2022年03月01日

ウクライナに思わぬ苦戦でプーチン大統領イライラ! 誤算続きで短期攻略のシナリオ崩壊

ウクライナに思わぬ苦戦でプーチン大統領イライラ! 誤算続きで短期攻略のシナリオ崩壊
2022年02月28日 日刊ゲンダイDIGITAL

 今ごろ、プーチン大統領は「もくろみ違いだ」と焦っているのではないか。
ロシア軍はウクライナへの全面侵攻から1日足らずで首都キエフに迫ったものの、ウクライナ軍が徹底抗戦。圧倒的な軍事力を背景に短期決戦のシナリオを描いたプーチン大統領は、苦戦を強いられ苛立ちを強めているという。
 ◇  ◇  ◇  
  ロシア軍は27日、ウクライナ東部にある第2の都市ハリコフに侵入。
ロシア国防省によると、現地ではウクライナ兵471人が投降したという。
一方、ハリコフに侵攻したロシア軍の半数が殲滅されたとの情報が飛びかっている。
ウクライナ内務省はハリコフからロシア軍部隊を撃退したと発表した。

 キエフでは地上戦が継続中だ。
ウクライナ側はロシア軍の侵攻開始から1日足らずでキエフ郊外への侵入を許したが、ゼレンスキー大統領は「国を解放するまで戦い続ける」と徹底抗戦を主張。
海外から志願兵を集め、外国人部隊を編成するとも表明した。

 実際、ロシア軍は燃料補給を狙い撃ちされ、思うように進軍はできていない。
英国防省は26日、ツイッター上で〈ロシア軍の進軍は計画通りには進んでいない〉〈(ロシア軍は)ウクライナ側の抵抗と兵站上の困難に直面している〉──などと戦況報告を更新。

米国防総省も「ロシア軍は進軍の遅れに苛立ちを募らせている兆候がある」と分析した。

ロシア側のスパイ・ネットワークが寸断されたか
 思わぬ苦戦を強いられ焦り始めているのがプーチン大統領だ。
速やかに首都を落とすはずが、次々に誤算が生じている。
国際ジャーナリストの春名幹男氏がこう言う。
「当初は2日以内にゼレンスキー大統領以下、ウクライナ指導部を拘束し、首都機能を掌握するだろうといわれていました。
ところが、昨年末から19万人もの戦力を集めながら、今のところキエフに決定的な打撃を与えた様子はありません。
恐らく、2014年のクリミア併合の時のように、特殊部隊などの限られた戦力で攻略できると甘く考えていたのでしょう。
苦戦を強いられているのは、ウクライナが国内のロシア系工作員の摘発に力を入れ、ロシア側のスパイ・ネットワークが寸断されていたからかもしれません」

 侵攻直後、キエフ北部に侵入したロシア側の工作員が殺害された。
侵攻前から工作活動をしていたとみられ、ゼレンスキー大統領の身柄拘束や殺害に失敗した可能性がある。
 ツイッター上では捕虜となったロシア兵が「訓練と聞かされていた」「本当の目的を知った時は行きたくなかった」などと釈明する映像も拡散されている。

ロシア軍は、昨年からウクライナ国境で“演習”を続けてきた。
年をまたいだ長期駐留で士気はガタ落ちだという。

「ロシア側にとって、ウクライナ側の抵抗も予想以上でしょう。
ソ連時代のアフガン侵攻と同じような泥沼化を避けられるかどうか。
長期化すればするほど、ロシア国内の反戦ムードはますます高まり、欧米はウクライナ軍に軍事物資を供給し続けることになる
プーチン大統領の思惑とは真逆の事態になりかねません」(春名幹男氏)

 すでに反戦デモは世界中に広がっている。
国際社会から爪はじきにされたプーチン大統領の暴走は、いつ止まるのか。
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2022年03月02日

貯金下手な人が無意識にやっている"NG習慣"

貯金下手な人が無意識にやっている"NG習慣"
2022年03月01日 PRESIDENT Online

着実にお金を貯めるにはどうしたらいいのか。
ファイナンシャルプランナーの大竹のり子さんは「自動積立型の定期預金や財形貯蓄を利用して、給与から一定額を先取りして貯蓄するのがお勧めだ。
残ったお金は自由に使えるし、ストレスなくお金を貯めることができる」という――。

■老後の不安も吹き飛ばせる“先取り貯蓄”
かれこれ20年以上、ファイナンシャルプランナーとして多くの家計を見てきましたが、その中で、ひしひしと感じていることがあります。
それは、「収入と貯蓄額は必ずしも比例しない」ということ。
バリバリと働き、多くの収入があるのにほとんど貯蓄ができていない人もいれば、収入が決して多いとは言えなくても、老後2000万円問題なんて吹き飛んでしまうほどの貯蓄をしている人もいます。

そして、そうした「貯まる人」に多く見られる共通点が、“先取り貯蓄”をやっている、ということなのです。
先取り貯蓄とは、毎月口座に残ったお金=貯蓄、というのではなく、給与が振り込まれたらまず、将来への備えとして一定額を先取りして貯蓄してしまう方法です。
その逆とも言えるのが、給与が振り込まれたらそこから日々の生活を支出していき、余ったらそれを将来のための貯蓄に回す、という方法。これを私は“成り行き貯蓄”と呼んでいます。

■いつのまにか“成り行き貯蓄”になっていないか
“成り行き貯蓄”と聞くと、計画性がない人がやっているようなイメージを持つかもしれませんが、そんなことはありません。 そもそも生活費というものは、予算を組んできちんと管理しようと思ったところでなかなか思い通りにはならないもの。
「親知らずが急に痛くなって歯医者に言ったら思いの外、治療費がかかってしまった」
「忘れていた頃に自動車保険のお知らせがきた」
「急にエアコンが壊れて修理したら数万円かかった」といったことは、誰にとっても起こり得ること。

自分は無駄遣いしないから大丈夫、と思っても、“先取り貯蓄”をしていない限りは、結果的に“成り行き貯蓄”になってしまっている可能性は高いのです。

「貯まる人」の多くは、“先取り貯蓄”をやっており、「貯まらない人」の多くは“成り行き貯蓄”になってしまっている――さて、あなたはどちらでしょうか。

■やりたいことにお金を使えなければ本末転倒
先取り貯蓄のメリットは、毎月着実に一定額が貯まっていくことだけではありません。
「貯蓄しなければ」と気にかけることなく、日々お金が使えるということも大きなメリットです。
先取り貯蓄をしていないと、毎月、生活費用の銀行口座に残った残高が貯蓄となるので、「少しでも多く残すために、なるべくお金を使わないようにしなければ」と常に節約のことが気になったり、お金を使うことに罪悪感を覚えたりしてしまいます。

もちろん節約自体は悪いことではありませんし、その心がけは大切です。
でも、お金は本来、貯めるためにあるのではなく、使うことで日常を豊かにするためにあります。
ネガティブな気持ちに囚われてしまうと、食べたいものややりたいことにお金を使うことを躊躇するようになり、本末転倒になってしまいかねません。

でも、極端な話、毎月一定額を先取りして貯蓄をし、あとは「残ったお金」の範囲でやりくりできれば、何の問題もないのです。
家計管理が苦手な人であっても「今月は旅行に行く予定があるから、その分外食は控えよう」「今月は新しいバッグを買ったから、その分できるだけタクシーを使わずに電車を使おう」といった具合に、残ったお金の中で折り合いがつきさえすれば、あとは自由に使い切ってしまってよい、ということになります。

■自動的に先取りされる「仕組み」をつくる
先取り貯蓄は、当然ながら早く始めるに越したことはありません。
来月から始めよう、今は仕事が忙しいから落ち着いたら始めようと思っていると、日々の忙しさに紛れてそのまま忘れてしまうかもしれません。
まだやっていない、という人は、後回しにせずすぐに行動に移すのがおすすめです。

ただし、先取り貯蓄を成功させるには3つのポイントがあります。
1つ目のポイントは、毎月、自分で引き出して貯蓄用の口座に移し替えるのではなく、自動的に一定額が先取りされ先取りの方法についてはあとで詳しく紹介しますが、財形貯蓄でも、自動積立型の定期預金でも、貯蓄型の保険でも、投資信託の積立でも何でもOKです。

とにかく自動的に先取りされる「仕組み」をつくることで、「今月は想定外の支出があったからやむを得ずスキップしよう」「今月は忙しくて銀行に行けそうにないから来月2カ月分まとめて先取りに回そう」といった“例外”を作らないようにするのです。

■「少し頑張れば確実にできそう」な額からスタート
2つ目のポイントは、無理のない金額から始めるということ。
毎月一定額を先取りして貯蓄できていれば、あとは自由に使い切ってしまってよい、とは言っても、そもそも残ったお金がやりくり可能な範囲でないと成り立ちません。
せっかく先取り貯蓄を始めても、生活費の補填のためにすぐに取り崩してしまってはあまり意味がありません。
先取り貯蓄は、残ったお金でやりくりすることに慣れるまでが最大の関門。
設定金額はほとんどの金融商品で細かく刻むことができますので、「2万円なら余裕でできそうだけど、3万円となると自信がない」という場合であれば2万5,000円で設定するなど、千円単位で「少し頑張れば確実にできそう」というラインを見極めて始めることもポイントです。

そして3つ目のポイントが、収入が増えたら先取り金額も増やしていくということ。
転職や昇給、あるいは副業などによって収入が増えたら、先取りする金額もこまめに増額していきましょう。
とはいっても、収入が増えたら全額を先取り貯蓄の増額にまわしましょうという話ではありません。
1万円昇給したら5,000円、といった具合に収入が増えた分の半分を毎月の先取り貯蓄の金額に上乗せするのでもいいですし、貯蓄残高が増えることが楽しくて仕方がないなら全額でもかまいません。
自分のモチベーションが保ちやすいルールを決めておくのがおすすめです。
いずれにしても、少しずつ先取り貯蓄の金額を増やすことで将来のために貯蓄を加速化していきましょう。

■手取り収入の2割が理想だが、無理は厳禁
先取り貯蓄の話をすると、よく質問されるのが、「毎月どのくらい先取り貯蓄に回せばいいのか」ということです。
答えは、収入の金額や生活状況などによっても異なりますが、あえて理想を示すとするならば、「手取り収入の2割」です。
毎月の手取り収入が20万円であれば4万円、30万円であれば6万円を先取り貯蓄に回せるのが理想的。
手取り収入の2割を先取り貯蓄していくと、おおよそ5年で手取り年収分が貯蓄できる計算になります。
しかし、これはあくまでも「理想」。

例えば、手取り収入が18万円しかないけれど都心で一人暮らしなのでどうしても家賃が6万円かかる、といった場合には、3万6,000円を貯蓄に回してしまうと残りが8万4,000円しかありません。
もちろんこの中でやりくりできればそれに越したことはありませんが、それよりも大事なのは、“先取り貯蓄”という習慣をしっかり定着させること。
無理をするのは厳禁です
2割が難しそうなら1割、それも難しければ0.5割からでもよいので、無理のない金額から始めましょう。

■手軽で定番なのは自動積立型の定期預金
では、実際に先取り貯蓄を始めるにはどのような方法があるのでしょうか。
先取り貯蓄の方法として一番手軽かつ定番なのは、自動積立型の定期預金です。
一度設定さえすれば、銀行が毎月決まった金額を普通預金から定期預金へと振り替えてくれるので、あとは放っておくだけ。毎月の振替日は給与の振込の直後に設定しましょう。
あらかじめボーナス月だけ積立額を多く設定することも可能です。
申込みは、窓口でも受け付けてもらえますし、ネットバンキングを利用していればインターネット上から申込んだり、設定を変更したりすることもできます。

■財形貯蓄を活用すると無意識でお金が増えていく
また、勤め先に財形貯蓄制度がある場合は積極的に活用したいところです。
金利そのものは雀の涙の財形貯蓄ですが、なんといっても給与が振り込まれるより前に天引きされるのが最大の魅力。
財形貯蓄で天引きされた分は「最初からなかったもの」として、手取り金額の中で生活することに慣れていければ、もはや無意識で貯蓄が増えていきます。

財形貯蓄には、「一般財形貯蓄」「財形年金貯蓄」「財形住宅貯蓄」の3種類があります。
「財形年金貯蓄」と「財形住宅貯蓄」は、それぞれ5年以上積立した資金を、住宅の新築・購入・リフォーム資金、老後の資金として引き出す場合には、合わせて元利合計550万円まで非課税となります。
これに対し、「一般財形貯蓄」の場合には、税金の優遇はありませんが、積立開始から1年経てば自由に引き出しが可能です。

■こつこつ貯めたお金が老後に受け取れる保険
貯蓄型の保険も先取り貯蓄の方法のひとつです。
例えば個人年金保険であれば、毎月1万円ずつ自動引落で保険料を支払い、老後に自分年金として給付金が受け取れます。
貯蓄型の保険も、特に円建ての商品の場合、定期預金や財形貯蓄と同様、積立した資金が大きく増えることは期待できません。
早期に解約をすると、元本割れしてしまうことにも注意が必要ですが、裏を返すと、この「解約のしにくさ」がメリットになる場合も。
なぜなら、「お金が必要になるとつい定期預金を解約してしまう」という人にとっても「一度加入した保険を元本割れしてまで解約する」ということの心理的ハードルは高いもの。
実際に「定期預金の積立は取り崩してしまっているが、貯蓄型の保険だけは続けられている」という人が多いのも事実です。

■貯めるだけでなくお金を増やしたい人は投資信託を
せっかく先取り貯蓄をするなら貯めるだけではなくて増やしたい、というのであれば、投資信託の積立がおすすめです。
投資信託はもともと積立サービスが充実している金融商品ですが、それに加えて今はiDeCo(個人型確定拠出年金)やつみたてNISAといった非課税制度も充実しています
iDeCoは60歳になるまで引き出すことができない点に注意が必要ですが、拠出した金額が全額所得控除の対象になるなど税金の優遇が大きいのが魅力。
無理のない金額の範囲であれば、老後資金準備の大きな味方になってくれます。
つみたてNISAは、一般のNISAに比べて非課税期間が20年と長いのが魅力。
また、iDeCoとは異なりいつでも引き出しができます。

「お金が貯まる人」の多くがやっているのが、“先取り貯蓄”。
まだやっていないという方はぜひ、今月からさっそく始めてみてください。

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大竹 のり子(おおたけ・のりこ)
ファイナンシャルプランナー
2005年、エフピーウーマンを設立し、人生に必要なお金の知識を身につける「お金の教養スクール」を展開するかたわら、各種メディアでも活躍中。
『なぜかお金に困らない女性の習慣』(大和書房)など著書多数。
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2022年03月03日

「人に頼る=恥」と考える人に伝えたい重要な視点

「人に頼る=恥」と考える人に伝えたい重要な視点
「支援される人=能力がない人」ではない!
2022/03/02 東洋経済オンライン
吉田 穂波 : 医師、神奈川県立保健福祉大学大学院教授

「リモートワークは孤独」「自己責任論に押しつぶされそう」「もっと雑談したいのにできない」「人手不足でパンク寸前」――新型コロナウイルス感染症予防で人との対話が生まれにくくなり、孤立する人の増加が問題になっています。
そのような状況の中、重要性を増すものとして「受援力(人に助けを求める力)」を挙げるのは、医師で公衆衛生学専門家の吉田穂波氏です。
新著『「頼る」スキルの磨き方』を上梓した吉田氏が、自らの経験を基に、受援力がなぜ必要なのかについて解説します。

医療従事者として痛感した「受援力」の必要性
私は医療従事者としての過重労働や、海外留学中の貧困生活、6人の子育てなどを通じて、他者に助けを求め、快くサポートを受け止めることの難しさと、受援力(困ったときにほかの人に助けを求めることができる力)の必要性を痛感しました。
そして、つらい状態にいるのに、声を上げられない人にこの「受援力」を発揮してもらうために、自分の中の受援力の見つけ方・磨き方、受援力を高めるボキャブラリー、受援力を発揮することで周囲にもたらすよい効果についてさまざまな研究をし、セミナーや研修、メディアなど多様な媒体を通して伝えてきました。

受援力を理解するには、「それがないとどうなるか」を事例として知ることも手助けになります。
そこで、私が個人の生きる力として「受援力」の価値を発見したエピソードを詳しく紹介しておきます。

2011年の東日本大震災で産婦人科医として妊産婦や新生児の救護に携わった際、支援を受けることを遠慮する多くの方に出会いました。
支援を受けることをみじめに感じている被災者の方々を見て、「自分が助けられてよいのだということを肯定しないと、いくら周囲が支援の手を差し伸べても助けることができない」と、歯がゆい思いをしたのです。
そんな私自身も、災害後、時間が経つにつれて移り変わっていく支援内容とその規模の広がりに、プロジェクト・マネジメントの能力が追い付かず、燃え尽きてしまいました。

鬱々とした状態の中でも助けを求められず、自分を追い込んでしまった失敗体験から、
「あまりにも自分が疲弊してしまうと、こんな大変な仕事を誰かに任せるのは申し訳ないと感じ、“辛くなっても最後までやり遂げなければ”“押し付けてはいけない”と考えてしまった」
「自分に余裕がないと、引き継ぎや説明が面倒でますます頼めなくなる」
「自分がいくら情熱を持っていても、1人で切り盛りしていると、必ずどこかで限界がくる」 ということに気づきました。

自分が人に頼れずパンクした経験から感じたことを整理すると、次のようになります。

・“同じ人でも状況によっては「受援力」を発揮できない。いつでも使えるようにする“防災”と同じような心の備えが必要
・私も自分自身の「受援力」が足りなかった
・誰だってうつ状態になることがある。うつ状態になる人や、自殺を考える人は特別な人ではない
・小さなストレスには強くても、大きすぎるストレスには弱い。大きすぎるストレスで折れそうな人を救うには、「自分は頼ってもいいのだ」「助けたい人が周りで待っているかもしれない」という受援力マインドを日ごろから作っておくこと。
そうでないと、いざというときに使えない
・人間には当然ながら、限界というものがある
強みと弱みは1人ひとり違う これは「レジリエンス」とも相関します。
レジリエンスは「脅威や困難などの状況下においても、うまく適応する過程
・能力・結果」のことで、心をしなやかに保ち、燃え尽き症候群や抑うつから人を救うキーワードです。
レジリエンスは、災害が起きたときの被災地支援活動の場でもよく使われる言葉で、困難な経験をしても、しなやかに回復する力を意味します。紛争や災害のような現場は、ともすれば、 「支援する人=能力がある人」 「支援される人=能力がない人・助けてあげなければいけない人」 という上下関係を生み出しがちです。でも、助けられる人はいつも能力が低い状態の人なのかといえば、そうではありません。 人は、状況、時期、健康状態などによって、支援が必要となったり必要ではなくなったりします。
また、ある面ではその人の弱みである部分が、時と場合によっては強みになることもあります。
別のタイプの強みを持っている場合もあります。

つまり、人の強み・弱みは1人ひとり違い、その違いがあるからこそ私たちは全体として強いのです。
それなのに、支援する側の立場の人が支援を受ける相手に対して無意識にでも優越感を覚えてしまうと、支援される人だけでなく、実は支援する人自身の受援力の発揮をも妨げる原因になります。
支援する相手のことを弱い人だと思っていると、いざ自分が困ったときに、助けられる側、つまり逆の立場となることができず、助けを求めることに抵抗を感じてしまうのです。

私たちは小学校のころから、「人助けをしましょう」「困っている人がいたら力になってあげましょう」と教えられてきました。
人を助けるには、困っている人に手を貸せばいいのですから、行動としてはシンプルです。

でも、自分が困っているときに「わかりません」「できません」と言えるでしょうか。
困ったときには助けを求めようということや、助けを求めるためのノウハウ、「うまい助けられ方」「助けられ上手になる方法」などは習ったことがありませんし、とっさに思いつくものでもありません。
しかも、周囲の人を見ていると、何でも自分できちんとしっかりこなして生きて(働いて)いるように見えるものです。
すると、頼るということが、何か悪いことで恥ずかしいことのように思え、誰かの手を借りることに、負い目や抵抗感を覚えてしまいます。
だからこそ、「困ったことがあったら気持ちよく頼る」「相手に迷惑をかけているとは思わない」ための訓練(受援力トレーニング)が必要なのです。

人から助けられることで謙虚になる
「人に助けてもらう経験」は、自分自身を「人助け上手」にすることにもつながります。
自分が人助けをしていい気持ちになっても、相手に対して優越感を覚えているばかりでは、逆の立場になろうとは思いません。
でも、人から助けられる経験をすると、同じように困っている人の存在に気づき、手を貸せるようになるのです。
なぜかというと、自分が助けてもらった経験を通して、自分に限界があることを知ると同時に、誰にでも限界というものがあることが理解できるようになるからです。
すると、誰かを助けるときも謙虚になり、自然と手を貸す気持ちになります。
自分が助けられることで謙虚になり、人の優しさや自分の人間関係資本(ソーシャル・キャピタル)に気づくことができるのです。

私たちのDNAに埋め込まれている“利己的な遺伝子”には、利他的行為をするようプログラミングされています。
利己的な行動だけでは種が存続しません。
種が生き延びられるよう、他者の役に立ちたい気持ちを誰もが持っているのです。
人の役に立ちたい気持ちを持つ人ばかり集まっても、助ける相手がいなければ「人の役に立ちたい」「人に喜ばれたい」「感謝されたい」という気持ちが満たされません。
助けられる人は弱い人なのではなく、周囲の人の強みやよさを引き出す重要な存在です。

支え合うためにはまず支えられ、今度は自分が支えに行く。
この順番で支え合いのサイクルが回ると考えれば、SOSを出すことへのハードルが低くなるかもしれません。
自分がSOSを出すことで、喜んで手伝ってくれる人が必ずいる。
うまくSOSを出せば、人助けをしたい気持ちを満たすことができる。
相手の自己肯定感も上がり、力を発揮でき、元気になる――そんなふうにポジティブな捉え方をしてみると、頼ることについての、新たな価値が見えてくるのではないでしょうか。

それに、自分が弱音を吐くことで、ほかの困っている人も声を上げやすくなり、多様な人が共に生きやすい社会が作られます。
「できる」「わかる」は1つの基準かもしれませんが、「できない」の内容は一人ひとり違います。
その多様性をさらけ出し、認め合うことこそ、社会のしなやかさ――レジリエンスにつながるのです。

「忍耐=美徳」「我慢できない=恥」ではない
震災時の医療ボランティア活動の中で、人に迷惑をかけまいと自分だけで問題を解決しようとし、孤独を抱え、ふさぎ込んでいく人々を見るにつけ、日本では他人に助けを求めない、というよりは、助けを求めることを否定している文化があるのではないかと思いあたりました。

「忍耐=美徳」というよりも、「我慢できない=恥」と教えられていて、いつのまにか、自分で自分や家庭を守れないのは「失格」と思い込んでいるのではないでしょうか。
真面目で努力家の人ほど、自分で自分を追いつめてしまいがちです。
一方的に「助けを求めている」とだけ考えると「申し訳ない……」と遠慮してしまいそうになりますが、人に頼ることと、人に迷惑をかけるということとはまったく違います。

力になってもらった後、相手に感謝する、喜ぶ、など、モノでは代わりにならない心という大きな価値をお返しすることができれば、WIN-WINの関係になりえます。
そして、人の力を借りた分、頑張ろう、恩返しをしようと努力すれば、今度は頼ってもらえるようになり、誠実さと善意のよい循環を生み出すことになるのです。

そのためにも、「上手に助けを求める+たっぷり感謝する+大いに喜ぶ」をセットにして、「助け合い」ではなく、双方向性の「頼り合い」を、あなたから始めてみませんか。
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2022年03月04日

マスコミ4媒体はなぜ「ネットに敗北」したのか

マスコミ4媒体はなぜ「ネットに敗北」したのか
電通が発表「2021年広告費の成長」を読み解く
2022/03/03 東洋経済オンライン
境 治 : メディアコンサルタント

電通は毎年この時期、前年の日本の広告費を推計して発表している。その2021年版が2月24日に出た。
日本の広告費全体は10%増の6兆7998億円と、コロナ禍により大きな痛手を受けていた前年に比べ回復した。
また、そのうちインターネット広告費は前年比21%増の2兆7052億円となり、「マスコミ4媒体」(新聞、雑誌、ラジオ、テレビ)の2兆4538億円を初めて超えた。

ネット広告費が全体の数字を押し上げている
ただ広告費全体の「回復」は、コロナでどん底だった2020年に対してであり、その前の2019年には戻せていない点に注意が必要だ。
また、全体の数字を上げているのはインターネット広告費の成長であり、マスコミ4媒体が喜べる状況ではない。

インターネット広告費はまず2009年に新聞広告費を超えた。
10年後の2019年にはマス広告の本拠地であるテレビ広告費を超えてしまった。
残りの雑誌、ラジオ広告費は金額が小さいので当然だが、それからたった2年でマスコミ4媒体全体より大きくなったのだ。
何しろインターネット広告費はマスメディア(マスコミ4媒体)広告費がコロナ禍で急落する中、多少伸び率が小さくなっただけで相変わらずぐんぐん伸びていた。
2021年はテレビ広告費がやっと2020年の水準に戻せたかどうかという中、さらに加速度的に伸びたのだ。
グラフにすると、登るには急すぎる坂ができる。勢いを増して昇り龍の如く天を目指しているようだ。

2021年、マスメディアはインターネットに負けたのだ。
負けた、とはどういうことか、いくつかの視点で考えてみよう。
広告業界の視点では、こう捉えられる。「テレビと新聞」が「テレビとネット」になり「ネットとテレビ」になった。
ほんの15年ほど前までは、テレビと新聞が広告メディアのいいコンビだった。
1975年にテレビ広告費が新聞広告費を抜いた後も、この2つのメディアは広告キャンペーンを支え合って成長してきた。
テレビCMが派手なアイデアで世の中を賑わせ、新聞広告では同じタレントとキャッチコピーを使いながら詳しい情報を伝えた。互いに役割を補完し合い信頼し合っていた。

2000年代前半で見ると、テレビ広告費2兆円に対し、新聞広告費1兆円。1兆円差のコンビだった。
2008年のリーマンショックで企業が広告費を減らしてマスメディアが一様に大打撃をくらった後、2009年に新聞広告費がインターネット広告費に抜かれ、少しずつテレビと新聞の関係は薄くなった。
新聞広告は気がつくと広告キャンペーンから外され、電話番号を大きく記した健康食品などの通販型だらけになっていった。
1軍からいきなり3軍に飛ばされたようなものだ。

新聞に代わってインターネット広告が1軍に躍り出た。
テレビをあまり見ない若者層に、テレビCMが届かないのを補うために使われた。
効果が本当にあるのか、しつこいターゲティングしてくる、知らない間にやばいウェブサイトにも表示される。
そんな文句を言われながらも、数字で結果が見られるのを強みにぐんぐん伸びていった。
使い方もさまざまなテクノロジーを駆使し、動画のメニューも増やして幅を広げた

テレビといいコンビとは言えなかったが、テレビの足りないところをうまくカバーしていた。
2019年に金額でインターネットがテレビを抜いてからの2年間、「テレビとネット」は「ネットとテレビ」に徐々にシフトしていった。
2021年のマスメディアの敗北は、つまり広告メディアの王様がインターネットになり、「主役はネットでテレビはその補完」になったと言える。
インターネット広告費が約2兆7000億円に達したのに対し、テレビ広告費(地上波テレビのみ)は約1兆7000億円。
ネットとテレビは1兆円差の新しいコンビになったのだ。

先日登壇した業界向けのウェビナーで、同席したある大手企業の広告担当者が実際にこう言った。
「デジタルをまず考えてテレビでどう補完するかを考えます」。
私は衝撃を受けたが、もちろんその担当者が特に先見性がある方だからだ。
だが遅かれ早かれみんなそうなるということだろう。

広告メディアとしてのテレビは、ネットの補完物になったのだ。

なぜ雑誌はデジタル化で成功できたのか
電通発表の日本の広告費では2018年からインターネット広告費の中に「マスコミ4媒体由来のデジタル広告費」という項目を設けた。
新聞や雑誌のデジタル版、ラジオのradiko、テレビで言えばTVerのような番組の見逃し配信。こうしたマスメディアが作ったネットメディアの広告売り上げを集計している。

2021年版「マスコミ4媒体由来のデジタル広告費」では、新聞213億円、雑誌580億円、ラジオ14億円、テレビ254億円だ。一番金額が大きいのが雑誌であることに注目してほしい。
ちなみに紙媒体としての雑誌広告費は1224億円、つまり紙:デジタル=2:1(1224億円:580億円)になっている。

メディア企業でもDXが叫ばれている。
実は雑誌業界はもっともDXに成功しているメディアなのだ。
ヨイショするわけではないが、東洋経済オンラインは先行事例の一つだと言っていい。
他の雑誌メディアも紙の雑誌のブランド力をうまく活かしてデジタル版を成功させつつある。
なぜ雑誌だけうまくいっているのか。そこにマスメディアとインターネットの本質の違いがある。

雑誌は元々セグメントメディアだったからだ。
インターネットでのメディアが成立するには、セグメント性がカギになる。
特定のジャンル、特定の興味範囲を明示すると、そのカテゴリーに興味がある人が集まってくる。
ネットは同じ興味の者同士が自然と引きつけ合う傾向があり、うまくいけばコミュニティを形成する。
広告メディアとして「うちにはこんな人たちが集まっています」と企業にアピールしやすいのだ。

ネット広告はターゲティングできるからいい、とよく言うが、メディアそのものがターゲティングできていればアピール力は高い。
さらには、コミュニティに対しさまざまな有料サービスを提供して多様なマネタイズも見えてくる。
雑誌は紙の時代からインターネット的なメディアだったと言える。

東洋経済オンラインは「経済」というカテゴリーで先んじて成功した。
週刊文春デジタルは「スキャンダル」のカテゴリー化で読者を獲得する。
ほかの雑誌も「〇〇」を明確にすることでデジタル版の道筋が見え始めた。
それが先述の「マスコミ4媒体由来のデジタル広告費」に表れている。
ここ数年、徐々にさまざまな出版社がそこに気づいた結果が「紙:デジタル=2:1」となった。

デジタル化の道筋が見えないテレビと新聞
ではほかのマスメディアはどうだろう。
radikoはいち早く危機が訪れたラジオ業界が力を合わせて2010年に株式会社として設立された。
まだまだだが、若者の間では無料で音楽が聴けると親しまれ始めている。
彼らの多くはラジオという機械は知らないし、関係ない。道筋はもう決まっていると言っていい。

テレビは出口が見えない。
見逃し配信の受け皿としてTVerは2015年には立ち上がっていた。
だが各局が本腰を入れる気があるのかはっきりしなかった。
2020年になってようやくキー局が合計70億円の出資をして本腰を入れる姿勢を示した。だが遅すぎに思える。
TVerはドラマの見逃し配信が中心になってここまで来た。
最近は人気のドラマが登場するたびに過去最高の再生数と報道されるが、あまりにもドラマ中心になってしまったように見える。
つまり「ドラマ好きの若い女性」というセグメントメディアになっているのだ。
そんな中、キー局の同時配信がようやくTVerでスタートする。

昨年秋に日本テレビが開始し、キー局が年内には揃うと言われていたが、システム改良に時間がかかったらしく、4月初旬に揃うようだ。
だが各局ともプライムタイムのみで常時ではない。
本来は常時同時配信を実現させ、見逃し配信もすべての番組で行うべきだ。
一方NHKは独自にNHKプラスという、同時配信+見逃し配信のサービスを2020年から始めているが、民放と別々でいつまでやるのだろう。
独自にやっている限り、「NHKをよく見る高齢者」というセグメント向けのサービスになってしまう。だから数が増えない。

さらにローカル局がネットでどうするかも大問題だ。
同時配信はキー局がやっと開始した段階で、ローカル局も含めてどんな形になるかは何も決まっていないようだ。
同時配信が東京の放送を日本中で見せるサービスになっていいのか。九州の人が、身近に起こった大水害について知りたいと思っても東京の火事のニュースを見せられ天気予報では関東の地図が出てくるのだ。そんなサービス、地方の人は怒るだろう。

日本人の6割以上が地方に住んでいるのに、ローカルの情報をどうするかを決めないでどうするのか。
こんなことではテレビはネットで生き残れない。
誰のためのサービスかも含めて、顔を突き合わせた議論が必要のはずだが、そんな気配はまったくない。

新聞はデジタルでどう生き残るのか
新聞業界に至っては、DXのデの字も感じられない。
もっとも早くネット版を出していたはずなのに、先述のようにデジタルでの広告収入は213億円にすぎない。
おろおろする様子ばかり伝わってきて、デジタル時代にこうする、という力強いビジョンを誰も掲げていない。
新聞の発行部数は団塊の世代が支えてきた。
若い層がどんどん「新聞離れ」を起こしていたこの20数年間、高齢層は手放さずにいてくれた。
その核である団塊の世代は2030年代に80歳を超える。

人口ピラミッドの予測図を見ると、男性では団塊ジュニアよりグラフの棒が低くなる。
読者がいなくなってしまう新聞はデジタルでどう生き残るか、今からでも本気で考えないと大変なことになる。
10年後に日本中の巨大な輪転機が廃棄物になりかねない。
マスメディアがインターネットに負けた。
それはメディアがマス中心からセグメント中心にパラダイムシフトする時代の変化を表す。

だが、マスメディアのニーズは小さくなってもゼロにはならないはずだ。
それは今回のロシアのウクライナ侵攻で誰もが感じているだろう。
ニュース番組や新聞が正確な事実を迅速に伝えることには大きな価値がある。
価値があることには経済価値もついてくるはずだ。
マスメディアが生き残る余地がそこにある。

だがほっといても魔法のようにマスメディアが生き残れるわけではない。
さまざまな試行錯誤と新たな発想が必要だ。
テレビ業界と新聞業界が本気でDXに取り組まないと、どこかで戦争が起こっても本当のことがさっぱりわからない世の中になりかねない。
旧弊に縛られず、既得権にしがみつかず、本気で自らを改革してほしいと思う。
posted by 小だぬき at 00:00 | 神奈川 ☔ | Comment(0) | 社会・政治 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2022年03月05日

頑張っても努力しても どうにもならないことはやめましょう

【精神科医が教える】 頑張っても努力しても どうにもならないことはやめましょう
2022年03月04日  ダイヤモンドオンライン

感動小説『精神科医Tomyが教える 心の荷物の手放し方』の著者が、voicy「精神科医Tomy きょうのひとこと」から、とっておきのアドバイス。
心がスッと軽くなる“言葉の精神安定剤”で気分はスッキリ、今日がラクになる!

■無理だと思ったら、それは無理なこと
きょうのひとことは、 「無理なものは無理と認めよう」

仕事でもプライベートでも、「これは無理だな」って思うことありますよね。
そう思ったら、その無理なことを、それこそ無理やりひっくり返さないようにしてください。
無理だと感じたら、それは無理なんです。

ところが、人は無理筋なことであっても、いろいろと知恵を出して頑張ろうとしがちです。
いったんやりはじめたことをやめるのは、けっこう勇気がいることでもあります。
経営の世界では、いったんはじめたビジネスに費やした経費を惜しんで、やめる決断ができない状態を「サンクコスト(埋没費用)効果」というそうです。

「いったんやりはじめたことをやめてしまうと、それまでの努力が無駄になる」とか「やめること≒いけないこと」と罪悪感を覚える人も多いです。
「これは無理じゃない」「無理だけどなんとかする」と、自分の気持ちを曲げて、なんとか立ち向かおうとする。
これは一見すると、素晴らしいチャレンジのように思えるかもしれませんが、そうではないのです。
無理なものは無理ですし、無理じゃなかったら無理だと思わないはずです。

「無理を承知でやらなきゃいけない」なんて美化してしまうこともあるのですが、無理なものは無理なのです。
そもそも、無理という言葉は、「理(ことわり)が無い」と書きます。
つまり、「物事の筋道が無い」ということです。

では、どうすればいいのか。
無理なこと自体は変えられませんから、その無理なことにつき合わなくていいように自分の環境を変えることです。
無理なことにつき合わなくてもいい環境に変え、無理な事態が起こらないようにするしかありません。
無理なことは、無理じゃなくならないということを割り切ることが必要です。

もちろん、なんでもかんでも無理だから諦めるという話ではありません。
たとえば、跳び箱を5段飛ぶのは無理だと思っていたけれど、コツコツ練習したら飛べるようになったという話があります。 それはいきなり5段飛ぶのが無理なのであって、自分ができそうだと思える3段からはじめて、4段に挑み、4段が飛べるようになってから、5段に挑む。
そういう無理のない挑戦によって、小さな成功体験を積み重ねて達成するものです。 それが人間の成長でもあります。
ちょっと背伸びすれば乗り越えられそうなことに対しては、無理とは思わないですよね。

一方、人間が見た瞬間に「これは無理だ」と感じることは、やはり無理なんですね。
どうあがいても乗り越えられそうにない壁を一気に乗り越えようとしても、そのときはどうにもならないんです。
そして、無理なことを無理してやろうとすると、自分を痛めつけてしまいます。

 無理なものは無理と認めて、「勇気ある撤退」をすることも大事なのです。
きょうのひとことは、 「無理なものは無理と認めよう」 でした。
参考になったかしら?
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2022年03月06日

電車内での凶行に遭遇したらどうすべき?トラブル対処マニュアル

電車内での凶行に遭遇したらどうすべき?トラブル対処マニュアル
2022年03月05日 SPA!

このところ、「拡大自殺」を目的とした放火や喫煙を注意した高校生への暴行事件など電車内での凶悪犯罪が相次いだ。
もし遭遇した場合どうすればいいのか。専門家と考えた。

◆何かしたいと思う人はいる。声をかけ協力し合う態勢を
 昨年10月31日の夜、会社員のSさん(32歳・東京都)は、渋谷のハロウィンを見物しようと京王線新宿行きの特急に乗車。
乗客17人が重軽傷を負った“京王線ジョーカー男”による凶行が行われた電車だ。
犯行は3〜5号車で起き、乗客が6号車に乗っていたSさんの前を通過して逃げていった。
「犯人も見てないし、逃げてくる人たちは無言だったため事件が起きたことはわかりませんでした。
『ピーピー』と通報ボタンが押されたらしき音も聞こえたが、初めて聞いたため確証は持てません。
そうこうするうちに(5号車で)炎が上がったのが見え、火災だと思い、私も移動を始めました」

◆異常を察知した場合は非常通報ボタン
 交通技術ライターの川辺謙一氏は、列車内で異常を察知した場合、安全を確保した上で非常通報ボタンを押し、乗務員に状況を知らせるべきだという。
「非常通報ボタンには、インターホンで車掌と通話ができるものと、異常を知らせるだけのものがあります。
電車が遅れてしまったらとためらう方もいるようですが、定時運行よりも乗客の健康や命が大事なのは当然のこと。
斉藤国土交通大臣も、異変があれば躊躇せずボタンを押すよう求めています」

 非常通報ボタンは痴漢や暴行などの犯罪行為、不審な荷物を見かけた際も活用すべきだという。
ボタンが押されることが多いのは急病人の発生時だ。
昨年5月、JR学研都市線で通学中だった大学生のNさん(19歳・大阪府)は、ボタンを押して急病人を知らせている。
「何人かが席を譲り横になっている人がいて、自分がボタンに近かったので押しました。
乗務員に説明すると、次の駅で担架などの準備が万端になっていました」
 このように、ボタンが押されても直ちに停車するとは限らない。
連絡を受けた司令所の判断により、次の駅で対策をとる場合が多い。
「駅間で止めると皆が不安になってストレスを感じやすく、救急や警察も駆けつけにくい。そのため、異常が起きたときは駅に止めるのが好ましいです」(川辺氏)

◆「非常用ドアコックを触らないほうがいい」理由
 ジョーカー男による放火事件のあった京王線特急は国領駅で緊急停止したが、ホームドアがズレていたためしばらくドアが開かず、Sさんは窓からホームに脱出した。
 各扉には非常用ドアコックが設置されている。ふたを開けてレバーを動かすと、手動でドアが開く。
「大きな火災や地震でない限り、一般の方は非常用ドアコックを触らないほうがいいです。
走行中だと転落の危険性があり、停車中であっても線路に降りるには高すぎ、対向列車が来る可能性もある。
まずは非常通報ボタンを押し、乗務員の指示に従うのが順序です」

 列車外が危険だとはいえ、凶悪犯罪の場合、密室の車内で逃げるのは限界がある。
Sさんが避難した際には、連結部で人だまりができてしまったという。
もし、凶器を持った犯人が追ってきたら、追いつかれてしまう可能性が高い。

◆逃げるのが第一だが逃げるべきではない人も
 暴犯被害相談センターの加藤一統氏は、身辺警護のスペシャリストだ。
列車内で起きる凶悪犯罪への対処を次のように説明する。
「誰でもいいから殺したいという犯行では、最初に狙われたら私のような専門家でも避けるのは難しい。
ですから電車に乗るときは、スマホから目を上げて周囲を見るタイミングを作るべきです。
事件が起きたらまず逃げるというのは正しい対処ですが、果たして『逃げる』だけで完結する社会はどうなのか。
子供や老人、身体の不自由な人など、全員が逃げられるわけではない。
また、立場的に逃げるべきではない人もいます」

 保育士が引率する児童を置いて逃げるわけにはいかないし、親であれば身を挺して大切な我が子を守ろうとするだろう。
加藤氏のような身辺警護の仕事もそうだ。

◆刃物を持った相手に対応する方法
 元自衛官で、退官後に米国軍事会社でスナイパーとして中東の戦場を経験したOS氏が、刃物を持った相手に対応する方法を次のようにレクチャーする。
「恐ろしくてすくんでしまう人は、闘う必要はまったくありません。
端の車両にいて逃げ場がない、守るべき人がいるなどのやむを得ない状況で、なおかつ頭に『闘う』という選択肢が浮かんだ人だけが立ち向かうべきです」

 そうと決めたら、まずは、目的を明確にすることが重要だという。
「駅に到着する気配があれば、数分時間を稼げばよい。対峙する際は、バッグなどを盾にして胴体を隠すことは必須です。
時間稼ぎならば、盾と同時に持ち物のうちスマートフォンやACアダプタ、ステンレスボトルなどを投げつけるのも非常に有効です。
このとき声をかけて、できるだけ大勢で対処するのがいいでしょう」(OS氏)

 3人でバッグを持って立ち塞がれば、通路を塞ぎ、後ろの人を守ることができる。犯人は刃物を持っていることで圧倒的に有利な立場だが、立ち向かう側は、数の優位を生かして威圧することで相手の動きを止める可能性が高まる。
「無力化するためには凶器の排除が必要です。
バッグを盾にした状態で一気に距離を詰め、死に物狂いで凶器を持った手を押さえます」

◆声をかけて協力し合うことの必要性
 ただし、訓練を受けた人間でも手や顔などに切り傷を負うことは避けられないため、心構えが必要なようだ。
前出の加藤氏が話す。
「本当に殺す気がある人間が持っている刃物は大きく見えるんです。
想像以上に恐ろしいということを認識した上でイメージトレーニングをしてください。
そうじゃないといざというときに動けません」

 京王線に乗り合わせたS氏はヘッドホンをして気がついていない人に「火事です! 逃げて!」と声かけをしながら逃げた。また、JR学研都市線で非常通報ボタンを押したNさんは、複数人で救助にあたり「素晴らしい行動力を持った人が何人もいることが知れてよかったです」と述べている。

 一人で行動に移すのは難しくても、何かできることはないかと思う人は少なくない。
まずは、声をかけて協力し合うことが電車内のトラブル対処には必要だろう。

【交通技術ライター・川辺謙一氏】
東北大学大学院工学研究科修了、化学メーカー勤務後に独立。
技術系出身の経歴を生かし、交通分野で高度化した技術について執筆

【暴犯被害相談センター・加藤一統氏】
1995年より身辺警備に従事し、900件以上の警護依頼を請け負う。
優良なボディガードや探偵の無料紹介所「ボデタンナビ」を主宰

【元・民間軍事企業スナイパー・OS氏】
陸上自衛隊を任期満了後、オーストラリアで狙撃手の訓練を受講。
民間軍事企業(PMC)に勤務し中東で任務に。
退役し現在は会社員

取材・文/池田 潮
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2022年03月07日

端緒はタレコミだけじゃない…税務署員が必ずチェックしている5つのポイント

端緒はタレコミだけじゃない…税務署員が必ずチェックしている5つのポイント
2022年03月06日  PRESIDENT Online

税務署はどうやって申告漏れや所得隠しを見つけ出すのか。元国税調査官の根本和彦さんは「タレコミが情報源になることが多いが、それだけではない。
特に例年よりも多い経費を計上した場合は要注意だ」という――。
※本稿は、根本和彦『元国税調査官が捨て身の覚悟で教える「節税」の超・裏ワザ』(SB新書)の一部を再編集したものです。

■税務調査がやって来る…税務署員の本気度を見分けるポイント
税務調査には、種類というかパターンがあります。
大別すると、まず、「事前通知があるパターン」と「事前通知がないパターン」に分かれます。

「事前通知アリ」のほうは、税務署員が会社に電話をして、税務調査に行くことを知らせます。
そして、納税者と日程を調整して訪問します。
これは、通常のパターンといってよいでしょう。

「事前通知ナシ」の場合、税務署員がいきなり税務調査にやって来ます。
このパターンは、ある程度の覚悟をしてください。
すでに、税務署がかなりの証拠をつかんで来ている場合がほとんどです。
もちろん、確実な証拠はなく、決算書や申告書をチェックして脱税の形跡が見られたから来た、というケースもあります。
あるいは、銀行口座を見て脱税の可能性が高いと判断したからいずれにしても、「事前通知ナシ」で来たからには、税務署員側にそれなりの確信というか根拠があります。
間違いなく、「事前通知アリ」と比べて深刻度は高いと思ったほうがよいでしょう。

■深刻度が違う…「事前通知アリ」の場合の3パターン
また、「事前通知アリ」の場合でも、次の3パターンがあります。
@事前通知をせずに調査するほどではないものの、所得を隠していることが濃厚で、 しっかりと追徴課税を狙っている場合
A会社の売上げが増加していて黒字が続いているので、念のための確認で来ている場合
Bたんなる件数ノルマ達成のために来ている場合深刻度の高い順でいえば、@・A・Bとなります。

この3つのパターンを頭に入れたうえで税務署員の対応を見ると、どのパターンに当てはまるかがある程度わかると思います。 あと、調査の時期からもわかったりします。
税務署には、7月に定例の人事異動があります。そして、7月から新しいチームが発足し、税務調査にあたるのです。
翌年の人事異動は、前年の実績で決まるので、7月から12月までの調査は、税務署員たちの気合が入っていると思ってください。

7〜12月の調査の成績が、次の年の人事異動に反映されることになるので、この時期に調査に入られたら、
@が濃厚だと思って対処してください。 逆に、1月から6月までの税務調査は“消化試合”です。
AかBのパターンがほとんどで、税務署員も面倒に巻き込まれたくないと考えています。
したがって、1月から6月の調査ならば、納税者の言い分もかなり聞いてくれるでしょう。

■税務署に続々届く「タレコミ」の送り主は…
事前通知のアリ・ナシにかかわらず、税務調査が入るときには原因が存在します。
銀行や税関、取引先など、普段より、税務署はいろいろなところから情報を集めているのです。
その中でも、情報源として意外に多いのが、「タレコミ」です。
じつは、税務署には、電話やメール、手紙、直接の訪問といった形で多くのタレコミによる情報が寄せられているのです。

いったい、誰がタレコミをしているのか?
 それがじつに多様で、儲けていることが面白くない同業者や、社長にパワハラなどを受けて会社を辞めた元従業員、社長と別れた元配偶者だったりします。
つまり、個人へのストレートな復讐という動機がタレコミの背景にあることが多いのです。
身近な人を冷たくあしらうと、痛いしっぺ返しをくらうことになるということでしょう。

以前、こんなケースがありました。
社長との折り合いが悪くなって会社を辞めた従業員が、その会社の裏帳簿を税務署に持ち込んだのです。
その裏帳簿は、2〜3カ月分の帳簿で、それだけでも十分な証拠になるのですが、残りの期間の裏帳簿もあったほうが、重加算税をガッツリと取れます。
そこで、その元従業員に聞いてみたところ、残りの裏帳簿の隠し場所も教えてくれました。

■「おそらく、査察の案件になる」税務署員の“説得”は効果絶大
さっそく、事前通知ナシで調査に入ったのですが、タレコミで教えてくれた場所には、すでに裏帳簿は見つかりません。
おそらく、別の場所に移動させたか、焼却処分をしたのだろうと考えられます。
社長に問い質してみたものの、「裏帳簿なんて、あるわけないじゃないですか」と、簡単には口を割りません。
知らぬ存ぜぬ、の一点張りです。
この程度はこちらも想定内ですから、本格的な“説得”に入ります。
そして、察しのよい人ならお気づきでしょうが、こちらには切り札があります。
「今回は、地方の税務署で処理できる金額じゃないので、おそらく、査察の案件になると思いますよ。あんまり大事にはしたくないんですけどね……」と、査察をちらつかせます。

前述のように、事前に査察が来るなんて教えるワケはないのですが、効果は絶大です。
「毎日、国税局に呼び出される」「地元の新聞やニュースで報道される」などと畳みかければ、通常は、口を割ることになります。
そのときも、最終的に社長が折れました。
じつは、残りの期間の裏帳簿は最後まで見つからなかったのですが、2〜3カ月分を1年に換算して、重加算税を徴収することに成功したのです。
従業員や配偶者は、日頃からくれぐれも大事にするようにしてください。

■タレコミだけじゃない…税務署員がチェックする5つのポイント
タレコミなどの確実な情報がない場合、決算書や申告書をチェックするという正攻法で、調査対象を選びます。
決算書や申告書などのチェックにおいて、税務署員が特に注意するポイントは、おもに次の5点です。

@毎年黒字を計上し、売上げが増加していた
A例年と比べて、極端に売上げが増えた
B過去にないような経費の金額の増加があった
C決算期末の近辺で一気に経費が増えていた
D脱税を助けているような業者と取引があった

これらのポイントは、実務経験が豊富な税務署員であれば、決算書や申告書を見るだけでピンときます。
そして、件数ノルマの消化のために訪問するケースを除いて、最悪、修正申告だけは持って帰ろうとするはずです。
したがって、売上げの増加や黒字などは仕方ありませんが、例年よりも多い経費を計上するときは気を付けてください。
決算期末の時期にやれば、経費の水増しであることが簡単にバレてしまいます。

■税務署員は「個人事業主」の調査に甘いのか
個人で事業を行っている人は「個人事業主」に該当します。
税務署に「開業届」を提出している人を個人事業主であるという勘違いをしている人が少なくありませんが、開業届を出しているかどうかは関係ありません。
雇用契約を結ばずに、業務委託契約や請負契約で仕事をしている人は、全員、個人事業主になります。

フリーランスも個人事業主です。
なお、個人事業主は、事業主が1人で事業を行う場合だけでなく、家族や従業員を雇用し、複数のスタッフで仕事をしていても、法人でなければ個人事業主になります。
代表的な例としては、法人化されていない家族経営の商店や飲食店、税理士事務所などです。
こうした個人事業主は、法人に比べると、めったに税務調査に入られません。ほぼスルーされます。
そのおもな理由は、売上げの規模が小さいことと、個人事業主の数が多く、全体に対して調査に入る件数の率が低くなることです。
税務署によっても多少の違いはあるので、あくまで目安として考えていただきたいのですが、年間売上高が1000万円以下の個人事業主は、まず税務調査の対象にならないでしょう。
売上高1000万円以下というのは、いわゆる消費税の免税事業者です。
消費税は、私たちにとって最も身近な税金といえますが、「商品やサービスを購入した消費者が負担をし、販売をした事業者が納付する」という点で、税法上、他の税金とはかなり趣が異なります。

■個人事業主にも目を光らせている
そして、先ほど述べたように、消費者から受け取った消費税を納付しなくてもよい免税事業者という存在が認められています。
しかも、個人事業主および法人で、簡単にいうと、年間売上高が1000万円を超えていなければ免税事業者になるという、ゆるい条件しかありません。
免税事業者に税務調査に入っても、消費税を追徴することはできず、追徴税額は微々たるものに終わります。
税務署員からすると、非常にコスパが悪いため、往々にしてスルーすることになります。
ただし、個人事業主にまったく入らないかというと、それも間違いです。

税務署には、個人課税部門があって、法人課税部門と同じくらいの人員がいます。
毎年、必ず個人事業主には一定数以上の調査が行われます。
それが目立たないのは、前述したように、個人事業主の数が多すぎることが影響しています。
件数の正確なデータは公表されていませんが、国税庁の直近の公表データから推測すると、個人事業主の申告件数の約1%に調査が入っているようです。

個人事業主が税務調査に入られてしまうと、まず修正申告は免れません。
前述のデータでは、調査に入られた個人事業主の約85%が何らかの修正申告をしています。
その原因は、個人事業主の場合、経費に占める「家事関連費」のウェートがどうしても高くなるからです。

■税務署員が叩けば盛大にホコリが出る
家事関連費とは、個人用と事業用の両方で使っていて、切り離すことが困難な経費のことです。
具体的には、家賃や水道光熱費、ガソリン代、携帯電話などの通信費などが該当します。
また、飲食店の場合、食材費を家事関連費として計上することは、“常套手段”です。
店舗でお客に提供するために購入した食材を個人で使う食材として流用することは、それほど抵抗がない人が多いでしょう(飲食店が赤字でも事業を継続でき、生活も成り立つ要因といえます)。
本来、こうした費用を経費にするときは、個人用と仕事用とに区別して計上します。
経理上、区別して計上することを、「按分」と呼びます。
この按分は、大体どんぶり勘定で行われるので、税務署員が叩けば盛大にホコリが出ることになります。
その結果、修正申告が必要になるのです。
もし、税務調査を担当した税務署員が“イイ人”だった場合、「本来は修正申告をしてもらうところですが、今回は“指導”ということにしておきます」などといって修正申告もスルーしてくれる可能性があります。

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根本 和彦(ねもと・かずひこ)
元国税調査官YouTuber 1976年生まれ。
東北大学大学院修了、政策研究大学院大学修了。
在学中、研究者の道から路線を変え、大学院修了後はキャリア官僚として文部科学省入省。
数千億円規模の予算獲得、大規模な法改正に担当者として従事。
文部科学省退職後、民間の勤務を経て、国家公務員として国税局に再就職。国税調査官として会社の税務調査を行う。
税務調査では、主に悪質・困難な納税者を担当し、様々な脱税手法、脱税心理、欲に溺れた人間模様を目の当たりにする。2016年に国税局を退職。
YouTubeチャンネル「元・国税調査官【税金坊】」を開設し、中小企業の経営者や個人事業主向けに税とお金についての情報発信を続けている。
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2022年03月08日

疲れているのに眠れない…産業医が見ればわかる「4月にメンタル不調に陥りやすい人」3つのパターン

疲れているのに眠れない…
産業医が見ればわかる「4月にメンタル不調に陥りやすい人」3つのパターン
2022年03月07日  PRESIDENT Online

4月は公私ともに変化の大きい時期だ。
新年度を迎えて心身の調子を崩しやすいのはどんな人なのか。
年間1000人以上の社員と面談をしている産業医の武神健之さんは「社内異動をした人、育休明けの人、進学などで家族に変化がある人は気をつけたほうがいい」という――。

■「顔見知りが多い部署への社内異動」の罠
コロナ禍も2年がすぎ、来月にはコロナ禍での3回目の新年度が始まります。
4月は、職場では人事異動や転職、家庭では子供の入学や進学など、公私共々の環境変化が多い時期です。
ウィズコロナの新年度も3回目ですから慣れた人も多いと思いますが、ウィズコロナだからこその不安な気持ちを抱いている働く人も少なくありません。
今日は、働く人たちが感じる不安について、3人の産業医面談の事例からお話ししたいと思います。

1人目は外資系企業に勤めるAさんです。
新卒入社して5年目の20代後半の女性社員でした。
Aさんは残業時間が80時間を超えた人を対象にした長時間労働者面談をきっかけに、自ら昨年の3月に産業医面談に来ました。聞いてみると、年明けから新しい部署に異動し、新年度までは引継ぎ兼研修期間とすると異動前には言われていたようです。しかし、異動後5日目にチームに急な案件が入り、研修もそこそこで仕事量が一気に増えてしまったとのことでした。

新チームのメンバーたちにとってAさんは、同じ会社から来ているし、新入社員ではないし、過去数年間で業務上連携することも多々あったため顔見知りでした。
仕事も「わかっているだろう」「できるだろう」という気持ちがあったのか、誰もAさんを新メンバーとして気にかける事はないようでした。

■お互いに遠慮して声をかけられなくなる
もともとAさん自身が希望した異動でもあり、早く結果を出し認められたいと強く思うAさんは、コロナ禍の在宅勤務の中、夜遅くまで自宅で一人仕事をしていたとのことでした。
新しい業務なのでわからないことは多いものの、業務時間外にチームの人にわざわざ連絡して聞くことに気が引け、一人黙々と迷い悩みながらの仕事は効率が悪かったようです。
みんなの期待に応えられていないばかりか、実際はまだ慣れてすらいないこと、長時間働いているのに結果を出せていないこと、このような自分に焦り、最近は寝ても仕事の夢でうなされているようでした。

4月からは研修期間が終わり、自分も評価の対象となることばかりが気になり不安で業務に集中できない、食欲もなくなってきた……。
そんな状態でした。
コロナ禍での部署異動、特に顔見知りがいる慣れない部署への異動は、「見知らぬメンバーじゃないから大丈夫」と、周囲の人がフォローを油断してしまいがちに感じます。
出社勤務であれば、お互いにちょっとした声をかけやすいのかもしれませんが、在宅勤務が続くと相手の状況が見えず、こんなこと聞いたら/確認したら/言ったら失礼にならないか等々の気持ちを両者とも持ちやすいようでした。
Aさんは面談後、一度この現状を新チームの上司とお話しし、まとまった休暇を取り気力も体力も仕切り直してみることにし、無事に復職。現在は元気に働いています。

■“逆算時間”に追われ続ける育休明けの社員
2人目は、育休明けの2児のお母さんBさん、30代の方です。
Bさんは次女を出産後、4月からの育休明けの予定でしたが、部署が人手不足のため3カ月早く職場復帰しました。
コロナ禍でもBさんの部署は全員出社していました。
日常のスケジュールをお聞きすると、平日は保育園のお迎えのために18時に退社。0歳と5歳の子供たちの相手をしながら、ご飯を作って寝かしつけてから、夜には家で仕事を再開。
週末は家事と育児と持ち帰りの残業で、家と会社の境目もないような生活が続いているとのことでした。
私はこのような人を“逆算時間”を生きている人として、注意して面談をしています。

逆算時間というのは、朝起きたら、子供の登園時間から“逆算”して、家を出る時間、朝食の時間、子供を起こす時間を考える。
子供を園に送り、出社すると今度は、お迎え時間から“逆算”した退社時間に向けて、“逆算”して日中の業務をせわしなくこなす。
友人との優雅なランチタイムなどはなく、5分でも早く退社するために、いつもデスクランチか昼食抜き。
そして、子供と帰宅すれば、明日子供を起こす時間から“逆算”して寝かしつける時間を計算し、さらにそこから“逆算”して全ての家事育児タスクをこなすといった時間の使い方を指しています。

このような生活が続くと、仕事量が多い場合はもちろん、仕事量が平均やそれ以下でも、次第に心身ともに疲れ果てメンタル不調になってしまうことがあります。

■睡眠不足で忙しい日々が延々と続くのではないか…
Bさんは最近、疲れて眠れるはずなのに、寝付けなくなってきたと言います。
その時決まって考えてしまうのは、上の子は4月から小学生となるが、子供の勉強のフォローやPTAや保護者会の参加等々、今の生活プラスアルファの忙しさを思うとやっていけるだろうかということでした。
おまけに、保育園と小学校に通う子がいるということは、新型コロナ感染症により登園(登校)ができなくなる確率、子供が日中家にいなくてはならない=親も家にいなくてはならない確率も2倍になることが不安でたまらないと話します。
また先日、部署の若手が1人、3月末に退職することを知りました。
次の人が来るのかもわからず、業務は増えるとしか思えない。
睡眠不足の中、日中の忙しさをこなす生活が来月からも延々と続くのではないか。
主人も家事も育児もやってくれているから、恵まれているはずなのに、なんだか気分が晴れずにイライラしてしまうこともある。
いろいろと堂々巡りの考えが続き、寝なくてはいけないのに、眠れない……。

■「オンの状態」が続くと自律神経が疲労困憊する
会社での仕事モード、いわゆる「オン」の状態と、会社を出た後の「オフ」の状態の切り替えを、多くの人はメリハリとして考えています。
このオン状態は、緊張状態と考えることができます。
ときに、Bさんのように、職場以外でも気持ちのうえでの緊張状態が続いている人がいます。
家事や育児などで帰宅後も忙しない時間を過ごしている人によくみられます。
そうした人たちは、常に精神的な緊張が高く、時間に追われているにもかかわらず、それを自覚していません。
このような状態が続くことで自律神経が疲労困憊(こんぱい)し、潰れてしまうことが少なくありません。

すると次第に、「普通のお母さんはできているのに私はできていない、できないのは私が怠け者だから」と思うようになります。
それが続くと、やらなければならないことへの責任感、できないことへの罪悪感が積もり積もって、自責の念に囚われてしまい、本格的に体調を崩してしまうのです。
Bさんには、日中は仕事スイッチがオン、帰宅後は家事育児スイッチがオンの緊張状態が続きすぎていること、この状態が続けば疲れが溜まるのも無理はないと説明し、ご主人と相談してお互いにオフの時間、つまりは自分の気分転換の時間を設けることを提案しました。
また、4月以降の不安要素については、それぞれの場合、実際にどう対処するか、具体的な計画を立てることをお願いしました。

■子供の中学入学、妻の仕事復帰が重なり不安に…
3人目は、2月に動悸(どうき)の相談に来られた社歴10年以上のベテラン40代男性社員のCさんです。
Cさんは社内では比較的裁量度が高い管理職のポジションにつき、ここ3年間は社内異動もなく、人事評価(業績評価)も問題なく、ストレスなく働いていました
毎月の残業時間は80時間すれすれでしたが、10年以上ずっとそのように働いてきたので、労働時間自体は「これで普通」とのことでした。
私生活では、お子さんが4月から中学に進学すること、それを機に奥様が働き始めることになっているとのことでした。
いずれも家族内でよく話し合って決めたことであり、不平不満はないとおっしゃっていましたが、よくよく聞いてみると、4月以降、ご家族の生活に起こり得る変化に対して、心配しすぎているようでした。

お子さんの通うことになる中高一貫校は片道1.5時間ほどかかること。
中学ではクラブ活動を頑張りたいというお子さんを応援したいが、そうすると毎日の帰宅は20時を過ぎ、そこから食事やお風呂、疲れた状態での勉強などできるのだろうか、朝練があれば家は6時台に出ることになり、起床やお弁当は大丈夫なのだろうか云々、考えれば考えるほど、どうしていいか分からなくなってしまうようです。

■気持ちを切り替えなければ、誰でも不安に押し潰される
奥様は、10年以上の仕事のブランクがあったものの幸い正社員雇用が見つかったとのこと。
喜ぶべきことではあるが、奥様が仕事と家事育児のバランスを保てるのか心配でしょうがないとのことでした。
4月以降の家事分担や生活時間の変化に対して、どのようになるのかわからないがゆえの漠然とした不安。
これがCさんの症状の原因と推測されました。

数回の面談でCさんは、自分は4月以降の生活のマイナス面ばかりに焦点を当ててしまい、常にそのことに意識が向きすぎていたと気が付きました。
心のマイナス要素となりえる不安な気持ちは、誰もが抱えています。
そして、「対処できること」については対処することが大切です。
一方、「対処できないこと」もあることを認識し、後者については、考えてもプラスにはならないと気持ちを切り替えなければ、誰でも不安に押しつぶされてしまいます。

Cさんには、もしも不安ばかりが頭に浮かんでしまったときは、対処できるものは対処した上で、「不安は減らさなければならない」という考え方をまずは捨て、「自分の中のポジティブな感情=4月以降の家族との生活での楽しみなこと」も考えるなどしてみてはいかがでしょうか、それだけで心の持ち方は大きく変わってきますよと提案しました。

■不安な感情に悩んだら、ポジティブな感情に目を向ける
不安とは、「未来」に対する「恐怖」であり、「漠然」としたものです。
人間は、過去に対しては不安を感じません。
過去の出来事の結果として、未来に不安を感じることはありますが、過去の出来事そのものには不安を覚えません。

不安は未来に起こる“かも”しれないことであり、不安に思っていることは、まだ起こっていないことなのです。
そして往々にして実際に起こらないことの方が多いものです。
不安に上手に対処するためには、この認識の上で不安を生じさせている根本的原因、つまり自分の心の状態を改善することが大切です。

新学期を控え、誰もが不安な気持ちを感じるのはしょうがないことです。
特に、この2年間のコロナ禍での経験から、我々は今後起こり得ることを漠然と想像できるようになってしまいました。
しかし、不安というネガティブな感情は、どんなに改善しても、マイナスがゼロにしかならず、楽しい気持ちや幸せなどのポジティブな感情にはつながりません。
私の産業医面談の経験上、不安に上手に対処している人は、不安の解決に頭を悩ませている時間をさっさと捨てて、よりポジティブな感情にフォーカスするという選択肢を無意識に採れている人が多くいます。

繰り返しますが、不安な気持ちに四六時中支配される必要はありません。
ぜひ、そのようなときには、うれしいことや充実していること、今後楽しみなことなど、ポジティブな感情に目を向けてみてください。

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武神 健之(たけがみ・けんじ)
医師 医学博士、日本医師会認定産業医。
一般社団法人日本ストレスチェック協会代表理事。
ドイツ銀行グループ、BNPパリバ、ムーディーズ、ソシエテジェネラル、アウディジャパン、BMWジャパン、テンプル大学日本校、アプラス、アドビージャパン、Wework Japanといった大手外資系企業を中心に、年間1000件以上の健康相談やストレス・メンタルヘルス相談を実施。
働く人の「こころとからだ」の健康管理を手伝う。
2014年6月には、一般社団法人日本ストレスチェック協会を設立し、「不安とストレスに上手に対処するための技術」、「落ち込まないための手法」などを説いている。
著書に、『職場のストレスが消える コミュニケーションの教科書』や『不安やストレスに悩まされない人が身につけている7つの習慣』『外資系エリート1万人をみてきた産業医が教える メンタルが強い人の習慣』などがある。公式サイト
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2022年03月09日

首都キエフ「市街戦」突入危機 プーチン大統領“武闘派”シリア兵投入の狙い

首都キエフ「市街戦」突入危機
プーチン大統領“武闘派”シリア兵投入の狙い
2022/03/08 日刊ゲンダイ

 ウクライナの首都キエフを包囲するロシア軍は、いよいよ“市街戦”突入の準備を開始したようだ。
米紙ウォールストリート・ジャーナルによると、ロシア政府は200〜300ドルの報酬と引き換えに、市街戦の経験があるシリア人兵士を募っているという。
いまだ内戦が続くシリアから兵士を集めるのは、キエフの陥落に本腰を入れ始めたということだろう。
市内の緊張感は高まっている。
 ◇  ◇  ◇
「キエフ中心地では、ロシア軍の銃弾は一発も飛んでいません。
でも、『ドーン』という地面を揺さぶるような爆撃音が徐々に近づいてきています」
 大統領府や政府機関が集まるキエフ中心地で取材を続けるジャーナリストの田中龍作氏は、日刊ゲンダイにこう話した。  ここ数日、市街地から大統領府へと続く主要な道路を塞ぐように、治安部隊や市民が「バリケード」を設けているという。
2メートル弱の鉄骨3本を組んだ「戦車止め」と、巨大なコンクリートブロック、高さ10〜20センチのカメラの三脚のような形の「マキビシ」の3種を平行に並べた防壁だ。
「さらに、コンクリートブロックの上に市民が大量の土のうを並べ始めています。

戦地における『土のう』は、防衛の基礎中の基礎。
バリケードの重量が増すことで、戦車や装甲車の突破を封じる効果が期待できますし、戦闘員にとっても『弾よけ』の面積が増えます。
治安部隊や市民の緊張感は高まっていますが、士気は高いように見えます」(田中龍作氏)
 機関砲を積載したウクライナ軍のピックアップトラックも、中心地を行き交うようになったそうだ。

「私は過去にアゼルバイジャンなど複数の紛争地を取材した経験がありますが、小回りの利くピックアップトラックの戦闘能力は非常に高いのです」(田中龍作氏)
 AFP通信によると、ウクライナ義勇軍は、ロシア軍の侵攻を阻止するため、キエフ西部を流れる川に架かる橋を爆破。ロシア地上軍侵攻への対策が急ピッチで進んでいる。
 恐ろしいのは、ロシアが市街戦に強いシリア兵を募集していることだ。
シリアでは、市街戦を中心とした泥沼の戦争が10年以上も続いている。
ロシアは2015年から戦争に介入し、現アサド政権の後ろ盾になっている。
 シリア兵は戦車と歩兵を組み合わせた「突撃」を得意とする“武闘派”との見方がある。

キエフ侵攻に加わると、戦況はどうなるのか。
軍事ジャーナリストの黒井文太郎氏はこう言う。
「ロシア政府がシリア兵を募集する狙いは、単純に兵士の数を増やしたいということです。
ロシア正規軍の死者が増え過ぎると、政権としては不都合なわけですから、海外兵を増やしたいということでしょう。
恐らく、シリア兵には戦車や歩兵による突撃といった高度な作戦は期待していないと思います。
そもそも言葉が通じないので、緊密な連携が必要な高度な作戦には参加させないのではないか。
あくまで『歩兵』として使うつもりでしょう」

 人口300万人のキエフで市街戦が始まったら、凄惨な状況になるに違いない。
 ロシア政府はキエフなどで「限定的停戦」に入り、民間人避難のための「人道回廊」設置を発表したが、果たしてどうなるのか。
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2022年03月10日

“無能のポンコツ”だった元自衛官が限界集落で見つけた「僕にもできること」

“無能のポンコツ”だった元自衛官が限界集落で見つけた「僕にもできること」
2022年03月09日 SPA!

2010年代から急速に広がった地方移住ブーム。
コロナ禍でのリモートワーク普及も影響し、田舎暮らしに憧れを持つ人は少なくない。
株式会社NTTデータ経営研究所が昨年12月に発表した「地方移住とワーケーションに関する意識調査」では、都市圏居住者の3割弱が「地方移住に関心がある」と答えるほどだ。

 元自衛官の坂本治郎さんは、「日本社会からドロップアウト」して海外を放浪したのち、福岡県の限界集落へ根を下ろした。
現在は知人から無料で譲りうけた古民家を活用し、ゲストハウスを営んでいる。
 自衛隊、ひいては日本社会に馴染めなかった彼。なぜ一度は離れたはずの日本に戻り、田舎で生きていこうと決めたのか。

◆18歳で自衛隊に入るも「変わり者」のレッテルを貼られる
「僕は子供の頃から勉強ができない筋肉馬鹿でした。
世の中に馴染めない“社会不適合者”で、自衛隊にいた頃は“無能のポンコツ”という立ち位置だったんです」
 福岡県南部にある大刀洗町で生まれた坂本さん。4人兄弟の次男として育ち、高校卒業後すぐ自衛隊に入った。
自衛官時代を振り返り、彼はこう語る。
「自衛隊に入ったばかりの頃は、すごく向上心があったんですよ。
だけどその気持ちが空回りして、周りと上手くやれない部分が大きくて。努力をして組織の中で自分を高めていく人たちとは、何かが噛み合っていませんでした。
だから周囲に迎合できない変わり者として迫害されていたんです」

 子供の頃から空気を読んで行動することが苦手だった。
さらに彼を悩ませたのは、「真面目に話を聞いているのに、内容が頭に入ってこない」という自らの特性だ。
 それは成長しても変わらず、組織からは「やる気がない」と思われ叩かれる日々。
生きづらさを感じながらも、職務に励んだ。転機となったのは、沖縄への転属だ。

◆沖縄転属がきっかけで、人生初の海外旅行へ
「21歳の時、沖縄の部隊へ配属されました。
そこで沖縄の美しい自然やグローバルな環境に触れたんです。
休日に島を巡って旅人たちと出会うたびに、心をすごく刺激されて。自分もいろんな国に行ってみたいと思い、連休を使って23歳で初めて海外旅行をしました。
今思えば、大したことではありませんが……当時の自分には、大きなチャレンジでした」

 休暇を利用して訪れた台湾で、坂本さんは海外の魅力を知る。
目に映るすべてが新鮮で、「堅苦しいことから解き放たれた感覚がした」という。
 海外への憧れが高まり、帰国してからは海外移住をした人やバックパッカーのブログを読み漁った。
外国人の友人を作るために、SNSの活用も始めたそうだ。
「海外の人とつながるためにFacebookを使い始めてから、一気に世界が広がりましたね。
そこから沖縄のゲストハウスなどに趣味で泊まり歩くようになって。
国内外のバックパッカーたちと交流しているうちに、彼らの人生観に感化されていきました。
みんな経済的に豊かではないけど、楽しく自由に生きているんですよね。そういう生き方を自分もしたくなって、自衛隊を辞めて海外放浪しようと決めました」

 初めての海外旅行から1年経った2010年、坂本さんは一念発起して自衛隊を退職する。
家族や同僚、上官たちからは猛反対にあったという。

◆「絶対に日本には帰らない」強い決意で世界一周へ
「応援してくれる人も少なからずいましたが、ほとんどの人に反対されましたね。
『辞めてどうするんだ』と聞かれた時は、『風来坊になります!』と答えていました(笑)。
家族にも批判されましたが、僕は昔から聞き分けの無い子供だったので、反対したところでどうしようもないって思っていたのかも」

 周りへの反骨精神もあり、「今後の人生のため、旅の果てに何かやりたい事を見つけるまで、絶対に日本には帰らない」と心に誓った。
 その言葉通り、旅に出てから3年間は日本に戻らなかった。
訪れた国は20ヵ国。
各地の若いバックパッカーが集まるコミュニティに顔を出し、旅仲間のつながりを増やしていった。
この頃は海外移住を考えていたそうだ。

「もともと日本社会が嫌になって飛び出したので、『このまま好きな国を見つけて移住しちゃおう』って考えていたんですよ。
日本は恵まれた国だけど生きづらさがあって、高い能力を求められがちなストレス社会じゃないですか。
海外を巡るうちに、その気になれば移住できるっていうのも分かってきていたので。しっかり貯金を作って地道にやっていけば、無謀じゃないなって」

 いったん帰国してからも定期的に海外へ飛び出し、トータルで訪れた国は65ヵ国。
ワーキングホリデーを利用して渡航したニュージーランドとカナダでは、現地でさまざまな仕事に従事した。
 考え方が変化したのは、放浪を始めて5年目だ。

◆海外生活が「日常」になり、日本の田舎へ移住
「さすがに5年も旅をしていたら、飽きてしまったのが本音です。
最初は非日常を味わえても、続けていくうちに?日常”になっちゃうんですよね。
働いてお金を稼いで食べて……その繰り返し。
結局どこにいても生活は変わらないと気付いたんです。
どこで生きるかより、自分がどう生きるか、誰と生きるかのほうが大切だなって」

 長く続いた海外生活。
新しい刺激に出会う機会も少なくなり、「このままダラダラ続けるのも、もったいない」と感じるようになった。
新たなチャレンジを考えた時に浮かんだのが、故郷である日本だった。
「国は関係無いなって思った時に、『日本の田舎に住んでみたい』という気持ちがわいてきました。
自分は日本人だし、日本人としてのアイデンティティを持っている。
海外生活で視野が広がったからこそ、何かおもしろいことができるかもしれないなと」

 やってみないと、どうなるか分からない。そんな不確かな状態から、まずは住む場所を探し始めた。
リサーチを開始してすぐ、坂本さんに吉報が舞い込んでくる。
「八女(※福岡県八女市)にある祖父母の家が、長く空き家になっていると親族から聞いたんです。ラッキー! と思って、すぐに移住しました。そこに住み始めたのが2015年です」

◆ボランティアで旅行者を受け入れるように
 タイミング良く譲り受けた古民家。
坂本さんの移住後すぐ、日本中、世界中から人が訪れる家になったという。
「海外滞在時に友達になった人とか、その友達の友達とか、とにかくいろんな人が集まってくるようになって(笑)。
カウチサーフィン(※海外旅行などをする人が、他人の家に宿泊させてもらう制度)やウォームシャワー(※自転車旅行者を対象とした宿泊コミュニティ)といった、旅行者と家主のマッチングサイト経由でやってくる人も多くいました。
僕も海外放浪時はそういったサイトを使っていたので、宿泊代がそんなにかからなかったんですよ。
だから次は自分が『泊っていいよ』って側にまわったら、どんどん人がやってきて、縁が広がっていきました」

 泊りに来た旅行者の中には、お礼にお金や食材を置いていく人も多かった。
貰い物だけで生活が成り立つようになり、「ちょこっとだけアルバイトで稼いで、出費は月に3万だけ」というライフスタイルが出来上がる。
 坂本さんが考えていた、「お金を使わずとも楽しく豊かな生活」が実現したわけだ。
そして国内外さまざまな人を受け入れているうちに、彼はある事に気付く。
「僕が中心となって、地域の人と旅行者のコミュニケーションが生まれていって。
そうすると、多くの人から喜ばれるようになったんです。
地元民からすれば、集落外の人に出会える。旅行者にとっては、地元民と交流できる。これって、普通の旅行ではできないんですよね」

 その様子を見て、事業のチャンスを感じた坂本さん。
2016年から外国人旅行者を集め、「八女茶ツアー」などの企画を催し始めた。その活動に感銘したのが、地域の重鎮だ。

◆集落の人から、タダで古民家を貰う
「外から人を呼んで地域とつなげる活動を続けていくうちに、人々の間で良い化学変化が起こるようになりました。
その結果、八女茶ツアーを企画した時に協力してくれた人が、無料で古民家を譲ってくれたんです。
その人は集落の村長的な存在で。『アンタ、この家を貰いなさい』と(笑)」
 もともと住んでいた祖母の家より、さらに山間にある古民家。
長年空き家だったものの、取り壊すのはもったいないと、活用してくれる若者を探していたそうだ。
 その家を譲り受けた坂本さんは、ゲストハウス開業を決める。
バックパッカー時代に何百・何千と宿を巡った彼にとって、宿業はいちばん馴染みある仕事だったのだ。

「僕は本当に何もできないポンコツなんですけど……ゲストハウスに関しては、実際にいろいろ泊まり歩いてきて、自分の中での良い悪いが分かるんですよね。
どんな宿が良いかって、人それぞれだとは思いますが……僕にとっての良い宿は、オーナーやスタッフの人柄が温かいところだったんです。
それだったら僕にもできる。お客さんに対してナイスでいることなら、自信がありました」

 仲間たちと古民家のDIYを進め、2017年に「天空の茶屋敷」と名付けたゲストハウスを開業。
クチコミで世界中のバックパッカーが集う、賑やかな宿になった。
コロナ禍で外国人旅行者が減ってからは、県内のファミリー層の利用が増えているという。

◆次の目標は日本縦断
 2021年にはフィリピン人の女性と国際結婚も果たした坂本さん。
今は「半分宿主、半分農家」を謳いながら、妻と二人三脚で宿業とお茶農家を営んでいる。
 今年1月には「コロナ禍での挑戦」と称し自伝を出版。
当初はクラウドファンディングを使って自費出版の予定だった。
大手出版社に企画を持ち込むも、取り合ってもらえなかったからだ。
しかし地元・福岡の出版社からオファーがかかり、無事に商業出版へとこぎ着けた。

 夏には「日本縦断」を計画しているという。
「常に“楽しく生きたい”を掲げているので、次は歩いて日本を縦断しようと考えています。
僕はお茶農家でもあるので、リアカーでお茶を売り歩きながら、その売上を旅の資金にしようかなと。
今の自分にはいろんなことに挑戦できる余裕があるので、事業と家族、自分がやりたい遊びを上手く両立させていきたいです」
 変わり者の青年が掴んだ、楽しく豊かな人生。
社会に馴染めず居場所が無いと感じている若者にとって、その背中は勇気を与えてくれるだろう。
   <取材・文/倉本菜生>

【倉本菜生】
福岡県出身。フリーライター。龍谷大学大学院在籍中。
キャバ嬢・ホステスとして11年勤務。
コスプレやポールダンスなど、サブカル・アングラ文化にも精通。
Twitter:@0ElectricSheep0
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2022年03月11日

自虐笑いや土下座すらネタにできない空気の正体

自虐笑いや土下座すらネタにできない空気の正体
弱者が弱者として語ったり、演じたりもNGとなる
2022/03/10 東洋経済オンライン
坂口 孝則 : 調達・購買業務コンサルタント、講演家

かつてのNGコンテンツ
案件 読売新聞はかつて「美女と醜女とは犯罪に縁が深い」とする記事を載せたことがある
美女とは多数の男女が見目麗しいと感じる人、醜女とは……この説明自体がもはや難しい。
美女と醜女とも、それぞれの理由によって男性から犯罪に巻き込まれるとする内容だ。
といっても記事の発表は1934年。
現在、外見との因果や相関を大手メディアが述べるのはご法度だろうが、先の大戦の前には、この表現も認められていたということなのだろうか。

ところで現在、ある有名な企業がある。
ここの販売会社の部長を経験した男性の本がある。
書籍中の節タイトルに驚愕する。
「ついに掴んだ恍惚の大処女集団」とある。
この男性はある製品(Aとしよう)を販売する仕事をしていたのだが、女性の独身寮をたまたま見つけて、売り込みの機会を得ることになる。
<さて皆さん、あなた方はいずれはお嫁に行く。そして必ずAを使う必要ができてくる(中略)何せこの寮には無慮三千人という大処女群がある。
その何割でも攻略したら、こいつはすごい成績だと、思わず生唾を飲み込む思いであったからだ>。

きっとこれは現代なら大炎上する記述だろうが、私の有している本の奥付によると45版(45刷ではなく45版なので相当な売れ行きだ)で1980年代後半までベストセラーを続けていた。
おそらく、この記述も現在では許されないばかりか、きっと不買運動まで引き起こすに違いない。
さすがに、さきほどあげたコンテンツは現在から見たら完全にNGとなるだろう。そもそも校正段階で許されない可能性が高い。

ところで、弱者ならば発言しても許される時代が続いていたように思う。
つまり差別されている側が、自虐ネタを語るなら大丈夫だったように感じる。
「モテない自慢」も笑いとなりえた。
ただ、弱者であっても自らを自虐的に語ることはできなくなるだろう。
自らを弱者と思っていても弱者に対する軽口は社会的に受け入れられない。

これまでは弱者とは正義のことだった。
しかし弱者であっても弱者自身を自虐するのは許されないようになってきている。
象徴的なのは、土下座だ。
本来、土下座とは高い身分の人物に大いなる敬意を示すためのものだった。
その後、謝罪やお願いを意味するために土下座されるようになった。
つまり土下座する側は弱者となる。

土下座の扱いですら難しくなっている
そしてドラマ『半沢直樹』がそうだったように、土下座は屈辱の意味で使われる。
またビジネスのシーンで土下座を見る機会はなくなった。
私は一度だけ「どうぞこの取引を実現させてください」とお願いする場面に立ち会ったことがある。
それに企業の謝罪会見で土下座を見せるニュースも見た。

しかし、現在はおそらく実際に土下座を見る機会はほとんどない。
また相手に土下座を要求する人もほとんどいないのではないだろうか。
企業の謝罪会見で土下座させてしまうと、見ている側は「土下座させてしまった」側として心穏やかではいられない。
ところで土下座は弱者といったが、日本のメディア、とくにお笑い番組で演者が、意図的に土下座する場合がある。
しかし、そのような弱者のフリをする行為も許されなくなっている。

たとえば年始のお笑い番組で、芸能人のスポーツチームが負け、相手チームに再挑戦をお願いするシーンがあった。
敗北者=弱者、とあえて構図を単純化する。
これまでなら延長戦を土下座して懇願していた。
しかし、今年からは土下座はなし。コンプライアンスを重視した結果だった。

弱者が土下座をすることも、それは相手からのパワハラとして認められないわけだ。
敗北者=弱者の自発的な土下座であっても、弱者にそういうことをさせるのは許されないのだ。
少し話題がずれるかもしれないが、たとえば<「ローマは1日にして成らず」という。
しかし、ローマは雇う人種を間違ったね。日本人ならばすぐ建設できたよ>というジョークがあったとする(これは正確には「日本人」ではなく「メキシコ人」というジョークがある)。

ただ、これは発言者が日本人であってもジョークとして述べるのであれば、現在ではギリギリ、そして近い将来は完全に許されないだろう。

日本とアメリカ、コメディアンの差
ところで、読者の皆さんの中にはNetflixのような海外の動画配信サービスに加入している方は少なからずいるだろう。Netflixのお笑いはスタンダップコメディが多い。
スタンダップコメディとは、いわゆるコメディアンが1人でステージに上がり、そして独り語りで笑いを取るものだ。
実際、私はジミー・カーなどのスタンダップコメディで爆笑した。

日本でのお笑いは漫才形式が大半だ。
これはボケとツッコミにわかれている。
説明するのも野暮だが、冗談を言う側と、それを静止する側に分かれ、そのツッコミによって会場には笑いが生まれる。
なぜ日本でボケとツッコミに分かれているかというと、それは日本人特有の同調圧力にあるものだと考えている。
つまり、ツッコミ側が「笑っていいよ」と聴衆に笑いの許可を与えているように思うのだ。

欧米などでは、聴衆が自分の判断で笑える。
しかし、日本では場の雰囲気が必要だ。
と思えば、ボケとツッコミが分かれているのは、日本人的にすぐれた笑いシステムではないか。
ただ、そんなことを考えていると、日本人でアメリカのスタンダップコメディアンとして活躍しているSaku Yanagawaさんは、さらに新たな観点を付け加えてくれた。
彼は、欧米でツッコミによる笑いを作るのが受け入れられない理由は、聴衆へ笑いの価値観を強制しているからだという。
この彗眼には驚いた。
どこを笑うかどうかも、漂白化される社会においては強制されてはいけないのだ。

<これほどまでに「ダイバーシティ」と言われている中で、ツッコミという「観客全員と視点を同じにする人物」という構図が成り立ち得るのかということだ。
本来ならば「視点は人それぞれでいい」と叫ばれているはずの今、ツッコミが正した内容を、別におかしく感じていない観客だっていてもいい。>(『Get Up Stand Up!たたかうために立ち上がれ!』Saku Yanagawa)

これはきわめて重要な指摘だと私は思う。
これまで会場の一体感を醸成し、笑いを作り上げるのがコメディアンの力量だった。
現在でもアメリカのコメディアンは場を支配するよう努めている。
ただ、笑いのトリガーは、演者たちが完全に規定できるわけではない。
なお公正に付け加えておけば、Saku Yanagawaさんは単純にツッコミの役割を軽視しているわけではない。
むしろ演者がジョークを語る内容として、いかにギリギリを狙っていくかを試行錯誤している。

コンテンツの漂白化にあたって ここまでいくつかの例をあげてコンテンツの漂白化について述べた。
コンテンツはつねに現代の価値観にアップデートされなければならない。
同時に、弱者が弱者として語ったり、演じたりすること自体に再検討を促す。
多くの企業は多様化(ダイバーシティ)を語っている。

企業は、その意味を、男女平等とか国籍を問わないとか、学歴や出身地を問わないとか、宗教とか価値観もバラバラでいいはずだ、といった基準として認識している。
しかし、アメリカのスタンダップコメディと、日本のお笑いを比較したように、もっとも根源的な感情の発露にさえ多様化(ダイバーシティ)が求められている。
笑う行為だけではない。
速い車、痩せている体型、豊かな生活、快適な住空間……。
それらを是とするのも1つの価値観の押し付けにすぎないかもしれない。
少なくとも、消費者にとっては、その可能性がある。

私は、この漂白化する社会を嘆いているわけではない。
嘆いてもおそらくこの潮流は変わりそうにない。
それならば、善悪を超えて、これらに追随する必要がある。
コンテンツの漂白化――これらは企業の価値観に根源的なフラット化を求めている。
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2022年03月12日

十津川警部を演じた俳優は全部で16名 ベスト・オブ・十津川警部は誰か

十津川警部を演じた俳優は全部で16名 ベスト・オブ・十津川警部は誰か
3/11(金) ディリー新潮

 膵臓ガンのため91歳で死去した作家の西村京太郎さんは数々のヒット作を遺したが、最も愛されたのは「十津川警部シリーズ」ではないか。
全ての在京民放キー局がドラマ化。計16人の俳優が十津川警部を演じた。
その中からベスト・オブ・十津川警部を選んでみたい。

ファンの方ならよくご存じの通り、西村さんは『寝台特急殺人事件』(1978年)からトラベルミステリーを書き始める前は、社会派推理作家と呼ばれていた。
 例えば地方都市の住民に対する思想コントールを描いた『盗まれた都市』(1978年)の場合、戦時下の日本に対する風刺が込められていると思われた。
「十津川警部シリーズ」にも社会派色がある。
『十津川警部「オキナワ」』(2004年)での十津川警部は不公平な日米地位協定に憤りを隠さなかった。
 また、極悪非道な犯人は決して許さなかったものの、やむにやまれぬ事情があって罪を犯した人間は憐れんだ。

 十津川警部は頭脳明晰である一方、勇ましく、なにより情の人である。
人間的魅力に満ちている。
だから全ての在京民放キー局がドラマ化したのだろう。

歴代の十津川警部  
ドラマ版の歴代十津川警部役を振り返り、ベスト・オブ・十津川警部を決めたい。まず演じたのは、この人たちだ。

■故・三橋達也さん【テレビ朝日系1979年10月20日放送「ブルートレイン寝台特急殺人事件」ほか】
■故・夏八木勲さん【日本テレビ系1981年10月6日放送「消えたタンカー」】
■宝田明(87)【TBS系1982年9月4日放送「特急さくら殺人事件」】
■若林豪(82)【同1983年4月9日放送「日本一周『旅号』殺人事件」ほか】
■故・天知茂さん【テレビ朝日系1984年7月14日放送「東北新幹線殺人事件」】
■故・石立鉄男さん【フジテレビ系1986年7月31日「展望車殺人事件」】
■小野寺昭(78)【フジテレビ系1987年1月9日放送「寝台特急『はやぶさ』の女」ほか】
■高橋英樹(78)【テレビ朝日系1990年7年17日放送「十津川警部の挑戦」ほか】
■故・渡瀬恒彦さん【TBS系1992年4月13日放送「札幌駅殺人事件」ほか】
■故・高島忠夫さん【テレビ朝日系1995年10月7日放送「特急ゆふいんの森殺人事件」】
■故・萩原健一さん【テレビ東京系2003年4月23日放送「日本一周『旅号』殺人事件」
■神田正輝(71)【同2004年1月7日放送「寝台特急『はやぶさ』の女」ほか】
■高嶋政伸(55)【フジテレビ系2009年5月8日放送「人捜しゲーム」ほか】
■内藤剛志(66)【TBS系2017年1月23日放送「伊豆・下田殺人ルート」ほか)】
■船越英一郎(61)【テレビ東京系2020年5月25日放送「危険な賞金」ほか】

 最初に十津川警部をドラマ化したのはテレ朝系の朝日放送で、演じたのは当時55歳の三橋達也さん。
ダンディで中年の魅力に満ちた十津川警部だった。
 相棒のカメさんこと亀井刑事に扮したのは故・綿引勝彦さん。
「鬼平犯科帳」(フジテレビ系)で密偵・大滝の五郎蔵役を演じた人である。
今になって思うと、随分とシブイ2人によってドラマ版の十津川警部は始まった。

 1981年10月放送のテレ朝系の第4作「終着駅〈ターミナル〉殺人事件」から制作局はテレ朝に変わった。
だが、三橋さんの十津川警部はそのまま。カメさんは故・愛川欽也さんに交代した。
苦労人の人情派刑事で視聴者に親しまれた。
 愛川さんが初登場した「終着駅――」はドラマ版の十津川警部で屈指の名作と評判高く、世帯視聴率も24.3%に達した(ビデオリサーチ調べ、関東地区)。

 ブレイク直前の風間杜夫(72)が演じた犯人が、上野駅や故郷・青森に向かう列車の中で、高校の同級生たちを殺す物語だった。
犯人に同情の余地があった上、最後は犯人が自死を遂げるという衝撃的な展開だったこともあって、反響が大きく、その後も2度リメイクされた。

 若林豪が演じたTBS系の十津川警部は表面上、一番厳しい人だった。
例えば「下り特急『富士』殺人事件」(1983年10月)で、若手刑事たちが刑務所から出所してきた元刑事の橋本(近藤正臣、80)の応援をしようとすると、きつく叱り、一切関わることを禁じる。
 若手刑事たちは十津川警部が薄情だと思い、幻滅するものの、警部の真意は違った。
橋本に忍び寄ろうとする悪党たちを水面下で一網打尽にしようと考えていた。やはり内面は温かかった。

 若林版の十津川警部シリーズの作風はダーク。ハミングのテーマソングも暗かった。
犯罪の裏にある欲や嫉妬をストレートに表現した。
半面、それが魅力でもあった。制作したのは大映テレビ。
人間の醜さを強調して描く同社のカラーが鮮明に表れていた。

 この作品で平刑事の石毛に扮した船越英一郎は37年後、テレ東系の「危険な賞金」(2020年5月)で十津川警部役に昇格した。犯人への憎悪を隠さない熱血漢だった。

 親子で十津川警部に扮したのは高島忠夫さんと高嶋政伸。
もっとも、高島さんは体調不良で休養していた三橋さんのピンチヒッターで、テレ朝系「特急ゆふいんの森殺人事件」(1995年10月)しか出ていない。
主演も高島さんではなく、カメさん役の愛川さんが担った。
 政伸がフジ系「人捜しゲーム」(2009年5月)で初めて十津川警部に扮したのは42歳の時。
ほかの十津川警部と比べると、かなり年下だが、若き日の十津川警部という設定だった。
 なので、警視庁内のデスクにとどまらず、ほぼ全ての現場に出向いた。
カメさん役は20歳以上年上の古谷一行。さすがにまるで親子だった。

 ちなみに小説版の十津川警部は『黙示録殺人事件』(1983年)以降、一部作品を除き、年齢は40歳で固定されている。
政伸が42歳で演じても矛盾はなかった。
 だが、どうしても「十津川警部は50歳前後かそれ以上」というイメージが強い。
十津川警部を初めて演じ、成功させた三橋さんを始め、50代、60代で初演する人ばかりだったからだろう。
なお、十津川警部は「大卒」「ノンキャリア」である。

 最もソフトだった十津川警部はテレ東系「寝台特急『はやぶさ』の女」(2004年1月)などの神田正輝に違いない。
小林稔侍(81)が演じたカメさんに全幅の信頼を寄せ、捜査の多くを任せて、自分は警視庁内での後方支援が中心だった。
もちろん部下を叱ったりはしなかった。

 十津川警部も犯人役もやったのは石立鉄男さん。さすがは演技派で知られた人である。
フジテレビ系「展望車殺人事件」(1986年7月)で正義感の強い十津川警部に扮したと思ったら、渡瀬恒彦さんが十津川警部だったTBS系「金沢加賀殺意の旅」(2005年7月)では姑息な犯人を演じた。
下半身などが不自由だと偽り、それで周囲を油断させ、殺人を犯した。

個人的なベスト3は…
 そろそろベスト・オブ・十津川警部を決めたい。
それぞれ味があり、魅力的なのだが、まず3人に絞る。

■内藤剛志 TBS系で8本に出演。最終作は「外房線に消えた女〜十津川の初恋〜」(2019年7月)。
背筋がピンと伸び、悪に正面からぶつかって行くタイプの十津川警部だったが、実はやはり犯人に扮している。
同局系で渡瀬さんが主演した「四国連絡特急殺人事件」(2004年3月)である。
 資産家の叔父を遺産狙いで殺害した上、アリバイを偽装するなど、これまた悪い奴だった。冷血漢だった。

■高橋英樹 テレビ朝日系で39本に出演。
最終作は「十津川警部のレストラン」(2020年7月)。
穏やかで部下に優しい十津川警部だった。安定感があった。
あえて難点を挙げると、犯人に向かって真顔で説教をしている際、「桃太郎侍」(日本テレビ)に見えてしまうこともあったことか…。
 2012年からはカメさん役が愛川さんから高田純次(75)にバトンタッチ。
軽いイメージが強い高田だが、演じたカメさんはマジメを絵に描いたような男だった。

■渡瀬恒彦さん TBS系で54本に出演。
最終作は「サンライズ出雲の女」(2015年4月)。
勇敢で、ヤクザも外国人マフィアも恐れなかった。ついでに上司にも平気で逆らった。
 悪党以外にはやさしく、ほとんどの人間に敬語を使った。
カメさん役は伊東四朗(84)。事件解決後は2人で屋台のラーメンを食うのが習慣だった――。

 それぞれ好きな十津川警部がいるだろうが、ここは渡瀬さんをベストに推したい。
作者の西村さんも渡瀬さんの十津川警部がお気に入りだったようだ。
 BS-TBSのスペシャル番組「西村京太郎ミステリー紀行〜十津川警部が見た風景〜」(2010年2月)で2人の対談が実現した際、1975年に163センチと設定した十津川の身長を、2003年発行の『祭ジャック・京都祇園祭』から渡瀬さんに合わせて173センチにしたことを明かした(渡瀬さんは174センチ)。
 渡瀬さんは収録中、十津川警部に成りきり、私語は一切口にしなかったという。
半面、夜になるとホテルの自室に部下役の俳優たちを集め、酒を振る舞った。
 また、部下たちの俳優を交代させることを極端に嫌った。リーダー意識が強かった。
情の人という点でも十津川警部と素顔の渡瀬さんは近かった。

高堀冬彦(たかほり・ふゆひこ)
放送コラムニスト、ジャーナリスト。
1990年、スポーツニッポン新聞社入社。
芸能面などを取材・執筆(放送担当)。2010年退社。
週刊誌契約記者を経て、2016年、毎日新聞出版社入社。「サンデー毎日」記者、編集次長を歴任し、2019年4月に退社し独立。

デイリー新潮編集部
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2022年03月13日

【元自衛官が語る】「辞める覚悟ができている人が実は一番有能」。その理由とは?

【元自衛官が語る】「辞める覚悟ができている人が実は一番有能」。その理由とは?
2022年03月12日 ダイヤモンドオンライン

仕事や人間関係…しんどいことが多い、という人にぜひ読んでもらいたいのが、「メンタルダウンで地獄を見た元エリート幹部自衛官が語る この世を生き抜く最強の技術」(わび著)だ。
著者のわび氏は元幹部自衛官としてエリート街道をひた走っていたが、上司のパワハラと早朝深夜の激務が重なりメンタルダウン。
復職を果たした後、「出世ばかりが人生ではない」「人に認められるためではなく、もっと楽しく生きたい」と思い、転職。現在は外資系企業の社員として活躍している。

自衛隊などの社会人経験で身につけた仕事術、メンタルコントロール術についてツイートした内容が人気を集め、Twitterを開始して2年半でフォロワーは12万人を突破、10万超えいいねを連発し、ネットメディアにもたびたび取り上げられている。仕事・人間関係で生き抜く知恵が詰まった本書。

今回は、発売を記念して特別に本文より一部抜粋、編集して紹介する。

■仕事に迷いがなくなる
長い間働いてみて、あることに気づきました。
それは「会社を辞める前の人が一番有能かもしれない」ということです。
私は自衛隊、市役所、そして今の会社で多くの「辞める覚悟」を完了している人を見てきました。
そして、その覚悟を決めた人は、なぜか覚悟する前より仕事ができるようになっていました。
辞める覚悟ができた人は、まず仕事に迷いがなくなります。 どんな仕事でもテキパキとこなすようになります。

  そして、上司にためらわず意見し、会議では忖度しなくなります。
私も辞める前は同じでした。
もはや怖いものがないから、思考と結論の間に雑念がなくなるのです。
そして、デスク周りはキレイで、いつも元気に定時退社するようになります。
これも、「他の人にどう思われるか」という思いがなくなるからです。
だから、私は辞める覚悟が完了している人が一番有能で、会社にとって本当に必要な人かもしれないと思っています。
今仕事がうまくいかない、と悩んでいる人も、いつでも仕事を辞める覚悟を持って仕事をすると、仕事が捗るかもしれませんよ。
(本原稿は、わび著『メンタルダウンで地獄を見た元エリート幹部自衛官が語る この世を生き抜く最強の技術』から一部抜粋・改変したものです)
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2022年03月14日

橋下徹や玉川徹には理解不能…ウクライナ人が無条件降伏は絶対しない理由

橋下徹や玉川徹には理解不能…
ウクライナ人が無条件降伏は絶対しない理由
3/12(土)  ディリー新潮

 ロシアのウクライナ侵攻に関して、一時的にロシアに譲歩してでも市民の犠牲を最小限にすべきだ、という考え方を示す人がいる。
主張や論理の細部を別にすると、橋下徹元大阪府知事とテレビ朝日のコメンテーター玉川徹氏、2人の「徹」はその代表格だろう。
こうした人たちの念頭にあるのは、太平洋戦争末期の日本の姿だ。

 勝てる見込みもないままに戦争を長引かせたために、多くの国民の命が失われたのは事実だろう。
一方で、こうした論者には完全に抜け落ちている視点や歴史認識があると説くのは有馬哲夫・早稲田大学教授だ。
公文書研究の第一人者である有馬氏が、なぜウクライナ人は戦うのか、あるいは戦わねばならないのかについて寄稿してくれた。

 ***
ウクライナは非武装化の危険性を知っている
 ウクライナにロシア軍が侵攻した。
軍事的にいえば、すべての面でロシア軍はウクライナ軍を圧倒している。
すでにハリコフ、キエフ、その他の主要都市が包囲されており、包囲網の外側から内側へ向けてミサイルや戦車砲を一斉に打てば、勝敗は決する。
時間がかかっているのは、人的被害が少なくなるように、人々を追い出すのに時間をかけているからだ。

 プーチン大統領が求めているのは「非武装化」と「中立化」だ。
だが、なにをもって非武装とするのか、中立とするのかは、彼が決める。
気に食わなければ「非武装化」、「中立化」ができていないとあくまで服従を求める。
つまり、彼が求めているのは「なんでもいうことをきけ」という無条件降伏だ。

 そもそも「非武装化」で丸腰になったら、ロシアが何をしてきても抵抗できない。
「中立化」もEU諸国には一切近づくな、ロシアの属国でいろ、ということだ。
 だから、ウクライナ人は徹底抗戦している。

オレンジ革命以後、困難を乗り越えて、営々と築き上げてきた今の国の姿を変えさせないために、戦車の前に立ちはだかり、ロシア兵の周りに群がって「ウクライナから出ていけ。ここはお前たちのいるところではない」とシュプレヒコールを続けている。
 男たちは、国境まで妻と子供を送り、涙の別れをしたあと、戦うためにウクライナ国内に引き返していく。
日々さまざまなメディアを通じて送られてくる彼らの映像には心を動かさずにはいられない。

国のために戦うことを理解しない日本人
 ところが、日本人の一部は、ツイッターでこうつぶやく。
「なぜ、国なんか捨てて家族と一緒に逃げないのか」 「命の方が大事なのだから、国のために戦う必要はない」 「ロシア軍に勝てるわけがない。無駄な犠牲を払うより、さったと無条件降伏したほうがいい」
 これにたいして在日ウクライナ人はツイッターで激しく反発する

家族を愛し、ウクライナの人々を愛し、国を愛しているから、それらを守るためにロシア軍と戦うのであって、それは当たり前のことだ。
むしろ、彼らは、なぜ日本人がそんな当たり前のことに疑問を投げかけ、批判するのか理解できない。
 彼らからすればこうだ。逃げれば命は助かるだろう。
だが、2度と自分達の街には帰ってこられない。
帰ってこられても、自分が住んでいた家には別の人間が住んでいて、街には違う人々がいるかもしれない。
国の姿もすっかり変わってしまっているかもしれない。

なぜ、こんなことが日本人にはわからないのか。
日本人には国を愛し、それを守るために戦わなければならないという意識はないのか。
 あとで明らかにするように、それがないから、日本人の一部はウクライナ人の愛国的行動を理解できないのだ。

欧州に残るソ連の蛮行の記憶
 おそらく、ウクライナ人が無条件降伏しないのは、彼らの頭にフィンランドとリトアニアの例があるからだろう。
1939年8月23日の独ソ不可侵条約の秘密議定書に基づいてソ連がフィンランドに侵攻した。
フィンランド軍は激しく抵抗し、一時ソ連軍を大敗させたが、時間の経過とともに劣勢となり領土の一部を譲る条件で講和を結んだ。
その後、ドイツが進軍してきたときは、ドイツ側につき、奪われた領土を取り返したが、ドイツ軍が敗退すると、再びソ連と戦って大打撃を与えたあと、ドイツの敗戦の前の1944年9月19日にソ連との休戦に持ち込んだ。
そして、東欧諸国のような共産化と属国化は免れた。

 リトアニアも独ソ不可侵条約を受けて1939年9月28日にソ連の勢力圏に入れられた。
そして、1940年6月14日、ソ連が一方的に押し付けた相互援助条約を誠実に守らなかったと言いがかりをつけられ、最後通牒を突きつけられ政権交代を要求された。
これにリトアニア政府は抗しきれず、内閣は総辞職し、その後大統領のアンタナス・スメトナはドイツに亡命した。
そのあとには、共産主義者ユスタス・パレツキスを首班とする傀儡政権が生まれた。
旧政権の勢力は完全に駆逐され、以後、徹底的にソ連による属国化が行われ、再び独立を回復するのは1990年3月11日まで待たなければならなかった。実に50年間である。

 これら2国の歴史は、ロシア(当時はソ連)の脅しに屈するとどうなるか、そうせずに戦うとどうなるか、を示している。
どちらの国もウクライナと遠からぬところにある。
今ウクライナ人は、リトアニアではなくフィンランドがした選択をしているのだ。

誤った歴史認識
 ではなぜ、一部の日本人がウクライナ人の愛国的行動を批判するのか分析してみよう。
それは彼らの持っている誤った歴史認識が関係している。
 彼らは日本が無条件降伏したと思っている。
「無条件降伏しても、この通り大丈夫だ。大したことではない。だから命を大切にした方がいい」と考えている。
日本は無条件降伏しなかったこと、そして降伏した相手がアメリカだから、日本が今ある姿になっているのだということを知らない。

 これまで『歴史問題の正解』(第6章「日本は無条件降伏していない」)、『日本人はなぜ自虐的になったのか』(第4章「ボナー・フェラーズの天皇免責工作と認罪心理戦」)、『一次資料で正す現代史のフェイク』(第7章「日本が無条件降伏したというのはフェイクだ」)などでも明らかにしたが、日本は「国体護持」という条件つきで降伏している。
その証拠に、真っ先に裁かれるはずの天皇は、極東国際軍事裁判でも、戦犯になるどころか起訴さえされていない。

 当時のアメリカの世論調査では、天皇を絞首刑にしろとか、裁判にかけろとかという意見が圧倒的に多かったが、「国体護持」の条件つきなので、占領軍の最高司令官ダグラス・マッカーサーには、それはできなかった。
それをすれば、日本側指導者は、約束が違うと立ち上がり、占領統治が困難になるからだ。
 なぜ、ハリー・S・トルーマン大統領が「国体護持」の条件付き降伏まで譲ったのかといえば、硫黄島、沖縄での日本軍の死を恐れぬ戦い方を見て、本土上陸作戦を避けたいと思ったからだ。

 1945年6月18日のアメリカ軍幹部と政権幹部の合同会議で、九州上陸作戦が行われれば、作戦に加わった19万人のアメリカ将兵のうち、約30%のおよそ6万3000人が死傷するという試算が示された。
これは到底許容できるものではない。
関東上陸作戦ではさらに膨大な死傷者がでることになる。
そこで、本土上陸作戦の代替案として、日本が望む「国体護持」という条件付きで降伏を求めることを考えた。
 この30%は、硫黄島、沖縄での死傷率からはじきだされたもので、戦争初期では15%前後だった。
つまり、日本軍の抵抗は、アメリカ軍が日本本土に近づくに比例して激しくなったということだ。

 日本の将兵は無駄死にしたと考える人がいるが、それは間違いだということがわかる。
彼らの決死の戦いがアメリカ将兵の死傷率を高め、それが「国体護持」の条件付き降伏案を引き出したのだ。
ウクライナ人に無駄死にだという日本人はこの事実を知らないのだ。

 もう一つ、トルーマンがこの降伏案をとった理由は、ソ連の参戦だった。
予想に反して、日本は原爆投下後も降伏しなかった。
拙著『「スイス諜報網」の日米終戦工作―ポツダム宣言はなぜ受けいれられたか―』でも明らかにしたように、昭和天皇は「国体護持」できるという確証が得られるまで降伏するつもりはなかった。
スイスやスウェーデンの情報から、降伏してもアメリカは少なくとも皇室を廃止しない公算が大きいと知って、降伏を決意している。

 一方、ソ連のトップであるヨシフ・スターリンは、1945年8月15日に参戦するとトルーマンに言質を与えていたにも関わらず、原爆投下をみて、急いで8月9日に参戦してきた。
早く日本を降伏させないと、日本をソ連と共同占領しなければならなくなる。
もう無条件降伏にこだわってはいられなかった。

 ただし、トルーマンは、アメリカ国民向けには、日本が無条件降伏したとしてプレスリリースした。
そうしないとアメリカの世論は収まらないからだ。
そして、日本の占領にあたって、マッカーサーに無条件降伏したものとして占領政策を進めるように命じた。
 マッカーサーは、終戦の経緯から、また、東久邇宮総理が「国体護持」をスローガンとしているのを見て、天皇をそのままとどめ置き、裁判にもかけないほうが、占領が円滑にいくと判断した。
そして、みずから選出した極東国際軍事裁判の判事団にそのような方向にもっていくよう圧力をかけた。

約束を破った占領軍
 こうして、皇室の維持という点では「国体護持」がなされた。
ところが、国家神道と軍国主義の除去という点では、「国体護持」の条件は守られなかった。
 占領軍は終戦から4カ月後の12月15日に「神道指令」を出して、軍国主義の中心にあった国家神道を禁止した。
国のために命を捧げれば靖国神社に神として祀られるという思想を禁止した。

 次いで、教育の場から徹底的に軍国主義を追放した。
1946年2月4日、CIE(民間情報教育局)は、文部省に次のように解釈される要素を含む歴史教科書記述を削除することを命じた。
〇国民の英雄的及び一般的活動として戦争を賛美すること
〇天皇や祖国のために戦死を名誉とすること
〇人間の最高の名誉として、軍事的偉業や戦争の英雄を美化すること
〇天皇を防御し、国家発展のために、桜の花が散るがごとく人間の生命を犠牲にすること
〇天皇のために死ぬことを義務とする考え
〇天皇の勅令に対しての従属的な考え

 われわれ日本人がよく知るように、こういった考え方や価値観は戦後教育において徹底的に排斥された。
そして、日本人は、「戦争を賛美してはいけない」「戦争で戦う人を英雄視してはいけない」「国のために自分を犠牲にすることはよくない」「国のために死ぬことを名誉としてはいけない」という考え方を植え付けられた。

 問題なのは、侵略戦争と自衛戦争を区別していないということだ。
これは、憲法の戦争放棄条項を見てもわかるように、占領軍が意図的にしたことであって、侵略の戦争はもとより、自衛の戦争であっても、とにかく戦争はしてはいけないのだ。占領の目的が日本を自衛戦争さえできない国にすることだったからだ。

 こうして、「国体」のうち、国家神道と軍国主義は破壊された。
この点ではアメリカは終戦条件を守らなかった。
しかも、これは次のようなハーグ陸戦条約に違反していた。
第43条 国の権力が事実上占領者の手に移ったら、占領者は絶対的な支障がない限り、占領地の現行法律を尊重し、なるべく公共の秩序及び生活を回復確保するため、できる手段を尽くさなければならない。
第46条 家の名誉及び権利、個人の生命、私有財産ならびに宗教の信仰及びその遵行を尊重しなければならない。

 結局、日本は「国体護持」できたのかといえば、半分はできたが、残りの半分はできなかったといえる。
やはり、占領されるということはそういうことだ。

亡国の民の心情を想像せよ
 無条件降伏していたなら、半分も「国体護持」ができなかったことは明らかだ。
また、降伏相手がアメリカだったからよかったが、ソ連だったら、傀儡政権を作ったのち、日本人の半分ほどをシベリアに強制移住させたあと、ロシア人を入れて日本本土を支配しただろう。つまり、国を奪われていたのだ。

 こうしてみると、なぜ一部日本人が祖国防衛のために身を挺して戦うウクライナ人の行動を理解せず、批判するのかわかる。
要するに彼らの歴史認識が間違っているのだ。
 彼らは無条件降伏しても別にどうということがないと思っているが、それは日本が「国体護持」の条件を獲得するために最期まで戦ったことを知らないからだ。
また、日本の場合は、たまたま領土的野心を持たないアメリカに降伏したので、国を奪われずにすんだが、ウクライナ人の場合はそうはいかないということが理解できていないのだ。

 占領軍によって植え付けられたマインドセットから抜け出せていない日本人は、自衛の戦争であっても「戦争はよくない」といい、国のために戦うな、犠牲になるなといい、勝ち目がないし、無駄だから、さっさと無条件降伏すればいいという。
国を奪われること、亡国の民となることがどんなことか理解していない。
 彼らはウクライナ人がおかしいという。
国際的に見て、おかしいのは占領軍のマインドセットから抜け出せていない日本人の方なのだ。

有馬哲夫(ありまてつお)
1953(昭和28)年生まれ。
早稲田大学社会科学総合学術院教授(公文書研究)。
早稲田大学第一文学部卒業。東北大学大学院文学研究科博士課程単位取得。
2016年オックスフォード大学客員教授。
著書に『原発・正力・CIA』『歴史問題の正解』など。

    デイリー新潮編集部
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2022年03月15日

テレビ局がワイドショーをやめられない根本原因

「バカな視聴者がよろこぶから続けている」テレビ局がワイドショーをやめられない根本原因
2022年03月14日  PRESIDENT Online

放送内容の偏りなどからたびたび批判を受けながらも、テレビ局は「ワイドショー」の放送を続けている。
なぜやめられないのか。
著述家のKヒロさんは「制作陣が『視聴者は喜怒哀楽を提供するとよろこぶ』という固定観念から抜け出せていない。その結果、若者のテレビ離れが進んでいるのだろう」という――。

■視聴率不毛地帯の救世主として60年前に登場
コロナ禍のなかで多大な迷惑を振りまいたものの一つが、視聴者の不安を煽(あお)り立てたテレビのワイドショーだ。
コメンテーターが振りまく怪しい医療情報や感情的な意見に惑わされた人々は、コロナ対応の第一線で働く医療関係者や保健所スタッフの頭痛の種になった。
迷惑を被(こうむ)ったのは医療関係者だけではない。

筆者の身近にも、あるワイドショーの名前を挙げて「ワクチンで死にたくない」と言い張る老人に正しい情報を伝えるため、大変な労力を要したケースがある。
ネットニュースで報じられたワイドショーの報道ぶりにも、非難のコメントが集まった。
とはいえ、ワイドショーが迷惑を振りまくのはいまに始まった話ではない。

興味本位のスキャンダリズム、もっともらしいが不正確な見解を垂れ流す「コメンテーター」たちの影響力。「やらせ」という業界用語が一般社会で使われるきっかけとなった事件も、ワイドショーが引き起こしたものだった。
こんな困り者なのに、現在ワイドショーは週20番組以上も放送されている。
しかも約60年前からずっとこの調子だ。

ワイドショーはわが国独自のカテゴリーで、1964年に日本教育テレビ(現テレビ朝日)が放送を開始した「木島則夫モーニングショー」が始まりとされている。
同局は視聴率低迷とスポンサーの獲得に苦慮し続けていたが、なかでも不毛地帯と呼ばれていた朝8:30から9:30の枠に、芸能の話題やニュースなど雑多な情報を伝える低予算番組を放送することにした。
それまで視聴率ほぼ0%だったこの時間枠を使ったショー番組は予想以上に好評で、放送開始直後から視聴率3%、後には15%にまで達し、不毛地帯は金のなる木に変わった。

翌1965年、日本教育テレビは同じく視聴率が壊滅的だった正午枠で「アフタヌーンショー」を放送すると、これもヒット。
他局も視聴率が取れない時間帯にワイドショーを続々と放送し、乱立時代に突入する。
視聴率獲得のポイントはキャラ立ちした司会者の登用で、司会者の個性や話芸で見る者を飽きさせない工夫をした。

■低予算で確実に視聴率を稼げる
こうしたワイドショーの形態や安定した視聴率は、現在も変わらない。
午前の雄「羽鳥慎一モーニングショー」(テレビ朝日系)は視聴率10%をたたき出すことも珍しくなく、早朝の時間帯から始まる他の番組も7〜9%台を記録する。
午後は「情報ライブ ミヤネ屋」(日本テレビ系)をはじめとするワイドショーが、視聴率5〜6%台を確実にキープしている。
では、この視聴率にどのくらいの価値があるのだろうか。
例えば莫大(ばくだい)な予算と日程を投じて制作されている大河ドラマ「鎌倉殿の13人」は視聴率15%前後だ。
それとは比較にならないほどの低コストで5〜10%の安定した視聴率が得られるのだから、テレビ局にとってはぬれ手で粟(あわ)で、やめられるはずがない。
ライブ視聴中心で録画視聴がほとんどないワイドショーは、CMをスキップされないため、スポンサーにとっても効率がよい。

■ワイドショー的演出を開拓した「泣きの小金治」
もうかっているなら伝える情報の質を高められそうなものだが、それでもワイドショーが変わろうとしないのには理由がある。
再び時代を遡さかのぼってみよう。
「アフタヌーンショー」は放送2年目に司会者をテコ入れし、落語家の桂小金治を番組の顔に据えた。
司会者交代の効果は抜群で、桂小金治は顔を真っ赤にして怒鳴ったり、嗚咽(おえつ)で声が聞き取れないほど泣いたりして、「怒りの小金治、泣きの小金治」の異名を轟かせた。
いま後期高齢者になった当時の視聴者は、いつ桂小金治が怒鳴るか、涙を流すかと、固唾(かたず)を飲んで見守っていたと証言している。
視聴者が求めていたものは情報の内容や質よりも暇つぶしのための喜怒哀楽や驚きだった。

「アフタヌーンショー」は正午の枠としては驚異的な最高視聴率20%を記録したが、これは視聴者の感情の昂(たかぶ)りを表した数字と言っても過言ではない。
こうして「アフタヌーンショー」がワイドショーの王座に就くとともに、喜怒哀楽と驚きを過剰に煽る演出もまたワイドショーの王道的手法として確立されたのだった。

■番組打ち切りにつながる大事件も
芸能レポーターは数々のスターのプライバシーを暴いて大騒ぎした。
ロス疑惑事件は劇場型の騒動に拡大し、豊田商事の悪徳商法をめぐる報道合戦では群がるテレビカメラの前で同社会長が殺害された。
オウム真理教をめぐる一連の出来事も、興味本位で扱われた。
ワイドショーの見せ物小屋化はとどまる所を知らなかった。

1985年には「アフタヌーンショー」が逮捕者を複数出す大事件を起こした。
いわゆる、やらせリンチ事件だ。
「激写!・中学女番長?・セックス・リンチ全告白」と題した独自スクープを放送したところ、警察が捜査を始め、リンチ行為が番組によって仕組まれたものであることがわかったのだ。
この事件では暴行の実行犯に加え、番組担当のディレクターが暴力行為教唆容疑で逮捕された(ディレクターは略式命令で罰金刑を受けたが、後に著書の中で暴行の指示を否定)。
深刻な影響を多方面に与えたこの一件で、アフタヌーンショーは20年の歴史に幕を閉じたが、同番組が確立したワイドショーの王道的手法はその後も他の番組によって継承され続けた。

■止められない需要と供給のサイクル
視聴者は内容や質よりも喜怒哀楽や驚きを求める。
こうした傾向を熟知した番組制作者が、視聴率獲得のため、刺激的で単純でわかりやすいネタと演出を放送する。
視聴者は感情の昂りを求めてワイドショーにかじりつく。
正義や嫉妬が暴走し、不安や恐怖が高められ、覗き見行為が正当化される。

話題の本質は忘れ去られ、社会に騒動の跡と感情の残骸だけが残される。
視聴者はもっと強い刺激と単純さを期待する。
視聴者を番組に縛り付けておくために、ワイドショーはこのサイクルを60年間止められないままなのだ。

■視聴者が求める「期待どおりの感情」
「視聴者は期待どおりの感情になれなければ満足しない」――。
あるベテラン放送作家から、筆者はそう聞いたことがある。
テレビの黎明(れいめい)期から黄金時代にかけての雰囲気を知る彼は、さらにこう付け加えた。
「わからない言葉や表現が一瞬でもはさまったら、視聴者はそこで興味を失ってチャンネルを変えてしまう。わからないことを見つけて喜ぶのは頭がよい人だけだ」
こうしてワイドショーの需要と供給が成り立っている。

制作側と視聴者のどちらもが、「もっともっと」とわかりやすさと親しみやすさと喜怒哀楽を求める。
論理よりも感情で動いてしまいがちなのは人間の愛(いと)おしさであると同時に弱点でもあるが、ワイドショーはこの弱点をカネに変えるビジネスなのだ。

■テレビ離れの一因であっても
ワイドショーが新型コロナウイルス感染症について怪しい医療情報や感情的な意見を放送するのは、パンデミックを国や医療従事者のせいにしたい視聴者の期待に応えるためだ。
国や医療従事者を批判している専門家をスタジオに呼んで意見を語らせ、司会者はさらに視聴者の感情を煽る。
視聴者は込み入った説明を嫌い、期待どおりでわかりやすい極端な情報を求める。
スタジオに呼ばれた専門家や、素人の「コメンテーター」は、どうすれば視聴者の耳目を集められるかを次第に学習し、極端な発言を増やしていく。
しかも求められている役割を自覚して個性を際立たせようとする。
視聴者はますます、喜怒哀楽を刺激されて満足する。

桂小金治の怒りや涙を固唾を飲んで見守っていた、1960年代の視聴者のリテラシーを、ワイドショーの制作者はいまだに基準にしているのではないかとさえ感じる。
そうした制作態度は若年層を中心とした現在進行中のテレビ離れに間違いなく加担しているが、それでもまだ5〜10%の視聴率を獲得できている。
視聴率が確保されスポンサーが付くかぎり、ワイドショーはなくならず、基本的な制作方針も変化しない。

■今やあらゆる番組が「ワイドショー化」
むしろ、低コストで高視聴率を実現するワイドショーの手法は、他のカテゴリーの番組制作者にとってもますます不可欠なものになっている。
1970年代半ば以降、報道番組はアナウンサーが原稿を読む時代からキャスターが視聴者に語りかける時代へ、わかりやすさと親しみやすさを追求していった。
わかりやすさと親しみやすさを高めるには、感情的で深く考えることを嫌う視聴者層に擦り寄らなければならない。
その結果、元の数字と比べて不自然な強調を用いたグラフ、論理の流れがおかしいフリップ、印象操作が甚だしいVTR映像が、ワイドショーだけでなく報道番組にも見られるようになった。

「こうしないとわかりにくいし伝わらない」というのが、制作側の決まり文句だ。
音響効果や音楽の多用、保育園のようなカラフルなスタジオセット、やたらと挟み込まれるクイズ形式の演出も、いまやあらゆる番組に浸潤したワイドショー的演出だ。
硬派の討論番組を名乗る「朝まで生テレビ!」もまた、出演者の文化人がそれぞれの役割を演じながら、挑発や嘲笑をぶつけ合って視聴者の感情を煽る見せ物小屋と言ってよい(かつて大島渚が「バカヤロウ」と怒鳴る瞬間が番組の名物だったことからも、この構造ははっきりしている)。
「感情でものを考える人をバカって言うんだ。
最近は番組そのものがそうなっている。
テレビの先はもう長くない」と、前述のベテラン放送作家は筆者に語っていた。
総ワイドショー化に突き進む地上波テレビは、彼が予言した通りの滅びの道をたどるのだろうか。

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K ヒロ(けい・ひろ) 著述家、写真家
1964年北海道北見市生まれ。
大学在学中から写真家として活動。広告代理店勤務の後、コピーライティングおよび著作活動に従事。
東日本大震災後10年を契機に、日本と日本人を見つめなおすプロジェクトに改めて着手。
noteにてハラオカヒサ氏と共同で、コロナ禍を記録する「コロナ禍カレンダー」ほか、反ワクチンや陰謀論、さまざまな社会運動などについての論考を展開している。
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2022年03月16日

「理解できない」…落合氏が新庄監督を批判した意外すぎる真意

「理解できない」…
落合氏が新庄監督を批判した意外すぎる真意
3/15(火) FRIDAYデジタル

「あれじゃ、選手がかわいそう。
選手は優勝するためにプレーしているんだから。
給料を上げるために一所懸命やっている。
それにストップかけちゃ、モチベーションが上がらないでしょう。理解できなかったね」

日本ハムの新庄剛志監督(50)を、こう批判したのは元中日監督の落合博満氏(68)だ。
3月6日に行われた、日ハム対巨人のオープン戦。
テレビ解説を務めた落合氏は、新庄監督の「優勝なんか目指さない」という発言に対し「喝!」を入れた。
さらにレギュラーを固定せず、日替わりでスタメンを決めていることに関してはーー。
「う〜ん。主力がそろそろ出始めるからね。今までレギュラーだった選手がシーズンに入ってスタメンから外されたら、どうしてだろうと不信感を持つとも限らないでしょう」 とチクリ。

選手より、監督のパフォーマンスが目立っているという指摘にーー。
「監督なんだから、好きにやればイイんじゃないですか。それしか言いようがない。
今まで誰もしなかったことを、やりたいんでしょう。
シーズン終わって結果がどうか、その評価だけ。
それまでは自分のやりたいようにやればイイ」

◆2人の意外な共通項
ちょっと突き放した、冷たい印象も受けるコメント。
もしかして落合氏は、新庄監督が嫌いなのでは?
 しかし、両者には共通する点が多いという指摘もある。

「新庄さんも落合さんもプロでの正式な指導経験がなく、監督就任時は『この人で大丈夫か』という疑問の声が多くありましたからね。
明るい新庄さんと独自理論で寡黙な落合さんではタイプが違いますが、下馬評は決して高くなかったんです。
低評価を覆し、落合さんは04年に中日の監督に就任すると、いきなりリーグ優勝を果たします。
新庄さんも、ひょっとしたら……。

周囲が驚く、突飛な行動に出るのも似ている。
落合さんは監督に就任すると、キャンプ初日に異例の紅白戦を開催。
前年まで3年間白星どころか1軍のマウンドにさえ立っていなかった川崎憲次郎を、開幕投手に抜擢しています。
その後も不動の二遊間と言われた荒木雅博と井端弘和のポジションを入れ替えるなど、ファンを驚愕させた采配は新庄さんに通じるでしょう」(スポーツ紙担当記者)

はたして、落合氏の「新庄批判」の真意は……。
背景には、意外なメッセージが込められているようだ。

「激励ですよ。落合さんは、常識にとらわれない新庄さんを評価しているんだと思います。
落合さんは、自分が認めない人物は無視。談話を残しても、一言二言とそっけないものです。
一方、期待する人間に対しては一度突き放したようなコメントをしますからね。
落合さんを描いたノンフィクション『嫌われた監督』によると、主力に成長してもらいたい森野将彦の守備力を上げるためには、こうハッパをかけたそうです。
『もう限界だと思ったらグラブを外せ。外せばオレはそれ以上ノックを打たない。それが終わりの合図だ』と。ポジションを変えられた井端への言葉です。
『監督から嫌われても、使わざるを得ないような選手になれよ』。

一見、冷たい物言いで相手の反応を見ているんです。
森野も井端も、落合さんの言葉に発奮し一流選手になりました。
新庄監督にも、ここまで突っ込んだコメントをするのは期待の表れでしょう。
今はメディアに連日取り上げられていますが、『天狗にならずガンバレよ』という落合さん流のメッセージだと感じました」(同前)

新庄監督にボールを投げた形の落合氏。
「嫌われた監督」の辛口批評を、ビッグボスはどう捉えるだろうか。
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2022年03月17日

自分たちで日頃からできる認知症予防

自分たちで日頃からできる認知症予防
2022.3.16  Diamondオンライン

Amazonカテゴリー「脳・認知症」部門で1位2位を独占した、脳の力を最大限に伸ばすベストセラー対談が実現。
『見るだけで脳がよくなる1分間瞬読ドリル』著者・山中恵美子氏と、『1日1分見るだけで記憶力がよくなるすごい写真』著者・吉野邦昭に、何歳からでも脳の力を発揮する方法についてたっぷり聞いた。
今日からすぐ脳のためにできる情報が満載! 一読して損なし!!(取材・文/狩野南)

物忘れは、脳が横着になっているだけ
――記憶力を高めることは、シニア世代にとっては「認知症予防」にもつながると思いますが、歳をとっても脳は鍛えられますか?

吉野邦昭(以下、吉野)
 いわゆる物忘れは、40代くらいから起こってくるといわれています。
「20歳を超えると脳細胞は1日に10万個死ぬ」という説もある。
これ、単純計算だと60歳になったときに14億個死んでいることになるんです。

山中恵美子(以下、山中)
 そうなんですね。

吉野 
そんなに死んでいたら最後にはなくなるのでは? と思ってしまいそうですが、実は脳細胞は140億個あるんです。
そのなかの14億個って、たかだか10%。
どういうことかというと、脳細胞が死んでダメになっていくのではなく、脳の使い方が横着になってきているだけなんです。

 脳は、たった一つのことしか判断できないといわれています。
たとえば、赤ちゃんは、ミルクを飲むときに哺乳瓶をつかんで一心に飲みますよね。
それが、大人になったら、友達とカフェに行って、しゃべりながらカップを置こうとしてソーサーからちょっとずれてこぼす、というようなことが出てくる。
そういう、いろいろな横着がたまって破綻して物忘れになっているんですね。
 ですから、脳のメカニズムの基本に立ち返って、トレーニングをすればいいんです。
脳トレドリルもなんとなく見るのではなく、「ここはどうだろう」と、一つ一つレーザービームを当てるような感じで見ていくと、問題が解けるようになると思いますね。

山中
 歳をとったら記憶力が低下するとよく皆さんおっしゃいますが、実はそうではないと私は思っているんです。
歳をとったから記憶力がなくなるのではなく、どちらかというと、意欲がなくなる。
新しいことを覚えよう、学ぼうという気持ちがなくなっているだけじゃないかと思っています。
 体の場合、腰や膝が痛ければ、病院へ行ったりサポーターをしたり、メンテナンスをするじゃないですか。
でも脳の場合は、使わずに錆びてしまっても目に見えないからわからない。
気づいたときにはもう手遅れということになりかねません。
 なので、意識して使ってあげると、ある程度の物忘れは防げるんじゃないかと。
1日数分でもいいから毎日トレーニングを続けるだけで、体と同じように、脳もいつまでも健康で若々しくいられるのではないでしょうか。

認知症予防のために心がけることは?
――記憶力アップ、認知症予防のために、日頃どんなことをやるのがいいのでしょうか?

吉野
 「感情を拾う」ことがポイント。
「今、私の脳は何を感じているだろう」と、もう一人の自分を擬人化するような感覚でしょうか。
「ちょっと寒いな」とか、ごはんを食べているときに「うわー、おいしいな」とか、怒りも含めて自分の感情を知ることが大事なんですね。
 私は理系だったので、以前は事実しか追いかけていなかったのですが、感情を追いかけるようになったら脳が活性化しました。
これは記憶のメカニズムとしてよくいわれていることですが、記憶は「海馬」という場所と密接な関係があり、そこにいちばん影響を及ぼすのが「扁桃体」です。
感情が豊かになると扁桃体が動き、扁桃体を通じて海馬が活性化するんですね。

 認知症と関係があるのも海馬なので、感情を拾って海馬を刺激してあげることによって、いつまでも記憶力が落ちなくなるというふうにもつながっていくと思うんですよ。

山中
 脳は、本当に筋肉と同じで、年齢に関係なく、使い続けていれば元気でいられると思っています。
いつまでも元気でいるためには、常に新しいこと、知らないことを知るという意識を持つことをおすすめしたいですね。
 毎日1冊本を読むでも毎日1本映画を見るでも何でもいいんです。
そして、ちゃんとアウトプットをすることが大切。
読みっぱなし、知りっぱなしではなく、得た知識を外に出すことで、脳はまた動き出します。

新しいことにチャレンジして、アウトプットをすることは、認知症予防にはとても効果があると思います。
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2022年03月18日

田中義剛 労使トラブル深刻化の陰で美輪明宏が諭していた「経営者の覚悟」

田中義剛 労使トラブル深刻化の陰で美輪明宏が諭していた「経営者の覚悟」
3/17(木) 女性自身

田中義剛(64)が代表取締役社長を務め、生キャラメルで有名な「花畑牧場」(北海道中札内村)。
2月24日に労使トラブルが報じられて以降、3月14日には花畑牧場側がベトナム人従業員3名を刑事告訴したことが明らかになるなど、余波が広がっている。
「今年1月26日に38名のベトナム人従業員が、寮の水光熱費を一方的に値上げされたとして抗議のストライキを実施。
ですが“ストライキの報復”で不当な雇い止めをされたとして、会社側に撤回を求めたと報じられました。
一方で、会社側は『不当な争議行為』としてベトナム人従業員4名に、計200万円の損害賠償請求をしたことが判明したのです」(全国紙記者)

しかし2月28日、同社はホームページ上に「ベトナム人従業員に関する一連の報道について」と題する声明を発表。
ベトナム人従業員に対する不当な雇い止めを否定し、雇用の終了は“契約上のもの”として次のように説明している。
《当社では、ベトナム人従業員の受入を約1年半前からはじめ、現在135名のベトナム人従業員を受け入れています。
そして、この135名のベトナム人従業員は、毎年3月15日を契約期間の終期となっており、更新する者については毎年3月16日から翌年3月15日までの1年間の契約を締結することになっています》

次に、「寮の水光熱費が月7000円から1万5000円に値上げされた」と報じられたことにも言及。
“コミュニケーション上の齟齬があった”として、従業員側が「月7000円の固定費」と認識していたと説明。
値上がりした理由については、大寒波の影響等により冬場の暖房費が高騰したことを挙げている。

各メディアによれば、3月14日に第1回目の団体交渉が行われたが、双方の主張は平行線に終わったという。
一方で同社は、一部切り取られた田中の音声データが拡散されたとして、ベトナム人従業員3名を名誉毀損などの疑いで刑事告訴したとも報じられた。
このことについて札幌地域労働組合の鈴木一副委員長は、「立場の弱いベトナム人を刑事告訴するのは脅しだ」と批判しているという。

■ベトナム人従業員との契約期間が異なる文書が提出されていた
そんななか、新たな続報が。3月15日、共同通信が「ベトナム人契約期間で異なる書類 入管に提出、花畑牧場を当局調査」と題する記事で、《入管当局にベトナム人側と交わした書類とは異なる契約期間の文書が提出されていた》と報じたのだ。

「昨年3月15日付で交付された『労働条件通知書』では、契約期間は今年の3月15日までとなっていたそうです。
確かにこれは、会社側が2月28日にホームページで説明した通りです。
しかし昨年10月20日付で入管に提出された『雇用条件書」では、期間が今年の10月31日までとなっていたのです。
入管は虚偽の届出の可能性があるとして、調査を開始しました」(前出・全国紙記者)

同社は3月14日に再びホームページ上で労使トラブルの経過を報告し、問題視されている契約期間について釈明。
特定技能及び特定活動の在留資格を有するベトナム人の受け入れについて、同社は’20年9月から登録支援機関「FUN To FUN 株式会社」に支援業務を委託してきたという。
その上で「労働条件通知書」の契約期間が「本年3月15日までになっていた」と認め、次のように説明している。
《ベトナム人等との間での書面等のやりとりは全て FUN To FUN 社を通じて行っていたため、当社は本年2月4日に改めてFUN To FUN社の担当者に確認し、担当者からは「契約期間の終期が3月15日で問題ない」との回答を得たうえで、契約期間の終了に向けた今回の対応を進めていました。
ところが、その後、当社の手元にある「労働条件通知書」の記載とは異なる契約期間の終期が記載された「雇用条件書」がFUN To FUN社を通じて出入国在留管理庁に提出されていたことが発覚しました》

14年前「やり方が乱暴だった」と話す田中に美輪明宏から“公開説教”も
ますます深刻化する労使トラブル。
’94年に「花畑牧場」を開業してから、現在の規模に成長するまでは紆余曲折あった。
「もとはチーズの生産から始まりましたが、転機となったのは’07年に『生キャラメル』が大ヒットしたこと。
タレントである田中さんの知名度も奏功し、メディアで大きく取り上げられ北海道みやげの定番となりました。
ですが商売の成功とは裏腹に、田中さんは当時も従業員との間でトラブルがあったことを明かしていました」(テレビ局関係者)

それは’08年10月放送の『国分太一・美輪明宏・江原啓之のオーラの泉』(テレビ朝日系)に、田中がゲスト出演した時のこと。
番組冒頭で「生キャラメル」が話題にのぼるなか、田中は「従業員が30人も辞めて、1人しか残らなかった」時期があったと打ち明けたのだ。
自らの素行に原因があったとして、「乱暴だったんですよ、自分が、やり方が。(従業員たちが)辞めていって、本当に当然だと思います」と振り返った田中。
一時は牧場の閉鎖まで考えたというが、“最後の仲間”が彼を支えてくれたことで「従業員が3年で500人も増えた」と語っていた。

そんな経営者としての振る舞いを、美輪明宏(86)と江原啓之(57)から“公開説教”されたのだ。
美輪に「相手の気持ちを考えないで、自分の感情だけで物を言っていたのね」と投げかけられると、田中は「いや、全部そうでした。
経営者としても、最悪でした」とコメント。
懺悔する田中の話に耳を傾ける美輪は、こう指摘したのだった。
「こうやってお話してると穏やかだけど、仕事のことで注意したりすると、ものすごくキツくおなりになるところが見えるのね。
何気なく本当に一生懸命になって仕事のことを言ってるんだけど、それが向こうにとってはね、恨みになる人がいるのよね」 そして、神妙な顔で田中を諭した。

「会社が大きくなったらね、根性や精神論だけじゃ成立しないんですよ。
あくまでも今度は、あなたの今までの情念、根性、そういうものは置いておいて、理性だけ。理性ですべて計算して、人心掌握術でカッときたときでも、いったん(怒りを)飲んで、改めて頭が冷えたところで、『これは、こうでこうだろう。だから、こうしなさいよ』と(冷静に説明する)。
それが経営者の、つまり帝王学なんですよ」

また腑に落ちないことがあると、1人で農業団体に抗議しに行くとも明かしていた田中。
江原からも「美輪さんがおっしゃった理性で、感情は抜いて、理性で会社もきちっとして」と、感情的になる性格を諌められていた。
経営者としての覚悟を諭されていた田中。
今回のトラブルをめぐって“コミュニケーションの問題”にも言及しているが、美輪から授かった心得を生かして、騒動が早期に解決されることを願いたい。
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2022年03月19日

【元自衛官が語る】短時間でも体力回復する睡眠のコツ

【元自衛官が語る】短時間でも体力回復する睡眠のコツ
2022.3.18  Diamondオンライン

仕事や人間関係…しんどいことが多い、という人にぜひ読んでもらいたいのが、『メンタルダウンで地獄を見た元エリート幹部自衛官が語る この世を生き抜く最強の技術』(わび著)だ。
著者のわび氏は元幹部自衛官としてエリート街道をひた走っていたが、上司のパワハラと早朝深夜の激務が重なりメンタルダウン。
復職を果たした後、「出世ばかりが人生ではない」「人に認められるためではなく、もっと楽しく生きたい」と思い、転職。現在は外資系企業の社員として活躍している。
自衛隊などの社会人経験で身につけた仕事術、メンタルコントロール術についてツイートした内容が人気を集め、Twitterを開始して2年半でフォロワーは12万人を突破、10万超えいいねを連発し、ネットメディアにもたびたび取り上げられている。仕事・人間関係で生き抜く知恵が詰まった本書の発売を記念し、今回は特別インタビューを実施。著者・わび氏に自衛隊で学んだ睡眠のコツについて聞いた。
(取材・構成/川代紗生)

自衛隊時代の睡眠必須アイテム
──自衛隊では、過酷な環境下で睡眠を取らなければならない場面も多かったのではありませんか。

わび:
被災地に派遣されたときなど、とくに災害派遣の場合は、外で寝ることが多かったです。
テントの中だと狭いので、正直、あまり眠るのに適した状況とは言えませんでした。
 とはいえ、自衛隊では、災害派遣という過酷な環境の中でもしっかりと体力を回復できるように、仮眠計画が立てられていました。
 これまでの歴史の中で、トラブルの再発防止をふまえ、徹底的に仕組み化されてきた組織なので、学ぶことは本当に多かったですね。

──危険な現場で疲れが溜まっていたり、気が立っていたりしても無理やり寝なければならない、というときもあったと思います。どんな工夫をされていましたか。何かおすすめの睡眠法などがあれば教えてください。

わび:
「眠れない」という悩みはよく聞きますが、結局、単発の睡眠法をいくら試しても、自分自身がニュートラルな状態になっていないと効果がないんですよね。
 なので、「心身をニュートラルな状態に近づける」方法を考えてみるのがおすすめです。
 具体的には、「外側」と「内側」、それぞれの刺激や雑音をクリアにすることですね。
 たとえば、ストレスが溜まっているときは光や音に敏感になるので、それを遮断するだけでも、ずいぶんちがいます。
私も、災害派遣で仮眠を取らなければならないとき、アイマスクと耳栓は必須アイテムでした。

──たしかに、耳、目から入る情報をシャットアウトするだけでも、睡眠の質は変わりそうですね。

わび:
「眠れない」という人は、まず自分の睡眠環境を振り返ってみて、光や音の影響を受けていないか確認してみるといいかもしれません。
 案外、家族のいびきや物音など、雑音のせいで眠れなくなっている可能性もあります。
高品質な耳栓があるとかなりラクになると思いますよ。

心配事の96%は現実にならない

 わび:
音や光など、「外側」の刺激をクリアにし、眠る環境を整えても眠れない場合は、そもそも心配事があるなど、心の内側の雑音に影響されている可能性が高いです。
 そういうときは、頭の中の嫌な記憶をクリアにしなければならないので、寝る直前に好きなことをしてから寝るのがおすすめです。

──たとえば、「明日、仕事で失敗するかもしれない」など不安で眠れない、という場合はどうされていましたか?
自衛隊のお仕事の場合、命に関わる分、恐怖や緊張感もあったのではないかと思うのですが。

わび:
「不安」との戦い方を知るとラクになるかもしれません。
 私も社会人生活の前半は、まさに不安との戦いでした。
純粋に仕事をしている時間よりも、不安になっている時間の方がずっと長かったかもしれません。
 けれど、その経験から知ったのは、「何がわからないかわかっていないから、不安が生まれる」のだ、ということ。
 そういうわけで、あまりに不安すぎて眠れないという場合は、「わかっていること」「わかっていないこと」をそれぞれノートに書き出してみるのがおすすめです。

 あとは、精神科医・樺沢紫苑さんがこの記事(https://diamond.jp/articles/-/189277)で紹介されていたのですが、米国ミシガン大学の研究で、「心配事の80%は起こらない」ことがわかったそうです。
 さらに、残りの16%は事前に準備をしておけば対処可能。
つまり、「こうなったらどうしよう」と不安になっていることのうち、4%しか現実には起こらないんです。

──ええ! たったの4%ですか。そう考えると、私たちはかなり余計な心配をしてしまっているのかもしれませんね……。

わび:
この知識を知っておくだけでも、楽観的になれますよね。
 もし、どうしても不安で眠れないという人は、ぜひこのエピソードを覚えておいて、眠れない夜に思い出してもらえたらと思います。
 現実になるかどうかわからない未来のことにエネルギーを使うのはもったいない。
 心の整え方や不安の取り除き方は今回の本でも複数紹介しているので、少しでも多くの方の気持ちをラクにできたら嬉しいです。
posted by 小だぬき at 00:00 | 神奈川 ☔ | Comment(0) | 健康・生活・医療 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2022年03月20日

「いくら休んでも疲れが取れない人」が無意識にやっているNG習慣

「いくら休んでも疲れが取れない人」が無意識にやっているNG習慣
2022.3.19 Diamondオンライン

パワハラ上司のもとで倒れるまで働いた1年半

──今回は、「疲れ」との向き合い方について聞かせてください。
わびさんも、メンタルダウンしてしばらく休職されたご経験がありますよね。
疲れ切って、ポッキリと心が折れた瞬間のことは覚えていらっしゃいますか?

わび:
「まだ大丈夫」と言い聞かせて働いていましたが、ある日突然、動けなくなりました。
 月約200時間の残業と、パワハラが原因で。
今考えると、「まだ大丈夫」と思っている時点で、無理しすぎだったんだろうなと思います。
 自衛隊で幹部自衛官として働いていたのですが、当時、同期の中で成績がトップクラスだったこともあって、「周りの期待を裏切れない」というプレッシャーが強かったんです。
 ちょうどプライベートでは双子が生まれた時期で、もちろん子どもが生まれたことは喜ばしいことではあったんですが、職場でも家でも気が休まる暇がなくて。
 結局、職場で倒れて病院に運ばれてようやく立ち止まることができました。
パワハラ上司のもとで働くようになってから、約1年半後のことでした。
 ただ、メンタルダウンの経験をしてから、働き方や生き方をガラッと変えたんです。
自分のことを自分で守る強さを手に入れようと決意し、自分らしく生きるための方法を身につけました。
以降、自分のペースを保ち、楽しく生きることができています。

「食べる」「寝る」「筋トレ」は回復ではなく予防手段

──疲労困憊してエネルギー切れになることなく、自分らしく働くためには、どんなことをされてきたのでしょう。
「いくら休んでも疲れが取れない」原因は何だと思いますか?

わび:
仕事に対して休みが追いついていないのだと思います。
 どんなにラクそうに見えても、何かしらストレスがあるのが仕事というもの。
普通に仕事をしているだけでも気力、体力はガリガリ減ってしまうし、上司の厳しい指導や友だちの何気ない一言で普通の状態でいられなくなることもあります。
 心身を限界まで使い果たすと、今まで平気でできていた仕事も少しずつ困難になっていきます。
 だから、心身を回復させるタイミングは超重要なのですが、倒れた当時の私は、パワハラのストレスで睡眠も浅くなってしまっていて、ほとんど休みがない状態でした。
 ただでさえ、平日5日間の仕事の疲れを土日2日間だけで回復させる、というサイクルはけっこうきついのに、さらに残業もして、休日出勤もして……と働き詰めになってしまったら、疲労が蓄積するに決まっていますよね。
 よく、SNSやネットニュースなどで「メンタルをやられたときは、ご飯を食べて寝て、筋トレしたら回復する」という言葉を目にしますが、それは回復手段ではなく、予防手段なんです。
 まだある程度余裕がある人にこそ機能するやり方で、本当に疲れ切った人は、筋トレも食事もできません。
 なので、そういう状態にならないように、環境を整えること。
 そして、もしすでにそうなってしまっているのであれば、自分がゲームでいうところの「ステータス異常」になっていることを自覚して、早めに病院に行ったりして、専門家に相談するようにしましょう。

自衛隊で教わった、小さなミスでイライラしないための合言葉

──ストレス対策として、わびさんが日常的にやっていることや、考え方のコツがあれば教えてください。

わび:
「大まかな方向が合っていればOK」と考えるようにしています。
 自分の経験からもつくづく思うのですが、小さなことでもストレスを感じる人は、すごく細かい矢印で将来の道筋を決めてしまっているんですよね。
 細かい矢印ばかり追いかけていると、ちょっとでもずれるとそれがいちいちストレスになってしまう。
「ああ、また回り道してしまった」「本当はこっちに行くはずじゃなかったのに!」と、人生に起きる全ての出来事が思い通りにならないと満足できない。
 だから、小さな矢印ではなく、大きな矢印で将来を見るのが大事で。
「この幅に入っておけばOK」くらいの心構えにするようになってから、私はかなりストレスが減りました。

──たしかに、毎回細かい計画を立てて、その通りにいかなくて焦ってしまう……という人は多そうですね。

わび:
私も社会人前半の頃は、うまくいかなくてストレスが溜まったり、小さなミスでいちいち落ち込んだりしてばかりでした。
今でももちろん、ミスをして焦ることはあります。
けれど、そんなときは、自衛隊時代の先輩に聞いた、「それって大勢(たいせい)に影響あるの?」という言葉を思い出すようにしています。

──「大勢」?

わび:
自衛隊ではよく使う言葉なんです。
要するに、そのミスは、全体の重要な方針に影響があるのか、確認しているわけですね。
 大勢に影響がないのならそれ以上追及しない。
影響があるのなら、速やかに是正、対処する。
 先ほどお話しした、「大きな矢印」の幅におさまっているならばOK、という考え方ですね。
 だから、パワハラに苦しんでいた7年前の私のように、今何か辛い出来事がある人、ストレスを抱えている人、疲労困憊している人がいるのなら、「人生の悩みのほとんどは、大勢には影響ないんだよ」と伝えたいです。
 仕事だって、「自分らしい人生を送る」という目的を達成するための手段の一つでしかない。
「今の仕事がダメだったら人生終わり」なんてことはありません。
 大きな目的に向かっていくためには、ときに戦略的撤退も必要なんです。
 私はメンタルダウンしてから復帰するまで、かなりの時間がかかりました。
「みんなから置いていかれる」と思い、無理して復帰してはまた体調を崩す、ということを繰り返していました。
 でも、そんなこと、「置いていかれるかどうか」なんて、気にしなくていいんです。
 人生の究極の目標は「本来の自分であり続けること」です。
今回の本が、少しでも多くの人の助けになることを願っています。

*『メンタルダウンで地獄を見た元エリート幹部自衛官が語る この世を生き抜く最強の技術』(わび著)

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2022年03月21日

カルト勧誘手口が年々巧妙に

「大学1年生は"魅力的なカモ"」
SNSでつながり、徐々に踏み込んでくる…
カルトの新しい勧誘フレーズ
2022年03月20日 PRESIDENT Online

春は、若者が新大学生や新社会人として新たなスタートを切る季節。
そうした若者を狙うのが、「カルト的集団」だ。
日本脱カルト協会代表理事で立正大学教授の西田公昭さんは「カルトはSNSを駆使しており、勧誘の手口は年々巧妙になっている。
『カルトが近づいてきたらすぐわかるはず』『そんなに簡単に取り込まれるはずがない』とは思わない方がいい」という――。

■大学生は狙われている
近年、ますます巧妙な手口で若者を狙うカルト的集団の勧誘が増えてきています。
カルト的集団とは、一見よい活動をしているように見せかけながら、メンバーやその知人に対してさまざまな悪質行為を行う集団のこと。
悪質行為の例としては、自由の剥奪、私生活への干渉、批判の封鎖、リーダーへの絶対服従などの人権侵害が挙げられます。

大学生、特に入学したばかりの1年生は、カルト的集団から見れば“魅力的なカモ”です。
新しい環境に夢や期待がふくらみ気も大きくなっている一方で、新生活に不安も抱えています。
初めて親元を離れ、一人暮らしをする人もいるでしょう。

実は表面的なものに過ぎないのですが、優しく親切に手を差し伸べてくれると、よく知らない人にでもつい頼ってしまいがちです。
また、10代から20代前半は、人生設計がまだ定まっておらず、自分の将来に漠然とした不安を持ちやすい「人生の探索期」。加えてコロナ禍以降に入学した学生は、キャンパスなどで深く他者と交流する機会もほとんど与えられていません。
友だちをつくれず孤独感を抱えている学生は、非常に狙われやすい存在なのです。

■SNSの「#春から○○大学」に紛れ込む
カルトはその不安や孤独感につけ込み、巧妙な手口で勧誘してきます。
以前はキャンパスで、サークル勧誘などを装って声をかける手口が主流でしたが、最近はSNSでの勧誘が圧倒的に多くなっています。
例えば、今どきの若者は、進学する大学が決まるとSNSに「#春から○○大学」というハッシュタグを使って投稿する子が少なくありません。
そうやって入学前から友だちをつくろうとするわけですが、つながった相手の中にカルトのメンバーがこっそりと紛れ込んでいることがあるのです。

「カルトなんて、すぐわかるんじゃないか。言動から怪しいと気づくだろう」と思うかもしれません。
しかし、声をかけてくる本人も自分の所属する団体がカルトとはこれっぽっちも思っていないですし、SNS上で相手がカルトかどうか見分けるのは、私たち専門家でも至難の技。
こうしていったんSNSでつながってしまうと、カルトは徐々に心に深く踏み込んできます。
最初の誘いの言葉としては、「楽しくてためになるセミナーに参加してみない?」「すごい先輩がいるから会ってみない?」などが多いようです。

今は自宅からオンラインで参加したり会ったりすることもできますから、大学生にしてみれば安心感があり、気軽に承諾してしまいやすいのです。
次に、セミナーや会話の中で将来の夢や人生の意義といった話題を持ち出し、本人のやりたいことを応援すると見せかけながら、少しずつ集団に引き込んでいきます。
そのため本人は「すごい人だな」「親切な人だな」「頼りになる人だな」となどの好印象を抱いてしまい、自分がカルトに取り込まれつつあることに気づけません。

■表看板は「宗教」とは限らない
カルト的集団はその多くが全体主義的であり、集団内では個人の自由や権利は保障されません。
入った人は自身の思想や行動の自由を捨てて、他のメンバーと一緒に熱狂的に集団活動をするよう求められます。
また、集団に対する批判的な言動は悪とされていて、メンバーが互いに監視・密告し合うことも少なくありません。
個人のプライバシーや私生活は極めて制限され、集団活動が最優先されます。
そして多くの集団にはカリスマ的リーダーがいることが多く、メンバーは“正しくすばらしい”目的達成のためには自ら進んで、喜んで服従するのが当然とされています。
これらの特徴を備えた集団がカルトです。

カルトというと、かつてのオウム真理教のように宗教団体の看板を掲げた集団をイメージしがちですが、実は彼らが掲げる“表看板”は宗教に限りません。
オウム真理教の事件以来、日本では小さな宗教団体が「何だか怪しい」と敬遠されるようになったため、最近ではさまざまな表看板が使われるようになっています。

■「自己啓発カルト」「商業カルト」も
ボランティア団体やNPO団体を標榜することもあれば、自己啓発セミナーの主催団体を名乗ったり、スピリチュアルや癒し、瞑想といったキーワードを掲げることもあります。
そうした活動やキーワードに引かれる人は必ず一定数いるので、そこを狙って勧誘するわけです。

カルト的集団が掲げる看板は、時代によって移り変わってきました。
1970年代には左翼などの政治的カルトが、80〜90年代には宗教的カルトが盛んでしたが、今は自分を高めたいという気持ちを利用した「自己啓発カルト」や、夢の実現資金の調達や経済的不安につけ込んでマルチ商法や投資を勧める「商業カルト」も増えてきました。
つまり、カルトと一口に言っても、彼らが掲げる看板には、政治、宗教や癒し、自己啓発、ビジネスなどがあるのです。
いずれもそれ自体は違法というわけではないものばかりなので、カルトだと気づかないまま勧誘に乗ってしまう若者も少なくありません。
しかし、いったん入ってしまうと脱退は難しく、結果的に将来を奪われることになります。
カルトは若者の人生を壊す集団であり、大きな社会問題なのです。

■成人年齢引き下げで「標的」拡大の恐れ
これまでは、大学1年生に加えて、3年生以上をターゲットに、お金への興味関心を利用する手口も増えていました。
就活セミナーで声をかけ、少し会話を重ねた後に、「マルチ商法」(連鎖販売取引)や投資セミナーなどに誘うのです。
カルトの勧誘では、東大、京大、阪大、早慶、MARCH、関関同立など、いわゆる有名大学の学生ほど狙われやすい傾向にあります。
組織内にそうした学生を先に取り込むこむと、次の勧誘対象の信頼を獲得しやすくなるからです。

今まで大学3年生以上が狙われていたのは、20歳になれば「民法上の成人」になるからです。
成人は、親の同意なく、自らの責任でローンを組んだり消費者金融から借り入れしたりすることができます。
さらに、未成年者ならうっかり契約を結んだとしても、親の同意がなければ後から取り消せますが、成人はそうはいきません。
最近、被害者が続出した手口としては、投資学習用の教材などと称したUSBメモリを60万円ほどで買わせて、その購入者に、新たな参加者を勧誘させるという方法で被害が広がったものがあります。
被害者たちは、SNS上の知人やサークル仲間に誘われ、将来の所得不足に不安があることから「儲ける」ことへの興味関心を煽られ、「良きサイドビジネスになるのでは」という期待から話に乗ってしまっていました。

しかし、これはハイリスクなマネーゲームというか「ギャンブル投資」への勧誘ですし、どう考えても価値の低い情報商材へのぼったくりです。
「教材を買えば儲かる」「人生の成功者になれる」などと、実現が困難なのに、夢をやたらに煽って勧誘活動に縛りつけ、学業やプライベートの生活に制限をかけたり、放棄させたりしています。
しかも、友人や知人の勧誘に成功すれば、その人数に応じてお金がもらえるという仕組みは、まるでマルチ商法的でもありますから、これは商業カルトと捉えるべきでしょう。

2022年4月からは、成人年齢が現行の20歳から18歳に引き下げられます。
これによって、新たに成人となる大学1〜2年生が商業カルトのターゲットになるだろうことは想像に難くありません。

■高校生をSNSで「青田買い」
 さらに、近年はSNSの普及に伴って「青田買い」も進行しています。
勧誘のタイミングが、大学生から新入生、入学式、合格発表、高校生へとどんどん早まってきているのです。
高校3年生では、進学先の情報を提供してくれるサイトが、実はカルトの運営によるものだったという事例があります。
「めざす大学に在籍する先輩が、進学のアドバイスをしてくれる」という形をとりながら、徐々に集団に引き入れていく手口でした。

最近の高校生は、SNSでたくさんの友だちとつながっていますから、あっという間に高校中に広めてしまうこともあります。本人は、いい情報を皆に教えてあげていると思い込んでいるので、良いことをしているつもりで被害を広めてしまうのです。

では、高校生や大学生の子を持つ親は、どんな点に気をつけたらいいのでしょうか。
最近のカルトはSNS上で近づいてくることが多いため、わが子が接点を持った時点で気づける親はほとんどいないと思います。
できるかもしれないのは、取り込まれそうな場合の兆候を見逃さないことです。

■兆候が表れる前に「予防」を 
兆候としては、持ち物、服装、話題がガラッと変わる、帰宅が遅くなることが急に増える、急に性格が変わったように優しく礼儀正しくなったり、まったく違う人と付き合い始めて以前の友だちとは縁を切ってしまう、お金の使い方が荒くなる、などが挙げられます。
大学生では授業に出なくなり、中には退学してしまう学生も。

一人暮らしの場合は、これまで長期休暇のあるときには帰省していたのが、わけも言わず、あるいは嘘をついて帰ってこなくなり、家族との連絡を絶つこともあります。
こうした変化が急激に起こったら、カルト被害を疑ってみたほうがいいと思います。

■脱会は非常に困難、とにかく予防を
しかし残念ながら、「変化に気づいてからでは遅すぎた」ということも少なくありません。
いったんカルトに入ってしまうと、彼らの現実を無視した甘い言葉だけを一方的に信じてしまい、親や大学スタッフや教員などがいくら説得しても耳を貸さず、脱会させるのは非常に難しいからです。
いわゆるマインド・コントロール状態になるのです。

しかも、脱会させることに協力してくれるような相談窓口はほとんどなく、また、仮に運よくうまく救い出せたとしても、その後の社会復帰には経済面や心理面でいくつもの困難があります。
実際、被害にあった本人や家族には、かなり長期にわたって、つらい思いをし続けている人が多くいます。
ですから、いちばん有効な手立ては「予防」です。

親としては、子どもがカルトと接触する前に予防的な情報を与えておくこと、何でも相談できる関係づくりをしておくことが大事でしょう。
「うちの子に限って、まさかそんな勧誘にのるわけがないだろう」という親の思いは大いにわかりますが、どんなに優秀な学生でも、人生に悩みを抱えることはあります。
10〜20代の子を持つ方は、ぜひ、すぐにしっかりとしたカルトの知識を得て、その勧誘手口や危険性をわが子に伝えておいてほしいと思います。

教員として大学生を見ていると、彼らはカルトの存在自体は知っていますが、身近な問題だとは感じていないようです。
自分の大学にいるとは想像しておらず、自分が引っかかるとも思ってもいません。
カルトがどんな表看板を掲げているのか、どんな手口で近づいてくるのか、そしていったん入ってしまうと人生がどう壊れるのか――。
大学生自身はもちろんその親世代の皆さんも、ぜひ正しい知識を得て、予防と自衛に努めていただきたいと思います。

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西田 公昭(にしだ・きみあき)
立正大学心理学部教授 1960年生まれ。
89年関西大学大学院社会学研究科博士課程後期課程単位取得退学、博士(社会学)。
詐欺・悪徳商法の心理学研究の第一人者として新聞、テレビなどのマスメディアでも活躍。
著書に『マンガでわかる!高齢者詐欺対策マニュアル』ほか。
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(立正大学心理学部教授 西田 公昭 構成=辻村洋子)
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2022年03月22日

「緊張する場面」で不安を和らげる7つのポイント

「緊張する場面」で不安を和らげる7つのポイント
2022/03/21  東洋経済オンライン
大野 萌子 : 日本メンタルアップ支援機構 代表理事

こんにちは。生きやすい人間関係を創る「メンタルアップマネージャⓇ」の大野萌子です。
昨今、人と直接会う機会が減り、話すこと自体も減っている方も多く、いざ言葉を交わそうとする際に「思うように声が出ない」「言葉が出てこない」というご相談も増えています。
そんな中、人前で話す、プレゼンするという場面では、必要以上の緊張を強いられます。

朝のミーティングでのひと言さえもプレッシャーに感じる人もいます。
そのようなときに少しでも緊張を和らげる方法をお伝えしたいと思います。

緊張のサイクルに陥らないために
緊張には、自律神経の働きが深く関わっています。
自律神経には交感神経と副交感神経があり、通常は、この2つがバランスよく働いています。
しかし、不安を感じたりプレッシャーやストレスがかかったりすると交感神経の活動が優位になります。
すると、「筋肉が緊張して震える」「顔が赤くなる」「心臓がドキドキして脈が早くなる」「急激に汗をかく」といった身体反応として現れます。

そして、緊張しやすいという自覚がある方は、過去の経験から「また緊張するのでは」と、緊張を恐れ、以下のような負のサイクルに陥ってしまう傾向があります。

1)「緊張して失敗したらどうしよう」「恥をかいたら嫌だ」と強く感じる ↓
2)緊張を隠すために、無理に平静を装ったり愛想笑いをしたりなど、安全行動を取ろうとする ↓
3)緊張を隠せているのか不安になり、よけいに自分に意識が向く ↓
4)さらに不安になって、手汗や震え・顔が赤くなるなどの身体の反応が強く出る ↓
5)1に戻る

このような緊張のサイクルに陥らないために意識するポイントを7つ挙げたいと思います。

1)「緊張は必ずしも悪いことではない」
まずは緊張を「悪」と捉えないことが大切です。
完全にリラックスしているよりも、適度な緊張感がパフォーマンスの向上につながります。
「緊張している、不安」ではなく、「よい緊張感を持てている」という意識に変えてみましょう。

2)「誰でも緊張する」
人前で話したり注目を集めたりするときは、誰でも緊張するもの。
堂々と聴衆の前で話しているようにみえる人も内心は緊張しているものです。
中には平常心でいられる人もいるとは思いますが、それはごく少数派です。
そのことを理解しておくと、少し気が楽になると思います。

3)「緊張を隠さなくていい」
「緊張してもよい」と開き直ってしまうのも1つの手です。
緊張を無理に隠そうとせずに、「人前で話すのは、とても緊張します」と相手に素直に伝えることで楽になることもあります。
場合によっては場が和んで緊張した空気がとけたり、真面目な人という好印象を得られ、プラスの効果につながることも多いです。

意識を自分からそらす 4)
「緊張しやすい場面では自分以外に注意を向ける」
緊張すると、つい自分にばかり意識が向きがちです。
普段以上に自分の心音が大きく聞こえたり、手の震えや顔のこわばりが気になってしまうかと思います。
そんなときは、自分自身から意識をそらして、景色や目の前にある物、視界に入るほかの人に意識を向けるようにしてみましょう。
ただ見るだけでなく、絵を描くつもりで細部をじっくり観察します。
音に敏感な方は、周囲の音、例えば「風の音」「車の音」などに意識を向けるのもよいと思います。
意識を自分からそらすことで緊張が和らぎやすくなります。

5)「深呼吸」
緊張しているときは、呼吸が浅くなっています。
深い呼吸をすることで、副交感神経の働きが高まり、過剰になった交感神経が落ち着きます。
深呼吸を何度か繰り返すことで、心臓のドキドキや汗、手の震えといった緊張による身体反応を和らげる効果が期待できます。

6)「緊張する明確な理由がある場合は対策を」
例えば、「十分な準備ができていない」「話す順番を整理できていない」「練習不足で不安がある」など、緊張する理由が自分で明確にわかっている状況もあるかと思います。
自分に自信が持てないと、「失敗したらどうしよう」「ミスしてしまうかも」という意識が働くため、どうしても緊張度が高くなります。
このようなタイプの緊張を防ぐには、事前にしっかり準備しておくことが大切になります。
「これだけやったのだから大丈夫」と思うことができれば、緊張の緩和につながります。

7)「成功イメージを持つ」
不安を覚える方の多くは、失敗するイメージを描きがちです。
イメージの与える影響は大きく、現実化につながることも。
難しいかもしれませんが、「はきはき話している自分」などの成功イメージを思い浮かべましょう。
イメージするのが難しければ、動画などでスピーチやプレゼンといった自分の状況にあっているものを検索し、自分がよいなと感じるものを見ることもお勧めです。

緊張は誰でも感じるもの、過度に恐れないようにすることが大切です。
今回お伝えした「緊張を和らげるためのポイント」を緊張してしまいそうな場面の前に意識してみてください。
徐々に不安を緩和することができるようになると思います。
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2022年03月23日

「侵略してくる部隊を自衛隊単独で撃退することはほぼ不可能」

元陸上自衛隊・中部方面総監が語る日本の“防衛戦略” 徴兵ではなく予想される“緊急募集”とは?
2022年03月21日 文春オンライン

「陸上自衛隊の定員は即応予備自衛官を入れて16万人、戦車はたったの300両(防衛大綱完成時)です。
30年前は定員18万人、戦車が1200両でしたから、冷戦終了後のスリム化で自衛隊の戦力はかなり落ちています。
戦車の数だけで言えば、ロシアの1個戦車師団程度の戦力しかありません。
陸軍だけで約46万人の兵員と2000両以上の戦車を有している韓国では、日本の陸上自衛隊のことを“軽武装部隊”と揶揄する人さえいる状態。
これだけの戦力では、侵略してくる部隊を単独で撃退することはほぼ不可能です」  そう語るのは、元陸将で中部方面総監を務めた千葉科学大学客員教授の山下裕貴氏。

ロシアのウクライナ侵攻直後からSNSでは「北方領土」や「沖縄」といった言葉がトレンド入りするなど、自衛隊の“防衛力”に注目が集まっている。
 もし日本が外国に攻められたら、自衛隊は一体どうやって人々を守るのか、そしてどんな作戦を展開するのか――。
小説「オペレーション雷撃」で、中国軍の最新兵器によって占拠された沖縄の多良間島を自衛隊がどう解放するか、というシミュレーションを行った経験がある山下氏に話を聞いた。

■「戦場になる可能性が高い場所としては、北海道と南西諸島」
「自衛隊は“日本を守る組織”ですが、これまで特定の国を仮想敵国と明言したことはありません。
ただ現実問題としては、戦闘になる可能性が高い相手としてロシアと中国を想定しているのは確かです。
戦場になる可能性が高い場所としては、北海道と南西諸島。
とりわけ沖縄の南西諸島は台湾からも近く、自衛隊は現在も与那国島や宮古島に部隊を配置するなど防衛体制を強化しています」

 尖閣諸島周辺海域には中国海警局の公船がたびたび侵入し、緊張した状態が続いている。
自衛隊には専守防衛という鉄則があり、「先に撃たれなければ撃てない」とさえ囁かれているが、自衛隊はどんな状況になったら攻撃を開始するのだろうか。
「自衛隊は、政府が防衛出動命令(自衛権に基づき必要な武力の行使ができる命令)を出すまで武力の行使ができません。
つまり、目の前に敵軍がいても防衛出動命令が出なければ基本的にこちらから撃つことはできないんです。
ただ存立危機事態(日本と密接な関係にある他国が攻撃されたことで、日本国民の生命、自由が脅かされる明白な危険がある事態)として、台湾近海などで活動している米軍の艦艇が攻撃された場合には反撃する可能性もあるでしょう」

■「自衛隊が市民の避難に船や車を出す余裕があるとは思えません」
 無人の尖閣諸島や海上ではなく、人が住んでいる場所への攻撃があった場合はどうなるのだろうか。
「日本は島国なので、突然軍隊が上陸してくるという可能性は低いです。
ウクライナのように市街戦になったり、市民が巻き込まれたりする戦闘がいきなり始まることは考えづらい。
そもそも現代の戦争では、ミサイルや軍隊の侵攻のような直接的な攻撃の前に、数カ月前から国境付近で軍事演習が行われるなど準備段階が存在します。
自衛隊は電波情報なども常時傍受していますから、侵攻の気配は察知することが可能でしょう。
衛星や無線の情報などから危険エリアを絞り込み、まずは自衛隊も演習という名目で内地の部隊を集めて対応にあたると思います」

 “演習”という名目で集まった自衛隊と他国の部隊が、国境(海)をまたいで睨み合いとなる。
そして攻撃の始まりは、実は日常のちょっとした異変から始まるという。
「おそらく最初の異変は“インターネットや電話が使えなくなる”ことでしょう。
これは攻撃の準備として通信網を遮断したことによるものです。
同時にマルウェアなどのコンピューターウイルスが日本の各省庁や大企業に送りこまれることが予想されます。
そのうえで日本の“反撃力”を削ぐために巡航ミサイルなどでレーダーサイトや航空基地を攻撃し、自衛隊の迎撃能力を無力化する。
制空権や制海権を確保した後に、兵士や戦車が上陸という手順が予想されます」

 敵国の上陸が始まれば、一般市民の被害も出かねない。
一般市民の避難が急務だが、山下氏は「早期に住民避難を行う必要があります。
作戦準備に入れば自衛隊にその余力はないだろう」と悲観的だ。
「自衛隊は人員や装備が豊富とは言い難いので、敵国の上陸が迫った状況では防御陣地の構築など作戦準備に忙殺されて市民の避難に船や車を出す余裕があるとは思えません。
なので住民の避難は主に自治体の役割になります。
ただ場所にもよりますが何千、何万という人間を避難させるには、膨大な量の車両・船舶や航空機などの輸送手段の確保と時間が必要です。
試算している自治体もあるのでしょうが、実際に大規模な避難訓練を行っている自治体はありません。
いざという時にスムーズに避難できるかは未知数です」

■侵略してくる部隊を撃退することは自衛隊単独ではほぼ不可能
 住民の避難などを含めた自衛隊や自治体の対応の“難易度”が、戦端が開かれた場所によって大きく異なるという。
「北海道は大きいですから札幌や函館の方へ向かって車や鉄道で避難できますが、離島は船舶や航空機が必要で難易度が跳ね上がります。
万が一逃げ遅れてしまった場合は、鉄筋のビルよりも地下道や洞窟などに逃げるのが助かる可能性が高いかもしれません。
敵国が国際法を守ってくれる前提ではありますが、建物や洞窟の入り口に赤十字のマークを貼って、非戦闘員であることをアピールするのも大事です」

 国民が避難できない事態などはなんとしても避けたいところだが、防衛作戦とともに住民の避難など自衛隊に期待される役割の多さに比べて、自衛隊の戦力が少なすぎることが問題だと山下氏は指摘する。
「日本の軍事費は世界9位ですが、自衛隊は即応予備自衛官等を入れても全部で約25万人、戦車はたったの300両と、島国という事情を考慮しても数が圧倒的に少ないんです。
中国人民解放軍は200万人の兵士と5000両以上の戦車を有していると言われているので、いかに少ないかがわかるでしょう。
現在の自衛隊の戦力で、侵略してくる部隊を単独で撃退することはほぼ不可能です」

 山下氏が現役時代に考えていたのは「陸上自衛隊は侵攻してきた敵に勝てないが、負けない戦いを行う」ことだという。 「私が現役の自衛官だった頃、部下によく言っていたのは“時間を稼ぐ”ということです。
『我々が血だらけになって国土を守る。敵に多大の出血(犠牲)を強いて簡単には占領できないと分からせる。
力戦奮闘する自衛隊・日本を見て米軍が来援してくる。それまで我々は持ち堪えなければならない。
その後、日米で反撃し侵攻した敵を追い返す』と。

他国の攻撃を受けてから、米軍が参戦を決意し、準備して実際に戦闘に参加するまでかなりの時間がかかると思います。
在日米軍のなかで即応戦力として期待できるのは沖縄の海兵隊と横須賀の海軍です。
陸軍は米国本土の部隊であり、予備役の動員や装備・弾薬の輸送など準備に時間を要します。
それまで陸上自衛隊が頑張らなければならないのです」

■予想されるのは徴兵ではなく“緊急募集”
 いままさに“時間を稼ぐ”戦いを繰り広げているウクライナでは、市民兵が組織されて数字の上では100万人規模の軍隊が組織されている。
日本でも徴兵が行われることがあるのだろうか。
「日本では法律上、徴兵はできません。市民兵の組織には法律が必要でしょう。
ただ、自衛隊の緊急募集は始まるでしょうね。
年齢制限を広げたり訓練期間を短縮したりしたうえで、あくまでも戦闘は自衛官として行うことになると思います。
組織的な動きは無理でも銃を撃つだけなら数日で習得できますし、ウクライナでも対戦車砲を撃って逃げるようなことはしていますから。
とはいえウクライナのように、100万人もの人が手を上げてくれるかどうかは微妙なところだと思いますが」

 スリム化が進んだ自衛隊と同じくらい山下氏が心配しているのが、日本政府に迅速な判断が可能かどうか、だという。
「侵攻作戦を食い止められるかどうかはスピード感ある政府判断にかかっています。
サイバー攻撃や電磁波攻撃が行われた時に敵の侵攻を察知し、敵艦船群が日本に近接した時に防衛出動を下令し地対艦ミサイルに発射命令を出せるのか。
以前に比べて日本の危機管理体制は強化されていますが、やはり時間がかかってしまうのが現実です。
もたもたしていると島を占領されたり住民に犠牲が出ることになりかねません。
有事には政府に素早く適切な判断を期待したいですね」

 戦争は起こらないことが一番だが、起きてしまってから準備するのでは間に合わない。
日本にどんな準備が必要なのかは今からでも考える必要があるのだろう。
(「文春オンライン」特集班/Webオリジナル(特集班))
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2022年03月24日

"帰宅困難になったら"対処法

3.16地震では帰宅困難者が続出! 繁華街で被災したら…民間「一時避難施設」に急ぐべし
2022年03月23日 日刊ゲンダイDIGITAL

 最大震度6強を記録した3月16日の地震は、東日本を中心にJRや私鉄をストップさせ、一時は多くの人が帰宅の足を奪われた。
その余波で脱線した東北新幹線は、全面復旧が4月半ばまでずれ込む見通しだ。
帰宅困難になったとき、どうするか。
 ◇  ◇  ◇
「やっぱりダメか」
 16日の地震発生後、都内でJR新橋駅まで歩いてきた40代男性は、通勤に利用している京浜東北線が止まっていることを知り、疲れきってこう言った。
銀座で友人たちとの食事を終え、新橋駅に向かう途中に地震に遭遇したという。
「食事をした店の周辺は電気がついていて、そこまで状況がひどいとは思いませんでした。
ところが、銀座8丁目まで来たら、あの並木通りが停電で真っ暗。
信号も消えた土橋周辺では、警察が車道に立って車を誘導していたのを見て、コトの重大さに気づきました。
喉が渇いて何か飲みたいけど、手持ちのペットボトルは空。とりあえず、電気が通っているコンビニまで戻って、電車が動くのを待ちます」

新橋駅の改札前は、電車の復旧を待つ人が目立ち、SL広場にはあきらめて座り込む人もいた。
西口の商店街などの路地には、スマホのライトを頼りに人がさまよう。
自動販売機も暗いことに気づくと、「あー」と声なき声が聞こえてきた。
とりあえず水を求めていたのだろう。

 記者が歩いた限り、地震後の新橋の停電は、銀座よりひどく、日比谷通りと第一京浜に挟まれたエリアはほぼ真っ暗。
そこにハマってコンビニ行脚を続けた人は、次から次へと“ハズレ”を引くことになり、つらかっただろう。
 結果として都心の在来線は1時間ほどで順次復旧したが、いつ巨大地震で長時間の帰宅困難を余儀なくされるとも限らない。

京都が想定する首都直下地震で都内の帰宅困難者は最大500万人を超える。
のうち、どこにもとどまる場所のない人は92万人というから、対処法を押さえておこう。
災害危機管理アドバイザーの和田隆昌氏に聞いた。

「東京都は帰宅困難者対策条例を定めていて、92万人と試算された行き場のない人の受け入れ先として、一時滞在施設の確保を急いでいます(今年1月現在、1155カ所、44万3000人分)。
立学校や図書館、公民館などの公的施設のほか、駅周辺の大規模商業施設や大企業、競技場などの民間施設も対象です。
公的施設でも民間施設でも、水と食料、毛布などが配布されますから、街中で被災して帰宅困難になった人は、一時滞在施設を目指すべきです。
東京駅や品川駅、渋谷駅、新宿駅などのターミナル駅周辺や繁華街には、必ずあります。
繁華街で被災したら、民間の一時滞在施設が便利です」

とどまって電車の復旧を待つ
 一時滞在施設がどこにあるかは、区や市など自治体のHPに掲載されている場合もある。
平時にチェックしておくといいだろう。
 たとえば、民間施設の場合、銀座周辺では、三越やGINZA SIX、東急プラザ銀座、歌舞伎座、J-POWERなどで、渋谷周辺だと、渋谷ストリーム、渋谷スクランブルスクエア、金王八幡宮、青学大、住友不動産渋谷タワー(アベマタワーズ)などだ。
「公的施設にしろ、民間施設にしろ、一時滞在施設が開放されるかどうかは、災害時の状況によります。
災害時は自治体などの発表を確認して、施設が開設されたら、そこにとどまって、電車の運行再開などを待つこと。
公共交通機関の運行情報も分かりますから」

■SNSは企業や自治体の公式アカウントを
 こうした一時滞在施設には、非常用電源が備えられていて、16日のような大規模停電でも怖くない。
交通事情が分かるとはいえ、それがどの程度の情報かは分からない。
自分でも調べたくなるだろう。
「災害時にはツイッターをはじめとするSNSに頼る人がとても多いのですが、見知らぬ第三者の情報は客観性に乏しい。たとえば、電車の運行に関して、『A駅から動き始めた』とする投稿と『B駅では止まったまま』という投稿があったとしたら、その路線が本当に動き出したのか、徐行運転でところどころ電車が停止しているのか、判断に迷うでしょう。
そもそも、それが事実かどうかさえも、です。
ですから、情報は鉄道会社や自治体などの公式アカウントをフォローして収集することが大切です」

