2021年12月19日

自分を大切にできるのは、自分だけ。メンテナンスを軽んじない

自分を大切にできるのは、自分だけ。メンテナンスを軽んじない
2021.12.18 Diamondオンライン
中野善壽ACAO SPA & RESORT代表取締役会長・CEO

他人と物理的・心理的な距離が広がり、「1億総孤独」といえる現代。
他者に依存せず、「個」として自立するには、どうすればいいのでしょうか。
寺田倉庫の経営改革などを果たし、NHK「SWITCHインタビュー達人達」でコシノジュンコ氏と対談、著書『ぜんぶ、すてれば』は4万部を超えるベストセラーとなった「77歳・伝説の経営者」、中野善壽氏は、「孤独を生きることで、自分の感性を信じ、磨き抜くことができる」と語ります。

中野氏は孤児同然の幼少期を過ごし、孤独のなかを生きてきました。
しかし、そこで自分の感性を磨き、「個」として自立していきます。社会に出てからは「孤独を武器」に、伊勢丹・鈴屋での新規事業展開や、台湾企業の経営者として数々の実績をあげてきたのです。
本連載では、中野氏の新刊『孤独からはじめよう』に掲載されている「他人に依存せず、自立して、素の自分をさらけ出して生きる」51の人生哲学から抜粋。
「一人で生きるのが当たり前の時代」に肩肘を貼らず、自分に期待し、颯爽と人生を楽しむ考え方を紹介します。

自分という個体を大切にメンテナンスする 孤独に生きるとは、自分という個体を大切に扱うこと。
体が衰えないように適度な運動習慣も続けていますが、僕は「洗顔」や「歯磨き」も決まったやり方を守って、続けています。
例えば、洗顔ならば、頬、鼻、額と、順番に泡をつけて、指の腹でくるくると十回ずつ。 決まった回数、決まった順序でゆっくりと、十分ほどかけて顔を洗います。
あちこちで見聞きしたことを組み合わせて、いつの間にか定まった自己流のスタイルです。
コツは、筋肉が凝り固まらないように、指でほどよく刺激しながら洗うこと。
歳をとると顔の筋肉が衰えて、なかなか笑顔がつくれなくなるそうです。 僕はいつまでも気持ちよく笑って生きていたいから、顔の筋肉を丁寧にほぐすことを毎朝の日課にしているのです。

歯磨きも念入りに。 一本一本の歯を、順番に八回ずつ、歯ブラシで擦る。
「それは磨き過ぎですよ」なんて歯医者にも笑われるくらい時間をかけて、歯と歯茎を健康に保つための手入れをするのです。
舌もしっかりと磨いてから、水で口をゆすいだ後は、耳を3回引っ張って血流促進。
もう十年以上欠かさず続けている習慣だから、何も考えなくても勝手に手が動きます。

自分を大切にできるのは、自分だけ
ただ、無心になって、自分に向かって集中できる時間。
メンテナンスの時間を軽んじないことが大切です。
朝起きるときには、まずベッドの上に座って座禅を組むようにして、股関節や足首をストレッチ。 さらに膝を立てて、腰を伸ばす。 関節が伸びるのを感じてから、活動を始めます。
これらも全部決まったルーティンです。

お祈りまで含めると、メンテナンスだけで2時間以上かかるのですが、僕にとっては必要かつ重要な時間。
この時間をいつもどおりの順序とリズムでできない日には、調子が狂ってしまいます。
1、2、3……と心の中で数を唱えながら、無心になって自分の体と心を整える。
その繰り返しによって、「個」の感性が磨かれていく。 誰にも侵されたくない、大切な積み重ねの時間です。 (本原稿は、中野善壽著 『孤独からはじめよう』から一部抜粋・改変したものです)

中野善壽(なかの・よしひさ)
ACAO SPA & RESORT代表取締役会長・CEO
東方文化支援財団代表理事 寺田倉庫前代表取締役社長兼CEO 1944年生まれ。
弘前高校、千葉商科大学卒業後、伊勢丹に入社。子会社のマミーナにて、社会人としてのスタートを切る。
1973年、鈴屋に転社、海外事業にも深く携わる。
1991年、退社後すぐに台湾に渡る
台湾では、力覇集団百貨店部門代表、遠東集団董事長特別顧問及び亜東百貨COOを歴任。
2010年、寺田倉庫に入社、2011年、代表取締役社長兼CEOとなり、2013年から寺田倉庫が拠点とする天王洲アイルエリアをアートの力で独特の雰囲気、文化を感じる街に変身させた。
2018年、日本の法人格としては初となるモンブラン国際文化賞の受賞を果たす。
2015年12月、台湾の文化部国際政策諮問委員となる。
2019年に寺田倉庫を退社。
地域や国境を越えた信頼感の醸成をはかり、東方文化を極めたいという飛躍したビジョンを持つ東方文化支援財団を設立し、代表理事に就任。
国内外のアーティスト支援を通して、地方再生やアジアの若手アーティストの支援などを行っている。
2021年8月、ホテルニューアカオ(ACAO SPA & RESORT)代表取締役会長CEOに就任。
著書に『ぜんぶ、すてれば』(ディスカヴァー・トゥエンティワン)、『孤独からはじめよう』(ダイヤモンド社)がある。

独を力に変え、前に進む術を。
現代は、孤独の力を見失いがちな時代です。
あまりにも情報が多く、顔の見えない他者の声が無数に聞こえては流れていき、内なる自らの声がかき消されてしまいます。 いつしか消耗し、虚しさを持て余して、恨みを垂れる。
そんな繰り返しは、もうやめようと僕は言いたい。
もっと純粋な気持ちで、ありのままの自分で生きようと。 孤独を味方にすれば、選択肢は広がり、共に事を成す仲間は増え、家族や友人をより愛せるようになるのです。

◎孤独により自分の感性を信じ、磨き抜くことができる。
「一人で生きていける」と思うことで、周りに左右されない

自分をもつことができる。
◎素の自分をさらけ出し、「個として自立」することで自分に期待できる。
他者に依存しない人間関係を築くことができる。

◎他人と物理的・心理的な距離が広がり、誰もが孤独と向き合う時代に希望を灯す

posted by 小だぬき at 00:00 | 神奈川 ☀ | Comment(0) | 健康・生活・医療 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする