2021年09月12日

税務署も諦める「最強の相続対策」、ポイントは通帳!

税務署も諦める「最強の相続対策」、ポイントは通帳!
2021.9.11 Diamondオンライン
橘慶太:税理士

コロナ禍では、お金を増やすより、守る意識のほうが大切です。
相続税は、1人につき1回しか発生しない税金ですが、その額は極めて大きく、無視できません。
家族間のトラブルも年々増えており、相続争いの8割近くが遺産5000万円以下の「普通の家庭」で起きています。
本連載は、相続にまつわる法律や税金の基礎知識から、相続争いの裁判例や税務調査の勘所を学ぶものです。
著者は、日本一の相続専門YouTuber税理士の橘慶太氏。
チャンネル登録者数は6万人を超え、「相続」カテゴリーでは、日本一を誇ります。
また、税理士法人の代表でもあり、相続の相談実績は5000人を超えます。
初の単著『ぶっちゃけ相続 日本一の相続専門YouTuber税理士がお金のソン・トクをとことん教えます!』も出版し、現在3.8万部。
遺言書、相続税、不動産、税務調査、各種手続きという観点から、相続のリアルをあますところなく伝えています。

税務調査を寄せつけない申告書を作るポイントは2つあります。

@亡くなった方の過去10年分の預金通帳の入出金を事前に確認し、問題点を精査する
A書面添付制度を使い、税務署に@の内容を事前に伝える  

まずは@から見ていきます。
過去10年分の預金通帳をチェック
 調査官は銀行や証券会社から過去10年分の取引履歴を取り寄せて、多額の現金引き出しや、家族間の資金の移動がないかを、徹底的に調べます。
ならば、調査官と同じ目線で過去の取引履歴をチェックし、問題点があれば、事前に処理をしてしまえばいいのです。
 しかし税理士の中には、亡くなった方の過去の預金通帳をまったく確認せず、相続発生時の残高証明書だけを見て申告書を作成する人もいるそうです。
 これでは、過去に生前贈与があったかどうかも確認できませんし、相続発生の直前に現金の引き出しがあったかどうかもわかりません。
過去の預金精査に対する税理士事務所の方針はバラバラで、まったく確認しない事務所もあれば、相続開始3年前や5年前の預金通帳だけ確認する場合などさまざまです。
 しかし、私の経験上、相続税の申告をするなら過去10年分は確認するべきだと断言します。
※ちなみに亡くなった方の過去の取引記録は、相続人であれば単独で過去10年分取り寄せることができます。

書面添付制度とは?
 続いて、税務調査を寄せつけない申告書を作る上で必ず知っておいて欲しいのが、書面添付制度です。
 これは「税理士が税務署の代わりに、納税者のことを調査しました」という書面を作成し、それを申告書に添付して申告する制度で、税理士だけが行うことを認められています。
この制度を利用すると、税務調査に選ばれる可能性が、利用しない場合と比べて低くなります。
 また、通常の税務調査では、調査官が直接納税者の家に訪問して調査が行われますが、書面添付制度を利用した場合には、先に税理士だけが税務署に呼ばれます。
そして、その場で調査官の疑問をすべて解消できた場合には、その後の税務調査は省略されます。
 ただ、実際に書面添付制度を使って相続税の申告をしている税理士は、全体の約2割しかいないそうです。

素晴らしい制度なのに使わない税理士が多いのはなぜでしょうか。
 それは、書面添付制度を利用し、もし、その書面に虚偽の記載があった場合には、その税理士が懲戒処分の対象になるからです。
納税者にとっては良い制度ですが、申告書を作成する税理士の立場からするとリスキーな制度なのです。
 しかし、過去の預金通帳の流れをしっかりと確認している税理士にとっては、自信を持って書面添付制度を利用することができます。
ただ、書面添付制度を利用しても中身がスカスカでは、ほとんど意味がありません。
 税務署はコストパフォーマンス(調査に入って、短時間でどれだけ多くの追徴課税をとれるか)を重視する組織です。
「この家庭を調査しても、既に10年分の預金通帳を確認しているなら大きな追徴課税は狙えないな……。仕方ない、違う家庭にいくか」と思わせられるかどうかがポイントです。

 過去10年分の預金精査と書面添付制度。
この2つをしっかりと行っている申告書であれば、税務調査対策は盤石です。
(本原稿は、橘慶太著『ぶっちゃけ相続ーー日本一の相続専門YouTuber税理士がお金のソン・トクをとことん教えます!』を編集・抜粋したものです)

相続争いの大半は「普通の家庭」で起きている 「相続争いは金持ちだけの話」ではありません。
 実は「普通の家庭」が一番危ないのです。
 2018年に起こった相続争いの調停・審判は1万5706件。
そのうち、遺産額1000万円以下が33%、5000万円以下が43.3%。
つまり、相続争いの8割近くが遺産5000万円以下の「普通の家庭」で起きています。

さらに、2000年から2020年にかけての20年間で、調停に発展した件数は1.5倍以上に増えており、今後もさらに増えていくことが予想されます。

 相続トラブルはなぜ起こるのか?
なぜ、普通の家庭で相続争いが起こるのでしょうか?
「財産がたくさんある家庭」が揉めると思われがちですが、それは間違いです。
揉めるのは「バランスが取れるだけの金銭がない家庭」です。

 例えば、同じ5000万円の財産でも、「不動産が2500万円、預金が2500万円」という家庭であれば、一方が不動産を、もう一方は預金を相続すれば問題ありません。
 しかし、「不動産が4500万円、預金が500万円」ならどうでしょうか?
不動産をどちらか一方が相続すれば、大きな不平等が生じます。
こういった家庭に相続争いが起こりやすいのです。

 多くの方が「私たちの家庭事情は特殊だから」と考えがちです。
しかし、相続にまつわるトラブルには明確なパターンが存在します。
パターンが存在するということは、それを未然に防ぐ処方箋も存在します。

日本一の相続専門YouTuber税理士がお金のソン・トクをとことん教えます!  
はじめまして。円満相続税理士法人の橘慶太(たちばな・けいた)と申します。
この度『ぶっちゃけ相続 日本一の相続専門YouTuber税理士がお金のソン・トクをとことん教えます!』を出版しました。

 私は、相続税専門の税理士法人の代表として、これまで5000人以上の方の相続相談に乗ってきました。
また、これまで日本全国で500回以上、相続セミナーの講師を務めた経験もあります。
 限られた人にしか伝えることができないセミナーよりも、もっと多くの人に相続の知識を広めたいと想い、2018年からYou Tubeを始めました。
現在、チャンネル登録者は6万人を超えており、相続に関する情報発信者としては、間違いなく日本一の実績を持っています。

 相続にまつわる法律や税金を解説した本は星の数ほどあります。
しかし、本に書いてあることと、実際の現場で起きていることはまったく別物です。
「教科書的な本ではなく、相続の現場で起きている真実をぶっちゃけた1冊にしたい!」という想いを込めて、本書を執筆しました。
 専門用語は使わず、イメージがつかみやすいよう随所に工夫をちりばめました。
ただ、わかりやすさを追求しつつも、伝えるべき相続の勘所(ポイント)は一切カットしていません。
この1冊で、相続にまつわる法律や税金の基礎知識から、相続争いの裁判例や税務調査の勘所といった深い部分まで学べる内容になっています。

 さらには2019年、約40年ぶりに相続にまつわる法律が改正され、遺言書のルールが大きく変更されたり、配偶者居住権という新しい制度が始まったりするなど、「相続の常識」が大きく様変わりしました。
もちろん本書は、この大改正に完全対応しており、変更点・注意点をあますところなく解説します。
 本書を読み終わるころには、相続にまつわる網羅的な基礎知識が身につき、円満相続への準備が整うこと間違いありません。
自分が今すべきことが明確になり、暗中模索だった状態から、パーッと目の前が明るくなることをお約束します。
 そして巻末資料として、「知りたいことすぐわかるお悩み別索引」「いつまでに何をすべきかがわかる相続対策シート」も完備。
ここを読むだけで、相続にまつわる網羅的な知識が身につき、円満相続への準備が整うこと間違いありません!
posted by 小だぬき at 00:00 | 神奈川 ☁ | Comment(0) | 健康・生活・医療 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする