【元自衛官が語る】短時間でも体力回復する睡眠のコツ
2022.3.18 Diamondオンライン
仕事や人間関係…しんどいことが多い、という人にぜひ読んでもらいたいのが、『メンタルダウンで地獄を見た元エリート幹部自衛官が語る この世を生き抜く最強の技術』(わび著)だ。
著者のわび氏は元幹部自衛官としてエリート街道をひた走っていたが、上司のパワハラと早朝深夜の激務が重なりメンタルダウン。
復職を果たした後、「出世ばかりが人生ではない」「人に認められるためではなく、もっと楽しく生きたい」と思い、転職。現在は外資系企業の社員として活躍している。
自衛隊などの社会人経験で身につけた仕事術、メンタルコントロール術についてツイートした内容が人気を集め、Twitterを開始して2年半でフォロワーは12万人を突破、10万超えいいねを連発し、ネットメディアにもたびたび取り上げられている。仕事・人間関係で生き抜く知恵が詰まった本書の発売を記念し、今回は特別インタビューを実施。著者・わび氏に自衛隊で学んだ睡眠のコツについて聞いた。
(取材・構成/川代紗生)
自衛隊時代の睡眠必須アイテム
──自衛隊では、過酷な環境下で睡眠を取らなければならない場面も多かったのではありませんか。
わび:
被災地に派遣されたときなど、とくに災害派遣の場合は、外で寝ることが多かったです。
テントの中だと狭いので、正直、あまり眠るのに適した状況とは言えませんでした。
とはいえ、自衛隊では、災害派遣という過酷な環境の中でもしっかりと体力を回復できるように、仮眠計画が立てられていました。
これまでの歴史の中で、トラブルの再発防止をふまえ、徹底的に仕組み化されてきた組織なので、学ぶことは本当に多かったですね。
──危険な現場で疲れが溜まっていたり、気が立っていたりしても無理やり寝なければならない、というときもあったと思います。どんな工夫をされていましたか。何かおすすめの睡眠法などがあれば教えてください。
わび:
「眠れない」という悩みはよく聞きますが、結局、単発の睡眠法をいくら試しても、自分自身がニュートラルな状態になっていないと効果がないんですよね。
なので、「心身をニュートラルな状態に近づける」方法を考えてみるのがおすすめです。
具体的には、「外側」と「内側」、それぞれの刺激や雑音をクリアにすることですね。
たとえば、ストレスが溜まっているときは光や音に敏感になるので、それを遮断するだけでも、ずいぶんちがいます。
私も、災害派遣で仮眠を取らなければならないとき、アイマスクと耳栓は必須アイテムでした。
──たしかに、耳、目から入る情報をシャットアウトするだけでも、睡眠の質は変わりそうですね。
わび:
「眠れない」という人は、まず自分の睡眠環境を振り返ってみて、光や音の影響を受けていないか確認してみるといいかもしれません。
案外、家族のいびきや物音など、雑音のせいで眠れなくなっている可能性もあります。
高品質な耳栓があるとかなりラクになると思いますよ。
心配事の96%は現実にならない
わび:
音や光など、「外側」の刺激をクリアにし、眠る環境を整えても眠れない場合は、そもそも心配事があるなど、心の内側の雑音に影響されている可能性が高いです。
そういうときは、頭の中の嫌な記憶をクリアにしなければならないので、寝る直前に好きなことをしてから寝るのがおすすめです。
──たとえば、「明日、仕事で失敗するかもしれない」など不安で眠れない、という場合はどうされていましたか?
自衛隊のお仕事の場合、命に関わる分、恐怖や緊張感もあったのではないかと思うのですが。
わび:
「不安」との戦い方を知るとラクになるかもしれません。
私も社会人生活の前半は、まさに不安との戦いでした。
純粋に仕事をしている時間よりも、不安になっている時間の方がずっと長かったかもしれません。
けれど、その経験から知ったのは、「何がわからないかわかっていないから、不安が生まれる」のだ、ということ。
そういうわけで、あまりに不安すぎて眠れないという場合は、「わかっていること」「わかっていないこと」をそれぞれノートに書き出してみるのがおすすめです。
あとは、精神科医・樺沢紫苑さんがこの記事(https://diamond.jp/articles/-/189277)で紹介されていたのですが、米国ミシガン大学の研究で、「心配事の80%は起こらない」ことがわかったそうです。
さらに、残りの16%は事前に準備をしておけば対処可能。
つまり、「こうなったらどうしよう」と不安になっていることのうち、4%しか現実には起こらないんです。
──ええ! たったの4%ですか。そう考えると、私たちはかなり余計な心配をしてしまっているのかもしれませんね……。
わび:
この知識を知っておくだけでも、楽観的になれますよね。
もし、どうしても不安で眠れないという人は、ぜひこのエピソードを覚えておいて、眠れない夜に思い出してもらえたらと思います。
現実になるかどうかわからない未来のことにエネルギーを使うのはもったいない。
心の整え方や不安の取り除き方は今回の本でも複数紹介しているので、少しでも多くの方の気持ちをラクにできたら嬉しいです。