「でも」「だって」「どうせ」の3Dを止めるだけで、問題の8割は解決する!
そこそこ幸福に生きる40のコツ
バク@精神科医:精神科医
生きづらさの多くは、自分自身の考え方から生まれる
生きづらさは、これまでの連載で述べてきた通り、大部分が自分自身の考え方から生まれています。
だから生きやすくなるためには、物事のとらえ方や困ったときにどう動くかなどの考え方を変えるしかありません。
でも、そんなに大変なことが簡単にできたら、この本を手に取っていないですよね。
「明日から、こんなふうに考えてください。ラクになりますよ!」と言われ、「はい、わかりました。そう考えるようになりました。はい、ラクです!」……。
なんて、それができたらこの世に悩みは存在しません。
正直、私でもそんなことをいきなりやれと言われても、やれないと思います。
ですからまずは、嘘でも構わないので無理やり「行動」を意図的に変更していってみましょう。
その第一歩は、「言葉づかい」をちょっとだけ意識して変えてみる、というものです。
その中でも、最も効果が出るけれど、直すのが意外に大変なのが「3D」と私が呼んでいる言葉。
これをなるべく言わないように意識してみましょう。
なぜ、「でも」「だって」「どうせ」を 使ってはいけないのか?
この三つの言葉を話し始めで言わないようにするチャレンジを、ちょっとずつ練習しましょう。
1日ほんの数回からでもいいのでとりあえず始めてください。
実際、「でも」「だって」「どうせ」を言わないように、と思うだけで結構つらい人は多いはずです。
しかし、これを使わずに会話をするといろいろ目に見えて変わります。
大げさに言えば「人生が大きく変わります」。
理由は簡単。この三つの言葉は、全部“否定”。
すべてを打ち消してしまうという共通項があるので、開始からの否定を1回止めてみる、という会話スタンスの改革が行われるからです。
今「人生が大きく変わります」と言われたとき、あなたはこんなふうに考えませんでしたか?
「どうせ、私にはできっこないし……」 人生変えたい! とこの連載を読んでいるのに、その言葉が出てきた瞬間に、これから私が述べようとしていることが、全否定になってしまいます。
やってみようという気力もごっそり落ちているし、どれだけ私が説明しても、頭が「できっこない」と受け入れ態勢ゼロになってしまっています。
せっかくここまで読んだのにひたすらお金と時間と体力の無駄です。もったいない。
「でも」幸せになりたい! 生きやすくなりたい! ってまだ思えるなら、その否定はOKです。
ちょっとだけ読み進めてください。
患者さんの回答が「3D」で始まってしまうと、 アドバイスは受け入れてもらえない
診察でもよくあるのですが、精神科医がどんなナイスでマーベラスなアドバイスをしても、患者さんの回答が「3D」で始まってしまうと、まぁアドバイスは受け入れてもらえません。
「上司の口調が、なんとなく自分を責めているような感じがするんです」
「では、上司の言うことをできるだけ無視する方法を考えましょう」
「でも、上司の席は私のすぐ隣なんですよ。無理に決まっているじゃないですか!」
これでは、方法を考える余地もありません。
疲れ切っている人は、こんなふうに即否定がクセになっていることが多いのです。
だから診察の場で私は、「3D禁止」をしてみませんか? と患者さんに説明し、良い悪いは別として、どれくらい患者さんが「3D」を使っているかを一緒にチェックしてみます。
「あ、今、『どうせ』って言いましたね?」という軽い感じでです。
完全にクセになってしまっている場合は、いきなり全面禁止にしてしまうと会話ができなくなります。
ですから、会話上、どうしても言う場合は、「先生、今これから、私は『でも』という言葉を使いますね」などと、先に宣言してもらうようにしています。