに、都民には不要不急の県境移動の自粛を求めている。

今回の緊急事態宣言をキャリコネニュース読者はどのように捉えているのか。
東京都20代男性(ITエンジニア)は、政府の対応に不満を抱いている。
「政策が中途半端すぎる。ここまで来たらロックダウンまで持っていくべき。そもそも普段から税金を払っているのはこう言うときのためでもある。なぜ国民のために使わないのか。(COCOA不具合放置など)
アプリに無駄遣いしたり信用ができない。一度全議員を入れ替えてほしい気持ちだ」

東京以外の店舗で客が増加「緊急事態宣言には意味がないのでは」
都内で販売職をしている40代女性の配属店舗は、休業要請に応じている。
しかし、そのせいで東京都以外の店舗が大盛況だという。
「東京から客が流れるため横浜などの店舗は客が増加し、通常人員では対応が追い付かない状況です。
そのためGW中は休業店舗の人員が他店舗にヘルプとして出勤する予定です。

東京だけ緊急事態宣言を発出しても意味がないのではないでしょうか」
都内がやっていないなら、と神奈川・埼玉・千葉に越境して買い物や娯楽、飲酒を楽しむ人が多く、問題視されている。
東京だけの緊急事態宣言発令に疑問を持つ人も多そうだ。

東京都の30代女性は、昨年の春に転職を目指していたが、コロナ不況で就職先は見つからず、現在はバイト生活を送っている。
この状況に「給付金さえ毎月出ていたらこんなに苦しい思いをする必要ありません」とこぼす。
給付金はありがたいけど「自分で稼いで収入を得たいです」

東京都30代女性は自営業で小売業を営んでいる。
GW中はイベントに出店する予定だったが、急遽中止になった。
「2日間で売り上げ100万円の予定が0円です。都から支給予定の給付金34万円が入っても全然足りない。イベントに向けて仕入れの準備もしていたので本当に最悪です」

会場での飲食はないイベントだったため、「リスクも低いと思うし、緊急事態宣言が出ていても変わらず生活している人も多いし、普通に飲食のお店が開いているのにイベントだけ中止って酷すぎる」と憤っている。
「都内に店舗があるので、まだ34万円支給されるのはありがたいですが、自分で稼いで収入を得たいです」
posted by 小だぬき at 12:00 | 神奈川 ☀ | Comment(0) | 社会・政治 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2021年05月02日

菅総理のコロナ感染対策、ここへきて「3つのあり得ないミス」を犯していた…!

菅総理のコロナ感染対策、ここへきて「3つのあり得ないミス」を犯していた…!
5/1(土)   現代ビジネス
中原 圭介(経済アナリスト)

コロナ経済損失は「今年すでに5兆円」に… 
 例年11〜12月には、様々な新聞・雑誌から「来年の経済やマーケットはどうなるのか聞きたい」という依頼が来るのですが、昨年はある新聞を除いてすべてお断りさせていただきました。
 なぜかというと、その後の新型コロナ情勢がどうなるのか読めないなかで、経済やマーケットの見通しを語るのは不可能だったからです。

 昨年秋口〜今年初めの講演会やセミナーなどでも繰り返し申し上げていたように、
(1)新型コロナは第何波まで来るのか、
(2)突然変異がどの程度起こるのか、
(3)ワクチンの効果は長続きするのか、
この3点について私たちはわからないことだらけだったのです。

 とりわけ経済については、楽観的な見通しをまったく立てることができませんでした。
菅義偉政権のコロナ対策の初動を見ていて、今後も効果的な対策を打てないという諦観をもとに、経済には極めて不透明感が高まるだろうという危機感を抱いていました。
 現実にはどうなっているのかというと、新型コロナは昨年の12月以降、第3波、第4波と相次いで拡大し、この短い期間のうちに緊急事態宣言の発出が2度も行われてしまいました。
 おそらく、今年1〜5月の経済損失(GDPべ―ス)は5兆円に達するだろうとみられています。

ありえない「3つのミス」を犯した
 マスクと手洗いの習慣がある日本において、なぜこのような無様な結果になったのでしょうか。
それは、菅政権がありえない大きなミスを少なくとも3つは犯していたからです。
その3つには、「失敗の本質」と呼べるものが色濃く表れているのです。

 まず1つめの大きなミスというのは、「Go Toトラベル」や「Go Toイート」といった事業を始めてしまったことです。2020年12月12日に寄稿した記事 『GoToキャンペーン、なぜか止めない菅政権の反知性主義という末路』でも申し上げたように、歴史の教訓や科学の知見が示しているのは、感染症拡大の主たる原因は人の移動によるものだという事実です。
 新型コロナの感染が終息していないにもかかわらず、政府が歴史や科学のエビデンスを無視して、わざわざ税金を使って一連の「Go To事業」で人の動きを増やそうとしたのは、感染拡大を後押ししていたのと同じ行為です。
あまりにも愚かな政策だったといわざるをえません。  

今年の初めに2回目の緊急事態宣言が発出された当時から、政府は5月のゴールデンウィーク明けに「Go Toトラベル」の再開を模索していたといいます。
さすがに状況の悪化をみて再開の方針を引っ込めていますが、税金を使って感染を拡大させ経済により大きな被害を与えるという人災を、この政府はもう1回起こそうというのでしょうか。

このままではワクチンが効かなくなる…!?
ワクチン接種の出遅れも鮮明に 
 2つめの大きなミスは、水際対策を怠ったことで国内に変異株を入れてしまったことです。
 菅義偉首相は国内に変異株が侵入する以前から、「1人でも変異株の感染者が見つかれば、水際対策を強化する」と度々発言していましたが、これは明らかに判断の誤りでした。
なぜ菅首相のあたまの中では、「1人でも見つかった時点で、数百人に感染が拡大している」という想像力が働かないのか、不思議でなりませんでした。

 この致命的な判断ミスは、ワクチン接種の効果を激減するリスクを孕んでいます。
日本ではワクチンの接種率がまだ1%を超えたばかりですが、国民の大半が接種を終える前に特定の変異株が拡大してしまっては、ワクチン接種による集団免疫の形成が困難になっていくからです。
 たしかに、主要メディアの報道をみていると、ワクチン接種を推し進めれば、変異株の猛威に歯止めをかけられるという認識が一般的です。
いくら変異株の感染力が高いといっても、ワクチンによる免疫力が高まれば、多くの人々が発症を抑えられると考えられているわけです。

 ところが最近の臨床試験では、アストラゼネカ製のワクチンが南アフリカ型にはほとんど効果がないことがわかったばかりか、ファイザー製のワクチンもブラジル型には効果が薄いという研究結果も出ています。
さらには、インドで流行する二重変異株や三重変異株はすべてのワクチンが効かないといわれています。

 国民の大半にワクチン接種が行われる前に、これらの危ない変異株が広がってしまうと、集団免疫の達成はかなり怪しくなってしまいます。
無謀にも東京オリンピックを開催すれば、さらなる変異株の国内侵入を完全に防ぐのは不可能でしょう。
その結果、日本でも感染力と毒性が強い変異株が主流となる第5波や第6波に見舞われるリスクは高まっていきます。

そもそも会食ルールが間違ったエビデンスだった  
3つめのミスは、これまで政府が間違った感染対策を進めてきたということです。
 当初から飲食店だけへの狙い撃ちは、あまり効果がないとみられていました。
それは、飲食店に午後8時までの時短営業を強いたとしても、時間を前倒しして来る客が増えることでかえって密な状態をつくりだしているケースが大都市圏を中心に常態化していたからです。
 それに加えて、飲食店が早く閉まることで、若い人々が仕方なく路上や公園で集まって飲むという行為は、今では当たり前の光景となっています。

テレビの報道などでは「若い人々の気が緩んでいる」と苦言を呈する姿勢がみられますが、それは単なる責任転嫁にすぎません。
 最大の問題は、政府が説得力のあるデータに基づいて、「こういう対策をこれだけの期間実施すれば、これだけの効果が表れるから、若い人々も協力してほしい」と説明しないということです。
だから、菅首相が「協力してほしい」とお願いしても、若者の心には響かないのです。 

 政府は新型コロナに関するさまざまなデータを持っています。
政府がこれらのデータを具体的な数字で示せば、国民全体で避けなければならない行動を認識・共有することができるはずです。
 それにもかかわらず、なぜ公表しないのでしょうか。
 それは、政府がデータをすべて明らかにすれば、これまで間違った感染対策をしてきたことが発覚してしまうからです。

その代表例としては、「会食は4人以下でしてください」というものがあります。
事実、政府関係者によれば、会食の参加者が4人や3人の場合でも感染するケースが多いといいます。
 大手メディアの報道では、大阪市職員が5人以上の会食を行っていたケースが200件以上あったと叩かれていますが、これが4人以下だったら不問に付されていたことでしょう。
そのように考えると、政府が決めた4人以下でという基準は感染対策として間違っているので、一刻も早く是正するべきでしょう。

データを生かす感染対策を
 これまで集めたデータを生かすのであれば、飲食店に時短営業を強いるのはあまり効果がありませんし、協力金を出すのは税金の無駄遣いです。
時短営業を要請する代わりに、「入店は基本的に1人客のみ、黙食を条件に最大2人まで」と制限をしたほうが、感染対策として大きな効果を発揮すると思います。
 当然のことながら、感染対策をしっかり行っている飲食店と行っていない飲食店を同じに扱うのは誤りです。
政府や自治体は感染対策ができていない店に対して、その対策費用をすべて負担する取り組みをすぐにでも始めるべきです。

 政府は自らが広めた感染対策の基準の誤りを正さばければなりません。
通勤で感染している人々も相当数いるはずです。
朝の通勤ラッシュで感染しないはずがありません。
現実に、昨今の感染者数は職場感染、家庭感染のほうが飲食店感染よりも増えているのではないでしょうか。
政府には正確なデータを公表してほしいところです。

 新型コロナの度重なる感染拡大は、これでもかというほど、政府の無力さをさらけ出しました。
すべてのミスに通底しているのは、歴史や科学、データを軽視しているということです。
さらに悪いことに、これまでの間違いを認めることができず、根拠もなく収束させると言い切る精神論に、国民は辟易としています。

政府はこの1年間何をしてきたのか  迷走が止まらない
 政府はこの1年間、一体何をしてきたのでしょうか。
これまでの国内外の失敗事例を研究・分析したうえで、効果的な対策を考える時間は十分にあったはずです。
ところが、政府の対応をみていると、そういった当たり前のことがまったくできず、行き当たりばったりの迷走ぶりを続けてしまっています。
 菅首相の看板政策のひとつに「デジタル庁の創設」というものがあります。
政治・行政のデジタル化は、行政の業務を効率化するということだけでなく、過去の政策を検証して次の政策に生かすというメリットがあります。
そこには、政策が利権に縛られて、非効率で無駄が多くなるという弊害は皆無です。

 しかし、政府のこれまでの「反歴史・反科学・反データ」的な感染対策は、政治のデジタル化とは真逆の方向に動いているようにみえます。
観光利権や五輪利権に固執するあまり、感染対策が後手後手になっている様子をみていると、デジタル庁の創設など悪い冗談としか思えません。

 国民の多くが「政府の対策では感染者は減らない」と考えてきましたし、実際にそのようになってきました。
国民のほうが現実をしっかりと捉えているという点でも、政府の危機管理能力の低さや非効率な対策がいっそう浮き彫りになった1年になったのは、非常に残念なことです。
posted by 小だぬき at 00:00 | 神奈川 ☁ | Comment(1) | 社会・政治 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2021年05月03日

政府「屋外マスクでも感染」発言 旅行見送りも訴え

政府「屋外マスクでも感染」発言 旅行見送りも訴え
5/3(月)テレ朝ニュース

 東京都では、2日、新たに879人の新型コロナウイルス感染が確認されました。
前の週より244人多く、日曜日に800人を超えるのは今年1月24日以来です。
 年代別では30代以下が509人と、全体の約58%を占めていて、若い人の間で感染が広がっています。
重症者数は63人で、3日連続の60人超えとなりました。

■1回目の“宣言”と比べると…   
 データもその言葉を裏付けています。
 今回の緊急事態宣言が出た後、渋谷駅周辺の人出は23.8%減少しました。
 しかし、1回目の宣言時、去年のゴールデンウィークと比べるとプラス85.9%と、大幅に増えています。

■北海道で“過去最多”更新
 一方、北海道でも感染が急拡大しています。
 2日、新たに確認された感染者は326人で、過去最多を更新しました。
 このうち札幌市の感染者が246人を占め、初めて200人を超えました。  

 札幌市の秋元克広市長は2日、「まさに感染が急拡大している危機的な状況。医療の非常事態という状況になっている」と述べました。
 札幌市は、「まん延防止等重点措置」の適用に向け、国との協議を加速させるよう、北海道に要請することを決めています。

■西村大臣は「屋外でマスクでも感染」発言
 2日、厚生労働省が発表した全国の重症者は前の日から30人増えて1050人となり、過去最多となりました。
 こうしたなか、“新型コロナ担当”西村康稔経済再生担当大臣は「屋外でマスクを着けていても、感染が確認される事例の報告相次いでいる」と述べ、猛威を振るう変異ウイルスの感染力の強さに注意を呼び掛けました。
 また、西村大臣は、バーベキューや路上での飲み会を控えるよう呼び掛けていて、連休後半の旅行や帰省についても「考え直してほしい」と訴えています。
(「グッド!モーニング」2021年5月3日放送分より)
posted by 小だぬき at 14:41 | 神奈川 ☀ | Comment(0) | 社会・政治 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2021年05月04日

憲法記念日に考える 人類の英知の結晶ゆえ

憲法記念日に考える 人類の英知の結晶ゆえ
2021年5月3日 東京新聞「社説」

 外務大臣公邸で日本政府と連合国軍総司令部(GHQ)が新憲法の秘密会談を持ちました。
一九四六年二月十三日のことです。
 東京の旧麻布区市兵衛町(現在の港区六本木一丁目)にあった公邸は空襲で爆撃を受け、玄関に壁はなかったそうです。

 その日を境にして、新憲法案の姿ががらりと変わりました。
 政府の「憲法問題調査委員会」がつくった案は明治憲法とさほど変わりばえせず、GHQは不満を持っていたのです。
何しろ天皇主権はそのままですから。
 「問題を言葉の見せかけと西方に向かってお辞儀だけで解決しようとしていた」とGHQ民政局に酷評されています。

◆戦争は社会契約を攻撃
 午前十時。ホイットニー民政局長は太陽を背に座りました。
当時の吉田茂外相や同委員会のトップだった松本烝治国務相の顔が最もよく見えるように…。
そして、GHQは自らの憲法案を提示したのです。
そのとき米国の飛行機が上空を飛んで行きました。
 ホイットニーがポーチから庭の日当たりのいい場所に出ている間、日本側はGHQ案を熟読しています。
四十分後に部屋に戻ると、吉田の表情は暗く、不機嫌でした。
国民主権や象徴天皇制、戦争廃止などの条文があったのです。
 米国側文書に基づく描写です。

「これが受け入れられれば天皇は安泰だ」とホイットニーが言ったとも…。
 「押しつけ憲法だ」と言われるゆえんですが、実際に天皇の戦争責任を問うオーストラリアやソ連などでつくる極東委員会が始まる直前でもありました。
 十八世紀の哲学者ルソーの教えでは、戦争とは相手国の社会契約に対する攻撃です。
つまり敗戦国は従前の社会契約を破棄し、新しい原理の社会契約を国民との間で結び直さねばなりません。

◆平和を道徳だけにせぬ
 それが新憲法をつくる意義です。
なのに日本側は「伝統的な原理および古い習慣に固執」(民政局報告書)していたから、GHQは極東委員会の開催を前に、しびれをきらしたのです。
 そもそも四五年七月のポツダム宣言に日本は従う義務があります。
非軍事化と民主化、基本的人権などの確立、「国民による平和的政府の樹立」などが列挙されていました。
まるで日本国憲法の骨格のようでもあります。

 昭和天皇による九月の「平和国家の確立」の勅語(ちょくご)、翌年正月の「人間宣言」も重要です。
 何より民間の「憲法研究会」による新憲法案が四五年十二月にGHQに出されていたことに注目すべきです。
これにはGHQ側が強い関心を持ったことが判明しています。こんな内容でした。

 統治権は天皇ではなく「国民ヨリ発ス」と、まず国民主権を。
さらに天皇は「儀礼ヲ司(つかさど)ル」とあります。
人権保障の条項も一新し、労働権や男女平等、学術や教育の自由の規定もありました。
 中心人物の一人は在野の憲法学者・鈴木安蔵です。
明治時代の自由民権運動を研究した人物です。内容は日本国憲法そっくりです。

「民間の草案を土台とできる」などとGHQの高官が評価したのも納得できます。

 近代憲法の第一段階は基本的人権の保障です。
第二段階は生存権や労働者の諸権利など社会権の装備です。
平和主義に立ち、平和的生存権をうたった日本国憲法は第三段階です。
最先端のレベルといえます。

では、戦争放棄が誕生した経緯は何でしょう。
 当時の首相・幣原喜重郎が四六年一月二十四日、連合国軍最高司令官マッカーサーを訪ね、提案した説を重視します。
 幣原が死ぬ前に真相を語った文書やマッカーサーの米国議会での証言、自伝など生々しい史料が豊富だからです。
外相時代の幣原が軍縮条約や不戦条約にかかわった経験ともつながっています。

 平和主義は、太平洋戦争で未曽有の犠牲者を生み、原爆を体験した日本ゆえの選択でもあったと思います。
 戦争放棄の九条は「日本国民は、正義と秩序を基調とする国際平和を誠実に希求し」で始まりますが、これはGHQ案にも政府案にもなかった文言です。
 社会党の鈴木義男が議会の小委員会で提案しました。
戦前に東北大教授だった人で、法律家として「平和が道徳で終わらないように」という信念がありました。

◆国民の支持あってこそ
 つまり米国からの外力、国内の内力を合わせ、人類の英知を詰め込んだ憲法となったのです。
施行後に「押しつけ」を疑った極東委員会が再検討を促したものの、四九年に断念しました。
国民の圧倒的な支持があったためです。
 今なお押しつけ論を述べる勢力がありますが、歴史を深く顧みてほしいものです。
posted by 小だぬき at 00:00 | 神奈川 ☀ | Comment(0) | 社会・政治 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2021年05月05日

「小学4年生で人生が決まる」日本で進行する新型格差社会のヤバさ

「小学4年生で人生が決まる」日本で進行する新型格差社会のヤバさ
2021年05月04日 PRESIDENT Online
中央大学文学部教授 山田 昌弘

都市部で中学受験をする家庭が増えている。
社会学者の山田昌弘氏は「日本では教育格差が進行している。中学受験をできるかどうかでその後の人生ルートがある程度決まってしまう」と指摘する――。
※本稿は、山田昌弘『新型格差社会』(朝日新書)の一部を再編集したものです。

■コミュニケーション力が過剰に求められる現在
他人と円滑に意思疎通をするコミュニケーション力を重視する傾向は、あらゆる企業の採用で広がっています。
30年程前までは、公務員試験ではペーパーテストさえ合格すれば、面接はほぼフリーパスでした。
しかし最近は、ペーパーテストの成績の比率が下がり、面接の印象が良くなければ合格できなくなりました。
多くの企業も採用で重視する項目に「コミュニケーション力」を挙げており、「真面目にコツコツ努力することが得意、でも人と喋るのが苦手」な学生は、就職活動で自分をアピールできず、何十社受けても一社も内定が出ないことが珍しくないのです。
学生もそのことを自覚していますが、コミュニケーション力には性格も関係するため、一朝一夕にはなかなか変えられません。

コミュ力重視の就職活動に無理やり自分を適応させることに疲れ果て、就活をやめてしまい家に引きこもってしまう学生もいます。
最近は就活指導を専門とする塾もあちこちにでき、そうした場では面接指導なども行っています。
膨大なデータが蓄積されていて、何々省採用向けの面接、銀行採用向けの面接など、採用先に合わせた面接指導もしています。当然のように安くない受講料がかかります。

■子どもの興味関心は、親の教養に左右される
社会の動向に通じている人の中には、「今後の社会を生きていくためにはコミュニケーション力が必要だ」と早くから気づき、インターナショナルスクールや先進的な教育を行っている学校に子どもを通わせている親も少なくありません。
以前、ある公立の科学館に講演に行ったのですが、そこで行われていた子ども向けの科学教室では、小学生になったばかりの児童の取り組みを母親たちが参観していました。
きっとその親たちは、自分の子どもがサイエンスに興味を持つことを願って、その教室に申し込んだはずです。
科学実験をしている子どもたちを熱心に見ている母親の姿に驚いたものです。
ちなみに費用はほとんどかかりません。

子どもの知的な興味や関心は、親自身の教養に対する関心に大きく左右されます。
家に大きな本棚があって、そこにたくさんの本がある家庭に育った子どもと、まったく読書をしない親のもとに育った子どもでは、知的好奇心に大きな格差が自然に生まれてしまうのです。
OECD(経済協力開発機構)の調査でも、自宅にある本の冊数と子どもの学習成績の間には相関があるという結果が出ています。

■育った家庭で「観るテレビ番組」も違う
余談ですが、知り合いからこんな話を聞きました。
ある大卒の女性が高卒の男性と恋愛結婚して一緒に生活し始めた後で、初めて気づいたことがあったそうです。
それは、「観るテレビ番組が違う」ことです。
その男性は正社員として頑張って仕事をしている真面目な人ですが、観るテレビはお笑い芸人が出てくるバラエティ番組ばかり。
一方女性のほうは、クイズ番組やNHKのニュース番組を見て育ったタイプ。
彼女がクイズ番組で、「この答え、わかった」と言ったら、夫に「よく知ってるね」と感動されたそうです。

