2022年04月01日

意外と誰も答えられない「民主主義」とは何か

意外と誰も答えられない「民主主義」とは何か
2022/03/31 東洋経済オンライン
宇野 重規 : 政治学者

ロシアによるウクライナ侵攻が続いていますが、世界を見渡すとミャンマーやアフガニスタンなど民主主義が脅かされているように見える地域は多くあります。
こうした中、東大教授で政治学者の宇野重規氏は、今後は時代に即して民主主義の形が変わっていくのだと説きます。
本稿では、宇野氏の新刊『自分で始めた人たち――社会を変える新しい民主主義』より、現代における民主主義のポイントを紹介します。

「民主主義」に対するコンセンサスはない
コロナ禍において、有能な専制体制のほうが危機によりよく対応できるのではないかという言説が力を持ちました。
しかし今日、世界はあらためて暴走する独裁者の恐ろしさを痛感しています。
今回のウクライナ侵攻という悲惨な出来事を契機に、民主主義への動きが再び加速することを願っています。

とはいえ、民主主義とはいったい何なのでしょうか。
2021年12月、民主主義サミットが開催されました。
世界各国の首脳が集まり民主主義について議論すること、それ自体は意義深いことです。
民主主義がまさに現在の人類にとって、もっとも重要な課題の1つであることは明らかです。
一方で、どの国が会議に招待され、どの国がされないのか、明確な基準はあったのでしょうか。
また参加している各国のリーダーの間には、「民主主義とは何か」についてのコンセンサスがどれだけあったのでしょうか。それぞれの国が「自分の国は民主主義である」と勝手に主張しているようにも思えました。
民主主義への関心がいよいよ集まる中、議論はむしろ迷走しているかのようです。

私は政治思想史の研究者です。
民主主義の思想を中心に勉強してきました。
とくに好きなのは、後でも触れます19世紀フランスの思想家トクヴィルです。
フランス革命に翻弄された若き貴族でしたが、アメリカに旅立ち、その地での経験を踏まえて書いた『アメリカのデモクラシー』は、民主主義論の古典1一つとなりました。
このトクヴィルまで遡って考えることが、現代における民主主義を考える上でのヒントになると思います。

私は、古い思想家の言葉をあれこれ考えるのが好きです。
彼ら、彼女らの言葉のうちに秘められた深い思考や、熱い情熱に触れたとき、そして現代を照らし出すその洞察力に驚くとき、もっとも幸福な思いに浸ることができます。
その一方、思想家や哲学者の言葉というのは、いわば蒸留酒のようなもので、背後にはその時代の社会のあり方や、そこでの人々の経験があることをいつも痛感します。
そのような背後の社会こそが、いわば、思想の「身体(ボディ)」だと思ってきました。

民主主義論も同じで、多くの人々が政治に参加し、自分たちの社会の問題を自分たちで解決する多くの経験や活動があってこそ、生まれてきた議論です。
そこから私は、民主主義を支える多様な社会的経験に関心を持つようになりました。

テクノロジーが民主主義に与える影響
現代における民主主義を考える上で、ポイントが3つあります。

第1は「デジタル化時代の民主主義」。
急激に変化するテクノロジーが民主主義にいかなる影響を与えるのか、という点にあります。
トクヴィルは『アメリカのデモクラシー』で、郵便と印刷術が、いかに人々の平等化につながったかを強調しています。
特別な場所や立場になくても、多くの人が容易に知や情報にアクセスできることこそが、民主主義の基礎条件になったというのです。
その意味では、現代のデジタル化の進展も、民主主義の新たな可能性を開くのかもしれません。
いわゆる「デジタルトランスフォーメーション(DX)」の話も、単なる技術的変化ではなく、政治や経済、社会のあり方を変えてこそ、意味があります。

今日、政府や大企業は多くの個人のデータや情報を利用することができますが、逆に個人も政府や大企業のデータや情報を利用できるのでなければ、バランスが取れません。
市民が政府のデータや情報にアクセスし、自ら社会的課題の解決に取り組む「オープンガバナンス」の理念の本質はそこにあります。

第2のポイントは「日常に根差した民主主義」です。
私は民主主義とは、選挙に尽きるものとは考えていません。
確かに政党や政治家を選ぶ選挙は民主主義の重要な要素です。
しかし、それだけが民主主義ではありません。
トクヴィルもまた、首都の議事堂ではなく、地域の無名の市民による自治の活動に、民主主義の原動力を見出しています。人々が自分たちの社会のことを、自分たちの力で解決していく。
そのような経験を積み重ねている点に、民主主義の強みがあると論じているのです。

現代でいえば、地域の社会的課題の解決を市民自らが提案するオープンガバナンスの理念は、まさにトクヴィルのいう民主主義の現代版です。
そこで取り上げられる課題は、貧困や格差、環境や健康、労働や福祉など、まさにSDGsにおいて掲げられた諸課題と一致します。
このような諸課題を、政府や企業、研究者やNGO/NPOなどと連携し、市民自らが解決していくことこそが、現代にふさわしい民主主義といえるでしょう。
もし仮に、多くの人が民主主義を学校の教科書で習う「お勉強」、単なる理想や制度の問題として捉えているならば、残念なことです。

自分たちの社会の問題を、自分たちの力で解決していくのが民主主義です。
いわゆる「政府」や「役所」も、そのための手段に過ぎません。
自分たちと遠い存在であったり、ましてや「お上」として敬遠したりしてはならないのです。
私たちは今こそ、民主主義を自分たちのものにする必要があります。
そのためには日本の過去の知恵を借りる必要もありそうです。

経営者とは違うリーダーシップ
第3のポイントは「社会を変える人の力」です。
私はオープンガバナンスに関わる人々や全学体験ゼミナールで出会った方たちの「人間力」に強い印象を受けました。
そのような人たちに共通するのは、平場で発揮される強いリーダーシップでした。
それは、必ずしもいわゆる「社会的地位」に付随するものではありませんでした。
政府や企業などの組織におけるポジションとは別の、何かその方の人格に根差す「人間力」のようなものが重要な働きをしている、そう感じました。

そのような人たちは、他の人に命令しません。むしろ人の話をよく聞きます。
人にお膳立てしてもらうのではなく、自らが率先して動きます。
その情熱と行動、そして何より魅力的な「言葉」で人を動かしていました。
私は経営学の教科書などに出てくるリーダーシップとは違う何かを、現場で常に感じてきました。
そのような人たちが、この社会にはまだたくさんいる。あるいは若い世代を含め、むしろ増えている。このような驚きと喜びが、今回の本を支える大きなモチベーションになっています。
そのような方たちから学び、そして応援したいということも、この本の大きな柱です。

世界は変わり続けていきます。
民主主義もそれに伴い変わる必要があるでしょう。
それには、1人ひとりが考え、行動する力が不可欠です。

デジタル化を使いつつ、やはり大切なのは日常に根ざした民主主義の活動です。
今こそ現代日本社会にふさわしい、新たな民主主義論を生み出すときではないでしょうか。
これを読まれた皆さんも、ぜひ新たな民主的な政治参加の文化の確立に加わってください。
「社会を変える人の力」を結集しましょう
どこかの現場でお目にかかることを心待ちにしています。
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プーチンが受け継いだ「目的のためには手段を選ばない」哲学

保阪正康 日本史縦横無尽
プーチンが受け継いだ「目的のためには手段を選ばない」哲学
2022/03/31 日刊ゲンダイ

 武装解除後に収容所に入れられた日本軍の将兵は1000人単位で大隊をつくり、列車に乗せられた。
2カ月分の食料を持参してというわけにはいかず、多くの兵士は着の身着のままで列車に乗った。
「ダモイ(帰国できる)」というのが合言葉であった。
この大隊編成、そして列車に乗せられたのは9月に入ってからとされている。
それまでは総勢60万人を超える「捕虜」の名簿作りや大隊の編成を行い、8月中は収容所内で待機という状態であった。  戦争が終わり、故郷へ帰れるという喜びは、兵士たちに心の安らぎを与えていた。
その喜びが全く裏切られるとは考えてもいなかったのである。

 極東ソ連軍は、日本が降伏の意思を鮮明にした8月15日以降、クリール列島(千島列島)の占守島から島伝いに侵入してきた。
軍事的に制圧地域を拡大しようとしたのだろう。
8月18日の払暁からである。これに対して北部軍の司令官・樋口季一郎は反撃を命じ、戦闘が起きた。
双方に戦死者が出たが、マッカーサー司令部の仲介などもあり、停戦が成立した。
最後の戦闘だったせいか、この時の日本軍は士気も高く、ソ連軍に対し、自軍の7倍もの損害を与えている。

 その後、極東ソ連軍の第87狙撃軍団が千島列島の島々に次々と上陸し、日本軍の武装解除を進めていった。
8月29日に択捉、9月1日から4日にかけて国後、色丹などの日本軍を武装解除している。
ソ連は9月2日(ミズーリ号での降伏文書調印)の後も軍事行動を起こしているのだから、法的には問題である。
ただ、この武装解除も北海道には手をつけることはできなかった。
 付け加えておけば北方4島は、千島列島とは別に日本固有の地であり、ソ連が敗戦の混乱に乗じて不法に制圧したことは明らかである。

日本でも戦後のある時期に千島列島の全てがソ連の不法な軍事行為で奪われたとの見方もあった。
しかし今は北方4島について、日本固有の地であり、この返還を求める動きが継続していると言っていいだろう。

 このように見ていくと、スターリンの戦略を大局で言えば、「目的のためには手段を選ばない」に徹しきっていることがわかる。
プーチンはその哲学を忠実に継いでいることになる。

第2次世界大戦終結時の混乱と政治の空白期が生まれた時に、ソ連は巧妙にその手法を用いた。
それが20世紀の特徴であり、スターリンの哲学を清算して21世紀に入ったと思ったらそうではなかったのである。
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2022年04月02日

ロシアのウクライナ侵攻で浮上する「9条」議論の是非

ロシアのウクライナ侵攻で浮上する「9条」議論の是非<法学者・小林節氏>
2022年04月01日  SPA!

ロシアがウクライナに軍事侵攻を始めた。
21世紀の日本にいながらBBCやCNNを通して、1930年代のナチス・ヒトラーの蛮行を見ている気分になる。

◆9条は無意味か有益か?
 このプーチン大統領の侵略戦争の報に接して、左右両派から日本国憲法9条に関するコメントが出て来た。
 右派からは、「だから、9条を改正して、国防軍を保持して国防の意思をはっきり示すべきだ」等の意見が噴出した。
 左派は、「日本は9条による平和外交の重要性を世界に唱道すべきだ」等の主張を繰り返している。
 ただし、左派の方が一見して不利である。

1990年にイラクのフセイン大統領がクウェートを侵略した際に、右派から左派に対して、「クウェートに憲法9条があったら侵略されなかったと言うのか?」という皮肉が向けられたが、今回も同様なことが言われた。
それでも左派は、今回は、「平和の尊さ」を叫ぶ世界の世論に参加して各地の駅頭で声を上げ続けている。
右派も、あらゆる手段を駆使してロシア軍をウクライナから退かせるべきだと主張し続けている。

◆9条の理解が一定ではない
 今の状況では9条改憲論に追い風が吹いて来そうである。
 しかし、40年以上も憲法論議に参加して来て、私は、左右の論者がそれぞれに「自分流」に9条を解釈して言い争っており?かみ合っていないもどかしさを感じて来た。

 そこでこの際、政府の公式の見解の意味を確認して、それが今の国際情勢に有効か否か? を検討することで、生産的な9条改憲論に寄与してみたい。

(1)1項は侵略戦争を禁止している
 9条1項は「国際紛争を解決する手段としての戦争」を放棄している。
これは、1928年のパリ不戦条約以来の国際法の用語として「侵略戦争」の放棄を意味している。
だから、この段階では「自衛戦争」は放棄していない。
しかし、続く2項で一切の戦争を不能にしている。

(2)2項は戦力保持と交戦権を否認  
「戦争」は、国家間の武力闘争で、国際法の管轄である。
そして、国際法上、合法な戦争とは、国家の交戦権の行使であり(つまり私戦〔犯罪〕ではなく)、正式な軍隊が遂行する闘争である。
だから、自国の憲法で「陸海空軍その他の戦力」つまりいかなる名称であれ軍隊の類の保持を禁じ、かつ、交戦権の保持も認めていない以上、わが国は、たとえ「自衛」のためと言えども戦争はできないことになっている。

(3)それでも自衛権はある  
しかし、政府見解でも国際法上も、わが国には、(条文上の根拠が要らない自然権としての)自衛権はある。
しかし、自衛のためだとしても、国際法の「戦争」は2項で禁じられているので、わが国は海外へ撃って出ることはできない。そこで自国の領域と公海上だけで「専守防衛」に徹することを義務づけられている。
また、その担当機関は、軍隊であってはならないので、他国の軍隊ではあり得ない「警察比例の原則」が自衛隊法には明記されている。
つまり、警察は強盗などの違法暴力を制圧するための限度を超えた実力を行使したらその違法性が問われるが、諸国の法制および国際法上、「軍隊」の武力行使にそのような「比例原則」は課されていない。
 だから、法律上、自衛隊は、軍隊ではなく、警察と海上保安庁の能力では対応できない場合に出動する、いわば軍隊の如き実力を持った「第二警察」である。
警察ならば行政権(憲法65条)の一環で合憲である。

◆ウクライナに例えれば
 そこで、以上の様な特異な9条を今回のウクライナ情勢に例えてみれば、次の様になるであろう。
 まず、わが国は、国是として他国に対して侵略・自衛にかかわらず軍を向けることはないと宣明している、他国にとって極めて安全な国である。
 しかし同時に、わが軍が侵略の対象にされた場合には「専守防衛」に徹するとして、質の高い自衛隊を常設している。

 だから、今必要な事は、噛み合わず時間も手間もかかる改憲論議に突入するよりも、国民の防衛意識を高めることと、わが国の経済力・技術力・人材に相応しく防衛力を高めることではなかろうか。
 現に「話せば分かる」ではない軍事大国がわが国の周辺に複数も存在するのだから、急ぐべきである。

<初出:月刊日本4月号>

こばやしせつ●法学博士、弁護士。
都立新宿高を経て慶應義塾大学法学部卒。ハーバード大法科大学院の客員研究員などを経て慶大教授。現在は名誉教授。
著書に『 【決定版】白熱講義! 憲法改正 』(ワニ文庫)など
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2022年04月03日

怒りや悲しみを自分のエネルギーに変える方法とは?

【元自衛官が語る】自衛隊で学んだ、怒りや悲しみを自分のエネルギーに変える方法とは?
2022年04月02日 Diamondオンライン

仕事や人間関係…しんどいことが多い、という人にぜひ読んでもらいたいのが、「メンタルダウンで地獄を見た元エリート幹部自衛官が語る この世を生き抜く最強の技術」(わび著)だ。
著者のわび氏は元幹部自衛官としてエリート街道をひた走っていたが、上司のパワハラと早朝深夜の激務が重なりメンタルダウン。
復職を果たした後、「出世ばかりが人生ではない」「人に認められるためではなく、もっと楽しく生きたい」と思い、転職。現在は外資系企業の社員として活躍している。
自衛隊などの社会人経験で身につけた仕事術、メンタルコントロール術についてツイートした内容が人気を集め、Twitterを開始して2年半でフォロワーは13万人を突破、10万超えいいねを連発し、ネットメディアにもたびたび取り上げられている。仕事・人間関係で生き抜く知恵が詰まった本書。
今回は、発売を記念して特別に本文より一部抜粋、編集して紹介する。

■感情はコントロールできなくても、表し方はコントロールできる
近くにいる人が喜んでいたり楽しそうにしたりしていたら、なんだかこっちも嬉しくなってきますよね。
反対に、近くにいる人が悲しんでいると心配になるし、怒っていると不安になります。
近くの人の喜怒哀楽で自分の感情が変わるなら、自分の喜怒哀楽で近くにいる人の感情も変わります。
そういうわけで、自分の喜怒哀楽をコントロールできれば、人間関係はうまくいきます。
でも、そんなこと難しくてできません。

ただ、喜怒哀楽をコントロールするのは無理でも、表し方はコントロールできます。
私がとても好きな上司で、喜怒哀楽の表し方が絶妙な方がいました。
私が師団司令部で働いていたときの上司です。
司令部の仕事は、「全部隊の頭脳」と言えばカッコよく聞こえますが、えらい人からは詰められ、各部隊からは突き上げられるので、けっこうしんどい仕事です。
しんどい仕事なので、喜ばしいことや楽しいことなんてほとんどありません。
逆に、腹の立つことや悲しいことは多いです。

そんななか、その人は仕事上のささいな喜ばしいこと、プライベートでの楽しかったことをすべて共有していました。
たとえば、「君が提供してくれた資料のおかげで、めちゃくちゃほめられた! ありがとう!」など、喜ばしいことに感謝や感激を添えて共有してくれます。
ちょっとした仕事でもこんな感じなので、この人の仕事には協力したいと思っていました。
さらにスゴイと思ったのは、自分の腹の立つことや悲しいことすら、プラスのエネルギーに変えてしまうところです。

「隣の部署に仕事押しつけられた……。
悔しいから、あいつらよりはるかにいいできの仕事をしてやる!」といった感じで、蒸気機関車のように怒りや悲しみで心を燃やして前に進んでいきます。
普通だったら、機嫌が悪くなったり、後ろ向きになったりします。
ひどい上司なら部下に八つ当たりすることもあるでしょう。
でも、怒りや悲しみを完全に自分のエネルギーに変えてしまうので、私だけでなく、周りにいた人も協力しようという気持ちになっていました。

今の私は、この上司の「喜楽は共有、怒哀は殺す」的なやり方を真似しています。
怒りや悲しみをプラスのエネルギーに変えるのは難しいですが、変えようとする気概だけでもあると、ムダに怒ったり、悲しんだりすることは少なくなりますよ。
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2022年04月04日

モンスター新入社員ベスト10

入社2か月で辞めた新入社員の退職理由にア然…だったら入るなよ!
――モンスター新入社員ベスト10
2022年04月03日  SPA!

4月、新入社員が今年もやってきました。
そこで日刊SPA!では反響の大きかった記事の中から厳選した、モンスター新入社員ベスト10を発表。
今回はすぐに辞めた新入社員たち。
驚きの行動をとった第2位はこちら!(初公開2020年04月20日 集計期間は2018年4月〜2021年12月まで)

 *  *  *
 最近は海外旅行に興味を示さない若者が増えているが、一方で世界一周のような長旅に行く人は増えているという。
ただし、サラリーマンが旅をするために半年や1年といった長期休暇を取得することは極めて難しく、会社を退職したうえで旅に出るケースがほとんどだ。

◆退職の理由は「旅がしたいから」
 機械設備会社で働く折原孝和さん(仮名・36歳)の職場にも、世界一周の旅をするために仕事を辞めた新人がいたという。 「数年前に採用された大卒の新入社員ですが、入社翌月に辞表を出したんでビックリしました。
しかも、その理由が衝撃的すぎました(笑)。
私の価値観では旅行って仕事が休みのときに行くものだし、ましてや彼はまだ入社したてでこれから仕事を覚えなきゃいけなかった時期。正直、開いた口が塞がりませんでした」

 社員50人程度の小さな会社で、その年は彼を含めて3人を新卒で採用。そのうち1人が入社2か月で辞めたのだから大きな痛手だ。
 「上司は彼の辞表を預かりはしましたがいったん保留にして、何度も説得を試みていました。
しかし、翻意させることはできず、最終的に受理せざるを得ませんでした」
 同じ部署だった折原さんも思い留まるように何度も話をしたそうだが「すみません、自分の気持ちにウソはつけないので」と決意は固かったとか。
「私もまだ若かったですから少しカッとなってしまい、強い口調で『だったらどうして入社してからそんなことを言い出すんだ、社会人として無責任すぎないか』と厳しいことも言いました。
彼は『お叱りの言葉は甘んじて受けます』と反論はしませんでしたが、その態度が余計に腹立たしく思いました。
本人の中では本当の理由を話すことで筋を通そうとしたのかもしれませんが、あんな理由ならウソでもいいから違う理由を挙げてもらったほうがよかったですよ」

◆旅を諦めて就職したはずだったが…
 ちなみに彼は大学時代から海外放浪の旅に強い憧れを持っていたらしく、その夢を実現させるために在学中はアルバイトに励んでお金を貯めていたそう。
当初は卒業後に旅に出る予定だったが将来のことを考え、悩んだ末に就職を決断。
ただし、大手企業はすでに選考が終了しており、募集していたのは中小企業ばかり。
妥協で特にやりたい業種でもなかった会社に就職したことも早期の退職を後押ししたと、別の社員が聞いたようだ。

「入社直前の2〜3月、卒業旅行でインドに行ったと話していたので、それで我慢できなくなったのかもしれませんね。
普通なら大学時代最後の思い出として旅をして、就職してからは仕事に打ち込むものだと思うのですが、彼は違ったみたいです。
 百歩譲って旅に出るために会社を辞めるとしても、せめて何年か働き、それからだって遅くないじゃないですか。
私もちょっと気になって世界一周をした人の動画やブログなんかをチェックしていたんですが、20代後半の人が結構多かったんです。
彼もそのくらい働いてから辞めるのであれば、社内の人間からひんしゅくを買うこともなかったはずです」

◆彼は今頃なにを……
 配属された際には部署全員が参加して歓迎会が行われたが、辞める際は送別会などは当然行われるわけもなく、ひっそりとしたものだったという。
「ウチの会社って給料はそんなに高いわけじゃないですが離職率が低く、新卒採用でわずか2か月しか続かなかったのはダントツの歴代最短記録。
まだ戦力といえる状態じゃなかったため、業務への影響がほとんどなかったのは不幸中の幸いでした。
けど、彼は大変だと思いますよ。こんな短期間で会社を辞めたことを履歴書にかけば、帰国後に再就職をしようとし彼にはそういうことも含めて、ちゃんと話したんですけどね」
 確かに、こんな経歴では採用担当者の印象も悪いだろう。
今ごろ、どこかで「あのとき、辞めなきゃよかった」と後悔していなければいいが……。

<TEXT/トシタカマサ> ―[モンスター新入社員ベスト10]―

【トシタカマサ】 ビジネスや旅行、サブカルなど幅広いジャンルを扱うフリーライター。
リサーチャーとしても活動しており、大好物は一般男女のスカッと話やトンデモエピソード。
4年前から東京と地方の二拠点生活を満喫中。
ても面接官に絶対聞かれるだろうし、経歴としても大きなマイナスです。
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2022年04月05日

日本の国防最前線で起きているヤバイ事態

現役自衛官の告白「いま日本の国防最前線で起きているヤバイ事態」
3/25(金) FRYDAY

国際社会の制止を振り切って強行されたロシアのウクライナ侵攻、とどまるところを知らない北朝鮮のミサイル発射、中国による覇権主義的海洋進出――日本を取り巻く安全保障の環境は日々厳しさを増している。

具体化した脅威に対し、防衛省は’22年度予算の概算要求で5兆4797億円を計上した。
防衛費は過去最大規模となった。
軍事ジャーナリストの清谷信一氏が一刀両断する。
「本予算のみで補正予算は含まれていません。
’21年度は8000億円近い補正予算が組まれています。
防衛省のおカネの使い方はデタラメ。
国民はもとより、現場の自衛官への裏切り行為です」

防衛費が増額されることがなぜ、裏切りとなるのか。
ある防衛省事務官は「中身が伴っていないのです」と嘆く。
「額が大きいだけのハリボテ。海外からの武器等の購入について、防衛省は基本的に値引き交渉をしない。
完全に商社任せで、言い値で買っている。
防衛省の各部署に『専門官』という役職がありますが、名前だけ。私も人事異動で、突然やったこともない分野の『専門官』を命じられました。
研究どころか関連する本を一冊も読んだことがないのに……」

先の清谷氏は日本の防衛事情をこう例えた。
「具が全然ないスキヤキの鍋に、超高級なアメリカ産牛肉がチョロッと入っている状態」だと――。
今回、国を憂う5名の現役自衛官がFRIDAYに登場。ニッポンの国防の、お寒い現状を語り尽くした。

◆尖閣有事に米軍は来ない
40代陸上自衛官A
「ウクライナの惨状を見て思うことは『明日は我が身』だね」

30代陸上自衛官B
「いや本当に。これまで、防衛予算を獲得するために恐怖を煽(あお)るストーリーとして語られてきた『ロシアの北海道侵攻』も、『中国の尖閣諸島侵攻』も俄然、(がぜん)現実味を増してきました」

40代航空自衛官C
「北海道侵攻は旧ソ連時代の話で、ここ十数年のメインシナリオが尖閣への中国軍の上陸。尖閣に安全保障条約が適用されるかどうか、歴代の自民党内閣が何度もアメリカに確認してきたけど、今回のウクライナ侵攻の対応を見たら望み薄だね。
尖閣有事の際に米軍が出張ってくるとは考えづらい」

30代陸上自衛官D
「北海道と尖閣で2正面作戦を展開されたらと思うとゾッとします。
ただ、中国が侵攻するとしたら、まずは台湾でしょうね。
ウクライナ東部の親露派の要請を受けて、平和維持のために軍を派遣――というロジックが通用するなら、台湾にも応用できるわけで」

30代海上自衛官E
「中露がガッチリ手を結んでいるのは不気味。中国と握れているから、ロシアは安心して西方に戦力を集中できているわけですからね」

「ロシア機と見られるヘリが3月2日に北海道・根室半島の南東沖で領空を侵犯したのは不気味だった。空自の戦闘機が緊急発進(スクランブル)したが……」

「領空に接近しているとの通告、侵入したことに対する警告を、いずれも無視されたんですよね?」

「空の守りと言えば、最新鋭戦闘機F-35が導入されたけど?」 C「ステルス性が高く、飛行能力も非常に高い。けど……値段も高い。導入まで、もっと慎重に物事を進めるべきだった。2兆5000億円も払って147機買うことになったけど、『高すぎる』と世間から袋叩きにあった後に突然、一機あたり10億円ぐらい安くなった。総額で1500億円ほど圧縮できた。財務省にうるさく言われて、防衛省がしぶしぶ交渉したら、ロッキード・マーチン社が値下げに応じたみたい。つまり、いままで値下げ交渉していなかったということ」

「もっとおカネをかけてほしいところは一杯ありますよ。日本の主力戦闘機のF-15って、’70年代の戦闘機ですからね。計器など内部のシステム等をアップグレードして、’22年の現在も使っている」

「機体設計自体が古いから、アップグレードには限界がありますよね?」

「中国やロシアはどんどん新しい戦闘機を開発していて、完全に置いて行かれている。北朝鮮が使っている古い兵器のことを笑う資格はないね」

「初期型のF-15は、もはやアップグレードすらできないと聞いています」

「空自が対艦、対地上用のスタンドオフミサイルを搭載できるようにF-15を改造。空対空の戦いを捨てようとしつつあるのは現実的だね」

「空対空じゃ勝てないですからね。1月に小松基地(石川県)を飛び立ったF-15が墜落して、パイロット二人が亡くなる事故がありました。調査結果が出ていないので何とも言えないですが、不可解な点が多すぎますよね」

「考えられるのは機体トラブル、落雷、バーティゴ(空間識失調)でしょうか」

「F-15は機体が古いからね……事故になっていないだけで、バーティゴもよく起きているとか?」

「バーティゴは私も何度も経験しているけど、陥りやすいのは曇天のときや、雲の中、夜の闇を飛んでいるとき。
とくに夜は星の光や漁船の灯が海に反射して、海面が夜空に見えて上下がわからなくなる。
その状態になると、不思議と計器が信じられなくなる」

◆戦後初の空母が「定員割れ」
「戦後初の空母『いずも』は既存の護衛艦『いずも』を改修して、空母化すると聞きましたが……」

「それが大問題なんですよ。現時点で『いずも』は定員約500名に対し、半分の200名台半ばぐらいしかクルーが乗っていない。
空母化すれば搭載する航空機の整備士など、さらに多くの人員が必要になるのですが、いったい、どこから連れてくるのか。現時点ですでに定員割れしているというのに……」

「結局、自衛隊内部で人の奪い合いになるんだよね……」

「たとえばエンジンを担当する3分隊(機関科)は、エンジンのオート化によって人員が削減されているんですけど、整備や点検、清掃には人力が必要。
だから、他の分隊から人員を回してもらわないといけない。タコが自分の足を食べて生きながらえている状態ですよ」

「その『いずも』にはF-35の短距離離陸・垂直着陸タイプのF-35Bが搭載されることになって、隊員の教育が始まったんだけど、ここでも人手不足がネックになった。
海自が運用しようとしていたけど、結局、人員を集められず、『教育ができない』ということで、通常型F-35が配備される空自が担当することになった」

「そうなると『いずも』のイニシアチブは誰がとるのか、という話になります。
もちろん、トップは艦長に間違いない。『いずも』型の艦長は一佐(一等海佐。軍での大佐に相当)職。もし、空自の部隊が乗ってくるとすれば、二佐の飛行隊長クラスがトップになるでしょう。
ただ、これだと、空自の意見が通りづらくなる。もしかしたら『派遣部隊指揮官』とか、よくわからない役職を作って、一等空佐を乗せるかもしれないですね。
ただでさえ、現場は人がいないというのに、見栄だけで無駄な幹部が配置に付きそうな予感……」

「陸自に配備され始めたMV-22B(オスプレイ)でも同じような現象が起きていますよ。
尖閣や南西諸島への侵略に対する島嶼(とうしょ)防衛の切り札として水陸機動団が使用し、かつ『いずも』にも搭載されるのですが、オスプレイ用の乗組員が全国から掻き集められて、現場は人手不足に陥っています」

「オスプレイは不満の声が多いね。機体性能は確かに素晴らしいが高い。なのに、3600億円もかけて17機も配備することにしてしまったものだから、他のヘリが買えなくなっている」

「今、攻撃ヘリも輸送ヘリも観測ヘリも数が足りていません。もっと普段使いが出来て、安いヘリが絶対に必要。現場は『誰でも気楽に使えて小回りがきくママチャリが欲しい』って言っているのに、ベンツが続々と納車されているようなもの。
不便でしょうがない」

「この間、引退したはずの小型ヘリOH-6Dも結局、完全引退できていないみたい。輸送ヘリや観測ヘリがないので、いざという時用にいつでも使えるように補給処でモスボール(劣化防止処置を施しての保管)しているからね」

◆当たらない機関銃
「F-35やオスプレイ、スタンドオフミサイルなど、世界もうらやむ高額な高性能兵器を買い揃えたおかげで、末端の部隊は大変なことになっていますね」

「高額の装備品の購入に伴い、防衛予算を大幅に取られることで、陸自では小銃や防弾チョッキがお粗末な事態になっている。
わけても衝撃だったのが、住友重工の不正。
自衛隊が配備する数種類の機関銃を製造していた住友重工が40年以上にもわたり、性能や耐久性に関するデータを改竄(かいざん)していたことが’13年に発覚。防衛省は同社を指名停止処分にするなどの制裁を科し、『住重に裏切られた』という姿勢を見せましたが……」

「バッテリーで言えば、広帯域多目的無線機のバッテリーもヤバいですね。
本体と、本体に接続されている端末の両方にバッテリーが搭載されているのもどうかと思うけど、その端末側のバッテリーがすぐ切れる。
演習中、ずっと電池切れの警報が鳴っていたこともあった」

「あの無線機、コードが細くて弱いからよく切れる。アンテナもよく折れます。
骨伝導イヤホンの耳に入れる方のゴムが取れやすくて、落ちないようにテープでとめているから耳が痛い。よほど、AirPodsの方が丈夫で便利ですよ」

「防弾チョッキも、身長に合わせてサイズが決められているはずなのにブカブカ。
3号サイズの次が5号とサイズの選択の幅がザックリ過ぎるところからして、おかしいよね(笑)。
もう少し小さいサイズの防弾チョッキが欲しいと言っても『数が足りないから無理』と一蹴される」

「今回、ロシアがウクライナの原子力発電所を次々と占拠しました。
原発が砲撃されるたび、放射能汚染を恐れるヨーロッパ諸国は恐怖のドン底に突き落とされましたが、日本の地上部隊はこんな有り様。守る以前の問題ですよ」

E「
ほとんど丸裸な日本の原発は、侵略者から見れば格好のターゲット。
しかも、列島のあちこちにあるから、それだけで守りづらい。
大兵団を送りこまなくても、やすやすと占拠できるでしょう」

「原発はいろんな意味でリスクだね」

「在日ウクライナ大使館は日本人、それも自衛官を集めて義勇兵としての参加を呼び掛けていたけど、言語が理解できない以上、大した戦力にならない」

「戦車は国やメーカーが違っても、操縦方法に大差はない。
だからと言って、すぐに乗れるかと言うと、やはり車内での連携が取れないと戦えないですね」

世界第9位の防衛費は「ハリボテ」。
人手不足で老朽化した役に立たない戦力、それが自衛隊の実態だ。
5人は最後にこう嘆いた。「国防破綻ですよ」と。

    『FRIDAY』2022年3月25日号より
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実は子どもの死因「不慮の死」長年上位の衝撃実態

実は子どもの死因「不慮の死」長年上位の衝撃実態
原因がわかれば予防できるのに情報取得を阻む壁
2022/04/04 東洋経済オンライン
Frontline Press

予防のための子どもの死亡検証「チャイルド・デス・レビュー(CDR)」が、本格導入に向かって動いている。
地方公共団体でのモデル事業は2年目。
省庁横断的な施策であり、「こども家庭庁」成功の試金石になるとの声もある。

子どもの命を救うために、米国でCDRがスタートしたのが約40年前。
日本でも始まろうとしているCDRとは何か。何が期待できるのか。展望と課題を4日連続連載でお届けする。
第2回:米国発「子どもの死の予防制度」日本導入への課題(4月5日配信) 第3回:国の導入遅い「子の死因究明」に山梨が力入れる訳(4月6日配信) 第4回:子の「不慮の死」防ぐ事業に制約課す厚労省のなぜ(4月7日配信) 岸田首相が施政方針演説で言及 現在、開かれている第208回国会。その施政方針演説で岸田文雄首相は、ある言葉を口にした。

「子どもの死因究明」。
子ども政策をわが国社会のど真ん中に据えていくため、「こども家庭庁」を創設します。
こども家庭庁が主導し、縦割り行政の中で進まなかった、教育や保育の現場で、性犯罪歴の証明を求める日本版DBS、こどもの死因究明、制度横断・年齢横断の教育・福祉・家庭を通じた、子どもデータ連携、地域における障害児への総合支援体制の構築を進めます。 1万2000字近くに及ぶ演説のうち、たったの8文字

しかし、それに反応し、快哉を叫んだ人たちがいる。
「来たな!」 自見英子・参議院議員(46)もそうだった。
複数の省庁が個別に行っている子ども施策を一元的に進める省庁の必要性を訴え、こども家庭庁の創設に奔走してきた。
CDRを充実させなければという思いがあったからだ。
岸田総理がこの言葉を演説に盛り込んだことは、率直にうれしかったという。

「日本のCDRの取り組みはうまくいくと、私は信じています。
(こうしたタイミングで)こども家庭庁ができることは大きな前進です」

CDRは、子どもの死を検証する制度だ。単なる検証が目的ではなく、和名で「予防のための」とあえて挿入されているとおり、子どもの死を少しでも防ぐことを目的にしている。
子どもの死亡に関しては、医療機関や保健所、学校・保育園・幼稚園、福祉、救急、警察、児童相談所など多様な機関が関係する。
ただし、各機関はそれぞれ個別対応だ。
広範囲にわたる関係機関の間で情報を共有し、予防策を検討する仕組みはこれまでなかった。

NPO法人「Safe Kids Japan」によると、子どもの死の予防は長年の課題だった。
日本では1歳以上の子どもの死亡原因の上位は「不慮の事故」。
つまり、予防できる事故だ
しかも、状況は1960年代から変わっていない。
そうしたなか、この分野での先進国・アメリカから約40年遅れで、日本でもCDRを本格導入する動きが始まった。
子どもの死に関わる多機関が集まり、情報を共有し、死に至った経緯を明らかにしたうえで、予防策を考える。それがCDR事業の基本形だ。

「多機関連携」が制度の肝で、縦割りによる情報共有の壁を打ち砕く手だてとして期待されている。
ところが、2020年度から始まった国のモデル事業(厚生労働省主管)では、当初のもくろみどおりに事が進んでいない。
調査報道グループ・フロントラインプレス取材班の取材では、
@警察から捜査情報が得にくい、
A個人情報保護がネックになって必要な情報が集まらない、という2つの課題が浮き彫りになった。
これらが足かせとなって「CDRは理想形では導入できない。できたとしても10年はかかるだろう」
「導入は結局できないのではないか」という声もある。

自見議員はそうした現状も知っている。
それでも「こども家庭庁ができたらうまくいく」と力を込める。
なぜか。それは、こども家庭庁が最後の一押しの役目を果たせるからだ、という。

やりたくても法律がなければ動けない
子どもの死亡検証は、これまで手つかずの分野だった。
自分の子が亡くなっても、死亡した経緯がわからない。そんなケースが後を絶たなかった。
国会議員になりたてのころ、その事実を知った自見議員は、子どもの死亡検証を行政が責任をもって遂行できるように、法律を作らなければと判断。その後、成育基本法(2018年12月成立)、死因究明等推進基本法(2019年6月成立)が次々に施行され、子どもの死亡検証は一応、「行政がやるべきこと」に含まれるようになった。

ただ、これらの仕組みは文部科学省や厚生労働省が中心となって所管する、依然とした縦割りだ。
そこからこぼれ落ち、検証されないままのケースも出る。
あるいは、他省庁や他機関の協力が得られず、十分な検証ができないケースもある。
省庁横断的なこども家庭庁は、そうした隙間を埋め、CDRを実りある形で導入できるはずだ。
「こども家庭庁ができたらうまくいく」と自見議員が力説する背景には、こうした事情がある。

小児科医でもある自見議員がCDRと出合ったのは、東京大学医学部に入局したころだったという。
手伝った研究がCDRにつながる内容だった。 決定的だったのは、その後、一般社団法人「吉川慎之介記念基金」代表理事の吉川優子さん(50)と出会ったことだ。
吉川さんは2012年7月、私立幼稚園に通っていた5歳の息子を川の事故で亡くし、その後は水難事故予防の活動を続けている。
自見議員にしてみれば、吉川さんは極めて良識的な人だった。
普通の立派なお母さんが、自分の子どもが突然亡くなって、『なぜ子どもが死んだのか知りたい』と言っているのに、そのシンプルな問いに社会が答えられていなかった

激烈な縦割りでたらい回しに遭っていた
当時は、0〜6歳の子どもを主に対象とした「教育・保育施設等における事故報告集計」(内閣府取りまとめ)もなかった。 「激烈な縦割りだったんです。今でこそ内閣府が取りまとめて、ゼロロク(0〜6歳)の子どもの事故については、必ず自治体をかませて、たらい回しがないようにすることができています
けど、吉川さんのときはそういう仕組みもない。私立幼稚園は文科省だと言うので文科省に問い合わせたら、それは自治体だと言われて、自治体に行くと、それは文科省だって……。
吉川さん、もう、とにかく、たらい回しに遭っているんです。自分の子どもの死因究明で
吉川さんのそうした話は、聞くだけでとにかくつらかったという。

「一人っ子の男の子を亡くしているから、もう自分に子どもはいないんですよ。子どもが亡くなったというだけで、吉川さん、とてもつらいのに、それ以上のつらさと苦しみを与えているわけですよ、社会の仕組みが。
正直、なんてひどい国なんだと思って。グリーフケアするならまだしも、『遺族のお母さんにこんな思いさせる国って何なの!』って思ったのが最初ですね」
1期目だった自見議員は、吉川さんからたらい回しの話を聞いた後、すぐに関係省庁の担当者を呼んだ。
文科省、内閣府、法務省、警察庁……。ところが、いずれの担当者も「自分の所管じゃない」と言い出した。

「子どもが1人死んで、 お母さんもこんなに苦しんでるのに、よく関係ないって言いますね、と無茶苦茶怒ったんですよ。
でも、その怒りは私が新人だったから。その後、議員活動をしていて、わかったんです。
行政というのは法律を基にして動く。
でもCDRは法律がない。だから、彼らがいかに使命感を持っていても、やりようがない。
担当者も気の毒だなとCDRの根拠となる上述の法律が2つでき、省庁横断的な施策を可能にするこども家庭庁も2023年4月に創設されることが決まった。
だが、調査権限をCDRの担当者に与えることについてなど、課題はいくつかある。
「だからもう1回立法が必要」という。

自見議員によると、課題の1つに解剖がある。
解剖は、死因究明に重要な役割を果たすが、現状では実施率が10%程度にすぎない。
吉川さんのケースでも、解剖は行われなかった。
事故直後は、子どもの体にこれ以上傷をつけたくないという思いが強かったからだ。
しかし、解剖を選択しなかったことが、吉川さんを後悔させることになった。
取材班が取材した他の遺族からも、似たような経験が語られている。

他の先進国に比べて低い日本の解剖率
そもそも日本の解剖率は他の先進諸国と比べて低い。
行われたとしても、質は予算不足を反映したレベルになっていることが、長年にわたって指摘されている。
2007年、大相撲の時津風部屋で新弟子(当時17歳)が部屋での暴行によって死亡していたという事件があった。
当初は病死と判断されたこの事件を契機に、死因究明を推進する法律はいくつかできた。

それでも状況は大きく改善していないと自見議員は言う。
「解剖に関わる予算が少ない。所管する警察が解剖に結び付ける努力をしなければいけない。事件性があるかどうか、ちょっとよくわからないグレーゾーンの解剖を、調査法解剖と言うんです。
でも、法律を作ったのに、普及しないんですよね。
だから、本当にCDRをやろうと思ったら、調査法解剖も同時にあまねく受け入れるような体制にしないとまずい

これまで放置されていた子どもに関わる問題に、こども家庭庁はどこまで迫れるのだろうか。課題はCDRだけではない。
例えば、岸田首相の施政方針演説に出てきたDBS(Disclosure and Barring Service)。
子どもに接する仕事をする人に「無犯罪証明書」の提出を義務づける、英国で運用さている制度だ。
ベビーシッターや教職員による性犯罪から子どもを守ろうと、導入を要望する声が高まっている。
その制度導入に関しても縦割り行政が立ちはだかる。」

自見議員は言う。
「小児性犯罪者がどこで働いているか。保育園で働いていると所管は厚労省、幼稚園だと文科省、ベビーシッターだと内閣府だし、塾だと経産省なんですよ。分かれている。
例えば1人の性犯罪者がいて幼稚園でクビになっても、(バレなければ)保育園でも働いていけるし、ベビーシッターでも働ける。学校でも働けるし。しかも、無犯罪証明書なので、法務省が出さなきゃいけない。
似てるなあと思うんですよね、CDRと」

こども家庭庁で、縦割りの弊害を打破できれば、放置されてきた各種問題の解決に弾みがつく。
特に、導入が「あと一息」となったCDRは、縦割りの狭間で放置されてきた子ども問題を解決する試金石になる、と自見議員は見ている。
CDRがどれくらい世の中に理解されているか CDRのモデル事業は2020年から7府県で始まり、現在は9道府県で実施されている。
これを、いかに全国規模の本格導入につなげるか。

その調査研究を続けている名古屋大学医学部附属病院の沼口敦医師(50)は、こども家庭庁とCDRについて「どれくらい国民の期待を受けている省庁なのか、ちょっとわからないのですが」と前置きしつつ、次のように語った。
「厚労省に協力するのと同じくらいの熱意をもって、こども家庭庁の協力要請に(医療現場などが)応えるか。『それは(当然)応えるでしょ』って、全員同じように思っていれば話は簡単なんですけどね。
それだけの理解が世の中にあるのかな」

例えば、医師は厚労省から子どもの死に関するデータを出すように要請されると、応じやすい。他省庁から要請されると、身構えてしまう。そんな現実があるのだという。
「受け手側の意識のほうが問題かもしれない。
モデル事業(の段階)だからかもしれないですけど、上がいくら号令を出しても、『いや、そうは言われても』とかね」 CDRは今、ゼロから形をつくろうと模索している段階だ。
そして、早急に成果を求めない長い目が必要だと沼口医師は言う。

予防は積み重ねの上に成り立つ、成果だけを見すぎないことが大事だ――。
こう語るCDRの関係者はほかにもいる。
沼口医師は言う。
「今、結果を出すってことじゃなくて、将来、結果を出すことに向けて、(関係者が)一緒に取り組む。そんなイメージを持っていただけるといいなと思います」

取材:益田美樹=フロントラインプレス(Fromtline Press)所属
第2回:米国発「子供の死の予防制度」日本導入への課題(4月5日配信)
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2022年04月06日

「ちゃんとダラダラ休む」が人間に必要な納得理由

「ちゃんとダラダラ休む」が人間に必要な納得理由
メンタル不調から回復までにたどる4つの段階
2022/04/05 東洋経済オンライン
尾林 誉史 : VISION PARTNERメンタルクリニック四谷院長

「最近何だか元気が出ない」「気持ちが沈んで、何にも興味が持てない」など、春は気温や生活の変化でメンタルの不調が起きやすい時期です。
『元サラリーマンの精神科医が教える 働く人のためのメンタルヘルス術』より、メンタル不調を抱えた人が回復していくまでの4段階を紹介します。

前回記事:「何となく不調な人」が見過ごすと危ない4サイン ちゃんとダラダラ休むのが大事 メンタル不調には、うつ、抑うつ状態などいろいろな呼び方があります。
精神的・肉体的ストレスにより脳がうまく働かなくなっている状態が「うつ」といわれるもので、セロトニンなど神経伝達物質の枯渇によって、「心の水位」が下がってしまっているということです。
あせらず、きちんと治療に向き合えば、状態は以前よりもっとよくなります。

■第1段階・ちゃんとダラダラ休む
第1段階で、とにかくちゃんと休むことが必要ですが、これがなかなか難しいのです。
クリニックにいらっしゃる患者さんも、どう休んだらいいのかわからないとおっしゃいますので、ともかく初めの1か月間は、特に集中的に休んでくださいということから説明しています。
心の水位が下がる状態になる原因は、仕事の量が多すぎることや、人間関係などで、大きなストレスを抱えたことです。
それによって、脳疲労を起こしているのです。
脳科学的には、神経伝達物質であるセロトニンやノルアドレナリン、ドーパミンなどの不足・枯渇が原因だろうと言われています。
まずは、「ちゃんとダラダラ」休みましょう。

■第2段階・休むことに飽きてくる
第1段階でしっかり休み切ると、変な言い方ですが、休むことに飽きてくるものなのです。
それと同時に、少し気持ちの活動度が上がってきます。
そうしたら次のステップですね。
第2段階では、「なにかしようかな」という気持ちになってきますので、ウォーミングアップとして、ご自身の趣味とか、好きなことに時間を使い始めてもらいます。
漫画でも、動画の流し見でも結構、ストーリーが頭に入ってこなくても結構、ただ眺めるだけでもOK。
初めのうちは、そんな刺激の少ない活動であっても、30分もすると疲れて嫌になってしまうものです。
人によっては、「先生、今日はテレビを47分観られました」とか「今日は漫画を80ページまで読めました」という場合がありますが、そういうときは、「ちょっと頑張りすぎたんじゃないですか? まだ頑張りすぎちゃ駄目ですよ」とお話ししています。

第2段階の初めのうちは、頑張らないことを徹底していただきます。
そうして何かをやり始めていると、徐々に持続力や集中力が戻ってきます。テレビドラマや映画を観ても、ストーリーが頭に入ってこなくて、共感したりできなかったのが、徐々にできるようになってきます。
このときも、仕事のメール、チャット、電話などからは、まだ離れていてもらいます。
人によって変わっていくプロセスや期間は、まちまちになりますが、だいたいで言うと、第2段階は、1カ月〜3カ月ぐらいでしょうか。
第2段階の後半には、集中力・感受性なども高まり、充実してきます。
自分の好きなこと、興味関心のあることがだいぶできるようになってきて、自炊を始めたりもします。
睡眠も、前には日中12時間ぐらい寝ていたとか、1日合計15時間寝ていたのが、「最近、朝は7時ぐらいに起きています」というように、生活リズムが整い始めてくるものです。

働く意欲が出てきているか確認
■第3段階・意欲が出てくる
第3段階への移行の目安は、意欲が出てきているかです。
働く意欲、生活する意欲が出てきているかどうかを確認しましょう。
そしてこの段階で、リワーク的なものを始めることになります。
リワークとは、休職した場合のリハビリのことを言います。
定義は広いのですが、まずは、日中ちゃんと起きているとか、ある程度の作業負荷に耐えられるようにしていくということです。
たとえば、朝起きてから、食事などを終えたら、とりあえず机に向かう。 ネットで興味のあることを検索するだけでもいいのです。
作業をしているような姿勢と状況を作って、準備していくことです。
医療機関や就労移行支援・就労継続支援事業所などで、復職に至るまでの橋渡し的なシステムを用意しているところもあります。
ストレスの対処法や対人コミュニケーションを学ぶようなプログラムなど、その方の状態に合わせて選ぶことができます。
そうした施設を利用したほうがいいかどうかは、回復の上昇曲線によります。
特に後期になってくると、人によって回復の仕方はさまざまです。
一定のレベルに達してリワークを始められるようになってから、ある程度ゆっくり回復していく方は、こうした施設を利用してじっくり復職に向かっていったほうがいいでしょう。
逆に、後期にぐっと回復していくような方は、こうした施設を利用する必要はないかもしれません。

■第4段階・復職への準備を始める
第3段階で、以前の自分の生活リズムに近い過ごし方を疑似体験できたら、復職が目の前にやってきます。
主治医が、そろそろ休職から復職に向かっていくというゴーサインを出すことになります。
企業によって、復職の基準はさまざまです。
通勤訓練から始めることを認めている企業から、週5のフルタイムで働けないと復職を認めないという企業まであるわけです。そこで主治医は、その患者さんの勤務先が定めた基準をしっかりと踏まえて、復職の診断書を出さないといけません。

まず週に3日、会社に行って帰ってくるだけ
「だいぶ良くなってきたから、復職ですね」といった感じで軽い気持ちで診断書を出したことが、再発の大きな原因になることがあるのです。
なんとなくいい軌道に乗ってきたという段階の方に、急に週5のフルタイムで仕事を再開することを課したら、相当のダメージを受けてしまいます。
初めは、会社に行くというだけで大変です。
まず週に3日、月水金に会社に行って帰ってくるだけといったことから始めます。
最初の月曜日に会社の前まで行って帰ってきたら、疲れて真夜中まで泥のように寝てしまったというのはよくある話です。
自分がいた職場に近づくというだけでドキドキするものなのです。
そういう準備段階を踏まずに、いきなり週5フルタイムなど、絶対無理ということですね。

復職の前に、通勤訓練、模擬ワーク体験、会社の方とのやりとりなどを始めておかないといけない。
まずは、話しやすい人から部署の近況を聞くといったところから始めておく必要があります。
休職期間は何カ月であると決まっていても、制度を柔軟に運用してくれさえすれば、転職する人はかなり少なくなると思います。
主治医は、その患者さんが属している会社の休職期間が、何カ月と定められているのか、初めの段階で聞いておくべきでしょう。
例えば1年半と聞いて、「あなたは治るのに1年半かからないし十二分な期間だと思います。だからじっくりちゃんとやりましょう」と自信を持って言える場合もあります。
場合によっては、「2カ月しかないんですか。では、僕もしっかり産業医の先生や会社の担当者の方とも話しましょう。それは、ルールがきついです。
ともかくちゃんと必要な人に相談しましょう」ということになります。

不安を乗り越え、前よりもいい状態に 休職期間が終わって職場に戻ったとしても、そこから何もないわけではありません。
初めは、どんな方でも、やっぱりおそるおそるです。
久しぶりの社会復帰、同僚や上司との再会、緊張もするしうまくいくかもわからない。
また会社に戻っていくということは、不安で、エネルギーも使うものです。
そういう中で、「いや、もう治ったはずだから、同じことは起こらないはず」と頑張りそうになったら、それ自体がまだ回復していない発想だった、と思い出してみてください。
また頑張ってしまったら、その結果、後戻りしてしまうかもしれないわけです。

ひと言で言うと、正しく恐れるということが必要だと思います。
詭弁のように聞こえるかもしれませんが、正しく恐れるということをちゃんとやっていると、そんなに恐ろしいことにはならないのではないでしょうか。
いつまた何が起こるかわからないから、ともかく無理するのはやめようというふうに考えるのが、正しく恐れるということですね。
僕は患者さんに、リミッターをかけるとか、アクセルとブレーキのバランスという言い方をします。

第4段階に至るまで自分のことをしっかりと見つめ直し、自分のことを理解し、自分のことをいとおしく思う、そういう体験をしてきたわけですから。ここまででお伝えしてきたように、意味ある回復のプロセスをじっくり経ることができたのであれば、そんなに簡単に、また弱ってしまったりはしません。
posted by 小だぬき at 05:39 | 神奈川 ☁ | Comment(0) | うつ病について | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2022年04月07日

「PTAに加入したくない」そう考える親が穏便に"非会員"となるためのたった一つの方法

「PTAに加入したくない」そう考える親が穏便に"非会員"となるためのたった一つの方法
2022年04月06日 PRESIDENT Online

PTAに加入したくない場合、どうすればいいのか。
PTA活動に詳しいノンフィクションライターの大塚玲子さんは「PTAは任意加入団体なのですが、強制加入や会費の自動引き落としなど、法に触れるやり方をしているところもあります。
『非会員』でいるためには、校長先生にお手紙などで意思表示することです」という――。
※本稿は、大塚玲子(著)、おぐらなおみ(イラスト)『さよなら、理不尽PTA!』(辰巳出版)の一部を再編集したものです。

■PTAの理不尽度チェックをして問題点を確認
一般の団体では「アウト」なことをPTAでは「当たり前」にやりがちです。
入学式の後など、PTAへの入会を求められるときにチェックしておきたいのが、そのPTAが個人情報保護法などに触れる方法を取っていないかということ。
以下の10項目で1つでも当てはまったら、要注意です。

「あなたのPTAは大丈夫? PTA理不尽度チェック」
1 入会届がない
2 入学説明会や入学式のとき「加入は任意」と説明がない
3 入退会について会則に書かれていない
4 個人情報の扱いに問題がある
5 会費が無断で口座から引き落とされている
6 強制的な役員決めが行われている
7 「できない理由」を言わされる
8 「ポイント制」がある
9 非会員家庭の子どもに記念品が配布されない
10 母親の比率が8割を超える
※各項目についての詳細は書籍 『さよなら、理不尽PTA!』を参照ください

■クリーンな入退会システムを理論立てて求めよう
会長や役員さんではない、いわゆる「ヒラ」の一般会員や、非加入を選択する人が、PTAの改革・適正化を促すときのポイントや注意点をまとめてみました。
具体的に伝えることとしては、たとえば次のような要望が考えられるでしょう。

・入退会の仕組みや会則を整えること
・入会届の整備/加入意思を確認すること
・入学説明会や入学式のときに「加入は任意である」と説明すること
・個人情報を正しく取り扱うこと/PTAに名簿を無断で使わせないこと
・加入意思の確認をしないまま、会費を徴収、引き落とししないこと
・会員に活動への参加を強制しないこと
・非会員家庭の子どもも含め、その学校に通うすべての子どもを対象に活動すること

■入会前に適正化を求めるなら、校長先生に直訴を
伝える相手は、なるべく校長先生がいいかと思います。
会長さんでもよいですが、保護者なので、任意団体の運営について正しい知識をもたない人もときどきいますし、保護者同士でぶつかることは、なるべく避けたいものです。
そもそも、連絡先を公表していないPTAも多いので、会長や役員さんに直接連絡をとることは難しいかもしれません。
特に、子どもが入学したばかりで入会届を出していない(配られていない)人は、校長先生に伝えるのが妥当でしょう。
まだPTA会員ではないと考えられるからです。

もし入会届を出していないのに会員として扱われているなら、それは校長先生が、学校がもつ名簿(個人情報)をPTAに使わせている、またはPTAの使用を黙認しているためであり、つまり校長の不適切な行為(自治体の個人情報保護条例に反する)が原因です。

■校長先生に手紙を書く
伝える方法は文書か、文書と対面の併用がおすすめです。
一度くらいは直接話したほうが、誤解が生じにくく、話がスムーズになるのではないかと思いますが、
ケースバイケースで対応を。
このとき校長先生に、『さよなら、理不尽PTA!』の巻末で紹介する、教育委員会が出した通知や手引きを見てもらうと、より話が通じやすくなるかもしれません。
読んでおしまい、ということにされないよう、なるべく文書で回答を求め、ある程度余裕のある期限を添えましょう。
伝える相手は、教頭先生でもよいのですが、最終的な判断をできるのは校長先生なので、最初から校長先生と話すほうが、おそらく早いかと思います。

なお、自動強制加入のPTAで「そもそもPTAに入っていない」と伝えるときは、退会届を出さないでください。
以前ある裁判で、保護者が退会届を提出したことが「PTAに入っていた」と認定される根拠の1つとされてしまったからです。

■PTAの理不尽は現役役員のせいではない
1点、筆者からのお願いですが、会長・役員さんや管理職の先生とやりとりするときは、どうか、喧嘩腰で挑まないでもらえたらと思います。
一般社会の常識からすると「なんじゃこりゃ?」と思うようなことでも、PTAや学校では「当たり前」のこととして、何十年も引き継がれてきたことだったりするので、現任の役員さんや先生だけを責めるのは、気の毒なこと、それに、改革・改善途上のPTAも意外と多いのです。
なるべく淡々と問題を指摘して、あとの判断は相手に委ねる、というくらいがよいのではないかな、と思います。

PTAの改革・適正化はいつ促してもかまいません。
ただし、子どもが入学したばかりで、まだPTAに入っていない(入会届を出していない)ときと、既にPTA会員として会費を納めたり活動したりしてきた場合とで、できることは異なります。

■会費の自動引き落としは拒否する
入会届を出していないのに、学校がPTA会費の集金袋(児童生徒の名前入り)を配ったり、会費を勝手に引き落としたりしたときは、「PTAに加入した覚えがない」「引き落としに同意した覚えがない」ということを、校長先生にお手紙などで伝え、入会届を配布することや、引き落としの同意書をとることを求めてもいいでしょう。
この場合はおそらく、学校に伝えた銀行口座や、学校が管理する児童生徒の名前が、PTA会費を徴収するため無断流用されているので、個人情報の取扱いが不適切です。

もしPTAに入らない予定なら、この時点で「入らない」と伝えてもいいですし、あるいは事前に、会費を勝手に引き落とさないよう伝えておいてもいいでしょう。
加入を検討中であれば、このときに会費の使途(決算書)などの確認を求めるのもいいと思います。

■恐怖のクラス役員決めには参加しない
クラス役員決めについても、入会届を出していないのに参加を求められた場合は、「PTAに加入した覚えがないので出席しかねる」と伝え、校長先生に入会届の配布を求めるといいかもしれません。
「希望しない人に活動を強制しないでほしい」または「活動が強制なら加入しない」と伝えるのもいいでしょう。
タイミングはいくつか考えられます。
どの委員をやるかという調査票(アンケート)が配られた場合は、その提出時でもいいですし、あるいは「入学式や保護者会の後にクラス役員決めをします」というお知らせを受け取ったときに伝えてもいいと思います。
いずれにせよ、加入前なので、PTAでなく校長先生にお手紙等で伝えればいいでしょう。

調査票に記入して提出するだけだと見落とされてしまうことがあるので(筆者が経験済みです)、別の紙に用件を書き、「校長先生宛て」と明記するのがおすすめです。
当日に言いだすのは、できれば避けたほうがよいと思います。

クラス役員決めが始まってから、特にクジやじゃんけんで役にあたってから「PTAに入っていない」と言うと、おそらくまず揉めます。
役員決めが始まる前に退席しましょう。
もし後で、先生や役員さんから電話で委員をやるように求められた場合は、電話番号をどこか学校からとしか考えられませんが、もし学校がPTAに個人情報を提供することについて、あなたが同意していないのであれば、学校の個人情報の取扱いが不適切です。
後日、校長先生に連絡をして、改善を求めるのがよいかと思います。
なお、PTAに入らない予定ならそのままでよいのですが、もし「クラス役員をしなくてよいならPTAに入りたい」と考えている場合は、その旨も伝えましょう。

■誰もが役員になって組織改革ができるわけではない
ときどき「PTAを変えたいなら、役員になって自分で変えろ」という声を聞きますが、誰もが役員になれるわけではありませんし、誰もがそこに時間や労力を費やせるわけでもありません。
「政治に不満があるなら、議員になって自分で変えろ」と言われたら、「いや、そこまではちょっと」と困惑する人が多いと思いますが、それと同様でしょう。

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大塚 玲子(おおつか・れいこ)
ノンフィクションライター、編集者
1971 年生まれ。東京女子大学文理学部社会学科卒業。
PTAなどの保護者組織や、多様な形の家族について取材、執筆。
著書は『ルポ 定形外家族』(SB新書)、『PTAをけっこうラクにたのしくする本』『オトナ婚です、わたしたち』(太郎次郎社エディタス)ほか。
共著は『子どもの人権をまもるために』(晶文社)、『ブラック校則』(東洋館出版社)など。
東洋経済オンラインで「おとなたちには、わからない。」、「月刊 教職研修」で「学校と保護者のこれからを探す旅」を連載。ひとり親。定形外かぞく(家族のダイバーシティ)代表。
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2022年04月08日

世界に広がる「ロシア排斥」の深刻な実態、芸術・文学・料理まで

世界に広がる「ロシア排斥」の深刻な実態、芸術・文学・料理まで
2022.4.7  Diamondオンライン
矢部 武:ジャーナリスト

世界に広がる ロシア人排斥の動き  
ロシアによるウクライナ軍事侵攻をきっかけに、世界中でロシア系住民が差別や嫌がらせ、脅迫、暴力などの標的にされている。
 イギリスのロンドンにあるロシアレストランでは「ウクライナ戦争反対」のメッセージを掲げ、収益の一部をウクライナ難民の支援活動に寄付しているにもかかわらず、店のホームページには「お前たちはプーチンのロシア人だ!」「ロシア人は殺人者だ!」など、怒りや非難のメッセージが殺到しているという。

 そしてカナダのバンクーバーでは、ロシア政府と関係のないロシアのコミュニティーセンターが破壊され、ウクライナ国旗の色である青と黄色のペンキが辺りに飛び散っていた。
さらに米国のワシントンDCやニューヨークにあるロシアレストランでも窓やドアが壊されたり、看板に侮辱的な落書きをされたり、店のオーナーや従業員が「国へ帰れ!」などと罵声を浴びせられたりしている。

 彼らの多くは長く海外で暮らし、ロシア政府やプーチン大統領とは関係ないが、プーチン氏が始めた侵略戦争の責めを受けている。
 つまり彼らは、「ロシア帝国の復活」という妄想にとりつかれた一人の狂人のような男が引き起こした戦争とは何の関係もなく、しかも戦争反対の意思を示しているにもかかわらず、「人殺しのロシア人」とひとまとめにされ、非難されているのである。

世界に広がるロシア人排斥の実態を明らかにし、その危険性について考える。
マンハッタンにある 老舗レストランも標的に  ニューヨーク・マンハッタンのカーネギホールとメトロポリタンタワーの間に、95年前に創業された老舗ロシアレストラン「ロシアン・ティー・ルーム(RTR)」がある。
 アール・デコ調の高級感ある装飾が施されたお店は人気歌手のマドンナやフランク・シナトラなどエンターテイナーや観光客のぜいたくなたまり場となっていて、300ドル(約3万6000円)もするキャビアや高級シャンパンなどが人気だという。

 RTRの創業者は旧ソ連の共産主義独裁政権に反対して米国に渡ったそうだが、現在の経営者もロシアのウクライナ侵攻直後に発表した声明の中で、「私たちはプーチンに反対し、ウクライナを支持します。ウクライナの人々とともにあります」と述べている。
にもかかわらず、お店のホームページには嫌がらせや脅迫などのメッセージが殺到しているという。

 こうしたロシア人排斥の動きは芸術界やスポーツ界にも広がっていて、ニューヨークのメトロポリタンオペラ(MET)では、プーチン大統領を公に非難するように求められたロシア出身の有名オペラ歌手、アンナ・ネトレプコが要請に応じなかったために降板させられた。
 METはCNNに宛てた声明で、「METとオペラにとって非常に大きな芸術的損失だ」「アンナはMETの歴史上最も偉大な歌手の一人だが、プーチン氏がウクライナで罪のない人々を殺害している現状では、他に方法がなかった」(2022年3月4日)と述べている。
 また、イギリスのウェールズでは、カーディフ・フィルハーモニー管弦楽団が予定していた公演プログラムからロシアの作曲家チャイコフスキーの音楽を外して、他の作曲家の音楽に差し替えた。
時代の違うチャイコフスキーの音楽まで排除するというのは行き過ぎではないか。

 さらにこの動きはスポーツ界にも及び、米国とカナダで人気の北米プロアイスホッケーリーグ(NHL)でプレーするロシア人選手が差別や脅迫を受けている。
 あるロシア人選手は路上を歩いていると、見知らぬ男に「荷物をまとめてロシアへ帰れ!」と罵倒され、また、別のロシア人選手の妻がインスタグラムに子どもと一緒に撮った写真を投稿すると、「ナチスの子どもだ」と差別的な書き込みをされたという。
 このようにプーチン大統領の戦争とは関係ない在外ロシア人がさまざまな分野で差別され排斥されているが、なぜこのようなことが起こるのか。

「戦争ヒステリー」による 悲劇は繰り返される
 そこには、戦争やテロ、災害などで人が極限状態に追い込まれたときに陥る「戦争ヒステリー」と呼ばれる特殊な心理状態がある。
そうなると、人は不安や恐怖に駆られるあまり、誤った行動を取りやすいのだという。

 これは米国に限ったことではないが、特に米国はこれまで何度も「戦争ヒステリー」状態に追い込まれ、罪のない人々を差別し迫害してきた。
 最近では、トランプ前大統領が新型コロナウイルスを「チャイナ・ウイルス」「カンフルー(カンフーとインフルエンザの造語)」などと呼び、中国に対する憎悪をかき立てた。
その結果、アジア系米国人に対する差別、暴力、嫌がらせなどのヘイトクライム(憎悪犯罪)が急増した。
 また、2001年の9・11同時多発テロ事件の後にも、アラブ系・イスラム系住民に対する憎悪が一気に高まり、嫌がらせや脅迫、殺人などが相次いだ。
 同時多発テロ事件から1週間もたたないうちに、テキサス州ではパキスタン系の飲食店主が、カリフォルニア州ではエジプト系の雑貨店主がそれぞれ、「お前ら、テロリストは国に帰れ!」と罵声を浴びせられた後、銃で射殺された。
 その後、全米各地のアラブ系・イスラム系の商店主たちは「われわれはテロリストではない。米国人だ」ということを示すために、店の外に星条旗を掲げ、「テロと戦うために団結する」というポスターを貼るようになった。

 ブラウン大学の調査によると、同時多発テロ事件の前年である2000年から2009年の間に、米国で報告されたヘイトクライムの総件数は18%減少したが、同じ期間内にイスラム教徒を狙ったヘイトクライムの件数は500%増加したという。
 同時多発テロ事件の直後は米国の法執行機関も「ヒステリー状態」となり、数カ月間で1000人を超えるアラブ系・イスラム系住民を「テロに関与した」という具体的な容疑や確かな証拠がないまま逮捕し、勾留した。
このうち約1割は起訴されたが、ほとんどはテロと無関係の公文書偽造、詐欺、銃火器法違反などの罪状だったという。

 また、皮肉なことに、同時多発テロ事件後に高まった反イスラム感情はトランプ前大統領の政治家への転身を助けることになった。
 ニューヨークで不動産会社を経営していたトランプ氏は2016年の大統領選に立候補する数年前、当時のオバマ大統領がイスラム教徒ではないかと示唆する発言を繰り返した。
 それが事実でないことはオバマ氏本人によって証明されたが、トランプ氏はそれについて謝罪しなかった。
それどころか、この発言で政治的に有名になったトランプ氏は大統領選に立候補し、反移民や反イスラム教徒などを掲げて保守派の支持を集め、当選したのである。

かつては日系人を 「敵性外国人」として排斥
 米国の「戦争ヒステリー」の過去をもっとさかのぼれば、第2次世界大戦中の旧日本軍による真珠湾攻撃の後、12万人以上の日系米国人が「敵性外国人」として住む家を追われ、強制収容所に収容されたという悲劇もあった。
 この時、日系人の大多数は米国市民だったにもかかわらず、米国政府への忠誠心を試すテスト(Loyalty test)を受けさせられ、次のように尋ねられたという。
「あなたはアメリカ合衆国に無条件で忠誠を誓い、国内外のいかなる軍隊の攻撃からも合衆国を守り、日本の天皇や外国の政府、権力、組織に従わないことを誓いますか?」と。
 彼らの多くはこの忠誠心テストに抗議することなく署名したが(それを米国市民に強制するのは憲法違反だったにもかかわらず)、なかには署名を拒否したことで、より厳しい待遇の収容所に送られた者もいたという。

 日系人の強制収容については後に米国政府も過ちを認め、1988年にレーガン大統領が日系人に謝罪し、賠償金を支払った。
また、バイデン大統領も最近、「米国の歴史の中で恥ずべきことの一つであり、二度と繰り返してはならない」と改めて謝罪した。
 にもかかわらず、多くの国で今、「戦争ヒステリー」による過ちが繰り返されている。

非難すべき相手を 間違えてはいけない
 大切なのはプーチン大統領とロシア政府に侵略戦争の責任をきっちり取らせることであり、ロシア政府と関係のない在外ロシア人をひとまとめにして差別し、攻撃することではない。
非難すべき相手を間違えてはいけないのである。

 イギリスに6年間住んでいるというロシア人男性シェフはワシントン・ポスト紙の取材に、「ロンドンとモスクワで私が知っている(ロシア)人のほとんどは戦争に反対しています。
私たちはロシア人であることをやめることはできないし、戦争をやめさせることもできません。
私たちは今後もロシア人であり続けますが、隣人を殺そうとするロシア人ではありません」(2022年3月7日付)と語っている。
 それから彼は、「祖国については誇りに思っていることはたくさんあるが、今それについて話すのはふさわしくない。私たちはトルストイとドストエフスキーの国ですが、今はそうではありません」と付け加えた。

 繰り返しになるが、プーチン大統領は悪だが、在外ロシア人やロシアの料理(食品)、芸術、文化、文学まであらゆるものを排除・排斥しようとするのは間違っている。
実際、ロシアの文化や文学は体制や権力を批判してきた歴史があり、それを排除するのではなく、むしろ積極的に学んで理解するべきではないか。
 世界中が反ロシアの集団ヒステリー状態に陥ってしまったようななかで、間違った行動をしないためにはどうすればよいのか。
その良い模範を示してくれた人物がいる。
 前述の日系米国人の強制収容が行われた第2次世界大戦中、コロラド州知事を務めたラルフ・カー氏である。
 カー氏は当時のルーズベルト大統領を含めほとんどの政治家が強制収容を支持するなかで、「それは非人道的で、合衆国憲法に反する」と公然と反対し、州知事として他州を追われた日系人を受け入れ、彼らの基本的人権が損なわれないようにさまざまな支援を行った。
 カー氏がそうしたのは、真珠湾を攻撃した旧日本軍と当時の日本は敵(国)だが、米国市民である日系人は人種的には同じだが敵ではない、と両者をはっきり区別したからである。

 今世界各国の指導者や国民に求められるのは、カー氏のような強い信念と冷静な判断力、勇気ある行動ではないだろうか。
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2022年04月09日

PTA退会で子どもへの不利益をにおわされたら親が取るべき行動

「一人だけ登校班から外れてもらう」PTA退会で子どもへの不利益をにおわされたら親が取るべき行動
2022年04月08日 PRESIDENT Online

いまだに“ブラックPTA”と呼ばれるようなコンプライアンス無視のPTAは多い。
退会するにはどうすればいいのか。
長年、PTAの改革と適正化を訴えてきたノンフィクションライターの大塚玲子さんが、子どもが犠牲にならない賢い退会のしかたを紹介する――。
※本稿は、大塚玲子(著)、おぐらなおみ(イラスト)『さよなら、理不尽PTA!』(辰巳出版)の一部を再編集したものです。

■入会後に適正化を求めるなら会長と校長に手紙を
子どもが在校生の場合、または新入生でも、既に会費を納めたり活動に参加したりしているときは、改革・適正化を求めるのはいつでもよいわけですが、新学期前後は、管理職の先生も役員の保護者も忙しいので、可能なら避けたほうがいいかもしれません。
伝える方法は、校長先生と会長さんに、同じ手紙を送るのがよいかと思います。
教育委員会やP連が出した手引き(下記参照)や通知を添えるのもおすすめです。
学校評価アンケートや、PTAからのアンケートに意見を記入することもできます。

参照用サイト
奈良市PTA連合会「PTA運営の手引き」
横須賀市PTA協議会「任意加入Q&A」

■PTA総会で発言すれば問題を広く共有できる
校長先生や会長さんに手紙などで要望を伝えるだけでなく、可能なら、PTA総会に出席して、改革・適正化を求めるのもいいと思います。
というのは、手紙や文書だけだと、他の人たちに問題が共有されづらいからです。
総会の場で発言すれば、いろんな保護者や教職員に聞いてもらえますし、そのときは改善がなかったとしても、その場にいる誰かが覚えていて、何年か後に動いてくれる可能性もあります。
文書に考えをまとめて、総会のとき、みんなに配布するのもいいでしょう。
おそらくその場で結論が出ることではないので、総会では問題提起にとどめ、期限を区切って、会長や校長先生に回答を求めると、シンプルに進みます。

難しいのが、やはり発言のタイミングです。
総会は基本的に「例年通り」に行われる前提なので、出席者からの発言や提案は、あまり想定されていません。
事業や決算に関する質問を受け付ける時間はあっても、それ以外のこと、たとえば「意思確認が必要だから、入会届を配ってほしい」とか「必ず○人という委員決めをやめて、手挙げ方式にしてほしい」といった運営の適正化については、発言のタイミングが見当たらないことが多いのです。
そのため「いつ言おう?」と思っていると、そのまま終わってしまいがちです。
終わる寸前に「ちょっと待った!」と手を挙げるのもいいですが、できれば事前に会長や役員さんに相談して、発言のタイミングを用意してもらうとよいでしょう。
誰にでもできる方法ではないかもしれません。

筆者も、毎年のように一般会員として総会で適正化を求めてきましたが、「めんどくさい保護者」という視線や空気(気のせいも含め)には、いまだに決して慣れません。
でももし「面白そうだ」と思った方は、ぜひ、チャレンジしてみてもらえたらと思います。
なお、PTA総会のおたよりは、よく「欠席する場合、委任状を提出」とのみ書かれていますが、委任せず欠席する場合は提出不要です。
欠席のみ伝えたい場合や、記載された委任者以外の人に委任したい場合は、そのように書き入れて提出してもいいでしょう。

■退会は改革を促すひとつの意思表示になる
これまでPTAは「全員必ず入る」ことを前提にしてきたため、なかなか変わることができませんでした。
どれほど運営方法に問題があっても、泣く人が出ても、会員が減らなかったからです。
保護者や教職員が「賛同できなければやめる、または入らない」という選択をすることは、PTAの改革・適正化を促すためにも、大切なことです。
退会は、いつでも可能です。
希望しないのに役員にされたときでも、集まりに欠席した友人が悪口を言われたときでも、どんなタイミングでもかまいません。
会長さんか校長先生、または両方に退会届を出すなどして、退会の意思を伝えましょう。
稀に会長が「退会できない」と言うことがありますが、少なくとも校長は、PTAが任意で参加する団体であることを知っていますから、退会を認めざるを得ないはずです。

■退会によって子どもに不利益があったときは?
もし「記念品をあげない」「登校班からはずれてもらう」など、子どもへの不利益を提示されたときは、なるべく書面やメールで、校長先生&会長とやりとりするのがいいでしょう。
自分も「仕方なく我慢してやっている」という会長や役員さんは、感情的に非会員を敵視してしまうことがありますが、PTAという団体が学校施設を優先的に使うことを認めている校長は、非会員家庭の子どもの排除を止めなければならない立場です。
大体の場合、校長先生が会長や役員さんにその旨を説明すれば、子どもへの不利益は起きないはずです。

ただ、うまくいかないこともあります。
ときどき、校長まで非会員家庭の子どもの排除を認めてしまうことがあるのです。
そのときは教育委員会に相談して、校長先生に話をしてもらう必要がありますが、教育委員会も稀に、校長と同様、非会員家庭の子どもの排除を認めてしまう場合があります(「教育委員会からは指導できない」という言い方をされることが多いのですが)。
こうなるともう、あとは粘り強く話し合うくらいしか、できることはないでしょう。

教育委員会の手引きや通知を見せるのもおすすめです。
もし、子どもの「いじめ」につながるような場合には、文部科学省に相談してください。

■個人情報の扱いについては法令を根拠に主張を
個人情報の取扱いの問題については、まずは校長先生に指摘し、改善を求めるのがいいと思います。
何度も説明してきたように、そもそも正しく管理すべき個人情報を不適切な形でPTAに使わせているのは学校だからです。
話をする際はあらかじめ、個人情報保護法や、自治体の個人情報保護条例に目を通しておきましょう。
書籍『さよなら、理不尽PTA!』でも詳しく説明しています。

ただし、たまに「当自治体では、PTAへの個人情報の提供は特別に認められている」と言い出す校長先生がいます。
そういったときは教育委員会から校長先生に話してもらう必要がありますが、こういう校長先生がいる自治体は、教育委員会も同じことを言う可能性が大です。
教育委員会もダメなときは、自治体の個人情報保護を管轄する部署(総務課)に相談してください。
ここで「やっと、初めて話が通じた!」となることは、意外とよくあります。

教育委員会に対し、正しい情報の取扱いを促してもらいましょう。
ただ、残念なことに、この部署にも教育委員会から圧力がかかり、話がひっくり返ってしまうことがあります。
こうなるとあとは、粘り強く話し合うのみです。
他の教育委員会が出した手引きの、個人情報の取扱いの項目を見てもらい、それでもダメなら、地元の議員さんに相談するのもよいかもしれません。
もしそれでも改善がない場合は、学校ではなく、PTAの側の個人情報の取扱いの問題に踏み込むしかないでしょう。
そのときは、個人情報保護委員会(PPC)という行政機関に相談することも可能です。

相談の際は、PTAは学校と別の団体であることを最初に伝えておきましょう(ときどき知らない方がいます)。
なお、教育委員会等に「校長先生に対して、個人情報を適切に扱うよう指導してほしい」と相談すると、「任意の団体であるPTAに対して、行政は指導できない」と言われることが多々あります。
PTAではなく「校長先生に指導してほしい」、とこちらは言っているのですが……。
この回答には、筆者も納得しかねるところです。

■「PTAのやり方はおかしい」と思ったときに声を上げよう
一般会員や非会員の立場からPTAの改革・適正化を促す方法として、筆者が思いつくのは、ひとまずこんなところです。
なお、ここでは保護者のことしかふれませんでしたが、教職員の人たちも、可能であればぜひ声をあげてもらえたらと思います。
「PTAに入りません」「退会します」と言ったって、もちろんよいのです。
もちろん、これまでPTAが長年引き継いできたやり方について、今の役員さんたちを責めるべきではありませんが、少なくとも「おかしい」と感じたときに声をあげることは、むしろすべての人に求められる責務のようなものではないかと思います。

「おかしい」と思いながらも黙って従えば、そのやり方を認めることになります。「おかしい」と感じたことを「おかしい」と言えることが、PTAが変わるための、最初の一歩になるはずです。
書籍『さよなら、理不尽PTA!』では、PTAの役員になって適正化・改革するための具体的な情報も掲載しています。

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大塚 玲子(おおつか・れいこ)
ノンフィクションライター、編集者
1971 年生まれ。
東京女子大学文理学部社会学科卒業。PTAなどの保護者組織や、多様な形の家族について取材、執筆。著書は『ルポ 定形外家族』(SB新書)、『PTAをけっこうラクにたのしくする本』『オトナ婚です、わたしたち』(太郎次郎社エディタス)ほか。共著は『子どもの人権をまもるために』(晶文社)、『ブラック校則』(東洋館出版社)など。東洋経済オンラインで「おとなたちには、わからない。」、「月刊 教職研修」で「学校と保護者のこれからを探す旅」を連載。ひとり親。
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2022年04月10日

共産党・志位氏、自衛隊巡る主張が“今までと違う”指摘に反論 「都合良すぎ」「理論破綻」批判の声も

共産党・志位氏、自衛隊巡る主張が“今までと違う”指摘に反論 「都合良すぎ」「理論破綻」批判の声も
2022年04月08日 リアルライブ

日本共産党の志位和夫委員長が8日、自身の公式ツイッターに投稿した内容が話題となっている。
 志位委員長は『読売新聞オンライン』が同日に報じた「共産・志位委員長、主権侵害あれば『自衛隊使い命と主権守る』…自民『今までと180度違う』」とのニュースを引用し、「自衛隊をすぐになくすという方針でなく、段階的解消という方針をとっており、その過程で侵略を受けたら活用すると言明してきています」とツイートした。

 さらに「『綱領と違う』と非難する前に綱領をよく読んで」と注文をつけた。
 同記事によると、志位委員長は7日に開かれた党の会合で「『急迫不正の主権侵害が起こった場合には、自衛隊を含めてあらゆる手段を行使して、国民の命と日本の主権を守りぬくのが党の立場だ』と述べた」とし、自民・公明与党からは「今まで言ってきたことと全く違う」と批判の声があるようだ。

 共産党の綱領の「民主主義革命と民主連合政府」の章には「国の独立・安全保障・外交の分野で」として、次の文がある。   「自衛隊については、海外派兵立法をやめ、軍縮の措置をとる。
安保条約廃棄後のアジア情勢の新しい展開を踏まえつつ、国民の合意での憲法第九条の完全実施(自衛隊の解消)に向かっての前進をはかる」

 このように、綱領では自衛隊の解消を位置付けており、志位委員長が話した「自衛隊を含めてあらゆる手段を行使して、国民の命と日本の主権を守りぬくのが党の立場だ」との内容とは異なる方針である。
これに対し、綱領で述べているのは段階的解消を指し、存在している間は自衛隊を活用すると述べたまでで、矛盾はないと主張しているようだ。
 このツイートにネット上では「言い訳にほかならない」「都合が良すぎ」「中国、ロシア、北朝鮮に囲まれた日本で、自衛隊を段階的に解消していくのか?」「理論破綻だ」「段階的解消で自衛隊が無くなった場合、その時は誰が日本を守るのか」という厳しい声が相次いでいる。

記事内の引用について 
志位和夫氏の公式Twitterより https://mobile.twitter.com/shiikazuo/
日本共産党綱領WEBサイト https://www.jcp.or.jp/web_jcp/html/Koryo/

  文/宮沢 美記男
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2022年04月11日

「習慣がラクに身につく人」が行っている2つの行動

「習慣がラクに身につく人」が行っている2つの行動
2022年04月10日 ダイヤモンドオンライン

ダイエット、禁煙、節約、勉強──。何度も挑戦し、そのたびに挫折し、自分はなんて意志が弱いのだろうと自信をなくした経験はないだろうか?

目標を達成するには、「良い習慣」が不可欠だ。
そして多くの人は、習慣を身につけるのに必要なのは「意志の力」だと勘違いしている。
だが、科学で裏付けされた行動をすれば、習慣が最短で手に入り、やめたい悪習も断ち切ることができる。
その方法を説いた、アダム・グラント、ロバート・チャルディーニら一流の研究者が絶賛する1冊、『やり抜く自分に変わる超習慣力 悪習を断ち切り、良い習慣を身につける科学的メソッド』(ウェンディ・ウッド著、花塚恵訳)より一部を公開する。

■「合図」をつくる
 一貫性と安定性がもたらすメリットは、類いまれなパフォーマンスを見ればよくわかる。
コンサートで長い楽曲をよどみなく演奏するミュージシャンの姿を見ながら、どうやって記憶しているのかと不思議に思ったことはないだろうか?
 それはもちろん、素晴らしい記憶力と長年にわたる鍛錬の賜物だ。
ただし、彼らが練習するときは、ただじっと楽譜を見つめるだけではない。
優れたミュージシャンは、楽譜に一定の合図を設置しながら練習する。
要は、初めて訪れた町で通りを示す標識や目立つ建物に注意を払いながら、脳内で独自のマップを作成するようなことをするのだ。
 私は、プロのチェロ奏者であり、ロンドンのロイヤル・カレッジ・オブ・ミュージックで研究員を務めるタニア・リスボア博士から楽曲の習得方法について話を聞いた。

リスボア博士は次のように語った。
「学生、それも若い学生ほど、一曲を最初から最後まで通した練習を何度も繰り返します。
ほとんど自動的にそうするのです。
途中で引っかかると、引っかかったところから練習を再開することはできません。
曲の途中でやめることもできません。
頭からしかやり直せないのです」

 どうやら初心者に相当する人は、曲をひとつのまとまりとしてとらえ、そのまとまりでしか演奏できないらしい。
彼らにとっての合図は、最初と最後だけなのだ。
それがどういうことか知りたければ、自分の電話番号の4桁目を答えようとしてみるといい。
答えようと思ったら、電話番号を最初から順に思い出さねばならないはずだ。
 記憶は絶対ではないし、私たち人間はとても繊細で、すぐにほかのことに気を取られる(クラシックコンサートの観客はよく咳をするという話は有名だ)。
だがプロのミュージシャンは、迷いが生じても、ど忘れしても、決して演奏の手をとめない。
それは、彼らが独自に一定の合図を楽譜のあちこちに設けているからだ。

 リスボアはこう教えてくれた。
「プロも一曲を最初から最後まで練習しますが、いくつかのセクションに分けることもします。
セクションに分けたまとまりごとに、最初から最後まで練習するのです」
 また、演奏時の感情表現も合図となりうる。
悲しいセクション、楽しいセクションが合図となることもあれば、テンポの変化、弓使いや指使いの変化が合図となることもある。
「セクションに分けて練習することで、演奏時の合図ができ、それが曲の記憶を呼び起こす参照ポイントとなります。
演奏中は自動操縦モードですが、参照ポイントは頭にあります。
そのおかげで、必要な行動を実行に移し、音楽的な解釈を演奏に反映させることができるのです」

 どうやらプロのミュージシャンは、いくつもの状況と反応のセットをひとまとめにして覚えているようだ。
だから、ほかのミュージシャンがミスをしても、客席から何度も咳が聞こえても、彼らの演奏は影響を受けない。
このように、音楽にも状況がもたらす合図は有効だ。
それがあれば、次のフレーズを演奏する合図が自動的に生まれる。

■すでにある習慣を合図にする
 一貫した状況を保つうえで、忘れてはいけないテクニックがもうひとつある。
このテクニックは、反応そのものが別の反応にとっての合図になりうるという発想から生まれた。
ミュージシャンが曲を区切って小さなまとまりにするのにも似ているが、このテクニックは誰もがほとんど気づくことなく当たり前に使っている。
 火災予防に取り組む団体は、サマータイムで時計の時間を変えるタイミングで火災報知器の電池も替えようと、何年にもわたって呼びかけている。
これは、既存の行動を火災予防の合図に活用する発想だ。

時計の時間を変える行動に、電池交換を「上乗せする」ことは誰にでもできる。
アメリカでは年に2回必ず時計の時間を変えるので、一定の状況ととらえることができる。
繰り返し行えばすべてが合図でつながり、時計の時間を変えたら自然と電池を交換するようになる。
消防署によっては3月と11月に無料で電池を配り、火災予防を時計の変更に便乗させることを推奨しているところもある。

 繰り返しとる行動に複数の要素を伴わせ、毎回同じように行えば、脳がそのすべてをまとめてひとつの単位とする。
一連の行動が、意識のなかではひとつのことになるのだ。
 何かに便乗して行うことの効果がはっきりと表れるのは、歯のフロスだ。
歯は定期的に磨くがフロスは忘れる、という人は多い。
ほかの行動に便乗させたらフロスをする回数が増えるか確かめたいと考えた英国の研究者は、月に平均して1.5回しかフロスをしないと答えた50名の英国人に対し、フロスの習慣化を促すための情報を与えた。
 50名のうちの半分には、夜歯を磨く前にフロスをするようにと告げ、残りの半分には歯を磨いたあとにするようにと告げた。
この伝え方では、フロスを便乗して行えるのは半分だけだとおわかりだろうか。
すでに自動化している反応(歯を磨く)は、新しい行動(フロスをする)をとる合図となる。
しかし、最初にフロスをしてから歯を磨くようにと言われた人たちは、歯を磨く前にフロスをするのだったと思い出さねばならず、自動的に合図となるものは何もない。
 4週間のあいだ、実験の参加者たちは、前夜にフロスをしたかどうかを毎日メールで報告した。そして4週間後、彼らがフロスをした日数の平均は約24日となった。
興味深いことに、研究者は8ヵ月後の彼らを追跡調査した。
すると、歯磨きに便乗して歯磨きのあとにフロスをした人たちは、8ヵ月たっても月に11日前後はフロスをしていた。
既存の習慣のおかげで、この新たな行動を維持できたのだ。

 一方、歯を磨く前にフロスをするようにと指示された人たちは、週に1回だけだった。
 実在する合図に新しい行動を結びつけることは、新たな習慣の形成に役立つライフハックとして覚えておくといい。
結びつけると、自動化が促進される。
なにしろ、実在する合図はすでに自動化されているので、そこに手順をひとつ加えるだけですむ。
新たに身につけたい習慣と相性のいい既存の習慣があれば、それに便乗させるのがいちばんだ。

 夜に薬を服用する習慣をつけたいなら、ベッド脇のテーブルに薬を置いて、寝る前に携帯電話をチェックする行動に結びつければいい。
毎朝10時にオフィスを出てスターバックスでコーヒーを飲むなら、その時間をたまっているメールの返信を最低1件は書く時間にあててはどうか。
そうすれば、2つの行動が結びつき、厄介なメールに返信する苦痛がすぐさまコーヒーで報われ、あっという間に新たに統合された習慣の完成だ。
【本記事は『やり抜く自分に変わる超習慣力 悪習を断ち切り、良い習慣を身につける科学的メソッド』(ウェンディ・ウッド著、花塚恵訳)を抜粋、編集して掲載しています】
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2022年04月12日

池上彰、親が思う"いい会社"が要注意である理由

池上彰、親が思う"いい会社"が要注意である理由
「18歳成年時代」に親も知っておきたい新常識
2022/04/11 東洋経済オンライン
池上 彰 : ジャーナリスト

法律の改正で4月1日から「18歳」に引き下げられた成年年齢。
これにより、18歳からは親の同意なしに「ローンを組む」「賃貸物件を契約する」といったことも可能になった。
そんな時代に突入した今、親である私たちは“大人の先輩”として子どもたちに何を教えていくべきか。
契約の仕方など実務面の知識ももちろん大事だが、それ以前に、今の世の中を渡るために最低限知っておくべき“仕組みやルール”こそ、親として伝授すべきではないのか。
この記事では、新刊『これから大人になる君たちへ 学校では教えてくれない未来を生き抜くヒント』を監修した池上彰氏に、「仕事」に対する“基本的視点”をわかりやすく解説してもらった。

なぜ働かなければならないのか?
子どもはいずれ学校を出た後、各個人で時期は違えど、ほぼ働くことになりますが、「なぜ働かなければならないのか?」というそもそも論を考えたとき、その理由は主に2つ挙げられます。
私たち大人は、少なからず“身にしみて”その理由を知っているでしょうが、子どもは大人になって働くようになって初めて、働く理由のリアルを感じていくことになるはずです。

働く理由の1つ目は「生きていくため」です。
人は働くことにより、給料(または報酬)という形でお金を得ます。
そのお金で食べ物や衣服を買ったり、家賃などを支払ったりします。
自分だけではありません。
家族がいれば、家族が生活するためのお金も働いて得なければなりません。

そして2つ目は「生きがい・やりがいのため」。
働くことで自分自身を成長させ、自分の希望を叶えるのです。
人間は、社会の中で誰とも関わらず1人だけで生きていくのはなかなか難しい。
だから、働くことでモノやサービスを生み出し、それを受け入れられた対価としてお金を得ることになるわけです。
たとえ目の前に「ありがとう」と言ってくれる人がいなくても、働いてお金をもらえるということは、つまり、自分の仕事に感謝してくれる人が間接的にでもいる、ということなのです。

もちろん、お金を稼ぐのは「自分のため」でしょう。
でも実は、家族や社会など「自分以外の誰かのため」に大人は一生懸命働いている。

人は社会に出て働くことで、責任ある「社会の人に喜んでもらえて自分の生活が成り立つ、そんな意味のある仕事をこれから大人になっていく子どもたちがちゃんと見つけられればもちろんこのうえないのですが、親である以上、自分の子がいざ働くという局面になった際、“大人の先輩”として自分自身の経験を説得力を持って伝えるためにも、まずは私たち親自身が「働く理由」についてしっかりと振り返っておく必要があるでしょう。

そもそも「いい会社」とは?
ところで、「いい会社」と聞いて、どんな会社をイメージするでしょうか。
親なら、子どもに「将来いい会社に入れるといいけれど」などと言ったおぼえがある方は少なくないはずです。
でも、よく言う「いい会社」とはいったいどんな会社なのか。給料をたくさんもらえる会社でしょうか、それとも誰もが知っている有名企業でしょうか。
まず、給料が高い会社は時代によって違ってきますし、人気のある会社も同様です。
例えば、第2次世界大戦が終った頃には石炭関連の会社が人気でした。
当時、石炭は「黒いダイヤ」と呼ばれ、産業の発展になくてはならないものだったからです。

数十年前には、多くの人が銀行に入りたがりました。
しかし、厳しい経営に直面し、リストラに踏み切るところも増えました。
また、旅行会社や航空会社なども人気でしたが、新型コロナの影響で国内外の移動が制限されたりしたこともあり、旅行・航空業界は大きな危機に立たされました。
どの時代も、そのときに業績が好調で名の知れている会社が人気にはなるものの、そうした会社の人気は永遠に続くわけではない。
だからこそ、大人になったときに働きたい会社について子どもと話すような機会には、「人気があるかどうか」という視点に親自身が偏りすぎないようにしなければなりません。

大事なのは、これから大人になっていく子ども自身が、憧れる仕事を「かっこいい」「面白そう」と思えるかどうか。「高給取りのお金持ちなる」という夢ももちろん悪くはないのですが、「何になるか」よりも「何をするか」をちゃんと考えさせること、それこそが子どもの将来にとって必ず重要になる。これまで働いてきた大人なら、それが本当に大事なことだというのはわかっているはずです。

 「ワーク・ライフ・バランス」を本当に理解しているか?
ここ最近で、だいぶ世に広まった感のある「ワーク・ライフ・バランス」の考え方。仕事と生活のバランスをとる生き方を指すのはご存じのとおりです。
たしかに、生活を支え、生きがいややりがいも感じられる仕事に就いたのはいいものの、仕事に打ち込むあまり心身の健康を損なって人生を楽しめなかったりしたらもったいないことですし、「働くだけが人生じゃない」という観点からも大事な考え方でしょう。
アメリカなどほかの先進国に比べ、日本は労働生産性がだいぶ低いといわれています。
労働生産性とは、1人ひとりがどれだけ効率よく働いて富や成果を生み出しているかを示す指標ですが、多くの時間を使い、身を粉にして働いても、それが仕事の結果に結びついていないとしたら悲惨なことです。

ワーク・ライフ・バランスは「仕事をほどほどに」というものではありません。
やりがいや充足感を感じながら働いて仕事の責任を果たし、そのうえで健康的で豊かな生活を送るための時間も確保するという考え方です。
大人に近づいていく子どもに、働くうえで見失ってはいけない新しい考え方を、親自身が意識しているか。これからの親の役目としてそれを教えることも大事だろうと思います。

最近では、仕事と生活の境界線をなくす「ワーク・ライフ・インテグレーション」という考え方にも注目が集まっています。仕事も生活も同じ人生の一部、そうとらえて柔軟に働くことで人生をより豊かにしようという考え方です。
テレワークが一般化してきている今、このワーク・ライフ・インテグレーションも前述のワーク・ライフ・バランスも、まさに時代に即した考え方かもしれませんが、「働くだけが人生ではない」という観点がまだ一般的ではない時代に大人になった親世代は、今の子どもたちはそうした新しい考え方を常識とする世の中を生きていくのだということを、今一度、柔軟に意識しておく必要があるでしょう。
以上この記事では、これから大人になる子どもたちが「今の世の中を生きていくために知っておくべきこと」のうち、「仕事」に関するトピックスをざっと解説しました。 私たち大人にとってはいわば「当然のこと」かもしれませんが、振り返ってみれば、定年まで1つの職場で働き続けることを理想とする時代はすでに過ぎ去り、すっかり一般化した「転職」はもちろん、「副業」を認める会社もどんどん増えてきています。
「仕事」の周辺は、新しい常識にとって代わられてきているのです。
大人として、そして親としてあらためて把握しておくべき「仕事」の常識。
私たちより2年も早く大人になる子どもたちに、働くことの意味と常識を“早めに”伝えていく。
それこそが、今どきの親としての“ニューノーマル”なのではないでしょうか
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2022年04月13日

クレーム対応で絶対言ってはいけない「2つの言葉」

クレーム対応で絶対言ってはいけない「2つの言葉」
2022.4.12 Diamondオンライン
棚田健大郎

クレーム対応の「絶対NGワード」とは?
 クレーム電話は嫌ですよね。
不動産の賃貸管理をしていると、理不尽な怒り方をする人もいます。
 例えば、最近だと「ガス給湯器の故障」に関するクレームなどがあげられます。
実は今、給湯器が不足していることをご存じでしょうか。
給湯器に必要な部品はベトナムやラオスの工場で製造されているんですが、東南アジアでロックダウンが相次いだため、工場が稼働停止になったんです。
 その影響で、部品の納品がストップし、給湯器が生産できない状態になりました。
どのくらい深刻かというと、例えば今、給湯器が故障したとして、交換できるのは1ヵ月以上先になることもあります(もちろん地域差があります)。
 その間はお風呂に入ることができません。
そういう物件は都内でも出てきています。
でもこれはコロナの弊害で、大家さんや管理会社が悪いわけではありません。

 では皆さんに質問です。

怒り狂った賃借人が、ものすごい勢いでクレームを入れてきたらどうしますか?
 すでに業者の手配は終わっていて入荷を待っている状況。
賃借人からは「もう我慢できない、何とかしろ」など罵詈雑言に近いクレームをマシンガンのように連打されたらどうしますか?

 あなたならどう言いますか? どう対応しますか?
絶対NGワード@「聞いていただけますか?」

 数えきれないクレームを処理してきた私の感覚ですと、このとき絶対に言ってはいけない言葉があります。
 それは「聞いていただけますか?」です。

 すごい勢いでクレームを入れてくる人は、ずっとしゃべっている人が多いです。
自分の一方的な主張を延々と繰り返します。
 これに対して、「ちょっとお話聞いていただけますか?」と割り込もうとする人がいますが、これは絶対にNGです。
 こちらも人間ですから、筋の通らない主張をずっとされるとイライラします。反論したくなるんですよね。
でも、怒ってしゃべっている人に対して「話をきいて」は絶対ダメです。
 さらに怒りますし、聞いてくれません。
もし聞いてくれたとしても、火にガソリンを注ぐことになります。

 ではどうすればいいのか。それはズバリ「相手の気が済むまで全部聞く」です。
 基本、怒っている人の主張はさえぎってはいけません。
納得がいかなくても全部聞いてください。
自分の意見や見解は一切述べず、ただひたすら聞いてください。
 怒っている人は、自分の主張を通したいと同時に、誰かに話を聞いてほしいという心理が強いです。
だからまず「聞いてほしい」という心理を満たしてあげるために、全部聞いてください。

 どんなクレームにも終わりがあります。
相手が言いたいことを全部言って満足したところから、こちらの主張を丁寧に伝えていくんです。
 このケースだと、給湯器がないのは業者やガス屋さんのせいではなく、コロナの影響で、そして代わりの給湯器もすべてなくなっている状況です。
「こちらもいろんな業者に日々問合せして最短で予約を取っている」といったことを丁寧に伝えましょう。

絶対NGワードA「ご理解ください」

 そしてもう1つ、絶対に言ってはいけない言葉があります。それは「ご理解ください」です。
 言葉の最後に機械的に「ご理解ください」とつける人がいますが、クレーマーは理解することを押し付けられると反論してきますので、絶対に言わないほうがいいです。
 事実や状況を丁寧に伝えるだけで、それで納得するかどうかは相手に任せましょう。
あとは、相手の気が済むまで会話に付き合って、相手が電話を切ってくれれば終了です。
 このとき、相手がなにかしら要求してきたとしても、実現が容易ではないことをはっきり伝えてください。

 できないことはできないと、一歩も引かない姿勢で対応することで、相手はあきらめてくれます。

クレーム対応の心がまえ
 対応する時の心構えとしては、「相手にわかってもらおう」と思わないことです。
怒っている相手に何かを理解して納得してもらうのはかなりのテクニックがいります。
一歩間違えると、さらに相手が怒るのでクレームが膨らみます。

重要なことは、次の2つです。
・相手の話を全部聞くこと
・理解させようとしないこと
 話をすべて聞いたうえで、事実を正確に伝え、相手が自分から理解してもらえるよう仕向けましょう。

*********************
大量に覚えて絶対忘れない「紙1枚」勉強法
棚田健大郎 著

働きながら3年で、9つの資格に独学合格!
 はじめまして、棚田健大郎と申します。
この度、『大量に覚えて絶対忘れない「紙1枚」勉強法』を上梓します。

私は、働きながら3年で、次の9つの資格に独学合格しました。
 行政書士、宅地建物取引士、マンション管理士、管理業務主任者、ビジネス法務エキスパートR、2級ファイナンシャル・プランニング技能士、賃貸不動産経営管理士、敷金診断士、シニアライフ・相続アドバイザー  勉強が得意だったわけではなく、最終学歴は専門学校です。ただ、すべての試験に一発合格できたわけではありません。
最初に取得した宅建士は、試験勉強をしっかりしたにもかかわらず、一度落ちています。
1年間がんばったが不合格。その理由は?
 当時、サラリーマンだった私は毎日の仕事が忙しく、スクールに通って勉強時間を確保するのが難しかったので、独学合格を目指していました。
帰宅後、毎日3時間勉強していたのですが、合格点に1点足りずに落ちてしまったのです。
 1年間勉強して落ちたときの心境は言葉では言い表せません。すべてを否定された気がしました。
これだけの時間をつぎ込んでも合格できないのは、根本的にやり方が間違っていると思いました。

勉強法を見直すことにした私に、ある1つの考えが浮かびます。
「暗記さえできれば合格できる」
 不合格になるのは、答えを間違えているから。
その原因の多くは、答えを導き出す知識を覚えていないからです。
勉強したことを試験日まで「絶対に忘れないようにするしくみ」を作れば、必ず合格できます。
 そして試行錯誤の末、『大量に覚えて絶対忘れない「紙1枚」勉強法』が誕生しました。

やることはいたってシンプル。覚えたことを忘れないように、「忘れる一歩手前で思い出す」のです。
その進捗管理に、私が考案した「大量記憶表」を使います。

「紙1枚勉強法」のメリット
・一度覚えたことを絶対に忘れない
・スケジュール管理ができ、学習効率が大幅アップ
・「見える化」により、モチベーションがとぎれない

 この勉強法を確立してからは、9つの資格をたった3年で合格できました。
この勉強法は、資格試験だけでなく、大学受験や公務員試験、その他のあらゆる勉強にも応用可能です。

働きながらでも、時間がなくても絶対大丈夫!
 資格取得に興味が出てきた人に立ちはだかるのが「時間がない」という壁です。
仕事に追われている会社員や家事に追われている人が、「じゃあ、資格の勉強してみようかな」と思っても、「1日数時間も時間がとれない。ましてや、スクールに通う暇なんてない」と思うでしょう。

 でも絶対大丈夫。仕事や家事と試験勉強の両立は可能です。
私自身、最も仕事が忙しい時期に、市販の問題集と参考書を使った完全独学で、9つの資格をとりました。

何とか合格したいと思い、
・過去問の徹底活用(参考書は補足教材)
・1日2〜3時間の勉強時間を無理なく確保できる「耳学」
・短時間でも勉強の質が高くなるモチベーションマネジメント

 こうした工夫も行いました。
あますところなく紹介しますので、「忙しくて勉強時間を確保できない人」でも完全独学で合格できます。
この本を読んで実践すれば、必ず結果はついてきます。
 今、あなたの前には「日々の忙しい仕事」「勉強時間の確保」という大きな壁が立ちはだかっていますが、それはほんのちょっとした「しくみ」で突破できるのです。

試験直前に効くノウハウも満載!
 本書では私が実践してきた、
・試験6か月前、2か月前、2週間前の最強勉強法
・試験当日に一気に点数を伸ばす10のテクニック
・3年間で9つの資格をとった同時受験ノウハウ  
これらも紹介しています。

すべて「働きながら」「完全独学」「一発合格」には欠かせません。
 本書は私にとって初めての著書になります。
この本を読んだ人が、勉強によって人生を変えることを強く願い、心を込めて書きました。
私の持てる全知識を出し惜しみすることなく公開することを、ここにお約束します。
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2022年04月14日

元自衛官が語る「狂った体内時計」を整えるための3つの方法

元自衛官が語る「狂った体内時計」を整えるための3つの方法
2022.4.13 Diamondオンライン
わび・「人に認められるためではなく、もっと楽しく生きたい」
『陸上自衛隊ますらお日記』(KADOKAWA)著者ぱやぱやくん

自衛隊生活で、「正確すぎる体内時計」が完成
──自衛隊の方は、規則正しい生活を送っているイメージがあります。生活リズムを整えるためのおすすめの方法などがあればぜひ教えてください!