予備バッテリーは常に一つは携帯
 先日の停電事情などもその典型か。
前述したように停電地帯が新橋のように広いエリア一帯のこともあれば、1ブロック程度の小さいエリアのこともあった。
ある地名の中の一部エリアの停電投稿を見て、その地名全体の停電と誤解したら、その後の行動を誤る。
災害時にSNSの第三者情報に頼るのは、平時より危険だろう。
だからこそ企業や公的機関の公式アカウントによる情報チェックが重要なのだ。
それに加えて家族や会社などとの連絡もある。

バッテリーが不安だ。
「最近のスマホは充電池の性能が改善されていて、フル充電で朝、家を出れば1日は充電ナシで過ごせることは少なくありません。
ですから、予備のバッテリーを持たずに活動する人も多いと思いますが、こと災害を想定すると、予備のバッテリーは常に携帯しておくのが無難。
災害時は、検索を多用するので、電池の消耗が早いのです。
私は常に5000mAh(ミリアンペア時)の予備バッテリーを2つ携帯しています。
それでフル充電を2回できますから、災害発生から3日程度はしのげる計算です」

 帰宅困難者対策条例で企業などが最低限用意する水や食料の備蓄量は3日分。
和田さんが予備バッテリーを2つ携帯するのはそこを押さえてのことだろう。
「2つはちょっと……」という人も、せめて1つは用意しておくべきか。
そうすれば、仕事やプライベートでスマホを多用したときも安心だ。

■状況次第では会社に戻る手も
 前述した通り一時滞在施設には、とどまるのがセオリー。
歩いて帰宅したりしない前提になっている。
3.11のとき、人や車が幹線道路に殺到して、緊急車両が進まなくなった。
その教訓から「帰宅困難者は一時滞在施設に」の流れになっているのだ。

それでも、一時滞在施設より少しでも落ち着ける場所を求める人はいるはず。そんなときは?
「たとえば、災害発生時にいる場所の近くに会社があって、会社の安全性が担保されているなら、会社に戻るのはいい。
会社のデスクには、寝袋やアイマスク、耳栓、Tシャツなどを用意しておくとよいでしょう」

 駅や道路に人流が集中するのを避けるため、社員が多い大企業は大災害時に一斉帰宅の抑制が義務づけられている。
それで従業員の水や食料を備蓄し、部外者には一時滞在施設になるケースもある。

「今の帰宅困難対策はとどまるのが基本」なのだ。
 大災害発生時は、これを頭に入れて行動しよう。
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2022年03月25日

プーチンがお手本にする「狂気の独裁者」ヨシフ・スターリン、そのヤバすぎる末路

プーチンがお手本にする「狂気の独裁者」ヨシフ・スターリン、そのヤバすぎる末路
3/24(木) 現代ビジネス

 ロシア革命を経てレーニンの亡き後、1953年で息絶えるまでソビエト連邦共和国の最高指導者であり、絶対権力をほしいままにしたヨシフ・スターリン。
じつはプーチンはこのスターリンをロールモデルにしていると言われている。

 前編記事『プーチンよりもヤバい…ロシア、旧ソ連の独裁者「ヨシフ・スターリン」“銃殺”と“粛清”の歴史』では、猜疑心の強いスターリンが権力の座についたのちの大粛清の中身についてをお伝えした。
自らの側近を次々と銃殺していくスターリンの加速していく狂気はどんな末路を迎えたのか…。

自らの警備隊長も粛清
 スターリンは次のターゲットと心の中で定めた人間を昇進させることさえした。
自分が信頼を勝ち得ていると思った時、その名前はスターリンの抹殺リストに密かに書き込まれているのだ。
 「ロシア全史を通じて最も血まみれの年」とされる1937年、スターリンは自らの警備隊長パウケルも銃殺刑に処した。  その年、59歳になるスターリンはクレムリンから30kmほどの秘密の別荘に居を構えていた。
夜型のスターリンが執務を終える深夜、数台の黒塗りの高級車がクレムリンを出て政府専用道路を走り去る。
 どの車にスターリンが乗っているかは極秘だったが、彼の隣には常にパウケルが乗っていた。
そのパウケルがある日突然、消された。

 パウケルは罪を犯したわけではない。
ただ他の政治局員が、犬や子供の服を手に入れる便宜を図っていただけだった。
もはや銃殺刑に合理的な理由などなかった。
 「スターリンは孤独でした。2人の妻を亡くし、親族は粛清。子供たちとの関係もうまくいかなかった。
私は彼の孫3人を取材しましたが、祖父に会ったことがあるのは長男ヤーコフの娘・ガリーナだけでした。
それも生涯で5回ほどだと言います。
 スターリンの次男ワシーリィに至っては警備隊長を養育係として育った、と聞きました。
スターリンの家族への愛情が一般人の感覚とかけ離れていたのは、間違いないように思います」(『スターリン家族の肖像』の著者・福田ますみ氏)

 たしかにスターリンは家庭に恵まれなかった。
最初の妻は1907年に長男ヤーコフを産むが、腸チフスにかかり22歳の若さで死去。
そして二度目の妻は'32年、クレムリン内の住居で頭を銃で撃ち抜いて自殺するのだ。
 陸軍士官となったヤーコフは'41年、第二次大戦の独ソ戦でナチス・ドイツの捕虜となる
スターリンの息子を捉えたことに気づいたナチスは捕虜となっている自軍の元帥との交換を申し出るが、スターリンは拒否。父に見捨てられたことを知ったヤーコフは、強制収容所で死去した。
一説には、電気柵に自ら突進して射殺されたと言われる。

 次男ワシーリィはアルコール中毒で身を持ち崩し、最も愛した一人娘のスヴェトラーナさえも父の死後、アメリカへと政治亡命した。
 '40年、トロツキーが亡命先のメキシコで暗殺された。
スターリンの放った刺客がトロツキーの頭をたたき割ったのだ。
レーニンと共に始めた革命を受け継ぐ者はついにスターリン1人になった。
 家族、同志、側近、そして敵……。すべてが彼の前から姿を消した。

 東北大学・東北アジア研究センター教授の寺山恭輔氏はこう語る。
 「ロシア革命後に創設された暴力装置チェーカーは、スターリン時代のNKVDを経て、戦後にKGBへと受け継がれていきました。
ソ連末期にその組織に入ったのがプーチンです。
KGBはエリツィンにより解体されましたが復活し、プーチンは伝統的な手法を駆使しながら現在の体制を作り上げた。
 また彼は昨年末、ソ連共産党時代に抑圧された被害者を記憶するために創設された民間人権団体『メモリアル』の解散を命じています」

 死の床で狂気の一瞥
 スターリンの最期は、狂気と孤独に冒された独裁者にふさわしいものだった。
 '53年2月28日。スターリンの別荘にフルシチョフ、ベリヤら4名の政治局員が呼びつけられた。
いつものように映画鑑賞のお供を仰せつけられた彼らが辞去したのは翌3月1日午前4時だった。
 翌日、いつもならばスターリンは正午前には起きてくるのに気配がない。
しかし警備員たちは、無断で部屋に入ることを禁じられており、勝手な行動によって処罰されるのを怖れた。
午後10時になってようやく部屋に入った警備員の一人が、床に倒れている主人を発見する。脳卒中だった。

 そして4日後の3月5日、ついに独裁者は息を引き取った。
臨終に居合わせた唯一の親族、一人娘のスヴェトラーナの評伝『スターリンの娘』にはこう記されている。
---------- 〈最後の瞬間が来たと思われた。父は、突然、両目をかっと開き、部屋の中にいた全員を見渡した。狂気と怒りが入り混じった恐るべき一瞥だった〉 ----------  そして左手を持ち上げ、上のほうを指した
彼女にはそれが部屋の中にいた者に呪いをかけるような身振りに見えたという。

 スターリンが権力を握っていた約30年間でのソ連邦内の死者は4000万人とも言われている。
ヒトラーは580万人のユダヤ人を虐殺したが、スターリンはその7倍もの同胞を犠牲にしたのだ。
 慶應義塾大学名誉教授・横手慎二氏は言う。
 「ロシアには、国家と国民を天秤に掛けた時、国民がどう思うかは大して重要ではなく、国家のほうがはるかに大切だという考えがある。
これを植え付けたのはスターリンであり、この思想はプーチンの頭の中に深く入り込んでいます。

しかもプーチンは、ウクライナは地域の寄せ集めにすぎず、通常の国家ではないと思っている。
 もちろんウクライナ人はこのプーチンの考え方を許せない。
ウクライナ侵攻が勃発したのは不思議でも何でもないと思います」

 2月21日、プーチン大統領はまるで玉座のような椅子にひとり座り、ウクライナ東部の「自称共和国」2つを承認した。
ここ数年、彼の周りには人の姿がない。
 他を寄せつけぬ頑なな姿勢は、史上最悪の独裁者と同じ末路を感じさせずにはおかないのだ。

 『週刊現代』2022年3月26日号より
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2022年03月26日

現役自衛官の告白「いま日本の国防最前線で起きているヤバイ事態」

現役自衛官の告白
「いま日本の国防最前線で起きているヤバイ事態」
3/25(金) FRIDAY

国際社会の制止を振り切って強行されたロシアのウクライナ侵攻、とどまるところを知らない北朝鮮のミサイル発射、中国による覇権主義的海洋進出――日本を取り巻く安全保障の環境は日々厳しさを増している。
具体化した脅威に対し、防衛省は’22年度予算の概算要求で5兆4797億円を計上した。
防衛費は過去最大規模となった。

軍事ジャーナリストの清谷信一氏が一刀両断する。
「本予算のみで補正予算は含まれていません。
’21年度は8000億円近い補正予算が組まれています。
防衛省のおカネの使い方はデタラメ。
国民はもとより、現場の自衛官への裏切り行為です」

防衛費が増額されることがなぜ、裏切りとなるのか。
ある防衛省事務官は「中身が伴っていないのです」と嘆く。
「額が大きいだけのハリボテ。
海外からの武器等の購入について、防衛省は基本的に値引き交渉をしない。
完全に商社任せで、言い値で買っている。]
防衛省の各部署に『専門官』という役職がありますが、名前だけ。
私も人事異動で、突然やったこともない分野の『専門官』を命じられました。
研究どころか関連する本を一冊も読んだことがないのに……」

先の清谷氏は日本の防衛事情をこう例えた。
「具が全然ないスキヤキの鍋に、超高級なアメリカ産牛肉がチョロッと入っている状態」だと――。

今回、国を憂う5名の現役自衛官がFRIDAYに登場。
ニッポンの国防の、お寒い現状を語り尽くした。

◆尖閣有事に米軍は来ない
40代陸上自衛官A
「ウクライナの惨状を見て思うことは『明日は我が身』だね」

30代陸上自衛官B
「いや本当に。これまで、防衛予算を獲得するために恐怖を煽(あお)るストーリーとして語られてきた『ロシアの北海道侵攻』も、『中国の尖閣諸島侵攻』も俄然、(がぜん)現実味を増してきました」

40代航空自衛官C
「北海道侵攻は旧ソ連時代の話で、ここ十数年のメインシナリオが尖閣への中国軍の上陸。
尖閣に安全保障条約が適用されるかどうか、歴代の自民党内閣が何度もアメリカに確認してきたけど、今回のウクライナ侵攻の対応を見たら望み薄だね。
尖閣有事の際に米軍が出張ってくるとは考えづらい」

30代陸上自衛官D
「北海道と尖閣で2正面作戦を展開されたらと思うとゾッとします。
ただ、中国が侵攻するとしたら、まずは台湾でしょうね。
ウクライナ東部の親露派の要請を受けて、平和維持のために軍を派遣――というロジックが通用するなら、台湾にも応用できるわけで」

30代海上自衛官E
「中露がガッチリ手を結んでいるのは不気味。
中国と握れているから、ロシアは安心して西方に戦力を集中できているわけですからね」

「ロシア機と見られるヘリが3月2日に北海道・根室半島の南東沖で領空を侵犯したのは不気味だった。
空自の戦闘機が緊急発進(スクランブル)したが……」

「領空に接近しているとの通告、侵入したことに対する警告を、いずれも無視されたんですよね?」

「空の守りと言えば、最新鋭戦闘機F-35が導入されたけど?」

「ステルス性が高く、飛行能力も非常に高い。けど……値段も高い。
導入まで、もっと慎重に物事を進めるべきだった。
2兆5000億円も払って147機買うことになったけど、『高すぎる』と世間から袋叩きにあった後に突然、一機あたり10億円ぐらい安くなった。総額で1500億円ほど圧縮できた。
財務省にうるさく言われて、防衛省がしぶしぶ交渉したら、ロッキード・マーチン社が値下げに応じたみたい。
つまり、いままで値下げ交渉していなかったということ」

「もっとおカネをかけてほしいところは一杯ありますよ。
日本の主力戦闘機のF-15って、’70年代の戦闘機ですからね。
計器など内部のシステム等をアップグレードして、’22年の現在も使っている」

「機体設計自体が古いから、アップグレードには限界がありますよね?」

「中国やロシアはどんどん新しい戦闘機を開発していて、完全に置いて行かれている。
北朝鮮が使っている古い兵器のことを笑う資格はないね」

「初期型のF-15は、もはやアップグレードすらできないと聞いています」

A「空自が対艦、対地上用のスタンドオフミサイルを搭載できるようにF-15を改造。
空対空の戦いを捨てようとしつつあるのは現実的だね」

「空対空じゃ勝てないですからね。
1月に小松基地(石川県)を飛び立ったF-15が墜落して、パイロット二人が亡くなる事故がありました。
調査結果が出ていないので何とも言えないですが、不可解な点が多すぎますよね」

「考えられるのは機体トラブル、落雷、バーティゴ(空間識失調)でしょうか」

「F-15は機体が古いからね……事故になっていないだけで、バーティゴもよく起きているとか?」

「バーティゴは私も何度も経験しているけど、陥りやすいのは曇天のときや、雲の中、夜の闇を飛んでいるとき。
とくに夜は星の光や漁船の灯が海に反射して、海面が夜空に見えて上下がわからなくなる。
その状態になると、不思議と計器が信じられなくなる」

◆戦後初の空母が「定員割れ」
「戦後初の空母『いずも』は既存の護衛艦『いずも』を改修して、空母化すると聞きましたが……」

「それが大問題なんですよ。現時点で『いずも』は定員約500名に対し、半分の200名台半ばぐらいしかクルーが乗っていない。
空母化すれば搭載する航空機の整備士など、さらに多くの人員が必要になるのですが、いったい、どこから連れてくるのか。現時点ですでに定員割れしているというのに……」

「結局、自衛隊内部で人の奪い合いになるんだよね……」

「たとえばエンジンを担当する3分隊(機関科)は、エンジンのオート化によって人員が削減されているんですけど、整備や点検、清掃には人力が必要。
だから、他の分隊から人員を回してもらわないといけない。
タコが自分の足を食べて生きながらえている状態ですよ」

「その『いずも』にはF-35の短距離離陸・垂直着陸タイプのF-35Bが搭載されることになって、隊員の教育が始まったんだけど、ここでも人手不足がネックになった。
海自が運用しようとしていたけど、結局、人員を集められず、『教育ができない』ということで、通常型F-35が配備される空自が担当することになった」

「そうなると『いずも』のイニシアチブは誰がとるのか、という話になります。
もちろん、トップは艦長に間違いない。
『いずも』型の艦長は一佐(一等海佐。軍での大佐に相当)職。
もし、空自の部隊が乗ってくるとすれば、二佐の飛行隊長クラスがトップになるでしょう。
ただ、これだと、空自の意見が通りづらくなる。
もしかしたら『派遣部隊指揮官』とか、よくわからない役職を作って、一等空佐を乗せるかもしれないですね。
ただでさえ、現場は人がいないというのに、見栄だけで無駄な幹部が配置に付きそうな予感……」

「陸自に配備され始めたMV-22B(オスプレイ)でも同じような現象が起きていますよ。
尖閣や南西諸島への侵略に対する島嶼(とうしょ)防衛の切り札として水陸機動団が使用し、かつ『いずも』にも搭載されるのですが、オスプレイ用の乗組員が全国から掻き集められて、現場は人手不足に陥っています」

 「オスプレイは不満の声が多いね。機体性能は確かに素晴らしいが高い。
 なのに、3600億円もかけて17機も配備することにしてしまったものだから、他のヘリが買えなくなっている」

 「今、攻撃ヘリも輸送ヘリも観測ヘリも数が足りていません。もっと普段使いが出来て、安いヘリが絶対に必要。
現場は『誰でも気楽に使えて小回りがきくママチャリが欲しい』って言っているのに、ベンツが続々と納車されているようなもの。不便でしょうがない」

「この間、引退したはずの小型ヘリOH-6Dも結局、完全引退できていないみたい。
輸送ヘリや観測ヘリがないので、いざという時用にいつでも使えるように補給処でモスボール(劣化防止処置を施しての保管)しているからね」

◆当たらない機関銃
「F-35やオスプレイ、スタンドオフミサイルなど、世界もうらやむ高額な高性能兵器を買い揃えたおかげで、末端の部隊は大変なことになっていますね」

「高額の装備品の購入に伴い、防衛予算を大幅に取られることで、陸自では小銃や防弾チョッキがお粗末な事態になっている。
わけても衝撃だったのが、住友重工の不正。
自衛隊が配備する数種類の機関銃を製造していた住友重工が40年以上にもわたり、性能や耐久性に関するデータを改竄(かいざん)していたことが’13年に発覚。
防衛省は同社を指名停止処分にするなどの制裁を科し、『住重に裏切られた』という姿勢を見せましたが……」

「バッテリーで言えば、広帯域多目的無線機のバッテリーもヤバいですね。
本体と、本体に接続されている端末の両方にバッテリーが搭載されているのもどうかと思うけど、その端末側のバッテリーがすぐ切れる。
演習中、ずっと電池切れの警報が鳴っていたこともあった」

「あの無線機、コードが細くて弱いからよく切れる。アンテナもよく折れます。 
 骨伝導イヤホンの耳に入れる方のゴムが取れやすくて、落ちないようにテープでとめているから耳が痛い 。
よほど、AirPodsの方が丈夫で便利ですよ」

「防弾チョッキも、身長に合わせてサイズが決められているはずなのにブカブカ。
3号サイズの次が5号とサイズの選択の幅がザックリ過ぎるところからして、おかしいよね(笑)。
 もう少し小さいサイズの防弾チョッキが欲しいと言っても『数が足りないから無理』と一蹴される」

「今回、ロシアがウクライナの原子力発電所を次々と占拠しました。
原発が砲撃されるたび、放射能汚染を恐れるヨーロッパ諸国は恐怖のドン底に突き落とされましたが、日本の地上部隊はこんな有り様。守る以前の問題ですよ」

「ほとんど丸裸な日本の原発は、侵略者から見れば格好のターゲット。
しかも、列島のあちこちにあるから、それだけで守りづらい。
大兵団を送りこまなくても、やすやすと占拠できるでしょう」

「原発はいろんな意味でリスクだね」

「在日ウクライナ大使館は日本人、それも自衛官を集めて義勇兵としての参加を呼び掛けていたけど、言語が理解できない以上、大した戦力にならない」

「戦車は国やメーカーが違っても、操縦方法に大差はない。
 だからと言って、すぐに乗れるかと言うと、やはり車内での連携が取れないと戦えないですね」
世界第9位の防衛費は「ハリボテ」。
人手不足で老朽化した役に立たない戦力、それが自衛隊の実態だ。
5人は最後にこう嘆いた。「国防破綻ですよ」と。

『FRIDAY』2022年3月25日号より
 FRIDAYデジタル
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2022年03月27日

「同調圧力」との賢いつき合い方

【精神科医が教える】
「同調圧力」との賢いつき合い方
2022年03月26日 ダイヤモンドオンライン

感動小説『精神科医Tomyが教える 心の荷物の手放し方』の著者が、voicy「精神科医Tomy きょうのひとこと」から、とっておきのアドバイス。
心がスッと軽くなる“言葉の精神安定剤”で気分はスッキリ、今日がラクになる!

■同調圧力を上手に利用する人
きょうのひとことは、 「無理やり他人に合わせなくていい」
あなたは、自分の意に反して、他人に合わせてしまうことはありませんか?
自分とは意見が違う相手と調和を図るために自分の意見を曲げることは、ときに「協調性」という言葉でポジティブに解釈されますから、全否定されることではありません。
しかし、自分が納得していないのに、他人に無理やり同調することは、ちょっと問題です。

これまでにもたびたび、「納得して決めること」「納得して生きること」の大切さを説いてきましたが、他人に合わせるときも同じなのです。
他人に合わせようとするときは、おそらく相手が「自分に合わせて欲しい」という同調圧力がかかっていることが多いでしょう。
すると、その場の雰囲気に飲まれてしまって、本当は納得していないけれども、その場をおさめるために納得したつもりになって、相手に合わせてしまうということがあると思うんです。

同調圧力がかかって相手に合わせているという状況を認識すること自体、苦手な人もいますし、漠然とした自分の気持ちをはっきり言語化させることも苦手な人がいます。
そういう人が、その場の雰囲気に飲まれてしまうと、相手の意見に納得した気になってしまいがちです。
相手の意見に合わせないと対立することになったり、自分の意見が浮いてしまったりするのが嫌だという気持ちが先立って、本心では納得していないのに、つい相手に合わせてしまう。

アテクシ自身も、ついやってしまいがちなのですが、自分が納得していないのに相手に合わせてしまうと、後味が悪くてモヤモヤしたりイライラしたりして、後を引いてしまいます。
いったん相手に合わせて意思表示をしたら、前言撤回はしづらいですよね。
もし前言撤回したら、優柔不断に思われたり、「だったら先にいってくれたらよかったのに」とかいわれたりするのが嫌だということも考えてしまいます。
だから、そもそも納得していないことを受け入れないほうがいいんです。

では、どうすればいいのか?
まずできることは、自分が納得できないのであれば、その場で答えを出さないことです。
その場ではYesともNoともいわず、いったん持ち帰って考えてみることを相手に伝えて、その場で即答しないということです。
あとでちゃんと考えてみて、それでも相手に合わせたほうがいいと納得できるのであれば合わせればいいし、納得できないのであれば、間をおいて自分のなかのモヤモヤがすっきりした段階で相手に伝える。
いずれにしても、自分が「納得しているか」「納得できるか」を自分に問いかけてみることが大切なんですね。

納得感を得られないことを即答することは難しいです。
だからこそ、即答せず、ちょっと間をおいてから答えるという選択肢を自分のなかに備えておくのです。
もし自分が納得していないのに相手に合わせて即答してしまった場合、これはちょっと嫌われてしまいかねないのですが、前言撤回して、思い切ってNoといってください。
なかには同調圧力をうまく利用して、その場の雰囲気で相手の意見をとり込むのが上手い人もいます。
そういう人は、無意識かもしれませんがその場の勢いやタイミングを上手く利用するのに長けていて、もし自分の意見にNoといったら、不機嫌そうな顔を見せておけば合わせてくれることを戦略的に利用するようなところもあったりします。

そもそも、相手を巻き込んで、なかば強制的に同意を求めようとすること自体、ちょっと問題なのですから、そういう人に対してNoといって嫌われたとしても、実はたいしたことはないのでしょう。
その人と仲が悪くなるかもしれないし、その人から相手にされなくなるかもしれませんが、自分が納得していないことを同調して、ずっとモヤモヤするよりはマシです。
ちゃんとした人であれば、相手が納得していないことを感じとりますから、「いますぐでなくていいから考えておいて」とか「嫌だったらいいよ」「納得できなかったらいいよ」と配慮する姿勢をみせてくれるはずですからね。

きょうのひとことは、 「無理やり他人に合わせなくていい」 でした。
参考になったかしら?
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2022年03月28日

首都直下地震「急襲」の根拠

迫る巨大地震!“M9本震と首都直下”急襲待ったナシこれだけの根拠…
2022年03月27日 週刊実話Web

宮城・福島の両県に住む人は、きっと肝を冷やしたに違いない。
3月16日午後11時36分頃、宮城、福島両県で震度6強の強い地震があった。
震源は宮城・牡鹿半島の南南東60キロメートル付近の福島県沖。
まずは、武蔵野学院大学特任教授(地震学)の島村英紀氏がこう指摘する。
「この地震の2分前には、福島県沖を震源とするM6.1、震度5弱の地震があり、宮城、福島で強い揺れを観測しました。
地震が今回の震度6強、M7.4の地震を誘発した可能性があると思います」

気象庁は両県の沿岸に津波注意報を発令し、宮城県石巻港で30センチ、仙台港などで20センチの津波をそれぞれ観測した。 震度6強を観測したのは宮城県登米市、蔵王町、福島県国見町、相馬市、南相馬市の計5市町。その他の東北地方全域で軒並み震度5弱以上の強い揺れが襲った。
首都圏でも広範囲で揺れを感じ、東京都などでは震度4を記録した。
この地震による死者は4人、けが人は12県で200人超(3月18日時点)となっている。
インフラでは関東全域で200万軒に達する大規模な停電が起きたほか、東北新幹線下りの『やまびこ223号』が福島−白石蔵王駅間で脱線、東北道や常磐道でも路面に大きなひび割れの被害が確認されている。

昨年の福島沖とほぼ同じ震源位置
「東北地方の太平洋沖にある日本海溝では、太平洋プレートが陸側プレートの下に沈み込んでいます。
東日本大震災の地震は、このプレート境界で、沈み込みに伴って溜まったひずみが解放されたため、太平洋プレートが跳ね上がって起きました。
今回の地震も同じ震源域で発生しています。
ただ、今回の地震は震源の深さが57キロメートルと、プレート境界部よりも深いところで発生した。
もっと浅い20〜30キロメートルだったら、先の東日本震災級(約24キロメートル)の津波が発生し、マグニチュードも非常に大きくなったでしょう。不幸中の幸いでした」(同)

しかし、ホッとするのはまだ早い。
昨年12月、政府は日本海溝・千島海溝でM9クラスの巨大地震が発生する想定被害を公表しているからだ。
「日本海溝では北海道の日高地方の沖合から岩手県沖にかけて断層が動くM9.1の巨大地震を想定しています。
大津波は岩手県宮古市で最大29.7メートル、青森県八戸市で26.1メートル、宮城県気仙沼市15.3メートルなど、北海道西部から東北、関東にまで達するのです。
M9巨大地震が差し迫っているのですから、想定地域内の住民は逃げ出したくなるはずです」(全国紙社会部記者)

防災ジャーナリストの渡辺実氏が続ける。
「今回の地震は、昨年2月に福島沖で起きたM7.3の震源とほぼ同じ位置で、しかも同じエネルギーを放出した。
11年前の東日本大震災では物凄いエネルギーが放出されましたが、この震源域の北と南には割れ残ったところがあるといわれています。
割れ残ったところが動いたら、大変なことになると思いますね」

 異臭の正体は天然ガス田か…
気になるのは、次に動く断層だ。
「心配されている1つは、日本海溝の外側で起きるアウターライズ地震です。
この地震はまだ起きていませんが、陸側からかなり遠方の海で起きます。
M8よりも大きくなると、非常に大きな津波を引き起こします」(サイエンスライター)

専門家の多くは今回の地震が「首都直下や南海トラフ地震に影響を与える可能性があるのではないか」と考えているようである。
「割れ残った南側は茨城沖、房総沖にまで及びます。
もしこちらの方が動くと、首都直下地震になってしまいます」(前出・渡辺氏)

実は今年2月19日、神奈川・横須賀市では巨大地震の前兆説のある異臭騒動が再び発生しているのだ。
「一昨年にも同じ地域で異臭騒ぎがありました。
今回、二度目の騒ぎで、神奈川県消防保安課では異臭騒ぎの原因物資を採取。
化学物質がイソペンタン、ペンタン、ブタンで、ガソリンや原油に含まれる物質であることを突き止めた。
しかし、東海大学などの研究機関では神奈川・三浦半島での異臭について『三浦半島にある活断層と異臭の通報があった地点が一致していない』と説明しているようです」(地元ライター) 原油に含まれる物質と地震に関連性はあるのか。
「南関東一帯には日本最大の水溶性天然ガス田があります。
ガソリンや原油に含まれる物質が検出されたということは、それが漏れた可能性があります。
つまり、地下深くでは大きな地震が準備されていると考えても間違い≠ナはないと思います」(前出・島村氏)

すると、首都直下大地震はいつ発生しても不思議ではないことになる。
「首都直下は来年、再来年と年を重ねるうちに、発生する確率は高くなります。
そして、先の宮城・福島震度6強の地震に誘発されて起こることもあるのです。
しかも、今度の首都直下地震はM8やM9クラスになることさえあります」(同)

首都直下、南海トラフ、日本海溝、千島海溝とM9クラスの巨大地震は待ったなしだ。
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2022年03月29日

「小室圭さんバッシング」が世間で止まらない3つの理由

「小室圭さんバッシング」が世間で止まらない3つの理由
2022.3.28  Diamondオンライン
佐藤直樹:九州工業大学名誉教授・評論家

結婚後も止まらぬ報道 小室夫妻は「一般人」のはず
 小室圭さんへのバッシングが止まらない。
 最近でもたとえば「女性自身」(2022年3月22日)は、2月に司法試験会場に現れた小室さんの様子を見て、「小室さんの髪はボサボサで、またおなか回りも膨らんでいました」
「とても新婚の夫には見えない。小室夫妻はうまくいっていないのではないか」という、NY在住のジャーナリストのコメントを載せている。

 昨年10月に結婚し、現在ニューヨークに住む小室夫妻は、正真正銘「一般人」になったはずだ。
こうしたメディアの報道は、はっきりいって大きなお世話だと思う。
 なぜ、執拗なメディアのバッシングが続くのか。
この問題の根本にあるのは、日本における「個人の不在」だ。

自分は自分、他人は他人」と 思えない“共感過剰シンドローム”
 そもそも日本人は、欧米人に比べて他者に対する共感能力が高いといわれる。
 たとえば、会社で同僚がまだ仕事をしていると、自分が終業時間になっても帰りづらくなる。
時間になれば、さっさと帰宅する欧米の職場とはまったく違う。
 もちろん、共感能力が高いのは日本人のよい面でもある。

だが、自分とは直接、何の関わりもない、テレビに画面に登場する有名人についても、なぜか「我が事」のように考え、過剰な共感能力を発揮することがある。
 当初好感を持って見ていた人物に対しても、犯罪や不祥事などの何らかのきっかけがあると、そのキモチが「裏切られた」となって反転し、ひどい非難やバッシングになることがよくある。
これを私は「共感過剰シンドローム」と呼んでいる。

 要するに、日本人は「自分は自分。他人は他人」と思えないのだ。
 実は「個人」は、もともと日本にあったものでなく、ヨーロッパ産のコトバだ。
 欧州では、農村が解体して都市に人口が流出する都市化と、自分の罪を神に告白するキリスト教の「告解」の普及によって、12世紀前後に“individual”たる個人が生まれた。
 この個人こそ、「自分は自分。他人は他人」と考える人間のことだった。

 日本には明治期にこのindividualが欧州から輸入され、江戸時代には存在しなかったので、1884年頃に「個人」と新たに造語された。
 個人は現在、普通に使われるコトバになっているが、「あいつは個人主義的で勝手なヤツだ」という言い方にあるように、「世間」では必ずしもよい意味では使われない。
 つまり、今でも英語のindividualと日本語の個人は似て非なるものである。
 端的に言って、欧米とは異なり日本では個人を主張すると嫌われる。
「自分は自分。他人は他人」と思えないことが、「共感過剰シンドローム」を生み出す。
 これが、小室さんに対する奇妙なバッシングが、なかなかやまない理由になっているのだ。

「個人の不在」が 「家が責任を取れ」に
 二つ目の理由は、日本では「個人が不在」であるために、家族の中も個人と個人との関係にならず、家族構成員の不始末があると「家が責任を取れ」になるからだ。
 もともと「世間」によるバッシングが始まったのは、2017年9月の婚約内定記者会見から3カ月ほど後だ。
 元婚約者に借金を返済していないという、母親の「金銭トラブル」が週刊誌で報道された。
この報道をきっかけに、それまでの「世間」のお祝いムードが、「裏切られた」という感情に反転し、一気に小室さんバッシングに向かったのだ。

 私は若干疑問を持っているが、元婚約者の主張にどれだけ法的な正当性があるのかは、ここでは置く。
いずれにしても、小室さんがバッシングされたのは、「母親の不祥事は息子が責任を取るべきだ」と、「世間」が考えるからだ。
 ところが、個人から構成される欧米の家族を見ると、日本の家族とはまったく異なっていることが分かる。
 欧米では、仮に家族構成員が重大な犯罪を犯したような場合でも、「家が責任を取れ」などとは言われない。
社会が家族を強く非難したり、バッシングしたりすることはまずない。
 家族がバラバラの個人からできているために、「親は親。子どもは子ども」「夫は夫。妻は妻」と、親子や夫婦の間が、独立した人格の関係と考えられるからだ。
 ここには、欧州で12世紀に成立した個人の伝統が連綿と受け継がれている。

 しかし日本では、家族構成員の犯罪や不祥事には、「家が責任を取れ」と「世間」から非難されるのが普通だ。
 家族は一体であって、一人一人が独立の人格を持つ個人だとは考えないからだ。
 それはあたかも、犯罪者の家族もまた責任を負わされた、江戸時代の連座責任や縁座責任の亡霊が、いまだに生き続けているかのようなのだ。

根強い「家意識」の存在 「家柄がつり合わない」は差別
 バッシングの三つ目の理由は、個人を認めない「家意識」の存在だ。
これはきわめて厄介な問題だ。
 確かに戦後、明治民法にあった「家制度」は消滅し、両性の本質的平等を掲げる現行民法が成立した。
 また憲法24条には、婚姻は「両性の合意のみに基いて成立」すると書いてある。
 これは、戸主が子どもの結婚の同意権を持ち、結婚の自由がなかった戦前の「家制度」を否定し、人生の伴侶を決める結婚は個人と個人のつながりであり、結婚の自由が尊重されなければならないことを宣言したものだ。

 ところが、法律上の「家制度」は消滅したのだが、結婚は個人と個人のつながりではなく、「家」と「家」とのつながりであるとする「家意識」に基づく結婚観が、今も厳然と存在する。
 これが、部落差別などの深刻な結婚差別につながっているのだ。
 ちなみに、2017年に実施された愛知県の県民意識調査によれば、結婚相手の家柄を問題にすることについて、「当然」とした答えが27.2%を占めた。
これと「おかしいと思うが反対しても仕方ない」を合わせると、実に64.4%になるそうだ。
 これにたいして、「間違っている」と答えたのは31.2%にすぎないという。

 結婚が個人と個人のつながりでないため、「借金トラブル」などの「母の品格」を問題にして、小室さんが秋篠宮家の婚約者としてふさわしくない、との主張をしたメディアも多かった。
 これは端的にいって、小室家と秋篠宮家では「家柄がつり合わない」といっているのと同じで、憲法14条(法の下の平等)で禁じている「門地」による差別にほかならない。

日本のTwitterユーザーの匿名率は75%以上 他国に比べ突出、誹謗中傷の温床に
 昨年の結婚時には、メディアやネットの誹謗(ひぼう)中傷による眞子さんの「複雑性PTSD」が公表された
天皇に対する直接のバッシングは見当たらないが、皇室に対するバッシングは実は以前からあった。
 1993年には皇后美智子さま(当時)が倒れて「失語症」となり、2004年には皇太子妃雅子さま(当時)の「適応障害」が公表されている。
 総じて言えば、これらのバッシングは、皇室の一員が、個人であろうとすることに対する「世間」の反発だと考えられる。  天皇家の一員という身分に反するような個人の振る舞いは、「わがまま」だといった批判がされたのだ。

 かつての皇室バッシングと、今回の小室さんバッシングが決定的に異なっていることは、誰でも自由に発信ができ、それがリアルタイムで爆発的に広がるインターネットが普及していることだ。
 日本はSNSのTwitterユーザーの匿名率が75%以上で、他国の30〜40%と比較して突出して高く、これがネットの誹謗中傷をまん延させる大きな要因になっている。

 私は、公益性のある内部告発などは別としても、実名でネットに発信できないような内容は、匿名でも発信すべきではないと考える必要があると思う。
 それが、日本に「自分は自分。他人は他人」という個人を生み出す一歩になると考えるからだ。

(九州工業大名誉教授・評論家 佐藤直樹)
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止まらぬ値上げ 4月も

食卓も光熱費も家電も…「値上げの波」4月からどう影響?
 背景には原油高・円安・ウクライナ危機
2022年3月29日 東京新聞

 3月に続き、新年度が始まる4月もさまざまなモノやサービスが値上げされる。
原油価格の高騰に伴う物流費や原材料費の値上がりが主な理由で、円安も上昇の圧力になっている。
値上げは食品のほか紙製品や調味料、家電など広範囲に及ぶ。
ロシアのウクライナ侵攻も穀物や原油の価格を一段と押し上げている。(大島宏一郎)
 食品では、小麦を原料とするパンや麺類が値上がりする。
小麦は国が輸入して製粉業者に売る仕組みで、売り渡し価格は4〜9月が前期(昨年10月〜今年3月)比で17.3%上昇。ロシアが輸出規制を強化するなど、国際的な相場上昇の影響を受けた。
食用油も大豆などの価格高騰を受け、日清オイリオグループが値上げする。
 原油価格の上昇は幅広い商品の値上げに波及。石油が原料の不織布のおむつの値上がりや、電気・ガス料金の引き上げの要因となった。輸送費の高騰にもつながり、家電メーカーは「物流コストが増した」と、増加分を価格に上乗せした。

◆朝ごはん、1年前と比べてみたら
 値上げの波は既に私たちの食卓に押し寄せている。
朝食のメニューで1年前と比べてみると―。

 主食のパンは原材料の小麦の価格が昨年から北米での不作などの影響で上昇。1月からフジパンが8%、山崎製パンが7.3%の値上げを発表した。
調査会社インテージ(東京)によると、全国のスーパーの食パン1斤の2月の平均価格は144円で昨年4月(135円)と比べ、9円上がった。

 パンに添えるジャムも、果実原料と食用油の価格高騰を理由に、アヲハタが251円だった「アヲハタ55イチゴ」(150グラム)を262円とするなど2月から35品目の価格を3〜7%上げた。

コーヒーは豆相場の高騰からUCC上島珈琲が20%値上げ。

サラダにかけるマヨネーズはキユーピーが昨年7月と今年3月と短期間で2度の値上げを実施した。
 毎日口にする食材だけに家計への負担は大きい。

この1年の食費の負担増を、第一生命経済研究所の永浜利広さんは「3人家族で月3000円程度」とみる。
さらに「ウクライナ侵攻で小麦はいっそう高騰する。製品価格に転嫁される来年から一気に上がるだろう」と語る。(大島晃平)

◆物価上昇の要因はさまざまな分野に
 国際情勢の変化に伴う昨年来の原油高や原材料高に、輸入価格を押し上げる円安も相まって、日本の物価上昇が止まらない。
円安は28日に一時1ドル=125円台まで進んだ。
ロシアによるウクライナ侵攻の影響なども重なり、今後もさまざまな分野で値上げの動きが広がりそうだ。
 生活を直撃する値上げは原油高の影響が強い。
原油価格は昨年来、新型コロナ禍から世界経済が回復に向かい需要が増えたことで上昇傾向にあった。
脱炭素への転換をにらみ、産油国が供給抑制に動いたことも値上がりに拍車をかけた。

 ウクライナ情勢の悪化で主要産油国のロシアからの供給が滞る懸念から、原油価格は一段と上昇。
2021年はじめに1バレル=50ドル台だった先物価格は、最近では110ドル台とうなぎ上りだ。
国内のレギュラーガソリン価格は、08年以来の1リットル当たり170円を突破。
原油価格に連動する形で、電気やガスの料金も高止まりしている。

 原油から精製されるナフサも値上がりしたことで、ナフサを原料とするプラスチックや衣類などの幅広い生活用品の生産コストも上昇。
販売価格への転嫁も徐々に始まる。
原油高は輸送費の増加も招き、値上げが続く小麦など原材料の価格をますます上昇させる。
 さらに、英米の中央銀行がインフレに歯止めをかけようと相次いで利上げ。日本との金利差が広がり、円を売る動きが強まる。

円安は歯止めがかからなくなっており、原油や原材料などの輸入価格がさらに高くなる恐れが強まっている。(岸本拓也)
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2022年03月30日

日本の財政支出は全然足りない…現金給付を反射的に「バラマキ」と批判する落とし穴

日本の財政支出は全然足りない…現金給付を反射的に「バラマキ」と批判する落とし穴
2022年03月29日  プレジデントオンライン
評論家 中野 剛志

政府の現金給付政策は「バラマキ」と批判される。どこに問題があるのか。
評論家の中野剛志さんは「不必要な支出かどうか判断する際は、財政の余地や政策効果などをきちんと評価する必要がある。条件反射的に批判する財政健全論者たちの姿勢にこそ大いに問題がある」という――。
※本稿は、中野剛志『楽しく読むだけでアタマがキレッキレになる 奇跡の経済教室【大論争編】』(KKベストセラーズ)の一部を再編集したものです。

■健全財政論者の口癖は「打ち出の小づちはない」
財政支出の仕組みを理解すると、2021年に話題となった矢野康治財務省事務次官の論文が、その出だしからいきなり間違えていることが分かります。
冒頭部分を引用しておきましょう。
〈最近のバラマキ合戦のような政策論を聞いていて、やむにやまれぬ大和魂か、もうじっと黙っているわけにはいかない、ここで言うべきことを言わねば卑怯でさえあると思います。
数十兆円もの大規模な経済政策が謳われ、一方では、財政収支黒字化の凍結が訴えられ、さらには消費税率の引き下げまでが提案されている。
まるで国庫には、無尽蔵にお金があるかのような話ばかりが聞こえてきます。〉

何が間違っているのでしょうか。
そうです。「まるで国庫には、無尽蔵にお金があるかのような話」というところですね。
どうやら、矢野次官は、政府が課税によってお金を徴収して国庫に入れ、それを出して支出しているものと勘違いしているようです。

浜矩子・同志社大教授も、矢野論文に同調して、
「政府も日銀も、カネを振り出す打ち出の小づちを持っているわけではないのである」と書いていました(※)。
健全財政論者たちは、「打ち出の小づちはない」「おカネは天から降ってくるわけではない」といった台詞を好んで使います。 ※浜矩子「衆院選直前、矢野財務次官の寄稿をどう読むか レスキュー隊がレスキューされる不条理国家ニッポン」(時事ドットコムニュース)、2022年1月28日。

■国庫が空っぽでもお金は無尽蔵に生み出せる
しかし、『楽しく読むだけでアタマがキレッキレになる 奇跡の経済教室【大論争編】』の第二章で説明した通り、実際には、日本政府は、単にコンピュータのキーを叩いて、何もないところから円という通貨を創造しているのです。これが現実です。
ですから、政府は、国庫の中には現金を貯めなければならないわけではありません。

政府は、国庫が空っぽでも、お金を無尽蔵に生み出すことができるのです(念のため付言すると、インフレを気にしなければ、ですが)。
これが、今日の国家財政の実態です。
政府は、確かに、打ち出の小づちはもっていませんが、通貨を発行する権限はもっているのです。
おカネは天からは降ってきませんが、政府からは降ってくるのです。

矢野次官は、自ら「財政をあずかり国庫の管理を任された立場」にあると言いながら、財政についても国庫についても、まるで素人同然の理解しかしていません。
彼が「やむにやまれぬ大和魂」で発表した論文が、そのことを冒頭から暴露してしまったわけですから、これはもう悲劇としか言いようがありません。

■「バラマキ=不必要な歳出」の判断基準
ところで、矢野次官も使った「バラマキ」という言葉は、財政出動を批判する際の決まり文句となっています。
「バラマキ」とは、おそらく、不必要な歳出のことを意味するのでしょう。
もちろん、不必要な歳出は、すべきではありません。
しかし、問題は、「バラマキ=不必要な歳出」かどうかは、どのように判断するのかです。

そこで、まずは、バラマキか否かの判断基準について、整理しておきましょう。
その判断基準は、三つあると思います。
それは「財政の余地」「政策目的」「政策効果」の三つです。

第一の基準である「財政の余地」から説明しましょう。
なぜ「財政の余地」が、バラマキか否かの第一の判断基準になるのでしょうか。
それは、何が必要な歳出で、何が無駄な歳出であるかの判断は、財源をどう見積もるかによって変わってくるからです。

■健全財政論者が「必要な支出」でも反対するワケ
例えば、現金給付の対象に関しては、「本当に困っている人に限定すべきだ」として、所得制限を求める議論があります。「本当に困っている人に限定すべき」というのは、確かにその通りでしょう。誰も否定できません。
しかし、コロナ禍では、ほぼ全国民が困ったのではないでしょうか。
また、長期にわたって続く経済の停滞や賃金の低下についても、一部の富裕層を除いて、みんな困っていました。
そうだとすると、現金給付の対象は、ほぼ全国民にしたってかまわないはずでしょう。
しかし、なぜ、そういう話にならないのか。
それは、財源に限りがあって、全国民には給付金を配れないと思っているからでしょう。

矢野次官が、給付金に反対しているのも、「本当に困っている人」を見捨てていいと考えているからではありません。
もし、給付金を配った結果、日本政府が財政破綻したら、全国民が「本当に困っている人」になってしまうから、反対しているわけです。
もちろん、健全財政論者たちは、「必要な支出であるならば、躊躇なくすべきだ」「賢い支出に限定するならば、財政出動は認めてもよい」などと口では言っています。
逆に積極財政論者たちにしても「不必要な支出」「愚かな支出」をやれと言っているわけではありません。
ですから、一見すると、健全財政論者と積極財政論者は、「必要な支出」「賢い支出」であれば意見が一致できそうな印象を受けます。
しかし、実際には、そうはなりません。
なぜなら、健全財政論者たちは、いかなる歳出増も渋るからです。

■日本の「財政の余地」は十分過ぎるほどある
それは、どうしてか。
もし、日本が財政破綻の危機に瀕しているならば、歳出削減より優先すべき支出目的などないはずだからです。
このように、給付金の対象である「本当に困っている人」の範囲、あるいは「必要な支出」「賢い支出」の定義は、「財政の余地」をどれくらい見積もるかによって、変わってくるのです。
ですから、健全財政論者と積極財政論者が不毛な対立を終らせるためには、何に支出するかについて議論する前に、「財政の余地」がどれくらいあるかについて、合意しておかなければなりません。
そして、「財政の余地」がどれくらいあるか、財政支出をどこまで増やしてよいかは、失業率やインフレ率など経済の状況によって判断すべきものです。

財政支出の拡大は需要を拡大するので、過度な財政出動は需要過多(供給不足)を招き、(デマンドプルの)高インフレを引き起こします。
マイルドなインフレであれば問題はないが、高インフレは国民生活に悪影響を及ぼします。
だから、高インフレになるまでは、財政支出の余地があるということになります。
そして、日本は、高インフレどころか、長期にわたってデフレだったのだから、「財政の余地」は十分過ぎるほどあることになります。
むしろ、財政支出が不十分過ぎると言うべきなのです。

■矢野次官は「コロナ給付金は無意味」と断じた
「バラマキ」かどうかの判断基準の第一の基準は、「財政の余地」でした。
第二の基準は、「政策目的」になります。
例えば、現金給付については「貯蓄に回るだけで、消費につながらない」という批判があります。
矢野次官も、「昨春(注:2020年春)の10万円の定額給付金のような形でお金をばらまいても、日本経済全体としては、死蔵されるだけで、有権者に歓迎されることはあっても、意味のある経済対策にはほとんどなりません」と述べて、貯蓄に回る現金給付は無意味だと断じました。

しかし、消費に回るか貯蓄に回るかを議論する前に、確認しておくべきは、そもそも現金給付が何を「政策目的」としているかではないでしょうか。
現金給付の「政策目的」が消費の喚起であるならば、「貯蓄に回るだけだ」という批判は、確かにあり得るのかもしれません。

■国民の救済になるのであれば貯蓄に回してもいい
しかし、現金給付の「政策目的」が、消費の喚起ではなく、コロナ禍で苦境に陥った国民の救済にあるのだとしたら、話は別です。
生活が苦しい国民が、給付された現金を消費ではなく貯蓄に回したとしたって、それが国民の救済になるのであれば、一向にかまわないはずでしょう。
しかも、2020年春はコロナ禍の真っ只中にありましたから、当時の10万円の現金給付は、明らかに国民の救済を政策目的としていました。
政府が感染拡大の抑制のために国民に外出自粛を要請していた時ですから、消費活動を盛んにしようとしていたはずがありません。
それなのに、矢野次官は、10万円の現金給付を「有権者に歓迎されることはあっても、意味のある経済対策にはほとんどなりません」と断じました。
ここで、彼が「国民」ではなく、わざわざ「有権者」と書いているところに注意を払っておきましょう。
つまり、矢野次官は、政治家が選挙での票を目当てに、10万円の現金給付を決めたのだと暗示しているのです。
このあたりに、矢野次官の政治に対する偏見がみてとれます。

■10万円程度では働く意欲をなくす状況にはならない
さて、「バラマキ」か否かを判断する第三の基準は、「政策効果」になります。
例えば、現金給付を長く続けたり、過度に高額の給付を行ったりするとしましょう。
そうすると、国民が国からの給付に頼り切って、働く意欲をなくしてしまうかもしれません。
したがって、国民を救済するための政策は、国民が勤労意欲を失わないように、設計する必要があります。
ところで、国民の大半が給付金に依存して働かなくなると、日本経済はどうなるでしょうか。
国民は働くのをやめて、消費ばかりを増やすことになるでしょう。
働き手は足りなくなるのに、消費ばかりが増えることになります。
ということは、供給が不足し、需要が過剰になるわけです。需要が過多になり、供給が不足すると、物価が大きく上がります。要するに、(デマンドプルの)高インフレが起きるのです。

ところが、日本は高インフレどころか、20年以上もゼロインフレあるいはデフレでした。
ということは、10万円程度の現金給付によって、国民が勤労意欲を失うなどと心配するような状況にはないと言えます。

■国民の消費を喚起し、経済が成長する政策
もちろん、極端に巨額の現金給付を行ったら、国民の大半が勤労意欲を失い、高インフレになるでしょう。
しかし、勤労意欲を損なうことなく、消費を喚起する効果のある政策もあります。
それは、政府が、現金を給付するのではなく、仕事の機会を与えて給与を増やすという政策です。
具体的には、公共事業を行ったり、公務員として直接雇用したりするのです。
そうすれば、国民は働くので供給が減ることはなく、むしろ増えます。
同時に、給与が増えて所得が上がるので、消費も増えるでしょう。
供給も需要も増えるから、高インフレにならずに経済が成長するというわけです。

もし、矢野次官が、「消費を喚起したいが、現金給付ではその政策効果がない」と言うのであれば、現金給付以外の政策で、直接的かつ確実に、消費を喚起する効果のある政策を講じればよいのです。 それは、消費税の減税です。

■現金給付に反対する理由は財政赤字の削減だけ
特に、生活困窮者ほど、所得に占める消費の比率が高い。
ですから、消費税の減税こそ、「本当に困っている人たち」を助け、消費を喚起する政策になるでしょう。
ところが、矢野次官は、消費税の減税には猛反対しています。そればかりか、消費税の減税を求める政治家たちの政策論を「バラマキ」呼ばわりしました。

要するに、矢野次官は、現金給付には「消費を喚起する効果に乏しい」という理由で反対しながら、消費を喚起する気など、さらさらないということです。
というのも、彼の頭の中には、国民の救済も消費の喚起もなく、ただ財政赤字の削減があるだけだからです。

いずれにしても、「財政の余地」「政策目的」「政策効果」のどれも曖昧にしたまま、財政支出の拡大と言えば、条件反射的に「バラマキ」呼ばわりして批判するような姿勢は、大いに問題があると言うべきでしょう。

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中野 剛志(なかの・たけし) 評論家
1971年、神奈川県生まれ。
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2022年03月31日

ロシア軍が北海道に侵攻したら…

もし17万人のロシア軍が北海道に侵攻したら…
音威子府村で第2師団は全滅、第2のノモンハン事件という現実
2022年03月15日 デイリー新潮

 もしロシアが日本に攻めてきたら、いったいどうなるんだろう──こんな不安を感じながら、ウクライナ侵攻のニュースを見ている日本人は少なくないようだ。
 ***  
時事通信は3月11日、「北方領土でミサイル演習」との記事を配信した。
《インタファクス通信によると、ロシア軍東部軍管区は10日、クリール諸島(北方領土と千島列島)で地対空ミサイル「S300V4」の発射演習を行ったと発表した》

 Twitterには不安の声が投稿された。
《今度は日本? 攻める気か? プーチン火遊び止めよ!!》
《ミサイル演習、北海道の人たちも怖がってると思うのでやめてほしいです》
《やっぱりか……不安しかないよ……》

 当然ながらこれまで防衛省は、ロシアやソ連による本土攻撃をシミュレーションし、迎撃作戦を立案してきた。
 東西冷戦下の緊張は今よりも厳しく、また日本国内では革新勢力が政治的に強い影響力を持っていたため、当時の防衛庁はそうした「防衛計画」を全て極秘扱いにしなければならなかった。
 だが、マスコミの地道な取材で、次第に計画の詳細が報じられた。
例えば、読売新聞は1988年2月29日の朝刊に、「“北海道侵攻”は独力撃破 防衛庁検討の極秘資料 陸自近代化を強調」の記事を掲載した。

■防衛省のシナリオ
 この記事によると、当時の防衛庁は「ソ連=ロシア侵攻」を次のように予測していたという。
《「北海道有事」の場合、予想される侵攻地点として、〈1〉稚内正面〈2〉日本海側の天塩(てしお)正面〈3〉オホーツク海側の浜頓別(はまとんべつ)、枝幸(えさし)正面――の三地点を「上陸適地」として具体的に挙げ、これに対する迎撃拠点は「音威子府」(おといねっぷ)周辺としている。》

 軍事ジャーナリストが匿名を条件に、自衛隊の「対ロシア作戦」について取材に応じてくれた。
「防衛省はこれまで、ソ連やロシアが日本に侵攻する可能性を、様々なシナリオで検討してきました。
例えば、1994年に作成された計画があります。
91年にソ連が崩壊し、ボリス・エリツィン(1931〜2007)が新政府の大統領だった時代です。
この時、当時の防衛庁は、ソ連崩壊を元にシナリオを立案したのです」

 そのシナリオは、ソ連の崩壊によりロシア国民の不満が増加。政府は“新天地”を求め北海道に侵攻するというものだった。 「当時の弱体化したロシアだと、NATO(北大西洋条約機構)軍に勝てるはずもありません。
シナリオでは、東欧諸国で“反ロシア”のデモ行動が激化。ロシアの首脳部は西側への侵攻を諦め、『アメリカから距離の遠い』日本の北海道を狙うというシナリオを立案したのです。

北海道を占領して、ロシア国民が戦勝を歓迎。大統領の支持率が上がり、かつての東側諸国への睨みもきかせられるという見立てです。
今の状況と照らし合わせても、なかなか興味深いシナリオだと思います」(同・軍事ジャーナリスト)

■補給が不得意なロシア
 もちろん、他にも様々なシナリオが立案された。
「ロシアの特殊任務部隊であるスペツナズが青函トンネルを占拠する、というシナリオを検討したこともあります。
また、青森県三沢市の航空自衛隊三沢基地が急襲されたら、というシナリオもありました。
しかし、北海道が対ロシアの主戦場になるという予測は、常に変わりませんでした」(同・軍事ジャーナリスト)

 先に見た読売新聞の記事の通り、ロシアの上陸先は、 《〈1〉稚内正面〈2〉日本海側の天塩正面〈3〉オホーツク海側の浜頓別、枝幸正面》 という予想は今も変わっていないという。
「ロシアは極東に『自動車化狙撃師団』を配置しています。
戦車、自走砲、歩兵戦闘車、装甲兵員輸送車などで構成された師団で、今回のウクライナ侵攻に動員されたという報道もありました」(同・軍事ジャーナリスト)
 この「自動車化狙撃師団」が北海道侵攻の主力となる。
更に、ウラジオストクからロシア版の“海兵隊”を輸送する可能性があると予想した。

「ただ、今回のウクライナ侵攻でも報じられたように、ロシア軍は補給が得意ではありません。
少なくとも90年代の防衛庁は、そのことを分かっていました。
本来は『北海道を完全に占領するには17個師団が必要』だと計算した上で、ロシアにそれだけの大軍を送り込む力はないと分析したのです。
ちなみに1個師団は、国によって人員は違いますが、だいたい1万人という数字になります」(同・軍事ジャーナリスト)

■大敗した自衛隊
 17個師団となれば、約17万人になる。
これだけの大軍を揚陸させる力はロシアにはない。
だが、2万人とか3万人なら可能だろう──。
防衛省は、こうした前提で計画を立案したようだ。

「北海道の旭川市には、陸上自衛隊第2師団が配置されています。ここは今も昔も、“捨て石”となることが決まっている師団です。
3カ所から揚陸したロシア軍を、第2師団が音威子府村で迎撃するという計画は、全く変わっていません」(同・軍事ジャーナリスト)

 捨て石というが、まさに第2師団は敗北が決定していると言っても過言ではない。
朝日新聞の北海道版が2005年の12月に「(北の部隊 北海道の戦後60年・第7部:1)冷戦期の演習」との記事を掲載したが、以下の記述がある。
《「名寄の精鋭部隊を中心に1カ月持ちこたえて同盟国アメリカの重武装部隊の応援を待つのが基本姿勢だった」。
OBで北部方面総監部防衛課長や2師団長などを歴任した宇野章二さん(67)=札幌市=は言う。》

 先に紹介した音威子府から名寄までは約50キロ、鉄道で約1時間の距離になる。
《もしソ連軍の大戦車部隊が侵攻してきたとき、どれだけ対抗できるのか。
語り草になっている演習が84年10月、北海道大演習場で開かれた。》
《自衛隊側が1340人、戦車など106両。ソ連軍を想定した攻撃側は実際の戦力に照らして2120人、260両で臨んだ。
結果は攻撃開始からわずか17分半、自衛隊側の防衛ラインはもろくも崩壊した。
旧日本軍がソ連の戦車部隊に大敗を喫した39年のノモンハン事件を思い起こさせる結果だった。》

■第7師団の実力
 前出の軍事ジャーナリストは、かつて第2師団の関係者に取材をしたことがあるという。
「自分たちが壊滅状態になるという前提は、第2師団の誰もが共有していました。
実際、壊滅後についても指示が出ていました。
第2師団が配置されている旭川市は、春先ならギョウジャニンニクが自生します。
第2師団の自衛隊員は誰もが、『自分たちが壊滅してもゲリラ兵となり、春なら自生しているギョウジャニンニクを囓り、1日でも生き延び、1人でも多くのロシア兵を殺す』ことが重要だと理解していました」(同・軍事ジャーナリスト)

 第2師団が“捨て石”ならば、本格的反撃の役割を担っていたのが千歳市に配置されている陸上自衛隊第7師団だ。
 音威子府駅からJRを使えば、千歳駅までは約4時間半となる。
「そもそも自衛隊の第7師団の歴史は、北海道をロシアから防衛する任務を担っていた屯田兵を母体とし、明治29(1896)年に編成された旧日本軍の第7師団を前身とします。
第7師団は特に冷戦下、『陸上自衛隊で唯一の機甲師団』として知られていました。
重戦力によってロシア軍に打撃を与えることを期待されています。
第2師団が捨て石となって時間を稼ぐ間、第7師団が本格的反攻を担い、アメリカ軍の到着を待つというのが基本的な作戦プランというわけです」(同・軍事ジャーナリスト)

■自衛隊の意外な弱点
 今回のウクライナ侵攻で、「ロシア軍は意外に弱いのではないか」という指摘もある。
自衛隊は今ならロシア軍に勝利できるのではないかと期待する声もありそうだが、油断は禁物だという。

自衛隊は弾薬が絶対的に足りません。
“専守防衛”の名の下、弾薬の備蓄も厳しく制限されているので、勝てる戦いも勝てないのです。
第2師団や第7師団の関係者はウクライナ侵攻を注視しているでしょうが、自分たちが日本の各種法令でがんじがらめに縛られていることも改めて実感していると思います。
とはいえ、それに異を唱えれば、現在でも反発する日本人が多いこともこれまでの歴史が証明しています」(同・軍事ジャーナリスト)

   デイリー新潮編集部
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