2021年11月01日

放送禁止用語も? 北海道の米を揶揄だけじゃない、麻生太郎氏の地方演説での失言

放送禁止用語も? 北海道の米を揶揄だけじゃない、麻生太郎氏の地方演説での失言
2021年10月30日 リアルライブ

 自民党の麻生太郎副総裁が、10月25日に演説に訪れた北海道小樽市で、「温暖化したおかげで北海道のコメはうまくなった」と発言し、物議を醸し出している。
 北海道の米と言えば、きらら397が名産品として知られる。
それまで、「あまりおいしくない」と言われた北海道米のイメージを覆した。
ただ、これは温暖化の結果ではなく、地道な品種改良を重ねた成果であると言える。
そのため、ネット上では「北海道のことをバカにしている」「何もわからず適当なことを言うのをやめて欲しい」といった声が聞かれる。

 麻生氏は、失言のオンパレードであるが、特に地方ではそうした発言がよく飛び出す。
 ?>>「コロナ収束した」だけじゃない、麻生財務相の呆れたコロナ関連発言はほかにも<<???

 2007年には、選挙応援に訪れた富山県高岡市の講演で、日本の農作物輸出に関して、「7万8千円と1万6千円はどっちが高いか。アルツハイマーの人でもわかる」と発言。
これは日本米が中国で高値で売られている例を受けて、農作物の輸出を奨励したもの。
ただ、「アルツハイマー」に関しては「不適切だった」と発言の撤回と謝罪を行っている。

 また、2008年9月には、名古屋市での街頭演説で「安城や岡崎だったからいいけど、名古屋で同じことが起きたらこの辺は全部洪水よ」などと発言。
この前に起こった豪雨被害を引き合いに出した発言を行った。
豪雨の被害地となった両市は厳重に抗議し、麻生氏は謝罪している。

 さらに、2017年にも愛媛県の講演で、選挙が秋のお祭りの時期と重なっていることに、「選挙を一生懸命やっている人はお祭りを一生懸命やっている人。
俺のとこは7月14日だけど、この時になったら、ほとんどき●がいみたいな人ばっかりだ」と発言。
選挙とお祭りの盛り上がりの共通性を表現したかったのだろうが、不適切な言葉であるのは確かだろう。

 聴衆へ向けたリップサービスなのか、あるいは単なる気の緩みなのかはわからないが、麻生氏の地方での発言が物議を呼び起こしやすいのは確かなようだ。
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2021年11月02日

狭い窓から次々と・・・なぜドアは開かなかったのか

狭い窓から次と・・・なぜドアは開かなかったのか
2021年11月01日 TBS

 今回の事件では、大勢の乗客が電車の窓から逃げ出す様子が映像に残されていました。
なぜドアは開かなかったのでしょうか?
 事件発生後、ホームに停まった京王線の車両。
半分ほど開いた狭い列車の窓から乗客らが次々と身をのりだし、逃げ出しています。

乗客  「ドアが開かなくなって逃げられないので、じゃあ窓から出ようって。老人の方とかは逃げにくくて」
 窓は半分しか開かないようになっていて、体が不自由な方や妊娠中の方が抜け出すのは難しそうです。

ドアはなぜ開かなかったのでしょうか?
 列車内での緊急時に重要になってくるのが「非常用ドアコック」です。
これは緊急時に車両の外に出る際、手動でドアを開けるためのものです。
 京王電鉄によりますと、今回、乗客が非常用ドアコックを作動させたため、電車は通常の停車位置より2メートル手前で緊急停止。
ホームドアと列車のドアの位置がずれたため、京王電鉄側はドアを開けなかったというのです。

 専門家は、このドアコックの運用の難しさを指摘します。
日本大学 鉄道工学リサーチセンター 綱島均センター長  「パニックになったような状態で、お客さんからしたら一刻も早く車両から出たい状況で、走行中にこういう(ドアコックの)操作をされると転落の危険も出てくる。
ドアコックそのものが、そういう危険性も持っている」

 実は、国土交通省も非常用ドアコックについて、
▼火事の場合は使用をすすめていますが、
▼不審者などを見つけた時は「使ってはいけない」としています。

 閉ざされた空間での不測の事態にどう対応するのか。国土交通省は8月に小田急線でも同様の事件がおきていることから、全国の鉄道事業者に対し、警戒監視を徹底するよう指示しています。(01日15:55)
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2021年11月03日

れいわ・山本太郎代表、3議席獲得も「万歳もクソもない」 野党共闘は「やり方は間違ってなかった」

れいわ・山本太郎代表、3議席獲得も「万歳もクソもない」 野党共闘は「やり方は間違ってなかった」
11/1(月) スポーツ報知

 れいわ新選組の山本太郎代表は1日、衆院選比例代表で3議席を獲得したことを受け、国会内で記者会見を行った。
 開始早々、山本氏は記者からの「おめでとう」を断った。
選挙戦中は「1議席でも取れれば勝利」と話していたが、会見では、「おめでたくともなんともございません。これはやっとスタートラインに立てたということを意味することであって、万歳もクソもない」と気を引き締めた。

 同党は、比例東京ブロックで1議席、比例南関東ブロックで1議席、比例近畿ブロックで1議席を獲得。
それぞれ、山本氏が当選、千葉11区で敗れた多ケ谷亮氏、大阪5区で敗れた大石晃子氏が復活当選を果たした。

 自身が国会に戻ることについては、2年間を振り返り、「いろんな人の声を聞き、状況を確認しているなかで、自分自身がちゃんとバッジをつけて国会の中でそういったことを政府に突きつけ、1ミリでも動かすことがやれていないということはすごく苦しみました」と気持ちを吐露。

「今回バッジをつけられたのは本当にありがたい気持ちでいっぱい。
こっからが大変なことはよくわかってるし、戦地に赴くような気持ちです」と意気込む。
 「得票率2%」と「国会議員5人」どちらかを満たせば政党要件を有することになるが、今回の選挙で2つともクリア。
これにより、山本氏が訴え続けてきたNHK「日曜討論」への出演も可能となる。
 山本氏は、「公共放送を名乗ってるわけですから。私たちにも200万票を超える票をいただいている。
そういった者たちがいて、どのような考えを持っているのかというのをこの国にいる人々に対して、NHKを通して知っていただくということをやらなきゃいけないのが公共放送。少なくとも公平公正が形になって表れていない」と訴えた。

 ともに当選した多ケ谷氏、大石氏については、「衆議院でひとりぼっちだったら心細いですよ。そこで多ケ谷、大石というメンバーが一緒にやっていけるというのは非常に心強い」と話した。
 野党共闘については、「やり方としては間違っていなかった。
ひっくり返すツールではあったんだけれども、それをうまく使いきれなかった。
なにかしらの総括をして、次やるのかやらないのかにつながっていく」と振り返った。
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2021年11月04日

国政復帰の山本太郎氏、思い出される国会での破天荒伝説

国政復帰の山本太郎氏、思い出される国会での破天荒伝説
2021年11月03日 リアルライブ

 今回の衆議院議員選挙で結果が注目されたのがれいわ新選組代表の山本太郎氏だろう。
山本氏は、2019年の参議院議員選挙で落選するも2人を当選させ、自身も100万票近くを獲得するなど旋風を巻き起こした。

 今回の選挙では東京8区から野党統一候補としての出馬を表明するも撤回。
東京ブロックから比例単独での出馬となり結果は当選。
さらに南関東、近畿ブロックからも1人ずつ当選。
条件がそろわなかったが東海ブロックでも当選者を出す可能性があった。
合計3議席を獲得し、立憲民主党や共産党に比べれば、れいわ新選組は大躍進と言えるだろう。

 山本氏はこれまで国会でさまざまな破天荒伝説を残してきた。
 ?>>同じ名前ならどちらの票?山本太郎氏が経験した「按分票」とは<<???  
 2013年には園遊会で、天皇陛下(現・上皇陛下)に直接手紙を手渡そうとする直訴を行い話題に。
手紙の中身は、東日本大震災の原発事故の現状を訴えるものだったと言われるが、これは「皇室の政治利用」に当たるのではないかと物議を醸した。
結果、山本氏は、参議院から皇室行事への出席禁止処分を受けている。

 2017年には森友学園問題で、安倍晋三首相(当時)の妻・昭恵夫人の関わりを指摘し、予算委員会で「アッキード事件」と発言。
これは当時、一部ネット上で騒がれていたフレーズだが、ストレートに用いたことに安倍氏は「人の名誉を傷つける」「極めて不愉快」と批判した。
国会という場で用いるべき言葉であったのかは議論が分かれるところだろう。

 さらに、2019年には安全保障関連法案、いわゆる安保法案に反対した山本氏が牛歩戦術を展開。
牛歩戦術は反対党派がまとまって行うことで効果が出る。
山本氏ひとりが行ったため、パフォーマンスの要素が強いと賛否を引き起こした。
山本氏は、このほかカジノ法案や、TPP承認案などでも単独で牛歩作戦を行っている。

 山本氏の当選を受け、こうした大胆な動きに期待を寄せる声も多そうだ。
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2021年11月05日

大阪府警の警察レッカー車列を襲撃…全国指名手配中「札付きのワル」がリスクを冒したワケ

大阪府警の警察レッカー車列を襲撃…全国指名手配中「札付きのワル」がリスクを冒したワケ
2021年11月04日 日刊ゲンダイDIGITAL

逃走から4日で2週間――。
 大阪府警の警察レッカー車列を襲撃したゴロツキ連中は、札付きのワルだった。
 府警東成署が先月21日、車上荒らし事件で押収した乗用車をレッカー車で搬送中、3台の車に次々に衝突され、車内から証拠品が盗まれた事件。
府警捜査1課は1日、韓国籍の崔浩司(48)と大森由嗣両容疑者(49=いずれも職業、住所不詳)の逮捕状を取り、顔写真と襲撃の際の動画を公開。全国に指名手配した。

 事件があった21日夜、府警の車両3台が、大阪市阿倍野区の府道を走行していた。
その日の昼すぎ、東成区の駐車場でタブレット端末が盗まれる事件が発生。
犯行に使われた証拠車両が阿倍野区で見つかり、レッカー車で東成署まで運搬しているところだった。
先頭にパトカー、続いて証拠車両を牽引するレッカー車、その後ろを捜査車両と、3台が列になって走行していた。

 午後10時半ごろ、不審車両3台のうち1台がパトカーの後ろに割り込んだため、レッカー車はブレーキをかけ、減速。
1台目が走り去った後、崔容疑者と大森容疑者が乗ったクラウンが接近し、レッカー車に追突。
助手席から降りてきた崔容疑者が証拠車両のドアを開け、荷物を強奪した。
崔容疑者はクラウンに乗り込み逃げようとしたが、前方が塞がっていたため、周辺の車両に激突した後、崔容疑者と大森容疑者はその場にクラウンを乗り捨てて走って逃走。
後方にいた赤の3台目の車もバックで後続車に衝突しながら、猛スピードで逃げ去った。

■リスクを冒してまで取り返したかった証拠品
「連中は、車上荒らし事件につながる証拠を取り戻そうとしたんかもしれん。
走って逃げた2人はその後、仲間と合流して逃亡を続けとる可能性がある。
乗り捨てられたクラウンは偽造ナンバーやった」(捜査関係者)
 大森容疑者と崔容疑者の2人は盗みのプロだった。
「大森容疑者は元暴走族のメンバーで、かつては仲間らと窃盗団を結成しとった。
盗んだ車やバイクで暴走行為をしながら自販機や事務所荒らし、ひったくりなどを繰り返しとった。
メンバーの中にはわずか数秒で車のカギを開ける凄腕もおった。

関西を中心に盗みを重ねる、まさに常習犯や。
崔容疑者も数年前、仲間とコンビニの駐車場に止めとった乗用車から財布を盗んで、車上荒らしでパクられとる。
現場の防犯カメラから崔容疑者が乗っとった車を割り出し、追跡したんやが、今回と同じように車から降りて走って逃げよったんや」(捜査事情通)

 警察車両を襲撃して証拠品を取り戻すのは、相当なリスクを伴い、罪も重くなる。
そこまでして奪い返したかったのだから、事件につながる重大な証拠が残されているのだろう。
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2021年11月06日

夜中に目が覚める「中途覚醒」、睡眠改善のプロが教える解決法とは

夜中に目が覚める「中途覚醒」、睡眠改善のプロが教える解決法とは
2021.11.5 Diamondオンライン
真島加代:清談社

眠りについてからふと目が覚めて時計を確認すると、まだ深い夜だった。
誰しも一度はそんな経験をしたことがあるはず。
就寝してから何度か目が覚める「中途覚醒」は、中高年代以降からその頻度が高くなるという。
睡眠負債にもつながる不快な中途覚醒の回避方法に迫る。(清談社 真島加代)

年齢を重ねるごとに 目が覚めやすくなる
 せっかく床についたのに、夜中に何度も目が覚める……。
そんな悩みを抱えている人は「中途覚醒」という不眠の症状が関わっているかもしれない。

「中途覚醒とは、睡眠の途中で目を覚ましてしまい、その後眠れなくなる不眠症状です。
学術界では睡眠の状態を測定する終夜睡眠ポリグラフ(※)という検査を受けたときに、『睡眠が始まった』と判定されてから『睡眠が終わった』と判定される間に『覚醒』と認められたタイミングが、いわゆる中途覚醒にあたります」
(※)…脳波・眼球運動・心電図・筋電図・呼吸曲線・いびき・動脈酸素飽和度などの生体活動を一晩にわたって測定する検査。睡眠の状態が測定できる。

 そう話すのは、上級睡眠改善インストラクターの安達直美氏。
中途覚醒の代表的なものでいえば、睡眠中に尿意を感じて目覚める「トイレ覚醒」がある。
だが、中途覚醒の原因はそれだけではないという。
「そもそも動物にとっての“正常な睡眠”とは、命の危険が迫ったときにいつでも覚醒できる状態を指しています。眠っている間も自分を守るための生存戦略でもあるのです。
したがって、地震や騒音、異臭、寝具による違和感など、周囲の環境変化による外的刺激や、アルコールやカフェインなどの刺激物、体調、精神的ストレスなど内的刺激が覚醒の原因になることもあります」

 また、疾患が中途覚醒を引き起こしているケースもあり、健康状態とも密接に関わっているという。
 中途覚醒を招く要素はそれだけではない。
「年齢を重ねると眠りが浅い時間が増えていくので、ノンレム睡眠のより深い睡眠状態に入る回数も減っていきます。
そのため、50代以降の人は、ちょっとした刺激でも目が覚めやすくなるのは自然な事象でもあります。
また、ストレスによって強い緊張を感じるタイプの人は自律神経が休まらず、中途覚醒を引き起こすことが多いと考えられます」

 刺激や年齢など、さまざまな要因が絡み合って中途覚醒が発生しているようだ。

中途覚醒に睡眠睡眠負債 放置すればうつのリスクも
 誰にでも起こりうる中途覚醒だが、そのまま覚醒の頻度が高まるのは危険、と安達氏は指摘する。 「トイレ覚醒をしても、寝床に入ってすぐに寝付けるならばあまり問題はありません。
しかし、中途覚醒の回数が増えすぎて睡眠の質が悪くなると、朝起きたときに熟睡感がなく、起床後の疲労回復感も得られないと、日中の活動に支障が出る可能性も。
中途覚醒によって睡眠の質が悪化する期間が長引けば、うつ病につながったり、重篤な病を引き起こしたりするリスクも高まります」

 眠りの質の低下は、百害あって一利なし。
状況を改善するにはどうすればいいのか。

「中途覚醒は眠っている間に発生するので原因を探るのは難しいかもしれませんが、覚醒につながる刺激を把握して、適切な対処をすることに尽きます。
たとえば、自分の枕や敷き布団、マットレスなどの寝具に違和感がある場合は、身体に合うものを選び、“寝返りが打ちやすいかどうか”を確認しましょう。
掛け寝具は、季節に合わせて温湿度調整に優れたものを使うことで中途覚醒のリスクが下がります」

 就寝時に身につける寝間着は、スエットやジャージーなどのゴムの締め付けがキツいものはNG。
ウエストがヒモになっているゆったりしたパジャマを着ると、内臓への圧迫が減り、さらに柔軟な素材であれば、よりストレスが軽減されるという。

そして、中途覚醒につながる悪習慣も改善が必要、と安達氏。
「特に“寝酒”は睡眠を妨げる悪習慣の最たるもの。
アルコールを飲むと寝付きはよくなりますが、数時間たつと覚醒作用が現れることがわかっており、睡眠の質を下げます。
また、飲酒後はアルコールの利尿作用によって尿意を感じやすくなるので要注意。
お酒は“就寝時間の3時間前”までに済ませるのがベターです」

 入眠を酒に頼るとアルコール依存症のリスクも高まるなど、デメリットも多数。
寝酒の習慣は断ち切ったほうがよさそうだ。
 また「日中の運動量」も中途覚醒と密接に関わっている、と安達氏は語る。
「睡眠の質と日中の活動の質は表裏一体です。
中強度の運動を習慣化すると、深い睡眠がとりやすくなるといわれています。
一日の中で最も体温が上がるのは、就寝時間の3〜5時間前なので、そのタイミングで10〜20分程度、ウオーキングなどの軽く息が弾む運動を習慣化してみると夜の快眠が期待できます」

 長引く自粛生活で運動不足になっている人は、睡眠の質が悪化している可能性も。密を避けつつ運動をすれば、熟睡できるかもしれない。

眠れないときは ベッドから出る
 日頃の対策も重要だが、何かの拍子で夜中に目覚めてしまう日もある。
もしも中途覚醒後に寝付けなくなった場合は、どうすればよいだろうか。
「実は、眠れないことを思い悩んでベッドの中でもんもんと過ごすほうが寝付きを悪くします。
眠気の周期は90〜120分周期でやってきます。眠れないと感じたらベッドを出てソファに座るなど、一度睡眠から離れて再び眠気が強くなるのを待ちましょう。
その際、スマホの画面を見るとブルーライトの影響で脳が興奮状態になるので、触らないようにしてください。
もしも、中途覚醒が増えて日中も強い眠気を感じる日がとても多いなら、睡眠専門の病院の受診をおすすめします」

“睡眠”の重要性が注目を集めている近年では、睡眠外来など専門病院も徐々に増えつつある。
悪化する前に専門家に相談すると安心だ。睡眠によって得られる疲労回復は、私たち高等動物に与えられた効率のいい生命維持機能のひとつです。
まさに心身の健康の源。

中高年世代で中途覚醒が増えている人は、さまざまな工夫をして睡眠の質をよい状態にキープできれば、高い免疫力も維持できるはずです」

 中途覚醒に悩まずぐっすり眠りたい……。
その願いをかなえるためにも、まずは自分の睡眠環境と生活習慣の見直しをしてみよう。

安達直美(あだち・なおみ)
株式会社エス アンド エー アソシエーツ取締役常務執行役員。
社団法人日本睡眠改善協議会認定上級睡眠改善インストラクター。
内大手航空会社にて国際線客室乗務員として勤務後、
装品メーカーの研究所で睡眠に関わる研究に従事。睡眠文化戦略コーディネーターを経て、現職に至る。
著書に『美人をつくる「眠り」のレッスン』(中経出版)。
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2021年11月07日

代表辞任の立憲枝野氏、震災後や結党時は高い人気 評判を落とし続けてきた理由は

代表辞任の立憲枝野氏、震災後や結党時は高い人気 評判を落とし続けてきた理由は
2021年11月06日 リアルライブ

 立憲民主党の枝野幸男代表が、総選挙の結果を受け責任を取る形で辞任を表明した。
立憲民主党は共産党との選挙協力で小選挙区の候補者一本化を進めた。
一部の選挙区で結果を残すものの、比例区は惨敗し、結果的に議席数を減らしてしまった。

 ?>>橋下徹氏、立民・枝野代表に辞任迫る「負けたら代わるのは当たり前」「野党は何の責任を果たす?」<<???
 そんな枝野氏だが、かつては高い人気を誇る存在でもあった。
特に2011年3月11日に東日本大震災が発生すると、官房長官として連日会見をこなした。
ほぼ不眠不休で対応にあたっていたとされ、4日間で1~2時間ほどしか寝なかったとされる。
そのため、枝野氏が「変な汗」をかいているとネットで話題になったことも。
ツイッターでは「#枝野寝ろ」の応援ハッシュタグも出現した。
当時は次期首相に枝野氏を待望する声もあったほどだ。

 2017年10月には、衆院選に向け当時所属していた民進党が希望の党への合流を発表するが、小池百合子東京都知事がリベラル、左派系議員の排除を明言したため、立憲民主党の結成を宣言する。
準備は急ごしらえで行われたと見られ、この時も「#枝野立て」のハッシュタグがツイッターで話題となった。
 その後、立憲民主党は野党第一党として頭角を現し、国民民主党などからも合流し、2020年には新党として新たにスタートを切った。
だが、最初の試金石とも言える衆院選で敗北を喫してしまった。

枝野氏は、国民民主党から合流した小沢一郎氏と距離を置くほか、本多平直氏の「14歳と性交」発言や、横浜市長選挙に立候補し当選した山中竹春氏のパワハラ疑惑報道にも積極的に発言してこなかった。
強いリーダーシップを発揮できないまま、徐々に人気を落として行ったと言えるかもしれない
何より今回の選挙で手腕を発揮できなかったことが、決定打となったのは確かだろう。
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2021年11月08日

インフルワクチン打たない人に迫る3つのリスク

インフルワクチン打たない人に迫る3つのリスク
流行しなかったことが感染リスクを高める皮肉
2021/11/07 東洋経済オンライン
久住 英二 : ナビタスクリニック内科医師

「感染対策をしっかりしているから、今年もインフルははやらないね」
「この夏、南半球でインフルははやらなかったから、日本にも入ってこないよ」――多くの人が期待を込めてそう楽観していることと思う。
実際そうなるのかもしれない。
この冬、インフルエンザが国内流行するかは、正直言ってしまえば未知数だ。
それでも今、インフルワクチンを打てる人は打っておいたほうがいい。

おすすめする理由は3つある。
「殺人インフル」の早すぎる流行
打たなかった場合の不安要素は確実にある。
ひとつが、ヨーロッパでのインフルエンザウイルスの不穏な動きだ。
欧州疾病予防管理センター(ECDC)の10月26日発表によれば、クロアチアではすでに例年のこの時期を上回る患者数が報告されている。
この時期の流行は「異常に早い」という。
しかも過去1カ月間にヨーロッパで報告されたインフルエンザは、主にA香港型(H3N2)ウイルスだ。
インフルの中ではかなり厄介な部類である。

A香港型は「激症型」とされ、これまでにパンデミックや変異を繰り返し、死者も多い。
典型例は、1968〜1969年に香港から世界に広がった通称「香港かぜ」だ。
アメリカCDC(疾病予防管理センター)によれば、「香港かぜ」は全世界でおよそ100万人の死者を出した。
アメリカでも約10万人が死亡し、そのほとんどが65歳以上の高齢者だった。
高齢者の場合、やはり肺炎が死亡に直結してしまう。
日本でも、1994〜1995年の流行ではA香港型が中心となった。
今とは統計の取り方が違うので比較はできないが、国立感染症研究所によれば、このときは定点医療機関(小児科・内科)から報告された患者数が、1987年の集計開始以来、最高に上った。

直近でも、2017年のオーストラリアでのインフル大流行の際、主犯格がA香港型だった。
深刻な広がりを見せたビクトリア州では、感染者の42%をA香港型が占めた。
この年オーストラリアではインフル死亡者が前年比2.7倍となり(464人→1255人)、A香港型は「殺人インフルエンザ」と呼ばれた。
犠牲者の多くが高齢女性で、基礎疾患を抱えていた。
当然ながら、その他のインフルと同じくA香港型でも発熱、のどの痛み、鼻水、胃腸炎、気管支炎、肺炎、関節・筋肉痛、角膜炎・結膜炎といった症状が一般的だ。
だが、1994〜1995年はそれに加え、「インフルエンザ脳症」などの中枢神経系疾患や循環器障害が、過去12年間と比べ多く報告されたという。

インフルエンザ脳症は、インフル感染をきっかけに免疫異常が起き、脳の動きに急激に異常が生じ、神経障害や意識障害に至るものだ。
10歳未満の子どもたちで発症リスクが高く、乳幼児では亡くなるリスクも高い(国立感染症研究所)。

流行しなかったことが感染リスクを高める皮肉
もう一つの不安要素は、昨シーズンにインフルエンザが「流行しなかった」ことだ。
冒頭の楽観論と矛盾するようで理解しがたいかもしれないが、要するにウイルスとの接触がなければ、私たちのインフルに対する免疫力は着々と低下していく。
臨戦態勢が解かれて手薄になり、その分、今そこにいる敵に向かって免疫システムが発動されるためだ。

昨シーズン、インフルエンザは1999年に現行方式で記録を取り始めて以来、初めて「流行なし」となった。
この数字は、例年の1000分の1だ。
具体的には、国立感染症研究所の「季節性インフルエンザの受診患者数」の推計を過去3シーズン分さかのぼると、2019年秋〜2020年夏は約729万人、2018年秋〜2019年夏は約1170.4万人、2017年秋〜2018年夏は約2209万人であり、単純平均で1シーズン1369.5万人だった。
それが一気に1万人台へ減少したのである。
やはり新型コロナを機に飛沫感染や接触感染への対策が徹底されたことによるのだろう。

緊急事態宣言の解除後も生真面目にマスクを標準装備し続ける日本人ならば、今年もインフルとは無縁で済みそうにも見える。
だが、そこに落とし穴がある、というわけだ。
例えば今夏のRSウイルスの大流行は、その懸念が現実になったものだ。
RSウイルスは、赤ちゃんを中心に風邪の原因となり、2〜3割に気管支炎や肺炎、まれに急性脳炎を引き起こす。
日本では昨年は前年比9割減となったのに対し、今年は7月末までに2018年・2019年の年間患者数を上回った(しかも欧米や南米でも同じ現象が見られた)。

注目すべきは、2歳以上の患者数が大きく増加したことだ。
国立感染症研究所によれば、2018年・2019年の平均と比べて今年の報告数は0歳で0.58倍、1歳は0.95倍と減少したのに対し、2歳は1.83倍、3歳は2.44倍、4歳以上では2.64倍となった。
昨年、乳児で感染を経験せず、免疫を獲得できていなかった子どもたちが、今年になって初感染しているせいに違いない。
新型コロナの患者数が大きく減少した国々では、国内外の往来を正常化させつつある。
日本政府も水際対策を緩和し、ビジネス目的の入国者の待機日数を10日から原則3日に短縮する見通しだ(11月2日時点)。 こうした動きは、くすぶり始めたインフルエンザウイルスの往来を自由にするものでもある。

免疫力が低下しているところに持ち込まれれば、感染は免れない。
さらに、来シーズンへ向けた免疫の維持のためにも、ワクチン接種は重要だ。
もし今季流行しなくても、来年も流行しない保証はない。
2季連続で流行せず、ワクチンも未接種だった場合、免疫力の大幅低下は免れない。
想定以上に早く流行が始まれば、ワクチン接種とその後の免疫形成は間に合わないだろう。

コロナ同時感染で重症化も…
さて日本では、もうすぐ新型コロナワクチンの3回目接種が始まる。
ただし対象は2回目接種からおおむね8カ月以上経過した人だ。
医療従事者は12月からだが、高齢者は来年1月から、その他の人々はそれ以降、順次接種を受けることになる。
ただし高齢者は、予防接種によるコロナ免疫が長続きしないと言われている。

国内の調査(福島県相馬市)でも、接種後3カ月を経過すると高齢者では抗体価が大幅に低下していた。
1月まで持ちこたえられるかどうか……。
3回目接種が遅きに失すれば、インフルエンザと新型コロナの同時感染も心配しなければならない。

私は新型コロナには季節性があり、冬が本格化してくれば患者は年内に再び増加に転じると考えている。
実際、日本よりも緯度が高く冬の訪れの早い英国やフランス、ドイツなどヨーロッパ諸国では、すでに患者が増えてきている。
新型コロナとインフルに同時感染した場合、それぞれの単独感染よりも肺炎の重症化と回復の遅れにつながる可能性がある(長崎大学の最新の研究)。
同時感染させた動物の肺の組織を調べたところ、細胞レベルではウイルス干渉(あるウイルスが感染すると、似た病気のウイルスは感染できない現象)によって同時感染は成立しなかったが、個体レベルや臓器レベルでは同時感染が起きうることも確認された(同上)。

だが、冬の後半に同時流行が現実となったとき、あわててインフルワクチンと新型コロナワクチンを矢継ぎ早に打とうとしても、応じてもらえない医療機関が大半だろう。
現在まで、厚生労働省はそれらの同時接種を認めていない。
どちらを先に打っても2週間は間を置かねばならないとしている。
なお、世界的には、アメリカCDCや英国NHSなども認める通り、同時接種がスタンダードだ。
私も日常的にさまざまなワクチンの同時接種を行っており、経験からも何ら問題ないと自信を持っている。
詳しくは過去記事(新型コロナと他ワクチン「同時接種」が必然なワケ)をご一読いただきたい。

今季、インフルワクチンは昨年よりも流通量が少ない。
十分に入手できていない医療機関も多いようだ。
もし今、かかりつけなど身近な医療機関で打てるのなら、チャンスを逃さないでいただきたい。
「打ちたいと思ったときに打てないリスク」をわざわざ負う必要はないからだ。
新型コロナ第6波はまず間違いなくやってくる。
インフル対策は、万が一新型コロナに感染した場合への備えでもある。
後悔先に立たず、だ。
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2021年11月09日

JNN世論調査、現金給付「生活困窮者を対象」が42%

JNN世論調査、現金給付「生活困窮者を対象」が42%
2021年11月08日   TBS

 政府が検討する新型コロナ対策の現金給付について、「生活困窮者を対象に給付するべき」と答えた人が42%だったことが最新のJNNの世論調査で分かりました。
 岸田内閣を支持できるという人は、先月の調査から0.7ポイント上昇し、59.3%でした。
一方、支持できないという人は0.3ポイント減って34.4%でした。

 先月末に行われた衆議院議員選挙について聞きました。
立憲民主党や共産党など野党が共闘して政権交代を目指したことについては、「評価する」が41%、「評価しない」が48%と、「評価しない」が上回りました。
立憲民主党や共産党の支持層の75%以上は共闘を評価しているものの、「政党支持なし」と答えた人の中では「評価しない」が上回っています。

 続いて、新型コロナ対策について聞きました。
政府の新型コロナ対策については、「評価する」が前の月から5ポイント上昇し、56%。「評価しない」は35%でした。また、感染の再拡大については「不安を感じている」が「非常に」「多少は」をあわせると88%に達しています。

 政府・与党が検討を始めている現金給付のあり方について聞いたところ、「全国民一律に給付するべき」が28%、「18歳以下を対象に一律給付するべき」が9%、「生活困窮者を対象に給付するべき」が42%で、「現金給付はするべきではない」は18%でした。

 また、GoToトラベルの再開時期について聞いたところ、「年内」が15%、「来年前半」が33%、「来年後半」が20%、「再開すべきではない」が28%でした。

 各党の支持率はご覧の通りとなっています。
日本維新の会が2位になるのは、今の体制になって初めてです。(08日02:35)
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2021年11月10日

18歳以下に10万円相当給付=自民「年収960万円まで」主張―与党合意

18歳以下に10万円相当給付=自民「年収960万円まで」主張―与党合意
2021年11月09日 時事通信

 自民、公明両党は9日、新型コロナウイルス感染拡大を踏まえた経済対策をめぐり、18歳以下に10万円相当を給付することで大筋合意した。
年内をめどに5万円の現金、来年春までに5万円相当のクーポンを配る。
自民党は年収960万円の所得制限を設けるよう主張。公明党は持ち帰ったが、所得制限自体は受け入れる方向だ。

 自民党の茂木敏充、公明党の石井啓一両幹事長が9日、国会内で前日に続き会談。
自民党が衆院選で掲げた生活困窮者支援に関し、18歳以下への給付とは別に、住民税非課税世帯を対象に10万円を給付することでも一致した。
一時的な生活資金を提供する「緊急小口資金」や、学生らを対象にした住居費支援も行う。 【時事通信社】
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2021年11月11日

生活用品の"値上げラッシュ"が続出するワケ

ガソリン、パスタ、電気代…ここにきて生活用品の"値上げラッシュ"が続出するワケ
2021年11月09日 PRESIDENT Online

■世界中でエネルギー資源の争奪戦が起きている
石炭、天然ガス、原油などのエネルギー資源や穀物などの価格上昇により、世界的に物価が上昇している。
人手不足も物価を上昇させている要因の一つになっている。
わが国にも少しずつ物価上昇の波が歩み寄っている。
今後、家計の防衛準備が必要になるだろう。

当面、世界的に物価は高止まりするだろう。
10月上旬の天然ガス価格などの急騰には行き過ぎの部分があった。
足許、エネルギー資源の市況は幾分か調整しているが、世界的な供給制約は深刻だ。
短期間でエネルギーや穀物などの供給が需要に見合う水準に回復するとは考えづらい。
世界各国がエネルギー資源などを争奪する状況は続きそうだ。

そうした展開が想定される中で、わが国の物価は上昇し、高止まりする可能性がある。
電力料金の引き上げなどを警戒し、支出を見直す家計はさらに増えるだろう。
それは生活を防衛するための重要な手段だ。
その結果、わが国の個人消費の回復ペースは追加的に鈍化し、景気先行きへの懸念が高まる展開は軽視できない。

■脱炭素政策、コロナ禍、中豪関係の悪化…
世界的な物価上昇の大きな要因のひとつが、エネルギー資源価格の上昇だ。
10月上旬には、欧州の天然ガス価格や中国の石炭価格が急騰する場面があった。
足許、天然ガスなどの価格上昇の勢いは幾分か落ち着いたが、価格水準は依然として高い。

過去1年間で、原油価格は1バレル40ドル程度から80ドル台に上昇した(WTI原油先物価格に基づく)。
エネルギー資源価格の上昇要因は多い。
時系列に確認すると、2010年代半ばごろから世界経済全体で脱炭素への取り組みが強化され、石炭、天然ガス、石油など化石燃料の生産関連の設備投資が絞られた。
その上に、コロナ禍が発生し世界経済全体で供給制約が深刻化した。

具体的には、“巣ごもり需要”を背景に家電などの運搬が急増し、海運需給が逼迫した。
都市封鎖などによる動線寸断は鉱山や油田開発を停滞させた。
さらに、コロナの感染源をめぐって中豪関係が悪化し、中国は豪州産石炭の輸入を一時止めた。

他方で、感染再拡大によって中国は国境を封鎖し、想定外に石炭調達が減少した。
中国は石炭の代替として天然ガスを買い求め、電力供給を増やそうとしている。
その結果、世界的に石炭や天然ガスの価格が高騰した。
なお、中国政府は石炭価格の高騰を抑えるために国内の炭鉱の生産拡張や価格抑制策に踏み切った。

■世界中でエネルギー資源の供給が追いつかない
再生可能エネルギーに由来する電力の供給不安もある。
欧州では気候変動の影響によって風速の低下や降雨の減少が起き、風水力を用いた電力供給が減少して天然ガス需要が急増した。
ロシアからの供給不安もあり、10月上旬には天然ガス価格が取引時間中に前日から3割上昇する場面もあった。
天然ガスの不足によって火力発電のための原油需要も増加し、連鎖的に価格が押し上げられた。
また、米国ではワクチン接種によって経済が正常化にむかい、ガソリン需要が増えている。

ただし、脱炭素を背景に金融機関が化石燃料関連事業への融資基準を厳格化したため米石油産業の供給力回復には過去以上に時間がかかる。
このようにして世界経済全体でエネルギー資源の供給が需要に追いつかない状況が鮮明だ。

■なぜ穀物の価格も上がっているのか
エネルギー資源に加えて、穀物の価格も上昇している。
その理由の一つとして、多くの穀物は代替エネルギー源として扱われている。
例えば、トウモロコシを原料にして生産されるエタノールは自動車の燃料(バイオエタノール)に使われる。
ガソリンにバイオエタノールを混ぜたエタノール混合ガソリンも自動車燃料だ。

原油価格が上昇するとガソリン価格は上昇し、ガソリンの代替品であるエタノールの原料であるトウモロコシなどの穀物価格も上昇する傾向にある。
中国の豚肉生産の増加も穀物価格を押し上げた。
2018年夏場から中国ではアフリカ豚コレラの感染が拡大し、豚肉生産が減少した。
中国政府は豚肉生産を増やすために養豚施設への投資を増やし、2020年以降は生産頭数が増加した。
その結果、養豚飼料として用いられ他方で、供給面では豪雨や干ばつ、高温など世界的な異常気象の影響によって農作物の生産に悪影響が出ている。

以上より、世界全体で穀物の需給はタイト化し、価格が上昇した。

■企業物価指数は前年同月比で6.3%も上昇
穀物以外の農産品価格も上昇している。
その一つがパーム油だ。需要面で、パーム油はマーガリンや揚げ油に使われる。
パーム油はバイオディーゼルの原料にも使われ、脱炭素を背景に需要増加が期待される。
その一方で供給面では、主要生産国であるマレーシアで、感染再拡大によって外国人労働者の入国が減り、生産が減少した。原油価格の上昇やタイト化する需給環境を背景に、パーム油価格は過去最高値圏で推移している。

基礎資材の価格も高い。
エネルギー資源などの価格上昇や、石炭不足を背景とする中国での電力供給体制の不安定化を背景に、塩化ビニール樹脂や、生産工程で大量の電力を消費するアルミなどの非鉄金属などの価格が上昇している。
その結果、世界的に企業間で取引されるモノやサービスの価格が上昇した。
9月、わが国の企業物価指数は前年同月比で6.3%(速報値)上昇した。主な要因は、電気料金や石油関連製品、木材の価格上昇だ。

■パスタ、マーガリン、パンなどが値上がりしている
徐々に、わが国にもインフレの波が押し寄せている。
トウモロコシ、大豆、小麦などの穀物の需要が増えた。
企業は消費者に販売するさまざまなモノの価格を引き上げ始めた。
10月下旬時点でレギュラーガソリン価格は1リットル当たり160円台後半にまで上昇し、一部地域では170円台に突入し始めた。
これまでの天然ガス価格の上昇によって、追加的な電気料金の上昇も視野に入る。
10月以降は、パスタ、マーガリン、パン、コーヒー豆、ポテトチップスなどが値上げされている。

資源、資材価格の高騰によって増えたコストを価格に転嫁せざるを得ない企業は増えている。
国内の小売関連のデータを確認すると、感染再拡大によって先送りされた需要(ペントアップ・ディマンド)の発現の勢いが鈍い。
富裕層の支出意欲は比較的しっかりしているが、それ以外の大多数の所得階層で物価上昇への警戒感は高まり、生活を守ろうとする家計が増えているようだ。

例えば、感染再拡大が落ち着いたにもかかわらず、百貨店販売の戻り方は想定されたよりも弱い。
国内旅行も持ち直しているが、コロナ禍以前の水準には達していない。
物価上昇に加えて、さらなる感染再拡大への警戒もあるだろう。

■当面、日本の物価は高止まりする恐れ
今後の展開を考えた時、来年の春ごろまで世界的に物価は高止まりするだろう。
まず、冬場の暖房のための電力需要が増え、エネルギー資源価格には押し上げ圧力が加わりやすい。
それに加えて、米国などでは緩和的な金融政策が修正され始めた。

それとは対照的に、わが国の超緩和的な金融政策が修正される可能性はかなり低い。
内外金利差の拡大観測を背景に米ドルなどの主要通貨に対して円は売られやすい。
円安の進行は輸入物価を上昇させる一つの要因だ。

当面、わが国の物価は上昇し、高止まりする恐れがある。
過去約30年間、実質的に給与所得が増加していないわが国経済において、家計は一段と不要不急の消費を絞り、生活を守ろうとするだろう。
政府が計画している経済対策は一時的に景況感を下支えする可能性はあるが、名目GDPの約52%を占める家計の消費支出が安定的に増えないと国内経済の安定と回復はおぼつかない。
物価動向は今後の日本経済の展開を考える重要なファクターといえる。

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真壁 昭夫(まかべ・あきお)
法政大学大学院 教授 1953年神奈川県生まれ。
一橋大学商学部卒業後、第一勧業銀行(現みずほ銀行)入行。
ロンドン大学経営学部大学院卒業後、メリル・リンチ社ニューヨーク本社出向。
みずほ総研主席研究員、信州大学経済学部教授などを経て、2017年4月から現職。
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2021年11月12日

人間関係がうまい人とヘタな人の差「考え方の意外なクセ」

人間関係がうまい人とヘタな人の差「考え方の意外なクセ」
2021年11月11日 ダイヤモンドオンライン

「職場の雰囲気が悪い」「上下関係がうまくいかない」「チームの生産性が上がらない」。
こうした組織の人間関係の問題を、心理学、脳科学、集団力学など世界最先端の研究で解き明かした『武器としての組織心理学』が発売された。
著者は、福知山脱線事故直後のJR西日本や経営破綻直後のJALをはじめ、数多くの組織調査を現場で実施してきた立命館大学の山浦一保教授だ。

20年以上におよぶ研究活動にもとづき、組織に蔓延する「妬み」「温度差」「不満」「権力」「不信感」といったネガティブな感情を解き明かした画期的な1冊だ。
本稿では、特別に本書から一部を抜粋・編集して紹介する。

■信頼ゲーム「他人いくらお金を預けるか?」
 私たちはいろいろな思考様式を用いて物事を捉え、行動を選択しています。
 その思考のタイプによって、相手に対する信頼行動(お金をいくら預けるか)にも違いが出るという研究結果が発表されました。
 このことを実証したのは、イタリアの心理学者セラーロたちです。[1]
 この実験ではまず、20歳前後の男女40人が、2つの課題を割り当てられました。
 一つは発散的思考の課題、もう一つは収束的思考の課題でした。

■発散的思考の課題:
 ペンやボトルのような日用品の使い道について、できるだけたくさんアイデアを出すという課題に取り組みました。
■収束的思考の課題:
「night/夜」「wrist/手首」「stop/停止」のような3つの単語から、これらに関連するものを1つ答えとして導き出すという課題を行いました(ここでの答えは、「watch/腕時計」)。

 各思考課題に10分間取り組んだ後、今度は信頼ゲームに取り組みます。
 彼/彼女たちは5セントを実験者から渡され、そのお金を相手にいくら預けるかを決めるように言われました。
 預託すれば3倍に増やすことができるというルールです。
 そして、相手がそのお金のいくらかを返報してくれれば、その金額が自分の取り分になります。
 このとき相手が信頼に応えるならば、半分(以上)をお返しすると予想されます。
 そうなれば、お互いにめでたく当初よりも所持金が増えます。
 ただし、相手がまったくお金を返さないこともありうるわけで、そういう対応をされた場合には、残念ながら預託損ということになります。

■発散的思考が「協力的な行動」を促す
 このような信頼ゲームを行ったところ、発散的思考を行うと、収束的思考を行ったときよりも相手を信頼してより多くのお金を預けることがわかりました。
 この結果については、発散的思考が、より内包的で統合的に情報を処理する性質を持っており、自分と他者の関連づけが促されることによると考えられています。

 相手や職場をどう感じどう捉えるか、そして俯瞰することができるかどうかは能力です。
 その能力いかんによって、協力的な行動をとるか破壊的な行動をとるかが規定される可能性があります。
 これは生まれ持った才能ではなく能力ですから、育てることができます。

 ブレーンストーミングなどの発散的な思考法を時折取り入れることは、他者とのつながりや協力行動を促進させることになりそうです。
 今あなたの目の前の仕事は個人で完結できる内容かもしれません。
 その場合も、組織や社会とつながっていることを意識できる方が、人や情報を引き寄せることができ、自分の仕事にやりがいや誇りが持てるようになる可能性があるのです。

脚注[1]Sellaro, R., Hommel, B., de Kwaadsteniet, E. W., van de Groep, S., & Colzato, L. S.(2014). Increasing interpersonal trust through divergent thinking. Frontiers in Psychology, 5, 561.

(本稿は、『武器としての組織心理学』から抜粋・編集したものです。)
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2021年11月13日

相続が決まったら絶対避けたい!税務署から怪しまれる「NG行動」

相続が決まったら絶対避けたい!税務署から怪しまれる「NG行動」
2021年11月12日 ダイヤモンドオンライン
奥田周年:税理士

税務調査で特に細かくチェックされるのが、「現金」の存在だ。
不動産と違って移動が容易な現金は、脱税の手段に用いられることも多く、税務当局もその行方には目を光らせている。
多額の現金をめぐるどういった動きが、税務署から怪しまれるのか。

年間1000件の相続税申告・相談に携わる筆者が、実例をもとに解説する。(税理士・OAG税理士法人資産トータルサービス部部長 奥田周年)

現金が多いと 税務調査に入られやすい
 相続税で税務調査に入られやすいケースには、決まったパターンがある。
 それは、相続財産の中で「現金」や「金融資産」の割合が多い人だ。
 だが現金は不動産と違い、どこにでも自由に持ち運ぶことができる。不動産は逃げられないが、現金は逃げられる――。
税務署はこのように見ているのだろう。

所有している財産で不動産が多い人と、現金や金融資産が多い人とでは、圧倒的に後者のほうが税務調査に入られる確率が高い。
 私が相続税申告を担当する際にも、相続財産に現金や金融資産が多い顧客には「お客様は税務調査のある可能性が高いので、ご自身の財産ができた理由を思い出したほうがよいですよ」と、事前に伝えるようにしている。

 また、相続財産の大小によっても税務調査に入られる確率が違う。
 これまでの経験からいっても、相続財産が3億円以上ある場合には、5割以上のかなり高い確率で税務調査に入られると覚悟しておいたほうがいいだろう。
 逆に、相続財産が1億円以下の場合であれば、税務調査に入られる可能性は今のところあまり高くないので、心配しなくてよいかもしれない。

税務署が目を付けた 「不自然な行動」とは?
 先述の通り、現金は移動が容易なため、その行方に税務署は神経を尖らせている。
 だからこそ、不自然な行動をとるとすぐにチェックされる。
「藪をつついて蛇を出す」のことわざのように、余計なことをすると税務調査で指摘を受ける羽目になる。

 例えばこんな人がいた。
 銀行のATMでは、「まずお金を出金して、そのお金をどこかに入金する」という流れが普通だと思う。
だがその人は逆に、「まずお金を入金してから、同じだけの金額を出金していた」のだ。
 なぜそんなおかしな行動をしていたのだろうか?
 実はこの人、ATMにまず「旧札」を入金し、その後に「新札」を出金していたのだった。
 おそらく、自宅や貸金庫に旧札で多額の現金を保管していたのだろう。
「旧札で持っていると、税務調査に入られたときに昔のお金だと分かってしまう」と考えたに違いない。
 そのためATMで旧札を入金し、新札で出金するという作業を、1日の限度額の範囲内で繰り返し行っていたようだ。
 税務調査では「先に入金して後から出金する」という不自然な行為の指摘を受け、被相続人が現金を旧札で保管していたことを認めざるを得なくなり、修正申告を余儀なくされた。  
 知恵が回りすぎて墓穴を掘ってしまった感じだが、不自然な行動は、当局が見逃さないだろう。

貸金庫にも要注意! あらぬ疑いをかけられることも…
 銀行にはATMコーナーをはじめ、ありとあらゆる所に防犯カメラが設置されているため、私たちの行動は全て記録されていると思ったほうがよい。
 金融機関は、税務署の依頼があると、防犯カメラの映像はもちろん、口座の入出金記録などさまざまな情報を提供しなければならない。
税務調査の際にはそのことを頭に入れ、金融機関を介した行為は全て知られていると思っておくほうがよいだろう。
 また、現金や貴重品の安全な保管場所としては、銀行の貸金庫を利用している人もいるかもしれない。
私は貸金庫を利用している顧客に対しては、「貸金庫の中に何が入っているかを、いつも正確に把握しておいたほうがいいですよ」とアドバイスしている。
 銀行の貸金庫にはカメラによる映像はもちろん、開閉記録もきちんと残っている。
例えば、税務調査の連絡を受けた相続人が、「そういえば貸金庫には何があっただろうか?」と思って確認のために貸金庫を開けたとしよう。
 すると税務署は、銀行から取り寄せた貸金庫の開閉記録を見てある疑問を持つ。
「なぜ税務調査の連絡を受けた後に貸金庫を開けたのか?」 「貸金庫の中にあった現金などをどこかに移動したのではないか?」
 このように勘繰られ、痛くもない腹を探られる羽目になってしまう。

 貸金庫を使用している人は、常日頃から中に入っているものを頭の中でリスト化するなどして正確に把握しておくことが望ましい。
少なくとも、税務調査が決まってから貸金庫を開けるといった「税務署から怪しまれる行為」はしないほうが無難である。

 もっとも、税務署から貸金庫を開けた理由を聞かれても、例えば、「名義変更のために中にあった実印が必要だった」などと説明できれば、大きな問題にはならないであろう。

税理士も驚いた! 調査官が見つけた「金」の意外な隠し場所
 現金と並んで、持ち運びやすい形状の財産として「金」がある。
 金は、その希少性から世界共通で資産価値が認められており、インフレリスクにも強く、さらに株式や債券と違って現物が存在するという信頼性がある。
「有事の金」という言葉があるぐらいだ。
さらに金は、他の貴金属に比べて加工が容易という利点もある。
 こうした理由から、財産を金の形で保有しておこうとする富裕層も一定数存在する。

 私が相続税申告を担当した中にも、こんな人がいた。
 その人は自宅に金庫を置いていた。金庫の中には、現金や宝石、そして金などといった、他人に盗まれたくない大切なものを保管しておくというのが普通の感覚だろう。
 ところが税務調査で自宅を訪れた調査官が、驚くべきものを発見した。
 その金庫は台座に置かれていたのだが、扉を開けても古い契約書が入っていただけだった。
ところが調査官が何気なく台座をのぞいたところ、金庫の底に何かがあった。
なんと、金が見つかったのである。
 まさか金庫の底の裏側に貼り付けてあるとは予想もしなかったが、それを発見した税務調査官もさすがというより他ない。亡くなった被相続人がその場所に置いたようで、相続人もびっくり。
新しく出てきた金は、相続財産として修正申告することになった。
「金の置き場所はいろいろあるものだ」と、私も驚いた一件であった。

税務調査では「うそをつかない」ことが 一番「得」である
 また、前述の通り、税務署は過去の銀行口座の入出金記録を確認することができる。
 そのため、多額の現金を引き出したはずなのに、その行き先がはっきりしなければ「どこに移したのか?」と疑問を持つ。「タンス預金」という言葉があるように、現金を家の中のどこかにしまってあるのではないかと疑われ、自宅の全ての部屋を見せることになる。
 税務調査官はその道のプロである。素人である相続人が生半可な知恵でお金を隠そうとしても、ほとんどの場合はバレてしまうということを覚悟しておくべきだ。
 税務調査での質問では、被相続人や相続人自身の財産がどうやってつくられたのかを根掘り葉掘り聞かれることになる。  亡くなった人の財産については、知っていることは事実をありのままに、そして知らないことは「知らない」と伝えればよい。
 大事なのは、自分自身の財産について、あるいは自分がやった行為については、絶対にうそをついてはいけないということだ。

 事実と違うことを話すと、後で必ずつじつまが合わなくなってくる。
適当な言い逃れをしようとしても、「前に聞いたときは、お金をもらってないと言っていましたよね?」などと後から突っ込まれてしまい、全てバレてしまうのが常なのだ。
 下手にうそをついてしまうと、故意のる。隠蔽(いんぺい)と判断されて重加算税が課せられてしまう。
税務調査といっても、うそをつかず正直に応じるのが金銭的にも時間的にも結果的に一番「得」なのであ
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2021年11月14日

岸田首相の新しい資本主義はスカスカで不気味だ

岸田首相の新しい資本主義はスカスカで不気味だ
リーダーに不向きで「分配」を語る資格もない
2021/11/13 東洋経済オンライン
山崎 元 : 経済評論家

岸田文雄首相が掲げる「新しい資本主義」とは、いったいどのような内容なのか。
首相がこの言葉を使ったのは自由民主党の総裁選挙のころからだが、同氏はその内容を体系的に語ったことが一度もない。
内容を定義せず、理解もせずに、単に言葉の響きがいいから、「新しい資本主義」をキャッチフレーズとして訴えたのだろうか。
これは、政治家としての岸田氏に対しては大変失礼な疑問だろう。

何とも奇妙な「新しい資本主義実現会議」
しかし、新しい資本主義実現会議という何とも奇妙な有識者会議を立ち上げた経緯を見ると、無礼も失礼もなかったようだ。この会議の存在自体が、岸田氏の「新しい資本主義」という言葉に、もともと中身がなかったことを告白している。
「新しい資本主義」という中身のない言葉に、愚かな有権者は共感するのではないかという岸田氏の気分のほうがよほど失礼だった。

「新しい資本主義を目指します。その中身は、これから考えます。支持してください」という白紙委任状を求めるメッセージだったのだ。
何とずさんで、いい加減なことか。
しかし、先般の総選挙では、自民党が事前に予想されていた以上の議席数(絶対安定多数となる261議席)を獲得し、野党第1党の立憲民主党は大幅に議席を減らした。
この背景は、「与党の政策には中身がなかったが、野党の政策にはダメな中身がはっきり見えた」ということだった。
立憲民主党の自滅だ。

本稿は、もっぱら岸田政権を批判的に検討するのだが、一方で野党にも「もっとしっかりしてほしい!」と申し上げておく。

11月8日に、新しい資本主義実現会議の第2回会合が開かれた。
内閣官房のホームページを見ると、事務局が作った「緊急提言(案)」と、6名の委員が作った提出資料が掲載されている。委員の提出資料は、短い発言のための「メモ的な性質」のもので、現段階でいいとも、悪いとも、言えるようなものではない。

新しい資本主義とはいったい何なのか?
そもそも「『成長と分配の好循環』と『コロナ後の新しい社会の開拓』をコンセプトとした新しい資本主義」(「緊急提言(案)」の冒頭の文章)と言われても、新しい資本主義とは何であるかを理解できる委員は1人もいないだろう。
委員としての選出は当人にとって名誉なことかもしれないが、こんな委員会に付き合うのはご苦労なことだと思う。
提言を読むと、成長戦略として、
「1.科学技術立国の推進」
「2.わが国企業のダイナミズムの復活、イノベーションの担い手であるスタートアップの徹底支援」
「3.地方を活性化し、世界とつながる『デジタル田園都市構想』の起動」
「4.経済安全保障」が掲げられ、それぞれの項目に複数の政策に関わる作文が並んでいる。

 次に、分配戦略として、
「1.民間部門における中長期も含めた分配強化に向けた支援」
「2.公的部門における分配機能の強化」と項目が立てられて、それぞれに細目の説明が並ぶ。
文書としては、A4で17ページほどの暑苦しいものだ。
これは、かつて小泉純一郎内閣でスタートした「骨太の方針」が、年数を重ねるごとに細目が増えて「小骨だらけの方針」に様変わりした後の文書を思わせる出来映えだ。
あの文書も読んでつまらなかったが、霞が関的には、「あの文書でひとこと触れておくと、後で予算をつけてもらいやすい」という意味を持つ文書だった。
官僚にとっては予算を取るためには文言を載せる働きかけが必要だったし、官僚や政府の政策を食い扶持にしているビジネスマンには、情報価値のある文書だった。

今回の中身のないふわふわした会議も、そこで何かを話して議事録に載せておくと、「新しい資本主義」の括りの下で、岸田政権の政策として予算がつく種類の「儀式」の場となっていくのだろう。
官僚にとっては使えるツールだ。

本欄にはビジネスパーソンの読者も多いだろうから、あくまでも「ビジネスの基本」として述べておくが、林立する各種会議の提出資料や議事録は「予算」との関連で読み込むべきだ。
また、政府との商売にかかわっている向きは、会議の委員や事務局の官僚と個人的に親しい関係を作ると好都合な場合がありうる。
筆者は元商社マンなので、後輩ビジネスパーソンのために書いておく。

また、この会議以外にも、「デジタル田園都市構想」の会議など、複数の同種の会議が立ち上げられた。
岸田首相は、「人の話を聞く」がご本人売り物なので、話を聞く場をたくさん作りたいのかもしれない。
だが、ご本人にはっきりしたメッセージとその根本になる考えがないので(少なくとも明確な言葉で提示されていない)、「人の話に流される」のではないかとの不安がつきまとう。
組織のリーダーとするにはまったく不向きなキャラクターだ。

「耳」だけが発達していて、その間にある臓器に栄養が回っていないのではないか、と皮肉を言いたくなる。
前任の菅義偉氏は、国民にはわざわざ「自助」を強調し、官僚には人事権を振りかざす「冷たい人」だったが、経済政策で何を考えているのかは明確だったので、岸田氏よりは「リーダーとしての安心感」があった。

彼の説明不足のインターフェースの悪さは首相に不向きだったが、今の岸田首相を見ていると、菅さんが少しだけ懐かしく思える。

「バラマキ政策」の基本もわかっていない首相
岸田首相が、総裁選で当初掲げて後に引っ込めた金融所得課税の引き上げのように、一時は公明党案を丸のみして決着するかに見えた「18歳以下の子供に一人一律10万円」の給付金案も、「年収960万円の所得制限をつけて、5万円の支給プラス、後に5万円のクーポン」などと、ぐずぐずに変形された。

首相自身に、判断の基準となる考え方が確立されていないから、「耳」(=他人の話)に「脳」(=自分の考え)が負けて、方針がコロコロ変わる。
危なくて頼ることのできないリーダーであることが、本件からもよくわかる。

有力な取材先であり新聞の消費税も負けてくれる財務省に媚びを売りたいマスコミは、現金給付政策を「バラマキ(政策)」と批判的に書くが、「現金のバラマキ」自体は政策として悪くない。
今回の公明党案は、「18歳以下」という支給対象が合理性を欠くことと、1回限りの支給なので継続的な安心感につながらないこと(だから昨年の「1人10万円」は消費に回らなかった)が欠点だったが、一律に支給される公平性とスピードおよび現金給付であることによる政府の国民生活への非介入性は好ましい政策だった。

一部をクーポンにしたがるのは、「消費に回してほしい」という景気対策上の意図が反映したのかもしれないが、そもそも再分配なのだから、困っている家計に現金が給付されることそれ自体が好ましいとまずは理解すべきだ。
給付が一時的なのだし、「貯蓄しておかないと心配だ」と思う家計が給付金を貯蓄に回すのは合理的な経済行動だ。
景気に対する効果で分配の主な効果を評価しようというのは、「景気バカ」エコノミストにありがちな、卑しい政策評価だ。

岸田首相には「新しい資本主義」を語る資格がない
それにしても、今回の「1回限り」の給付金を見ると、今後、選挙のたびに各党が給付金をぶら下げて有権者の買収にかかるのだろう。何とも品のない国の将来が見える。
  また、所得制限の愚かさは、年収が959万円の家計と961万円の家計の行動への影響を考えるとすぐにわかるし、そもそも再分配の効果は「給付」マイナス「負担」の「差額」で評価すべきものなので、「給付金の制度だけを見る」近視眼的な政策決定は不適切だ。
一律に支払って、適切な時期に(決して「今」ではない。インフレ目標達成後だ)、富裕者には追加的に多く負担してもらえば、給付はスピード感を持ってローコストに行えるし(所得チェックの手間などが不要になる)から、税金を公平に取るなら、再分配全体の効果も公平なはずだ。

今年になってデジタル庁を作るようなデジタル後進国であるわが国にあっても実施可能な再分配政策である。
肝心なことは、「再分配の規模」「追加的税金の内容」「適切な増税の時期」を判断することだ。
これら3点を的確に整理できないような首相には、「分配」を語る資格はないし、従って、「成長と分配の好循環」をコンセプトとするらしい「新しい資本主義」を語る資格などまったくない。

岸田首相には、少しは自分で物事考えて、ブレない判断基準を養ってほしい。
今のところ、「新しい資本主義」は中身のない悪い冗談にすぎない。
こんな話を大真面目にやっている国は不気味である。
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2021年11月15日

「でも」「だって」「どうせ」の3Dを止めるだけで、問題の8割は解決する!

「でも」「だって」「どうせ」の3Dを止めるだけで、問題の8割は解決する!
そこそこ幸福に生きる40のコツ
バク@精神科医:精神科医

生きづらさの多くは、自分自身の考え方から生まれる
 生きづらさは、これまでの連載で述べてきた通り、大部分が自分自身の考え方から生まれています。
 だから生きやすくなるためには、物事のとらえ方や困ったときにどう動くかなどの考え方を変えるしかありません。
 でも、そんなに大変なことが簡単にできたら、この本を手に取っていないですよね。
 「明日から、こんなふうに考えてください。ラクになりますよ!」と言われ、「はい、わかりました。そう考えるようになりました。はい、ラクです!」……。
 なんて、それができたらこの世に悩みは存在しません。

 正直、私でもそんなことをいきなりやれと言われても、やれないと思います。
 ですからまずは、嘘でも構わないので無理やり「行動」を意図的に変更していってみましょう。

その第一歩は、「言葉づかい」をちょっとだけ意識して変えてみる、というものです。
 その中でも、最も効果が出るけれど、直すのが意外に大変なのが「3D」と私が呼んでいる言葉。
これをなるべく言わないように意識してみましょう

なぜ、「でも」「だって」「どうせ」を 使ってはいけないのか?
 この三つの言葉を話し始めで言わないようにするチャレンジを、ちょっとずつ練習しましょう。
1日ほんの数回からでもいいのでとりあえず始めてください。
 実際、「でも」「だって」「どうせ」を言わないように、と思うだけで結構つらい人は多いはずです。
しかし、これを使わずに会話をするといろいろ目に見えて変わります。
 大げさに言えば「人生が大きく変わります」。

 理由は簡単。この三つの言葉は、全部“否定”。
 すべてを打ち消してしまうという共通項があるので、開始からの否定を1回止めてみる、という会話スタンスの改革が行われるからです。
 今「人生が大きく変わります」と言われたとき、あなたはこんなふうに考えませんでしたか?
 「どうせ、私にはできっこないし……」  人生変えたい! とこの連載を読んでいるのに、その言葉が出てきた瞬間に、これから私が述べようとしていることが、全否定になってしまいます。

 やってみようという気力もごっそり落ちているし、どれだけ私が説明しても、頭が「できっこない」と受け入れ態勢ゼロになってしまっています。
せっかくここまで読んだのにひたすらお金と時間と体力の無駄です。もったいない。

 「でも」幸せになりたい! 生きやすくなりたい! ってまだ思えるなら、その否定はOKです。
ちょっとだけ読み進めてください。

患者さんの回答が「3D」で始まってしまうと、 アドバイスは受け入れてもらえない
 診察でもよくあるのですが、精神科医がどんなナイスでマーベラスなアドバイスをしても、患者さんの回答が「3D」で始まってしまうと、まぁアドバイスは受け入れてもらえません。
「上司の口調が、なんとなく自分を責めているような感じがするんです」
「では、上司の言うことをできるだけ無視する方法を考えましょう」
「でも、上司の席は私のすぐ隣なんですよ。無理に決まっているじゃないですか!」
 これでは、方法を考える余地もありません。

 疲れ切っている人は、こんなふうに即否定がクセになっていることが多いのです。
 だから診察の場で私は、「3D禁止」をしてみませんか? と患者さんに説明し、良い悪いは別として、どれくらい患者さんが「3D」を使っているかを一緒にチェックしてみます。
 「あ、今、『どうせ』って言いましたね?」という軽い感じでです。
 完全にクセになってしまっている場合は、いきなり全面禁止にしてしまうと会話ができなくなります。
 ですから、会話上、どうしても言う場合は、「先生、今これから、私は『でも』という言葉を使いますね」などと、先に宣言してもらうようにしています。
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2021年11月16日

「孤独」がマイナスからプラスに転じるきっかけとは

「孤独」がマイナスからプラスに転じるきっかけとは
2021.11.15 Diamondオンライン
中野善壽:ACAO SPA & RESORT代表取締役会長・CEO

他人と物理的・心理的な距離が広がり、「1億総孤独」といえる現代。
他者に依存せず、「個」として自立するには、どうすればいいのでしょうか。
寺田倉庫の経営改革などを果たし、「伝説の経営者」と呼ばれる中野善壽氏は、「孤独を生きることで、自分の感性を信じ、磨き抜くことができる」と語ります。
本連載では、中野氏の著書『孤独からはじめよう』から抜粋し、「一人で生きる時代の道標」となる考え方を紹介します。

「さみしさ」は常に隣にあった
孤独は僕にとって幼い頃から身近なものでした。
いろいろな人との関わりや転居といった経験によって、精神は鍛えられたと思います。
そうはいっても、「さみしさ」は常に隣にありました。
孤独もなかなかいいじゃない、なんて思えるようになったのは大人になってからのことです。

社会に出るまではずっと心細さがあったし、そもそも孤独をプラスに考えようとする発想さえなかった。
孤独はマイナスのものであり、「死」に向かう意味としてとらえてきました。
その意味がプラスに転じたのは、大学生の頃でした。
僕のことを心から期待してくれる人に初めて出会えたのです。
その人は、僕より十くらい年上で、社会とはなんたるかを教えてくれた人でした。
何者でもなかった僕の可能性を信じてくれて、「あなたならできるよ」と期待をかけてくれた。
僕は「個」として生きていいのだと思えたし、思い切って社会に踏み出すことができた。
今思い出しても感謝しています。

終わりを認めるから、始まりが見つかる
大人になってからも思い出す、祖父の教えがあります。
祖父は幼い僕に繰り返し、「言い訳をするな」と教育していました。
「学校の先生がこう言ったから」 「監督にこうしろと教わったから」 「友達の〇〇君が悪いから」 そんな言い訳をしようものなら、祖父は僕を厳しく叱りました。

「うまくいかないときばかり人のせいにして。自分が責任をもって行動しなかったから悪いんだ。絶対に人のせいにするな」 今の結果は、すべて自分の意思と行動によるもの。
お釈迦様は「因果応報」とおっしゃった、と刷り込まれました。
僕は今、この教えにとても感謝をしています。
(本原稿は、中野善壽著 『孤独からはじめよう』から一部抜粋・改変したものです)


中野善壽(なかの・よしひさ)
ACAO SPA & RESORT代表取締役会長・CEO 東方文化支援財団代表理事
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2021年11月17日

「うつ」のような症状を引き起こす3つの原因、「だるい、しんどい」は放置厳禁!

「うつ」のような症状を引き起こす3つの原因、「だるい、しんどい」は放置厳禁!
2021.11.16  Diamondオンライン
森勇磨(もり・ゆうま)
産業医・内科医/Preventive Room株式会社代表

人生100年時代は、健康こそ最大の資産です。
しかし40歳を越えると、がん、糖尿病、腎臓病といった病気を避けては通れません。
国立がん研究センターによれば、40〜49歳のがん患者数は、30〜39歳と比べると3倍以上です(2018年)。
もちろん50代、60代と年齢を重ねるにつれ、がん患者数はどんどん増えていきます。
本連載は、毎日の食事から、大病を患ったあとのリハビリまで、病気の「予防」「早期発見」「再発予防」を学ぶものです。著者は、産業医×内科医の森勇磨氏。
「予防医学ch/医師監修」の管理人でもあり、動画は「わかりやすい説明で参考になる」「怖いけど面白い」と評判で、チャンネル登録者は27万人を超えています。
初の単著『40歳からの予防医学 医者が教える「病気にならない知識と習慣74」』を出版後、すぐに重版が決まり、感染症医・神戸大学教授の岩田健太郎氏が「安心して読める健康の教科書」と推薦文を寄せるなど、話題になっています。

「なんだか調子が悪い、やる気が出ない」
 誰にでもこのようなときはあるでしょう。
しかし、あまりに長期間続く場合は何かしらの「病気」が原因かもしれません。
 まずみなさんの頭に思い浮かぶのはうつ病でしょう。
まさに「やる気が出ない」「ぐったりする」「朝仕事に行けない」などの症状はうつ病の典型ではあります。

 しかし精神的な原因以外に、3つのホルモンの影響でもうつ病のような症状が出現することがあります。
 これから紹介する3つのホルモンはすべて血液検査で測定することが可能です。
あまり手間がかからず検査できます。

@甲状腺(こうじょうせん)ホルモン
 1つ目は「甲状腺ホルモン(FT3、FT4)」です。
「甲状腺」は、のどぼとけの下にある蝶々のような形をした臓器です。
心臓や脳、胃腸の働きを活発にする、いわば「体を元気にするホルモン」を分泌しています。
このホルモンの名前が「甲状腺ホルモン」です。

 そして甲状腺は体内の炎症や内服薬の影響で機能低下することがあります。
その際には「体を元気にするホルモン」の分泌量が低下するので、だるい、やる気が出ない、疲れやすい、眠いといった症状が出るわけです。
 甲状腺の機能が低下してしまう病気としては「橋本病(慢性甲状腺炎)」が最も有名でしょう。
細菌やウイルスから体を守っている「自己抗体」が何らかのきっかけで甲状腺を「外敵」と認識して攻撃します。
 そのため甲状腺から分泌されるホルモンが減るのが橋本病です。
圧倒的に女性に多く、中年女性にとっては頭に入れておきたい病気です。

A副腎(ふくじん)ホルモン  
2つ目のホルモンは「副腎ホルモン(コルチゾール)」です。
 副腎とは、腎臓の横に備えつけられた申し訳程度の大きさの臓器です。
そこから出る副腎ホルモンは、血圧や心臓の機能を維持するなど、実は人間の体にとって非常に重要な役割を果たしています。
 橋本病と同じく、自己抗体が副腎を攻撃することで「副腎不全」という状態になります。
副腎ホルモンの分泌量が減ることで、だるさ、食欲の低下、脱毛といったうつ病のような症状が出現します。
 複合的な要因で「仕事ができない」コンディションにまで追い込まれることもあります。そして、「副腎不全の4人に1人が仕事を退職していた」という論文も存在しています(※1)
 要するに、「うつ病かもしれない」と思って会社に来られなくなってしまった人の中にはこの副腎不全が隠れていた可能性もあるのです。

 診断においては、血液検査で「コルチゾール」という副腎のステロイドホルモンの数値を測定します。
もし低ければ副腎不全の可能性が挙がってきます。
 これに関連して、「副腎疲労」という言葉があります。
しばしばメディア等でとり上げられますが、実は正確な医学用語ではありません。つまり「副腎疲労の治療」は存在しません(※2)
 もし症状があり「副腎不全について話を聞きたい」と思っても、「副腎疲労の治療は〜」といった表現をするクリニックにかかるのは極力控えたほうがよいでしょう。

Bテストステロン  
3つ目のホルモンは「テストステロン」です。
こちらは特に「中高年の男性」にとって関係の深いホルモンです。
 テストステロンは主に精巣で作られており、「男性ホルモン」と呼ばれています。
加齢に伴い、精巣でテストステロンを製造している「ライディッヒ細胞」の数が徐々に減り、分泌量も減っていきます。
 テストステロンの分泌量が減ると、体にさまざまな変化が生じます。
「男性更年期」という言葉をおそらく一度は聞いたことがあるでしょう。

 男性更年期とは、「LOH症候群」という疾患の中に含まれる概念です。
テストステロンの分泌量が減り、性欲、筋肉量、やる気などの低下を引き起こすものです。
 テストステロンは別名「社会性ホルモン」といわれていて、分泌量が多いほど社会的ステータスを求める傾向にあるという論文が出ています(※3)

 アマゾンのツィマネという民族のテストステロンの変化を調べたところ、狩りをしているとき、また獲物を獲得したときに非常に高い値を示したという論文もあります(※4)

 社会的ステータスを求めたり、狩りに成功したりする際に高値になることからも、「活力のある生活」をしていればテストステロンの値が高まるのかもしれません。
 いずれにしても、テストステロンが一定の値より低ければ、「LOH症候群」と診断されます。
その場合は「テストステロン補充療法」という治療を受けることもあります。

「気のせいか」と放置しない!
 ホルモンの低下による症状はつかみどころのないものが多いです。
「気のせいか」と放置したり、あるいはメンタル不調として我慢したりする人が多くいます。
自分で要因を決めつけることなく、一度病院に行くことをオススメします。
 甲状腺・副腎ホルモンは内分泌科、テストステロンは泌尿器科が専門になります。
身近な人にぜひ教えてあげてください。
(本原稿は、森勇磨著『40歳からの予防医学 医者が教える「病気にならない知識と習慣74」』を編集・抜粋したものです)

【出典】
※1 Benjamin Bleicken,et al. Delayed diagnosis of adrenal insufficiency is common: across section al study in 216 patients. Am J Med Sci. 2010 Jun;339(6):525 31.
※2 Flavio A Cadegiani,et al. Adrenal fatigue does not exist: a systematic review.BMC Endocr Disord. 2016 Aug 24;16(1):48.
※3 G. Nave, et al. Single dose testosterone administration increa ses men’s preference for status goods. Nature Communications volume9, 2433(2018) ※4 Benjamin C Trumble,et al. Successful hunting increases testosterone and cortisol in a subsistence population. Proc Biol Sci. 2013 Dec 11;281(1776):20132876.
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2021年11月18日

経営コンサルが恐れる"日本沈没"の気配

「真犯人は感染者数を煽るマスコミ」給料増えず、物価は急上昇…経営コンサルが恐れる"日本沈没"の気配
2021年11月17日 PRESIDENT Online
小宮コンサルタンツ会長CEO 小宮 一慶

日本人の給与はほとんど増えず景気が停滞する中、物価だけは急上昇する「スタグフレーション」のリスクの高まりを指摘する声がある。
経営コンサルタントの小宮一慶氏は「企業はもちろん、所得の二極化が進む中、低所得者層への影響は甚大です。
冬になり、コロナ新規感染者が増加した場合、それをメディアが過熱報道すると、また自粛が強いられ、経済はさらに停滞する恐れがある」と警鐘を鳴らす――。

■日本が陥る「景気低迷(給料増えず)+物価高騰」という泥沼
コロナウイルスの猛威が日本では少し和らぎ、これから本格的な景気回復を期待したい時期ですが、私は「スタグフレーション」がこの国を襲うのではないかととても懸念しています。
スタグフレーションとは、停滞を意味する「スタッグ」と「インフレーション」の合成語です。
景気があまりよくない中でインフレが起こると、景気をさらに悪化させることになりかねません。
これまで1970年代後半の米国のカーター政権のときに経験しています。

もし、本当にそうなった場合、日本国民は今以上の苦しみを受けることは必至です。

■日本の消費者物価指数の上昇が遅れているのは経済が弱いから
図表1では、日本、米国、ユーロ圏、中国のこのところの消費者物価上昇率を示しています。
日本の消費者物価は、9月になりようやくプラス(0.1%)になりましたが、それまではマイナスが続きました。
一方、ユーロ圏は3%台だったのが4%台に、米国ではこのところは5%台の物価上昇が続き、10月には6.2%まで上昇しました。
中国は1%を切る程度の物価上昇です。
表にはありませんが他のアジア諸国は2%台の成長です。

欧米各国は「ウィズコロナ」の経済対策を行っています。
ワクチン接種が進んだことから重篤者、死亡者の率が大きく下がり、感染者数自体をそれほど気にすることなく景気拡大のための政策を行っているのです。
中国の成長率が低いのは、「共同富裕」のスローガンの下、前回のこの連載でも指摘したように、塾業界や恒大集団などの不動産大手などへの締め付け、それにともなう不動産市況への不安感、北京オリンピックを控えてのコロナ感染対策の強化などで、経済成長が鈍化しているからです。

つまり、経済の動きが鈍い日本と中国の消費者物価の上昇率が低く、とくに、経済の足腰がもともと弱い日本は、物価上昇率が世界の中で「極端」と言っていいくらい低いということです。

■輸入物価、企業間物価は高騰中…悪いインフレが始まる
しかし、同じ期間の日本の輸入物価や企業物価の状況を重ね合わせると、見える風景が変わってきます。
図表2で明らかなように、輸入物価は、ここ数カ月間は30%前後の上昇をしています。
それに呼応するように、企業の仕入れ価格を表す企業物価は5%程度の上昇をしています。
9月には6%台です。

つまり、何が起こっているのか。企業の仕入れは大幅上昇しているのに、景気の足腰が弱いために最終消費財の価格に転嫁できない状況が続いてきたのです。
しかし、企業のほうも収益の悪化は避けなければならず、秋以降、値上げが相次いでいます。
例えば、松屋が牛めし価格を並盛で60円と大幅上昇させたのに続き、吉野家も牛丼並盛の30円程度の値上げを発表しています。
また、小麦価格なども大幅上昇していることから、小麦製品も値上げ、さらには、皆さんもよくご存じのように、ガソリン価格もここにきて2カ月以上上昇を続けています。

ガソリン価格の上昇は、原油価格がバレル80ドルを超える高値が続いているからです。
これらの価格上昇は、コロナの影響から欧米経済が立ち直りつつあることで、需要が大きく伸びたことが原因しています。
また、タイなど東南アジアなどではコロナの影響により、自動車の部品生産や農産物・海産物の生産が滞っている地域もあるからです。
さらには米中の摩擦から、思うような物資の移動ができていないということもあります。