子ども時代にどのような家庭に育ったかで、成長してからも興味や関心の領域が違ってくることをまざまざと感じさせられたエピソードです。
最近の日本では、実践的な英語教育の重要性が叫ばれるようになり、小学校から英語の授業が始まっています。
しかし語学を身につけることは水泳のような運動と一緒で、いくら畳の上で泳ぐ真似をしても泳げるようにはならないように、どれだけ本物の外国語に触れているかが最も重要です。

学校の授業で1週間に2〜3時間学ぶぐらいでは、英語は決して身につきません。
やはり、普段の日常生活でどれだけ英語に接しているかが決め手になるのです。
親が仕事で英語を使っていたり、帰国子女で幼い頃に外国で生活していたりする人は、そういう点で圧倒的に有利です。
英語を話すことが当たり前の環境で育つと、自分も「当たり前」に適応するために自然に頑張るのです。

■「親の格差」は「子どもの教育格差」につながる
昨今わずか20年程の間に、日本では経済のグローバル化が急速に進みましたが、早くからその潮流を見抜いていた家庭の子どもとそうでない子どもとの間では、英語力に圧倒的な差があるのは当然です。
「英語は話せて当たり前」という家では、幼い頃からバイリンガル教育に力を入れますが、親自身が英語の「え」も話せない家では、そもそも「英語が大切になる」という発想すら浮かびません。
英語力もまた、学校の学習では到底追いつかないぐらいの「格差」が拡大しつつあるのです。

現在、オンラインで仕事ができる人々は、IT企業をはじめとするオフィスで働くホワイトワーカーが中心です。
実際には、どんなに工夫してもテレワークできない業種のほうが、日本では圧倒的に多いのが現実です。
パンデミック下においても、一部の家庭だけが充実した教育を子どもに受けさせることができたのに対し、そうでないほとんどの家庭は、子どもの教育機会を減らす結果になってしまったことは否めません。
新型コロナウイルスは、親の格差が子どもの教育格差につながる実態をも浮き彫りにしたといえるでしょう。
このように、コロナ禍が顕在化させた親の状況による教育格差を、公的に埋める手だてを考える時期に来ています。

■都市部で目立つ中学受験をする家庭
もともと日本では、コロナ以前から「教育格差」が静かに進行していました。
この15年ぐらいの間に、東京や神奈川、大阪などの都市部の家庭では、中学受験をして私立中学を目指す人が増えています。一定以上の収入がある家庭では、子どものほとんどが地元の公立に進学せず、私立に進むという地域もあります。

中高一貫の私立に進学した場合、6年間の学費は400万円以上かかるのが普通ですが、それでも私立を選ぶ家庭が増えています。
数年前に、東京の下町にある中学校に教育実習生の指導に行ったことがあります。
驚くことにそのクラスでは、女子中学生の人数が男子のほぼ半分でした。
先生方に訊くと、その地域に住む女子の家庭の多くが、娘を近隣の私立中学に進学させることが理由でした。
なぜなら校則を守らない生徒が多く、「娘をこの中学に入れたらまずい」と考えての親の判断が生まれるのでしょう。
私もその中学の授業を見学しましたが、先生が何人も教室にいる中で、男子生徒が消しゴムの飛ばし合いをして遊んでいました。
私語もひっきりなしに聞こえてくるのに、教師は誰も怒らないのです。
「これでは、インテリの親は確かに娘を入学させたくないだろう……」と感じたものでした。

■「小4で中学受験専門塾に入れるか」で人生が決まる
近年、日本の最難関大学である東京大学や京都大学に入学する学生の多くは、中高一貫校の卒業生だといわれます。
いわば、「学歴」を決めるのが大学受験ではなく、中学受験だというわけです。
小学生のときから受験のために塾通いをし、中高一貫校への入学を果たして偏差値の高い大学を出た彼らは、大手の優良企業や給与の高い外資系企業などに就職し、社会の「上層」の一員となっていくのです。

つまり、小学4年生ぐらいの時点で、毎月5万円以上の受講料がかかる中学受験専門塾に通えるかどうかで、その後の人生ルートがある程度決まってしまう。
これが、今の子どもを取り巻く現実になりつつあります。
親の所得が子ども世代に影響し、格差が再生産されている状況です。
この日本の「教育格差」の広がりによって、10〜20年後に社会階層の固定化がもたらされることが予想されます。
極端にいえば、日本は自ら階級社会への道に戻ろうとしているのです。

■大卒は大卒以上と結婚し、高卒は高卒同士で結婚する
この状況は、芸能界やスポーツ界にも当てはまります。
ひと昔前は、恵まれない家庭環境の中から、アイドルやスポーツ選手が生まれてくることも多かった。
しかし今は、子どもの頃からトレーニングすることが、活躍のためには必須の条件になりつつあります。

日本では特に、女性が結婚相手に対し、自分よりも高い学歴を求める傾向が強くあります。
自分が大卒であれば、大卒以上の男性と結婚することが最低限の条件である、という女性は少なくありません。
大卒同士の夫婦は、自分たちの子どもに関しても「必ず大学は出てほしい」と願います。
それに対して高卒同士の夫婦は、大学というものに対して具体的なメリットを実体験で感じていません。
大学にかかる4年間の学費を払うよりも、高校を出てすぐに働き始めたほうが親元から早く独立できますから、むしろ大学進学を望まないケースもよくあります。

女子大学生にインタビューすると、ここ数年、彼女たちの多くは結婚相手の年収よりも、「職業安定性」を求めていることに気づかされます。
かつては「年収1000万円以上でなければ結婚しない」などと言う女性がいたものですが、それも今は昔です。
日本が長期不況に陥りデフレ経済下で20年以上が経過し、結婚適齢期の20代後半から30代前半でそのような高年収を得ている男性の数は激減しました。

■年収600万以上の若い独身男性は、東京でも3.5%しかいない
ある結婚相談所の調べによれば、未婚の女性が結婚相手に望む年収は現在も、500万〜599万円、600万〜699万円が半数を占めます。
しかし現実を見ると、令和元年における日本人男性の平均給与は、全世代を含めて540万円しかありません。
国税庁の民間給与実態統計調査を見ると、20代から30代前半に限った場合、400万〜500万円が普通なのです。
首都の東京とそれ以外の地域では給与に差がありますが、東京ですら年収600万円以上の若い独身男性は3.5%しかいないのです。
そのため結婚相談所を運営する会社やお見合い事業を運営する自治体の部署では、高年収の相手を望む女性に対して、カウンセリングで説得することがあるそうです。
「年収600万円以上の男性」を希望する女性がいたら、「では、もしも年収590万円で、それ以外の条件はぴったりという男性が現れたらどうしますか?」というような質問をして、相手に望む年収のランクを下げさせるというのです。
ランクを下げないと、紹介できる男性がいないからです。

■「女性側がお金を払う」マッチングサービスもある
一方で現実的な考えを持つ未婚女性の多くは、年収の多さよりも結婚相手の候補となる男性の職業安定性に敏感になっています。
欧米型の市場経済が日本企業にも浸透し、雇用規制の緩和によって正社員以外の労働者が増えたことから、公務員や銀行員のような安定した職業に就いている男性が結婚相手として人気が高いのです。
若い女性の多くが、自分が親から与えられたような生活を結婚後も維持し、戦後型家族の典型であった「父親が働きに出て、母親は主に家事をして家を守り、2人から3人の子どもを育てる」という家族形態を望んでいます。

不安定な職業の男性と結婚してしまっては、リストラなどにあったときに生活できなくなるリスクがある。
そのリスクを回避するために、安定した職業の男性を求めるのです。
昨今では、「出会い」のスタンダードとなりつつあるインターネットを利用したマッチングサービスにおいても、安定した職業の男性が有利な「買い手市場」になっています。
結婚を前提としない出会いを目的としたマッチングアプリでは、男性が女性にコンタクトをとるのにお金を払うサービスが一般的です。
それに対して婚活目的の「優良な男性会員多数」を謳うサービスの多くは、男性会員は年収や大企業の正社員であるなどの条件を満たせば会費がかからず、逆に女性側がお金を払う仕組みになっているところもあります。

----------
山田 昌弘(やまだ・まさひろ)
中央大学文学部教授 1957年、東京生まれ。
1981年、東京大学文学部卒。1986年、東京大学大学院社会学研究科博士課程単位取得退学。
専門は家族社会学。学卒後も両親宅に同居し独身生活を続ける若者を「パラサイト・シングル」と呼び、「格差社会」という言葉を世に浸透させたことでも知られる。
「婚活」という言葉を世に出し、婚活ブームの火付け役ともなった。
主著に『パラサイト・シングルの時代』『希望格差社会』(ともに筑摩書房)、『「家族」難民』『底辺への競争』『結婚不要社会』(朝日新聞出版)、『日本の少子化対策はなぜ失敗したのか?』(光文社)など。
----------
posted by 小だぬき at 00:00 | 神奈川 | Comment(0) | 教育・学習 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2021年05月06日

言葉にしなければ伝わらない

言葉にしなければ伝わらない 会いたいときは会いたいと言おう
2021.5.5  Diamondオンライン
クルベウ 藤田麗子

長引くコロナ渦中。一部地域には緊急事態宣言が出されるなど、引きこもりがちな毎日に、ストレスを感じている人も多いのではないだろうか。
寝ても疲れが取れない、ちょっとしたことですぐ不安になる、自分だけが取り残されているように感じる……という人にぜひ読んでほしいのが、2021年4月14日に発売後、即重版が決定した『大丈夫じゃないのに大丈夫なふりをした』(クルベウ著 藤田麗子訳)だ。
そんな人気作家のベストセラーエッセイの邦訳が2021年4月14日に刊行。 「自分らしく、豊かに生きるためのメソッド」が詰まった本書。
今回は、日本版から「言葉にしなければ伝わらない」について抜粋して紹介する。

忘れがちな大切なこと
申し訳ないと思ったらごめんなさいと言い
感謝を感じたらありがとうと言い
悔いがあるなら後悔していると言い
会いたいときは会いたいと言おう。

言葉にしなければ相手には伝わらない。

★自分よりも他人を優先してしまうあなたへ
一生懸命がんばっているのに、 いくら必死に生きても幸せに感じられないとき、 私たちは不安になる。
どこを目指して生きればいいのか、 わからなくなってしまうから。 (「はじめに」より)

「痛みを認めることは 痛みと向き合うベストな方法だ。」 (本文より)

「誰かに言われた悪い言葉を すべて受け入れる必要はない。 なぜなら、それは真実ではないから。」 (本文より)
posted by 小だぬき at 00:00 | 神奈川 ☔ | Comment(1) | 健康・生活・医療 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2021年05月07日

不調を引き起こす「不安」から逃れる4つの方法

不調を引き起こす「不安」から逃れる4つの方法
病気について冷静に判断するための情報収集
2021/05/06 東洋経済オンライン
樺沢 紫苑 : 精神科医、作家

医師から病名を告げられると、これから自身がどうなってしまうのか不安に陥りがちなものです。
しかし「この『不安』が新たな不調を引き起こしてしまう」と『精神科医が教える病気を治す 感情コントロール術』の著者である精神科医の樺沢紫苑氏は語ります。

人間は大事なことを感情で決めてしまうところがあり、とくに病気に関することについては、誤った選択肢を取ってしまいがちなのだそうです。
感情を上手にコントロールして、病気を治すことにつなげる方法を樺沢氏が解説します。

不安にあおられず冷静に判断する方法
病名を告知されると、さまざまな不安が頭をよぎります。
しかしながら、その不安のほとんどは「予期不安」です。
予期不安とは、「会社に復帰できなくなったらどうしよう?」「後遺症が残ったらどうしよう?」「薬で重い副作用が出たらどうしよう?」といった、将来に対する過剰な不安で、その9割以上は実際には起こらない、現実にならないものです。

実際に起こらないことに対して、あれこれ考え、不安な気持ちになり、落ち込んでしまう。
完全に取り越し苦労です。
実際に起こってから悩むようにするだけで、人間の不安の9割はなくなります。
ではなぜ、人は「予期不安」に悩まされるのでしょう。
その原因は、「情報不足」です。

「この薬、吐き気の副作用が出やすいって聞いたけど、そうなったらどうしよう?」という不安。
しかし、「副作用として吐き気が出る確率は10パーセント、激しい吐き気はその中で3人に1人。それに出たとしても命に別状はない」というデータが添えられていたらどうでしょう。
つらい症状は30人に1人も出ないとわかれば「それほど多くないし、万が一なっても大丈夫だな」と思えるのではないでしょうか。

たとえば、最近メディアを騒がせている、新型コロナワクチン問題。副作用があるということで、ワクチンを打つことを躊躇している人も少なくないようですが、実際に起きている副作用の割合が25万から35万分の1と言われていること、症状が人によってさまざまで軽い症状の方もいらっしゃることについてきちんと知っている方は、ほとんどいないでしょう。
こうした情報を知ることで、副作用のリスクと新型コロナに感染することのリスクを冷静に比べることができるのではないでしょうか。

このように答えや詳しい情報に知識、数字やデータなどが得られるだけで、不安にあおられることなく、冷静に考えることができるようになります。

上手に情報を得るための4つの方法
ムダな不安を取り除き、冷静に判断するためには、上手に情報を得ることが大切です。
誰からどんな情報を得るとよいのか、おすすめの方法を4つご紹介しましょう。

1 主治医に質問する
病気についての対処法や今後の治療の方向性、家での療養の仕方を知りたい場合、主治医に聞くのがいちばんです。
わからないことがあるのに質問しないのは、自分で自分の「不安」を増殖させているということです。
「忙しそうなので質問しづらい」という意見も聞きますが、3分診療であっても、質問の1つくらいは答える時間はあります。自分の病気を治すためですから勇気を出して質問しましょう。

医者に積極的に質問する患者さんは、何も質問しない患者さんよりも、「治療意欲が高い」ので、私は好感を抱きます。
医者の前では緊張して、頭が真っ白になってしまう、何を質問したかったか忘れてしまう人は、事前にメモ用紙に内容を箇条書きにしておくといいでしょう。
メモを見ながら質問すれば、何を質問するのか忘れた。
あるいは、うまく質問できなかったということを避けられます。

2 主治医に質問できない場合の対処法
「主治医に質問できません」「質問する雰囲気ではありません」という場合は、本来であれば主治医本人に説明してほしいところですが、もし無理であれば、看護師に聞いてみましょう。
看護師は医者のそばにいて、診療を毎日見ています。
患者さんの「よくある質問」には、ほとんど答えてくれることでしょう。
また、薬に関する質問なら、薬剤師が答えてくれます。
「薬は食後になっていますが、ご飯を食べなかったときはどうしたらいいのですか?」「この薬の吐き気が出る副作用は何パーセントですか?」といった質問に対しても、丁寧に、時にはデータを調べて親切に答えてくれます。
わからないことがあるときは、声をかけるといいでしょう。

3 病気について書かれた本を、1冊、通して読んでみる
「あなたはパニック障害です」と言われたら、パニック障害の本を1冊読んでみましょう。
「あなたは糖尿病です」と言われたら、糖尿病の本を1冊読んでください。
病気について書かれた本には、その病気の原因、治癒までの期間、治療の内容、生活習慣改善の方法、生活上の注意などが一通り書かれています。
患者さんが抱く疑問はほとんど網羅されているので、その病気について必要な情報、知識の全体像が学べます。
では実際、どんな本を選べばよいのでしょうか。
まず、できるだけ大きな書店に行ってください。
そして、自分の病気について書かれている本が並んでいるコーナーに行ってみましょう。
実際、手に取り、何冊かパラパラとめくってみて「いちばんわかりやすいもの」を選びましょう。
ネットで注文すると、本の内容をチェックできないので、思った以上に難しい本が届き、結局読まないまま終わったりしますので、書店に足を運ぶことをおすすめします。
ネットは家庭用医学書の代用にならない

4 ネットの医療情報は安易に信用しない
病気について知りたいとき、多くの人がインターネットで検索することでしょう。
しかし、インターネットの情報を利用する場合は、十分な注意が必要です。

アメリカの医師グループの調査によると、「ウィキペディア(世界最大のインターネット百科事典)」で主要な疾患の記述を調べたところ、90パーセントのページに誤りが認められたそうです。
ウィキペディアは、家庭用医学書の代用にはならないのです。
日本医科大学らの研究(2019年)によると、「がん治療」について紹介する約250のインターネットサイトを調べたところ、医学会の診療ガイドライン(指針)を根拠にしたものは1割程度。
自由診療など科学的根拠(エビデンス)がはっきりしないものが4割にも上っています。

インタット上の医療情報は玉石混淆で、役に立つ情報もある反面、完全な間違いも多く、そのまま信じると病気や健康を悪化させる情報も見られます。
ネットの情報は安易に信用しないことです。

  わからないことがあると、不安はどんどん大きくなります。
必要な情報は自分から得るようにして、不安を減らしていきましょう。
posted by 小だぬき at 00:00 | 神奈川 ☁ | Comment(0) | 健康・生活・医療 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2021年05月08日

「政府よ、目を覚ませ」水谷修氏がコロナ禍の失政に喝!「今やるべきは4週間のロックダウン」

「政府よ、目を覚ませ」水谷修氏がコロナ禍の失政に喝!「今やるべきは4週間のロックダウン」
5/7(金) まいどなニュース

 政府は、東京、大阪、兵庫、京都の4都府県に出されていた新型コロナウイルスの感染急拡大に伴う緊急事態宣言を当初の期限とした今月11日から同31日まで延長し、愛知県と福岡県も対象地域に加えることになった。
変異株を含む新規感染者数が増加する中、「夜回り先生」こと教育家の水谷修氏は「政府よ、目を覚ませ」として中途半端に終わった「失政」の責任を問い、4週間の「ロックダウン」導入の必要性を訴えた。     ◇    ◇    ◇  

新型コロナウイルスの感染拡大が、止まりません。
にもかかわらず、政府の対応は、多くの国民にとって、煮え切らないものです。
なぜ、このような事態が起こってしまったのでしょうか。

 政府は、昨年3月13日に成立した「新型コロナウイルス対策の特別措置法」に基づいて「緊急事態宣言」を発令し、一時的には、世界から高く評価されるほど、感染の拡大を抑え込みました。
これは、高く評価できます。
すべての学校は、休業そしてリモート授業に
多くの企業も、リモートワークに移行し、国民生活に直接関わる業種を除いた飲食、商店は休業し、政府を支えました。
政府もそれに答え、不十分ではありましたが、様々な給付金によって、国民生活や企業を守ろうとしました。

 問題は、そのあとです。
外国からの渡航者、帰還者に対する対応が不十分となりました。
本来なら、すべてを、シャットアウトするか、もし入国を認めるとしても、2週間は、用意した施設で隔離すべきにもかかわらず、自宅での健康観察に。
これが、イギリス変異株の新型コロナウィルスが、日本に持ち込まれる原因となりました。

 外国からの渡航者、帰還者に対する対応は、依然として不十分なものです。
このままでは、更なる脅威となるインド変異株が、次なる感染拡大の主因となるでしょう。
 また、「Go to トラベル」の政策です。
観光、交通、宿泊、飲食等の業界が、「緊急事態宣言」によって悲惨な状況となっているから、それを支えるという理由で、大切な国民の税金を湯水のようにばらまきました。
しかも、税金だけではなく、新型コロナウイルスを、各地にばらまく主因ともなりました。失政です。

困っているのは、その業種だけではなかったはずです。
しかも、支えようとした業界の人たちは、一時は救われても、今は、さらに悲惨な状況に追い込まれています。
 その一方で、医療が崩壊するからと、大々的なPCR検査は実施せず、専門の病院や医療施設の新設もしませんでした。
しかも、中国やロシアですら開発したワクチンについて、政府や厚生労働省は、その開発に積極的に動いていません。
それどころか、ワクチンを全国民分早急に手に入れることすら失敗しています。
そして、今回の感染拡大です。

 政府は、一部都府県に「緊急事態宣言」を、そして一部地域に「まん延防止重点措置」を適用し、感染拡大を抑えようとしています。
しかし、全国の学校は未だに授業を続け、学校内での集団感染が発生し、飲食店については、時間や酒類の提供を禁止していますが、その一方で、感染者の自宅待機によって、家庭内感染が拡がっています

また、そのような危機的状況にもかかわらず、政府や東京都は、オリンピック、パリンピックを強行し、外国から9万人を超える人たちを入国させようとしています。
 我が国の政府は、一体何を考えているのかわかりません。
また、過去の失敗の反省はないのでしょうか。

すでに、1万人を超える人たちが、この新型コロナウイルスによって亡くなっています。
本来、政府の対策がきちんとなされていれば、命を失うことのなかった人たちです。
 政府よ、目を覚まして欲しい。
今やるべき事は、4週間の完全な「ロックダウン」しかありません。
諸外国のように完全に外国からの入国を認めず、国内においても不要な外出を禁止する。
その一方で、これまで、国民から預かってきた税金を、その支払金額に応じて返金、還元する。
また、生活困難な家庭については、その保護に動く。
ぜひ、それをして欲しいと望みます。

 経済は、復興できます。
しかし、一度失った命は二度と戻りません。
posted by 小だぬき at 00:00 | 神奈川 ☁ | Comment(1) | 健康・生活・医療 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2021年05月09日

コロナより先に飲食店が消滅…緊急事態宣言延長で危険信号!!

コロナより先に飲食店が消滅…緊急事態宣言延長で危険信号!!
5/8(土)  東スポWEV

 菅義偉首相は7日、新型コロナウイルスの対策本部会合を開き、11日までの期限で発令していた東京、京都、大阪、兵庫の緊急事態宣言について、5月末まで延長することを発表。
新たに愛知と福岡も12日から追加することも決めた。

 当初から「短すぎるのではないか」と言われていた3度目の緊急事態宣言は結局、延長されることになったが、納得いかないのは酒類の提供を終日停止している飲食店関係者たちだ。
 というのも3度目の緊急事態宣言では酒類を提供する飲食店だけでなく、大型商業施設や劇場なども休業要請の対象となったが、12日からの延長では大型商業施設は休業要請から午後8時までの時短営業に緩和。
プロ野球やJリーグなどの大規模イベントも無観客から5000人か定員の50%まで観客を入れることが可能になり、飲食店だけが“置き去り”にされてしまったからだ。

 これには飲食店関係者から「すでに手元資金が底を尽きそうな状態なのに、先が見えないなかで銀行は貸してくれるのか?」といった不安の声や、「そもそも2度目の緊急事態宣言の解除も早すぎると言っていたのに、中途半端な対応で悪化させている」との怒りの声も聞こえてくる。

 ある飲食業コンサルタントはこう明かす。
「酒類を提供する飲食店は、フード以上に酒類の売り上げが重要になるが、酒類の提供は終日停止されたまま。
行政支援も不十分で、もうどこの店も本当に疲弊しきっている。
エンタメ界の重鎮は菅首相に『このままだとコロナが終わったころには歌い手も演じ手もいなくなる』と直談判したと聞くが、このままではコロナが終わるより先に飲食店が消滅してしまう」

 元大阪府知事の橋下徹氏は6日放送のフジテレビ系「めざまし8」で、「もうハチャメチャ、ちぐはぐだらけで、全く国民はついてこないと思いますよ!」と批判したが、今やすべての飲食業関係者たちが同じことを思っているに違いない。
posted by 小だぬき at 00:00 | 神奈川 ☁ | Comment(0) | 社会・政治 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2021年05月10日

池江璃花子に「苦しいです」と言わせた おぞましい匿名の圧力

記者の目
池江璃花子に「苦しいです」と言わせた おぞましい匿名の圧力
5/9(日)  日刊スポーツ

白血病による長期療養を経て東京オリンピック(五輪)代表入りを決めた競泳女子の池江璃花子(20=ルネサンス)が7日に、SNSを通じて代表の辞退や五輪への反対を求めるメッセージが寄せられていることをツイッターで明かした。
一夜明け、8日までに、この発信を巡る一連の動きに、多くの反応が集まった。
   ◇   ◇   ◇
「とても苦しいです」。
その一文に、心から血がにじみ出ていると感じた。
7日夜に池江がSNSに文章を投稿した。
SNS上で「代表辞退」「五輪中止表明」を求める声が届いたという。
開催に賛成するのも反対するのも個人の自由だ。だが匿名で自分に都合がいい意見を、20歳の現役選手に無理強いすることが許されるはずがない。

池江は、負けず嫌いで前向きな性格だ。
4年以上担当するが、取材現場でもそうだ。
必ず質問者の目を真っすぐ見て答える。
SNSでもつらい心情を発することもほぼない。

思いつくのは19年3月、抗がん剤治療が始まった直後の「思ってたより数十倍、数百倍、数千倍しんどいです」ぐらいだ。
そんな池江に「とても苦しいです」と言わせる、匿名の圧力がおぞましい。

池江は闘病中、家族に1度だけ「死にたい」ともらし、深く後悔している。
何よりも命が大事であることは身をもって知っている。
だからこそコロナ禍の東京五輪を俯瞰(ふかん)した時、葛藤が生まれることは想像に難くない。
そんなジレンマを抱えた20歳の心を、筋違いな意見の押しつけが無慈悲に責め立てた。

そもそも東京切符は目標のパリ五輪前に思いがけず手にしたものだ。
しかも池江は「ないなら次に向けて頑張るだけと思っています」としている。
五輪を開催してほしいと主張しているわけでもない。
そしてもちろん五輪開催は1人の選手が決められることではない。
       【水泳担当=益田一弘】
posted by 小だぬき at 00:00 | 神奈川 | Comment(1) | 社会・政治 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2021年05月11日

菅首相がシャカリキ「ワクチン1日100万回」計画の荒唐無稽

菅首相がシャカリキ「ワクチン1日100万回」計画の荒唐無稽
2021/05/10 日刊ゲンダイ

 7日の会見で菅首相が突然、新型コロナウイルスのワクチン接種「1日100万回」構想をブチ上げた。
「1日100万回の接種を目標とし、7月末を念頭に、希望する全ての高齢者に2回の接種を終わらせる」というのだ。

 3月上旬に医療従事者への接種が始まってから2カ月あまり。国内の接種実績はまだ420万回程度だ。
4月12日から接種が始まった高齢者に限れば、1回目の接種を終えたのは約24万人。対象となる高齢者3600万人の0.7%に過ぎない。

「100万回」の根拠を問われた菅首相は「インフルエンザの接種は1日60万回くらいやっていて、今回ははるかに広い体制を取っているから可能だ」と答えるだけで、具体策は語らなかった。
「インフルエンザは全国のクリニックで接種しているから1日60万回が可能ですが、ファイザー製ワクチンは超低温輸送や保管上の問題があり、すぐに開業医に行き渡るとは思えない。

ワクチン管理と接種予約のシステムが別々なことも混乱の要因になりそうです」(医学博士の米山公啓氏)
 7月末までに高齢者への2回接種を終えるには、計7200万回の接種が必要だ。
逆算すると1日100万回という数字になるだけで、机上の空論なのである。

■大規模接種センター開設も計画倒れの可能性
 24日には東京で1日1万人、大阪で5000人の大規模接種センター開設も予定されているが、これも計画倒れの可能性が高いという。
「2月に実施した高齢者接種の模擬訓練では、1人あたりの接種に約12分かかった。
頑張って10分で済ませたとしても、1時間に6人しか打てません
東京で1日1万回ということは、防衛省の医官・看護官70人が24時間ぶっ通しで接種し続けなければならない。
それに、1都3県(東京、埼玉、千葉、神奈川)だけでも900万人の高齢者がいて、毎日1万人も大手町の接種会場に集まってきたらクラスターが発生しかねません。
仮に計画通りいっても1カ月で30万回ですから、総理の1日100万回構想には焼け石に水なのです」(厚労省関係者)   

菅首相は「私自身が先頭に立ってワクチン接種の加速化を実行に移す」と言うが、首相自ら注射器を手にワクチンを打ち回るのか。
「1日100万回」は無理筋な精神論でしかなく、前首相から引き継いだ「口から出まかせ」に終わりそうだ。
posted by 小だぬき at 00:00 | 神奈川 ☀ | Comment(1) | 社会・政治 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2021年05月13日

「五輪派遣にNO!」看護師たちの厳しすぎる現実

「五輪派遣にNO!」看護師たちの厳しすぎる現実
日本看護協会への不満から、退会する人も
2021/05/12 東洋経済オンライン
小林 美希 : ジャーナリスト

ツイッターデモ「#看護師の五輪派遣は困ります」が、4月28日から短期間で44万ツイートを超えて話題になっている。
職能団体である日本看護協会(会員数73万人以上)に五輪派遣の要請があったことから起こったツイッターデモだが、日本看護協会がはっきりとしたスタンスを示さないことから、「現場は限界!」という無言のメッセージとして看護協会を退会する看護師が続出している。

5月12日はフローレンス・ナイチンゲールの誕生日にちなむ「看護の日」。
現場の声に耳を傾けてみたい。

看護師の過酷な労働時間と環境 「現場の看護師はもう限界です」
都内の有名病院で働く川野洋子さん(仮名、30代)は、なんとか職場に踏みとどまっているが、この春、職能団体である看護協会を退会するという“立ち去り型サボタージュ”を決行した。
かつて病院の勤務医が過酷な労働に耐えきれず、黙って病院を辞めて当直のないクリニックに移ることが「立ち去り型サボタージュ」と呼ばれ、注目を集めた。
もちろん看護師の場合でも同様のことがあるが、今、注目されるのが、看護職の約半数が入会している看護協会を退会するという「無言の抵抗」だ。

病院勤務の看護師の管理職のなかには、大病院の看護部長を経て看護協会の役員になることが出世コースと捉えるケースもあり、部下を協会会員に強制加入させることも少なくない。
上下関係が厳しい看護の世界で、上司が入会を勧める看護協会を退会する。
こうした看護師版の立ち去り型サボタージュ現象は、オリンピックへの看護師派遣の要請をきっかけに目立っている。

その背景にあるのは、この何十年と変わらない看護師の過酷な労働実態だ。
冒頭の洋子さんの配属先は循環器内科病棟。病院内で最も忙しい病棟だという。
心筋梗塞や心不全など心臓の病気で入院する患者は急変しやすく、救命処置に当たらなければならないことが多く、ナースコールは鳴りやまない。
ましてや夜勤ともなれば、50人以上の患者を看護師4人体制で看護するため激務となる。
夜勤の間は16時間以上、ずっと病棟を走り回っている状態だ。
夜勤については、看護師不足、労働条件の改善を目的にした「看護師確保法」(看護師等の人材確保の促進に関する法律、1992年制定)の基本指針で具体的に定められている。
3交代の夜勤は1回当たり約8時間で月8回以内が努力義務とされている。
2交代の場合は1回の夜勤が16時間以上に及ぶため月4回以内となる。

洋子さんの病棟では1回16時間以上に及ぶ2交代夜勤が月5回に上る(3交代の換算で月10回)。
それでも洋子さんは、「友人は2交代夜勤が月7回というケースもあるので、まだマシ」と苦笑いする。
東京都からの要請で洋子さんの勤める病院でもコロナ患者を受け入れ始めると、ただでさえ激務だった病棟が、まるで野戦病院と化していった。

コロナ病棟だけでは患者を受け入れきれず、循環器内科病棟で個室が空くと、そこにコロナ患者が入れられる。
洋子さんら看護師は、循環器内科の患者を受け持ちながら、防護服を脱いでは着ての繰り返しで、個室にいるコロナ患者も看護しなければならなくなったのだ。

「コロナの患者を看ている最中に循環器内科の患者が急変し、ほかのスタッフから呼び出しのコールが鳴っても、すぐ駆け付けられないのがつらいです」

16時間以上続く夜勤、残業代は支払われず休日出勤
過酷な労働に見合わない待遇も精神的な負担になる。
コロナ患者を受け入れている病院は、手術の延期、外来診療の抑制など感染予防対策をすることで赤字に陥っている。
洋子さんの病院も赤字になり、残業代が支払われなくなった。
業務は増える一方で、毎日、タイムカードを押してから2〜3時間残業せざるをえない状況だ。
休み返上で呼び出されることもある。
感染予防のため患者の家族が面会できず、そのストレスの矛先が看護師に向き、看護師が罵声を浴びせられることも多い。

コロナ患者の受け入れ病院だということを理由に、中堅以上でスキルのある看護師たちは辞め、美容関係や夜勤のないクリニックに転職していった。
4月に新卒の看護師が入ったが、コロナの影響で実習を経験できずに就職したため、病棟に配属されても何一つできない。
かといって洋子さんらには新人を指導する余裕もない。
そうしたなか、ワクチン接種後に体調が悪くなった看護師が相次ぎ、残った看護師に大きなしわ寄せがきた。
洋子さんは夜勤明けの日にまた夜勤をせざるをえないことも。夕方4時頃から16時間以上も続く夜勤が連続することもあり、疲労困憊状態となった。

コロナ患者を受け入れる前までは、夜勤明けの翌日と翌々日は休みをもらえていたが、今は人手不足で2日連続の休みはとれない。
疲れ果てて、休みは眠り続け、疲れが取れないまま出勤して看護しなければならない。
たまの休日。
つい先日も入院患者がPCR検査を受けて陽性反応が出たため、担当した洋子さんもPCR検査を受けなければならず病院に向かった。
休みがあってもまったく体は休まらない。
感染予防対策で頻繁に行う消毒で手指の関節が切れて出血。
皮膚科でステロイドを処方してもらって塗っても治らない。
洋子さんは、労災申請してもいいのではないかとさえ思えてくる。

「こうして日々、耐えながら働いています。
それなのに、オリンピックのためにボランティアで看護師を派遣してということの意味がわかりません。
派遣を要請された看護協会が私たちを守ってくれると感じることができないのです」

東京に日本看護協会の本部があり、看護師は都道府県ごとにある看護協会に入会して協会に所属する。
会員数は全国に73万人以上。
日本で就労している看護師と准看護師は約150万人いることから、約半数が加入していることになる。
都道府県によって金額は異なるが年間に約1万5000円の会費を納入する。

看護協会の活動内容には、
@看護の質の向上、A看護職が働き続けられる環境づくり、B看護領域の開発・展開、を掲げている。

質の向上の一環として、独自に「認定看護師」などの資格認定制度を作っている。
看護協会は独自に看護師の労働環境の整備に取り組むほか、厚生労働省や都道府県の事業を受け、都道府県ごとに無料職業紹介「ナースセンター」を運営するなどしている。
洋子さんは病院看護部によって看護協会と、政治団体である「看護連盟」にも強制加入させられ、長年、会費も病院がまとめて徴収していた。
オリンピック派遣の要請に即座に異を唱えなかった日本看護協会の姿勢に疑問をもった洋子さんと同僚は、「今はWEBで入会や更新ができるようになったので、師長に気兼ねすることもなくなりました。
だから、この春、思い切って抜けました」と退会した。

一斉退会で無言のメッセージを発信
中国地方の公的病院で働く看護師の山本久美子さん(仮名、40代)も意を決し、看護協会を退会するつもりでいる。
「私たち現場のナースにとって、看護協会のおかげで何か労働環境が改善したとは思えないのです。
だから、職場の仲間たちと会員の更新をせず、脱会しようかと話しています。
1人でやめてもきっと協会は何も感じてくれないだろうから、一斉退会することでメッセージを送ろうと考えています」

4月下旬、自治体の要請によって、久美子さんの病院にコロナ病棟ができて患者を受け入れ始めた。
東京や大阪ほどの状況ではないものの、ICU(集中治療室)の一部を使って重篤患者の受け入れ体制をとっている。
久美子さんが勤める病院には600人以上の看護師が働き、産休や育休中で未加入状態の看護師以外で少なくとも400人は看護協会に入っている。
この病院だけで年間600万円も上納する計算だ。
もっと大きな病院では年間の会費の合計が1000万円にもなる。

病棟スタッフには看護業務以外に委員会や勉強会を行う「係」がある。
それと同列で会費を集める係がいて、毎年の更新時期の会費徴収は「春のお仕事」と呼ばれていた。
協会に未加入だと師長から「入ってないよね」とプレッシャーがかかり、逃げられない。
病棟には協会に加入しているかどうかの一覧表があり、やめるにやめられない状態だった。

看護部は新人看護師に看護連盟について説明し、事務室には与党の国会議員のポスターが貼られていた。
看護の現場に政治を持ち込まれることに久美子さんは抵抗感があり、仲間と抗議した。
こうした経験もあり、オリンピックへの看護師派遣要請がニュースになると久美子さんは「看護協会は本当に現場で働く看護師のための団体になっているのだろうか」と疑問が膨らんだのだった。

「看護は犠牲的行為であってはならない」
また、災害ボランティアに参加した経験のある久美子さんは「同じ“ボランティア”といっても、政治的な意味合いが強く見えるオリンピックへの看護師派遣の要請と災害時の看護とでは、まったく意味が違います。
自己犠牲で看護をしてはいけない。そう言ってくれない看護協会に入会している意味はない」と怒りをあらわにする。

折しもSNSでは、医療や介護従事者の労働組合である愛知県医労連(愛知県医療介護福祉労働組合連合会)によるツイッターデモ「#看護師の五輪派遣は困ります」が瞬く間に広がり、4月28日の投稿以降、ツイートが44万件を突破。
フローレンス・ナイチンゲールの「看護は犠牲的行為であってはならない」という名言が添えられ、拡大している。

ツイッターデモが国内外のメディアからの注目を集めたことから、東京五輪・パラリンピック組織委員会が看護師500人の派遣を要請したことについて菅義偉首相が「休んでいる方もたくさんいると聞いている。可能だと考えている」と官邸で記者団に語ったことが、現場の看護師の怒りを増長させた。

「なぜ辞めて、資格を持っていながら看護師として働かない『潜在看護師』になっているか、首相はわかっていない」と──。 ツイッターデモを行った愛知県医労連の西尾美沙子書記長が訴える。
「現場は今、精いっぱい。1人たりとも看護師を派遣なんてできない状態に陥っています。
もともとの人手不足にコロナが追い打ちをかけ、休みの日が月に1日しかない看護師もいます。
看護師は、コロナで今まで以上に業務が増えているのにボーナスがカットされ、周囲からは感染を疑われ差別もされる。
心身ともにバーンアウトしています。

その大きな矛盾のなかで懸命に患者を看ているのに、オリンピックのためにボランティアで派遣されてよいはずがありません。
オリンピックを優先するよりも命を守ることが大切だとツイッターを通して伝えたかった。
看護協会には毅然として看護師の派遣要請を断って現場を守ってほしい。
ツイッターデモをきっかけに、一般の多くの人にも看護現場が抱える労働問題の本質を考えてみてほしいです」

新型コロナウイルスの感染拡大が起こるずっと以前から看護師は不足しており、長時間労働や夜勤回数の多さで看護師の7割が「辞めたい」と思いながら働いている。
実際に辞める看護師も多く、毎年、平均して10人に1人が離職している。

看護師派遣は地域医療の質の低下につながる
コロナで一層、看護師は追い詰められているが、それでも目の前の患者を救いたい一心で辞めない看護師もいる。
退職する以外の方法で意思表明できるのが、看護協会の退会だったのだ。

救命救急の最前線にいるある医師は、「オリンピックにスタッフを派遣できるとすれば、この窮状でスキルのある人は出せない。
スキルあるスタッフを出せというなら、地域医療は守られず、オリンピックのために自分や家族に対する医療の質が落ちるということへの国民的コンセンサスが必要なくらい大変なこと」と憤る。

そして、全国の医療従事者から「オリンピックに動員できる医療従事者や費用があるなら、今、目の前の患者を救うためにあててほしい」という強い要望の声が聞こえる。
看護師の「立ち去り型サボタージュ」。
たとえその数が少なかったとしても、大きな意味があるだろう。

本稿執筆現在、日本看護協会の広報部は、今春の退会状況について「公表しておりません」とし、オリンピックへの派遣要請については「(日本看護協会としての)状況や見解は公表しておりません」としているが、今後の対応に注目が集まりそうだ。
5月12日はフローレンス・ナイチンゲール生誕にちなんだ「看護の日」。
前述した看護師確保法が制定されてから30年という節目の年だが、依然として看護師の労働は過酷だ。
日本医療労働組合連合会が行った「2020年度 夜勤実態調査」では、3交代病棟の夜勤で月8回以内が守られなかったのが24.8%、2交代の夜勤で月4回以内が守られなかったのが35.6%という状態だ。

これをきっかけに、看護師不足が引き起こす看護労働の本質的な問題に目を向けたい。
posted by 小だぬき at 00:00 | 神奈川 ☁ | Comment(0) | 社会・政治 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2021年05月14日

立憲民主・枝野氏「不信任案見送り」に広がる失望

立憲民主・枝野氏「不信任案見送り」に広がる失望
衆院解散に怯える野党リーダーに覚悟はあるか
2021/05/13 東洋経済オンライン
泉 宏 : 政治ジャーナリスト

コロナ政局が混迷の度を深める中、立憲民主党の枝野幸男代表の発言が政界に複雑な波紋を広げた。
枝野氏は5月10日、「コロナが大変な時に解散の誘発は避けるべきだ」と発言した。
かねてから「不信任提出は解散の大義になる」と繰り返す菅義偉首相の「恫喝に屈した」(首相経験者)との印象も拭えず、「本音は解散が怖いから」(自民幹部)との声が相次いでいる。

事実上の不信任案「提出断念」宣言
枝野氏は10日、記者団から菅政権に対する内閣不信任案提出の可能性を問われた際、「(新型コロナウイルスの感染拡大が続く)現状で(衆院を)解散できる状況ではない。(菅首相は)提出したら解散をされると明言されているので、提出はできない」と語った。

政権攻撃の急先鋒だった共産党の小池晃書記局長も、10日の記者会見で「100回くらい不信任には値する内閣だと思うが、(コロナ感染拡大の中で)野党からいまの時点で提出するのは賛成できない」と枝野氏に同調した。
枝野、小池両氏とも「現状では」「いまの時点では」としており、コロナ感染が早期に収束した場合の不信任案提出に含みを残している。
しかし、6月16日の国会会期末までの1カ月間で感染が充分に収まる事態は「まったく想定できない」(感染症専門家)ため、事実上の不信任案の提出断念宣言であることは明らかだ。

野党第1党の党首が解散を恐れて不信任案を提出できないとすれば、「国民の目にも、次期衆院選での政権交代をあきらめているように映る」(国民民主党幹部)のは当然だ。
このため、立憲民主党の内部からは「リーダーとしての覚悟に欠ける」との不満が出るなど、枝野氏の党首としての資質も問われる事態となっている。