ぱやぱやくん:
よくYouTubeで「自衛官に起床ラッパを聞かせてみた!」という動画がありますが、自衛官は放送機材に電源を入れる「プッ……」という音で目覚めますよね。

わび:
そうそう。起床ラッパを聞く前にパッと目が覚める。私は最後の方はもう、「プッ……」の音が鳴る前の5時57分に目が覚める体になっていました。

ぱやぱやくん:
わかります。「あと10秒で鳴るな……」とか、もはや「プッ……」の音を待つ境地に至りますよね(笑)。

──すごすぎます(笑)。

ぱやぱやくん:
たぶん、体内時計が完成していたんでしょうね。私はもともと朝に弱く、毎日8時間は寝たいロングスリーパータイプです。  それでも防衛大学校時代、毎日同じ生活をしていたら徐々に体内時計は整っていったので、一般の人でも、自衛隊の習慣づくりは参考になるかもしれません。

@ 起きる時間ではなく「ベッドに入る時間」を固定する
ぱやぱやくん:
私がまずおすすめしたい方法は、「起きる時間」ではなく「寝る時間」を固定すること。生活リズムを整えたくて「毎日起きる時間を固定にしよう」とがんばる人は多いですが、それよりもまずは、「毎日同じ時間にベッドに入る」ことを優先したほうがいいと思います。  自衛隊も、必ず消灯時間が決まっていて、絶対に同じ時間に寝なきゃいけないんですよね。

わび:
たしかに、消灯ラッパで必ず寝ていましたね。寝る時間を決めると、その時間までに仕事や雑用を片付けるようになるから、ダラダラする癖もなくなっていいと思います。

ぱやぱやくん:
「22時までに寝るから、絶対に終わらせなきゃ」と思って動くから、1日を全力で動けるようになって、結果的にすっきり寝れるのもメリットですよね。疲れてクタクタになってぐっすり眠れるんじゃないかな。

A 朝起きたらベッドメイキングをする
──わびさんが書かれた『この世を生き抜く最強の技術』の本の中でも、生活リズムを整える方法や、メンタルを整えるための身体との向き合い方などが紹介されていましたよね。
ランニングや寝る前にするといいことなど、試してみたいな、と思うハウツーがたくさんあって。1日3分やってみようと書かれていた「自衛隊体操」も、すごくいい筋トレになりそうですよね!

わび:
自衛隊体操は本当に効きますよ! たかが3分と思いきや、結構しんどくて(笑)。

ぱやぱやくん:
ちゃんとやろうと思うと、汗だくになりますよね(笑)。

わび:
毎朝、自衛隊体操をやる、というのも習慣化できたらいいかもしれませんね。
全身の筋肉をまんべんなく動かすことができるので、心身のコンディションが整うんです。
 あとは、朝起きたときにベッドメイキングをする、というのもおすすめです。
 私が幹部候補生学校にいたときは、6時に起床ラッパが鳴ったら、 ・窓を開ける ・外に向かっておはようと全力で叫ぶ ・ベッドメイキングをして外に出る  というのが毎朝の習慣でした。
起きてすぐに点呼を取るので、わずか2、3分程度の間に一連の流れをやらなければいけなくて。

──2、3分でですか! でも、それだけやらなきゃいけないことがあると、一気に目が覚めそうですね。

わび:
ただ、これを全部普通の住宅街で真似すると、たぶん通報されると思うので(笑)、起きてすぐのベッドメイキングを取り入れてみるといいかもしれません。
 まずは朝、一番に小さな達成感を得られると、やる気も湧いてきやすいので、スッと起きられる習慣づくりはしやすいと思います。 「朝、気持ちよく起きて、小さな達成感を得る」というルーティンが身に付いてきたら、自衛隊体操にチャレンジしてみてもいいかもしれませんね。

B 枕元にコーヒーを置いておく
──どうしても朝が弱くて起きられない……という人もいると思います。
早起きがとくに苦手な人におすすめしたい方法などはありますか?

ぱやぱやくん:
そこまでやってもなかなか起きられない、という朝が弱いタイプの人は、「枕元にコーヒーを置いてから寝る」というやり方を試してみるといいと思います。
 私も早朝に起きなければならない予定があるときに実践しているのですが、寝ぼけながらでもコーヒーを飲むと、体が目覚めてくれるんです。
コーヒーが苦手な人は、ブドウ糖やラムネなどでもいいと思います。

ぱやぱやくん:
「朝起きてすぐに窓を開ける」「ベッドメイキングをする」などの作業をするのもしんどい、それくらい朝が弱いという人は、こういう対策をしてみてもいいかもしれません。

わび:
朝が苦手な自衛隊員も、しばらく続けているうちに、朝スッキリ起きられるようになっていました。
 最初のうちは慣れないかもしれませんが、まずはできそうなものから取り入れてみると、徐々に狂った体内時計も整ってくると思いますよ。
 さきほどもちらりとお話ししましたが、環境や習慣次第で、心身のコンディションは大きく変わります。

メンタルが不安定で、不調が続いている方には、まずは「小さな達成感」を積み重ねることを意識してみてほしいですね。  自衛隊方式のライフハックが、何かのお役に立てることを切に願っています。
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2022年04月15日

地震で死ぬ人より、地震の後に死ぬ人のほうが多い

地震で死ぬ人より、地震の後に死ぬ人のほうが多い
…熊本地震が突きつけた「災害関連死」の重さ
2022年04月14日 PRESIDENT Online

■直接死の4倍以上の人が、避難中に命を落とした
2016年の熊本地震では、犠牲者273人のうち、80%以上の218人が「災害関連死」だった。
家屋倒壊による圧死や、火災による焼死、津波による溺死などの「直接死」に対し、避難生活で持病が悪化して死期を早めたり、心身に不調をきたして自ら命を絶ったりするケースを「災害関連死」と呼ぶ。

熊本地震での直接死は50人。その4倍以上の人たちが、大災害を生き延びたのに、避難中に命を落とした。
この事実をどう受け止めるべきなのか。

熊本地震から4年後、忘れられない出会いがあった
4歳の娘を亡くした宮アさくらさんである。
娘の花梨ちゃんは心臓に疾患を抱えていたが、手術で完治し、春から幼稚園に通う予定だった。
しかし術後、熊本を2度の激震がおそった。
老朽化した病院は倒壊のおそれがあり、福岡への転院を余儀なくされた。
移送中、病状が悪化し、5日後に帰らぬ人となる。
幼い愛娘を喪った悲しみとともに語られた母の言葉に、災害関連死を考えるヒントがある。

「いままさにICUで治療を受ける子も、手術を待つ子もいる。
そんな子どもたちが入院する病院を今日、明日、地震がおそうかも知れません。
どうやったら花梨が助かったかを考えることが同じような子どもたちを守ることにつながるのかな」
もしも病院に耐震設計がなされていれば、あるいは搬送がスムーズに行われていれば、花梨ちゃんはいまも元気だったはずだと感じずにはいられなかった。
いや、熊本地震の災害関連死者218人すべてが、個々のニーズに合った迅速な支援を受けていれば、生きながらえる可能性があった。
視座を変えれば、災害関連死は、防災措置や支援政策の瑕疵(かし)が招いた悲劇とも言えるのではないか。
私が災害関連死に関心を抱いたのは、3.11から1年後のことだった。

■家族を喪った人たちは、どんな気持ちで過ごしたのか
当初は、高齢者や基礎疾患のある人など、災害弱者と呼ばれる人が被災後に亡くなる現象としか受け止めていなかった。
しかし3.11からしばらくすると被災地から悲報が相次いだ。
取材を通して知り会った飲食店の経営者が突然、病に倒れて障害を負った。
被災地に暮らす知人が自死と疑われるような死に方をした……。
そのたびに答えの出ない問いを反芻した。

営業再開を焦るあまり、ムリを重ねてしまったのか。
元気そうに見えた彼は、命を絶つほど、追い詰められていたのか。
被災し、日常を奪われ、家族を喪った人たちは、震災後の歳月を、どんな環境で、どんな気持ちで過ごしたのか。
そんな問いが、私が災害関連死の現場を歩きはじめる原動力となった。
いつしか関心は、どうすれば彼らは救われたのかへと変わっていった。

遺族や関係者の証言を重ねるうち、やがて確信した。
災害関連死の事例を収集、検証するプロセスが、次に起こる災害に必要な防災や支援の仕組みを構築する手がかりになる、と。
災害関連死は「最期の声」と呼ばれる。
1つ1つの「最期の声」に耳を傾け、再発防止に取り組む、さくらさんたち遺族や支援者たちの存在を知ったからである。

■1995年の阪神・淡路大震災で「災害関連死」が生まれた
だが、そうした問題意識が共有されているとは言いがたい。
災害関連死という考え方は、1995年の阪神・淡路大震災後に誕生した。
それまで、自然災害の犠牲者と言えば、直接死に限られた。
阪神・淡路大震災の被災地では、寒い避難所での暮らしで風邪をひき、肺炎をこじらせて亡くなったり、生活再建の望みを絶たれた被災者が自死したりするケースが増え、直接死以外の枠組みを設ける必要に迫られたのである。

内閣府が災害関連死を次のように定義付けたのは、それから24年が過ぎた2019年4月。
当該災害による負傷の悪化又は避難生活等における身体的負担による疾病により死亡し、災害弔慰金の支給等に関する法律(昭和48年法律第82号)に基づき災害が原因で死亡したものと認められたもの
内閣府の定義にある〈災害弔慰金〉とは、災害遺族の心痛や悲しみに対する市町村からの見舞金と考えるとわかりやすい。
計を担う人の場合は500万円、それ以外は250万円が支給される。
自治体は、申請された死に災害が影響しているかを検証する審査委員会を開く。
そこで、災害と関連性があるとされれば、災害弔慰金が支払われ、災害関連死と認められる。

災害関連死に認められたとしても、遺族は目の前で苦しむ大切な人を助けられなかったという後悔に苛まれる。
それでも認定を受ければ、災害遺族や災害遺児となり、奨学金や一人親世帯へのサポートなどが受けやすくなる。
災害弔慰金ともに、生活再建の一助となるのである。

■再発防止に活かす以前に、その記録すら残されていなかった
しかし制度を知らずに遺族が申請しなかったり、もともと遺族がいなかったりした場合は、どんなに災害の影響を多大に受けた死だとしても、統計上、災害関連死には数えられない。
仮に申請したとしても、審査会の不透明な結論に納得できず、行政を相手に訴訟に踏み切った遺族もいる。
昨年、毎日新聞が、3.11で被災したいくつかの自治体で審査委員会の議事録がすでに破棄されたと報じた。
事例を検証し、防災措置や支援政策に活かす以前に、その記録すらも残されていなかったのである。
阪神・淡路大震災以降の自然災害では、直接死者が約2万人であるのに対し、災害関連死者は5000人以上にのぼる(※)。
災害の性質、被災した人の生活環境や取り巻く社会状況、職業、年齢、資産、健康状態、家族構成などで、災害後の生き方も、死に方も変わっていく。

5000の災害関連死があれば、5000通りの死へのプロセスがあり、それぞれが必要としたサポートがあったはずだ。
※筆者註:阪神・淡路大震災919人(2016年11月1日兵庫県)、新潟県中越地震52人(2009年10月27日内閣府)、東日本大震災3786人(2022年3月10日NHK調べ)、熊本地震218人(2022年3月11日熊本県)のほか、豪雨災害などの都道府県の災害関連死者数を合算した。

自然災害を防ぐのは、不可能だ。
だとしたら、これから起こる災害で、生き残る術を探る必要がある。
災害関連死こそが、その道標となる可能性を秘めている。
にもかかわらず、長い間、災害関連死には定義すらなく、もちろん事例収集や検証も、次の災害の備えとする取り組みもなされなかった。
かつての被災地には、いまだ野ざらしのまま教訓がうち捨てられていたのである。
災害関連死をめぐる現実を知ったいま、5000という災害関連死の数は、氷山の一角に過ぎないと断言できる。

■どのような姿勢で「最期の声」に向き合っていくか
コロナ禍を自然災害と考えれば、私たち国民すべてが被災者となった。
自助の限界を痛感した人もたくさんいたに違いない。
また、感染拡大にともない、既往症や基礎疾患を持つ人、高齢者が重症化するリスクがあると周知された。
リスクを持つからこそ、疾患や障害、その人が置かれた立場に対する理解と、個別支援や公助が必要になる。
自然災害の現場こそ、まさにそうだ。

阪神・淡路大震災以降、日本列島は地震が多発する「地震活動期」に入ったと考えられている。
東日本大震災、熊本地震、北海道胆振地震……。被害は日本列島全体におよんだ。
元号が令和に変わっても、揺れ続ける。
今年3月16日に起きた福島県沖が震源の最大震度6強は、ふだん忘れがちな自然災害の恐怖を蘇らせた。
首都直下地震と南海トラフ地震も危惧される。
豪雨災害も頻発する。

いつ誰が被災してもおかしくない時代に、どのような姿勢で「最期の声」に向き合っていくか。
我々ひとりひとりが、そして、社会全体が試されているのではないか。
災害関連死とは、過去の被災者と、未来に起きるであろう災害を生き抜こうとする我々とをつなぐ遺言のようにも思えるのである。
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山川 徹(やまかわ・とおる)
ノンフィクションライター
1977年、山形県生まれ。東北学院大学法学部法律学科卒業後、國學院大学二部文学部史学科に編入。大学在学中からフリーライターとして活動。
著書に『カルピスをつくった男 三島海雲』(小学館)、『それでも彼女は生きていく 3・11をきっかけにAV女優となった7人の女の子』(双葉社)などがある。
『国境を越えたスクラム ラグビー日本代表になった外国人選手たち』(中央公論新社)で第30回ミズノスポーツライター賞最優秀賞を受賞。Twitter:@toru52521
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2022年04月16日

ロシア軍は「余力ない」 専門家が今後の戦況分析「国民に示しがつかないので東部2州は落としに」

ロシア軍は「余力ない」専門家が今後の戦況分析
「国民に示しがつかないので東部2州は落としに」
4/15(金)  スポニチ

 ロシア政治に詳しい慶大の廣瀬陽子教授が15日、TBS系「ゴゴスマ〜GO GO!smile〜」(月〜金曜後1・55)にリモートで生出演し、ロシア軍によるウクライナ侵攻の戦況を解説した。
 ロシア軍は多くの兵力がウクライナの首都キーウ(キエフ)近郊から撤退。
一方で東部は激しい攻撃にさらされ、マリウポリの陥落が時間の問題とも伝えられている。

 廣瀬氏はロシア軍の戦費など台所事情について「余力はないと思います」と分析した。
そのため、ドネツク、ルガンスクの東部2州の陥落へ目標を切り替えていると指摘。
「東部2州を陥落させないと、この戦争を始めた意義というものがまったくない。
国民に示しがつかないところなので、とにかく無理してでも東部2州は絶対落としていくと思う」と、プーチン大統領の思惑を推測した。

 キーウについては「キーウまで手を伸ばしてしまうと、お金も兵隊も取られてしまう」とし、「ミサイルなどで威嚇するのはたびたび行われる可能性は高いですけど、直接の軍事行動はキーウのことは置いておいて、まずは東部2州を抑えていくことによって、一点集中で兵力を注力して、できる限り戦費を節約しつつ、最大の戦果を収めていく方向で進めていくと思います」と語った。  

「(ウクライナの)全土を取るスタンスでこの戦争を始めています」というプーチン大統領のもくろみは外れたとし、「勝手が違ってキーウを取れず、東部もこんなに難航している。当時の想定とまったく違う状況が起きてしまっている」と分析。

「東部を取れないとなった場合は、何をしてくるか分からない状況はあると思う。
取れた先は、ロシア軍にどれだけ余力があるかによると思う」と、今後の戦況を見通した。
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2022年04月17日

れいわ山本太郎代表「選挙区で議席をもぎ取りにいく」参院“出戻り”の勝算

れいわ山本太郎代表「選挙区で議席をもぎ取りにいく」参院“出戻り”の勝算
2022年04月16日 日 刊ゲンダイDIGITAL

「このまま静かに選挙が終わって『指定席』が決まっているようなところを崩しにいきたい」
 れいわ新選組の山本太郎代表が15日、衆院議員を辞職。6月22日公示、7月10日投開票の日程で調整されている参院選への立候補を表明した。
 会見した山本代表は議員バッジを外して参院への出戻りを期する理由について、「政治の暴走を何としても食い止めなければならない」などと説明。比例区ではなく「選挙区で議席をもぎ取りにいく」と気炎を上げた。

ジャーナリストの鈴木哲夫氏がこう言う。
「奇策のように受け取られるかもしれませんが、山本代表の動きは不思議でも何でもない。彼は野党の大きな塊をつくることを念頭に、れいわを野党の『接着剤』にしたいと考えている。だから、その役割を果たすために『数』にこだわり続けています。ひとつでも多くの議席を得るために合理的に動いている、と言えるかもしれません」

 問題はどの選挙区から出るのか、勝算はあるのか、だ。
立候補先について山本代表は「今は言わない」と濁した一方、「すでに(れいわが)候補者を立てているところ以外」と明言。れいわは15日までに公認候補者8人を擁立しており、うち4人が東京(改選数6)、愛知(同4)、大阪(同4)、福岡(同3)の選挙区から出る予定だ。

■出るのは神奈川か兵庫か、それとも…
 立憲民主党が候補者の一本化を呼び掛けている改選数1の「1人区」に殴り込みをかけるとは考えにくく、改選数2以上の複数区については「仁義なき戦いだ」(山本氏)として立候補を示唆。
「私自身、『ここだ』と決めたところに立たせていただくしかない。(小選挙区での立候補を取りやめた)衆院選の時のような忖度はしません」と強調した。

「出るのなら勝てる見込みのある無党派層の多い都市部ではないか。意外性も大事です。
山本代表の態度も加味すると、関東なら神奈川、関西なら兵庫が可能性として挙げられます。
ただ、確実に1議席を取りにいくなら、2013年に初当選した東京の可能性も捨てきれません。
安定した集票力を発揮できますからね」(前出の鈴木哲夫氏)

「忖度しない」と宣言した山本代表は再び波乱を起こせるのか。
posted by 小だぬき at 08:34 | 神奈川 ☁ | Comment(0) | TrackBack(0) | 社会・政治 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2022年04月18日

「やめたいのにやめられない」の正体とは?

「やめたいのにやめられない」の正体とは?
2022.4.17 Diamondオンライン

ダイエット、禁煙、節約、勉強──。
何度も挑戦し、そのたびに挫折し、自分はなんて意志が弱いのだろうと自信をなくした経験はないだろうか?
  目標を達成するには、「良い習慣」が不可欠だ。そして多くの人は、習慣を身につけるのに必要なのは「意志の力」だと勘違いしている。
だが、科学で裏付けされた行動をすれば、習慣が最短で手に入り、やめたい悪習も断ち切ることができる。
その方法を説いた、アダム・グラント、ロバート・チャルディーニら一流の研究者が絶賛する1冊、『やり抜く自分に変わる超習慣力 悪習を断ち切り、良い習慣を身につける科学的メソッド』(ウェンディ・ウッド著、花塚恵訳)より一部を公開する。

「まずいポップコーンでも食べてしまう」 習慣の威力
 私は同僚のデイヴィッド・ニールとともに、誰もが大好きな映画館の高すぎる軽食を使い、報酬の効果の継続についての検証を試みた。
大学の敷地内にある映画館に出向き、観客にポップコーンを配って食べてもらうことにしたのだ。
古くなったポップコーンは美味しくないが、具合が悪くなることはない。
 まずはポップコーンを大量につくり、それを1週間ほどラボに放置した。
映画館では本編の上映が始まる前に、短い予告編が数本流れる。
実験に協力してくれる参加者たちには、これは映画の嗜好に関する調査だと告げた。
そして映画のお供として、ポップコーンの入った袋と水のボトルを各自に渡した。

半数の参加者のポップコーンは古く、残りの半分はつくりたてだ。
 予告編が終わると、参加者からポップコーンの袋を回収した。どのくらい食べたかを測定するためだ。
また、彼らには映画館でポップコーンを食べる頻度についても回答してもらった。
これが習慣の強度を測る尺度となる。

 映画館でポップコーンを食べる習慣がないと報告した参加者の行動は合理的で、古くなったポップコーンよりつくりたてのポップコーンのほうが圧倒的にたくさん食べられていた。
つくりたてのポップコーンは平均して70パーセント食べられていたが、古くなったポップコーンは40パーセントしか食べられていなかった。
実験の場所がキャンパス内の映画館だったことを踏まえると、古くなったポップコーンでも食べたのは、ポップコーンが無料だったからとも言えるのかもしれない。

 だが、映画館でポップコーンを食べる習慣がある参加者になると、ポップコーンの鮮度に関係なく、袋の60パーセント以上が食べられていた。
のちに、古くなったポップコーンは最悪だったと全員が口を揃えた。
それでも、習慣のせいで食べることをやめられず、映画館に入るといつものようにポップコーンを食べた。
その場で得られる楽しみといったものには、まったく無頓着のようだった。

 実験を行う前の予想では、参加者は自分が食べているものについて自ら検討し、食べ続けるかどうかを判断すると思っていた。
だが、習慣を引き出す合図があまりにも強力だった。
照明が暗くなり、予告編が流れ、手にはポップコーンの入った袋。これらが揃うと、いつもどおりの行動をとらずにはいられなかったのだ。

「摩擦」を加えるとどうなるか
 その後、食べる習慣に摩擦を生む小さな修正を加えた。
ポップコーンの袋に紙製の持ち手をつけたのだ。そして、参加者の半数には、利き手(たいていは右手)で持ち手を握って反対の手を使って食べるようにと指示した。
機会があればあなたも試してみるといい。

ふだんナイフとフォークを使って食べている人が、箸を初めて使うときのような感じがする。
 残りの半数の参加者は逆で、利き手でないほうの手で袋を支え、利き手を使って食べた。
つまり、いつも手でものを食べるときと基本的には同じだったということだ。
 利き手でない手を使って食べた人にとっては、いつもと同じ食事ではなくなった。
ポップコーンを意識してつまみあげ、慎重に口に運ばねばならなくなったのだ。
この摩擦の増加により、映画館でポップコーンを食べる習慣がしっかりと定着していた学生でも、古くなったポップコーンは30パーセント、つくりたてのポップコーンは40パーセントしか食べなかった。
 いつもの状態で食べたときと比べると、かなり減っている。

習慣になっている動作がほんのわずかに妨害されるだけで、自分のすることについて考えざるをえなくなったのだ。
そのとたん、彼らは過去に培ったポップコーンを食べる習慣に従った行動はとれなくなり、その場で現実に体験していることにもとづいて行動した。
 つまり、古くなったポップコーンはまずいから食べなかったのだ。

 大手メディアはこの種の研究成果を喜んで報じるので、私たちの研究はつかの間の名声を得た。
ただし、彼らは結果を誤って解釈した。
健康関連の雑誌は、ポップコーンの袋に持ち手をつけた実験から、利き手でないほうの手でものを食べるようにすれば、ダイエットに効果があるとの結論を導き出した。
利き手でない手を使うことを、食べる量を減らす手段になると彼らはとらえたのだ。

 メディアの取材を受けた私は、その方法は裏目に出る恐れがあると指摘した。
というのは、利き手でない手を使って食べると、食べているものの味に注意が向くと思われるからだ。
実験で利き手でないほうの手を使って食べた参加者たちは、つくりたてのポップコーンすらあまり美味しいとは感じず、古くなったものに至っては嫌でたまらなかった。
 それを思うと、ポッコーンがつくりたてであっても、食べているものに注意を向ければ食べる量が減る、というのはたしかに納得がいく。
だが、それが大好物だとしたらどうか。

その場の体験に注意を向けているときに大好物を食べれば、いつも以上にたくさん食べてもおかしくない。
利き手でない手を使って食べることは、ダイエットに適したテクニックではない。
ただ単に自動的に食べる習慣を妨害し、食べ物への意識を高めるだけのことだ。

【本記事は『やり抜く自分に変わる超習慣力 悪習を断ち切り、良い習慣を身につける科学的メソッド』(ウェンディ・ウッド著、花塚恵訳)を抜粋、編集して掲載しています】
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2022年04月19日

「非武装中立」を主張する日本の左派は、自分たちが戦争の確率を高めているとご存知か

「非武装中立」を主張する日本の左派は、自分たちが戦争の確率を高めているとご存知か
4/18(月) 現代ビジネス
橋 洋一(経済学者)

「安全保障」と「貿易」の歴史的関係 
 ロシアのウクライナ侵攻を受けて、EUに加盟申請し、NATO加盟を国民が支持する国が増えている。
EUやNATOの存在感は高まってくのだろうか。
 軍事的結びつきの強さと経済的結びつきの強さは比例する。
貿易の盛んな国とはリスクを共有していることになるから、経済同盟と軍事同盟は一体になって当然だ。
これは、世界中どこを見ても普遍的な条件である。
 言ってしまえば当たり前すぎる話なのだが、安全保障と貿易を結びつける視点は、外交の基本として常に持っておいたほうがいい

最近、経済安全保障という考え方が主流になっていることとも整合的だ。
 それがもっとも顕著に現れているのが、EU(欧州連合・1958年設立、現在27ヵ国)だ。
スウェーデンなどユーロを導入していない国も一部あるが、ユーロの導入国同士は完全無関税だ。
ユーロでないEU加盟国に対しても個別に関税条約が結ばれ、基本的に無関税化の方針となっている。
つまり通貨がユーロであろうとなかろうと、EU加盟国同士の経済的結びつきは非常に強い。

 では軍事的結びつきはどうか。
それがNATO(北大西洋条約機構・1949年設立、現在30ヵ国)である。
NATOは、アメリカ、カナダという北米国とヨーロッパ諸国の間で結ばれている軍事同盟だが、ヨーロッパのNATO加盟国は、EU加盟国とほぼ合致していることが見て取れるだろう。
 これまでの経緯を見ると、現在、EUとNATOの両方に加盟している国は21ヵ国あるが、すべての国が、まずNATOに加盟し、追ってEUに加盟している。

軍事的結びつきを強めたうえに、経済的な結びつきを築いているということだ。
もともと第二次大戦後にNATOがEUより先にできたという歴史的事実はあるもの、まずは安全保障ということで、EUへの加盟のほうが結果として後になった。

 なお、NATOに加盟しながらEUには非加盟の国は9ヵ国あるが、欧州でないアメリカ、カナダを除くとそれぞれの国の事情がある。
イギリスは2020年12月にEUから離脱し、モンテネグロと北マケドニアは近々EUに加盟する見込みだ。

フィンランドとスウェーデンの動き
 NATO非加盟だがEUに加盟している国は6ヵ国ある。
フィンランド、スウェーデンはロシアを意識したためにNATOに加盟せず、いわゆる緩衝国になってきたといわれる。
ところが、今回のロシアのウクライナへの侵攻により、国民の間では安全を求めてNATO加盟の動きも出てきている。
 フィンランドのマリン首相は、「ウクライナ侵攻ですべてが変わった」としてNATO加盟の意向だ。
スウェーデンの与党「社会民主党」も長年NATO加盟に反対という立場だったが、アンデション首相は、スウェーデンの安全保障の立場は根本的に変わったとして、やはりNATO加盟に前向きだ。

 今回、ウクライナはNATOへの参加を求めてきたが、ロシアはそれを阻止するために侵攻をしたフシがある。
しかしロシアの蛮行は本来中立的な国を逆に刺激してしまった。
フィンランドやスウェーデンのNATO加盟が認められれば、EU加盟からNATO加盟という初めてのケースになる。
 NATOは極めて強力な同盟であるので、戦後73年間も攻められたことがない。
ところがNATOに加盟するためには、欧州国であることのほか、紛争がない国であるという条件がある。

 ロシアはNATOに加盟できないようにフィンランドとスウェーデンと紛争を起こすこともありえる。
このため今後数ヵ月、両国は予断を許さない状況になる。
実際、メドベージェフ安全保障会議副議長は、両国がNATO加盟すれば、核のないバルト海はなくなるといい、核配備を示唆している。
また、ロシアがフィンランド国境に向けミサイルシステムなどを移動という英メディアの報道もあった。
 一方、ウクライナはEU加盟申請した。
当然、加盟はすぐには認められないが、この動きは、NATO非加盟・EU加盟のフィンランド、スウェーデンのNATO加盟と連動するかもしれない。

「お花畑論」に変化は出てきたのか
 こうした世界の流れの中、「非武装中立」や「話し合いで問題は解決する」といった日本国内の一部にあった安全保障や防衛に関する、いわゆる「お花畑論」に変化は出てきたのか。
今後の憲法改正を含む防衛の議論は進むのか。

 本コラムでは戦争確率を減らすためには、
(1)防衛費をアンバランスにしないこと
(2)同盟(集団的自衛権)を強めること、
(3)相手国が民主主義であることが、決定的に重要と書いてきた。

日本の周りを見ると、中国、ロシア、北朝鮮と非民主民主義国家があり、地政学的には世界の中でも危険地帯だ。
 なお(1)〜(3)のほかに、
(4)貿易取引の多いこと、
(5)国際機関への参加も戦争確率を減らす要因としてきたが、いずれも要因として弱かったとも書いた。

特に、NATO加盟のあとにEU加盟という事実をみれば、(4)の前に(2)があり、(4)は(2)の結果とも解釈できる。
また、(5)は今回のように安保理常任理事国が武力行使する際には何の意味ももたない。
 日本としてできることは防衛費増額と同盟強化である。
防衛費については、先週の本コラム「ウクライナ侵攻で日本の野党は「防衛費」と「原発再稼働」というタブーにどこまで迫れるか」で書いた。
 あのドイツでさえ覚醒した。

ところが日本の左派はよく「ドイツを見習え」と言うのに、今回言えなくなってしまった。

自衛隊は「解消するまで働け?」
同盟強化では、安保法制により集団的自衛権は一部強化されたが、今のままではアジア版NATOが創設されても加盟することはできず、不十分なものだ。
せめて自衛隊を国際法適用対象となる「軍隊」とする必要がある。
同盟強化では、核共有も有効だが、野党はその議論すら乗らない状況だ。

 安保法制の際、集団的自衛権に反対していた人は今まったくおとなしくなって何も言えなくなってしまった。
フィンランドやスウェーデンも集団的自衛権を求めて、NATO加入を目指しているくらいだ。
ここでも、日本の左派は、「フィンランドやスウェーデンを見習え」といえなくなってしまった。

 日本では、防衛費増額と同盟強化に反対する人がいる。
そうした人たちは、非武装中立を主張する。
しかしこれは、防衛費がゼロで、同盟なしとなるので、もっとも戦争確率を高める暴挙である。
話し合いの重要性は否定しないが、戦争は話し合いがうまく行かなかった結果である。
話し合いを上手く行うためにも、防衛費増額と同盟強化が欠かせない。
話し合いだけに委ねることは戦争確率を低めることにはならない。
 いずれにしても、そうした人たちの主張は戦争確率を高めているにもかかわらず、「戦争反対」というなど、筆者からみると矛盾だらけだった。
今回のウクライナ情勢で、その矛盾が誰の目にも明らかになってしまった。

 共産党の志位委員長は「急迫不正の侵略がされた場合、自衛隊を含めあらゆる手段を用いて、国民の命と日本の主権を守る」としている。
共産党綱領では自衛隊の解消を掲げているが、解消するまでは働けというようなものだ。
これは、どのようなブラック企業でもないような、あまりに自衛隊に対し失礼な言い方だろう。
 7月に参院選が予定されているので、選挙戦の中で、防衛議論をしたらいい。
公約に掲げる党や争点化を避ける党もでてくる。
その上で、国民はどの政党がまともか判断すべきだ。
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2022年04月20日

山本太郎氏「参院鞍替え」実は与党が戦々恐々な訳

山本太郎氏「参院鞍替え」実は与党が戦々恐々な訳
出馬選挙区明かさず、各党の選挙戦略は混乱必至
2022/04/19 東洋経済オンライン
泉 宏 : 政治ジャーナリスト

れいわ新選組の山本太郎代表(47)が4月15日、衆院議員辞職と参院選出馬を突然表明し、政界に複雑な波紋を広げた。
当選が見込める比例代表ではなく、「選挙区に殴り込んで議席をもぎ取る」と言い放ったからだ。
出馬する選挙区を「今は言わない。指定席が決まっているところを崩しに行く」とすごみを利かせた山本氏。
1人でれいわを国政政党にした知名度抜群の山本氏の挑戦で、狙われた選挙区の各党候補は、予想もしなかった防戦を強いられることになる。

今回の山本氏の行動に、与野党は「注目されなくなったから辞職しただけ」(自民)、「衆院の軽視で、党勢拡大のための党利党略」(国民民主)などと批判。
その一方で、山本氏がターゲットとする自民、公明両党や日本維新の会などは「おびえと疑心暗鬼」も隠せず、各党の選挙戦略が混乱するのは間違いなさそうだ。

「がんばれ太郎」「選挙をなめるな」ネット上は賛否
山本氏は4月15日午前、自身のツイッターで、衆院議員を辞職する考えを表明し、同日昼に衆院に辞表を提出したあと、国会内で記者会見。
その中で、夏の参院選に鞍替え出馬するため辞職することを明らかにした。
今回の鞍替えについては「現状では参院選で与党が勝って、その後3年間は国政選挙がなく、政治が暴走するのでそれを阻止したい」と説明。
岸田文雄政権や、維新や国民民主の与党接近を厳しく批判するとともに、立憲民主など主要野党の無力さも指摘した。
さらに、「選挙区から立候補する」と明言したが、具体的な対象選挙区は明かさず、複数区を念頭に調整を進める考えを示唆した。 

午後2時から始まった会見は、れいわのインターネット番組が生中継。
会見時間は1時間半を超え、視聴者は最大1万5000人を超える活況を呈した。
中継中は画面内の投稿欄に「がんばれ太郎」「選挙をなめるな」など賛否が分かれる書き込みが殺到し、ネット上の注目度の高さも際立った。

会見で山本氏は、参院選情勢について「自民党が大きく議席を減らす結果にはならない」と予測したうえで、「空気を読まない私たちが議席を増やし、声を大きくする必要がある」などと繰り返し、れいわの勢力拡大が必要と訴えた。
注目の挑戦選挙区については、「今は言わない。指定席が決まっているところを崩しに行く」と不敵な笑みを浮かべた
併せて、れいわが独自候補擁立を決めた選挙区(埼玉、東京、愛知、大阪、福岡)からの出馬は否定。
他野党との連携についても「(改選数2以上の)複数区では仁義なき戦いだ」と立憲民主など主要野党にも配慮しない考えを示した。

山本氏は人気俳優・タレントだったが原発反対で政治活動を始め、2013年の参院選東京選挙区で初当選。
2019年参院選比例区では落選したが、れいわが政党要件を満たしたことで党代表となり、2021年10月衆院選での比例東京ブロック当選で、約2年ぶりに国政復帰を果たしたばかりだった。
山本氏の議員辞職願は4月19日の衆院本会議で認められる見通し。
その場合、れいわの比例名簿で次点だった櫛渕万里氏が繰り上げ当選する。
山本氏は会見に櫛渕氏を同席させ、カメラ撮りのため両氏の握手と議員バッジを手渡す場面を設定するなど、巧妙な演出も見せた。

「嫌ですよ、僕だって議員バッジ外すの」
山本氏は、半年前の衆院選ではぎりぎりまで小選挙区での出馬をちらつかせ、標的とされた自民の大物候補をハラハラさせた。
しかし当選確率の高さを優先した結果、最終的には比例東京ブロック1位を選び、衆院初当選を果たした。
山本氏は会見で、「議員辞職せず、参院選に別の候補を立てるのが筋ではないか」との質問に「嫌ですよ、僕だって議員バッジ外すの。
国会議員であることとないことで発言力が変わりますもん。
落選のリスクももちろんある。でも、やるしかないんです」と語った。

しかし、当選確率の高さを選挙区選びの基準とする考えもにじませた。
このため、会見後半では、参加記者らがあの手この手で山本氏の本音を引き出そうと試みた。
同氏は軽妙な受け答えで煙幕を張り続けたが、「まだ決めきれていない」(れいわ関係者)のが実態とみる向きが多い。
また、山本氏は会見の中で、参院選比例代表を選ばない理由について「れいわ票のうち100万票を私が食うだけだ。確実に1議席を取りに行くほうが全体にプラスだ」と説明。
選挙区で当選した場合は「6年間の任期を全うする」と明言した。

こうした山本氏の発言を前提とすれば、ターゲットとなるのは
@与党や維新など政権寄りの議員の指定席、
A埼玉、東京、愛知、大阪、福岡以外のれいわの支持層が多い大都市圏の複数区ということになる。

その場合、該当するのは「千葉(定数3)、神奈川(定数4+1)と兵庫(定数3)」(選挙専門家)とみられる。
このうち与党だけでなく「与党側の顔をかぶった維新」(山本氏)の議席獲得が見込まれているのは、神奈川と兵庫だ。
神奈川は欠員が出たため今回改選は5議席。
兵庫は自民、公明、維新の指定席とみられているが、同県出身の山本氏にも身近な選挙区だ。

山本氏は今回参院選で3議席獲得できれば「代表質問の権利が得られる」と発言した。
これが最低目標とすれば、常識的には「選挙区1、比例代表2で3議席」(選挙アナリスト)となる。
もちろん、山本氏の選挙区での当選が前提だ。
そうなると、過去の実績から見て「山本氏が東京選挙区(定数6)で出馬し、比例でも2議席を確保するのが一番の早道」(同)ともみえる。

山本氏は2013年の東京選挙区で66万票あまりを獲得して4位で当選しており、当時より高い知名度から、「上位当選は確実」(同)だからだ。

一番スリリングな展開は兵庫選挙区への出馬だが…
これまでの変幻自在な山本流なら、土壇場で東京選挙区に擁立した候補を比例代表に回すことも可能だ。
もちろん、衆院選と同様に比例代表での出馬も当選確実ではあるが、その場合、東京選挙区などでの議席獲得は望み薄だ。
しかも、山本氏の鞍替え出馬表明を受けて、国政政党の「NHK受信料を支払わない国民を守る党」の立花孝志代表は、今回参院選に同姓同名の別人「山本太郎」氏の擁立を発表した。
山本氏の比例代表出馬への牽制であることは明らかだ。

こうしてみると、一番スリリングな展開となるのは出身地の兵庫選挙区への出馬だが、当選を困難視する声が多い。
事前に300万円かけて実施するという山本氏独自の支持動向調査でも手ごたえが悪ければ、前言を翻して東京選挙区出馬を選択する可能性も否定できない。
これまでの選挙でも、ネット上の注目度と実際の有権者の反応には違いがあり、「空中戦」主体の山本氏にとって、予想される低投票率なら情勢は不利になる。
いずれにしても、今回の挑戦への賛否も含め「すべては結果次第」(閣僚経験者)となりそうだ。

小だぬき
私は、今回の選択はベストだと思います。山本氏を「解散のある衆議院」より 解散の無い参議院で腰を据えて 国会、情宣に当たって貰う方が れいわ新選組の今後6年間の活動にとっても「支援したい庶民」にとってもプラスです。
山本太郎君の活動が 立憲のどの議員より また共産党の志位委員長より 話題を集め期待を持たせるというのは、なんだか悲しい野党の現状です。
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2022年04月21日

安倍晋三氏 いまさらプーチン批判に「小泉純一郎さんの脱原発と同じ」の指摘

安倍晋三氏 いまさらプーチン批判に「小泉純一郎さんの脱原発と同じ」の指摘
4/20(水) NEWSポストセブン

 かつての蜜月関係を払拭するかのように、安倍晋三・元首相がロシアのプーチン大統領を批判している。
4月17日、福島県郡山市での講演では、プーチン氏について「ウクライナの祖国を守るという決意の強さを見誤った。そして自分の力を過信した結果、こういうことになっている」と述べた。

  それに先立ち3月24日には、安倍派の会合冒頭でウクライナのゼレンスキー大統領のオンライン国会演説について「改めて私たち日本はウクライナ国民とともにある。
武力による侵略、武力による一方的な現状変更の試みは断固として許さないという決意をするとともに表明したい」と、ウクライナ支持を表明した。  

 この変わり身の早さに、永田町の視線は冷ややかだ。
ベテラン政治ジャーナリストは言う。
「27回という会談の数字が物語っているとおり、安倍氏が北方領土交渉のためにプーチン氏に接近し、蜜月関係を築いたのは明らかです。
その外交交渉に関する自己検証をしないままプーチン氏を批判しても、『いまさら言っても』という印象は拭えません。

 そのうえ、安倍さんはこのウクライナ戦争を機に、『核共有論』に始まり、『敵基地攻撃能力は基地に限定せず相手の中枢にも』『防衛費をNATO並みに』など、防衛力強化についての持論を次々展開しています。
それ自体は今後議論していくべきものと思いますが、なぜ安倍政権の時代に議論できなかったのか。
これに関しても自己検証がなされた様子はありません」

 自民党内からは、最近の安倍氏の“言いたい放題”の様子を、「先達」と重ね合わせる声も出てきている。
非主流派の自民党関係者は言う。
「小泉純一郎・元総理です。小泉さんは首相を退いた後、東日本大震災をきっかけに脱原発に舵を切り、政権や党の事情を考慮せずにさまざまな場面で脱原発を主張しはじめました。
脱原発の主張自体は理解できても、党内には『長年首相を務めていた人物がなぜ』という疑問の声が強まっていきました。

 今の安倍さんは、小泉さんと似てきているように見えます。
自分が政権を率いていた時にはできなかったことを今になって声高に言い、存在感を示そうとしていますが、そのわりに政治家として責任を取るそぶりはない。
党内でも、『また安倍さんが言っている』と、真剣に取り合わなくなってきているように見えます。そこも小泉さんと似てきているのではないでしょうか」

 その小泉氏は、80歳という高齢を理由に原発ゼロを訴える各地での講演会活動をやめることにしたという。
安倍氏はまだ、小泉氏が政界を引退したときと同じ67歳だが、果たして今後どうしていくのか。
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2022年04月22日

アカの他人をとことん追い詰めようとする「道徳感情」の厄介さ

なぜ週刊誌は不倫報道を続けるのか…アカの他人をとことん追い詰めようとする「道徳感情」の厄介さ
2022年04月21日 PRESIDENT Online

なぜ週刊誌は有名人の不倫報道を続けるのか。国際政治学者の三浦瑠麗さんは、「怒りや恨みを持った人の思いの受け皿になっているからだ」という。脳科学者の中野信子さんとの対談をお届けしよう――。
(第1回)※本稿は、中野信子、三浦瑠麗『不倫と正義』(新潮新書)の一部を再編集したものです。

■赤の他人の不倫を責め立てるのは人間特有の感情
【三浦】
不倫に対する反発というのは、あるカップルの間で確固とした関係ができ上がっているにもかかわらず、そのほかで同じようなことをしてしまうことに対する抵抗感でしょう。
では、なぜ他人の痛みが自分の痛みとして感じとれてしまうのか。
人間とは、そもそも絵に描いたような利己的な存在ではなく、他人に共感(コンパッション)を持つことができる高度に社会的な生き物なんだと思うんです。
人類学者の長谷川眞理子さんが書かれてましたが、あるフィールドスタディによると、公正さを求める感情は、人が原始的社会においてすでに持っているものだそうです。

【中野
あいつはバナナを2本もらえているのに、自分は1本しかもらえていない! ひどい! という感情ね。
あるいは、バナナを全部独り占めするのはやめておこう、というような。

【三浦】
そうです。公正さを求める気持ちと高いレベルでの共感が結びつくと、道徳感情になる。
会ったこともない赤の他人が不倫問題を起こした時に、寄ってたかって責め立てるのはこの道徳感情の発露ですね。
18世紀の思想家アダム・スミスは、この人間特有の共感がもたらす道徳感情について丸々考察した本を著しています。スミスは、物理的な痛みとは違って、愛の喪失のような想像力を大きく?き立てる精神的な痛みは終わりなくつきまとうのだと述べています。これがまさに人間ですよね。

【中野】
確かにね。

■勝ち負けを知らない子供には共感力は育たない
【三浦】
共感する力は幼児も持っていますが、他人の気持ちを敏感に察し、そこにある不公正さを認識する所からこの力は生まれます。
ママがかわいそう、おもちゃの取り合いに負けた子がかわいそう、と思うから共感が育つ。
逆に言えば、大人が介入しすぎて勝ち負けを知らなければ、共感力も育たないんです。つまり、人間社会においてしょっちゅう不倫と愛の破綻が繰り返されてきたからこそ、より強い道徳感情が生まれて不倫バッシングが起こるのではないかと。

【中野】
それは面白い。

■人間にとっては集団であることが武器
【中野】
数理社会学の研究で、どうしてルールを破る人にみんながサンクション、制裁を加えるのかというのがあるんです。
罰が軽いと、ルールを破った方が見かけの利得が高くなる。そうするとみんながルールを守らなくなる可能性が出てくる。ルールを守らない方が得だったら、みんなでルールを守らないようにしようぜという圧力が出てくる。そうすると、集団が壊れる。集団である意味がなくなりますから。
でも、集団であることを重視するというのが哺乳類の特徴というか、弱い者を守るために集団である必要があるんですね。我々、強力な外骨格とかないし、逃げ足も遅い。子供を育てるのに20年近くかかっちゃう。
そういう相当脆弱(ぜいじゃく)な構造を持っている種なので、集団であることそのものが武器なわけです。 この武器を壊してはならんということで、逸脱した個体に対してみんなでちょっとそれは困りますというふうにサンクションを加えるというのが構造としてあるんですよね。

【三浦】
そういう研究があるんですね。

■「オーバーサンクション」を加えている側には快感が生じる
【中野】
ただ、その構造そのものがひとり歩きしてしまうことがある。
本当にルールを逸脱しているわけじゃなくて、ただその人が楽しんでいるだけに見えるとか、そういうことで攻撃を受けることがあるんです。全く何の落ち度もなく、ただ集団の中で目立っちゃったというだけで。

【三浦】
ありそう。

【中野】
そういう「オーバーサンクション」と言われる現象があるんですが、面白いことに、オーバーサンクションを加えている側には快感が生じているんですね。
制裁というのは他者への攻撃なので、元来はリベンジのリスクがあるわけです。 でも、リベンジのリスクを怖れて制裁を加えないと集団が壊れちゃう。だからこういうときは攻撃に快感を持たされているわけなんです。この攻撃の快感をエンタメとして形にしたのが週刊誌と言っていいんじゃないですかね。

【三浦】
いじめもきっと同じ構造ですよね。

■人間がいる限り週刊誌的なものは消えない
【中野】
そう考えると、人間社会がある限り、必ず週刊誌的なものというのは生き残ると思うんです。
でも、攻撃そのものが快感というのは、そんなに美しいとは見なされない。だから週刊誌をやる人はなかなか大変だろうなあとは思う。

【三浦】
女性というのは、もともと幅広くコミュニティーに関する噂話をしますよね、割と。
男性も集団内の関係性に関する噂と情報の収集を通じて権力を行使しようとする。
女性にしても男性にしても、我々はそういうコミュニティーの細かい情報とか、噂とかをすごく重視するというのが本能としてまずあると思うんですよ。 例えば子供の小学校でPTAに入っていれば、やっぱり観察はしますよ、どの子がしっかり髪を洗えていなさそうだとか。 アザがあったりするのを見つけたら知らせますもん。児童虐待を見つけるというのはコミュニティーとしてとても大事な機能ですし、噂話が一概に悪いとは思わないんです。

【中野】
そういう機能もあるか。

■公益性ではなく本能として不倫が求められている
【三浦】
ただ、誰それが誰それと寝ているとか、誰それの家はどうなっているみたいな覗き見趣味みたいなことを、日本という国のサイズまで拡大されたコミュニティーで話題にすべきなのか? とは思いますけどね。
週刊誌が全国民に某タレントの不倫を知らしめたり、あるいはもう既に政治家を退いている某氏の夫であるというだけで、人の不倫をばらすほどの公益性はないんじゃないのと。公益性というより、本能としてそういうニュースが求められてるというのは仰るとおりだと思うんですけど。

【中野】
公益性を求めるんだったら、あんな形でやっていないよね。単純にエンタメなんだと思う。

■不倫報道の背後には誰かがいる
【三浦】
週刊誌の人と話すといつも、オレたちはああいうふうに報道しているけど、だからって芸人や俳優業までやめなくていいんだよと。
好感度やCM、スポンサーなどに累が及んじゃうのはしようがないにしても、という言い方をするんですよね。
『週刊新潮』とか『週刊文春』級の媒体になると、そもそも、相当程度証拠があって、しっかり裏をとったものじゃないと載せてないわけですよね。 裏をとれるようなものというのは、つまるところ、誰かが背後にいる。
妻だったりその友人などの第三者だったり捨てられた愛人だったり、そういった人たちの強い怒りや恨みがあって、初めて記事として外に出るんだと。

【中野】
確かにねえ。変な別れ方をしたとか、変な扱いを受けたかして……それでも相手に何かしらの思いがあるかどうかが、スキャンダル記事になるかどうかの大きな原因の1つなんでしょうね。

■社会的制裁に見せかけた私的制裁
【三浦】
ただ、彼らはそういう言い方をするんですけど、その思いは単に私怨ですよね。
公憤と言うより。週刊誌という公器がその私怨を晴らすための場になってしまっているということでもあって、私たちはそこは引いたところから見なきゃいけないなとは思うんです。
これはリベンジなのね、ふむふむなるほどっていう程度で見ないと。

【中野】
社会的制裁に見せかけた私的制裁の面があると。

【三浦】
そうなんですよ。週刊誌記事って、社会的制裁と私怨が入り混じっているのに、読者が混同してしまっているところがある。誰かの私怨を晴らすお手伝いって見方もできる。

【中野】
クレーム窓口みたいなね。

【三浦】
民事訴訟がすごく面倒くさい手続なのに対して、編集部にタレ込むだけでいいわけですもんね。 取材に応じさえすれば、私怨が晴らせて、自分は匿名の「A子さん」という形で身分を守られる。そういう安心感で機能しちゃっているところもあるんだと思うんですね。
よくもめごとの相談を受けてきた経験もあるから言うんですけど、相談内容にそれ、本当に法的に訴えられると思っているの? って思うことも多い
何らかの裁きが下されるべきだという信念持ってる人って、意外と多くて……
でも、その「自分が嫌な思いをした」というのと法的な措置とは必ずしもつながらない。 そこで満たされない人々の思いの受け皿が週刊誌報道になっちゃっている面はある気がするんですよね。
私が嫌なのは、それが社会にリンチを呼びかけるものになってしまうから。

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三浦 瑠麗(みうら・るり) 国際政治学者
1980年、神奈川県生まれ。神奈川県立湘南高校、東京大学農学部卒業。
東京大学大学院法学政治学研究科博士課程修了。
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中野 信子(なかの・のぶこ) 脳科学者、
医学博士、認知科学者 東日本国際大学特任教授。京都芸術大学客員教授。
1975年、東京都生まれ。東京大学大学院医学系研究科脳神経医学専攻博士課程修了。
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2022年04月23日

痴漢、イジメ、ウクライナ侵攻…なぜ被害者の“落ち度”を探そうとする人がいるのか

痴漢、イジメ、ウクライナ侵攻…なぜ被害者の“落ち度”を探そうとする人がいるのか
4/22(金)  デイリー新潮

「じつはこれは失礼な行為である」 「厳密にはこれも失礼に当たる」
 当失礼研究所は、そんなふうに重箱の隅をつついて「失礼」を作り出すために、研究を重ねているわけではありません。  基本の失礼は押さえつつも、自分と周囲が日々を平和に穏やかに過ごすために、失礼とどう付き合っていけばいいかを考えていく所存です。
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「スキを見せたに違いない。むしろ本人のせいではないか」
「露出度の高い服を着ているから、そういう目に遭うんだ」
 性犯罪の被害者は、罵詈雑言を吐くのを生きがいとするネットの匿名野郎だけでなく、身内を含めた周囲からも、あるいは警察官からも、そういった言葉を投げかけられます。
「親切で言ってあげてるんだ」と言い張る人もいますが、傷ついている被害者をさらに深く傷つけるのは、どんな言い訳を引っ張り出してきても、正当化なんてできません。

 イジメの被害者に対しても同じ。
「イジメられる側にも問題があったんじゃないか」
「自分にできる対策を取らないから、イジメられるんじゃないか」
 イジメる側を責める声より、被害者を責める声のほうが目立つケースは、残念ながらよくあります。

 強盗やスリの被害者はもとより、たまたま乗っていた電車で暴漢に襲われた被害者にも、ときには自然災害の被害者にも、世間様は極めて熱心に、本人にもきっと原因があったはずだと考えずにはいられません。

 このところよく目にするのが、 「侵略される国の側にも問題があるんじゃないか」  という言い種
有名無名を問わず、しょせんは安全な場所から無責任に眺めている人が、断片的な情報を元に「悲惨な被害を受けている側」の“落ち度”を探して、訳知り顔で指摘する──。
どうしてそんな無神経なことができるのでしょう。
 ちょっと冷静に考えれば、 「被害者の落ち度を探して批判するのは間違っている。悪いのはあくまでも加害者である」
「こうしたほうが危険が減るという対策の話と、被害者の“落ち度”を責める話は、まったく別である」  という当たり前の結論になります。

ここで例に挙げたどのケースも、「失礼」という言葉では言い表せないぐらい、被害者に対して残酷で罪深い愚かな行為に他なりません。

「公正世界仮説」とは
 そうした行為を腹立たしく思ういっぽうで、恐ろしいのが、自分の中にも同じ「癖」があると認めざるを得ないこと。
正直に白状しますが、これまでに私は、たとえば痴漢のニュースを見た瞬間、反射的に被害者の“落ち度”を探したくなったことが何度かありました。
 もちろん、次の瞬間に「それは違うだろ」と自分に突っ込みを入れて邪念を振り払います。
しかし、なぜ反射的にそう思ってしまうのか、とても不思議でした。自己嫌悪にもさいなまれました。

「おいおい、お前はひどいヤツだな。自分は絶対にそうは思わない。加害者に怒りを覚えるのみだ」
 そう自信をもって言い切れる人もいるでしょう。お恥ずかしい限りです。
ただ、ふたたび正直に申し上げると、言い切れる人の大半は、自分にウソをつくのが上手か、自分の気持ちを直視するのが苦手か、そのどちらかではないかと……。

 ある時、長いあいだ謎だった感情について、腑に落ちる説明をしてくれる理論を知りました。その名も「公正世界仮説」。  世界は公正にできている。理由もなくひどい目に遭うはずがない。
被害者には必ず原因があるはずだ。
自分はきちんと生きているので、被害を受ける心配はない。……人は誰しも、そういう仮説を信じたい傾向があるという考え方です。

 人間は弱い生き物なので、あの手この手で「安心」の手がかりを探さずにはいられません。
ひどい目に遭うのが偶然だとすると、自分にも可能性があることになります。
自分には関係ないのだと「安心」を得るために、被害は必然だと思い込み、それが高じて理不尽な批判や攻撃をしてしまう。ああ、なんて身勝手な構図でしょうか。

「公正世界仮説」は半世紀以上前に提唱され、研究が重ねられてきました。
ここ数年、ネットにおける被害者への誹謗中傷や、貧困問題にまつわる「自己責任論」(貧しいのは本人に努力が足りないからだ)などへの批判の高まりとともに、あらためて注目を集めています。
 新型コロナに感染した人が、「自業自得だ」「感染するような行動をしていたからだ」と責められる風潮があったのも(いまだにありますけど)、これが影響していると言っていいでしょう。

「自分は感染しないはず」と思い込むには、運悪く感染した人に“落ち度”があってくれないと困るわけです。
 2020年の夏頃、新型コロナへの感染は「自業自得」と考える人の割合が、日本は各国と比較して飛び抜けて高かったという調査結果が話題になりました。
「ああ、やっぱり」という印象でしたが、昔から日本には「自業自得」のほかにも、「被害者が悪い」と言いたいことわざや慣用句がたくさんあります。

「因果応報」「自分でまいた種」「身から出た錆」「雉も鳴かずば撃たれまい」「罰(ばち)が当たる」……。
 気を付けているつもりでも、「被害者の“落ち度”を責めたくなる」という甘い誘惑は、常に虎視眈々と私たちを惑わそうと狙っています。
“落ち度”を探したくなったら  なかなか厄介な「公正世界仮説」ですが、マイナス面ばかりではありません。
「努力はいつか報われる」「お天道様は見ている」「正直者の頭に神宿る」という前提を信じることで、私たちは日々をきちんと一生懸命に生きることができます。

 だからといって、自分の心の平安を保つために、被害者を責めていい理由にはなりません。
恥ずかしくて卑劣な失礼を避けるには、どうすればいいのか。
「そんなことを考えてはいけませんよ」と自分にお説教しても、たぶん解決しません。

 私自身は「公正世界仮説」を知って、大げさに言うと生まれ変わることができました。
被害者の“落ち度”を探したくなるたびに、武田鉄矢さんの口調で「このバカチンが!」と己を叱責しています。
 ほかにも、自分を大きく見せようとしたりなど、私たちの日常生活は、失礼を生む甘い誘惑にあふれています。
失礼を追い払うために、ジタバタと戦い続けましょう。

 自分が気を付けると同時に、世の中に山ほどいる「被害者の“落ち度”を責めるのが好きな人」も、なるべく減らしたいのは山々です。
しかし残念ながら、その気持ちよさに溺れている人は、何を言われても自分を変える気はありません。
 きっと報いを受けると信じて、とりあえずは距離を置きつつ冷たい目で見守っておきましょう。
ん? これは「公正世界仮説」の悪い使い方なのか、いい使い方なのか……。


石原壮一郎(いしはら・そういちろう)
1963年三重県生まれ。「失礼とは何か」を追究する失礼研究所所長。コラムニスト。
大人力研究の第一人者でもある。『大人力検定』など著書多数。

ニャロメロン
1988年大分県生まれ。大分大学漫画研究部在席時より、サイト「週刊メロンコリニスタ」を立ち上げ、ツイッター等でも漫画を発表。
『凝縮メロンコリニスタ』『ベルリンは鐘』『バンバンドリドリ』『マウントセレブ金田さん』等、著書多数。


「週刊新潮」2022年4月21日号 掲載
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2022年04月24日

ネット炎上、監視社会、殺伐とした世界でどう生きればいいのか?

ネット炎上、監視社会、殺伐とした世界でどう生きればいいのか?
2022年04月23日 ダイヤモンドオンライン

「30人の幼児と自分の娘、どちらを助ける?」
ソクラテス、プラトン、ベンサム、キルケゴール、ニーチェ、ロールズ、フーコーetc。人類誕生から続く「正義」を巡る論争の決着とは?
いじめによる生徒の自殺をきっかけに、学校中に監視カメラを設置することになった私立高校を舞台にした小説、『正義の教室 善く生きるための哲学入門』が刊行された。
「平等」「自由」、そして「宗教」という、異なる正義を持つ3人の女子高生のかけ合いから、「正義」の正体があぶり出される。
作家、佐藤優氏も「抜群に面白い。サンデル教授の正義論よりもずっとためになる」とコメントを寄せている。
ネット上でも騒然となった「ラストシーン」、その意図を著者の飲茶氏に伺った(構成/前田浩弥)

■殺伐とした世界で、私たちはどう生きればいいのか?
――『正義の教室』の執筆には、どれくらいのお時間が掛かったのですか?

飲茶:
編集担当の中村さんから初めてコンタクトをいただいたのが2016年の12月。
第一稿を書き上げたのが2018年12月ですから、約2年ですね。中村さんをかなりお待たせしてしまいました。

――原稿は1章ごとに渡していたんですか? それとも、最後まで書き上げてから、ドンと渡しました?

飲茶:
「最後まで書き上げてから、ドン」です(苦笑)。
半年に1回くらい「どうですか?」と催促をいただいても、「今やってます」みたいな返事をするだけで、泳がせていただいて。

――「最後まで書き上げてから、ドン」で来た原稿を読んで、編集担当の中村さんはどうお感じになりました?

中村:
文章がとても読みやすく、流れるようにスーッと読み進められるなというのが最初の感想ですね。加えて、「3つの正義」のそれぞれの主張と、その主張への問題提起がとてもクリアで、わかりやすいなという印象を持ちました。ただ……「ラスト、どうしようかなぁ」という悩みも同時に湧いてきました。

■「衝撃のラスト」に込められた2つの意図
――『正義の教室』のラストはかなり衝撃で、ネット上でも話題になりましたね。
飲茶先生は、あのラストにどのような思いを込めたのですか?

飲茶:
読者に「気づいてほしい」という思いを込めました。

――「気づいてほしい」ですか?

飲茶:
はい。具体的には、2つの問いかけを込めています。
あのラストをどのように感じるかで、実はその人自身の「正義観」がわかるようになっているんですよ。
つまりひとつめの問いかけは、「あなたは何を正義だと思いますか?」という問いかけです。
その上で、ふたつめの問いかけを自分自身にしてほしいんです。
「その選択で本当に合っていますか?」と。ちなみに編集担当の中村さんは、ラストシーンで「これが正義だったのか!」という感じの受け取り方をしたんですよね。

中村:
そうですね。『正義の教室』は「ネット炎上」「監視社会」の問題点についても取り上げています。
ラストでは、「そんな世界で私たちはどう生きるか?」という問いに対する、1つの答えが示されていて、とても興味深かったです。

飲茶:
周りの人に何と言われようと、自分が信じた、自分が美しいと思う生き方を選択する。それこそが正義だ

――これが中村さんの感じた正義です。「あなたは何を正義だと思いますか?」というひとつめの問いかけに対する、明快な答えです。
――なるほど。

飲茶:
しかしその正義は、結果として不幸を招くかも知れない。
自分の信じる正義を本当に貫き通したら、社会生活を穏やかに営むことができなくなるかもしれないわけです。
そこで「その選択で本当に合っていますか?」という、ふたつめの問いかけが生まれます。
つまり『正義の教室』のラストシーンは、中村さんの正義を明らかにすると同時に、中村さんの正義の危うさも浮き彫りにしてしまうんですね。

■あなたの「正義」は本当に正しいですか?
――他にはどんな反響がありましたか?

飲茶:
一方、違う編集者さんとお酒を飲んだときに、「あの……『正義の教室』のラストなんですけど……」って切り出されたんです。
彼は「やっぱり、正義を追求するのは間違いですよね」と言っていました。
あのまま、主人公が「正しい」と思う道を進んでも、誰も幸せにならない。
何が何でも自分を貫くのではなく、ほかの人との関係性も考えて、穏やかに社会生活を営む。それが彼の「正義観」なんですね。
でもその考え方は、これまでの社会の常識や、社会が押しつけてきた構造にとらわれすぎているのかもしれない。
そこでやはり、ふたつめのが生まれるんです。「その選択で本当に合っていますか?」と。

――私はどちらかというと、後者のとらえ方をしました。率直に言って、モヤモヤしたんです。これはやはり、私が今までの価値観に縛られていたために感じる思いなのかもしれませんね。
主人公の正義(まさよし)君も、ラストシーンでは「これでいいのか?」と自問自答しながら、一歩を踏み出しているんですよね。
正義(まさよし)君自身も、「これが正義だ」と信じきれていない気もします。

飲茶:
そこが面白いところですよね。
前田さん(聞き手)は最後、「モヤモヤした」とおっしゃったじゃないですか。
中村さんは逆に、「これが正義だったのか!」と感じている。

中村:
正義はとらえどころのないものですけど、「善く生きる」というところがひとつの答えなんだと、僕はラストシーンから受け取りました。
『正義の教室』のサブタイトルの「善く生きるための哲学入門」というフレーズも、ラストシーンで受けた感銘からきています。
装画も「ラストシーンの正義(まさよし)君」を描いてもらったものなんです。

――そうだったんですね!

飲茶:
AmazonのレビューやTwitterの反応を見ていると、みなさん思い思いに「あなたは何を正義だと思いますか?」「その選択で本当に合っていますか?」という2つの問いと向き合ってくれているようで、著者としてはホッとしました。
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「やっぱり年金だけでは老後生活は破綻する」日本政府がひた隠しにする年金制度の大問題

「やっぱり年金だけでは老後生活は破綻する」日本政府がひた隠しにする年金制度の大問題
2022年04月23日   PRESIDENT Online

日本の年金制度で老後の生活は大丈夫なのか。
法政大学の小黒一正教授は「年金財政の健全性をチェックする主な指標として所得代替率という値が利用されているが、この定義にはいくつもの重大な問題点がある」という。フリー編集者の落合龍平氏が聞いた――。

■現役世代も他人事ではない年金の大幅引き下げ
「悪い円安」と「物価上昇」が話題だが、庶民にとって「生活苦」につながる、もう1つの重大な変化が起きているのをご存じだろうか。
それは「年金支給額の引き下げ」である。
2022年4月から、公的年金の支給額は0.4%引き下げられている。
「マクロ経済スライド」の発動こそ見送られたものの、引き下げはこれで2年連続。しかも、14年の0.7%に次ぐ「大幅引き下げ」だった。
「年金が下がっても、影響を受けるのは高齢者だけ」 「高齢者はもらい過ぎだからむしろもっと下げたほうがいい」 内心そう思っている現役世代も、中にはいるかもしれない。
だが、現役世代もいずれは年金を受け取る側になる。年金が減り生活を支えられなくなれば、その「ツケ」は現役世代にもいずれ回ってくる。

■政府の「財政検証」は正しいのかを「検証」
少子高齢化が進み、年金引き下げが続く中、年金制度が本当に維持できるのか。 国民がそう不安に思うのも当然だ。
朝日新聞が20年に行った世論調査によると、「年金制度に不安」とした人は、現役世代の72%にも上る。
年金制度が維持可能かどうかを、5年に1度検証する仕組みがある。それが「財政検証」だ。
直近の「財政検証」は2019年に行われている。
この年、「老後資金2000万円が不足」とした金融審議会の報告書を、当時の麻生大臣が前代未聞の「受け取り拒否」し、大きな話題となった。

その「19年度財政検証」において、公的年金は今後も持続可能という結論になっている。
だが、本当にその説明は正しいのだろうか。

『2050 日本再生への25のTODOリスト』(講談社+α新書)を刊行した小黒一正法政大教授によると、「財政検証」には「政府による数字のゴマカシ」の疑念があるという。
「財政検証では、年金財政の健全性をチェックする主な指標として、『所得代替率』という値を利用しています。
制度上、『所得代替率』とは、モデル世帯が受け取る年金額が、現役世代(厳密には現役男性)の所得の何パーセントにあたるかという数字として定義されています。
所得代替率が50%を割った場合、給付水準や負担のあり方を含めて、制度の見直しを行うことが法律で定められています。
所得代替率はそうした重要な指標なのですが、この所得代替率の定義が『巧妙』であり、できる限り高い値として算出されるように定義している形跡が見えかくれするのです」(小黒教授)

■「モデル世帯」の年金額は上位2割の富裕層
19年度の「財政検証」では、インフレ率や賃金上昇率などの予測を基にした6つのケースごとに、将来の「所得代替率」をはじき出しているという。
その大部分において、所得代替率は「減少はするものの50%以上を維持」となり、これこそが、政府・厚労省が「公的年金は今後も大丈夫」と主張する大きな根拠となっている。

しかし、小黒教授によると、その数字の算出方法が問題なのだという。
「公的年金の所得代替率は、『モデル世帯』の年金額を基に算出しています。ただ、この『モデル世帯』の選び方が問題なのです。
14年度の『モデル世帯』の年金額は、夫が年間約186万円(=月額15.5万円)、妻が年間約78万円(=月額6.5万円)、合計約264万円(=月額22万円)となっています。
しかし、厚生労働省の『年金制度基礎調査 平成24年』によると、150万円未満の年金しか受け取っていない男性は40.4%もいます。
200万〜250万円の年金を受け取る男性は19.8%しかおらず、『モデル世帯』といいながら、一部の裕福な世帯を例に挙げて議論しているのです」(小黒教授)

■「夫が終身雇用、妻は専業主婦」はもはやモデルではない
しかも、「モデル世帯」の定義にも疑問があるという。
「『モデル世帯』とされているのは、『夫は40年間働いたサラリーマン、妻は40年間ずっと専業主婦』という世帯です。
しかし、現実を見れば、もはや、これが『モデル世帯』ではないことは明らかです。
雇用の流動化が進み、年功序列で定年まで働くケースは減っています。
また、女性の社会進出も進み、共働き世帯が増えています。
そんな中、夫が終身雇用、妻が専業主婦という世帯を『モデル世帯』とするのは、現実的に無理があります。もっと現実に即した『モデル世帯』を設定すべきです」(小黒教授)

「数字のトリック」はこれだけではない。
小黒教授によると、そもそも「本当の所得代替率はもっと低い可能性がある」というのだ。
「所得代替率は、年金支給額が、現役世代(厳密には現役男性)の所得の何パーセントかを示す指標です。
所得代替率が50%とは、現役世代の所得の約半分の額の年金をもらえる、という意味です。
つまり、所得代替率とは、『年金額を現役世代の所得で割ったもの』です。
ただ、この計算方法にも、かねてより『重大な欠陥』が指摘されているのです」(小黒教授)

■所得代替率が実際よりも高い数字になるトリック
「所得代替率」は、図表1の計算によって求められる。
分母に「現役男性の平均収入」、分子には「年金の支給額」が入っている。
ここで注目されるのが、「手取りか総額か」という問題だ。
図表1の分母にあたる「現役男性の平均月収」は、「手取り」、すなわち税・社会保険料を払った後の金額が入っている。
一方、分子の「年金の支給額」は、なんと税・社会保険料を支払う前の金額、つまり「総額」なのである。

要するに、分母は少なめに、分子は多めにして、割り算の結果がより大きくなるように仕組まれている、ということだ。
これでは当然ながら、所得代替率は実際よりも高めに出てしまう。
問題はこれだけにとどまらない。
「分母と分子の世帯人数が異なっていることも大きな問題です。
分母は『現役男性1人の平均月収』ですが、分子は『夫と妻の2人』になっています」(小黒教授)
なんと、2人分の年金と、現役世代1人の所得とを比べているという。

所得代替率の定義なのだが、これが計算方法としておかしいのは子供でもわかる。
こうした「数字のトリック」が堂々とまかり通っているというのは、驚きを禁じ得ない。

■「どう経済成長しても年金は破綻しない」は本当か
「19年度財政検証」では、将来の経済成長率に基づいて、6つのケースを提示している。
今後日本が経済成長すればするほど、公的年金制度の財政的な安定性も増す。
ただ、もし今後経済成長率が低下すれば、すぐ年金制度が破綻するというのでは困る。
そのため、財政検証では、経済成長率が最良のケース(ケースI)から、最悪のケース(ケースVI)まで、6パターンを検討し、そのいずれにおいても年金制度は破綻しないと結論づけている。

だが、小黒教授によると、この分析も「希望的観測にすぎない」というのだ。
「6つのケースは、『TFP(全要素生産性)上昇率』や『物価上昇率』といった、いくつかのパラメータの組み合わせとして表現されています。
表は、6つのケースそれぞれが前提としたTFP上昇率と、そのTFP上昇率が過去30年に出現した割合、および、そのTFP上昇率が将来継続する確率をまとめたものです。
6つのケースの確率は、図表2の3行目だと思ってください。
ケースIとIIが出現する確率はほぼゼロ、
ケースIIIでも19.1%しかありません。
つまり、ケースIやケースIIといった『高成長』ケースが実現する確率はほとんどない、ということになります」

■政府と厚労省がひた隠しにする「本当の所得代替率」
ところで、日本の本当の所得代替率はどのくらいなのだろうか。
小黒教授によると、その数字は政府・厚労省の数字よりも「かなり低い」という。
「分母と分子を『税・社会保険料支払い前の総額』にそろえ、分子を『夫と妻』でなく、『夫1人』で計算してみます。
分母の『現役男性の平均収入』は、額面で月額43.9万円(年収約527万円)。
一方、分子の『年金額』は、夫1人の額面で月額15.5万円です。この結果、所得代替率は、35.3%となります。

次に、分母と分子をともに『税・社会保険料支払い後の額』で、分子を『夫1人』で計算してみます。
現役世代の平均収入は月額35.7万円、分子は夫1人が医療などの社会保険料を月1万円支払うとして、月額14.5万円。この場合の所得代替率は40.6%となります。
いずれも、政府算出の所得代替率より低い水準です」(小黒教授)

■OECDの計算でも日本の所得代替率は3〜4割程度
ちなみに、OECDは加盟国の所得代替率のランキングを発表している。
その数字も、小黒教授の主張を裏付けているという。
「OECDの所得代替率は、日本の所得代替率と定義が異なり、ある個人が老後に受け取る年金額が、現役時代の平均年収の何パーセントにあたるかという数字として計算します。

実は、この計算方法が世界標準なのですが、OECDの計算では、日本の所得代替率は、税・社会保険料支払い前で35.1%、税・社会保険料支払い後で40.4%と、ほぼ私の計算と一致しています。
また、日本の所得代替率がOECD加盟国の中でワーストクラスという点にも注意が必要だと思います」
つまり、現役時代の3〜4割程度しか年金がもらえないというのだ。

■より良い年金制度にするために国民全体で議論を
ただでさえ現役世代の実質賃金は年々減少を続けている。
その減った賃金のうちの3〜4割で、果たして老後の生活が成り立つのだろうか。
もっとも、小黒教授によると「政府・厚労省ばかりを責められない」という。
「所得代替率の計算方法は、法律(国民年金法平成16年改正法附則第2条)で定義されています。
厚労省としては『決められた定義の通りにやっている』だけとも言えます。
もちろん、この計算方法が本当に国民のためになるのか、より深い議論が求められるべきではありますが。

より良い年金制度にしたいという願いは政府・厚労省も当然持っています。
しかし、政府・厚労省としても、さまざまな問題により、身動きが取れなくなっているというのが現状です。
高齢世代と現役世代から真逆のニーズを突き付けられ、一方では増税も難しいなど、政府・厚労省は手足を縛られた状態です。
根本的な問題解決のためには、国民全体でもっと議論を深め、合意形成を図る地道な努力が必要でしょう」
年金について、一人ひとりの国民が、そろそろ真剣に考えるべき時期が来ているようだ。

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小黒 一正(おぐろ・かずまさ)
法政大学経済学部教授 1974年、東京都生まれ。 97年京都大学理学部物理学科卒業。同年、大蔵省入省、2005年財務省財務総合政策研究所主任研究官、08年世界平和研究所研究員、10年一橋大学経済研究所准教授を経て、15年4月より現職。著書に『日本経済の再構築』『薬価の経済学』『財政学15講』など。
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落合 龍平(おちあい・りゅうへい)
フリー編集者 通信系出版社、新聞系出版社を経て独立。経済・ビジネス・ノンフィクション書籍の編集のほか、ビジネス系WEB媒体の編集を中心に活動。大手WEB媒体を中心にライターとしても活動中。
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2022年04月25日

あなたが「同調圧力」の沼にハマるワケ

【精神科医が教える】 あなたが「同調圧力」の沼にハマるワケ
2022年04月24日 ダイヤモンドオンライン

感動小説『精神科医Tomyが教える 心の荷物の手放し方』の著者が、voicy「精神科医Tomy きょうのひとこと」から、とっておきのアドバイス。
心がスッと軽くなる“言葉の精神安定剤”で気分はスッキリ、今日がラクになる!

■疲れる方向に流されない方法
きょうのひとことは、 「他人に話を合わせるより大切なこと」
職場の同僚やプライベートの友人と話をしていて、自分が思っていることとは違うことが話されていても、場の空気を読んで適当に話を合わせるということは、よくあるのではないでしょうか?
そこで反対意見をいったり、議論をふっかけたりすると、異端視されて場の空気を乱してしまうかもしれない。
だから、つい惰性で話を合わせてしまっている。
こんなことは、どこにでもある話だと思います。

そもそも、仲間に話を合わせるより、話が合う仲間をつくることが大事なんじゃないでしょうか?
仲間という人間関係を重視するのではなく、物事を重視するということです。
具体的にいうと、自分の趣味のように、話をしていて楽しいことに同調してくれる仲間をつくろうという発想です。

すでにある人間関係に無理やり話を合わせるのではなく、自分が興味のあること、やりたいことを共有できる仲間をつくろうとすることが大事なんです。
料理が好きなら、料理が好きな者同士で仲間をつくり、最近ブームになっているサウナが好きなら、サウナが好きな者同士で仲間をつくるといった具合です。
そのほうが話の合わない人たちに気を遣うより、よほど楽しいはずです。

こういうと当たり前のように思うかもしれませんが、職場やプライベートの人間関係で、同調圧力に息苦しさを感じている人は多いようです。
要するに優先順位の考え方、順番の話なのです。
自分のやりたいことを優先させているうちに、それに賛同する仲間がひとり現れ、もうひとり現れ、それがやがてグループ化していくのであれば、それはそれでよし。
そういう順番のほうが、人生がより楽しくなってくるんじゃないかという話です。

これは他人から認められたい、自分を価値ある存在として認めたいという「承認欲求」にまつわる話でもあります。
自分を認めてほしいからといって、まわりに話を合わせて頑張っていると、いつか限界がやってきたり、承認欲求を満たされないままだったりします。

そういう発想をやめて、自分のやりたい物事を優先させる。
そして、勝手に承認されるという順番のほうが、よほど健全で楽しいはずなのです。
他人に話を合わせるくらいなら、合わせなくても話が合ってくる仲間をつくればいいじゃないかという発想に転換してみてくださいね。

きょうのひとことは、
「他人に話を合わせるより大切なこと」 でした。

参考になったかしら?
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2022年04月26日

天気による体の不調を改善するセルフケアのコツ

天気による体の不調を改善するセルフケアのコツ
「頭痛、めまい、肩こり、だるさ」悩んでませんか
2022/04/25 東洋経済オンライン
佐藤 純 : 天気痛ドクター・医学博士

「季節の変わり目になると、なんとなく体調が悪い」
「雨が降ると気分が落ち込んだり、頭痛がひどくなる」 そんな体や心の不調には、実は天気が大きく関わっていることをご存じでしょうか。

気圧・気温・湿度の変化は私たちの心身に大きな影響を与えており、その症状には頭痛、めまい、首・肩こり、だるさ、気分の落ち込みなど、かなり多様なものがあります。
総称して「気象病」や「天気痛」と呼ばれており、何らかの症状がある人は日本全国になんと1000万人以上いるといわれています。
天気痛ドクター・佐藤純氏の著書『1万人を治療した天気痛ドクターが教える「天気が悪いと調子が悪い」を自分で治す本』から、天気が原因で体調が崩れるメカニズムや、不調を予防・改善するためのセルフケアの方法を一部抜粋・再構成してお届けします。

「気のせい」でも「心の問題」でもない
みなさんこんにちは、天気痛ドクターの佐藤純です。
昔から、「雨が降ると古傷が痛む」とか、「季節の変わり目は体調を崩しやすい」など、天気と体調とを関連付けることはよくいわれてきました。
しかし、その因果関係がはっきりとわからなかったため、当事者が症状をうったえても「気のせい」であるとか、「心の問題」として片付けられてしまっていました。 でも、それは決して「気のせい」でも「心の問題」でもありません。

私は長年、自律神経と痛みの関係性について研究を続けながら、原因不明の慢性痛を抱える患者さんたちを1万人以上、診察してきました。
その中で、「天気」と患者さんの症状には、深い関係があるのではないか?と考えるようになりました。
そして、実験や研究を続けていくうちに、天気の変化が私たちの体や心に大きな影響を与えているという事実を突き止めることができました。

天気の変化に伴う不調には、頭痛、めまい、首・肩こり、腰痛、関節痛、むくみ、耳鳴り、だるさ、気分の落ち込みなど実にさまざまなものがあり、それらの病態を総称して「気象病」と呼んでいます。
私は、その中で痛みを伴う症状のことを「天気痛」と名付けました。

これらの不調は、天気(気圧、気温、湿度)の変化が耳の奥の内耳や自律神経に作用して現れるもので、誰の身にも起こりうる症状なのです。
日本では、3日に一度は雨が降ります。
2020年の総務省統計局のデータによると、全国平均で雨の日は年間117日、都道府県別のデータで最も降水日が多い石川県では、185日という数字も出ています。

毎年、夏の前には平均40〜50日続く梅雨があり、夏から秋にかけては台風の上陸もあります。
かな四季は日本の長所ですが、一方では気候の変動が大きい、気象病大国ともいえる環境なのです。
そのような環境にもかかわらず、気象病による心身の不調を見て見ぬふりをしたり、「天気のせいだからしょうがない」と諦めてしまうと、雨の日=人生の3割の時間を不調で過ごすことになってしまいます。
それは、とてももったいないことですよね。

天気をコントロールすることはできませんが、不調の原因が天気だとわかれば、症状が出る前に予防したり、天気に左右されにくい体をつくっていくことは十分に可能です。
私クリニックには、原因不明の痛みや不調で悩まされてきた方が多く来院されますが、診察により天気が原因だとわかったことで、適切な対処をして症状が改善し、いまでは元気に毎日を過ごしているという方がたくさんいらっしゃいます。

いま、つらい思いをしている方も、同じように天気に左右されない元気な体を手に入れることができるのです。
体調不良の犯人は「気圧」 天気が原因で体調を崩す人は、気圧、気温、湿度という3つの要素に影響を受けることがわかっています。
とくに気圧の影響は大きく、ある調査によると、約8割の人が気圧の変化で体調が崩れると回答しています。
気圧とは簡単にいえば空気の重さのことで、私たちの体はつねに空気の重さの影響を受けています。
低気圧のときは、空気が軽くなる=体への圧力が弱くなり、反対に高気圧のときは、空気が重くなる=体への圧力が強まります。

人間を含め、あらゆる物はつねに全方位から気圧の影響を受けています。
それでも私たちの体がつぶれないのは、受けている気圧と同じ力で体の内部から押し返しているからなのです。
私たちは日常生活の中で、気温や湿度のようにわかりやすく気圧の変化、というよりそもそも気圧自体を感じることができません。
しかし、実際には非常に大きな圧力がかかっています。
1平方メートル当たりにかかる気圧(1気圧)は、約10トンといわれます。
体の表面積の平均は男性が1.6平方メートル、女性が1.4平方メートル。つまり、男性は約16トン、女性は約14トン(両者を平均すると15トン)もの圧力をつねに受けていることになります。
ちなみに、1気圧を台風の勢力をあらわす数値としてご存じのヘクトパスカルに換算すると、1013ヘクトパスカル(大気圧の国際基準)。
して、たった1ヘクトパスカル下がっただけで、海水面は1センチ上昇します。 広大な海でさえ、少しの気圧変化でそれほどの影響を受けるわけですから、人間の体に多大な影響を与えるのは言うまでもありません。

気象病のメカニズムについてはまだ完全解明に至っていないものの、気圧の変化と密接にかかわっていることと、気圧を感じるセンサーが内耳にあることは確かだといえます。
気圧影響を受けやすい人は、内耳にある気圧を感じるセンサーが敏感に反応するようになっています。
内耳が急激な気圧の低下または上昇を感じると、自律神経の交感神経と副交感神経のバランスが乱れ、痛みなどの症状が現れてしまうのです。

この原因は、内耳の血行不良です。
ですので、症状が現れるタイミングの前に血行をよくしておけば、内耳のセンサーの感受性が下がり、気象病の症状をやわらげることができます。
内耳の血行不良を整える方法には、ツボ押しや耳温熱などさまざまなものがありますが、ここでは、私が患者さんたちにおすすめしている「くるくる耳マッサージ」をご紹介します。

セルフケアで即時効果も期待できる 【くるくる耳マッサージ】
下記の@〜Eの手順でやってみてください。

@両耳の上部を軽くつまみ、5秒間、上に引っぱる
A両耳の真ん中を軽くつまみ、5秒間、横に引っぱる
B両耳の下部を軽くつまみ、5秒間、下に引っぱる
C両耳の真ん中を軽くつまみ、横に引っぱり、そのまま耳を前から後ろにゆっくり大きく5回まわす
D両耳を包むように曲げて、5秒間キープする
E両耳を手のひらで覆い、円を描くように前から後ろにゆっくり5回まわす

耳がポカポカと温まってきたのではないでしょうか?
 くるくる耳マッサージのいいところはセルフケアで即時効果も期待できるところにあります。
気象病の症状が現れるタイミングは人それぞれなので、どんなときに不調が発生するのかを記録し、把握したうえで実践してみるとよいでしょう。
気象病や天気痛という言葉は、最近になってやっと少しずつ浸透してきましたが、まだまだ知らない人も多く、つらい不調を「心の問題」や「心の弱さ」として片付けられてしまうことも多いのが現状です。

症状が重いのに職場や周りの理解が得られず、休職や退職に追い込まれてしまうというケースもあります。
くり返しになりますが、天気による不調は「気のせい」でも「心の問題」でもありません。
しっかりした因果関係のある、誰もが発症する可能性のある症状です。

そして、症状に応じた対策を取ることで、状態を改善し、自分でコントロールすることができるようになるものです。
もし、あなたやあなたの周りの方々が原因不明の不調に悩まされていたら、「この体調不良は天気のせいかもしれない」と疑ってみることがすごく大切です。

体調不良は自己管理能力の低さにあると、自責の念に駆られてしまう人が少なくありませんが、「天気のせいで体調が悪い。だから自分は悪くないんだ」と開き直ることは思いのほか重要なのです。
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2022年04月27日

退職後にどれだけお金があればいいかわかりません。退職後のお金の考え方を教えてください

退職後にどれだけお金があればいいかわかりません。退職後のお金の考え方を教えてください
4/26 あるじゃん(All About マネー)

お金のこと、難しいですよね。
コロナ禍もあって、ますますお金を貯めたい、家計を守りたい、と思っている人もいるのではないでしょうか。
皆さんからのちょっとしたお金の疑問にオールアバウトの専門家が回答するコーナーです。
今回は、退職後に必要なお金についてです。

◆Q:退職後にどれだけお金があればいいかわかりません。退職後のお金の考え方とは?
「退職後にどれだけお金があればいいかわかりません。退職後のお金の考え方を教えてください。」(40歳・会社員)

◆A:まずは、老後の「3W1H」を考えてみましょう
退職後のお金については正解はありません。いくら必要なのかについてもです。
たくさん必要な人もいるし、多額のお金がなくても大丈夫な人もいます。
ご相談者は40歳と、まだまだ時間はあります。
老後どういう生活をしたいかによって、必要額は変わってきます。

老後資金について重要なのは3W1Hです。
この3W1Hというのは、3WはWhen(いつ)、Where(どこで)、Who(誰と)、1HというのはHow(どのように)のことです。

When(いつ)とは、完全にリタイアする年のことです。
完全リタイアする年が60歳だったら、男性は原則として65歳からしか年金をもらえないので、その分お金を準備しなくてはなりません。
70歳でリタイアする人は、65歳から年金をもらえる、あるいは年金を繰り下げればその分受給額が増えるので、老後の無収入の期間が短くなり、準備するお金が少なくてすみます。

Where(どこで)は、「終の棲家(ついのすみか)」です。
老後どこに住むかによって、支出が変わります。
例えば東京都内、山手線の内側エリアだったら多くのお金が必要ですが、地方に行くと物価水準などが安いので、比較すると数万円違うこともあります。
例えば1カ月あたり2万円違うだけでも年間24万円。老後が30年だとしたら720万円。このように、どこに住むかだけでも、老後に向けて準備する金額というのは違ってきます。

続いてWho(誰と)というのは、「何人で過ごすのか」ということです。
つまり老後を夫婦2人で過ごすのか。あるいは子ども世帯と2世帯で過ごすのか。あるいは子どもじゃなくて、長寿な時代ですから高齢の親世代と2世帯というケースもあります。
場合によっては、親子三代っていうケースもありますよね。
当然ながら一緒に住む人が増えれば1人当たりのコストというのは少なくなります。
収入も、夫婦2人だけが年金を受け取れるよりも、親がいれば、年金を受け取れる人は3人、4人となり、受け取れる額が増えます。
あるいは働いている子ども世代がいれば、その分収入も増えます。
そういう観点で、何人で生活するかによって1人当たりのコストが変わりますので、準備するお金が少なくてすむ場合があるのです。

How(どのように)は、どんな老後の生活をしたいのかということ。
老後にゴルフとか旅行とか、あれもしたいこれもしたい、と考えるとたくさんお金がかかります。
一方では、老後は晴耕雨読でいいという人もいます。
この場合、お金はあまりかからないですよね。
このように「老後どういう生活をしたいか」によって、必要なお金も違ってきます。
まずは老後の青写真を描いてみましょう。
その上で安心料という意味で「iDeCo」や「つみたてNISA」等の金融商品を使って、老後のお金を少しずつ準備してみてはどうでしょうか。

文:深野 康彦(ファイナンシャルプランナー)
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2022年04月28日

日本の仏教、ロシア正教…なぜ"人々を救済すべき"宗教が侵略戦争に積極加担するのか

日本の仏教、ロシア正教…なぜ"人々を救済すべき"宗教が侵略戦争に積極加担するのか
2022年04月27日 PRESIDENT Online

ウクライナへの侵攻を「聖なる戦い」として演出しているロシア正教が世界中から非難されている。
ジャーナリストで僧侶の鵜飼秀徳さんは「仏教・神道・キリスト教など日本の宗教も、日清・日露・第2次大戦に積極加担していた過去がある。
国家権力と結びついた宗教は暴走を始め、人民救済という本分を忘れてしまう」という――。

■なぜ、宗教が戦争を止めずに賛美し加担するのか
ロシア正教会が戦争に積極的に関与し始めている。
ウクライナに出征する兵士や戦車に、司祭が聖水を振りかける場面などが報じられるなど、プーチン政権との蜜月の関係に非難が相次いでいる。
宗教の立場で「聖なる戦い」を演出し、国民を鼓舞するのが目的だ。

国家と宗教との緊密な関係は、今日のウクライナ戦争に始まったことではない。
日本の仏教も、戦争や植民地政策に積極加担していた過去があった。
聖戦――。それは、神の名において行われる戦争のことである。
宗教が始めた戦争は枚挙にいとまがない。もっとも有名なのは中世における十字軍の遠征だろう。
十字軍は聖地エルサレム奪還のため、ローマ教皇の名の下に組織された。
そして、中東地域における覇権拡大のため、およそ200年にわたる戦いを繰り広げた。

近年では、2001年9月11日に起きたアメリカ同時多発テロ以降の戦争がある。
イラクやアフガニスタンなどで繰り広げられた戦いは、キリスト教とイスラム教の宗教戦争でもあった。
当時のブッシュ大統領は、イスラム原理主義組織との戦いを「十字軍の戦い」と表現した。
対し、イスラム原理主義組織もまた「ジハード(イスラムを守り抜く戦い)」と呼び、泥沼の20年戦争へと突入した。

■同じ「キリスト教系の神」同志のウクライナ戦争
今回のウクライナ戦争はどうだろう。
ロシアの主たる宗教はロシア正教だ。
プーチン大統領自身もロシア正教に帰依している。正教は、キリスト教の一派であり、その名のとおり「正しい教え」を意味する。
正教会はそれぞれの国の名を冠し、「ロシア正教会」「ウクライナ正教会」「日本正教会」などと呼んでいる。
一方、ウクライナの宗教構造は複雑だ。
大きく分けるとウクライナ正教およびカトリック教の勢力が強い。
ウクライナにおける正教会は、ロシア正教会からの独立を目指してきた歴史があり、現在は3つに分裂している。

ウクライナ大使館によれば、ひとつはプーチン政権に近いロシア正教会モスクワ聖庁の権威を認めるウクライナ正教会。
2つ目は、そこから独立し、ウクライナ政府を後ろ盾とするウクライナ正教会。
さらに、ウクライナ独自のウクライナ自治独立正教会がある。

今回のウクライナ戦争によって、ウクライナ国内ではロシア正教会モスクワ聖庁系の司祭が追い出されている。
しかし広い視座でみれば、両国は同じキリスト教系の正教会の国であり、また、ウクライナを軍事面で支える欧米諸国もまたキリスト教国である。
ウクライナ戦争は同じ「神」のもとでの戦争なのだ。

ロシア正教会のトップ、キリル総主教はウクライナ侵攻が始まってから、この戦争を支持し、正当化する発言を繰り返している。
ワシントン・ポストによればキリル総主教は、モスクワ大聖堂での礼拝で戦勝祈願を実施した。
ロシア国家親衛隊の将軍に聖火を手渡し、祈りを捧げた。
また、ロシア正教はウクライナに侵攻する戦車や兵士らに聖水を浴びせるなど、聖戦を強調する動きが目立っている。

ロシア正教会では、シリアにおける空爆の際にもロシアのミサイルに聖水をまくなど、戦争への協力姿勢を明確にしている。 こうしたロシア正教の戦争賛美の立場に、東方正教会(ロシア・中東・東欧を中心とする15の自立教会の連合体)は反発を強めている。
仏教者である私からみても、ロシア正教の動きには強い違和感がある。

■日本にも戦争に宗教が加担した過去がある
だが、日本もまた、近代の戦争において、仏教などが戦争に積極的に加担していた過去がある。
明治維新以降、日本は国家神道の道を歩み出す。
神道が国家と一体化し、「神の国」のもとで日清・日露戦争、日中戦争、太平洋戦争が繰り広げられた。
この国家神道体制に付き従うように、仏教やキリスト教も戦争協力の姿勢をみせていく。
なかでも、明治維新政府に接近し、戦争に積極加担したのが東西本願寺の浄土真宗教団だった。

浄土真宗は岩倉使節団と共に世界各地を視察して回ったことがきっかけで、政界に接近する。
朝鮮半島の支配権をめぐって日清戦争が始まると、「軍隊慰問」「戦死者追弔」などをうたい文句に大陸に従軍僧を派遣した。
浄土真宗の動きに同調し、他の仏教宗派も富国強兵策に参画していく。
日清戦争では、仏教界の関与はまだまだ序章だったが、日露戦争時にはエスカレートする。
浄土真宗を筆頭に多くの宗派が大陸に進出した。

植民地の拡大に乗じて中国、満州、朝鮮半島、台湾などの極東アジアに寺院や布教所を次々開設していったのだ。
その背景に、各仏教教団の教線は日本国内では飽和、限界状態になっていたことがいえる。
仏教教団もまた、侵略戦争は無限の大陸へと布教を広げる好機だった。
国家と宗教界が、互いに互いを必要とする関係にあったのだ。
つまり、国家の側からみれば、領土拡大を進め、最前線に寺院が建立されることは、そこがわが国の主権の及ぶ地であることの既成事実が成立することになる。
政府にとって仏教界の大陸進出は実に好都合、というわけだ。

植民地政策には、決まって宗教が関わる。
たとえば、北海道における仏教界の進出の画期となったのは1804(文化元)年、徳川幕府11代将軍家斉が3つの寺(有珠善光寺、等?院、国泰寺)を、幕府直轄の官寺に定めたことである。
3つの寺の設置は、ロシアの南下政策や諸外国を牽制する意図があった。

明治に入ると、政府はアイヌの土地の完全なる植民地化に舵を切る(同化政策)。
北海道には開拓使が設置され、1872(明治4)年までにアイヌの土地を収用してしまった。

■国家権力と結びついて暴走し、人民救済を忘れる
北海道開拓が進むに従って、東北や北陸を中心とする内地から人々がムラ単位で入植していった。
その際に、寺院や神社が一緒にくっついていった。
宗教施設は、移民のコミュニティを強化する役割であり、故郷の象徴でもある。
また寺院は、開拓中に死んでいったムラ人の弔いという重要な機能も担った。

北海道の開拓には、浄土真宗教団が真っ先に手を挙げている。
1869(明治2)年、まず、東本願寺が北海道開拓に乗り出す。
東本願寺の北海道進出を機に、他宗でも同様の動きがみられた。
興味深いのは浄土宗の増上寺が、1869(明治2)年9月に日高地方や色丹島などの開拓を認められ、入植を始めたことである。
驚くべきことに北方領土の一角である色丹島全体が増上寺の寺領であったのだ。
北海道はあまりにも広く、また新政府の予算も潤沢ではなかったため、地方行政府や有力寺院などに土地を分け与えて支配させた。これを分領支配という。

開拓した色丹島は、正式に増上寺の寺領として組み込まれた。
だが、寺領であったのはわずか1年ほど。1870(明治2)年、新政府に上知(土地の召し上げ)されている。
いずれにしても、北方四島には明治以降、入植者が相次いだ。
そこには、浄土真宗本願寺派、真宗大谷派、浄土宗、曹洞宗、日蓮宗など計24の寺院(無人の地蔵堂などを含む)が建立されたとの記録がある。

太平洋戦争時、仏教は、ロシア正教のウクライナ戦争協力以上の戦時加担をした。
戦闘機や軍艦の献納運動などを積極的に展開していった。
戦時色が濃くなると、宗教団体を国家の管理下におく宗教団体法が施行され、「信教の自由」が奪われる。
宗教はさまざまな活動の制限や干渉を受けるが、もはや仏教界は政府や軍部と同化しており、完全にファッショに染まっていた。

日本が敗戦を宣言した直後、ロシアは北方四島に侵攻。今度は日本人が追い出され、寺や神社はことごとく壊された。
その代わりに、ロシアが真っ先に建立したのがロシア正教の教会だった。
結果的に日本の近代戦争は仏教に大きな代償を払わせた。都市部の寺院は空襲で破壊された。
4600カ寺以上、およそ6%に相当する寺院が焼失した。
先人から受け継いだ貴重な文化財が灰燼(かいじん)に帰してしまった。

国家権力と結びついた宗教は暴走を始め、人民救済という本分を忘れてしまう。
結果的にはその宗教自身も瓦解(がかい)することになる。
それは、歴史が証明しているのだ。
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鵜飼 秀徳(うかい・ひでのり)
浄土宗僧侶/ジャーナリスト 1974年生まれ。
成城大学卒業。新聞記者、経済誌記者などを経て独立。「現代社会と宗教」をテーマに取材、発信を続ける。
著書に『寺院消滅』(日経BP)、『仏教抹殺』(文春新書)近著に『お寺の日本地図 名刹古刹でめぐる47都道府県』(文春新書)。
浄土宗正覚寺住職、大正大学招聘教授、佛教大学・東京農業大学非常勤講師、
(一社)良いお寺研究会代表理事、(公財)全日本仏教会広報委員など。
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2022年04月29日

安倍元首相が靖国神社に参拝するのなら沖縄の戦没者のためにも土下座すべきだ

ラサール石井 東憤西笑
安倍元首相が靖国神社に参拝するのなら沖縄の戦没者のためにも土下座すべきだ
2022/04/28  日刊ゲンダイ

「ウラジーミル、君と僕とは同じ未来を見ている」と言っていた安倍元総理、プーチンが「駆けて駆けて駆けぬいた」あげくウクライナまで行ってしまった現在の状況がその未来なのか。
だったら今頃恥ずかしくて、人前に出られないはずだが、むしろあちらこちらで活発に発言している。
 まず耳を疑ったのは、あれほど親密さを強調しながら、今回の件で個別に連絡するでもなく、欧米諸国との橋渡し役などもすることなく、「プーチン大統領のメンタルは戦国武将のようなもので、織田信長に人権を問うても通用しない」と訳のわからぬ理由で、手のひら返しの批判をしたことだ。

■この時ばかりと軍備増強を狙う
とにかくウクライナの紛争に戦争反対を叫ぶのではなく、逆にこの時とばかり、我が国の軍備増強や防衛費増大を叫ぶ。
むしろ武器が売れるぞと喜ぶ死の商人かと見まがうようなはしゃぎぶりだ。
 敵基地攻撃能力の議論では基地だけではなく、敵の中枢を攻撃できるようにすべきだなどとのたまう。
敵が攻撃してくるかもという情報だけで、敵の中枢を攻撃する。
これを一般には「先制攻撃」というのではないのか。

メンチ切られたからナイフで刺していいって話で、どこが専守防衛なのか。
 先日は靖国神社を参拝し、「英霊の尊い死のおかげで国は守られている」と発言。軍部の独走と見通しの甘い作戦下で、兵隊のほとんどが餓死した先の戦争は英霊も民間人も悲惨な目にあった。
 むしろ敵ではなく国に殺されたようなものだ。
その死を美化し称えられても彼らはけしてうれしくないはずだ。
きっと「二度と戦争はごめんだ」と思っているだろう。

 戦ったのは兵士だけではない。「守った」というならまさしく水際で戦い、学生や少年までも駆り出された、沖縄の民間人の犠牲こそ、本土決戦までの時間稼ぎであったはずだ。  安倍元総理もネトウヨのテーマパーク靖国神社に行くなら、次の日には沖縄に飛び、戦没者慰霊のあの大量の石碑の前に土下座して追悼すべきだろう。
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