原油価格については、今後北半球では冬場を迎え原油や天然ガスの需要が増えることや、先ごろ行われたOPECプラスでも、産油国の思惑としてはこの高値を維持するためにも生産増を行わないことが決定され、しばらくは現状の価格が維持されるか、場合によってはさらに原油価格が上昇することも懸念されます。

いずれにしても、世界中の同時進行的に進む脱コロナの経済回復の動きが大きな原因です。
日本も今後は、インフレ率が上昇する可能性が高いのではないでしょうか。
インフレ率が上昇すると、インフレ目標を2%に置いている日銀は、「政策が功を奏した」といったコメントをするかもしれません。
しかし、このインフレはいわゆる「コスト・プッシュ」と呼ばれる仕入れ価格の上昇によるものです。
もっと言えば、値上げ分のかなりの部分が海外に行ってしまう「悪いインフレ」です。

良いインフレは、雇用が増加し、給与が伸び、それにより需要が上がって、ものの値段が上がる「ディマンド・プル」のインフレです。
悪いインフレがきても喜べないのは当然で、日銀の政策とは関係ないところで起こっているものです。

■コロナ感染者数を煽るマスコミが元凶「スタグフレーション」の懸念
こうした経済状況の中、日本で「スタグフレーション」が起こることを私は心配しています。
経済が停滞する中でのインフレです。
単なるインフレよりももっと悪質なインフレです。
経済が停滞する中でインフレになるわけですから、なかなか不況から脱せられなくなる可能性があります。
企業にとっても大変ですが、所得の二極化が進んでいる中では、低所図表2では、現金給与総額の数字も載せてあります。
現金給与総額はひとり当たりの給与の総額ですが、今年3月以降前年比でプラスに転じています(2021年8月は+0.6%)。

それまではコロナによる雇用環境の悪化でマイナスが続いていました。
ただ、プラスに転じたといっても、その上昇幅は微々たるものです。
給与がほとんど伸びない中で、インフレ(悪いインフレ)が進むと、経済に良くない影響が出ることは容易に想像できます。

こうした中、7〜9月のGDPが11月15日に発表になりました(前四半期比マイナス0.8%、年率換算マイナス3.0%)。
この期間は緊急事態宣言が出ていたこともあり、ほぼゼロか少しマイナスの成長率を予測したシンクタンクがほとんどでしたが、実際その通りでした。

ユーロ圏は、7〜9月は年率で9.1%と比較的堅調な成長を見せましたが、米国は2.0%と成長率を前四半期の6.7%から落とし、中国も成長率を落としています。
つまり、日本経済にとってとても大きな影響を及ぼす米国と中国の経済にここにきて少し陰りが出ているということです。
さらには、欧米では、コロナの感染が拡大しています。
感染者数をそれほど気にしなくなっているとしても、米国では1日当たり10万人前後、英国、ドイツでも3万人前後の感染者が出ています。
得者層への影響は小さくありません。

日本は、今のところ、感染者数という点では、欧米よりも2ケタ以上少ない数で推移していますが、再度感染者数が拡大する可能性もあります。
米国、英国、ドイツなどのワクチン接種率は日本と同程度だからです。
そうした場合、日本人は欧米人よりも几帳面ですから、感染者数をやはり気にするのではないでしょうか。
今後、緊急事態宣言などを発出する場合には、感染者数自体は考慮に入れないという欧米同様の判断基準を採り入れることを政府は考えているようですが、実質的にはそうはならない可能性もあります。

ネックは、マスコミです。
感染者数の増加を連日のように報道するようになると、これまでのように「自粛」が行われるに違いありません。
そうなれば、経済成長も抑えられることとなりかねません。
そして、スタグフレーションの脅威もあります。

作家・小松左京さん原作のドラマ「日本沈没」が人気です。
ドラマの設定は日本近海の地殻変動が沈没の要因ですが、経済的な沈没が今後、本当にやってこないとも限りません。
いずれにしても、発足間もない岸田政権の手腕が問われることになりそうです。

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小宮 一慶(こみや・かずよし)
小宮コンサルタンツ会長CEO 京都大学法学部卒業。
米国ダートマス大学タック経営大学院留学、東京銀行などを経て独立。
『小宮一慶の「日経新聞」深読み講座2020年版』など著書多数。
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2021年11月19日

中国共産党ひっくり返す「動乱」なぜ起きないのか

中国共産党ひっくり返す「動乱」なぜ起きないのか
覇権的な中国に「日本はどう考え対処すべきか」
2021/11/18
東洋経済オンライン
橋爪 大三郎 : 社会学者、東京工業大学名誉教授
/ 大澤 真幸 : 社会学者

ウイグルをはじめとする苛烈な「民族弾圧」から香港、台湾へと広がる世界的危機。
中国共産党・習近平はいったい何を目指しているのか。
その中国リスクを読み解く『中国共産党帝国とウイグル』の著者・橋爪大三郎氏と、社会学者の大澤真幸氏が、中国の文明・哲学的背景を踏まえ、覇権的な習近平体制の本質に切り込み、この状況に日本はどう考え、対処すべかを語り合う。(前回は習近平体制の本質と「特色的」な政治的資本主義に切り込んだ『意外と知らない中国式の「国家資本主義」その本質』)。

中国のど真ん中で動乱が起きる可能性は?

大澤:
いま中国は、香港や新疆ウイグルで、とてつもない「弾圧」をやっていると報じられています。
それを西側諸国がどれほど批判しても、中国当局は「内政干渉だ」と言って歯牙にもかけない。
ただし、中国のど真ん中で、香港のような動乱が次々と起きれば、昔の東ヨーロッパのように、民主化したり、人権が尊重される社会に変わっていくための手がかりになるような気もするんです。
もちろん、強圧的に権力が働いているので、簡単にはいかないと思いますが、人々の不満がたまっていくと、自由を求めていずれ大きな転換が起こりそうだと考えますが、この辺の見通しについてはどうでしょうか。

橋爪:
その問いに答えるには、毛沢東という存在を改めて考えてみる必要があると思う。
中国共産党の権威を軸にして、人びとを動員する近代化のあり方を、限界まで推し進めたという意味で、やっぱり毛沢東があってこその現代中国だという気がする。
毛沢東の果たした役割は、アメリカで言えば大覚醒(18世紀中ごろからアメリカ植民地で始まった信仰復興運動)に匹敵する現象だと思います。
気がついたら信仰のウエーブに巻き込まれて、自分も熱烈な信仰心に目覚めていたという経験ですね。
毛沢東の権威は、革命的ロマン主義として人びとに働きかける。
革命によってつくり変えられた世界は、もっと正しくて、もっと価値があって、自分の人生を光り輝かせてくれる。
そういうメッセージが毛沢東から自分に届いているんだと確信できる。
それが信仰心のように人びとに広がっていく。
さて、今の共産党は、無謬なのかどうか。
毛沢東の時代は無謬ではなかった。
毛沢東という革命の権威があれば、共産党の組織や幹部を攻撃できた。
習近平は毛沢東なのか、劉少奇なのか。どっちかわからないでしょう。
だから、中国の中心で反共産党の運動が起きるとすれば、私こそ最も共産党的です、私こそ最も熱情的に中国革命を、あるいは中国の伝統を、現在に生かす理想の推進者です、と言うカリスマが出てきたとき。
その場合には、中国共産党は相対化されるのだと思います。

大澤:
今の体制では、そういう扇動者は出にくいでしょうね。

橋爪:
伝統中国では、こういうのはみんな道教系の宗教反乱のかたちをとる。すると、中央政権は壊れてしまう。
だから今、宗教は禁圧されています。
法輪功もキリスト教も、警戒の対象です。
宗教が駄目だとすると、世俗の思想や哲学の探究者はどうか。これもあてにできない。
世俗の思想や哲学は冷静で客観的なものだから、そういうカリスマ的人物は哲学の中からは出てこない。
むしろ、クレージーな政治家のほうがなりやすい。
例えば、共産党から習のライバルと目された薄煕来(スキャンダルで失脚)みたいな政治家が出てくる可能性もあるけど、今は出てきにくいでしょう。
結論を言えば、しばらく矛盾が深まって、人びとの無意識がかき乱されるまでは、共産党をひっくり返すような動乱は起こりにくいと考えられます。

天安門事件で中国をデカップリングしておくべきだった

大澤:
なるほど。いろいろ勉強になりました。
この問題に絡んでもう1つ率直にお聞きしたいのは、1989年の6月4日に起きた天安門事件に関連したことです。
今振り返ってみれば、天安門事件のほうが、東ヨーロッパの民主革命よりもちょっと早かった。
そのおよそ半年後にベルリンの壁が壊れるんです。
しかし中国の天安門事件のほうは、血の弾圧があり、その後、継承されることがなく失敗した。
天安門の後に起きた東欧の革命は、今から振り返るとその後大変な苦労が待っていたわけですが、少なくとも体制を変革することには成功したわけです。
ルポライターの安田峰俊さんが、『八九六四 完全版 「天安門事件」から香港デモへ』(角川新書、2021年)という本で、天安門事件に関わった人たちが今どうしているかインタビューしています。
何十人も、です。
内容は日本の全共闘運動を振り返るような感じです。 あのときは大学生で若気の至りだったとか言いながら、今ではどこかの企業の幹部になっていたりする。まれに今でも民主化を目指している人もいますが、そういう人はたいてい海外にいて、言うことにあまり中身もなく、派閥争いのようなことをしている。
そういうのを読むと、天安門事件みたいなことはもう中国で起きないのだなとつくづく思いますね。
新疆ウイグルのようなところには、弾圧され、そして抵抗している人びともいる。
しかし多くの一般の漢民族の人たちが、今の中国の方針を受け入れているとすると、どうやって私たちが中国の問題にアプローチしていけばいいのか、どうやって中国の人権侵害に対応したらよいのかわからなくなります。

橋爪:
天安門事件のときの西側世界の対応は大変に稚拙なものでしたね。
もし中国に関する分析が行き届いていれば、現状の中国がいかに軍事的、経済的に遅れていようが、そのポテンシャルを見て、この方向は大変危険だと判断できたはずです。
よって、単なる制裁ではなくて、デカップリングをすると決めて、縁を切るべきだった。
そうすれば、中国のその後の発展はなく、西側世界に適応した指導部ができて発展する以外の選択肢がなくなり、共産主義を捨てた可能性がある。
世界にとって、これは非常にコストが低かった。中国の人びとにとってもよかった可能性が高い。

大澤:そうですね。当時は中国に対する認識が甘かったと思います。

橋爪:
日本も制裁に後ろ向きで、あれはもうなかったことにしましょうと最初に尻尾を振って、ほかの国も追随した。
そうやって、中国の市場で一儲けしてやろうという人間ばかりで、大変に情けなかったと思う。

橋爪:
私は、1980年代にソ連が駄目になるだろうと考えていて、どういう形で駄目になるのか、そこに非常に関心を持って見ていたんです。
民衆運動とか暴動が起きて、それを体制側が徹底的に弾圧するという悪夢のような攻防を思い描いていたら、そうはならず、ゴルバチョフが出てきた。エリツィンも出てきた。
なぜソ連が静かに崩壊したかといえば、マルクス・レーニン主義の原則でこの世界を捉え、私が生き、人びとを支配していっていいのかと、ロシア共産党の多くの幹部が考えていたからです。
つまり、ソ連そのものが、特権階級のシロアリに食い荒らされた木造の建物になっていて、それを支えようという人が誰もいなかったから。今の中国を止めるには、これが一番いいシナリオだと思う。
今の中国共産党が拠って立つイデオロギーを守るために、メディアを独占し、人権を抑圧しているのです。
そのことに根拠がないと中国の政治指導部が思えば、中国は変わる。
人民が変えるのではなく、中国の政治指導部がそう思うことが大事なんですよ。

中国は変わるのか?

大澤:習近平一強の体制を見ていると、外からのアプローチはなかなか難しいと思うんですが、中国が変わるためのメッセージはどうすれば届けられると思いますか。

橋爪:
中国の政治指導部は、メディアの統制はあるけれども、民衆に比べて西側の情報や外部の情報に接するチャンスが多い。
そこにきちんとした情報、分析、哲学を潜り込ませて届ける必要があると思う。
そういう一貫した知的生産物をつくり出し続けて、それを彼らの目に触れ、手に取れるかたちで用意しておくこと、これがわれわれにできる唯一の方法だと思います。
それをやらずに、中国の人民が間違いに気づいてそのうち武装蜂起するに違いないと、手をこまねいて見ているのは、中国の人民の犠牲を強いるという意味で失礼であるのみならず、知的怠慢ですよ。

大澤:
おっしゃるとおりですね。いつものことですが、橋爪さんとお話ししていると、ある種の理想に対する、不屈の強い意志を感じます。
最後に、これから起こりうることを踏まえてお聞きしたいのですが、このままいけば、アメリカと中国の関係、あるいは、自由主義陣営と中国との対立は抜き差しならぬものになるかもしれない。
最悪の場合は、中国が台湾に軍事侵攻して、米中の軍事的な衝突になる。
そうなると、日本も存立危機の事態とみなし、集団的自衛権を発動するかたちで戦争に協力することになるかもしれない。
客観的には事態はこのように進行するでしょうが、そのとき日本人はこの事態に精神的・内面的にコミットできるだろうか。そう考えると、複雑な気持ちになります。
「中国の体制は嫌いだけど戦いたくないみたいな……」
そんなことになりそうな予感がして。

橋爪
精神的にコミットするべきですよ。
なぜコミットできないかと言うと、それは日本軍国主義がアメリカや世界を相手に戦争したことが、どう間違っていたか、その認識が足りないからだと思う。
よく左翼の人びとが戦争に反対しますけど、ならば、アメリカは真珠湾を攻撃されて黙っていればよかったのか。そうしたら日本軍国主義の思うままだし、中国はそのまま植民地化されるわけでしょう。
そんな軍事力による国際秩序のつくり方は間違っているから、連合国は軍事力で反撃した。
そのおかげで大東亜共栄圏じゃない、新しい世界秩序が出来上がったわけですよね。
台湾が侵攻されるのを指をくわえて黙って見ていたら、大日本帝国が暴れ出したときも、みんな指をくわえて黙って見ていなきゃいけなかったことになる。
戦後日本の否定です。
そういうことを日本人1人ひとりが考えてほしいと思います。

西側の資本主義が自信を失っている

大澤:
おっしゃるとおりだとは思うんです。
ただ、なぜ私が心配するかといえば、日本を含めて、アメリカを中心とした西側の資本主義が、いま明らかに自信を失っているように見えるからです。
自分たちのシステム、自分たちの資本主義が、中国に比べて本当に優位なのか不安をもっている。
ここに来て、アメリカが中国に対して厳しく対している理由は、そういう無意識の不安を抱えているからではないか。
中国共産党のやり方への道義的な怒りだけではない。というか、急に怒りが強まった、真の無意識の原因があるように思います。

橋爪:
それは中国だって同じですよ。
マルクス・レーニン主義の成れの果てが毛沢東と習近平だとしても、彼らが最終解であるなんてことはなく、彼らは彼らの困難に見舞われ、これから西側より優れているということを証明し続けなければならない。
だから、悪戦苦闘していくはずです。 
  
     (構成・文=宮内千和子)
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2021年11月21日

眞子さんと小室圭さんの結婚で深まる“皇室不信”

眞子さんと小室圭さんの結婚で深まる“皇室不信”…“小室さん騒動”の核心とは《“皇族の誇り”が眞子さんには稀薄》
2021年11月19日 文春オンライン

 秋篠宮家の長女・眞子さんと小室圭さんは、結婚後ついにニューヨークでの生活を始めました。
ノンフィクション作家の保阪正康氏による「象徴天皇制の『聖』と『俗』」(「文藝春秋」2021年12月号)を特別に全文公開します。(全2回の1回目/ 後編 へ続く)
◆ ◆ ◆
■小室さん騒動は「開かれた皇室」の宿命なのか
 先月26日に秋篠宮家の長女眞子さまと小室圭さんとの結婚会見が行われ、最終的に眞子さまは小室眞子さんとして皇室を離れることになりました。
 9月に「ご結婚へ」と報道されて以来、この2カ月のあいだには、眞子さんの渡米や一時金の辞退、結婚に伴う儀式の中止、そして眞子さんが抱える複雑性PTSDのご病気公表など、次々と衝撃的な事実が報じられる中で二人は結婚を迎えました。

 ご結婚を祝福する声がある一方で、世間では批判の嵐が吹き荒れたことも事実です。
街頭では「結婚反対」を掲げた100人規模のデモ行進が行われ、小室さんの母佳代さんが詐欺罪で刑事告発されました。
どちらも一時のから騒ぎかもしれませんが、皇族のご結婚という慶事にもかかわらず、このような出来事が続けざまに起きるなど前代未聞のことです。

 今回の眞子さんのご結婚問題が皇室にもたらした影響は想像以上に大きく、このまま推移していくと天皇制の崩壊にも繋がりかねない――そんな危機感を私は抱くようになりました。

■この4年、徐々に広がった国民的な皇室不信
 天皇家は少なくとも2000年以上の歴史を持ちます。
近現代においても、「左翼陣営」が幾度となく「天皇制打倒」を掲げてきましたが、揺らぐことはありませんでした。
しかし、それがたった一人、小室圭さんという青年が突如現れたことで、かつてない深刻な危機に瀕しているわけです。
喩えるなら、蟻一匹が開けた穴によって巨大な堤が脆くも崩れ去るようなもので、私にとっては非常に大きな衝撃でした。

 何も今日、明日にも崩れるというわけではありません。
しかし、「小室さん騒動」は過去をさかのぼっても類例のない、皇室史上初の事件でした。
この4年、徐々に広がった国民的な皇室不信は、この先も繰り返し波のように押し寄せ、天皇家を揺るがすことになる懸念もあります
二人の結婚で一件落着とはならず、今回明らかになった皇室の脆弱性への対処を誤れば、5年後、10年後には、巨大な堤を決壊させかねない事
 私は昭和史研究が専門で、かつて秩父宮妃の勢津子さまにお話を伺ったり、上皇ご夫妻に面談の機会をいただいたりしたことがあります。そうい件だと思います。

■「皇族としての誇り」が眞子さんには稀薄
 私は昭和史研究が専門で、かつて秩父宮妃の勢津子さまにお話を伺ったり、上皇ご夫妻に面談の機会をいただいたりしたことがあります。
そういった時に、はっきりと感じられた「皇族としての誇り」が眞子さんには稀薄な感じがします。
これは無視できない変化ですから、今回の眞子さんの結婚問題がどのような意味を持つのか正確に見定め、改めて皇室の歴史の中に位置づけることで、総括する必要があると考えました。
そうすることで小室さん騒動の核心を浮き彫りにし、国民と皇室の間に広がった不信の溝を少しでも埋めるための一助になればと思っています。

 近代の天皇制を振り返ると、それは「国家主義」から「国民主義」に変化する歴史だったと言えます。

 大日本帝国憲法では、天皇は「国の元首」と位置付けられていました。
皇后となるお妃は、五摂家(近衛家、鷹司家、九条家、一条家、二条家)という鎌倉時代から続く公家の名門の家柄から選んでいたのですが、大正天皇のお后だった貞明皇后は、長男である昭和天皇の妻には薩摩藩主島津家の血筋を引く良子女王(後の香淳皇后)を迎え、次男秩父宮の妻には会津藩最後の藩主松平容保の孫娘を、三男高松宮の妻には徳川慶喜の孫娘を迎えています。
そして四男三笠宮の妻となった百合子妃殿下は、明治以降に華族となった高木家のご令嬢でした。
 つまり貞明皇后は、薩摩、会津、徳川、華族と明治維新で分裂した国内勢力の融和を図ろうとした。
それまでの皇室の習わしに囚われず、国内情勢を察知し、近代国家のリーダーを期待された親王にふさわしい相手を選んだわけで、「国家のための皇室」を演出する政治感覚のある方だったのだと思います。

■お相手には一定の「ハードル」があった
 終戦を機に制定された日本国憲法によって、天皇は「国民の象徴」になりました。
戦後の日本人は、昭和天皇の姿に最後まで国家の君主の面影を見たことになりますが、「国民のための天皇家」への変貌に大きく弾みをつけたのは上皇と美智子さまのご結婚でした。
日清製粉社長のご令嬢という名家の出身だったとはいえ、旧華族でなく紛れもない庶民出身。
世間が新しい皇室を歓迎したのは、国家の頂点にあった皇室が国民の側に近づいたと実感したからでした。

 続く秋篠宮も今上天皇もまた旧皇族・華族とは関係のない紀子さま、雅子さまと自由恋愛の末に結ばれ、皇族の結婚は限りなく一般市民の感覚に近づいていきます。
これは皇室の国民主義化というよりも、むしろさらに進んだ「市民主義化」と呼ぶにふさわしい状況でしたが、お相手には一定の「ハードル」はありました。

 お妃となる女性の家柄や学歴などを重視し、両陛下が納得した相手を迎える。そうした家格を重んじる伝統は皇室に残り続けていました。
現に紀子さまは皇族が通う学習院の出身で、父親は上皇ご夫妻や天皇とも交流のあった学習院大学の教授でした。
雅子さまもハーバード大経済学部から東大法学部へ進まれ、時の外務事務次官の娘であり、ご本人も外務省を経て皇室入りされています。
階層差別、学歴偏重主義と思われるかもしれませんが、「市民主義化」していく皇室の結婚に一定の品位と権威を持たせるための知恵でもあったと私は理解しています。

■もはや皇室の市民化というレベルではない
 では、こうした皇室の歴史に照らして、今回の眞子さんの結婚がどうして危機と言えるのか。

 私が最も驚いたのは、2012年のICUの交換留学説明会で、お二人が前後の席に座ったことで親しくなり、交際に発展したという経緯でした。
1年後には、わずか22歳の若さで小室さんは眞子さんにプロポーズしている。
皇室の敷居を軽々と飛び越えて、結婚を申し出る小室さんの大胆さに衝撃を受けると同時に、それに応じた眞子さんにも驚きました。

 これまでの皇族の結婚とは明らかに異質なものです。
むしろ、それは一般家庭の子弟の結婚と近い。
小室さんに敷居を飛び越えられてしまった後、母佳代さんの金銭トラブルが発覚しても、皇室や宮内庁は何ら手を打つことができず後の祭りでした。

 最近報じられた眞子さんの渡米、一時金の辞退、儀式の中止という前例なき俗事の騒動の顛末を目の当たりにして、もはや皇室の市民化というレベルではなく、「大衆化」と呼ばざるを得ない状況にまで来ていると痛感しました。
皇室と国民の隔たりがほとんど感じられなくなってしまったのです。

■皇室から「聖」なるものが失われていく過程
 今から60年前に始まった「開かれた皇室」の運命にこのような現実が待ち受けていたことに愕然とすると同時に、正直なところこのような運命は必然だったのだろうかと思ってしまう節があります。
国民主義から市民主義へと一度舵を切ったが最後、もはや後戻りはできず、これから先、皇室は際限なく大衆化の道を突き進むのではないかと危惧しています。

 この大衆化の過程は、皇室から「聖」なるものが失われていく過程と表現することもできます。というのも眞子さんの結婚は、天皇家が「俗」の世界に絡め取られる過程として理解できるからです。
( 後編 へ続く)

(保阪 正康/文藝春秋 2021年12月号)

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2021年11月22日

小室さんに見透かされ皇室へ強い姿勢を取らせた秋篠宮さまの“混乱した心中”《父の言葉が説得力を持たない理由》

小室さんに見透かされ皇室へ強い姿勢を取らせた秋篠宮さまの“混乱した心中”《父の言葉が説得力を持たない理由》 2021/11/19 文春オンライン
保阪 正康  文藝春秋 2021年12月号

 秋篠宮家の長女・眞子さんと小室圭さんは、結婚後ついにニューヨークでの生活を始めました。
ノンフィクション作家の保阪正康氏による「象徴天皇制の『聖』と『俗』」(「文藝春秋」2021年12月号)を特別に全文公開します。(全2回の2回目/前編から続く)

皇族が聖なる存在として認識された大きな理由
 天皇家がこの国の歴史に存続しえた理由の一端は、「俗」である我々大衆とは違った存在、つまり天皇が俗世からかけ離れた高みにおられる「聖」なる存在として畏敬の念をもって見られてきたことです。
現世の中に別な次元を見ていたのです。

 日本人は「天皇家の方々は、社会で生きる自分たちとは違う次元で生きている」ととらえます。
この国の中心軸に聖なる存在もいることに思いを馳せることで、俗世であくせくして生きる自分とは異なる、精神的な文化空間を得てきたのです。
 皇族が聖なる存在として認識された大きな理由には、経済生産活動に一切、触れてこなかったことがありました。
人は労働し、生産し、賃金を稼いで生きています。
経済生産活動の中にいれば、当然、競争もあれば争いごともある。
皇族は、そんな俗な世界とは無縁の世界におられるからこそ、尊崇の対象になってきました。

 秋篠宮が山階鳥類研究所の総裁に就かれ、眞子さまが日本テニス協会の名誉総裁に就かれる。
このように皇族たちが公務として公益財団法人などの総裁職に就くのは、経済生産活動には触れないための先人の知恵なのだと思います。
しかし一方で、小室さんはというと米国留学をして弁護士になろうとしている。
弁護士は世俗の係争案件を扱うのが主な職務であり、いわば争いごとの中心に身を置く仕事です。

 今上天皇の妹黒田清子さんの夫慶樹さんは東京都の職員、高円宮家の典子さんの夫である千家国麿さんは、出雲大社の宮司を務めています。
このように女性皇族の結婚相手の職歴を振り返ってみても、弁護士はかなり異質な印象です。

“儀式はやってもやらなくてもいい”悪しき前例
 もう一つ、天皇家が聖なる存在であり続けたのは、儀式や宮中祭祀をたゆまず行ってきたからでした。
儀式・祭祀において、天皇が天照大御神に拝礼し、国家や国民の安寧を祈ることは、まさに聖なる存在に託された行為でした。
しかし、今回の眞子さんの結婚では、納采の儀や告期の儀など結婚に伴う一連の儀式が行われないばかりか、朝見の儀のように天皇が執り行う皇籍離脱のための儀式さえも中止することになりました。

秋篠宮が「皇室としては類例を見ない結婚」と言った通り、これは戦後初めてのことです。
 このことの重大性に皇室関係者が気づいているかどうか。
儀式はやってもやらなくてもいい。そんな悪しき前例を作ってしまったわけです。
儀式とはそんな軽いものだったのでしょうか

皇室が「聖」たりえるために長いあいだ守ってきた伝統は放擲されてしまいました。

小室さん騒動の主役は眞子さん
 結婚会見でわかった最も重要なことは、小室さん騒動の主役は眞子さんだったということです。
眞子さんから「古き慣習に囚われたくない」「米国社会で活躍する夫を支えたい」という意思を感じ取り、自分たちと似た想いでいることに共感していた人も多いかもしれません。
しかし会見では、金銭トラブルの話し合いは、眞子さんが「お願いした方向」で進められていたと本人が明かしました。
小室さんではなくほかならぬ眞子さんが、佳代さんの元婚約者と争うことを主張していたことになります。

 今上天皇の姪、上皇の孫がそんなことを考えていたという事実は衝撃的です。
「聖」が「俗」に絡めとられた時、人々が心に抱くのは共感ではなくむしろ失望なのですが、そのことに眞子さんは気づいているでしょうか。

危機を食い止められない「ことなかれ主義」の宮内庁
 小室さん騒動に端を発した天皇制の危機は食い止めることができるのか。
そう聞かれると私はいささか暗澹たる気持ちになってしまいます。
 まず、堤に開いた穴を塞ぐのに身を挺して働かなくてはならないのは、政府や宮内庁など側近の役目です。
しかし小室さん騒動の中で、彼らがこの穴を塞ごうと積極的に動いた形跡は見られません。
 そもそもお二人の交際も、情報を掴んだ週刊誌記者から取材を受けるまで、宮内庁幹部は把握していなかったばかりでなく、その後も秋篠宮の意向を受けてのことなのか、小室さんのことは何も知らないまま婚約内定まで進めてしまいました。

佳代さんの金銭トラブルが報じられても、話し合いは秋篠宮ご夫妻と小室さん母子に任せきりで、解決に向けて奔走することはなかった。
ただ、マスコミの金銭トラブル追及に期待し、二人の気持ちが変わることを願っていただけのように見えます。

 結婚を正式に発表した宮内庁長官と皇嗣職大夫の会見(10月1日)を見ていて感じたのは、いかにも官僚的な「ことなかれ主義」の姿勢でした。
国民的な慶事を演出すべき立場でありながら、眞子さんの病名を明かし、さらに国民やメディアからの批判を「誹謗中傷」と敵対的な言葉で表現してしまう。
発言の背後に眞子さんの強い意向があったことはうかがえましたが、そのまま会見で発言してしまったのでは、皇族をお守りすべき側近として役割を果たしているとはいえず、「うつけ者」と呼びたい気持ちに駆られます。

 彼らが考えるべきは、こういった発表をした場合、眞子さんが今後、将来にわたって国民にどう見られるか、ということです。
病名や「誹謗中傷」といったきつい言葉を世間に投げかけた時どんな反発を受けるのか、容易に想像がつくことです。
そこは長官なり皇嗣職大夫なり、経験を積んだ大人が、「それはやめましょう」とか「こうした方が良いです」と進言すべきでした。
実際に会見後、世間は納得するどころか、ネット上には批判的な書き込みが溢れ、メディアには眞子さんの病状を疑問視する記事も出る有様です。

 本来であれば、たとえ皇族が嫌がろうとも、身を挺してお諫めする。それが聖なる皇族をお護りする「臣」の役割です。
ところが4年間にわたった小室さん騒動において、側近たちが諫言した形跡はなく、おそらく眞子さんの強い意思を前にどうすることもできず、振り回されるばかり。
それではいまの皇室には臣がいないことになります。

 戦前の侍従には「死んでもこの人に仕える」との気概を持った人が数多くいました。
 私は拙著『秩父宮――昭和天皇弟宮の生涯』の取材にあたって、秩父宮家に40年近く仕えた侍従の方に話を聞いたことがあります。
その方は、秩父宮家のことは、もちろんすべてを知っているし、「殿下を護るためなら命を棄てる」と断言していました。
何も彼は得意げに、そう言ったのではありません。
「私は秩父宮家でしか生きられないから」との意識から、ごく自然にそう話したのです。
そのような陰ながらの尽力があればこそ皇室の聖性は保たれていました。
保内親王としての自覚が感じられない眞子さんの行動
 小室さん騒動で見えてきたのは、側近の問題だけではありませんでした。

皇室という巨大な堤に開いた穴を広げてしまうのは、もしかしたら皇族ご自身かもしれないという将来への懸念でした。
少なくとも眞子さんが自由を求め、皇室の外に出たいと願ったのは報じられているとおりでしょう。
美智子さまも雅子さまも、皇室という特殊な環境の中で苦しまれたことはよく知られています。
しかし、眞子さんほど積極的に外に出たいと願い、自由を求めた皇族の登場は初めてでした。

 秋篠宮は終始この結婚には反対でしたから、眞子さんを説得し、その気持ちが変わることを願いましたが、父として、また皇嗣としての権威は娘には通用しませんでした。
小室さん騒動が衝撃的なのは、このように皇室の権威までも揺るがしたからなのです。

 眞子さんの一連の行動を見ていると、天皇家の嫡系である内親王としての自覚が感じられません。
皇室にありながら自主性を重んじ、自由を謳歌する――公だけでなく私の部分も尊重する秋篠宮家の教育方針が影響したのかもしれません。
父秋篠宮の教育があったからこそ、眞子さんは「皇室を飛び出したい」「自由になりたい」という自分の意思を疑わず、将来を心配する周囲の声を無視することもできたのです。

皇族らしからぬ秋篠宮のアンビバレントな姿勢
 秋篠宮の自由を尊重する姿勢は、弟宮としての宿命が影響しているかもしれません。
兄浩宮は将来の天皇として周囲から盛り立てられますが、自分は「兄の控え役」としか見られない。
これは秩父宮でもあったことですが、幼い頃から兄との決定的な違いを突き付けられ、複雑な心境になることも多かったはずです。

公と私の間で揺れ動きながら皇族らしからぬアンビバレントな態度を取る秋篠宮の姿勢には、そういった成長の過程が影響していると思われます。

天皇家の危機は日本人の危機
 歴史を振り返れば、後醍醐天皇が建武新政に失敗した鎌倉〜南北朝時代をはじめ、天皇制が危機を迎えたことはありました。
それでも、何とか2000年余も続いてきたのは稀有なことであり、第一次大戦後、ヨーロッパの君主制が次々と崩壊を迎えたこととは対照的です。

 それほど天皇家は、日本人と離れがたく結びついてきたわけです。
天皇家の危機は日本人の危機でもある。

今回の小室さん騒動は、国民の失望であり、悲しみでもあるからこそ、これだけの騒ぎになったのです。
 宮内庁長官はじめ宮内庁の官僚たちは、今回の結婚で皇室から「危機」を切り離すことができたと考えているかもしれません。
あるいは、秋篠宮もこれ以上長引かせるのは皇室のためにならないと考え、儀式をしないという形でけじめをつけたのかもしれません。

皇族方に味方がいないと思わせてはいけない
 しかし、ニューヨークに住んでいても二人の動向は折に触れ日本に伝えられる。
眞子さんに続こうとする女性皇族が現れそうな予感もある。
皇室の危機は今も内在し続けているのです。

 今後、危機に瀕した天皇制をどう立て直すべきか。
これまでの「開かれた皇室」を閉じるわけにはいきません。
もし俗化し、より大衆化の流れにむかうならば皇室の意味も変わってくる。
やはり側近たちが心を入れ換えて皇族方をお守りする。そして時にはお諫めする。
この国のために厳しいお立場に立ち、お役目を果たしていただくのですから、皇族方に味方がいないと思わせてはいけません。
皇族を孤独にしてはいけないのです。

 令和の「皇室重大事件」は多くの教訓を与えていると受け止めるべきです。
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2021年11月23日

今さら人に聞けない「NISA」トコトン知る超基本

今さら人に聞今さけない「NISA」トコトン知る超基本
初めの資産運用はNISA活用で経験を積むといい
2021/11/22 東洋経済オンライン
森永 康平 : マネネCEO/経済アナリスト

この1カ月ほど、過去に投資未経験者や初心者向けにさまざまな媒体で書いた“NISAの記事”が読まれているという連絡を受ける機会が何度もあった。
とくに株式市場に大きな動きもなかったのに不思議だなと思い、その理由を探っていると先の総裁選や衆院選で「金融所得税率の引き上げ」や「NISAへの課税」という話題でSNSが盛り上がったからということがわかった。
結果としてはいずれも実現はしなかったのだが、せっかくの機会なので改めてNISAについて書いてみようと思う。

NISAの記事が再び読まれたキッカケ
NISAを理解するためには税金についての基礎知識が必要だ。
税金と一言でいってもさまざまな種類があるが、ここでは所得税について簡単に説明をする。

働いて得た給料の一部が所得税として徴収されていることは多くの方が知るところであろう。
そして、所得税には所得が多いほど税率が高くなる、いわゆる「累進性」がある。
例えば、年間の課税所得が195万円未満だと税率は5%だが、課税所得が4000万円以上になれば住民税も含めて税率は最高の55%(所得税45%・住民税10%)となる。
なお、念のためお伝えしておくと、4000万円以上は45%だが、それ未満の部分は各税率区分に該当する課税所得の税率が適用される。

しかし、インカムゲインと呼ばれる株式などの金融商品から受け取る配当金や、キャピタルゲインと呼ばれる株式の売買益は同じ所得でも「金融所得」という扱いになり、これらは各人の所得や資産の多寡にかかわらず一律で20%(所得税15%、住民税5%)となっている。
その結果、いわゆる富裕層は所得に占める金融所得の割合が大きくなる傾向があり、金融所得課税は一律で20%なので、富裕層ほど所得全体で見た税負担率が下がっていくため、その格差を是正すべく金融所得課税を見直して、一律引き上げようという議論が生じ、個人投資家を中心にSNSで議論が盛り上がったのである。

筆者は分離課税の廃止や金融所得税にも累進性を持たせるという議論であれば価値があると考えるが、一律の引き上げは断固反対している。
一律の引き上げは格差是正というよりも、ただ単に国民の税負担を引き上げるだけになるからだ。
しかし、さらにおかしな発言が政治家から飛び出した。
のちに訂正されたが、NISAにも課税するというものだ。

NISAは「少額投資“非課税”制度」のことを指すにもかかわらず、そこに課税とはもはや矛盾していて意味がわからないのだが、これもやはりSNS上で炎上することとなった。

NISAを活用すれば税金は払わなくていい?
前述のように思いもかけぬかたちでNISAに注目が集まることとなったのだが、やはり資産形成を考えるのであれば、NISAを活用しない手はないだろう。
仮に投資で100万円儲けたとしても、2割近くを税金で持っていかれてしまうのに対して、100万円損をしても、2割損失補填してもらえるなどということはなく、丸々損失になってしまう。
投資家としては理屈ではなく、非常に不公平であるという感覚を持ってしまう。
しかし、NISAを活用すれば投資で得た利益は非課税だ。

また、NISAといっても、「一般NISA」、「つみたてNISA」、そして未成年には「ジュニアNISA」と3種類の制度がある。
筆者は講演後に大人の方から「一般NISAとつみたてNISAのどちらが得か?」という質問をよく受けるが、そもそも制度の内容が違うため、どちらが得かというよりは、自分の目的や環境に適したほうを選べばよいと回答している。
毎月3万円ぐらいをコツコツと積み立てて投資をしたいのであれば、年間投資上限額が40万円のつみたてNISAがいいと思うが、年間で100万円以上投資をしたい、または個別銘柄に投資をしたいということであれば、自然と一般NISAを選ぶことになる

ただし、一般NISAは2024年から新NISAとして、一部投資条件に変更があるため、その点は留意したい。
そもそも、なぜリスクが伴う資産運用をしなければならないのか。
2019年に金融庁の金融審議会「市場ワーキング・グループ」の報告書によって、「老後の30年間で約2000万円が不足する」と発表されたいわゆる「老後2000万円問題」が、国民が資産運用に興味を持つきっかけになったといわれることが多い。

だが、先進各国のなかで例を見ない低成長を続け、労働者の賃金が上昇しないままに非正規雇用の割合が増えているわが国においてはそのような報告書がなくともわかり切っていた話だ。
あくまで報告書で提示されたのは一定条件の下での試算であり、2000万円でも不十分な世帯もあると考える。

資産運用、または投資というと一攫千金のようなギャンブルというネガティブなイメージを持つ人もいまだに多いが、本稿で触れるのはあくまで老後などの将来に備えて行う資産運用のこと。
誤解を避けるために資産形成という表現を使ったほうがいいのかもしれない。

資産形成はあくまで収入の中から生活に必要な支出をしたあとに残るお金のうち、一部は貯蓄し、残ったお金を投資するといった程度の話であり、決して大きなリスクをとって短期間で大金を稼ごうという話ではない。
資産形成は3つのキホンを大切に いざ資産形成を始めようとすると、何から学べばいいかわからないという声もよく聞くが、そういう人こそ「つみたてNISA」を活用して一歩目を踏み出せばいいと考える。

資産形成には3つのキホンがある。
1つ目は長期投資。
つまり、短期で儲けたとか損をしたという話ではなく、10年、20年という長期目線で複利効果を効かせて投資をするのだ。
つみたてNISAを活用すると非課税で保有できる期間は20年間だから、まさにちょうどいいだろう。

2つ目は分散投資。
例えば1つの企業の株式に全額投資するのではなく、複数の企業の株式、または債券や不動産などさまざまな資産、そして日本だけでなく欧米や新興国などさまざまな地域に分散投資することでリスクも分散するということだ。

そして3つ目は底で買って天井で売るといった、タイミングを計って投資をするのではなく、毎月定額で淡々と積み立てるということだ。
つみたてNISAは投資可能な商品が限定されていると否定的な印象を持つ人も見るが、3500社以上の上場企業や2000本以上ある投資信託の中から手数料や業績などさまざまな条件を見極めて投資対象を選ぶ作業量が圧倒的に削減されるのだから投資未経験者や初心者にはむしろメリットであろう。
NISAについていろいろと書いてきたが、NISA口座を活用したうえで、一般の証券口座で投資することも可能なので、
まずはつみたてNISAを活用して投資を覚え、知識や経験を積む一方で資金的な余裕も出てくれば、その資金を株式投資に充てるというような方法を実践してもいい。

投資をするというと書籍やネット上の情報を読んで知識を増やそうとする人も多いが、筆者は実践こそが最高の学習であると考える。
月1000円でもいいのでとにかく初めの一歩を踏み出すことが重要であるとアドバイスをしたい。
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2021年11月24日

非喫煙者の女性に肺がん急増…女性ホルモン関与の可能性と医師

非喫煙者の女性に肺がん急増…女性ホルモン関与の可能性と医師
11/23(火)  女性自身

「74歳の母が先日、肺がんの手術を受けました。市の検診で、たまたま見つかったんです。
幸い早期発見でしたが、母はたばこを吸わないので、まさか肺がんになるなんて思ってもいなくて。本当に驚きました」(40代Aさん)

女性の肺がんの罹患者は増えている。
’18年の新規罹患者は約4万人。死亡者数も急増していて、同年は約2万2000人が肺がんによって亡くなった。
じつは新規罹患者の60〜80%は、Aさんの母のように、たばこを吸わない非喫煙者だという。
今年6月に肺がんを罹患していることを公表した女優の広田レオナ(58)も、〈もう何十年もタバコ吸ってないのに肺ガンか…〉とブログで明かしている。
肺がんといえば喫煙というイメージが強いが、なぜたばこを吸わない女性に増えているのだろうか。

国立がん研究センターがん対策研究所は今年、「非喫煙女性の肺がんは、女性ホルモンの“エストロゲン”が関係している可能性がある」という研究結果を発表した。
この研究にたずさわった一人で、がん対策研究所・室長の澤田典絵さんは、こう説明する。
「40〜69歳のたばこを吸ったことがない約4万2000人の女性を21年間追跡した結果、400人が肺がんに罹患。うち305人が“腺がん”というタイプの肺がんでした。
アンケート結果を分析したところ、閉経が早い女性(47歳以下)に比べて、遅い女性(51歳以上)のほうが肺腺がんのリスクが1.41倍高く、初潮から閉経までの期間が短い女性(32年以下)と比べて、長い女性(36年以上)のほうが肺腺がんのリスクが1.48倍高いことがわかったのです」

■手術によって閉経した場合も高リスク
「正常な肺や肺がんの組織には、エストロゲンが結合するエストロゲン受容体があることから、肺がんの発生にはエストロゲンが関係していると考えられます。
そのため、エストロゲンに長くさらされることが、肺がんの発症と関係している可能性があります」

食生活や生活習慣などの変化で平均初潮年齢が早まったことや、エストロゲンの分泌が少なくなる授乳期間が少子化の影響で短くなったことなどが、肺がんの増加に影響しているのかもしれない。

肺がんは、「非小細胞がん」と「小細胞がん」に分類され、女性に多い腺がんは「非小細胞がん」に属している。
卵巣を摘出するなど外科的処置によって閉経した女性は、2.75倍も腺がんのリスクが上がったという研究結果も出た。
「外科的処置によって閉経したことで、急激にホルモンの変化が生じたり、術後のホルモン剤の服用などがリスクを上げている可能性があります」

同様の研究結果は海外でも。
「米国でも過去42年間で男性の肺がんは36%減少したのに対し、女性は84%増加。
罹患した女性のうち約20%が生涯非喫煙者でした」
ボストン在住の医学博士で内科医の大西睦子さんはこう語る。
「米国のジョンズ・ホプキンス大学やペンシルベニア大学、イエール大学、アメリカ疾病予防管理センターなどで、非喫煙者と肺がんの関係は研究されています。
昨年には、ミズーリ州のトルーマン医療センターが、『非喫煙者の欧米女性より、非喫煙者のアジア女性のほうが、より肺がんになりやすい』という考察を出しました。
米国では肺がん女性の約20%が非喫煙者ですが、アジアでは肺がん女性の60〜80%が非喫煙者だったからです」

ただし、“女性ホルモン”にだけ気をつければいいわけではない。
「肺がんのリスク要因のうち、もっとも大きいのが喫煙。
ほかにも要因はさまざまあります。エストロゲンは、あくまでもリスクのひとつと考えてください。
いずれにせよ、検診を毎年受けるなどの予防をおすすめします」(澤田さん)

こうしたリスク要因をまとめたのが次のチェックリストだ。

【肺がんリスクチェックリスト】
□ たばこを吸っている、吸っていた時期が100日以上ある
□ 家族に喫煙者がいる
□ 幹線道路の近くなど空気が悪い場所に住んでいる
□ アスベストやラドンガスに暴露した時期がある
□ 親やきょうだいに肺がん罹患者がいる
□ 初潮から閉経の時期が長い(36年以上)
□ 外科的手術により閉経した
※取材をもとに本誌作成。

チェックが多いほど、リスクが高い。
あてはまる人はぜひ検診を受けよう。

「女性自身」2021年11月30日・12月7日合併号 掲載
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2021年11月25日

平均給与436万円だが…「中間層の拡大」で露呈する、日本人の「恐ろしい経済格差」

平均給与436万円だが…「中間層の拡大」で露呈する、日本人の「恐ろしい経済格差」
11/24(水) 幻冬舎online

国税庁『民間給与実態統計調査』(令和2年)より、「平均」からは見えてこない、日本人のリアルなお金事情について見ていきます。

「中間層の拡大」…眼前に現れるのは「恐ろしい格差」
昨今、「中間層の拡大」が世界各国で急速に広まっています。
たとえば中国。習近平国家主席は「過度な所得の規制」を明示し、共同富裕に向けた政策実現を急いでいます。
さらに米国では、バイデン大統領が「この国は、ウォール街によってつくられたのではない。アメリカの中間層がつくったのだ。(This country wasn’t built by Wall Street bankers, CEOs, or hedge fund managers. It was built by the American middle class.)」と発言したことも話題になりました。

日本は言わずもがな、岸田文雄首相が10月の所信表明演説で「中間層の拡大、そして少子化対策です。中間層の拡大に向け、成長の恩恵を受けられていない方々に対して、国による分配機能を強化します」と発言、金融課税所得や現金給付など、格差是正に向けた政策実現を進めています。

そのほか保育士や介護士といった業種の方々の賃上げも目玉政策として掲げられていますが、その効果には疑問の声も。

「中間層の拡大」は実現するのでしょうか。現状を見ていきましょう。
まずは業種別の平均給与。国税庁『民間給与実態統計調査』(令和2年)によると、平均給与(給与・賞与・諸手当含む)について、最も高いのは「電気・ガス・熱供給・水道業」の824万円。
「金融業,保険業」の627万円、「情報通信業」599万円と続きます。
最も低いのは「宿泊業,飲食サービス業」の260万円。
諸手当を含んだ金額であることを踏まえると、かなり厳しい現状が見て取れます。
*********************
電気・ガス・熱供給・水道業……824万円
金融業,保険業……627万円
情報通信業……599万円
学術研究,専門・技術サービス業・教育,学習支援業……518万円
製造業……513万円
建設業……491万円
運輸業,郵便業……436万円
不動産業,物品賃貸業……424万円
複合サービス事業……411万円
医療,福祉……401万円
卸売業,小売業……376万円
サービス業……359万円
農林水産・鉱業……297万円
宿泊業,飲食サービス業……260万円
-----------------------------------------
   全体平均 436万円
*********************
業種間格差が鮮明になっていますが、それぞれの業種について「年収の最多の層」はどこか。
また違った様相が見えてきます

「電気・ガス・熱供給・水道業」「飲食業」の壮絶な差
*********************
電気・ガス・熱供給・水道業……1,001万円〜1,500万円(4万人/平均年齢29.3歳、平均勤続年数29.3年)
金融業,保険業……401万円〜500万円(22万人/平均年齢37.5歳、平均勤続年数10.4年)
情報通信業……401万円〜500万円(33万人/平均年齢37.3歳、平均勤続年数8.4年)
学術研究,専門・技術サービス業・教育,学習支援業……301万円〜400万円(40万人/平均年齢39.4歳、平均勤続年数8.2年)
製造業……401万円〜500万円(166万人/平均年齢41.2歳、平均勤続年数12.5年)
建設業……301万円〜400万円(71万人/平均年齢46.8歳、平均勤続年数12.3年)
運輸業,郵便業……301万円〜400万円(74万人/平均年齢48.5歳、平均勤続年数8.8年)
不動産業,物品賃貸業……101万円〜200万円(26万人/平均年齢59.6歳、平均勤続年数13.7年)
複合サービス事業……301万円〜400万円(9万人/平均年齢38.7歳、平均勤続年数8.6年)
医療,福祉……301万円〜400万円(174万人/平均年齢42.0歳、平均勤続年数7.3年)
卸売業,小売業……101万円〜200万円(161万人/平均年齢51.1歳、平均勤続年数10.6年)
サービス業……201万円〜300万円(162万人/平均年齢46.9歳、平均勤続年数8.1年)
農林水産・鉱業……101万円〜200万円(17万人/平均年齢57.7歳、平均勤続年数18.8年)
宿泊業,飲食サービス業……100万円以下(57万人/平均年齢40.9歳、平均勤続年数5.4年) *********************
「電気・ガス・熱供給・水道業」の高額っぷりに驚いた方も少なくないでしょう。
また、「金融業,保険業」「情報通信業」は比較的年齢が若い傾向にあることが見て取れます。
厳しい数字を記録しているのが、やはり「宿泊業,飲食サービス業」。

本調査、「1年を通じて勤務した給与所得者」を対象に集計しており、正規・非正規の垣根はありません。
飲食業に関しては、パートタイムで働く方々が多いのも関係してはいるものの、それでもなお、業種間格差をあまりに痛感してしまう数値です。

上記データは「給与」、つまり働く日本人に限った「お金」ですが、そのほか公的年金や私的年金、資産運用によってそのほかの収入を得ている方々も少なくありません。

「所得」を見ていくと…「悲しい現実」が明らかに
そこで厚生労働省『国民生活基礎調査』(2019年)より、広く平均所得について見てみると、1世帯あたり平均所得金額は、「全世帯」が552万3,000円。
「高齢者世帯」が312万6,000円、「高齢者世帯以外の世帯」が659万3,000円、「児童のいる世帯」が745万9,000円となっています。

やはり気になるのは分布図。同調査によると、「200〜300万円未満」が13.6%、「300〜400万円未満」が12.8%、「100〜200万円未満」が12.6%と、所得300万円未満の世帯が最も多くなっています。

中央値は437万円。
平均所得金額(552万3千円)以下の割合は61.1%と過半数を超えています。
所得倍増も一時は話題になったものの、「2倍ではない」とされた現在、報道は沈下傾向にあります。
「中間層」の指し示す数字は何でしょうか。
コロナ感染拡大が落ち着いた今、国民の「お金への視線」は、より一層鋭くなっています。
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2021年11月26日

維新の「人材難」は“紅白戦の立憲”よりお寒い!代表選すら開けず、松井市長続投待望論まで浮上

維新の「人材難」は“紅白戦の立憲”よりお寒い!代表選すら開けず、松井市長続投待望論まで浮上
11/25(木) 日刊ゲンダイ

 4候補の独自色が見えず、サッパリ盛り上がらない立憲民主党の代表選
論戦も低調で「仲むつまじい紅白戦」「サークルの代表選び」とメディアもクサしているが、日本維新の会の党首選びは、よりお寒い状況だ。

 30日の立憲代表選の投開票日の3日前、27日に維新は代表選を行うか否かを決める臨時党大会を開く。
議決は国会議員と地方議員などの電子投票で行う予定だ。
代表選実施に過半数が賛成すれば、近く代表選が行われるのだが、現状では反対多数の雲行きである。

 国会議員から代表の松井一郎・大阪市長の「続投待望論」が浮上し、反対が過半数なら党規約に従い、松井氏の再任が決まるためだ。

 松井氏は昨年11月に“金看板”の大阪都構想が住民投票で再び否決され、再来年4月の市長任期満了で政界を引退すると表明した。
代表選が行われれば出馬せず、来年1月の任期満了をもって退任する意向でもある。

 自ら政治生命の火に息を吹きかけるオッサンに待望論が上がるのは、要は「人材難」に尽きる。
党の顔である副代表の吉村洋文・大阪府知事もすでに「府政に専念する」と代表選不出馬を表明。
党内に「新たな顔」は見当たらず、来夏の参院選を見据え、“親分肌”の松井氏に「続けて欲しい」との意見が圧倒しているようだ。

「ただ、代表選を実施しなければ一般党員は投票機会を奪われてしまう。
党がウリにしてきた『透明性』に反するとの異論も噴出しています」(維新関係者)

 そのため、代表候補として足立康史幹事長代理や、音喜多駿参院議員の名前も挙がるが、曲がりなりにも衆院第3党のトップが務まるのか。
党勢拡大とは裏腹に代表選をやろうにもチンピラばかりで、タマ不足。
ドングリの背比べとはいえ、「ポスト枝野」に4候補が名乗りを上げた立憲の方が、まだ健全に思えてくる。
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2021年11月28日

国会議員に「第3の財布」が! 年間780万円の立法事務費は領収書不要で使い放題の“お小遣い”

国会議員に「第3の財布」が! 年間780万円の立法事務費は領収書不要で使い放題の“お小遣い”
11/27(土) 日刊ゲンダイ

 歳費とは別に国会議員に支給される“もう一つの財布”は、月額100万円の「文書通信交通滞在費」(文通費)だけではなかった。
「在職期間1日で100万円が支給される文通費は問題だし、使途の透明化など改善すべき点も多い。ただ、文通費自体は情報発信や出張など議員活動には必要です。
それよりも、立法事務費はそもそも支給する意味があるのか、疑問の声が上がっています。趣旨に沿った使われ方から程遠いからです」(永田町関係者)

 立法事務費は衆参両院の各会派に対して所属議員の数に応じて支給される。
議員1人当たり月65万円、年間780万円。総額55億円に上る。
1人会派にも認められ、国会閉会中の月も交付されている。

「立法事務費の使い道は法律で『国会議員の立法に関する調査研究の推進に資するため必要な経費』と決められています。
領収書の提出や、使途の報告は必要ありません」(衆院事務局)
 ノーチェックなら使い放題だ。

「真面目に立法活動をしている議員もいますが、立法にお金がかかるとは思えません。
例えば、省庁へのヒアリングは費用は発生しません。
実際、立法事務費は、ほとんど立法活動には使われていないとみられています。
とくに与党は、立法作業を官僚に丸投げすることが多く、ほぼ“お小遣い化”しているといわれています」(国会担当記者)
 年間780万円ものお小遣いとはおいしすぎる。

「立法事務費にも切り込むべき」
 政治資金に詳しい神戸学院大教授の上脇博之氏はこう言う。
「使途が判明していないので、実際に立法にどれだけ費用が発生しているのかわかりません。
ただ、テーマによってはお金がかかることもあるでしょう。
文通費の問題に加えて、立法事務費にも切り込むべきです。
文通費と立法事務費を合体させた上で、使途を報告させ、余ったお金は国庫に全額返納させる。その際、関連の政治団体への寄付は禁止し、プールできないようにする必要があります」

 厚労省の内部調査から、国会議員が地元で使う「あいさつ文」などの作成を厚労省の職員に依頼している実態が明らかになっている。
依頼件数は報告されただけでも、1年で400件以上に上り、与野党議員に及んでいるという。

 あいさつ文すら自分で書けない国会議員に、立法事務費を支給しても、マトモに法律を作れるとは思えない。 
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2021年11月29日

「8時間睡眠がベスト」はウソ? 睡眠研究の権威が明かす「快眠法」のウソ・ホント

「8時間睡眠がベスト」はウソ? 睡眠研究の権威が明かす「快眠法」のウソ・ホント
11/28(日) デイリー新潮

 人生で費やす時間が最も多いのは何か。
仕事でも学業でもなく、生涯の3分の1を充てる「睡眠」である。
しかし近年、眠りにまつわる悩みを抱える向きは増す一方。
睡眠研究の権威、秋田大学大学院の三島和夫教授に、押さえておくべき「睡眠」13の最新知見を伺った。
 ***
〈「快眠法」やら「濃縮睡眠」「睡眠の質向上」に「爆睡術」。書店に赴けば、そんなタイトルの本や雑誌が棚に並べられている。テレビでも盛んに「睡眠特集」が組まれる。  しかし、〉  そうした本の中には、誤った記述が少なくありません。 〈と語るのは、秋田大学大学院医学系研究科精神科学講座の三島和夫教授。

 スタンフォード大学医学部睡眠研究センター客員准教授、国立精神・神経医療研究センター睡眠・覚醒障害研究部部長などを歴任した、睡眠研究のエキスパートである。〉
 例えば、その中には、「短時間睡眠法」のように、実は危険な睡眠法があったり、「朝に味噌汁を飲めば眠りの質が上がる」というように、効果を得るためには何トンも飲まなければならない「快眠食材」があったりする。

効果が弱く、実用的でない不眠対策法や、動物実験でしか証明されていない仮説段階の方法もあります。
 要は、睡眠を巡る言説には「都市伝説」が溢れているのです。
玉石混淆の睡眠常識。眠りに悩みを抱える現代人は、何を信じるべきか。
最低限、押さえておくべき常識を厳選し、三島教授に解説してもらった。〉

年代によって必要な睡眠時間は変化 
〈まずは、睡眠時間について。少なからぬ人が適正な睡眠時間は何時間か? と聞かれると「8時間」と答えるのではないだろうか。
8時間眠れると安心し、それ以下だと不安――ところが、だ。〉
 この数字には、ほとんど根拠がありません。 〈と、三島教授は一刀両断する。〉

 数字の出所がはっきりとしませんが、おそらく、日本人の平均睡眠時間が7時間42分で、そこから出てきた数字なのでしょう。
 しかし、押さえておいていただきたいのは、睡眠時間は、非常に個人差が大きいということ。
1日5時間程度で十分な人もいれば、9時間寝ないと日中の眠気に耐えられない人もいる。
それだけでも4時間前後の個人差があるのです。

 それに加えて、同じ人でも年代によって、必要な睡眠時間は変わってくる。
全世界の、5歳から85歳以上までの約3500人について、睡眠時間を集計・解析したデータがありますが、15歳で既に平均睡眠時間は8時間を切っていて、70歳を超えると6時間を下回りました。

 若い時ほど、エネルギーを消費して生活していますので身体を休める必要はありますし、年を取って基礎代謝が低くなると、その分、睡眠量が減ってくるのは当然といえば当然。
 個人差もありますが、あくまで平均値でいえば、働き盛りの30〜50代の人にとっては8時間弱でも十分だし、ましてや60〜70代にとってはもはや高望みです。

8時間適正説はウソ
 つまり、その人自身の、その年代においての「必要睡眠時間」というものがあり、問題になるのは、その時のライフスタイル上、睡眠時間がその数値より短くなったり、長くなったりして生活に支障を来している時。その場合は何らかの対処が必要ですが、「〇時間」という人間にとって守るべき絶対の睡眠時間があり、それに照らして多い少ないということが問題になるわけではありません。

それを理解せず、8時間を絶対的な基準にしておくと、「昨日は8時間寝られなかった」と焦りが出てストレスとなったり、不眠症の人はそれがまた、睡眠への不安を強化させたりと、マイナスの影響を与えてしまうのです。

〈「8時間睡眠」適正説は嘘ということだ。では、その人それぞれの「必要睡眠時間」を計ることはできるのだろうか。〉

 その人にとってベストな睡眠時間というのは、「目覚めた時に、ある程度の満足感を得られ、日中眠くなるなどの不具合や不満を感じずに快適に過ごせるような時間」のことです。
その時間を計る方法はありますが、特殊な実験環境下で行う必要があるため、簡単ではない。
あくまで簡易的ではあるものの家庭でできる方法もあります。

GWや夏休み、年末年始など、朝起きる必要のない日が1週間程度続く時がチャンス。
覚まし時計をセットせず、部屋のカーテンも閉めた状態で布団に入り、自然に目が覚める時間まで寝てください。
二度寝ができるならする。それを休みの間中、毎日続けてみます。
 日頃、睡眠不足の人は最初の2〜3日は、それを解消するための「リバウンド睡眠」で睡眠時間が長くなりますが、その後徐々に短くなり、4〜5日経つと一定の値に落ち着いてくる。
れが、その人にとって、その年代における「最適な睡眠時間」と考えてよいでしょう。

付きが良いのは睡眠負債のせい? 
〈4年前、新語・流行語大賞でトップ10入りした言葉が「睡眠負債」
誰しも毎日一定の睡眠時間が必要であり、それより睡眠時間が短ければ、足りない部分がたまって「眠りの借金」となる。
これが累積、蓄積すると認知症やがんのリスクを増大させてしまうという。〉

  10年程前、20代の男性15名に、実験室で前記の必要睡眠時間を計る実験を行いました。
すると、その時間は、平均して普段の睡眠時間より1時間以上も長かったのです。
しかも、この男性たちは健康で、普段取っている睡眠時間に不足を感じていなかった。
ここからわかるのは、睡眠不足も慢性化すると、日中の眠気などの症状を感じなくなってしまうこと。
毎日同じ匂いを嗅いでいるとその匂いを次第に感じなくなると思いますが、それと同じです。

弊害を感じていないので、対策も講じない。
これが睡眠負債の解決を難しくしているのです。
〈日本は世界で平均睡眠時間が最も短い国といわれている。先の実験でわかるように、とりわけ若い世代では、睡眠不足が慢性化し、睡眠負債がたまっている状態が見受けられるのだ。
しかも、その自覚はなかなか薄いのだが、「負債」を抱えているかどうか、それを計る指標があるという。〉

 床に就いてからどれくらいの時間で眠りについているでしょうか。
寝床に入ってあっという間に眠ってしまうのであれば、かなりの睡眠負債を抱えている状態にあると思います。
睡眠が足りている人は、照明を消してから脳波上の眠りに入るのに15分程度はかかるのが通常なのです。
「寝付きが良い」は従来、肯定的な意味で用いられてきましたが、これは大きな問題を孕んでいるというわけです。

 本来、生物として、眠りの体勢に入ってすぐ眠ってしまうのは、周囲の安全を確認できていないという点で、極めて異常な行動です。
 それと同じ意味で、電車の中で寝てしまうというのも、相当異常な状態。
外国に行くとよくわかりますが、電車の中で、女性や子どもが口を開けて寝ているというのは、睡眠時間が少ない、日本だけの特殊状況です。
他の生物がたくさんいる中で、生物が無防備な状態で寝ているというのは、本来、ありえないことなのです。

 現代社会、とりわけ日本のライフスタイルがいかに歪んでいるかがよくわかります。

社会的時差ボケ
〈では、その負債をどう補うべきか。すぐに思いつく方法は、休日の「寝だめ」であるが、〉  これはお勧めしません。
日に寝だめをすれば眠気は飛びますが、身体が本当に休まるかといえば、逆効果となることも少なくないのです。
 現代のライフスタイルでは、睡眠負債というのは、夜型傾向の人にたまりやすい。
しかし、そうした人も、平日は毎朝、通学や通勤で決まった時間に起きざるを得ないため、朝日を浴びて、後ろにずれがちな体内時計の調整ができています。
 しかし、休日に遅く起きてしまうと、また体内時計が後ろ倒しになってしまい、平日になると元のリズムに戻すのが難しくなってしまうのです。
 これを社会的時差ボケと呼びますが、例えば、休日に普段より3時間以上遅く起きる人は、毎週末、インド往復旅行に出かけているようなもの。身体に与える負担は大きい。

 ですから、土日も頑張って平日と同じ時間に起きるようにする。辛くても起きてしまうことが重要です。
そして、眠気の解消には、昼寝で対処する。
しかし、午後や夕方に寝てしまうと、今度は夜の睡眠に影響を与えますから、お勧めなのは、正午前後の昼寝。
すなわち、11時過ぎからお昼ご飯の直後までであれば、非常に効果的であると思います。

〈同様に、夜勤がある仕事についている場合も、〉  夜勤明けの休日は午後まで寝てしまう、というのは避けた方がいい。
これも体内時計を狂わせてしまい、通常勤務に戻った時の影響が大きい。
夜勤明けの休日も、眠気の解消は、数時間の仮眠とカフェインなどで対処する。
そして、その夜、早めに寝るなど、普段の体内時計を崩さないようにすることが重要なのです。

安全で効果的な「短時間睡眠」は存在しない? 
 また、1日6時間睡眠を取っているという人で、例えば「夜は4時間睡眠だけど、行きの通勤電車で1時間、帰りの電車で1時間寝て、計6時間寝ている」という人がいたとします。
この場合、夜6時間続けて寝ている人と同等の効果が得られるでしょうか。答えはNOです。

 よく知られているように、眠りにはまず、深いノンレム睡眠が来て、その後、浅いレム睡眠が訪れる。
それが起床まで繰り返されます。
深い眠りであるノンレム睡眠だけあればいいや、と「こまぎれ睡眠」も許容したくなるのですが、ノンレム睡眠、レム睡眠は脳のクールダウン、記憶の整理、体の修復などお互いに協同しながら一晩を通して流れ作業のように心身の調整を行います。どちらの睡眠が欠けても調整は上手くいきません。
このノンレム―レムの睡眠のリズム構造を「メジャースリープ」と呼びます。
メジャースリープがないと、身体の細胞の修復や免疫増強などの作業が完了できないのです。

 巷には「短時間睡眠法」などの書物が溢れていますが、30年以上、この研究をしてきて、私はついぞ安全で効果的な「短時間睡眠法」に出会ったことがありません。

 まとまった睡眠は、家計でいえば固定費。快適な生活を維持しようと思えば、それなりの金額が出てしまうものです。
そこを節約しようとは考えず、最低限の費用はきっちりと払う。そして残ったお金で仕事や遊びを存分に楽しむという考え方が肝要です。

寝室恐怖症
〈とりわけ20〜50代で、かような「睡眠負債」が問題になる一方、60代以上の中高年となると、今度は眠れないことに悩む向きも数多くいる。いわゆる「不眠症」だ。
成人の5人に1人が睡眠で休養が十分にとれていないとの調査結果も出ているが、これにも誤った「睡眠習慣」の影響がある――と三島教授は指摘する。〉

 先ほど述べたように、年を取れば運動量や基礎代謝が低くなり、必要睡眠時間も減ってくる。
若い時よりも睡眠が短く、浅くなるのは当然です。
 不眠傾向の方がなぜ、眠れなくなるかといえば、ひとつには寝室恐怖症がある。

寝室で眠れない経験をすると、その不安で寝床では眠れないようになってしまうのです。
レモンを見ると涎(よだれ)が出てしまうような、「条件付け」が起きるのと同じで、布団に入ったとたんに眠れなくなる。逆にこうした方は、昼間、電車の中だと眠れることもあるのです。
 しかし、それでも不眠症の方はなぜか最も苦しい場所である寝床にしがみつく傾向があるのです。

「布団に入っていればそのうち眠くなる」「眠れなくても横になっているだけで身体は休まるから」とよく言われるからでしょうか。
しかし、睡眠の専門医の間ではこれはNGワード。
15分以上、布団に入っても眠れなければ、寝床を出てリビングに向かいましょう。
で、もう起きていられないと思うまで、何かをしていればいい。

私の患者さんの中には、その時間、けん玉の練習をして、大会に出るほどまで上手になった人もいたくらいです。

睡眠禁止ゾーン
 これと同様、不眠傾向の方は、長く寝なければというプレッシャーのため、早めに床に就こうとする傾向があります。
しかし、例えば、それまで寝ていた時間の3〜4時間前に眠ろうとしても、おそらく寝付けないでしょうし、寝付けたとしても2〜3時間で目覚めてしまうはず。
実は、この時間帯は「睡眠禁止ゾーン」なのです。

 一般的な睡眠と覚醒のリズムを確認しますと、起きたばかりの時点ではまだ眠いですが、時間と共に覚醒度は高まる。
その後、お昼過ぎの時間帯を除き、覚醒度はゆるやかに右肩上がりで進み、下りに転じるのは、朝起きて太陽を浴びてからおおよそ14時間後です。
朝7時に起床しているとすれば、夜9時頃となります。
この時刻になると、脳内の体内時計からの指令で、睡眠ホルモン・メラトニンの量が増えたり、脳の温度が下がったりするなど、睡眠準備状態が整うため、一気に覚醒度が下がって眠くなるのです。
逆に言えば、睡眠準備状態が整う前、普段寝ている時刻のおおよそ3〜4時間前は、ゆるやかに右肩上がりで来た覚醒度が頂点に近づいている時間帯。目が冴え、なかなか寝つくことができないのは当然です。

 不眠傾向にある方などは、この原理に反してベッドに入ってしまうため、余計眠れなくなり、睡眠に対する不安が増すという悪循環に陥ることがあるのです。

飲酒に頼るのはNG
〈寝付きを良くするために、寝酒を一杯――。そんな習慣を持つ方も少なくないだろうが、三島教授によれば、それもNG。〉

 先進国や新興国など、世界10カ国の国民を対象に、「眠れない時にどうするか」を調査したところ、他国では「病院を受診」「カフェインを控える」など、真っ当な回答が多かったのですが、日本人で最も多かったのは「アルコール」でした。  お酒を飲むと眠くなるというのは本当で、胃腸から吸収されたアルコールが血液に乗って脳に到達すると、覚醒作用を持つ神経活動を抑える働きをし始めます。

 しかし、寝付きを良くするために毎晩アルコールを飲んでいると、身体がそれに慣れる「耐性」という現象が生まれ、催眠作用が徐々に弱くなってくる。酒量を増やさないと眠れないようになってくるのです。
そうなると依存状態となり、アルコール性の肝炎、膵炎や認知症など、さまざまな副作用に見舞われる可能性が出てきます。

 また、飲酒習慣が長くなると、深いノンレム睡眠はむしろ減るため、熟眠感も得られなくなります。
更には、アルコールの血中濃度は急に上がって急に下がるため、寝酒をして2〜3時間もすると、催眠効果の大部分が抜けてしまいます。
そのため、夜中に目が覚める「リバウンドによる中途覚醒」が起こってしまう。
つまり、睡眠の「質」と「量」両面を低下させるのです。

 実は、アルコールと睡眠薬は、脳で作用する場所も同一であり、ほとんど同じ働きを持っています。
しかし、睡眠薬は何となく危険というイメージを持っている一方、アルコールは少しくらいなら安心と、みな抵抗なく寝酒をする。これは随分ピントがずれている話です。

昨今の睡眠薬と比べれば、むしろ酒の方が危険性は高い。
寝酒に頼るのは、依存性が強く、副作用も多かった昔の質の悪い睡眠薬に頼っているのと同じと考えてください。
 適量の晩酌はストレス解消に良いですが、寝酒はNG。その違いは何かといえば、眠りからどれだけ間を置けるか。お酒は布団に入る4時間前までに飲むのが理想と考えておくのがいいと思います。

お風呂に入るタイミング
〈この他にも、ブルーライトが覚醒を招くため、寝る前にスマホを見るのがNGというのは最近では常識になってきた話。  就寝前の風呂も睡眠には良い効果をもたらすが、その場合もコツがあるという。〉

 寝る直前に入らないことです。
寝る2時間半前から1時間前までに入ると、もっとも寝付きが良くなります。
 睡眠とは、身体をパソコンに例えると、日中使用し続けているうちにCPU(=脳)が熱くなり、それを冷やすために冷却ファンを回している状態のことです。
 脳の温度は37℃前後を中心に、時間帯によってそこから1日に1℃ほど変動しています。
起床の1〜2時間前に最も低くなり、その後上昇して普段寝付いている3〜4時間前に最も高くなり、その後、滑り落ちるように下降していきます。この滑り台の傾斜が急であればあるほど、寝付きが良くなる。

 そこで、風呂に入り、脳の温度を人為的に上げると、脳にある体温センサーが驚き、脳の温度を下げるために毛細血管を広げたり、汗をかいたりと体温を下げる指令を出す。
そのことによって滑り台の傾斜が急になり、寝付きの良さをもたらすのです。

快眠グッズの効果は? 
〈最後に、巷に溢れる「快眠グッズ」について。
「快眠枕」「アロマ」「サプリ」など、実に購買意欲を駆り立てられるものばかりだが、本当に効果はあるのだろうか。〉  プラセボという意味では、それに期待を寄せている人にとっては効果ありだといえるでしょう。
しかも、睡眠というのは実にデリケートなもので心理効果は大きく、プラセボ効果は馬鹿になりません。
薬効のはっきりしている睡眠薬ですら、プラセボ効果に勝つのが大変なこともあります。
実際、私も三日月形の抱き枕を使っていて、これでないと寝苦しいのです。

 ただ、では、それらが新薬開発のように厳密な方法で睡眠に与える影響を確認したグッズであるかといえば、しっかりと睡眠改善効果が検証された商品はごく少数です。
 ですから、ひとつ押さえておいていただきたいのは、睡眠障害といわれるレベルの症状が出た場合、サプリや寝具、「快眠グッズ」に過度に頼らず、病院での受診も検討すること。
睡眠障害は80種類くらいあり、罹患率の高い病気が数多くあります。
快眠法に時間とお金を費やして睡眠障害の症状が進行してしまったケースもあります。

 睡眠の質や量が低下していると思っている“ヘルスコンシャス”な人が、良かれと思って身銭を切る分にはいいですけど、シビアな睡眠障害を抱えている人に効果があると思われると、科学的根拠は薄いのです。そこはきちんと理解しておくべきでしょう。
〈以上、眠れない現代人が理解しておくべき13の常識。終わりに、三島教授が言う。〉

 アメリカの研究所の試算では、睡眠障害の治療費や、作業効率の低下による業績悪化、事故による損失など、いわゆる睡眠障害によって生じる日本における社会的損失は年間約15兆円にも達するともいいます。
 睡眠は個人の問題であると同時に社会全体の問題でもある。
間違った情報に惑わされず、正しい「常識」を身に付け、質量ともにしっかりした眠りを取っていただきたい。
睡眠は、生きている限り一生付き合い続けなければいけない生活習慣なのですから。


三島和夫(みしまかずお) 秋田大学大学院教授。
1963年、秋田県生まれ。87年、秋田大学医学部を卒業し、同大や米バージニア大、スタンフォード大などで睡眠医学研究に携わった後、国立精神・神経医療研究センターで部長を務める。
2018年より現職。
『睡眠と覚醒 最強の習慣』など著書多数。医学博士。日本睡眠学会の理事も務める。

「週刊新潮」2021年11月25日号 掲載
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2021年11月30日

精神科医がやっている 悩みを小さくする方法

精神科医がやっている 悩みを小さくする方法
2021年11月29日 ダイヤモンドオンライン

シリーズ18万部突破のベストセラー『精神科医Tomyが教える 1秒で元気が湧き出る言葉』、渾身の感動作で自身初の自己啓発小説『精神科医Tomyが教える 心の荷物の手放し方』(2022年1月11日発売)の著者が、voicy「精神科医Tomy きょうのひとこと」を音声配信。

コロナ禍で不安やストレスを抱えがちないま、言葉のパワーで心のなかに小さな希望を増やしてくれる。
きょうのひとことは、これ! 「悩んだら来年、再来年のことを考えてみて」

■思考の幅を広げると悩みは小さくなる
きょうのひとことは、 「悩んだら来年、再来年のことを考えてみて」 悩みを小さくする方法というのは、実はあるんです。 結論からいうと、それはもっと大きなことを考えるということです。
もっと大きなことというのは、たとえば自分の人生の目標などです。
時間で、もっと大きく考える方法もあります。
たとえば、来年とか再来年、いま抱えている悩みが続いているだろうかと考えてみると、だいたいのことは消えてしまうわけです。
こんなふうに、相対的により大きな目標や大きな時間の単位で考えることによって、いま抱えている悩みがちっぽけなものだということを認識すれば、悩みを小さくできるということです。

そもそも人の悩みごとというのは、大きければ大きいほど悩まされるとは限りません。
小さな悩みでも、すぐに解決しなければならないものほど人は悩みます。
なぜなら、悩みは小さなことでも期限(締め切り)が近いと悩んでしまうからです。
だから、相対的にもっと大きな課題や改善点などに思考の幅を広げると、期限が目前に迫っていないこともあって、そんなに悩まなくなるわけなんです。

もちろん悩みの大きさによっても、悩み方は変わりますが、いくら小さな悩みでも期限が近づいているほうが、大きく悩む傾向があるということです。
しかし、やるだけのことをやっていれば、それ以上やれることはないのですから、クヨクヨ悩んでばかりいると、やはり頭が疲れてしまいます。

だから、やるだけのことをやっていると思えるのなら、一度、悩むのは止めて、ドンと構えてみる。
一方、なかなかそうもいかないも現実ですね。
そういうときこそ、相対的に大きな目標や大きな時間に思考の幅を広げて、いまの悩みが果たして来年、再来年まで続くのかどうかと、思い直してみるんです。
すると、まあそんなにクヨクヨ考えなくてもいいかというふうに、気持ちを切り替えやすくなります。

きょうのひとことは 「悩んだら来年、再来年のことを考えてみて」 でした。
参考になったかしら?
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