枝野氏の発言は、衆参両院の予算委で集中審議が行われた10日に飛び出した。
枝野氏は同日午前の集中審議で、菅首相に対してコロナ対応や東京五輪・パラリンピックの開催について厳しく追及した。
しかし、国会内で記者団に囲まれると、コロナ感染拡大を理由に不信任案提出を否定した。
共産党の小池氏がすかさず同調したあたりは、「事前に調整したうえでの発言」(自民幹部)と受け止められた。
ただ、国民民主党の玉木雄一郎代表は「出さないと決めつける必要はない。(不信任案の)提出が、政府に不十分なコロナ対策の変更を促すことにつながる」と批判。
立憲民主党内でも「どうしてこの段階で弱腰の発言をするのか」(若手)との不満と不信の声が相次いだ。
野党を牽制する自民党の二階幹事長 菅首相は野党の不信任案提出について、4月に「衆院解散の大義になるか」と問われて「基本的にはそうだ」と言明。
自民党の二階俊博幹事長も4月の民放番組で「(不信任案を)出してきたらすぐやる」と野党を牽制した。

その二階氏は10日、「解散は一寸先はわからない。
今から私が『ありません』と言って幕を張るわけにはいかない。
政治は刻一刻と変化していくものだから、その事態を受けて判断したい」と煙幕を張った。
公明党の山口那津男代表は11日、枝野氏の発言について「不信任案を出さないという判断であれば、当面、信任をしていただけると、協力いただけると受けとめる」と皮肉たっぷりに語った。
ただ、公明党は7月4日投開票の東京都議選を最優先する立場で、今国会での解散断行には反対している。
山口氏は「今、感染状況は深刻なので、政治はしっかり取り組むことが優先的だとお考えになっているのであれば、それはわれわれとも共有するところだろう」と枝野氏の対応を評価する考えもにじませた。
そうした中、自民党幹部は「枝野氏は解散が怖いだけだ」と嘲笑する。

最新の世論調査でも自民党の支持率は微減にとどまり、立憲民主の政党支持率は依然として1桁パーセント台で低迷している。このため、政界では「調査を見る限り、次期衆院選で自民党が惨敗して政権が交代する可能性はほぼゼロに近い」(選挙アナリスト)との見方が支配的になっている。
政治的にみれば、政権奪取を目指す野党にとって、内閣不信任案は唯一最大の切り札だ。
ただ、与党が圧倒的多数を占める国会では、出しても否決されるだけなのが実態だ。
ここ数年の例をみても、国会会期末に野党が形式的に不信任案を出し、与党が否決して閉幕という「単なる通過儀礼」(閣僚経験者)となっている。

コロナ禍で野党は不信任案を出せない
コロナ感染が世界を震撼させた2020年は、野党が不信任案提出を見送った。
今回も見送れば、「コロナなど非常事態の中では、野党は不信任案を出せない」ということが定着することになる。
もちろん、「解散は時の首相の専権事項」で、菅首相にとっても解散は政権運営の最大の切り札だ。

しかし、今回のように、野党から不信任案を突き付けられれば解散するというのでは、「野党が解散権を持つような逆転の構図」(枝野氏)ともみえる。
今回の解散をめぐる菅首相と枝野氏の複雑な駆け引きの背景には、枝野氏を軸とする野党内の主導権争いや、次期衆院選をにらんだ選挙共闘での足並みの乱れがあるとの指摘も多い。
本来、不信任案提出では最強硬派のはずの共産党があえて枝野氏に歩調を合わせたのも、主要野党の選挙共闘での共産党の微妙な立場を踏まえたものとみられている。

菅政権発足後、初の国政選挙として注目された「4.25トリプル選挙」は、野党の全勝に終わった。
ただ、保守王国での野党での大逆転となった参院広島再選挙で、共産党は選挙共闘の枠組みから外れた。
参院長野補選でも、地元組織が結んだ立憲と共産の政策協定に国民民主や連合が猛反発。
枝野氏が謝罪する事態を招いた。
依然、共産党を含めた全面的選挙共闘は「実現不可能」(国民民主幹部)なのが実態だ。

野党でありながら、自民との連携姿勢が際立つ日本維新の会の存在も頭痛の種になっている。
8回の国会にわたって継続審議を繰り返してきた国民投票法改正案は11日の衆院本会議で可決、今国会での成立が事実上確定した。
これは「国民の批判を恐れた立憲民主が妥協した結果」(自民国対)だが、維新の馬場伸幸幹事長は「立憲民主は必要ない政党」と罵倒した。
これに対し、枝野氏は10日、菅首相との質疑の中で感染爆発した大阪府を槍玉にあげ、「2回目の緊急事態宣言が解除された時、大阪府知事がいち早く解除を求めた。
明らかな判断ミスだ。
大阪府は朝令暮改で、一番悪いのは大阪府知事だ」などと攻撃した。

吉村洋文知事は維新の最高幹部でもあり、露骨な意趣返しなのは明らかだ。
吉村知事は11日、「(大阪府の病床逼迫は)枝野議員の事実誤認」と強い口調で反論したが、こうした野党の足並みの乱れが、政権危機が叫ばれる菅政権の「最大の安定要因」(自民長老)となっている。

枝野氏は解散の「幻影」に怯えたのか 枝野氏の不信任案見送りの判断には、菅首相が都議会選挙との同日選を狙うことへの恐れもある。
しかし、参院での国民投票法改正案の審議日程も考えれば、不信任案退出を受けた解散断行は会期末の16日かその前日しか想定されていない。
選挙専門家は「会期末解散なら日程的に7月4日の都議選との同日選は無理で、投開票日は7月11日になる」と指摘する。
その場合、首相指名が行われる特別国会は早くても20日以降となり、その後の組閣も五輪開幕の23日と重なる。
このため、野党が会期末に不信任案を提出した場合、「五輪が中止になっていない限り、政治的にも解散はできない」(閣僚経験者)のが実情だ。
にもかかわらず、枝野氏が「解散誘発の恐れ」を持ち出したのは、「野党党首として解散の幻影に怯えただけの戦略ミス」(国民民主幹部)との批判も出る。

枝野氏は4月には「菅首相を退陣させて、私のもと、少数与党で危機と選挙の管理内閣をつくりたい」とも発言していた。
10日の予算委での菅首相との論戦でも「私には危機に対応する知識と経験がある」とアピールした。
野党内には「それだけの自負があるなら、なぜ堂々と不信任を出すと言えないのか」(国民民主幹部)との不信感が広がっている。
posted by 小だぬき at 00:00 | 神奈川 ☔ | Comment(0) | 社会・政治 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2021年05月15日

松坂桃李ピカ一の“ポンコツ”男 戸田恵梨香と結婚後も地で行くダサさに無限の可能性

松坂桃李ピカ一の“ポンコツ”男 戸田恵梨香と結婚後も地で行くダサさに無限の可能性
5/14(金) 日刊ゲンダイDIGITAL

 今、“ポンコツ”を演じさせたら、松坂桃李(32)の右に出る役者はいないだろう。
4月24日から始まったNHK土曜ドラマ「今ここにある危機とぼくの好感度について」では、何事も事なかれ主義の好感度ばかりを気にする元アナウンサーの大学広報担当者という主人公を好演。
同30日スタートの「あのときキスしておけば」(テレビ朝日系)では、失敗ばかりを繰り返すスーパーの店員で、夢も覇気もないダメ男を演じている。

「同時期に2つのドラマの主役を演じるだけでも珍しいのに、どちらもポンコツキャラ。
その不器用な動きといい、おどおどした表情といい、演技とは思えないほどのハマりっぷりです。
それほど板についており、『ポンコツ男といえば松坂桃李』というくらい、イメージが定着しつつあります」(芸能ライター・弘世一紀氏)

 スーパー戦隊俳優として脚光を浴び、端正な顔立ちと抜群のスタイル、そして非凡な演技力でイケメン俳優として活躍してきたが、その枠から外れるきっかけとなったのは、意外にもバラエティー番組だった。
2018年に出演した「ダウンタウンなう」(フジテレビ系)では、プライベートは「超出無精」で、しかも「ファッションに全く興味がなくダサい」と俳優仲間から暴露され、「奥の部分とかまで(心を開く)とかなると、家族でもないかもしれない」と、闇を感じさせる発言をしてダウンタウンを驚かせた。

19年に出演した「櫻井・有吉THE夜会」(TBS系)では、結婚願望があることを明かした上で、“結婚条件20カ条”なるものを明かし、共演者と視聴者をドン引きさせた。
「無料でもらったかばんを日常使いしていたり、夜ご飯は持って帰ったロケ弁。
趣味は貯金と、人気俳優とは思えない私生活が次々と明るみに出て、いわゆる“こじらせ男子”としてのキャラが定着してきました。
それに合わせるように、演じる役柄も、ちょっと難癖のあるキャラが増えてきたように思います」(民放ドラマディレクター)

■戸田恵梨香と結婚してもダサさは変わらず
 私生活では昨年12月に戸田恵梨香(32)と結婚。
“こじらせ男子”を卒業したかに見えたが、またまたバラエティー番組で素のポンコツぶりを披露した。
 3月に放送された「芸能人格付けチェックBASIC〜春の3時間スペシャル〜」(テレビ朝日系)に出演した松坂は、出演者全員の中で一人だけ全問不正解。
逆パーフェクトを達成し、2度も「映す価値なし」で画面から消えたのだ。
これにネットは大盛り上がりで、トレンド入りするほどだった。

「挙動不審な動きだったり、おどおどした様子だったりと、そのポンコツぶりはドラマの主人公と全く一緒。
ドラマのキャラはもしかして松坂に当て書きしたのではないかと思うほどです。
だからこそ、今回のドラマは2つともコメディー的要素が強いにもかかわらず、松坂の演技が凄くリアルに感じます。
もちろん役者としての実力なのですが、彼の表情の動き一つ見るだけでも、クスリと笑ってしまうようなホッコリ感があります」(弘世一紀氏)

 イケメンなのに、ダサい主人公を演じられる唯一無二の松坂の快進撃はまだまだ続く。
posted by 小だぬき at 00:00 | 神奈川 ☁ | Comment(0) | 社会・政治 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2021年05月16日

習い事づけで小1の子が壊れた。“隠れ毒親”チェックリスト20

習い事づけで小1の子が壊れた。“隠れ毒親”チェックリスト20
2021年05月16日 女子SPA!

「隠れ毒親」20項目で確認 
幼稚園に入園する前の娘の写真を見て、後悔を募らせる田中さん 体罰、暴言、過干渉……子どもを自分の思い通りに支配しようとする毒親。共働きの増加という社会的背景のなか、余裕をなくし毒親化している人が増えている。
あなたは「自分は毒親ではない」と確信をもって言い切れますか?

◆教育虐待 お受験対策、習い事……
親の幻想が子どもに負担を強いる
 神奈川県に住む田中吉政さん(仮名・43歳)は現在、同じ年の妻・真希さん(仮名)と、娘の悠愛ちゃん(仮名・7歳)の3人で暮らしている。
悠愛ちゃんは今年小学2年生になったが、学校を休みがちだ。
田中さんは娘の不調は、妻の過度なお受験対策による教育虐待が原因だと考えている。
「妻が娘を県内の私立小学校に入学させようと、お受験対策を始めたのは4年前。娘は幼稚園の年中組でした。娘にはもともと体操、絵画教室、英会話を習わせていましたが、さらにそこにお受験対策用の塾も加わったんです」
 悠愛ちゃんの幼稚園は13時からお迎え時間の15時まで自由時間だったが、真希さんは13時に娘を迎え、塾や習い事へと送迎した。
  当然、子どもにも個性があり得意・不得意もある。スマホのアプリをインストールするように、子どもに習い事をさせても、できることが増えるわけではない。
「子どもによって特性が違いますから、親が自由にカスタマイズはできない。
しかし最近の小学・中学受験などに顕著に表れていますが、『子どもの成功は親次第』という幻想があるのも否めません。
子どもをすべてコントロールすることなどできるはずもなく、親は本来無力な存在なのです」
 その事実を知って、本当 の意味で子どもと向き合うことが求められているのだ。

◆あなたは大丈夫?「毒親」チェックリスト
(※有識者、当事者の取材をもとに編集部が作成)

1:子どもに毎日小言を言ってしまう
2:自分の家庭が周囲にどう思われているか気になる
3:忙しくて子どもの相手をしないことがある
4:父母のいずれかに育児の負担が集中している
5:子どもに行儀やマナーをうるさく教えてしまう
6:逆上がり・二重跳びをできるまで練習させる
7:夫婦で子どもを叱ることがある
8:子どもを注意するとき「なぜか」を問い正す
9:嫌がる子どもを習い事に行かせたことがある
10:ゲームやスマホなどを禁止している
11:1日に何度もLINEなどを送ることがある
12:子どもに反抗期がない
13:SNSで見た子育て論を参考にしている
14:「家族のために働いている」と子どもに話す
15:「あなたのため」と言って子どもに注意する
16:一緒に買い物に行き、服などは親が選ぶ
17:子どもの机の引き出しをチェックしたことがある
18:公務員や有名企業などの安定した仕事に就いてほしい
19:成人後も実家の近くに住んでほしい
20:自分は「毒親ではない」という自信がある

◆16個以上チェックがついたあなたは……
0〜3個:「ひとまず安心」
 子どもの発達に悪影響を及ぼす言動は限りなく少ない。子どもが成長し、環境が変化した後も、今のままのマインドで接するよう意識するとよい。

4〜8個:「少し注意が必要」
 知らず知らずのうちに、過干渉気味、あるいはコミュニケーション不足に陥っている可能性も。いま一度、子どもの気持ちに向き合い、必要な対応を考えてみては?

9〜15個:「危険信号」
“子育てはこうあらねば”という強迫観念にとらわれていないだろうか。子どもに向き合うのはもちろん、自分自身もストレスを抱えすぎていないか要チェック

16〜20個:「毒親の可能性あり」
 すでに毒親化している可能性あり。どの言動が毒になるのか、親自身は気がつかないことも多いため、周囲の信頼できる人や専門家に相談するのもひとつの手。

【教育ジャーナリスト おおたとしまさ氏】
育児や教育に関する執筆・講演活動を行い、著書は60冊以上。ラジオ出演やメディアへの寄稿など、活動の場は多岐にわたっている。

―[急増!]毒親してる人―
<取材・文/週刊SPA!編集部>
posted by 小だぬき at 06:53 | 神奈川 ☁ | Comment(1) | 教育・学習 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2021年05月17日

ワクチンで「黒幕が人類管理」「人口削減が狙い」…はびこる陰謀論、収束の妨げにも

ワクチンで「黒幕が人類管理」「人口削減が狙い」…はびこる陰謀論、収束の妨げにも
5/16(日 読売新聞

 新型コロナウイルスを巡り、SNS上で「感染拡大はウソ」「世界の黒幕が、ワクチンで人類を管理するのが目的」といった虚偽の言説が広がっている。
欧米では昨年から、不満や不安を背景に同種の陰謀論が浸透し、社会問題になった。
日本でも緊急事態宣言下で経済的に困窮する人が増えており、惑わされないよう注意が必要だ。

各地でデモ
「コロナは茶番」「マスクを外そう」
 大型連休中、JR大阪駅前で、そんな文言が書かれたパネルを持った約10人のグループが街頭演説をしていた。
主催したのは神奈川県の40代の男性。
東京や福岡など全国で毎週デモなどをしており、ツイッターで呼びかければ共感した人が集まるという。

 通行人に配っていたビラでは「コロナはただの風邪。世界の資本家が各国の政府を操り、でっち上げている」「ワクチンで人間にマイクロチップを埋め込むのが目的」などと主張。
 根拠のない話だが、男性は「ネットで調べて『真実』を知った」と言う。

 大阪市内の30代の女性は、小学5年の息子を連れて参加した。
きっかけは昨年、自殺した人気俳優の「他殺説」を唱えるユーチューブ動画などだった。
何度も見るうちにコロナの陰謀論の動画を目にするようになり、信じ込むようになった。
 女性は「ワクチンは人口削減が狙いで、5年で死ぬと聞いた。息子にも教えている」と話した。

収束の妨げ 
 他にもデモで同じような陰謀論を流布させるグループが複数あり、ツイッターやユーチューブで連日投稿して数万人の登録者を集める者もいる。
信じた人が拡散しており、誰でも目に触れる可能性がある。
 休業や時短要請の対象となっている飲食店経営者の中にも、デモなどに参加する人がいるという。

 欧米ではコロナ陰謀論の拡散が、マスク着用などの感染対策への大規模な反対運動に発展した。
 千葉大病院の谷口俊文医師は2月、医師の有志でウェブサイト「こびナビ」を開設。
コロナワクチンの正確な情報の発信を始めたが、誤った情報に基づいて「ワクチンは危険」「ウソをつくな」などと批判するメッセージが多数届くという。
 谷口医師は「コロナに疲れた人が、虚偽の情報に引き寄せられる可能性がある。
さらに広まれば感染収束の妨げになりかねず、非常に危険だ」と懸念する。

都合よい情報信じる危険…
東京大特任講師・内田麻理香さん(科学コミュニケーション論)  陰謀論は荒唐無稽に見えるが、政府などが科学的に正しい情報を発信するだけでは広がりを防ぐのは難しい。
全ての人間に備わっている「認知バイアス」が関係しているからだ。

 人は知らず知らずのうちに自分が不快な情報を避け、生きづらくないように解釈するくせがある。
 今の日本はコロナ禍の収束が見通せず、不安や不満が高まっている。
生活が苦しくなっている人も多い。
そんな状況で「黒幕によって仕組まれた」「我慢しなくていいんだ」という誤ったストーリーに飛びついてしまう人が増えてもおかしくない。

 一度信じてしまうと、他人に否定されても、より強固に信じてしまうことがある。
「バックファイア効果」と呼ばれ、ネット上には考えに合致する都合のよい情報がいくらでもあり、「やはり正しかった」と錯覚してしまう。
 重要なのは、誤った情報が広がらないよう、もっと否定情報を出していくことだ。

国や専門家、メディアなどは、陰謀論を受け入れてしまう人間の認知バイアスを理解して、発信方法を工夫する必要がある。
posted by 小だぬき at 00:00 | 神奈川 ☔ | Comment(0) | 健康・生活・医療 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2021年05月18日

玉川徹氏、五輪開催は「メリットよりデメリットの方が大きい」経済効果見込めないと政府を批判

玉川徹氏、五輪開催は「メリットよりデメリットの方が大きい」経済効果見込めないと政府を批判
2021年05月17日 リアルライブ

 17日放送の『羽鳥慎一モーニングショー』(テレビ朝日系)で、同局局員でレギュラーコメンテーターの玉川徹氏が、東京オリンピック・パラリンピックについて言及した。

 この日、楽天グループ・三木谷浩史会長兼社長のコメントが紹介された。
同氏は14日、アメリカ・CNNのインタビューに答え、「オリンピックの開催と言うのは正直言って自殺行為だ。世界中から人が来る大きな国際大会を開催するのは非常に危険。リスクは非常に大きく、今年開催するのに私は反対だ」と開催に向けての動きを批判している。

 ソフトバンクグループ・孫正義会長兼社長も、オリンピックの開催に対して「日本だけでなく多くの国々がオリンピックを開催することを大変懸念している。そういった厳しい状況下で、どうやって選手の派遣を各国が支援できるのか分からない」と疑問を呈している。  

 菅義偉首相は、オリンピックについて「国民の命や健康を守り、安全安心の大会を実現することは可能だ。しっかり準備していきたい」と開催の意向を変わらず示している。
 これについて、意見を求められた玉川氏は「国が変わってないですね。だけど、国の周りはどんどん変わってきています」と世論の動きも延期や中止に傾きつつある中、それに対してうまく対応し切れていない政府を批判。

 続けて、「経済界、特に既得権が少ない、昔からの企業ではないようなソフトバンクや楽天のオーナーが、忌憚なく言っていることをどう見るか」と切り出し、「経済にとっても、オリンピックをやるメリットより、やることのデメリットの方が大きいと考え始めてるのかもしれない」と推論。  
 さらに、「経済効果がすごい、すごいと言われていたが、もし開催して日本で感染が広がったら、その後の経済的なダメージの方がよほど大きいと、経済界の中でも考えている人たちが出てきていることなのか」と述べていた。

金か命か?開催まであと67日。果たして…
posted by 小だぬき at 00:00 | 神奈川 ☔ | Comment(1) | 社会・政治 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2021年05月19日

終業まで「まだ1時間もある」と「もう1時間しかない」では人生がまったく違う

終業まで「まだ1時間もある」と「もう1時間しかない」では人生がまったく違う
2021年05月18日 PRESIDENT Online
筑波大学大学院人間総合科学研究科准教授 外山 美樹

終業まで「まだ1時間もある」と「もう1時間しかない」、あなたはどう捉えることが多いだろうか。
筑波大学大学院の外山美樹准教授は「物事のとらえかたは『説明スタイル』によって大きく変わる。
自分がどんな説明スタイルを採りやすいかを知っておいたほうがいい」という――。(第2回/全2回
※本稿は、外山美樹『勉強する気はなぜ起こらないのか』(ちくまプリマー新書)の一部を再編集したものです。

■無気力状態になりがちな人の特徴
友だちにあなたが傷つくようなことを言われた時、あなたはどう考えるかを想像してみてください。
ここでは、次の二つの選択肢のなかから選んでください。
A 友だちはいつも人を傷つけることを平気でいう。
B 友だちは虫の居所が悪くて、たまたま私に当たったのだ。

選択肢Aのように、起こってしまった悪い出来事を、「いつも」とか「決して」という言葉で考え、いつまでも続くと思っている人は、「永続的な」説明スタイルをとっていることになります。
一方、選択肢Bのように、「たまたま」とか「時々」という言葉で考え、状況を限定し、悪い出来事は一過性のものであると考える人は、「一時的な」説明スタイルをとっていることになります。

このように、なにかの出来事の理由を説明しようとする際の態度を「説明スタイル」というのです。
この質問では、説明スタイルのうち出来事の「永続性」について尋ねたものになります。
すぐにあきらめて無気力状態になりやすい人は、自分に起こった不幸は長く続くもので、いつまでも自分の人生に影響を与えるだろうと考えてしまいがちです。
「説明スタイル」でいうと、永続的であるといえます。

逆に、無気力状態になりにくい人は、不幸の原因は一時的なもので、長くは続かないと信じています。
このように考える人は、一時的な説明スタイルの持ち主になります。

■普遍的な説明スタイルと、限定的な説明スタイル
ではもう一つ、「ある人に告白したがフラれてしまった」という出来事を想像してみましょう。
あなたは次の二つの理由のうち、どちらのせいだと考えますか?
A 私には身体的な魅力がないので、フラれたのであろう。
B 私には魅力を感じるものが全くないので、フラれたのであろう。

この質問は、説明スタイルの「普遍性」の側面について、尋ねたものです。
普遍性の側面は、「限定的」な理由によるものか、それとも「全般的」な理由によるものか、にわけられます。
選択肢Aのように、限定的な(特定の)説明をする人は、ある分野では無気力になるかもしれませんが、他の分野ではしっかりと歩み続けることができます。
たとえば、自分には身体的な魅力はないかもしれないけれど、その他の面では良いところがある、と捉えているのです。
身体的な魅力について落ち込むことはあっても、それ以外の分野で無気力になることはありません。

一方、選択肢Bのように、自分の失敗に普遍的な説明をしてしまう人は、ある一つの分野で挫折するとすべてをあきらめてしまい、無気力が一般化してしまいます。
私たちが不幸な出来事を経験しても無気力状態にならず、希望を持って生きていけるかどうかは、説明スタイルの二つの側面、つまり、永続性と普遍性にかかっているのです。

■無気力状態になる人は限定的な考え方ができない
それでは、先ほど紹介した人間を対象にした学習性無力感の実験と説明スタイルがどのような関係にあるのかみていきましょう。
再度確認すると、「逃避不可能群」の実験参加者は、どんな組み合わせでボタンを押しても、騒音を止めることができませんでした。
そして、こうした状況に置かれたときに、無気力状態になる人と無気力状態にならない人がいました。
その違いは、その人の説明スタイルの違いに基づいています。

無気力状態にならなかった人は、どんな組み合わせでボタンを押しても騒音がなり響くという状況を、「この嫌な状況は、すぐに終わるだろう」と考えていた、つまり、一時的な説明スタイルをとっていたのです。
また、「複雑なボタンを正しい組み合わせで押すといった、このような課題は苦手なんだよな〜」といったように、限定的な説明スタイルをとっているのです。
これは、この課題(のみ)が苦手なだけであって、他の課題は苦手としていないことを意味します。
そのため、限定的な説明スタイルをとっている人は、別の課題を出された時には、無気力状態におちいることなく取り組むことができます。

一方、どんな組み合わせでボタンを押しても騒音がなり響くという嫌な状況に対して、無気力状態になった人は、「この嫌な状況は、いつまでも続くだろう」といったように、永続的な説明スタイルをとっていました。
そのため、二つ目の実験でもずっと続くと考えて、騒音を止めようとはしなかったのです。
あるいは、この人たちは「このような課題だけでなく、他の課題も自分にはできない。自分は何もできない」といったように、普遍的な説明スタイルをとり、無気力状態におちいるのです。
嫌な出来事を同じように経験したとしても、無気力状態になる人とそうならない人がいるのは、ある出来事をどのようにとらえる傾向にあるのかといった説明スタイルの違いによるのです。

■自分の説明スタイルに自覚的になることが重要
さて、みなさんは、先ほどの二つの質問において、どのような説明スタイルをとっていましたか?
悪い出来事をどのように捉える傾向にあるのかといった説明スタイルは、みなさんがこれまで身につけた長年の習慣(くせ)によるものなので、すぐに変えるのは難しいかもしれません。
でも、無気力になりにくい説明スタイルをとるような習慣を意図的につけることは、できるのではないでしょうか。
そのためにまず大事なことは、自分がどのような説明スタイルをとっているのかに気づくことです。
説明スタイルは、知らず知らずのうちに身についてしまうものなので、意識しないと、自分がどのような説明スタイルをとっているのか、なかなか気づくことができません。
自分が常日頃、無気力になりやすい説明スタイルをとっていることに気づいたのならば、それとは違った理由を考える習慣をつけるように、心がけてみるとよいですね。
考え方次第で人生のあらゆる出来事の捉え方は変わってきます。

■大きな失敗をしたときにどう考えればいいか
たとえば、「テストが一週間後にある」という、おそらく多くの人にとって嫌な出来事に対して、みなさんはどのように考えますか?
「あ〜あ、テストか。勉強をしなくてはいけない。嫌だな……」と考えてしまった時点で、不安や憂うつな感情におそわれ、胸がしめつけられるような身体的反応を経験するかもしれません。そうなると、嫌々ながらテスト勉強に取り組むことになります。
しかし、「テストが一週間後にある」という同じ出来事に対して、「テストは知識を得るチャンスだ!」と考えてみたらどうでしょうか(これは、第二章で紹介した「勉強って大事だと思う作戦」になります)。
何だか、やる気がわいてきませんか?

続いて、「大きな失敗をした」という時には、みなさんはどのように考えるでしょうか。
「恥ずかしい……。もう何もかも終わりだ」と考えてしまったら、本当に終わってしまうかもしれません。
一方で「失敗は成功の第一歩だ。失敗から学ぶこともたくさんある。 それに一度失敗したからといって、すべてが終わるわけではない」と考えてみたら、どうでしょうか?

■無気力になりにくい説明スタイルを身につけるべき
私たちの周りの景色は、考え方次第で違って見えてきます。
同じ一時間であっても、「もう一時間しかない」と考えるよりも「まだ一時間もある」と考えるほうが、その一時間の使い道は変わってくるでしょう。
ただし、人によっては、「もう一時間しかない」と考えたほうが、やる気が出るかもしれません。
たとえば、第五章で紹介した防衛的悲観主義者のように。 あなたが抱えるやる気の問題も、出来事や事象をどう捉えているのか、といった考え方に起因しているのかもしれません。
無気力になりにくい説明スタイルを身につければ、人生によくある挫折に対してもっと肯定的に対処できるようになりますし、大きな失敗からも以前よりはずっと早く立ち直れるようになります。

勉強でもスポーツでも仕事(バイト)でも、もっと良い成績を上げられるようになり、長い目で見れば健康状態も良くなるのです。
やる気がわいてくるのも、無気力状態におちいってしまうのも、それはあなたの考え方次第なのかもしれません。
----------
外山 美樹(とやま・みき)
筑波大学大学院人間総合科学研究科准教授
1973年生まれ。筑波大学大学院博士課程心理学研究科中退。博士(心理学)。
専門は、教育心理学。
著書に『行動を起こし、持続する力―モチベーションの心理学』(新曜社)、『実力発揮メソッド―パフォーマンスの心理学』(講談社選書メチエ)、共著に『やさしい発達と学習』(有斐閣アルマ)、『ワードマップ ポジティブマインド』(新曜社)などがある。
----------
posted by 小だぬき at 00:00 | 神奈川 ☁ | Comment(0) | 健康・生活・医療 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2021年05月20日

「第2の酒鬼薔薇聖斗」はなぜ野放しにされたのか?少年院を満期出所も繰り返された悲劇

「第2の酒鬼薔薇聖斗」はなぜ野放しにされたのか?少年院を満期出所も繰り返された悲劇
2021年05月19日 SPA!

なぜ、モンスターは野に放たれたのか……?  
’19年、茨城県内で起きた一家4人殺傷事件で茨城県警は岡庭由征容疑者(26)を逮捕した。

◆矯正不可能な「元少年」を社会はどう包摂すべきか?
 岡庭は中学生の頃から、セミやカエルを切り刻んで遊び、高校では切断した猫の生首を教室に持ち込むなど、少年時代から「サイコキラー」の片鱗を見せていたという。
 異常行動は年を重ねるごとにエスカレートし、岡庭が16歳だった10年前には、隠し持っていた刃物で中学3年生の女子生徒と小学2年生の女児を襲撃。
 この「連続通り魔事件」の公判で岡庭は、凶行に用いた包丁に付着していた被害女性の血を舐め、自慰行為に及んだことを告白しているが、少年法の壁で刑事罰を受けることはなかった……。

「『第2の酒鬼薔薇』のようだ」
 今回の事件はまだ容疑段階であり、全容解明が待たれるが、岡庭の常軌を逸した残虐性に、’97に年神戸連続児童殺傷事件を起こし、社会を震撼させた酒鬼薔薇聖斗こと少年Aとの類似点を指摘する声も多い。

◆酒鬼薔薇聖斗こと少年Aとの共通点
 精神科医の片田珠美氏は岡庭と少年Aとの共通点をこう分析する。
「2人とも性的サディズムです。 他人を傷つけたり殺したりすることに性的快感を覚えており、性衝動と攻撃性が密接に結びついています。
また、猫を殺すなど小動物を虐待することから始まって、徐々に攻撃をエスカレートさせ、ついには殺人に至った点も共通しています。
 さらに、岡庭容疑者も少年Aも動物虐待や殺人そのものに性的興奮を覚えており、快楽殺人犯です。
ふつうの人が性行為で得る快楽を、殺人で得ていると考えられます」

 連続通り魔事件後、岡庭は家裁から検察に逆送される。
再犯の恐れもあり、刑事裁判にかけられたが、精神鑑定で「広汎性発達障害」と診断がおり、医療少年院に送られることとなった。

◆当時の司法判断は正しかったのか?
 果たして、当時の司法判断は正しかったのか?
「岡庭容疑者はゲミュートローゼ(情性欠如者)である可能性が高いと思います。
これは精神病質人格の一種で、思いやりや良心を持たず、反省も後悔もしない。
だから、人を殺しても罪悪感を覚えない。
10年前の通り魔事件の裁判ではニヤニヤして反省の色が見えないと報じられましたが、ある意味、当然です。
医療少年院で治療を受けてはいますが、更生は極めて難しい。
 彼は’18年に医療少年院を満期出所し、’19年に茨城一家殺傷事件を起こしているので、医療少年院で治療にあたった精神科医を批判する向きもあるようです。
しかし、満期出所なので、少なくとも早めに野に放ったわけではない。
しかも担当した精神科医が治療困難と感じていても、現行法では規定以上に長く少年院に留め置くことはできません」

◆「また起こすだろう」繰り返される悲劇
 神戸連続児童殺傷事件、光市母子殺害事件をはじめ、少年による数々の凶悪事件を取材し、ルポルタージュを刊行してきたジャーナリストの門田隆将氏は「またも起きてしまった」と悔しさをにじませる。
「快楽殺人者たちは他人の痛みに対して、共感性を持たず、生きものに憐憫の情を抱くということがないモンスターです。
岡庭もそう。周りの誰もが『また事件を起こすだろう』と思っているのに少年法によって止められない。
どうして裁判では医療少年院の期間を5年程度と決めたのか、裁判官は遺族にきちんと説明するべきです」

 来春、民法改正によって成人の年齢が20歳から18歳に引き下げられる。
それに伴い、少年法改正の議論も今国会で大詰めを迎えているが、改正案では18〜19歳を「特定少年」に位置付け、少年法の保護対象のまま。
ただ一部の犯罪については、これまでは原則匿名だった実名報道が起訴後は解禁される。
「そもそも山口二矢(’60年に日本社会党浅沼稲次郎委員長を殺害)や永山則夫(’68年に4人を連続射殺)の名前や顔を知っている人はいるのではないでしょうか?
 それは新聞やテレビが報じたからです。 彼らは犯行時に17歳と19歳で未成年でした。
 実名や写真を禁止する少年法61条ばかりが取り上げられますが、少年法1条には、少年法の目的は『非行のある少年に対して』特別の措置を講じること、とある。つまりカッとなり、殴り合って殺してしまったなどの殺人ならまだ非行の延長ですが、最初から殺意を抱いて人を殺すことは非行とはまったく違います。
少年法の適用範囲をその段階で超えているわけです。だから凶悪事件の少年は実名で報じられていたのです」

◆「犯人には“犯罪者にならない権利”もある」
 被害者遺族だけでなく、多くの加害者への取材も重ねてきた門田氏は、「犯人には“犯罪者にならない権利”もある」と訴える。
「取り調べでの供述や裁判の証言で、サイコキラーたちは自らの性癖や欲望を赤裸々に語っています。
岡庭も通り魔事件で逮捕されたとき、捜査員に『人を殺したかった』と語っています。
それは将来『俺を殺人者にしないでくれ』という心の叫びでもある。
彼らには、“犯罪者にならない権利”もあるのです。
 たとえば、再犯率の高い性犯罪者には、米国の半分以上の州で出所後もGPSをつけさせています。
イギリスやフランス、ドイツ、韓国もそうです。
日本では日弁連や一部のリベラルを称するマスコミが、そのような社会全体で犯罪を防ごうという声を人権無視だと潰してきた。 その陰で悲劇が繰り返されているのです」
 次の「酒鬼薔薇聖斗」の出現は防げるのか。

◆岡庭は新たな事件を計画していた?
 ’20年、埼玉県警は殺人予備容疑で岡庭の自宅を家宅捜索した。
自室からはサバイバルナイフや鉈など計78本の刃物のほか、有毒な硫化水素を発生させる原料となる約45kgもの硫黄や猛毒のリシンを含有するトウゴマ、さらには熊撃退用の催涙スプレーも押収されている。
岡庭は次の標的を探していたのか。

<取材・文/週刊SPA!編集部>
※週刊SPA!5月18日発売号より
posted by 小だぬき at 00:00 | 神奈川 ☔ | Comment(1) | 健康・生活・医療 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2021年05月21日

「消費税の増税がなければ日本は豊かなままだった」京大教授がそう嘆くワケ

「消費税の増税がなければ日本は豊かなままだった」京大教授がそう嘆くワケ
2021年05月20日 PRESIDENT Online

日本の財政は危機にあり、再建のためには消費税の増税が避けられないといわれている。それは本当なのか。
京都大学大学院の藤井聡教授は「1997年の消費税増税がすべての間違い。
失われた富は数千兆円規模になる」という。
ジャーナリストの田原総一朗さんとの対談をお届けする――。(第3回/全4回)
※本稿は、田原総一朗・藤井聡『こうすれば絶対よくなる!日本経済』(アスコム)の一部を再編集したものです。

■梶山官房長官は「俺は大蔵省にだまされた」と謝罪した
【田原】1997年に消費税増税があった。あの時、増税に反対した人はいなかったの?

【藤井】いました。橋本内閣の田中秀征(しゅうせい)経済企画庁長官は、鬼のように怒って反対したんです。
経済企画庁には当時、マクロ経済がわかるエコノミスト、インテリが大勢いた。
そのレクを受けていた田中・経企庁長官は「絶対やめろ」といった。
ところが大蔵役人たちが橋本龍太郎さんのところに、「いや、絶対大丈夫です。増税してまったく問題ありません」とこぞって説明しにいった。
たとえば、官房長官だった梶山静六さんは当時を振り返って「大蔵省の説明を鵜呑みにした私たち政治家が(中略)財政再建に優先的に取り組むことを決断した」と語っています。
で、実際に増税したら経済がメチャクチャになった。
それがわかってから、梶山さんは田中経済企画庁長官のところに行って、「俺は大蔵省にだまされた。この前はすまなかった。
(消費税増税の確認をした)閣議のとき、あんたがいったとおりだった」と謝罪したという記録も残っています。
つまり、弱小官庁の経済企画庁エコノミストがダメだと口をそろえても、官庁の中の官庁、いちばん格上の役所の大蔵官僚が大丈夫だと請け合った。それでみんな「大蔵省のほうが正しいのだろう」と思って、“騙された”んです。それで増税した。
ところが、日本経済は1年でボロボロになった。
1997年の消費税増税は日本の命運を分けました。太平洋戦争の命運が、ミッドウェー海戦の敗北で一気に尽きていったようなものだったんです。

■消費税5%から日本国民の“貧困化”が始まった
【藤井】1997年の消費税増税によって日本がダメになったことは、GDP成長率、家計消費、賃金などあらゆる尺度が実証的に示しています。
政府の資金供給量が急激に減って、実質賃金も激しく下落しました。つまり国民が“貧困化”してしまったんです。
世帯所得が減ったこと、サラリーマン・サラリーウーマンの給与が減ったことを示すグラフをご覧ください(図表1、2)。

【田原】日本人の受け取り額は、絵に描いたように減り続けている。

【藤井】こうなることは、実証的のみならず理論的にも明白です。
バブルが崩壊して成長が急速に鈍化した不況のとき増税すると、経済はさらに悪化してデフレーション、つまり経済規模の縮小が始まってしまう。
世の中でおカネがグルグル回って生産や消費をしているとき、貨幣循環のあらゆる局面でおカネを取ってしまうのが消費税。

医療で体内にたまってしまった血・体液・うみなどを外に出すために入れる管や袋をドレーンといいますが、あれと同じです。
あらゆる血管にドレーンをさして血を抜き続けていれば、そりゃ血も循環しなくなるでしょう。
体力もどんどん弱くなっていく。
世帯所得は消費税増税の1997年から一本調子で下がっています。
給与所得は消費税率を5%、8%、10%と上げるたびに、ガクガクと下がっています。
だから、デフレ脱却前には絶対に増税してはダメで大至急、消費税増税の凍結、つまり「消費税0%」を実現すべきだ、と申し上げています。

■財政を悪化させた真犯人は「消費税増税」
【田原】貧困化や格差の拡大を招いたのは、新自由主義をやった小泉純一郎・竹中平蔵コンビだという人が多いけど、これも違うね。
小泉内閣は2001(平成13)年4月から2006(平成18)年9月までです。
小泉時代は、むしろ下げかかったものの傾きを抑えているじゃないか。

【藤井】まあ、それはたまたまアメリカが好景気で外需が伸びたからです。
それはさておき、支えようとしていたので残念でなりませんが、実質賃金は第二次安倍晋三内閣のもとで激しく凋落しています。
実質賃金を短期間でこれだけ低下させた内閣は、戦後においては安倍内閣以外にない。実質賃金が7%も減ってしまっています。

【田原】「貧すれば鈍する」というけれども、カネがなくなってくると、経済以外のものがダメになっていく。どうですか?

【藤井】おっしゃるとおりです。GDPが大きいのは、みんな所得が多く貧困が少ないということですから、国民に余裕が生まれ、芸術や文化もさらに発展していく。
あとで話が出ると思いますが、格段に強い外交力も発揮できる。
研究開発投資も旺盛で、科学技術力も、もっと高まる。リニア新幹線も通っているし、都市開発も防災対策も進んでいる。ノーベル賞をもっとガンガン取れる国になっている。

【藤井】つまり、GDPが順調に成長していけば、日本はいまよりもはるかに経済大国、文化大国、生活大国になっていたはずです。
ところが、現実は逆になった。1997年の消費税の増税が、そうしてしまった。
みんながお金持ちになれば、税収も増えて、政府の財政もいまよりはるかにラクになったはずです。

■消費税増税でデフレ…日本だけが世界から取り残された
【藤井】「赤字国債」発行額の推移グラフを示しておきます(図表3)。
日本は昔からガンガン赤字国債を出して、列島開発なんかをやったと思っている人がいるかもしれませんが、違います。 1997年までは10年間の平均でたった3兆円ちょっとしか出していません。
それが増税してデフレになったことで、一気に10年平均で23兆円まで増えてしまった。
したがって、財政を悪化させたのもまた消費税の増税なんです。いま国債発行額は30兆円から40兆円時代になっています。

【田原】日本がデフレで苦しんでいる間に、欧米はふつうに成長していたわけね。

【藤井】はい。日本だけが置いてけぼりになってしまった。
日本、アメリカ、ヨーロッパ、中国、その他という五つに分けて、1985年から2015年まで30年間のGDPの推移を示したのが、下のグラフです(図表4)。
まず目に付くのが、アメリカの一本調子の成長。そして2005年前後からの中国の急成長。これは6年前までのグラフですから、米中の差はさらに縮まっている。

【田原】アメリカは、何があってもへこまないんだ。すごいな。
リーマンショックでも傾きが気持ち緩やかになっただけで、すぐ元通りになっている。

【藤井】その他は新興工業国や途上国で、2000年代になって急成長した。
欧州と日本は、90年代後半に沈んだ点が似ていますが、その後、横ばいから下り坂は日本だけです。
リーマンショック後の落ち込みも、欧州より日本のほうが激しい。
グラフの始まり時点で、日本のGDPの世界シェアは約20%でした。いまは6%以下。中国の半分以下で、アメリカの5分の1の国になってしまった。

■「そんな国は日本だけ」過去20年でマイナス20%成長
【田原】消費税増税で、日本はここまでダメになった。

【藤井】はい。30年間で数千兆円規模というような大きな富を失った。税収も数百兆円規模で失った。
日本のプレゼンスも著しく失われた。
その結果、アメリカも中国もロシアも、日本を軽んじるようになってしまった。
最後にもう一つグラフを示します(図表5)。これはいま見た30年間のうしろ3分の2、20年間の各国のGDP成長率を、高い国から並べたものです。
世界平均は139%。中国は1400%というとんでもない成長をしていますが、当然ながら成熟国家は、それほど高い成長はしていません。
先進国、とくにヨーロッパ各国は、だいたい世界平均より下に並んでいます。

【田原】南アジアやアフリカのように、国民が若くこれまで貧しかった国は当然、高成長する。
高齢化が進んだ国は高成長しにくい。
移民を受け入れるアメリカは、若く働き盛りの100万人くらいの集団が国内で毎年生まれるから成長する。

【藤井】この悲しいグラフでわかるように、世界でダントツに取り残されてしまった国がわが日本です。
つぶれかけているんじゃないかといわれた南欧諸国すら、何十%か成長しています。
いちばんダメな日本は、なんとマイナス20%成長なんです。
日本政府も財務省も、メディアも経済学者も、なぜこんなことになったのか説明すべきです。
そして、日本の過去の経済政策が間違っていたことを認め、まともな政策に転換しなければなりません。 プライマリーバランス規律をはずしたうえでの「消費税0%」が、その大いなる一歩となる。日本は、いますぐそうすべきなんです。

----------
田原 総一朗(たはら・そういちろう)
ジャーナリスト 1934年、滋賀県生まれ。早稲田大学文学部卒業後、岩波映画製作所へ入社。テレビ東京を経て、77年よりフリーのジャーナリストに。著書に『起業家のように考える。』ほか。
---------- ----------
藤井 聡(ふじい・さとし)
京都大学大学院工学研究科教授 元内閣官房参与 京都大学大学院工学研究科(都市社会工学)教授、京都大学レジリエンス実践ユニット長。
1968年、奈良県生まれ。京都大学卒業、同大学院修了後、同大学助教授、東京工業大学教授等を経て現職。
posted by 小だぬき at 00:00 | 神奈川 ☁ | Comment(0) | 社会・政治 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2021年05月22日

子どもの命より五輪 萩生田大臣“運動会強行”発言は正気か

子どもの命より五輪 萩生田大臣“運動会強行”発言は正気か
2021/05/21 日刊ゲンダイ

 子どもの命より五輪開催――。
緊急事態宣言が発令されている地域の小中学校の運動会を巡る萩生田文科相の発言が保護者から大ひんしゅくを買っている。変異株が猛威を振るう中の運動会は、豪雨の川に遊びに行くようなもの。
専門家は科学的な判断ができていないと指摘する。

 18日の会見で萩生田氏は運動会について「直ちに中止するのではなく、工夫してやる可能性を模索してほしい」と語った。

 子どもにも感染する変異株が広がり、最近は小中学校のクラスターが多発。
保護者は不安いっぱいで子どもを登校させている。
学校の感染を警戒し自主休校する子どもも少なくない。
 西村経済再生相も「屋外でマスクを着けていても感染が確認される事例の報告が相次いでいる」と警戒している。
そんな中、運動会強行とは正気の沙汰と思えない。

 ネット上では〈親がどんなに不安で子どもを見送るか萩生田大臣は知っていますか? 行事なんかのぞんでいない〉〈国民の安全なんて二の次〉など保護者の投稿が目につく。
 萩生田発言には、五輪絶対開催でゴリ押ししたい菅政権の方針が影響しているのは間違いない。

 歴史家の山崎雅弘氏はツイッターで〈「小学校の運動会は中止するのに、東京五輪開催は強行するのか」という批判を封じるために「じゃあ小学校の運動会もやることにせよ」という文部科学相。教育大臣が「子どもを守る」ことよりも「東京五輪利権」を優先する〉と批判している。

■専門家「科学的な判断ができてない」
 中京大の大内裕和教授(教育社会学)が言う。
「変異株の登場によって、子どもの感染が増え、萩生田文科相はこれまで以上に危機感を持ち、子どもの命や健康第一の政策を進めるべきです。
運動会開催は、五輪を引き合いに出され、科学的な正常な判断ができていないように見えます。

また、運動会など学校行事について『かけがえのない貴重な思い出』ともっともらしいことを言っていますが、学校は命がけで行くところではないし、あえて、緊急事態宣言下に運動会を強行する必要性は全くありません。
健康あっての思い出です」

 萩生田氏は「例えば秋に移すなどの試みをしてほしい」と秋延期も選択肢として示しているが、現場の大混乱は目に見えている。
「運動会は子どもを危険にさらすだけでなく、現場の先生や自治体も大変です。
現場は運動会開催によるリスクを感じていても、文科相がそう言うなら、何とか予定通りの日程で開催しようと試行錯誤するでしょう。
しかし、“工夫”といっても、コロナの感染拡大期の対策は経験もなく容易ではない。先生は心身ともにかなりの負担になるでしょう。

文科相が『直ちに中止』とひとこと言えば、自治体や先生も『延期』に動けます。
文科相はそれだけ重い責任を持っているのです」(大内裕和氏)

政権の方針と子どもの命とどっちが大事なのか。
萩生田氏は胸に手を当てて考えてほしい。
posted by 小だぬき at 00:00 | 神奈川 ☔ | Comment(1) | 教育・学習 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2021年05月23日

「ワクチン打ったらマスク不要」の大きな勘違い

「ワクチン打ったらマスク不要」の大きな勘違い
身を守るために知っておきたい「2つの新常識」
2021/05/22 東洋経済オンライン
久住 英二 : ナビタスクリニック内科医師

 一瞬耳を疑った。知り合いの知り合いの話だが、医療従事者の結婚式に出席したところ、列席者のうち医療従事者とみられる人は披露宴会場で終始マスクをしていなかったという。
おそらく「新型コロナワクチンを接種済みだから、マスクは不要」という考えだったのだろう。
この判断は正しいだろうか?
 いや、そのはずがない。

日本の現状からすれば、接種済みであっても室内でマスクを外し、大勢で歓談しながら会食を楽しむことは、適切ではない。

米英での着用義務解除も、個人に対してではない
接種の進んだ米英ではたしかに、マスクの着用義務を解除する動きが広がっている。
アメリカCDC(疾病対策センター)は4月27日、新型コロナワクチンの規定回数の接種が済んだ人は、屋外でのマスク着用を不要とする旨を発表していた。
5月13日にはその対象を拡大し、屋内であってもマスクを着用しなくてもよいとした。

例外として、公共交通機関や食料品店、病院などの一部施設のほか、自治体規則やビジネス上の規定がある場合は、引き続き着用することとされている。
英国でも予定どおり5月17日から、中学以上の学年に相当する全学校で、生徒たちのマスクの着用義務が解除された。

勘違いしてはいけないのは、米英でマスク着用義務の解除が始まったのは、あくまで社会全体として接種が進んだからだ。
その状態に至るまで、「接種した人はマスクを着用せずに室内で誰とでも和気あいあいと会食してよい」としていたわけではない。
例えば5月17日にはアメリカ・ニューヨーク州もCDCの方針に倣い、マスク着用のみならず施設の人数制限の多くを解除することを発表。
その前提として、ワクチン接種の広がりと、その効果とみられる感染者の減少がある。

クオモ州知事のTwitterによれば、同州では17日までに成人の52%が接種を完了し、検査陽性率は1.26%まで低下。
16日の死者数も15人にまで減少している。
CNNによれば、カリフォルニア州やミシガン州でもマスク着用義務を解除する動きがある一方、ニュージャージー州は解除に対し慎重な姿勢を見せている。
社会全体の状況次第、ということだ。

英国の学校現場でのマスク着用解除についても、ウィリアムソン教育相が5月6日付のデイリー・テレグラフ紙に、「感染率が低下し続け、ワクチン接種プログラムが成功を収めているため」と述べている。
他方、米英に比べて接種が遅れている欧州各国から、「接種の済んだ個人はマスク着用義務を解く」といった話は、当然ながらまったく聞こえてこない。

高齢者完了でも感染減少は「1割」
 政府は目下「7月完了」を掲げ、高齢者への接種を強力に推し進めている。
だが、東京都の直近のデータでは、65歳以上の新規陽性者に占める割合はわずか11%だ。
つまり高齢者の接種が完了しても、新たな感染者を1割減らせるにすぎない。

そもそもワクチンの接種を受けた人でも、新型コロナの感染リスクがゼロになるわけではない。
CDCによれば、ファイザーとモデルナのワクチンの“感染”予防効果は、2回接種完了後に2週間経過した時点で90%に上る(“発症”予防効果はそれぞれ95%、94%)。
また初回接種後2週間でも、80%の“感染”予防効果が得られるという。
非常に期待の持てる数字である。
だが、ゼロではないのだ。

 実際、国立感染症研究所は5月13日、ファイザーのワクチンを接種した110万人超の医療従事者(4月30日時点で2回接種完了者は約104.3万人[94.7%])について、その後の感染状況を報告している。
接種後に感染が報告されたのは281人[0.03%]で、このうち2回接種完了者は47人[16.7%]だった。
報告によれば、男女比では女性が約7割、年齢構成では20〜40代が約7割を占めている。

気になるのは、報告時に無症状だった人の割合だ。
1回目の接種後に診断された感染例のうち無症状例は20.0%だった。
一方、2回接種完了後の感染では、報告時に無症状例だった割合は40.7%に達したという。

「自分はもう打ったから……」と油断していて万が一にも感染した場合、無症状・無自覚のままウイルスをばら撒いてしまいかねない、ということだ。
社会全体での接種率の低い日本では、家庭内を含めた外部のコミュニティに飛び火しないほうが難しい。
接種が完了した人であっても当分の間は、ソーシャルディスタンス、マスク、手洗いの徹底と、場所や状況によっては行動自粛を継続するしかないだろう。
こうした認識が共有できていないとすれば、同じ医療従事者として言葉を失う。

空気感染とほぼ同義の「エアロゾル感染」
 新型コロナが発生し世界に広がり始めた当初、この未知のウイルスから身を守る術は手探りかつ不十分だった。
患者等のデータの蓄積がなかったため、初期症状の似ているインフルエンザに関する知見を準用するしかなかった。
その後の研究によって認識が大きく変わったのが、エアロゾル感染と、マスクの効果だろう。

インフルエンザの場合は、基本的には接触感染のほかは「飛沫感染」に注意すればよいとされてきた。
感染した人のくしゃみや咳で出るしぶきを浴び、粘膜にウイルスが付着することで起きる感染だ。
ただし飛沫は直径が比較的大きく、すぐ地面に落ちるため、感染者の顔から1〜2mの距離にいなければ飛沫感染のリスクはそれほど高くない。

これに対し新型コロナでは、「エアロゾル感染」の実態が明らかになってきた。
エアロゾルとは、飛沫より小さく、例えば雲の粒や、日本に飛来する黄砂あるいはPM2.5レベルの大きさの粒子だ。
小さく軽いため、空気中を飛沫より長時間漂い、より遠くまで達することもある。

新型コロナウイルスでは、空気中に漂うエアロゾルの状態で、3時間ほど感染力を保っていることが報告されている(4月16日New England Journal of Medicine)。
そして、飛沫と異なり、2メートル以上離れていても、エアロゾルは飛んでくるのだ。
新型コロナでは、「感染者の気道から呼気と共に吐き出される水蒸気にウイルスが含まれ、空気中を漂った末にエアロゾル感染を引き起こす」というのが、新たな科学的知見だ。
用語の明確な定義がないため混乱もあるが、世界的には「エアロゾル感染」と「空気感染」という言葉をほぼ同義と捉えるようになっている。
WHOも先月末、ウェブサイト上にこれを明記した。

だが、科学者たちが空気感染のエビデンスが「合理的な疑いを超えて」示されていると広く警告を発したのは、昨年7月のことだ。
32カ国・239人のさまざまな専門分野の科学者(ウイルス学、疫学、エアロゾル物理学を含む)が、WHOに「空気感染の潜在リスクを認識すべき」との公開書簡を送った。
当時、WHOは「近距離でのエアロゾル感染が起きる可能性を排除できない」としていたが、ここへ来てようやく「ウイルスを含んだエアロゾル」による感染を正面から認めた形だ。

5月7日にはCDCも、「エアロゾル粒子の吸入」を新型コロナの感染経路として明記している。

マスクの効果はウイルスごとに違う
マスク着用が日常となった現在、その効果にあえて疑問を持つ人は少ないだろう。
一方で、「白い眼で見られるから」「なんとなくマナーとして」といった以上の考えもなく、体面あるいは習慣で身に着けている人も多そうだ。
たしかに新型コロナ以前は、インフルエンザ予防においてマスクは「人に感染させないためには有効だが、感染から身を守る効果についてはエビデンスがない」との知見止まりだった。
しかし、新型コロナをきっかけに、マスクの感染予防効果が世界中で注目され、ホットな科学研究対象となった。

昨年4月に「Nature」に発表されたアメリカ・メリーランド大学の論文では、サージカルマスク(外科用不織布マスク)は、症状のある感染者からの新型コロナとインフルエンザの感染を予防できる効果が示されている。
呼吸器症状のある3000人以上を検査し、コロナ、インフルエンザ、ライノのいずれかのウイルスが検出された246人を対象に、実験が行われた。
結果、マスクはエアロゾル中のコロナウイルスと飛沫中のインフルエンザウイルスの検出を大幅に減少させた。
また、コロナについては飛沫中のウイルスも減少傾向が見られた。

興味深いのは、新型コロナについては飛沫よりもエアロゾル感染の予防効果が高かったこと、またインフルエンザでは飛沫感染の予防効果は明白だったが、エアロゾル感染については有意差が得られなかったことだ(これまでの知見と整合する)。
さらに、一般的な風邪の原因の1つであるライノウイルスについては、飛沫でもエアロゾルでも有意差がなかったという。

このように未知のウイルス感染症である新型コロナについては、知見が日進月歩でめまぐるしく更新されていく。昨日の“常識”が今日も“常識”とは限らない。
最前線で医療に従事する者として肝に銘じ、これからも勉強を重ねつつ目の前の患者さんと向き合っていくつもりだ。
posted by 小だぬき at 00:00 | 神奈川 ☁ | Comment(0) | 健康・生活・医療 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2021年05月24日

日本の政治家があまりにひどすぎる「3つの理由」

日本の政治家があまりにひどすぎる「3つの理由」
ワクチン接種で考えざるをえない「深刻な問題」
2021/05/23  東洋経済オンライン
小幡 績 : 慶應義塾大学大学院准教授

新型コロナウイルス対策の迷走、ワクチン接種をめぐる混乱で、政治家への不信がより一層高まっている。
しかし、私が危惧しているのは、それが不信から軽蔑へ、「ただの馬鹿なのか?」という疑問に変わっていることである。

短期間の宣言を「主張」、権力自体も失いかねない菅首相
新型コロナ対策では明らかに矛盾したことを言っている。
それが背後にある利害関係からならば、それは不信にすぎない。
もし「旅行業界とつながっているんじゃないか」「医師会との癒着ではないか」といった類のものなら、戦後、いや人類が誕生してから政治というものが生まれたときから存在しているものであり、問題はあるが、既知のことである。

それよりも深刻なのは、利害関係がないにもかかわらず、子供でもわかるようなおかしなことをしていることである。
今回の緊急事態宣言の延長(5月31日まで)も、4月25日の開始時から5月11日までの17日間で終了することなど無理だとわかっていたことだった。
延長しても、その効果はまったくといっていいほどなく、「最初から長くやっておいたほうが良かった」と言われることは100%確実だったはずだ。
なのに、菅義偉首相はむきになって短期間を主張したようだ。

しかも菅首相は自分の言葉を「バナナのたたき売り」のように安売りし続け、自分の言葉の力どころか、大好きな権力自体も失うことは明白だったにもかかわらずだ。
ワクチン接種の予約も、混乱するのはわかり切っていたのに、事実上、市町村に丸投げし、しかも案の定、またもやひどい予約システムと来ている。

間抜けなことに、このタイミングでデジタル庁設置法案が可決、成立。
「あのさー、デジタル庁を作る前に、まともな予約システムか何かを国で作っておけよ」と多くの人が思っている。
振り返れば、マスクを国民に配るという発想もほとんど効果がなさそうだということはうすうすわかっていたし、病床がひっ迫するのもわかっていたはずだ。

だが、ワクチンの準備では、英米を中心とした各国では、あれだけ死者が激増して政府もパニック状態になっていたにもかかわらず、ワクチン接種の段階になったときの準備を着々と進めていた。
なのに、日本は「Go To」などをやって、ワクチン接種の準備は遅れに遅れ、役に立たないような準備ばかりをしていたことになる。

政治家が愚かである「3つの仮説」
政治家はやっぱり馬鹿なのか? という疑問が出てくるのは当然だろう。
恐ろしいのは、私ですら疑問にとどめているのに、国民の多く、特に若年層にとっては、それは疑問ではなく、結論である。いや結論どころか、常識、空気になっている。大前提となっているのである。
しかし、ここで改めて考えてみよう。

本当に政治家は馬鹿なのか?
事実から行こう。
一連の政治家の振る舞いは愚か(おろか)である。これは動かしがたい。

では、次に「なぜ愚か」なのか? 3つの仮説がある。

仮説1)愚かな人が政治家になっているから
(仮説2)政治家になると愚かになってしまうから
(仮説3)政治家になると愚かに行動することになるから

仮説1については、さらに2つの仮説に分けられる。
仮説1-1 愚かな人が政治家になりたがる
仮説1-2 愚かな人が政治家に選ばれている
まず、仮説1は、政治家の能力、生まれつきの問題であるが、解決策は「愚かでない人」を政治家に選ぶことである
では、どうすれば愚かでない人を政治家に選ぶことができるだろうか?

一般的には、それは民主主義であり、民主主義の徹底を追求することで実現することになっている。
しかし、現実はどうであろうか?
「民主主義とは何か」という問題は置いておき、普通選挙を徹底し、それを公正に行うということを追求することで、現実の世界はこれを実現しようとしてきたし、有識者の多くもそれを当然の大前提としている。
アメリカのドナルド・トランプ前大統領が愚かかどうか、ブレグジット(英国のEU離脱)が誤った決定かどうかなどはさておき、こうした考え方に対して疑問を持つ人々は、この5年で増大した。

一方、中国の習近平国家主席が優れたリーダーかどうか、目標が正しいかどうかの議論はさておき、実力者であることは間違いがない。
民主的な選挙と言われるものでは実力者が出てこず、独裁制の下で生まれてきているという考え方もありうる。
もちろん、共産党内の激しい競争がこれを実現しており、競争こそが重要だという考え方もありうる。

愚かな政治家が選ばれる「2つの理由」
世界的に見て、優秀な国家元首が民主的な選挙で選ばれる確率は低下しているように見える。
ここでは独裁制との優劣比較は論点ではなく、なぜ民主的な選挙で愚かな政治家が選ばれるか、という問題であるから、その理由を考えよう。

形式的には2つ考えられるだろう。
1つは、愚かな人しか立候補しないので、愚かでない人を選べない、という可能性である。
もう1つは、愚かな人が「より得票力がある」という説である。

前者は、政治家という仕事(職業? しかし、職業政治家と一時的に政治家になる人とがいるし、兼業も許されているから、仕事と言ったほうがいいだろう)が馬鹿馬鹿しくて、まともな人は立候補する気にならない、ということである。
後者は、有権者がなぜか愚かな人に投票してしまう、という現象である。

なぜ政治家になるのは馬鹿馬鹿しいのか?
これは仮説2「政治家になると愚かになってしまうから」の問題ともつながる。
政治家になると、もともと愚かでない人でも、愚かに行動するようになってしまう、というストーリーである。
この現象が生じる可能性は、2つある。

まず、漫画的にありそうなのは、政治家になると先生になり、傲慢になり、人の言うことを聞かなくなるから、ということである。
経営者ならガバナンスが効かない状態であり、先生と呼ばれる職業には必ず起こることらしい。
私も先生と呼ばれることに慣れてしまった。

しかし、もっと可能性が高いのは、愚かに行動することを強いられるという現象である。
ガバナンス(統治のシステム)が効きすぎて、愚かになる、という行動である。
これはヘッジファンドやいわゆるモノ言う株主と称するアクティビストファンドに振り回される経営者と同じである。
つまり、「プリンシパル=エージェント関係の議論」でいえば、主人が馬鹿なら、家来も馬鹿にふるまわないと生き残れない、ということである。

「主人」のために馬鹿になる?
これも、仮説3の「政治家になると愚かに行動することになるから」につながる。
先に言っておくと、

仮説2は、主人が馬鹿なために生き残るためには、心から馬鹿にならないとダメ、あるいはそうでないとつらいので、馬鹿になりきっているうちに本当に馬鹿になってしまう、ということである。
「政治家は鈍感でないと、やってられない」とよく言うから、この可能性は高いかもしれない。

一方、仮説3のほうは、馬鹿になり切れない、つまり鈍感ではなく感度は高いままだが、だからこそ「主人の意向を敏感にかぎ取り、主人の望むように“気の利いた”行動をし続ける」ということである。
これは、サラリーマンで出世するには必須条件だ。
日本でもアメリカでも実は変わらない。

「気が利く」「かゆいところに手が届く」「間合いの良いお世辞がうまい行動をとる」「部下などに圧力をかけブラックな行動をとり上司にだけいい顔をする」「とにかく利益を上げ、株価にプラスになることをする」……。
こうしたことはすべて主人の好みによる。

その主人にしても何らかの意味での出世、あるいは所得、資産を増やしたいだけだから、「主人にとっての主人」が株式市場か、世間体か、勲章をもらうことか、という違いがあるだけである。

むしろ興味深いのは、主人が1人の場合と、いろいろな人がいろいろな意見を言う集合体と、どちらがやりやすいか、という話である。
もちろん、それは前者が一般的には楽でわかりやすく割り切りやすいが、後者は極めてしんどい、ということである。

ここまで明示して来なかったが、民主主義の民主的な選挙で選ばれた、そして次の選挙でも選ばれたい政治家にとっての主人は有権者であり、それは群集であり、いろいろなことを言う。これは難しい。
さらに、アメリカのように、イエスかノーか、あるいは弱肉強食主義者と弱肉救済主義者といったように、主義主張が両極端に明示的に分かれていれば、極端に言えば半分だけでもいいが、日本のようなコンセンサス社会、格差といいつつも、価値観はわりと一体となっているところでは、全方位外交をしなくてはならず、八方美人になってしまう。

2012年の途中まで続いた民主党政権の最大の問題は、政権をとったら、事業仕分けをすると同時にバラまきもして、業界団体にも労組にも、すべて支援をもらおうとした全方位外交、八方美人になってしまったことである。
そして、自民党も「民主党よりましだ」ということで圧倒的な支持率を獲得してきた。
どんなに安倍晋三前首相への批判、今の菅首相への批判が出ても、意外なほど支持率が一定水準を保っているのは、民主党の「悲惨な末路」のおかげである。
だが、逆にその結果、自民党は民主党の八方美人を受け継ぐことになった。
業界にも消費者にもいい顔をするから、結局うまくいくはずがない。

公平の厳密性に縛られる日本
さらに日本の問題は、いわゆるサイレントマジョリティの傾向が強すぎる結果、声を上げる一部のクレーマーが世論的なものを形成してしまうことである。
総会屋というものが生まれたのもしかり。
陰湿ないじめの問題がなくならず、悪意のない多数のサイレントな追随者が一部のいじめの重さを増大させているのも、日本的な現象だ。

だから、ワクチンの一部の問題でも攻撃され、それを防止するために、誰からも不満が出ないように万全な行動をとろうとする。
公平にワクチンを配ろうとして、かえって公平性の厳密性に縛られ、迅速に配るということが誰に対してもできない、という愚かな結果に終わる。これが日本である。

蛇足かもしれないが、先日東洋経済オンラインに、ワクチンに関するあまりに愚かな政府およびそのほかの人々の行動に業を煮やしたのか、著名な経済学者たちが連名で、緊急提言を行った(「進まないワクチン予約の劇的改善求める緊急提言」)。
このメンバーには知り合いが多く、親しい人もいる。
提言の内容は極めてまっとうである。
だが今までにも経済学者の意見を聞く機会はごまんとあったはずで、政治や官邸が今耳を傾ける姿勢があるくらいなら、もっと早い段階、つまり、ワクチン実施案を練っていたときに盛り込まれているはずだからだ。

実際、政権の公式なアドバイザーの学者も提言メンバーに入っている。
しかし、簡単なことすらできておらず、かつさまざまな提言を聞こうとしなかった政治家たちが、いまさら聞くわけがないのである。
まあ、だから、政治家よりも各自治体の担当職員へ向けて発表しているのかもしれない。それは賢明だ。

しかし、繰り返しになるが、政治家たちがワクチン接種プロジェクトに対してこんなに出遅れて愚かに行動しているのは(担当大臣まで設置し、デジタル庁という組織の法律まで作り上げたのに)、それ以外のことを彼らの主人たちが求め続けてきたからだと私は見る。
だから、いまさら提言しても、どうかと思うのである。

さて、日本の政治家が愚かに見える理由をいろいろ考えてきたが、上記に掲げた仮説1から3のどれがもっとも当てはまるだろうか。
それは各読者の判断に委ねたいと思う。競馬の予想と一緒で、見方はそれぞれだ(本編はここで終了です。
posted by 小だぬき at 00:00 | 神奈川 ☀ | Comment(1) | 社会・政治 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2021年05月25日

「日本の水が外国から狙われている」のは本当か

「日本の水が外国から狙われている」のは本当か
土地の所有者が、その地下水も所有できる実態
2021/05/24 東洋経済
橋本 淳司 : 水ジャーナリスト

日本の水資源が外国から狙われている――。
こんな話を聞いたことがある人は少なくないだろう。
実際、世界中で水不足が発生する中、世界各地で水争奪戦は激化している。

「自分が住んでいる地域は関係ない」と思うことなかれ。
例えば、あなたが所有する土地の近くに誰かが土地を取得し、その誰かが外国資本だった場合、あなたが使う水にどんな影響があるだろうか。

北海道の森林を買う外国勢
「都市伝説でしょ?」と言われていた、外国資本の土地買収が明らかになったのは、いまから10年以上も前のことだ。
2010年、北海道が外国資本による森林の売買状況の調査を行った。
すると、道内の私有林7か所、計406ヘクタールがすでに外国資本に買われていた。
1ヘクタールは100メートル×100メートルだから野球グラウンドくらいの大きさ。それが406個分買われていたのだ。
場所は、倶知安町とニセコ町が各2件、砂川市、蘭越町、日高町が各1件。
購入者の内訳は、企業が4件(中国企業3件、英国企業1件)、個人が3件(オーストラリア、ニュージーランド、シンガポールの3カ国)だった。

利用目的は、資産保有、牧草地用で、水目的とはされていなかったのだが、この時、北海道議会が政府に提出した意見書には、こう書かれていた。
「我が国における現行の土地制度は、近年急速に進行している世界規模での国土や水資源の争奪に対して無力であると言わざるをえない」。

なぜ北海道議会は「土地を買われた」ことを「水資源の争奪」と解釈したのか。
実は、森林を取得した場合、保安林等の法的規制がかかっていなければ、所有者は比較的自由に開発できる。
木を伐採してもよいし、温泉を掘っても、地下水を汲み上げてもいいと考えられる。
日本の土地取引は所有者と購入希望者の合意で成立し、取得後の所有権は非常に強い。
そして、民法第207条には、「土地の所有権は、法令の制限内において、その土地の上下に及ぶ」と規定されている。

法的には、土地の所有者に、その地下にある水の利用権があると解釈されている。
北海道議会の動きは、国や地方自治体に大きなインパクトを与えた。
各地の市町村議会では「うちは大丈夫か?」といった行政への質問が相次いだ。
議員は、「水源林が予想外の地権者に渡り、乱開発や過度の取水で住民の生活が脅かされるようになっては手遅れ。いますぐ手を打つ必要がある」と口を揃えた。

これに対して行政側は「現時点で外国資本による大規模な森林買収の動きは確認していない」とし、「事態に適切に対応するため組織を設置する」などと回答した。

外国人による土地取得の規制がない日本
日本には現状、安全保障上の懸念がある地域でも外国資本による土地取得の規制はなく、外国人であっても自由に所有可能だ。
外国人が土地を所有できる国はアジアでは珍しい。
共産圏である中国、ベトナムなどは外国人の土地所有を認めていないし、韓国、インド、シンガポールなどでは土地の所有は可能だが、いずれも条件つきとなる。

農水省が2010年から公表し始めた外資による山林買収状況によると(累計値)、2010年は43件、831ヘクタールだったのが、2020年には465件、7560ヘクタールと10年間で面積は9倍に拡大。
農地は2018年から公表され、2020年は3件、47ヘクタールだ。
一見少ないが、日本人や日本法人をダミー的に登記名義人にしたケースや未届出のケースはカウントされていない。
また、太陽光発電、風力発電の用地(推定20万ヘクタール)の中にも外資分が相当あるが、こちらも詳細は不明だ。

政府のこれまでの調査では、中国系資本が太陽光発電などのエネルギー事業者として買収にかかわったとみられる土地は、全国で約1700カ所に上る。
リゾート開発なども含めた中国系資本が自衛隊施設などの周辺で土地買収にかかわったとみられる事例も約80カ所確認されている。
こうした中で、重要なのは「水は誰のものか」という問題だ。

日本では、水は長らく「私のもの」と解釈されてきた。
1896年の大審院の判決では、「地下水の使用権は土地所有者に付従するものであるから、土地所有者は自由に使用し得る」とされた。
1938年の大審院判決はさらに強く、「土地所有者はその所有権の効力として、その所有地を掘削して地下水を湧出させて使用することができ、たとえそのために水脈を同じくするほかの土地の湧水に影響を及ぼしても、その土地の所有者は、前者は地下水の使用を妨げることはできない」とされた。

法律が実態に即していない現状
だが、これは手掘り井戸で小規模な取水しかできなかった時代の話であり、揚水技術の発達した現代は明らかに状況が違う。 また、土地は動かないが、水は動いている。
地下水は地面の下にじっと止まっているものではなく、所有外の土地から流れて、所有する土地を通過し、所有外の土地へと流れていく。
だから土地所有者のものであるという考え方は、そもそも実態と異なっているのだ。

例えば、飲料水メーカーの取水口があるとしよう。
このメーカーは自分の土地の下にある自分の水を汲み上げているわけではなく、自分の土地の下を流れる地域の共有財産を汲み上げていることになる。
こうした中、日本でも戦後になると、「私水論」を前提としながらも、公の立場から地下水の汲み上げや汚染を制限する考え方が登場した。
1960年代には、地盤沈下問題を受け、「工業用水法」や「ビル用水法(建築物地下水の採取の規制に関する法律)」が、1970年代には「水質汚濁防止法」が制定された。
ただし、これらは地盤沈下や水質汚染などを防止するもので、直接的に地下水を管理する法律ではない。

1970年代半ばには「地下水法案」も公水論をベースに提案されたが、地下水を利用する企業の反対、地下水を管理したい省庁間の綱引きなどから成立しなかった。
2014年に成立した水循環基本法では「水は国民共有の財産」と定められている。
ただ、あくまで理念法であり、具体的に地下水の保全や活用について触れたものではない。

対策として独自に条例を設けている自治体もある。
条例は2タイプに分けられる。
1つは土地取引のルール、もう1つは地下水の保全や活用に関するルールだ。

土地取引のルールの代表は、北海道の「水資源の保全に関する条例」だろう。
内容は、@水資源保全地域を指定、A指定された区域内の土地の権利を移転する場合には、土地所有者は契約の3カ月前までに届出を行わなくてはならない、というものだ。
地下水の保全や活用に関するルールの代表は、熊本県の「地下水保全条例」だろう。
地下水を大口取水する事業者は知事の許可が必要としている。
この条例は地下水を「私の水」ではなく「公共の水」であるとしていることが特徴で、地下水は水循環の一部であり、県民の生活、地域経済の共通の基盤である公共水であると明記されている。

条例制定も容易ではない
だが、条例制定に二の足を踏む自治体も多い。
問題は3つある。

1つ目は、条例が適切かどうか。
自治体としては、不適切な条例を作って、行政訴訟などのトラブルが起きるのは避けたい。
2つ目は、自治体内が必ずしも一枚岩ではないこと。
地下水保全を考えるグループがある一方で、地下水を資源として販売するなど積極的に活用したいグループがある。
3つ目は、自治体間の調整。
地下水の流れは自治体の垣根を超えるケースがあり、近隣自治体と考え方が違う場合にどう調整をつけるかなどに頭を悩ませている。
なかでも1つ目の「条例が適正かどうか」は大きな問題だ。

「国に地下水に関する法律がないのに独自の規制をつくるのは不安」「行きすぎた規制をつくって行政訴訟になるのが怖い」というのが悩みだ。
土地取引ルールについて捕捉すると、前述の通り、日本には現在、土地取得に関して外資規制がなく、これを問題視する向きから「重要土地等調査法案」の審議が始まっている。
自衛隊基地や国境離島など安全保障上重要な土地の利用を規制するというものだ。
法案は、防衛関係施設や原子力発電所、空港など重要インフラの周囲約1キロと国境離島を「注視区域」に指定。
また、自衛隊の司令部や無人の国境離島など、特に重要な場所は「特別注視区域」と位置づけ、一定面積以上の土地取引について、当事者に氏名、国籍、利用目的の事前届け出を義務付ける。

現在、淡水は世界的に不足し、外国資本による地下水独占が住民の生活を脅かすケースが各地でおきている。
今後は一層の水不足が懸念されており、同じ事態が日本で起こらない保証はまったくない。
だから「外国資本が水を狙っている」という主張は理解できる。

地下水に関する一定のルールが必要
しかし、注意しなくてはならないのは、地下水を汲み上げ過ぎ、周辺に迷惑をかけるのは外国資本だけではない、ということだ。
あらゆる利用者に、その可能性がある。
また、地下水があるのは森林などの水源地だけではない。
地下水が大量にあるのはむしろ盆地や平野部だ。
平野部では土地取引は活発に行われており、規制をかけるのも難しい。
外国資本に限らず、土地取得者による地下水濫用を避けるには、地下水に関する一定のルールが必要だろう。

さまざまな議論があるなかで、今年3月、有識者で構成される水循環基本法フォローアップ委員会は「水循環基本法への地下水関連規定の追加に関する報告書」を、水制度改革議員連盟石原伸晃代表へ提出している。
報告書では、地下水採取の制限を条例で定めることができる規定を条文に追加することについて提案している。
地下水の状況は地域ごとに異なるため、国が平均的なルールを作るより、自治体が主導して地元の状況にあったルール作りをすることが望ましい。
そして、国はそれを後ろから支えるべきである。

たとえば、「地下水の見える化」だ。
表流水と地表水の最大の違いは、目に見えるか、見えないか。
地表水は人の目に触れるから実態把握が容易であり、課題がわかりやすい。
一方で、地下水は実態把握が難しい。
現状把握の調査について、国は支援すべきであろう。
さらに言えば、ゴールはルールをつくることではない。
ルールができたあとの運用が大事だ。
地域の地下水利用者が、それぞれ状況に応じて、保全しながら活用することだ。
posted by 小だぬき at 00:00 | 神奈川 ☁ | Comment(1) | 健康・生活・医療 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2021年05月27日

橋下徹氏「僕らもバカじゃないから分かるよ」 緊急事態宣言延長は五輪のため、「政治家も正直に言えば」

橋下徹氏「僕らもバカじゃないから分かるよ」 緊急事態宣言延長は五輪のため、「政治家も正直に言えば」 5/25(火)  スポニチ

元大阪府知事、大阪市長で弁護士の橋下徹氏(51)が、25日に放送されたTBS系情報番組「ゴゴスマ〜GOGO!Smile!〜」(月〜金曜後1・55)に出演し、日本政府に対して“本音”を見せるべきと訴えた。
 この日は、大阪府や福岡県などで5月末までだった緊急事態宣言の延長を政府に要請する方針が決定した。
これに対して橋下氏は「結局、僕らはゴールを示されずに、ずっと言われっぱなしで。(解除基準が)はっきりとステージ2なのか、1なのか。日本の国として、どこを目指しているのか、明確にしないといけない」と、解除基準についても言及した。

そして間髪入れずに「明確にしないというのは、オリンピックをやるためのフリーハンド(自由裁量)を持っておきたいという政治の意図がね。もう、見え透いてしまっているので」と指摘。
緊急事態宣言の解除と、東京五輪、パラリンピック開催が結びついているとの思惑を語った。

 橋下氏の思いとしては、緊急事態宣言が延長となれば、「一部の業種の方は不合理に営業を止められる人たちもたくさんいる」とのことで、“ゴールを示す”ことが重要になると提言。
その上で、同氏は「政治家も正直に言えばいいと思うんですよ。

オリンピックをやるために、緊急事態宣言を延長して、6月20日に解除するために、皆さんに迷惑かけるけれども、迷惑をかけるところにはお金で補償しますよ、と。
なんか、そこをオリンピックとは関係ないとか、オリンピックのためじゃないだとか言うと、僕らもバカじゃないから、そりゃ、分かりますもん」と、国民に本心を示すことを提案していた。
posted by 小だぬき at 00:00 | 神奈川 ☁ | Comment(0) | 社会・政治 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2021年05月28日

サラリーマン川柳「会社へは 来るなと上司 行けと妻」

サラリーマン川柳「会社へは 来るなと上司 行けと妻」
2021年5月27日 朝日新聞(津阪直樹)

 第一生命保険は27日、第34回サラリーマン川柳コンクールの上位10句を発表した。
1位は「会社へは 来るなと上司 行けと妻」で、2位以下も「リモートで 便利な言葉 “聞こえません!”」「お若いと 言われマスクを 外せない」などが続いた。
新型コロナウイルスにまつわる作品が上位に多く入った。
 全国から6万2542句の応募があった。第一生命が優秀作として100句を選び、一般投票を実施。10万1149票が投じられ、順位を決めた。(津阪直樹)

上位10句に選ばれた作品

1位 会社へは 来るなと上司 行けと妻
2位 十万円 見る事もなく 妻のもの
3位 リモートで 便利な言葉 “聞こえません!”
4位 嫁の呼吸 五感で感じろ! 全集中!!!
5位 じいちゃんに J.Y.Parkの 場所聞かれ
6位 我が部署は 次世代おらず 5爺(ファイブジイ)
7位 お父さん マスクも会話も よくずれる
8位 YOASOBIが 大好きと言い 父あせる
9位 お若いと 言われマスクを 外せない
10位 抱き上げた 孫が一言 密ですよ
posted by 小だぬき at 00:00 | 神奈川 ☔ | Comment(1) | 健康・生活・医療 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2021年05月29日

緊急事態宣言下でも授業や出社が再開。「完全にチキンレース」の現場

緊急事態宣言下でも授業や出社が再開。「完全にチキンレース」の現場
2021年05月28日 SPA!

東京や大阪などの大都市に続き、新型コロナウイルス感染者数の増加を受けて、沖縄県も緊急事態宣言を発令。
全国の感染者数は微増か横ばいではあるものの「まん延防止等重点措置」の適用地域も拡大し、コロナ収束の兆しは一向に見えてこない。
 そんななか、これまでは休校だった学校や、リモートワークに移行していた職場にも人が戻りつつあるというが、不満の声も聞こえてくる。
現場では何が起きているのか。

◆学校や職場に人が戻ってきたが…
 関東在住の私立大学3年生・藤岡絵理奈さん(仮名・21歳)が不満をぶちまける。
「ずっと自宅学習、リモート授業だったんですが、4月の終わり頃から対面授業が再開されました。
ところが、行ってみると、来ているのは生徒だけ。
先生だけはリモートで、プロジェクターに映し出されたスクリーンの中で授業してるんです」(藤岡さん、以下同)

 教室には、対面授業の再開を喜ぶ生徒がたくさんいたが、換気もされておらず、友人との久々の再会を喜ぶ一部の生徒たちがおしゃべりに没頭。
当然、「密」状態はあちこちで起きている。
藤岡さんは、気が気ではない日々を送っているという。

◆気が気ではない日々
「本当は、4月の頭には授業開始と言われていたから電車の通学定期券も買ったんですけど、5月スタートに延びて1か月ぶんがムダになりました。
大学の職員や担当教授に相談してもわからない、知らないばっかり」
 一人暮らしの生徒のなかには、バイトもできず家賃も支払えないため、実家に一時帰宅しているパターンもあったと話す。

授業再開に合わせて地元から再度上京してきた知人は学校に翻弄されて鬱状態に陥ったとも言う。
 結局、なぜ通常授業が再開されたのか、未だに学校側から詳しい説明はない。
感染者が減った、危険性が減少したなどのエビデンス(根拠)も提示されず、藤岡さんは強い不満を抱いている。

◆どこの部署が最初に出社させるか「完全にチキンレース」
「完全にチキンレース状態だった。どこの部署が最初に出社させるか、社内でお互いの出方を見合っているんですから」
 こう話すのは、都内のコンサル会社勤務・坂本祥太さん(仮名・30代)。
昨年の夏以降、ほぼ全社員がリモートワークへ移行したが、今年に入り、社員を出社させる部署が増え始めているという。

「打ち合わせも会議もリモートで可能ですが、結局会って話したほうがいいね、となる。
部署ごとに、こっそり出社している社員がいるのは知っていましたが、今年に入り、ある部署が出社に切り替えました」(坂本さん、以下同)
 リモごとに、こっそり出社している社員がいるのは知っていましたが、今年に入り、ある部署が出社に切り替えました」(坂本さん、以下同)  リモートワークは会社全体の決定であるし、逆らうことは感染リスクを高めることにもつながる。 そんなことは許されないはずだと誰もが思っていた。だが、会社のトップはそれを黙認したという。 「全員リモートワークから、全員出社になり、さすがにおかしいと一部の社員が上と掛け合ったそうですが、『ライバル会社はすでに全員出社にしている』と言われてしまったそうです」
 感染拡大が続く中でも、同業ライバル社が「出社」していれば「我が社も」となるのは、いかにも日本企業らしい文化というか、日本人らしいというか……。

◆リモートワークから「出社」体制に戻った理由が曖昧
 関西地方在住の保険代理店勤務・辻本善彦さん(仮名・40代)の会社でも、感染者数が増加の一途を辿っていた最中にリモートワークから出社に切り替わったが、その理由はあまりにお粗末なモノだった。
「出社が再開された理由を誰も知りません。一部の年配社員が、パソコンやメールが使えず、リモートワークができないと上に訴えていたので、それに社長が応じる形だったのでは……と言われています」(辻本さん、以下同)

 今年4月頃には、ほぼ全社員が出社。
一応、部署のスペースを区切ったり、それっぽい「対策」は行われていたが、5月に入ってから案の定、複数の感染者が出た。 「昨年の春に感染者が出たときは大騒ぎ、会社は閉鎖、全ての部屋が消毒されるなどしていたのに、今回は特に動きもなくて」
 いずれも、なんらかのエビデンスによって「登校」や「出社」が再開された、ということではない。
さらに、その理由を問うても誰も答えられず、誰が決めたのかさえ曖昧になっているとも言う。
 平時なら笑っていられた、そうした「日本らしさ」に流されるまま、世界の流れからいつの間にか逸脱し、漂流している、なんてことにならなければいいのだが……。

<取材・文/森原ドンタコス>
posted by 小だぬき at 00:00 | 神奈川 ☁ | Comment(0) | 社会・政治 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2021年05月30日

効いてきてしまった改憲派の「嘘」宣伝。改憲派vs護憲派の公開討論を憲法学者の重鎮が提言

効いてきてしまった改憲派の「嘘」宣伝。
改憲派vs護憲派の公開討論を憲法学者の重鎮が提言
2021年05月29日 SPA!

◆改憲「賛成」が「反対」を凌駕
 5月3日(憲法記念日)の朝日新聞の報道によれば、「今の憲法を変える必要があるか?」という全国世論調査の結果は、「必要」が45%で「必要なし」が44%であった。
これは7年ぶりの逆転である。
同日付の毎日新聞でも、改憲について「賛成」が48%で、「反対」が31%であった。
 これで、自民党の憲法改正推進本部などは、「これまでの運動の成果だ」と大いに盛り上がっていることだろう。

 改憲が必要だとする理由を見てみると、自民党が常々広報している理由そのままである。
つまり、第一が「国防の規定が不十分だから」で、第二が「古くなったから」で、第三が「米国からの押しつけで、日本の国柄が反映されていないから」である。
 しかし、これらの理由は、私などが機会がある度に指摘しているように、あからさまな無理か、一方的な主張である。

◆背景にある「改憲派」の「嘘」
 まず、改憲派は、「現行憲法は国防を禁止している」とか「現行憲法は命を懸けて国を守っている自衛隊を『違憲』と言わせている」などと主張している。
しかし、政府自民党の公式見解は次のものである。

@9条1項は「国際紛争を解決する手段としての戦争」、つまり(国際法上の用語例に従い)「侵略戦争」のみを禁じている。 Aまた、わが国も国際法上の自然権として自衛権は有しており、それは国連憲章51条で確認されている。
Bしかし、9条2項が国際法上の戦争の手段としての「戦力」と戦争の資格としての「交戦権」を禁じているので、わが国は海外に戦争に行けない。
Cだから、65条の「行政権」に含まれる警察(警察庁+海上保安庁)の能力を超えた攻撃を受けた場合に対応する能力を備えた第二警察(自衛隊)が日本の領域と周辺の公海と公空を用いて排除する。
D要するに、専守防衛に徹する自衛隊は合憲で、わが国は、9条により、多国間の紛争には介入しないが、わが国への侵略は許さない国なのである。  

また、憲法は、上衣や靴とは違い、単に「古くなった」ら当然に変えるべきものではない。
時の経過の中で現実の政治と矛盾する条文が出て来た場合には、現実と条文のどちらを改めるべきか? という真摯な議論が先行すべきものである。
その点では、9条を変えて米軍の二軍になることと9条を守って専守防衛に徹することの比較検討がまず行われるべきである。

また、新自由主義という弱肉強食の資本主義と25条が保障している福祉国家のいずれが正しいか? がまず議論されるべきである。
 さらに、「現行憲法は、米国から押しつけられて、日本の国柄が反映されていない」と言うが、その「国柄」と言われる「明治憲法体制」が日本の2000年の歴史に照らして真にわが国の国柄なのか? の議論が必要である。

また、天皇主権、専制、軍国主義、覇権主義の国家が敗戦で生まれ変わったことの歴史的意味をまず再考してみるべきであろう。
 だから、この世論調査に答えた人々は、改憲の論点について深く考えてはおらず、改憲派が喧伝している一方的な「嘘」を吟味せずに受け売りしている状態だと言えよう。

◆改憲派対護憲派の公開論争を
 前述のように「憲法は改正すべきだ」と言う多数派の中の多数が、「国防の規定が不十分だ」と認識しておりながらも、朝日の調査では、全体としては61%の人々が9条の改憲に反対している。
その主な理由が憲法が「平和をもたらしたから」である。
これは一見して矛盾している。
しかし、これも、国民全般が、憲法問題について公平に情報を提供されていないからだと思われる。

 憲法論議に参加してきた私がいつももどかしく思うことは、改憲派も護憲派も、それぞれに同好の士だけが集まって議論を重ねながら、反対派の主張を完全に無視している点である。
だから議論が深まらず、それぞれに「囲い込まれた」人々が誤導されてしまっている。まるで新興宗教の対立である。
 この不幸な膠着状態を破るために、改憲派と護憲派の論客達が一堂に会して公開討論を行うことを提案したい。
そうすれば、憲法に関する主権者国民全般の理解が深まり、生産的な議論が成立するはずである。
「櫻井よしこ&伊藤真」といった公開討論会をぜひ観てみたい。

<文/小林節 記事初出/月刊日本2021年6月号より>

こばやしせつ●法学博士、弁護士。
都立新宿高を経て慶應義塾大学法学部卒。
ハーバード大法科大学院の客員研究員などを経て慶大教授。現在は名誉教授。
著書に『 【決定版】白熱講義! 憲法改正 』(ワニ文庫)など
posted by 小だぬき at 00:00 | 神奈川 ☁ | Comment(1) | 社会・政治 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2021年05月31日

ワクチン接種の大混乱に浮かぶ日本の致命的弱点

ワクチン接種の大混乱に浮かぶ日本の致命的弱点
2021年05月29日 東洋経済オンライン
岩崎 博充 : 経済ジャーナリスト

日本のワクチン接種が他国に比べて遅れている。
先進国どころか、世界全体で見ても大きく遅れていると指摘されている。
メディアは連日、ワクチン接種率が世界的に見てどん底に近いと報道し続けている。
実際にNHKの報道によると、世界のワクチン接種回数は累計で、中国の約4億5000万回(5月21日現在)を筆頭に、アメリカが2億7000万回、インドが1億8000万回なのに対して、日本は750万回と2桁も違うのが現実になっている。
こうしたワクチン接種の遅れを、メディアはさまざまな角度からさまざま方法で分析しているが、その大半が「国内ワクチン開発の遅れ」や「ワクチン接種の準備不足」「ワクチン接種の現場での混乱」「東京五輪を優先した弊害……」といったアプローチでの分析となっている。

とりわけ、メディアの格好の取材対象となっているのが、各自治体でのワクチン接種の混乱ぶりだ。
余ったワクチンを捨ててしまう、行政のトップが医療関係者と称して先に接種するといった話題が、日々機関銃のように報道されている。

しかし、日本のワクチン接種の遅れは、もっと奥深いところ、根源的な部分にあるのではないだろうか……。
一部メディアでは「日本人の完璧主義による弊害」や「法律の不備」といった曖昧な部分での指摘も相次ぐ。
毎日毎日、同じニュースを流し続けるテレビや新聞に対する弊害を指摘する人もいる。

なぜ、「日本のワクチン接種は遅れたのか……」。
今回のパンデミックによって、日本政府はむろんのこと、日本国民全体でも「リスク管理」がきちんとできていなかったことは間違いない。
とはいえ、日本人全体が能天気に平和ボケしてきたわけでもない。
現場は、いまでも24時間体制でコロナと戦い続けている。
なぜ、こんな状況になったのを正しく分析することで、次の「有事」の糧としなければならないだろう。

日本のワクチン接種が遅れた4つの要素
すでにさまざまなメディアで報道されているように、日本の新型コロナウイルスのワクチン接種が遅れた理由は、数多くが指摘されている。
ざっとその内容を整理してみると、その本質が見えてくるはずだ。

@ワクチンが調達できなかった
Aワクチン接種の準備が遅れた
Bワクチン接種で混乱が起きた
Cワクチン接種のロードマップが見えない

簡単に整理すると、こんなところだろうか。
順番に見ていこう。
ワクチンが調達できなかった点について、大きく分けて日本には2つの問題がある。
ひとつは、国内の製薬会社がいまだにワクチン開発に手こずっていること。
これは、「日本のワクチン開発が企業任せで政府の後押しがなかったため」という一言で説明できる、という報道が多い。
ワクチンは「安全保障の切り札」にもかかわらず、政治家や行政に安全保障の認識が欠けていた、という視点だ。

日経新聞によると、アメリカはトランプ政権が「ワープ・スピード作戦」と称して、バイオ医薬品開発の「ノババックス」に16億ドル(約1720億円)の助成金を出している。
モデルナも、アメリカ生物医学先端研究開発機構(BARDA)から最大で4億8300憶ドル(約520億円)の助成金を受け取ることで合意したとウォール・ストリート・ジャーナルが報道している。
アメリカ政府が、ワクチン開発に補助金を出した金額はBARDAを通したものだけでも192億8300万ドル(2兆0825億円、2021年3月2日時点)に上ると、アメリカ議会予算局が公表した資料で報告されている。

イギリスも、2020年5月にオックスフォード大学に対してワクチン開発のために6億5500万ポンド(約1000億円)を支援すると発表している。
ちなみに、ファイザーはトランプ政権から資金を受け取らなかったことはあまり知られていない。
科学者を政治的な圧力から守るためにアメリカ政府の補助金を受け取らずに、研究開発費は全額自前で賄ったとニューズウィークが伝えている。

日本政府も補助金は出しているが…
一方、日本の厚生労働省はどうか。
定期的に「新型コロナワクチンの開発状況について」というレポートを発表しているが、この3月22日の更新情報によると日本の国内ワクチン開発は、塩野義製薬、第一三共、アンジェス、kmバイオロジクスなどの各グループが開発を急いでいるが、いまだに実用化のめどは立っていないそうだ。
日本最大の製薬会社である武田薬品はノババックスと委託業務契約を結び、今年の下半期から年間2億5000万回分以上のワクチン供給を実施する予定と報道されている。
塩野義製薬のグループには、生産体制等緊急整備事業から223億円が援助され、第一三共グループにも同じく60億3000万円の補助が行われている。
アンジェスのグループは同93億8000万円、KMバイオロジクスは同60億9000万円が補助されている。
日本政府も補助金は出してはいるものの、桁が1つ違う印象を受ける。

NHKでは、こうした政府の対応を「平時対応」という言葉で、東大医科学研究所教授の言葉として取り上げている。
もっとも、本来製薬開発で日本は世界的に見ても、スイスと並んで優れた技術を持っているといわれる。
にもかかわらず、スイスと日本はコロナのワクチン開発には揃って手こずった。
今回のコロナのワクチン接種では、最速で開発したファイザーも、2番目となったモデルナも遺伝子分析による開発技術を使った「mRNA」ワクチンで成功した。
日本の第一三共やアンジェスも、mRNAによる開発を試みているが、もともと日本は官民を挙げてワクチン開発には消極的だったと指摘・分析する見方も多い。

日本独自の薬事検査で2カ月の出遅れ?
日本には、1970年代に天然痘による副作用をめぐる集団訴訟があり、天然痘は絶滅に至るものの、政府自身が予防接種に消極的になったという経緯がある。
1990年代には、麻疹、おたふくかぜ、風疹の3種混合ワクチンが、小児無菌性髄膜炎の原因と指摘されて任意接種に切り替えた。
さらに、子宮頚がんを予防するHPV(ヒトパピローマウイルス)ワクチンも、海外ではその有効性が高く評価されているのに、現在の日本では集団訴訟に発展したために、積極的な摂取推奨を取り下げている。

ようするに、厚生労働省や政府は、訴訟のリスクを重視して、全体の利益=予防接種の方針を曲げてしまう。
今回のコロナワクチンでも、なぜか日本は独自の薬事審査にこだわった。
たとえば、ファイザーのワクチンに関しては、アメリカでは昨年12月10日にFDA(食品医薬品局)は、緊急使用の許可を出している。
イギリスでも2020年10月に承認申請が行われ、12月2日には承認が下りている。
2カ月弱で承認申請にこぎつけたということだ。

日本はどうかというと、2020年12月18日に承認申請が行われたものの、ファイザー製ワクチンが正式に承認されたのは2021年2月14日となった。
なぜイギリスで12月に承認が下りている同じ薬が、日本では2月になってしまったのかということだ。
これについては、欧米とは違う基準での審査を日本でも行わなければならず、独自の審査が行われたとの報道がなされている。
通常、ワクチン開発の臨床実験では第1相から第3相までの段階に分かれて、それぞれ100人未満、数百人単位、数千人単位と段階を踏んでいくのだが、今回の審査では日本独自の審査として160人に対して臨床実験を行い安全性や有効性に関するデータを揃えたといわれる。

筆者は医療の専門家ではないことをまず断る。
そのうえで、160人という数字が「とりあえず審査はやった」というアリバイ作りにしか思えないのは筆者だけだろうか。
政府主導で、早期に積極的なワクチン接種を実施していれば、また違った展開になったはずだ。
もともとワクチンの有効性についての審査は、副反応の分も含めて数万人単位で実施してみてはじめてその実態がわかるものだ。
後でなんらかの副反応がある可能性は高く、アストラゼネカのように100万人当たり4人に血栓ができるといった指摘も出てくる。
よく自国でワクチン開発ができなかったために、日本は遅れたという指摘を耳にするが、イタリアやフランス、スペインでも自国でワクチン開発はできていない
にもかかわらず、日本のワクチン接種率を大きく上回っている。
それが、この2021年1〜3月期のGDP成長率にも現れている。
ワクチン接種が進んでいるアメリカや欧州は、大きくプラスに転じているにもかかわらず、日本はいまだに前年同期比で−5.1%とリーマンショックを下回る経済成長率しかない。

ワクチン接種の準備が遅かった
イギリスのオックスフォード大学などのグループが集計しているデータによると、5月10日時点で人口に占める1回目の接種を終えた人の割合は、イスラエル63%(NHKホームページより、以下同)、イギリス52%、アメリカ46%。日本はわずか2.91%で、世界で131番目となっている。
発展途上国にも大きく遅れをとっているのが現状だ。

なぜ、これほどワクチン接種の開始が遅れたのか……。
たとえば、イギリスは、昨年の夏にはワクチン接種の準備に取り掛かっていたと報道されている。
菅政権の支持率がこうした報道で大きく下げたのはやむをえないにしても、8年も続いた安倍政権が、ほとんど何の準備もしなかったことが大きかったのではないか。
他の国が、ワクチン接種に取り掛かっているときに、日本では呑気に「Go To トラベルキャンペーン」の準備にかかりきりだったとも言える。

海外で承認されたワクチンだからといってすぐに国内で認可されるものではない――という発想は、いってみれば「平時の発想」だ。
しかし現在はコロナという「バンデミック=戦時下」にある。
日本政府にはこうした「有事」の発想がなかったのかもしれない。
「最悪の事態を想定して行動する」という有事の発想があれば、また違った展開があったはずだ。
ワクチン接種の準備が遅れたのはセキュリティーに対する意識が低かったといわれても仕方がないが、その後のワクチン接種のスタートでもさまざまな問題があった。

予想された「混乱」や「トラブル」は、メディアも加担して大混乱となった。
自衛隊による大規模集団接種が始まった5月24日の新聞報道を見てみると、朝日新聞は「ワクチン予約サイト、プロが示す『最悪シナリオ』対処法」の中でワクチンの予約サイトがITのセキュリティーが弱く混乱に拍車をかけている。
さらにサイバー攻撃の標的にされるのではないかと懸念も示している。
日本経済新聞も「都市部で接種予約停滞 計画前倒し、対応難しく」(2021年5月24日)の中で、政府は高齢者向けのワクチンを7月4日までに配送完了する計画を立てたといわれているが、大都市圏では滞りが目立っており、まだ接種券も届いていないというところが多い。
なかには9月までかかると答えた自治体もあるといわれている
自治体が主催する大規模接種会場の進捗状況次第ではこれからも混乱が予想されるかもしれない。

なぜこれほどまでに、ワクチン接種が遅れ、しかも混乱しているのかと言えば、一言でいえば政府がすべてを「自治体任せ」にしたことに尽きるのではないか。
厚生労働省全体の問題なのか、それともワクチン接種チームのせいなのか、はっきりはしないが、自治体任せにして一元的に管理するシステムが構築されていなかったことが大きい。
総務省が莫大な税金を使って進めてきた「マイナンバーカード」はなぜ使えなかったのか。
厚生労働省と総務省という「タテ割り行政」の弊害に見えるが、いまだに日本政府はこんなに無駄なことを既得権を守るためにやっているのかと思うと、かなり情けない気持ちになる。

そもそも、自治体任せにするということで、国家公務員や政治家は、自分たちの責任を回避したように思えてならない。
せめて混乱を避けて平等性を保つためには、国が強いリーダーシップを発揮して、ワクチン接種の「全国統一のプロセス」を示すことが必要だったと言える。
新潟県の上越市が実施して高い評価を得た方法のように、高齢者の自宅に「×月●何日14時、A会場」というように、時間と場所をあらかじめ指定すれば、そこにいけない人だけが、決められた連絡先にアクセスすることになり、少なくとも大混乱は避けられたように思えてならない。

日本全体が「責任回避社会」に
日本全体が「責任回避社会」になっているとも言える。
まさに、日本では「責任を持って物事を決めていくリーダーシップ」を発揮できる人材が、決定的に不足しているのではないか。
もっとも日本国民もそういう政治体制を支持してきたのだから責任は国民にもある。
こうした一連のワクチン接種が遅れた状況について、さまざまな分析が行われているが、その中に「ひとつのミスも許されない完璧主義」という雰囲気が日本のワクチン接種を遅らせたのではないか、という指摘があった。
ある意味で当たっているのかもしれないが、完璧主義であるかどうかはかなり疑問だ。

ひとつのミスも許されない、という雰囲気になってしまっているのは、日本の場合はテレビや新聞、そして週刊誌に至るまで、同じ報道を繰り返し、繰り返し報道する傾向が指摘されるからだ。
政治家や行政の失敗を批判するニュースが目立つ。
それも通常のニュースだけではなく、「ニュースショー」と称するバラエティー番組で繰り返し、細かな点にまでミスをついてしまう傾向が強い。

ワクチン接種について、日本政府が消極的なのも、メディアが長年にわたってワクチンによる副反応をことさら強調する報道を繰り返してしまったのもひとつの要因といっていいのかもしれない。
日本のメディアは、記者クラブ制があって、すべて横並びで報道するため、きちんとしたエビデンスや調査に基づく報道が弱い。
感情的な報道をしたほうが視聴者や読者にも受けて収益も上がる。
こうした報道ができるのは、資金面で余裕のある大手メディアしかないのだが、残念ながら日本ではその大手メディアほど記者クラブで得た情報をだらだらと報道する傾向が高い。
こうした傾向は日本だけの問題ではないが、日本のコロナ対策が後手に回っている要因のひとつといっていい。

ミスをした人間を容赦しない日本のメディア
そもそも、日本にはメディアに一度叩かれたらとことんやられてしまう、という恐怖心が官僚や公務員、政治家、そして一般の国民にあるのも事実だ。
日本のメディアはとりわけ、ミスをした人間を容赦しない。
タレントであろうが政治家であろうが一般人であろうが、どことなく許せないという雰囲気を作ってしまう。
こうしたメディアの姿勢が、パンデミックのような状況には大きな負の要因になってしまった傾向がある。

日本は太平洋戦争のときにメディアも揃って政府・軍部の言いなりとなって、一直線に戦争に進んでしまった経緯がある。
これと似たような状況が、現在のメディアには見え隠れする。
これは、ある意味でメディアの驕りなのだが、スポンサーである企業や視聴者である国民にもその責任の一端があるのではないか。
感染症という病気と闘う以前の日本全体の雰囲気に原因があるような気がしてならない。

日本の教育制度は、ある一定の枠の中に人間の個性を封じ込めて集団行動させることに大きな意味を見いだしている。
個性を伸ばす教育が不足している。
ある意味で、第2次世界大戦前の教育の方向性が本質的なところでは変わっていないと言ってもよい。
そして、企業も個性を捨てた人間の集団をつくり続けている。
パンデミックという「有事」に巻き込まれている今、日本はこうした根源的な部分でももう一度立ち返ってみる必要があるのかもしれない。

法的整備の不備は政治家の怠慢?
そして、もうひとつ忘れてならないのは、法律がないからという理由で何もしなかった政治の怠慢がある。
法律がなかったのはどこの国もほとんど同じだ。
しかし、イギリスではすぐに新しい法律を作って対応した。
日本では、そもそも議員立法という概念が希薄で、ほとんどの政治家がパンデミックの中で結局何もしなかった、といっても過言ではない。
せっかく莫大な予算を使って立法府のシステムがあるのに、なぜ日本の政治家は法律を作らないのか……。
ここにも制度上の欠陥がありそうだ。

そもそも、日本には「通達行政」という便利な制度がある。
法律など改正しなくても、通達1本で国民の生活スタイルを変えてしまうことが何度かあった。
官庁相手のみならず、民間企業である私立大学への通達などはそのいい例だ。

そして、最後に東京五輪の存在だ。
オリンピック開催にこだわったことが、コロナ対策に大きな影響を与えた。
政府与党が東京五輪開催によって、総選挙を有利に導こうとしていることは明らかだし、逆に総選挙で政権を明け渡すようなことだけは避けたいと考えている。
“日本売り”が始まり、株式や円、国債をも売られることになるはずだ。

日本のワクチン接種が遅れた原因は日本が固有に抱えるさまざまな問題点を浮き彫りにした。
政治家や行政だけではなく、国民自身も省みなければならない。
posted by 小だぬき at 00:00 | 神奈川 ☀ | Comment(0) | 健康・生活・医療 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする